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導電性樹脂組成物及び導電性シ−ト
説明

導電性樹脂組成物及び導電性シ−ト

【課題】従来の金属電極、配線やハンダ接続を代替するための、高い導電性と耐熱性を有し従来の導電性樹脂のフレキシブル性を改良した導電性樹脂組成物及びこれからなる導電性シートを提供すること
【解決手段】特定の力学物性と一定以下の結晶性を有する炭化水素系エラストマ−樹脂とカ−ボンブラック等の導電性炭素フィラ−を特定の割合で含む樹脂組成物であり、導電性を付与すべく導電性炭素フィラ−を高充填しても軟質性を維持し、得られたフィルムはフレキシブルであり、かつ高い耐熱性および/または耐溶媒性を有するため、従来金属製で腐食等の課題や軽量化の要求がある各種電池の金属電極、配線やハンダ接続を代替するために好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い導電性と耐熱性、安定性、フレキシブル性を有する樹脂組成物及びシ−トに関する。
【背景技術】
【0002】
導電性熱可塑性樹脂の製造方法としては、樹脂に対しカーボンブラックを充填する方法が知られている(特許文献1)。開示されている組成物は、カ−ボンブラックの配合量が比較的少なく、体積抵抗も比較的高い。
一方、燃料電池のセパレータとしては、導電性炭素フィラ−がより高充填された樹脂組成物が開示されている(特許文献2)。得られた高充填樹脂組成物は低い体積抵抗率を示すが、剛直でフレキシビリティに乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−65064号
【特許文献2】特開2004−131551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高い導電性と耐熱性を有し従来の導電性樹脂のフレキシブル性を改良した導電性樹脂組成物及びこれからなる導電性シ−トを提供することである。本導電性シートは、従来の金属電極、配線やハンダ接続を代替する可能性を有している。例えば、太陽電池、また、各種電池、二次電池の金属電極の代替として、あるいは、有機PTC材料、パッキン等のシール材料としての可能性も有している。例えば太陽電池用の配線材料や電池の電極として使用する場合、その製造工程中の折り曲げや変形、使用中の振動に耐える必要があり、フレキシブル性は重要である。また、本質的に腐食しない導電性樹脂組成物からなる配線は、これら用途にとって極めて重要であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定の炭化水素系エラストマ−樹脂と導電性炭素フィラ−からなる樹脂組成物であり、導電性を付与すべく導電性炭素フィラ−を高充填しても、驚くべき事に軟質性を維持し、得られたフィルムはフレキシブルであり、かつ高い耐熱性を有する。
【発明の効果】
【0006】
電気機器、電子機器、太陽電池用の配線材料やリチウムイオン電池の電極材料として有用な高い導電率とフレキシブル性、力学強度、耐熱性を有する導電性樹脂組成物及びシ−トを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
引張初期弾性率100MPa以下、引張破断点伸び300%以上、引張破断強度10MPa以上、総結晶融解熱が80J/g以下の炭化水素系エラストマ−樹脂100質量部と、導電性炭素フィラ−50〜200質量部、好ましくは導電性炭素フィラ−80〜200質量部からなる樹脂組成物である。
ここで、総結晶融解熱とは、DSC測定により求められる50℃〜300℃の範囲で観察される結晶融解ピ−クの結晶融解熱の総和である。本発明に用いられる炭化水素系エラストマ−樹脂とは、例えばエチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のオレフィン系共重合体や、エチレン−スチレン共重合体等のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のエチレン−極性モノマー共重合体、ランダム性スチレン−ジエン共重合体、例えばSBR等、またはブロック性スチレン−ジエン共重合体、例えばSBS、SIS等、やこれらの水素添加物、例えば、水添SBR、SEBSやSEPSが例示できる。またこれらの共重合体のグラフト共重合体やクロス共重合体も使用することが出来る。ここで、エチレン−αオレフィン共重合体のαオレフィンとは、エチレンを含まない炭素数3〜20までのαオレフィンであり、プロピレン−αオレフィン共重合体のαオレフィンとは、プロピレンを含まない、エチレンまたは炭素数4〜20までのαオレフィンを示す。
