説明

導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体

【課題】導電層に錆が生じ難く、長期間にわたり高い導電性を維持でき、更に親水性を高め、エポキシ樹脂のような酸素含有の樹脂に対して分散性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた接続構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る導電性粒子1は、樹脂粒子11と、該樹脂粒子11の表面上に設けられた導電層12とを有する導電性粒子本体2と、導電性粒子本体2の表面を被覆している被覆層3とを備える。被覆層3は、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている。本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備える。上記接続部が、導電性粒子1、又は導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電極間の電気的な接続に用いることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム及び異方性導電シート等の異方性導電材料が広く知られている。これらの異方性導電材料では、ペースト、インク又は樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続、及びICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に使用されている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に異方性導電材料を配置した後、加熱及び加圧することにより、これらの電極を電気的に接続できる。
【0004】
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、表面の少なくとも一部に極性基を有する導電性粒子と、該導電性粒子の表面の少なくとも一部を被覆しており、かつ絶縁性粒子を含む絶縁性材料とを有する絶縁性粒子付き導電性粒子が開示されている。上記絶縁性材料は、具体的には、上記極性基と吸着可能な高分子電解質と、上記高分子電解質と吸着可能な無機酸化物粒子とを含む。この無機酸化物粒子は、絶縁性粒子である。
【0005】
また、電極間の電気的な接続に用いられる導電性粒子ではないが、下記の特許文献2には、金属微粒子が絶縁性樹脂によりカプセル化された粒子が開示されている。絶縁性樹脂としては、酸性基含有樹脂及び架橋樹脂等が挙げられている。特許文献2では、金属微粒子が、窒素を含むシランリング剤により処理された粒子も記載されている。
【0006】
さらに、電極間の電気的な接続に用いられる導電性粒子ではないが、下記の特許文献3には、複数の導電性微粒子と水とを含む分散液と、加水分解性有機珪素化合物とを用いて、複数(例えば3〜20個)の導電性微粒子が、加水分解性有機珪素化合物の架橋物により鎖状に連結された粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−120990号公報
【特許文献2】特開2002−231053号公報
【特許文献3】特開2006−339113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のような従来の導電性粒子では、導電層の少なくとも一部の領域が露出している。このため、大気中の腐食性ガス又は異方性導電材料中の腐食性物質などによって、導電層の表面に錆が生じやすい。このため、長期間に渡って、高い導電性を十分に維持できないことがある。また、導電層に錆が生じた導電性粒子を用いて電極間を接続すると、電極間が電気的に確実に接続されなかったり、電極間の接続抵抗が高くなったりすることがある。
【0009】
上述のように、特許文献2,3に記載の粒子は、電極間の電気的な接続に用いられていない。特許文献2に記載の粒子は、具体的には、配線パターンを形成するために用いられているにすぎない。特許文献3に記載の鎖状に連結された粒子は、透明導電性被膜を形成するために用いられているにすぎない。
【0010】
また、特許文献2に記載の粒子では、金属微粒子の表面を被覆している絶縁性樹脂の種類によっては、バインダー樹脂などの溶媒に粒子を添加したときに、粒子が充分に分散せず、溶媒中に粒子が沈降することがある。
【0011】
また、特許文献2に記載の粒子を構成する金属微粒子、及び特許文献3に記載の鎖状に連結された導電性微粒子は、全体が金属により形成されている。このため、特許文献2,3に記載の粒子を、仮に電極間の電気的な接続に用いたとしても、粒子を介して電極間を圧着する際に、粒子が充分に変形せずに、粒子と電極との接触面積が小さくなるという問題がある。このため、電極間の導通信頼性が低くなる。
【0012】
本発明の目的は、導電層に錆が生じ難く、長期間にわたり高い導電性を維持でき、更に親水性を高め、エポキシ樹脂のような酸素含有の樹脂に対して分散性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
【0013】
本発明の限定的な目的は、絶縁性粒子付き導電性粒子であって、絶縁性粒子の付着性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の広い局面によれば、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた導電層とを有する導電性粒子本体と、上記導電性粒子本体の表面を被覆している被覆層とを備え、上記被覆層が、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている、導電性粒子が提供される。
【0015】
本発明に係る導電性粒子は、電極間の電気的な接続に用いられる導電性粒子であることが望ましい。
【0016】
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、導電性粒子は、上記被覆層の表面上に付着している絶縁性粒子をさらに備えており、絶縁性粒子付き導電性粒子である。
【0017】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記被覆層の表面上に絶縁性粒子が付着していない。
