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導電性微粒子及びそれを用いた異方性導電材料
説明

導電性微粒子及びそれを用いた異方性導電材料

【課題】微細な導電性微粒子であり、且つ、バインダー樹脂への分散性に優れ、電気接続時のショート発生を抑制できる導電性微粒子を提供する。
【解決手段】本発明の導電性微粒子は、樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径が、1.0μm〜2.5μmであり、分散粒子径の個数基準の変動係数が4.5%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な導電性微粒子に関するものであり、特に、電気接続に用いた場合のショートの発生を低減できる導電性微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、高機能化が益々進展している。それに伴い、電気機器に搭載される電子部品の小型化、高密度実装化が進んでおり、電子回路における電極や配線は一層微細化、狭小化する流れにある。従来、電子機器の組み立てにおいて、対向する多数の電極や配線間の電気的接続を行うために、異方性導電材料による接続方式が採用されている。異方性導電材料は、導電性微粒子をバインダー樹脂等に混合した材料であり、例えば異方性導電ペースト(ACP)、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電インク、異方性導電シート等がある。また、異方性導電材料に用いられる導電性微粒子としては、金属粒子や基材とする樹脂粒子の表面を導電性金属層で被覆したものが使用されている。
【0003】
そして、上述したように電子回路の電極や配線の微細化、狭小化が進展するなか、異方性導電材料に用いられる導電性微粒子についても、粒子径がより小さなものが要求されている。このような粒子径の小さな導電性微粒子として、例えば、樹脂や無機化合物からなり、電子顕微鏡観察により求められる平均粒子径が0.5〜2.5μm、粒子径のCV値が20%以下である微球を基材として用いた導電性微粒子が提案されている(特許文献1(段落0009、0010)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−30526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
導電性微粒子の粒子径を小さくすると、ACPやACF作製用組成物を調製する場合に、バインダー樹脂等の樹脂中における粒子個数密度が高くなる。この際、粒子径のバラつきが大きいと、基材と導電性金属層との比率にもバラつきが生じ、導電性微粒子の比重のバラつきが大きくなり、ACPやACF作製用組成物を調製する際に、バインダー樹脂中における導電性微粒子の分散が不均一となりやすい傾向があった(特に、ACF作製用組成物を調整してからACF作製までの時間や、ACPを調整してから使用するまでの時間が長くなると、その傾向が顕著になる)。そのため、微細な導電性微粒子を用いたACPやACFを用いて、電気的接続を行った場合、電極間でのショートが発生しやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、微細な導電性微粒子であり、且つ、バインダー樹脂への均一分散性及び分散安定性に優れ、電気接続時のショート発生を抑制できる導電性微粒子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することができた本発明の導電性微粒子は、樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径が、1.0μm〜2.5μmであり、分散粒子径の個数基準の変動係数が4.5%以下であることを特徴とする。前記導電性微粒子自体の個数平均粒子径は、1.1μm〜2.8μmが好ましい。
また、本発明には、前記導電性微粒子を含有する異方性導電材料(好ましくは、導電性微粒子と、バインダー樹脂とを含有する異方性導電ペースト。導電性微粒子とバインダー樹脂とを含有する組成物から形成された異方性導電フィルム。)も含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導電性微粒子を小径化しても、導電性微粒子の均一分散性及び分散安定性に優れた異方導電ペースト(ACP)や異方導電フィルム(ACF)作製用組成物を得ることができ、電気接続に用いた場合のショート発生を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.導電性微粒子
本発明は、微細な導電性微粒子の改良を目的とする。この導電性微粒子の基材となる樹脂粒子も粒子径が小さく、その個数基準の平均分散粒子径が1.0μm以上、好ましくは1.1μm以上、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.3μm以上であり、2.5μm以下、好ましくは2.3μm以下、より好ましくは2.1μm以下、さらに好ましくは1.9μm以下である。基材の平均分散粒子径がこの範囲内であれば、微細な導電性微粒子が得られ、微細化、狭小化された電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。
【0010】
そして、上記樹脂粒子(基材)は、分散粒子径の個数基準の変動係数(CV値)が4.5%以下、好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.8%以下、特に好ましくは2.5%以下である。分散粒子径の変動係数が小さい樹脂粒子は、単に一次粒子径の大きさが揃っているだけでなく、一次粒子径の単一分散性が極めて高い。このような、特性を有する樹脂粒子を基材として用いることにより、粒子径が揃っており、且つ、凝集の抑制された導電性微粒子が得られる。よって、本発明の導電性微粒子を使用すれば、ACPやACF作製用組成物を調製する際に、バインダー樹脂中における導電性微粒子の分散が良好となる。なお、本発明では、平均分散粒子径等は、コールターカウンターにより測定するものとし、測定方法については後述する。
【0011】
ここで、導電性微粒子において、粗大粒子が存在していると、ACPやACF作製用組成物を長期間保管した際に、粗大粒子が沈降してしまい、導電性微粒子の凝集の原因となるおそれがある。そのため、前記樹脂粒子は、粒子径が揃っていることに加えて、粗大粒子が除去されていることが好ましい。すなわち、前記樹脂粒子は、個数基準の積算分布曲線において、積算値90%における粒子径が2.6μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.2μm以下、さらに好ましくは2.0μm以下である。
