説明

導電性粒子の現像方法

【課題】樹脂を含まない導電粒子を、従来の現像器と同等に像担持体に対して自由な位置に配置でき、高速現像に対応できる現像方法を提供する。
【解決手段】樹脂を含まない導電性粒子1をキャリアである磁性粒子2とメカニカルに攪拌、分散させ、それを磁性集合体4を内包した導電性非磁スリーブ3からなる磁性ローラーにて搬送すると共に、導電性粒子を磁性ローラーから現像ローラー12へ非接触状態で電界にて飛翔させて付着させ、更に現像ローラーから像担持体10へ非接触状態で電界にて飛翔させて現像を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電印刷法や電子写真法の現像に関わり、特に導電性粒子によって現像する方法及び装置に関わる。
【背景技術】
【0002】
1983年にカールソンによって発明された電子写真法はその解像性と出力速度の速さによって全世界に広がり、改良を重ねて今日に至っている。
静電潜像を現像する現像剤はトナーと称され、種々の改良工夫がなされてきた事が複写機やプリンターの世界で大きな発展をしてきた要因ともいえる。
【0003】
一般のトナーは顔料と樹脂の混合の粒子であり、乾式の場合は磁性粒子または現像スリーブとの摩擦帯電を利用し、液体の場合は溶媒和を利用して帯電させ静電潜像を現像するのが一般的である。
トナーは帯電した電荷を保持しているために磁性粒子又は現像スリーブに付着し、静電像坦持体の近くまで搬送され、電界によって該像坦持体に付着現像される。現像されなかったトナーは磁性粒子又はスリーブに付着しているので、掻き取り板或いはブラシ、ローラー等によって回収され、トナー溜まりの現像材と混合され、再度現像に使用される。現像剤はさらに静電転写を要する系では、像坦持体上でもトナーは帯電を維持し、転写部で被転写体に電界で転写する。
【0004】
これら一連の動作を成り立たせるためには少なくともトナーの表面の一部は帯電を維持するためにほぼ絶縁体でなければならない。
近年電子写真法の解像性と出力速度の速さ及びデジタルデータから直接ハード出力が得られる利点を利用して、デジタルデータから直接配線基板等を製作したいという要求があり、導電性のトナーを現像できるように種々の工夫がなされてきている。
【0005】
例えば特許例として、以下のものがある。
【特許文献1】特開昭59−189617号公報
【特許文献2】特開昭59−202682号公報
【特許文献3】特開昭60−137886号公報
【特許文献4】特開昭60−160690号公報
【特許文献5】特開2000−221780号公報これらの特許例では、導電性粒子の周囲に絶縁性樹脂で被覆した金属トナーを利用する方法が開示されている。これらは金属粒子に薄い絶縁被膜を施すことによって、あたかも絶縁性のトナーと同等の振る舞いを起こさせることによって電子写真法で現像転写を行うことを目指しているものである。静電印刷法や電子写真法における導電トナーや金属トナーと称するものはほとんどがこの類であり、単純な導電性粒子や金属ではない。
【0006】
導電材料に絶縁被膜を施したり樹脂を含むということは、静電印刷法あるいは電子写真法にとって取り扱い易い方法であるが、導電材料を利用する目的からは非常にやっかいなものになる。
導電性の目的はそこに電流を流すという大目的があり、いかに絶縁被膜材料の工夫がされたとしても、結果的には電気抵抗の高い電極あるいは配線とならざるを得ない。
その為、絶縁被膜を高温で飛ばしてしまうというような限られた用途にしか使われていないのが現状である。
【0007】
また、上記の導通性の改善のために、特開昭58−57783号公報、特開平07−254768号公報が提案されている。これらの特許ではメッキ開始の基材となるバナジューム等をトナーの表面に含ませ、パターン化した後にその上にメッキして導電パターンを形成する方法が提案されている。しかしメッキ法では別の行程が付加され、デジタルデータから直接配線基板を製作することからは外れてしまい、メリットも半減してしまう。
