説明

導電性フイルム及びタッチパネル

【課題】透光性、視認性が良好で、しかも、入力に対する出力ダイナミックレンジを向上させることができ、タッチ位置検出の感度の向上、検出精度の向上を図ることができる導電性フイルム及びタッチパネルを提供する。
【解決手段】第1導電性フイルム10Aの第1導電部14Aは、複数の第1パッド部16Aがそれぞれ第1接続部18Aを介して接続された金属細線による2以上の第1導電パターン20Aを有し、各第1パッド部16Aは、一方の第1接続部18Aから延びる第1渦巻き部24Aと、他方の第1接続部18Aから延びる第2渦巻き部24Bと、第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bとを連結する第1連結部26Aとを有する。第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bはそれぞれ複数の格子28が組み合わされて構成され、第1連結部26Aは複数の導線30にて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性フイルム及び導電性フイルムを備えるタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
このような将来の動向において、従来の電極は、ITO(酸化インジウムスズ)を用いていることから、抵抗が大きく、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。
そこで、金属製の細線(金属細線)にて構成した格子を多数並べて電極を構成することで表面抵抗を低下させることが考えられる。金属細線を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献1〜4が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5113041号明細書
【特許文献2】国際公開第95/27334号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0239650号明細書
【特許文献4】米国特許第7202859号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3及び4に係る導電性フイルムは、各金属細線にそれぞれ複数のS字状の変形部を形成したパターンを縦方向に配列して構成される第1導電パターンと、複数のS字状の変形部を形成したパターンを横方向に配列して構成される第2導電パターンとを有する。第1導電パターンと第2導電パターンは、それぞれ変形部同士が交差するようにして配置される。この場合も、第1導電パターンの各金属細線と第2導電パターンの各金属細線との交差部とその近傍が電荷を蓄積するセルとして機能することになる。
【0005】
しかし、これらの例では、実際にどのような線幅にて形成するのか不明であり、ある金属細線に断線があると、断線した金属細線に関連するアドレスが認識できなくなるという問題がある。また、特許文献3の図15及び図16の例では、断線による影響をできるだけなくしたい場合、はしご状のパターンや六角形状のパターンを密にしたり、れんが積みの段数を増やしたり、れんが間の距離を短くする等が考えられるが、透光性が低下してしまい、タッチパネルとして使用した場合に、表示の明度が暗くなり、また、表示内容がわかりにくくなるという問題がある。しかも、特許文献3の図15の例等では、第1導電パターンのはしご状のパターンと第2導電パターンのはしご状のパターンとの境界が視認されやすくなるため、視認性(導電パターンが肉眼で視認されない性質)の点でも問題がある。
【0006】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、透光性、視認性が良好で、しかも、入力に対する出力ダイナミックレンジを向上させることができ、タッチ位置検出の感度の向上、検出精度の向上を図ることができる導電性フイルム及びタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 第1の本発明に係る導電性フイルムは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、複数のパッド部がそれぞれ接続部を介して接続された金属細線による2以上の導電パターンを有し、各前記パッド部は、一方の接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する連結部とを有し、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、前記連結部が複数の導線にて構成されていることを特徴とする。
[2] 第1の本発明において、前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部の各周縁は、それぞれ前記格子の頂点を山又は谷とする凹凸形状とされていることを特徴とする。
[3] 第1の本発明において、前記連結部を構成する複数の前記導線がそれぞれ直線状に形成されていることを特徴とする。
[4] 第1の本発明において、前記導電パターン間に、前記導電パターンと非接続とされた金属細線によるダミーパターンが形成されていることを特徴とする。
[5] 第1の本発明において、前記ダミーパターンは、一方の前記導電パターンにおける接続部と他方の前記導電パターンにおける接続部との間に配置されていることを特徴とする。
[6] 第1の本発明において、前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部の各周縁は、前記格子の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の長辺部と、少なくとも1つの長辺部から直交して延びる金属細線による張り出し部とを有することを特徴とする。
[7] 第2の本発明に係る導電性フイルムは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、複数の第1パッド部がそれぞれ第1接続部を介して接続された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、前記第1導電部は、複数の第2パッド部がそれぞれ第2接続部を介して接続された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、各前記第1パッド部は、一方の第1接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の第1接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する第1連結部とを有し、各前記第2パッド部は、一方の第2接続部から延びる第3渦巻き部と、他方の第2接続部から延びる第4渦巻き部と、前記第3渦巻き部と前記第4渦巻き部とを連結する第2連結部とを有し、前記第1渦巻き部〜前記第4渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、前記第1連結部及び前記第2連結部が複数の導線にて構成され、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1連結部と前記第2連結部とが略直交するように配置されていることを特徴とする。
[8] 第2の本発明において、前記第1渦巻き部〜前記第4渦巻き部の各周縁は、それぞれ前記格子の頂点を山又は谷とする凹凸形状とされていることを特徴とする。
[9] 第2の本発明において、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、隣接する前記第1導電パターン間に前記第2接続部が位置し、隣接する前記第2導電パターン間に前記第1接続部が位置するように配置されていることを特徴とする。
[10] 第2の本発明において、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンにおける前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部との間に、前記第2導電パターンにおける前記第3渦巻き部又は前記第4渦巻き部が位置し、前記第2導電パターンにおける前記第3渦巻き部と前記第4渦巻き部との間に、前記第1導電パターンにおける前記第1渦巻き部又は前記第2渦巻き部が位置するように配置されていることを特徴とする。
[11] 第2の本発明において、前記第1導電パターン間に、前記第1導電パターンと非接続とされた金属細線による第1ダミーパターンが形成され、前記第2導電パターン間に、前記第2導電パターンと非接続とされた金属細線による第2ダミーパターンが形成されていることを特徴とする。
[12] 第2の本発明において、前記第1ダミーパターンは、一方の前記第1導電パターンにおける前記第1接続部と他方の前記第1導電パターンにおける前記第1接続部との間に配置され、前記第2ダミーパターンは、一方の前記第2導電パターンにおける前記第2接続部と他方の前記第2導電パターンにおける前記第2接続部との間に配置されていることを特徴とする。
[13] 第2の本発明において、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1ダミーパターン間に前記第2接続部が位置し、前記第2ダミーパターン間に前記第1接続部が位置するように配置されていることを特徴とする。
[14] 第2の本発明において、前記第1導電パターンの前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部を構成する前記格子の数が前記第2導電パターンの前記第3渦巻き部及び前記第4渦巻き部を構成する前記格子の数よりも少ないことを特徴とする。
[15] 第2の本発明において、前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部の各周縁は、前記格子の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の第1長辺部と、少なくとも1つの第1長辺部から直交して延びる金属細線による第1張り出し部とを有し、前記第3渦巻き部及び前記第4渦巻き部の各周縁は、前記格子の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の第2長辺部と、少なくとも1つの第2長辺部から直交して延びる金属細線による第2張り出し部とを有することを特徴とする。
[16] 第2の本発明において、前記第1張り出し部が形成された前記第1長辺部と、前記第2張り出し部が形成されていない前記第2長辺部とが対向していることを特徴とする。
[17] 第2の本発明において、前記第1張り出し部が形成されていない前記第1長辺部と、前記第2張り出し部が形成された前記第2長辺部とが対向していることを特徴とする。
[18] 第1及び第2の本発明において、各前記格子の一辺の長さが100〜400μmであることを特徴とする。
[19] 第1及び第2の本発明において、各前記格子の線幅が1〜15μmであることを特徴とする。
[20] 第3の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に設置された導電性フイルムを備えるタッチパネルであって、前記導電性フイルムは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、前記導電部は、複数のパッド部がそれぞれ接続部を介して接続された金属細線による2以上の導電パターンを有し、各前記パッド部は、一方の接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する連結部とを有し、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、前記連結部が複数の導線にて構成されていることを特徴とする。
