説明

導電性ペースト組成物およびプリント配線板

【課題】1回の塗布作業で十分な厚さの塗布膜を形成させることが可能な導電性ペースト組成物の提供。従来より少ない塗布回数でも十分な高さのバンプを形成させることができる。
【解決手段】バインダ樹脂、導電性粉末および硬化剤を含有する導電性ペースト組成物であって、前記導電性粉末が、平均粒径0.5〜10μmのものであり、かつ粒径40〜150μmの導電性粉末の存在比率が導電性粉末の全量に対し300ppm以下であることを特徴とする導電性ペースト組成物、およびこの導電性ペースト組成物を用いたプリント配線板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な導電性ペースト組成物およびプリント配線板に関するものである。好ましくは、本発明は、多層プリント配線板の層間接続に用いられる電極バンプの形成に特に適した導電性組成物およびそれを用いたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導電性ペースト組成物は、エレクトロニクス分野において、IC回路用、導電性接着剤、電磁波シールド等多くの用途に使用されている。特に最近では、少なくとも一方の面の所定位置に導電性ペーストで作った円錐状導電バンプが設けられた第一の基板と、少なくとも一方の面に配線パターンが設けられた第二の基板とを、前記導電バンプが設けられた面および前記配線パターンが設けられた面を内側にして対向させ、前記第一の基板と前記第二の基板との間に絶縁体層を配置して積層体を構成し、該積層体を積層プレスすることにより絶縁体層の厚さ方向に前記バンプを貫通させて導電配線部を形成するプリント配線板の製造方法が提案されている(特開平6−350258号公報)。
【0003】
また、プリプレグ貫通性が良好、且つ貫通時およびプレス時に割れ欠けを発生せず、更に貫通後のバンプと配線パターンとの接着力が大きいバンプを作成でき、貫通型の導電配線部を有するプリント配線板製造において、歩留まりが高く接続信頼性が良好である導電性ペ−ストの提供として、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、導電粉末および溶剤を含有してなる導電性ペーストであって、該エポキシ樹脂の軟化点が80℃以上、130℃以下であるプリント配線板層間接続用導電性ペースト組成物が提案されている(特開2002−270033号公報)。
【0004】
また、高い硬度、割れ、配線パターンとの接続不良のないバンプを形成することのできるプリント配線板層間接続用接着性ペースト組成物を提供すべく、少なくともメラミン樹脂、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のいずれか一つから選ばれる樹脂と導電粉末および180℃以上の沸点である2価アルコールおよび(または)3価アルコールを含むことを特徴とするプリント配線板層間接続用導電性ペースト組成物を用いることが提案されている(特開2003−77337号公報)。
【0005】
また、特許第3588400号公報により、スクリーン印刷後に装置、治具および容器を水で洗浄できる熱硬化性の導電性樹脂組成物の提供する例として、水溶性の熱硬化性樹脂、導電性粒子、2価アルコールを含むことを特徴とする導電性樹脂組成物が知られている。
【0006】
特開平9−286924号公報により、特許第3588400号と同様に、印刷後のスクリーン版等を水で洗浄できる導電性樹脂組成物として、水溶性の熱可塑性樹脂、平均粒径0.05〜50μmの導電性粒子、2価アルコールを含むものが知られている。
【0007】
特開2001−11388号公報により、印刷に用いた版を水で洗浄することができる水溶性樹脂、グリコール類を含む積層コンデンサ用電極ペースト組成物が知られている。
【0008】
特開2003−331648号公報および特開2004−265826号公報により、低温で焼成できる金属ペーストとして、周期律表3族〜15族金属の有機金属化合物とアルコール化合物、好ましくは、グリコール類を含む金属ペーストが知られている。
【特許文献1】特開平6−350258号公報
【特許文献2】特開2002−270033号公報
【特許文献3】特開2003−77337号公報
【特許文献4】特許第3588400号公報
【特許文献5】特開平9−286924号公報
【特許文献6】特開2001−11388号公報
【特許文献7】特開2003−331648号公報
【特許文献8】特開2004−265826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エレクトニクス回路等の配線パターンの高精密化によって、より細い配線をより精密かつ確実に形成することが求められている。
【0010】
細い配線を精密に形成させるためには、それに対応して孔径が小さいスクリーン版を用いる必要がある。しかし、従来の導電性ペースト組成物では、そのような孔径が小さいスクリーン版を用いた場合その孔径が目詰まりしやすくて、良好な配線パターンを形成させることが難しかった。そして、良好な配線パターンを形成させるには、スクリーンメッシュの交換あるいは洗浄を頻繁に行う必要があって、生産性を向上させることも困難であった。通常、導電性ペースト組成物に用いられる導電性粉末は、その製造過程においてボールミル等で粉砕したり、鱗ペン状のものを作成したりしているため、製造される導電性粉末の粒径ないし特性をコントロールするのが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に解決を与えようとするものである。
