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導電性組成物、その製造方法、導電性部材、並びに、タッチパネル及び太陽電池
説明

導電性組成物、その製造方法、導電性部材、並びに、タッチパネル及び太陽電池

【課題】ヘイズの低い導電性層が得られる導電性組成物、その製造方法、導電性部材、並びに、タッチパネル及び太陽電池を提供する。
【解決手段】少なくとも、a)平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維、およびb)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその誘導体から選ばれた少なくとも一つの化合物、を含有する導電性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、その製造方法、導電性部材、並びに、タッチパネル及び太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、有機EL、タッチパネルなどの表示装置および集積型太陽電池などに用いる電極用の導電材料としてITOが広く利用されているが、インジウム金属の埋蔵量が少ないこと、長波長領域の透過率が低いことに起因する色味、低抵抗化には高温の熱処理が必要であること、屈曲性がないことなどの問題がある。
そのような折、金属ナノワイヤーを用いた導電部材の検討が報告され(特許文献1)、透明性、低抵抗、使用金属量の低減の面では優れていることからITO代替への期待が高まっている。しかしながら、ワイヤー構造であることからヘイズが高いこと、金属の比表面積が大きいことから耐熱性が不足すること、空気最表面層へ光硬化樹脂などのコーティングを施さない限り実用的な耐久性が得られず、そのコーティングによる抵抗上昇と面内抵抗の均一性低下が起こること、などの問題が散見されている。
その中でも、ヘイズ特性の向上は大きな課題の一つであり、例えば、限外ろ過法で不純物を十分に取り除くことなどで解決が図られているが(特許文献2,3)、その効果は十分なものとは言えず、さらなる改良が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2007/0074316号
【特許文献2】米国特許公開第2009/0321634号
【特許文献3】特開2009−129732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情に着目してなされたものであって、金属ナノワイヤーのような金属導電性繊維を含むヘイズの低い導電性層が得られる導電性組成物、その製造方法、導電性部材、並びに、タッチパネル及び太陽電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する本発明は、以下のとおりである。
<1> a)平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維と、b)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその誘導体から選ばれた少なくとも一つの化合物と、を含有する導電性組成物。
<2> 前記金属導電性繊維が、金属ナノワイヤーである<1>に記載の導電性組成物。
<3> 前記単糖類の誘導体が、前記単糖類の酸化物である<1>または<2>に記載の導電性組成物。
<4> 前記単糖類が、グルコースである<1>〜<3>のいずれか一項に記載の導電性組成物。
<5> 前記金属導電性繊維が、銀ナノワイヤーである<1>〜<4>のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【0006】
<6> 1)金属塩を単糖類の存在下で還元して金属ナノワイヤーを含む反応生成物を調製することと、2)前記反応生成物を、前記単糖類およびその酸化物が前記金属ナノワイヤーに対して0.005質量%以上0.05質量%以下の範囲で残存するように洗浄することと、を含むa)平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維、および、b)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその酸化物を含有する導電性組成物の製造方法。
<7> 前記洗浄が、限外ろ過である<6>に記載の導電性組成物の製造方法。
<8> 前記還元を水性媒体中で行う<6>または<7>に記載の導電性組成物の製造方法。
<9> 前記金属ナノワイヤーが、銀ナノワイヤーである<6>〜<8>のいずれか一項に記載の導電性組成物の製造方法。
【0007】
<10> 基材と、前記基材上に設けられた、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の導電性組成物を含む導電性層と、を有する導電性部材。
<11> 前記導電性層の表面抵抗が、1000Ω/□以下である<10>に記載の導電性部材。
<12> 前記導電性層が、導電性領域および非導電性領域を含む<10>または<11>に記載の導電性部材。
<13> 前記基材と前記導電性層との間に、更に少なくとも一層の中間層を有する<10>〜<12>のいずれか一項に記載の導電性部材。
<14> <10>〜<13>のいずれか一つに記載の導電性部材を含むタッチパネル。
<15> <10>〜<13>のいずれか一つに記載の導電性部材を含む太陽電池。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヘイズの低い導電性層が得られる導電性組成物、その製造方法、導電性部材、並びに、タッチパネル及び太陽電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る導電性部材の概略断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態に係る導電性部材の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の導電性組成物および導電性部材について詳細に説明する。
以下、本発明の代表的な実施形態に基づいて記載されるが、本発明の主旨を超えない限りにおいて、本発明は記載された実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「光」という語は、可視光線のみならず、紫外線、エックス線、ガンマ線などの高エネルギー線、電子線のような粒子線等を含む概念として用いる。
本明細書中、アクリル酸、メタクリル酸のいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリル酸」と、アクリレート、メタクリレートのいずれか或いは双方を示すため「(メタ)アクリレート」と、それぞれ表記することがある。
また、含有量は特に断りのない限り、質量換算で示し、特に断りのない限り、質量%は、組成物の総量に対する割合を表し、「固形分」とは、組成物中の溶剤を除く成分を表す。
【0011】
<<<導電性組成物>>>
本発明の導電性組成物は、a)平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維、およびb)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその誘導体から選ばれた少なくとも一つの化合物、を含有する。
<平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維>
平均短軸長が150nm以下の金属導電性繊維は、中実構造、多孔質構造及び中空構造のいずれの態様をとるものであってもよいが、中実構造及び中空構造のいずれかであることが好ましい。本発明においては、中実構造の繊維をワイヤー、中空構造の繊維をチューブと、それぞれ称することがある。
前記繊維を形成する導電性材料としては、金属であることが好ましく、例えば、ITOや酸化亜鉛、酸化スズのような金属酸化物、金属元素単体、複数金属元素からなるコアシェル構造、複数金属からなる合金などが挙げられる。また、繊維状とした後、表面処理されていてもよく、例えば、鍍金された金属繊維なども用いることができる。
【0012】
(金属ナノワイヤー)
透明導電性層を形成しやすいという観点からは、金属導電性繊維として、金属ナノワイヤーを用いることが好ましい。本発明における金属ナノワイヤーとは、例えば、アスペクト比(平均長軸長/平均短軸長)が30以上である金属微粒子であって、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmのものが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。前記平均短軸長が小さすぎると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあるため、前記平均短軸長は5nm以上であることが好ましい。前記平均短軸長が150nmを超えると、導電性の低下や光散乱等による光学特性の悪化が生じるおそれがあるため、好ましくない。
【0013】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長(「平均長さ」と称することがある)としては、1μm〜40μmであることが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。金属ナノワイヤーの平均長軸長が長すぎると金属ナノワイヤー製造時に凝集物が生じる懸念があり、平均長軸長が短すぎると、十分な導電性を得ることができないことがある。
ここで、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、金属ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とした。また。金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。
【0014】
本発明においては、平均短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤーが、全導電性繊維中に金属量で50質量%以上含まれていることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
前記平均短軸長(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤーの割合が、50質量%以上含まれることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じがたく、これに起因する耐久性の低下を抑制しうるため好ましい。繊維状以外の導電性粒子が感光性層に含まれると、プラズモン吸収が強い場合には透明度が低下するおそれがあり好ましくない。
【0015】
本発明に係る導電性層に用いられる金属ナノワイヤーの平均短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
前記変動係数が40%を超えると、平均短軸長(直径)の細いワイヤーに電圧が集中してしまうためか、耐久性が悪化することがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像から300個のナノワイヤーの平均短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより、求めることができる。
【0016】
本発明に用いる金属導電性繊維のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。アスペクト比とは、一般的には繊維状の物質の長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。
アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記金属導電性繊維のアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記金属導電性繊維のアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記金属導電性繊維の平均長軸長さと平均短軸長さとを各々別に測定することによって、前記金属導電性繊維全体のアスペクト比を見積もることができる。
なお、前記金属導電性繊維がチューブ状の場合には、前記アスペクト比を算出するための直径としては、該チューブの外径を用いる。
前記金属導電性繊維のアスペクト比としては、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
前記アスペクト比を10以上とすることにより、前記金属導電性繊維によるネットワークの形成が容易となり、十分な導電性の確保が容易となる。また、前記アスペクト比を1,000,000以下とすることにより、金属導電性繊維の形成時やその後の取り扱いにおいて、金属導電性繊維が絡まることなく、安定な液が容易に得られる。
【0017】
前記金属ナノワイヤーの形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
【0018】
前記金属ナノワイヤーにおける金属としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。これらの中でも、金属又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属から形成されるものがより好ましい。
前記金属としては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
【0019】
前記金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫及びこれらの合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。
【0020】
(金属ナノワイヤーの製造方法)
前記金属ナノワイヤーは、特に制限はなく、いかなる方法で作製してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤーを形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、感光性層の経時安定性の観点から好ましい。
また、金属ナノワイヤーの製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
【0021】
金属ナノワイヤーの製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される金属ナノワイヤーの長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤーの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
【0022】
