説明

導電性ローラおよび導電性ローラの製造方法

【課題】製造条件のばらつきなどによって変動してしまう導電性弾性層および被覆層の抵抗によらず、導電性ローラ表面に残留電荷を軽減する機能を有し、かつ高品質な画像を得られる電子写真用導電性ローラおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】金属製の軸芯体と、該軸芯体の外周に少なくとも1層の導電性弾性層と、該少なくとも1層の導電性弾性層のうちの最も表面側の導電性弾性層より表面側に被覆層とを有する導電性ローラであって、該最も表面側の導電性弾性層の上に、界面活性剤のみからなる薄膜を有し、該薄膜上に、該被覆層を有することを特徴とする導電性ローラ。および導電性ローラの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に用いる導電性ローラおよび導電性ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真装置の画出し工程は、以下の工程などからなる。光導電性を有する感光体表面を帯電する帯電工程。感光体の表面に画像光を露光してその表面に静電潜像を形成する露光工程。この静電潜像に着色樹脂粉を静電吸着させてトナー像として顕在化する現像工程。このトナー像を用紙に転写する転写工程。その転写像を圧力や熱を加えて用紙に定着する定着工程。また、転写工程後の感光体表面は、残留トナーを除去されることでクリーニングされ、再度、帯電、露光、現像などの各工程が繰り返される。これら各工程において種々のローラが使用されており、前記帯電工程では帯電ローラ、現像工程では現像ローラ、転写工程では転写ローラなどが使用されている。
【0003】
現在の電子写真装置においては、接触式一成分現像装置が主流である。このような接触式一成分現像装置に用いる導電性ローラとして、導電性弾性ローラを用いるのが主流である。具体的には、以下の構成の導電性弾性ローラが用いられる。すなわち、導電剤を添加することにより中抵抗領域に調整された厚さ数mmのゴムで構成された導電性弾性層の周面上に、厚さ数μm〜数十μmの同じく導電剤を添加することにより中抵抗領域に調整された樹脂層(被覆層)を有する導電性弾性ローラである。
【0004】
より具体的には、以下の製造方法で得た導電性弾性ローラを用いる場合が多い。すなわち、まず導電性の軸芯体上に、電子導電剤やイオン導電剤を分散して所望の抵抗値に調節した導電性弾性層を形成する。その導電性弾性層の外周に、耐摩耗性やトナー帯電性、トナー搬送性を得るために、ナイロン、ウレタン等の樹脂と、適宜表面粗さを確保するための粗し粒子や、導電性を確保するための導電剤を添加した被覆材料からなる被覆層を設ける方法である。また導電性ローラの抵抗安定化のために、弾性層と被覆層との間に抵抗調整層(中間層)を設ける場合もある。特許文献1においては、上記抵抗調整層(中間層)にイオン導電剤およびカーボンブラックが含有され、体積固有抵抗(Rv)を106Ω・cm以下に設定し、被覆層の抵抗を107〜1013Ω・cmの範囲に設定したものが提案されている。このような抵抗調整層を設けることによって、ローラに残る残留電荷を軽減することができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4107130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような層構成のローラを製造するには、中間層ならびに被覆層の抵抗を厳密に制御することが求められる。このため、特許文献1では、添加するイオン導電剤の量的なばらつきやカーボンブラックの分散状態などで、得られる中間層形成用塗工液の抵抗のばらつきが多く生じる場合がある。また樹脂を含む塗工液であることから、塗工条件や焼成条件などの製造条件によって抵抗が変動する場合があり、製造効率が非常に低下する場合があった。
【0007】
本発明の目的は、製造条件のばらつきなどによって変動してしまう導電性弾性層および被覆層の抵抗によらず、導電性ローラ表面に残留電荷を軽減する機能を有し、かつ高品質な画像を得られる導電性ローラおよび導電性ローラの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に従って、金属製の軸芯体と、該軸芯体の外周に少なくとも1層の導電性弾性層と、該少なくとも1層の導電性弾性層のうちの最も表面側の導電性弾性層より表面側に被覆層とを有する導電性ローラであって、該最も表面側の導電性弾性層の上に、界面活性剤のみからなる薄膜を有し、該薄膜上に、該被覆層を有することを特徴とする導電性ローラが提供される。
【0009】
また、本発明に従って、金属製の軸芯体と、該軸芯体の外周に導電性弾性層と、該導電性弾性層より表面側に被覆層とを有する導電性ローラの製造方法であって、該導電性ローラは、該導電性弾性層の上に、界面活性剤のみからなる薄膜と、該薄膜上に、該被覆層とを有し、