また、環状オレフィンとは、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等、炭素数5〜20までの環状オレフィンである。また、芳香族ビニル化合物とは、スチレン、パラメチルスチレン、ジビニルベンゼン等、炭素数8〜20までの芳香族ビニル化合物である。また、極性モノマーとは、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル等の炭素数3〜20までの、他に酸素原子または窒素原子を分子内に1〜3個有する極性モノマーである。
【0008】
本樹脂組成物に含まれて良い他の樹脂としては特に限定はされないが、例えば、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイシド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオキシベンゾイルエステル樹脂、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、液晶ポリエステル樹脂に代表される液晶ポリマー等が挙げられる。これらの添加は導電性炭素フィラ−との親和性を低下させ力学物性の低下や脆性の発現、導電率の低下をもたらす可能性があり、炭化水素系エラストマ−樹脂の総質量に対しこれら他の樹脂の総質量は30質量%以下、好ましくは10質量%以下である必要がある。
用いられる炭化水素系エラストマ−樹脂の総結晶融解熱が上記範囲より高い場合、最終的に得られる導電性樹脂組成物のフレキシブル性が低下し、剛直化してしまい、また導電性炭素フィラ−との親和性を低下させ、成形加工性や力学物性の低下、脆性の発現、ひいては導電率の低下をもたらす可能性があり好ましくない。
さらに用いられる炭化水素系エラストマ−樹脂の引張破断点伸び、引張破断強度が上記範囲を外れると、最終的に得られる樹脂組成物の力学物性が低下してしまうため好ましくない。
本炭化水素系エラストマ−樹脂の流動性は、導電性炭素フィラ−との混練を考慮した場合、上記条件を満たした上で高い方が好ましく、例えば190℃、荷重2.16Nで測定したMFR値として1g/10分以上であることが好ましい。
【0009】
例えば導電性樹脂組成物からなるフレキシブル導電性フィルムが、リチウムイオン電池の金属電極(集電極)の代替として使用される場合には、炭酸エステル系溶媒に対する耐性が要求される。具体的には300ミクロン厚さのシ−トを炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルの1:1:1の質量比からなる混合溶媒に60℃、1週間浸漬した際に、重量増加率(膨潤度)は20%以下である必要がある。
さらに、同用途に用いられる場合、電極用の炭素材料や活物質、結着剤をコーティングする際、Nメチルピロリドンが溶媒として用いられるが、コーティング工程中の加熱処理に耐える耐性が要求される。具体的には、300ミクロン厚さのシ−トを100℃の金属プレ−ト上に置き、Nメチルピロリドン1滴を滴下する。1分後、その表面をガ−ゼで拭き取り、シ−ト表面状態とガ−ゼへの炭素質の付着具合(黒色度)から判断し、シ−ト表面状態については溶解、膨潤が認められないこと、ガ−ゼには目視で炭素質が付着しないことが必要である。
【0010】
これら溶媒に対する耐性を満たすためには、スチレン等の芳香族ビニル化合物成分を有するオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体の場合、芳香族ビニル化合物の含有量は50質量%以下である必要がある。エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体等のオレフィン系共重合体の場合、その組成にかかわらず、本溶媒に対する耐性は高いため好ましい。これらの炭化水素系エラストマ−樹脂100質量部と導電性炭素フィラ−80質量部以上200質量部以下からなる樹脂組成物が上記溶媒に対する耐性を示すことが出来る。上記エチレン−極性モノマー共重合体の場合、極性モノマー含量が10質量%よりも高い場合、上記溶媒に対する耐性を満たすことは困難となり、好ましくない。
ランダム性スチレン−ジエン共重合体、またはブロック性スチレン−ジエン共重合体やこれらの水素添加物の場合、本耐性は十分ではなく好ましくない。
【0011】
