説明

導電性微粒子分散ペースト、太陽電池セル及び太陽電池パネル

【課題】塗工膜の表面を平滑化でき、外観及び強度に優れた膜形成が可能となることから、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペースト、並びに、該導電性微粒子分散ペーストを用いた太陽電池セル及び太陽電池パネルを提供する。
【解決手段】太陽電池の裏面電極を形成するために用いられる導電性微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂と、有機溶剤と、脂肪酸アミド化合物と、導電性微粒子とを含有し、前記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基に親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来するセグメントを5〜40重量%含有し、前記脂肪酸アミド化合物は、下記式(1)に示すN置換脂肪酸アミドである導電性微粒子分散ペースト。
[化1]


式(1)中、Rは炭素数10〜22の脂肪酸由来のアルキル基、Rは炭素数1〜6の炭化水素を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペースト、並びに、該導電性微粒子分散ペーストを用いた太陽電池セル及び太陽電池パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして太陽光発電が注目され、太陽電池の開発が進んでいる。太陽電池としては、シリコン半導体基板の上に、電極が形成された装置が知られている。図1は、一般的な太陽電池の構造を模式的に示す断面図である。
【0003】
図1に示すように、太陽電池の素子は、厚みが200〜300μmのp型シリコン半導体基板1の受光面側に、厚みが0.3〜0.6μmのn型不純物層2が形成されており、更にn型不純物層2の上に反射防止膜3とグリッド電極4とが形成されている。また、p型シリコン半導体基板1の裏面側には、裏面電極層5が形成されている。
【0004】
裏面電極層5は、通常、アルミニウム粉末、ガラスフリット及び有機質ビヒクルを含有するペーストをスクリーン印刷等によって塗布し、乾燥した後、660℃(アルミニウムの融点)以上の温度で焼成することにより形成される。この焼成工程において、アルミニウムがp型シリコン半導体基板1の内部に拡散することにより、裏面電極層5とp型シリコン半導体基板1との間にAl−Si合金層6が形成されると同時に、アルミニウム原子の拡散による不純物層としてp層7が形成される。このp層7の存在により、電子の再結合を防止し、生成キャリアの収集効率を向上させるBSF(Back Surface Field)効果が得られる。
【0005】
近年、太陽電池はコストダウンの要求が高まり、その方法として、シリコン半導体基板を薄くすることが検討されている。しかし、シリコンとアルミニウムとは熱膨張係数が大きく異なるため、シリコン半導体基板が薄くなれば、熱膨張係数の差に起因して内部応力が発生し、ペーストの焼成後に裏面電極層が形成された裏面側が凹状になるようにシリコン半導体基板が変形し、反り又は割れが発生するという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するため、特許文献1には、半導体基板の裏面全体にアルミニウム含有ペーストを薄く塗布し、その上から厚くしたい部分に再度アルミニウム含有ペーストを塗布した後、焼成することにより、半導体基板の裏面に2種以上の層からなる裏面電極層を形成する方法が開示されている。また、特許文献2には、半導体基板の裏面に裏面電極を格子状に形成する方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、アルミニウム粉末、ガラスフリット、有機質ビヒクル及びアルミニウム含有有機化合物を用いる方法が開示されており、特許文献4には、熱膨張率がアルミニウムよりも小さく、かつ、溶融温度、軟化温度及び分解温度のいずれかがアルミニウムの融点よりも高い無機化合物、アルミニウム粉末及び有機質ビヒクルを含むペースト組成物を用いる方法が開示されている。更に、特許文献5には、従来のペースト組成物に有機化合物粒子及び炭素粒子のうち少なくとも1種を添加して、焼成時のアルミニウム電極の収縮を抑止することにより、シリコン半導体基板の反りを低減する方法が開示されている。
【0008】
以上の文献に示した、従来のペースト組成物は、アルミ電極の抵抗値を下げたり、焼成後の基板の反りを低減したりするために、ペースト中のアルミニウム微粒子の組成比が高くなる傾向がある。特に、ペースト中のアルミニウム微粒子が70%以上の組成においては、少量のバインダー樹脂にて分散状態を維持することは困難であり、貯蔵安定性が悪くなることに加えて、塗工膜の表面が荒れて外観不良を起こしたり、膜強度が弱くなったりするという不具合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−217435号公報
【特許文献2】特開2002−141533号公報
【特許文献3】特開2000−90734号公報
【特許文献4】特開2003−223813号公報
【特許文献5】特開2004−134775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、塗工膜の表面を平滑化でき、外観及び強度に優れた膜形成が可能となることから、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペースト、並びに、該導電性微粒子分散ペーストを用いた太陽電池セル及び太陽電池パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、太陽電池の裏面電極を形成するために用いられる導電性微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂と、有機溶剤と、脂肪酸アミド化合物と、導電性微粒子とを含有し、前記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基に親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来するセグメントを5〜40重量%含有し、前記脂肪酸アミド化合物は、下記式(1)に示すN置換脂肪酸アミドである導電性微粒子分散ペーストである。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
【化1】

【0013】
式(1)中、Rは炭素数10〜22の脂肪酸由来のアルキル基、Rは炭素数1〜6の炭化水素を表す。
【0014】
