説明

導電性ポリマーを製造するための誘導体化モノマー、およびこのようなポリマーで製造されたデバイス

誘導体化導電性モノマーおよびそれから製造されたポリマーが提供される。この誘導体化モノマーはフッ素化酸置換基を有する。このポリマーを含有する緩衝層を有する電子デバイスもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に導電性ポリマーを製造するための誘導体化モノマー、および有機電子デバイスにおけるこれらのポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本件出願は、米国特許法第119条(e)項の下に、本明細書にその全体が参照により援用される、2006年12月28日出願の米国仮特許出願第60/877,508号の優先権を主張するものである。
【0003】
有機電子デバイスは、活性層を含む製品の分類の1つとして定義される。このようなデバイスは、電気エネルギーを放射線に変換したり、電子的方法を介して信号を検出したり、放射線を電気エネルギーに変換したり、あるいは、1つまたは複数の有機半導体層を含んだりする。
【0004】
有機発光ダイオード(OLED)は、エレクトロルミネッセンスが可能な有機層を含む有機電子デバイスである。OLEDは、以下の構成を、場合により追加の任意の層を含めて、有することができる:
アノード/緩衝層/EL材料/カソード
通常、アノードは、たとえば、インジウム/スズ酸化物(ITO)などの、透明でありEL材料中に正孔を注入する能力を有するあらゆる材料である。場合により、アノードは、ガラスまたはプラスチックの基体上に支持されている。EL材料としては、蛍光性化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。通常、カソードは、EL材料中に電子を注入する能力を有するあらゆる材料(たとえばCaまたはBaなど)である。緩衝層は、典型的には導電性ポリマーであり、アノードからEL材料層中への正孔の注入を促進する。緩衝層は、デバイス性能を促進する他の性質を有することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
緩衝材料が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
式PCM−(FAS)を有する誘導体化モノマーが提供され、
式中、
PCMは前駆体導電性モノマーであり、
FASはフッ素化酸置換基であり、そして
xは1〜5の整数である。
【0007】
この誘導体化モノマーから製造されたポリマーもまた提供される。
【0008】
この誘導体化モノマーから製造されたポリマーを含む少なくとも1つの活性層を有する電子デバイスもまた提供される。
【0009】
アノードと、カソードと、それらの間の活性層とを含む電子デバイスもまた提供される。このデバイスは、アノードに隣接する層であって、誘導体化モノマーから製造されたポリマーを含む層をさらに有する。
【0010】
以上の概要および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであるにすぎず、添付の特許請求の範囲によって規定されるような、本発明を限定するものではない。
【0011】
本明細書において提示される概念の理解をすすめるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電子デバイスの略図である。 当業者であれば理解しているように、図面中の物体は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の物体の寸法が他の物体よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
多数の態様および実施形態を以上に説明してきたが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱することなく他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0014】
いずれか1つまたは複数の本実施形態の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明からおよび特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明では、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、誘導体化導電性モノマー、導電性ポリマー、電子デバイス、および最後に実施例を扱う。
【0015】
1.用語の定義および説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語が定義または説明される。
【0016】
本明細書において使用される場合、用語「導電性モノマー」は、重合した場合に導電性ポリマーを形成するモノマーを意味することを意図している。用語「導電性ポリマー」は、カーボンブラックまたは導電性金属粒子を加えなくても、本来または本質的に導電性であることができるポリマー材料を意味する。
【0017】
用語「誘導体化」は、化合物、すなわち、モノマーに関する場合、化合物が少なくとも1つの置換基を有することを意味することを意図している。
【0018】
用語「フッ素化酸置換基」は、酸性基を有し、少なくとも一部の水素がフッ素で置き換えられている置換基を意味する。用語「酸性基」は、イオン化して水素イオンをブレンステッド塩基に供与することができる基を意味する。
【0019】
用語「ポリマー」は、少なくとも3つの繰り返し単位を有する化合物を意味することを意図しており、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。
【0020】
用語「導体」およびその変形は、電位が実質的に降下することなく層材料、部材、または構造に電流が流れるような電気的性質を有する層材料、部材、または構造を意味することを意図している。この用語は、半導体を含むことを意図している。一実施形態においては、導体は、少なくとも10−6S/cmの導電率を有する層を形成する。
【0021】
用語「仕事関数」は、電子を導電性材料の表面から無限遠点まで引き離すのに必要な最小エネルギーを意味することを意図している。仕事関数は、一般にUPS(紫外光電子分光法)またはケルビンプローブ接触電位差測定によって求められる。
【0022】
用語「エネルギーポテンシャル」は、導電性試験体とケルビンプローブの振動チップとの間に挟まれた非導電性材料のポテンシャルを意味することを意図している。導電性試験体は、金、インジウム・スズ酸化物、または導電性ポリマーのいずれかであってよいが、これらに限定されるものではない。本発明における非導電性材料は、正孔輸送材料である。
【0023】
用語「緩衝層」または「緩衝材料」は、導電性材料または半導体材料を意味することを意図しており、下にある層の平坦化、電荷輸送および/または電荷注入特性、酸素または金属イオンなどの不純物の捕捉、および有機電子デバイスの性能を促進するためのまたは性能を向上させるための他の態様を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の機能を、有機電子デバイスにおいて有することができる。
【0024】
層、材料、部材、または構造に関して言及される場合、「正孔輸送」は、そのような層、材料、部材、または構造が、比較的効率的かつ少ない電荷損失で、そのような層、材料、部材、または構造の厚さを通過する正電荷の移動を促進することを意味することを意図している。発光層が、ある程度正孔輸送特性を有する場合があるが、本明細書において使用される場合、用語「正孔輸送層」は発光層を含まない。
【0025】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的なまたはを意味するのであって、排他的なまたはを意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0026】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0027】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Chemistry and Physics、81版(2000−2001)に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0028】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特に明記しない限り、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0029】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光源、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0030】
2.誘導体化導電性モノマー
誘導体化導電性モノマーは式PCM−(FAS)を有し、
式中、
PCMは前駆体導電性モノマーであり、
FASはフッ素化酸置換基であり、
xは1〜5の整数である。
ある実施形態においては、x=1である。
【0031】
a.前駆体導電性モノマー
一実施形態においては、前駆体モノマーは、チオフェン類、ピロール類、アニリン類、および多環式芳香族化合物からなる群から選択される。用語「多環式芳香族化合物」は、2つ以上の芳香環を有する化合物を意味する。これらの環は、1つまたは複数の結合によって連結している場合もあるし、互いに縮合している場合もある。用語「芳香環」は、複素環式芳香環を含むことを意図している。「多環式複素環式芳香族」化合物は、少なくとも1つの複素環式芳香環を有する。一実施形態においては、多環式芳香族前駆体モノマーはチエノチオフェンである。
【0032】
一実施形態においては、本発明の誘導体化導電性モノマーを形成するために使用が考慮されるチオフェンモノマーは、以下の式Iを含み:
【0033】
【化1】

【0034】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され、
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか、あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、セレン原子、テルル原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0035】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐および環状の基を含む。用語「ヘテロアルキル」は、アルキル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルキル基を意味することを意図している。用語「アルキレン」は、2つの結合点を有するアルキル基を意味する。
【0036】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する脂肪族炭化水素から誘導される基を意味し、非置換の場合も置換されている場合もある線状、分岐および環状の基を含む。用語「ヘテロアルケニル」は、アルケニル基中の1つまたは複数の炭素原子が窒素、酸素、硫黄などの別の原子で置き換えられているアルケニル基を意味することを意図している。用語「アルケニレン」は、2つの結合点を有するアルケニル基を意味する。
【0037】
本明細書において使用される場合、置換基に関する以下の用語は、以下に示す式を意味する:
「アルコール」 −R−OH
「アミド」 −R−C(O)N(R)R
「アミドスルホネート」 −R−C(O)N(R)R−SO
「ベンジル」 −CH−C
「カルボキシレート」 −R−C(O)O−Zまたは−R−O−C(O)−Z
「エーテル」 −R−(O−R−O−R
「エーテルカルボキシレート」 −R−O−R−C(O)O−Zまたは−R−O−R−O−C(O)−Z