(1)該界面活性剤を含む薄膜形成用塗工液を調製する工程と、
(2)該薄膜形成用塗工液を該導電性弾性層に塗布する工程と、
(3)該薄膜形成用塗工液の塗布膜を乾燥して該薄膜を得る工程と、
(4)被覆層形成用塗工液を調製する工程と、
(5)該被覆層形成用塗工液を該薄膜に塗布する工程と、
(6)該被覆層形成用塗工液の塗布層を加熱硬化して該被覆層を得る工程と、
を有することを特徴とする導電性ローラの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造条件のばらつきなどによって変動してしまう導電性弾性層および被覆層の抵抗によらず導電性ローラ表面に残留電荷を軽減する機能を有し、かつ高品質な画像を得られる導電性ローラおよび導電性ローラの製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の導電性ローラの実施形態の一例を示す概略断面図であり、(a)は、軸方向の断面図、(b)は軸方向に垂直な方向の断面図である。
【図2】分散装置の一例の概略を示す模式図である。
【図3】塗工装置の一例の概略を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<導電性ローラ>
本発明の導電性ローラは、導電性弾性層表面を界面活性剤の親水性寄与部位で覆うことによって、導電性弾性層と被覆層との界面の性質を改質し、電荷を発生しにくくさせ、さらに電荷が蓄積されることを防止し、残留電荷を軽減することができる。これは、界面活性剤の親水性寄与部位が、導電性弾性層と被覆層との界面に残留する電荷を保持しない機能を有するためだと考えられる。また、本発明の導電性ローラは、電子写真用導電性ローラとして使用することができ、金属製の軸芯体と、軸芯体の外周に少なくとも1層の導電性弾性層と、少なくとも1層の導電性弾性層うちの最も表面側の導電性弾性層より表面側に被覆層とを有する。また、本発明の導電性ローラは、最も表面側の導電性弾性層の上に、界面活性剤のみからなる薄膜を有し、薄膜上に、被覆層を有する。
【0013】
本発明の実施の形態を図により詳細に説明する。なお、本明細書中、材料の配合量や使用量等を記載するために使用する「部」は質量部を示す。導電性ローラとして、現像ローラを例にして本発明に関して詳述するが、帯電ローラなどの他の導電性ローラも、同様の考え方を適用することが可能である。
【0014】
図1は、本発明の現像ローラの実施形態の一例を示すもので、(a)は現像ローラの軸線に沿った概略断面図を、(b)は現像ローラの軸方向に垂直な方向の概略断面図を示す。この図に示した現像ローラは、軸芯体1aの外周面上に導電性弾性層1bを形成し、さらにその外周に界面活性剤のみからなる薄膜1cおよび被覆層1dを順次設けたものである。
【0015】
1)軸芯体および導電性弾性層
(軸芯体)
本発明に用いる金属製の軸芯体1aとしては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよびニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、導電性を損なわない範囲で、これらの表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を適宜施すことができる。
【0016】
(導電性弾性層、導電性弾性層の形成)
導電性弾性層1bは、後述のゴム材料に、必要に応じて導電性微粒子やイオン導電剤を添加したものを適宜用いて形成することができる。ゴム材料としては、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等を挙げることができる。この場合、硬さ、圧縮永久歪みを考慮すると、ゴム材料としては、付加反応型導電性シリコーンゴムを用いるのが好ましい。導電性弾性層の厚みは通常、1mm以上6mm以下とするのが好ましい。このような導電性弾性層は公知の方法、例えば、液状ゴム材料(例えば、付加反応架橋型液状シリコーンゴム等の液状ゴム材)を成形型に注入して加硫硬化する方法等で形成することができる。なお、加硫硬化は公知の方法にしたがって行うことができ、加硫硬化条件は、用いるゴム材料等に応じ、適宜定めることができる。
【0017】
本発明の現像ローラは、少なくとも1層の導電性弾性層を有するが、導電性弾性層を多層とする場合には、以下のようにすることができる。即ち、導電性弾性層のうちの軸芯体側の層である第1の導電性弾性層1b以外の導電性弾性層も、第1の導電性弾性層と同様の材質を用いることが出来、また第1の導電性弾性層と同様にして形成することができる。導電性弾性層を多層とすると、現像ローラの硬度調整や抵抗調整をし易くなるなどのメリットがある。なお、付加反応型導電性シリコーンゴムを用いる場合には、その反応阻害とならない様な材質を適宜選択して用いることが好ましい。
【0018】
(界面活性剤のみからなる薄膜)
