説明

導電性ポリマーの製法およびそれによって得られた導電性ポリマー

【課題】汎用の有機溶剤に可溶で、導電性に優れるとともに、溶解安定性にも優れた導電性ポリマーの製法を提供する。
【解決手段】下記の(A)および(B)を水もしくは有機溶剤に溶解した溶液を乳化して,(B)のモノマー中に(A)のモノマーに由来するスルホン酸構造を導入した後、この(A)および(B)のモノマーを重合することにより,(B)の重合体に(A)の重合体がドーピングしてなる導電性ポリマーを作製する導電性ポリマーの製法である。
(A)スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方からなるスルホン酸官能基と,ラジカル重合性官能基とを有するモノマー。
(B)アニリン,およびアルキル基またはオキシアルキル基を有するアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ポリマーの製法およびそれによって得られた導電性ポリマーに関するものであり、詳しくは、電気、電子、材料等の諸分野において、高分子材料表面の導電性化や各種絶縁材料の導電性化、もしくは金属材料の表面被覆等に有用な導電性ポリマーの製法およびそれによって得られた導電性ポリマーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール等の芳香族系の導電性高分子は、空気中における安定性に優れ、また合成も容易であることから、その活用が注目されている。例えば、これら導電性高分子の中でも、ポリアニリンは、空気中における安定性に特に優れ、また安価な材料であるため、二次電池の正極材料として実用化されている。
【0003】
しかし、従来、上記ポリアニリン等の芳香族系の導電性高分子は、溶媒に不溶、不融であるため、成形性に劣り、その応用分野は限られていた。このため、溶解性の良好な導電性高分子の実現が求められていた。
【0004】
そこで、本発明者は、界面活性剤構造を持ったアニリンを重合してなるポリアニリンが、水や有機溶剤に可溶であることを突き止め、このポリアニリンについてすでに特許出願をしている(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、本発明者は、さらに研究を続けた結果、上記ポリアニリンは、メチルエチルケトン(MEK)のようなケトン系溶剤や、トルエンのような芳香族系溶剤への分散(溶解)性に対する要求に充分に応えられず、求められるような均一溶液になりにくいということを突き止めた。
【0006】
そこで、本発明者は、これらの問題を解決するため、鋭意研究を続けた結果、界面活性剤構造を有する導電性ポリアニリンの溶液であって、上記界面活性剤構造を形成するために用いられる界面活性剤が、分子構造中に、アルキレンエーテルの繰り返し構造を有する導電性ポリアニリンの溶液により、上記問題を解決できることを突き止め、このような導電性ポリアニリン溶液について、先に特許出願した(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−279584号公報
【特許文献2】特開2003−277500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載の導電性ポリアニリン溶液について、さらに研究を続けた結果、導電性ポリアニリンの溶液を所定時間、例えば、1週間程度放置すると、ポリアニリンの沈殿物が生じる傾向にあることを突き止めた。この沈殿を生じたポリアニリンは、再溶解がやや難しく、したがって、導電性ポリアニリンは、その溶解安定性にやや劣るという傾向がみられる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、汎用の有機溶剤に可溶で、導電性に優れるとともに、溶解安定性にも優れた導電性ポリマーの製法およびそれによって得られた導電性ポリマーの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の導電性ポリマーは、下記の(A)および(B)を水もしくは有機溶剤に溶解した溶液を乳化して,(B)のモノマー中に(A)のモノマーに由来するスルホン酸構造を導入した後、下記の(C)の共存下に(A)および(B)のモノマーを重合することにより,(B)の重合体と(A)の重合体とが絡み合った状態の導電性ポリマーを作製する導電性ポリマーの製法を第1の要旨とする。
(A)スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方からなるスルホン酸官能基と,ラジカル重合性官能基とを有するモノマー。
