説明

導電性ローラ及び画像形成装置

【課題】カスレ等のない、高品質の画像を形成することのできる導電性ローラ及び画像形成装置の提供。
【解決手段】軸体とその軸体の外周にゴム組成物を硬化して形成された弾性層とを備え、前記弾性層中の重合度170〜2700の範囲内にあるシロキサンオリゴマー含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする導電性ローラ及びこれを組み込んで成る画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は導電性ローラ及び画像形成装置に関し、詳しくは、カスレ等のない、高品質の画像を形成することのできる導電性ローラ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、印刷機、ファクシミリ等の現像装置では、しばしばレーザービームを応用している。OA機器レーザービーム現像機は、現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ、定着ローラ、加圧ローラなど、各種多数のローラを使用する。
【0003】
トナー供給ローラは、トナーカートリッジから現像トナーを受け取り、現像ローラにトナーを摩擦して帯電付着させる。トナー供給ローラは、通常、ポリウレタンやシリコーンゴムなどの発泡体で形成する。トナー供給ローラ関連では、ピッチむらや濃度むらなどの不具合がない画像を得られるようにしようとする幾つかの改良技術が既に公開されている。
【0004】
例えば、現像ローラの圧縮バネやトナー供給ローラを調節した現像装置が知られている(特許文献1)。
【0005】
平均発泡セル径が20〜200μm、1mmあたりのセル数が25〜260個のトナー供給ローラが知られている(特許文献2)。
【0006】
セル径が50〜300μm、開口部分の総面積比率が50〜80%で、特定値の圧縮バネ定数と摩擦抵抗係数を持った供給ローラが知られている(特許文献3)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−148930号公報
【特許文献2】特開2002−6618号公報
【特許文献3】特開2003−162142号公報 上記したように高品質の画像を形成することのできるローラについての技術開発が日々行われているところである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、高品質の画像を形成することのできる導電性ローラ及びそれを具備した画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、軸体とその軸体の外周にゴム組成物の硬化により形成された弾性層とを備え、前記弾性層中の重合度170〜2700の範囲内にあるシロキサンオリゴマー含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする導電性ローラであり、
請求項2は、前記弾性層中の重合度170未満のシロキサンオリゴマー含有量が1.5〜8質量%である前記請求項1に記載の導電性ローラであり、
請求項3は、前記導電性ローラがトナー供給ローラである前記請求項1又は2に記載の導電性ローラであり、
請求項4は、前記弾性層のアスカーF硬度が40〜80である前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ローラであり、
請求項5は、前記導電性ローラが現像ローラである前記請求項1又は2に記載の導電性ローラであり、
請求項6は、前記弾性層のJIS A硬度が20〜70である前記請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の導電性ローラであり、
請求項7は、前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性ローラを備えて成る画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
この発明者の検討によると、一般に、シリコーンゴムで形成された導電性ローラを画像形成装置に用いると、理由は判然としないが、トナーの凝集度が高まることにより画像にカスレ等が発生することに気づいていた。その後の研究において、シロキサンオリゴマーが画像に影響を及ぼすことをこの発明者は発見した。また、重合度170未満のシロキサンオリゴマーが特定範囲の量含まれていることで、カブリが改善することも同時に発見した。これらの発見がこの発明の基礎をなす。すなわち、この発明は、画像品質に悪影響を及ぼすものと推測していた低分子量のシロキサンオリゴマーの中でも、重合度170〜2700の範囲内にあるシロキサンオリゴマーが特定の含有量、特に0.5質量%以下の含有量であると、高品質の画像を形成することができ、また、重合度170未満のシロキサンオリゴマーが特定の含有量、特に1.5〜8質量%含有されていると、より一層高品質の画像を形成することができるという予想外の貢献をなす導電性ローラ及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、この発明の導電性ローラの一例を示す斜視図である。図1に示す弾性ローラ1は、軸体2と、その外周部に形成される弾性層3とを備えて成る。
【0012】
前記軸体2は、良好な導電特性を有していればよく、通常、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等で構成された所謂「芯金」と称される軸体である。また、軸体2は、熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂等の絶縁性芯体にメッキを施して導電化した軸体であってもよく、さらには、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂等に導電性付与剤としてカーボンブラック又は金属粉体等を配合した導電性樹脂で形成された軸体であってもよい。
【0013】
前記ゴム組成物を硬化して成る前記弾性層においては、重合度が170〜2700の範囲内にあるシロキサンオリゴマーを0.5質量%以下の割合で含有し、更に好適には、重合度170未満のシロキサンオリゴマーを1.5〜8質量%の割合で含有する。なお、このシロキサンオリゴマーの割合は前記ゴム組成物を硬化して成る弾性層に対する割合である。また、シロキサンオリゴマーの含有量は、前記導電性ローラから弾性層を取り出し、得られた弾性層の一部をテトラヒドロフラン(以下、THFと表す)で溶媒抽出し、溶媒抽出により抽出された液状物をゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、以下GPCと表す)により求める事が可能である。
