説明

導電性ローラ、現像装置及び画像形成装置

【課題】現像装置又は画像形成装置に装着されたときに濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラ、並びに、濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成できる現像装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】軸体2と、軸体2の外周面に配置された、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有する導電性プライマー層3と、導電性プライマー層3の外周面に配置された弾性層4とを備えて成る導電性ローラ1A、並びに、この導電性ローラ1Aを備えて成る現像装置及び画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性ローラ、現像装置及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、現像装置又は画像形成装置に装着されたときに濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラ、並びに、濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成できる現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンター及びビデオプリンター等のプリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機等には電子写真方式を利用した各種の画像形成装置が採用されている。電子写真方式を利用した画像形成装置は多種多様の各種ローラを備えている。各種ローラとしては、例えば、導電性又は半導電性を有する導電性ローラ、比較的低硬度の弾性ローラ等が挙げられる。導電性ローラとしては、具体的には、感光体等の像担持体を一様に帯電させる帯電ローラ、現像剤を担持搬送して像担持体に供給する現像ローラ、現像ローラに現像剤を帯電させつつ供給する現像剤供給ローラ、記録紙等の記録体に転写された現像剤像を定着させる定着ローラ等が挙げられる。これらの各種ローラは、通常、軸体と、その周囲に各種ゴムで形成された弾性層と、所望により弾性層の周囲に配置された表面層とを備えている。
【0003】
この各種ローラにおいて、軸体と弾性層との接着強度を向上させるために接着層等が設けられることがあるが、接着層等を設けると、その厚さのばらつきによって導電性ローラが発揮する電気抵抗にもばらつきが生じて、画像形成装置に装着されたときに所期の機能を十分に発揮できないことがある。
【0004】
そこで、軸体と弾性層との間に設けられる接着層として導電性接着剤を用いる技術が提案されている。例えば、特許文献1には「導電性軸体の外周上に導電性接着剤層を有し、前記導電性接着剤層の外周上に少なくとも1層以上のゴム組成物からなる導電性ゴム弾性層を有する導電性ローラにおいて、前記導電性接着剤層が、少なくとも導電性フィラー及びバインダ用樹脂を含み、前記導電性接着剤層は、前記導電性フィラーを、0.50体積%以上、8.15体積%以下含有することを特徴とする導電性ローラ」が記載されている(請求項1等)。
【0005】
ここで、引用文献1には、「導電性接着剤層に含有される導電性フィラー」として「アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(商品名、ライオン(株)製)等のカーボンブラック、ゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、及び、熱分解カーボンなどの導電性のカーボンを用いることができる。また、天然グラファイト及び人造グラファイトなどのグラファイトを用いることもできる。また、TiO、SnO、ZnOなどの金属酸化物、SnOとSbの固溶体、ZnOとAlの固溶体などの複合酸化物、Cu、Agなどの金属粉等を始めとして、各種公知のものが使用できる」と記載されている(0024欄)。
【0006】
また、特許文献2には「回転軸と、その外周に同心状に導電弾性層を設けた導電性ローラにおいて、回転軸と導電弾性層との間に接着剤層が形成され、かつ該接着剤層の体積固有抵抗が導電弾性層の体積固有抵抗よりも小さいことを特徴とする導電性ローラ」が記載されている(請求項1等)。
【0007】
この特許文献2には、「導電弾性層3を形成するエラストマに導電性を付与する導電性付与剤としては、カーボンブラック、金属フィラー(銅)、酸化錫等の導電性フィラーが挙げられる。これらの他に、四級アンモニウム塩等のイオン導電化剤も使用可能である」と記載され(0014欄)、また、「接着剤層2として本発明で用いることができる接着剤」に「前記の導電弾性層に用いた導電性付与剤を適量、混合分散して、接着剤組成物を調製し、これを適用した接着剤層2の体積固有抵抗が導電弾性層3の体積固有抵抗より小さくなるように調整する」と記載されている(0017欄)。
【0008】
さらに、特許文献3には「回転軸と、その外周に同心状に導電弾性層を設けた導電性ローラにおいて、回転軸と導電弾性層との間に接着剤層が形成され、かつ該接着剤層の体積固有抵抗が導電弾性層の体積固有抵抗よりも大きいことを特徴とする導電性ローラ」が記載されている(請求項1等)。
【0009】
この特許文献3には「導電弾性層3を形成するエラストマに導電性を付与する導電性付与剤としては、カーボンブラック、金属フィラー(銅)、酸化錫等の導電性フィラーが挙げられる。これらの他に、四級アンモニウム塩等のイオン導電化剤も使用可能である」と記載され(0014欄)、また、「接着剤層2として本発明で用いることができる接着剤」は「通常これらの接着剤をそのまま用いるが、導電弾性層3に用いた導電性付与剤を適量、混合分散して、接着剤組成物を調製し、これを適用した接着剤層2の体積固有抵抗が導電弾性層3の体積固有抵抗より小さくならないようにしてもよい」と記載されている(0017欄)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−210699号公報
【特許文献2】特開平09−160371号公報
【特許文献3】特開平09−190049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、この発明の発明者らは、導電性ローラの軸体と弾性層との間に形成する導電性接着剤層と形成されるハーフトーン画像及びベタ印字画像の品質とを詳細に検討したところ、以下の問題が生じ得ることを見出した。すなわち、特許文献1〜3のように、導電性ローラの軸体と弾性層との間に形成される導電性接着剤層に導電性フィラー、導電性付与剤を含有させると、導電性接着剤層の接着が不均一になりやすく、さらに、ハーフトーン画像に発生し得る印字濃度の不均一性すなわち「濃度ムラ」を根本的に解決できないことがある。また、これらの導電性フィラー、導電性付与剤を含有する導電性接着剤層を備えた導電性ローラを用いてベタ印字画像を形成すると画像のうちの上部すなわち初期形成部分と下部すなわち終期形成部分とに印字濃度の差としての所謂「濃度段差」が発生することがある。
【0012】
したがって、この発明は、現像装置又は画像形成装置に装着されたときに濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラを提供することを目的とする。
【0013】
また、この発明は、濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成できる現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の発明者らは、導電性ローラの軸体と弾性層との間に配置される導電性プライマー層に、導電性を付与する導電性付与剤又は導電性フィラーとして従来よく用いられるカーボンブラック等ではなく、少なくともペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有させると、この導電性ローラを例えば画像形成装置の現像ローラとして装着してベタ印字画像を形成すると濃度段差が発生しにくく、またハーフトーン画像を形成すると濃度ムラが発生しにくく、ベタ印字画像でもハーフトーン画像でも形成される画像の品質を改善できることを、見出した。
【0015】
前記課題を解決するための手段として、>
請求項1は、軸体と、前記軸体の外周面に配置された、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有する導電性プライマー層と、前記導電性プライマー層の外周面に配置された弾性層とを備えて成る導電性ローラであり、
請求項2は、前記ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、ペルフルオロアルキルスルホンイミド及びその塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びに、ペルフルオロアルキルジスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の導電性ローラであり、