(B)アニリン,およびアルキル基またはオキシアルキル基を有するアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー。
(C)重合開始剤。
【0010】
また、本発明は、上記導電性ポリマーの製法により得られる導電性ポリマーであって、上記(B)の重合体と(A)の重合体とが絡み合った状態である導電性ポリマーを第2の要旨とする。
【0011】
本発明者らは、汎用の有機溶剤に可溶で、導電性に優れるとともに、溶解安定性にも優れた導電性ポリマーを得ることができる、導電性ポリマー溶液の製法について、先に特許出願した(特願2004−338988)が、この特願2004−338988の内容では、導電性ポリマーを湿熱環境(高湿高温)に長期で放置した場合の電気抵抗の変化はほぼ満足するものの、導電性ポリマーの重合度が低いために収率が悪く、さらに改善の余地があることを突き止めた。そこで、この点を改善するため、鋭意研究を重ねた結果、スルホン酸官能基とラジカル重合性官能基とを有するモノマー(A成分)と,アニリンモノマーもしくはアニリン誘導体モノマー(B成分)とを、水もしくは有機溶剤に溶解した溶液を乳化して,B成分のモノマー構造中に、A成分のモノマーに由来するスルホン酸構造を導入(イオン結合)し、ついで重合開始剤(C成分)の共存下にA成分およびB成分のモノマーをそれぞれ重合することにより,アニリンモノマーもしくはアニリン誘導体モノマー(B成分)の重合体に、スルホン酸官能基とラジカル重合性官能基とを有するモノマー(A成分)の重合体がドーピングしてなる導電性ポリマーを作製でき、収率が高く、湿熱で変化しないという所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明の導電性ポリマーの製法によると、上記アニリンおよびアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー(B成分)構造中に、スルホン酸官能基とラジカル重合性官能基とを有するモノマー(A成分)に由来するスルホン酸構造が導入(ドーピング)される。すなわち、アニリンモノマーもしくはアニリン誘導体モノマー(B成分)の電子供与基部分(例えば、−N+ 3 )と、スルホン酸官能基とラジカル重合性官能基とを有するモノマー(A成分)の電子吸引基であるスルホン酸官能基部分(SO3 - )とがイオン結合し(塩を生成し)、モノマー(B成分)とモノマー(A成分)とが強固に結合(イオン結合)すると考えられる。つぎに、このモノマー(B成分)とモノマー(A成分)とが強固に結合(イオン結合)した状態のものについて、モノマー(B成分)およびモノマー(A成分)のそれぞれの重合を行うため、導電性ポリマーの重合を阻害することなく、モノマー(B成分)の重合体に各モノマー(A成分)がモノマー単位でドーピングされた、強固で密な結合の導電性ポリマーを作製することができる。この導電性ポリマーは、図1に示すように、モノマー(B成分)の重合体1に、モノマー(A成分)の重合体2が絡み合った状態で結合しており、しかも相互に絡み合って重合している部分と、単独で重合している部分とが共存しているため、導電性と溶解性を両立でき、湿熱での劣化が少ない。すなわち、このようにした結果、この導電性ポリマーを湿熱(高湿高温)環境に長期で放置した場合でも、導電性ポリマーの凝集現象が殆どみられず、湿熱環境での電気抵抗の変化が少なく、湿熱環境での安定性にも優れるようになる。また、得られる導電性ポリマーは、高収率を保ち、溶解安定性に優れるとともに、有機溶剤に可溶で、導電性にも優れるようになる。
【0013】
また、上記A成分およびB成分のモノマーの重合工程前に、上記A〜C成分の共存下で、スルホン酸官能基を有さずA成分と共重合可能なラジカル重合性モノマー(D成分)を添加すると、A成分の重合体中にD成分が共重合され、この共重合体がB成分の重合体と分子オーダーで結合するため、相溶性(溶解性)が良好になるとともに、イオン結合がより強固になり、湿熱環境での安定性がより向上する。
【0014】
さらに、上記モノマー(A成分)が、エチレンオキサイドの繰り返し単位およびフェニル基を有すると、重合時の均一性が増すため、A成分の重合体(もしくはA成分とD成分との共重合体)と、B成分の重合体との分子オーダーでの結合が行いやすくなり、相溶性(溶解性)がより良好になる。そのため、導電性組成物中での導電性ポリマーの均一性が増し、電気的な安定性が向上し、また、厚塗りが可能になるとともに、乾燥時間の短縮も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の導電性ポリマーの製法は、下記の(A)および(B)を水もしくは有機溶剤に溶解した溶液を乳化して,(B)のモノマー中に(A)のモノマーに由来するスルホン酸構造を導入した後、下記の(C)の共存下に(A)および(B)のモノマーを重合することにより,(B)の重合体と(A)の重合体とが絡み合った状態の導電性ポリマーを作製するという構成をとる。