[21] 第4の本発明に係るタッチパネルは、表示装置の表示パネル上に設置された導電性フイルムを備えるタッチパネルであって、前記導電性フイルムは、基体と、前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、前記第1導電部は、複数の第1パッド部がそれぞれ第1接続部を介して接続された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、前記第1導電部は、複数の第2パッド部がそれぞれ第2接続部を介して接続された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、各前記第1パッド部は、一方の第1接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の第1接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する第1連結部とを有し、各前記第2パッド部は、一方の第2接続部から延びる第3渦巻き部と、他方の第2接続部から延びる第4渦巻き部と、前記第3渦巻き部と前記第4渦巻き部とを連結する第2連結部とを有し、前記第1渦巻き部〜前記第4渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、前記第1連結部及び前記第2連結部が複数の導線にて構成され、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1連結部と前記第2連結部とが略直交するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明に係る導電性フイルム及びタッチパネルによれば、透光性、視認性が良好で、しかも、入力に対する出力ダイナミックレンジを向上させることができ、タッチ位置検出の感度の向上、検出精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係る導電性フイルム(第1導電性フイルム)の第1導電部のパターンを一部省略して示す平面図である。
【図2】第1導電性フイルムを一部省略して示す断面図である。
【図3】第1導電性フイルムの第1パッド部、第1接続部及び第1ダミーパターンを拡大して示す平面図である。
【図4】積層導電性フイルムを有するタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【図5】積層導電性フイルムを一部省略して示す分解斜視図である。
【図6】図6Aは積層導電性フイルムの一例を一部省略して示す断面図であり、図6Bは積層導電性フイルムの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る導電性フイルム(第2導電性フイルム)の第2導電部のパターンを一部省略して示す平面図である。
【図8】第2導電性フイルムの第2パッド部、第2接続部及び第2ダミーパターンを拡大して示す平面図である。
【図9】第1導電性フイルムと第2導電性フイルムを組み合わせて積層導電性フイルムとした例を一部省略して示す平面図である。
【図10】本実施の形態に係る導電性フイルムの製造方法を示すフローチャートである。
【図11】図11Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図11Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図である。
【図12】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないようにして第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る導電性フイルム及び導電性フイルムを用いた表示装置の実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0011】
第1の実施の形態に係る導電性フイルム(以下、第1導電性フイルム10Aと記す)は、図1に示すように、第1透明基体12A(図2参照)の一主面上に形成された第1導電部14Aを有する。この第1導電部14Aは、複数の第1パッド部16Aがそれぞれ第1接続部18Aを介して接続された金属細線による2以上の第1導電パターン20Aと、第1導電パターン20A間に設置され、第1導電パターン20Aと非接続とされた金属細線による第1ダミーパターン22Aとを有する。金属細線は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。
【0012】
1つの第1導電パターン20Aは、2以上の第1パッド部16Aがそれぞれ第1接続部18Aを介してx方向(第1方向)に配列されて構成されている。そして、2以上の第1導電パターン20Aがx方向と直交するy方向(第2方向)に配列されている。x方向は、例えば後述する投影型静電容量方式のタッチパネル100(図4参照)の水平方向(又は垂直方向)あるいはタッチパネル100を設置した表示パネル110の水平方向(又は垂直方向)を示す。
【0013】
各第1パッド部16Aは、一方の第1接続部18Aから延びる第1渦巻き部24Aと、他方の第1接続部18Aから延びる第2渦巻き部24Bと、第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bとを連結する第1連結部26Aとを有する。第1渦巻き部24A、第2渦巻き部24B及び第1接続部18Aがそれぞれ複数の格子28が組み合わされて構成されている。第1連結部26Aは、複数の導線30にて構成されている。格子28は、ここでは一番小さい正方形状又はひし形形状とされている。
【0014】
第1パッド部16Aの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、上記下限値未満であると、第1導電性フイルム10Aを例えばタッチパネルに利用した場合に、検出時の第1パッド部16Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。同様の観点から、第1パッド部16Aを構成する格子28の一辺の長さは、100〜400μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。格子28の一辺の長さが上記範囲である場合には、さらに透明性(透光性)も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。格子28の線幅、すなわち、金属細線の線幅は1〜15μmである。これにより、上述の格子28の一辺の長さと相俟って、導電性、透明性(透光性)が良好となる。
【0015】
第1渦巻き部24A及び第2渦巻き部24Bの各周縁は、それぞれ格子28の頂点を山又は谷とする凹凸形状とされている。この形態を満足する格子28の並べ方は種々あり、1つの並べ方として以下のような形態がある。ここで、第1方向と第2方向とを二等分する方向を第3方向(m方向)とし、第3方向と直交する方向を第4方向(n方向)としたとき、第1渦巻き部24Aは、第4方向(n方向)に3つの格子28が並ぶ組み合わせ(辺同士が隣接して並ぶ組み合わせ)が、一方の第1接続部18Aから他方の第1接続部18Aに向かって複数配列され、第1渦巻き部24Aの屈曲部分から第2方向に沿って上述の組み合わせが複数配列されている。特に、第1連結部26Aと連結する辺(第1渦巻き部24Aの終端縁)では、該辺に沿って8つの格子28が第4方向に配列され、第2方向に向かって順次、6つの格子、4つの格子、2つの格子というように、格子28が2つずつ減る形態で、格子28が配列されている。
【0016】
これは、第2渦巻き部24Bにおいても同様であり、第4方向(n方向)に3つの格子28が並ぶ組み合わせが、他方の第1接続部18Aから一方の第1接続部18Aに向かって複数配列され、第2渦巻き部24Bの屈曲部分から第2方向に沿って上述の組み合わせが複数配列されている。第1連結部26Aと連結する辺(第2渦巻き部24Bの終端縁)では、該辺に沿って8つの格子28が第4方向に配列され、第2方向に向かって順次、6つの格子、4つの格子、2つの格子というように、格子28が2つずつ減る形態で、格子28が配列されている。
上述の説明は、第4方向を主体に格子28の並べ方を示したものであって、第3方向を主体にした形態や、第3方向と第4方向とを複合した形態でも説明することができることはもちろんである。
【0017】
また、図3に示すように、第1渦巻き部24A及び第2渦巻き部24Bの各周縁は、格子28の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の第1長辺部32Aと、少なくとも1つの第1長辺部32Aから直交して延びる金属細線による第1張り出し部34Aとを有する。具体的には、第1渦巻き部24A及び第2渦巻き部24Bの各周縁のうち、折曲がり部分の内周縁に第1長辺部32Aが形成され、折れ曲がり部分の外周縁と各終端縁に金属細線による第1張り出し部34Aが形成されている。
【0018】
一方、第1連結部26Aは、例えば第3方向に延びる4本の直線状の導線30にて構成されている。各導線30の長さは、図1及び図3の例では格子28の一辺の長さの8倍の長さを有するが、第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bの離間長さに依存し、格子28の一辺の長さの整数倍であればよい。導線30の延在方向も第3方向に限定されず、第1渦巻き部24Aの終端と第2渦巻き部24Bの終端の位置に応じて、第1方向、第2方向、第4方向等が挙げられる。
【0019】
第1ダミーパターン22Aは、隣接する2つの第1導電パターン20A間に配置され、特に、一方の第1導電パターン20Aの第1接続部18Aと他方の第1導電パターン20Aの第1接続部18Aとの間に配置されている。図1及び図3の例では、第1接続部18A間を複数の格子28で繋いだ形態(例えば第3方向あるいは第4方向に3つの格子28が並ぶ組み合わせが第2方向に配列された形態)から一部の金属細線を除去した形状、例えば第1接続部18Aとの境界部分の金属細線と中央部分の金属細線を除去した形状を有する。
【0020】
上述のように構成された第1導電性フイルム10Aは、各第1導電パターン20Aの一方の端部が開放端とされている。各第1導電パターン20Aの他方の端部側に存在する第1パッド部16Aの端部は、例えば第1結線部36A(図4参照)を介して金属細線による第1端子配線パターン38Aに電気的に接続されている。
【0021】
このように、第1導電性フイルム10Aにおいては、1つの第1導電パターン20Aを、2以上の第1パッド部16Aを第1接続部18Aを介してx方向に配列して構成し、各第1パッド部16Aを、一方の第1接続部18Aから延びる第1渦巻き部24Aと、他方の第1接続部18Aから延びる第2渦巻き部24Bと、第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bとを連結する第1連結部26Aとで構成し、第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bとをそれぞれ複数の格子28を組み合わさせて構成し、第1連結部26Aを複数の導線30にて構成するようにしたので、1つの電極を1つのITO膜にて形成する構成よりも大幅に電気抵抗を低減することが可能となる。従って、この第1導電性フイルム10Aを用いて例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに適用した場合に、応答速度を速めることができ、タッチパネルの大サイズ化を促進させることができる。また、第1渦巻き部24A、第2渦巻き部24B及び第1接続部18Aがそれぞれ多数の格子28が配列された形態となるため、局部的に金属細線に断線が発生しても、他の金属細線によって導通が確保され、断線による影響を回避することができる。しかも、多数の格子28によって、1つの第1パッド部16Aに蓄積される信号電荷の量が多くなり、その結果、入力に対する出力ダイナミックレンジが大きくなる。これにより、第1導電性フイルム10Aをタッチパネルに使用した場合に、指先のタッチ位置を検出する感度(検出感度)を高めることができ、また、ノイズ成分に対する信号成分が大きくなることから、検出信号のS/N比を向上させることができる。これは、タッチ位置の検出精度の向上につながる。
【0022】