【0012】
前記樹脂粒子(基材)は、樹脂成分を含んでいればよく、有機材料のみから構成される粒子に限られず、有機無機複合材料から構成される粒子でもよい。樹脂粒子を用いることで、弾性変形特性に優れた導電性微粒子が得られる。
【0013】
前記樹脂粒子を構成する有機材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂等のビニル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリアミド;ポリイミド;フェノールホルムアルデヒド樹脂;メラミンホルムアルデヒド樹脂;メラミンベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂;尿素ホルムアルデヒド樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。また、有機無機複合材料としては、前記有機材料とポリシロキサン骨格とを含む材料(例えば、ポリシロキサン骨格とビニル重合体が複合化されてなる材料等)が挙げられる。これらの樹脂粒子を構成する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0014】
前記樹脂粒子を構成する材料の中でも、ビニル重合体及び/又はポリシロキサン骨格を含むものが好ましい。ビニル重合体を含む材料は、ビニル基が重合して形成された有機系骨格を有し、加圧接続時の弾性変形に優れる。特に、ジビニルベンゼンを重合成分として含むビニル重合体は、導電性金属被覆後の粒子強度の低下が少ない。また、ポリシロキサン骨格を含む材料は、加圧接続時において被接続体に対する接触圧が優れる。特にポリシロキサン骨格とビニル重合体を複合化した材料は、弾性変形性及び接触圧に優れ、得られる導電性微粒子の接続信頼性がより優れたものとなるため好ましい。
【0015】
前記ビニル重合体はビニル基含有単量体を重合(ラジカル重合)したものであり、「ビニル基」には、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような重合性炭素−炭素二重結合を有する置換基も含まれる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
【0016】
前記ビニル基含有単量体には、分子中に一つのビニル基を有する単量体(1)、分子中に一つのビニル基とビニル基以外の官能基(カルボキシル基、水酸基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有する単量体(2)、1分子中に2以上のビニル基を有する架橋性のビニル基含有単量体(3)(以下「架橋性ビニル基含有単量体」と称することがある。)が含まれる。これらの単量体(1)〜(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも単量体(1)及び/又は架橋性ビニル単量体(3)が好ましい。
【0017】
前記単量体(1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等のスチレン系単官能モノマー;等が挙げられる。単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン系単官能モノマーが好ましく、スチレンがより好ましい。
【0018】
また、前記単量体(2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類等のヒドロキシ基を有する単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類等のアルコキシ基を有する単量体;等が挙げられる。単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ここで、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等は、反応(結合)相手となる基が他の単量体に存在する場合には架橋構造を形成し得る。
【0019】
前記単量体(3)(架橋性ビニル基含有単量体)としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;等が挙げられる。これらの架橋性ビニル基含有単量体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体、スチレン系多官能モノマーが好ましい。前記1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体の中でも、1分子中に2以上のアクリロイル基を有する単量体が好ましく、1分子中に2個のアクリロイル基を有する単量体(ジアクリレート類)がより好ましく、アルカンジオールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレートがさらに好ましく、特にアルカンジオールジアクリレートが好ましい。前記スチレン系多官能モノマーの中でも、ジビニルベンゼンが好ましい。
【0020】
前記ビニル重合体としては、構成成分として、前記単量体(1)を含む態様;前記架橋性ビニル基含有単量体(3)を含む態様;前記単量体(1)と前記架橋性ビニル基含有単量体(3)を含む態様が好ましい。具体的には、構成成分として、スチレン系単官能モノマーを含む態様、スチレン系単官能モノマーと1分子中に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体とを含む態様、スチレン系単官能モノマーとスチレン系多官能モノマーとを含む態様が好ましい。中でも、スチレン系単官能モノマーとスチレン系多官能モノマーとを含む態様が好ましい。
【0021】
前記ポリシロキサン骨格は、シラン系単量体を加水分解縮合することで得られ、前記シラン系単量体としては、非架橋性シラン系単量体、架橋性シラン系単量体が挙げられる。前記非架橋性シラン系単量体として、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルシラン等の2官能性シラン系単量体;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルシラン等の1官能性シラン系単量体等が挙げられる。
【0022】
前記架橋性シラン系単量体は、架橋構造を形成し得る。架橋性シラン系単量体により形成される架橋構造としては、有機重合体骨格(例えば、ビニル系重合体骨格)と有機重合体骨格とを架橋するもの(第一の形態);ポリシロキサン骨格とポリシロキサン骨格とを架橋するもの(第二の形態);有機重合体骨格とポリシロキサン骨格とを架橋するもの(第三の形態);が挙げられる。