本発明における現像ローラは、界面活性剤分子のみからなる薄膜1cを有する。界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、ならびに親水性寄与部位が水酸基、カルボキシル基、スルホ基、およびリン酸基のうちの少なくとも1つである界面活性剤、からなる群から選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。なお、界面活性剤とは、分子中に適当な親水基と親油基を持ち、液体に溶けて低濃度で界面活性を示す物質を意味する。親水基は、その分子内において、比較的極性の高い溶媒に溶解しやすい構造を有し、カルボキシル基およびその塩やスルホン酸およびその塩などが該当する。疎水基(新油基)は、その分子内において比較的極性の低い溶媒に溶解しやすい構造を有し、直鎖の炭化水素鎖やフッ化炭素鎖などが該当する。界面活性剤がどの程度の濃度から界面活性を示すようになるかという点は、界面活性剤の種類によって異なっており、その指標として臨界ミセル濃度が用いられる。代表的な界面活性剤の臨界ミセル濃度としては、以下のものがある。アニオン性活性剤として、例えばラウリル硫酸ナトリウムでは、8.2mmol/l(25℃)である。カチオン性活性剤として、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウムでは、0.92mmol/l(25℃)である。非イオン性活性剤として、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルでは、構造によって異なるが、0.001〜3.0mmol/l程度であり、非常に低濃度から界面活性を示すことが知られている。界面活性剤の親水性寄与部位とは、上述の親水基のことを指し、それは界面活性剤の化学構造の中で水になじみやすい性質を持つ官能基である。界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ナトリウム塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルカルボキシベタイン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、しょ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの界面活性剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤分子のみからなる薄膜は、これらの界面活性剤を水等の溶媒に溶解して調製した薄膜形成用塗工液を、前記導電性弾性層に塗布および乾燥することによって形成することができる。薄膜形成用塗工液は、界面活性剤とそれを溶解させる溶媒以外の成分を含まず、前記溶媒は、乾燥する際に揮発し、残存しないものである。界面活性剤を含む薄膜形成用塗工液の塗布は公知の方法、例えば浸漬塗工、リング塗工、スプレー塗布、ロール塗工などから適宜選択すればよく、特に限定されない。なお、界面活性剤を含む薄膜形成用塗工液は、界面活性剤と、水または有機溶剤あるいはこれらの混合溶媒(すなわち、水および有機溶剤の少なくとも一方)との混合物であることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、キシレン、トルエン等の芳香族類、n−酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、テトラヒドロピラン等のエーテル類を挙げることができ、用いる界面活性剤によって単独で用いるか、あるいは混合して用いるかを選択すればよい。
【0019】
界面活性剤のみからなる薄膜は、導電性弾性層の表面に形成され、薄膜の厚さは1.0μm以下が好ましい。薄膜が1.0μm以下の厚みであれば、導電性弾性層と被覆層との接着性が特に向上する。また、薄膜は乾燥した際に界面活性剤の単分子膜以上の厚さがあれば良く、その厚さは用いる界面活性剤によって異なるが、数nm以上あれば良い。しかし、この厚さの膜形成を確認することは容易ではないことから、0.1μm以上であることが好ましい。
【0020】
(被覆層)
被覆層1dは、導電性弾性層(複数の導電性弾性層を有する場合には、最も外側(表面側)の導電性弾性層)の周囲に形成された界面活性剤のみからなる薄膜の外周に形成される。被覆層は、導電性弾性層中に含有することのできる軟化油や可塑剤等の成分が現像ローラ表面へブリードアウトするのを防止する目的で、または、現像ローラ全体の電気抵抗を調整する目的で設けられる。
【0021】
本発明の現像ローラは少なくとも1層の被覆層を有する。被覆層を1層とする場合には、この被覆層の厚みは、ブリードアウトを防止するため、通常、4μm以上とするのが好ましく、また導電性弾性層の優れた柔軟性を得るため、また耐摩耗性を考慮すると、100μm以下とするのが好ましい。また、被覆層を多層とする場合には、各層の厚みの合計が上記範囲となるようにすることが好ましい。
【0022】
(被覆層の材料)