【0018】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記有機珪素化合物は、窒素を含まない。
【0019】
本発明に係る導電性粒子の他の特定の局面では、上記導電層は外表面に突起を有する。
【0020】
本発明に係る異方性導電材料は、本発明に従って構成された導電性粒子と、バインダー樹脂を含む。
【0021】
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備えており、該接続部が、本発明に従って構成された導電性粒子、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る導電性粒子は、樹脂粒子の表面に導電層が設けられた導電性粒子本体と、該導電性粒子本体の表面を被覆している被覆層とを備えており、更に該被覆層が、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されているので、導電層に錆が生じ難い。従って、本発明に係る導電性粒子を用いて、電極間を接続した場合に、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0023】
さらに、本発明に係る導電性粒子では、被覆層が有機珪素化合物を架橋させることにより形成されているので、表面の親水性を高めることができ、エポキシ樹脂のような酸素含有の樹脂に対して分散性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示す導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0026】
本発明に係る導電性粒子は、導電性粒子本体と、導電性粒子本体の表面を被覆している被覆層とを備える。上記導電性粒子本体は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた導電層とを有する。上記被覆層は、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている。このような構成の採用により、導電層に錆が生じ難くなり、長期間にわたり高い導電性を維持できる。従って、本発明に係る導電性粒子を用いて、電極間を接続した場合に、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0027】
さらに、本発明に係る導電性粒子では、被覆層がヒドロキシ基又はアルコキシ基のような酸素を含有する有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている。このため、被覆層の酸素が水素結合することが可能である。従って、本発明に係る導電性粒子では、表面の親水性を高め、エポキシ樹脂のような酸素含有の樹脂に対して分散性を高めることができる。さらに、本発明に係る導電性粒子では、表面の親水性を高め、エポキシ樹脂のような酸素含有の樹脂に対して密着性も高めることができる。また、被覆層はヒドロキシ基又はアルコキシ基のような酸素を含有する有機珪素化合物を架橋させることにより形成されているため、水分子が金属表面を侵食しにくいため、表面は親水性でありながら高い信頼性を維持することができる。
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
【0029】
(導電性粒子)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0030】
図1に示す導電性粒子1は、導電性粒子本体2と、導電性粒子本体2の表面を被覆している被覆層3とを備える。導電性粒子1は、球状である。被覆層3は、導電性粒子本体2の表面全体を覆っている。被覆層3は、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている。被覆層3の表面上には、絶縁性粒子は付着していない。本実施形態では、上記有機珪素化合物として、シランカップリング剤が用いられている。
【0031】
導電性粒子本体2は、樹脂粒子11と、該樹脂粒子11の表面上に設けられた導電層12とを有する。被覆層3は、導電層12の外表面を被覆している。導電性粒子本体2は、樹脂粒子11の表面が導電層12により被覆された被覆粒子である。被覆層3は、導電層12に接するように、導電性粒子本体2の表面を被覆している。
【0032】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0033】
図2に示す導電性粒子21は、導電性粒子本体2と、導電性粒子本体2の表面を被覆している被覆層3と、被覆層3の表面上に付着している複数の絶縁性粒子22とを備える。導電性粒子21は、絶縁性粒子付き導電性粒子である。導電性粒子本体2と絶縁性粒子22との間に被覆層3が配置されている。絶縁性粒子22を備えることを除いては、導電性粒子21は導電性粒子1と同様に構成されている。
【0034】
絶縁性粒子22は、絶縁性を有する材料により形成されている。被覆層3には、絶縁性粒子22の一部分が付着しているだけで、被覆層3は絶縁性粒子22の表面を被覆していない。絶縁性粒子22の一部の領域は、被覆層3に埋め込まれていてもよい。
【0035】
導電性粒子21では、被覆層3の表面に複数の絶縁性粒子22が付着している。絶縁性粒子22が付着されているかわりに、被覆層3の外表面が、絶縁材料により形成された絶縁層により被覆されていてもよい。この場合には、被覆層3の外表面全体が絶縁層により被覆されていなくてもよく、被覆層の外表面の少なくとも一部の領域が絶縁層により被覆されていればよい。
【0036】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0037】
図3に示す導電性粒子31は、導電性粒子本体32と、導電性粒子本体32の表面を被覆している被覆層33と、被覆層33の表面上に付着している複数の絶縁性粒子22とを備える。導電性粒子31は、絶縁性粒子付き導電性粒子である。
【0038】
導電性粒子本体32は、樹脂粒子11と、樹脂粒子11の表面上に設けられた導電層34とを有する。導電性粒子本体32は、樹脂粒子11の表面上に複数の芯物質35を有する。導電層34は、樹脂粒子11と芯物質35とを被覆している。芯物質35を導電層34が被覆していることにより、導電層34は外表面に複数の突起36を有する。芯物質35により導電層34の外表面が粒子されており、複数の突起36が形成されている。従って、導電性粒子本体32は表面に、複数の突起を有する。また、被覆層33も、外表面に複数の突起を有する。