本樹脂組成物の耐熱性としては、粘弾性スペクトル測定により得られる貯蔵弾性率が10Paまで低下する温度が150℃以上、好ましくは200℃以上であるが、電気機器、電子機器用の導電材料、配線材料として使用する場合、金属材料との接点でのハンダ耐性やその他プロセス上の耐熱性を考慮すると、最も好ましくは250℃以上である。最も好ましい250℃以上の耐熱性を発現する場合には、炭化水素系エラストマ−樹脂として、オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体を用い、かつ炭化水素系エラストマ−樹脂100質量部と導電性炭素フィラ−80質量部以上200質量部以下からなる樹脂組成物が好ましい。さらに、用いるオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物含量10質量%以上80質量%以下が好ましく、上記溶媒耐性の観点からは、芳香族ビニル化合物含量10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明に用いられるオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体としては、EP0416815A2、JP3659760、EP872492B1公報記載の共重合体が例示できる。
またWO2000/37517、USP6559234、またはWO2007139116に記載されているクロス共重合体のうち、主鎖がオレフィン−芳香族ビニル化合物−芳香族ポリエン(ジエン)共重合体であり、かつ芳香族ビニル化合物鎖(ポリスチレン鎖)の含まれる割合が50質量%未満であるものはオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体の概念に含まれる。
本発明にもちいられる炭化水素系エラストマ−樹脂は、必ずしも単独である必要はなく、複数の炭化水素系エラストマ−樹脂からなる樹脂組成物でも良く、上記の各条件は、炭化水素系エラストマ−樹脂の組成物全体に対しての条件として規定される。
【0013】
本発明に用いられる導電性炭素フィラ−としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛またはこれらの混合物が挙げられる。用いる黒鉛としては、例えば、膨張黒鉛や粒状黒鉛が挙げられる。黒鉛の平均粒径は、分散性等の点から、5〜100μmのものが好ましい。
また、用いるカーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックが挙げられる。これらの平均粒径は分散性等の点から、30〜50nmが好ましい。これらカ−ボンブラックは、導電率向上のため5質量%までの硼素を含んでも良い。
【0014】
本発明の導電性樹脂組成物からなる導電性シートは、高導電率(低体積抵抗率)とフレキシブル性、耐熱性が特徴である。
具体的には0.5S/cm以上、好ましくは0.8S/cm以上、300S/cm以下の導電率を有する。
また、フレキシブル性としては、具体的には初期引張弾性率2000MPa以下、好ましくは1000MPa以下、かつ引張破断点伸び5%以上、好ましくは10%以上、引張破断強度5MPa以上、
好ましくは10MPa以上である。
【0015】
本発明の導電性樹脂組成物は、加熱ロール、押出機、バンバリミキサー等の混練機を用いて混合することができる。さらに本発明の組成物は、添加物として公知のヒンダートフェノール系、硫黄系、燐系等の酸化防止剤、ヒンダートアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系等の光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物等の分子調整剤、金属不活性化剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤等を一種類以上を添加することができる。
本発明の導電性シートは、公知の成型方法、すなわちTダイ成形、カレンダ−成形、ロ−ル成形、あるいはキャスト成形などの成形法により製造できる。本発明のフィルムは、用途に応じて他の適当なフィルム、例えば、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイシド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオキシベンゾイルエステル樹脂、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、液晶ポリエステル樹脂に代表される液晶ポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンやシンジオタクティクポリスチレン等の各種フィルムと多層化することができる。
