説明

導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体

【課題】電極間の接続に用いた場合に、電極間の接続抵抗を低くすることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた接続構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面2aに設けられており、かつニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層3とを有する。ニッケル−ボロン導電層3の全体100重量%中、ニッケルの含有量は97重量%以上である。導電性粒子1を圧縮した場合には、導電性粒子1が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子1の粒子径の10〜25%圧縮変位したときに、ニッケル−ボロン導電層3に割れが生じる。本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備える。上記接続部が、導電性粒子1、又は導電性粒子1を含む異方性導電材料により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材粒子の表面に導電層が設けられている導電性粒子に関し、より詳細には、例えば、電極間の電気的な接続に用いることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム及び異方性導電シート等の異方性導電材料が広く知られている。これらの異方性導電材料では、ペースト、インク又は樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続、及びICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に用いられている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に異方性導電材料を配置した後、加熱及び加圧することにより、これらの電極を電気的に接続できる。
【0004】
また、近年、大型の液晶表示装置が普及している。大型の液晶表示装置に用いられている導電性粒子には、比較的大きな電流が流れる。このため、大きな電流が流れても耐え得る導電性粒子が求められている。ニッケルを含む導電層を有する導電性粒子は、大きな電流が流れる用途に好適に用いられる。
【0005】
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、平均粒径1〜20μmの球状の基材粒子の表面に、無電解めっき法によりニッケル導電層又はニッケル合金導電層が形成された導電性粒子が開示されている。この導電性粒子は、導電層の最表層に0.05〜4μmの微小な突起を有する。該導電層と該突起とは実質的に連続的に連なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−243132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の導電性粒子を用いて電極間を接続した場合には、電極間の接続抵抗が高くなることがある。
【0008】
さらに、特許文献1の実施例では、ニッケルとリンとを含む導電層が形成されている。導電性粒子により接続される電極、及び導電性粒子の導電層の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。ニッケルとリンとを含む導電層を有する導電性粒子を用いて電極間を接続した場合には、ニッケルとリンとを含む導電層が比較的柔らかいので、電極及び導電性粒子の表面の酸化被膜を十分に排除できず、接続抵抗が高くなることがある。
【0009】
さらに、従来の導電性粒子では、電極間の接続時に導電性粒子を圧縮すると、導電性粒子により電極が損傷することがある。特に、従来の導電性粒子では、導電層の厚みが厚いと、導電性粒子の圧縮時に導電層が部分的に割れにくく、導電性粒子により電極が損傷することがある。
【0010】
本発明の目的は、電極間の接続に用いた場合に、電極間の接続抵抗を低くすることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
【0011】
本発明の限定的な目的は、導電性粒子を適度に圧縮したときに、導電層が部分的に割れるので、導電性粒子により接続された電極の損傷を抑制でき、従って電極間の接続抵抗を低くすることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
【0012】
本発明のさらに限定的な目的は、導電性粒子により接続された電極に適度な圧痕を形成できる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、基材粒子と、該基材粒子の表面に設けられており、かつニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層とを有し、該ニッケル−ボロン導電層の全体100重量%中、ニッケルの含有量が97重量%以上であり、導電性粒子を圧縮した場合に、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜25%圧縮変位したときに、上記ニッケル−ボロン導電層に割れが生じる、導電性粒子が提供される。
【0014】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、導電性粒子を圧縮して上記ニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときに、上記ニッケル−ボロン導電層の割れに伴って、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜20%圧縮変位する。
【0015】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向に内側に向かって1/2の厚みの領域において、上記ニッケル−ボロン導電層中のボロンの含有量の最大値と最小値との差は、2重量%以下である。
【0016】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向に内側に向かって1/5の厚みの領域において、上記ニッケル−ボロン導電層中のボロンの含有量の最大値は、3重量%以下である。
【0017】
本発明に係る導電性粒子のさらに他の特定の局面では、上記基材粒子の粒子径が、2〜5μmであり、かつ、上記ニッケル−ボロン導電層の厚みが、50〜300nmである。