前記加熱の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
これらの中でも、還元糖類が好ましく、なかでもグルコースがより好ましい。
前記還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
【0023】
前記金属ナノワイヤー製造の際には分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよいナノワイヤーを得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
【0024】
前記分散剤を添加する段階は、粒子調製する前に添加し、分散剤の存在下で添加してもよいし、粒子調整後に分散状態の制御のために添加しても構わない。分散剤の添加を2段階以上に分けるときには、その量は必要とする金属ワイヤーの長さにより変更する必要がある。これは核となる金属粒子量の制御による金属ワイヤーの長さに起因しているためと考えられる。
前記分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述する(b)ポリマーに包含される化合物である。
【0025】
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはGPCにより測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
前記分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることができる。
【0026】
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
【0027】
また、分散剤とハロゲン化合物とは双方の機能を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤としての機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
なお、金属ナノワイヤー形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
【0028】
前記金属ナノワイヤーは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。前記金属ナノワイヤーを水性分散物させたときの電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
前記金属ナノワイヤーを水性分散物させたときの20℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
【0029】
金属ナノワイヤー以外の、好ましい金属導電性繊維としては、中空繊維である金属ナノチューブが挙げられる。
(金属ナノチューブ)
金属ナノチューブの材料としては、特に制限はなく、いかなる金属であってもよく、例えば、前記した金属ナノワイヤーの材料などを使用することができる。
前記金属ナノチューブの形状としては、単層であってもよく、多層であってもよいが、導電性及び熱伝導性に優れる点で単層が好ましい。
【0030】
前記金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)としては、3nm〜80nmが好ましく、3nm〜30nmがより好ましい。
前記厚みが、3nm以上であることで、十分な耐酸化性が得られ、80nm以下であることで、金属ナノチューブに起因する光散乱の発生が抑制される。
前記金属ナノチューブの平均短軸長は、金属ナノワイヤーと同様に150nm以下であることを要する。好ましい平均短軸長は金属ナノワイヤーにおけるのと同様である。また、長軸長さは、1μm〜40μmが好ましく、3μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記金属ナノチューブの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、米国出願公開2005/0056118号明細書等に記載の方法などを用いることができる。
【0031】
本発明に係る導電性組成物は、平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維と共に、金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその誘導体から選ばれた少なくとも一つの化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)を含有する。金属導電性繊維に対する特定化合物の量が0.005質量%より少ない場合または0.05質量%より多い場合には、ヘイズが高くなってしまい、本発明による効果が得られない。
上記単糖類としては、グルコース、フルクトース等が好ましいものとして挙げられる。また単糖類の誘導体としては、単糖類の酸化物、単糖類のハロゲン化物、単糖類のオリゴマー、単糖類の重合体が挙げられる。
単糖類またはその誘導体は、金属導電性繊維を調製した後に添加して、その量が金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下となるように調整する方法であっても良い。金属導電性繊維としての金属ナノワイヤーを調製する工程、即ち、水性媒体中で金属塩を単糖類の存在下で還元して金属ナノワイヤーの水性分散液を含む反応生成物を調製し、この反応生成物から、副生成物であるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンを取り除く洗浄工程を、上記の還元の際に存在させた単糖類またはその酸化物の残存量が金属ナノワイヤーに対して0.005質量%以上0.05質量%以下となるような範囲で行うことが、生産効率の点から好ましい。
【0032】
水性媒体中で金属塩を単糖類の存在下で還元して得られる金属ナノワイヤーの水性分散液には、還元剤および還元剤の誘導体や過剰の分散剤などの不純物を含んでいるため、これをそのまま基材上に塗布および乾燥して導電性層を設けた導電性部材を作製した場合、導電性層に含まれる不純物によってワイヤー同士の接触が妨げられ、導電性が低下する。そのため、遠心分離法、ゲルろ過法、限外ろ過法などで、不純物を除去(洗浄)して上記の導電性の低下を防ぐのが一般的である。その際、分散剤を必要以上に除去することでワイヤー同士の凝集が発生したりするなどの悪影響が出ない限り、極力不純物を除去するのが好ましい。
本発明においては、金属ナノワイヤーの調製時に、還元剤として用いる単糖類をもしくはその誘導体が、不純物除去の洗浄工程後の金属ナノワイヤーの分散物中に、金属ナノワイヤーに対して0.005質量%以上0.05質量%以下となるようにすることで、上記のような不純物による悪影響を防止しつつ、ヘイズの低い導電性層を得ることが可能である。このような還元の際に存在させた単糖類またはその酸化物の残存量の調製は、例えば限外ろ過により洗浄を行う場合には、洗浄に用いる溶媒の量によって調製することができる。
【0033】
本発明に係る導電性組成物には、金属導電性繊維に加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうるが、効果の観点からは、前記した金属導電性繊維の比率は、感光性層形成用組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。これらの金属導電性繊維の割合を、以下、「金属導電性繊維の比率」と呼ぶことがある。
前記金属導電性繊維の比率が、50%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、金属導電性繊維以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
【0034】
ここで、前記金属導電性繊維の比率は、例えば、金属導電性繊維が銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、金属導電性繊維の比率を求めることができる。ろ紙に残っている金属導電性繊維をTEMで観察し、300個の金属導電性繊維の平均短軸長さを観察し、その分布を調べることにより検知される。
金属導電性繊維の平均短軸長さ及び平均長軸長さの測定方法は既述の通りである。
導電性組成物には、更に、後述のマトリックスを含有させてもよい。
【0035】
<<<導電性部材>>>
本発明に係る導電性部材は、基材上に、少なくとも、a)平均短軸長さが1nm以上150nm以下の金属導電性繊維、およびb)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその誘導体から選ばれた少なくとも一つの化合物、を含有する導電性層を有するものである。
<<基材>>
上記基材としては、導電性層を担うことができるものである限り、目的に応じて種々のもの使用することができる。一般的には、板状またはシート状のものが使用される。
基材は、透明であっても、不透明であってもよい。基材を構成する素材としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス;ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属;その他セラミック、半導体基板に使用されるシリコンウエハーなどを挙げることができる。これらの基材の導電性層が形成される表面は、所望により、アルカリ性水溶液による清浄化処理、シランカップリング剤などの薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
基材の厚さは、用途に応じて所望の範囲のものが使用される。一般的には、1μm〜500μmの範囲から選択され、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
導電性部材に透明性が要求される場合には、基材の全可視光透過率が70%以上のもの、より好ましくは85%以上のもの、更に好ましくは、90%以上のものから選ばれる。
【0036】
本発明に係る導電性組成物は、溶剤を含有する塗布液とし、これを基材の表面に塗布して導電性層を形成することにより、導電性部材を得ることができる。
(導電性組成物の塗布液)
本発明に係る導電性組成物は、所望の基材上に塗布により形成するために、溶剤を含有させることが好ましい。金属導電性繊維の製造において、溶媒として水を使用して、水性媒体中に金属導電性繊維を分散させた水性分散液として製造した場合には、そのままの水性分散液を使用するか、または溶媒としての水の含有量を調整した上で、塗布液とすればよい。
他方、導電性組成物の塗布液の溶剤として、金属導電性繊維の製造において使用した溶媒(例えば、水)とは異なる溶媒、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶剤が望まれる場合には、金属導電性繊維の製造において使用した溶媒(例えば、水)を、所望の溶媒(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に置換する溶媒置換を行えばよい。た上で、前述の一般式(1)または一般式(2)で表される化合物を、金属導電性繊維に対して0.1質量%異常1000質量%以下の範囲で添加して含有させればよい。
上記の塗布液における金属導電性繊維の濃度は、0.1質量%以上10質量%以下の範囲から、所望とする導電性層の厚さに応じて適宜選択される。
【0037】
(マトリックス)
導電性部材の導電性層は、さらにマトリックスを含んでいてもよい。ここで、「マトリックス」とは、金属導電性繊維を含んで層を形成する物質の総称であり、金属導電性繊維の分散を安定に維持させる機能を有する。マトリックスは、非感光性のものであっても、感光性のものであってもよい。
導電性層が金属導電性繊維単独で構成される場合、基材上に予め接着層を設けておき、この接着層上に、金属導電性繊維単独で構成される導電性層を設けた態様が好ましい。マトリックスを含むことにより、導電性層における金属導電性繊維の分散が安定に維持される上、基材表面に導電性層を接着層を介することなく形成した場合においても基材と導電性層との強固な接着が確保されるため、より好ましい。
【0038】
導電性層がマトリックスを含む場合、マトリックス/金属導電性繊維の含有比率は、質量比で0.001/1〜100/1の範囲が適当である。このような範囲に選定することにより、基材への導電性層の接着力、及び表面抵抗の適切なものが得られる。マトリックス/金属導電性繊維の含有比率は、質量比で0.01/1〜20/1の範囲がより好ましく、1/1〜15/1の範囲が更に好ましく、2/1〜8/1の範囲が特に好ましい。
【0039】
(非感光性マトリックス)
非感光性マトリックスについて説明する。好適な非感光性マトリックスとしては、有機高分子または、無機高分子を含むものが挙げられる。
【0040】
有機高分子としては、ポリメタクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリレート(例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エステルを含む共重合体)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート)、フェノールまたはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂(例えば、Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、およびポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ樹脂、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース誘導体、シリコーン、シリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサンおよびポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、含フッ素重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン)、および炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製「LUMIFLON」(登録商標))、および非晶質フルオロカーボン重合体または共重合体(例えば、旭硝子株式会社製の「CYTOP」(登録商標)またはデュポン社製の「Teflon」(登録商標)AF)などが挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
【0041】
無機高分子としては、Si、Ti、ZrおよびAlからなる群から選ばれた元素のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう。)を加水分解及び重縮合し、更に所望により加熱、乾燥して得られるゾルゲル硬化物を挙げることができる。