本発明者らは、鋭意検討の結果、所定の構造を有する(メタ)アクリル樹脂と、有機溶剤と導電性微粒子とに加え、更に脂肪酸アミド化合物を含有する導電性微粒子分散ペーストは、驚くべきことに、脂肪酸アミド化合物を含有しない場合と比較して、導電性微粒子の分散性が飛躍的に改善することに加え、塗工膜表面を平滑化でき、かつ、塗工膜を外観及び強度に優れたものとすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明において、塗工膜表面が平滑化する理由については、明確ではないが、上記(メタ)アクリル樹脂中の親水性官能基の効果に加え、脂肪酸アミド化合物の静電的相互作用により、導電性微粒子を強く分散安定化することができ、更に、脂肪酸アミド化合物が導電微粒子をコートすることによって摩擦が軽減されるためであると考えられる。
【0016】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、(メタ)アクリル樹脂を含有する。
【0017】
上記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基に親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(以下、単に「親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー」ともいう)からなるセグメントを含有する。
上記親水性官能基は、導電性微粒子との相互作用性が高いことから、上記(メタ)アクリル樹脂を用いることで、該(メタ)アクリル樹脂の一方の分子末端が導電性微粒子表面に吸着し、他方は有機溶剤側へ伸びた形態となり、導電性微粒子の再凝集を防ぎ、分散安定性を向上させることができる。
【0018】
上記親水性官能基としては、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、ニトリル基、アミノ基、アミド基、アミジン基等が挙げられる。
なかでも、アミノ基をはじめとする窒素官能基、水酸基が好ましい。
【0019】
上記親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上述した各官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーのなかでも、脱脂後に分解残渣分の残留が特に少ないことから、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが好適である。
【0020】
上記(メタ)アクリル樹脂における上記親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来するセグメントの含有量は下限が5重量%、上限が40重量%である。上記セグメントの含有量が5重量%未満であると、分散安定性への寄与が少なくなり、分散安定性が悪くなることがある。また、40重量%を超えると、低温での熱分解性が損なわれたり、導電性微粒子に付着する煤が多くなり、焼結体の残留炭素が多くなったりすることがある。好ましい上限は30重量%である。
【0021】
上記(メタ)アクリル樹脂において、上記親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来するセグメント以外の他の(メタ)アクリルモノマーについては、特に限定されないが、350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーからなるセグメントであることが好ましい。上記親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーからなるセグメントの他に、350〜400℃程度の低温で分解する(メタ)アクリルモノマーからなるセグメントを含有することで、熱分解性を向上させ、焼結体の残留炭素を少なくすることができる。
【0022】
上記他の(メタ)アクリルモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。ここで、例えば(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なかでも、本発明の導電性微粒子分散ペーストは後述する脂肪酸アミド化合物を含有することから、ブチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートに由来する成分を有する重合体が好ましい。
【0023】
上記(メタ)アクリル樹脂は、更に分子末端に親水性官能基を有することが好ましい。
分子側鎖に加えて、分子末端にも親水性官能基を有することで、上記分散安定性効果をより高めることができる。
上記分子末端に親水性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂の製造方法は特に限定されず、例えば、親水性官能基を有する連鎖移動剤の存在下、(メタ)アクリルモノマーを、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で重合又は共重合する方法、及び、親水性官能基を有する重合開始剤の存在下、(メタ)アクリルモノマーを、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で重合又は共重合する方法が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記親水性官能基を有する連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、水酸基を有するメルカプトプロパンジオール、カルボキシル基を有するチオグリセロール、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸、アミノ基を有するアミノエタンチオール等、リン酸基を有するチオリン酸等が挙げられる。
【0025】
上記親水性官能基を有する重合開始剤としては特に限定されず、例えば、P−メンタンヒドロペルオキシド(P−Menthane hydroperoxide)(日油社製:パーメンタH)、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド(Diisopropylbenzene hydroperoxide)(日油社製:パークミルP)、1,2,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド(1,2,3,3−Tetramethylbutyl hydroperoxide)(日油社製:パーオクタH)、クメンヒドロペルオキシド(Cumene hydroperoxide)(日油社製:パークミルH−80)、t−ブチルヒドロペルオキシド(t−Buthyl hydroperoxide(日油社製:パーブチルH−69)、過酸化シクロヘキサノン(Cyclohexanone peroxide)(日油社製:パーヘキサH)、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−アミルハイドロパーオキサイド、Disuccinic acid peroxide(パーロイルSA)等が挙げられる。また、窒素官能基を有する各種アゾ開始剤を用いても良い。