(A)スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方からなるスルホン酸官能基と,ラジカル重合性官能基とを有するモノマー。
(B)アニリン,およびアルキル基またはオキシアルキル基を有するアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー。
(C)重合開始剤。
【0017】
本発明では、スルホン酸官能基とラジカル重合性官能基とを有するモノマー(A成分)およびアニリンモノマー等(B成分)の重合に先立って、予めモノマーの状態のまま、B成分のモノマー構造中にA成分のモノマーに由来するスルホン酸構造を導入(ドーピング)した後、これらを重合するのであって、これが最大の特徴である。
【0018】
本発明において、スルホン酸官能基とは、スルホン酸基およびスルホン酸塩基(スルホン酸ナトリウム塩基,スルホン酸カリウム塩基等のスルホン酸金属塩基や、スルホン酸アンモニウム塩基、スルホン酸ピリジウム塩基等)からなる群から選ばれた少なくとも一つの官能基をいう。そして、このスルホン酸官能基は、導入されたモノマー中において、スルホン酸塩として、アンモニウムとなるB成分と塩を形成する。
【0019】
上記スルホン酸官能基とラジカル重合性官能基(ビニル基,アクリロイル基,メタクリロイル基等)とを有するモノマー(A成分)としては、ドーパントとして機能するものであれば特に限定はなく、例えば、スルホン酸官能基を有する脂肪族モノマー、スルホン酸官能基を有する芳香族モノマー等があげられる。また、このモノマー(A成分)は、エチレンオキサイドの繰り返し単位およびフェニル基を有すると、重合時の均一性が増すため好ましい。
【0020】
上記スルホン酸官能基を有する芳香族モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、下記の一般式(1)または(2)で表される化合物,下記の構造式(3)で表されるアクリルモノマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、重合時の均一性の点で、構造式(3)で表されるアクリルスルホン酸モノマーが好適に用いられる。
【0021】
【化1】

【0022】
つぎに、上記スルホン酸官能基を有する脂肪族モノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸類、ヒドロキシアルキル(C2 −C6 )(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物等〕、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2 −C4 )モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物〔例えば、ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル化物等〕、下記の一般式(4)または一般式(5)で表される化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0023】
【化2】

【0024】
また、上記(メタ)アクリルアルキルスルホン酸類としては、例えば、(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(C3 −C18)(メタ)アクリルスルホコハク酸エステル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPSA)、(メタ)アクリルアミド(C1 −C22)アルキルスルホン酸〔例えば、アクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミドドデシルスルホン酸、2−アクリルアミド−2,6−ジメチル−3−ヘプタンスルホン酸およびこれらの部分的または全体的に中和された形態のもの等〕、N−(C1 −C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1 −C22)アルキルスルホン酸〔例えば、ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸およびこれらの部分的または全体的に中和された塩の形態のもの等〕等があげられる。
【0025】