「エーテルスルホネート」 −R−O−R−SO
「エステルスルホネート」 −R−O−C(O)−R−SO
「スルホンイミド」 −R−SO−NH−SO−R
「ウレタン」 −R−O−C(O)−N(R
式中、すべての「R」基はそれぞれ同じかまたは異なるものであり、
は単結合またはアルキレン基であり、
はアルキレン基であり、
はアルキル基であり、
は水素またはアルキル基であり、
pは0または1〜20の整数であり、
Zは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、N(RまたはRである。
上記基はいずれも、さらに非置換の場合も置換されている場合もあり、いずれの基も、過フッ素化基などのように、1つまたは複数の水素がFで置換されていてもよい。一実施形態においては、上記アルキル基およびアルキレン基は1〜20個の炭素原子を有する。
【0038】
一実施形態においては、チオフェンモノマー中、両方のRが一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、ハロゲン、アルキル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、これらのY基は、部分または完全フッ素化されていてもよい。一実施形態においては、すべてのYが水素である。一実施形態においては、ポリチオフェンは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基は水素ではない。一実施形態においては、少なくとも1つのY基は、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基は過フッ素化されている。
【0039】
一実施形態においては、チオフェンモノマーは式I(a)を有し:
【0040】
【化2】

【0041】
式中:
Qは、S、Se、およびTeからなる群から選択され、
は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルコール、アミドスルホネート、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、但し、少なくとも1つのRは水素ではなく、
mは2または3である。
【0042】
式I(a)の一実施形態においては、mは2であり、1つのRは、5個を超える炭素原子のアルキル基であり、他のすべてのRは水素である。
【0043】
式I(a)の一実施形態においては、少なくとも1つのR基はフッ素化されている。一実施形態においては、少なくとも1つのR基は、少なくとも1つのフッ素置換基を有する。一実施形態においては、そのR基は完全フッ素化されている。
【0044】
一実施形態においては、本発明の誘導体化導電性モノマーを形成するために使用が考慮されるピロールモノマーは、以下の式IIを含む。
【0045】
【化3】

【0046】
式IIにおいて:
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか、あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよく、
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アリール、アルカノイル、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。
【0047】
一実施形態においては、Rは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、アミドスルホネート、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、ウレタン、エポキシ、シラン、シロキサン、ならびに、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから独立して選択される。
【0048】
一実施形態においては、Rは、水素、アルキル、および、1つまたは複数のスルホン酸、カルボン酸、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、またはシロキサン部分で置換されたアルキルから選択される。
【0049】
一実施形態においては、上記ピロールモノマーは置換されておらず、RおよびRの両方が水素である。
【0050】
一実施形態においては、両方のRが一緒になって、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換されている、6員または7員の脂環式環を形成する。これらの基は、モノマーおよび結果として得られるポリマーの溶解性を改善することができる。一実施形態においては、両方のRが一緒になって、アルキル基でさらに置換されている、6員または7員の脂環式環を形成する。一実施形態においては、両方のRが一緒になって、少なくとも1つの炭素原子を有するアルキル基でさらに置換されている、6員または7員の脂環式環を形成する。
【0051】
一実施形態においては、両方のRが一緒になって−O−(CHY)−O−を形成し、式中、mは2または3であり、Yは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、アルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、アミドスルホネート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される。一実施形態においては、少なくとも1つのY基は水素ではない。一実施形態においては、少なくとも1つのY基は、少なくとも1つの水素がFで置換された置換基である。一実施形態においては、少なくとも1つのY基は過フッ素化されている。
【0052】
一実施形態においては、本発明の誘導体化導電性モノマーを形成するために使用が考慮されるアニリンモノマーは以下の式IIIを含む。
【0053】
【化4】

【0054】
式中:
aは0または1〜4の整数であり、
bは1〜5の整数であり、但しa+b=5であり、
は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか、あるいは両方のR基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により、1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0055】
重合すると、このアニリンモノマー単位は、以下に示す式IV(a)または式IV(b)、あるいは両方の式の組み合わせを有することができる。
【0056】
【化5】

【0057】
式中、a、bおよびRは前出の定義の通りである。
【0058】
一実施形態においては、上記アニリンは置換されておらず、a=0である。
【0059】
一実施形態においては、aが0ではなく、少なくとも1つのRはフッ素化されている。一実施形態においては、少なくとも1つのRは過フッ素化されている。
【0060】
一実施形態においては、本発明の新規組成物中の導電性ポリマーを形成するために使用が考慮される縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、2つ以上の縮合芳香環を有し、その環の少なくとも1つは複素環式芳香族である。一実施形態においては、この縮合多環式複素環式芳香族モノマーは式Vを有し:
【0061】
【化6】

【0062】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNRであり、
は、水素またはアルキルであり、
、R、R10、およびR11は、それぞれ同じかまたは異なるように独立して選択され、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択され、
およびR、RおよびR10、ならびにR10およびR11のうち少なくとも1つは一緒になってアルケニレン鎖を形成して5または6員の芳香環を完成させ、その環は、場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0063】
一実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、式V(a)、V(b)、V(c)、V(d)、V(e)、V(f)、およびV(g)を有し:
【0064】
【化7】

【0065】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNHであり、
Tは、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、S、NR、O、SiR、Se、Te、およびPRから選択され、
は、水素またはアルキルである。
【0066】
上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される基でさらに置換されていてもよい。一実施形態においては、これらの置換基はフッ素化されている。一実施形態においては、これらの置換基は完全フッ素化されている。
【0067】
一実施形態においては、上記縮合多環式複素環式芳香族モノマーはチエノ(チオフェン)である。このような化合物は、たとえば、Macromolecules,34,5746−5747(2001)、およびMacromolecules、35、7281−7286(2002)において議論されている。一実施形態においては、このチエノ(チオフェン)は、チエノ(2,3−b)チオフェン、チエノ(3,2−b)チオフェン、およびチエノ(3,4−b)チオフェンから選択される。一実施形態においては、チエノ(チオフェン)モノマーは、アルキル、ヘテロアルキル、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択される少なくとも1つの基でさらに置換されている。一実施形態においては、これらの置換基はフッ素化されている。一実施形態においては、これらの置換基は完全フッ素化されている。
【0068】
一実施形態においては、本発明の誘導体化導電性モノマーを形成するために使用が考慮される多環式複素環式芳香族モノマーは式VIを含み:
【0069】
【化8】

【0070】
式中:
Qは、S、Se、Te、またはNRであり、
Tは、S、NR、O、SiR、Se、Te、およびPRから選択され、
Eは、アルケニレン、アリーレン、およびヘテロアリーレンから選択され、
は、水素またはアルキルであり、
12は、それぞれ同じかまたは異なるものであり、そして、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキチオ(alkythio)、アリールオキシ、アルキルチオアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール、アルキルスルフィニル、アルコキシアルキル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アルコキシカルボニル、アリールスルホニル、アクリル酸、リン酸、ホスホン酸、ハロゲン、ニトロ、ニトリル、シアノ、ヒドロキシル、エポキシ、シラン、シロキサン、アルコール、ベンジル、カルボキシレート、エーテル、エーテルカルボキシレート、アミドスルホネート、エーテルスルホネート、エステルスルホネート、およびウレタンから選択されるか、あるいは両方のR12基が一緒になってアルキレン鎖またはアルケニレン鎖を形成して3、4、5、6、または7員の芳香環または脂環式環を完成させてもよく、その環は場合により1つまたは複数の二価の窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、または酸素原子を含んでもよい。
【0071】
b.フッ素化酸置換基