【0018】
本発明に係る導電性粒子の別の特定の局面では、導電性粒子は、ニッケル−ボロン導電層の外表面に突起を有する。
【0019】
本発明に係る異方性導電材料は、本発明に従って構成された導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。
【0020】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備えており、上記接続部が、本発明に従って構成された導電性粒子、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る導電性粒子では、基材粒子の表面に、ニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層が設けられており、かつニッケル−ボロン導電層の全体100重量%中、ニッケルの含有量が97重量%以上であるので、更に導電性粒子を圧縮した場合に、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜25%圧縮変位したときに、上記ニッケル−ボロン導電層に割れが生じるので、導電性粒子を電極間の接続に用いると接続抵抗を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【図4】図4は、導電性粒子を圧縮するときの状態を説明するための模式的な断面図である。
【図5】図5は、導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせるときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施例1及び比較例1の導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係を示す図である。
【図7】図7は、実施例2及び比較例2の導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係を示す図である。
【図8】図8は、実施例3及び比較例3の導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0024】
本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面に設けられており、かつニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層とを有する。該ニッケル−ボロン導電層の全体100重量%中、ニッケルの含有量は97重量%以上である。
【0025】
ニッケルを含む導電層を有する導電性粒子により電極間を接続した場合には、電極間の接続抵抗を低くすることができる。本発明に係る導電性粒子は、導電層におけるニッケルの含有量が97重量%以上であるので、電極間の接続抵抗を低くすることができる。
【0026】
また、ボロンを含まないニッケル導電層を有する導電性粒子では、該ボロンを含まないニッケル導電層が柔らかすぎて、電極間の接続時に、電極及び導電性粒子の表面の酸化被膜を十分に排除できず、接続抵抗が高くなることがある。例えば、ニッケルとリンとを含む導電層を有する導電性粒子では、電極及び導電性粒子の表面の酸化被膜を十分に排除できず、接続抵抗が高くなりやすい。
【0027】
一方で、接続抵抗を低くするために、又は大きな電流が流れる用途に適するように、ニッケルとリンとを含む導電層の厚みを厚くすると、導電性粒子により接続対象部材又は基板が傷つくことがある。
【0028】
これに対して、本発明では、導電性粒子がニッケル−ボロン導電層を有するだけでなく、更に導電性粒子を圧縮した場合に、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜25%圧縮変位したときに、上記ニッケル−ボロン導電層に割れが生じるので、電極の損傷を抑制でき、従って電極間の接続抵抗を低くすることができる。例えば、導電性粒子を適度に圧縮したときに、導電層が適度に部分的に割れる。
【0029】
さらに、上記ニッケル−ボロン導電層は適度な硬さを有するので、導電性粒子を圧縮して電極間を接続したとき、電極に適度な圧痕を形成できる。なお、電極に形成される圧痕は、導電性粒子が電極を押してできた電極の凹部である。
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0032】
図1に示すように、導電性粒子1は、基材粒子2と、該基材粒子2の表面2aに設けられたニッケル−ボロン導電層3とを有する。ニッケル−ボロン導電層3は、ニッケル−ボロン合金層である。ニッケル−ボロン導電層3は、ニッケルとボロンとを含む。導電性粒子1は、基材粒子2の表面2aがニッケル−ボロン導電層3により被覆された被覆粒子である。
【0033】
導電性粒子1は、基材粒子2の表面2aに複数の芯物質4を有する。ニッケル−ボロン導電層3は、芯物質4を被覆している。芯物質4をニッケル−ボロン導電層3が被覆していることにより、導電性粒子1は表面1aに複数の突起5を有する。導電性粒子1は、ニッケル−ボロン導電層3の外表面3aに複数の突起5を有する。芯物質4によりニッケル−ボロン導電層3の外表面3aが隆起されており、突起5が形成されている。
【0034】
導電性粒子1は、ニッケル−ボロン導電層3の外表面3aに付着された絶縁性樹脂6を有する。ニッケル−ボロン導電層3の外表面3aの少なくとも一部の領域が、絶縁性樹脂6により被覆されている。本実施形態では、絶縁性樹脂6は絶縁樹脂粒子である。このように、導電性粒子は、ニッケル−ボロン導電層3の外表面3aに付着された絶縁性樹脂6を有していてもよい。ただし、本発明に係る導電性粒子は、絶縁性樹脂6を必ずしも有していなくてもよい。
【0035】
図2は、本発明の他の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0036】
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、該基材粒子2の表面2aに設けられたニッケル−ボロン導電層12とを有する。導電性粒子11は、芯物質4を有さない。導電性粒子11は表面11aに突起を有さない。導電性粒子11は、ニッケル−ボロン導電層12の外表面12aに突起を有さない。このように、本発明に係る導電性粒子は突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子11は、絶縁性樹脂を有さない。
【0037】