被覆層は、樹脂材料、所望の場合には絶縁性粒子、導電性微粒子等を含むことができる。
【0023】
(樹脂材料)
樹脂材料としては、例えば、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマーおよび塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの樹脂材料は、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。また、これらの樹脂材料は単独で、または2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
一般的に、被覆層1dは、接触現像方式においては現像ローラの感光体への均一な圧接が求められ、また現像ローラ上のトナーの層厚を規制する規制ブレードとも接触しているため、変形した跡が残ると、それが画像不良として現れる傾向がある。その様なことから、現像ローラには、複写機やプリンタ等に用いられる環境温度に対し、高い圧縮永久歪みが要求されるため、樹脂材料としてポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0025】
被覆層1dに使われる、ウレタン樹脂は、ポリオール化合物と、イソシアネート化合物とから合成することができる。ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコールポリエチレンジアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリカーボネートポリオール、ポリプロピレングリコール等の公知のポリウレタン用ポリオールが挙げられる。
【0026】
また、イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネート、およびそれらのビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレタン変性体等が挙げられ、これらは全て好ましく使用することができる。特に好ましいイソシアネート化合物は、HDIおよびそのビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレタン変性体等である。イソシアネート化合物は、一般的にその分子鎖が長いほど、より高い柔軟性を有するポリウレタン被覆層を生成することができる。
【0027】
(絶縁性粒子)
被覆層に使用する絶縁性粒子は、3μm以上30μm以下の平均粒径を有するものが好ましい。絶縁性粒子の平均粒径(Dv)とは、粒子径Diを有する粒子数をniとしたとき、下記式
Dv=(ΣniDi3/Σni)1/3
で求められる体積平均粒径である。
【0028】
絶縁性粒子としては、例えば、ウレタン粒子、ナイロン粒子、アクリル粒子、シリコーン粒子等を挙げることが出来る。絶縁性粒子の形状としては球形が好ましい。
【0029】
絶縁性粒子の添加量は、被覆層を形成する被覆材料中の樹脂材料を100部としたとき、通常、2部以上50部以下とするのが好ましい。絶縁性粒子の添加量をこの範囲とすると、現像ローラとして適度のトナー搬送性を持つ被覆層表面を容易に得ることができる。
【0030】
また、本発明において使用する絶縁性粒子の平均粒径(体積平均粒径)を3μm以上とすると、被覆層の表面凹凸が特に大きくなり、現像ローラとしたときに、優れたトナー搬送性が得られる。また平均粒径(体積平均粒径)を30μm以下とすると、被覆層の表面凹凸の平均間隔を適切な大きさに容易にすることができ、トナー搬送量を適切な量とすることが容易となり、結果として画像が良好となる。また、絶縁性粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、5μm以上15μm以下とするのがより好ましい。
【0031】
(導電性微粒子)
本発明に用いる被覆材料は、所望の場合には現像ローラ全体の電気抵抗を調整する目的のため、導電性微粒子を含むことができる。なお、導電性微粒子としては、感光体を汚染する材料構成でないものを適宜用いることができる。例えば、導電性微粒子として、各種電子伝導機構を有する導電剤(カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)あるいはイオン導電剤(アルカリ金属塩およびアンモニウム塩)の微粒子を挙げることができる。上記導電剤の2種以上を併用してもよい。また導電性微粒子を樹脂材料100部に対し、通常、5部以上200部以下添加するのが好ましい。導電性微粒子の添加量を5部以上とすると、被覆層は導電性を容易に付与することができ、200部以下であれば、適宜導電性微粒子を加えることにより、導電性を容易にコントロールすることが可能となる。導電性微粒子を樹脂材料100部に対し、15部以上30部以下添加するのがより好ましい。
【0032】
(溶剤)