【0023】
第一の形態を形成し得るものとしては、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン等が挙げられる。第二の形態を形成し得るものとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系単量体;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系単量体等が挙げられる。第三の形態を形成し得るものとしては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するもの;等が挙げられる。
【0024】
ここで、ポリシロキサン骨格は、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基)を有する重合性ポリシロキサン由来の骨格を有することが好ましい。つまり、ポリシロキサン骨格は、構成成分として、少なくとも前記第三の形態の架橋構造を形成し得る架橋性シラン系単量体(好ましくは(メタ)アクリロイル基を有するもの、より好ましくは3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を加水分解及び縮合することにより形成されたポリシロキサン骨格を含有することが好ましい。
【0025】
前記樹脂粒子は、重合体を構成する全単量体成分中、架橋性単量体(架橋性ビニル基含有単量体、架橋性シラン系単量体)の含有量が5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
【0026】
前記所定の平均粒子径、変動係数を有する樹脂粒子の製造方法としては、例えば、シード重合法により樹脂粒子を合成した後、分級する方法等が挙げられる。樹脂粒子の合成にシード重合法を採用することにより、粒度分布の小さい樹脂粒子を合成できる。そして、合成後の樹脂粒子を分級し、粗粒子を除去することにより、平均粒子径、変動係数を所望の範囲に調整することができる。
【0027】
前記シード重合法は、シード粒子調製工程、吸収工程、重合工程を含む。なお、例えば、有機材料のみから構成される粒子を合成する場合には、前記ビニル系単量体からシード粒子を調製すればよく、有機材料とポリシロキサン骨格を有する材料から構成される粒子を合成する場合には、前記シラン系単量体からシード粒子(ポリシロキサン粒子)を調整すればよい。
【0028】
ビニル系単量体からシード粒子を調製する方法は、従来用いられる方法を採用することができ、例えば、ソープフリー乳化重合、分散重合等が挙げられる。この場合、シード粒子を構成する単量体成分としては、スチレン等のスチレン系単官能モノマーが好ましい。
【0029】
シラン系単量体からシード粒子(ポリシロキサン粒子)を調製する方法としては、水を含む溶媒中で加水分解して縮重合させる方法が挙げられる。前記シラン系単量体としては、上述した架橋性シラン系単量体、非架橋性シラン系単量体を用いることができる。また、ポリシロキサン骨格とビニル重合体を複合化させる場合には、シラン系単量体として、ラジカル重合性基を有する架橋性シラン系単量体を使用し、重合性ポリシロキサン粒子(ラジカル重合性基を有するポリシロキサン骨格を有する粒子)を調製すればよい。加水分解と縮重合は、一括、分割、連続等、任意の方法を採用できる。加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒としてアンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができる。
【0030】
前記水を含む溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤を含めることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロへキサン等の(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0031】
加水分解縮合ではまた、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することもできる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。加水分解縮合は、原料となるシラン系単量体と、触媒や水及び有機溶剤を含む溶媒を混合した後、温度0℃以上100℃以下、好ましくは0℃以上70℃以下で、30分以上100時間以下撹拌することにより行うことができる。
【0032】
前記吸収工程では、シード粒子に単量体成分を吸収させる。吸収させる方法は、シード粒子の存在下に、単量体成分を存在させた状態で進行するものであれば特に限定されない。したがって、シード粒子を分散させた溶媒中に単量体成分を加えてもよいし、単量体成分を含む溶媒中にシード粒子を加えてもよい。なかでも、前者のように、予めシード粒子を分散させた溶媒中に、単量体成分を加えるのが好ましい。特に、加水分解、縮合工程で得られたシード粒子を反応液(シード粒子分散液)から取り出すことなく、この反応液に単量体成分を加える方法は、工程が複雑にならず、生産性に優れるため好ましい。
【0033】
前記吸収工程において、単量体成分の添加のタイミングは特に限定されず、一括で加えてもよいし、数回に分けて加えてもよいし、任意の速度でフィードしてもよい。また、単量体成分を加えるにあたっては、単量体成分のみを添加しても単量体成分の溶液を添加してもいずれでもよいが、単量体成分を予め乳化剤で水又は水性媒体に乳化分散させた乳化液をシード粒子に混合することが、シード粒子への吸収がより効率よく行われるため好ましい。
【0034】
前記乳化剤は特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤が、シード粒子、単量体成分を吸収した後のシード粒子の分散状態を安定化させることもできるので好ましい。これらの乳化剤は、1種のみを使用しても2種以上を併用してもよい。
【0035】
また、単量体成分を乳化剤で乳化分散させる際には、単量体成分の質量に対して0.3倍以上10倍以下の水や水溶性有機溶剤を使用するのが好ましい。前記水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。
【0036】