【0014】
ゴム組成物を硬化して成る弾性層中に含まれる重合度170〜2700のシロキサンオリゴマーの含有量が0.5質量%を超えると、トナーの凝集度が高くなって画像にカスレ等を生じてこの発明の目的を達成することができない。重合度170〜2700のシロキサンオリゴマーの含有量が0.5質量%以下であれば、トナーの凝集度が高くならず画像にカスレ等が生じなくなるが、より好ましい範囲は0.45質量%以下であり、さらに好ましい範囲は0.4質量%以下である。
【0015】
重合度170未満のシロキサンオリゴマーが1.5質量%未満であると、例えばトナーの帯電の環境依存性が高まり、高温・高湿の環境下における画像汚れが著しくなり、8質量%を超えると、低温・低湿の環境下における画像汚れが著しくなる。1.5〜8質量%であれば、画像汚れが発生しなくなるが、より好ましい範囲は2〜4.5質量%である。重合度170未満のシロキサンオリゴマーが8質量%を超えると、画像汚れが発生し易くなる。
【0016】
この弾性層は、1×10〜10Ωの電気抵抗値を有しているのが好ましい。弾性層が1×10〜10Ωの電気抵抗値を有していると、この導電性ローラがトナー供給ローラまたは現像ローラである場合に、トナーの電荷がリークしにくく、カブリの発生を抑制する効果があると同時に、過剰帯電も抑制され、また、現像ローラへのトナー供給量が安定するといった利点が発揮される。
【0017】
弾性層の電気抵抗値は、弾性層に含まれる導電性付与剤(後述する)の含有量を調整することによって、前記範囲内に調整することができ、その測定方法は、電気抵抗計(商品名:ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A、株式会社アドバンテスト製)を用い、導電性ローラを水平に置き、5mmの厚さ、30mmの幅、及び、導電性ローラの弾性層全体を載せることのできる長さを有する金メッキ製板を電極とし、500gの荷重を導電性ローラにおける軸体の両端で支持させた状態にして、軸体と電極との間にDC100Vを印加し、1秒後の電気抵抗計の値を読みとり、この値を電気抵抗値とする方法により、測定することができる。
【0018】
発泡剤を含有する材料を用いて形成された弾性層3は、40〜80のアスカーF硬度を有しているのが好ましい。アスカーF硬度が前記範囲内にあると、この導電性ローラがトナー供給ローラである場合には、前記シリコーンオリゴマーの含有量と相俟ってトナーの凝集発生を起こすことなくトナーを現像ローラ及び感光ドラム等に移送することができ、その結果として高品質の画像を形成することができる。トナーの凝集発生を起こすことなくトナーを現像ローラ及び感光ドラム等に移送することができる点で、アスカーF硬度は、50〜75であるのがより好ましい。前記アスカーF硬度は、被測定物であるローラの湾曲した表面に硬度計の押圧子の中心部を押し付け、かつ、基準面がローラの表面に接触した瞬間の目盛りを読み取ることで得られる値である。実際には、高分子計器株式会社製「アスカーゴム硬度計F型」で測定する事が可能である。
【0019】
発泡剤を用いないで形成された弾性層3は、20〜70のJIS A硬度を有しているのが好ましい。弾性層3が20〜70のJIS A硬度を有していると、この導電性ローラ1が現像ローラである場合には、導電性ローラ1と後述する像担持体とを所望のように接触させることができ、また、弾性層3の圧縮戻り及び反発弾性を所望のように調整することができる。導電性ローラ1と像担持体との接触状態並びに弾性層3の圧縮戻り及び反発弾性を所望のように確実に調整することができる点で、JIS A硬度は、20〜60であるのがより好ましく、30〜60であるのが特に好ましい。JIS A硬度は、JIS K6301に準拠して測定することができる。
【0020】
この弾性層は、例えば発泡体である場合には、後述するゴムコンパウンドを用いて形成することができ、軸体の外周面に接する弾性層の内面から外表面に到るまでその内部にセルを有して成り、画像形成装置に用いられる各種ローラに応じて、セルの大きさ、及びその間隔等が決定される。
【0021】
例えばこの導電性ローラがトナー供給ローラである場合には、そのセルの好ましい大きさとして、その直径が100〜800μmであり、より好ましい大きさは200〜500μmである。セルの直径が前記範囲内にあると、十分なトナー搬送量と現像ローラ表面からのトナー除去性能が得られると言う利点がある。導電性ローラの弾性層におけるセルは、他のセルに接することのない、又は連通することのない状態(独立セル状態と称する。)、他のセルに接し、又は連通している状態(連通セル状態と称する。)、又は、前記独立セル状態と前記連通セル状態とが共存する状態の何れの状態にあってもよい。
【0022】
前記ゴムコンパウンドとしては、シリコーンゴムコンパウンド、ウレタンゴムコンパウンド、及びフッ素ゴムコンパウンド等を挙げることができる。これらの中でもシリコーンゴムコンパウンドが好ましい。
【0023】
前記シリコーンゴムコンパウンドとしては、例えば、ビニル基含有シリコーン生ゴムとシリカ系充填材と、及び各種の添加剤とを含有するシリコーンゴム組成物を挙げることができる。
【0024】
このビニル基含有シリコーン生ゴムは、例えば、ミラブル型シリコーンゴム、熱架橋シリコーンゴム(HTV:High Temperature Vulcanizing)等が挙げられる。これらのビニル基含有シリコーン生ゴムは、後の工程で、架橋剤等をロールミル等で容易に混練りすることができるという特性を有し、一種単独又は二種以上を混合して用いることができる。
【0025】
前記シリカ系充填材としては、補強性を有する煙霧質シリカ又は沈降性シリカ等が挙げられ、一般式がRSi(OR’)で示されるシランカップリング剤で表面処理された、補強効果の高い表面処理シリカ系充填材が好ましい。ここで、前記一般式におけるRは、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基又はメルカプト基等であり、前記一般式におけるR’はメチル基又はエチル基である。前記一般式で示されるシランカップリング剤は、例えば、信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」及び「KBE402」等として、容易に入手することができる。このようなシランカップリング剤で表面処理されたシリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面を処理することにより、得られる。シリカ系充填材のシリコーンゴム組成物における配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、通常5〜100質量部であるのがよい。