本発明のフッ素化酸置換基は、フッ素化され、酸性プロトンを持った酸性基を有するあらゆる置換基であることができる。この用語は、部分および完全フッ素化置換基を含む。一実施形態においては、フッ素化酸置換基は高フッ素化されている。用語「高フッ素化」は、炭素に結合した利用可能な水素の少なくとも50%がフッ素で置き換えられていることを意味する。酸性基は、イオン化可能なプロトンを供給する。一実施形態においては、酸性プロトンは3未満のpKaを有する。一実施形態においては、酸性プロトンは0未満のpKaを有する。一実施形態においては、酸性プロトンは−5未満のpKaを有する。酸性基の例としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホンイミド基、リン酸基、ホスホン酸基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは水溶性である。一実施形態においては、本発明のフッ素化酸ポリマーは水に分散性である。
【0072】
一実施形態においては、この酸性基は、スルホン酸基またはスルホンイミド基である。スルホンイミド基は式:
−SO−NH−SO−R
を有し、
式中、Rはアルキル基である。
【0073】
一実施形態においては、酸性基は、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるフッ素化置換基上にある。
【0074】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸置換基は、式:
−O(CFSOOH
を有し、
式中、bは1〜5の整数である。
【0075】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸置換基は、式:
−O(CFSONSOO(CF
を有し、
式中、beは、同じかまたは異なるものであり、そして1〜5の整数である。
【0076】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸置換基は、以下の式を有するシロキサン基であり:
−OSi(OH)b−a223−b23SO
式中:
aは1〜bであり、
bは1〜3であり、
22は、アルキル、アリール、およびアリールアルキルからなる群から独立して選択される非加水分解性基であり、
23は、1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されていてもよい二座アルキレン基であり、但し、R23は、SiとRとの間に直線状に配置された少なくとも2個の炭素原子を有し、
は、1つまたは複数エーテル酸素原子によって置換されていてもよいパーフルオルアルキレン基である。
【0077】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸置換基は、式(XIV)
−O−[CF(R)CF−O−CFCFSOH (XIV)
を有し、
式中、Rは、Fあるいは非置換か1つまたは複数のエーテル酸素原子によって置換されているかのどちらかの1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基であり、h=0または1、i=0〜3、g=0または1である。
【0078】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸置換基は、式
−(O−CFCFR−O−CFCFRSO
で表され、
式中、RおよびRは、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から独立して選択され、a=0、1または2であり、EはHであり、R1、R2、R3、およびR4は、同じかまたは異なるものであり、そしてH、CHまたはCである。
【0079】
一実施形態においては、本発明のフッ素化酸置換基は式
−O−CFCF(CF)−O−CFCFSO
で表され、
式中、Eは前出の定義の通りである。
【0080】
c.誘導体化導電性モノマーの製造
本発明の誘導体化導電性モノマーは、前駆体導電性モノマーから出発して、そして実施例でさら議論されるような、標準的な合成技術を使用して製造することができる。
【0081】
3.導電性ポリマー
一実施形態においては、導電性ポリマー組成物は、本発明の誘導体化導電性モノマーの酸化重合によって形成される。一実施形態においては、2つ以上の異なる誘導体化導電性モノマーがコポリマーを形成するために使用される。
【0082】
一実施形態においては、上記の酸化重合は均一水溶液中で行われる。別の一実施形態においては、酸化重合は、水と有機溶剤とのエマルジョン中で行われる。一般に、酸化剤および/または触媒の適切な溶解性を得るために、ある程度の水が存在する。過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの酸化剤を使用することができる。塩化第二鉄、または硫酸第二鉄などの触媒も存在することができる。結果として得られる重合生成物は、フッ素化酸置換基で誘導体化された導電性ポリマーの溶液、分散液、またはエマルジョンとなる。
【0083】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、前駆体モノマーと少なくとも1つの第2のモノマーとのコポリマーである。コポリマーに望まれる性質に悪影響を及ぼさないのであれば、あらゆる種類の第2のモノマーを使用することができる。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にしてポリマーの50%以下を構成する。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして30%以下を構成する。一実施形態においては、第2のモノマーが、モノマー単位の総数を基準にして10%以下を構成する。
【0084】
第2のモノマーの代表的な種類としては、アルケニル、アルキニル、アリーレン、およびヘテロアリーレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。第2のモノマーの例としては、限定するものではないが、フルオレン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアジアゾール、フェニレンビニレン、フェニレンエチニレン、ピリジン、ジアジン類、およびトリアジン類が挙げられ、これらすべてがさらに置換されていてもよい。
【0085】
一実施形態においては、本発明のコポリマーは、最初に構造A−B−Cを有する中間前駆体モノマーを形成することによって製造され、式中、AおよびCは、同じかまたは異なっていてもよい前駆体モノマーを表し、Bは第2のモノマーを表す。このA−B−C中間前駆体モノマーは、ヤマモト(Yamamoto)、スティル(Stille)、グリニャール(Grignard)メタセシス、スズキ(Suzuki)、およびネギシ(Negishi)カップリングなどの標準的な合成有機技術を使用して調製することができる。次に、この中間前駆体モノマー単独で酸化重合させる、または1つまたは複数の別の前駆体モノマーとともに酸化重合させることによって、本発明のコポリマーが形成される。
【0086】
一実施形態においては、本発明の導電性ポリマーは、2つ以上の誘導体化導電性モノマーのコポリマーである。一実施形態においては、本発明の誘導体化導電性モノマーは、チオフェン、ピロール、アニリン、および多環式芳香族化合物から選択される。
【0087】
(i)pH調整
合成された時点では、本発明の新規導電性コポリマー組成物の水性分散体は、一般に非常に低いpHを有する。一実施形態においては、デバイスの性質に悪影響を与えずに、pHをより高い値に調整される。一実施形態においては、分散体のpHは約1.5〜約4に調整される。一実施形態においては、pHは3〜4の間に調整される。pHは、イオン交換、または塩基性水溶液を使用した滴定などの周知の技術を使用して調整できることが分かっている。
【0088】
一実施形態においては、重合反応の完了後、分解した化学種、副反応生成物、および未反応モノマーを除去するため、およびpHを調整するために、好適な条件下で、合成された状態の水性分散体を、少なくとも1つのイオン交換樹脂と接触させることによって、所望のpHを有する安定な水性分散体が生成される。一実施形態においては、合成された状態の水性分散体を、第1のイオン交換樹脂および第2のイオン交換樹脂と任意の順序で接触させる。合成された状態の水性分散体は、第1および第2のイオン交換樹脂の両方で同時に処理することもできるし、一方で処理した後に続いて他方で処理することもできる。
【0089】
イオン交換は、流体媒体(水性分散体など)中のイオンが、流体媒体に対して不溶性である固定された固体粒子に結合した類似の荷電イオンと交換される可逆的な化学反応である。本明細書においては、あらゆるこのような物質を意味するために用語「イオン交換樹脂」が使用される。イオン交換基が結合するポリマー支持体が架橋性を有するため、この樹脂は不溶性となる。イオン交換樹脂は、陽イオン交換体または陰イオン交換体に分類される。陽イオン交換体は、交換に利用可能な正に帯電した可動イオンを有し、典型的には、プロトンまたはナトリウムイオンなどの金属イオンを有する。陰イオン交換体は、負に帯電した交換可能なイオンを有し、典型的には水酸化物イオンを有する。
【0090】
一実施形態においては、第1のイオン交換樹脂は、プロトンイオンまたは金属イオンの形態、典型的にはナトリウムイオンの形態であってよい陽イオン酸交換樹脂である。第2のイオン交換樹脂は塩基性陰イオン交換樹脂である。プロトン交換樹脂などの酸性陽イオン交換樹脂と、塩基性陰イオン交換樹脂との両方が、本発明の実施において使用が考慮されている。一実施形態においては、酸性陽イオン交換樹脂は、スルホン酸陽イオン交換樹脂などの無機酸陽イオン交換樹脂である。本発明の実施において使用が考慮されるスルホン酸陽イオン交換樹脂としては、たとえば、スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベンゼン−ホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。別の一実施形態においては、酸性陽イオン交換樹脂は、カルボン酸、アクリル、またはリンの陽イオン交換樹脂などの有機酸陽イオン交換樹脂である。さらに、異なる陽イオン交換樹脂の混合物を使用することができる。
【0091】
別の一実施形態においては、塩基性陰イオン交換樹脂は、第3級アミン陰イオン交換樹脂である。本発明の実施において使用が考慮される第3級アミン陰イオン交換樹脂としては、たとえば、第3級アミノ化スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、第3級アミノ化架橋スチレンポリマー、第3級アミノ化フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、第3級アミノ化ベンゼン−ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの混合物が挙げられる。さらに別の一実施形態においては、塩基性陰イオン交換樹脂は、第4級アミン陰イオン交換樹脂、あるいはこれらおよびその他の交換樹脂の混合物である。
【0092】
第1および第2のイオン交換樹脂は、合成された状態の水性分散体に、同時または連続のいずれかで接触させることができる。たとえば、一実施形態においては、両方の樹脂は、合成された状態の導電性コポリマーの水性分散体に同時に加えられ、少なくとも約1時間、たとえば約2時間〜約20時間の間、分散体との接触を維持する。次に、濾過することによって、イオン交換樹脂を分散体から除去することができる。フィルターのサイズは、比較的大きなイオン交換樹脂粒子が除去され、より小さな分散粒子は通過するように選択される。理論によって束縛しようと望むものではないが、イオン交換樹脂は、重合を停止させ、さらに、イオン性および非イオン性の不純物、ならびに大部分の未反応モノマーを合成された状態の水性分散体から効率的に除去すると考えられている。さらに塩基性の陰イオン交換樹脂および/または酸性の陽イオン交換樹脂は、酸性部位をより塩基性にするため、結果として分散体のpHが増加する。一般に、導電性ポリマー組成物1グラム当たり、約1〜5グラムのイオン交換樹脂が使用される。
【0093】
