導電性ローラ、及び画像形成装置
【課題】より安価に製造することができる樹脂製シャフトを有する導電性ローラ、及び、現像ローラが樹脂製シャフトを有するものであっても安定した印字性能を発揮できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】導電性ローラ1は、基本的に、非導電性樹脂からなるシャフト(芯体)2の外周面に導電樹脂層3、弾性層4、及び被覆層5がこの順番に設けられたものである。導電樹脂層3を設けることにより、シャフト2が非導電性であるにもかかわらず、導電性ローラ1が従来の導電性ローラと同様の機能を有することができる。導電樹脂層3は導電性樹脂からなる。現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する画像形成装置、及び、クラウン形状を有する現像ローラを用いる画像形成装置も提供される。
【解決手段】導電性ローラ1は、基本的に、非導電性樹脂からなるシャフト(芯体)2の外周面に導電樹脂層3、弾性層4、及び被覆層5がこの順番に設けられたものである。導電樹脂層3を設けることにより、シャフト2が非導電性であるにもかかわらず、導電性ローラ1が従来の導電性ローラと同様の機能を有することができる。導電樹脂層3は導電性樹脂からなる。現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する画像形成装置、及び、クラウン形状を有する現像ローラを用いる画像形成装置も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性ローラ及び画像形成装置に関し、さらに詳細には、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を採用した画像形成装置に好適に使用される導電性ローラ、及び、現像ローラと感光ドラムとの接触性に優れた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられている電子写真方式の画像形成装置では、静電潜像を保持した感光ドラムに非磁性一成分系現像剤(以下、「トナー」と称す。)を供給し、静電潜像上に現像剤を付着させて潜像を可視化する現像方法が行われている(特許文献1)。
【0003】
図9に、当該現像方法を行うための電子写真方式による画像形成装置の一般的な構成を示す。図9に示す画像形成装置120は、感光ドラム110を中心として帯電ローラ111、露光部112、現像ローラ101、転写ローラ113、及びクリーニングブレード115からなる。現像ローラ101は、トナー収容部116の開口近傍と感光ドラム110との間に設けられている。トナー収容部116にはトナーが帯電状態で収納されている。
【0004】
画像形成装置120では、帯電ローラ111で感光ドラム110を一様に帯電し、露光部112で露光して感光ドラム110上に静電潜像を形成させる。さらに、感光ドラム110に現像ローラ101を押し当てて感光ドラム110にトナーを供給する。トナーは帯電した状態で感光ドラム110に供給され、静電潜像上にトナー像が形成される。そして、感光ドラム110と転写ローラ113との間に挟まれた記録紙等にトナー像を転写する。また残余のトナーは、クリーニングブレード115でかき落とされ、トナー収容部に回収されて再利用される。
【0005】
図10に現像ローラ101と感光ドラム110との位置関係を示す。図10は、一般的な画像形成装置の主要部を表す平面図である。すなわち、現像ローラ101は回転軸となるシャフト(芯体)102を有し、その両端が軸受け118a,118bにより支持されている。そして、現像ローラ101と感光ドラム110とは各々の中心軸が平行になるように配置され、互いに接触している。そのため、軸受け118a,118bは、その中心線が現像ローラ101の中心軸線と一致する方向に配置されている。
【0006】
このように、当該現像方式では、トナーを担持した導電性の現像ローラ101を感光ドラム110に接触させて、トナーを感光ドラム110上の静電潜像に付着させることで、潜像を可視化し、現像を行うのであるが、この際、現像ローラ101を感光ドラム110に一定の接触幅(以下、「ニップ幅」と称す。)で確実に密着させる必要がある。そのため、現像ローラ101においては、感光ドラム110との接触部は弾性体で形成される。また、静電気的にトナーを感光ドラム110へ付着させる必要があるため、現像ローラ101は導電性を有し電気的回路が形成できるものである必要がある。
【0007】
図11は、一般的な現像ローラの断面図である。図11に示す現像ローラ101は、導電性のシャフト(芯体)102の外周面に弾性層103が設けられ、さらに弾性層103の外周面に被覆層105が設けられたものである。回転軸でローラの芯であるシャフト102は、導電性を有する材料、例えばステンレススチール、SUM材、アルミニウム合金等の金属からなる。弾性層103は、例えばカーボンブラックや金属等の導電性付与剤を、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエン系ゴム等のエラストマーに混合し、適度の導電性を付与した弾性体からなる。被覆層105は、導電性や表面粗さに応じて適宜設けられるものである。図11の被覆層105は単一の層からなるが、複数の層からなるものもある(特許文献2)。
【0008】
画像品質に大きく影響する前記ニップ幅を一定に保つためには、シャフト102として、直線精度がよく曲がりのないものが要求される。この意味で、金属はシャフト102を形成するための材料として適している。しかしながら、金属製のシャフトを製作するためには金属加工が必要で、種々の問題がある。例えば、現像ローラ101の回転を確実にするために、シャフト102の両端部のDカット面形成や、スラスト位置決め用のCリング溝形成、段差形成などの形状加工が必要となり、大きな費用がかかる。また、金属は質量が大きいため、金属製のシャフトを有する現像ローラも質量が大きくなり、画像形成装置の軽量化、小型化を困難にしている場合がある。
【0009】
そこで、金属製シャフトに代わるものとして、導電性樹脂からなる中実または中空の樹脂製シャフトを有する現像ローラが提案されている(特許文献3)。しかしながら、一般的に導電性樹脂は、導電性を付与するために高価な原料と特殊な製造プロセスを必要とし、一般樹脂に比べて非常に高価な場合がある。特に、中実形状のシャフトを形成する場合には、樹脂原料を多く使用するため、金属製シャフトより高価となってしまう場合がある。一方、中空形状の導電性樹脂製シャフトを形成する場合には、材料費は削減できることがある。しかしながら、片方の軸を形成するためのフランジなどの部品が別途必要となり、またその組み立て工程が増加するため、総合的なコスト優位性はやはり薄いものとなる。
【0010】
また一般に、樹脂製のシャフトは、成形時の成形収縮や残留応力等のために、金属加工品のシャフトに比べて寸法精度が劣る。具体的には、真円度が低いもの、偏芯しているもの、反りが生じているもの等となりやすい。そのような樹脂製シャフトを有する現像ローラは、画像形成装置において感光ドラムとの安定した接触性を発揮できず、ニップ幅が一定しない場合がある。なお、樹脂製シャフトの寸法精度を向上させるために、圧縮成形との併用や成形時間を長くするなどの工夫が行われているが、操作が煩雑である。このように、樹脂製シャフトを有する現像ローラを組み込んだ画像形成装置においては、実用化になお多くの困難性を有している。
【特許文献1】特開昭55−77764号公報
【特許文献2】特許3664768号公報
【特許文献3】特開2006−23700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、樹脂製シャフトを採用し、より安価に製造することができる導電性ローラ、及び、現像ローラが樹脂製シャフトを有するものであっても安定した印字性能を発揮できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられていることを特徴とする導電性ローラである。
【0013】
本発明は導電性ローラにかかるものであり、非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられている。すなわち本発明の導電性ローラは、金属や導電性樹脂からなる芯体ではなく、非導電性樹脂からなる芯体を有する。そして、該非導電性樹脂製の芯体の外周面に導電性樹脂製の導電樹脂層が設けられており、芯体と導電樹脂層とからなる部分が従来の導電性ローラにおける金属製や導電性樹脂製の芯体と同様の機能を有している。本発明の導電性ローラは、芯体の材料として導電性樹脂を用いないので、従来の樹脂製シャフトを有する現像ローラに比べて安価に製造できる。さらに、シャフトの加工時にフランジ等の他の部品を必要としないので、組み立てが簡単である。本発明の導電性ローラは、例えば、画像形成装置に組み込まれる現像ローラとして好適に用いられる。
【0014】
前記導電樹脂層の体積抵抗値は、1×106Ω・cm以下である構成が推奨される(請求項2)。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記導電樹脂層は、前記芯体の少なくとも一方の軸端部の一部又は全部を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラである。
【0016】
本発明の導電性ローラにおいては、導電樹脂層が芯体の少なくとも一方の軸端部の一部又は全部を被覆しているので、当該軸端部から導電樹脂層を経由して給電することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記導電樹脂層を構成する導電性樹脂は、熱可塑性樹脂に導電性付与剤を含有させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラである。
【0018】
本発明の導電性ローラにおいては、導電樹脂層を構成する導電性樹脂が熱可塑性樹脂を主体とするものであるので、導電樹脂層の形成を射出成形等により容易に行える。
【0019】
前記弾性層の体積抵抗値は、1×103Ω・cm以上かつ1×106Ω・cm以下である構成も推奨される(請求項5)。
【0020】
前記弾性層の外周面に、さらに被覆層が設けられている構成も推奨される(請求項6)。
【0021】
請求項7に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0022】
本発明の画像形成装置は現像ローラと感光ドラムとを備えるものであり、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される。そして、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが樹脂製の芯体を有する導電性ローラであり、かつ現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する。上述のように、樹脂製の芯体を有する現像ローラは軽量であるが寸法精度に劣り、画像形成装置に組み込んで使用すると感光ドラムとの接触性が悪く、安定したニップ幅が実現されないことがあった。しかし、本発明の画像形成装置では、樹脂製の芯体を有する現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転するので、現像ローラの寸法精度が低い場合(例えば、真円度が低い、偏芯している、反りが生じている等)でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に密着することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、前記現像ローラの芯体の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置である。
【0024】
かかる構成により、現像ローラの芯体が適度な柔軟性と靭性を有することとなり、現像ローラがより安定に反って感光ドラムに密着することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
本発明の画像形成装置も現像ローラと感光ドラムとを備えるものであり、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される。そして、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが本発明の導電性ローラ、すなわち、非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられている導電性ローラであり、現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する。本発明の画像形成装置においても、樹脂製の芯体を有する現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転するので、現像ローラの寸法精度が低い場合でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に密着することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。さらに、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが非導電性樹脂からなる芯体を有するものであり安価に製造できるので、本発明の画像形成装置も製造コスト的に有利なものとなる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、前記現像ローラの芯体と導電樹脂層とからなる部分の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置である。
【0028】
かかる構成により、現像ローラの芯体と導電樹脂層とからなる部分が適度な柔軟性と靭性を有することとなり、現像ローラがより安定に反って感光ドラムに密着することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記現像ローラの両端は軸受けで支持されており、該軸受けは感光ドラム側に角度を付けて配置されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0030】
本発明の画像形成装置においては、現像ローラの両端を支持する軸受けが、感光ドラム側に角度を付けて配置されている。かかる構成により、現像ローラがより安定に反って感光ドラムに密着することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、前記軸受けは、感光ドラム側に付勢されていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置である。