被覆層1dの形成に用いることのできる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、キシレン、トルエン等の芳香族類、n−酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、テトラヒドロピラン等のエーテル類が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また樹脂材料等が溶解する場合は、水等も溶剤として用いることが出来る。
【0033】
(被覆層形成用塗工液の調製)
前述の各材料(樹脂材料、および絶縁性粒子等)を有機溶剤や水等中に添加し適宣希釈し、所望の場合には導電性微粒子を分散し、または溶解して、被覆層形成用塗工液を作製することができる。
【0034】
被覆層形成用塗工液の調製は、公知の塗工液の調製方法によって行うことができる。例えば、上述した各材料(樹脂材料、絶縁性粒子および導電性微粒子)を有機溶剤や水等の溶剤中に添加し、攪拌して、各成分を均一に混合し、これを適宣希釈して被覆層形成用塗工液を調製する方法が挙げられる。被覆層形成用塗工液の作製において粉砕工程を加える場合は、ボールミル、サンドミルまたは振動ミル等を用いることができる。被覆層形成用塗工液の塗布は、上述した薄膜形成用塗工液と同様に公知の方法を用いて行うことができる。
【0035】
<導電性ローラの製造方法>
上述の説明をまとめると、本発明の導電性ローラの製造方法は、以下の工程を有することができる。
(1)界面活性剤を含む薄膜形成用塗工液を調製する工程。
(2)薄膜形成用塗工液を導電性弾性層に塗布する工程。
(3)薄膜形成用塗工液の塗布膜を乾燥して界面活性剤のみからなる薄膜を得る工程。
(4)被覆層形成用塗工液を調製する工程。
(5)被覆層形成用塗工液を薄膜に塗布する工程。
(6)被覆層形成用塗工液の塗布層を加熱硬化して被覆層を得る工程。
なお、薄膜形成用塗工液の塗布膜の乾燥方法、および被覆層形成用塗工液の塗布層の加熱硬化方法には、公知の方法を用いることができる。具体的には、導電性ローラに非接触で加熱することができる、熱風加熱、遠赤外セラミックヒーター、近赤外線ヒーター、ランプ加熱ヒーターなどが挙げられる。
【実施例】
【0036】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0037】
(実施例1)
下記の要領で現像ローラを作製した。
【0038】
「導電性弾性層の作製」
外径φ(直径)6mmの鉄製軸芯体(通電性軸芯体)を内径φ12mmの円筒状金型内に同心となるように設置した。液状導電性シリコーンゴム(東レダウコーニング社製 体積固有抵抗107Ωcm品)を注型後、140℃のオーブンに入れ20分加熱成型した。脱型後、200℃のオーブンで4時間二次硬化をおこない、通電性軸芯体上に厚み3mm、長さ240mmの導電性弾性層を有するローラを得た。
【0039】
「薄膜形成用塗工液の調製」
界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王社製 商品名:エマルゲン103)を5質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌し、薄膜形成用塗工液を調製した。
【0040】
「界面活性剤分子のみからなる薄膜の形成」
調製した薄膜形成用塗工液を浸漬塗工装置の循環機中に投入した。用いた浸漬塗工装置の概略は図3に示したものである。図3の攪拌タンク3cに投入し、攪拌羽根3dにて攪拌しながら循環ポンプ3eで循環させた。その際、エアチャンバー3fによって塗工槽3aの液面における脈動を防止し、フィルタ3gによってゴミ・ケバを除去した。前記薄膜形成用塗工液の液面に対して導電性弾性層を有するローラの通電性軸芯体の中心線が垂直になるように昇降機3bに保持した。そして、そのローラを塗工槽3aの液面に向かって垂直に降下し600mm/minの速度で浸漬してゆき、最下点まで降下してから300mm/minの一定速度で引き上げた。その後、そのローラを60℃のオーブンに入れ、1時間加熱することにより乾燥させ、導電性弾性層上に界面活性剤分子のみからなる薄膜を形成した。
【0041】
「被覆層形成用塗工液の調製」
(被覆層形成用塗工液の材料)
ポリウレタンポリオール(商品名:ニッポランN5033、日本ポリウレタン社製)。
イソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)。
カーボンブラック(商品名:♯1000、三菱化学社製)。
ポリウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC600、根上工業社製)。
【0042】