請求項3は、前記ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、前記導電性プライマー層の質量に対して0.5〜50.0質量%の割合で含有されている請求項1又は2に記載の導電性ローラであり、
請求項4は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ローラを備えて成る現像装置であり、
請求項5は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ローラを備えて成る画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る導電性ローラは、軸体と弾性層との間にペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有する導電性プライマー層を備えているから、ハーフトーン画像における濃度ムラもほとんど発生することなく、加えてベタ印字画像における濃度段差の均一性にも優れる。また、この発明に係る現像装置及び画像形成装置はいずれもこの発明に係る導電性ローラを備えているから高品質の画像を形成できる。したがって、この発明によれば、現像装置又は画像形成装置に装着されたときに濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成することに貢献する導電性ローラ、並びに、濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成できる現像装置及び画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はこの発明に係る導電性ローラにおける一例の導電性ローラを示す斜視図である。
【図2】図2はこの発明に係る導電性ローラにおける別の一例の導電性ローラを示す斜視図である。
【図3】図3は、この発明に係る現像装置及びこの発明に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明に係る導電性ローラは、軸体と、軸体の外周面に配置された、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有する導電性プライマー層と、導電性プライマー層の外周面に配置された弾性層とを備えている。このように、この発明に係る導電性ローラは軸体と弾性層との間にペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有する導電性プライマー層を備えていることを特徴の1つとする。したがって、この発明に係る導電性ローラは、例えば、弾性層の外周面にコート層又は表面層を備えていてもよく、また弾性層とコート層又は表面層との間にプライマー層を備えていてもよい。以下に、この発明に係る導電性ローラを具体的に説明する。
【0019】
この発明に係る導電性ローラは導電性を有している。この発明に係る導電性ローラが導電性を有していると現像剤を静電的に担持し搬送する特性を発揮するから所望の画像濃度の画像を形成することができる。前記導電性としては、例えば、電気抵抗(温度20℃、相対湿度50%)が挙げられる。この電気抵抗(温度20℃、相対湿度50%)は1×10〜1×10Ωであるのが好ましい。前記電気抵抗は、例えば、電気抵抗計(商品名:ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A、株式会社アドバンテスト製)を用い、この発明に係る導電性ローラを水平に置き、5mmの厚さ、30mmの幅、及び、この発明に係る導電性ローラの弾性層全体を載せることのできる長さを有する金メッキ製板を電極とし、500gの荷重をこの発明に係る導電性ローラにおける軸体の両端それぞれに支持させた状態(合計荷重1000g)にして、軸体と電極との間にDC100Vを印加し、1秒後の電気抵抗計の値を読み取り、この値を電気抵抗値とする方法に準拠して、測定することができる。
【0020】
この発明に係る導電性ローラは現像剤を帯電させることができる。例えば、現像剤を帯電させる帯電量は約10〜60μC/gの帯電量又は約−60〜−10μC/gの帯電量であるのが好ましく、約15〜50μC/gの帯電量又は約−50〜−15μC/gの帯電量であるのがより一層好ましく、約35〜50μC/gの帯電量又は約−50〜−35μC/gの帯電量であるのが特に好ましい。この発明に係る導電性ローラが前記帯電量で現像剤を帯電させることができる場合には、例えばこの発明に係る導電性ローラを現像ローラとして使用したときに、所望の帯電量に帯電させた現像剤を像担持体に供給することができ、高品質な画像を形成することができる。ここで、現像剤の帯電量は、20℃、相対湿度50%の環境下において、この発明に係る導電性ローラを画像形成装置(沖データ株式会社製、商品名「MICROLINE 1032PS」、解像度1200dpi相当)に現像ローラとして装着して、黒ベタ印字を5枚行った後、黒べた印字を強制的に停止させて、この発明に係る導電性ローラを画像形成装置から取り出し、この発明に係る導電性ローラの表面に付着した現像剤の帯電量を、断面積0.25cmの吸引口を有する吸引式小型帯電量測定装置、例えば、商品名「210HS q/M METER」(トレックジャパン株式会社製)によって、測定することができる。
【0021】
この発明に係る導電性ローラは、低硬度であり、具体的には、45未満のJIS A硬度を有しているのが好ましく、43未満のJIS A硬度を有しているのが特に好ましい。JIS A硬度の下限値は特に限定されないが、例えば20とすることができる。JIS A硬度はJIS K6253に準拠して測定することができる。この発明に係る導電性ローラが前記範囲の硬度を有していると、画像形成装置に装着された場合に被当接体、例えばこの発明に係る導電性ローラを現像ローラとして画像形成装置又は現像装置に装着した場合には像担持体との大きく均一な接触幅を確保できる。
【0022】
この発明に係る導電性ローラは、その表面、例えば弾性層又は表面層若しくはコート層の表面における十点平均粗さRzが2〜15μmであるのが好ましく、5〜13μmであるのが特に好ましい。この発明に係る導電性ローラが前記範囲の十点平均粗さRz(μm)を有していると、例えばこの発明に係る導電性ローラを現像ローラとして画像形成装置又は現像装置に装着したときに、所望量の現像剤をその表面に物理的に担持して像担持体に供給することができ、高品質な画像を形成することができる。この発明に係る導電性ローラは、周方向及び軸線方向における十点平均粗さRz(μm)共に前記範囲にあるのが周方向及び軸線方向における現像剤の搬送量が均一になる点で、好ましい。前記十点平均粗さRz(μm)は、JIS B 0601―1984に準じ、先端半径2μmの測定プローブを備えた表面粗さ計(商品名「590A」、株式会社東京精密製)に、この発明に係る導電性ローラをセットし、測定長2.4mm、カットオフ波長0.8mm、カットオフ種別ガウシアンにより、この発明に係る導電性ローラの表面をその周方向又は軸線方向に沿って少なくとも3点の粗さを測定し、これらの算術平均値とする。この発明に係る導電性ローラにおける十点平均粗さRz(μm)は、例えば、弾性層が最外層である場合には研磨機砥石の粒径及び研磨時間等によって調整でき、表面層若しくはコート層が最外層である場合には表面層若しくはコート層に含有される粒子の大きさ及び含有量等によって調整することができる。
【0023】
この発明に係る導電性ローラを具体的に説明する。この発明に係る導電性ローラにおける一例の導電性ローラは、図1に示されるように、軸体2と、軸体2の外周面に配置された導電性プライマー層3と、導電性プライマー層3の外周面に配置された弾性層4とを備えている。この導電性ローラ1Aは、前記範囲のJIS A硬度、十点平均粗さRz、電気抵抗及び帯電量を有している。
【0024】
軸体2は、図1に示されるように、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される導電性軸体である。また、この軸体2は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された導電性軸体であってもよい。軸体2は、装着される画像形成装置に応じて、適宜の直径及び軸線方向の長さに調整される。例えば軸体2の直径は4〜10mmであるのがよい。
【0025】
導電性プライマー層3は、少なくともペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有していればよく、通常、接着成分を含有し、所望により各種添加剤を含有していてもよい。この導電性プライマー層3はカーボンブラック等の通常の導電性フィラー及び導電性付与剤を実質的に含有していない。ここで、「導電性フィラー及び導電性付与剤を実質的に含有していない」とは、導電性プライマー層3に導電性フィラー及び導電性付与剤が積極的に含有していことを意味し、導電性フィラー及び導電性付与剤本来の機能を発揮しない程度の含有量で含有している場合及び不可避的に含有している場合をも排除する趣旨ではない。