【0026】
前記ビニル基含有シリコーン生ゴム、シリカ系充填材、及び各種の添加剤を含有するシリコーンゴムコンパウンドは、例えば信越化学工業株式会社製の商品名「KEシリーズ」等として容易に入手することができる。
【0027】
この発明における弾性層は、前記シリコーンゴムコンパウンドと、付加反応架橋剤と、付加反応触媒と、さらに必要に応じて加えられる導電性付与剤、発泡剤、反応制御剤とを含有する付加反応型シリコーンゴム組成物、及び過酸化物で架橋するシリコーンゴム組成物等を用いて好適に形成することができる。
【0028】
この付加反応型シリコーンゴム組成物は、二本ロール、三本ロール、ロールミル、バンバリーミキサー、ドウミキサ(ニーダー)等のゴム混練り機等を用いて、均一に混合されるまで、例えば、数分から数時間、好ましくは5分以上1時間以下にわたって、常温又は加熱下で混練することにより、得ることができる。
【0029】
前記付加反応架橋剤としては、例えば、一分子中に2個以上のSiH基(SiH結合)を有する付加反応型の架橋剤として公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、環状、分枝状のいずれであってもよい。好適なオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、下記平均組成式(1)で示され、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上(通常、3〜200個)、より好ましくは3〜100個のケイ素原子結合水素原子を有するものが好適に用いられる。
bcSiO(4-b-c)/2 (1)
但し、式(1)において、Rは炭素数1〜10の置換又は非置換の一価炭化水素基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数である。
【0030】
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とから成る共重合体などが挙げられる。
【0031】
付加反応型シリコーンゴム組成物における前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.01〜20質量部であるのがよい。
【0032】
前記付加反応触媒としては、例えば、周期律表第9族又は第10族の金属単体及びその化合物が挙げられ、より具体的には、シリカ、アルミナ又はシリカゲル等の担体上に吸着された微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸六水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸六水塩のアルコール溶液等の白金系触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。これら付加反応触媒の配合量は、所謂触媒量で十分であり、通常、周期律表第9族又は第10族の金属量に換算して、付加反応型シリコーンゴム組成物全体に対して、1〜1,000ppmであるのがよく、10〜500ppmであるのが特によい。付加反応触媒の配合量が、周期律表第9族又は第10族の金属量に換算して、1ppmより少ないと、ビニル基含有シリコーン生ゴムの架橋反応が十分に進行せず、ビニル基含有シリコーン生ゴムの硬化が不十分となることがあり、一方、1,000ppmを超えると、ビニル基含有シリコーン生ゴムの架橋反応を促進する能力が向上せず、かえって、経済性が低下することがある。過酸化物で架橋する場合のその過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の後述する有機化酸化物架橋剤を挙げることができる。
【0033】
前記導電性付与剤は、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、導電性粉末、イオン導電性物質等が挙げられる。導電性粉末としては、より具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンの他に、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン類、また、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属、さらには、金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられ、イオン導電性物質としては、より具体的には、例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム等の無機イオン性導電物質等が挙げられる。導電性付与剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて、導電性ローラの弾性層としたときに所望の電気抵抗値を示すように、適宜の含有量で添加される。例えば、導電性シリコーン組成物における導電性付与剤の含有量は、シリコーン100質量部に対して、0.1〜10.0質量部とすることができる。
【0034】
前記発泡剤としては、前記シリコーンゴムコンパウンドを発泡させることができる限り種々の発泡剤を使用することができ、また、従来から発泡ゴムに用いられる発泡剤をも使用することができる、例えば、無機系発泡剤として、重炭酸ソーダ、炭酸アンモニウム等が挙げられ、有機系発泡剤として、ジアゾアミノ誘導体、アゾニトリル誘導体、アゾジカルボン酸誘導体等の有機アゾ化合物等が挙げられる。通常、ゴムに連続セルを形成する場合には無機系発泡剤が用いられ、独立セルを形成する場合には有機系発泡剤が用いられる。
【0035】