本実施形態の第1の主な特徴は、導電性粒子1,11を圧縮した場合に、導電性粒子1,11が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子1,11の粒子径の10〜25%の圧縮変位したときに、ニッケル−ボロン導電層3,12に割れが生じることである(以下、このニッケル−ボロン導電層に割れが生じる導電性粒子の圧縮変位を、圧縮変位1と記載することがある)。すなわち、導電性粒子1,11では、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子1,11の粒子径をXとしたときに、圧縮方向における導電性粒子1,11の粒子径が0.8X〜0.9Xとなったときに、ニッケル−ボロン導電層3,12に割れが生じる。例えば、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子1,11の粒子径が5μmである場合には、導電性粒子1,11を圧縮させて、圧縮方向における導電性粒子1,11の粒子径が4〜4.5μmとなったときに、ニッケル−ボロン導電層3,12に割れが生じる。
【0038】
なお、上記「割れ」は、ニッケル−ボロン導電層における初め(第1回目)の割れを示す。従って、本実施形態に係る導電性粒子1,11では、割れがないニッケル−ボロン導電層3,12を有する導電性粒子1,11を圧縮したときに、導電性粒子1,11が圧縮方向における圧縮前の導電性粒子1,11の粒子径の10%〜25%圧縮変位したときに、ニッケル−ボロン導電層3,12に割れが生じる。
【0039】
ニッケル−ボロン導電層3,12に割れが生じる圧縮変位の測定は、具体的には、以下のようにして行われる。なお、図4では、導電性粒子11を用いている。
【0040】
図4に示すように、台51の上に導電性粒子11を置く。微小圧縮試験機(フィッシャー H−100)を用いて、圧縮速度0.33mN/秒及び最大試験荷重10mNの条件で、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱を圧縮部材52として、該圧縮部材52の平滑端面52aを導電性粒子11に向かって、矢印Aで示す方向に降下させる。平滑端面52aにより導電性粒子11を圧縮する。導電性粒子11のニッケル−ボロン導電層12に部分的に割れ12bが生じるまで圧縮は継続される。導電性粒子1の場合にも、同様にして測定される。
【0041】
上記のようにして導電性粒子を圧縮したときに、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10%以上圧縮変位したときに、上記ニッケル−ボロン導電層に割れが生じ、25%以下圧縮変位したとき、上記ニッケル−ボロン導電層に割れが生じる。
【0042】
電極の損傷を抑制し、更に電極に適度な圧痕を形成して、接続抵抗をより一層低くする観点からは、導電性粒子を圧縮してニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときに、上記ニッケル−ボロン導電層の割れに伴って、導電性粒子が、圧縮方向における導電性粒子の粒子径の10〜20%圧縮変位することが好ましい(以下、このニッケル−ボロン導電層の割れに伴う導電性粒子の圧縮変位を、圧縮変位2と記載することがある)。すなわち、導電性粒子を圧縮してニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときに、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子1,11の粒子径をXとしたときに、ニッケルボロン導電層の割れに伴って、圧縮方向における導電性粒子1,11の粒子径が0.1X〜0.2X小さくなることが好ましい。
【0043】
導電性粒子を圧縮しながら、圧縮荷重値及び圧縮変位を測定すると、圧縮荷重値と圧縮変位との関係は、例えば、図5に示すようになる。図5では、A0点から圧縮が開始されており、A1点においてニッケル−ボロン導電層に割れが生じている。ニッケル−ボロン導電層の割れに伴って、圧縮方向における導電性粒子の圧縮変位(粒子径)が変化し、圧縮変位がA1点からA2点に移動する。圧縮時には導電性粒子に圧縮荷重がかけられおり、ニッケル−ボロン導電層の割れが生じると比較的小さな圧縮荷重で導電性粒子が圧縮されるので、導電性粒子に圧縮荷重をかけている圧縮部材が移動し、圧縮方向における導電性粒子の圧縮変位(粒子径)が変化する。
【0044】
A1点とA2点との圧縮変位の変化量Dが、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜20%であり、導電性粒子の圧縮変位(粒子径)の変化量である。導電性粒子の圧縮変位(粒子径)の変化量は、圧縮部材の移動量である。
【0045】
基材粒子2としては、樹脂粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。
【0046】
基材粒子2は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。導電性粒子1,11を用いて電極間を接続する際には、導電性粒子1,11を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子1,11を圧縮させる。基材粒子2が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子1,11が変形しやすく、導電性粒子1,11と電極との接触面積を大きくすることができる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0047】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。圧縮により導電性粒子を適度に変形させることができるので、上記樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体により形成されていることが好ましい。
【0048】
上記無機粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
【0049】
基材粒子2が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。
【0050】
基材粒子2の粒子径は、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。基材粒子2の粒子径のより好ましい下限は2μm、より好ましい上限は50μm、更に好ましい上限は30μm、特に好ましい上限は5μmである。基材粒子2の粒子径が上記下限を満たすと、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。基材粒子2の粒子径が上記上限を満たすと、電極間の間隔を小さくすることができる。基材粒子の粒子径は、基材粒子が真球状である場合には、直径を示し、基材粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0051】