【0032】
かかる構成により、現像ローラと感光ドラムとの接触量の変動が緩和され、現像ローラがより確実に感光ドラムに密着することができる。
【0033】
請求項13に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0034】
また請求項14に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0035】
本発明の画像形成装置も現像ローラと感光ドラムとを備えるものであり、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される。そして、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが樹脂製の芯体を有する導電性ローラであり、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有する。さらに、現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転する。本発明の画像形成装置では、クラウン形状を有する現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転するので、現像ローラが寸法精度の低いものである場合でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に接触することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の導電性ローラによれば、芯体の材料が導電性樹脂ではないので、従来の樹脂製シャフトを有する現像ローラに比べて安価に製造できる。さらに、シャフトの加工時にフランジ等の他の部品を必要としないので、組み立てが簡単である。
【0037】
本発明の画像形成装置によれば、現像ローラが寸法精度の低いものである場合でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に接触することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、ここでは図1〜8を参照しながら順次説明するが、これらの図は模式的な部分を含んでおり、必ずしも実際の寸法を表していない。
図1は、本発明の一実施形態にかかる導電性ローラの斜視図である。図2(a)は、図1のA−A断面図、図2(b)は、図1の導電性ローラの長手方向の断面図である。
【0039】
本実施形態の導電性ローラ1は、A4サイズのレーザープリンター(画像形成装置)に組み込まれる現像ローラとして好適なものである。図1、図2(a)、図2(b)に示すように、本実施形態の導電性ローラ1は、基本的に、シャフト(芯体)2の外周面に導電樹脂層3、弾性層4、及び被覆層5がこの順番に設けられたものである。
図1に示すように、導電性ローラ1は、使用時に軸受けで支持される端部7a,7bを有する。端部7a,7bには、導電性ローラ1を画像形成装置等に組み込むときのスラスト方向の位置決め用に、それぞれ段差8a,8bが設けられている。さらに、一方の端部7aには、導電性ローラ1を回転させる際の滑り留めとして、Dカット面10が形成されている。
【0040】
図2(b)に示すように、導電性ローラ1の一方の端部7aはシャフト2の軸端部11aの全部(外周面と端面)を導電樹脂層3で被覆することにより形成されている。すなわち、導電性ローラ1の端部7aは、外見上は導電樹脂層3の一部であり、導電樹脂層3からなる段差8aを有している。そして、導電性ローラ1の使用時には、端部7aに形成されたDカット面10上の導電樹脂層3から給電される。なお、Dカット面の形成は端部7aと端部7bのいずれでもよく、また図2(b)ではDカット面10を省略している。
一方、図2(b)に示すように、導電性ローラ1の他方の端部7bはシャフト2の一部であり、段差8bもシャフト2上に形成されている。すなわち、端部7bは端部7aとは異なり、導電樹脂層3で被覆されていない。
【0041】
シャフト2は、長さ約267mmの細長い棒状の部材である。シャフト2の一方の軸端部11aは、シャフト2の本体部分から形成されたものであり、導電樹脂層3が被覆されることにより導電性ローラ1の端部7aの一部を構成している。一方、シャフト2の他方の軸端部11bもシャフト2の本体部分から形成されたものであるが、そのまま導電性ローラ1の端部7bを構成しており、段差8bを有する。
図2(a)に示す断面におけるシャフト2の外径は約8mmであるが、これに限定されるものではなく、導電性ローラ1の用途等に応じて適宜選択すればよい。例えば5mm〜10mmの外径を有するものであればよい。
【0042】
シャフト2は非導電性樹脂からなり、具体的には、導電性付与剤を実質的に含まない樹脂からなる。ここで「非導電性」とは、導電性を実質的に有さないことを意味する。例えば、樹脂または樹脂成形品の体積抵抗値が1×108Ω・cm以上であれば、当該樹脂または樹脂成形品は実質的に導電性を有さないので、非導電性である。シャフト2においても、その体積抵抗値は1×108Ω・cm以上である。
シャフト2を構成する樹脂としては特に限定はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよいが、熱可塑性樹脂であれば射出成形が容易であり生産性の点で有利である。熱可塑性樹脂は、汎用樹脂とエンジニアリングプラスチックのいずれでもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニール(PVC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ナイロン(ポリアミド;PA)、ポリアセタール(ポリオキシメチレン;POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。なお、適度の曲げ弾性を得るために、該非導電性樹脂にガラスや無機物などの充填材を添加して弾性率を高めたり、逆に、可塑剤や滑材を添加して弾性率を弱めたりしてもよく、また、他樹脂とのアロイ化も可能である。
【0043】
図2(a)、図2(b)に示すように、導電樹脂層3はシャフト2の中央部の外周面に設けられている。導電樹脂層3を設けることにより、シャフト2が非導電性であるにもかかわらず、導電性ローラ1が図11に示すような従来の導電性ローラ101と同様の機能を有することができる。図2に示す断面における導電樹脂層3の厚さは約2.5mmであり、図2に示す断面におけるシャフト2の外径(約8mm)の約0.31倍である。また、導電樹脂層3の、後述の弾性層4と被覆層5が積層される部分の長さは約235mmである。ただし、導電樹脂層3の厚さと長さは特に限定されるものではなく、導電性ローラ1の用途等により適宜選択すればよい。なお、導電樹脂層3の厚さは経済性の面からは薄いほど好ましいが、導電性樹脂の体積抵抗値、長さ、及び成形性によって最適な厚さが決まり、好ましくは1mm〜3mmである。
【0044】
導電樹脂層3は導電性樹脂からなり、具体的には、導電性付与剤を含有させた樹脂からなる。導電樹脂層3を構成する樹脂としては特に限定はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよいが、熱可塑性樹脂であれば射出成形が容易である。シャフト2と同様に、当該熱可塑性樹脂は汎用樹脂とエンジニアリングプラスチックのいずれでもよく、上記で例示された熱可塑性樹脂の具体例が導電樹脂層3にも適用できる。
【0045】
導電樹脂層3に含有させる導電性付与剤としては特に限定はなく、カーボンブラック、グラファイト、金属微粉末、有機リチウム塩、無機リチウム塩等の一般的なものがそのまま使用できる。カーボンブラックの具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、オイルブラックなどが挙げられる。さらに、第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等を有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミドもしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物または高分子化合物なども、導電樹脂層3に含まれる導電性付与剤として使用可能である。
導電性付与剤の含量としては、導電性ローラ1に所定の導電性を付与できる含量であれば特に限定はないが、導電樹脂層3の体積抵抗値が1×106Ω・cm以下となるように添加することが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態の導電性ローラ1では一方の端部7aの全部が導電樹脂層3で被覆されているが、端部7aの一部が導電樹脂層3で被覆されていてもよい。また、本実施形態の導電性ローラ1では他方の端部7bは導電樹脂層3で被覆されていないが、両方の端部7a,7bが導電樹脂層3で被覆されていてもよい。また逆に、端部7a,7bのいずれもが導電樹脂層3で被覆されていない実施形態も可能である。この場合には、導電性ローラが組み込まれる画像形成装置等に適当な給電手段を設けることにより、導電性ローラとして使用可能となる。
【0047】
図2(a)、図2(b)に示すように、弾性層4は導電樹脂層3の中央部の外周面に設けられている。弾性層4は、図11の弾性層103と基本的に同じものであり、導電性付与剤を適宜のエラストマーに混合した、適度の導電性を付与した弾性体からなる。当該エラストマーとしては、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエン系ゴム等が挙げられる。導電性付与剤としては、上記で例示したものがそのまま使用できる。弾性層4の体積抵抗値は1×103Ω・cm〜1×106Ω・cmの範囲である。弾性層4の厚さは約1.5mmであり、図2に示す断面におけるシャフト2の外径(約8mm)の約0.19倍である。また、弾性層4の長さは約235mmであり、導電樹脂層3の端部7a以外の部分を被覆している。ただし、弾性層4の厚さは特に限定されるものではなく、導電性ローラ1の用途等により適宜選択すればよい。なお、弾性層4の厚さは経済性の面からは薄いほど好ましいが、弾性層4を構成する弾性体の硬度、体積抵抗値、及び成形性によって最適な厚さが決まり、好ましくは1mm〜20mm、より好ましくは1mm〜5mmである。
【0048】
弾性層4を構成する弾性体のより具体的な例として、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる有機重合体(主剤)、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロシリル化触媒、及び(D)導電性付与剤、を主成分とするものが挙げられる。
【0049】
図2に示すように、被覆層5は弾性層4の外周面に設けられている。被覆層5は、図11の被覆層105と基本的に同じものであり、導電性付与剤を適宜の樹脂に混合した材料からなる。当該樹脂としては、例えば、ポリウレタン等の磨耗性に優れた材料が使用できる。導電性付与剤としては、上記で例示したものがそのまま使用できる。被覆層5の厚さは0.001mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.1mmである。被覆層5の長さは弾性層4と同じである。なお、本実施形態の導電性ローラ1では被覆層5は単一の層からなるが、複数の層からなるものでもよい。
【0050】
本実施形態の導電性ローラ1は、シャフト2が非導電性であるにもかかわらず、導電樹脂層3が設けられることで、従来の金属製シャフトや導電性樹脂製シャフトを有する導電性ローラと同等の機能を有する。本実施形態の導電性ローラ1は、例えば、電子写真方式の画像形成装置の現像ローラとして使用することができる。その他、電子写真方式の画像形成装置の帯電ローラ、転写ローラとしても使用することができる。
【0051】
次に、導電性ローラ1の製法について説明する。導電性ローラ1は、射出成形等の公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。以下に製造工程の一例を挙げる。
【0052】
まず、非導電性樹脂からなるシャフト2を準備する。シャフト2はポリプロピレン等を一般的な射出成形に供することにより作製できる。次に、図3(a)、図3(b)に示すような金型を用い、シャフト2の外周面に導電樹脂層3を形成させる。図3(a)は、導電樹脂層の形成に使用可能な金型を模式的に表す断面図であり、図3(b)は図3(a)の固定金型部分の拡大断面図である。
【0053】
図3(a)に示す金型20はいわゆるカウンター式射出成形を行うためのものであり、可動金型21、固定金型22、可動スリーブ23、及び突き出しピン24によって構成されている。
【0054】
可動金型21は固定金型22に対して開閉可能であり、閉じることにより金型が密封される。可動金型21は円筒状であり、その内部にシャフト2を装着するための空間を有する。可動金型21の内径は13mmである。
【0055】
可動金型21を閉じることにより、可動金型21の一端側(図面では右側)が固定金型22で封鎖される。固定金型22は射出機35に固定されており、外側の端面に樹脂注入口28を備え、射出機35から吐出される樹脂原料が樹脂注入口28から注入される。図3(b)に示すように、固定金型22の中心には穴部26及びこれに続くゲート30とランナー29が設けられており、ランナー29は樹脂注入口28と連通している。すなわち、穴部26はゲート30とランナー29とを介して樹脂注入口28と連通している。また、穴部26には段差27が設けられている。
【0056】
可動スリーブ23は円筒状であり、可動金型21の内側に設けられている。可動スリーブ23には図示しないアクチュエータが連結されており、可動スリーブ23は可動金型21の内面に沿って移動可能である。可動スリーブ23の外径は可動金型21の内径と略同じ、可動スリーブ23の内径はシャフト2の外径と略同じである。
【0057】
可動金型21の他端側(図面では左側)は突き出しピン24により封鎖されている。突き出しピン24は円柱状であり、可動スリーブ23の内側に設けられている。突き出しピン24にはアクチュエータ(図示せず)が連結されており、可動スリーブ23の内面に沿って移動可能である。突き出しピン24の外径は可動スリーブ23の内径と略同じである。さらに、突き出しピン24の中心には軸挿通穴32が設けられている。
【0058】