この発明における弾性層における発泡状態が独立セルで形成されている場合、好適な弾性層を形成するために好適な発泡剤としては、有機系発泡剤が好適である。好適な発泡剤としては、具体的には、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビス−イソブチロニトリル等のアゾ化合物が好適に使用される。特に、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)が好適に使用できる。発泡剤の含有量は、発泡剤の種類によって相違するが、弾性層のアスカーF硬度が40〜80、好ましくは50〜75となるように調整するのがよい。アスカーF硬度が前記範囲内にある弾性層とするための発泡剤の含有量は、具体的には、例えば、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部、特に0.5〜10質量部であるのがよい。発泡剤の含有量が、0.1質量部未満であると、形成される弾性層に十分なセルを形成することができないことがあり、一方、10質量部を超えると、シリコーンゴム発泡体としての形態を維持することができなくなり、弾性層の機械的強度が低下することがある。発泡剤として、ジメチル−1,1'−アゾ−ビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)を選択する場合には、その含有量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.5〜5質量部であるのが特によい。
【0036】
前記反応制御剤としては、公知の反応制御剤をこの発明の目的にあわせて使用することができ、例えば、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイド等が挙げられる。反応制御剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.1〜2質量部であるのがよい。
【0037】
前記各種の添加剤として、例えば、炭酸カルシウム等の充填材、着色剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、熱伝導性向上剤等の添加剤、離型剤、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン等の分散剤、及び、得られるシリコーン発泡ゴムから成る弾性層の硬度を調整することのできる粉砕石英、珪藻土等の非補強性シリカ等が挙げられる。これらの各種添加剤は、所望の配合量で配合される。
【0038】
この発明における弾性層はシリコーンゴムコンパウンドを付加反応することにより製造され、しかもこの発明の目的を阻害しない限り、前記付加反応触媒とともに有機過酸化物架橋剤を使用することができる。
【0039】
前記有機過酸化物架橋剤は、例えば単独でビニル基含有シリコーン生ゴムを架橋させることも可能であるが、付加反応架橋剤の補助架橋剤として併用すれば、シリコーンゴムの強度、歪み等の物性がより向上する。有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。有機過酸化物架橋剤の配合量は、前記ビニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して0.3〜10質量部であるのがよい。
【0040】
前記シリコーンゴム組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどのゴム混練り機を用いて均一に混合することにより得ることができる。
【0041】
本発明の弾性ローラの製造方法においては、前記軸体外周に、加熱処理により粗弾性層を形成して粗弾性ローラを製造する。通常は、接着層又はプライマー層が形成された軸体と共に、前記のようにして調製したシリコーンゴム組成物を、押出成形する。
【0042】
付加反応型シリコーンゴム組成物の押出成形は、付加反応型シリコーンゴム組成物に含まれるゴム、例えば、ビニル基含有シリコーン生ゴムが架橋するのに十分な条件で行われればよい。例えば、付加反応型シリコーンゴム組成物の押出成形は、赤外線加熱炉又は熱風炉等の加熱炉、乾燥機等の加熱機等により、通常、100〜500℃、特に200〜400℃、加熱時間は数分以上1時間以下、特に5〜30分間、加熱することにより、行われる。
【0043】
付加反応型シリコーンゴム組成物は、所望により、さらに、二次加熱が行われてもよい。二次加熱は、前記条件で架橋された付加反応型シリコーンゴム組成物をより確実に架橋させる工程であり、二次加熱によって、弾性層の物性が安定するという効果が得られる。二次加熱は、例えば、前記の条件で押出成形されてなる付加反応型シリコーンゴム組成物を、さらに、押出成形された状態のままで、例えば、160〜250℃、好ましくは180〜230℃で、1〜24時間、好ましくは3〜10時間にわたって、又は、金型を用いて、例えば、130〜200℃、好ましくは150〜180℃で、5分以上24時間以下、好ましくは10分以上10時間以下にわたって、二次加熱されることによって、行われる。
【0044】
この発明における弾性層を形成する場合、前記二次加熱された粗弾性層の整形加工を行うのが好ましい。この発明における整形加工によって、粗弾性層の軸線方向に直交する断面が、前記軸線方向に沿って同じ円形となるように、加工される。この整形加工は、粗弾性層の表面を切削し、研削し、及び研磨し等のいずれか、またはこれらの組合せにより、行われる。この粗弾性層の表面を切削、研削、又は研磨する装置として、例えば円筒研削盤を挙げることができる。この整形加工により、粗弾性層の表面に形成されることのある薄皮状の被膜も除去されることが、できる。また、この整形加工により、粗弾性層にバリ等の異物があればその異物が除去される。このような異物の除去を達成するためには、例えばバリ取り機を好適に採用することができる。また、粗弾性層の軸線長さを所定長さにするために粗弾性層の両端部が切断除去される。この切断除去には、例えばサイドカット機が好適に採用される。かくして、この発明における弾性層を有する導電性ローラが、得られる。
【0045】
この発明に係る導電性ローラは、画像形成装置における現像ローラ、帯電ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラ、定着ローラ、加圧ローラなど、各種多数のローラとして使用することができ、中でもトナー供給ローラまたは現像ローラとして好適に使用することができる。
【0046】
この発明に係る導電性ローラをトナー供給ローラまたは現像ローラとして組み込んで成る画像形成装置の一例について、説明する。
【0047】