上記特定のモノマー(A成分)は、数平均分子量(Mn)が90〜1500で、かつ、スルホン酸官能基が一分子あたり1〜2個あるものが好ましい。すなわち、上記特定のモノマー(A成分)の数平均分子量(Mn)が90未満であると、スルホン酸基とラジカル重合性官能基を両方持てなくなり、逆に1500を超えると、収率が低下し、B成分との分子レベルのイオン結合が起こりにくくなり、モノマー単位のドーピングが不利となり、長期の湿熱環境での劣化を抑制できなくなる傾向がみられるからである。また、溶剤(水,酸,有機溶剤)への溶解性が低下し、または合成時の増粘により、上記特定のモノマー(B成分)へのスルホン酸構造の導入が行いにくくなるからである。
【0026】
なお、上記数平均分子量の測定は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。
【0027】
つぎに、本発明においては、上記特定のモノマー(A成分)とともに、アニリン,およびアルキル基またはオキシアルキル基を有するアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー(B成分)が用いられる。上記アルキル基を有するアニリン誘導体としては、例えば、オルト位にメチル基を有するメチルアニリン(トルイジン)等があげられ、上記オキシアルキル基を有するアニリン誘導体としては、例えば、メタ位にメトキシ基を有するメトキシアニリン(アニシジン)等があげられる。これらのなかでも、反応性の点から、アニリン、メチルアニリン(トルイジン)、メトキシアニリン(アニシジン)が好適に用いられる。
【0028】
上記特定のモノマー(A成分)と、特定のモノマー(B成分)との混合比(モル比)は、A成分/B成分=1/0.5〜1/20が好ましく、特に好ましくはA成分/B成分=1/5〜1/15である。なお、A成分は、スルホン酸基1つに対する分子量(モル当量)を1モルとして計算する。
【0029】
なお、本発明の導電性ポリマーの製法においては、上記A成分およびB成分とともに、スルホン酸官能基を有さず、A成分と共重合可能なラジカル重合性モノマー(D成分)を用いることも可能である。上記ラジカル重合性モノマー(D成分)としては、例えば、メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,メチルアクリレート,エチルアクリレート,ブチルアクリレート,イソブチルアクリレート,ヒドロキシメタクリレート,アクリルシリコーンマクロモノマー,アクリルフッ素系モノマー,公知のアクリルモノマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なお、D成分とA成分との共重合は、ランダムでもブロックであっても差し支えない。
【0030】
上記特定のモノマー(A成分)および特定のモノマー(D成分)の合計量と、B成分との混合比(モル比)は、(A成分+D成分)/B成分=1/0.5〜1/20が好ましく、特に好ましくは(A成分+D成分)/B成分=1/0.5〜1/15である。なお、A成分は、スルホン酸基1つに対する分子量(モル当量)を1モルとして計算する。
【0031】
また、特定のモノマー(A成分)と、特定のモノマー(D成分)との混合比(モル比)はA成分/D成分=1/0.5〜1/40が好ましく、特に好ましくはA成分/D成分=1/3〜1/20である。なお、A成分は、スルホン酸基1つに対する分子量(モル当量)を1モルとして計算する。
【0032】
本発明の導電性ポリマーの製法について、具体的に説明する。すなわち、スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方からなるスルホン酸官能基と,ラジカル重合性官能基とを有するモノマー(A成分)と、(B)アニリンおよびアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー(B成分)とを、予め水のみまたは、必要に応じて有機溶剤や酸を加えた水に溶解し、ついで必要に応じて上記ラジカル重合性モノマー(D成分)と有機溶剤とを添加し溶解した後、所定温度(好ましくは、−10〜30℃)に調節する。つぎに、この溶液を所定温度(好ましくは、2〜10℃)に保ちながら攪拌して乳化して、上記特定のモノマー(B成分)中に、上記特定のモノマー(A成分)に由来するスルホン酸構造を導入(ドーピング)する。つぎに、重合開始剤(C成分)を所定量加え、所定時間(好ましくは、10〜25時間)重合反応を行うことにより、導電性ポリマー溶液を得ることができる。そして、上記導電性ポリマー溶液に、水やメタノール等の貧溶剤を加えて、未反応物、重合開始剤(C成分)や、その分解物等を取り除き(洗浄)、高純度な導電性ポリマーを得た後、これを芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤等の溶剤に溶解させ、静置または遠心分離し、吸引濾過して不溶分を取り出すことにより精製すると、凝集不純物の殆どない均一な導電性ポリマーを得ることができる。この導電性ポリマーは、前述したように、モノマー(B成分)の重合体1に、モノマー(A成分)の重合体2が絡み合った状態で結合している(図1参照)。