導電樹脂層3を形成させる手順は以下のとおりである。まず、可動金型21と可動スリーブ23と突き出しピン24とからなる部分を以下のようにして組み立てる。すなわち、固定金型22を型閉めした際に可動スリーブ23の端面(図面では右端)が固定金型22とのPL面31に接する位置あるいは接する少し手前の位置となるように、可動スリーブ23の位置を可動金型21に対して決める。
【0059】
一方、突き出しピン24の軸挿通穴32にシャフト2の軸端部11bを嵌めてシャフト2を装着して型閉めした際に、他方の端部11aが穴部26の壁面に接触することなく浮いた状態(図3(b)参照)で挿入されるように、突き出しピン24の位置を可動金型21に対して決める。
【0060】
次に、突き出しピン24の軸挿通穴32にシャフト2の軸端部11bを嵌めてシャフト2を装着する。このとき、シャフト2の軸端部11bがPL面31から突き出た状態となる。続いて、このまま可動金型21と可動スリーブ23と突き出しピン24からなる部分を型閉めする。このとき、図3(a)、図3(b)に示すように、他方の端部11aが穴部26の壁面に接触することなく浮いた状態となる。この状態で、樹脂注入口28から射出機35を用いて樹脂原料38を注入する。樹脂原料38としては、例えば、上記した熱可塑性樹脂原料に導電性付与剤を含有させたものを用いる。
【0061】
注入された樹脂原料38はランナー29を通ってゲート30に到達する。さらに注入を続けると、樹脂原料38が、穴部26と軸端部11bとの間にできた成形キャビティ33を満たす。ここで、図3(b)に示すように穴部26には段差27が設けられているので、成形キャビティ33で樹脂原料38が固化することにより、図1、図2(b)に示すような段差8bが形成される。さらに、樹脂原料38の注入を続けると、可動スリーブ23が樹脂原料38に押されて矢印の方向に移動するとともに、樹脂原料38が成形キャビティ36を増大させながら移動し(図3(a))、シャフト2の外周面が満たされる。樹脂が硬化した後、可動金型21を型開し、突き出しピン24でシャフト2を押し、成形品を取り出す。該成形品は、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられた導電性ローラ中間品37となる。
【0062】
なお、シャフト2と導電樹脂層3との接着性をさらに向上させるために、シャフト2の表面をプライマー処理した後、導電樹脂層3を形成させてもよい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0063】
次に、図4に示すような金型を用い、導電性ローラ中間品37の導電樹脂層3の外周面に弾性層4を形成させる。図4は、弾性層の形成に使用可能な金型と射出機構を模式的に表す断面図である。図4に示す金型40は、一般的なインサート射出成形を行うためのものであり、金型本体41、芯体保持部材42,43によって構成されている。金型本体41は円筒状であり、その内部に導電性ローラ中間品37を装着するための空間を有する。金型本体41の内径は16mmである。
芯体保持部材42は、金型本体41の一端側(図面では下側)を封鎖するものである。芯体保持部材42の中心には軸挿通穴45が設けられている。さらに、芯体保持部材42には樹脂注入口46及びこれに続くランナー47とゲート48が設けられている。すなわち、芯体保持部材42は外側の端面に樹脂注入口46を備える。ランナー47にはゲート48を開閉するバルブ50が設けられている。バルブ50には図示しないアクチュエータが接続されている。
他方の芯体保持部材43は、金型本体41の他端側(図面では上側)を封鎖するものである。芯体保持部材43の中心には軸挿通穴51が設けられている。
【0064】
弾性層4を形成させる手順は以下のとおりである。まず、図4のように、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられた導電性ローラ中間品37を、シャフト2の一方の軸端部7aを芯体保持部材42に設けられた軸挿通穴45に、他方の軸端部7bを芯体保持部材43に設けられた軸挿通穴51に挿入し、金型40に装着する。なお、図4では装着状態を視覚的にわかりやすくするために、導電性ローラ中間品37の断面を1種類のハッチングで表している。
さらに、樹脂注入口46に射出部52を連結する。射出部52は、ホッパ53、材料供給装置54、加熱シリンダ55、射出シリンダ56、及びノズル57を備えており、ノズル57が樹脂注入口46と連通している。
【0065】
ここで樹脂原料58として、ポリウレタン、シリコーンゴム等のエラストマー樹脂原料にカーボンブラック等の導電性付与剤を混合したものを調製する。樹脂原料には必要に応じて他の成分、例えば、各種充填剤、各種機能付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤、貯蔵安定性改良剤等を添加してもよい。
【0066】
調製した樹脂原料58をホッパ53に投入する。投入された樹脂原料58は材料供給装置54によって一定量が加熱シリンダ55に送られる。樹脂原料58は加熱シリンダ55内で溶融し、次に射出シリンダ56に送られる。射出シリンダ56は図示しないアクチュエータに接続されており、射出シリンダ56に送られた樹脂原料58は、ノズル57を経て樹脂注入口46へ注入される。注入された樹脂原料58はランナー47とゲート48を経て金型本体41内に送られ、装着された導電性ローラ中間体37の周りの成形キャビティ49を満たす。金型40を予め100〜140℃程度に昇温させておくことにより、注型された樹脂原料58が加熱硬化し、弾性層4を形成する。硬化後、金型本体41から芯体保持部材42,43を取り外し、成形品を取り出す。該成形品は、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられ、かつ導電樹脂層3の外周面に弾性層4が設けられた導電性ローラ中間品となる。
【0067】
なお、導電樹脂層3と弾性層4との接着性をさらに向上させるために、導電樹脂層3の表面をプライマー処理した後、弾性層4を形成させてもよい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0068】
最後に、該導電性ローラ中間品の弾性層4の外周面に、被覆層5を構成する樹脂原料をディッピングにより塗布し、乾燥させて被覆層5を形成させる。当該樹脂原料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂をメチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に溶解し、カーボンブラック等の導電性付与剤を添加したものを用いる。
このようにして、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられ、かつ導電樹脂層3の外周面に弾性層4が設けられ、さらに弾性層4の外周面に被覆層5が設けられた導電性ローラ1が製造される。
【0069】
なお、弾性層4と被覆層5との接着性をさらに向上させるために、弾性層4の表面をプライマー処理した後、被覆層5を形成させてもよい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0070】
本実施形態の導電性ローラ1は被覆層5を有するものであったが、他の実施形態として、被覆層5を有さず、最表面が弾性層4となる構成も採用可能である。さらに、本実施形態の導電性ローラ1では被覆層5が単層であったが、被覆層5が複数の層からなる構成も採用可能である。
【0071】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置の1つの様相では、現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する。本様相の画像形成装置の実施形態(第一実施形態)について説明する。図5は、本発明の第一実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。図6は、図5の軸受け部分の拡大平面図である。
【0072】
図5の画像形成装置60の構成は、図9の画像形成装置120の構成と基本的に同じである。すなわち図5の画像形成装置60は、現像ローラ61と感光ドラム62とを備え、現像ローラ61が感光ドラム62に接した状態で回転し、現像ローラ61から感光ドラム62にトナーが供給されるものである。
感光ドラム62は回転軸63を有し、その両端は軸受け(図示せず)で支持されている。
現像ローラ61は図1に示した導電性ローラ1と同じものであり、基本的に、非導電性樹脂製のシャフト65の外周面に導電樹脂層、弾性層、および被覆層が設けられたものである。現像ローラ61はシャフト65が樹脂製であるので、適度に撓る性質を有する。なお、現像ローラ61は、非導電性樹脂製ではなく導電性樹脂製のシャフトの外周面に弾性層等が設けられたものでもよい。
【0073】
現像ローラ61の両端部66a,66bは、それぞれ軸受け67a,67bで回転自在に支持されている。
軸受け67a,67bは、それぞれコイルばねからなる付勢手段68a,68bにより感光ドラム62側に付勢され、一定荷重を掛けられた構成となっている。本実施形態では付勢手段68a,68bとしてコイルばねを採用しているが、板バネやゴムなどの他の弾性材によって構成してもよい。
【0074】
本実施形態の画像形成装置60では、軸受け67a,67bの配置方向に特徴がある。すなわち、図10に示す従来の画像形成装置120における軸受け118a,118bは、現像ローラ1の中心軸線の方向に配置されていたが、図5に示す本実施形態の画像形成装置60においては、軸受け67a,67bが感光ドラム62側に僅かに角度θを付けて配置されている(図6)。換言すれば、軸受け67a,67bの中心線(中心軸の仮想的延長線)が感光ドラム62側で交わる。その結果、現像ローラ61が感光ドラム62側に反った状態で密着し、感光ドラム62を押圧しながら回転する。すなわち本実施形態の画像形成装置60では、軸受け67a,67bを現像ローラ1の中心軸線に対して角度をもたせて配置しているので、現像ローラ61は、感光ドラム62側へ強制的に撓る。その結果、現像ローラ61が寸法精度の低いものである場合(例えば、真円度が低い、偏芯している、反りが生じている等)でも、寸法精度が矯正されて感光ドラム側へ撓りながら回転でき、現像ローラ61と感光ドラム62との密着性がよい。
【0075】
また本実施形態の画像形成装置60では、軸受け67a,67bがコイルばね68a,68bにより感光ドラム62側に付勢されているので、現像ローラ61と感光ドラムとの接触量の変動が緩和され、感光ドラム62とより安定に密着できる。
【0076】
なお、軸受け67a,67bの中心線と現像ローラ1の中心軸線とがなす角度θは、A4サイズのプリンターまたは複写機の場合には0.1度程度でよく、最大でも0.5度程度あればよい。なお、図5、図6では現像ローラ61の反った状態を視覚的にわかりやすくするために、角度θは誇張して描かれている。
【0077】
また、シャフト65を構成する樹脂は、耐熱温度が80℃以上あるものであれば、一般的なものでよく、また熱可塑性、熱硬化性を問わないが、感光ドラム62側へ撓らすために柔軟性とある程度の靭性が必要である。したがって、シャフト65は、ASTM D790の測定法での曲げ弾性率が1GPaから8GPaのものが好ましい。また、シャフト65と導電樹脂層からなる部分も同様に、ASTM D790の測定法での曲げ弾性率が1GPaから8GPaのものが好ましい。
【0078】
なお、現像ローラ61を感光ドラム62へ反らして押し付けることで、現像ローラ61の両端部と中央部とでニップ幅に差がでて画像濃度差を生じる懸念があるが、その差は一定にできるため、電気的に画像濃度を補正することができる。さらに、現像ローラ61の外周形状を長手方向の両端から中央に向かって外径が小さくなる逆クラウン形状(鼓状)にすることで、両端部と中央部におけるニップ幅の差を小さくすることができる。
【0079】
従来の画像形成装置では金属製シャフトを有する寸法精度の高い現像ローラを用いることで印字性能を確保していたものを、本実施形態の画像形成装置60では、寸法精度の劣る樹脂製シャフトを有する現像ローラ61を用いるにもかかわらず、安定した印字性能を発揮することができる。
【0080】
次に、本発明の画像形成装置に他の様相について説明する。本発明の画像形成装置の他の様相では、現像ローラが長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転する。本様相の画像形成装置の実施形態(第二実施形態)について説明する。図7は、本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置に組み込まれる現像ローラの平面図である。図8は、本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【0081】
図8の画像形成装置70の構成は、図9の画像形成装置120や図5の画像形成装置60と基本的に同じで、現像ローラ71と感光ドラム72とを備え、現像ローラ71が感光ドラム72に接した状態で回転し、現像ローラ71から感光ドラム72にトナーが供給されるものである。
感光ドラム72は図5の感光ドラム62と同じものであり、回転軸73を有し、その両端は軸受け(図示せず)により支持されている。
【0082】
現像ローラ71は図1に示した導電性ローラ1と同じ構成を有するものであり、非導電性樹脂製のシャフト75の外周面に各種の層が設けられたものである。現像ローラ71はシャフト75が樹脂製であるので、適度に撓る性質を有する。なお、現像ローラ71は、現像ローラ61と同様に、非導電性樹脂製ではなく導電性樹脂製のシャフトの外周面に弾性層等が設けられたものでもよい。
【0083】
本実施形態の画像形成装置70では、現像ローラ71の形状に特徴がある。すなわち、図7に示すように、本実施形態の画像形成装置70に組み込まれる現像ローラ71は、長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状(太鼓状の形状)を有する。
【0084】
クラウン形状を有する現像ローラ71を組み込んだ画像形成装置70における、現像ローラ71と感光ドラム72の様子は図8のようになる。まず、現像ローラ71の両端部76a,76bは、それぞれ軸受け77a,77bにより回転自在に支持されている。ただし、図5の画像形成装置60とは異なり、本実施形態の画像形成装置70では、図10に示す従来の画像形成装置120と同様に、軸受け77a,77bは現像ローラ71の中心軸線の方向に配置されている。さらに、軸受け77a,77bは、それぞれコイルばねからなる付勢手段78a,78bにより感光ドラム72側に付勢され、一定荷重を掛けられた構成となっている。そうすると、現像ローラ71が感光ドラム72と反対側に適度に撓った状態で感光ドラム72に押し付けられる。このとき、現像ローラ71がクラウン形状を有するので中央部と両端部におけるニップ幅の差が吸収され、現像ローラ71が、反りや偏芯などが生じた寸法精度に劣るものであっても感光ドラム72と均一に接触することができる。