【0012】
したがって、本発明による導電性ペースト組成物は、バインダ樹脂、導電性粉末および硬化剤を含有する導電性組成物であって、前記導電性粉末が、平均粒径0.5〜10μmのものであり、かつ粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が導電性粉末の全量に対し300ppm以下であることを特徴とするもの、である。
【0013】
このような本発明による導電性ペースト組成物は、好ましい態様として、前記導電性粉末が鱗ペン状の導電性粉末を30〜60重量%含有するもの、を包含する。
【0014】
そして、本発明によるプリント配線板は、上記の導電性ペースト組成物を用いたことを特徴とするもの、である。
【発明の効果】
【0015】
本発明による導電性ペースト組成物は、バインダ樹脂、導電性粉末および硬化剤を含有する導電性ペースト組成物であって、前記導電性粉末が、平均粒径0.5〜10μmのものであり、かつ粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が導電性粉末の全量に対し300ppm以下であることから、印刷時におけるスクリーンメッシュの目詰まりが少なく、精密かつ明瞭に導電性ペースト組成物による印刷パターンを形成させることができる。 したがって、本発明による導電性ペースト組成物は、細い配線を精密かつ確実に形成することが求められる、高精度配線パターンの形成に特に適したものである。
【0016】
そして、スクリーンメッシュの交換あるいは洗浄の回数ないし作業を低減できるので、生産性を著しく向上させることができる。
【0017】
また、本発明の導電性ペースト組成物は、スクリーンメッシュの孔径が小さい場合であっても、1回の塗布作業で十分な厚さの塗布膜を形成させることが可能である。したがって、少ない塗布回数でも十分な高さのバンプを形成させることができる。
【0018】
よって、導電性組成物の重ね刷りの回数を削減することができ、生産性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<導電性ペースト組成物>
本発明による導電性ペースト組成物は、バインダ樹脂、導電性粉末および硬化剤を含有するものである。ここで、「含有する」とは、上記の必須成分(即ち、バインダ樹脂、導電性粉末および硬化剤)以外の他の成分が共存する導電性ペースト組成物を排除しない。すなわち、本発明による導電性組成物は、上記必須成分のみからなる導電性組成物、および、上記必須成分とこれらの必須成分以外の他の成分を含んでなる導電性組成物の両者を包含する。また、上記おいて、「導電性」とは、体積抵抗値が少なくとも1×10−3cm・Ω以下であることを意味する。
【0020】
本発明による導電性ペースト組成物は、特に粘度が50〜600Pa・s、特に150〜500Pa・s、であるものが好ましい。なお、この粘度は、マルコム社製スパイラル粘度計で10rpm/min、25℃で測定したときのものである。
【0021】
そして、本発明による導電性ペースト組成物は、チクソ指数が0.1〜1.5、特に0.4〜1.0、であるものが好ましい。なお、このチクソ指数は、マルコム社製スパイラル粘度計で10rpm/min、5rpm/min、25℃で測定した導電性ペーストの粘度より、チクソ指数計算式log(5rpm時の粘度値/10rpm時の粘度値)/log〔10(rpm)/5(rpm)〕で算出したときのものである。チクソ指数は静置すると見掛け粘度が上がり、激しく混合すると見掛け粘度が低下して塗工しやすくなる性質をあらわす一指標である。
【0022】
(1)バインダ樹脂
本発明におけるバインダ樹脂の好ましい具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。これらの各バインダ樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、混合して用いることもできる。
【0023】
エポキシ樹脂
本発明で使用されるエポキシ樹脂としては、(イ)グリシジルエーテル型、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型等の二官能タイプの性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、テトラフェニロールエタン型等の三官能以上の多官能タイプのエポキシ樹脂、(ロ)グリシジルエステル型、(ハ)グリシジルアミン型、(ニ)脂環型のいずれのものを利用することができる。この中でも、ビスフェノールA型とフェノールノボラック型またはオルソクレゾールノボラック型との混合物が特に好ましい。
【0024】
メラミン樹脂
本発明で使用されるメラミン樹脂としては、メチロールメラミン、エーテル化メラミン樹脂またはアルキル化メラミン樹脂のいずれでも使用することができる。この中では、アルキル化メラミン樹脂が好ましく、特にメチル化メラミン樹脂が好ましい。
【0025】
ポリエステル樹脂