【0016】
本発明の導電性樹脂組成物及び導電性シートはさらなる耐熱性向上や耐溶媒性向上のため、電子線架橋や架橋剤による架橋処理を行うことが出来る。電子線架橋の場合、公知の電子線架橋装置、照射条件を用いることが出来る。また、イソシアヌル酸化合物等の架橋促進剤を添加してもよい。架橋剤による架橋処理の場合も、公知の架橋材、架橋助剤、架橋方法を用いることができる。
【0017】
本発明の導電性樹脂組成物及び導電性シートは、電気機器、電子機器等の金属電極、配線やハンダ接続を代替する可能性を有している。特に太陽電池材料として、従来の金属配線に変わる配線、電極材料として有用と考えられる。例えば太陽電池においては20年から30年の高い耐久性、信頼性が要求されている。この点、腐食による劣化や接続強度、製造工程の煩雑さの点で課題がある従来の金属配線やハンダ接続と比較し、フレキシブルな導電性樹脂の採用による耐久性や接続安定性向上、製造工程の簡略化可能性が期待されている。また、導電性シ−トからなる裏面電極を用いることでセル表面の配線をなくし、発電効率の向上も図ることが出来る。またコンパウンド型導電性樹脂に特有の、温度上昇により抵抗値が増加する性質、いわゆるPTC特性を活用することで、太陽電池のホットスポット防止機能や異常セルの自動遮断機能を付与することも可能である。
【0018】
リチウムイオン電池は、EVやHEV自動車市場の伸長に伴い、より高性能、軽量化が求められている。リチウムイオン電池の金属電極(集電極)を導電性樹脂組成物及び導電性シートで代替できれば、大きく軽量化に貢献できるためメリットが大きい。また、従来アルミニウムや銅金属の表面に炭素材を含む活物質をコ−トすることで電極形成を行っていたが、金属電極との界面の接着性に課題があり、より炭素材を含む活物質とより親和性が高い本導電性樹脂組成物及び導電性シートを採用することで本課題の改善も可能と考える。
また太陽電池、特に受光面に電極のない,いわゆる裏面電極型,またはバックコンタクトと呼ばれるタイプの高効率太陽電池のセル間の接続用としての利用の可能性を有している(例えばシャープ技報、第93号、2005年12月)。この場合、接続の信頼性や、腐食に対する長期にわたる耐久性が利点となる。
さらに、将来伸長が期待される各種フレキシブル電子デバイスにおいても、想定されるロ−ルトウロ−ルプロセスに適合するフレキシブルかつ信頼性の高い配線材料が期待されている。さらに溶媒に良好に分散し、各種印刷による配線が可能な導電性材料としても、利用の可能性を有している。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により、本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0020】
以下のようにして、導電性樹脂組成物を得た。
<原料樹脂>
実施例、比較例に用いた原料樹脂は以下の通りである。
エチレン−スチレン共重合体1
スチレン含量41質量%(16モル%)、Mw=92000、Mw/Mn=2.2
上記エチレン−スチレン共重合体はJP3659760号公報記載の製造方法で製造した。
下記クロス共重合体は、WO2000/37517、またはWO2007139116号公報記載の製造方法で製造したもので、下記組成は、同様にこれら公報記載の方法で求めた。これらのクロス共重合体は配位重合により得られるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体とスチレンモノマーの共存下でアニオン重合を行うことにより得られる、エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖を有する共重合体である。以下、クロス共重合体を規定するために、用いられるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量、ジビニルベンゼン含量、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、クロス共重合体中のポリスチレン鎖の含量、ポリスチレン鎖の分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を示す。また、全スチレン含量は、クロス共重合体に含まれるエチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体鎖とポリスチレン鎖に含まれるスチレン含量を合計した含量である。