次に、上述の第1導電性フイルム10Aを用いたタッチパネル100について図4〜図9を参照しながら説明する。
【0023】
タッチパネル100は、センサ本体102と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体102は、図4、図5及び図6Aに示すように、上述した第1導電性フイルム10Aと後述する第2導電性フイルム10Bとに積層されて構成された本実施の形態に係る積層導電性フイルム50と、その上に積層された保護層106(図6Aでは保護層106の記述を省略している)とを有する。積層導電性フイルム50及び保護層106は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置108における表示パネル110上に配置されるようになっている。センサ本体102は、上面から見たときに、表示パネル110の表示画面110aに対応した領域に配されたセンサ部112と、表示パネル110の外周部分に対応する領域に配された端子配線部114(いわゆる額縁)とを有する。
タッチパネル100に適用した第1導電性フイルム10Aは、図5に示すように、センサ部112に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン20Aが配列され、端子配線部114には各第1結線部36Aから導出された金属細線による複数の第1端子配線パターン38Aが配列されている。
【0024】
図4の例では、第1導電性フイルム10Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部112の外形も長方形状を有する。端子配線部114のうち、第1導電性フイルム10Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子116Aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の長辺(第1導電性フイルム10Aの一方の長辺に最も近い長辺:y方向)に沿って複数の第1結線部36Aが直線状に配列されている。各第1結線部36Aから導出された第1端子配線パターン38Aは、第1導電性フイルム10Aの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子116Aに電気的に接続されている。従って、センサ部112における一方の長辺の両側に対応する各第1結線部36Aに接続された第1端子配線パターン38Aは、ほぼ同じ長さにて引き回されることになる。もちろん、第1端子116Aを第1導電性フイルム10Aのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、複数の第1端子配線パターン38Aのうち、最も長い第1端子配線パターン38Aと最も短い第1端子配線パターン38Aとの間に大きな長さ上の違いが生じ、最も長い第1端子配線パターン38Aとその近傍の複数の第1端子配線パターン38Aに対応する第1導電パターン20Aへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第1導電性フイルム10Aの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第1端子116Aを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
【0025】
一方、第2導電性フイルム10Bは、図6A及び図7に示すように、第2透明基体12Bの一主面上に形成された第2導電部14Bを有する。この第2導電部14Bは、複数の第2パッド部16Bがそれぞれ第2接続部18Bを介して接続された金属細線による2以上の第2導電パターン20Bと、第2導電パターン20B間に設置され、第2導電パターン20Bと非接続とされた金属細線による第2ダミーパターン22Bとを有する。
1つの第2導電パターン20Bは、2以上の第2パッド部16Bがそれぞれ第2接続部18Bを介してy方向(第2方向)に配列されて構成されている。そして、2以上の第2導電パターン20Bがx方向(第1方向)に配列されている。
【0026】
各第2パッド部16Bは、一方の第2接続部18Bから延びる第3渦巻き部24Cと、他方の第2接続部18Bから延びる第4渦巻き部24Dと、第3渦巻き部24Cと第4渦巻き部24Dとを連結する第2連結部26Bとを有する。第3渦巻き部24C、第4渦巻き部24D及び第2接続部18Bがそれぞれ複数の格子28が組み合わされて構成されている。第2連結部26Bは、複数の導線30にて構成されている。
【0027】
上述した第1導電パターン20Aと同様に、第2パッド部16Bの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。第2パッド部16Bを構成する格子28の一辺の長さは、100〜400μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。格子28の線幅、すなわち、金属細線の線幅は1〜15μmである。
【0028】
図8に示すように、第3渦巻き部24C及び第4渦巻き部24Dの各周縁は、それぞれ格子28の頂点を山又は谷とする凹凸形状とされている。この形態を満足する格子の並べ方は種々あり、1つの並べ方として以下のような形態がある。すなわち、第3渦巻き部24Cは、第3方向(m方向)に5つの格子28が並ぶ組み合わせが、一方の第2接続部18Bから他方の第2接続部18Bに向かって複数配列され、第3渦巻き部24Cの屈曲部分から第1方向(x方向)に沿って上述の組み合わせが複数配列されている。特に、第2連結部26Bと連結する辺(第3渦巻き部24Cの終端縁)では、該辺に沿って11個の格子28が第3方向に配列され、それに隣接して10個の格子28が第3方向に配列され、そして、第1方向に向かって順次、8つの格子、6つの格子、4つの格子、2つの格子というように、格子28が2つずつ減る形態で、格子28が配列されている。
【0029】
これは、第4渦巻き部24Dにおいても同様であり、第3方向(m方向)に5つの格子28が並ぶ組み合わせが、他方の第2接続部18Bから一方の第2接続部18Bに向かって複数配列され、第4渦巻き部24Dの屈曲部分から第1方向に沿って上述の組み合わせが複数配列されている。第2連結部26Bと連結する辺(第4渦巻き部24Dの終端縁)では、該辺に沿って11個の格子28が第3方向に配列され、それに隣接して10個の格子28が第3方向に配列され、そして、第1方向に向かって順次、8つの格子、6つの格子、4つの格子、2つの格子というように、格子28が2つずつ減る形態で、格子28が配列されている。また、第2パッド部16Bを構成する格子28の数は、第1パッド部16Aを構成する格子28の数よりも多くなっている。
【0030】
上述の説明は、第3方向を主体に格子28の並べ方を示したものであって、第4方向を主体にした形態や、第3方向と第4方向とを複合した形態でも説明することができることはもちろんである。
【0031】
また、第3渦巻き部24C及び第4渦巻き部24Dの各周縁は、格子28の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の第2長辺部32Bと、少なくとも1つの第2長辺部32Bから直交して延びる金属細線による第2張り出し部34Bとを有する。具体的には、第3渦巻き部24C及び第4渦巻き部24Dの各周縁のうち、折曲がり部分の内周縁に第2長辺部32Bが形成され、折れ曲がり部分の外周縁に金属細線による第2張り出し部34Bが形成されている。
【0032】
一方、第2連結部26Bは、例えば第4方向に延びる6本の直線状の導線30にて構成されている。各導線30の長さは、図7及び図8の例では格子28の一辺の長さの4倍の長さを有するが、第3渦巻き部24Cと第4渦巻き部24Dの離間長さに依存し、格子28の一辺の長さの整数倍であればよい。導線30の延在方向も第4方向に限定されず、第3渦巻き部24Cの終端縁と第4渦巻き部24Dの終端縁の位置に応じて、第1方向、第2方向、第3方向等が挙げられる。
【0033】
第2ダミーパターン22Bは、隣接する2つの第2導電パターン20B間に配置され、特に、一方の第2導電パターン20Bの第2接続部18Bと他方の第2導電パターン20Bの第2接続部18Bとの間に配置されている。図8の例では、第2接続部18B間を複数の格子28で繋いだ形態(例えば第1方向及び第2方向に3つの格子28が並ぶ組み合わせ(頂点同士が隣接して並ぶ組み合わせ))から一部の金属細線を除去した形状、例えば第2接続部18Bの境界部分の金属細線と、中央部分の格子28と上述の組み合わせの周縁部との間の金属細線とを除去した形状を有する。すなわち、第2ダミーパターン22Bは、中央部分に配置された1つの格子28と、該格子28を挟むように配置され、格子の辺を並べた複数の波状の形状とを有する。
【0034】
図5に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の第2導電パターン20Bの一方の端部、並びに偶数番目の第2導電パターン20Bの他方の端部がそれぞれ開放端とされている。一方、奇数番目の各第2導電パターン20Bの他方の端部側に存在する第2パッド部16Bの端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン20Bの一方の端部側に存在する第2パッド部16Bの端部は、それぞれ第2結線部36Bを介して金属細線による第2端子配線パターン38Bに電気的に接続されている。
【0035】
そして、センサ部112に対応した部分に、多数の第2導電パターン20Bが配列され、端子配線部114には各第2結線部36Bから導出された複数の第2端子配線パターン38Bが配列されている。
図4に示すように、端子配線部114のうち、第2導電性フイルム10Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子116Bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部112の一方の短辺(第2導電性フイルム10Bの一方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部36B(例えば奇数番目の第2結線部38B)が直線状に配列され、センサ部112の他方の短辺(第2導電性フイルム10Bの他方の短辺に最も近い短辺:x方向)に沿って複数の第2結線部36B(例えば偶数番目の第2結線部36B)が直線状に配列されている。
【0036】
複数の第2導電パターン20Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン20Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部36Bに接続され、偶数番目の第2導電パターン20Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部36Bに接続されている。奇数番目の第2結線部36Bから導出された第2端子配線パターン38B並びに偶数番目の第2結線部36Bから導出された第2端子配線パターン38Bは、第2導電性フイルム10Bの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子116Bに電気的に接続されている。従って、例えば第1番目と第2番目の第2端子配線パターン38Bは、ほぼ同じ長さにて引き回され、以下同様に、第2n−1番目と第2n番目の第2端子配線パターン38Bは、それぞれほぼ同じ長さにて引き回されることになる(n=1、2、3・・・)。
【0037】
もちろん、第2端子116Bを第2導電性フイルム10Bのコーナー部やその近傍に形成してもよいが、上述したように、最も長い第2端子配線パターン38Bとその近傍の複数の第2端子配線パターン38Bに対応する第2導電パターン20Bへの信号伝達が遅くなるという問題がある。そこで、本実施の形態のように、第2導電性フイルム10Bの一方の長辺の長さ方向中央部分に、第2端子116Bを形成することで、局所的な信号伝達の遅延を抑制することができる。これは、応答速度の高速化につながる。