多くの場合、塩基性イオン交換樹脂を使用することでpHを所望の値に調整することができる。場合によっては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの溶液などの塩基性水溶液を使用して、pHをさらに調整することができる。
【0094】
別の実施形態においては、より導電性の分散体は、本発明の新規導電性ポリマー組成物の水性分散体への高導電性添加物の添加によって形成される。比較的高いpHの分散体を形成することができるので、これらの導電性添加物、特に金属添加物は、分散体中の酸によって攻撃されない。好適な導電性添加物の例としては、金属粒子およびナノ粒子、ナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラファイトファイバーまたは粒子、カーボン粒子、ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0095】
3.電子デバイス
別の一実施形態においては、二層組成物を含む電子デバイスを提供する。用語「電子デバイス」は、1つまたは複数の有機半導体層または有機半導体材料を含むデバイスを意味することを意図している。電子デバイスとしては:(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的方法を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、赤外線(「IR」)検出器、またはバイオセンサー)、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイス、あるいは項目(1)〜(4)中のデバイスのあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
一実施形態においては、本発明の電子デバイスは、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの電気活性層を含み、このデバイスは、本発明の誘導体化導電性モノマーから製造されたポリマーを含む層をさらに含む。用語「電気活性」は、層または材料に関する場合、電子または電気放射特性を示す層または材料を意味することを意図している。電気活性層材料は、放射線を受けつつあるときに放射線を発するかまたは電子−正孔ペアの濃度の変化を示すことができる。
【0097】
デバイスの一タイプは、有機発光ダイオード(「OLED」)である。このような一デバイスは図2に示される。デバイス100は、アノード層110と、緩衝層120と、任意選択の正孔輸送層130と、電気活性層140と、カソード層160とを有する。任意選択の電子注入/輸送層150がカソード層160に隣接している。緩衝層は、本明細書に記載されるような少なくとも1つの誘導体化導電性モノマーから製造されたポリマーを含む。
【0098】
本発明のデバイスは、アノード層110またはカソード層160に隣接することができる支持体または基体(図示せず)を含むことができる。ほとんどの場合、支持体はアノード層110に隣接している。支持体は、可撓性であることも剛性であることも、有機であることも無機であることもできる。支持体材料の例としては、ガラス、セラミック、金属、およびプラスチックフィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0099】
アノード層110は、カソード層160よりも正孔の注入が効率的である電極である。アノードは、金属、混合金属、合金、金属酸化物または混合酸化物を含有する材料を含むことができる。好適な材料としては、2族元素(すなわち、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、11族元素、4族、5族、および6族の元素、ならびに8〜10族の遷移元素の混合酸化物が挙げられる。アノード層110が光透過性であるべきである場合には、インジウム−スズ酸化物などの、12族、13族、および14族の元素の混合酸化物を使用することができる。本明細書において使用される場合、語句「混合酸化物」は、2族元素、あるいは12族、13族、または14族の元素から選択される2つ以上の異なる陽イオンを有する酸化物を意味する。アノード層110用の材料の幾つかの非限定的な具体例としては、インジウム−スズ酸化物(「ITO」)、インジウム−亜鉛酸化物、アルミニウム−スズ酸化物、金、銀、銅、およびニッケルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。アノードは、有機材料、特に、「Flexible light−emitting diodes made from soluble conducting polymer」、Nature vol.357、pp 477−479(1992年6月11日)に記載されているような例示的な材料をはじめとする、ポリアニリンなどの導電性ポリマーを含むこともできる。アノードおよびカソードの少なくとも1つは、発生した光を観察できるように少なくとも部分的に透明であるべきである。
【0100】
アノード層110は、化学蒸着法または物理蒸着法、あるいはスピンキャスト法によって形成することができる。化学蒸着は、プラズマ化学蒸着(「PECVD」)または金属有機化学蒸着(「MOCVD」)として行うことができる。物理蒸着としては、イオンビームスパッタリングなどのスパッタリング、ならびにeビーム蒸発、および抵抗蒸発のあらゆる形態を挙げることができる。物理蒸着の具体的な形態としては、高周波マグネトロンスパッタリング、および誘導結合プラズマ物理蒸着(「IMP−PVD」)が挙げられる。これらの堆積技術は、半導体製造分野においては周知である。
【0101】
一実施形態において、アノード層110は、リソグラフィ作業中にパターン化される。このパターンは、希望に応じて変更することができる。これらの層は、第1の電気接触層材料を適用する前に、第1の可撓性複合バリア構造上にパターンニングされたマスクまたはレジストを配置することなどによってパターンを形成することができる。あるいは、これらの層は、全体の層として適用することができ(ブランケット堆積とも呼ばれる)、続いて、たとえば、パターン化されたレジスト層と湿式化学エッチングまたはドライエッチング技術とを使用してパターン化することができる。当技術分野において周知の他のパターニング方法を使用することもできる。
【0102】
緩衝層120は、本明細書に記載される誘導体化導電性モノマーから製造された導電性ポリマーを含む。一実施形態においては、緩衝層は、液体組成物から液相堆積によって形成される。連続技術および不連続技術などの、あらゆる公知の液相堆積技術を使用することができる。連続液相堆積技術としては、スピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、および連続ノズルコーティングが挙げられるが、これらに限定されるものではない。不連続液相堆積技術としては、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、およびスクリーン印刷が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
一実施形態においては、緩衝層は、pHが2を超える液体組成物から液相堆積によって形成される。一実施形態においては、このpHは4を超える。一実施形態においては、このpHは6を超える。
【0104】
あらゆる正孔輸送材料を正孔輸送層に使用することができる。一実施形態においては正孔輸送材料は、真空レベルに対して4.2eVに等しいかまたはそれ未満の光学バンドギャップおよび6.2eVに等しいかまたはそれ未満のHOMOレベルを有する。
【0105】
あらゆる正孔輸送材料を正孔輸送層130に使用することができる。一実施形態においては正孔輸送材料は、真空レベルに対して4.2eVに等しいかまたはそれ未満の光学バンドギャップおよび6.2eVに等しいかまたはそれ未満のHOMOレベルを有する。
【0106】
一実施形態においては、正孔輸送材料は少なくとも1つのポリマーを含む。正孔輸送ポリマーの例としては、正孔輸送基を有するものが挙げられる。このような正孔輸送基としては、カルバゾール、トリアリールアミン、トリアリールメタン、フルオレン、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。普通に使用される正孔輸送ポリマーとしては、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(ジオキシチオフェン)、ポリアニリン、およびポリピロールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。ポリスチレンおよびポリカーボネートなどのポリマー中へ上述のものなどの正孔輸送分子をドープすることによって正孔輸送ポリマーを得ることもできる。
【0107】
ある実施形態においては、正孔輸送層は正孔輸送ポリマーを含む。ある実施形態においては、正孔輸送ポリマーはジスチリルアリール化合物である。ある実施形態においては、このアリール基は2つ以上の縮合芳香族環を有する。ある実施形態においては、このアリール基はアセンである。用語「アセン」は、本明細書において使用される場合、直線状配置で2つ以上のオルト縮合ベンゼン環を含有する炭化水素親構成要素を意味する。
【0108】
ある実施形態においては、正孔輸送ポリマーはアリールアミンポリマーである。ある実施形態においては、それは、フルオレンモノマーとアリールアミンモノマーとのコポリマーである。
【0109】
ある実施形態においては、このポリマーは架橋性基を有する。ある実施形態においては、架橋は、熱処理および/またはUVもしくは可視放射線への露光によって行うことができる。架橋性基の例としては、ビニル、アクリレート、パーフルオロビニルエーテル、1−ベンゾ−3,4−シクロブタン、シロキサン、およびメチルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋性ポリマーは、溶液法OLEDの製造において利点を有することができる。堆積の後で不溶性フィルムへ変換することができる層を形成するための可溶性ポリマー材料の適用は、層溶解問題を含まない多層溶液加工OLEDデバイスの製造を可能にすることができる。
【0110】
架橋性ポリマーの例は、たとえば、米国特許出願公開第2005−0184287号明細書および国際公開第2005/052027号パンフレットに見いだすことができる。
【0111】
ある実施形態においては、正孔輸送層は、9,9−ジアルキルフルオレンとトリフェニルアミンとのコポリマーであるポリマーを含む。ある実施形態においては、このポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンと4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)ビフェニルとのコポリマーである。ある実施形態においては、このポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンとTPBとのコポリマーである。ある実施形態においては、このポリマーは、9,9−ジアルキルフルオレンとNPBとのコポリマーである。ある実施形態においては、このコポリマーは、(ビニルフェニル)ジフェニルアミンおよび9,9−ジスチリルフルオレンまたは9,9−ジ(ビニルベンジル)フルオレンから選択される第3のコモノマーから製造される。
【0112】