【0085】
なお、現像ローラ71における中央部の外径と両端部の外径との差は、現像ローラ71の反り量や偏芯量の最大値(通常は0.3mm程度)より僅かに大きい値とすることが好ましい。なお、図7、図8では現像ローラ71の形状を視覚的にわかりやすくするために、現像ローラ71のクラウン形状が誇張して描かれている。
【0086】
従来の画像形成装置では金属製シャフトを有する寸法精度の高い現像ローラを用いることで印字性能を確保していたものを、本実施形態の画像形成装置70では、寸法精度の劣る樹脂製シャフトを有する現像ローラ71を用いるにもかかわらず、安定した印字性能を発揮することができる。
【0087】
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0088】
1.樹脂製シャフトの作製と導電樹脂層の形成
ポリプロピレン樹脂(商品名:1011FB、宇部興産社)を原料とし、一般的な射出成形により、外径約8mm、全長約263mmの樹脂製シャフトを作製した。
【0089】
ポリエステル樹脂(商品名:ハイパーライト、カネカ社)にカーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)を適量添加し、体積抵抗値がそれぞれ1×102Ω・cm、1×104Ω・cm、1×106Ω・cm、1×108Ω・cmの4種類のコンパウンドを調製した。図3に示す金型20と同じ構造の金型に上記の樹脂製シャフトを装着し、調製したコンパウンドを樹脂注入口から注入した。樹脂が硬化した後、金型内の成形品を取り出した。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられた4種の導電性ローラ中間品が得られた。なお、当該導電性ローラ中間品においては、シャフトの一方の軸端部が導電樹脂層で被覆されたものとなった。
【0090】
2.弾性層の形成
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名:ACX003、カネカ社)にカーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)を適量添加し、体積抵抗値が1×103Ω・cm、1×104Ω・cm、1×105Ω・cm、1×106Ω・cm、1×107Ω・cmの5種類の主剤を調製した。これらの主剤100gに対して、硬化剤としてポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名:CR100、カネカ社)3.1g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液)70μL、有機リチウム塩含有化合物(商品名:サンコノール0862−20R、三光化学工業社)1.0g、及びマレイン酸ジメチル35μLを添加・混合し、弾性層を構成する樹脂原料(5種類)を調製した。
【0091】
図4に示す金型40と同じ構造の金型を予め100℃〜140℃に昇温させた。この金型に上記1で作製した導電性ローラ中間品(樹脂シャフト+導電樹脂層)を装着し、樹脂注入口から弾性層を構成する樹脂原料を注入した。樹脂が加熱硬化した後、金型内の成形品を取り出した。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層(厚さ約1.5mm)が設けられた20種の導電性ローラ中間品が得られた。
【0092】
3.被覆層の形成
150gのMEKに対して、カーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)12g、ウレタン樹脂溶液(商品名:ハイムレンY−258、大日精化工業社)100g、DMF300gを添加・混合し、塗布液を調製した。20種の導電性ローラ中間品(樹脂製シャフト+導電樹脂層+弾性層)の表面に、調製した塗布液をディッピング法により塗布し、40℃で5分間乾燥させた。同様の塗布操作を再度繰り返した後、100℃〜120℃で90分間乾燥させた。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層(厚さ約1.5mm)が設けられ、さらに該弾性層の外周面に被覆層が設けられた20種の導電性ローラが得られた。なお、作製した導電性ローラの代表的なものの総重量は69gであった。
【0093】
4.各導電性ローラの現像ローラとしての評価
得られた各導電性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン社)にセットし、レーザープリンター(LASER SHOT LBP−2510、キヤノン社)に該カートリッジを組み込み、モノクロ、50%ハーフトーン画像を用いて、画像の良否を評価した。結果を第1表に示す。第1表中、「◎」は極めて良好、「○」は良好、「△」はやや良好、「×」は不良を表す。すなわち、導電樹脂層の体積抵抗値が1×106Ω・cm以下かつ弾性層の体積導電率が1×105Ω・cm以下の導電性ローラは、いずれも現像ローラとして使用可能なものであった。特に、導電樹脂層と弾性層の体積導電率の組み合わせが、「導電樹脂層:1×102Ω・cm/弾性層:1×104Ω・cm」、「導電樹脂層:1×102Ω・cm/弾性層:1×105Ω・cm」、または、「導電樹脂層:1×104Ω・cm/弾性層:1×104Ω・cm」の導電性ローラの性能が高かった。
以上のように、本実施例で作成した導電性ローラの多くは、画像形成装置の現像ローラとして十分使える性能を有していた。
【0094】
【表1】
【実施例2】
【0095】
1.樹脂製シャフトの作製と導電樹脂層の形成
ポリプロピレン樹脂(商品名:1011FB、宇部興産社)をベース樹脂として、ガラス繊維を適量配合し、曲げ弾性率が1GPaから8GPaのコンパウンドを多種類調製した。これらのコンパウンドを用いた一般的な射出成形で、多種類の樹脂製シャフト(外径約8mm、全長約263mm)を作製した。
【0096】
ポリエステル樹脂(商品名:ハイパーライト、カネカ社)にカーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)とガラス繊維を適度に配合し、曲げ弾性率が1GPa〜8GPaのコンパウンドを多種類作製した。実施例1と同様にして、上記1の各樹脂製シャフト(ガラス繊維入り)の外周面にコンパウンド(曲げ弾性率1GPa〜8GPa)を用いて導電樹脂層を形成させた。これにより、種々の曲げ弾性率を有する多種類の導電性ローラ中間品(シャフト+導電樹脂層)が得られた。
【0097】
得られた各導電性ローラ中間品につき、曲げ試験機(島津製作所製オートグラフAGS―H)を用いて曲げ弾性率(GPa)を測定した。計算式は{4×L3/(3×π×D4)}×(F/ΔL)とし、L=200mm、F=2kg・fとして算出した。曲げ弾性率の値により導電性ローラ中間品を選抜し、さらに、曲げ弾性率が1GPa〜2GPa、3GPa〜4GPa、5GPa〜6GPa、7GPa〜8GPa、の4つの群に分類した。
【0098】
2.弾性層と被覆層の形成
実施例1と同様にして、各導電性ローラ中間品の外周面に導電樹脂層と被覆層を設けた。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層(厚さ約1.5mm)が設けられ、さらに該弾性層の外周面に被覆層が設けられた多種類の導電性ローラが得られた。
【0099】
3.導電性ローラを組み込んだ画像形成装置の評価
まず、得られた各導電性ローラについて、レーザー式形状測定器で最大振れ量を測定した。次に、実施例1で使用したレーザープリンター(画像形成装置)とカラープリンター用カートリッジを用い、上記2で得られた各導電性ローラの中央部がレーザープリンターにセットした時に感光ドラム側へ0.2mm撓むように、各導電性ローラをカラープリンター用カートリッジにセットし、現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、押圧しながら回転するようにした。実施例1と同様の方法で、導電性ローラの曲げ弾性率と最大振れ量ごとに印字性能を評価した。結果を第2表に示す。すなわち、導電性ローラの最大振れ量が0.1mm以下であれば、いずれの群(曲げ弾性率1GPa〜8GPa)の導電性ローラを組み込んだレーザープリンターでも、画像の状態が良かった。特に、曲げ弾性率が1GPa〜2GPaと3GPa〜4GPaの現像ローラ(導電性ローラ)を用いたレーザープリンターでは、現像ローラの最大振れ量が0.2mmでも画像の状態が良かった。
以上より、本実施例のレーザープリンター(画像形成装置)によれば、現像ローラの最大振れ量が大きい場合でも高い印字性能を保持していた。
【0100】
【表2】
【実施例3】
【0101】
1.クラウン形状を有する導電性ローラの作製
成形キャビティ中央部を太鼓状に太くした金型を用いて弾性層を形成する以外は実施例1と同様にして、長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有する導電性ローラを作製した。導電性ローラの中央部の外径は、両端部より、0.1mm、0.2mm、または0.3mm太い3種類とした。また、導電樹脂層の体積抵抗値は1×104Ω・cm、弾性層の体積抵抗値は1×104Ω・cmとした。
【0102】
比較例として、表面をニッケルメッキした鉄(SUM22)製シャフトの外周面に実施例1と同様の弾性層と被覆層を設けた導電性ローラを作製した。比較例の導電性ローラの代表的なものの総重量は139gであった。
【0103】
2.導電性ローラを組み込んだ画像形成装置の評価
まず、各導電性ローラについて、実施例2と同様にして最大振れ量を測定した。次に、実施例1で使用したレーザープリンターとカラープリンター用カートリッジを用い、上記1で得られたクラウン形状を有する各導電性ローラをセットした。さらに、ばねによって導電性ローラ(現像ローラ)両端の軸受けを感光ドラム側にそれぞれ0.3kg〜1.0kgの荷重を付勢した。実施例1と同様の方法で各レーザープリンターの性能を評価した。結果を第3表に示す。すなわち、比較例の現像ローラを用いた場合は、最大振れ量が0.08mmになると画像の状態が不良となったが、クラウン形状を有する現像ローラを用いた場合は、いずれも、最大振れ量が0.08mmのときでも良好な画像が得られた。また、最大振れ量が0.04mmと0.06mmの場合も、クラウン形状を有する現像ローラを用いたときの方が画像の状態が良かった。さらに、クラウン形状を有する現像ローラの中では、中央部と両端部の太さの差が0.1mmと0.2mmのものを用いた場合が、特に画像の状態が良かった。
以上より、クラウン形状の現像ローラを組み込んだレーザープリンター(画像形成装置)では、現像ローラの最大振れ量が大きい場合でも高い印字性能を保持していた。
【0104】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態にかかる導電性ローラの斜視図である。
【図2】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は図1の導電性ローラの長手方向の断面図である。
【図3】(a)は導電樹脂層の形成に使用可能な金型を模式的に表す断面図であり、(b)は(a)の固定金型部分の拡大断面図である。
【図4】弾性層の形成に使用可能な金型と射出機構を模式的に表す断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【図6】図5の軸受け部分の拡大平面図である。
【図7】本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置に組み込まれる現像ローラの平面図である。
【図8】本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【図9】電子写真方式による印字装置の一般的な構成を表す概略図である。
【図10】一般的な画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【図11】一般的な現像ローラの断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1 導電性ローラ
2 シャフト(芯体)
3 導電樹脂層
4 弾性層
5 被覆層
11a,11b 軸端部
60 画像形成装置
61 現像ローラ
62 感光ドラム
66a,66b 端部(両端)
67a,67b 軸受け
70 画像形成装置
71 現像ローラ
72 感光ドラム
76a,76b 端部(両端)
77a,77b 軸受け
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性ローラ及び画像形成装置に関し、さらに詳細には、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を採用した画像形成装置に好適に使用される導電性ローラ、及び、現像ローラと感光ドラムとの接触性に優れた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられている電子写真方式の画像形成装置では、静電潜像を保持した感光ドラムに非磁性一成分系現像剤(以下、「トナー」と称す。)を供給し、静電潜像上に現像剤を付着させて潜像を可視化する現像方法が行われている(特許文献1)。
【0003】
図9に、当該現像方法を行うための電子写真方式による画像形成装置の一般的な構成を示す。図9に示す画像形成装置120は、感光ドラム110を中心として帯電ローラ111、露光部112、現像ローラ101、転写ローラ113、及びクリーニングブレード115からなる。現像ローラ101は、トナー収容部116の開口近傍と感光ドラム110との間に設けられている。トナー収容部116にはトナーが帯電状態で収納されている。
【0004】
画像形成装置120では、帯電ローラ111で感光ドラム110を一様に帯電し、露光部112で露光して感光ドラム110上に静電潜像を形成させる。さらに、感光ドラム110に現像ローラ101を押し当てて感光ドラム110にトナーを供給する。トナーは帯電した状態で感光ドラム110に供給され、静電潜像上にトナー像が形成される。そして、感光ドラム110と転写ローラ113との間に挟まれた記録紙等にトナー像を転写する。また残余のトナーは、クリーニングブレード115でかき落とされ、トナー収容部に回収されて再利用される。
【0005】