なお、第1端子配線パターン38Aの導出形態を上述した第2端子配線パターン38Bと同様にし、第2端子配線パターン38Bの導出形態を上述した第1端子配線パターン38Aと同様にしてもよい。
【0038】
そして、この積層導電性フイルム50をタッチパネルとして使用する場合は、第1導電性フイルム10A上に保護層を形成し、第1導電性フイルム10Aの多数の第1導電パターン20Aから導出された第1端子配線パターン38Aと、第2導電性フイルム10Bの多数の第2導電パターン20Bから導出された第2端子配線パターン38Bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
【0039】
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン20Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン20Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン20A及び第2導電パターン20BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン20Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン20Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層106の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン20Aと第2導電パターン20B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン20Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン20Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン20Aの順番と、供給された第2導電パターン20Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層106の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国特許出願公開2004/0155871号明細書等がある。
【0040】
そして、例えば第2導電性フイルム10B上に第1導電性フイルム10Aを積層して積層導電性フイルム50としたとき、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bは、図9に示すような配置状態となる。なお、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bの各線幅は同じであるが、図9においては、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bの位置がわかるように、第1導電パターン20Aの線幅を太く、第2導電パターン20Bの線幅を細くして誇張して図示してある。
【0041】
(1) 第1導電パターン20Aの第1連結部26A(図1参照)と第2導電パターン20Bの第2連結部26B(図7参照)とが略直交するように配置され、第1連結部26Aと第2連結部26Bとの組み合わせ部分120は複数の格子28が配列された形態となる。
(2) 隣接する第1導電パターン20A間に第2導電パターン20Bの第2接続部18Bが位置し、隣接する第2導電パターン20B間に第1導電パターン20Aの第1接続部18Aが位置するように配置される。このとき、第1導電パターン20Aと第2接続部18Bとの境界においては各格子28の頂点が重なり、且つ、格子28の辺間の投影距離が格子28の一辺の長さとほぼ同等となり、複数の格子28が配列された形態となる。これは、第2導電パターン20Bと第1接続部18Aとの境界においても同様である。
(3) 第1導電パターン20Aにおける第1渦巻き部24Aと第2渦巻き部24Bとの間に、第2導電パターン20Bにおける第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dが位置し、第2導電パターン20Aにおける第3渦巻き部24Cと第4渦巻き部24Dとの間に、第1導電パターン20Aにおける第1渦巻き部24A又は第2渦巻き部24Bが位置するように配置される。このとき、第1渦巻き部24Aと第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dとの境界並びに第2渦巻き部24Bと第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dとの境界においては各格子28の頂点が重なり、且つ、格子28の辺間の投影距離が格子28の一辺の長さとほぼ同等となり、複数の格子28が配列された形態となる。これは、第3渦巻き部24Cと第1渦巻き部24A又は第2渦巻き部24Bとの境界並びに第4渦巻き部24Dと第1渦巻き部24A又は第2渦巻き部24Bとの境界においても同様である。
(4) 第1方向(x方向)の第1ダミーパターン22A間に第2接続部18Bが位置し、第2方向(y方向)の第2ダミーパターン22B間に第1接続部18Aが位置するように配置される。このとき、第1ダミーパターン22Aと第2接続部18Bとの境界においては各格子28の頂点が重なり、且つ、格子28の辺間の投影距離が格子28の一辺の長さとほぼ同等となり、複数の格子28が配列された形態となる。これは、第2ダミーパターン22Bと第1接続部18Aとの境界においても同様である。
(5) 第1張り出し部34Aが形成された第1長辺部32Aと、第2張り出し部34Bが形成されていない第2長辺部32Bとが対向し、第1張り出し部34Aが形成されていない第1長辺部32Aと、第2張り出し部34Bが形成された第2長辺部32Bとが対向して配置され、複数の格子28が配列された形態となる。
(6) 第1ダミーパターン22Aと第2ダミーパターン22Bとが対向し、第1ダミーパターン22Aの金属細線が除去された部分を第2ダミーパターン22Bの金属細線が補い、第2ダミーパターン22Bの金属細線が除去された部分を第1ダミーパターン22Aの金属細線が補うように配置され、複数の格子28が配列された形態となる。
【0042】
上述のような配置によって、結果的に多数の格子28が全面にわたって配列された形態となり、第1パッド部16Aと第2パッド部16B等との境界をほとんど見分けることができない状態となる。
【0043】
ここで、第1渦巻き部24A〜第4渦巻き部24Dの各周縁を、それぞれ格子28の頂点を山又は谷とする凹凸形状とせずに、格子28の辺を直線状に並べた直線部として形成した場合、第1渦巻き部24Aの直線部と第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dの直線部とを重ね、第2渦巻き部24Bの直線部と第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dの直線部とを重ねることになるが、重ね合わせの位置精度の僅かなズレにより、直線部同士の重なり部分の幅が大きくなり(線太り)、これにより、第1パッド部16Aと第2パッド部16Bとの境界が目立ってしまい、視認性が劣化するという問題が生じる。しかし、本実施の形態では、上述したように、第1渦巻き部24A〜第4渦巻き部24Dの各周縁を、それぞれ格子28の頂点を山又は谷とする凹凸形状としたので、第1パッド部16Aと第2パッド部16Bとの境界が目立たなくなり、視認性が向上する。
【0044】
また、第1渦巻き部24A〜第4渦巻き部24Dの各周縁を、格子28の辺を直線状に並べた直線部として形成した場合、第1渦巻き部24Aの直線部の直下に第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dの直線部が位置し、第2渦巻き部24Bの直線部の直下に第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dの直線部が位置することになる。このとき、各直線部も導電部分として機能することから、第1渦巻き部24Aの直線部と第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dの直線部との間、第2渦巻き部24Bの直線部と第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dの直線部との間に寄生容量が形成され、この寄生容量の存在が電荷情報に対してノイズ成分として働き、S/N比の著しい低下を引き起こす。しかも、各第1パッド部16Aと各第2パッド部16B間に寄生容量が形成されることから、第1導電パターン20Aと第2導電パターン20Bに多数の寄生容量が並列に接続された形態となり、その結果、CR時定数が大きくなるという問題がある。CR時定数が大きくなると、第1導電パターン20A(及び第2導電パターン20B)に供給された電圧信号の波形の立ち上がり時間が遅くなり、所定のスキャン時間において位置検出のための電界の発生がほとんど行われなくなるおそれがある。また、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bからの伝達信号の波形の立ち上がり時間又は立ち下がり時間も遅くなり、所定のスキャン時間において伝達信号の波形の変化を捉えることができなくなるおそれがある。これは、検出精度の低下、応答速度の低下につながる。つまり、検出精度の向上、応答速度の向上を図るためには、第1パッド部16A及び第2パッド部16Bの数を減らしたり(分解能の低減)、適応させる表示画面のサイズを小さくするしかなく、例えばB5版、A4版、それ以上の大画面に適用させることができないという問題が生ずる。
【0045】
これに対して、本実施の形態では、第1渦巻き部24A〜第4渦巻き部24Dの各周縁を、それぞれ格子28の頂点を山又は谷とする凹凸形状としたので、第1渦巻き部24Aと第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dとの境界並びに第2渦巻き部24Bと第3渦巻き部24C又は第4渦巻き部24Dとの境界においては、各格子28の頂点が重なり、且つ、格子28の辺28a間の投影距離Lf(図6A参照)が格子28の一辺の長さとほぼ同等となる。さらに、第1パッド部16Aにおける複数の第1張り出し部34Aは、それぞれ先端のみが第2パッド部16Bの対応する第2長辺32Bに対向し、第2パッド部16Bにおける複数の第2張り出し部34Bは、それぞれ先端のみが第1パッド部16Aの対応する第1長辺32Aに対向するだけであるため、第1パッド部16Aと第2パッド部16B間に形成される寄生容量は小さくなる。その結果、CR時定数も小さくなり、検出精度の向上、応答速度の向上を図ることができる。
【0046】
上述の投影距離Lfの最適距離は、第1パッド部16A及び第2パッド部16Bのサイズよりは、第1パッド部16A及び第2パッド部16Bを構成する格子28のサイズ(線幅及び一辺の長さ)に応じて適宜設定することが好ましい。この場合、一定のサイズを有する第1パッド部16A及び第2パッド部16Bに対して、格子28のサイズが大きすぎると、透光性は向上するが、伝達信号のダイナミックレンジが小さくなることから、検出感度の低下を引き起こすおそれがある。反対に、格子28のサイズが小さすぎると、検出感度は向上するが、線幅の低減には限界があるため、透光性が劣化するおそれがある。
【0047】
そこで、上述の投影距離Lfの最適値(最適距離)は、格子28の線幅を1〜15μmとしたとき、100〜400μmが好ましく、さらに好ましくは200〜300μmである。格子28の線幅を狭くすれば、上述の最適距離も短くできるが、電気抵抗が高くなってくるため、寄生容量が小さくても、CR時定数が高くなってしまい、結果的に検出感度の低下、応答速度の低下を引き起こすおそれがある。従って、格子28の線幅は上述の範囲が好ましい。
【0048】
そして、例えば表示パネル110のサイズあるいはセンサ部112のサイズとタッチ位置検出の分解能(駆動パルスのパルス周期)とに基づいて、第1パッド部16A及び第2パッド部16Bのサイズ並びに格子28のサイズが決定され、格子28の線幅を基準に、上述した各格子28の辺28a間の投影距離Lfの最適距離が割り出されることになる。