この発明の一例である画像形成装置30は、図2に示されるように、静電潜像が形成される回転可能な像担持体31例えば感光体と、像担持体31に当接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31を帯電させる帯電手段32例えば帯電ローラと、像担持体31の上方に設けられ、像担持体31に静電潜像を形成する露光手段33と、像担持体31に当接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31に一定の層厚で現像剤42を供給し、静電潜像を現像する現像手段40と、像担持体31の下方に圧接するように設けられ、現像された静電潜像を像担持体31から被転写体36例えば転写紙上に転写する転写手段34例えば転写ローラと、被転写体36の搬送方向の下流に設けられ、被転写体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させる定着手段35例えば定着装置と、被転写体36に転写されず像担持体31に残留した現像剤42及び/又は像担持体31に付着したゴミ等を除去するクリーニング手段37とを備えている。すなわち、像担持体31は、その回転方向において、上流側から順に、クリーニング手段37、帯電手段32、露光手段33、現像手段40及び転写手段34によって、各作用を受ける。
【0048】
前記像担持体31は、従来公知の像担持体を用いることができ、少なくともその表面に設けられる感光層は、例えば、有機系、アモルファスシリコン、Se系合金又はこれらを組み合わせた材料等を用いて形成される。像担持体31が円筒状の場合は、像担持体31は、アルミニウム又はアルミニウム合金を押出し成型した後、表面に感光層等を形成する方法等の公知の製法により製造することができる。また、ベルト状の像担持体を用いることも可能である。前記帯電手段32は、像担持体31を帯電させることができればよく、例えば、導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器、コロトロン帯電器等の帯電器を用いることができる。これらの中でも、帯電補償能力に優れる点で接触型帯電器が好ましい。前記露光手段33は、露光により像担持体31に静電潜像を形成することができればよく、例えば、像担持体31の表面に、半導体レーザ(LD)光、発光ダイオード(LED)光、液晶シャッタ(LCS)光等の光源、又はこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器等を用いることができる。前記転写手段34は、現像された静電潜像を像担持体31から転写紙36上に転写することができればよく、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器、コロトロン転写帯電器等を用いることができる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点で接触型転写帯電器が好ましい。また、転写帯電器の他、剥離帯電器等を併用することもできる。前記クリーニング手段37としては、像担持体31上の現像剤42及び/又はゴミ等を除去することができればよく、公知のクリーニング装置、クリーニングローラ等を用いることができる。
【0049】
前記定着手段35は、被転写体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができればよく、例えば、発熱可能な定着ローラを備えた熱ローラ定着装置、オーブン定着器等の加熱定着装置、加圧可能な定着ローラを備えた圧力定着装置等を用いることができる。これらの定着装置は無端ベルトを備えた定着装置であってもよい。図2において、無端ベルトを備えた定着手段35はこの発明に係る定着装置とされている。この定着装置35は、図2にその断面が示されるように、被転写体36を通過させる開口52を有する筐体50内に、定着ローラ53と、定着ローラ53の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ54と、定着ローラ53及び無端ベルト支持ローラ54に巻き掛けられた無端ベルト55と、定着ローラ53と対向配置された加圧ローラ56とを備え、無端ベルト55を介して定着ローラ53と加圧ローラ56とが、互いに当接又は圧接するように、回転自在に支持されて成る圧力熱定着装置である。無端ベルト支持ローラ54は、画像形成装置に通常用いられるローラであればよく、例えば、弾性ローラ等が用いられる。無端ベルト55は、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド等の樹脂により、無端状に形成されたベルトであればよく、その厚さ等も適宜定着手段35に適合するように調整することができる。定着ローラ53、無端ベルト支持ローラ54及び加圧ローラ56はそれぞれ、加熱体(図示しない。)が内蔵され、加圧ローラ56はスプリング等の付勢手段(図示しない。)によって、無端ベルト55を介して定着ローラ53に圧接している。無端ベルト55と加圧ローラ56との圧接された間を被転写体36が通過することにより、加圧と同時に加熱され、被転写体36に転写された現像剤42(静電潜像)を定着させることができる。
【0050】
画像形成装置30は、像担持体31の表面に残留している静電潜像を除去する除電手段(図示しない。)を、クリーニング手段37と帯電手段32との間又は転写手段34とクリーニング手段37との間に、備えていてもよい。除電手段は、例えば、タングステンランプ、LED等を用いることができ、光除電手段に用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられ、照射光強度としては、通常、像担持体31の半減露光感度を示す光量の数倍〜30倍程度になるように出力が設定される。
【0051】
画像形成装置30における現像手段40は、従来の画像形成装置に備えられた現像手段と基本的に同様に形成され、同様に配置されている。例えば、現像手段40は、図2に示されるように、像担持体31に対向する位置に開口部を有し、現像剤42を収納する現像剤収納部41と、現像剤収納部41の開口部に、像担持体31に当接して又は所定の間隔を置いて設けられ、像担持体31に現像剤42を一定の層厚で供給する回転可能な現像ローラ44と、現像ローラ44に当接して設けられ、現像ローラ44に現像剤42を供給する回転可能な導電性ローラであるトナー供給ローラ43と、現像ローラ44の上方に設けられ、現像ローラ44に当接して現像剤42の層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤42を帯電させる現像剤規制部材45とを備えている。
【0052】
前記現像剤収納部41に収納される現像剤42としては、摩擦により帯電可能で、被転写体36に定着可能な一成分系の現像剤であれば、乾式現像剤であっても湿式現像剤であってもよく、また、非磁性現像剤であっても磁性現像剤であってもよい。一成分系の現像剤は、一般に、樹脂と色剤とその他添加剤とを含み、樹脂は、定着方式に応じて選択される。熱定着方式の場合には、樹脂として、例えば、スチレン/アクリル系共重合体、スチレン/ブタジエン系共重合体が、圧力定着方式の場合には、例えば、ワックス類、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエンラバー混合ワックス状樹脂等が選択される。色剤としては、例えば、カーボンブラック、マグネタイト、各種染顔料等が用いられ、その他添加剤としては、例えば、帯電制御剤、導電制御剤、補強剤、離型剤等が用いられる。磁性現像剤の場合には、さらに、フェライト等の磁性粉を現像剤42の合計質量に対して数十質量%含有する。一成分系の現像剤は、通常、2〜8μC/g程度の帯電特性を有している。