【0039】
導電性粒子31のように、導電性粒子は突起を有していてもよい。導電性粒子31では、被覆層33の表面に複数の絶縁性粒子22が付着している。導電性粒子31は、絶縁性粒子22を有さなくてもよい。被覆層33の外表面が、絶縁材料により形成された絶縁層により被覆されていてもよい。
【0040】
本発明に係る導電性粒子では、全体が金属により形成された導電性粒子本体ではなく、樹脂粒子の表面上に導電層が設けられた導電性粒子本体が用いられている。導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。導電性粒子本体のコアが樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積を大きくすることができる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。なお、配線パターンを形成したり、透明導電性被膜を形成したりするために用いる導電性粒子では、導電性粒子全体が金属により形成された金属粒子であることが一般的である。
【0041】
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。圧縮により導電性粒子を適度に変形させることができるので、上記樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体により形成されていることが好ましい。
【0042】
上記樹脂粒子の粒子径は、1〜100μmの範囲内であることが好ましい。樹脂粒子の粒子径は、より好ましくは2μm以上、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは5μm以下である。樹脂粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。さらに、導電層を設ける際に、凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。樹脂粒子の粒子径が上記上限以下であると、電極間の間隔を小さくすることができる。樹脂粒子の粒子径は、樹脂粒子が真球状である場合には、直径を示し、樹脂粒子が真球状ではない場合には、最大径を示す。
【0043】
樹脂粒子の粒子径は、2〜5μmの範囲内であることが好ましい。樹脂粒子の粒子径が2〜5μmの範囲内であると、異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔がより一層小さくなる。
【0044】
上記導電層は、単層構造を有していてもよく、複数層が積層された多層構造を有していてもよい。上記導電層を形成するための金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、カドミウム、パラジウム、ビスマス、タリウム、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金及び錫−鉛−銀合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、また合金でもよい。
【0045】
上記導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層、銅層又は金層であることがより好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
【0046】
樹脂粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0047】
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。
【0048】
導電性粒子31のように、本発明に係る導電性粒子は、導電層の外表面に突起を有することが好ましい。導電性粒子は導電層の外表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。さらに、導電性粒子本体の導電層の表面には、酸化被膜が形成されていることがある。突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の突起とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面上に絶縁性粒子又は絶縁層を有する場合、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて異方性導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子の突起と電極との間のバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0049】
導電層の表面に突起を形成する方法としては、樹脂粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。
【0050】
上記導電層の厚みは、5〜1000nmの範囲内であることが好ましい。導電層の厚みは、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは50nm以上、より好ましくは500nm以下、更に好ましくは300nm以下である。導電層の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の導電性を十分に高めることができる。導電層の厚みが上記上限以下であると、樹脂粒子と導電層との熱膨張率の差が小さくなり、樹脂粒子から導電層が剥離し難くなる。
【0051】
上記導電層の厚みは、50〜300nmの範囲内であることが特に好ましい。さらに、樹脂粒子の粒子径が2〜5μmであり、かつ、上記導電層の厚みが、50〜300nmであることが特に好ましい。この場合には、導電性粒子を大きな電流が流れる用途により好適に用いることができる。さらに、導電性粒子を圧縮して電極間を接続した場合に、電極が損傷するのをより一層抑制できる。
【0052】