基材粒子2の粒子径は、2〜5μmの範囲内であることが好ましい。基材粒子2の粒子径が2〜5μmの範囲内であると、電極間の間隔を小さくすることができ、かつニッケル−ボロン導電層の厚みを厚くしても、小さい導電性粒子を得ることができる。
【0052】
本実施形態の第2の主な特徴は、ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%中、ニッケルの含有量が97重量%以上であることである。ニッケルの含有量が97重量%以上であると、導電性粒子1,11を電極間の接続に用いた場合に、電極間の接続抵抗を低くすることができる。電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%中、ニッケルの含有量は97.5重量%以上であることが好ましく、98重量%以上であることがより好ましい。上記ニッケルの含有量は、ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%に占めるニッケルの全体の含有量を示す。
【0053】
ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%中、ボロンの含有量は3重量%以下である。ボロンの含有量が3重量%以下であると、ニッケルの含有量が相対的に多くなるので、導電性粒子1,11を電極間の接続に用いた場合に、電極間の接続抵抗を低くすることができる。電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%中、ボロンの含有量は2.5重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましい。上記ボロンの含有量は、ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%に占めるボロンの全体の含有量を示す。
【0054】
なお、ニッケル−ボロン導電層3,12は、ニッケル及びボロン以外の原子を含んでいてもよい。ニッケル−ボロン導電層3,12は、ニッケル以外の他の金属を含んでいてもよい。
【0055】
上記他の金属として、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、クロム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、カドミウム、パラジウム、ビスマス、タリウム、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金及び錫−鉛−銀合金等が挙げられる。
【0056】
ニッケル−ボロン導電層3,12の外表面3a,12aから厚み方向に内側に向かって1/2の厚みの領域において、ニッケル−ボロン導電層3,12中のボロンの含有量の最大値と最小値との差(以下、差Dと記載することがある)は、2重量%以下であることが好ましい。すなわち、ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みをTとしたときに、ニッケル−ボロン導電層3,12の外表面3a,12aから厚み方向に内側に向かって0〜0.5Tの領域において、ニッケル−ボロン導電層3a,12中のボロンの含有量の最大値と最小値との差Dは、2重量%以下であることが好ましい。差Dは、1.5重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
【0057】
ニッケル−ボロン導電層3,12の外表面3a,12aから厚み方向に内側に向かって1/5の厚みの領域において、ニッケル−ボロン導電層3,12中のボロンの含有量の最大値(以下、最大値Mと記載することがある)は3重量%以下であることが好ましい。すなわち、ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みをTとしたときに、ニッケル−ボロン導電層3,12の外表面3a,12aから厚み方向に内側に向かって0〜0.2Tの領域において、ニッケル−ボロン導電層3,12中のボロンの含有量の最大値Mは、3重量%以下であることが好ましい。最大値Mは、2.5重量%以下であることがより好ましく、2重量%以下であることが更に好ましい。
【0058】
ニッケル−ボロン導電層3,12におけるニッケルの含有量及びボロンの含有量の測定方法は、既知の種々の分析法を用いることができ特に限定されない。この測定方法として、原子吸光分析法又は原子スペクトル分析法等が挙げられる。上記原子吸光分析法では、フレーム原子吸光光度計及び電気加熱炉原子吸光光度計等を用いることができる。上記原子スペクトル分析法としては、プラズマ発光分析法及びプラズマイオン源質量分析法等が挙げられる。
【0059】
ニッケル−ボロン導電層3,12の全体100重量%中のニッケルの含有量及びボロンの含有量を測定する際には、ICP発光分析装置を用いることが好ましい。ICP発光分析装置の市販品としては、HORIBA社製のICP発光分析装置等が挙げられる。
【0060】
ニッケル−ボロン導電層3,12の厚み方向におけるボロンの含有量の分布を測定する際には、FE−TEM装置を用いることが好ましい。FE−TEM装置の市販品としては、日本電子社製のJEM−2010等が挙げられる。
【0061】
基材粒子2の表面2aにニッケル−ボロン導電層3,12を形成する方法は特に限定されない。ニッケル−ボロン導電層3,12を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子2の表面2aにコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、ニッケル−ボロン導電層3の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0062】
ニッケル−ボロン導電層3,12におけるニッケルの含有量を上記範囲内にする方法としては、例えば、無電解ニッケルめっきによりニッケル−ボロン導電層3,12を形成する際に、ニッケルめっき液のpHを制御する方法、無電解ニッケルめっきによりニッケル−ボロン導電層を形成する際に、ボロン含有還元剤の濃度を調整する方法、並びにニッケル塩濃度を調整する方法等が挙げられる。
【0063】
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、ニッケルとボロンとを含む合金めっき層を形成する方法の一例を説明する。
【0064】