クロス共重合体1
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量10モル%、ジビニルベンゼン含量0.045モル%、Mw=98000、Mw/Mn=2.3
ポリスチレン鎖の含量15質量%、Mw=22000、Mw/Mn=1.3
全スチレン含量41質量%

クロス共重合体2
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量6モル%、ジビニルベンゼン含量0.030モル%、Mw=80000、Mw/Mn=2.4
ポリスチレン鎖の含量35質量%、Mw=19000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量47質量%

クロス共重合体3
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量8モル%、ジビニルベンゼン含量0.035モル%、Mw=110000、Mw/Mn=2.3
ポリスチレン鎖の含量11質量%、Mw=24000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量32質量%、

クロス共重合体4
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量16モル%、ジビニルベンゼン含量0.083モル%、Mw=100000、Mw/Mn=2.2
ポリスチレン鎖の含量17質量%、Mw=28000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量52質量%、

クロス共重合体5
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量25モル%、ジビニルベンゼン含量0.070モル%、Mw=115000、Mw/Mn=2.2
ポリスチレン鎖の含量17質量%、Mw=18000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量63質量%

クロス共重合体6
エチレン−スチレン−ジビニルベンゼン共重合体のスチレン含量30モル%、ジビニルベンゼン含量0.090モル%、Mw=135000、Mw/Mn=2.3
ポリスチレン鎖の含量21質量%、Mw=29000、Mw/Mn=1.2
全スチレン含量69質量%

エチレン−オクテン共重合体:ダウケミカル社エンゲ−ジ8100
水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体:旭化成社製H1053
エチレン−プロピレン共重合体/ポリプロピレンコンパウンド:三井化学社製NOTIO PN2070
エチレン−酢酸ビニル共重合体:三井−デユポン社製EV-260
高密度ポリエチレン:プライムポリマー社ハイゼックス7800M
直鎖低密度ポリエチレン:ダウケミカル社アフィニティFM1570
以上の樹脂のMFR値、力学物性、総結晶融解熱を表1に示す。
【0021】
【表1】



【0022】
<導電性炭素フィラ−>
デンカブラック 粒状品:電気化学工業(株)製
デンカブラック 硼素含有品、硼素含量1質量%:電気化学工業(株)製
<混練法>
表1に記載した樹脂とデンカブラック 粒状品、またはデンカブラック 硼素
含有品を以下のようにして混練しコンパウンドを得た。
ブラベンダ−プラスチコ−ダ−(ブラベンダ−社製PL2000型)を使用し、樹脂と導電性炭素フィラ−の合計約45gを250℃、30rpm、30分間混練し樹脂組成物を作製した。酸化防止剤としてはチバ・ジャパン社製イルガノックス1076を0.1質量部用いた。
物性評価用のフィルムは加熱プレス法(温度270℃、時間10分間、圧力100kg/cm2)により成形した厚さ約300ミクロンのフィルムを用いた。
【0023】
<キャスト法>
表1に記載した樹脂とデンカブラック 粒状品を加温したトルエン溶媒に溶解/分散させ、ガラス板上にブレ−ドを用いキャストし、で室温、一晩風乾してキャストフィルムを作成した。
【0024】
<引張試験>
JIS K−6251に準拠し、得られたフィルムを2号1/2号型テストピース形状にカットし、島津製作所AGS−100D型引張試験機を用い、引張速度500mm/minにて初期引張弾性率、破断点伸び、破断強度を測定した。
【0025】
<導電率測定>
三菱アナリテック社製の低抵抗率計ロレスターGPを用いて導電率の測定を行った。用いた四端針プロ−ブは、試料フィルムの厚さによりASPとESPを使い分けた。
【0026】
<粘弾性スペクトル>
上記加熱プレス法により得た厚み約0.5mmのフィルムから測定用サンプル(3mm×40mm)を切り出し、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社RSA−III)を使用し、周波数1Hz、温度領域−50℃〜+250℃の範囲で測定した。
その他測定パラメ−タ−は以下の通り
測定周波数1Hz
昇温速度4℃/分
サンプルチャック間長さ(測定長)10mm
Initial Static Force 5.0g
Auto Tension Sensitivity 1.0g
Max Auto Tension Rate 0.033mm/s
Max Applied Strain 1.5%
Min Allowed Force 1.0g