また配線基板製作以外でも導電材料に何ら不純物を含ませないでパターン化したいといった要求もあり、導電材料そのものを扱いたいという要求が高まっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子写真法や静電印刷法で樹脂等の処理を施さない導電性材料そのものをうまく取り扱えない理由は、静電法のトナーに要求される特性にことごとく反するからである。
【0009】
トナーはまず、1個1個の粒子に分散していなければならない。像坦持体近くまで搬送されなければならない。搬送される際に飛散してはならない。静電潜像を破壊してはならない。確実に目的の極性に帯電し、目的潜像以外の部分には付着してはならない。等々の特性が求められる。
【0010】
通常のトナーはほぼ絶縁体であり、接触帯電等で帯電すれば自然とお互いに反発力が働き1個1個の粒子に分散する。また、帯電することによって磁性粒子と称する搬送材料に静電的に付着し自由に搬送され、動的に振り回されても飛散することは少ない。さらに像坦持体に接触しても絶縁体であれば潜像を壊すことは無く、静電的に引き合うところだけに付着し、逆極性部分には付着しない。
このようにトナーはいかに1個1個の粒子が均一に確実に目的極性に帯電するか工夫されているのである。
【0011】
しかし、導電材料であると、1個1個の粒子に分散して帯電させることが難しいことや、帯電を維持することが難しく、そのため搬送で飛散すること、潜像に接触すれば導体であるために電荷が漏洩して静電潜像が壊されてしまうことになる。
【0012】
これらの解決のために発明者等は特願2005−214192で、樹脂を含まない導電性粒子を現像する方法を提案した。それは導電性粒子をフェライト粒子又は鉄粒子等の磁性材料と混合し、磁性集合体を内包した導電性非磁性スリーブに運ばれる磁性材料に抱え込ませることによって像坦持体近傍まで搬送し、電界によって該導電性粒子を像坦持体に飛翔させることで現像する現像方法である。これによって特開昭63−88893に示される方式と比べ、感光体に対して横位置に配置できるなど、従来現像器と同じように比較的自由なシステム構成が出来るようになった。
【0013】
しかしその発明による現像器では導電粉は磁性粉に抱え込まれているだけで付着力がないため、現像スリーブを高速に回転すると、導電粉が遠心力で飛散し、バックグラウンドにも付着するため、低速のシステムにしか使えないという限定が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は高速のシステムにも対応できる樹脂を含まない導電性粒子を現像する方法を提供するものである。
【0015】
本発明の基本的構成を図1に従って説明する。
トナーホッパー9から供給された導電性粒子1は磁性粒子2とパドル5の回転によって混合され、メカニカルに分散される。磁性ロールは導電性非磁性のスリーブ3と磁性集合体4で構成され、磁性粒子2は導電粒子1を抱え込んで磁性集合体4の磁力に引き寄せられスリーブ3に取り付く。スリーブ3は回転しており、磁性集合体4による磁力によって導電粒子1を抱え込んだ該磁性粒子2を多量に運ぼうとするが、厚み規制ブレード6によって規制し、該磁性粒子2のスリーブ3上の厚みを一定にする。これは前記磁性ローラと離間して配置される現像ローラ12にスリーブ3上の該磁性粒子2及び導電粒子1が確実に接触しないよう間隙を形成するためである。
【0016】
現像ローラ12には現像バイアス電源7が接続されており、スリーブ3には補助電源8が接続されており、それぞれに印加される電圧差によって導電粒子1は間隙を飛翔し、現像ローラ12に付着して像担持体10の近傍まで運ばれる。
【0017】
現像ローラー12とスリーブ3上の該磁性粒子2及び導電粒子1が接触状態であると、現像をーラー12とスリーブ3とがショートしてしまい、現像ローラー12とスリーブ3時電圧差が生じなくなり、導電粒子1は飛翔できなくなり、現像スリーブ12に付着することが出来なくなる。
【0018】