本発明で使用されるポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステルおよびアルキド樹脂のいずれも使用することができる。この中では、不飽和ポリエステルが特に好ましい。
【0026】
シリコーン樹脂
本発明で使用されるシリコーン樹脂としては、メチルシリコーン樹脂およびメチルフェニルシリコーン樹脂が好ましい。本発明では、メチルフェニルシリコーン樹脂が特に好ましい。
【0027】
フェノール樹脂
本発明で使用されるフェノール樹脂としては、ノボラック型およびレゾール型のいずれのものを利用することができ、特にフェノール、クレゾール、キシレノール、ポリパラビニルフェノール、p−アルキルフェノール、クロルフェノール、ビスフェノールA、フェノールスルホン酸、レゾルシン等のフェノール性水酸基を有するものにホルマリン、フルフラール等のアルデヒド類を付加、縮合した樹脂等を好ましい樹脂として挙げることができる。この中でも特にポリパラビニルフェノールが好ましい。
【0028】
(2)導電性粉末
本発明で使用される導電性粉末としては、各種の導電性微粉末、例えば銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉、白金粉、パラジウム粉、半田粉、前記金属の合金粉末等の金属粉末等を使用することができる。これらの導電性粉末は二種以上併用することもできる。また、金属以外の導電性粉末、例えばカーボン粉末、を使用することもできる。導電性粉末は、表面処理されたものであってもよい。
【0029】
ただし、本発明における導電性粉末は、平均粒径0.5〜10μmのものであり、かつ粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が導電性粉末の全量に対し300ppm以下のものであることが必要である。上記の各要件の全てが満たされない場合には、本発明の目的および効果を達成することができない。
【0030】
特に、導電性粉末の平均粒径が0.5μm未満である場合には、抵抗値が上昇し必要な導電性が得られない。一方、平均粒径が10μm超過の場合には、印刷時に版(メッシュ)の目詰まりが頻繁におこることから好ましくない。本発明の導電性粉末は、好ましくは平均粒径1〜8μmのもの、特に好ましくは平均粒径2〜5μmのもの、である。なお、本発明における平均粒径は、レーザー回折/錯乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製、「LA−910」)を使用して、導電性粉末を酢酸エチル中に分散させたサンプルについて、セル内の攪拌を行いつつその粒度を測定したときのものである。
【0031】
また、粒径40〜150μmの導電性粉末の存在比率が300ppmを越える場合には、印刷時に版の詰まりがおこることから好ましくない。本発明では、上記の存在比率が、好ましくは200ppm以下、特に好ましくは100ppm以下、のものである。
【0032】
本発明において使用する上記要件を満足する導電性粉末の得る方法は任意であるが、本発明では、導電性粉末を所定の大きさの開口部を有する篩いによって篩い分けする方法が好ましい。
【0033】
例えば、(イ)粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が、300ppm以下の導電性粉末は、開口部の大きさが40μm以下の篩いを用いることによって、
(ロ)粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が、200ppm以下の導電性粉末は、開口部の大きさが25μm以下の篩いを用いることによって、
(ハ)粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が、100ppm以下の導電性粉末は、開口部の大きさが15μm以下の篩いを用いることによって、容易に得ることができる。なお、本発明の導電性粉末を得る際には、開口部の大きさが異なる複数種の篩いを用いることができる。また、同一または異なる篩いによって複数回数篩い分けることもできる。
【0034】
導電性粉末の形態は、本発明の目的に反しない限り任意である。本発明では、例えば樹枝状、鱗ペン状、球状、フレーク状の形態のものおよびこれらが混在したもの、を用いることができる。本発明では、鱗ペン状の導電性粉末を30〜60重量%含有するものが特に好ましい。鱗ペン状の粉末を加えることにより、導電性粒子の接触面積が増加して抵抗値が低下する。
【0035】
(3)硬化剤
硬化剤の種類は、例えばバインダ樹脂として用いられる樹脂の種類や特性、硬化剤の反応性、その作用効果等を考慮して適宜定めることができる。
【0036】