吸収工程は、0℃以上60℃以下の温度範囲で、5分間以上720分間以下、撹拌しながら行うのが好ましい。これらの条件は、用いるシード粒子や単量体の種類等によって、適宜設定すればよく、これらの条件は1種のみ、あるいは2種以上を合わせて採用してもよい。吸収工程において、単量体成分がシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、単量体成分を加える前及び吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、単量体成分の吸収により粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。
【0037】
重合工程では、シード粒子に吸収された単量体成分を重合反応させる。ここで、シード粒子が重合性ポリシロキサンである場合には、吸収させた単量体成分と重合性ポリシロキサン骨格が有するラジカル重合性基とが重合して、ポリシロキサン骨格とビニル重合体とが複合化する。重合方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤を用いる方法が挙げられ、前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化物系開始剤や、アゾ系開始剤等が使用可能である。これらラジカル重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0038】
ラジカル重合を行う際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎる場合には、重合度が十分に上がらず複合粒子の機械的特性が不充分となる傾向があり、一方、反応温度が高すぎる場合には、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。なお、ラジカル重合を行う際の反応時間は、用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎる場合には、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎる場合には、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。
【0039】
合成後の樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径は1.1μm以上が好ましく、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.3μm以上であり、3.0μm以下が好ましく、より好ましくは2.8μm以下、さらに好ましくは2.7μm以下である。また、分散粒子径の個数基準の変動係数は10%以下が好ましく、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは7%以下である。
【0040】
上記のようにして合成した樹脂粒子を分級する方法は特に限定されず、例えば、電成ふるい等によるふるい分け;メンブランフィルター、プリーツフィルター、セラミック膜フィルター等のフィルターを使用した濾過;質量差及び流体抵抗差の相互作用によって分級する公知の装置(粒子の落下速度等の重力差が原理である重力分級機、自由渦又は半自由渦による遠心力と空気抗力の釣り合を原理とする(半)自由渦遠心分級、回転する分級羽根(ローター)によってつくられる回転流によって生じる遠心力と空気による抗力の釣り合いを原理とする回転羽根付き遠心分級)を用いた分級;等が挙げられる。これらの中でも、分級精度と生産性の観点から電成ふるいを用いた分級が好ましい。
【0041】
電成ふるいを用いて分級する場合、樹脂粒子を液状媒体に分散させた分散体を電成ふるいに通過させることが好ましい。前記液状媒体としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;ヘキサン、オクタン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール類、炭化水素類が好ましく、メタノール、ヘキサンがより好ましい。なお、樹脂粒子の分散性を高めるために、液状媒体に各種分散剤を添加してもよい。
【0042】
前記液状媒体の使用量は、樹脂粒子100質量部に対して、100質量部以上が好ましく、より好ましくは200質量部以上、さらに好ましくは500質量部以上であり、10000質量部以下が好ましく、より好ましくは5000質量部以下、さらに好ましくは2000質量部以下である。樹脂粒子を液状媒体に分散させる方法は特に限定されず、例えば、超音波を照射させて分散させる方法;通常攪拌装置、高速攪拌装置、コロイドミル又はホモジナイザーのような剪断分散装置等により分散させる方法;等が挙げられる。
【0043】
電成ふるいを通過させる際の分散体液温は、特に限定されず、使用する液状媒体に応じて適宜調整すればよいが、通常は0℃〜100℃である。なお、分散体の液温は、当然、液状媒体の沸点未満である。電成ふるいのふるい孔の寸法は、所望とする平均粒子径、変動係数に応じて変更すればよい。電成ふるいによる分級を行うことにより、粗大粒子を除去することができ、樹脂粒子の粒子径の変動係数を小さくすることができる。
【0044】
本発明の導電性微粒子は、基材(樹脂粒子)表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層を有する。導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム及びニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等の金属や金属化合物、及び、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、パラジウム、銀が導電性に優れており好ましい。また、安価な点で、ニッケル、ニッケル合金(Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag)等が好ましい。また、導電性金属層は、単層でもよいし複層であってもよく、複層の場合には、例えば、ニッケル−金、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金、ニッケル−銀等の組合せが好ましく挙げられる。
【0045】
前記導電性金属層の厚さは、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、0.20μm以下が好ましく、より好ましくは0.18μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下である。導電性金属層の厚さが上記範囲内であれは、導電性微粒子を異方性導電材料として用いる際に、安定した電気的接続が維持できる。