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき層を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
【0065】
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、ボロン含有還元剤が好適に用いられる。ただし、上記還元剤として、次亜リン酸ナトリウム等のリン含有還元剤を用いてもよい。
【0066】
上記無電解めっき工程では、ニッケル塩及び上記ボロン含有還元剤を含むニッケルめっき浴が用いられる。ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、ニッケルを析出させることができ、ニッケルとボロンとを含む導電層を形成できる。
【0067】
上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
【0068】
導電性粒子1のように、本発明に係る導電性粒子は表面に突起を有することが好ましい。導電性粒子は、ニッケル−ボロン導電層の表面に突起を有することが好ましい。導電性粒子は表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子は、ニッケル−ボロン導電層の表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。さらに、導電性粒子の導電層の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性樹脂を有する場合、又は導電性粒子が樹脂中に分散されて異方性導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0069】
導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきによりニッケル−ボロン導電層を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきによりニッケル−ボロン導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきによりニッケル−ボロン導電層を形成する方法等が挙げられる。
【0070】
ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みは、5〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みのより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は50nm、より好ましい上限は500nm、更に好ましい上限は300nmである。ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みが上記下限を満たすと、導電性粒子1,11の導電性を十分に高めることができる。ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みが上記上限を満たすと、基材粒子2とニッケル−ボロン導電層3,12との熱膨張率の差が小さくなり、基材粒子2からニッケル−ボロン導電層3,12が剥離し難くなる。
【0071】
ニッケル−ボロン導電層3,12の厚みは、50〜300nmであることが特に好ましい。さらに、基材粒子の粒子径が2〜5μmであり、かつ、上記ニッケル−ボロン導電層の厚みが、50〜300nmであることが特に好ましい。この場合には、導電性粒子を大きな電流が流れる用途により好適に用いることができる。さらに、導電性粒子を圧縮して電極間を接続した場合に、電極が損傷するのをより一層抑制できる。
【0072】
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質となる導電性物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質となる導電性物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ付着させる方法が好ましい。
【0073】
芯物質4を構成する導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができるので、金属が好ましい。
【0074】
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金及び錫−鉛−銀合金等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金等が好ましい。上記芯物質を構成する金属は、上記ニッケル−ボロン導電層を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。なかでも、上記芯物質を構成する金属は、ニッケル−ボロン導電層のエピキャシタル成長を促進させるのに最適なニッケルであることがより好ましい。
【0075】
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
【0076】
導電性粒子1のように、本発明に係る導電性粒子は、上記ニッケル−ボロン導電層の表面に付着された絶縁性樹脂を有することが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性樹脂が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止することができる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、上記ニッケル−ボロン導電層と電極との間の絶縁性樹脂を容易に排除できる。導電性粒子が上記ニッケル−ボロン導電層の表面に突起を有する場合には、上記ニッケル−ボロン導電層と電極との間の絶縁性樹脂をより一層容易に排除できる。
【0077】
上記絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0078】
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水添化合物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0079】
上記ニッケル−ボロン導電層の表面に絶縁性樹脂を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリタイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁樹脂粒子が剥離しにくいことから、上記ニッケル−ボロン導電層の表面に、化学結合を介して絶縁樹脂粒子を付着させる方法が好ましい。