【0053】
現像手段40におけるトナー供給ローラ43は、現像ローラ44と接触して、現像剤42を現像ローラ44に供給することができるように構成されていればよく、例えば、導電性を有する弾性層を備えた現像ローラ等が挙げられる。なお、現像ローラ44に供給される現像剤42を均一に混合する攪拌機が現像剤収納部41内に設けられてもよい。
【0054】
現像手段40における現像ローラ44は、現像剤規制部材45と接触して、現像剤42を帯電させる。したがって、現像ローラ44は、現像剤規制部材45と接触して、現像剤42を帯電させることができるように構成されていればよく、例えば、導電性を有する弾性層を備えた現像ローラ等が挙げられる。例えば、このような現像ローラ44として、この発明に係る弾性ローラ1を使用することができる。
【0055】
現像剤規制部材45は、図2に示されるように、所定の圧力で現像ローラ44の表面に当接するように、現像手段40の開口部に、配置されている。この現像剤規制部材45は、現像ローラ44に接触して、現像ローラ44に付着した現像剤42を一定の層厚に調整すると共に、現像剤42を帯電させることができればよく、例えば、支持体と、支持体に装着され、現像ローラ44に当接するブレードとから成っていてもよい。この支持体は、弾性を有する材料、例えば、ステンレス鋼等によって形成されて成り、ブレードを支持し、現像ローラ44にブレードを適切な圧力で当接させる。ブレードは、弾性を有する材料、例えば、ステンレス鋼等又は弾性を有する薄板状等に形成されて成り、現像ローラ44に当接し、現像剤42の層厚を規制すると共に、摩擦帯電により現像剤42を帯電させる。ブレードは、その表面に、現像剤42を帯電させる表面層(図示しない。)を有していてもよい。
【0056】
前記画像形成装置30は、帯電手段32の帯電ローラ、現像手段40の現像ローラ、転写手段34の転写ローラ、定着手段35の定着ローラ、加圧ローラ又は無端ベルト支持ローラ、クリーニング手段のクリーニングローラ、紙送り搬送ローラ等の各種ローラを備え、これら各種ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係る弾性ローラ1が使用されている。好ましくは、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ及び加圧ローラのうち少なくとも1つのローラとしてこの発明に係る弾性ローラ1が使用されている。
【0057】
前記画像形成装置30は、次のように作用する。まず、画像形成装置30において、像担持体31が、図2の矢印に示されるように、時計方向に回転しつつ、クリーニング手段37により、その表面の現像剤42及び/又はゴミ等が除去された後、帯電手段32により、一様に帯電される。次いで、露光手段33により画像が露光され、像担持体31の表面に静電潜像が形成される。
【0058】
一方、現像手段40において、現像剤42がトナー供給ローラ43によって現像ローラ44に供給され、現像ローラ44が図2に示される矢印方向に回転することにより、現像ローラ44の表面に付着した現像剤42が、現像ローラ44と現像ローラ44に当接した現像剤規制部材45との間を通過する。このとき、現像剤42は、所望の層厚に規制されると共に、現像剤42を所望のように帯電させることができる。つまり、現像剤42が、現像ローラ44と現像剤規制部材45との間を通過することによって、現像ローラ44の表面上における現像剤42の層厚が規制されると共に、現像剤規制部材45と現像ローラ44及び/又は現像剤42との摩擦帯電等により、現像ローラ44上の現像剤42が所望のように帯電される。
【0059】
次いで、このようにして現像手段40から所望の層厚及び帯電量を有する現像剤42が像担持体31に供給され、像担持体31に形成された静電潜像が現像されて、この静電潜像が現像剤像として可視化される。このようにして、現像手段40は、像担持体31に所望の層厚及び帯電量を有する現像剤42を供給し、静電潜像を現像することができる。次いで、像担持体31上に現像された現像剤像は、搬送手段により、像担持体31と転写手段34との間に搬送される被転写体36上に、像担持体31及び/又は転写手段34によって転写される。次いで、現像剤像が転写された被転写体紙36は、搬送手段により定着手段35に搬送され、定着手段35により加熱及び/又は加圧されて、転写された現像剤像が永久画像として被転写体36に定着される。このようにして、被転写体36に画像を形成することができる。
【0060】
この発明に係る画像形成装置30において、像担持体31、帯電手段32、露光手段33、転写手段34、定着手段35及びクリーニング手段37は、図2に示される配置の他に、従来の画像形成装置に備えられる像担持体、帯電手段、露光手段、転写手段、定着手段及びクリーニング手段とそれぞれ同様に形成され、同様に配置されてもよい。
【0061】
また、画像形成装置30は、電子写真方式の画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置30は、現像手段40に単色の現像剤42のみを収容するモノクロ画像形成装置とされているが、この発明において、画像形成装置は、モノクロ画像形成装置に限定されず、カラー画像形成装置であってもよい。カラー画像形成装置としては、例えば、像担持体上に担持された現像剤像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置、各色毎の現像手段を備えた複数の像担持体を中間転写体や転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。画像形成装置30は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置とされる。
【0062】
また、画像形成装置30において、現像剤42は、一成分系の現像剤が有利に用いられるが、トナーと、鉄、ニッケル等のキャリアとを含む二成分系の現像剤も使用することができる。二成分系の現像剤は、通常、10〜25μC/g程度の帯電特性を有している。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