【0026】
ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、ペルフルオロアルキルスルホンイミド(ペルフルオロアルキルスルホルイミドとも称する。)又はその塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸又はその塩、ペルフルオロアルキルジスルホン酸又はその塩等が挙げられる。このペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、ペルフルオロアルキルスルホンイミド及びその塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びに、ペルフルオロアルキルジスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。
【0027】
ペルフルオロアルキルスルホンイミドとしては、例えば、ビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミド:(RfSONR、環状のペルフルオロアルキルジスルホニルイミド:R’f>(SONR等が挙げられる。前記式においてRfは炭素数1〜10、好ましくは1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R’fは炭素数1〜10、好ましくは1〜4のペルフルオロアルキレン基であり、Rは水素、1価の金属、1価の塩基である。炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基Rfとしては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜10のペルフルオロアルキレン基R’fとしては、ペルフルオロメチレン基、1,2−ペルフルオロエチレン基、1,3−ペルフルオロプロピレン基、1,4−ペルフルオロブチレン基、1,6−ペルフルオロヘキシレン基等が挙げられる。前記Rとしては、具体的には、水素、カリウム、リチウム、ナトリウム、アンモニウムイオン等が挙げられる。
【0028】
前記ビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミド:(RfSONRとしては、具体的には、ビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミド:(CSONH、リチウムビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミド:(CSONLi、カリウムビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミド:(CSONK、ナトリウムビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミド:(CSONNa及びアンモニウムビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミド:(CSONNH等が挙げられる。これらは三菱マテリアル電子化成株式会社より入手できる。
【0029】
前記環状のペルフルオロアルキルジスルホニルイミド:R’f>(SONRとしては、具体的には、環状1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニルイミド、カリウム環状1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニルイミド、ナトリウム環状1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニルイミド及びアンモニウム環状1,3−ペルフルオロプロパンジスルホニルイミド等が挙げられる。これらは三菱マテリアル電子化成株式会社より入手できる。
【0030】
前記ペルフルオロアルキルスルホン酸及びその塩としては、例えば、式:ROS−Rf−SOH(R及びRfは前記した通りである。)で示されるモノスルホン酸及びその塩が挙げられる。したがって、このペルフルオロアルキルスルホン酸はペルフルオロアルキルモノスルホン酸とも称される。前記ペルフルオロアルキルスルホン酸としては、具体的には、トリフルオロメチルスルホン酸、ペンタフルオロエチルスルホン酸、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸及びノナフルオロブチルスルホン酸等が挙げられる。ペルフルオロアルキルスルホン酸の塩としては、具体的には、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム、トリフルオロメチルスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメチルスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエチルスルホン酸リチウム、ペンタフルオロエチルスルホン酸ナトリウム、ペンタフルオロエチルスルホン酸カリウム、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸リチウム、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸ナトリウム、ヘプタフルオロプロピルスルホン酸カリウム、ノナフルオロブチルスルホン酸リチウム、ノナフルオロブチルスルホン酸ナトリウム、ノナフルオロブチルスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらは三菱マテリアル電子化成株式会社より入手できる。
【0031】
前記ペルフルオロアルキルジスルホン酸及びその塩としては、例えば、式:ROS−R’f−SOR(R及びR’fは前記した通りである。)で示される酸又は塩が挙げられる。ペルフルオロアルキルジスルホン酸の塩は2つのRのうち少なくとも1つが塩になっていてもよく両方が塩になっていてもよい。前記ペルフルオロアルキルジスルホン酸及びその塩としては、具体的には、1,3−ペルフルオロプロパンジスルホン酸、1,3−ペルフルオロプロパンジスルホン酸リチウム、1,3−ペルフルオロプロパンジスルホン酸カリウム、1,3−ペルフルオロプロパンジスルホン酸ナトリウム及び1,3−ペルフルオロプロパンジスルホン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは三菱マテリアル電子化成株式会社より入手できる。
【0032】
ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、親水性でも疎水性でもよく、導電性プライマー層3を形成可能な導電性プライマー層形成組成物に所望により含有される溶剤に応じて適宜に選択されるのが好ましい。例えば、溶媒がトルエン等の疎水性である場合には疎水性のペルフルオロアルキルスルホニル化合物が選択されるのが好ましく、溶媒がエタノール等の親水性である場合には親水性のペルフルオロアルキルスルホニル化合物が選択されるのが好ましい。なお、前記した中で疎水性のペルフルオロアルキルスルホニル化合物としては、EF−N441(化学名:ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド(ビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミドとも称する。)、三菱マテリアル電子化成株式会社製)等があり、親水性のペルフルオロアルキルスルホニル化合物としては、EF−41(化学名:ノナフルオロブチルスルホン酸、三菱マテリアル電子化成株式会社製)等がある。
【0033】
接着成分としては、軸体2と弾性層4とを接着できる成分であれば特に限定されず、例えば、各種樹脂又は各種ゴム等が挙げられる。具体的には、シリコーン、ウレタン、アクリル等が挙げられる。前記添加剤としては、プライマー又は接着剤に通常添加される添加剤等が挙げられ、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
【0034】
導電性プライマー層3に含有されるペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、軸体2と弾性層4との高い接着性を発現すると共にこの発明の目的をよく達成できる点で、硬化後の導電性プライマー層3の質量すなわち導電性プライマー層形成組成物における溶剤等の揮発成分を除外した合計質量に対して、0.5〜50.0質量%の割合で含有されているのが好ましく、0.5〜25.0質量%の割合で含有されているのがより一層好ましく、0.5〜5.0質量%の割合で含有されているのが特に好ましい。この発明において、導電性プライマー層3が複数のペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有している場合にはペルフルオロアルキルスルホニル化合物の含有率はそれらの合計含有率とする。
【0035】