上記ポリウレタンポリオールとイソシアネートとからなるウレタン塗料の固形分100部に対して、カーボンブラックを20部になるように添加し、メチルエチルケトンをこのカーボンブラックを含むウレタン塗料の固形分濃度が約35質量%になるように加えた。続いて、これをビーズミルで分散し、分散液を調製した。次に、別途、ポリウレタンポリオールとイソシアネートとからなるウレタン塗料の固形分100部に対して50部のポリウレタン樹脂粒子に、濃度が30質量%になるようにメチルエチルケトンを加え、ケミカルスターラーで50rpmの速度で攪拌した。これにより、樹脂粒子のスラリーを得た。これら2つの分散液をケミカルスターラーで攪拌しながら混合した。その後、混合液を1時間、ビーズミルで分散を行い、分散後さらにメチルエチルケトンを加え十分混合した。その際、塗工液の粘度が測定温度20±1℃にて、回転式粘度計(商品名:VISMETRON VDA、芝浦システム製)、No.1ロータ、回転速度60rpmにて10mPa・sになるよう粘度を調整し、被覆層形成用塗工液を得た。
【0043】
なお、被覆層形成用塗工液に用いたビーズミルの概略は図2に示したものであり、ベッセル2c内にφ2mmのガラスビーズを充填率80%になるように入れた。被覆層形成用塗工液の調整に際しては、被覆層形成用材料を混合したものを、タンク2dに投入し、それをポンプ2eを用いて、装置内に循環させた。この際、回転軸2bに接続した羽根2aを周速8.5m/secで回転させた。
【0044】
「被覆層の形成」
調製した被覆層形成用塗工液を図3の攪拌タンク3cに投入し、攪拌羽根3dにて攪拌しながら循環ポンプ3eで循環させた。その際、エアチャンバー3fによって塗工槽3aの液面における脈動を防止し、フィルタ3gによってケバや粗粒を除去した。被覆層形成用塗工液の液面に対して薄膜を形成したローラの通電性軸芯体の中心線が垂直になるように昇降機3bに保持した。そして、そのローラを塗工槽3aの液面に向かって垂直に降下し600mm/minの速度で浸漬してゆき最下点まで降下してから10秒間停止させた後に引き上げた。それによりローラの薄膜の外周面上に被覆層を形成した。引き上げ時の速度は引き上げ開始直後で300mm/min、ローラの軸方向の薄膜の下端が被覆層形成用塗工液液面から出た時点で200mm/minとなるように調速した。その後、そのローラを140℃のオーブンに入れ4時間加熱硬化して被覆層を形成し、現像ローラを得た。
【0045】
(実施例2)
実施例1の薄膜形成用塗工液を、界面活性剤として、ラウリン酸ナトリウム(キシダ化学社製)を10質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して調製した薄膜形成用塗工液に変更した。それ以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0046】
(実施例3)
界面活性剤として、含フッ素りん酸エステルアンモニウム塩(ダイキン工業社製 商品名:ダイフリー)を2質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して薄膜形成用塗工液を調製した。実施例1の薄膜形成用塗工液を、この薄膜形成用塗工液に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0047】
(実施例4)
実施例1の薄膜形成用塗工液を、界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(花王社製 商品名:エマール0)を10質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して調製した薄膜形成用塗工液に変更した。それ以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0048】
(実施例5)
界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王社製 商品名:ネオペレックス G−15)を10質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して薄膜形成用塗工液を調製した。実施例1の薄膜形成用塗工液を、この薄膜形成用塗工液に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0049】
(実施例6)
実施例1の薄膜形成用塗工液を、界面活性剤として、ラウリン酸(花王社製 商品名:ルナック L−70)を5質量%溶液となるようにエタノールと混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して調製した薄膜形成用塗工液に変更した。それ以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0050】
(実施例7)
界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸(花王社製 商品名:ネオペレックス GS)を5質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して薄膜形成用塗工液を調製した。実施例1の薄膜形成用塗工液を、この薄膜形成用塗工液に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0051】
