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導電性粒子、導電性粒子の製造方法、異方性導電材料及び接続構造体
説明

導電性粒子、導電性粒子の製造方法、異方性導電材料及び接続構造体

【課題】はんだ層又ははんだ粒子の酸化による融点の上昇を抑制できる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料を提供する。
【解決手段】本発明に係る導電性粒子1,11,31は、基材粒子2と、基材粒子2の表面2a上に配置されたはんだ層4とを備えるか、又ははんだ粒子である。はんだ層4又は上記はんだ粒子は、還元作用を有する材料を含む。本発明に係る異方性導電材料は、導電性粒子1,11,31と、バインダー樹脂とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フレキシブルプリント基板、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続するために用いることができる導電性粒子、該導電性粒子の製造方法、該導電性粒子を用いた異方性導電材料、並びに該導電性粒子を用いた接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料が広く知られている。該異方性導電材料では、バインダー樹脂などに複数の導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用されている。
【0004】
上記異方性導電材料の一例として、下記の特許文献1には、絶縁樹脂と、はんだ粒子成分とを含む異方性導電ペーストが開示されている。この異方性導電ペーストは、酸化膜破壊用粒子を含んでいてもよい。ここでは、上記はんだ粒子成分として、はんだ、樹脂、セラミック及び金属からなる群から選ばれるいずれか一種の粒子を核とし、その表面をはんだ成分で被覆した粒子が記載されている。但し、特許文献1の実施例には、はんだ粒子成分として、樹脂を核とし、その表面をはんだ成分で被覆した粒子についての記載はない。
【0005】
下記の特許文献2には、はんだ合金粉末と、該はんだ合金より低融点の熱可塑性樹脂粉末と、フラックスとを含有するはんだペースト組成物が開示されている。
【0006】
下記の特許文献3には、フラックス作用を有するエポキシ系接着剤と、SnBi系はんだ粉末とを含む異方性導電ペーストが開示されている。特許文献3では、フラックス作用を有するエポキシ系接着剤として、エポキシ樹脂と硬化剤と有機酸とを含むエポキシ系接着剤が挙げられている。上記有機酸として、側鎖にアルキル基を有する二塩基酸が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−108523号公報
【特許文献2】特開2010−269356号公報
【特許文献3】特開2006−199937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の異方性導電材料により、例えば、半導体チップの電極とガラス基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラス基板上に、導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を配置する。次に、半導体チップを積層して、半導体チップの上面に加熱圧着ヘッドを押しつけて、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、かつ導電性粒子を介して電極間を電気的に接続し、接続構造体を得る。
【0009】
特許文献1〜3に記載の従来の異方性導電材料では、はんだ層又ははんだ粒子の表面近傍の酸化が進行しやすい。このため、電極間を電気的に接続した場合に、酸化によりはんだ層又ははんだ粒子の融点が上昇していることがある。はんだ層又ははんだ粒子の融点が上昇していると、電極間の接続時に所定の温度ではんだ層又ははんだ粒子が融解しなかったり、はんだ層又ははんだ粒子の融解状態にむらが生じたりすることがある。このため、導電性粒子により接続された電極間の導通信頼性が低いことがある。
【0010】
本発明の目的は、はんだ層又ははんだ粒子の酸化による融点の上昇を抑制できる導電性粒子、該導電性粒子の製造方法、該導電性粒子を用いた異方性導電材料、並びに該導電性粒子を用いた接続構造体を提供することである。
【0011】
本発明の限定的な目的は、電極間の電気的な接続に用いられた場合に、導通信頼性を高めることができる導電性粒子、該導電性粒子の製造方法、該導電性粒子を用いた異方性導電材料、並びに該導電性粒子を用いた接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の広い局面によれば、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備えるか、又ははんだ粒子であり、該はんだ層又は該はんだ粒子が、還元作用を有する材料を含む、導電性粒子が提供される。
【0013】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、上記はんだ層100重量%中又は上記はんだ粒子100重量%中の上記還元作用を有する材料の含有量が0.02重量%以上、5重量%以下である。
【0014】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記還元作用を有する材料は、導電性を有する導電材料である。
【0015】
本発明に係る導電性粒子のさらに他の特定の局面では、上記還元作用を有する材料は炭素粒子である。
【0016】
本発明に係る導電性粒子の別の特定の局面では、上記還元作用を有する材料は、カーボンブラック又はカーボンナノチューブである。
【0017】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記基材粒子は樹脂粒子である。
【0018】
本発明に係る導電性粒子のさらに他の特定の局面では、上記基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された上記はんだ層とが備えられ、該はんだ層が、上記還元作用を有する材料を含む。
【0019】
本発明に係る導電性粒子の別の特定の局面では、上記基材粒子と上記はんだ層との間に配置された導電層がさらに備えられ、上記基材粒子の表面上に上記導電層が積層されており、上記導電層の外側の表面上に上記はんだ層が積層されている。
【0020】
本発明に係る導電性粒子の製造方法は、上記基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された上記はんだ層とを備える導電性粒子の製造方法であり、上記基材粒子の表面上で、上記還元作用を有する材料の存在下で物理的な衝突を行うことにより、上記基材粒子の表面上に、上記還元作用を有する材料を含むはんだ層を形成する。
【0021】
本発明に係る異方性導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。
【0022】
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、加熱により無機酸イオンを放出するか、又は加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する熱カチオン発生剤がさらに含まれている。
【0023】
本発明に係る異方性導電材料は、ペースト状の異方性導電ペーストであることが好ましい。
【0024】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が、上述した導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備えるか、又ははんだ粒子であり、該はんだ層又は該はんだ粒子が還元作用を有する材料を含むので、電極間を電気的に接続した場合に、溶融した後固化したはんだ部分に割れを生じ難くすることができる。特に、本発明に係る導電性粒子が、上記基材粒子と該基材粒子の表面上に配置された上記はんだ層とを備えており、該はんだ層が上記還元作用を有する材料を含む場合には、はんだ層又ははんだ粒子の酸化による融点の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【図5】図5は、図4に示す接続構造体における導電性粒子と電極との接続部分を拡大して模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備えるか、又ははんだ粒子である。該はんだ層又は該はんだ粒子は、還元作用を有する材料を含む。