一実施形態においては、正孔輸送層は、非ポリマーの正孔輸送材料を含む。正孔輸送分子の例としては:4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA);4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(MTDATA);N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD);1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD);テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA);α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS);p−(ジエチルアミノ)−ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH);トリフェニルアミン(TPA);ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP);1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPRまたはDEASP);1,2−trans−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB);N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB);N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス−(フェニル)ベンジジン(α−NPB);および銅フタロシアニンなどのポルフィリン系化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0113】
一実施形態においては、正孔輸送層は、式XVIを有する材料を含み:
【0114】
【化9】

【0115】
式中
Arはアリーレン基であり、
Ar’およびAr”はアリール基から独立して選択され、
24〜R27は、水素、アルキル、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アルキルチオ、ホスフィノ、シリル、−COR、−COOR、−PO、−OPO、およびCNからなる群から独立して選択され、
Rは、水素、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、およびアミノからなる群から選択され、
mおよびnはそれぞれ独立して0〜5の値を有する整数であり、ここで、m+n≠0である。
【0116】
式XVIの一実施形態においては、Arは、直線状配置で2つ以上のオルト縮合ベンゼン環を含有するアリーレン基である。
【0117】
デバイスの用途に依存して、電気活性層140は、印加電圧によって励起される発光層(発光ダイオードまたは発光電気化学セル中など)、放射エネルギーに応答し、そして印加バイアス電圧を使用してまたは使用せずに信号を発生する材料の層(光検出器中など)であることができる。一実施形態においては、電気活性材料は、有機エレクトロルミネセンス(「EL」)材料である。小分子有機蛍光化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない、あらゆるEL材料を本発明のデバイスに使用することができる。蛍光化合物の例としては、ピレン、ペリレン、ルブレン、クマリン、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovらの米国特許第6,670,645号明細書ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに開示されているようなフェニルピリジン配位子、フェニルキノリン配位子、またはフェニルピリミジン配位子とのイリジウムの錯体などの、シクロメタレート化イリジウムおよび白金エレクトロルミネッセンス化合物、ならびに、たとえば、国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載されている有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。電荷輸送ホスト材料と金属錯体とを含むエレクトロルミネッセンス発光層が、Thompsonらによって米国特許第6,303,238号明細書に、ならびにBurrowsおよびThompsonによって国際公開第00/70655号パンフレットおよび国際公開第01/41512号パンフレットに記載されている。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0118】
任意選択の層150は、電子の注入/輸送の両方を促進する機能を果たすことができ、かつ、層界面での消光反応を防止するための閉じ込め層としても機能することもできる。より具体的には、層150は、電子の移動を促進し、そしてこの層がなければ層140および160が直接接触する場合の消光反応の可能性を減少させることができる。任意選択の層150用の材料の例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニル−フェノラト)アルミニウム(III)(BAlQ)およびトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq)などの金属キレート化オキシノイド化合物;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、および1,3,5−トリ(フェニル−2−ベンズイミダゾール)ベンゼン(TPBI)などのアゾール化合物;2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリンなどのキノキサリン誘導体;9,10−ジフェニルフェナントロリン(DPA)および2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA)などのフェナントロリン誘導体;ならびにそれらの1つまたは複数のあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは、任意選択の層150は無機であってよく、BaO、LiF、LiOなどを含むことができる。
【0119】
カソード層160は、電子または負電荷キャリアの注入に特に効率的である電極である。カソード層160は、第1の電気接触層(この場合、アノード層110)よりも低い仕事関数を有するあらゆる金属または非金属であることができる。本明細書において使用される場合、用語「低い仕事関数」は、約4.4eV以下の仕事関数を有する材料を意味することを意図している。本明細書において使用される場合、「高い仕事関数」は、少なくとも約4.4eVの仕事関数を有する材料を意味することを意図している。
【0120】
カソード層の材料は、1族のアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Rb、Cs,)、2族金属(たとえば、Mg、Ca、Baなど)、12族金属、ランタニド(たとえば、Ce、Sm、Euなど)、およびアクチニド(たとえば、Th、Uなど)から選択することができる。アルミニウム、インジウム、イットリウム、およびそれらの組み合わせなどの材料を使用することもできる。カソード層160の材料の非限定的な具体例としては、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユウロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム、サマリウム、ならびにそれらの合金および組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
通常、カソード層160は、化学蒸着法または物理蒸着法によって形成される。ある実施形態においては、カソード層は、アノード層110に関して上に議論されたように、パターン化される。
【0122】
本発明のデバイス中のその他の層は、このような層によって果たされるべき機能を考慮してこのような層に有用であることが知られているあらゆる材料でできていることができる。
【0123】
ある実施形態においては、封入層(図示せず)が、本発明のデバイス100中への、水および酸素などの、望ましくない成分の進入を防ぐために接触層160の上に堆積される。このような成分は、有機層140に有害な影響を及ぼしうる。一実施形態においては、封入層はバリア層またはフィルムである。一実施形態においては、封入層はガラス蓋である。
【0124】
図示されていないが、本発明のデバイス100が追加の層を含んでもよいことは理解される。当技術分野においてまたは別の方法で公知である他の層を使用することができる。さらに、上記の層のいずれも2つ以上のサブ層を含むことができるか、または薄層状構造を形成することができる。あるいは、層の幾らかまたはすべてを、デバイスの電荷キャリア輸送効率または他の物理的特性を上げるために、処理する、特に表面処理することができる。各構成要素層用の材料の選択は、高いデバイス効率のデバイスを提供するという目標を、デバイスの稼働寿命考慮事項、製造時間および複雑性要因、ならびに当業者に認識されている他の考慮事項とバランスさせることによって、好ましくは決定される。最適な構成要素、構成要素の構成、および組成アイデンティティの決定は、当業者の日常的な作業であることは理解されるであろう。
【0125】
一実施形態においては、種々の層は以下の範囲の厚さを有する:アノード110、500〜5000Å、一実施形態においては1000〜2000Å;緩衝層120、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å、および正孔輸送層130、50〜2000Å、一実施形態においては200〜1000Å;電気活性層140、10〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;任意選択の電子輸送層150、50〜2000Å、一実施形態においては100〜1000Å;カソード160、200〜10000Å、一実施形態においては300〜5000Å。デバイス中の電子−正孔再結合ゾーンの位置、したがってデバイスの発光スペクトルは、各層の相対厚さによって影響されうる。したがって、電子輸送層の厚さは、電子−正孔再結合ゾーンが発光層中に存在するように選択すべきである。層の厚さの望ましい比は、使用される材料の厳密な性質に依存する。
【0126】
動作中、適切な電源(図示せず)からの電圧がデバイス100に印加される。それによって、電流がデバイス100の層に流れる。電子は有機ポリマー層に入り、フォトンを放出する。アクティブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる、あるOLEDでは、光活性有機フィルムの個別の堆積物は、電流の流れによって独立して励起させ、個別のピクセルを発光させることができる。パッシブマトリックスOLEDディスプレイと呼ばれる、あるOLEDでは、光活性有機フィルムの堆積物は、電気接触層の横列および縦列によって励起させることができる。
【実施例】
【0127】
本明細書に記載される概念を以下の実施例でさらに説明するが、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲がこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0128】
フィルム試料作製およびケルビンプローブ測定の一般手順
実施例および比較例において例示される材料を、30mm×30mmのガラス/インジウム/スズ半導性酸化物(ITO)基体上にスピンコーティングした。ITO/ガラス基体は、100〜150nmのITO厚さを有する中心部における15mm×20mmのITO領域からなる。15mm×20mmのITO領域の1つのコーナーにおいて、ガラス/ITOの縁端部に延在するITOフィルム表面は、ケルビンプローブ電極との電気接点として機能する。スピンコーティングの前に、ITO/ガラス基体を清浄にし、続いてそのITO側を酸素プラズマで15分間処理した。水性試料溶液または分散液でのスピンコーティング後に、延在するITOフィルムのコーナー上に堆積した層を、水でぬらした綿帯状物チップで除去した。露出したITOパッドを、ケルビンプローブ電極と接触させるために使用した。次に、堆積フィルムを実施例または比較例に記載されるように乾燥させた。次に、乾燥フィルム試料を、窒素で満たされたガラス容器中に入れ、測定まで蓋をしたままにした。
【0129】