【0026】
また、親水性官能基を有するアゾ系重合開始剤を用いて、上記分子末端に親水性官能基を有する(メタ)アクリル樹脂を製造してもよい。
上記アゾ系重合開始剤としては、特に限定されず、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェイトジハイドレート、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシド)等が挙げられる。
【0027】
上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に親水性官能基が存在していることは、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂を抽出したポリマーを13C−NMR測定することにより、確認することができる。即ち、炭素−硫黄間の結合が確認された場合には、分子末端に親水性官能基が導入されたと判断することができる。
【0028】
上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は5000、好ましい上限は500000である。上記重量平均分子量が5000未満であると、得られる導電性微粒子分散ペーストは、充分な粘度が確保されず、結果として、スクリーン脱枠後の基板へのパターン形成能が低下する。また、上記重量平均分子量が500000を超えると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘着力が高くなりすぎ、延糸が発生することがあり、スクリーン印刷性が悪くなることがある。上記重量平均分子量の好ましい上限は200000であり、より好ましい上限は100000である。なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量は、カラムとして例えばカラムLF−804(SHOKO社製)を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
なお、本明細書における重量平均分子量とは、例えば、カラムとしてSHOKO社製のLF−804を用い、室温にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析により得られる結果を基に、ポリスチレン換算値で求められるものをいう。
【0029】
本発明の導電性微粒子分散ペーストにおける、上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は特に限定されないが、導電性微粒子分散ペースト全体に対して好ましい下限は0.2重量%、好ましい上限は10重量%である。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が0.2重量%未満であると、得られる導電性微粒子分散ペースト中の粘度が低すぎてスクリーン脱枠後の基板へのパターン形成能が低下することがある。また、上記含有量が10重量%を超えると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘着力が高すぎて、スクリーン脱枠時に糸曳き等が発生することがある。より好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は5重量%である。
【0030】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、有機溶剤を含有する。
上記有機溶剤は特に限定されず、例えば、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノール、イソホロン、乳酸ブチル、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ベンジルアルコール、フェニルプロピレングリコール、クレゾール、テルピネオール、ターピネアセテート、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられる。
【0031】
上記有機溶剤のなかでも、分子中に水酸基を少なくとも1つ有する化合物からなるテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満の化合物からなる多価アルコール系溶剤が好ましい。このような有機溶剤と、上記(メタ)アクリル樹脂、および後述する脂肪酸アミド化合物とを組み合わせて用いることで、上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端に存在する親水性官能基と有機溶剤及び脂肪酸アミド化合物中の親水性官能基との静電的相互作用により、得られる導電性微粒子分散ペーストの分散性をさらに改善できることに加え、塗工膜を平滑にすることができる。このような有機溶剤としては、テルピネオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが好適に用いられる。
なお、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
本発明の導電性微粒子分散ペーストにおける上記有機溶剤の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。上記有機溶剤の含有量が10重量%未満であると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘度、粘着力が高くなりすぎてスクリーン印刷性が悪くなることがある。上記有機溶剤の含有量が80重量%を超えると、得られる導電性微粒子分散ペーストは、充分な粘度が得られず、スクリーン印刷性が悪くなることがある。
【0033】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、脂肪酸アミド化合物を含有する。
上記脂肪酸アミド化合物は、上記式(1)に示すN置換脂肪酸アミドである。
本発明の導電微粒子分散ペーストは、上記式(1)に示すN置換脂肪酸アミドからなる脂肪酸アミド化合物を含有することで、中心の親水基部分が導電性微粒子表面に吸着し、疎水基部分が伸びた形態となり、分散安定化される。加えて、導電性微粒子に吸着し、コートした状態となることで、導電微粒子同士の摩擦を軽減することが出来る。
【0034】
上記式(1)中、Rは炭素数10〜22の脂肪酸由来のアルキル基である。
上記アルキル基としては、例えば、炭素数10〜22の直鎖状、分岐鎖状、飽和又は不飽和の脂肪酸由来のアルキル基が挙げられ、置換基として水酸基を含有してもいてもよい。