【0046】
また、本発明の導電性微粒子は、基材である樹脂粒子の粒子径のばらつきを抑えることで、導電性微粒子の比重のばらつきが抑制されているため、導電性微粒子の分散が均一であり、且つ分散安定性に優れたACPやACF作製用組成物を得ることができるという効果を奏する。さらに、本発明の導電性微粒子において、導電性金属層の厚みを小さくすること、また、導電性金属層を構成する金属層の比重(真比重)を小さいものとすることにより、比重のばらつきが一層抑制された導電性微粒子となり、上述の効果が一層優れるものとなる。導電性金属層の厚みを小さくする効果及び導電性金属層を構成する金属の比重(真比重)を小さいものとする効果はいずれも導電性微粒子の比重を小さく抑えるだけでなく、粒子径のばらつきを抑える効果と相乗して導電性微粒子の比重のばらつきを抑える効果、さらには、組成物中における導電性微粒子の分散(安定)性を優れたものとする効果を一層優れたものとする。
【0047】
このような観点から、導電性金属層の厚さは、0.12μm未満であることが好ましく、0.10μm以下が好ましい。また、同様に、導電性金属層を構成する金属は、真比重が10000kg/m3以下の金属で構成されることが好ましい。例えば、このような真比重を有する金属としては、例えば、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、錫、錫合金が好ましい。導電性金属層が複層からなる場合は、少なくとも1層の真比重が10000kg/m3以下の金属(好ましくはニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金、錫、錫合金)で構成されることが好ましい。金のように真比重が10000kg/m3を超える金属層を設ける場合は、該金属層の膜厚は0.02μm未満が好ましく、0.01μm以下がさらに好ましい。
【0048】
導電性金属層の形成方法は特に限定されず、例えば、基材表面に無電解メッキ法、電解メッキ法等によってメッキを施す方法;基材表面に真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法により導電性金属層を形成する方法;等により形成できる。これらの中でも特に無電解メッキ法が、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成できる点で好ましい。
【0049】
本発明の導電性微粒子の個数平均粒子径は、1.1μm以上が好ましく、より好ましくは1.2μm以上、さらに好ましくは1.3μm以上、特に好ましくは1.4μm以上であり、2.8μm以下が好ましく、より好ましくは2.6μm以下、さらに好ましくは2.4μm以下、特に好ましくは2.2μm以下である。個数平均粒子径がこの範囲内であれば、微細化、狭小化された電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。
【0050】
2.樹脂被覆導電性微粒子
本発明の導電性微粒子は、導電性金属層の表面に、さらに絶縁性樹脂層を有するものであってもよい。上記絶縁性樹脂層としては、導電性微粒子の粒子間における絶縁性が確保でき、一定の圧力及び/又は加熱により容易にその絶縁性樹脂層が崩壊あるいは剥離するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン類;ポリメチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート重合体及び共重合体;ポリスチレン;等の熱可塑性樹脂や特にその架橋物;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0051】
但し、基材となる樹脂粒子に比べて絶縁性樹脂層が硬過ぎる場合には、絶縁性樹脂層の破壊よりも先に樹脂粒子自体が破壊してしまうおそれがある。したがって、絶縁性樹脂層には、未架橋又は比較的架橋度の低い樹脂を用いることが好ましい。
【0052】
前記絶縁性樹脂層は、単層であっても、複数の層からなるものであってもよい。例えば、単一又は複数の皮膜状の層;絶縁性を有する粒状、球状、塊状、鱗片状その他の形状の粒子を導電性微粒子の表面に付着した層;さらに、導電性微粒子の表面を化学修飾することにより形成された層;であってもよい。上記樹脂絶縁層の厚さは0.01μm〜1μmが好ましく、より好ましくは0.1μm〜0.5μmである。樹脂絶縁層の厚さが前記範囲内であれば、導電性微粒子による導通特性を良好に維持しつつ、粒子間の電気絶縁性が良好となる。
【0053】
3.異方性導電材料
本発明の導電性微粒子は、異方性導電材料の構成材料としても好適であり、本発明の導電性微粒子を用いてなる異方性導電材料もまた、本発明の好ましい実施態様の1つである。異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子間に設けることで、電気的に接続することができる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサー及びその組成物)も含まれる。
【0054】
上記異方性導電材料は、本発明の導電性微粒子を用いてなるものであればその形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等、様々な形態が挙げられる。異方性導電ペーストは、例えば、導電性微粒子等とバインダー樹脂等を含む樹脂組成物をペースト状にすることにより得られる。得られた異方性導電ペーストは、例えば、適当なディスペンサーに入れられ、接続すべき電極上に所望の厚さで塗工され、塗工された異方性導電ペースト上に対向電極を重ね合わせ、加熱しながら加圧して樹脂を硬化させることにより、電極間の接続に使用される。異方性導電フィルムは、例えば、導電性微粒子等とバインダー樹脂等を含むフィルム形成用組成物に溶媒を加えて液状にし、この液をポリエチレンテレフタレート製等のフィルム上に塗布した後、溶媒を蒸発させることにより得ることができる。得られた異方性導電フィルムは、例えば、電極上に配置され、この異方性導電フィルム上に対向電極を重ね合わせ、加熱圧縮することにより電極間の接続に使用される。
【0055】
前記異方性導電材料は、絶縁性のバインダー樹脂中に、本発明の導電性微粒子を分散させ、所望の形態とすることで製造されるが、もちろん、絶縁性のバインダー樹脂と導電性微粒子とを別々に使用して、基材間あるいは電極端子間を接続してもかまわない。
【0056】
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマー及びイソシアネート等の硬化剤との反応により硬化する硬化性樹脂組成物や、光や熱により硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