現像ローラ12は、表面に付着した導電粒子1が像担持体10とも接触しないよう間隙をもって配置されている。像坦持体は導電性基材11と絶縁性被膜あるいは感光体10で構成され静電潜像が作られている。信号潜像だけに導電粒子1が現像ローラから飛翔し、バックグラウンドには飛翔しないような電界を現像バイアス電源12により供給することによって現像する。
磁性ローラが高速回転すれば導電性粒子は飛散するが、図1の如く現像ローラ12、スクレーパー13,及びケース等によって囲まれ、外部に飛散することは無いので高速の現像が可能となる。
【0019】
図1の構成は一見樹脂トナーを飛翔現像する現像器の構成に似ているが、それぞれの働いている機構が全く異なる。その異なる点を詳しく説明する。
【0020】
まず分散部分では、導電粒子は磁性粒子との撹拌により帯電して分散するわけではなく、メカニカルに磁性粒子が導電粒子を磨砕して微粒子に分散させている。例えば磁性粒子としてフェライト粒子、導電性粒子として銅粉とを使用し、これらを攪拌した混合粒子を顕微鏡で観察するとフェライト粒子と銅粉は分離しており、お互いが付着している様子は無い。
磁性粒子は磁性ロールの磁性集合体4の磁力に引き寄せられスリーブ3に取り付く。この際も導電粒子1は磁性粒子2との撹拌により帯電して磁性粒子2またはスリーブ3に付着するのではなく、磁性粒子間に巻き込まれ、抱え込まれて搬送される。
【0021】
磁性集合体4は回転しないように固定する方法と、スリーブ3の回転と逆方向へ回転する方法がある。それぞれ特徴があり、何れを選択するかは使用する磁性粒子や導電粒子の大きさや形状などによって決定する。
【0022】
図2は磁性集合体4とスリーブ3が相対的に移動したときの磁性粒子2の動きを、理解しやすいように磁性集合体を固定し、移動するスリーブ上の一個の磁性粒子の様子を表現している。磁性粒子は磁性集合体4の磁力線に沿って引っ張られながら向きを変えるため、スリーブ上で転がることになる。もしスリーブ3と磁性集合体4を相対的に反対方向に回転すると磁性粒子はより高速に回転することになり、奥の方に抱え込まれた導電粒子もまんべんなく表面に出てきて次の段階における飛翔効率を上げることになる。
【0023】
磁性集合体4が固定されている場合は、磁極の部分で磁性粒子はスリーブに対して垂直に立つため、スリーブに近い位置の導電粒子も自由になるため次の段階における飛翔効率を上げることになる。つまり、磁性粒子に遮蔽されることなく電界にさらされれば飛翔しやすくなる。
【0024】
そして、このまま飛翔させないでスリーブ回転だけを行うと、導電粒子1は下にこぼれてしまう。これは、銅粉等の金属粒子のように比重の重いものはもちろんであるが、カーボン粒子のように比重の小さいものも同様であった。この現象からも導電粒子1は磁性粒子2にもスリーブ3にも付着しにくいことを示している。
磁性粒子2は導電粒子1を磁性ローラにより搬送することだけが役目であるため、磁性粒子の種類に左右されない。フェライト粒子のように電気的に絶縁性のものでも良いし、金属磁性粒子でも良い。またそれらを樹脂で結着させたもの、樹脂の表面にそれら磁性粒子をコートしたもの、逆に磁性粒子の表面に樹脂コートしたものなど、樹脂を含んだものも問題ない。
【0025】
磁性粒子の表面に樹脂コートしたものは樹脂と金属粒子が摩擦して帯電し、付着しそうであるが、金属粒子がよほど微粒子でない限り付着しそうには無い。発明者らが確認したところでは、フェライト粒子にアクリル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等をコートし、5ミクロン〜20ミクロン程度の粒径のカーボンや銅粉を混合したところではほとんどが付着する様子は無かった。例え僅かな摩擦帯電が有ったとしても、付着するだけの力が得られないと考えられる。
【0026】