【0080】
上記絶縁性樹脂は、絶縁樹脂粒子であることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、横方向に隣接する電極間の短絡を防止できるだけでなく、接続された上下の電極間の接続抵抗を低くすることができる。
【0081】
(異方性導電材料)
本発明に係る異方性導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。
【0082】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0083】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0084】
上記異方性導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0085】
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0086】
本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等として使用され得る。本発明に係る異方性導電材料が、異方性導電フィルム又は異方性導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。
【0087】
異方性導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は10〜99.99重量%の範囲内であることが好ましい。上記バインダー樹脂の含有量のより好ましい下限は30重量%、更に好ましい下限は50重量%、特に好ましい下限は70重量%、より好ましい上限は99.9重量%である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限及び上限を満たすと、電極間に導電性粒子を効率的に配置でき、異方性導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層高めることができる。
【0088】
異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は0.01〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記導電性粒子の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%である。上記導電性粒子の含有量が上記下限及び上限を満たすと、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
【0089】
(接続構造体)
本発明の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0090】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が本発明の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
【0091】
図3に、本発明の一実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
【0092】
図3に示す接続構造体21は、第1の接続対象部材22と、第2の接続対象部材23と、第1,第2の接続対象部材22,23を接続している接続部24とを備える。接続部24は、導電性粒子1を含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図3では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
【0093】
第1の接続対象部材22の上面22aには、複数の電極22bが設けられている。第2の接続対象部材23の下面23aには、複数の電極23bが設けられている。電極22bと電極23bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材22,23が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0094】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
【0095】
上記加圧の圧力は9.8〜10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
【0096】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板等が挙げられる。
【0097】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物として、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素として、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0098】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0099】
(実施例1)
(1)パラジウム付着工程
粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子Aを用意した。この樹脂粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に樹脂粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に樹脂粒子を添加し、パラジウムが付着された樹脂粒子を得た。
【0100】
(2)芯物質付着工程
パラジウムが付着された樹脂粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒子径100nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された樹脂粒子を得た。
【0101】
(3)無電解ニッケルめっき工程
硫酸ニッケル0.23mol/L、ジメチルアミンボラン0.92mol/L、及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。芯物質が付着された樹脂粒子にイオン交換水500mLを加え、得られた懸濁液を60℃(反応温度X)にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。樹脂粒子の表面に、厚み0.1μm程度の導電層(ニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層)が形成されたときに、無電解めっき液の滴下を終了した。その後、懸濁液を濾過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面にニッケル−ボロン導電層(厚み96.4nm)が設けられており、ニッケル−ボロン導電層の表面に突起を有する導電性粒子を得た。
【0102】
(実施例2)
ジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子Aを、粒子径が3.75μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子の表面にニッケル−ボロン導電層(厚み168.4nm)が設けられた導電性粒子を得た。
【0103】
(実施例3)
ジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子Aを、粒子径が4.75μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子の表面にニッケル−ボロン導電層(厚み179.9nm)が設けられた導電性粒子を得た。
【0104】
(実施例4)
(1)絶縁樹脂粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁樹脂粒子を得た。
【0105】
絶縁樹脂粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁樹脂粒子の10重量%水分散液を得た。
【0106】
実施例1で得られた導電性粒子10gをイオン交換水500mLに分散させ、絶縁樹脂粒子の水分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、絶縁樹脂粒子が付着した導電性粒子を得た。
【0107】
走査電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、導電性粒子の表面に絶縁樹脂粒子による被覆層が1層のみ形成されていた。画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁樹脂粒子の被覆面積(即ち絶縁樹脂粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
【0108】
(比較例1)
ニッケルめっき液におけるジメチルアミンボラン0.92mol/Lを、次亜リン酸ナトリウム0.5mol/Lに変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂粒子の表面にニッケルとリンとを含む導電層(厚み104.5nm)が設けられた導電性粒子を得た。
【0109】
(比較例2)
上記反応温度Xを50℃に変更したこと、並びにニッケルめっき液におけるジメチルアミンボランの濃度を0.92mol/Lから1.5mol/Lに変更したこと以外は実施例2と同様にして、樹脂粒子の表面にニッケル−ボロン導電層(厚み108.8nm)が設けられた導電性粒子を得た。
【0110】
(比較例3)
上記反応温度Xを50℃に変更したこと、並びにニッケルめっき液におけるジメチルアミンボランの濃度を0.92mol/Lから1.7mol/Lに変更したこと以外は実施例3と同様にして、樹脂粒子の表面にニッケル−ボロン導電層(厚み120.5nm)が設けられた導電性粒子を得た。
【0111】
(評価)
(1)導電層の全体100重量%中のニッケル及びボロンの含有量
60%硝酸5mLと37%塩酸10mLとの混合液に、導電性粒子5gを加え、導電層を完全に溶解させ、溶液を得た。得られた溶液を用いて、ニッケル及びボロンの含有量をICP−MS分析器(日立製作所社製)により分析した。
【0112】
(2)ニッケル−ボロン導電層の厚み方向におけるボロンの含有量
ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向におけるボロンの含有量の分布を測定した。ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向に内側に向かって1/2の厚みの領域において、ニッケル−ボロン導電層中のボロンの含有量の最大値と最小値との差を「差D」として、結果を下記の表1に示した。ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向に内側に向かって1/5の厚みの領域において、ニッケル−ボロン導電層中のボロンの含有量の最大値を「最大値M」として、結果を下記の表1に示した。
【0113】
(3)ニッケル−ボロン層の割れ発生試験
台の上に導電性粒子を置いた。微小圧縮試験機(フィッシャー H−100)を用いて、圧縮速度0.33mN/秒及び最大試験荷重10mNの条件で、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱を圧縮部材として、該圧縮部材の平滑端面を導電性粒子に向かって降下させた。平滑端面により導電性粒子を圧縮した。導電性粒子のニッケル−ボロン導電層に割れが生じるまで圧縮を行った。圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径に対して、導電層に割れが生じた導電性粒子の上記圧縮変位1を下記の表1に示した。さらに、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径に対して、ニッケル−ボロン導電層の割れに伴う導電性粒子の上記圧縮変位2を下記の表1に示した。上記圧縮変位1,2の評価結果については、3つの導電性粒子の測定値の平均値を下記の表1に示した。
【0114】
(4)接続構造体の作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート1009」)10重量部と、アクリルゴム(重量平均分子量約80万)40重量部と、メチルエチルケトン200重量部と、マイクロカプセル型硬化剤(旭化成ケミカルズ社製「HX3941HP」)50重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部とを混合し、導電性粒子を含有量が3体積%となるように添加し、分散させ、樹脂組成物を得た。
【0115】
得られた樹脂組成物を、片面が離型処理された厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、70℃の熱風で5分間乾燥し、異方性導電フィルムを作製した。得られた異方性導電フィルムの厚さは12μmであった。
【0116】