【0049】
本実施の形態では、端子配線部114のうち、第1導電性フイルム10Aの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第1端子116Aを形成し、第2導電性フイルム10Bの一方の長辺側の周縁部における長さ方向中央部分に複数の第2端子116Bを形成するようにしている。特に、図4の例では、第1端子116Aと第2端子116Bとが重ならないように、且つ、互いに接近した状態で配列し、さらに、第1端子配線パターン38Aと第2端子配線パターン38Bとが上下で重ならないようにしている。なお、第1端子116Aと例えば奇数番目の第2端子配線パターン38Bとが一部上下で重なる形態にしてもよい。
これにより、複数の第1端子116A及び複数の第2端子116Bを、2つのコネクタ(第1端子用コネクタ及び第2端子用コネクタ)あるいは1つのコネクタ(第1端子116A及び第2端子116Bに接続される複合コネクタ)及びケーブルを介して制御回路に電気的に接続することができる。
【0050】
また、第1端子配線パターン38Aと第2端子配線パターン38Bとが上下で重ならないようにしているため、第1端子配線パターン38Aと第2端子配線パターン38B間での寄生容量の発生が抑制され、応答速度の低下を抑えることができる。
第1結線部36Aをセンサ部112の一方の長辺に沿って配列し、第2結線部36Bをセンサ部112の両側の短辺に沿って配列するようにしたので、端子配線部114の面積を低減することができる。これは、タッチパネル100を含めた表示パネル110の小型化を促進させることができると共に、表示画面110aを印象的に大きく見せることができる。また、タッチパネル100としての操作性も向上させることができる。
【0051】
端子配線部114の面積をさらに小さくするには、隣接する第1端子配線パターン38A間の距離、隣接する第2端子配線パターン38B間の距離を狭くすることが考えられるが、この場合、マイグレーションの発生防止を考慮すると、10μm以上50μm以下が好ましい。
その他、上面から見たときに、隣接する第1端子配線パターン38A間に第2端子配線パターン38Bを配置することによって、端子配線部114の面積を小さくすることが考えられるが、パターンの形成ずれがあると、第1端子配線パターン38Aと第2端子配線パターン38Bとが上下で重なり、配線間の寄生容量が大きくなるおそれがある。これは応答速度の低下をもたらす。そこで、このような配置構成を採用する場合は、隣接する第1端子配線パターン38A間の距離を50μm以上100μm以下にすることが好ましい。
【0052】
このように、積層導電性フイルム50においては、該積層導電性フイルム50を用いて例えば投影型静電容量方式のタッチパネル100に適用した場合に、応答速度を速めることができ、タッチパネル100の大サイズ化を促進させることができる。しかも、第1導電性フイルム10Aの第1パッド部16Aと第2導電性フイルム10Bの第2パッド部16Bとの境界が目立たなくなり、また、第1連結部26Aと第2連結部26Bとの組み合わせ並びに第1ダミーパターン22Aと第2ダミーパターン22Bとの組み合わせによってそれぞれ複数の格子28が形づくられることから、局部的に線太りが生じる等の不都合がなくなり、全体として、視認性が良好となる。
【0053】
また、多数の第1導電パターン20A及び第2導電パターン20BのCR時定数を大幅に低減することができ、これにより、応答速度を速めることができ、駆動時間(スキャン時間)内での位置検出も容易になる。これは、タッチパネル100の画面サイズ(縦×横のサイズで、厚みを含まず)の大型化を促進できることにつながる。
【0054】
また、第2パッド部16Bを構成する格子28の数を第1パッド部16Aを構成する格子28の数よりも多くしたので、例えば自己容量方式を採用した場合に、指のタッチ位置から距離的に遠い第2パッド部16Bであっても、第1パッド部16Aと同等程度の信号電荷を蓄積させることができ、第1導電性フイルム10Aでの検出感度と第2導電性フイルム10Bでの検出感度をほぼ同等にすることができ、信号処理の負担を低減することができると共に、検出精度の向上も図ることができる。
例えば相互容量方式を採用した場合も、格子28の数が多い第2パッド部16Bに蓄積された信号電荷を読み出す形態となるため、入力に対する出力ダイナミックレンジを大きくすることができ、検出信号のS/N比の向上、検出感度の向上、検出精度の向上を図ることができる。
【0055】
上述の積層導電性フイルム50では、図5及び図6Aに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第2透明基体12Bの一主面に第2導電部14Bを形成するようにしたが、その他、図6Bに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体12Bが存在せず、第2導電部14B上に、第1透明基体12Aが積層され、第1透明基体12A上に第1導電部14Aが積層された形態となる。また、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電部14Aと第2導電部14Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0056】
図4に示すように、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bの例えば各コーナー部に、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク118a及び第2アライメントマーク118bは、第1導電性フイルム10Aと第2導電性フイルム10Bを貼り合わせて積層導電性フイルム50とした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該積層導電性フイルム50を表示パネル110に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
【0057】
上述の例では、第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを投影型静電容量方式のタッチパネル100に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。
上述の例では、第2導電性フイルム10B上に第1導電性フイルム10Aを積層して積層導電性フイルム50を構成したが、その他、第1導電性フイルム10A上に第2導電性フイルム10Bを積層して積層導電性フイルム50を構成してもよい。
【0058】
また、第1パッド部16Aを構成する格子28の数と第2パッド部16Bを構成する格子28の数をそれぞれ同じにしてもよい。
第1パッド部16Aへの第1張り出し部34Aの形成を省略し、第2パッド部16Bの各第2長辺部32Bにそれぞれ第2張り出し部34Bを形成するようにしてもよいし、反対に、第2パッド部16Bへの第2張り出し部34Bの形成を省略し、第1パッド部16Aの各第1長辺部32Aにそれぞれ第1張り出し部34Aを形成するようにしてもよい。
【0059】
次に、第1導電パターン20Aや第2導電パターン20Bを形成する方法としては、例えば第1透明基体12A上及び第2透明基体12B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0060】
一方、図6Bに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電パターン20Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電パターン20Bを形成する場合、通常の製法に則って、最初に一主面を露光し、その後に、他主面を露光する方法を採用すると、所望の第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを得ることができない場合がある。特に、第1ダミーパターン22A、第2ダミーパターン22B、第1連結部26A、第2連結部26B、第1張り出し部34A、第2張り出し部34B等を均一に形成することは困難性が伴う。
【0061】
そこで、以下に示す製造方法を好ましく採用することができる。
すなわち、第1透明基体12Aの両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層に対して一括露光を行って、第1透明基体12Aの一主面に第1導電パターン20Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電パターン20Bを形成する。
【0062】
この製造方法の具体例を、図10〜図12を参照しながら説明する。
先ず、図10のステップS1において、長尺の感光材料140を作製する。感光材料140は、図11Aに示すように、第1透明基体12Aと、該第1透明基体12Aの一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層142aという)と、第1透明基体12Aの他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層142bという)とを有する。
【0063】
図10のステップS2において、感光材料140を露光する。この露光処理では、第1感光層142aに対し、第1透明基体12Aに向かって光を照射して第1感光層142aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層142bに対し、第1透明基体12Aに向かって光を照射して第2感光層142bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図11Bの例では、長尺の感光材料140を一方向に搬送しながら、第1感光層142aに第1光144a(平行光)を第1フォトマスク146aを介して照射すると共に、第2感光層142bに第2光144b(平行光)を第2フォトマスク146bを介して照射する。第1光144aは、第1光源148aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ150aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光144bは、第2光源148bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ150bにて平行光に変換されることにより得られる。図11Bの例では、2つの光源(第1光源148a及び第2光源148b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光144a及び第2光144bとして第1感光層142a及び第2感光層142bに照射してもよい。
【0064】
そして、図10のステップS3において、露光後の感光材料140を現像処理することで、図6Bに示すように、積層導電性フイルム50が作製される。積層導電性フイルム50は、第1透明基体12Aと、該第1透明基体12Aの一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1導電部14A(第1導電パターン20A等)と、第1透明基体12Aの他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2導電部14B(第2導電パターン20B等)とを有する。なお、第1感光層142a及び第2感光層142bの露光時間及び現像時間は、第1光源148a及び第2光源148bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。