【0033】
上記重合開始剤(C成分)としては、例えば、過硫酸アンモニウム,過硫酸カリウム等の化学酸化剤、過酸化水素水や過酸化ベンゾイル等の過酸化物、クロラニル等のベンゾキノン、塩化第二鉄等の公知の酸化剤を用いることが可能である。
【0034】
上記重合開始剤(C成分)の添加量は、アニリンまたはアニリン誘導体等のモノマー(B成分)のモル量(合計)1molに対して0.1〜3molが好ましく、特に好ましくは0.8〜1.2molである。
【0035】
また、上記酸としては、アレニウス,ブレンステッド・ローリー,ルイスの定義で用いられるものであれば制限はないが、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、ホウ素化合物、クロラニル(テトラクロロ−p−ベンゾキノン)等のp−ベンゾキノン構造をもった化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0036】
上記酸の濃度は、A成分がスルホン酸塩構造の場合、B成分と塩を形成するために、0.3〜3.0Nが好ましく、特に好ましくは0.5〜2.0Nである。すなわち、上記酸の濃度が0.3N未満であれば、上記モノマー(B成分)へのスルホン酸構造の導入が困難となる傾向がみられ、逆に3.0Nを超えると、重合時に上記モノマー(A成分)の分解や、導電性ポリマーとしての高分子量化が困難になる傾向がみられるからである。
【0037】
また、上記酸の混合割合は、上記モノマー(B成分)の1モルに対して、1.0〜30.0モルが好ましく、特に好ましくは5.0〜25.0モルである。混合の方法は、重合前に酸の全量をモノマーと混合してもよいし、酸を分割し重合の進行段階に応じて混合してもよい。また、ラジカルをモノマー中、オリゴマー中に効率的に発生させ重合するために、窒素雰囲気等にすることによって、酸素の存在をできるだけ少なくすることが望ましい。
【0038】
また、上記有機溶剤は、溶解性パラメーター(SP値)が8.0〜10.0である溶剤を主成分とするものが好ましい。
【0039】
ここで、溶解性パラメーター(SP値)とは、溶解度係数(solubility parameter)と同義であり、液体間の混合性の尺度となる液体の特性値である。このSP値をδ、液体の分子凝集エネルギーをE、分子容をVとすると、δ=(E/V)1/2 で表される。
【0040】
上記溶解性パラメーター(SP値)が8.0〜10.0である有機溶剤としては、例えば、トルエン(SP値: 8.9)、キシレン(SP値: 8.8)等の芳香族系溶剤や、MEK(SP値:9.3)、アセトン(SP値:10)、メチルイソブチルケトン(SP値:8.4)、シクロヘキサノン(SP値:9.9)等ケトン系溶剤や、酢酸エチル(SP値:9.1)、酢酸ブチル(SP値:8.5)等のエステル系溶剤や、テトラヒドロフラン(THF)(SP値:9.5)、エチルセロソルブ(SP値:9.9)、ブチルセロソルブ(SP値:8.9)等のエーテル系溶剤等があげられる。
【0041】
本発明の製法により得られる導電性ポリマーは、1週間程度放置しても、凝集のない均一な溶液に保たれていることから、溶解安定性に優れている。また、本発明の製法により得られる導電性ポリマーから作製した導電性フィルム(塗膜)は、強固な結合(イオン結合)によって、例えば、湿熱環境下に14日間程度放置しても、導電性ポリマーの凝集現象が殆どみられず、湿熱環境での電気抵抗の変化が少なく、湿熱環境での安定性に優れている。
【0042】
本発明の製法により得られる導電性ポリマーは、例えば、ラングミュアーブロジェット(LB)膜形成手法や、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、インクジェット法、ディップ法、遠心成型法等によって、ポリマー薄膜とすることも可能である。また、ミセル、ベシクル構造を形成する両親媒性物質(界面活性剤)とともに、ミセル、共ベシクルを形成して、ポリマー複合体を形成することも可能である。
【0043】
また、本発明の製法により得られる導電性ポリマーの溶液を、SUS板上に塗布し、乾燥させて、厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した場合、その電気抵抗は、1×100 〜1×109 Ω・cmが好ましく、特に好ましくは1×100 〜1×106 Ω・cmである。