樹脂粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、例えば、樹脂粒子の分散液中に、芯物質となる導電性物質を添加し、樹脂粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに樹脂粒子を入れた容器に、芯物質となる導電性物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により樹脂粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の樹脂粒子の表面に芯物質を集積させ付着させる方法が好ましい。
【0053】
芯物質を形成するための導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができるので、金属が好ましい。
【0054】
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金及び錫−鉛−銀合金等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金等が好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、上記導電層を形成するための金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。なかでも、導電層がニッケル層である場合に、上記芯物質を形成するための金属は、ニッケル層のエピキャシタル成長を促進させるのに最適なニッケルであることがより好ましい。
【0055】
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
【0056】
本発明に係る導電性粒子では、被覆層は、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている。具体的には、有機珪素化合物を加水分解し、重縮合させることにより、被覆層を形成できる。有機珪素化合物の架橋により形成された被覆層は表面に、複数のシラノール基を有する。このため、被覆層の親水性が高くなると考えられる。
【0057】
一方で、導電性粒子本体の導電層の表面に錆が生じることを抑制するために、導電層の表面が、アルキルメタリン酸又はアルキルリン酸エステルなどのリン酸化合物により防錆処理されることがある。被覆層が有機珪素化合物ではなく、リン酸化合物により形成されている場合には、導電性粒子の親水性を充分に高めることはできない。
【0058】
導電性粒子の表面の親水性を高めるために、上記有機珪素化合物は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を有することが好ましい。上記有機珪素化合物としては、下記式(1)で表される有機珪素化合物が挙げられる。ただし、下記式(1)で表される有機珪素化合物以外の有機珪素化合物を用いてもよい。有機珪素化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0059】
Si(X)(R)4−p ・・・式(1)
上記式(1)中、Xは加水分解性基を表し、Rは炭素数1〜30の非加水分解性の有機基を表し、pは1〜4の整数を表す。pが2〜4のとき、複数のXは同一であってもよく、異なっていてもよい。pが1又は2のとき、複数のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0060】
上記加水分解性基としては、アルコキシ基等が挙げられる。該アルコキシ基の具体例としては、炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられる。該炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基及びプロポキシ基等が挙げられる。
【0061】
上記加水分解性基は、アルコキシ基以外の加水分解性基であってもよい。該アルコキシ基以外の加水分解性基の具体例としては、塩素もしくは臭素等のハロゲン基、アセチル基、ヒドロキシル基及びイソシアネート基等が挙げられる。
【0062】
上記非加水分解性の有機基としては、加水分解され難く、安定な疎水基である炭素数1〜30の有機基が挙げられる。
【0063】
上記炭素数1〜30の有機基としては、炭素数1〜30のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、芳香族置換アルキル基、アリール基、ビニル基を含む基、エポキシ基を含む有機基、アミノ基を含む有機基、及びチオール基を含む有機基等が挙げられる。
【0064】
上記炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ペンチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基及びエイコシル基等が挙げられる。上記ハロゲン化アルキル基としては、アルキル基のフッ素化物基、アルキル基の塩素化物基及びアルキル基の臭素化物基等が挙げられる。上記ハロゲン化アルキル基の具体例としては、例えば、3−クロロプロピル基、6−クロロプロピル基、6−クロロヘキシル基及び6,6,6−トリフルオロヘキシル基等が挙げられる。上記芳香族置換アルキル基としては、例えば、ベンジル基及びハロゲン置換ベンジル基等が挙げられる。上記ハロゲン置換ベンジル基としては、4−クロロベンジル基及び4−ブロモベンジル基等が挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、メシチル基及びナフチル基等が挙げられる。
【0065】
上記有機珪素化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、エチルジメチルメトキシシラン、メチルジエチルメトキシシラン、エチルジメチルエトキシシラン、メチルジエチルエトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジエチルメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルジエチルエトキシシラン、メチルジフェニルメトキシシラン、エチルジフェニルメトキシシラン、メチルジフェニルエトキシシラン、エチルジフェニルエトキシシラン、tert−ブトキシトリメチルシラン、ブトキシトリメチルシラン、ジメチルエトキシシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、ジフェニルジエトキシラン、フェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジアセトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、クロロメチルジエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル−トリ−n−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチル−トリ−n−プロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピル−トリ−n−プロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリプロポキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリプロポキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリプロポキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリプロポキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリプロポキシシラン、エイコシルデシルトリメトキシシラン、エイコシルトリエトキシシラン、エイコシルトリプロポキシシラン、6−クロロヘキシルトリメトキシシラン、6,6,6−トリフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、4−クロロベンジルトリメトキシシラン、4−ブロモベンジルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン及びテトラアセトキシシラン等が挙げられる。
【0066】
上記有機珪素化合物は、窒素を含まなくてもよい。上記有機珪素化合物が窒素を含まなくても、導電性粒子の親水性を充分に高くすることができる。
【0067】
上記被覆層の厚みは、0.5〜500nmの範囲内であることが好ましい。被覆層の厚みは、より好ましくは1nm以上、更に好ましくは3nm以上、より好ましくは400nm以下、更に好ましくは300nm以下である。被覆層の厚みが上記下限以上であると、導電性粒子の親水性をより一層高めることができる。導電層の厚みが上記上限以下であると、導電性粒子の導電性をより一層高めることができる。
【0068】
導電性粒子21,31のように、本発明に係る導電性粒子は、被覆層の表面上に付着している絶縁性粒子を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止することができる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子本体と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。導電性粒子が導電層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子本体と電極との間の絶縁性粒子をより一層容易に排除できる。
【0069】
上記絶縁性粒子を形成するための材料の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
【0070】
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水添化合物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0071】
上記被覆層の表面上に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリタイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁性粒子の意図しない剥離を抑制する観点からは、被覆層の表面に、化学結合を介して絶縁性粒子を付着させる方法が好ましい。
【0072】
(異方性導電材料)
本発明に係る異方性導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記異方性導電材料は、被覆層を備える導電性粒子を、バインダー樹脂中に添加することにより得られた異方性導電材料であることが好ましい。
【0073】
導電性粒子は、用途に応じて、水性溶媒に分散されて用いられたり、バインダー樹脂に分散されて用いられたりする。本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中での分散性に優れているだけでなく、水性溶媒中での分散性にも優れているので、広い用途に適用可能である。本発明に係る導電性粒子は、水性溶媒に対する親和性が高く、水性溶媒に分散させることが容易である。また、本発明に係る導電性粒子は、水性溶媒中で沈降し難い。従って、本発明に係る異方性導電材料は、水性溶媒を含むことが好ましい。さらに、本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂に分散させて用いることも可能である。本発明に係る導電性粒子は、水性溶媒と、水性溶媒とは異なるバインダー樹脂とを含んでいてもよい。
【0074】
上記水性溶媒としては、水、並びに水と水以外の親水性溶媒(水と混和可能な溶媒)との混合物等が挙げられる。上記親水性溶媒としては、親水性有機溶媒が挙げられる。上記親水性有機溶媒としては、例えばアセトン、メタノール及びエタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル及びイソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0075】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、一般的には絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0077】
上記バインダー樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましい。本発明に係る導電性粒子では、被覆層の酸素が水素結合することが可能であり、表面の親水性を高め、エポキシ樹脂のような酸素含有の樹脂に対して分散性及び密着性を高めることができる。
【0078】