【0065】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図12に示すように、第1感光層142a上に第1フォトマスク146aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク146aに対向して配置された第1光源148aから第1フォトマスク146aに向かって第1光144aを照射することで、第1感光層142aを露光する。第1フォトマスク146aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン152a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層142aのうち、第1フォトマスク146aに形成された第1露光パターン152aに沿った部分が露光される。第1感光層142aと第1フォトマスク146aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0066】
同様に、第2露光処理は、第2感光層142b上に第2フォトマスク146bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク146bに対向して配置された第2光源148bから第2フォトマスク146bに向かって第2光144bを照射することで、第2感光層142bを露光する。第2フォトマスク146bは、第1フォトマスク146aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン152b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層142bのうち、第2フォトマスク146bに形成された第2露光パターン152bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層142bと第2フォトマスク146bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0067】
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源148aからの第1光144aの出射タイミングと、第2光源148bからの第2光144bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層142a及び第2感光層142bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0068】
ところで、第1感光層142a及び第2感光層142bが共に分光増感されていない場合、感光材料140に対して両側から露光すると、片側からの露光がもう片側(裏側)の画像形成に影響を及ぼすこととなる。
【0069】
すなわち、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第1感光層142a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として第1透明基体12Aを透過し、その一部が第2感光層142bにまで達する。そうすると、第2感光層142bと第1透明基体12Aとの境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像が形成される。そのため、第2感光層142bでは、第2光源148bからの第2光144bによる露光と第1光源148aからの第1光144aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にて積層導電性フイルム50とした場合に、第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部14B)に加えて、該導電パターン間に第1光源148aからの第1光144aによる薄い導電層が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン152bに沿ったパターン)を得ることができない。これは、第1感光層142aにおいても同様である。
【0070】
これを回避するため、鋭意検討した結果、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを特定の範囲に設定したり、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を規定することで、ハロゲン化銀自身が光を吸収し、裏面へ光透過を制限できることが判明した。本実施の形態では、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを1μm以上、4μm以下に設定することができる。上限値は好ましくは2.5μmである。また、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を5〜20g/mに規定した。
【0071】
上述した両面密着の露光方式では、フイルム表面に付着した塵埃等で露光阻害による画像欠陥が問題となる。塵埃付着防止として、フイルムに導電性物質を塗布することが知られているが、金属酸化物等は処理後も残存し、最終製品の透明性を損ない、また、導電性高分子は保存性等に問題がある。そこで、鋭意検討した結果、バインダーを減量したハロゲン化銀により帯電防止に必要な導電性が得られることがわかり、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダーの体積比を規定した。すなわち、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダー体積比は1/1以上であり、好ましくは、2/1以上である。
【0072】
上述のように、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を設定、規定することで、図12に示すように、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第2感光層142bまで達しなくなり、同様に、第2感光層142bに到達した第2光源148bからの第2光144bは、第1感光層142aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にて積層導電性フイルム50とした場合に、図6Bに示すように、第1透明基体12Aの一方の主面には第1露光パターン152aによる導電パターン(第1導電部14Aを構成するパターン)のみが形成され、第1透明基体12Aの他方の主面には第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部14Bを構成するパターン)のみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
【0073】
このように、上述の両面一括露光を用いた製造方法においては、導電性と両面露光の適性を両立させた第1感光層142a及び第2感光層142bを得ることができ、また、1つの第1透明基体12Aへの露光処理によって、第1透明基体12Aの両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、これにより、タッチパネル100の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル100の薄型化(低背化)を図ることができる。
【0074】
上述の例は、感光性ハロゲン化銀乳剤層を用いて第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成する製造方法であるが、その他の製造方法としては、以下のような製造方法がある。
すなわち、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを形成するようにしてもよい。
第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0075】
次に、本実施の形態に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bにおいて、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bの製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0076】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0077】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0078】
ここで、本実施の形態に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bの各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[第1透明基体12A、第2透明基体12B]
第1透明基体12A及び第2透明基体12Bとしては、プラスチックフイルム、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
第1透明基体12A及び第2透明基体12Bとしては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。積層導電性フイルム50に使用される第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bのような導電性フイルムは透明性が要求されるため、第1透明基体12A及び第2透明基体12Bの透明度は高いことが好ましい。
【0079】
[銀塩乳剤層]
第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bの導電層(第1パッド部16A、第1接続部18A、第2パッド部16B、第2接続部18B、格子28等の導電部)となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/mが好ましく、1〜25g/mがより好ましく、5〜20g/mがさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、積層導電性フイルム50とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0080】
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する積層導電性フイルム50を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0081】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0082】
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
【0083】
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。本実施の形態において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する銀塩乳剤層上に形成される。その厚みは0.5μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
次に、第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bの作製方法の各工程について説明する。
【0084】
[露光]
本実施の形態では、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、第1導電パターン20A及び第2導電パターン20Bを露光と現像等によって形成する。すなわち、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0085】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25℃〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材料の処理量に対して600ml/m以下が好ましく、500ml/m以下がさらに好ましく、300ml/m以下が特に好ましい。
【0086】
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