【0029】
本発明に係る導電性粒子は上記構成を備えているので、はんだ層又ははんだ粒子の酸化による融点の上昇を抑制できる。特に、還元作用を有する材料によって、はんだ層又ははんだ粒子の酸化による融点の上昇を抑制できる。このため、電極間の接続時に所定の温度ではんだ層又ははんだ粒子を融解させることができ、はんだ層又ははんだ粒子の融解状態にむらが生じるのを抑制できる。この結果、接続構造体における電極間の導通信頼性も高めることできる。
【0030】
特に、導電性粒子が、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備える場合には、上記還元作用を有する材料が含まれないと、はんだ層又ははんだ粒子において、酸化により融点の上昇が起こりやすい。これに対して、本発明に係る導電性粒子が、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備える場合には、該はんだ層に上記還元作用を有する材料が含まれているので、はんだ層の酸化による融点の上昇を抑制できる。これは、上記還元作用を有する材料によって、酸素濃度の上昇が抑制される結果、はんだ層の融点上昇が抑制されるためであると考えられる。
【0031】
また、はんだ粒子ではなく、基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備える導電性粒子を用いると、基材粒子に由来して、電極間の間隔をより一層高精度に制御できる。また、はんだ成分の使用量を低減できる。
【0032】
(導電性粒子の詳細)
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0033】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0034】
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、導電層3と、はんだ層4とを備える。
【0035】
導電層3は、基材粒子2の表面2a上に積層されている。導電層3は、基材粒子2の表面2aを被覆している。導電層3は1層の構造を有する。導電層3は内層である。
【0036】
はんだ層4は、基材粒子2の表面2a上に配置されている。はんだ層4は、導電層3を介して、基材粒子2の表面2a上に配置されている。はんだ層4は、導電層3の外側の表面3a上に積層されている。はんだ層4は、導電層3の外側の表面3aを被覆している。はんだ層4は外層である。はんだ層4は、還元作用を有する材料を含む。
【0037】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0038】
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、導電層12と、はんだ層4とを備える。導電性粒子11と導電性粒子1とは、導電層のみが異なっている。
【0039】
導電層12は、基材粒子2の表面2a上に積層されている。導電層12は、基材粒子2の表面2aを被覆している。導電層12は、2層の構造を有し、多層である。導電層12は、内側の導電層21(第1の導電層)と、外側の導電層22(第2の導電層)とを有する。外側の導電層22は、導電層12の最外層である。
【0040】
はんだ層4は、基材粒子2の表面2a上に配置されている。はんだ層4は、導電層12を介して、基材粒子2の表面2a上に配置されている。はんだ層4は、導電層12の外側の表面12a上に積層されている。はんだ層4は、導電層12の最外層である外側の導電層22の表面上に積層されている。はんだ層4は、導電層12の外側の表面12a及び外側の導電層22の外側の表面を被覆している。
【0041】
電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、導電性粒子1,11のように、上記導電性粒子は、上記基材粒子と上記はんだ層との間に配置された導電層をさらに備えることが好ましい。また、電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記基材粒子の表面上に上記導電層が積層されており、上記導電層の外側の表面上に上記はんだ層が積層されていることが好ましい。
【0042】
導電性粒子1,11のように、導電層は、1層の構造を有していてもよく、2層の積層構造を有していてもよい。さらに、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0043】
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0044】
図3に示す導電性粒子31は、はんだ粒子である。導電性粒子31全体が、はんだ成分により形成されている。はんだ粒子である導電性粒子31は、還元作用を有する材料を含む。
【0045】
上記基材粒子としては、樹脂粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。
【0046】
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。さらに、上記基材粒子が、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子ではなく、樹脂により形成された樹脂粒子であると、導電性粒子の柔軟性が高くなる。導電性粒子の柔軟性が高いと、導電性粒子に接触した電極の損傷を抑制できる。
【0047】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。圧縮により導電性粒子を適度に変形させることができるので、上記樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体により形成されていることが好ましい。
【0048】
上記無機粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0049】
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
【0050】
上記導電層は、金属により形成されていることが好ましい。上記導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、錫、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)も用いてもよい。なかでも、導電性に優れることから、銅層、ニッケル層、金層、銀層及びパラジウム層が好ましい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0051】
上記基材粒子の表面上に上記導電層を形成する方法、上記基材粒子の表面上に上記はんだ層を形成する方法、及び上記導電層の表面上に上記はんだ層を形成する方法は特に限定されない。導電層及びはんだ層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シータコンポーザ等が用いられる。
【0052】
上記はんだ層を形成する方法は、物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記はんだ層は、物理的な衝撃により、基材粒子又は導電層の表面上に積層されていることが好ましい。すなわち、上記基材粒子の表面上で、上記還元作用を有する材料の存在下で物理的な衝突を行うことにより、上記基材粒子の表面上に、上記還元作用を有する材料を含むはんだ層を形成することが好ましい。上記物理的な衝突では、シータコンポーザを用いることが好ましい。
【0053】
上記導電層が1層の構造を有する場合には、上記導電層は、銅層、ニッケル層又はパラジウム層であることが好ましく、銅層であることがより好ましい。また、上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記導電層の最外層が銅層、ニッケル層又はパラジウム層であることが好ましく、銅層であることがより好ましい。この場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面上には、はんだ層をより一層容易に形成できる。
【0054】