現像ローラ12に接続された現像バイアス電源7とスリーブ3に接続された補助電源8によって、磁性粒子2に抱え込まれた導電粒子1が現像ローラ12に飛翔するための電界があたえられる。磁性粒子2が絶縁性の場合、導電粒子1はスリーブ3に接触したときにスリーブ3から電荷が注入され帯電し飛翔するか、あるいは電界に従って分極し、電界の強さに従って分極した片方の電荷を放出して帯電し飛翔する。磁性粒子2が導電性の場合、導電粒子1は磁性粒子2からも電荷が注入され帯電し飛翔する。また、電荷を放出し易くするためには導電粒子1が接触している磁性粒子2も分極していた方が良いと考えられる。従って、磁性粒子2がフェライトの様な電気絶縁性の場合には表面を導電処理すると飛翔効率は上がるであろう。
飛翔した導電粒子1は現像ローラ12に付着し、像担持体10の近傍まで運ばれる。現像ローラ12は通常アルミ引き抜き材やステンレススチールであり、本発明でも同様のものが使用できることが確認された。ここで、なぜ導電粒子がかなり低い導電体である現像ローラに付着するかが疑問となる。
【0027】
前述したように飛翔した導電粒子1は帯電して現像ローラ12に到達する。このとき、現像ローラ12は導電体であるために帯電していた電荷を失って静電気力による付着力も失うはずである。事実表面電位計で計測してもほとんど電位を表示しない。この場合支配的になっている付着力はファンデルワールス力ではないかと考えられる。ファンデルワールス力による付着力は現像ローラ12と導電粒子1が密着すればするほど大きく接触面積が大きいほど大きい。そしてこの力が、現像ローラ12の遠心力及び導、電粒子1自身の重力より大きければ付着し続けることになる。その密着性と接触面積を大きくする現象は、飛翔によって導電粒子1を現像ローラ12表面に付着させることにより得られているものと考えられる。そして、一度付着するとその付着を剥がす外力がないため付着し続ける事が出来ると考えられる。このような状況は他の手段ではなかなか得られない。
【0028】
整理しますと、付着力は、接触面積つまり接触点の数により左右されると考えられます。また、剥離方向に働く力は、重力、遠心力、粒子自身の運動エネルギー及び外部から受ける衝突エネルギー等により左右されると考えられます。
付着原理が上記の通りであれば、導電粒子1の形状や重量によって付着状況が左右されることになる。
細かい実験は行っていないが、銅粒子で不定形のもので粒径約100ミクロン以上になると付着する確率は極端に減ってくること、また球形であると粒径80ミクロンでも付着できないことが確認された。鉄粉、カーボン粒子等の他素材は確認していないが、おそらく銅粒子の比重との割合で付着できる粒径が求められるのではないかと考える。
【0029】
特開平07−333980では導電性トナーを用いて磁性キャリアと混合し、一般的に電子写真法で使用される磁性ロールで搬送し、規制ブレードで磁性キャリアだけを阻止し、導電性トナーだけがスリーブ上に付着して像担持体近くまで搬送する実施例が記載されている。この方法では、スリーブ上に付着した導電性トナーに対し規制ブレードで阻止された磁性キャリアが、スリーブに付着した導電性トナーと衝突し、導電性トナーをスリーブから剥がす方向に働くため、スリーブに十分な導電性トナーを付着させられない。
【0030】
以上のように本発明は、帯電して付着するトナーの動作とは全く違う原理で付着搬送を行っているのである。そして、導電粒子は帯電していないので、電界の向き(電圧の極性)には関係なく、電位差の大きさだけで、飛翔の有無が決定されるのが特徴的である。
このように導電粒子の帯電極性は供給する現像バイアス電圧の極性によって自由にコントロール出来る。また、現像バイアス電源7の電圧は直流のみでも良いが、交流成分を重畳させるとより飛翔効果が上がる。これらを以下の実施例で説明する。
【実施例1】
【0031】
図1の構成に於いて、導電性粒子1として平均粒径5クロンのカーボン粒子、磁性粒子2として平均粒径100ミクロンの鉄粉を使用した。スリーブ3と現像ロール12は共に材質はアルミとし、スリーブ3表面と現像ロール12の表面の最も狭い間隙を4mm、スリーブ3と規制ブレード6との間隙を1mmとし、現像ロール4の表面と像担持体の表面の最も狭い間隙を1mmとした。像担持体の静電潜像の信号電位がプラス100V、バックグラウンドがプラス700Vとし、像担持体の表面スピードが100mm/secとした場合、現像バイアス電源7にプラス800V、補助電源8には0Vあるいはプラス1600Vを印加することによって、かぶりがなく、ある程度コントラストのある現像が出来きた。