導電性プライマー層3は、接着性に優れる点で、その厚さが0.01〜1.0μmであるのが好ましく、0.02〜0.1μmであるのが特に好ましい。
【0036】
弾性層4は弾性を有している。弾性層4が弾性を有していると、画像形成装置に装着された場合に被当接体、例えば導電性ローラ1を現像ローラとして画像形成装置又は現像装置に装着した場合には像担持体との大きく均一な接触幅を確保できると共に現像剤規制部材の機能を十分に機能させることができる。
【0037】
この弾性層4は、導電性プライマー層3の外周面で後述するゴム組成物を硬化してなる。この弾性層4は、導電性ローラ1が前記範囲のJIS A硬度となる硬度を有していればよく、基本的に導電性ローラ1AのJIS A硬度と同じ硬度を有しているのが好ましい。弾性層4が45未満のJIS A硬度を有していると、例えば、導電性ローラ1を画像形成装置又は現像装置に装着したときに導電性ローラ1と像担持体等の被当接体との大きなニップ幅を確保することができる。特に、導電性ローラ1を現像剤担持体例えば現像ローラとして装着すると、導電性ローラ1と像担持体との大きなニップ幅を確保して、現像剤を効率的に帯電搬送し、現像効率を向上させることができる。弾性層4のJIS A硬度はJIS K6253に準拠して測定することができる。
【0038】
弾性層4の厚さは、1mm以上であるのが好ましく、5mm以上であるのがより好ましい。一方、弾性層4の厚さの上限は、弾性層4の外径精度を損なわない限り特に制限されないが、一般に、弾性層4の厚さを厚くしすぎると、弾性層4の作製コストが上昇するから、実用的な作製コストを考慮すると、弾性層4の厚さは30mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましい。例えば、弾性層4の厚さは3〜7mmであるのがよい。
【0039】
弾性層4は導電性を有している。前記導電性としては、例えば、電気抵抗(温度20℃、相対湿度50%)が挙げられる。この電気抵抗(温度20℃、相対湿度50%)は1×10〜1×10Ωであるのが好ましい。弾性層4の電気抵抗は導電性ローラ1の電気抵抗と基本的に同様にして測定できる。
【0040】
弾性層4は、各種のゴム又は可撓性樹脂で形成されていればよく、例えば、通常のシリコーンゴム及びシリコーン変性ゴム等のシリコーンゴム、ウレタンゴム、EPDM等が挙げられる。これらの中でも環境安定性、耐久性等の点でシリコーンゴムが好ましい。弾性層4は、ゴム又は可撓性樹脂を含有し、所望により導電性付与剤及び各種添加剤等を含有している。導電性付与剤は液体であっても固体であってもよく、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等が挙げられる。導電性付与剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて、導電性ローラ1としたときに所望の電気抵抗となるように含有されている。例えば、導電性付与剤はゴム100質量部に対して2〜80質量部で含有されている。前記添加剤としてはゴム組成物等に含有される各種の添加剤が挙げられる。弾性層4はこれらのゴム又は可撓性樹脂を含有する後述するゴム組成物で形成されているのが好ましい。
【0041】
この発明に係る導電性ローラにおける別の一例の導電性ローラは、図2に示されるように、軸体2と、軸体2の外周面に配置された導電性プライマー層3と、導電性プライマー層3の外周面に配置された弾性層4と、弾性層4の外周面に配置された絶縁性プライマー層5と、絶縁性プライマー層5の外周面に配置されたコート層6とを備えている。この導電性ローラ1Bにおける軸体2、導電性プライマー層3及び弾性層4は導電性ローラ1Aにおける軸体2、導電性プライマー層3及び弾性層4と基本的に同様であり、前記範囲のJIS A硬度、十点平均粗さRz、電気抵抗及び帯電量を有している。
【0042】
絶縁性プライマー層5は、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有せず、絶縁性であること以外は導電性プライマー層3と基本的に同様である。したがって、この絶縁性プライマー層5は、通常、弾性層4とコート層6とを接着できる接着成分、及び、所望により各種添加剤を含有し、この絶縁性プライマー層5に導電性を付与する導電性付与剤、例えば、カーボンブラック等の導電性フィラー、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物等を実質的に含有していない。ここで、「導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物を実質的に含有していない」とは、絶縁性プライマー層5に導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物が積極的に含有していないことを意味し、導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物本来の機能を発揮しない程度の含有量で含有している場合及び不可避的に含有している場合をも排除する趣旨ではない。
【0043】
絶縁性プライマー層5は、接着性に優れる点で1μm以下の厚さを有しているのが好ましい。絶縁性プライマー層5の厚さの下限値は特に限定されないが、例えば0.1μmとすることができる。
【0044】
コート層6は、図2に示されるように、絶縁性プライマー層5の外周面で硬化されたコート層形成樹脂組成物で単層構造の層として形成されている。導電性ローラ1Bがコート層6を有していると、弾性層4をシリコーンゴムで形成した場合にもシリコーンオリゴマーが導電性ローラ1Bの表面にブリードアウトすることを防止できる。コート層6は、薄く形成されてもその表面に応力集中によるシワ等の変形が発生することがなく、その外周面が長期間にわたって均一な状態を維持する。コート層6は、通常薄層に形成され、具体的には、0.1〜25μmの層厚を有しているのが好ましく、10〜20μmの層厚を有しているのがより好ましい。
【0045】
コート層6は、樹脂、所望により導電性付与剤及び各種添加剤等を含有している。前記樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。コート層6を形成する樹脂は前記した中でもウレタンが好ましく、コート層6はウレタンコート層とされるのが好ましい。このウレタンコート層は、ウレタン樹脂と、所望により各種ウレタン樹脂組成物に通常用いられる各種添加剤等を含有している。ウレタン樹脂は、公知のウレタン樹脂であればよく、通常、ポリオールとポリイソシアネートとから得られる。このウレタン樹脂は、この発明の目的をよく達成できる点で、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールであるのが好ましい。ポリイソシアネートは、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。なお、ポリイソシアネートはブロック化合物でブロックされたブロックポリイソシアネートでもよく、ブロック化合物としては、イソシアネート基に結合して温度又は湿度によってイソシアネート基から脱離する化合物であればよく、例えば、ε−カプロラクタム類、メチルエチルケトオキシム類、3,5−ジメチルピラゾール類、アルコール類及びフェノール類等が挙げられる。また、ブロック剤として、イソシアネート類も挙げられ、この場合には、ブロックポリイソシアネートは、イソシアネートダイマー(ポリウレトジオン)となる。ブロック剤は、前記のいずれをも用いることができるが、溶剤との相溶性に優れ、加熱によって容易に脱離する点で、ε−カプロラクタム類及びメチルエチルケトオキシム類が好適である。
【0046】
この発明に係る導電性ローラ、例えば導電性ローラ1Aは、軸体2の外周面に導電性プライマー層3を形成し、次いで導電性プライマー層3の外周面に弾性層4を形成して、また、導電性ローラ1Bは、さらに弾性層4の外周面に絶縁性プライマー層5を形成し、この絶縁性プライマー層5の外周面にコート層6を形成して、それぞれ製造される。
【0047】
導電性ローラ1A及び1Bを製造するには、まず、軸体2が準備される。例えば、軸体2は前記材料を用いて公知の方法により所望の形状に作製される。
【0048】
次いで、軸体2の外周面に、導電性プライマー層3を形成可能な導電性プライマー層形成組成物が塗布される。軸体2に塗布される導電性プライマー層形成組成物は、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物、接着成分及び所望により各種添加剤を含有し、好ましくはカーボンブラック等の通常の導電性フィラー及び導電性付与剤を実質的に含有していない。ここで、「導電性フィラー及び導電性付与剤を実質的に含有していない」とは、導電性プライマー層形成組成物に導電性フィラー及び導電性付与剤を積極的に含有させないことを意味し、導電性フィラー及び導電性付与剤本来の機能を発揮しない程度の含有量で含有されている場合及び不可避的に含有される場合をも排除する趣旨ではない。ペルフルオロアルキルスルホニル化合物及び添加剤は前記した通りであり、接着成分は前記した接着成分の他にその前駆体例えばモノマー等が挙げられる。導電性プライマー層形成組成物において、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は所望により添加される溶媒と同じ性質、例えば疎水性又は親水性を有しているのが好ましい。