図10に現像ローラ101と感光ドラム110との位置関係を示す。図10は、一般的な画像形成装置の主要部を表す平面図である。すなわち、現像ローラ101は回転軸となるシャフト(芯体)102を有し、その両端が軸受け118a,118bにより支持されている。そして、現像ローラ101と感光ドラム110とは各々の中心軸が平行になるように配置され、互いに接触している。そのため、軸受け118a,118bは、その中心線が現像ローラ101の中心軸線と一致する方向に配置されている。
【0006】
このように、当該現像方式では、トナーを担持した導電性の現像ローラ101を感光ドラム110に接触させて、トナーを感光ドラム110上の静電潜像に付着させることで、潜像を可視化し、現像を行うのであるが、この際、現像ローラ101を感光ドラム110に一定の接触幅(以下、「ニップ幅」と称す。)で確実に密着させる必要がある。そのため、現像ローラ101においては、感光ドラム110との接触部は弾性体で形成される。また、静電気的にトナーを感光ドラム110へ付着させる必要があるため、現像ローラ101は導電性を有し電気的回路が形成できるものである必要がある。
【0007】
図11は、一般的な現像ローラの断面図である。図11に示す現像ローラ101は、導電性のシャフト(芯体)102の外周面に弾性層103が設けられ、さらに弾性層103の外周面に被覆層105が設けられたものである。回転軸でローラの芯であるシャフト102は、導電性を有する材料、例えばステンレススチール、SUM材、アルミニウム合金等の金属からなる。弾性層103は、例えばカーボンブラックや金属等の導電性付与剤を、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエン系ゴム等のエラストマーに混合し、適度の導電性を付与した弾性体からなる。被覆層105は、導電性や表面粗さに応じて適宜設けられるものである。図11の被覆層105は単一の層からなるが、複数の層からなるものもある(特許文献2)。
【0008】
画像品質に大きく影響する前記ニップ幅を一定に保つためには、シャフト102として、直線精度がよく曲がりのないものが要求される。この意味で、金属はシャフト102を形成するための材料として適している。しかしながら、金属製のシャフトを製作するためには金属加工が必要で、種々の問題がある。例えば、現像ローラ101の回転を確実にするために、シャフト102の両端部のDカット面形成や、スラスト位置決め用のCリング溝形成、段差形成などの形状加工が必要となり、大きな費用がかかる。また、金属は質量が大きいため、金属製のシャフトを有する現像ローラも質量が大きくなり、画像形成装置の軽量化、小型化を困難にしている場合がある。
【0009】
そこで、金属製シャフトに代わるものとして、導電性樹脂からなる中実または中空の樹脂製シャフトを有する現像ローラが提案されている(特許文献3)。しかしながら、一般的に導電性樹脂は、導電性を付与するために高価な原料と特殊な製造プロセスを必要とし、一般樹脂に比べて非常に高価な場合がある。特に、中実形状のシャフトを形成する場合には、樹脂原料を多く使用するため、金属製シャフトより高価となってしまう場合がある。一方、中空形状の導電性樹脂製シャフトを形成する場合には、材料費は削減できることがある。しかしながら、片方の軸を形成するためのフランジなどの部品が別途必要となり、またその組み立て工程が増加するため、総合的なコスト優位性はやはり薄いものとなる。
【0010】
また一般に、樹脂製のシャフトは、成形時の成形収縮や残留応力等のために、金属加工品のシャフトに比べて寸法精度が劣る。具体的には、真円度が低いもの、偏芯しているもの、反りが生じているもの等となりやすい。そのような樹脂製シャフトを有する現像ローラは、画像形成装置において感光ドラムとの安定した接触性を発揮できず、ニップ幅が一定しない場合がある。なお、樹脂製シャフトの寸法精度を向上させるために、圧縮成形との併用や成形時間を長くするなどの工夫が行われているが、操作が煩雑である。このように、樹脂製シャフトを有する現像ローラを組み込んだ画像形成装置においては、実用化になお多くの困難性を有している。
【特許文献1】特開昭55−77764号公報
【特許文献2】特許3664768号公報
【特許文献3】特開2006−23700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、樹脂製シャフトを採用し、より安価に製造することができる導電性ローラ、及び、現像ローラが樹脂製シャフトを有するものであっても安定した印字性能を発揮できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられていることを特徴とする導電性ローラである。
【0013】
本発明は導電性ローラにかかるものであり、非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられている。すなわち本発明の導電性ローラは、金属や導電性樹脂からなる芯体ではなく、非導電性樹脂からなる芯体を有する。そして、該非導電性樹脂製の芯体の外周面に導電性樹脂製の導電樹脂層が設けられており、芯体と導電樹脂層とからなる部分が従来の導電性ローラにおける金属製や導電性樹脂製の芯体と同様の機能を有している。本発明の導電性ローラは、芯体の材料として導電性樹脂を用いないので、従来の樹脂製シャフトを有する現像ローラに比べて安価に製造できる。さらに、シャフトの加工時にフランジ等の他の部品を必要としないので、組み立てが簡単である。本発明の導電性ローラは、例えば、画像形成装置に組み込まれる現像ローラとして好適に用いられる。
【0014】
前記導電樹脂層の体積抵抗値は、1×106Ω・cm以下である構成が推奨される(請求項2)。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記導電樹脂層は、前記芯体の少なくとも一方の軸端部の一部又は全部を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラである。
【0016】
本発明の導電性ローラにおいては、導電樹脂層が芯体の少なくとも一方の軸端部の一部又は全部を被覆しているので、当該軸端部から導電樹脂層を経由して給電することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記導電樹脂層を構成する導電性樹脂は、熱可塑性樹脂に導電性付与剤を含有させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラである。
【0018】
本発明の導電性ローラにおいては、導電樹脂層を構成する導電性樹脂が熱可塑性樹脂を主体とするものであるので、導電樹脂層の形成を射出成形等により容易に行える。
【0019】
前記弾性層の体積抵抗値は、1×103Ω・cm以上かつ1×106Ω・cm以下である構成も推奨される(請求項5)。
【0020】
前記弾性層の外周面に、さらに被覆層が設けられている構成も推奨される(請求項6)。
【0021】
請求項7に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0022】
本発明の画像形成装置は現像ローラと感光ドラムとを備えるものであり、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される。そして、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが樹脂製の芯体を有する導電性ローラであり、かつ現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する。上述のように、樹脂製の芯体を有する現像ローラは軽量であるが寸法精度に劣り、画像形成装置に組み込んで使用すると感光ドラムとの接触性が悪く、安定したニップ幅が実現されないことがあった。しかし、本発明の画像形成装置では、樹脂製の芯体を有する現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転するので、現像ローラの寸法精度が低い場合(例えば、真円度が低い、偏芯している、反りが生じている等)でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に密着することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、前記現像ローラの芯体の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置である。
【0024】
かかる構成により、現像ローラの芯体が適度な柔軟性と靭性を有することとなり、現像ローラがより安定に反って感光ドラムに密着することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0026】
本発明の画像形成装置も現像ローラと感光ドラムとを備えるものであり、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される。そして、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが本発明の導電性ローラ、すなわち、非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられている導電性ローラであり、現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する。本発明の画像形成装置においても、樹脂製の芯体を有する現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転するので、現像ローラの寸法精度が低い場合でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に密着することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。さらに、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが非導電性樹脂からなる芯体を有するものであり安価に製造できるので、本発明の画像形成装置も製造コスト的に有利なものとなる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、前記現像ローラの芯体と導電樹脂層とからなる部分の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置である。
【0028】
かかる構成により、現像ローラの芯体と導電樹脂層とからなる部分が適度な柔軟性と靭性を有することとなり、現像ローラがより安定に反って感光ドラムに密着することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記現像ローラの両端は軸受けで支持されており、該軸受けは感光ドラム側に角度を付けて配置されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0030】
本発明の画像形成装置においては、現像ローラの両端を支持する軸受けが、感光ドラム側に角度を付けて配置されている。かかる構成により、現像ローラがより安定に反って感光ドラムに密着することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、前記軸受けは、感光ドラム側に付勢されていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置である。
【0032】
かかる構成により、現像ローラと感光ドラムとの接触量の変動が緩和され、現像ローラがより確実に感光ドラムに密着することができる。
【0033】
請求項13に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0034】
また請求項14に記載の発明は、現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置である。
【0035】
本発明の画像形成装置も現像ローラと感光ドラムとを備えるものであり、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される。そして、本発明の画像形成装置においては、現像ローラが樹脂製の芯体を有する導電性ローラであり、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有する。さらに、現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転する。本発明の画像形成装置では、クラウン形状を有する現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転するので、現像ローラが寸法精度の低いものである場合でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に接触することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の導電性ローラによれば、芯体の材料が導電性樹脂ではないので、従来の樹脂製シャフトを有する現像ローラに比べて安価に製造できる。さらに、シャフトの加工時にフランジ等の他の部品を必要としないので、組み立てが簡単である。
【0037】
本発明の画像形成装置によれば、現像ローラが寸法精度の低いものである場合でも、寸法精度が矯正された状態で感光ドラムに接触する。その結果、そのような現像ローラでも感光ドラムと確実に接触することができ、安定したニップ幅が実現され、安定した印字性能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、ここでは図1〜8を参照しながら順次説明するが、これらの図は模式的な部分を含んでおり、必ずしも実際の寸法を表していない。
図1は、本発明の一実施形態にかかる導電性ローラの斜視図である。図2(a)は、図1のA−A断面図、図2(b)は、図1の導電性ローラの長手方向の断面図である。
【0039】
本実施形態の導電性ローラ1は、A4サイズのレーザープリンター(画像形成装置)に組み込まれる現像ローラとして好適なものである。図1、図2(a)、図2(b)に示すように、本実施形態の導電性ローラ1は、基本的に、シャフト(芯体)2の外周面に導電樹脂層3、弾性層4、及び被覆層5がこの順番に設けられたものである。
図1に示すように、導電性ローラ1は、使用時に軸受けで支持される端部7a,7bを有する。端部7a,7bには、導電性ローラ1を画像形成装置等に組み込むときのスラスト方向の位置決め用に、それぞれ段差8a,8bが設けられている。さらに、一方の端部7aには、導電性ローラ1を回転させる際の滑り留めとして、Dカット面10が形成されている。
【0040】