本明細書で、耐熱性の指標としては、本条件の粘弾性スペクトル測定により得られる貯蔵弾性率(E‘)が10Paまで低下する温度であり、150℃以上、好ましくは200℃以上、最も好ましくは250℃以上である。更に好ましくは本測定条件下、測定中サンプルの引張方向の長さ変化(δL)が10%以下を保つ温度であり、150℃以上、好ましくは200℃以上、最も好ましくは250℃以上である。
【0027】
<電解液耐性試験>
300ミクロン厚さのシ−トを炭酸エチレン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルの1:1:1の質量比からなる混合溶媒に60℃、1週間浸漬し、シ−トの状態、重量増加率(膨潤度)を求めた。膨潤度は20%以下である必要がある。
【0028】
<Nメチルピロリドン(NMP)耐性試験>
300ミクロン厚さのシ−トを100℃の金属プレ−ト上に置き、Nメチルピロリドン1滴を滴下する。1分後、その表面をガ−ゼで拭き取り、シ−ト表面状態とガ−ゼへの炭素質の付着具合(黒色度)から判断する。
シ−ト表面状態については溶解、膨潤が認められないこと、ガ−ゼには目視で炭素質が付着しないことが必要である。
○:シ−ト表面に溶解や変形がない。ガ−ゼに炭素質の付着が認められない。
△:シ−ト表面に溶解はないが変形が認められる。ガ−ゼに炭素質の付着が僅かに認められる。
×:シ−ト表面に溶解や変形が認められる。ガ−ゼに炭素質の付着が認められる。
○を合格とする。
【0029】
実施例の配合と測定結果を表2、3に、比較例の配合と測定結果を表4に示す。
【0030】
【表2】



【0031】
【表3】



【0032】
【表4】



【0033】
実施例の樹脂組成物は、いずれも導電性、フレキシブル性、力学物性、耐熱性を示す。一方、導電性炭素フィラ−の割合が一定以下の場合、導電性のみならず、耐熱性や耐溶媒性も低下してしまう。本発明の条件を満たさない炭化水素系エラストマ−樹脂の場合、得られる樹脂組成物は硬く、脆く、成形加工が著しく困難であった。さらに、オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体を用い、樹脂100質量部に対し導電性炭素フィラ−80質量部以上200質量部以下からなる樹脂組成物が250℃以上の耐熱性を示すことが出来るため、特にハンダ耐熱を必要とする電気的接続回路等に好ましい。
リチウムイオン電池の金属電極(集電極)の代替を想定した耐溶媒試験の結果を考慮すると、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、及び芳香族ビニル化合物の含有量が50質量%以下のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体を用い、これら樹脂100質量部に対し導電性炭素フィラ−80質量部以上200質量部以下からなる樹脂組成物が条件を満たす。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
引張初期弾性率100MPa以下、引張破断点伸び300%以上、引張破断強度10MPa以上、総結晶融解熱が80J/g以下の炭化水素系エラストマ−樹脂100質量部と、導電性炭素フィラ−50〜200質量部からなる導電性樹脂組成物。
【請求項2】
炭化水素系エラストマ−樹脂がオレフィン系共重合体、エチレン−極性モノマー共重合体、オレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体、ランダム性スチレン−ジエン共重合体またはブロック性スチレン−ジエン共重合体やこれらの水素添加物であることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
【請求項3】
炭化水素系エラストマ−樹脂がオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体であり、樹脂100質量部に対し導電性炭素フィラ−80質量部以上200質量部以下であり、粘弾性スペクトル測定により得られる、貯蔵弾性率が10Paまで低下する温度が250℃以上であることを特徴とする請求項2記載の導電性樹脂組成物。
【請求項4】
0.5S/cm以上300S/cm以下の導電率、引張初期弾性率2000MPa以下かつ引張破断点伸び5%以上、引張破断強度5MPa以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の樹脂組成物からなる導電性シ−ト。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項記載の導電性樹脂組成物からなる電気配線材料。
【請求項6】
請求項5記載の電気配線材料を含む太陽電池。
【請求項7】
炭化水素系エラストマ−樹脂がエチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、芳香族ビニル化合物の含有量が50質量%以下のオレフィン−芳香族ビニル化合物共重合体から選ばれ、樹脂100質量部に対し導電性炭素フィラ−80質量部以上200質量部以下であることを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
【請求項8】
0.5S/cm以上300S/cm以下の導電率、引張初期弾性率2000MPa以下かつ引張破断点伸び5%以上、引張破断強度5MPa以上であることを特徴とする、請求項7記載の導電性樹脂組成物からなる導電性シート。
【請求項9】
請求項8記載の導電性シ−トを用いたリチウムイオン電池用集電極。



【公開番号】特開2011−153214(P2011−153214A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15480(P2010−15480)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】