上記異方性導電材料は、導電性粒子及びバインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0079】
バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びにバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0080】
本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等として使用され得る。本発明に係る異方性導電材料が、異方性導電フィルム又は異方性導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。
【0081】
本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペーストであることが好ましい。本発明に係る導電性粒子の使用により、異方性導電ペーストにおいて、導電性粒子の分散性が高くなり、導電性粒子の沈降が生じ難くなる。
【0082】
異方性導電材料100重量%中、バインダー樹脂の含有量は10〜99.99重量%の範囲内であることが好ましい。異方性導電材料100重量%中のバインダー樹脂の含有量は、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、より好ましくは99.9重量%以下である。バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極間に導電性粒子を効率的に配置でき、異方性導電材料により接続された接続対象部材の導通信頼性をより一層高めることができる。
【0083】
異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は0.01〜20重量%の範囲内であることが好ましい。異方性導電材料100重量%中の導電性粒子の含有量は、より好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上限以下であると、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。
【0084】
(接続構造体)
本発明の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0085】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が本発明の導電性粒子又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。上記接続部は、本発明の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されていることが好ましい。導電性粒子が用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。
【0086】
図4に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
【0087】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図4では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
【0088】
第1の接続対象部材52の上面52aには、複数の電極52bが設けられている。第2の接続対象部材53の下面53aには、複数の電極53bが設けられている。電極52bと電極53bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0089】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。
【0090】
上記加圧の圧力は9.8〜10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
【0091】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板等が挙げられる。
【0092】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物として、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素として、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0093】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0094】
(実施例1)
(1)導電性粒子本体の作製
粒子径が5.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−205」)を用意した。
【0095】
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
【0096】
また、硫酸ニッケル0.23mol/L、ジメチルアミンボラン0.92mol/L、及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
【0097】
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。樹脂粒子の表面に、厚み0.08μm程度の導電層(ニッケルとボロンとを含むニッケル−ボロン導電層)が形成されたときに、無電解めっき液の滴下を終了した。その後、懸濁液を濾過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面上にニッケル−ボロン導電層(厚み0.1μm)が設けられた導電性粒子を導電性粒子本体Aとして得た。
【0098】
(2)導電性粒子の作製
95重量%エタノール水150重量部に、得られた導電性粒子本体A5重量部と、有機珪素化合物であるメチルトリエトキシシラン1.5重量部とを添加し、30℃で30分加熱し、有機珪素化合物を架橋させることにより、導電性粒子本体の表面全体が被覆層(厚み5nm)により被覆されている導電性粒子を得た。
【0099】
(実施例2)
導電性粒子を作製する際に、有機珪素化合物を、フェニルトリエトキシシラン1.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子本体の表面全体が被覆層(厚み5nm)により被覆されている導電性粒子を得た。