【0044】
また、本発明の製法により得られる導電性ポリマーは、単独で用いても他の樹脂やゴム,塗料,無機物と混合した複合物として用いてもよく、その加工性や電気特性の安定性を生かした分野である電気、電子、材料等の諸分野において、特に有用である。具体的には、静電気防止用のコーティング剤、電子写真機器のプリンター、複写機のローラ,ベルト,ブレード部材、繊維の処理剤、自動車用燃料ホースの帯電防止材料、二次電池の正極材料、有機薄膜太陽電池や色素増感型太陽電池の電極や活性層材料、防錆塗料、電磁波シールド材、IDタグのアンテナ材料、高分子アクチュエータ、各種センサー、スーパーキャパシターの電極材料、有機EL用材料、有機トランジスタの半導体等に用いることができる。
【実施例】
【0045】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕
トルエン(SP値: 8.9)とMEK(SP値:9.3)との混合溶液〔トルエン/MEK=1/2(重量比)〕1000mlに、前記構造式(3)で表されるアクリルモノマー(A成分)0.7molを予め溶解し、B成分としてo−エチルアニリン1molを加えた後、1N塩酸2リットルを加え、さらにブチルアクリレート(D成分)2molを添加した。この溶液を2〜8℃に保ちながら窒素雰囲気下で攪拌して乳化し、上記o−エチルアニリンに、上記構造式(3)で表されるアクリルモノマー(A成分)に由来するスルホン酸構造を導入した。つぎに、重合開始剤(C成分)として酸化剤(過硫酸アンモニウム)0.8molを加え、20時間重合反応を行った。重合反応が進行するにつれて、まず、増粘がはじまり、ついでポリo−エチルアニリン特有の緑色の溶液が得られた。そして、この溶液を濾過した後、メタノールで洗浄し、生じた沈殿を乾燥して導電性ポリマー(収率:67.8%)を得た。この導電性ポリマーは、前述したように、モノマー(B成分)の重合体1に、モノマー(A成分)の重合体2が絡み合った状態で結合している(図1参照)。
【0047】
つぎに、上記導電性ポリマー10gに、MEK90gを加えて攪拌したところ、MEKに完全に溶解した導電性ポリマー溶液を得た。この導電性ポリマー溶液を7日間静置したところ、均一に相溶したままで溶液の状態は変化しなかった。この溶液をSUS板上に塗布し、乾燥させて厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は4×103 Ω・cmであった。また、この導電性ポリマー塗膜を湿熱環境(80℃×95%)下に7日間放置し、25℃×50%RHの環境下での電気抵抗を、上記と同様にして測定した結果、電気抵抗は5×103 Ω・cmであった。
【0048】
〔実施例2〕
水1000mlに、上記A成分としてスルホン酸官能基を有するアクリルモノマー(AMPSA)1.0molを予め溶解し、アニリン(B成分)1molを加えた後、水2000mlを加え、さらにイソブチルアクリレート(D成分)5molを添加した。この溶液を2〜8℃に保ちながら窒素雰囲気下で攪拌して乳化して、上記アニリンに上記アクリルモノマー(AMPSA)に由来するスルホン酸構造を導入した。ついで、重合開始剤(C成分)として酸化剤(過硫酸アンモニウム)1.0molを加え、20時間重合反応を行った。重合反応が進行するにつれて、まず、増粘がはじまり、ついでポリアニリン特有の緑色の溶液が得られた。そして、この溶液を濾過した後、メタノールで洗浄し、生じた沈殿を乾燥して導電性ポリマー(収率:72.8%)を得た。この溶液にメタノールを加え、生じた沈殿を乾燥して導電性ポリマーを得た。この導電性ポリマーは、前述したように、モノマー(B成分)の重合体1に、モノマー(A成分)の重合体2が絡み合った状態で結合している(図1参照)。
【0049】
つぎに、上記導電性ポリマー10gにMEK90gを加えて攪拌したところ、MEKに完全に溶解した導電性ポリマー溶液を得た。この導電性ポリマー溶液を7日間静置したところ、均一に相溶したままで溶液の状態は変化しなかった。この溶液をSUS板上に塗布し、乾燥させて厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は1.3×102 Ω・cmであった。また、この導電性ポリマー塗膜を湿熱環境(80℃×95%)下に7日間放置し、25℃×50%RHの環境下での電気抵抗を、上記と同様にして測定した結果、電気抵抗は1.9×102 Ω・cmであった。
【0050】
〔比較例1〕
(スルホン酸官能基を有するポリカーボネート系ウレタンエラストマーの調製)