【0049】
導電性プライマー層形成組成物は、通常の混合器又は攪拌器等を用いて、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物、接着成分及び所望により各種添加剤が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。導電性プライマー層形成組成物は、塗布作業を容易にするため、25℃で液状であるのが好ましく、例えば各種溶剤を添加してその状態又は粘度等が調整されてもよい。なお、導電性プライマー層形成組成物において、接着成分及び添加剤を含有する組成物として、従来公知の各種プライマーを用いることができ、従来公知の各種プライマーとペルフルオロアルキルスルホニル化合物とを混合して導電性プライマー層形成組成物を調製することもできる。
【0050】
導電性プライマー層形成組成物は、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って軸体2の外周面に塗布され、その後、乾燥、硬化されて、導電性プライマー層3が形成される。
【0051】
次いで、導電性プライマー層3の外周面にゴム組成物を公知の成形方法によって加熱硬化して弾性層4を形成する。成形方法としては、例えば、押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されない。このシリコーンゴム組成物を硬化させる際の加熱温度はゴム組成物に応じて適宜に選択される。このようにして形成された弾性層4は、所望により、その表面が研磨、研削されて、外径及び表面状態等が調整される。このようにして導電性ローラ1Aが製造される。
【0052】
弾性層4を形成するゴム組成物はゴムを含有する組成物であればよく、ゴムとしてシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムを含有するシリコーンゴム組成物としては、シリコーンゴムと、所望により導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有するシリコーンゴム組成物が好ましい。シリコーンゴムは前記した通りであり、これらのシリコーンゴムは液状タイプであってもミラブルタイプであってもよく、弾性層4の成形方法、弾性層4に要求される特性等に応じて適宜選択することができる。シリコーンゴム組成物に含有される導電性付与剤は前記導電性付与剤と基本的に同様である。添加剤は、通常、ゴム組成物等に含有される各種の添加剤を含有してもよく、例えば、鎖延長剤及び架橋剤等の助剤、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。これらの各種添加剤は、通常用いられる添加剤であってもよく、用途に応じて特別に用いられる添加剤であってもよい。
【0053】
ゴム組成物は、二本ローラ、三本ローラ、ロールミル、バンバリーミキサ、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、ゴム、所望により充填材、導電性付与剤及び各種添加剤が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。
【0054】
ゴム組成物は、25℃において、5〜500Pa・sの粘度を有するのが好ましく、特に10〜200Pa・sの粘度を有するのが好ましい。ゴム組成物の粘度は、通常、それらに含まれる各成分の種類及び/又は配合量によって、調整することができる。また、必要により、溶剤等により粘度を調整することもできる。
【0055】
好ましく使用されるシリコーンゴム組成物として、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物及び付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0056】
前記付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、及び、(C)上記(B)成分に属するもの以外の導電性材料すなわち導電性付与剤を含有する。これらの各成分(A)〜(C)は、例えば、特開2008−058622号公報に記載の「付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物」における各成分と基本的に同様である。
【0057】
SiO(4−n)/2 (1)
ここで、Rは、同一又は異なっていてもよい、置換又は非置換の一価炭化水素基、好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、nは1.95〜2.05の正数である。
【0058】
前記付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、(D)一分子中にケイ素原子と結合するアルケニル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサンと、(E)一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)平均粒径が1〜30μmで、嵩密度が0.1〜0.5g/cmである無機質充填材と、(G)導電性付与剤と、(H)付加反応触媒とを含有する付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物が挙げられる。これらの各成分(D)〜(H)は、例えば、特開2008−058622号公報に記載の「付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物」における各成分と基本的に同様である。
【0059】
この付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物を硬化させる際の加熱温度は、100〜500℃、特に120〜300℃、時間は数秒以上1時間以下、特に10秒以上35分以下であるのが好ましく、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を硬化させる際の加熱温度は、100〜300℃、特に110〜200℃、時間は5分以上5時間以下、特に1〜3時間であるのが好ましい。また、必要に応じ、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物の場合は、100〜200℃で1〜20時間程度の硬化条件で、また、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の場合は、120〜250℃で2〜70時間程度の硬化条件で、二次加硫することもできる。
【0060】
導電性ローラ1Bを製造するには、このようにして形成された弾性層4の外周面に絶縁プライマー層5を形成可能な絶縁性プライマー組成物が塗布される。絶縁性プライマー組成物は接着成分及び所望により各種添加剤を含有し、好ましくは導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物を実質的に無含有である。ここで、「導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物を実質的に含有していない」とは、絶縁性プライマー組成物に導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物を積極的に含有させないことを意味し、導電性付与剤及びペルフルオロアルキルスルホニル化合物本来の機能を発揮しない程度の含有量で含有されている場合及び不可避的に含有される場合をも排除する趣旨ではない。添加剤は前記した通りであり、接着成分は前記した接着成分の他にその前駆体例えばモノマー等が挙げられる。
【0061】
この絶縁性プライマー組成物は、通常の混合器又は攪拌器等を用いて、接着成分及び所望により各種添加剤が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混練して、得られる。絶縁性プライマー組成物は、塗布作業を容易にするため、25℃で液状であるのが好ましく、例えば各種溶剤を添加してその状態又は粘度等が調整されてもよい。絶縁性プライマー組成物は、例えば、ディップ法、スプレー法等に従って、弾性層4の外周面に塗布され、その後、乾燥、硬化されて、絶縁性プライマー層5を形成する。
【0062】