上記ゾルゲル硬化物は、キズおよび磨耗に対して高い耐性を有するものが容易に製造できるという点から好ましい。
(特定アルコキシド化合物)
本発明の特定アルコキシド化合物は、下記一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
M(OR4−a (1)
(一般式(1)中、MはSi、Ti、AlおよびZrから選択される元素を示し、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭化水素基を示し、aは2〜4の整数を示す。)
【0042】
一般式(1)におけるRおよびRで表される各炭化水素基としては、好ましくはアルキル基又はアリール基が挙げられる。
アルキル基を示す場合の炭素数は好ましくは1〜18、より好ましくは1〜8であり、さらにより好ましくは1〜4である。また、アリール基を示す場合は、フェニル基が好ましい。 アルキル基又はアリール基は置換基を更に有していてもよい。
以下に、一般式(1)で示される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
(アルコキシシラン)
MがSiでaが2の場合、すなわち、ジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジエトキシシラン、アセトキシメチルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルエチルジエトキシシラン、フェニルメチルジプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジブトキシシラン、イソプロペニルメチルジメトキシシラン、イソプロペニルメチルジエトキシシラン、イソプロペニルメチルジブトキシシラン、などを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0044】
MがSiでaが3の場合、すなわち、トリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、イソプロペニルトリエトキシシラン、などを挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、入手容易な観点と親水性層との密着性の観点から、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
MがSiでaが4の場合、すなわち、テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシラン、メトキシトリエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリプロポキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。
【0045】
(アルコキシチタネート)
MがTiでaが2の場合、すなわち、ジアルコキシチタネートとしては、例えば、ジメチルジメトキシチタネート、ジエチルジメトキシチタネート、プロピルメチルジメトキシチタネート、ジメチルジエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、ジプロピルジエトキシチタネート、フェニルエチルジエトキシチタネート、フェニルメチルジプロポキシチタネート、ジメチルジプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが3の場合、すなわち、トリアルコキシチタネートとしては、例えば、メチルトリメトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、プロピルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、プロピルトリエトキシチタネート、クロロメチルトリエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート、フェニルトリプロポキシチタネート等を挙げることができる。
MがTiでaが2の場合、すなわち、テトラアルコキシチタネートとしては、例えば、テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート等を挙げることができる。
【0046】
(ジルコニウムまたはアルミニウムのアルコキシド)
MがZrの場合、すなわち、ジルコニウムのアルコキシドとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
MがAlの場合、すなわち、アルミニウムのアルコキシドとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。
【0047】
これらの特定アルコキシドは市販品として容易に入手できるほか、公知の合成方法、例えば各金属塩化物と任意のアルコールとの反応によって製造してもよい。
上記アルコキシドは、一種類の化合物を単独で用いても、二種類以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。
【0048】
ゾルゲル硬化膜をマトリックスとする導電性層は、金属導電性繊維と特定アルコキシド化合物を含む含水溶液を塗布液(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)として、基材上に塗布して塗布液膜を形成し、この塗布液膜中で特定アルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせ、更に必要に応じて加熱して水を蒸発、乾燥することにより、形成することが好ましい。ゾルゲル塗布液の調製に際しては、金属導電性繊維の分散液を別に調製しておき、これと特定アルコキシド化合物とを混合してもよい。更に、特定アルコキシド化合物を含む溶液を調製したのち、この溶液を加熱して特定アルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解および重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある溶液と金属導電性繊維の分散液とを混合したものをゾルゲル塗布液としてもよい。
【0049】
(触媒)
ゾルゲル反応を促進させるため、酸性触媒または塩基性触媒を添加することが好ましい。以下、この触媒について、説明する。
触媒としては、アルコキシド化合物の加水分解および重縮合の反応を促進させるものであれば、任意のものを使用することができる。
このような触媒としては、酸、あるいは塩基性化合物が含まれ、そのまま用いるか、又は、水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、これらを包括してそれぞれ酸性触媒、塩基性触媒とも称する)が使用される。
酸、あるいは塩基性化合物を溶媒に溶解させる際の濃度については特に限定はなく、用いる酸、或いは塩基性化合物の特性、触媒の所望の含有量などに応じて適宜選択すればよい。ここで、触媒を構成する酸或いは塩基性化合物の濃度が高い場合は、加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の高過ぎる塩基性触媒を用いると、沈殿物が生成して導電性層に欠陥となって現れる場合があるので、塩基性触媒を用いる場合、その濃度は水溶液での濃度換算で1N以下であることが好ましい。
【0050】
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、乾燥後の導電性層中にほとんど残留しない化合物が好ましい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、ギ酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで示される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0051】
金属錯体からなるルイス酸触媒もまた好ましく使用できる。特に好ましい触媒は、金属錯体触媒であり、周期表の第2族、第13族、第4族、及び、第5族から選ばれる金属元素とβ−ジケトン、ケトエステル、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル、アミノアルコール、エノール性活性水素化合物の中から選ばれるオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物から構成される金属錯体である。
構成金属元素の中では、Mg、Ca、St、Baなどの第2族元素、Al、Gaなどの第13族元素、Ti、Zrなどの第4族元素及びV、Nb及びTaなどの第5族元素が好ましく、それぞれ触媒効果の優れた錯体を形成する。その中でもZr、Al及びTiから得られる錯体が優れており、好ましい。
【0052】
上記金属錯体の配位子を構成するオキソ又はヒドロキシ酸素含有化合物は、本発明においては、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)、2,4−ヘプタンジオンなどのβジケトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、サリチル酸、サリチル酸エチル、サリチル酸フェニル、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸メチルなどのヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、4−ヒドロキシー4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノンなどのケトアルコール類、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチル−モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール類、メチロールメラミン、メチロール尿素、メチロールアクリルアミド、マロン酸ジエチルエステルなどのエノール性活性化合物、アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン)のメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物が挙げられる。
【0053】
好ましい配位子はアセチルアセトン誘導体であり、アセチルアセトン誘導体は、本発明においては、アセチルアセトンのメチル基、メチレン基またはカルボニル炭素に置換基を有する化合物を指す。アセチルアセトンのメチル基に置換する置換基としては、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基であり、アセチルアセトンのメチレン基に置換する置換基としてはカルボキシル基、いずれも炭素数が1〜3の直鎖又は分岐のカルボキシアルキル基及びヒドロキシアルキル基であり、アセチルアセトンのカルボニル炭素に置換する置換基としては炭素数が1〜3のアルキル基であってこの場合はカルボニル酸素には水素原子が付加して水酸基となる。
【0054】
好ましいアセチルアセトン誘導体の具体例としては、エチルカルボニルアセトン、n−プロピルカルボニルアセトン、i−プロピルカルボニルアセトン、ジアセチルアセトン、1―アセチル−1−プロピオニル−アセチルアセトン、ヒドロキシエチルカルボニルアセトン、ヒドロキシプロピルカルボニルアセトン、アセト酢酸、アセトプロピオン酸、ジアセト酢酸、3,3−ジアセトプロピオン酸、4,4−ジアセト酪酸、カルボキシエチルカルボニルアセトン、カルボキシプロピルカルボニルアセトン、ジアセトンアルコールが挙げられる。中でも、アセチルアセトン及びジアセチルアセトンがとくに好ましい。上記のアセチルアセトン誘導体と上記金属元素の錯体は、金属元素1個当たりにアセチルアセトン誘導体が1〜4分子配位する単核錯体であり、金属元素の配位可能の手がアセチルアセトン誘導体の配位可能結合手の数の総和よりも多い場合には、水分子、ハロゲンイオン、ニトロ基、アンモニオ基など通常の錯体に汎用される配位子が配位してもよい。
【0055】
好ましい金属錯体の例としては、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、ビス(アセチルアセトナト)アルミニウム・アコ錯塩、モノ(アセチルアセトナト)アルミニウム・クロロ錯塩、ビス(ジアセチルアセトナト)アルミニウム錯塩、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、トリス(アセチルアセトナト)バリウム錯塩、ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、トリス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリス(安息香酸)錯塩、等が挙げられる。これらは水系塗布液での安定性及び、加熱乾燥時のゾルゲル反応でのゲル化促進効果に優れているが、中でも、特にエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ビス(アセチルアセトナト)チタニウム錯塩、ジルコニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。
【0056】
上記した金属錯体の対塩の記載を本明細書においては省略しているが、対塩の種類は、錯体化合物としての電荷の中性を保つ水溶性塩である限り任意であり、例えば硝酸塩、ハロゲン酸塩、硫酸塩、燐酸塩などの化学量論的中性が確保される塩の形が用いられる。
金属錯体のシリカゾルゲル反応での挙動については、J.Sol−Gel.Sci.and Tec.16.209(1999)に詳細な記載がある。反応メカニズムとしては以
下のスキームを推定している。すなわち、塗布液中では、金属錯体は、配位構造を取って安定であり、塗布後の加熱乾燥過程に始まる脱水縮合反応では、酸触媒に似た機構で架橋を促進させるものと考えられる。いずれにしても、この金属錯体を用いたことにより塗布液の経時安定性、並びに導電性層の皮膜面質および高耐久性に優れるものを得られる。
上記の金属錯体触媒は、市販品として容易に入手でき、また公知の合成方法、例えば各金属塩化物とアルコールとの反応によっても得られる。
本発明に係る触媒は、前記ゾルゲル塗布液中に、その不揮発性成分に対して、好ましくは0〜50質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲で使用される。触媒は、単独で用いても二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0057】
(溶剤)
上記のゾルゲル塗布液には、基板上に均一な塗布液膜の形成性を確保するために、所望により、溶剤を含有させてもよい。