温度計、攪拌機および部分還流式冷却器を具備した反応器に、1,6−ヘキサンジオール52重量部(以下「部」と略す)、および炭酸ジエチル(ジエチルカーボネート)48部を加え、反応触媒としてテトラブチルチタネート0.01部を仕込み、窒素気流下にて反応物を130℃に保ちながら、精製するエチルアルコールを留出させた。200℃で5時間減圧して低沸物を除去し、分子量2000のポリカーボネートジオールを合成した。つぎに、このポリカーボネート系ジオール70部を、MEKに固形分重量が30重量%となるように溶解し、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.02部加え、80℃に保ち攪拌しながら、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを12.5部添加した後、2−ナトリウムスルホ−1,6−ヘキサンジオールを3.3部添加して、スルホン酸官能基を有するポリカーボネート系ウレタンエラストマー(Mn:30,000、スルホン酸官能基量:0.3mmol/g)を得た。
【0051】
(導電性ポリマーの調製)
トルエンとMEKとの混合溶液〔トルエン/MEK=1/2(重量比)〕4500mlに、上記スルホン酸官能基を有するポリカーボネート系ウレタンエラストマー0.1mol(スルホン酸官能基換算)を溶解し、o−アニシジン1molを加えた後、1N塩酸1050mlを加え、この溶液を2〜8℃に保ちながら攪拌して乳化して、上記o−アニシジンにポリエステル系ウレタンエラストマーに由来するスルホン酸構造を導入した。ここで、上記酸(塩酸)の混合割合は、上記o−アニシジン1molに対して1.05molである。ついで、酸化剤(過硫酸アンモニウム)1.0molを加え、20時間重合反応を行った。重合反応が進行するにつれて塊状になり、o−アニシジン特有の緑色の分散液となった。そして、この溶液を濾過した後、メタノールで洗浄し、生じた沈殿を乾燥して導電性ポリマー(収率:17.5%)を得た。
【0052】
つぎに、上記導電性ポリマー10gに、MEK90gを加えて攪拌したところ、MEKに完全に溶解した導電性ポリマー溶液を得た。この導電性ポリマー溶液を7日間静置したところ、均一に相溶したままで溶液の状態は変化しなかった。この溶液をSUS板上に塗布し、乾燥させて厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は3×107 Ω・cmであった。また、この導電性ポリマー塗膜を湿熱環境(80℃×95%)下に7日間放置し、25℃×50%RHの環境下での電気抵抗を、上記と同様にして測定した結果、電気抵抗は8×107 Ω・cmであった。
【0053】
〔比較例2〕
アニリン塩酸塩0.2molと、水100mlとの混合液に、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.2molを加えた後、0℃に調節した。つぎに、この溶液を0℃以下に保った状態で攪拌しながら、過硫酸アンモニウム0.25molを加え、4時間重合反応を行った。溶液は、当初、不均一系であったが、重合反応が進行するにつれて均一系となり、ポリアニリン特有の緑色の溶液が得られた。つぎに、この溶液を濾過しメタノールで洗浄して、ポリアニリンの沈殿物(収率:63.4%)を得た後、JIS K 7194に準じて電気抵抗を測定した結果、電気抵抗は115Ω・cmであった。
【0054】
つぎに、上記ポリアニリンの沈殿物にMEKを加えて攪拌し、上澄みを分離させたところ、ポリアニリンとMEKとの相溶性が悪く、均一な溶液とならなかった。この上澄み液をガラス板上に塗布し、乾燥させて厚み1μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は7800Ω・cmであった。
【0055】
また、上記ポリアニリンの沈殿物に、トルエンを加えて攪拌し、上澄みを分離させたところ、ポリアニリンとトルエンとの相溶性が悪く均一な溶液とならなかった。この上澄み液をガラス板上に塗布し、乾燥させて厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は10500Ω・cmであった。
【0056】
〔比較例3〕
特開2003−277500号公報の実施例1に準じて、ポリアニリン溶液を作製した。すなわち、アニリン塩酸塩0.2molと、水100mlとの混合液に、界面活性剤であるポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNo.8)0.2molを加えた後、5℃に調節した。つぎに、この溶液を2〜8℃に保った状態で攪拌しながら、過硫酸アンモニウム0.2molを加え、8時間重合反応を行った。溶液は、当初、不均一系であったが、重合反応が進行するにつれて均一系となり、ポリアニリン特有の緑色の溶液が得られた。ついで、この溶液を濾過しメタノールで洗浄してポリアニリンの沈殿物(収率:65.2%)を得た後、JIS K 7194に準じて電気抵抗を測定した結果、電気抵抗は35Ω・cmであった。