【0057】
本発明の異方性導電材料において、導電性微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、異方性導電材料の全量に対して1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。導電性微粒子の含有量が少なすぎると、充分な電気的導通が得られ難い場合があり、一方、導電性微粒子の含有量が多すぎると、導電性微粒子同士が接触してしまい、異方性導電材料としての機能が発揮され難い場合がある。
【0058】
本発明の異方性導電材料におけるフィルム膜厚、ペーストや接着剤の塗工膜厚、印刷膜厚等については、使用する本発明の導電性微粒子の粒子径と、接続すべき電極の仕様とを考慮し、接続すべき電極間に導電性微粒子が狭持され、且つ接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるように、適宜設定することが好ましい。
【実施例】
【0059】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0060】
1.評価方法
1−1.個数基準の平均分散粒子径、変動係数(CV値)
<シード粒子、樹脂粒子>
粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径を測定し、個数基準の平均分散粒子径、分散粒子径の標準偏差、個数基準の積算分布曲線における積算値90%の粒子径を求めるとともに、下記式に従って分散粒子径の個数基準のCV値(変動係数)を算出した。
粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数基準平均分散粒子径)
<導電性微粒子>
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製、「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、導電性微粒子3000個の粒子径(μm)を測定し、個数平均粒子径を求めた。
【0061】
1−2.導電性金属層膜厚
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製、「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、樹脂粒子3000個の粒子径、導電性微粒子3000個の粒子径を測定し、樹脂粒子の個数平均粒子径X(μm)、導電性微粒子の個数平均粒子径Y(μm)を求めた。そして、下記式に従って導電性金属層の膜厚を算出した。
導電性金属層膜厚(μm)=(Y−X)/2
【0062】
1−3.ACF試験
導電性微粒子10質量部に、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱化学製、「JER828」)100質量部、硬化剤(三新化学社製、「サンエイド(登録商標) SI−150」)2質量部、及びトルエン100質量部を加え、さらに1mmのジルコニアビーズ50質量部を加えて、ステンレス鋼製の2枚攪拌羽根を用いて300rpmで10分間分散を行い、得られたペースト状組成物をバーコーターで剥離処理PETフィルム上に塗布して乾燥させ異方性導電フィルムを得た。得られた異方性導電フィルムを裁断し、100片の試験片を作製した。
得られた異方性導電フィルム試験片を抵抗測定用の線を有した全面アルミ蒸着ガラス基板と30μmピッチに銅パターンを形成したポリイミドフィルム基板間に挟み込み、5MPa、200℃の圧着条件で熱圧着して導通性試験を行い、ショートの有無を調べた。試験片100片について導通性試験を行い、ショートが発生した割合を求めた。
【0063】
1−4.ACP試験
導電性微粒子20質量部に、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱化学製、「JER828」)100質量部、硬化剤(三新化学社製、「サンエイド(登録商標) SI−150」)2質量部、及びトルエン50質量部を加え、三本ロールミルで攪拌し、異方性導電ペーストを得た。
得られた異方性導電ペーストを抵抗測定用の線を有した全面アルミ蒸着ガラス基板と30μmピッチに銅パターンを形成したポリイミドフィルム基板間に挟み込み、5MPa、200℃の圧着条件で熱圧着して試験片を作製した。試験片100片について導通性試験を行い、ショートの有無を調べ、ショートが発生した割合を求めた。
また、調製直後の異方性導電ペーストと、調製後40℃で、2週間保存した異方性導電ペーストを用いて、上記のように試験片を作製し、それぞれ接続抵抗値を求めた。下記式に得られた結果を代入することで、接続抵抗値上昇率を求め、抵抗値上昇率が10%未満を「A」、10%以上25%未満を「B」とした。
上昇率(%)=100×(40℃、2週間保存した後、作製した試験片の接続抵抗値)/(調製直後に、作製した試験片の接続抵抗値)
【0064】
2.導電性微粒子の製造
2−1.製造例1
樹脂粒子
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水1800部と、25%アンモニア水24部、メタノール600部を入れ、攪拌下、滴下口から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン120部を添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮合反応を行って、メタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調製した。このポリシロキサン粒子の個数基準の平均分散粒子径は1.85μmであった。
【0065】
次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製:「ハイテノール(登録商標)NF−08」)の20%水溶液1.2部をイオン交換水120部で溶解した溶液に、スチレン120部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製:「V−65」)2.4部を溶解した溶液を加え、乳化分散させて単量体成分の乳化液を調製した。反応開始から2時間後、得られた乳化液を、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の乳濁液中に添加して、さらに攪拌を行った。乳化液の添加から1時間後、混合液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、ポリシロキサン粒子が単量体を吸収して肥大化していることが確認された。