コート層6は、このようにして形成された絶縁プライマー層5の外周面に、後述するコート層形成組成物を塗工し、次いで、塗工されたコート層形成組成物を加熱硬化させて、形成される。コート層形成組成物の塗工は、例えば、コート層形成組成物の塗工液を塗工する塗布法、前記塗工液に絶縁プライマー層5が形成された弾性層4等を浸漬するディッピング法、前記塗工液を絶縁プライマー層5が形成された弾性層4等に吹き付けるスプレーコーティング法等の公知の塗工方法によって、行われる。コート層形成組成物は、そのまま塗工してもよいし、コート層形成組成物に、例えば、メタノール及びエタノール等のアルコール、キシレン及びトルエン等の芳香族系溶媒、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル系溶媒等の揮発性溶媒、又は、水を加えた塗工液を塗工してもよい。このようにして塗工されたコート層形成組成物を硬化する方法は、コート層形成組成物の硬化等に必要な熱を加えられる方法であればよく、例えば、コート層形成組成物が塗工された絶縁プライマー層5が形成された弾性層4等を加熱器で加熱する方法等が挙げられる。コート層形成組成物を加熱硬化させる際の加熱温度は、例えば、100〜200℃、特に120〜160℃、加熱時間は10〜120分間、特に30〜60分間であるのが好ましい。なお、前記塗工に代えて、前記コート層形成組成物を絶縁プライマー層5が形成された弾性層4の外周面に、押出成形、プレス成形、インジェクション成形等の公知の成形方法によって、積層すると共に、又は、積層した後に、積層されたコート層形成組成物を硬化させる方法等が採用されることができる。
【0063】
ウレタンコート層6を形成するウレタンコート層形成樹脂組成物は、ウレタン樹脂を形成する前駆体であるウレタン調整成分と所望により各種添加剤とを含有している。各種添加剤としては、例えば、鎖延長剤、触媒、界面活性剤、着難燃剤、色剤、充填材、可塑剤、定剤等が挙げられる。ウレタン調整成分はポリウレタンを形成することができる成分であればよく、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して得られるポリウレタンも包含される。したがって、ウレタン調製成分は、例えば、ポリウレタン、ポリオールとポリイソシアネート又はブロックポリイソシアネートとの混合物、及び、ポリオールとポリイソシアネート又はブロックポリイソシアネートとを反応して得られるプレポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の成分が挙げられる。
【0064】
前記ポリオールは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種のポリオールであればよく、例えば、単量体ポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオール等が挙げられ、これらの中でもコート層6の耐摩耗性、電気安定性及び耐水性等に優れる点で、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種であるのが好ましい。単量体ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ベンジルグリコール、へキシレングリコール、オクチレングリコール,1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられる。前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−エチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、テトラヒドロフランとアルキレンオキサイドとの共重合ポリオール、及び、これらの各種変性体又はこれらの混合物等が挙げられる。前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸等のジカルボン酸とエチレングリコール、ヘキサンジオール等のポリオールとの縮合により得られる縮合系ポエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及び、これらの混合物等が挙げられる。前記ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよく、また、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールとを組み合わせて使用してもよい。前記ポリオールは、熱的安定性に優れる点で、ポリエステルポリオールが好ましい。前記ポリオールは、後述するポリイソシアネート等との相溶性に優れる点で、1000〜8000の数平均分子量を有するのが好ましく、1000〜5000の数平均分子量を有するのがさらに好ましい。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレンに換算したときの分子量である。
【0065】
前記ポリイソシアネートは、ポリウレタンの調製に通常使用される各種ポリイソシアネートであればよく、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート及びこれらの誘導体等が挙げられる。ポリイソシアネートは、貯蔵安定性に優れ、反応速度を制御しやすい点で、脂肪族ポリイソシアネートであるのが好ましい。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイシシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(トリレンジイソシアネートとも称する。TDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、オルトトルイジンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネートメチル、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート等が挙げられる。前記誘導体としては、前記ポリイソシアネートの多核体、ポリオール等で変性したウレタン変性物(ウレタンプレポリマーを含む)、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物等が挙げられる。前記ポリイソシアネートは1種単独で又は2種以上を用いることができる。ポリイソシアネートは、500〜2000の分子量を有するのが好ましく、700〜1500の分子量を有するのがさらに好ましい。
【0066】
ポリイソシアネートとして、これらのポリイソシアネートの他に、ブロック剤でイソシアネート基がブロックされたブロックポリイソシアネートが好適に使用される。ブロックポリイソシアネートは、常温での安定性が高く、加熱によってブロック剤が遊離してイソシアネート基が再生するため、取り扱いが容易である等の利点を有する。特に、湿度の高い夏場でも安定して反応し、さらには、アミノ基等の反応性の高い活性基を有する試薬とも併用することができるという利点を有する。前記ブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム類、メチルエチルケトオキシム類、3,5−ジメチルピラゾール類、アルコール類及びフェノール類等が挙げられる。また、ブロック剤として、イソシアネート類も挙げられ、この場合には、ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートダイマー(ポリウレトジオン)となる。ブロック剤は、前記のいずれをも用いることができるが、溶剤との相溶性に優れる点で、ε−カプロラクタム類及びメチルエチルケトオキシム類が好適である。
【0067】
ポリオールとポリイソシアネートとの混合物における混合割合は、特に限定されないが、通常、ポリオールに含まれる水酸基(OH)と、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基(NCO、ブッロクポリイソシアネートの場合は遊離し得るイソシアネート基)とのモル比(NCO/OH)が0.7〜1.15であるのが好ましい。このモル比(NCO/OH)は、ポリウレタンの加水分解を防止することができる点で0.85〜1.10であるのがより好ましい。
【0068】
ポリオールとポリイソシアネートとの混合物においては、ポリオール及びポリイソシアネートに加えて、ポリオールとポリイソシアネートとの反応に通常使用される助剤、例えば、鎖延長剤、架橋剤等を併用してもよい。鎖延長剤、架橋剤としては、例えば、グリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン及びアミン類等が挙げられる。
【0069】
前記プレポリマー及び前記ポリウレタンは、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを反応して得られるプレポリマー及びポリウレタンであればよく、それらの分子量等も特に限定されない。プレポリマー及びポリウレタンは、所望により前記助剤等の存在下、ワンショット法又はプレポリマー法等によって、ポリオールとポリイソシアネートとを反応して、得られる。
【0070】
前記ウレタン調製成分は、ポリオールとポリイソシアネートとの混合物であるのが好ましく、特に、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種のポリオールとポリイソシアネートとの混合物であるのが特に好ましい。すなわち、ウレタンコート層形成樹脂組成物は、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールから選択された少なくとも1種のポリオールと、ポリイソシアネートとの混合物を含有するのが特に好ましい。