このような溶剤としては、例えば、水、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなど)、アルコール系溶剤(例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノールなど)、塩素系溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなど)、芳香族系溶剤(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなど)、エーテル系溶剤(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、グリコールエーテル系溶剤(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなど)等が挙げられる。
【0058】
基板上に形成されたゾルゲル塗布液の塗布液膜中においては、特定アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記塗布液膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
非感光性マトリックスとしては、上述のゾルゲル硬化物が、膜強度の高い導電性層が得られる点で好ましい。
【0059】
(感光性マトリックス)
次に、感光性マトリックスについて説明する。
感光性マトリックスの好ましい例としては、リソグラフィック・プロセスに好適なフォトレジスト組成物が挙げられる。マトリックスとしてフォトレジスト組成物を含む場合には、導電性領域と非導電性領域とをパターン状に有する導電性層を、リソグラフィック・プロセスにより形成することが可能となる点で好ましい。このようなフォトレジスト組成物のうち、特に好ましいものとして、透明性および柔軟性に優れ、かつ基材との接着性に優れた導電性層が得られるという点から、光重合性組成物が挙げられる。以下、この光重合性組成物について説明する。
【0060】
(光重合性組成物)
光重合性組成物は、(a)付加重合性不飽和化合物と、(b)光に照射されるとラジカルを発生する光重合開始剤とを基本成分として含み、更に所望により(c)バインダー、(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤を含むものである。
以下、これらの成分について、説明する。
【0061】
[(a)付加重合性不飽和化合物]
成分(a)の付加重合性不飽和化合物(以下、「重合性化合物」ともいう。)は、ラジカルの存在下で付加重合反応を生じて高分子化される化合物であり、通常、分子末端に少なくとも一つの、より好ましくは二つ以上の、更に好ましくは四つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物が使用される。
これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物などの化学的形態をもつ。
このような重合性化合物としては、種々のものが知られており、それらは成分(a)として使用することができる。
このうち、特に好ましい重合性化合物としては、膜強度の観点から、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
成分(a)の含有量は、前述の金属導電性繊維を含む組成物の固形分の総質量を基準として、2.6質量%以上37.5質量%以下であることが好ましく、5.0質量%以上20.0質量%以下であることがより好ましい。
【0062】
[(b)光重合開始剤]
成分(b)の光重合開始剤は、光に照射されるとラジカルを発生する化合物である。このような光重合開始剤には、光照射により、最終的には酸となる酸ラジカルを発生する化合物及びその他のラジカルを発生する化合物などが挙げられる。以下、前者を「光酸発生剤」と呼び、後者を「光ラジカル発生剤」と呼ぶ。
−光酸発生剤−
光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0063】
このような光酸発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジ−又はトリ−ハロメチル基を少なくとも一つ有するトリアジン又は1,3,4−オキサジアゾール、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルハライド、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートなどが挙げられる。これらの中でも、スルホン酸を発生する化合物であるイミドスルホネート、オキシムスルホネート、o−ニトロベンジルスルホネートが特に好ましい。
また、活性光線又は放射線の照射により酸ラジカルを発生する基、あるいは化合物を樹脂の主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号の各公報等に記載の化合物を用いることができる。
更に、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等の各明細書に記載の化合物も、酸ラジカル発生剤として使用することができる。
【0064】
−光ラジカル発生剤−
光ラジカル発生剤は、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応若しくは水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生する機能を有する化合物である。光ラジカル発生剤としては、波長200nm〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
このような光ラジカル発生剤としては、多数の化合物が知られており、例えば特開2008−268884号公報に記載されているようなカルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、が挙げられる。これらは目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシムエステル化合物、及びアシルホスフィン(オキシド)化合物が露光感度の観点から特に好ましい。
【0065】
前記ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセトフェノン化合物としては、例えば2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。市販品の具体例としては、BASF社製のイルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア907などが好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
前記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、米国特許第4,311,783号、米国特許第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記オキシムエステル化合物としては、例えばJ.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。具体例としては、BASF社製のイルガキュアOXE−01、OXE−02等が好適である。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、例えばBASF社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0068】
光ラジカル発生剤としては、露光感度と透明性の観点から、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジンが特に好ましい。
【0069】
成分(b)の光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよく、その含有量は、金属導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。このような数値範囲において、後述の導電性領域と非導電性領域とを含むパターンを導電性層に形成する場合に、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0070】
[(c)バインダー]
バインダーとしては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えばカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。
これらの中でも、有機溶剤に可溶でアルカリ水溶液に可溶なものが好ましく、また、解離性基を有し、塩基の作用により解離性基が解離した時にアルカリ可溶となるものが特に好ましい。ここで、解離性基とは、塩基の存在下で解離することが可能な官能基を表す。
前記バインダーの製造には、例えば公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。前記ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めることができる。
【0071】
前記線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましい。
前記側鎖にカルボン酸を有するポリマーとしては、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等であり、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。
これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が特に好ましい。
更に、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体や(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレート/他のモノマーからなる多元共重合体も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0072】
前記以外にも、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体、などが挙げられる。
前記アルカリ可溶性樹脂における具体的な構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、該(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体とが好適である。
【0073】
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、例えばアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。これらは、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート又はアリール(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ただし、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
前記バインダーの重量平均分子量は、アルカリ溶解速度、膜物性等の点から、1,000〜500,000が好ましく、3,000〜300,000がより好ましく、5,000〜200,000が更に好ましい。
ここで、前記重量平均分子量は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて求めることができる。
成分(c)のバインダーの含有量は、前述の金属導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜85質量%がより好ましく、20質量%〜80質量%が更に好ましい。前記好ましい含有量範囲であると、現像性と金属導電性繊維の導電性の両立が図れる。
【0076】
[(d)その他、上記成分(a)〜(c)以外の添加剤]
上記成分(a)〜(c)以外のその他の添加剤としては、例えば、増感剤、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤、溶媒、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
(d−1)連鎖移動剤
連鎖移動剤は、光重合性組成物の露光感度向上のために使用されるものである。このような連鎖移動剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどのN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、N−フェニルメルカプトベンゾイミダゾール、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンなどの複素環を有するメルカプト化合物、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの脂肪族多官能メルカプト化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
連鎖移動剤の含有量は、前述の金属導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、0.01質量%〜15質量%が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.5質量%〜5質量%が更に好ましい。
【0078】
(d−2)架橋剤
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成し、導電性層を硬化させる化合物で、例えばメチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物もしくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物、などが挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、前記オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
なお、架橋剤としてエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物を用いる場合、当該架橋剤も、また、前記(c)重合性化合物に包含され、その含有量は、本発明における(c)重合性化合物の含有量に含まれることを考慮すべきである。
架橋剤の含有量は、前述の金属導電性繊維を含む光重合性組成物の固形分の総質量を基準として、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