導電性の棒状体である硫黄快削鋼に無電解ニッケルメッキを施した直径6mm、長さ250mmのシャフトを設け、その外周面にシリコーン系プライマーNo.101A/B(商品名、信越化学工業株式会社製)を塗布した。
次いで、ギヤオーブン中で150℃、10分間焼き付けて導電性ローラ用の芯金すなわち軸体を得た。
シリコ−ンゴムコンパウンド「KE551U」(商品名、信越化学工業株式会社)40質量部、シリコ−ンゴムコンパウンド「KE3502U」(商品名、信越化学工業株式会社)50質量部、シリコーン生ゴム「KE76VBS」10質量部、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部、有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社)5質量部、有機過酸化物架橋剤C−3(商品名、信越化学工業株式会社)3質量部、塩化白金酸触媒C−25A(商品名、信越化学工業株式会社)2質量部、架橋剤としてC−25B(商品名、信越化学工業株式会社)2質量部を配合し、二本ロールを使用して混合することによりシリコーンゴム配合物を調製した。得られたシリコーンゴム配合物を押出し機で前記軸体と一体で押出し、所定の外径のゴムローラを得た。
【0064】
押出機で押出したゴムローラを、炉内雰囲気250℃のIR加熱炉で10分間加熱発泡させて一次加熱し、更にこの後180℃のオーブンにて4時間加熱し、二次加熱を行った。二次加熱終了後、研磨機で直径15mmまで研磨加工し、発泡体である弾性層を有する導電性ローラを得た。得られた導電性ローラIを20℃の環境下で十分放置した。
【0065】
続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0066】
(実施例2)
二次加熱の条件を180℃のオーブンにて7時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラIIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0067】
(実施例3)
二次加熱の条件を180℃のオーブンにて13時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラIIIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0068】
(実施例4)
二次加熱の条件を180℃のオーブンにて24時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラIVを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0069】
(実施例5)
二次加熱の条件を160℃のオーブンにて24時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラVを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
(実施例6)
有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社製)12質量部に変更した以外は、実施例2と同様にし、導電性ローラVIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0071】
(実施例7)
有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社製)2.5質量部に変更した以外は、実施例2と同様にし、導電性ローラVIIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
(実施例8)
有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社製)2.5質量部、二次加熱の条件を160℃のオーブンにて4時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラVIIIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0073】
(実施例9)
有機発泡剤KEP−13(商品名、信越化学工業株式会社製)15質量部に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラIXを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
(実施例10)
この例では、現像ローラに使用される未発泡タイプの導電性ローラを作成した。
メチルビニルシリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部、ジメチルシリコーン生ゴム(商品名「KE−76VBS」、信越化学工業株式会社製)20質量部、カーボンブラック(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン株式会社製)10質量部、煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL OX−50」、平均一次粒径40nm、嵩密度0.13g/cm、日本アエロジル株式会社製)15質量部、白金触媒(商品名「C−19A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部、ハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−19B」、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、加圧ニーダーで混練して、付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0074】
次いで、プライマー層を形成した軸体と付加硬化型導電性シリコーンゴム組成物とを、クロスヘッド型押出成形機にて一体押出しし、ギヤオーブンを用いて、250℃、30分間加熱した。その後、さらに、ギヤオーブンを用いて、180℃で4時間にわたって、二次加熱し、常温にて24時間放置した。次いで、円筒研削盤にて、形成した弾性層の直径が20.2mmとなるように、弾性層の表面を研磨し、導電性ローラXを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、JIS A硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