【0032】
補助電源8と現像バイアス電源7との電位差は同じく800Vであり、補助電源8を0Vにした場合は、電界の方向に従って銅粒子はスリーブ3上からマイナスに帯電して現像ローラに飛翔し、補助電源8をプラス1600Vにした場合はカーボン粒子はプラスに帯電して現像ローラに飛翔する。カーボン粒子がどちらの極性に帯電していても現像ローラに付着した時点ではその電荷を失うため現像ローラからの飛翔条件は変わらず、いずれの場合もプラスに帯電して信号潜像であるプラス100V部分に飛翔する。信号潜像部は700Vの電位差によって飛翔しており、バックグラウンドとの電位差100Vでは飛翔しない。
【実施例2】
【0033】
図1の構成に於いて、実施例1と同様に導電性粒子1として平均粒径5ミクロンのカーボン粒子、磁性粒子2として平均粒径100ミクロンの鉄粉を使用した。スリーブ3と現像ロール12は共に材質はアルミとし、スリーブ3表面と現像ロール12の表面の最も狭い間隙を3mm、スリーブ3と規制ブレード6との間隙を1mmとし、現像ロール4の表面と像担持体の表面の最も狭い間隙を1mmとした。像担持体の静電潜像が実施例1とは逆に信号電位がプラス700V、バックグラウンドがプラス100Vとし、像担持体の表面スピードが100mm/secとした場合、現像バイアス電源7には0V、補助電源にはプラス800Vあるいはマイナス800Vを印加することによって、かぶりがなくある程度コントラストのある現像が出来た。
【0034】
現像ローラから潜像へはカーボン粒子がマイナスに帯電して飛翔しており実施例1とは異なっているが、飛翔の有無の条件は実施例1と全く同じで、信号潜像部は700Vの電位差によって飛翔しており、バックグラウンドとの電位差100Vでは飛翔しない。このように潜像がポジであれ、ネガであれ電源条件だけを条件あわせするだけで、他の構成要素は一切変更しないで成立させることが出来る。
【実施例3】
【0035】
図1の構成に置いて、導電性粒子1として平均粒径10ミクロンの銅粉、磁性粒子2として平均粒径100ミクロンのフェライト粒子を使用した。スリーブ3と現像ロール12は共に材質はアルミとし、スリーブ3表面と現像ロール12の表面の最も狭い間隙を4mm、スリーブ3と規制ブレード6との間隙を1mmとし、現像ロール4の表面と像担持体の表面の最も狭い間隙を1mmとした。像担持体の静電潜像が信号電位がプラス100V、バックグラウンドがプラス700Vとし、像担持体の表面スピードが100mm/secとした場合、現像バイアス電源7にDCプラス500V及び500HzのAC400VP−Pの重畳電圧、補助電源8には0Vを印加すると、かぶりがなく、濃度の高い非常にコントラストのある現像が出来た。
【0036】
交番電界は導電性粒子を振動させ、凝集を解すと共に、飛翔し易くする効果があると考えられる。論文によれば、従来のトナー飛翔では、一旦トナーを像担持体全面に飛翔させ、バックグラウンドはACの逆電界時に引き戻すというように説明されているが、本発明が対象としている樹脂を含まない導電性粒子では抵抗が低いために全面に飛翔させて引き戻したら潜像電荷分布を壊してしまい、正規の画像とならない。バックグラウンドには飛翔させない条件を与えることが必要であり、従来の重畳作用とは異なる。
【実施例4】
【0037】