図2(b)に示すように、導電性ローラ1の一方の端部7aはシャフト2の軸端部11aの全部(外周面と端面)を導電樹脂層3で被覆することにより形成されている。すなわち、導電性ローラ1の端部7aは、外見上は導電樹脂層3の一部であり、導電樹脂層3からなる段差8aを有している。そして、導電性ローラ1の使用時には、端部7aに形成されたDカット面10上の導電樹脂層3から給電される。なお、Dカット面の形成は端部7aと端部7bのいずれでもよく、また図2(b)ではDカット面10を省略している。
一方、図2(b)に示すように、導電性ローラ1の他方の端部7bはシャフト2の一部であり、段差8bもシャフト2上に形成されている。すなわち、端部7bは端部7aとは異なり、導電樹脂層3で被覆されていない。
【0041】
シャフト2は、長さ約267mmの細長い棒状の部材である。シャフト2の一方の軸端部11aは、シャフト2の本体部分から形成されたものであり、導電樹脂層3が被覆されることにより導電性ローラ1の端部7aの一部を構成している。一方、シャフト2の他方の軸端部11bもシャフト2の本体部分から形成されたものであるが、そのまま導電性ローラ1の端部7bを構成しており、段差8bを有する。
図2(a)に示す断面におけるシャフト2の外径は約8mmであるが、これに限定されるものではなく、導電性ローラ1の用途等に応じて適宜選択すればよい。例えば5mm〜10mmの外径を有するものであればよい。
【0042】
シャフト2は非導電性樹脂からなり、具体的には、導電性付与剤を実質的に含まない樹脂からなる。ここで「非導電性」とは、導電性を実質的に有さないことを意味する。例えば、樹脂または樹脂成形品の体積抵抗値が1×108Ω・cm以上であれば、当該樹脂または樹脂成形品は実質的に導電性を有さないので、非導電性である。シャフト2においても、その体積抵抗値は1×108Ω・cm以上である。
シャフト2を構成する樹脂としては特に限定はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよいが、熱可塑性樹脂であれば射出成形が容易であり生産性の点で有利である。熱可塑性樹脂は、汎用樹脂とエンジニアリングプラスチックのいずれでもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニール(PVC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ナイロン(ポリアミド;PA)、ポリアセタール(ポリオキシメチレン;POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。なお、適度の曲げ弾性を得るために、該非導電性樹脂にガラスや無機物などの充填材を添加して弾性率を高めたり、逆に、可塑剤や滑材を添加して弾性率を弱めたりしてもよく、また、他樹脂とのアロイ化も可能である。
【0043】
図2(a)、図2(b)に示すように、導電樹脂層3はシャフト2の中央部の外周面に設けられている。導電樹脂層3を設けることにより、シャフト2が非導電性であるにもかかわらず、導電性ローラ1が図11に示すような従来の導電性ローラ101と同様の機能を有することができる。図2に示す断面における導電樹脂層3の厚さは約2.5mmであり、図2に示す断面におけるシャフト2の外径(約8mm)の約0.31倍である。また、導電樹脂層3の、後述の弾性層4と被覆層5が積層される部分の長さは約235mmである。ただし、導電樹脂層3の厚さと長さは特に限定されるものではなく、導電性ローラ1の用途等により適宜選択すればよい。なお、導電樹脂層3の厚さは経済性の面からは薄いほど好ましいが、導電性樹脂の体積抵抗値、長さ、及び成形性によって最適な厚さが決まり、好ましくは1mm〜3mmである。
【0044】
導電樹脂層3は導電性樹脂からなり、具体的には、導電性付与剤を含有させた樹脂からなる。導電樹脂層3を構成する樹脂としては特に限定はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよいが、熱可塑性樹脂であれば射出成形が容易である。シャフト2と同様に、当該熱可塑性樹脂は汎用樹脂とエンジニアリングプラスチックのいずれでもよく、上記で例示された熱可塑性樹脂の具体例が導電樹脂層3にも適用できる。
【0045】
導電樹脂層3に含有させる導電性付与剤としては特に限定はなく、カーボンブラック、グラファイト、金属微粉末、有機リチウム塩、無機リチウム塩等の一般的なものがそのまま使用できる。カーボンブラックの具体例としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、オイルブラックなどが挙げられる。さらに、第4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等を有する有機化合物もしくは重合体、エーテルエステルアミドもしくはエーテルイミド重合体、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコールアクリレートなどで代表される導電性ユニットを有する化合物または高分子化合物なども、導電樹脂層3に含まれる導電性付与剤として使用可能である。
導電性付与剤の含量としては、導電性ローラ1に所定の導電性を付与できる含量であれば特に限定はないが、導電樹脂層3の体積抵抗値が1×106Ω・cm以下となるように添加することが好ましい。
【0046】
なお、本実施形態の導電性ローラ1では一方の端部7aの全部が導電樹脂層3で被覆されているが、端部7aの一部が導電樹脂層3で被覆されていてもよい。また、本実施形態の導電性ローラ1では他方の端部7bは導電樹脂層3で被覆されていないが、両方の端部7a,7bが導電樹脂層3で被覆されていてもよい。また逆に、端部7a,7bのいずれもが導電樹脂層3で被覆されていない実施形態も可能である。この場合には、導電性ローラが組み込まれる画像形成装置等に適当な給電手段を設けることにより、導電性ローラとして使用可能となる。
【0047】
図2(a)、図2(b)に示すように、弾性層4は導電樹脂層3の中央部の外周面に設けられている。弾性層4は、図11の弾性層103と基本的に同じものであり、導電性付与剤を適宜のエラストマーに混合した、適度の導電性を付与した弾性体からなる。当該エラストマーとしては、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエン系ゴム等が挙げられる。導電性付与剤としては、上記で例示したものがそのまま使用できる。弾性層4の体積抵抗値は1×103Ω・cm〜1×106Ω・cmの範囲である。弾性層4の厚さは約1.5mmであり、図2に示す断面におけるシャフト2の外径(約8mm)の約0.19倍である。また、弾性層4の長さは約235mmであり、導電樹脂層3の端部7a以外の部分を被覆している。ただし、弾性層4の厚さは特に限定されるものではなく、導電性ローラ1の用途等により適宜選択すればよい。なお、弾性層4の厚さは経済性の面からは薄いほど好ましいが、弾性層4を構成する弾性体の硬度、体積抵抗値、及び成形性によって最適な厚さが決まり、好ましくは1mm〜20mm、より好ましくは1mm〜5mmである。
【0048】
弾性層4を構成する弾性体のより具体的な例として、(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有し、主鎖を構成する繰り返し単位がオキシアルキレン系単位からなる有機重合体(主剤)、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する硬化剤、(C)ヒドロシリル化触媒、及び(D)導電性付与剤、を主成分とするものが挙げられる。
【0049】
図2に示すように、被覆層5は弾性層4の外周面に設けられている。被覆層5は、図11の被覆層105と基本的に同じものであり、導電性付与剤を適宜の樹脂に混合した材料からなる。当該樹脂としては、例えば、ポリウレタン等の磨耗性に優れた材料が使用できる。導電性付与剤としては、上記で例示したものがそのまま使用できる。被覆層5の厚さは0.001mm〜0.5mm、好ましくは0.01mm〜0.1mmである。被覆層5の長さは弾性層4と同じである。なお、本実施形態の導電性ローラ1では被覆層5は単一の層からなるが、複数の層からなるものでもよい。
【0050】
本実施形態の導電性ローラ1は、シャフト2が非導電性であるにもかかわらず、導電樹脂層3が設けられることで、従来の金属製シャフトや導電性樹脂製シャフトを有する導電性ローラと同等の機能を有する。本実施形態の導電性ローラ1は、例えば、電子写真方式の画像形成装置の現像ローラとして使用することができる。その他、電子写真方式の画像形成装置の帯電ローラ、転写ローラとしても使用することができる。
【0051】
次に、導電性ローラ1の製法について説明する。導電性ローラ1は、射出成形等の公知の方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。以下に製造工程の一例を挙げる。
【0052】
まず、非導電性樹脂からなるシャフト2を準備する。シャフト2はポリプロピレン等を一般的な射出成形に供することにより作製できる。次に、図3(a)、図3(b)に示すような金型を用い、シャフト2の外周面に導電樹脂層3を形成させる。図3(a)は、導電樹脂層の形成に使用可能な金型を模式的に表す断面図であり、図3(b)は図3(a)の固定金型部分の拡大断面図である。
【0053】
図3(a)に示す金型20はいわゆるカウンター式射出成形を行うためのものであり、可動金型21、固定金型22、可動スリーブ23、及び突き出しピン24によって構成されている。
【0054】
可動金型21は固定金型22に対して開閉可能であり、閉じることにより金型が密封される。可動金型21は円筒状であり、その内部にシャフト2を装着するための空間を有する。可動金型21の内径は13mmである。
【0055】
可動金型21を閉じることにより、可動金型21の一端側(図面では右側)が固定金型22で封鎖される。固定金型22は射出機35に固定されており、外側の端面に樹脂注入口28を備え、射出機35から吐出される樹脂原料が樹脂注入口28から注入される。図3(b)に示すように、固定金型22の中心には穴部26及びこれに続くゲート30とランナー29が設けられており、ランナー29は樹脂注入口28と連通している。すなわち、穴部26はゲート30とランナー29とを介して樹脂注入口28と連通している。また、穴部26には段差27が設けられている。
【0056】
可動スリーブ23は円筒状であり、可動金型21の内側に設けられている。可動スリーブ23には図示しないアクチュエータが連結されており、可動スリーブ23は可動金型21の内面に沿って移動可能である。可動スリーブ23の外径は可動金型21の内径と略同じ、可動スリーブ23の内径はシャフト2の外径と略同じである。
【0057】
可動金型21の他端側(図面では左側)は突き出しピン24により封鎖されている。突き出しピン24は円柱状であり、可動スリーブ23の内側に設けられている。突き出しピン24にはアクチュエータ(図示せず)が連結されており、可動スリーブ23の内面に沿って移動可能である。突き出しピン24の外径は可動スリーブ23の内径と略同じである。さらに、突き出しピン24の中心には軸挿通穴32が設けられている。
【0058】
導電樹脂層3を形成させる手順は以下のとおりである。まず、可動金型21と可動スリーブ23と突き出しピン24とからなる部分を以下のようにして組み立てる。すなわち、固定金型22を型閉めした際に可動スリーブ23の端面(図面では右端)が固定金型22とのPL面31に接する位置あるいは接する少し手前の位置となるように、可動スリーブ23の位置を可動金型21に対して決める。
【0059】
一方、突き出しピン24の軸挿通穴32にシャフト2の軸端部11bを嵌めてシャフト2を装着して型閉めした際に、他方の端部11aが穴部26の壁面に接触することなく浮いた状態(図3(b)参照)で挿入されるように、突き出しピン24の位置を可動金型21に対して決める。
【0060】
次に、突き出しピン24の軸挿通穴32にシャフト2の軸端部11bを嵌めてシャフト2を装着する。このとき、シャフト2の軸端部11bがPL面31から突き出た状態となる。続いて、このまま可動金型21と可動スリーブ23と突き出しピン24からなる部分を型閉めする。このとき、図3(a)、図3(b)に示すように、他方の端部11aが穴部26の壁面に接触することなく浮いた状態となる。この状態で、樹脂注入口28から射出機35を用いて樹脂原料38を注入する。樹脂原料38としては、例えば、上記した熱可塑性樹脂原料に導電性付与剤を含有させたものを用いる。
【0061】
注入された樹脂原料38はランナー29を通ってゲート30に到達する。さらに注入を続けると、樹脂原料38が、穴部26と軸端部11bとの間にできた成形キャビティ33を満たす。ここで、図3(b)に示すように穴部26には段差27が設けられているので、成形キャビティ33で樹脂原料38が固化することにより、図1、図2(b)に示すような段差8bが形成される。さらに、樹脂原料38の注入を続けると、可動スリーブ23が樹脂原料38に押されて矢印の方向に移動するとともに、樹脂原料38が成形キャビティ36を増大させながら移動し(図3(a))、シャフト2の外周面が満たされる。樹脂が硬化した後、可動金型21を型開し、突き出しピン24でシャフト2を押し、成形品を取り出す。該成形品は、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられた導電性ローラ中間品37となる。
【0062】
なお、シャフト2と導電樹脂層3との接着性をさらに向上させるために、シャフト2の表面をプライマー処理した後、導電樹脂層3を形成させてもよい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0063】
次に、図4に示すような金型を用い、導電性ローラ中間品37の導電樹脂層3の外周面に弾性層4を形成させる。図4は、弾性層の形成に使用可能な金型と射出機構を模式的に表す断面図である。図4に示す金型40は、一般的なインサート射出成形を行うためのものであり、金型本体41、芯体保持部材42,43によって構成されている。金型本体41は円筒状であり、その内部に導電性ローラ中間品37を装着するための空間を有する。金型本体41の内径は16mmである。
芯体保持部材42は、金型本体41の一端側(図面では下側)を封鎖するものである。芯体保持部材42の中心には軸挿通穴45が設けられている。さらに、芯体保持部材42には樹脂注入口46及びこれに続くランナー47とゲート48が設けられている。すなわち、芯体保持部材42は外側の端面に樹脂注入口46を備える。ランナー47にはゲート48を開閉するバルブ50が設けられている。バルブ50には図示しないアクチュエータが接続されている。
他方の芯体保持部材43は、金型本体41の他端側(図面では上側)を封鎖するものである。芯体保持部材43の中心には軸挿通穴51が設けられている。