【0075】
(比較例1)
二次加熱の条件を200℃のオーブンにて7時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラXIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
(比較例2)
二次加熱の条件を225℃のオーブンにて4時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラXIIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
(比較例3)
二次加熱の条件を225℃のオーブンにて7時間に変更した以外は、実施例1と同様にし、導電性ローラXIIIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、アスカーF硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
(比較例4)
二次加熱の条件を225℃のオーブンにて7時間に変更した以外は、実施例10と同様にし、導電性ローラXIVを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、JIS A硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(比較例5)
煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL OX−50」、平均一次粒径40nm、嵩密度0.13g/cm、日本アエロジル株式会社製)を5質量部に変更した以外は、実施例10と同様にし、導電性ローラXVを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、JIS A硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
(比較例6)
煙霧質シリカ系充填材(商品名「AEROSIL OX−50」、平均一次粒径40nm、嵩密度0.13g/cm、日本アエロジル株式会社製)を25質量部に変更した以外は、実施例10と同様にし、導電性ローラXVIを得た。続いて、前述した測定方法により、シロキサンオリゴマー含有量、JIS A硬度、電気抵抗値を測定した。結果を表2に示す。
【0079】
(印字評価:カスレ、汚れ)
前記導電性ローラI〜IX、XI〜XIIIをトナー供給ローラとして、非磁性一成分電子写真方式のプリンター(MicroLine9500PS 株式会社沖データ製)の現像器に配置し、48℃、55RH%の環境下で2週間放置した。その後、室温に戻して、黒ベタ印字、白ベタ印字を実施した。更に、印字率1%の横線パターンでA4用紙5000枚を連続印刷し、白ベタ印字、黒ベタ印字の順で印字を行い、印刷時のカスレ、汚れの発生を目視で確認した。
【0080】
5000枚まで印刷した時に、カスレ、汚れ共に発生しなかった場合を「○」、カスレまたは汚れが発生したが、問題の無いレベルの場合を「△」、カスレまたは汚れが発生した場合を「×」とした。評価結果を表1に示した。
(印字評価:白スジ)
前記導電性ローラX、XIV〜XVIを現像ローラとして、非磁性一成分電子写真方式のプリンター(MicroLine9500PS 株式会社沖データ製)の現像器に配置し、48℃、55RH%の環境下で2週間放置した。その後、室温に戻して、黒ベタ印字を実施した。
【0081】
黒ベタ画像に現像ローラからの移行物による白スジが黒ベタ印字3枚以内で消失したものを○、10枚以内で消失したものを△、10枚を超えても消失しないものを×とした。評価結果を表2に示した。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1はこの発明の一例である導電性ローラを示す斜視図である。
【図2】図2はこの発明の一例である導電性ローラを組み込んで成る、この発明の一例である画像形成装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1 導電性ローラ
2 軸体
3 弾性層
30 画像形成装置
31 像担持体
32 帯電手段
33 露光手段
34 転写手段
35 定着手段
36 被転写体
37 クリーニング手段
40 現像手段
41 現像剤収納部
42 現像剤
43 トナー供給ローラ
44 現像ローラ
45 現像剤規制部材
50 筐体
52 開口
53 定着ローラ
54 無端ベルト支持ローラ
55 無端ベルト
56 加圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体とその軸体の外周にゴム組成物の硬化により形成された弾性層とを備え、前記弾性層中の重合度170〜2700の範囲内にあるシロキサンオリゴマー含有量が0.5質量%以下であることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記弾性層中の重合度170未満のシロキサンオリゴマー含有量が1.5〜8質量%である前記請求項1に記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記導電性ローラがトナー供給ローラである前記請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項4】
前記弾性層のアスカーF硬度が40〜80である前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性ローラ。
【請求項5】
前記導電性ローラが現像ローラである前記請求項1又は2に記載の導電性ローラ。
【請求項6】
前記弾性層のJIS A硬度が20〜70である前記請求項1、2及び5のいずれか一項に記載の導電性ローラ。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の導電性ローラを備えて成る画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−90038(P2008−90038A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271609(P2006−271609)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【復代理人】
【識別番号】100118809
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 育男
【Fターム(参考)】