エネルギーポテンシャルの測定については、試料の測定の前に、基準として周囲雰囲気でエージングした金フィルムを最初に測定した。同じ大きさのガラス上の金フィルムを、正方形の鋼製容器の底部に切り取られた空洞の中に入れた。この空洞の側面には、試料片を適所にしっかりと固定するために4つの保持クリップが存在する。1つの保持クリップには、ケルビンプローブの第2の電極との接触を形成するための電線が取り付けられる。金フィルムを上向きに配置し、鋼製蓋の中央から突出するケルビンプローブチップを、金フィルム表面の中央の上まで下げた。次に、4つのコーナーにおいて、正方形の鋼製容器上へ蓋をしっかりとネジで締めた。正方形の鋼製容器の側面の孔に、ケルビンプローブセルに窒素を通過させるためのチューブを接続し、窒素出口には、周囲圧力を維持するための鋼製針が挿入されている隔壁で蓋をした。次に、プローブの設定をそのプローブに最適なものにし、チップの高さだけを測定中に調節した。以下のパラメータを有するMcAllister KP6500 Kelvin Probeメータにケルビンプローブチップを接続した:1)振動数:230;2)振幅:20;3)DCオフセット:試料ごとに変動;4)バッキング電位(backing potential)上限:2ボルト;5)バッキング電位下限:−2ボルト;6)走査速度:1;7)トリガー遅延:0;8)取得(A)/データ(D)点:1024;9)A/D比率:19.0サイクルにおいて12405;10)D/A:遅延:200;11)セットポイント勾配:0.2;12)ステップサイズ:0.001;13)最大勾配偏移(maximum gradient deviation):0.001。トラッキング勾配(tracking gradient)が安定した直後に、金フィルムとプローブチップとの間の接触電位差またはCPD(ボルト単位で表す)を記録した。次に、金のCPDの基準を(4.7−CPD)eV(電子ボルト)とした。文献によれば、周囲雰囲気でエージングした金フィルム表面の仕事関数は4.7eVである[Surface Science、316、(1994)、P380]。金のCPDを定期的に測定しながら、試料のCPDを測定した。金フィルム試料と同じ方法で、各試料を空洞内に取り付けた。試料と電気接触を形成する保持クリップについて、露出したITOパッドと良好な電気接触が形成されることを確実にするように十分に注意を払った。CPD測定の間ずっと、プローブチップを乱さないようにしながら、少量の窒素をセル内に流した。試料のCPDを記録した後、試料のCPDを4.7eVと金のCPDとの差に加えることによって、エネルギーポテンシャルまたは仕事関数を計算した。CPDから計算したエネルギーポテンシャルは、あらゆる導電性または非導電性材料について一般用語であるが、仕事関数は、導電性材料または半導電性材料についてのみである。下記の実施例および比較例においては、エネルギーポテンシャルが共役モノマーについて使用されるが、仕事関数が共役モノマーから製造された導電性ポリマーについて使用される。
【0130】
実施例1
本実施例は、実施例2および比較例A用の(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−3−イル)メタノール(EDOT−CHOH)の製造を例示する。
【0131】
a)3,4−ジメトキシチオフェンの合成:
この物質は、商業的に購入するかまたは次の通り製造することができる。
【0132】
ナトリウムメトキシドは、窒素雰囲気下に還流冷却器を備えた1Lの3口フラスコ中の氷浴冷却した無水メタノール(600mL)への小立方体のナトリウム金属(25g、1.05モル)のゆっくりした添加によって製造した。添加の間、ナトリウムは、水分から保護するために灯油で覆った。金属の完全な溶解後に、50g(0.207モル)の3,4−ジブロモチオフェンと、16.5g(0.207モル)の酸化銅(I)と、1.37g(0.00827モル)のヨウ化カリウムとを反応混合物に加えた。混合物を3日間還流させた。次に、反応物を室温に冷却し、焼結ガラスフリット漏斗を通して濾過した。結果として得られる固体をエーテルでリンスし、濾液を500mLの水中へ注いだ。次に、溶液をさらに多くのエーテルで抽出した。有機部分を組み合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒除去は淡黄色オイルを生じさせた。真空蒸留は26.2gの透明の無色オイルを生じさせ、その構造および純度は、Hおよび13C NMRならびにGC−MSによって確認した。収率は理論の88%であった。
【0133】
b)2−(ブロモメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシンの合成
窒素下に、20.0g(0.139モル)のジメトキシチオフェンと、25.0g(0.161モル)の3−ブロモ−1,2−プロパンジオールと、5gのp−トルエンスルホン酸とを、還流冷却器および撹拌棒を備えた500mLの丸底フラスコ中で350mLのトルエンと組み合わせた。反応混合物を窒素で30分間スパージし、次に100℃に一夜加熱した。室温に冷却すると、反応混合物をおよそ100mLに濃縮し、飽和炭酸カリウム溶液中へ注いだ、結果として得られる溶液をDCMで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、次に硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒除去は黒色オイルを生じさせた。この粗物質を、3:1ヘキサン/DCMを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製した。溶媒除去は白色固体を生じさせ、それを高真空下に一夜乾燥させて18.6gの物質を生じさせた。構造および純度は、H/13C NMRおよびGC−MSによって確認した。収率は理論の57%であった。
【0134】
c)(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メチルアセテート(EDOT−MeOAc)の合成
50mLのシュレンク(Schlenk)管中で、1.00gの2−(ブロモメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシンを0.5(0.0051モル)の酢酸カリウムおよび25mLのDMSOと組み合わせた。管を密封し、100℃で1時間撹拌した。この時点でTLCは出発原料の完全な消費を示唆した。反応物を水中へ注ぎ、エーテルで抽出した。減圧下にエーテルを除去した後、ヘキサン中の90%塩化メチレンを使用してカラムクロマトグラフィーを行って淡黄色オイルを90%収率で単離した。構造および純度は、H/13C NMRおよびGC−MSによって確認した。
【0135】
d)(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−3−イル)メタノール(EDOT−MeOH)の合成
還流冷却器を備えた25mLの丸底フラスコ中で、0.64g(0.0030モル)の(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メチルアセテートを水中50%のNaOHと組み合わせた。反応物を一夜還流させ、次に室温に冷却した。次に、それを、100mLの水を満たしたエルレンマイアー(Erlenmeyer)フラスコ中へ注いだ。混合物を酸性化し、次にDCMで抽出した。溶媒を減圧下に除去し、カラムクロマトグラフィー(7:3のヘキサン/酢酸エチル)を行って0.46g(90%)の生成物を生じさせた。構造は、LC−MSおよびH/13C NMRによって確認した。
【0136】
e)(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−3−イル)メチルベンゾエートの合成
100mLの丸底フラスコ中で、9.00g(0.0382モル)の2−(ブロモメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシンと、6.39g(0.0459モル)の安息香酸アンモニウムと、55gのDMSOとを組み合わせた。フラスコに還流冷却器を備え付け、反応混合物を100℃で一夜加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水中へ注ぎ、生成物を塩化メチレンで抽出した。有機部分を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。カラムクロマトグラフィーによる精製は、7.5g(71%収率)の白色固体を生じさせ、その構造は、H/13C NMRおよびLC−MSによって確認した。
【0137】
f)(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−3−イル)メタノール(EDOT−CHOH)の合成
100mLの丸底フラスコ中で、7.5g(0.027モル)の(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−3−イル)メチルベンゾエートを最少量の温エタノールに溶解させ、50mLの水中の4.58g(0.081モル)の水酸化カリウムの還流溶液に滴加した。一夜加熱した後、反応物を室温に冷却し、濃塩酸の滴加によってpH7に酸性化した。反応混合物を塩化メチレンで抽出した。有機部分を合わせ、溶媒を減圧下に除去した。カラムクロマトグラフィーによる精製は、3.95g(85%収率)の(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−3−イル)メタノールを生じさせた。構造は、H/13C NMRおよびLC−MSによって確認した。
【0138】
実施例2
本実施例は、本明細書に記載されるような誘導体化導電性モノマー:1,1,2,2−テトラフルオロ−2−[1,2,2−トリフルオロ−2−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン−2−メチルオキシ)]−エタンスルホン酸の製造を例示する。フッ素化酸置換基は部分フッ素化スルホン酸である。エネルギーポテンシャルもまた測定する。
【0139】
1,1,2,2−テトラフルオロ−2−[(トリフルオロエテニル)オキシ]−エタンスルホニルフルオリド(6g、21.4ミリモル)を、メタノール(20mL)中の炭酸リチウム(1.59g、21.4ミリモル)のスラリーに加え、周囲温度で一夜撹拌した。反応の進行は、19F NMRにおける−SOFピーク(40ppm)の消失を追跡することによってモニターした。反応混合物を濾過し、アセトニトリル(40mL)およびエチレンカーボネート(5.4g)を溶液に加え、溶媒を減圧下に除去した。残りのメタノールを、H NMRで判断しながらトルエンとの共沸蒸留によって除去した。収量5.2gの白色固体(PSVE−Li−EC)。H NMR(CDCl,ppm):4.49(s)。19F NMR(CDCl,ppm):−86.0(app t,2F,J=6.0Hz),−117.7(app dd,1F,J=64.1,88.3Hz),−119.5(app s,2F),−124.9(ddt,1F,J=6.0,88.1,110.8Hz),−136.6(ddt,1F,J=6.1,64,111Hz)。
【0140】