【0079】
(d−3)分散剤
分散剤は、光重合性組成物中における前述の金属導電性繊維が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、前記金属導電性繊維を分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に金属導電性繊維に吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
なお、分散剤として高分子分散剤を、前記金属導電性繊維の製造に用いたもの以外をさらに別に添加する場合、当該高分子分散剤も、また、前記成分(c)のバインダーに包含され、その含有量は、前述の成分(c)の含有量に含まれることを考慮すべきである。
分散剤の含有量としては、成分(c)のバインダー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属導電性繊維の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
【0080】
(d−4)溶媒
溶媒は、前述の金属導電性繊維を含む光重合性組成物を基材表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲で含有させることが好ましい。
【0081】
その他、マトリックスとしては、前述の金属導電性繊維の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリックスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
【0082】
前述の導電性層を基材上に形成する方法としては一般的な塗布方法で行うことができ、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
【0083】
<<中間層>>
導電性部材は、基材と導電性層との間に少なくとも一層の中間層を有することが好ましい。基材と導電性層との間に中間層を設けることにより、基材と導電性層との密着性、導電性層の全光透過率、導電性層のヘイズ、及び導電性層の膜強度のうちの少なくとも一つの向上を図ることが可能となる。
中間層としては、基材と導電性層との接着力を向上させるための接着剤層、導電性層に含まれる成分との相互作用により機能性を向上させる機能性層などが挙げられ、目的に応じて適宜設けられる。
【0084】
図1は、本発明の第一の実施形態に係る導電性部材1を示す概略断面図である。図1において、基材10と導電性層20との間に、基材10との親和性に優れた第1の接着層31と、導電性層20との親和性に優れた第2の接着層32とを含む中間層30を備える。
図2は、本発明の第二の実施形態に係る導電性部材2を示す概略断面図である。図2において、基材10と導電性層20との間に、前記第1の実施形態と同様の第1の接着層31及び第2の接着層32に加え、導電性層20に隣接して機能性層33を備えて構成される中間層30を有する。本明細書における中間層30は、前記第1の接着層31、第2の接着層32、及び、機能性層33から選択される少なくとも1層を含んで構成される層をさす。
【0085】
中間層30に使用される素材は特に限定されず、上記の特性のいずれか少なくとも一つを向上させるものであればよい。
例えば、中間層として接着層を備える場合、接着剤に使用されるポリマー、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、Siのアルコキシド化合物を加水分解および重縮合させて得られるゾルゲル膜などから選ばれる素材が含まれる。
また、導電性層と接する中間層(即ち、中間層30が単層の場合には、当該中間層が、そして中間層30が複数の層を含む場合には、そのうちの導電性層と接する中間層)が、当該導電性層20に含まれる金属導電性繊維と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む機能性層33であることが、全光透過率、ヘイズ、及び膜強度に優れた導電性層が得られることから好ましい。このような中間層を有する場合においては、導電性層20が金属導電性繊維と有機高分子とを含むものであっても、膜強度に優れた導電性層が得られる。
【0086】
この作用は明確ではないが、導電性層20に含まれる金属導電性繊維と相互作用可能な官能基を有する化合物を含む中間層を設けることで、導電性層に含まれる金属導電性繊維と中間層に含まれる上記の官能基を有する化合物との相互作用により、導電性層における導電性材料の凝集が抑制され、均一分散性が向上し、導電性層中における導電性材料の凝集に起因する透明性やヘイズの低下が抑制されるとともに、密着性に起因して膜強度の向上が達成されるものと考えられる。このような相互作用性を発現しうる中間層を、以下、機能性層と称することがある。機能性層は、導電性材料との相互作用によりその効果を発揮することから、本発明における前述の三次元架橋構造を有する導電性層のみならず、金属導電性繊維と有機高分子とを含む導電性層と隣接して設けられても、その効果を発現する。
【0087】
上記の金属導電性繊維と相互作用可能な官能基としては、例えば金属導電性繊維が銀ナノワイヤーの場合には、アミド基、アミノ基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。さらに好ましくは、アミノ基、メルカプト基、リン酸基、ホスホン酸基又はそれらの塩であることが好ましく、最も好ましくはアミノ基である。
上記のような官能基を有する化合物としては、例えばウレイドプロピルトリエトキシシラン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミドなどのようなアミド基を有する化合物、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ブタンジアミン四塩酸塩、スペルミン、ジエチレントリアミン、m−キシレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどのようなアミノ基を有する化合物、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトベンゾチアゾール、トルエン−3,4−ジチオールなどのようなメルカプト基を有する化合物、例えばポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)などのようなスルホン酸またはその塩の基を有する化合物、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、テレフタル酸、ケイ皮酸、フマル酸、コハク酸などのようなカルボン酸基を有する化合物、例えばホスマーPE、ホスマーCL、ホスマーM、ホスマーMH、およびそれらの重合体、ポリホスマーM−101、ポリホスマーPE−201、ポリホスマーMH−301などのようなリン酸基を有する化合物、例えばフェニルホスホン酸、デシルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸などのようなホスホン酸基を有する化合物が挙げられる。
これらの官能基を選択することで、導電性層形成用の塗布液を塗布後、金属導電性繊維と中間層に含まれる官能基とが相互作用を生じて、乾燥する際に金属導電性繊維が凝集するのを抑制し、金属導電性繊維が均一に分散された導電性層を形成することができる。
【0088】
中間層は、中間層を構成する化合物が溶解した、もしくは分散、乳化した液を基板上に塗布し、乾燥することで形成することができ、塗布方法は一般的な方法を用いることができる。その方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、などが挙げられる。
【0089】
<<導電性層形成用積層体>>
導電性層を基材上に形成する別の方法としては、別途、前述の導電性層を転写用基材表面に形成した導電性層形成用積層体を準備しておき、この積層体の導電性層を、任意の基材表面に転写する方法が含まれる。
このような導電性層形成用積層体は、上記のとおり転写用基材上に導電性層を形成した構成を基本構成とするが、必要に応じて、転写用基材と導電性層の間に、クッション層、中間層又はこれら両者の層をこの順で形成した構成、更には、導電性層上にカバーフィルムを形成した構成であってもよい。
転写用基材表面に前述の導電性層を形成する方法は、上記に記載した基材上に導電性層を形成する方法の場合と同様の塗布方法で行うことができる。
【0090】
<転写用基材>
前記転写用基材の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート(フィルム)状、板状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記転写用基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明ガラス、合成樹脂、金属、セラミックス、半導体基板として使用されるシリコンウェハなどが挙げられる。転写用基板の表面には、所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
前記透明ガラスとしては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。このような透明ガラスを使用した転写用基材の場合、その厚みが10μm〜数百μmの薄層ガラス板でもよい。
前記合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミドなどが挙げられる。
前記金属としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどが挙げられる。
【0091】
前記転写用基材の全可視光透過率としては、70%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。前記全可視光透過率が、70%未満であると、透過率が低く実用上問題となることがある。
なお、本発明では、転写用基材として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
前記転写用基材の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
前記平均厚みが、上記範囲において、ハンドリングが良好であり、可撓性に優れることから、転写均一性が良好となる。
【0092】
<クッション層>
導電性層形成用積層体は、転写用基材と感光性層との間に、転写性向上のためクッション層を有していてもよい。クッション層の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状なとすることができる。
構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられ、大きさ及び厚みは、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記クッション層は、被転写体との転写性を向上させる役割を果たす層であり、少なくともポリマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0093】
クッション層に用いられるポリマーとしては、加熱時に軟化する熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニルゼラチン;セルロースナイトレート、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アルキル(炭素数1〜4)アクリレート、ビニルピロリドン等を含むホモポリマー又は共重合体、可溶性ポリエステル、ポリカーボネート、可溶性ポリアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記クッション層に用いるポリマーは、加熱により軟化する熱可塑性樹脂が好ましい。クッション層のガラス転移温度は40℃から150℃であることが好ましい。40℃より低いと室温で軟らかすぎてハンドリング性に劣ることがあり、150℃より高いと熱ラミネート方式でクッション層が軟化せず導電層の転写性が劣ることがある。また可塑剤等の添加により、ガラス転移温度を調整してもよい。
【0094】
クッション層に含ませることができる、前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フィラー、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種添加剤などが挙げられる。また、特開平5−72724号公報の段落0007以降に記載されている有機高分子物質、前記転写用基材との接着力を調節するための各種可塑剤、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤、熱重合禁止剤、溶剤などが挙げられる。
【0095】
前記クッション層は、前記ポリマー、及び必要に応じて前記その他の成分を含有するクッション層用途布液を転写用基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
クッション層の平均厚みは、1μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜30μmであることがより好ましく、5μm〜20μmであることがより好ましい。平均厚みを前記範囲とすることで、均一な転写性が得られ、転写材料のカールバランスも良好となる。
さらに、導電性層とクッション層の合計平均厚みSと、前記転写用基材の平均厚みNとの比(S/N)が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
S/N=0.01〜0.7 式(1)
S/Nは0.02〜0.6の範囲であることがより好ましい。S/Nを、0.01以上とすることで被転写体への転写均一性が良好となり、0.7以下とすることでカールバランスに優れたものとなる。
【0096】
前述の中間層は、導電性層がマトリックスとしてのフォトレジスト組成物を含有する場合に含まれていることが好ましい。この中間層は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等で構成されるものであることが好ましく、その厚さは、0.1μm〜5μmの範囲が適当である。
【0097】
導電性層の膜厚(平均厚み)は、0.001μm〜2μmであることが好ましく、0.005μm〜1μmであることがより好ましい。前記平均厚みを0.001μm以上とすることで導電性の面内分布が均一とされ、2μm以下とすることで良好な透明性が得られる。
【0098】
前述のカバーフィルムは、導電性層形成用積層体を単体として取り扱う際に、導電性層が汚染されたり、傷つけられたりすることから保護することを目的に設けられる。このカバーフィルムは、基材上に上記積層体をラミネートする前に剥離される。