例えば、バインダ樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂用硬化剤として従来公知の硬化剤、例えば(イ)多価フェノール類、例えばカテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノール、フェノールノボラック類、クレゾールノボラツク類、ビスフェノールAノボラツク類等の2価フェノールのノボラック化物類、トリスヒドロキシフェニルメタン類、アラルキルポリフェノール類、ジシクロペンタジエンポリフェノール類等、(ロ)イミダゾール類、例えば2‐メチルイミダゾール、2‐ウンデシルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール、1,2‐ジメチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐フェニルメチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミダゾール、2‐フェニル‐4,5‐ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール、(ハ)アミン類、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、N−アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m−キシリレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5,5]ウンデカン等、(ニ)ポリアミド類、例えばメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−7、その他として、3級アミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリフェニルホスフィン(TPP)、ホスホニウム塩、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、N,N‐ジメチル尿素誘導体等を挙げることができる。この中では、イミダゾール類およびジシアンアミドが好ましく、特に2‐フェニル‐4,5‐ジヒドロキシジメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール、ジシアンジアミドが好ましい。例えば、バインダ樹脂としてメラミン樹脂を用いる場合には、メラミン樹脂用硬化剤として従来公知の硬化剤であるフェノール類、例えばポリパララビニルフェノールが好ましい。
【0037】
(4)上記以外の成分(任意成分)
本発明による導電性ペースト組成物は、必要に応じて各種の成分を含むことができる。そのような必要に応じて含むことが可能な成分の具体例としては、次のような溶剤や、顔料、チクソトロピー付与剤、消泡剤、分散剤、防錆剤、還元剤、界面活性剤、および、前記フェノール樹脂および(または)メラミン樹脂と混和可能な他の樹脂成分(例えば、アクリル樹脂)等を挙げることができる。
【0038】
溶剤
本発明で使用される溶剤としては、例えば前記のバインダ樹脂、導電性粉末、硬化剤とともにペースト組成物を形成可能な各種の有機溶剤を用いることができる。そのような有機溶剤の好ましい具体例としては、例えばブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、イソプロパノール、ブタノール、テルピネオール、チキサノール、ブチルセロソルブアセテート、イソホロンの単独またはこれらの混合溶剤を挙げることができる。
【0039】
上記の溶剤には、必要に応じて、エーテル結合を有する2価のアルコールを配合することができる。本発明では、エーテル結合を有する2価のアルコールの中でも、分子構造にエチレンジオキシ部分を持つ2価のアルコールが好ましく、特に両端にヒドロキシ基を持つ2価のアルコールが特に好ましい。そのような好ましい化合物の具体例としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコールおよびヘキサエチレングリコールを挙げることができる。この中でも、特にトリエチレングリコールが好ましい。本発明では、これらのエーテル結合を有する2価のアルコールから選ばれた1種類を単独で用いることができ、また二種類以上を併用することもできる。エーテル結合を有する2価のアルコールの配合割合は、溶剤の全量に対して0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜40質量%、更に好ましくは1〜30質量%、である。
【0040】
顔料
本発明による導電性ペースト組成物は、必要に応じて各種の有機または無機の顔料を含有することができ、そのような顔料によって導電性ペースト組成物の塗膜補強、機能付加、作業性改良、着色および増量等を図ることが可能になる。
【0041】
本発明では特に体質顔料、例えばマイクロシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等を単独またはこれらに混合物を用いることができる。
【0042】
(6)配合割合
本発明の導電性ペースト組成物における各成分の配合比率は、下記の通りである。
バインダ樹脂の配合比率は、導電性ペースト組成物(100質量部)に対して、1〜30質量部、好ましくは3〜20質量部、である
導電性粉末の配合比率は、導電性ペースト組成物(100質量部)に対して、60〜95質量部、好ましくは70〜90質量部、である。
【0043】
硬化剤の配合比率は、バインダ樹脂としてメラミン樹脂を使用する場合には、バインダ樹脂(100質量部)に対して、50〜150質量部、好ましくは70〜130質量部、特に好ましくは80〜120質量部、である。また、バインダ樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、バインダ樹脂(100質量部)に対して、1〜60質量部、好ましくは5〜50質量部、特に好ましくは10〜40質量部、である。