【0100】
(実施例3)
導電性粒子を作製する際に、有機珪素化合物を、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン1.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子本体の表面全体が被覆層(厚み5nm)により被覆されている導電性粒子を得た。
【0101】
(実施例4)
導電性粒子を作製する際に、有機珪素化合物を、ヘキシルトリエトキシシラン1.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子本体の表面全体が被覆層(厚み5nm)により被覆されている導電性粒子を得た。
【0102】
(実施例5)
導電性粒子を作製する際に、有機珪素化合物を、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子本体の表面全体が被覆層(厚み5nm)により被覆されている導電性粒子を得た。
【0103】
(実施例6)
(1)導電性粒子の作製
(1−1)パラジウム付着工程
粒子径が5.0μmであるジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−205」)を用意した。この樹脂粒子をエッチングし、水洗した。次に、パラジウム触媒を8重量%含むパラジウム触媒化液100mL中に樹脂粒子を添加し、攪拌した。その後、ろ過し、洗浄した。pH6の0.5重量%ジメチルアミンボラン液に樹脂粒子を添加し、パラジウムが付着された樹脂粒子を得た。
【0104】
(1−2)芯物質付着工程
パラジウムが付着された樹脂粒子をイオン交換水300mL中で3分間攪拌し、分散させ、分散液を得た。次に、金属ニッケル粒子スラリー(平均粒子径200nm)1gを3分間かけて上記分散液に添加し、芯物質が付着された樹脂粒子を得た。
【0105】
(1−3)無電解ニッケルめっき工程
芯物質が付着された樹脂粒子にイオン交換水500mLを加え、樹脂粒子を十分に分散させて懸濁液を得た。この懸濁液を攪拌しながら、硫酸ニッケル6水和物50g/L、ジメチルアミンボラン0.32g/L及びクエン酸50g/Lを含むpH5.0の無電解ニッケルめっき液を徐々に添加し、無電解ニッケルめっきを行った。このようにして、樹脂粒子の表面上にニッケル−ボロン導電層(厚み0.1μm)が設けられており、ニッケル−ボロン導電層が外表面に突起を有する導電性粒子を導電性粒子本体Bとして得た。
【0106】
(2)導電性粒子の作製
導電性粒子を作製する際に、導電性粒子本体Aを導電性粒子本体Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子本体の表面全体が被覆層(厚み5nm)により被覆されている導電性粒子を得た。
【0107】
(実施例7)
(1)絶縁性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管及び温度プローブが取り付けられた1000mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル100mmolと、N,N,N−トリメチル−N−2−メタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド1mmolと、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩1mmolとを含むモノマー組成物を固形分率が5重量%となるようにイオン交換水に秤取した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下70℃で24時間重合を行った。反応終了後、凍結乾燥して、表面にアンモニウム基を有し、平均粒子径220nm及びCV値10%の絶縁性粒子を得た。
【0108】
絶縁性粒子を超音波照射下でイオン交換水に分散させ、絶縁性粒子の10重量%水分散液を得た。
【0109】
(2)導電性粒子の作製
実施例6で得られた導電性粒子10gをエタノール500mLに分散させ、絶縁性粒子のエタノール分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、被覆層の表面上に絶縁性粒子が付着している導電性粒子(絶縁性粒子付き導電性粒子)を得た。
【0110】
走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁樹脂粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
【0111】
(比較例1)
実施例1で得られた導電性粒子本体Aを導電性粒子とした。
【0112】
(比較例2)
導電性粒子を作製する際に、有機珪素化合物を、リン酸化合物であるリン酸2−エチルヘキシル1.5重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子を得た。
【0113】
(比較例3)
比較例2で得られた導電性粒子と、実施例7で得られた絶縁性粒子のエタノール分散液とを用意した。
【0114】
比較例2で得られた導電性粒子10gをエタノール500mLに分散させ、実施例7で得られた絶縁性粒子のエタノール分散液4gを添加し、室温で6時間攪拌した。3μmのメッシュフィルターでろ過した後、更にメタノールで洗浄し、乾燥し、被覆層の表面上に絶縁性粒子が付着している導電性粒子(絶縁性粒子付き導電性粒子)を得た。
【0115】
走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、画像解析により導電性粒子の中心より2.5μmの面積に対する絶縁性粒子の被覆面積(即ち絶縁樹脂粒子の粒子径の投影面積)を算出したところ、被覆率は30%であった。
【0116】
(評価)
(1)水系溶媒中での導電性粒子の分散性(導電性粒子の親水性)
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、水に添加し攪拌させた。攪拌液(初期の攪拌液)を作製した直後に、導電性粒子が水に濡れ分散もしくは水中に沈降しているか否かを目視で観察した。水に濡れ分散もしくは水中に沈降している場合を「○」、導電性粒子が水に濡れず水面に浮いている場合を「×」と判定した。
【0117】