カバーフィルムとしては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が好ましく、その厚さは、20μm〜200μmの範囲が適当である。
【0099】
<導電性層の形状>
本発明に係る導電性部材における、基材表面に垂直な方向から観察した場合の形状としては、導電性層の全領域が導電性領域である(以下、この導電性層を「非パターン化導電性層」ともいう。)第一の態様、及び導電性層が導電性領域と非導電性領域とを含む(以下、この導電性層を「パターン化導電性層」ともいう。)第二の態様の何れであっても良い。第二の態様の場合には、非導電性領域に金属導電性繊維が含まれていても含まれていなくても良い。非導電性領域に金属導電性繊維が含まれている場合、非導電性領域に含まれる金属導電性繊維は断線される。
第一の態様に係る導電性部材は、例えば太陽電池の透明電極として使用することができる。
また、第二の態様に係る導電性部材は、例えばタッチパネルを作成する場合に使用される。この場合、所望の形状を有する導電性領域と非導電性領域が形成される。
【0100】
〔導電性領域と非導電性領域とを含む導電性層(パターン化導電性層)〕
パターン化導電性層は、例えば下記パターニング方法により製造される。
(1)予め非パターン化導電性層を形成しておき、この非パターン化導電性層の所望の領域に含まれる金属導電性繊維に炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等の高エネルギーのレーザー光線を照射して、金属導電性繊維の一部を断線または消失させて当該所望の領域を非導電性領域とするパターニング方法。この方法は、例えば、特開2010−4496号公報に記載されている。
(2)予め形成した非パターン化導電性層上にフォトレジスト層を設け、このフォトレジスト層に所望のパターン露光および現像を行って、当該パターン状のレジストを形成したのちに、金属導電性繊維をエッチング可能なエッチング液で処理するウェットプロセスか、または反応性イオンエッチングのようなドライプロセスにより、レジストで保護されていない領域の導電性層中の金属導電性繊維をエッチング除去するパターニング方法。この方法は、例えば特表2010−507199号公報(特に、段落0212〜0217)に記載されている。
上記(1)および(2)の方法は、導電性層が金属導電性繊維単独で構成されている場合、及び金属導電性繊維と非感光性のマトリックス(例えば、有機高分子ポリマーなど)とを含む場合に好都合なパターンニング方法である。
【0101】
上記パターン露光に用いる光源は、フォトレジスト組成物の感光波長域との関連で選定されるが、一般的にはg線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましく用いられる。また、青色LEDを用いてもよい。
パターン露光の方法にも特に制限はなく、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービーム等による走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0102】
前記金属導電性繊維を溶解する溶解液としては、金属導電性繊維に応じて適宜選択することができる。例えば金属導電性繊維が銀ナノワイヤーの場合には、所謂写真科学業界において、主にハロゲン化銀カラー感光材料の印画紙の漂白、定着工程に使用される漂白定着液、強酸、酸化剤、過酸化水素などが挙げられる。これらの中でも、は漂白定着液、希硝酸、過酸化水素が特に好ましい。なお、前記金属導電性繊維を溶解する溶解液による銀ナノワイヤーの溶解は、溶解液を付与した部分の銀ナノワイヤーを完全に溶解しなくてもよく、導電性が消失していれば一部が残存していてもよい。
前記希硝酸の濃度は、1質量%〜20質量%であることが好ましい。
前記過酸化水素の濃度は、3質量%〜30質量%であることが好ましい。
【0103】
前記漂白定着液としては、例えば特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。
漂白定着時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましく、90秒間以下5秒間以上が更に好ましい。また、水洗又は安定化時間は、180秒間以下が好ましく、120秒間以下1秒間以上がより好ましい。
前記漂白定着液としては、写真用漂白定着液であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、富士フイルム株式会社製CP−48S、CP−49E(カラーペーパー用漂白定着剤)、コダック社製エクタカラーRA漂白定着液、大日本印刷株式会社製漂白定着液D−J2P−02−P2、D−30P2R−01、D−22P2R−01などが挙げられる。これらの中でも、CP−48S、CP−49Eが特に好ましい。
【0104】
前記金属導電性繊維を溶解する溶解液の粘度は、25℃で、5mPa・s〜300,000mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜150,000mPa・sであることがより好ましい。前記粘度を、5mPa・sとすることで、溶解液の拡散を所望の範囲に制御することが容易となって、導電性領域と非導電性領域との境界が明瞭なパターニングが確保され、他方、300,000mPa・s以下とすることで、溶解液の印刷を負荷なく行うことが確保されると共に、金属導電性繊維の溶解に要する処理時間を所望の時間内で完了させることができる。
【0105】
前記金属導電性繊維を溶解する溶解液のパターン状の付与としては、溶解液をパターン状に付与できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、予めレジスト剤などによりエッチングマスクを形成しておきその上に溶解液をコーター塗布、ローラー塗布、ディッピング塗布、スプレー塗布する方法、などが挙げられる。これらの中でも、スクリーン印刷、インクジェット印刷、コーター塗布、ディップ(浸漬)塗布が特に好ましい。
前記インクジェット印刷としては、例えばピエゾ方式及びサーマル方式のいずれも使用可能である。
【0106】
前記パターンの種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、文字、記号、模様、図形、配線パターン、などが挙げられる。
前記パターンの大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナノサイズからミリサイズのいずれの大きさであっても構わない。
【0107】
本発明に係る導電性部材は、表面抵抗が1000Ω/□以下となるように調整されることが好ましい。
上記表面抵抗は、本発明に係る導電性部材における導電性層の基材側とは反対側の表面を四探針法)により測定された値である。四探針法による表面抵抗の測定方法は、例えばJIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、市販の表面抵抗率計を用いて、簡便に測定することができる。表面抵抗を1000Ω/□以下とするには、導電性層に含まれる金属導電性繊維の種類および含有比率の少なくとも一つを調整すればよい。より具体的には、前述のように、前記一般式(II)で示される化合物と金属導電性繊維の含有比率を調製することにより、所望の範囲の表面抵抗を有する導電性層を形成することができる。
本発明に係る導電性部材の表面抵抗は、0.1Ω/□〜900Ω/□の範囲とすることが更に好ましい。
【0108】
本発明に係る導電性部材はヘイズが低いので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子パーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、液晶表示装置、タッチパネル機能付表示装置、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、タッチパネルおよび太陽電池への適用が特に好ましい。
【0109】
<<タッチパネル>>
本発明に係る導電性部材は、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどに適用される。ここで、タッチパネルとは、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基材の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパーあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
【0110】
前記表面型静電容量方式タッチパネルについては、例えば特表2007−533044号公報に記載されている。
【0111】
<<太陽電池>>
本発明に係る導電性部材は、集積型太陽電池(以下、太陽電池デバイスと称することもある)における透明電極として有用である。
集積型太陽電池としては、特に制限はなく、太陽電池デバイスとして一般的に用いられるものを使用することができる。例えば、単結晶シリコン系太陽電池デバイス、多結晶シリコン系太陽電池デバイス、シングル接合型、又はタンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電池デバイス、カドミウムテルル(CdTe)等のII−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイス、色素増感型太陽電池デバイス、有機太陽電池デバイスなどが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、前記太陽電池デバイスが、タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイス、及び銅/インジウム/セレン系(いわゆる、CIS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン系(いわゆる、CIGS系)、銅/インジウム/ガリウム/セレン/硫黄系(いわゆる、CIGSS系)等のI−III−VI族化合物半導体太陽電池デバイスであることが好ましい。
【0112】
タンデム構造型等で構成されるアモルファスシリコン系太陽電池デバイスの場合、アモルファスシリコン、微結晶シリコン薄膜層、また、これらにGeを含んだ薄膜、更に、これらの2層以上のタンデム構造が光電変換層として用いられる。成膜はプラズマCVD等を用いる。
【0113】
本発明に係る導電性部材は、前記全ての太陽電池デバイスに関して適用できる。導電性部材は、太陽電池デバイスのどの部分に含まれてもよいが、光電変換層に隣接して導電性層が配置されていることがいることが好ましい。光電変換層との位置関係に関しては下記の構成が好ましいが、これに限定されるものではない。また、下記に記した構成は太陽電池デバイスを構成する全ての部分を記載しておらず、前記透明導電層の位置関係が分かる範囲の記載としている。ここで、[ ]で括られた構成が、本発明に係る導電性部材に相当する。
(A)[基材−導電性層]−光電変換層
(B)[基材−導電性層]−光電変換層−[導電性層−基材]
(C)基板−電極−光電変換層−[導電性層−基材]
(D)裏面電極−光電変換層−[導電性層−基材]
このような太陽電池の詳細については、例えば特開2010−87105号公報に記載されている。
【実施例】
【0114】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の含有率としての「%」、及び、「部」は、いずれも質量基準に基づくものである。
以下の例において、金属ナノワイヤーの平均直径(平均短軸長)及び平均長軸長、短軸長の変動係数、並びに、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率は、以下のようにして測定した。
【0115】
<銀ナノワイヤーの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の銀ナノワイヤーを観察し、銀ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さを求めた。
【0116】
(実施例1)
<銀ナノワイヤーの短軸長の変動係数>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、銀ナノワイヤーの短軸長さを300個観察し、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長さが50nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上である銀ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率(%)として求めた。
なお、銀ナノワイヤーの比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
<アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、銀ナノワイヤーの短軸長を300個観察し、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長が50nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上である銀ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率(%)として求めた。
なお、銀ナノワイヤーの比率を求める際の銀ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
【0117】
<銀ナノワイヤー水分散液1の調製>
予め、下記の添加液A、G、及びHを調製した。
〔添加液A〕
硝酸銀粉末0.51gを純水50mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
〔添加液G〕
グルコース粉末0.5gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
〔添加液H〕
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤー水分散液1を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、上記添加液Hの82.5mL、及び上記添加液Gの206mLをロートにて添加した(一段目)。この液に、上記添加液Aの206mLを流量2.0mL/分、攪拌回転数800rpmで添加した(二段目)。その10分間経過後、上記添加液Hの82.5mLを添加した(三段目)。その後、3℃/分で内温75℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、5時間加熱し、室温まで冷却することで銀ナノワイヤーの合成を行った。
【0118】