また、上記式(1)中、Rは炭素数1〜6の炭化水素である。上記炭化水素としては、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状、飽和又は不飽和の炭化水素が挙げられる。
【0035】
上記脂肪酸アミド化合物としては、例えば、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N′−ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0036】
本発明の導電微粒子分散ペーストにおける上記脂肪酸アミド化合物の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は5重量%である。上記脂肪酸アミド化合物の含有量が0.1重量%未満であると、導電微粒子を分散安定化する効果が低く、得られる導電性微粒子分散ペーストの貯蔵安定性改善効果が不充分であることがある。また、上記脂肪酸アミド化合物の含有量が5重量%を超えると、焼結後の残留炭素が多くなることがある。
【0037】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、導電性微粒子を含有する。
上記導電性微粒子としては、アルミニウム粉末、金粉末、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、プラチナ粉末、パラジウム粉末等の金属粉、アルミナ、酸化亜鉛、フェライト等の金属酸化物粉末等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム粉末が好ましい。
【0038】
上記アルミニウム粉末は、平均粒子径が0.5〜20μmであり、かつ、形状が略球状であることが好ましい。上記平均粒子径が0.5μm未満であると、アルミニウム粉末の比表面積が大きくなり、20μmを超えると、導電性微粒子分散ペーストとしたときに、分散安定性が低下することがあり、また、例えば、シリコンウエハに塗布する場合、シリコンウエハとアルミニウム粉末との接点が少なくなり、焼成後に均一なアルミニウム−シリコン合金層が得られないことがある。より好ましくは、1〜10μmである。なお、上記略球状とは、真球形状のほか、球形に近い形状の粒子も包含する。
【0039】
また、上記アルミニウム粉末としては、平均粒子径0.5〜5μmのアルミニウム粒子と、平均粒子径5〜20μmのアルミニウム粒子とを任意の割合で組み合わせたものを用いることが好ましい。これにより、焼結後に得られる膜中のアルミニウム粒子の充填がより密なものとなる。
【0040】
本発明の導電性微粒子分散ペーストにおける上記導電性微粒子の含有量は特に限定されないが、導電性微粒子分散ペースト全体に対する好ましい下限は60重量%、好ましい上限は85重量%である。上記導電性微粒子の含有量が60重量%未満であると、得られる導電性微粒子分散ペーストの粘度が低すぎてスクリーン印刷に適した粘度とすることができなくなったり、焼結後のアルミニウム膜の抵抗が高くなり、太陽電池のエネルギー変換効率の低下を招いたりすることがある。また、上記導電性微粒子の含有量が85重量%を超えると、スクリーン印刷時の導電性微粒子分散ペーストの塗布性が低下することがある。より好ましい下限は65重量%、より好ましい上限は80重量%である。
【0041】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、更に、ガラスフリットを含有することが好ましい。上記ガラスフリットは、例えば、シリコン基板に塗布する場合、アルミニウムの電極層と、シリコン基板との結合をさらに強化する働きをすると考えられる。上記ガラスフリットの含有量は5重量%以下であることが好ましい。上記ガラスフリットの含有量が5重量%を超えると、ガラスの偏析を生じる恐れがある。上記ガラスフリットとしては、環境に悪影響を与えない非鉛のガラスを用いることが最も好ましいが、鉛含有ガラスを用いてもよい。上記ガラスフリットの粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、20μm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明の導電微粒子分散ペーストはさらに表面調整剤を含有してもよい。
上記表面調整剤の種類は特に限定されず、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−(ヒドロキシメチル)−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の水酸基を持つ高極性有機化合物が挙げられる。
上記表面調整剤の含有量の好ましい上限は、導電微粒子分散ペースト全体に対して30重量%である。上記表面調整剤の含有量が30重量%を超えると、乾燥速度が遅くなるため乾燥工程中にペーストが流動し、印刷乾燥後のアスペクト比が低くなる場合がある。
【0043】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、本発明の効果を阻害しない範囲内において、必要に応じて他の従来公知の添加剤を含有してもよい。
【0044】
本発明の導電性微粒子分散ペーストの作製方法としては特に限定されず、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂、有機溶剤、脂肪酸アミド化合物、導電性微粒子及び必要に応じて添加する添加剤を、3本ロール等の従来公知の撹拌機を用いて所定時間混合する方法等により製造することができる。
上記混合する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパー、万能ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等を用いて混合する方法が挙げられる。
【0045】
本発明の導電性微粒子分散ペーストは、適度な粘度特性を有することからスクリーン印刷性に優れ、太陽電池の裏面電極の製造に好適に使用することができる。また、表面平滑性に優れたペーストとすることができ、外観及び強度に優れた膜形成が可能となる。
よって、本発明の導電性微粒子分散ペーストをスクリーン印刷等によって塗布し、乾燥した後、焼成することにより、太陽電池セルの裏面電極を形成することでできる。
このような太陽電池セル、及び、太陽電池セルを用いて得られる太陽電池パネルもまた本発明の1つである。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、塗工膜の表面を平滑化でき、外観及び強度に優れた膜形成が可能となることから、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペースト、並びに、該導電性微粒子分散ペーストを用いた太陽電池セル及び太陽電池パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】一般的な太陽電池の構造を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0049】