銅層、ニッケル層、金層、銀層及びパラジウム層の導電性は、上記はんだ層の導電性よりも高い。このため、電極間の導通信頼性が高くなる。一方で、銅層及びパラジウム層も、比較的酸化しやすい性質を有する。しかしながら、上記導電性粒子では、導電層が銅層及びパラジウム層である場合に、該銅層及びパラジウム層の表面上に上記はんだ層が配置されているため、銅層及びパラジウム層の酸化を効果的に抑制できる。
【0055】
特に、上記はんだ層が、鉛フリーである錫とビスマスとを含むか又は錫と亜鉛とを含む場合に、錫と鉛とを含む場合と比較して、はんだ層の割れが発生し、導通不良を生じやすいという問題がある。上記還元作用を有する材料の使用により、特に炭素粒子の使用により、はんだ層の割れを効果的に抑制し、導通不良を生じ難くすることができる。特に、カーボンブラック又はカーボンナノチューブの使用により、はんだ層の割れをより一層効果的に抑制し、導通不良をより一層生じ難くすることができる。
【0056】
上記はんだ層又は上記はんだ粒子を構成する錫以外の金属としては、上述した導電層を構成する金属が挙げられる。上記はんだ層は、合金であってもよい。上記はんだ層を構成する材料は、JIS Z3001:溶剤用語に基づき、液相線が450℃以下である溶可材であることが好ましい。上記はんだ層の組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
【0057】
上記はんだ層100重量%中又は上記はんだ粒子100重量%中の錫の含有量は、好ましくは90重量%未満、より好ましくは85重量%以下である。また、はんだ層100重量%中又は上記はんだ粒子100重量%中の錫の含有量は、はんだ層又ははんだ粒子の融点などを考慮して適宜決定される。はんだ層100重量%中又は上記はんだ粒子100重量%中の錫の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
【0058】
上記導電層及び上記はんだ層の厚みはそれぞれ、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。導電層及びはんだ層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。導電層及びはんだ層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電層及びはんだ層との熱膨張率の差が小さくなり、導電層及びはんだ層の剥離が生じ難くなる。
【0059】
従来、導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子の粒子径は、数百μm程度であった。これは、粒子径が数十μmであり、かつ表面層がはんだ層である導電性粒子を得ようとしても、はんだ層を均一に形成できなかったためである。これに対して、無電解めっき時に分散条件を最適化することによりはんだ層を形成した場合には、導電性粒子の粒子径が数十μm、特に粒子径が0.1μm以上、50μm以下の導電性粒子を得る場合であっても、導電層の表面上にはんだ層を均一に形成できる。また、シータコンポーザを用いることによっても、粒子径が50μm以下である導電性粒子を得る場合であっても、導電層の表面上にはんだ層を均一に形成できる。
【0060】
上記導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、導電層の最外層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは25nm以上、特に好ましくは50nm以上、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。導電層の最外層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。導電層の最外層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と導電層の最外層との熱膨張率の差が小さくなり、導電層の最外層の剥離が生じ難くなる。
【0061】
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層又ははんだ層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層又ははんだ層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
【0062】
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔がより一層小さくなるので、導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
【0063】
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0064】
上記導電性粒子は、上記はんだ層の表面上に配置された絶縁性粒子を備えていてもよい。上記はんだ層の表面上に配置された上記絶縁性粒子は、複数であることが好ましい。
【0065】
上記絶縁性粒子を備えた導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子におけるはんだ層と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。
【0066】
上記絶縁性粒子を構成する絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0067】
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0068】
上記はんだ層の表面に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリタイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、上記絶縁性粒子が脱離し難いことから、上記はんだ層の表面に、化学結合を介して上記絶縁性粒子を付着させる方法が好ましい。
【0069】
還元作用を有する材料:
上記はんだ層又は上記はんだ粒子に含まれている上記還元作用を有する材料は、還元作用を有していれば特に限定されない。上記還元作用を有する材料は、はんだ層内又ははんだ粒子内において分散されている。上記はんだ粒子は、コア粒子として上記還元作用を有する材料を有さない。すなわち、上記はんだ粒子は、上記還元作用を有する材料であるコア粒子と、該粒子の表面を被覆しているシェルであるはんだ層とを有する粒子ではない。
【0070】
上記還元作用を有する材料は、導電性を有することが好ましい。上記還元作用を有する材料の0℃での電気抵抗率は、1400×10−6Ωcm以下であることが好ましい。なお、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト及びグラフェン等の炭素粒子の上記電気抵抗率は上記上限以下である。上記還元作用を有する材料の導電性が高いほど、電極間の接続抵抗がより一層低くなり、導通信頼性がより一層高くなる。
【0071】
上記還元作用を有する材料としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト及びグラフェン等の炭素粒子が挙げられる。本発明者は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト及びグラフェン等の炭素粒子が、はんだ層において良好な還元作用を示すことを見出した。なかでも、溶融した後固化したはんだ部分に割れをより一層生じ難くする観点からは、上記還元作用を有する材料は、常温(23)℃で固形材料であることが好ましく、炭素粒子であることがより好ましく、カーボンブラック又はカーボンナノチューブであることがさらに好ましく、カーボンナノチューブであることが特に好ましい。上記還元作用を有する材料は、カーボンブラックであってもよく、カーボンナノチューブであってもよい。
【0072】
上記炭素粒子の平均粒子径は、好ましは1000nm未満であり、上記炭素粒子はナノ粒子であることが好ましい。上記炭素粒子の平均粒子径は、好ましくは1nm以上、より好ましくは500nm以下である。
【0073】
上記炭素粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。炭素粒子の平均粒子径は、任意の炭素粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0074】