【0044】
溶剤の配合比率は、導電性ペースト組成物(100質部)に対して、4〜20質量部、好ましくは5〜15質量部、である。
【0045】
体質顔料を配合する場合のその配合量は、導電性ペースト組成物(100質量部)に対して、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部、である。
【0046】
(7)導電性ペースト組成物の利用
本発明による導電性ペースト組成物は、良好な導電性を有するものであり、例えばスクリーン印刷法、メタルマスク印刷法などの公知の印刷法によって基板上に印刷可能なものである。従って、本発明による導電性ペースト組成物は、従来同様に広範な分野において利用可能なものである。
【0047】
特に本発明の効果が顕著に現れるのは、孔径が150μm以下、好ましくは130μm以下、さらに好ましは100μm以下、最も好ましは80μm以下の孔径が小さいスクリーン版を使用して高精度の導電性パターンを形成可能なスクリーン印刷用の導電性ペースト組成物である。
【0048】
<プリント配線板>
本発明によるプリント配線板は、上記の導電性ペースト組成物を用いたことを特徴とするものである。
【0049】
このような本発明によるプリント配線板は、好ましい態様として、上記導電性ペースト組成物から形成されたバンプによって層間の電気的接続がなされたプリント配線板を包含する。
【実施例】
【0050】
<実施例1〜9および比較例1〜3>
下記の各成分を、表3に示される質量割合で配合し、3本ロールで充分に混錬して、導電性ペースト組成物(実施例1〜9および比較例1〜3)を調製した。
各導電性ペースト組成物を、ガラス板上に表2に示されるスクリーン版を用いて1回印刷し、下記評価方法にて評価した。
結果は、表4に示される通りである。
【0051】
A.導電性ペースト組成物
(1)バインダ樹脂1:エポキシ樹脂(ビスフェノールAエポキシ)
バインダ樹脂2:メラミン樹脂(メチル化メラミン)
バインダ樹脂3:エポキシ樹脂(フェノールノボラックエポキシ)
(2)導電性粉末は、銀粉(「SF9」、FERRO社製)を、開口径が異なる四種類の篩によって篩い分けることにより、導電性粉末1〜4(平均粒径2.0〜2.6μm)を得た。
【表1】

(3)硬化剤1:フェノール系硬化剤(ポリパラビニルフェノール)
硬化剤2:イミダゾール系硬化剤(2‐フェニル‐4‐メチル‐5‐ヒドロキシメチルイミダゾール)
硬化剤3:ジシアンジアミド
(4)顔料:マイクロシリカ(平均粒径12nm、親水性シリカ)
(5)溶剤:ブチルジグリコールアセテート(ブチルカルビトールアセテート)
【0052】
B.スクリーン版
【表2】

【0053】
C:評価方法
(1)導電性ペースト組成物の粘度:マルコム社製、スパイラル粘度計(10rpm/min、25℃)
(2)導電性ペースト組成物のチクソ性:スパイラル粘度計で10rpm/min、5rpm/min、25℃で測定した導電性ペーストの粘度より、チクソ指数計算式log(5rpm時の粘度値/10rpm時の粘度値)/log〔10(rpm)/5(rpm)〕で算出したときのものである。
(3)抵抗値:ガラス板上に導電性ペースト組成物を塗布し、温度180℃にて30分間硬化後に体積抵抗値を測定した。抵抗値が5×10−4Ω・cm以下の場合を「良」と判定した。
(4)安定性:スパイラル粘度計によって、調製直後の導電性ペースト組成物の粘度と、2ヶ月間冷蔵保管した後の導電性ペースト組成物の粘度とを測定し、実質的に粘度変化が観測されない場合を「良」と判定した。
(6)バンプ形状:レーザー顕微鏡にて、印刷横部からバンプ形状を確認した。バンプが尖ってなく円錐形のものを「良」と判定した。
(7)バンプ高さ:レーザー顕微鏡にて、印刷横部からバンプ高さ測定した。
(8)吐出不良個数:レーザー顕微鏡にて、印刷上部からバンプ形状を確認した。4000個のバンプのうち円形状でないものの数を吐出不良個数とした。
【表3】

【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダ樹脂、導電性粉末および硬化剤を含有する導電性ペースト組成物であって、
前記導電性粉末が、平均粒径0.5〜10μmのものであり、かつ粒径40〜300μmの導電性粉末の存在比率が導電性粉末の全量に対し300ppm以下であることを特徴とする、導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記導電性粉末が、鱗ペン状の導電性粉末を30〜60質量%含有するものである、請求項1に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の導電性組成物を用いたことを特徴とする、プリント配線板。

【公開番号】特開2008−47487(P2008−47487A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224175(P2006−224175)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】