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断された異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するアルミニウム電極(高さ0.2μm、L/S=20μm/20μm)が設けられたガラス基板(幅3cm、長さ3cm)のアルミニウム電極側のほぼ中央に貼り付けた。次いで、同じアルミニウム電極が設けられた2層フレキシブルプリント基板(幅2cm、長さ1cm)を、電極同士が重なるように位置合わせをしてから貼り合わせた。このガラス基板と2層フレキシブルプリント基板との積層体を、10N、180℃、及び20秒間の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。なお、ポリイミドフィルムにアルミニウム電極が直接形成されている、2層フレキシブルプリント基板を用いた。
【0117】
(5)接続抵抗
上記(4)接続構造体の作製で得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。また、接続抵抗を下記の評価基準で評価した。
【0118】
〔接続抵抗の評価基準〕
○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
【0119】
(6)圧痕の形成の有無
微分干渉顕微鏡を用いて、上記(4)接続構造体の作製で得られた接続構造体のガラス基板側から、ガラス基板に設けられた電極を観察し、導電性粒子が接触した電極の圧痕の形成の有無を下記の判定基準で評価した。なお、電極の圧痕の形成の有無について、電極面積が0.02mmとなるように、微分干渉顕微鏡にて観察し、電極0.02mmあたりの圧痕の個数を算出した。任意の10箇所を微分干渉顕微鏡にて観察し、電極0.02mmあたりの圧痕の個数の平均値を算出した。
【0120】
〔圧痕の形成の有無の判定基準〕
○○:電極0.02mmあたりの圧痕が25個以上
○:電極0.02mmあたりの圧痕が20個以上、25個未満
△:電極0.02mmあたりの圧痕が5個以上、20個未満
×:電極0.02mmあたりの圧痕が5個未満
【0121】
結果を下記の表1に示す。
【0122】
【表1】

【0123】
また、実施例1及び比較例1の導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係を、図6に示した。実施例2及び比較例2の導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係を、図7に示した。さらに、実施例3及び比較例3の導電性粒子を圧縮させてニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときの圧縮荷重値と圧縮変位との関係を、図8に示した。図6〜8では、実施例を実線で示し、比較例を点線で示した。
【0124】
また、実施例1〜4及び比較例1〜3の導電性粒子を作製する際に、芯物質付着工程を行わずにニッケル−ボロン導電層の表面に突起を形成しなかったこと以外は同様にして、図2に示すような球状の導電性粒子を作製した。その結果、突起の形成の有無により、評価結果に大きな差異は見られず、ニッケル−ボロン導電層の表面に突起を有する導電性粒子とニッケル−ボロン導電層の表面に突起を有さない導電性粒子との評価結果とでは、同様の傾向が見られた。例えば、実施例1の導電性粒子の評価結果は、実施例1において芯物質付着工程を行わずにニッケル−ボロン導電層の表面に突起を設けなかった導電性粒子の評価結果とほぼ同等であった。
【符号の説明】
【0125】
1…導電性粒子
1a…表面
2…基材粒子
2a…表面
3…ニッケル−ボロン導電層
3a…外表面
4…芯物質
5…突起
6…絶縁性樹脂
11…導電性粒子
12…ニッケル−ボロン導電層
12a…外表面
12b…割れ
21…接続構造体
22…第1の接続対象部材
22a…上面
22b…電極
23…第2の接続対象部材
23a…下面
23b…電極
24…接続部
51…台
52…圧縮部材
52a…平滑端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粒子と、前記基材粒子の表面に設けられており、かつニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層とを有し、
前記ニッケル−ボロン導電層の全体100重量%中、ニッケルの含有量が97重量%以上であり、
導電性粒子を圧縮した場合に、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜25%圧縮変位したときに、前記ニッケル−ボロン導電層に割れが生じる、導電性粒子。
【請求項2】
導電性粒子を圧縮して前記ニッケル−ボロン導電層に割れを生じさせたときに、前記ニッケル−ボロン導電層の割れに伴って、導電性粒子が、圧縮方向における圧縮前の導電性粒子の粒子径の10〜20%圧縮変位する、請求項1に記載の導電性粒子。
【請求項3】
前記ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向に内側に向かって1/2の厚みの領域において、前記ニッケル−ボロン導電層中のボロンの含有量の最大値と最小値との差が、2重量%以下である、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項4】
前記ニッケル−ボロン導電層の外表面から厚み方向に内側に向かって1/5の厚みの領域において、前記ニッケル−ボロン導電層中のボロンの含有量の最大値が、3重量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項5】
前記基材粒子の粒子径が、2〜5μmであり、かつ、
前記ニッケル−ボロン導電層の厚みが、50〜300nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項6】
ニッケル−ボロン導電層の外表面に突起を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、異方性導電材料。
【請求項8】
第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている、接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−243456(P2011−243456A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115512(P2010−115512)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】