【0057】
つぎに、上記ポリアニリンの沈殿物にMEKを加えて攪拌し、上澄みを分離させたところ、上澄み部分では、ポリアニリンとMEKとが相溶し均一溶液となった。この上澄み液をガラス板上に塗布し、乾燥させて厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は49Ω・cmであった。また、その上澄み液の7日後の状態は、ポリアニリンの凝集物(沈殿物)が発生しており、再度上記と同様にして塗膜を作製し、電気抵抗を測定したところ2880Ω・cmであった。
【0058】
また、上記ポリアニリンの沈殿物にトルエンを加えて攪拌し、上澄みを分離させたところ、上澄み部分では、ポリアニリンとトルエンとが相溶し均一溶液となった。この上澄み液をガラス板上に塗布し、乾燥させて、厚み20μmの塗膜を作製した後、25℃×50%RHの環境下において、10Vの電圧を印加した時の塗膜の電気抵抗を、JIS K 7194に準じて測定した結果、電気抵抗は120Ω・cmであった。また、その上澄み液の7日後の状態は、ポリアニリンの凝集物(沈殿物)が発生しており、再度上記と同様にして塗膜を作製し、電気抵抗を測定したところ4380Ω・cmであった。
【0059】
上記結果から、全実施例品は、MEKやトルエンとの相溶性に優れるとともに、経時での安定性(溶解安定性)や、導電性に優れていた。また、長期湿熱環境での安定性に優れていた。
【0060】
これに対して、比較例1品は、合成時の収率が非常に悪く、また電気抵抗が若干高く、湿熱環境での安定性も若干劣っていた。比較例2品は、MEKやトルエンとの相溶性が劣っていた。比較例3品は、MEKやトルエンに対する可溶性は初期的には良好であるが、保管による安定性が若干劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の導電性ポリマーの製法は、電気,電子材料等の諸分野において、高分子材料表面の導電性化、もしくは各種絶縁材料の導電性化等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の製法により得られた導電性ポリマーの要部を拡大した模式図である。
【符号の説明】
【0063】
1 B成分の重合体
2 A成分の重合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)および(B)を水もしくは有機溶剤に溶解した溶液を乳化して,(B)のモノマー中に(A)のモノマーに由来するスルホン酸構造を導入した後、下記の(C)の共存下に(A)および(B)のモノマーを重合することにより,(B)の重合体と(A)の重合体とが絡み合った状態の導電性ポリマーを作製することを特徴とする導電性ポリマーの製法。
(A)スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方からなるスルホン酸官能基と,ラジカル重合性官能基とを有するモノマー。
(B)アニリン,およびアルキル基またはオキシアルキル基を有するアニリン誘導体の少なくとも一方からなるモノマー。
(C)重合開始剤。
【請求項2】
上記(A)および(B)のモノマーの重合工程前に、上記(A)〜(C)の共存下で、下記の(D)を添加する工程を備えた請求項1記載の導電性ポリマーの製法。
(D)スルホン酸官能基を有さず、上記(A)と共重合可能なラジカル重合性モノマー。
【請求項3】
上記(A)が、エチレンオキサイドの繰り返し単位およびフェニル基を有する請求項1または2記載の導電性ポリマーの製法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ポリマーの製法により得られる導電性ポリマーであって、上記(B)の重合体と(A)の重合体とが絡み合った状態であることを特徴とする導電性ポリマー。

【図1】
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【公開番号】特開2007−314606(P2007−314606A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143261(P2006−143261)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【出願人】(592046507)
【Fターム(参考)】