(重合例1)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)90重量部、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)10重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール0.4重量部、有機溶剤としてテルピネオール100重量部を加えてモノマー混合液を得た。
【0050】
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。重合開始剤として有機過酸化物重合触媒(パーロイル355、日油社製)を0.1重量部添加し、重合中に重合開始剤を数回添加し、合計でモノマー100重量部に対して合計1.5重量部の重合開始剤を添加した。
重合開始から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、分子末端に水酸基を有するメタアクリル樹脂(Poly(CHMA/HPMA))のテルピネオール溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0051】
(重合例2)
モノマーとして、イソブチルメタクリレート(IBMA)70重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)30重量部、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール0.8重量部、有機溶剤として2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール100重量部を用いたこと以外は、重合例1と同様にして、分子末端に水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/HEMA))の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は2万であった。
【0052】
(重合例3)
攪拌機、冷却器、温度計、油浴及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、メチルメタクリレート(MMA)50重量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)30重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)20重量部、有機溶剤としてテルピネオール100重量部を混合し、モノマー混合液を得た。
【0053】
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら油槽が130℃に達するまで昇温した。重合開始剤として2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]をテルピネオールで分散させた溶液を加えた。また、重合中に重合開始剤を含むテルピネオール溶液を数回添加した。
【0054】
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させた。これにより、分子末端にアミド基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(MMA/CHMA/HEMA))のテルピネオール溶液を得た。
得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は3万であった。
【0055】
(重合例4)
モノマーとして、メチルメタクリレート(MMA)100重量部、有機溶剤として3−メチルー1,3−ブタンジオール100重量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DDM)0.4重量部を用いた以外は、重合例1と同様にして、分子末端にメチル基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(MMA))の3−メチル−1,3−ブタンジオール溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0056】
(重合例5)
モノマーとして、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)90重量部、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)10重量部、有機溶剤としてブチルカルビトールアセテート100重量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DDM)0.4重量部を用いた以外は、重合例1と同様にして、分子末端にメチル基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HPMA))のブチルカルビトールアセテート溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0057】
(重合例6)
モノマーとして、メチルメタクリレート(MMA)10重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)90重量部、有機溶剤としてテルピネオール100重量部、連鎖移動剤として(DDM)0.4重量部を用いた以外は、重合例1と同様にして、分子末端にメチル基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(MMA/HEMA))のテルピネオール溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてカラムLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0058】
(実施例1)
重合例1で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HPMA))のテルピネオール溶液に対し、表1に示した組成比となるように、脂肪酸アミド化合物としてN,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、追加溶剤としてテルピネオールを添加し、高速撹拌装置で分散させ、ビヒクル組成物を得た。
【0059】