上記はんだ層100重量%中又は上記はんだ粒子100重量%中の上記還元作用を有する材料の含有量は好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.02重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。上記還元作用を有する材料の含有量が上記下限以上であると、溶融した後固化したはんだ部分に割れがより一層生じ難くなる。上記還元作用を有する材料の含有量が上記上限以下であると、はんだ成分の含有量が相対的に多くなるので、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
【0075】
導電性粒子の耐衝撃性をより一層高め、落下又は振動などの衝撃に対する接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記はんだ層100重量%中又は上記はんだ粒子100重量%中の上記還元作用を有する材料の含有量は好ましくは0.03重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上である。
【0076】
(異方性導電材料の詳細)
バインダー樹脂:
上記バインダー樹脂は、熱可塑性化合物又は硬化性化合物を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂は、熱可塑性化合物を含んでいてもよく、硬化性化合物を含んでいてもよい。
【0077】
上記熱可塑性化合物としては、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0078】
上記硬化性化合物は、加熱により硬化可能な硬化性化合物を含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、加熱により硬化可能な異方性導電材料であり、上記バインダー樹脂として、上記加熱により硬化可能な硬化性化合物を含むことが特に好ましい。該加熱により硬化可能な硬化性化合物は、光の照射により硬化しない硬化性化合物(熱硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。
【0079】
また、上記異方性導電材料は、光の照射と加熱との双方により硬化可能な異方性導電材料であり、上記バインダー樹脂として、光の照射により硬化可能な硬化性化合物(光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)をさらに含むことが好ましい。上記光の照射により硬化可能な硬化性化合物は、加熱により硬化しない硬化性化合物(光硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。上記異方性導電材料は、光硬化開始剤を含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、上記光硬化開始剤として、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物を含み、光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物をさらに含むことが好ましい。上記異方性導電材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを含むことが好ましい。
【0080】
上記硬化性化合物としては特に限定されず、不飽和二重結合を有する硬化性化合物及びエポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物等が挙げられる。
【0081】
また、上記異方性導電材料の硬化性を高め、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記硬化性化合物は、不飽和二重結合を有する硬化性化合物を含むことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。上記不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物としては、エポキシ基又はチイラン基を有さず、かつ不飽和二重結合を有する硬化性化合物、及びエポキシ基又はチイラン基を有し、かつ不飽和二重結合を有する硬化性化合物が挙げられる。
【0082】
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
【0083】
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも使用可能である。
【0084】
上記異方性導電材料の硬化性を高め、電極間の導通信頼性をより一層高め、更に硬化物の接着力をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、不飽和二重結合と熱硬化性官能基との双方を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性官能基としては、エポキシ基、チイラン基及びオキセタニル基等が挙げられる。上記不飽和二重結合と熱硬化性官能基との双方を有する硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ不飽和二重結合を有する硬化性化合物であることが好ましく、熱硬化性官能基と(メタ)アクリロイル基との双方を有する硬化性化合物であることが好ましく、エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましい。
【0085】
上記エポキシ基又はチイラン基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する硬化性化合物の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られる硬化性化合物であることが好ましい。このような硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物又は部分(メタ)アクリレート化エピスルフィド化合物である。
【0086】
上記硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物であることが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基又はチイラン基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基又はチイラン基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
【0087】
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0088】
上記硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上又はチイラン基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基又は一部のチイラン基を(メタ)アクリロイル基に変換した変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
【0089】
上記「フェノキシ樹脂」は、一般的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
【0090】
また、上記硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
【0091】
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0092】
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0093】
さらに、上記硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。
【0094】
上記異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物を含むことが好ましい。エポキシ基を有する硬化性化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する硬化性化合物は、エピスルフィド化合物である。異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記硬化性化合物100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記硬化性化合物の全量が上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物であってもよい。取り扱い性に優れており、かつ接続構造体における導通信頼性をより一層高める観点からは、上記エポキシ基又はチイラン基を有する化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。