【0071】
コート層形成組成物は、ミキサー、プラネタリー等の混合機等を用いて各成分が均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分〜1時間、常温又は加熱下で混合して、得られる。コート層形成組成物は、塗布作業を容易にするため、25℃で液状であるのが好ましく、例えば各種溶剤を添加してその状態又は粘度等が調整されてもよい。
【0072】
所望により、コート層6に、研磨処理、表面粗さ処理例えばブラスト処理等を施して表面状態を調整することもできる。このようにして導電性ローラ1Bが製造される。
【0073】
この発明に係る導電性ローラ、例えば導電性ローラ1A及び1Bは、軸体2と弾性層4との間に除電機能を有するペルフルオロアルキルスルホニル化合物3を少なくとも含有する導電性プライマー層3を備えているから、この発明に係る導電性ローラ、例えば導電性ローラ1A及び1Bは、現像装置又は画像形成装置に装着されたときに濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像、具体的には濃度段差が抑制されたベタ印字画像及び濃度ムラが抑制されたハーフトーン画像を形成することに貢献できる。特に、コート層6を備えた導電性ローラ1Bは、所望量の現像剤を所望のように供給でき、より一層高品質の画像を形成することに大きく貢献できる。
【0074】
この発明に係る導電性ローラ、例えば導電性ローラ1A及び1Bは、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物3を少なくとも含有する導電性プライマー層3を備えているから、特に導電性ローラ1Bはその表面にコート層6をさらに備えているから、画像形成装置用の導電性ローラ、例えば、帯電ローラ、現像ローラ、現像剤供給ローラ、転写ローラ等として好適に用いられ、特に現像ローラとして好適に用いられる。
【0075】
この発明に係る現像装置は、この発明に係る導電性ローラを備え、例えば、図3に示される画像形成装置に装備されている。この発明に係る現像装置の一例である現像装置を、画像形成装置(以下、この発明に係る画像形成装置と称することがある。)の一例と共に説明する。
【0076】
この画像形成装置10は、図3に示されるように、各色の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト17上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、したがって、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト17上に直列に配置されている。現像ユニットBは、像担持体11B例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、帯電手段12B例えば帯電ローラと、露光手段13Bと、現像装置20Bと、転写搬送ベルト17を介して像担持体11Bに当接する転写手段14B例えば転写ローラと、クリーニング手段15Bとを備えている。
【0077】
前記現像装置20Bは、この発明に係る現像装置の一例であり、図3に示されるように、この発明に係る導電性ローラと現像剤22Bとを備えている。したがって、この画像形成装置10において、この発明に係る導電性ローラ例えば導電性ローラ1Bは現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとして装着されている。現像装置20Bは、具体的には、一成分非磁性の現像剤22Bを収容する筐体21Bと、現像剤22Bを像担持体11Bに供給する現像剤担持体23Bである現像ローラと、現像剤22Bの厚みを調整する現像剤量調節手段24B例えばブレードとを備えて成る。現像装置20Bにおいて、現像剤量調節手段24Bは、図3に示されるように、現像剤担持体23Bの外周面に接触又は圧接している。すなわち、前記現像装置20Bは所謂「接触式現像装置」である。前記現像ユニットC、M及びYは現像ユニットBと基本的に同様に構成されている。
【0078】
画像形成装置10において、前記現像装置20Bの現像剤担持体23Bは、その表面が像担持体11Bの表面に接触又は圧接するように配置されている。前記現像装置20C、20M及び20Yも、前記現像装置20Bと同様に、その表面が現像剤担持体23C、23M及び23Yが像担持体11C、11M及び11Yの表面に接触又は圧接するように配置されている。すなわち、この画像形成装置10は所謂「接触式画像形成装置」である。
【0079】
前記定着手段30は、現像ユニットYの下流側に配置されている。この定着手段30は、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト36と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。画像形成装置10の底部には、記録体16を収容するカセット41が設置されている。転写搬送ベルト17は複数の支持ローラ42に巻回されている。
【0080】
画像形成装置10に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。各現像ユニットの筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yが収納されている。
【0081】
画像形成装置10は、以下のようにして記録体16にカラー画像を形成する。まず、現像ユニットBにおいて、帯電手段12Bで帯電した像担持体11Bの表面に露光手段13Bにより静電潜像が形成され、現像剤担持体23Bにより供給された現像剤22Bで黒色の静電潜像が現像される。そして、記録体16が転写手段14Bと像担持体11Bとの間を通過する際に黒色の静電潜像が記録体16Bの表面に転写される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段30によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0082】
このタンデム型画像形成装置10において、現像剤担持体23としてペルフルオロアルキルスルホニル化合物3を少なくとも含有する導電性プライマー層3を備えたこの発明に係る導電性ローラが装着されているから、現像装置20及びタンデム型画像形成装置10は濃度段差及び濃度ムラが共に抑制された高品質の画像を形成できる。
【0083】
前記画像形成装置10は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。なお、画像形成装置10においてはこの発明に係る導電性ローラを現像剤担持体23の一例である現像ローラとして用いた例を参照して説明したが、現像剤供給ローラとしてこの発明に係る導電性ローラを用いても同様に高品質の画像を形成することができる。
【0084】
この発明に係る導電性ローラ、現像装置及び画像形成装置は、前記した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0085】
例えば、導電性ローラ1A及び1Bは外径が軸線方向の一方の端部から他方の端部にかけて略同一とされる所謂ストレート形状とされているが、この発明において、導電性ローラは筒状をなしていればその形状は特に限定されず、例えば、軸線方向の中央部における外径がその両端部における外径よりも小さな所謂逆クラウン形状とされてもよく、また、その軸線方向の中央部における外径がその両端部における外径よりも大きな所謂クラウン形状とされてもよい。
【0086】
現像装置20は画像形成装置10の現像ユニットに装着されているが、この発明において、現像装置は現像ユニットに着脱自在に装着される所謂「現像カセット」として構成されてもよい。
【0087】
画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、この発明に係る導電性ローラが配設される画像形成装置は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置に限られず、例えば、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。また、画像形成装置10に用いられる現像剤22は、一成分非磁性現像剤とされているが、この発明において、一成分磁性現像剤であってもよく、二成分非磁性現像剤であっても、また、二成分磁性現像剤であってもよい。
【0088】
前記画像形成装置10は、像担持体11と現像装置20の現像担持体23とが当接又は圧接するように配置される所謂「接触式画像形成装置」であるが、この発明において、画像形成装置は、現像剤担持体の表面が像担持体の表面に接触しないように間隙を有して配置される所謂「非接触式画像形成装置」であってもよい。
【実施例】
【0089】
(実施例1)
下記組成の導電性プライマー層形成組成物を準備した。
・ビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミド:(CSONH(品番「EF−N441」、三菱マテリアル電子化成株式会社製、疎水性)1質量部(導電性プライマー層形成組成物における揮発成分を除外した合計質量21質量部に対して5質量%)
・カーボンブラック等の導電性フィラー:0質量部
・シリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製、固形分濃度20質量%)100質量部
【0090】
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体2(SUM22製、直径7.5mm、長さ281.5mm)をトルエンで洗浄し、硬化後の厚さが0.05μmとなるように、前記導電性プライマー層形成組成物が含浸した不織布で軸体2を回転させながら軸体2の表面に導電性プライマー層形成組成物を塗布した。導電性プライマー層形成組成物が塗布された軸体2を、ギヤオーブンを用いて150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却して軸体2の外周面に導電性プライマー層3を形成した。
【0091】
次いで、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(D)(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、R−972)1質量部、平均粒径6μm、嵩密度が0.25g/cmである珪藻土(F)(オプライトW−3005S、北秋珪藻土株式会社製)40質量部、及び、アセチレンブラック(G)(デンカブラックHS−100、電気化学工業株式会社製)5質量部をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、架橋剤として、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(E)(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、反応制御剤として、エチニルシクロヘキサノール0.1質量部、及び、白金触媒(H)(Pt濃度1%)0.1質量部を添加し、15分撹拌して混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を液体射出成形により導電性プライマー層3の外周面に成形した。この成形体を研磨して外径20mmの弾性層4(JIS A硬度は40)を形成し、導電性ローラ1Aを製造した。
【0092】
(実施例2)
実施例1で製造した導電性ローラ1Aの外周面に絶縁性プライマー組成物としてのシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を硬化後の厚さが0.5μmとなるようにスプレーコーティング法によって一回で塗布した。ギヤオーブンを用いて塗布したプライマー組成物を150℃の温度にて30分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却して弾性層4の外周面に絶縁性プライマー層5を形成した。
【0093】
次いで、形成したプライマー層5の外周面に調製した下記組成のウレタンコート層形成組成物をスプレーコーティング法によって一回で塗布した。その後、160℃で30分間加熱して、層厚12μmのウレタンコート層6を形成した。このようにして導電性ローラ1Bを製造した。
<ウレタンコート層形成組成物の組成>
・ポリイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、商品名:コロネート−LJ)10質量部
・ポリオール(ポリエステルポリオール、商品名「ニッポランNIPPOLLAN 139」、日本ポリウレタン株式会社製)30質量部(モル比(NCO/OH=1.05)
・導電性付与剤(商品名「EC600JD」、ライオン株式会社製、平均粒径34nm)5質量部
・トルエン2質量部
【0094】
(比較例1)
前記導電性プライマー層3を形成しなかったこと以外は実施例2と基本的に同様にして、軸体の外周面に弾性層が直接形成された比較例1の導電性ローラを製造した。
【0095】
(比較例2)
前記導電性プライマー層形成組成物に代えて絶縁性プライマー組成物としてのシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例2と基本的に同様にして、軸体と弾性層との間に絶縁性プライマー層を備えた比較例2の導電性ローラを製造した。
【0096】
(比較例3)
前記ビス(ペルフルオロブチルスルホニル)イミドに代えてカーボンブラック(商品名「EC600JD」、ライオン株式会社製、平均粒径34nm)を用いたこと以外は実施例2と基本的に同様にして比較例3の導電性ローラを製造した。
【0097】
(ハーフトーン画像における濃度ムラ評価)
製造した導電性ローラ1B及び比較例1〜3の各導電性ローラを電子写真式プリンター(沖データ株式会社製、商品名:「MICROLINE 1032PS」、解像度1200dpi相当)の現像ローラとして装着し、この電子写真式プリンターを、温度49℃、相対湿度80%の高温高湿環境下に7日間静置した。その後、この高温高湿環境を維持したままA4用紙(JIS)にハーフトーン画像を1枚印刷し、印刷されたハーフトーン画像における印字濃度の均一性を目視で観察した。評価は、ハーフトーン画像に濃度ムラを確認できなかった場合を「◎」、ハーフトーン画像に十分に許容できる程度のわずかな濃度ムラが確認できた場合を「○」、許容できないほどの濃度ムラが確認できた場合を「×」とした。その結果を「濃度ムラ」として第1表に示す。
【0098】
(ベタ印字画像における濃度段差評価)
電子写真式プリンター(沖データ株式会社製、商品名:「MICROLINE 1032PS」、解像度1200dpi相当)の現像ローラとして製造した導電性ローラ1B及び比較例1〜3の各導電性ローラを装着し、この電子写真式プリンターを、温度20℃、相対湿度50%の環境下で黒ベタ印字画像を1枚印刷した。この黒ベタ印字において、黒ベタ印字の初期形成部分と終期形成部分との濃度をマクベス濃度計にて測定し、初期形成部分の印字濃度と終期形成部分の印字濃度との濃度差を算出した。評価は、濃度差が0.1未満であった場合を「◎」、濃度差が0.1以上0.2未満であった場合を「○」、濃度差が0.2以上であった場合を「×」とした。その結果を「濃度段差」として第1表に示す。このベタ画像の濃度差は0.1未満であれば実用上十分な特性を有するといえる。
【0099】
【表1】

【符号の説明】
【0100】
1A、1B 導電性ローラ
2 軸体
3 導電性プライマー層
4 弾性層
5 絶縁性プライマー層
6 コート層(ウレタンコート層)
10 画像形成装置
11B、11C、11M、11Y 像担持体
12B、12C、12M、12Y 帯電手段
13B、13C、13M、13Y 露光手段
14B、14C、14M、14Y 転写手段
15B、15C、15M、15Y クリーニング手段
16 記録体
17 転写搬送ベルト
20 現像装置
21B、21C、21M、21Y、34 筐体
22B、22C、22M、22Y 現像剤
23B、23C、23M、23Y 現像剤担持体
24B、24C、24M、24Y 現像剤規制部材
30 定着手段
31 定着ローラ
32 加圧ローラ
33 無端ベルト支持ローラ
35 開口部
36 無端ベルト
41 カセット
42 支持ローラ
B、C、M、Y 現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、前記軸体の外周面に配置された、ペルフルオロアルキルスルホニル化合物を含有する導電性プライマー層と、前記導電性プライマー層の外周面に配置された弾性層とを備えて成る導電性ローラ。
【請求項2】
前記ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、ペルフルオロアルキルスルホンイミド及びその塩、ペルフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びに、ペルフルオロアルキルジスルホン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記ペルフルオロアルキルスルホニル化合物は、前記導電性プライマー層の質量に対して0.5〜50.0質量%の割合で含有されている請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ローラを備えて成る現像装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ローラを備えて成る画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−215726(P2012−215726A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81434(P2011−81434)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】