以上の工程を経て導電性フイルムは得られるが、得られた導電性フイルムの表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。前記下限値は、1オーム/sq.であることが好ましく、10オーム/sq.であることがさらに好ましい。前記上限値は、70オーム/sq.であることが好ましく、50オーム/sq.であることがさらに好ましい。また、現像処理後の導電性フイルムに対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0087】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0088】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
【0089】
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部の線幅(金属細線の線幅)は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネルに使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネルに使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。格子28の一辺の長さは100μm以上400μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは150μm以上300μm以下、最も好ましくは210μm以上250μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、第1パッド部16A、第1接続部18A、第2パッド部16B、第2接続部18B、格子28等の導電部を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅15μm、ピッチ300μmの正方形の格子状の開口率は、90%である。
【0090】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bのうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、第1透明基体12A及び第2透明基体12Bの光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0091】
[第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10B]
本実施の形態に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bにおける第1透明基体12A及び第2透明基体12Bの厚さは、5〜350μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
【0092】
第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に設けられる金属銀部の厚さは、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
【0093】
導電性金属部の厚さは、タッチパネルの用途としては、薄いほど表示パネルの視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
【0094】
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る第1導電性フイルム10Aや第2導電性フイルム10Bの製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る第1導電性フイルム10Aや第2導電性フイルム10Bの製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0095】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号公報に記載のものを挙げることができる。
本実施の形態に係る導電性フイルム10A、10Bには、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
【0096】
[カレンダー処理]
現像処理済みの金属銀部にカレンダー処理を施して平滑化するようにしてもよい。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。カレンダー処理は、カレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm、面圧に換算すると699.4kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0097】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【実施例】
【0100】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1〜8、参考例1及び2に係る積層導電性フイルムについて、表面抵抗及び透過率を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例1〜8、参考例1及び2の内訳並びに測定結果及び評価結果を表3に示す。
【0101】
<実施例1〜8、参考例1及び2>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはKRhBr及びKIrClを濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNaPdClを添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/mとなるように第1透明基体12A及び第2透明基体12B(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
【0102】
(露光)
露光のパターンは、第1導電性フイルム10Aについては図1及び図3に示すパターンで、第2導電性フイルム10Bについては図7及び図8に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体12A及び第2透明基体12Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0103】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
【0104】
(実施例1)
作製した第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bの導電部(第1導電パターン20A、第2導電パターン20B)の線幅は1μm、格子28の一辺の長さは100μm、パッド部(第1パッド部16A及び第2パッド部16B)の一辺の長さは3mmである。
(実施例2)
導電部の線幅を3μmとし、格子28の一辺の長さを150μmとした点以外は、パッド部の一辺の長さを4mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(実施例3)
導電部の線幅を4μmとし、格子28の一辺の長さを210μmとし、パッド部の一辺の長さを5mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(実施例4)
導電部の線幅を5μmとし、格子28の一辺の長さを250μmとし、パッド部の一辺の長さを5mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(実施例5)
導電部の線幅を8μmとし、格子28の一辺の長さを300μmとし、パッド部の一辺の長さを6mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(実施例6)
導電部の線幅を9μmとし、格子28の一辺の長さを300μmとし、パッド部の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(実施例7)
導電部の線幅を10μmとし、格子28の一辺の長さを300μmとし、パッド部の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(実施例8)
導電部の線幅を15μmとし、格子28の一辺の長さを400μmとし、パッド部の一辺の長さを10mmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
【0105】
(参考例1)
導電部の線幅を0.5μmとし、格子28の一辺の長さを40μmとし、パッド部の一辺の長さを3mmとした点以外は、実施例1と同様にして、参考例1に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
(参考例2)
導電部の線幅を25μmとし、格子28の一辺の長さを500μmとし、パッド部の一辺の長さを12mmとした点以外は、実施例1と同様にして、参考例2に係る第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを作製した。
【0106】
(表面抵抗測定)
検出精度の良否を確認するために、第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bの表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
(透過率の測定)
透明性の良否を確認するために、第1導電性フイルム10A及び第2導電性フイルム10Bを分光光度計を用いて透過率を測定した。
【0107】
(モアレの評価)
実施例1〜8、参考例1及び2について、第2導電性フイルム10B上に第1導電性フイルム10Aを積層して積層導電性フイルム50を作製し、その後、液晶表示装置の表示画面に積層導電性フイルム50を貼り付けてタッチパネル100を構成した。その後、タッチパネル100を回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、液晶表示装置の表示画面から観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。
【0108】
(視認性の評価)
上述のモアレの評価に先立って、タッチパネル100を回転盤に設置し、液晶表示装置を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうか、また、タッチパネル100の第1パッド部16A及び第2パッド部16Bの境界が目立つかどうかを肉眼で確認した。
【0109】
【表3】

【0110】
表3から、参考例1はモアレ及び視認性の評価は共に良好であったが、表面抵抗が1キロオーム/sq.以上であり、導電性が低く、検出感度が不十分になるおそれがある。参考例2は、導電性及び透過率共に良好であったが、モアレが顕在化し、導電部自体が肉眼で認識しやすくなり、視認性が劣化した。
これに対して、実施例1〜8のうち、実施例1〜7は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例8はモアレの評価及び視認性の評価が実施例1〜7よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られる程度であり、表示装置の表示画像が見え難くなるということはなかった。
【0111】
また、上述した実施例1〜8に係る積層導電性フイルム50を用いてそれぞれ投影型静電容量方式のタッチパネルを作製した。指で触れて操作したところ、応答速度が速く、検出感度に優れることがわかった。また2点以上をタッチして操作したところ、同様に良好な結果が得られ、マルチタッチにも対応できることが確認できた。
本発明に係る導電性フイルム及びタッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0112】
10A…第1導電性フイルム 10B…第2導電性フイルム
12A…第1透明基体 12B…第2透明基体