【0066】
次いで、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の20%水溶液4.8部を加え、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて、65℃で2時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥し、樹脂粒子No.1を得た。この樹脂粒子No.1の個数基準の平均分散粒子径は2.50μm、変動係数(CV値)は6.5%であった。
【0067】
無電解メッキ
樹脂粒子に水酸化ナトリウムによるエッチング処理を行った後、二塩化スズ溶液によるセンシタイジングを行った。さらに二塩化パラジウム溶液によるアクチベーティングを行い、パラジウム核を形成させた。次いで、パラジウム核を形成させた触媒化樹脂粒子を無電解ニッケルメッキ浴に浸漬し、膜厚が0.09μmになるまでニッケルメッキ層を形成させた後、金置換メッキを行い0.01μmの金層を形成させた。その後、イオン交換水で洗浄後、アルコール置換を行って真空乾燥を行い、導電性微粒子No.1を得た。
【0068】
2−2.製造例2
製造例1で得られた樹脂粒子No.1を電成ふるい(ふるい孔の寸法:3.5μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径2.48μm、変動係数4.5%の樹脂粒子No.2を得た。分級は、樹脂粒子100gをメタノール1000gに投入し、超音波を照射して十分に分散させてから、電成ふるいを通過させた。得られた樹脂粒子No.2に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0069】
2−3.製造例3
前記樹脂粒子No.2を電成ふるい(ふるい孔の寸法:3.0μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径2.46μm、変動係数2.9%の樹脂粒子No.3を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.3に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0070】
2−4.製造例4
前記樹脂粒子No.3を電成ふるい(ふるい孔の寸法:3.5μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径2.45μm、変動係数2.4%の樹脂粒子No.4を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.4に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0071】
2−5.製造例5
イオン交換水とメタノールの使用量を、イオン交換水2000部、メタノール400部に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、ポリシロキサン粒子(個数基準の平均分散粒子径1.49μm)を得た。得られたポリシロキサン粒子をシード粒子として、吸収させる単量体成分をスチレン60部、ジビニルベンゼン(新日鐡化学社製 DVB960)60部に変更したこと以外は、製造例1と同様に単量体の吸収、重合を行った。得られた樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径は2.01μm、変動係数(CV値)は6.7%であった。その後、得られた樹脂粒子を、電成ふるい(ふるい孔の寸法:2.8μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径1.97μm、変動係数(CV値)は4.3%の樹脂粒子No.5を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.5に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0072】
2−6.製造例6
前記樹脂粒子No.5を電成ふるい(ふるい孔の寸法:2.4μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径1.93μm、変動係数(CV値)2.7%の樹脂粒子No.6を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.6に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0073】
2−7.製造例7
前記樹脂粒子No.6を電成ふるい(ふるい孔の寸法:2.2μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径1.92μm、変動係数(CV値)2.3%の樹脂粒子No.7を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.7に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0074】
2−8.製造例8
イオン交換水とメタノールの使用量を、イオン交換水2200部、メタノール200部に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、ポリシロキサン粒子(個数平均粒子径0.85μm)を得た。得られたポリシロキサン粒子をシード粒子として、製造例1と同様に単量体の吸収、重合を行った。得られた樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径は1.15μm、変動係数(CV値)は7.2%であった。その後、得られた樹脂粒子を、電成ふるい(ふるい孔の寸法:1.7μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径1.12μm、変動係数(CV値)は4.4%の樹脂粒子No.8を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.8に対して、ニッケルメッキ層の膜厚を0.10μm、金メッキ層の膜厚を0.02μmに変更したこと以外は製造例1と同様にして無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0075】
2−9.製造例9