【0064】
弾性層4を形成させる手順は以下のとおりである。まず、図4のように、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられた導電性ローラ中間品37を、シャフト2の一方の軸端部7aを芯体保持部材42に設けられた軸挿通穴45に、他方の軸端部7bを芯体保持部材43に設けられた軸挿通穴51に挿入し、金型40に装着する。なお、図4では装着状態を視覚的にわかりやすくするために、導電性ローラ中間品37の断面を1種類のハッチングで表している。
さらに、樹脂注入口46に射出部52を連結する。射出部52は、ホッパ53、材料供給装置54、加熱シリンダ55、射出シリンダ56、及びノズル57を備えており、ノズル57が樹脂注入口46と連通している。
【0065】
ここで樹脂原料58として、ポリウレタン、シリコーンゴム等のエラストマー樹脂原料にカーボンブラック等の導電性付与剤を混合したものを調製する。樹脂原料には必要に応じて他の成分、例えば、各種充填剤、各種機能付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、溶剤、貯蔵安定性改良剤等を添加してもよい。
【0066】
調製した樹脂原料58をホッパ53に投入する。投入された樹脂原料58は材料供給装置54によって一定量が加熱シリンダ55に送られる。樹脂原料58は加熱シリンダ55内で溶融し、次に射出シリンダ56に送られる。射出シリンダ56は図示しないアクチュエータに接続されており、射出シリンダ56に送られた樹脂原料58は、ノズル57を経て樹脂注入口46へ注入される。注入された樹脂原料58はランナー47とゲート48を経て金型本体41内に送られ、装着された導電性ローラ中間体37の周りの成形キャビティ49を満たす。金型40を予め100〜140℃程度に昇温させておくことにより、注型された樹脂原料58が加熱硬化し、弾性層4を形成する。硬化後、金型本体41から芯体保持部材42,43を取り外し、成形品を取り出す。該成形品は、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられ、かつ導電樹脂層3の外周面に弾性層4が設けられた導電性ローラ中間品となる。
【0067】
なお、導電樹脂層3と弾性層4との接着性をさらに向上させるために、導電樹脂層3の表面をプライマー処理した後、弾性層4を形成させてもよい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0068】
最後に、該導電性ローラ中間品の弾性層4の外周面に、被覆層5を構成する樹脂原料をディッピングにより塗布し、乾燥させて被覆層5を形成させる。当該樹脂原料としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂をメチルエチルケトン(MEK)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に溶解し、カーボンブラック等の導電性付与剤を添加したものを用いる。
このようにして、シャフト2の外周面に導電樹脂層3が設けられ、かつ導電樹脂層3の外周面に弾性層4が設けられ、さらに弾性層4の外周面に被覆層5が設けられた導電性ローラ1が製造される。
【0069】
なお、弾性層4と被覆層5との接着性をさらに向上させるために、弾性層4の表面をプライマー処理した後、被覆層5を形成させてもよい。プライマーとしては、各種カップリング剤またはエポキシ化合物を含有する任意のプライマーを使用することができる。
【0070】
本実施形態の導電性ローラ1は被覆層5を有するものであったが、他の実施形態として、被覆層5を有さず、最表面が弾性層4となる構成も採用可能である。さらに、本実施形態の導電性ローラ1では被覆層5が単層であったが、被覆層5が複数の層からなる構成も採用可能である。
【0071】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置の1つの様相では、現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転する。本様相の画像形成装置の実施形態(第一実施形態)について説明する。図5は、本発明の第一実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。図6は、図5の軸受け部分の拡大平面図である。
【0072】
図5の画像形成装置60の構成は、図9の画像形成装置120の構成と基本的に同じである。すなわち図5の画像形成装置60は、現像ローラ61と感光ドラム62とを備え、現像ローラ61が感光ドラム62に接した状態で回転し、現像ローラ61から感光ドラム62にトナーが供給されるものである。
感光ドラム62は回転軸63を有し、その両端は軸受け(図示せず)で支持されている。
現像ローラ61は図1に示した導電性ローラ1と同じものであり、基本的に、非導電性樹脂製のシャフト65の外周面に導電樹脂層、弾性層、および被覆層が設けられたものである。現像ローラ61はシャフト65が樹脂製であるので、適度に撓る性質を有する。なお、現像ローラ61は、非導電性樹脂製ではなく導電性樹脂製のシャフトの外周面に弾性層等が設けられたものでもよい。
【0073】
現像ローラ61の両端部66a,66bは、それぞれ軸受け67a,67bで回転自在に支持されている。
軸受け67a,67bは、それぞれコイルばねからなる付勢手段68a,68bにより感光ドラム62側に付勢され、一定荷重を掛けられた構成となっている。本実施形態では付勢手段68a,68bとしてコイルばねを採用しているが、板バネやゴムなどの他の弾性材によって構成してもよい。
【0074】
本実施形態の画像形成装置60では、軸受け67a,67bの配置方向に特徴がある。すなわち、図10に示す従来の画像形成装置120における軸受け118a,118bは、現像ローラ1の中心軸線の方向に配置されていたが、図5に示す本実施形態の画像形成装置60においては、軸受け67a,67bが感光ドラム62側に僅かに角度θを付けて配置されている(図6)。換言すれば、軸受け67a,67bの中心線(中心軸の仮想的延長線)が感光ドラム62側で交わる。その結果、現像ローラ61が感光ドラム62側に反った状態で密着し、感光ドラム62を押圧しながら回転する。すなわち本実施形態の画像形成装置60では、軸受け67a,67bを現像ローラ1の中心軸線に対して角度をもたせて配置しているので、現像ローラ61は、感光ドラム62側へ強制的に撓る。その結果、現像ローラ61が寸法精度の低いものである場合(例えば、真円度が低い、偏芯している、反りが生じている等)でも、寸法精度が矯正されて感光ドラム側へ撓りながら回転でき、現像ローラ61と感光ドラム62との密着性がよい。
【0075】
また本実施形態の画像形成装置60では、軸受け67a,67bがコイルばね68a,68bにより感光ドラム62側に付勢されているので、現像ローラ61と感光ドラムとの接触量の変動が緩和され、感光ドラム62とより安定に密着できる。
【0076】
なお、軸受け67a,67bの中心線と現像ローラ1の中心軸線とがなす角度θは、A4サイズのプリンターまたは複写機の場合には0.1度程度でよく、最大でも0.5度程度あればよい。なお、図5、図6では現像ローラ61の反った状態を視覚的にわかりやすくするために、角度θは誇張して描かれている。
【0077】
また、シャフト65を構成する樹脂は、耐熱温度が80℃以上あるものであれば、一般的なものでよく、また熱可塑性、熱硬化性を問わないが、感光ドラム62側へ撓らすために柔軟性とある程度の靭性が必要である。したがって、シャフト65は、ASTM D790の測定法での曲げ弾性率が1GPaから8GPaのものが好ましい。また、シャフト65と導電樹脂層からなる部分も同様に、ASTM D790の測定法での曲げ弾性率が1GPaから8GPaのものが好ましい。
【0078】
なお、現像ローラ61を感光ドラム62へ反らして押し付けることで、現像ローラ61の両端部と中央部とでニップ幅に差がでて画像濃度差を生じる懸念があるが、その差は一定にできるため、電気的に画像濃度を補正することができる。さらに、現像ローラ61の外周形状を長手方向の両端から中央に向かって外径が小さくなる逆クラウン形状(鼓状)にすることで、両端部と中央部におけるニップ幅の差を小さくすることができる。
【0079】
従来の画像形成装置では金属製シャフトを有する寸法精度の高い現像ローラを用いることで印字性能を確保していたものを、本実施形態の画像形成装置60では、寸法精度の劣る樹脂製シャフトを有する現像ローラ61を用いるにもかかわらず、安定した印字性能を発揮することができる。
【0080】
次に、本発明の画像形成装置に他の様相について説明する。本発明の画像形成装置の他の様相では、現像ローラが長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転する。本様相の画像形成装置の実施形態(第二実施形態)について説明する。図7は、本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置に組み込まれる現像ローラの平面図である。図8は、本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【0081】
図8の画像形成装置70の構成は、図9の画像形成装置120や図5の画像形成装置60と基本的に同じで、現像ローラ71と感光ドラム72とを備え、現像ローラ71が感光ドラム72に接した状態で回転し、現像ローラ71から感光ドラム72にトナーが供給されるものである。
感光ドラム72は図5の感光ドラム62と同じものであり、回転軸73を有し、その両端は軸受け(図示せず)により支持されている。
【0082】
現像ローラ71は図1に示した導電性ローラ1と同じ構成を有するものであり、非導電性樹脂製のシャフト75の外周面に各種の層が設けられたものである。現像ローラ71はシャフト75が樹脂製であるので、適度に撓る性質を有する。なお、現像ローラ71は、現像ローラ61と同様に、非導電性樹脂製ではなく導電性樹脂製のシャフトの外周面に弾性層等が設けられたものでもよい。
【0083】
本実施形態の画像形成装置70では、現像ローラ71の形状に特徴がある。すなわち、図7に示すように、本実施形態の画像形成装置70に組み込まれる現像ローラ71は、長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状(太鼓状の形状)を有する。
【0084】
クラウン形状を有する現像ローラ71を組み込んだ画像形成装置70における、現像ローラ71と感光ドラム72の様子は図8のようになる。まず、現像ローラ71の両端部76a,76bは、それぞれ軸受け77a,77bにより回転自在に支持されている。ただし、図5の画像形成装置60とは異なり、本実施形態の画像形成装置70では、図10に示す従来の画像形成装置120と同様に、軸受け77a,77bは現像ローラ71の中心軸線の方向に配置されている。さらに、軸受け77a,77bは、それぞれコイルばねからなる付勢手段78a,78bにより感光ドラム72側に付勢され、一定荷重を掛けられた構成となっている。そうすると、現像ローラ71が感光ドラム72と反対側に適度に撓った状態で感光ドラム72に押し付けられる。このとき、現像ローラ71がクラウン形状を有するので中央部と両端部におけるニップ幅の差が吸収され、現像ローラ71が、反りや偏芯などが生じた寸法精度に劣るものであっても感光ドラム72と均一に接触することができる。
【0085】
なお、現像ローラ71における中央部の外径と両端部の外径との差は、現像ローラ71の反り量や偏芯量の最大値(通常は0.3mm程度)より僅かに大きい値とすることが好ましい。なお、図7、図8では現像ローラ71の形状を視覚的にわかりやすくするために、現像ローラ71のクラウン形状が誇張して描かれている。
【0086】
従来の画像形成装置では金属製シャフトを有する寸法精度の高い現像ローラを用いることで印字性能を確保していたものを、本実施形態の画像形成装置70では、寸法精度の劣る樹脂製シャフトを有する現像ローラ71を用いるにもかかわらず、安定した印字性能を発揮することができる。
【0087】
以下に本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0088】
1.樹脂製シャフトの作製と導電樹脂層の形成
ポリプロピレン樹脂(商品名:1011FB、宇部興産社)を原料とし、一般的な射出成形により、外径約8mm、全長約263mmの樹脂製シャフトを作製した。
【0089】
ポリエステル樹脂(商品名:ハイパーライト、カネカ社)にカーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)を適量添加し、体積抵抗値がそれぞれ1×102Ω・cm、1×104Ω・cm、1×106Ω・cm、1×108Ω・cmの4種類のコンパウンドを調製した。図3に示す金型20と同じ構造の金型に上記の樹脂製シャフトを装着し、調製したコンパウンドを樹脂注入口から注入した。樹脂が硬化した後、金型内の成形品を取り出した。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられた4種の導電性ローラ中間品が得られた。なお、当該導電性ローラ中間品においては、シャフトの一方の軸端部が導電樹脂層で被覆されたものとなった。
【0090】
2.弾性層の形成
アリル末端ポリオキシプロピレン(商品名:ACX003、カネカ社)にカーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)を適量添加し、体積抵抗値が1×103Ω・cm、1×104Ω・cm、1×105Ω・cm、1×106Ω・cm、1×107Ω・cmの5種類の主剤を調製した。これらの主剤100gに対して、硬化剤としてポリオルガノハイドロジェンシロキサン(商品名:CR100、カネカ社)3.1g、ビス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)白金錯体触媒(白金含有量3wt%、キシレン溶液)70μL、有機リチウム塩含有化合物(商品名:サンコノール0862−20R、三光化学工業社)1.0g、及びマレイン酸ジメチル35μLを添加・混合し、弾性層を構成する樹脂原料(5種類)を調製した。
【0091】
図4に示す金型40と同じ構造の金型を予め100℃〜140℃に昇温させた。この金型に上記1で作製した導電性ローラ中間品(樹脂シャフト+導電樹脂層)を装着し、樹脂注入口から弾性層を構成する樹脂原料を注入した。樹脂が加熱硬化した後、金型内の成形品を取り出した。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層(厚さ約1.5mm)が設けられた20種の導電性ローラ中間品が得られた。