限外ろ過モジュールSIP1013(旭化成株式会社製、分画分子量6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続し、限外ろ過装置とした。上記で得られた銀ナノワイヤーの反応液1Lをステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外ろ過を行った。モジュールからのろ液が100mLになった時点で、ステンレスカップに100mLの蒸留水を加える洗浄操作を60回繰り返した後、濃縮を行い、銀ナノワイヤー水分散液1を得た。
【0119】
得られた銀ナノワイヤー水分散液1中の銀ナノワイヤーについて、平均短軸長、平均長軸長、アスペクト比が10以上の銀ナノワイヤーの比率、及び銀ナノワイヤー短軸長の変動係数を測定した。結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
<IRスペクトルによるグルコースの同定と定量>
得られた銀ナノワイヤー水分散液1を遠心分離し、上澄みを乾固して得られた粉末のIRスペクトルにおいて、1050cm−1近傍と1350cm−1近傍にグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認した。別途標品を用いて検量線を作成し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.01%存在することを確認した。
【0122】
<銀ナノワイヤー水分散液2の調製>
銀ナノワイヤー水分散液1の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄操作を65回行って、銀ナノワイヤー水分散液2を調製した。この銀ナノワイヤー水分散液2について、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.005%存在することを確認した。
<銀ナノワイヤー水分散液3の調製>
銀ナノワイヤー水分散液1の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄操作を55回行って、銀ナノワイヤー水分散液3を調製した。この銀ナノワイヤー水分散液3について、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.05%存在することを確認した。
【0123】
<銀ナノワイヤー水分散液C1の調製>
銀ナノワイヤー水分散液1の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄操作を90回行って、銀ナノワイヤー水分散液C1を調製した。この銀ナノワイヤー水分散液C1について、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認したところ、グルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される1050cm−1近傍と1350cm−1近傍の吸収が確認されず、グルコースもしくはグルコース誘導体の存在は確認できなかった。
<銀ナノワイヤー水分散液C2の調製>
銀ナノワイヤー水分散液C1の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄操作を40回行って、銀ナノワイヤー水分散液C2を調製した。この銀ナノワイヤー水分散液C2について、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.1%存在することを確認した。
【0124】
<銀ナノワイヤー水分散液4の調製>
上記の銀ナノワイヤー水分散液C1に、分散液中の銀に対して0.01%となるようにグルコースを添加して、銀ナノワイヤー水分散液4を得た。
<銀ナノワイヤー水分散液5の調製>
銀ナノワイヤー水分散液4の調製の同様にして、但し、グルコースの代わりにフルクトースを用いて銀ナノワイヤー水分散物5を得た。
<銀ナノワイヤー水分散液6の調製>
銀ナノワイヤー水分散液1の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄操作の代わりに、遠心分離による洗浄を行うことで、銀ナノワイヤー水分散液6を得た。遠心分離による洗浄操作は、得られた水分散物を遠心分離し、全体重量のおよそ90%に相当する上澄みを除去し、改めて純水を加えて分散する工程を3回繰り返した。銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.01%存在することを確認した。
【0125】
<銀ナノワイヤー水分散液C3の調製>
エチレングリコール30mLを三口フラスコに入れ160℃に加熱した。その後、36mMのPVP(K−55)、3μMのアセチルアセトナート鉄、60μMの塩化ナトリウムエチレングリコール溶液18mLと、24mMの硝酸銀エチレングリコール溶液18mLを毎分1mLの速度で添加した。160℃で60分間加熱後、室温まで冷却した。
引き続き、銀ナノワイヤー水分散液1の調製の場合と同様に、限外ろ過による洗浄を行うことで、銀ナノワイヤー水分散液C3を得た。
得られた銀ナノワイヤー水分散液C3中の銀ナノワイヤーは、平均短軸長が110nm、平均長軸長が32μmであった。
【0126】
<銀ナノワイヤー水分散液7の調製>
銀ナノワイヤー水分散液C3に、分散液中の銀に対して0.01%となるようにグルコースを添加して、銀ナノワイヤー水分散液7を得た。
<銀ナノワイヤー水分散液8の調製>
エチレングリコール30mLを三口フラスコに入れ160℃に加熱した。その後、36mMのPVP(K−55)、3μMのアセチルアセトナート鉄、60μMの塩化ナトリウムエチレングリコール溶液18mLと、40mMのグルコースエチレングリコール溶液18mLと、24mMの硝酸銀エチレングリコール溶液18mLを毎分1mLの速度で添加した。160℃で60分間加熱後、室温まで冷却した。
引き続き、洗浄回数を65回とすること以外は、銀ナノワイヤー水分散液C3の調製における場合と同様に限外ろ過による洗浄を行うことで、銀ナノワイヤー水分散液8を得た。
得られた銀ナノワイヤー水分散液8中の銀ナノワイヤーは、平均短軸長が115nm、平均長軸長が31μmであった。更に、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.1%存在することを確認した。
【0127】
<銀ナノワイヤー水分散液C4の調製>
銀ナノワイヤー水分散液8の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄操作を95回行って、銀ナノワイヤー水分散液C4を調製した。この銀ナノワイヤー水分散液C4について、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認したところ、グルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される1050cm−1近傍と1350cm−1近傍の吸収が確認されず、グルコースもしくはグルコース誘導体の存在は確認できなかった。
【0128】
<銀ナノワイヤー水分散液9の調製>
テフロン(登録商標)製内筒へ30mLの脱イオン水を入れ、これに銀塩原料として0.02モル/L硝酸銀水溶液5mLと塩素含有物として0.2モル/L塩化ナトリウム水溶液1.0mLを滴下し、単糖の還元剤としてグルコースを0.4ミリモル添加した。その後、テフロン(登録商標)製内筒をステンレス製の耐圧反応器へ入れた後、160℃にて24時間反応させた。
引き続き、洗浄回数を70回とすること以外は銀ナノワイヤー水分散液1の調製における場合と同様に限外ろ過による洗浄を行うことで、銀ナノワイヤー水分散液9を得た。
得られた銀ナノワイヤー水分散液9中の銀ナノワイヤーは、平均短軸長が186nm、平均長軸長が34μmであった。更に、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認し、グルコースもしくはグルコース誘導体が分散液中のAgに対して0.01%存在することを確認した。
【0129】
<銀ナノワイヤー水分散液C5の調製>
銀ナノワイヤー水分散液9の調製と同様にして、但し、限外ろ過による洗浄回数を100回として、銀ナノワイヤー水分散液C5を得た。この銀ナノワイヤー水分散液C5について、銀ナノワイヤー水分散液1の場合と同様にしてグルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される吸収を確認したところ、グルコースもしくはグルコース誘導体に帰属される1050cm−1近傍と1350cm−1近傍の吸収が確認されず、グルコースもしくはグルコース誘導体の存在は確認できなかった。
【0130】
<銀ナノワイヤー水分散液10の調製>
銀ナノワイヤー水分散液C5に、分散液中の銀に対して0.01%となるようにグルコースを添加して、銀ナノワイヤー水分散液10を得た。
【0131】
<<導電性部材の作製>>
<導電性部材1の作製>
−図1に示す構成を有するPET基板101の作製−
下記の配合で接着用溶液1を調製した。
[接着用溶液1]
・タケラックWS−4000 5.0部
(コーティング用ポリウレタン、固形分濃度30%、三井化学(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.3部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
・水 94.4部
【0132】
厚さ125μmのPETフィルム10の一方の表面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電処理を施した表面に、上記の接着用溶液1を塗布し120℃で2分間乾燥させて、厚さが0.11μmの第1の接着層31を形成した。
【0133】
以下の配合で、接着用溶液2を調製した。
[接着用溶液2]
・テトラエトキシシラン 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3.2部
(KBM−403、信越化学工業(株)製)
・2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン 1.8部
(KBM−303、信越化学工業(株)製)
・酢酸水溶液(酢酸濃度=0.05%、pH=5.2) 10.0部
・硬化剤 0.8部
(ホウ酸、和光純薬工業(株)製)
・コロイダルシリカ 60.0部
(スノーテックスO、平均粒子径10nm〜20nm、固形分濃度20%、
pH=2.6、日産化学工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(ナローアクティHN−100、三洋化成工業(株)製)
・界面活性剤 0.2部
(サンデットBL、固形分濃度43%、三洋化成工業(株)製)
【0134】
接着用溶液2は、以下の方法で調製した。酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、この酢酸水溶液中に3分間かけて滴下した。次に、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを酢酸水溶液中に強く攪拌しながら3分間かけて添加した。次に、テトラメトキシシランを、酢酸水溶液中に強く攪拌しながら5分かけて添加し、その後2時間攪拌を続けた。次に、コロイダルシリカと、硬化剤と、界面活性剤とを順次添加し、接着用溶液2を調製した。
【0135】
前述の第1の接着層31の表面をコロナ放電処理したのち、その表面に、上記の接着用溶液2をバーコート法により塗布し、170℃で1分間加熱して乾燥し、厚さ0.5μmの第2の接着層32を形成して、図1に示す構成を有するPET基板101を得た。
【0136】
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認した。得られたゾルゲル溶液3.44部と前記の銀ナノワイヤー水分散液1の16.56部を混合し、さらに蒸留水で希釈してゾルゲル塗布液1を得た。上記のPET基板101の第2の接着層32の表面にコロナ放電処理を施し、その表面にバーコート法で銀量が0.020g/m、全固形分塗布量が0.150g/mとなるように上記ゾルゲル塗布液1を塗布したのち、175℃で1分間乾燥してゾルゲル反応を起こさせて、導電性層20を形成した。かくして、図1の断面図で示される構成を有する導電性部材1を得た。導電性層における化合物(II)/金属導電性繊維の質量比は6.5/1となった。
<アルコキシド化合物の溶液>
・テトラエトキシシラン(化合物(II)) 5.0部
(KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1%酢酸水溶液 10.0部
・蒸留水 4.0部
【0137】
<導電性部材2〜9及び導電性部材C1〜C5の作製>
導電性部材1の作製と同様にして、但し、ゾルゲル塗布液1の調製に使用した銀ナノワイヤー水分散液1の代わりに、銀ナノワイヤー水分散液2〜8または銀ナノワイヤー水分散液C1〜C5を使用して、それぞれ導電性部材2〜9及び導電性部材C1〜C5を作製した。
【0138】
<<パターニング>>
上記で得られた各導電性部材について、以下の方法によりパターニング処理を行った。スクリーン印刷は、ミノグループ社製WHT−3型とスキージNo.4イエローを使用した。パターニングを形成するための銀ナノワイヤーの溶解液はCP−48S−A液と、CP−48S−B液(いずれも、富士フイルム社製)と、純水とを1:1:1となるように混合し、ヒドロキシエチルセルロースで増粘させて形成し、スクリーン印刷用のインクとした。使用したパターンメッシュはストライプパターン(ライン/スペース=50μm/50μm)を用いた。上記パターニング処理を行い、導電性領域と非導電性領域とを有する導電性層を含む、パターン化された導電性部材を得た。これらをパターン化導電性部材1〜9及び導電性部材C1〜C5と呼ぶ。
【0139】
<<評価>>
得られた各導電性部材について、下記の方法で表面抵抗値、全光透過率、およびヘイズ値を測定し、下記のランクで評価した。評価結果を表2に示す。
【0140】
<表面抵抗値>
導電性層の表面抵抗を、三菱化学株式会社製Loresta−GP MCP−T600を用いて測定し、下記のランク付けを行った。
・ランク5:表面抵抗値 30Ω/□未満で、極めて優秀なレベル
・ランク4:表面抵抗値 30Ω/□以上、60Ω/□未満で、優秀なレベル
・ランク3:表面抵抗値 60Ω/□以上、200Ω/□未満で、許容レベル
・ランク2:表面抵抗値 200Ω/□以上、1000Ω/□未満で、やや問題なレベル
・ランク1:表面抵抗値 1000Ω/□以上で、問題なレベル。
【0141】
<全光透過率>
導電性部材の全光透過率(%)と、導電性層20を形成する前のPET基板101の全光透過率(%)をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定し、その比から全光透過率を換算し、下記のランク付けを行った。測定はC光源下のCIE視感度関数yについて、測定角0°で測定し、下記のランク付けを行った。