前記樹脂粒子No.8を電成ふるい(ふるい孔の寸法:1.5μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径1.08μm、変動係数(CV値)2.8%の樹脂粒子No.9を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.9に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0076】
2−10.製造例10
前記樹脂粒子No.9を電成ふるい(ふるい孔の寸法:1.3μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径1.07μm、変動係数(CV値)2.3%の樹脂粒子No.10を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.10に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0077】
2−11.製造例11
イオン交換水とメタノールの使用量を、イオン交換水1400部、メタノール1000部に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、ポリシロキサン粒子(個数基準の平均分散粒子径2.50μm)を得た。得られたポリシロキサン粒子をシード粒子として、製造例1と同様に単量体の吸収、重合を行った。得られた樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径は3.38μm、変動係数(CV値)は6.2%であった。その後、得られた樹脂粒子を、電成ふるい(ふるい孔の寸法:4.7μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径3.34μm、変動係数(CV値)は3.7%の樹脂粒子No.11を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.11に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0078】
2−12.製造例12
イオン交換水とメタノールの使用量を、イオン交換水2300部、メタノール100部に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、ポリシロキサン粒子(個数基準の平均分散粒子径0.67μm)を得た。得られたポリシロキサン粒子をシード粒子として、製造例1と同様に単量体の吸収、重合を行った。得られた樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径は0.91μm、変動係数(CV値)は7.6%であった。その後、得られた樹脂粒子を、電成ふるい(ふるい孔の寸法:1.5μm)で分級することにより、個数基準の平均分散粒子径0.89μm、変動係数(CV値)は4.5%の樹脂粒子No.12を得た。なお、分級は、電成ふるいのふるい孔の寸法を変更したこと以外は、樹脂粒子No.2を製造する際と同様の条件で行った。得られた樹脂粒子No.12に対して、製造例1と同様に無電解メッキを行い、導電性微粒子を得た。
【0079】
各製造例で得た導電性微粒子について、基材(樹脂粒子)の個数平均粒子径及び変動係数、並びに評価結果を表1に示した。
【0080】
【表1】

【0081】
製造例1の導電性微粒子は、樹脂粒子の分散粒子径の個数基準の変動係数が4.5%を超える場合であるが、ACF作製用組成物、ACPにおける導電性微粒子の分散性が悪かった。そのため、ACF及びACPのいずれにおいても、電気的接続時のショート発生率が高かった。また、粗粒子を多く含むため、ACPの保存安定性にも劣るものであった。
【0082】
製造例2〜10の導電性微粒子は、樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径が1.0μm〜2.5μmであり、樹脂粒子の分散粒子径の個数基準の変動係数が4.5%以下の場合であるが、これらを用いたACF及びACPは、いずれも電気的接続時のショート発生率が低かった。また、粗粒子が除去されているため、ACPの保存安定性にも優れていた。
【0083】
製造例11、12の導電性微粒子は、樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径が1.0μm未満或いは2.5μm超で場合であるが、ACF及びACPのいずれにおいても、電気的接続時のショート発生率が高かった。
【0084】
また、製造例8の導電性微粒子は、導電性金属層の厚みが0.12μmの場合であるが、この導電性微粒子に比べて、導電性金属層の厚みが0.10μmである製造例1〜7、9、10の導電性微粒子は、ショート発生率が低く抑えられていることがわかる(例えば、変動係数がほぼ同じ製造例2及び製造例5のACF試験におけるショート発生率は、製造例8の場合の半分に抑えられている)。すなわち、樹脂粒子の分散粒子径の変動係数を4.5%以下に抑えた導電性微粒子において、さらに導電性金属層の厚みを薄くすることにより、ショート発生率を一層低く抑えられることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の導電性微粒子は、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等の異方性導電材料に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、
前記樹脂粒子の個数基準の平均分散粒子径が、1.0μm〜2.5μmであり、分散粒子径の個数基準の変動係数が4.5%以下であることを特徴とする導電性微粒子。
【請求項2】
導電性微粒子自体の個数平均粒子径が、1.1μm〜2.8μmである請求項1に記載の導電性微粒子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導電性微粒子を含有することを特徴とする異方性導電材料。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の導電性微粒子と、バインダー樹脂とを含有することを特徴とする異方性導電ペースト。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の導電性微粒子とバインダー樹脂とを含有する組成物から形成されたことを特徴とする異方性導電フィルム。

【公開番号】特開2012−146528(P2012−146528A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4208(P2011−4208)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】