【0092】
3.被覆層の形成
150gのMEKに対して、カーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)12g、ウレタン樹脂溶液(商品名:ハイムレンY−258、大日精化工業社)100g、DMF300gを添加・混合し、塗布液を調製した。20種の導電性ローラ中間品(樹脂製シャフト+導電樹脂層+弾性層)の表面に、調製した塗布液をディッピング法により塗布し、40℃で5分間乾燥させた。同様の塗布操作を再度繰り返した後、100℃〜120℃で90分間乾燥させた。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層(厚さ約1.5mm)が設けられ、さらに該弾性層の外周面に被覆層が設けられた20種の導電性ローラが得られた。なお、作製した導電性ローラの代表的なものの総重量は69gであった。
【0093】
4.各導電性ローラの現像ローラとしての評価
得られた各導電性ローラをカラープリンター用カートリッジ(EP−85、キヤノン社)にセットし、レーザープリンター(LASER SHOT LBP−2510、キヤノン社)に該カートリッジを組み込み、モノクロ、50%ハーフトーン画像を用いて、画像の良否を評価した。結果を第1表に示す。第1表中、「◎」は極めて良好、「○」は良好、「△」はやや良好、「×」は不良を表す。すなわち、導電樹脂層の体積抵抗値が1×106Ω・cm以下かつ弾性層の体積導電率が1×105Ω・cm以下の導電性ローラは、いずれも現像ローラとして使用可能なものであった。特に、導電樹脂層と弾性層の体積導電率の組み合わせが、「導電樹脂層:1×102Ω・cm/弾性層:1×104Ω・cm」、「導電樹脂層:1×102Ω・cm/弾性層:1×105Ω・cm」、または、「導電樹脂層:1×104Ω・cm/弾性層:1×104Ω・cm」の導電性ローラの性能が高かった。
以上のように、本実施例で作成した導電性ローラの多くは、画像形成装置の現像ローラとして十分使える性能を有していた。
【0094】
【表1】
【実施例2】
【0095】
1.樹脂製シャフトの作製と導電樹脂層の形成
ポリプロピレン樹脂(商品名:1011FB、宇部興産社)をベース樹脂として、ガラス繊維を適量配合し、曲げ弾性率が1GPaから8GPaのコンパウンドを多種類調製した。これらのコンパウンドを用いた一般的な射出成形で、多種類の樹脂製シャフト(外径約8mm、全長約263mm)を作製した。
【0096】
ポリエステル樹脂(商品名:ハイパーライト、カネカ社)にカーボンブラック(商品名:#3030B、三菱化学社)とガラス繊維を適度に配合し、曲げ弾性率が1GPa〜8GPaのコンパウンドを多種類作製した。実施例1と同様にして、上記1の各樹脂製シャフト(ガラス繊維入り)の外周面にコンパウンド(曲げ弾性率1GPa〜8GPa)を用いて導電樹脂層を形成させた。これにより、種々の曲げ弾性率を有する多種類の導電性ローラ中間品(シャフト+導電樹脂層)が得られた。
【0097】
得られた各導電性ローラ中間品につき、曲げ試験機(島津製作所製オートグラフAGS―H)を用いて曲げ弾性率(GPa)を測定した。計算式は{4×L3/(3×π×D4)}×(F/ΔL)とし、L=200mm、F=2kg・fとして算出した。曲げ弾性率の値により導電性ローラ中間品を選抜し、さらに、曲げ弾性率が1GPa〜2GPa、3GPa〜4GPa、5GPa〜6GPa、7GPa〜8GPa、の4つの群に分類した。
【0098】
2.弾性層と被覆層の形成
実施例1と同様にして、各導電性ローラ中間品の外周面に導電樹脂層と被覆層を設けた。これにより、樹脂製シャフト(外径約8mm)の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層(厚さ約2.5mm)が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層(厚さ約1.5mm)が設けられ、さらに該弾性層の外周面に被覆層が設けられた多種類の導電性ローラが得られた。
【0099】
3.導電性ローラを組み込んだ画像形成装置の評価
まず、得られた各導電性ローラについて、レーザー式形状測定器で最大振れ量を測定した。次に、実施例1で使用したレーザープリンター(画像形成装置)とカラープリンター用カートリッジを用い、上記2で得られた各導電性ローラの中央部がレーザープリンターにセットした時に感光ドラム側へ0.2mm撓むように、各導電性ローラをカラープリンター用カートリッジにセットし、現像ローラが感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、押圧しながら回転するようにした。実施例1と同様の方法で、導電性ローラの曲げ弾性率と最大振れ量ごとに印字性能を評価した。結果を第2表に示す。すなわち、導電性ローラの最大振れ量が0.1mm以下であれば、いずれの群(曲げ弾性率1GPa〜8GPa)の導電性ローラを組み込んだレーザープリンターでも、画像の状態が良かった。特に、曲げ弾性率が1GPa〜2GPaと3GPa〜4GPaの現像ローラ(導電性ローラ)を用いたレーザープリンターでは、現像ローラの最大振れ量が0.2mmでも画像の状態が良かった。
以上より、本実施例のレーザープリンター(画像形成装置)によれば、現像ローラの最大振れ量が大きい場合でも高い印字性能を保持していた。
【0100】
【表2】
【実施例3】
【0101】
1.クラウン形状を有する導電性ローラの作製
成形キャビティ中央部を太鼓状に太くした金型を用いて弾性層を形成する以外は実施例1と同様にして、長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有する導電性ローラを作製した。導電性ローラの中央部の外径は、両端部より、0.1mm、0.2mm、または0.3mm太い3種類とした。また、導電樹脂層の体積抵抗値は1×104Ω・cm、弾性層の体積抵抗値は1×104Ω・cmとした。
【0102】
比較例として、表面をニッケルメッキした鉄(SUM22)製シャフトの外周面に実施例1と同様の弾性層と被覆層を設けた導電性ローラを作製した。比較例の導電性ローラの代表的なものの総重量は139gであった。
【0103】
2.導電性ローラを組み込んだ画像形成装置の評価
まず、各導電性ローラについて、実施例2と同様にして最大振れ量を測定した。次に、実施例1で使用したレーザープリンターとカラープリンター用カートリッジを用い、上記1で得られたクラウン形状を有する各導電性ローラをセットした。さらに、ばねによって導電性ローラ(現像ローラ)両端の軸受けを感光ドラム側にそれぞれ0.3kg〜1.0kgの荷重を付勢した。実施例1と同様の方法で各レーザープリンターの性能を評価した。結果を第3表に示す。すなわち、比較例の現像ローラを用いた場合は、最大振れ量が0.08mmになると画像の状態が不良となったが、クラウン形状を有する現像ローラを用いた場合は、いずれも、最大振れ量が0.08mmのときでも良好な画像が得られた。また、最大振れ量が0.04mmと0.06mmの場合も、クラウン形状を有する現像ローラを用いたときの方が画像の状態が良かった。さらに、クラウン形状を有する現像ローラの中では、中央部と両端部の太さの差が0.1mmと0.2mmのものを用いた場合が、特に画像の状態が良かった。
以上より、クラウン形状の現像ローラを組み込んだレーザープリンター(画像形成装置)では、現像ローラの最大振れ量が大きい場合でも高い印字性能を保持していた。
【0104】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態にかかる導電性ローラの斜視図である。
【図2】(a)は図1のA−A断面図であり、(b)は図1の導電性ローラの長手方向の断面図である。
【図3】(a)は導電樹脂層の形成に使用可能な金型を模式的に表す断面図であり、(b)は(a)の固定金型部分の拡大断面図である。
【図4】弾性層の形成に使用可能な金型と射出機構を模式的に表す断面図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【図6】図5の軸受け部分の拡大平面図である。
【図7】本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置に組み込まれる現像ローラの平面図である。
【図8】本発明の第二実施形態にかかる画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【図9】電子写真方式による印字装置の一般的な構成を表す概略図である。
【図10】一般的な画像形成装置の主要部を表す平面図である。
【図11】一般的な現像ローラの断面図である。
【符号の説明】
【0106】
1 導電性ローラ
2 シャフト(芯体)
3 導電樹脂層
4 弾性層
5 被覆層
11a,11b 軸端部
60 画像形成装置
61 現像ローラ
62 感光ドラム
66a,66b 端部(両端)
67a,67b 軸受け
70 画像形成装置
71 現像ローラ
72 感光ドラム
76a,76b 端部(両端)
77a,77b 軸受け
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられていることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記導電樹脂層の体積抵抗値は、1×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記導電樹脂層は、前記芯体の少なくとも一方の軸端部の一部又は全部を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記導電樹脂層を構成する導電性樹脂は、熱可塑性樹脂に導電性付与剤を含有させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項5】
前記弾性層の体積抵抗値は、1×103Ω・cm以上かつ1×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項6】
前記弾性層の外周面に、さらに被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項7】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記現像ローラの芯体の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記現像ローラの芯体と導電樹脂層とからなる部分の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記現像ローラの両端は軸受けで支持されており、該軸受けは感光ドラム側に角度を付けて配置されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記軸受けは、感光ドラム側に付勢されていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
非導電性樹脂からなる芯体の外周面に導電性樹脂からなる導電樹脂層が設けられ、かつ該導電樹脂層の外周面に弾性層が設けられていることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記導電樹脂層の体積抵抗値は、1×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記導電樹脂層は、前記芯体の少なくとも一方の軸端部の一部又は全部を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記導電樹脂層を構成する導電性樹脂は、熱可塑性樹脂に導電性付与剤を含有させたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項5】
前記弾性層の体積抵抗値は、1×103Ω・cm以上かつ1×106Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項6】
前記弾性層の外周面に、さらに被覆層が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ローラ。
【請求項7】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記現像ローラの芯体の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラであり、前記現像ローラは感光ドラム側に反った状態で感光ドラムに接し、感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記現像ローラの芯体と導電樹脂層とからなる部分の曲げ弾性率は、1GPa以上かつ8GPa以下であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記現像ローラの両端は軸受けで支持されており、該軸受けは感光ドラム側に角度を付けて配置されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記軸受けは、感光ドラム側に付勢されていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは樹脂からなる芯体の外周面に弾性層が設けられた導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
現像ローラと感光ドラムとを備え、現像ローラが感光ドラムに接した状態で回転し、現像ローラから感光ドラムにトナーが供給される画像形成装置において、前記現像ローラは請求項1〜6のいずれかに記載の導電性ローラで、かつ長手方向の両端から中央に向かって外径が大きくなるクラウン形状を有し、前記現像ローラの両端を支持する軸受けが感光ドラム側に付勢され、現像ローラが感光ドラムを押圧しながら回転することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−333923(P2007−333923A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164323(P2006−164323)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(596087214)栃木カネカ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(596087214)栃木カネカ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】
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