【0095】
また、上記異方性導電材料は、エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物と、不飽和二重結合を有する硬化性化合物とを含むことが好ましい。
【0096】
上記エポキシ基又はチイラン基を有する硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることができるので好ましい。
【0097】
上記熱硬化性化合物と上記光硬化性化合物とを併用する場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記異方性導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜60:40で含むことがより好ましく、10:90〜40:60で含むことが更に好ましい。
【0098】
熱カチオン発生剤:
上記異方性導電材料は、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む。本発明に係る異方性導電材料は、加熱により無機酸イオンを放出するか、又は加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する熱カチオン発生剤をさらに含むことが好ましい。
【0099】
上記熱カチオン発生剤は、加熱により無機酸イオンを放出するか、又は加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する。これらの熱カチオン発生剤は、加熱により放出された無機酸イオン又は有機酸イオンにより、はんだ層の外側の表面の酸化膜や電極表面の酸化膜を除去可能である。従って、はんだ層を有する導電性粒子又ははんだ粒子を用いる場合に、特定の上記熱カチオン発生剤の使用は、電極間の導通信頼性の向上に大きく寄与する。
【0100】
上記加熱により無機酸イオンを放出する成分は、アニオン部分としてSbF6−又はPF6−を有する化合物であることが好ましい。上記熱カチオン発生剤は、アニオン部分としてSbF6−を有する化合物であることが好ましく、アニオン部分としてPF6−を有する化合物であることも好ましい。
【0101】
上記ホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する成分は、下記式(2)で表されるアニオン部分を有する化合物であることが好ましい。
【0102】
【化1】

【0103】
上記式(2)中、Xはハロゲン原子を表す。上記式(2)中のXは、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
【0104】
すなわち、上記ホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する成分は、下記式(2A)で表されるアニオン部分を有する化合物であることがより好ましい。
【0105】
【化2】

【0106】
上記熱カチオン発生剤は、スルホニウムカチオン部分を有する成分であることが好ましく、下記式(1)で表されるスルホニウムカチオン部分を有する成分であることがより好ましい。
【0107】
【化3】

【0108】
上記式(1)中、R1はベンジル基、置換されたベンジル基、フェナシル基、置換されたフェナシル基、アリル基、置換されたアリル基、アルコキシル基、置換されたアルコキシル基、アリールオキシ基又は置換されたアリールオキシ基を表す。R2及びR3はそれぞれ、R1を構成できる基と同じ基を表すか、炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を表すか、又は炭素数6〜18の単環又は縮合多環のアリール基を表す。R1とR2、R1とR3、R2とR3は相互に結合した環状構造であってもよい。上記炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基と、上記炭素数6〜18の単環又は縮合多環のアリール基とは、フッ素、塩素、臭素、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基又はアジド基で置換されていてもよい。
【0109】
上記熱カチオン発生剤は、下記式(1A)で表されるスルホニウムカチオン部分を有する成分であることが更に好ましい。
【0110】
【化4】

【0111】
上記式(1A)中、R1はアリール基又はナフチル基を表し、R2はヒドロキシ基又はCHOCOO基を表し、nは1〜3の整数を表す。
【0112】
上記式(1A)中のR1の好ましい例としては、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基等が挙げられる。上記式(1A)中のR1は、フェニル基、o−メチルフェニル基又は1−ナフチル基であることが好ましい。但し、上記R1はこれら以外の基であってもよい。
【0113】
上記式(1A)において、R2のベンゼン環に対する結合部位は特に限定されない。上記式(1A)中のR2は、S基に対して、パラ位に結合していることが好ましい。上記式(1A)におけるCHOCOO基は、メトキシカルボニルオキシ基である。上記式(1A)中のR2は、ヒドロキシ基であることが好ましい。上記式(1A)中のnは、1であることが好ましい。
【0114】
上記熱カチオン発生剤は、下記式(1A−1)又は下記式(1A−2)で表されるスルホニウムカチオン部分を有する成分であることが特に好ましい。
【0115】
【化5】

【0116】
上記式(1A−1)中、R1aは炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2はヒドロキシ基又はCHOCOO基を表し、mは0又は1を表し、nは1〜3の整数を表す。
【0117】
上記式(1A−1)中のR1aは、メチル基であることが好ましい。上記式(1A−1)中のmは、R1が存在しないように0であることが好ましい。なお、上記式(1A−1)中のR1aのベンゼン環に対する結合部位は特に限定されない。上記式(1A−1)中のR1aは、CH基に対して、オルト位に結合していることが好ましい。上記式(1A−1)中のR2及びnの好ましい基及び数は、上記式(1A)中のR2及びnの好ましい基及び数と同様である。
【0118】
【化6】

【0119】
上記式(1A−2)中、R2はヒドロキシ基又はCHOCOO基を表し、nは1〜3の整数を表す。上記式(1A−2)中のR2及びnの好ましい基及び数は、上記式(1A)中のR2及びnの好ましい基及び数と同様である。
【0120】
上記熱カチオン発生剤は、スルホニウム系熱カチオン発生剤であることが好ましい。上記スルホニウムカチオン部分と、SbF6−のアニオン部分、PF6−のアニオン部分又は上記式(2)で表されるアニオン部分とを有する成分は、熱カチオン発生剤として作用する。
【0121】
上記熱カチオン発生剤の含有量は特に限定されない。上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記熱カチオン発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、特に好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱カチオン発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料が充分に熱硬化し、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。さらに、はんだ層の外側の表面の酸化膜や電極表面の酸化膜をより一層効果的に除去でき、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
【0122】
また、異方性導電材料における上記導電性粒子と上記熱カチオン発生剤との配合比は、重量比で、1:1〜20:1であることが好ましく、2:1〜15:1であることがより好ましく、5:2〜10:1であることが更に好ましい。
【0123】
他の成分:
上記異方性導電材料は、熱硬化剤を含むことが好ましい。上記熱カチオン発生剤と熱硬化剤との双方を含むことがより好ましい。上記熱カチオン発生剤と上記熱硬化剤との併用により、接続構造体における導通信頼性がより一層良好になる。
【0124】
異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、異方性導電材料の保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。該潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0125】
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0126】
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0127】
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0128】
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料が充分に熱硬化し、接続構造体の導通信頼性がより一層良好になる。
【0129】
上記異方性導電材料は、光硬化開始剤を含むことが好ましい。該光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。電極間の導通信頼性及び接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記異方性導電材料は、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0130】
上記光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤(アセトフェノン光ラジカル発生剤)、ベンゾフェノン光硬化開始剤(ベンゾフェノン光ラジカル発生剤)、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤(ケタール光ラジカル発生剤)、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
【0131】
上記アセトフェノン光硬化開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光硬化開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
【0132】
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。光の照射により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量(光硬化開始剤が光ラジカル発生剤である場合には光ラジカル発生剤の含有量)は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料を適度に光硬化させることができる。異方性導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、異方性導電材料の流動を抑制できる。
【0133】
上記異方性導電材料は、上記熱カチオン発生剤とは異なるフラックスを含んでいてもよい。該フラックスの使用により、電極表面に形成された酸化膜を効果的に除去できる。この結果、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。なお、上記異方性導電材料は、フラックスを必ずしも含んでいなくてもよい。
【0134】
上記フラックスは特に限定されない。該フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0135】
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びヒドラジン等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、松脂であることが好ましい。松脂の使用により、電極間の接続抵抗を低くすることができる。
【0136】
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
【0137】
上記フラックスは、バインダー樹脂中に分散されていてもよく、上記導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
【0138】
上記異方性導電材料100重量%中、上記熱カチオン発生剤とは異なるフラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記フラックスの含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極表面に形成された酸化膜をより一層効果的に除去できる。また、上記フラックスの含有量が上記下限以上であると、フラックスの添加効果がより一層効果的に発現する。上記フラックスの含有量が上記上限以下であると、硬化物の吸湿性がより一層低くなり、接続構造体の信頼性がより一層高くなる。
【0139】
上記異方性導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコーン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間が短くなる。
【0140】
上記異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
【0141】
上記異方性導電材料は、ペースト状又はフィルム状の異方性導電材料であり、ペースト状の異方性導電材料であることが好ましい。ペースト状の異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。フィルム状の異方性導電材料は、異方性導電フィルムである。上記異方性導電材料が異方性導電フィルムである場合、該導電性粒子を含む異方性導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。
【0142】
(接続構造体)
上記導電性粒子を用いて、又は上記導電性粒子を含む異方性導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0143】
上記導電性粒子は、銅電極を有する接続対象部材を接続するために用いられる導電性粒子であることが好ましい。上記異方性導電材料は、銅電極を有する接続対象部材を接続するために用いられる異方性導電材料であることが好ましい。銅電極の表面には酸化膜がかなり形成されやすい。これに対して、上記異方性導電材料が特定の上記熱カチオン発生剤を含む場合には、銅電極の表面の酸化膜を効果的に除去でき、接続構造体における導通信頼性を高めることができる。
【0144】
上記導電性粒子及び上記異方性導電材料は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記導電性粒子及び上記異方性導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
【0145】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が上記導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子を含む異方性導電材料により形成されていることが好ましい。上記接続部は、上記異方性導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。
【0146】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
【0147】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を電気的に接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
【0148】