(実施例8)
界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキル(12−15)エーテルリン酸(日光ケミカルズ社製 商品名:NIKKOL TDP−2)を用いた。この界面活性剤を5質量%水溶液となるようにイオン交換水と混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して薄膜形成用塗工液を調製した。実施例1の薄膜形成用塗工液を、この薄膜形成用塗工液に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0052】
(実施例9)
実施例1の薄膜形成用塗工液の濃度を、5質量%から8質量%に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0053】
(実施例10)
界面活性剤として、ラウリン酸ナトリウム(キシダ化学社製)およびラウリン酸(花王社製 商品名:ルナック L−70)の質量比が、1:1の混合物を用いた。この混合物と、イオン交換水およびエタノールを質量比で1:1に混合した溶媒とを、濃度が5質量%の溶液となるように混合し、充分に均一になるまでケミカルスターラーで攪拌して、薄膜形成用塗工液を調製した。実施例1の薄膜形成用塗工液を、この薄膜形成用塗工液に変更した以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0054】
(比較例1)
薄膜を形成せずに、実施例1の導電性弾性層上に直接、被覆層を形成した。それ以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0055】
(比較例2)
薄膜を形成せずに、実施例1の導電性弾性層表面にシリコーンゴム用プライマーとして、GLP−103SR(商品名、ダイキン工業社製)を均一に塗布し、80℃で10分間加熱し、プライマー層を形成した。そのプライマー層上に実施例1の被覆層を形成した。それ以外は実施例1と同様にして現像ローラを作製した。
【0056】
このようにして得られた実施例1〜実施例10および比較例1および比較例2で得られた現像ローラについて、それぞれ、界面活性剤分子のみからなる薄膜の厚さ、残留電荷、および導電性弾性層と被覆層との接着性を評価した。さらに、得られた現像ローラを装着した画像形成装置を用いて作製した印字物の画像評価も行った。
【0057】
「界面活性剤分子のみからなる薄膜の厚さ測定」
得られた現像ローラの被覆層に覆われた導電性弾性層の軸方向の両端から20mmの位置で弾性層と薄膜と被覆層とが積層しているように見えるよう、ローラ表面に対して垂直にカッターを入れて切り出した。そのローラの断面を倍率10000倍で走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、薄膜の厚さを測定した。
【0058】
「残留電荷(表面電位)の測定」
導電性ローラ表面の残留電荷の測定は、誘電緩和解析システム(QEA社製 商品名:DRA−2000L)を用いて行った。このシステムにおいては、ローラ表面に放電する帯電器のすぐ後ろに電位検出器が取り付けられており、ある印加電圧でローラ表面に放電を行った直後の表面電位を測定するものである。測定は、放電ユニットと検出器ユニットを200mm/secで移動させながら、印加電圧8kVで行った。このとき電位検出器とローラ表面間の距離を0.5mmとした。この測定を10°間隔でローラ全周方向(360°)について行い、得られた現像ローラの表面電位マップにおける画像領域において平均値を算出した。画像領域とは、トナー層が形成される領域であり、ローラの被覆層に覆われた導電性弾性層の軸方向の両端から内側に5mmまでの部分を除く中間部分のことである。
【0059】
「導電性弾性層と被覆層との接着性」
得られた現像ローラに、カッターで切れ込みを入れ、被覆層を剥がす際に、導電性弾性層ごと剥離するか、被覆層のみが剥離するかを試験した。このとき、一部分でも導電性弾性層と被覆層が接着していない部分があった場合、接着不良と評価した。
【0060】
「画像評価」
得られた現像ローラを電子写真用プロセスカートリッジに装着し、電子写真式レーザービームプリンターを用いてベタ画像及びハーフトーン画像を印字し、初期画像および耐久試験後画像の評価をそれぞれ行った。初期画像とは、1枚目の印字画像を意味し、耐久後画像とは、5000枚目の印字画像を意味する。なお、電子写真式レーザービームプリンターには、A4版出力用のマシンで、記録メディアの出力スピードがA4縦16枚/分、画像の解像度が600dpiのものを用いた。
【0061】