実施例3の条件で真球に近い粒径100ミクロンの銅粒子を現像しようとしたが、銅粒子はアルミ素材の現像ローラ12に付着せず現像できなかった。現像ローラ12の表面に絶縁フィルムチューブを被せたところ、現像ローラ12には付着するが像担持体には非常に飛翔し難くなった。現像ローラ12の表面に半導電性のフィルムチューブを被せたところ、ほぼ実施例3の電界条件で前記銅粒子が付着し、現像できることが出来た。その他現像ローラ12の表面に半導電性のゴムを巻くこと、樹脂とカーボンを混練した半導電性樹脂を塗布すること等いずれも効果が有った。半導電性の抵抗値は、現像ローラの表面に導電性の板を一定の圧力で押したそのニップ幅と電圧を印加したときの電流を計測し比較した。それらの計算値からほぼ10の9乗Ω・cm以下で有れば十分良好な現像が出来ると結論された。
【0038】
現像ローラー12を半導電性にすることによる付着効果は論理的には定かでない。現実の材料が純粋半導体物理で取り扱うようなものではなく、ほとんどが、導電物質と絶縁体の混合による平均的な抵抗値で取り扱っているため、現実には微小部分では帯電保持出来る部分があり、付着した導電性粒子に僅かな静電荷が残って、その静電気力で付着力が増すとも考えられる。また、樹脂との混合物である材料は金属よりも硬度は低いため、導電性粒子は飛翔してきて衝突する際の緩衝効果があり、接触面積や密着性が金属より大きくなり、ファンデルワールス力による付着力が増すとも考えられる。あるいは上記二つの現象が共に生じて更に強い付着力を生じているのかもしれない。
【0039】
上記実施例の印加電圧や距離等の諸条件は代表例であって、導電粒子の材質、粒径、比重等などによって適正条件が異なり、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の基本構成の説明図
【図2】スリーブ上の磁性粒子の挙動の説明図
【符号の説明】
【0041】
1・・・・・導電粒子
2・・・・・磁性粒子
3・・・・・導電性非磁性のスリーブ
4・・・・・磁性集合体
5・・・・・パドル
6・・・・・規制ブレード
7・・・・・現像バイアス電源
8・・・・・補助電源
9・・・・・トナーホッパー
10・・・・静電像担持体
11・・・・導電基材
12・・・・現像ローラ
13・・・・スクレーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電像坦持体と現像器を具備する装置において、現像剤が樹脂を含まない導電性粒子であって、該現像器は該導電性粒子と磁性粒子を攪拌し混合する機構と磁性集合体を内包した導電性非磁性スリーブを備えた磁性ローラと該磁性ローラ上の磁性粒子の厚みを規制する規制ブレード及び非磁性の現像ローラを具備し、該磁性ローラ上の該導電性粒子と該現像ローラは非接触に配置され、さらに現像ローラ上の該導電性粒子と該静電像担持体が非接触に配置され、該導電性粒子を電界によって該磁性ローラから該現像ローラに飛翔させ、さらに該現像ローラから像担持体へ電界によって飛翔させる事によって現像する事を特徴とする現像方法。
【請求項2】
該現像剤がカーボン粒子または金属粒子である事を特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
該磁性粒子がフェライト粒子又は磁性金属粒子、又はそれらの粒子が樹脂を含んだ粒子であることを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項4】
該現像ローラの表面が金属又は半導電性材料で構成され、電気抵抗が10の9乗Ω・cm以下である事を特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項5】
該導電性粒子を飛翔させる電界が、直流電界と交番電界の重畳であることを特徴とする請求項1に記載の現像法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−185980(P2008−185980A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21847(P2007−21847)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(594003274)株式会社アフィット (11)
【Fターム(参考)】