第1の接続対象部材52は上面52aに、複数の第1の電極52bを有する。第2の接続対象部材53は下面53aに、複数の第2の電極53bを有する。第1の電極52bと第2の電極53bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0149】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧により、導電性粒子1のはんだ層4が溶融して、該導電性粒子1により第1,第2の電極52b,53b間が電気的に接続される。このとき、導電層3を第1,第2の電極52b,53bに接触させることが好ましい。さらに、はんだ層4を第1,第2の電極52b,53bに接触させることが好ましい。バインダー樹脂が加熱により硬化可能な硬化性化合物を含む場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂により第1,第2の接続対象部材52,53が接続される。上記加圧の圧力は9.8×10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
【0150】
図5に、図4に示す接続構造体51における導電性粒子1と第1,第2の電極52b,53bとの接続部分を拡大して正面断面図で示す。図4に示すように、接続構造体51では、上記積層体を加熱及び加圧することにより、導電性粒子1のはんだ層4が溶融した後、溶融したはんだ層部分Xが第1,第2の電極52b,53bと十分に接触する。すなわち、導電層3及びはんだ層4も第1,第2の電極52b,53bに接触させることができる。また、導電層3を第1,第2の電極52b,53bに接触させることにより、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。導電層を電極に接触させることが好ましく、はんだ層を電極に接触させることが好ましく、導電層とはんだ層との双方を電極に接触させることがより好ましい。
【0151】
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記異方性導電材料は、電子部品の接続に用いられる異方性導電材料であることが好ましい。上記異方性導電材料は、ペースト状であって、かつペースト状の状態で接続対象部材の上面に塗工される異方性導電材料であることが好ましい。
【0152】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0153】
上記第1の電極及び上記第2の電極の内の少なくとも一方が、銅電極であることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極の双方が、銅電極であることが好ましい。この場合には、本発明に係る異方性導電材料によるフラックス効果がより一層得られ、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
【0154】
以下、実施例、比較例及び参考例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0155】
実施例、比較例及び参考例では、以下の材料を用いた。
【0156】
(バインダー樹脂)
熱硬化性化合物1(エポキシ樹脂、DIC社製「EXA−4850−150」)
熱硬化性化合物2(エポキシ樹脂、三菱化学社製「JER−828」)
【0157】
(他の成分)
熱カチオン発生剤1(下記式(11)で表される化合物、加熱によりリン原子を含む無機酸イオンを放出する化合物)
【0158】
【化7】

【0159】
熱カチオン発生剤2(下記式(12)で表される化合物、加熱によりアンチモン原子を含む無機酸イオンを放出する化合物)
【0160】
【化8】

【0161】
熱カチオン発生剤3(下記式(13)で表される化合物、加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する化合物)
【0162】
【化9】

【0163】
(実施例1)
導電性粒子の作製:
導電性粒子1:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック0.05重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子(以下のようにして作製)
【0164】
導電性粒子1の作製方法
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−220」)を無電解銅めっきし、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの下地銅めっき層を形成し、粒子Xを得た。その後、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、大気中で、得られた粒子Xの銅層の表面上で、大気中で、カーボンブラック(東海カーボン社製「トーカブラック#4500」、平均粒子径40nm)の存在下で、はんだ微粉末(錫42重量%とビスマス58重量%とを含む、平均粒子径200nm)を溶融させて、銅層の表面上にカーボンブラック0.05重量%を含む厚み1μmのはんだ層を形成した。
【0165】
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック0.05重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子を作製した。
【0166】
異方性導電材料の作製:
得られた導電性粒子1を作製直後から、25℃で120時間放置した。この導電性粒子1を用いて、下記の表1に示す配合成分を下記の表1に示す配合量で配合して、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである異方性導電材料を得た。
【0167】
(実施例2〜15、比較例1及び参考例1)
カーボンブラックの使用量をかえたこと以外は導電性粒子1の作製方法と同様にして、下記の導電性粒子2〜6を作製した。
【0168】
導電性粒子2:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック1重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子3:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック3重量%を含む厚み3μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子4:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック0.01重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子5:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック0.02重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子6:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンブラック5重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
【0169】
また、カーボンブラックをカーボンナノチューブ(安達新産業社製「カーボンナノチューブ」、平均粒子径3〜30nm)にかえて、かつカーボンナノチューブの使用量をかえたこと以外は導電性粒子1の作製方法と同様にして、下記の導電性粒子7〜12を作製した。
【0170】
導電性粒子7:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上にカーボンナノチューブ0.05重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子8:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンナノチューブ1重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子9:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンナノチューブ3重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子10:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンナノチューブ0.01重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子11:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンナノチューブ0.02重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