14A…第1導電部 14B…第2導電部
16A…第1パッド部 16B…第2パッド部
18A…第1接続部 18B…第2接続部
20A…第1導電パターン 20B…第2導電パターン
22A…第1ダミーパターン 22B…第2ダミーパターン
26A…第1連結部 26B…第2連結部
28…格子 30…導線
32A…第1長辺部 32B…第2長辺部
34A…第1張り出し部 34B…第2張り出し部
50…積層導電性フイルム 100…タッチパネル
102…センサ本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
前記導電部は、複数のパッド部がそれぞれ接続部を介して接続された金属細線による2以上の導電パターンを有し、
各前記パッド部は、一方の接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する連結部とを有し、
前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、
前記連結部が複数の導線にて構成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部の各周縁は、それぞれ前記格子の頂点を山又は谷とする凹凸形状とされていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記連結部を構成する複数の前記導線がそれぞれ直線状に形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項4】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記導電パターン間に、前記導電パターンと非接続とされた金属細線によるダミーパターンが形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項5】
請求項4記載の導電性フイルムにおいて、
前記ダミーパターンは、一方の前記導電パターンにおける接続部と他方の前記導電パターンにおける接続部との間に配置されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項6】
請求項1記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部の各周縁は、
前記格子の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の長辺部と、
少なくとも1つの長辺部から直交して延びる金属細線による張り出し部とを有することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項7】
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、複数の第1パッド部がそれぞれ第1接続部を介して接続された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、
前記第1導電部は、複数の第2パッド部がそれぞれ第2接続部を介して接続された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、
各前記第1パッド部は、一方の第1接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の第1接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する第1連結部とを有し、
各前記第2パッド部は、一方の第2接続部から延びる第3渦巻き部と、他方の第2接続部から延びる第4渦巻き部と、前記第3渦巻き部と前記第4渦巻き部とを連結する第2連結部とを有し、
前記第1渦巻き部〜前記第4渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、
前記第1連結部及び前記第2連結部が複数の導線にて構成され、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1連結部と前記第2連結部とが略直交するように配置されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項8】
請求項7記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1渦巻き部〜前記第4渦巻き部の各周縁は、それぞれ前記格子の頂点を山又は谷とする凹凸形状とされていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項9】
請求項7記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、隣接する前記第1導電パターン間に前記第2接続部が位置し、隣接する前記第2導電パターン間に前記第1接続部が位置するように配置されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項10】
請求項7記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1導電パターンにおける前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部との間に、前記第2導電パターンにおける前記第3渦巻き部又は前記第4渦巻き部が位置し、前記第2導電パターンにおける前記第3渦巻き部と前記第4渦巻き部との間に、前記第1導電パターンにおける前記第1渦巻き部又は前記第2渦巻き部が位置するように配置されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項11】
請求項7記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1導電パターン間に、前記第1導電パターンと非接続とされた金属細線による第1ダミーパターンが形成され、
前記第2導電パターン間に、前記第2導電パターンと非接続とされた金属細線による第2ダミーパターンが形成されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項12】
請求項11記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1ダミーパターンは、一方の前記第1導電パターンにおける前記第1接続部と他方の前記第1導電パターンにおける前記第1接続部との間に配置され、
前記第2ダミーパターンは、一方の前記第2導電パターンにおける前記第2接続部と他方の前記第2導電パターンにおける前記第2接続部との間に配置されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項13】
請求項12記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1ダミーパターン間に前記第2接続部が位置し、前記第2ダミーパターン間に前記第1接続部が位置するように配置されていることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項14】
請求項7記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1導電パターンの前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部を構成する前記格子の数が前記第2導電パターンの前記第3渦巻き部及び前記第4渦巻き部を構成する前記格子の数よりも少ないことを特徴とする導電性フイルム。
【請求項15】
請求項7記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1渦巻き部及び前記第2渦巻き部の各周縁は、
前記格子の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の第1長辺部と、
少なくとも1つの第1長辺部から直交して延びる金属細線による第1張り出し部とを有し、
前記第3渦巻き部及び前記第4渦巻き部の各周縁は、
前記格子の一辺が連続して直線的に並ぶ2以上の第2長辺部と、
少なくとも1つの第2長辺部から直交して延びる金属細線による第2張り出し部とを有することを特徴とする導電性フイルム。
【請求項16】
請求項15記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1張り出し部が形成された前記第1長辺部と、前記第2張り出し部が形成されていない前記第2長辺部とが対向していることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項17】
請求項15又は16記載の導電性フイルムにおいて、
前記第1張り出し部が形成されていない前記第1長辺部と、前記第2張り出し部が形成された前記第2長辺部とが対向していることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の導電性フイルムにおいて、
各前記格子の一辺の長さが100〜400μmであることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の導電性フイルムにおいて、
各前記格子の線幅が1〜15μmであることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項20】
表示装置の表示パネル上に設置された導電性フイルムを備えるタッチパネルであって、
前記導電性フイルムは、
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された導電部とを有し、
前記導電部は、複数のパッド部がそれぞれ接続部を介して接続された金属細線による2以上の導電パターンを有し、
各前記パッド部は、一方の接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する連結部とを有し、
前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、
前記連結部が複数の導線にて構成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項21】
表示装置の表示パネル上に設置された導電性フイルムを備えるタッチパネルであって、
前記導電性フイルムは、
基体と、
前記基体の一方の主面に形成された第1導電部と、
前記基体の他方の主面に形成された第2導電部とを有し、
前記第1導電部は、複数の第1パッド部がそれぞれ第1接続部を介して接続された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、
前記第1導電部は、複数の第2パッド部がそれぞれ第2接続部を介して接続された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、
各前記第1パッド部は、一方の第1接続部から延びる第1渦巻き部と、他方の第1接続部から延びる第2渦巻き部と、前記第1渦巻き部と前記第2渦巻き部とを連結する第1連結部とを有し、
各前記第2パッド部は、一方の第2接続部から延びる第3渦巻き部と、他方の第2接続部から延びる第4渦巻き部と、前記第3渦巻き部と前記第4渦巻き部とを連結する第2連結部とを有し、
前記第1渦巻き部〜前記第4渦巻き部とがそれぞれ複数の格子が組み合わされて構成され、
前記第1連結部及び前記第2連結部が複数の導線にて構成され、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンは、前記第1連結部と前記第2連結部とが略直交するように配置されていることを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−91298(P2013−91298A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235997(P2011−235997)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】