ドライボックス中で、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−[(トリフルオロエテニル)オキシ]−エタンスルホン酸のリチウム塩(PSVE−Li−EC、1.30g、3.5ミリモル)と2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン−2−メタノール(EDOTCHOH、0.6g、3.5ミリモル)とを乾燥DMF(5mL)に溶解させた。リチウム第三ブトキシド(42mg、0.5ミリモル)を加え、反応混合物を周囲温度下に撹拌した。反応の進行は、CF=CF−シグナルの消失を追跡することによって19F NMRでモニターした。完了すると、DMFを80℃で真空下に除去して濃黄色オイルを生じさせ、それを3mLの1M水性HClですばやくリンスした。残渣を、80℃で真空下に乾燥させて1.5gの生成物を生じさせた(79%収率)。H NMR(CDCl,ppm):4.04−4.26(m,4H),4.39(m,1H),4.45(s,1.4H),5.85(d,1H,J=54Hz),6.35(app d,1H),6.38(app d,1H)。19F NMR(CDCl,ppm):−145.0(ddt,1F,J=6.1,27.3,54.1Hz),−118.3(m,2F),−90.3(m,2F),−86.4(app dd,1F,J=78,146Hz),−82.9(app dd,1F,J=48,146Hz)。NMRは、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−[1,2,2−トリフルオロ−2−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン−2−メチルオキシ)]−エタンスルホネートの構造を裏付ける。構造はまた、EDOT(エチレンジオキシチオフェン)−CH−OCFCHFOCFCFSOLiとして示される。
【0141】
上で製造した少量のEDOT−CH−OCFCHFOCFCFSOHのリチウム塩を少量の水に溶解させた。リチウム塩溶液にDowex M31、プロトン交換樹脂を加えてリチウム塩をスルホン酸に変換した。この溶液の2、3滴を、酸素プラズマ処理ITO/ガラス表面上に1,000RPMで60秒間スピンコーティングした。薄いフィルムを、窒素を流す部分真空チャンバー中で乾燥させた。次に、ITO/ガラス上の乾燥フィルムをケルビンプローブセルに取り付けた。試料とプローブチップとの間の接触電位差(CPD)は0.85Vであると測定された。次に、ITO/ガラス上のEDOT−CH−O−CFCHFOCFCFSOHのエネルギーポテンシャルは、空気でエージングした金フィルムの予め測定したCPD(0.6Vである)を基準として4.95eVであると計算された。高フッ素化スルホン酸が結合したEDOTは、比較例1に示す非フッ素化スルホン酸結合物のそれよりも高いエネルギーポテンシャルを有する。共役モノマーの高いエネルギーポテンシャルは、実施例3に例示される高い仕事関数の導電性ポリマーを達成すべきである場合には必要とされる。
【0142】
実施例3
本実施例は、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−[1,2,2−トリフルオロ−2−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン−2−メチルオキシ)]−エタンスルホン酸(部分フッ素化スルホン酸が結合した共役モノマー)の重合、および得られた導電性ポリマーの仕事関数を例示する。
【0143】
先ず、0.3688g(0.808ミリモル)の実施例2で製造したリチウム塩を、125mLのエルレンマイアーフラスコ中で32.68gの脱イオン水に溶解させた。硫酸第二鉄の原液を作製している間ずっと、この溶液を攪拌機で撹拌した。0.074gの硫酸第二鉄水和物(97%、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO,USA))を11.3662gの総重量へ脱イオン水に溶解させた。次に、0.65g(0.0082ミリモル)の硫酸第二鉄溶液を反応混合物に加え、これに0.162mL(2.02ミリモルのHCl)の37.87%(w/w)の水性HCl溶液の添加が続いた。この混合物を、過硫酸ナトリウム溶液の添加前に10分間撹拌した。先ず原液を、1.49gの過硫酸ナトリウム(Fluka,Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO,USA))に20.44gの総重量まで水を加えることによって作製した。0.24g(1.01ミリモル)の過硫酸ナトリウムを含有する3.173mLの溶液を、重合溶液中へ30分の間にポンプ送液した。重合を約23℃で20.5時間撹拌しながら進行させた。反応混合物は最初に青くなり、実験の終了前に一層暗色になった。重合液の一部を保管し、21.27gを、0.65gのDR−2030(Dow Chemicals Company製のプロトン交換樹脂)および1.97gのLewatit(登録商標)MP62 WS(Bayer(Pittsburgh,PA,USA))入りの30mLのプラスチックボトルに移した。混合物を5時間撹拌するに任せた。使用前に、これらの2つの樹脂を別々に、洗液に色が全く観察されなくなるまで脱イオン水で洗浄した。第1の樹脂処理後に、固形分を濾過して取り除き、濾液を、塩化物陰イオンおよびリチウム陽イオンの除去を確実にするために0.65gのDR−2030および1.97gのLewatit(登録商標)MP62(登録商標)WSで再び5時間処理した。14.8gの重合液を樹脂の除去後に集めた。この液体のpHは2.1であると測定された。
【0144】
重合液を使って石英プレート上にキャスティングされた薄いフィルムのUV/可視/近赤外スペクトルは、EDOT−CH−OCFCHFOCFCFSOHが導電性ポリマーに重合したことを示す。ポリマーフィルムの吸収は500nmで上がり始め、2,500nmで強い吸収を示す。EDOTポリマー鎖が部分酸化されて主鎖上に正電荷を有することは明らかである。正電荷は、モノマー上のスルホネート陰イオンでバランスがとられている。スルホネート陰イオンは、共役モノマーの一部であるので、このクラスの導電性ポリマーは、自己ドープ型導電性ポリマーと呼ばれる。
【0145】
上記のように製造したポリ(EDOT−CH−OCFCHFOCFCFSOH)の2、3滴を、酸素プラズマ処理ITO/ガラス表面上に1,040RPMで60秒間スピンコーティングした。薄いフィルムを、空気中120℃で7分間ホットプレート上で乾燥させた。次に、ITO/ガラス上の乾燥フィルムをケルビンプローブセルに取り付けた。試料とプローブチップとの間の接触電位差(CPD)は1.36Vであると測定された。次に、ITO/ガラス上のEDOT−CH−O−CFCHFOCFCFSOHの仕事関数は、空気でエージングした金フィルムの予め測定したCPD(0.6Vである)を基準として5.46eVであると計算された。この仕事関数は高く、EDOTへのフッ素化スルホン酸の結合に起因する。フッ素化酸で変性されたEDOTは、実施例2に例示されるように4.96eVのエネルギーポテンシャルを有する。共役モノマーの高いエネルギーポテンシャルは、高い仕事関数の導電性ポリマーを達成すべきである場合には必要とされる。酸結合物中の炭素に結合した利用可能な水素の70%がフッ素で置き換えられていることがここで指摘される。
【0146】
実施例4
本実施例は、EDOT(エチレンジオキシチオフェン)−CH−OCFCHFOCFCFSOLi[1,1,2,2−テトラフルオロ−2−[1,2,2−トリフルオロ−2−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ダイオキシン−2−メチルオキシ)]−エタンスルホネート]の重合、および得られた導電性ポリマーの導電率を例示する。重合は4℃で行った。
【0147】
第2の重合バッチを、重合温度を4℃に保ったことを除いて、実施例3に記載される手順に従って得た。樹脂の処理もまた、同じ方法で行った。色が紺青である、導電性ポリマー分散体のpHは2.2であると測定された。ポリマーフィルムの吸収は500nmで上がり始め、2,500nmで強い吸収を示す。分散体からキャスティングされた乾燥フィルムの導電率は室温で1×10−5S/cmであると測定された。
【0148】
比較例A
本比較例は、4−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メトキシ)ブタン−1−スルホン酸と4−(3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−イルオキシ)ブタン−1−スルホン酸との混合物(非フッ素化スルホン酸置換基を含有する共役モノマー)の製造およびそのエネルギーポテンシャルを例示する。
【0149】
先ず、(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メタノールと3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オールとの7:3混合物を、A.Lima、P.Schottland、A.Sadki、C.Chevrot、Synthetic Metals、93、33−41(1998)の論文に記載されている手順に従って製造した。この混合物を、ブタンスルトンと共にスルホン酸ナトリウムモノマーへの変換のために使用した。窒素充満ドライボックス中で、4.4g(0.026モル)の(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メタノールと3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オールとの7:3混合物を10mLの無水THFに溶解させ、40mLの無水THFと1.6g(0.039モル)の鉱油中の水素化ナトリウムの60%分散体とを含有する100mLのフラスコへ滴々移した。反応物を1時間撹拌した。5.3gのブタンスルトンを加え、反応混合物を3時間還流させた。次に、反応物を室温に冷却し、ドライボックスから取り出した。溶媒を減圧下に除去した。メタノールを固体に滴加して残存水素化ナトリウムを破壊し、混合物を濾過した。集めた固体をメタノールで洗浄した。メタノールを減圧下に除去した。ヘキサンを加え、混合物を窒素下に一夜放置した。結果として得られる固体を濾過し、真空下に一夜乾燥させて8.0gの生成物を、4−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メトキシ)ブタン−1−スルホン酸ナトリウムと4−(3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−イルオキシ)ブタン−1−スルホン酸ナトリウムとの7:3混合物として93%の収率で生じさせた。構造は、H/13C NMRおよびLC−MSによって確認した。4−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メトキシ)ブタン−1−スルホン酸ナトリウムはまた、EDOT(エチレンジオキシチオフェン)−CH−O−CHCHCHCHSONaとしても知られ、3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−オールはまた、ProDOT(プロピレンジオキシチオフェン)−O−CHCH2CHCHSONaとしても知られている。
【0150】
0.634gの上で製造したナトリウム塩の混合物を16.9283gの脱イオン水に溶解させた。ナトリウム塩溶液を、2.24gのAmberlyst 15、プロトン交換樹脂で処理してナトリウム塩をスルホン酸に変換した。Amberlyst 15樹脂を濾過によって除去した。結果として得られる無色透明の溶液を、スルホン酸へのスルホン酸ナトリウムの完全な変換を確実にするために追加の2.24gのAmberlyst 15で処理した。無色透明の液体を集め、この溶液の2、3滴を、酸素プラズマ処理ITO/ガラス表面上に1,000RPMで60秒間スピンコーティングした。薄いフィルムを、窒素で満たされた部分真空チャンバー中で乾燥させた。次に、ITO/ガラス上の乾燥フィルムをケルビンプローブセルに取り付けた。試料とプローブチップとの間の接触電位差(CPD)は0.15Vであると測定された。次に、ITO/ガラス上の非フッ素化酸混合物のエネルギーポテンシャルは、空気でエージングした金フィルムの予め測定したCPD(0.6V)を基準として4.22eVであると計算された。非フッ素化スルホン酸で変性されたモノマーの混合物は、部分フッ素化スルホン酸で変性されたものよりも低いエネルギーポテンシャルを有する(実施例2を参照されたい)。
【0151】
比較例B