なお、詳しくは以下の構成のものを用いた。感光体はアルミシリンダーにOPC(有機光導電体)層をコートした反転現像方式の感光ドラムとし、感光体の最外層は変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層とした。
【0062】
感光体上で現像されたトナー像を転写ロールで記録メディアに転写し、定着部で熱定着した。転写ロールで転写しなかったトナーはクリーニングブレードで感光体から掻き取った。現像部分をカートリッジ化し、現像剤担持ロールではトナー層厚規制部材である現像ブレードをカウンタ方向に当接し、トナーの層厚を規制させた。
【0063】
なお、初期画像および耐久画像の評価基準は以下の通りである。即ち、画像濃度が充分に濃く濃度ムラの無いものを◎、画像濃度が若干不十分であったり、軽微な濃度ムラがあるものを○、画像濃度が不十分であったり濃度ムラがあるものを△、画像濃度が極端に薄かったり明らかな濃度ムラがあるものを×とした。
【0064】
実施例1〜実施例10、比較例1および比較例2で用いた界面活性剤、および前記評価項目の測定結果を表1にまとめた。
【0065】
【表1】

【0066】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例10の現像ローラは、界面活性剤のみからなる薄膜を有さない比較例1と比べて残留電荷による表面電位が低い。これらの画像評価結果については、初期画像、耐久後画像のいずれも良好であった。
【0067】
これに対し、比較例1は界面活性剤のみからなる薄膜を有さないため、実施例1〜10と比較してやや電荷が残留しやすいことが分かった。比較例1の画像評価は、初期画像については良好であったが、導電性弾性層と被覆層との接着を補助する層である薄膜がないため、被覆層がすぐに剥がれてしまい耐久後画像評価は不可能であった。
【0068】
比較例2は界面活性剤のみからなる薄膜ではなく、アクリル樹脂とシランカップリング剤とを含有するプライマーで導電性弾性層の表面処理(プライマー処理)を行った。その結果、導電性弾性層と被覆層との間に樹脂層(プライマー層)が形成されることで、ローラ表面の残留電荷が発生しやすくなった。そのため、初期画像においても段ムラが発生するローラとなり、耐久後画像では更に濃度ムラが増加する傾向が見られた。
【符号の説明】
【0069】
1a:軸芯体
1b:導電性弾性層
1c:界面活性剤のみからなる薄膜
1d:被覆層
2a:羽根
2b:回転軸
2c:ベッセル
2d:タンク
2e:ポンプ
3a:塗工槽
3b:昇降機
3c:攪拌タンク
3d:攪拌羽根
3e:循環ポンプ
3f:エアチャンバー
3g:フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の軸芯体と、該軸芯体の外周に少なくとも1層の導電性弾性層と、該少なくとも1層の導電性弾性層のうちの最も表面側の導電性弾性層より表面側に被覆層とを有する導電性ローラであって、該最も表面側の導電性弾性層の上に、界面活性剤のみからなる薄膜を有し、該薄膜上に、該被覆層を有することを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記界面活性剤が、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、ならびに親水性寄与部位が水酸基、カルボキシル基、スルホ基、およびリン酸基のうちの少なくとも1つである界面活性剤、からなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記薄膜の厚さが、1.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
金属製の軸芯体と、該軸芯体の外周に導電性弾性層と、該導電性弾性層より表面側に被覆層とを有する導電性ローラの製造方法であって、
該導電性ローラは、該導電性弾性層の上に、界面活性剤のみからなる薄膜と、該薄膜上に、該被覆層とを有し、
(1)該界面活性剤を含む薄膜形成用塗工液を調製する工程と、
(2)該薄膜形成用塗工液を該導電性弾性層に塗布する工程と、
(3)該薄膜形成用塗工液の塗布膜を乾燥して該薄膜を得る工程と、
(4)被覆層形成用塗工液を調製する工程と、
(5)該被覆層形成用塗工液を該薄膜に塗布する工程と、
(6)該被覆層形成用塗工液の塗布層を加熱硬化して該被覆層を得る工程と、
を有することを特徴とする導電性ローラの製造方法。
【請求項5】
前記界面活性剤を含む薄膜形成用塗工液が、界面活性剤と、水および有機溶剤の少なくとも一方との混合物であることを特徴とする請求項4に記載の導電性ローラの製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−180205(P2011−180205A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41776(P2010−41776)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】