導電性粒子12:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上に、カーボンナノチューブ5重量%を含む厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
【0171】
また、カーボンブラックを用いなかったこと以外は導電性粒子1の作製方法と同様にして、下記の導電性粒子Aを作製した。
【0172】
導電性粒子A:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上記還元作用を有する材料を含まない厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
さらに、カーボンブラックを用いなかったこと、並びにはんだ層の形成を大気中ではなく窒素雰囲気下で行ったこと以外は導電性粒子1の作製方法と同様にして、下記の導電性粒子Bを作製した。
【0173】
導電性粒子B:樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が積層されており、該銅層の表面上記還元作用を有する材料を含まない厚み1μmのはんだ層が積層されている導電性粒子
【0174】
異方性導電材料の調製:
得られた導電性粒子2〜12,A,Bを作製直後から、25℃で120時間放置した。この導電性粒子子2〜12,A,Bのいずれかを用いて、下記の表1に示す配合成分を下記の表1に示す配合量で配合して、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである異方性導電材料を得た。
【0175】
(評価)
(1)はんだ層の融点
得られた導電性粒子を作製直後から、25℃で120時間放置した。放置後の導電性粒子におけるはんだ層の融点を、DSC(示差走査熱量測定)により測定し、吸熱ピーク面積から融点を下記の基準で判定した。
【0176】
[はんだ層の融点の判定基準]
○○:対はんだボール比で面積90%以上
○:対はんだボール比で面積80%以上、90%未満
×:対はんだボール比で面積80%未満
【0177】
(2)接続構造体の作製
L/Sが200μm/200μmの銅電極パターンが上面に形成されたガラスエポキシ基板(FR−4基板)を用意した。また、L/Sが200μm/200μmの銅電極パターンが下面に形成されたフレキシブルプリント基板を用意した。
【0178】
上記ガラスエポキシ基板の上面に、得られた異方性導電材料を撹拌してから、異方性導電材料に含まれている導電性粒子の平均粒子径の2倍の厚みとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。
【0179】
次に、異方性導電材料層の上面にフレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、フレキシブルプリント基板の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて、異方性導電材料層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
【0180】
(3)上下の電極間の導通試験
上記(2)で得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗、をそれぞれ、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通試験を下記の基準で判定した。
【0181】
[導通試験の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が8Ω未満
○:接続抵抗の平均値が8Ω以上、10Ω未満
△:接続抵抗の平均値が10Ω以上、20Ω未満
×:接続抵抗の平均値が20Ω以上
【0182】
(4)耐衝撃試験
上記(2)で得られた接続構造体10個を高さ70cmの位置から落下させて、電極間の導通を確認することにより耐衝撃性の評価を行った。初期抵抗値からの抵抗値の上昇率の平均値が30%未満である場合を「○○」、初期抵抗値からの抵抗値の上昇率の平均値が30%以上、50%未満である場合を「○」、初期抵抗値からの抵抗値の上昇率が50%以上である場合を「×」と判定した。
【0183】
結果を下記の表1に示す。なお、下記の表1において、カーボンブラック及びカーボンナノチューブの含有量は、はんだ層100重量%中での含有量(重量%)を示す。
【0184】
【表1】

【0185】
なお、実施例1〜15で得られた異方性導電材料を用いた接続構造体では、はんだ層が溶融した後、固化しており、導電層及びはんだ層と電極とが接触していた。
【符号の説明】
【0186】
1…導電性粒子
2…基材粒子
2a…表面
3…導電層
3a…表面
4…はんだ層
11…導電性粒子
12…導電層
12a…表面
21…内側の導電層
22…外側の導電層
31…導電性粒子
51…接続構造体
52…第1の接続対象部材
52a…上面
52b…第1の電極
53…第2の接続対象部材
53a…下面
53b…第2の電極
54…接続部
X…溶融したはんだ層部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置されたはんだ層とを備えるか、又ははんだ粒子であり、
前記はんだ層又は前記はんだ粒子が、還元作用を有する材料を含む、導電性粒子。
【請求項2】
前記はんだ層100重量%中又は前記はんだ粒子100重量%中の前記還元作用を有する材料の含有量が0.02重量%以上、5重量%以下である、請求項1に記載の導電性粒子。
【請求項3】
前記還元作用を有する材料が、導電性を有する導電材料である、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項4】
前記還元作用を有する材料が炭素粒子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項5】
前記還元作用を有する材料が、カーボンブラック又はカーボンナノチューブである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項6】
前記基材粒子が樹脂粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項7】
前記基材粒子と、前記基材粒子の表面上に配置された前記はんだ層とを備え、
前記はんだ層が、前記還元作用を有する材料を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項8】
前記基材粒子と前記はんだ層との間に配置された導電層をさらに備え、
前記基材粒子の表面上に前記導電層が積層されており、前記導電層の外側の表面上に前記はんだ層が積層されている、請求項7に記載の導電性粒子。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の導電性粒子の製造方法であって、
前記基材粒子の表面上で、前記還元作用を有する材料の存在下で物理的な衝突を行うことにより、前記基材粒子の表面上に、前記還元作用を有する材料を含むはんだ層を形成する、導電性粒子の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、異方性導電材料。
【請求項11】
加熱により無機酸イオンを放出するか、又は加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する熱カチオン発生剤をさらに含む、請求項10に記載の異方性導電材料。
【請求項12】
ペースト状の異方性導電ペーストである、請求項10又は11に記載の異方性導電材料。
【請求項13】
第1の接続対象部材と、
第2の接続対象部材と、
前記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性粒子により形成されているか、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている、接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−54852(P2013−54852A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190700(P2011−190700)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】