本比較例は、4−(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ダイオキシン−2−イル)メトキシ)ブタン−1−スルホネートと4−(3,4−ジヒドロ−2H−チエノ[3,4−b][1,4]ジオキセピン−3−イルオキシ)ブタン−1−スルホネートとの混合物(非フッ素化スルホネートと結合した共役モノマー)の重合、および得られた導電性ポリマーの仕事関数を例示する。
【0152】
EDOT(エチレンジオキシチオフェン)−CH−O−CHCHCHCHSONaとProDOT(プロピレンジオキシチオフェン)−O−CHCHCHCHSONaとの混合物(1.5g)を37.51gの脱イオン水に溶解させた。1.94gのAmberlyst 15、プロトン交換樹脂をナトリウム塩溶液に加えてナトリウム塩をスルホン酸に変換した。変換後に、固体分は水中4.12%であると測定された。1.0g(3.243ミリモル)の固形分と10.84gの脱イオン水とを含有する24.27gの溶液を、125mLのエルレンマイアーフラスコに入れた。硫酸第二鉄の原液を作製している間ずっと、この溶液を撹拌した。0.0663gの硫酸第二鉄水和物(97%、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO,USA))を10.203gの総重量へ脱イオン水に溶解させた。次に、2.63gの硫酸第二鉄溶液(0.0171ミリモルの硫酸第二鉄)を反応混合物に加えた。この混合物を、過硫酸ナトリウム溶液の添加前に10分間撹拌した。先ず原液を、0.97gの過硫酸ナトリウム(Fluka,Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO,USA))に13.24gの総重量まで水を加えることによって作製した。0.97g(4.074ミリモル)の過硫酸ナトリウムを含有する12.73mLの溶液を、重合溶液中へ10分にわたってポンプ送液した。重合を約23℃で17.5時間撹拌しながら進行させた。最終溶液は1.1のpHを有すると測定され、暗緑色フィルムを形成することが分かった。
【0153】
上記のように製造したポリ(EDOT−CH−O−CHCHCHCHSOH)とポリ(ProDOT−O−CHCHCHCHSOH)との混合物の2、3滴を、酸素プラズマ処理ITO/ガラス表面上に1,020RPMで60秒間スピンコーティングした。薄いフィルムを、空気中120℃で7分間ホットプレート上で乾燥させた。次に、ITO/ガラス上の乾燥フィルムをケルビンプローブセルに取り付けた。試料とプローブチップとの間の接触電位差(CPD)は0.3Vであると測定された。次に、ITO/ガラス上の導電性ポリマー混合物の仕事関数は、空気でエージングした金フィルムの予め測定したCPD(0.6Vである)を基準として4.4eVであると計算された。このモノマー混合物はEDOTおよびProDOTに結合したフッ素化スルホン酸を含有しないので、仕事関数は低く、実施例2に例示される5.46eVよりもはるかに低い。
【0154】
実施例5
本実施例は、2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート]、パーフルオロスルホネート置換基がチオフェンに3位で結合したモノマーの合成を例示する。
【0155】
6.0g(28.6ミリモル)の3−ヨードチオフェンと、17.0g(32.3ミリモル)の2−(4−ヨード−オクタフルオロブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルフルオリドと、5.0gの銅(78.7ミリモル)とを、丸底フラスコ中の30mLのジメチルホルムアミド(DMF)に加えた。混合物を窒素下に110℃で18時間撹拌した。次に、反応混合物を室温に放冷した。エーテル(100mL)を反応混合物に加え、それを濾過して固形分を除去し、固形分をエーテルで洗浄した。エーテル層を分離し、靄を除去するために1mLの5%水性HClを含有する脱イオン水で洗浄した。エーテル層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させた。スラリーを濾過し、揮発分を蒸発させて9.78gの残留物をもたらし、それをおよそ47℃および0.35mmHgの圧力で蒸留して6.83gの無色透明の液体を生成した。この留分は2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルフルオリドであると特定された。
【0156】
2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルフルオリド(5.71g、11.84ミリモル)を、1口の250mL丸底フラスコに加えた。次に、51.1gのメタノールと5.95gの炭酸ナトリウムとを加えた。添加が完了したら、フラスコを注入口アダプターで蓋をした。反応混合物を48時間撹拌するに任せた。反応混合物を濾過し、揮発分を真空下に除去して白っぽい固体を生じさせ、それは2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸のナトリウム塩であると特定された。
【0157】
実施例6
本実施例は、酸形態の2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートのエネルギーポテンシャルを例示する。
【0158】
2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸のナトリウム塩(0.6351g、実施例5に記載されるように製造した)を、16.9407gの脱イオン水と混合した。2.24gのAmberlyst 15、酸交換樹脂をこの溶液に加えた。反応混合物を撹拌してナトリウムをプロトンと交換させた。樹脂を濾過によって除去し、溶液はpH=1.56を有することが分かり、2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートが酸形態にあることを示唆した。この溶液の2、3滴を、酸素プラズマ処理ITO/ガラス表面上に1,800RPMで60秒間スピンコーティングした。薄いフィルムを、窒素で満たされた部分真空チャンバー中で乾燥させた。次に、乾燥フィルムをケルビンプローブセルに取り付けた。試料とプローブチップとの間の接触電位差(CPD)は1.52Vであると測定された。ITO/ガラス上のチオフェン−(CF−O−(CF−SOHのエネルギーポテンシャルは、空気でエージングした金フィルムの予め測定したCPD(0.7Vである)を基準として5.52eVであると計算された。過フッ素化スルホン酸で変性されたEDOTモノマーは、比較例1に例示された非フッ素化スルホン酸結合物のそれよりもはるかに高いエネルギーポテンシャルを有する。それはまた、実施例2に例示された部分フッ素化スルホン酸結合物のそれよりも高い。共役モノマーに結合したパーフルオロスルホン酸が最高のエネルギーポテンシャルを有することは明らかである。
【0159】
実施例7
本実施例は、塩形態の2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートのエネルギーポテンシャルを例示する。
【0160】
実施例6に記載されるように製造された水性2−[4−(3−チオフェン−オクタフルオロブトキシ)]−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホン酸溶液を希水酸化ナトリウム溶液で処理してそのpHを1.56からpH6.95に調整した。この溶液の2、3滴を、酸素プラズマ処理ITO/ガラス表面上に1,000RPMで60秒間スピンコーティングした。薄いフィルムを、窒素で満たされた部分真空チャンバー中で乾燥させた。次に、ITO/ガラス上の乾燥フィルムをケルビンプローブセルに取り付けた。試料とプローブチップとの間の接触電位差(CPD)は0.81Vであると測定された。次に、ITO/ガラス上のチオフェン−(CF−O−(CF−SONaのエネルギーポテンシャルは、空気でエージングした金フィルムの予め測定したCPD(0.63Vである)を基準として4.9eVであると計算された。過フッ素化スルホン酸ナトリウムで変性されたEDOTモノマーは、その相当品のスルホン酸のそれよりもはるかに低いエネルギーポテンシャルを有する。しかしながら、それは、比較例1に例示されるような酸形態の非フッ素化結合物と比べて依然として高い。本例示は、自己ドープ型モノマーから製造された導電性ポリマーが高いpHに調整することができ、かつ、依然として高い仕事関数を維持できることを示す。
【0161】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つまたは複数のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0162】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0163】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0164】
明確にするために、別々の実施形態の状況において本明細書に記載されている特定の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするために、1つの実施形態の状況において記載される種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。本明細書において明記される種々の範囲内の数値が使用される場合、記載の範囲内の最小値および最大値の両方の前に単語「約」が付けられているかのように近似値として記載されている。この方法では、記載の範囲よりもわずかに上およびわずかに下のばらつきを使用して、その範囲内の値の場合と実質的に同じ結果を得ることができる。また、これらの範囲の開示は、ある値の一部の成分を異なる値の一部の成分と混合した場合に生じうる分数値を含めて、最小平均値と最大平均値との間のすべての値を含む連続した範囲であることを意図している。さらに、より広い範囲およびより狭い範囲が開示される場合、ある範囲の最小値を別の範囲の最大値と一致させること、およびその逆のことが本発明の意図の範囲内となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
PCM−(FAS)
(式中、
PCMは前駆体導電性モノマーであり、
FASはフッ素化酸置換基であり、そして
xは1〜5の整数である)
を有する誘導体化導電性モノマー。
【請求項2】
PCMが、チオフェン類、ピロール類、アニリン類、および多環式芳香族化合物からなる群から選択される、請求項1に記載のモノマー。
【請求項3】
FASが高フッ素化されている、請求項1に記載のモノマー。
【請求項4】
FASが完全フッ素化されている、請求項1に記載のモノマー。
【請求項5】
FASが、スルホン酸およびスルホンアミドからなる群から選択される酸性基を有する、請求項1に記載のモノマー。
【請求項6】
FASが、アルキル基、アルコキシ基、アミド基、エーテル基、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される置換基である、請求項1に記載のモノマー。
【請求項7】
請求項1に記載の誘導体化導電性モノマーから製造されたポリマー。
【請求項8】
請求項7に記載のポリマーを含む少なくとも1つの層を有する有機電子デバイス。
【請求項9】
2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1つの電気活性層を含む電子デバイスであって、請求項1に記載の誘導体化導電性モノマーから製造されたポリマーを含む層をさらに含む電子デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2010−514903(P2010−514903A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544120(P2009−544120)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/026511
【国際公開番号】WO2008/082662
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】