また、攪拌液を作製した後、25℃で72時間保管した。保管後の液において、導電性粒子が水に濡れ分散もしくは水中に沈降しているか否かを目視で観察した。導電性粒子が水に濡れ分散もしくは水中に沈降している場合を「○」、導電性粒子が水に濡れず水面に浮いている「×」と判定した。
【0118】
(2)バインダー樹脂中での導電性粒子の分散性
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させ、異方性導電ペーストである異方性導電材料を得た。異方性導電材料(初期の異方性導電材料)を作製した直後に、導電性粒子が沈降しているか否かを目視で観察した。導電性粒子が沈降していない場合を「○」、導電性粒子が沈降している場合を「×」と判定した。
【0119】
また、異方性導電材料を作製した後、25℃で72時間保管した。保管後の異方性導電材料において、導電性粒子が沈降しているか否かを目視で観察した。導電性粒子が沈降していない場合を「○」、導電性粒子が沈降している場合を「×」と判定した。
【0120】
(3)接続抵抗
得られた導電性粒子を含有量が10重量%となるように、三井化学社製「ストラクトボンドXN−5A」に添加し、分散させ、異方性導電ペーストである異方性導電材料(初期の異方性導電材料)を得た。また、異方性導電材料を作製した後、25℃で72時間保管した。
【0121】
L/Sが30μm/30μmであるITO電極パターンが上面に形成された透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmである銅電極パターンが下面に形成された半導体チップを用意した。
【0122】
上記透明ガラス基板上に、初期の異方性導電材料又は保管後の異方性導電材料を厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、異方性導電材料層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電材料層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
【0123】
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。また、接続抵抗を下記の評価基準で評価した。
【0124】
〔接続抵抗の評価基準〕
○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
【0125】
(4)防錆評価(マイグレーション評価)
上記接続抵抗の評価で作製した接続構造体を、85℃及び相対湿度85%の条件で放置した。放置開始から、250時間後及び500時間後にそれぞれ、隣り合う電極20個においてリークが生じているか否かを、テスターで測定した。リークが生じなかった場合を「○」、リークが生じた場合を「×」と判定した。
【0126】
結果を下記の表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
(5)絶縁性粒子の脱離
得られた実施例7及び比較例3の導電性粒子を含有量が10重量%となるように、エタノールに添加し、分散させ、異方性導電材料を得た。得られた異方性導電材料において、被覆層の表面から絶縁性粒子が脱離しているか否かを観察した。
【0129】
この結果、実施例7の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電材料では、比較例2の絶縁性粒子付き導電性粒子を用いた異方性導電材料と比較して、導電性粒子の表面から脱離した絶縁性粒子の割合が極めて少なかった。これは、実施例7では、被覆層が有機珪素化合物を架橋させることにより形成されているため、被覆層と絶縁性粒子とが強固に接着しているためである。
【符号の説明】
【0130】
1…導電性粒子
2…導電性粒子本体
3…被覆層
11…樹脂粒子
12…導電層
21…導電性粒子
22…絶縁性粒子
31…導電性粒子
32…導電性粒子本体
33…被覆層
34…導電層
35…芯物質
36…突起
51…接続構造体
52…第1の接続対象部材
52a…上面
52b…電極
53…第2の接続対象部材
53a…下面
53b…電極
54…接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた導電層とを有する導電性粒子本体と、
前記導電性粒子本体の表面を被覆している被覆層とを備え、
前記被覆層が、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている、導電性粒子。
【請求項2】
電極間の電気的な接続に用いられる導電性粒子であって、
樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた導電層とを有する導電性粒子本体と、
前記導電性粒子本体の表面を被覆している被覆層とを備え、
前記被覆層が、有機珪素化合物を架橋させることにより形成されている、導電性粒子。
【請求項3】
前記被覆層の表面上に付着している絶縁性粒子をさらに備え、
絶縁性粒子付き導電性粒子である、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項4】
前記被覆層の表面上に絶縁性粒子が付着していない、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
【請求項5】
前記有機珪素化合物が、窒素を含まない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項6】
前記導電層が外表面に突起を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む、異方性導電材料。
【請求項8】
第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子、又は該導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料により形成されている、接続構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−3917(P2012−3917A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137048(P2010−137048)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】