・ランクA:透過率90%以上で、良好なレベル
・ランクB:透過率85%以上90%未満で、やや問題なレベル
【0142】
<ヘイズ値>
得られた後の導電膜の矩形ベタ露光領域のヘイズ値をガードナー社製のヘイズガードプラスを用いて測定し、下記のランク付けを行った。
・ランクS:ヘイズ値0.5%以上1.0未満で、極めて優秀なレベル。ランクSについては、ヘイズ値の数値を併せて記載した。
・ランクA:ヘイズ値1.0以上1.5%未満で、優秀なレベル。
・ランクB:へイズ値1.5%以上2.0%未満で、良好なレベル。
・ランクC:へイズ値2.0%以上2.5%未満で、やや問題なレベル。
・ランクD:へイズ値2.0%以上2.5%未満で、問題なレベル。
【0143】
【表2】

【0144】
表2に示された結果から、本発明に係る導電性部材は導電性、全光透過率およびヘイズのすべて、特にヘイズ値が優れていることが理解できる。また、同じ量の単糖類を洗浄率調整で残留させた場合と洗浄後添加した場合とでは、それぞれ、導電性部材1と導電性部材4、導電性部材7と導電性部材8、及び、導電性部材9と導電性部材10を比較すれば明らかなように、わずかながら洗浄率調整で残留させた場合の方がヘイズ値が少ないことから、メカニズムは不明だが、銀を還元するのに使用された、単糖類の酸化物の存在がよりヘイズを改善する効果があるものと推測している。
【0145】
(実施例2)
<<導電性層形成用積層体の調製>>
<クッション層の形成>
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(転写用基材)上に、下記処方1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布し、100℃で2分間乾燥させた後さらに120℃で1分間乾燥させ、乾燥層厚16.5μmの熱可塑性樹脂層から成るクッション層を形成した。ここで、乾燥条件における温度「100℃」及び「120℃」は、いずれも基板温度である。以下の乾燥条件における温度も同様である。
【0146】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の処方1>
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 58.4部
(=55/11.7/4.5/28.8[モル比]、質量平均分子量90,000)
・スチレン/アクリル酸共重合体 136部
(=63/37[モル比]、質量平均分子量8,000)
・2,2−ビス〔4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン
90.7部
・界面活性剤 メガファックF−780−F
(大日本インキ化学工業株式会社製) 5.4部
・メタノール 111部
・1−メトキシ−2−プロパノール 63.4部
・メチルエチルケトン 534部
【0147】
<中間層の形成>
次に、形成したクッション層上に、下記処方2からなる中間層用塗布液を塗布し、80℃で1分間乾燥させた後さらに120℃1分乾燥させて、乾燥層厚1.6μmの中間層を形成した。
【0148】
<中間層用塗布液の処方2>
・ポリビニルアルコール 3.22部
(PVA−205、鹸化率88%、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン 1.49部
(PVP K−30、アイエスピー・ジャパン株式会社製)
・メタノール 42.9部
・蒸留水 52.4部
【0149】
<導電性層の形成>
−銀ナノワイヤーのPGMEA分散液の調製−
前述の銀ナノワイヤー水分散液1の100部に、ポリビニルピロリドン(K−30、東京化成工業株式会社製)1部と、n−プロパノール100部を添加し、セラミックフィルターを用いたクロスフローろ過機(株)日本ガイシ製)にて10部となるまで濃縮した。次いでn−プロパノール100部およびイオン交換水100部を加え、再度クロスフローろ過機にて10部となるまで濃縮する操作を3回繰り返した。さらに後述のバインダー(A−1)を1部およびn−プロパノールを10部加え、遠心分離の後、デカンテーションにて上澄みの溶媒を除去しPGMEAを添加し、再分散を行い、遠心分離から再分散までの操作を3回繰り返し、最後にPGMEAを加え、銀ナノワイヤーのPGMEA分散液を得た。最後のPGMEAの添加量は銀の含有量が、銀2%となるように調節した。分散剤として用いられたポリマーの含有量は0.05%であった。以後、「銀ナノワイヤーPGMEA分散液」と表記する場合は、上記方法で得られた銀ナノワイヤーPGMEA分散液を示す。
【0150】
<光重合性組成物>
以下の組成を有する光重合性組成物を調製した。
・ポリマー:(後述の合成例で得られたバインダー(A−1)、
固形分45%PGMEA溶液) 44.50部
・ポリマー:(前記合成例で得られたバインダー(A−2)、
固形分45%PGMEA、MFG混合溶液) 44.50部
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 8.01部
・光重合開始剤:2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−
[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモ
フェニル]−s−トリアジン 0.79部
・重合禁止剤:フェノチアジン 0.062部
・界面活性剤:メガファックF784F(DIC(株)製)
2.70部
・界面活性剤:ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)
1.00部
・溶媒(PGMEA) 48.42部
・溶媒(MEK) 100.00部
得られた前記光重合性組成物3.21部、前記銀ナノワイヤーPGMEA分散液6.41部、及び、溶媒(PGMEA/MEK=1/1)40.38部を攪拌、混合することによって、光重合性導電性層塗布液を得た。
上記で得られた重合性導電性層塗布液を光重合性組成物の固形分塗布量が0.175g/m、銀量が0.035g/mとなるようにPET基板にバーコートし室温で5分間乾燥した。かくして、導電性層形成用積層体を作製した。ここで非パターン化導電性層における銀量は0.035g/m、光重合性組成物の固形分塗布量は0.175g/mであった。
得られた上記に積層体において、感光性のマトリックスを含む導電性層とクッション層との合計層厚の平均値Sと、転写用基材の厚みの平均値Nの比S/Nの値は0.223であった。
【0151】
<バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分として、AA(9.64g)、BzMA(35.36g)を使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN(0.5g)を使用し、これらを溶剤PGMEA(55.00g)中において重合反応させることによりバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は11000、分子量分布(Mw/Mn)は1.72、酸価は155mgKOH/gであった。
【0152】
【化1】



【0153】
<<導電性部材11の作製>>
上記導電性層形成用積層体を用いて、下記の転写工程、露光工程、現像工程、ポストベイク工程を経ることによって基材上にパターン化導電性層を有する導電性部材11を作製した。
【0154】
(転写工程)
調整例4で得られたPET基板表面と、上記導電性層形成用積層体の非パターン化導電性層の表面とが接するように重ね合わせてラミネートし、PET(転写用基材)/クッション層/中間層/非パターン化導電性層/PET(基材)の積層構造を有する積層体を形成した。
次に、上記積層体からPET(転写用基材)を剥離した。
【0155】
(露光工程)
PET(基材)上の非パターン化導電性層に対し、クッション層及び中間層を介して超高圧水銀灯i線(365nm)を用いて、露光量40mJ/cm2で露光した。ここで感光性層の露光はクッション層側から、マスクを介して行い、マスクは導電性、光学特性、膜強度評価用の均一露光部およびパターニング性評価用のストライプパターン(ライン/スペース=50μm/50μm)を有していた。
【0156】
(現像工程)
露光後の試料に、1%トリエタノールアミン水溶液を付与して熱可塑性樹脂層(クッション層)および中間層を溶解除去した。これらの層を完全に除去できる最短除去時間は30秒間であった。
次に、炭酸Na系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン性界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士フイルム(株)製)を用い、20℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像し、室温乾燥させた。次いで、100℃、15分熱処理を施し、導電性部材11を得た。
この導電性部材11について、実施例1の場合と同様にして表面抵抗値、全光透過率及びヘイズ値を評価した。その結果、表面抵抗値は5、全光透過率はA、及び、ヘイズ値はS(0.85%)であり、導電性部材として優れていることが確認された。
【0157】
(実施例3)
<集積型太陽電池の作製>
−アモルファス太陽電池(スーパーストレート型)の作製−
ガラス基板上に、導電性部材1と同様にして導電性層を形成し、透明導電膜を形成した。但し、パターニング処理は行わず全面均一な透明導電膜とした。その上部にプラズマCVD法により膜厚約15nmのp型、膜厚約350nmのi型、膜厚約30nmのn型アモルファスシリコンを形成し、裏面反射電極としてガリウム添加酸化亜鉛層20nm、銀層200nmを形成し、光電変換素子101を作製した。
【0158】
−CIGS太陽電池(サブストレート型)の作製−
ソーダライムガラス基板上に、直流マグネトロンスパッタ法により膜厚500nm程度のモリブデン電極、真空蒸着法により膜厚約2.5μmのカルコパイライト系半導体材料であるCu(In0.6Ga0.4)Se2薄膜、溶液析出法により膜厚約50nmの硫化カドミニウム薄膜、を形成した。
その上に、導電性部材1の場合と同様にして導電性層を形成し、ガラス基板上に透明導電膜を形成し、光電変換素子201を作製した。
【0159】
次に、作製した各太陽電池において、以下のようにして変換効率を評価した。結果を表5に示す。
【0160】
<太陽電池特性(変換効率)の評価>
各太陽電池について、AM1.5、100mW/cmの疑似太陽光を照射することで変換効率)を測定した。光電変換素子101及び201は、いずれも9%の高い変換効率を示した。
【0161】
(実施例4)
−タッチパネルの作製−
導電性部材1の場合と同様にして、但し、基材として、ガラス基板を用いて透明導電膜を形成した。得られた透明導電膜を用いて、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の方法により、タッチパネルを作製した。
作製したタッチパネルを使用した場合、光透過率の向上により視認性に優れ、かつ導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明の導電性部材は、そのまま使用しても、転写材料として用いても、透明性、導電性及び耐久性(膜強度)に優れるため、例えばパターン状透明導電膜、タッチパネル、ディスプレイ用帯電防止材、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用帯電防止膜、表示素子、集積型太陽電池の作製に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0163】
1 導電性部材
10 基材
20 導電性層
30 中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維と、
b)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその誘導体から選ばれた少なくとも一つの化合物と、
を含有する導電性組成物。
【請求項2】
前記金属導電性繊維が、金属ナノワイヤーである請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記単糖類の誘導体が、前記単糖類の酸化物である請求項1または請求項2に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記単糖類が、グルコースである請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項5】
前記金属導電性繊維が、銀ナノワイヤーである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の導電性組成物。
【請求項6】
1)金属塩を単糖類の存在下で還元して金属ナノワイヤーを含む反応生成物を調製することと、
2)前記反応生成物を、前記単糖類およびその酸化物が前記金属ナノワイヤーに対して0.005質量%以上0.05質量%以下の範囲で残存するように洗浄することと、
を含むa)平均短軸長が1nm以上150nm以下の金属導電性繊維、および、b)前記金属導電性繊維に対して、0.005質量%以上0.05質量%以下の単糖類およびその酸化物を含有する導電性組成物の製造方法。
【請求項7】
前記洗浄が、限外ろ過である請求項6に記載の導電性組成物の製造方法。
【請求項8】
前記還元を、水性媒体中で行う請求項6または請求項7に記載の導電性組成物の製造方法。
【請求項9】
前記金属ナノワイヤーが、銀ナノワイヤーである請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載の導電性組成物の製造方法。
【請求項10】
基材と、前記基材上に設けられた、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の導電性組成物を含む導電性層と、を有する導電性部材。
【請求項11】
前記導電性層の表面抵抗が、1000Ω/□以下である請求項10に記載の導電性部材。
【請求項12】
前記導電性層が、導電性領域および非導電性領域を含む請求項10または請求項11に記載の導電性部材。
【請求項13】
前記基材と前記導電性層との間に、更に少なくとも一層の中間層を有する請求項10〜請求項12のいずれか一項に記載の導電性部材。
【請求項14】
請求項10〜請求項13のいずれか一つに記載の導電性部材を含むタッチパネル。
【請求項15】
請求項10〜請求項13のいずれか一つに記載の導電性部材を含む太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−73828(P2013−73828A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212875(P2011−212875)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】