得られたビヒクル組成物に対して、導電性微粒子としてアルミニウム微粒子(平均粒子径5μm、略球形状)、ガラスフリット(平均粒子径1μm)を表1に記載した組成比になるように添加し、高速撹拌装置を用いて充分混練した後、アルミニウム微粒子が扁平につぶれないように留意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電性微粒子分散ペーストを調製した。
【0060】
(実施例2)
重合例2で得られた(Poly(IBMA/HEMA))の2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール溶液に対し、表1に示した組成比となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。
【0061】
(実施例3)
重合例3で得られた(Poly(MMA/CHMA/HEMA))のテルピネオール溶液に対し、表1に示した組成比となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。
【0062】
(比較例1)
重合例4で得られた(Poly(MMA))の3−メチル−1,3−ブタンジオール溶液に対し、表1に示した組成比となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。
【0063】
(比較例2)
重合例5で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HPMA))のブチルカルビトールアセテート溶液に対し、表1に示した組成比となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。
【0064】
(比較例3)
重合例1で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HPMA))のテルピネオール溶液に対し、脂肪酸アミド化合物の代わりにレベリング剤としてポリジメチルシロキサン(重量平均分子量:約2000)を表1に示した組成比となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。
【0065】
(比較例4)
重合例6で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(MMA/HEMA))のテルピネオール溶液に対し、表1に示した組成比となるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子分散ペーストを作製した。
【0066】
(評価)
実施例及び比較例で得られた導電性微粒子分散ペーストについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
【0067】
(1)スクリーン印刷性
得られた導電性微粒子分散ペーストを、スクリーン印刷機(マイクロテック社製「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製「ST200」乳剤12μ、スクリーン枠:320mm×320mm)、印刷ガラス基板(ソーダーガラス:150mm×150mm、厚み:1.5mm)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下にて印刷を行った。
ガラス基板上にスクリーン版の跡が残らず、きれいな印刷面が得られたものを○、ガラス基板がスクリーン版に張り付き、きれいな印刷面が得られなかったり、スクリーン版の上に導電性微粒子分散ペーストが大量に残り、印刷できなかったりしたものを×とした。
【0068】
(2)表面平滑性
(1)で得られた印刷済みのガラス基板を、150℃のオーブンで15分乾燥させた。乾燥膜を、表面粗さ測定器(SURFCOM1400D:東京精密社製)で長さ4mmに渡って表面粗さを測定した。
【0069】
(3)膜強度
(1)で得られた印刷済みのガラス基板を、150℃のオーブンで15分間乾燥させた。乾燥膜に幅1.5cmのセロハンテープを貼り付け密着させた後、90度の角度で引き剥がした。
テープに何もついてこなかったものを○、印刷したペーストがはがれてテープに付着したものを×とした。
【0070】
(4)貯蔵安定性
得られた導電性微粒子分散ペーストを、23℃、湿度50%の恒温恒湿下にて貯蔵した。1ヶ月後に確認し、ペーストの分離沈降がないものを○、分離沈降しているものを×とした。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、塗工膜の表面を平滑化でき、外観及び強度に優れた膜形成が可能となることから、太陽電池の裏面電極形成に好適に用いることのできる導電性微粒子分散ペースト、並びに、該導電性微粒子分散ペーストを用いた太陽電池セル及び太陽電池パネルを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の裏面電極を形成するために用いられる導電性微粒子分散ペーストであって、
(メタ)アクリル樹脂と、有機溶剤と、脂肪酸アミド化合物と、導電性微粒子とを含有し、
前記(メタ)アクリル樹脂は、エステル置換基に親水性官能基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーに由来するセグメントを5〜40重量%含有し、
前記脂肪酸アミド化合物は、下記式(1)に示すN置換脂肪酸アミドである
ことを特徴とする導電性微粒子分散ペースト。
【化1】

式(1)中、Rは炭素数10〜22の脂肪酸由来のアルキル基、Rは炭素数1〜6の炭化水素を表す。
【請求項2】
有機溶剤は、分子中に水酸基を少なくとも1つ有する化合物からなるテルペン系溶剤、又は、(炭素数/水酸基数)が5未満の化合物からなる多価アルコール系溶剤であることを特徴とする請求項1記載の導電微粒子分散ペースト。
【請求項3】
導電性微粒子は、平均粒子径が0.5〜20μmであり、かつ、形状が略球状のアルミニウム粉末であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性微粒子分散ペースト。
【請求項4】
導電性微粒子の含有量が60〜85重量%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の導電性微粒子分散ペースト。
【請求項5】
更に、ガラスフリットを含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の導電性微粒子分散ペースト。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5記載の導電性微粒子分散ペーストを用いて製造されたことを特徴とする太陽電池セル。
【請求項7】
請求項1、2、3、4又は5記載の導電性微粒子分散ペーストを用いて製造されたことを特徴とする太陽電池パネル。


【図1】
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