説明

導電性組成物、及びそれを用いてなる導電膜、ならびに該導電膜を有する積層体

【課題】透明性、導電性、及び、可撓性に優れ、しかもプラスチック基材に塗布成膜することが可能であり、さらには均一な塗膜が得られる導電性組成物の提供。
【解決手段】導電性高分子(A)、ドーパント(B)、及び、下記一般式[1]で表される化合物(C)を含み、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量100重量部に対し、下記一般式[1]で表される化合物(C)を1から100重量部含むことを特徴とする導電性組成物。
一般式[1]
−Si(OR
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、または、エトキシ基を表し、Rは、メチル基、または、エチル基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物に関するものであり、その導電性組成物は、塗膜の均一性が非常に高く、さらには導電性の高い膜を形成することが出来る。これらの特徴を利用し、タッチパネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、無機エレクトロルミネッセンスパネル、液晶パネル等の透明電極として好適に使用することが出来る。
【背景技術】
【0002】
従来、透明電極材料として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の無機酸化物材料を中心に開発が行われてきた。中でも、酸化インジウムと酸化スズの混合焼成体であるITO(スズドープ酸化インジウム)が、その導電性の高さ等の理由により、一般的に使用されている。
【0003】
また、近年では、太陽電池や有機エレクトロルミネッセンス素子向けに、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)やIZO(酸化インジウム、酸化亜鉛混合焼成体)などが開発されている。
【0004】
これら、無機酸化物を中心とした透明電極は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ、イオンプレーティング法等の乾式成膜法を用いて成膜が行われる。高温成膜や高温焼成などの過程が必要となることから、主にガラスが基材として利用されている。
【0005】
ガラスを基材として用いた場合、折り曲げることが出来ない、割れる、重いなどという点が、モバイル用途を想定した場合に問題点となる。
【0006】
一方、近年「プリンタブルエレクトロニクス」といわれる領域の技術開発が積極的に行われている。これまでの高価な設備や、複雑な工程を駆使して生産されてきた高価な電子部品を、プロセス廃棄物が少なく、材料の利用効率が高く低コストで環境にやさしい印刷法を用いて製造するというものである。これにより、ローコスト・ハイスループットで電子部品を生産することが可能になるといわれている。さらには、低温プロセスを利用することができることから、基材にプラスチックフィルムを用いることが出来る。これにより、フレキシブルな導電膜が作成できる。しかしながら、電子部品の信頼性や性能が犠牲になるといった問題も抱えている。
【0007】
前述のドライプロセスによってプラスチックフィルム上に無機酸化物からなる導電膜を作成することも可能であるが、その性質ゆえ、折り曲げ時にクラック等が入り、その可撓性が大幅に失われる。しかしながら、導電性高分子を導電剤とした導電膜は、その膜自身に柔軟性があり、クラック等の発生は大幅に抑えることができ、可撓性に優れた導電フィルムを作製することが出来る。このため、印刷法(湿式成膜法)に適した、導電インキの開発が急務となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−152203号公報
【特許文献2】特開2009−070789号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】日経エレクトロニクス 2009年8月10日号 89頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、透明性、導電性、及び、可撓性に優れ、しかもプラスチック基材に塗布成膜することが可能であり、さらには均一な塗膜が得られる導電性組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、導電性高分子(A)、ドーパント(B)、及び、下記一般式[1]で表される化合物(C)を含み、導電性高分子(A)とドーパント(B)総量100重量部に対し、下記一般式[1]で表される化合物(C)を1から100重量部含むことを特徴とする導電性組成物に関する。
一般式[1]
−Si(OR
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、または、エトキシ基を表し、Rは、メチル基、または、エチル基を表す。)
【0012】
また、本発明は、導電性高分子(A)が、チオフェン、アニリン、ピロール、及び、それらの誘導体からなる群から選択された、少なくとも一つを単量体成分としてなることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、導電性高分子(A)が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
【0014】
また、本発明は、ドーパント(B)が、スルホ基、または、そのアルカリ金属塩を有する化合物であることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、ドーパント(B)が、水酸基を有する樹脂(B1)と、スルトン(B2)との反応により得られることを特徴とする前記の導電性組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、前記の導電性組成物から形成されてなる導電膜に関する。
【0017】
また、本発明は、基材と前記の導電膜とを有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明を実施することにより、透明性、導電性、及び、可撓性に優れ、しかもプラスチック基材に塗布成膜することが可能であり、さらには均一な塗膜が得られる導電性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明の導電性高分子(A)について説明する。
本発明における導電性高分子とは、π共役系が全体にひろがった高分子を意味する。例えば、ポリチオフェン類、ポリピロ−ル類、ポリアニリン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリアセン類、ポリチエニレンビニレン類、及びこれらの共重合体等を挙げられる。
【0020】
これら導電性高分子は、導電性の向上、バインダー樹脂への相溶性向上などの目的で、アルキル基、アルコキシル基、カルボキシル基、水酸基、スルホ基等の官能基を置換基として導入することがある。
【0021】
導電性高分子(A)の具体例としては、
ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)チオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−フルオロチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3,4−ジブロモチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3−ビフェニルチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−スルホニルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)オキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、若しくはポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)等のポリチオフェン類;
ポリ(ピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−ヘキシルピロール)、ポリ(3−ヘプチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)ピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3−オクタデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−フルオロピロール)、ポリ(3−クロロピロール)、ポリ(3−ブロモピロール)、ポリ(3−ヨードピロール)、ポリ(3,4−ジブロモピロール)、ポリ(3−シアノピロール)、ポリ(3−フェニルピロール)、ポリ(3−ビフェニルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−スルホニルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−オクチルオキシピロール)、ポリ(3−ドデシルオキシピロール)、ポリ(3−オクタデシルオキシピロール)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)オキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−メトキシピロール)、ポリ(エチレンジオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−エトキシピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)等のポリピロール類; 又は、
ポリアニリン、メチルポリアニリン、ジメチルポリアニリン、ヘキシルポリアニリン、ジヘキシルポリアニリン、メトキシポリアニリン、エトキシポリアニリン、ヘキシルオキシポリアニリン等のポリアニリン類; 等が挙げられるがこれらに限定されない。またこれらは、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
上記化合物の中でも、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましく用いられる。
【0022】
次に、ドーパント(B)について説明する。
一般に導電性高分子は、ドーピングすることにより、キャリア密度を増大させ導電性が向上することが知られている。ドーピングに用いるドーパントは、ドーピングするキャリアの種類により、ドナー性ドーパントとアクセプター性ドーパントに分類できる。
【0023】
ドナー性ドーパントの具体例としては、
リチウム、ナトリウム、若しくはカリウム等のアルカリ金属;
カルシウム、若しくはマグネシウム等のアルカリ土類金属; 又は、
テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、エチルジイソプロピルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、若しくはセチルトリメチルアンモニウム等のアンモニウム塩等の4級アンモニウムカチオン等が挙げられるがこれらに限定されない。またこれらは、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
アクセプター性ドーパントの具体例としては、
塩素、臭素、ヨウ素、ICI、ICl、IBr、若しくはIF等のハロゲン化合物;
HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOH、若しくはClSOH等の無機プロトン酸;
ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、セバシン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、若しくはトリフェニル酢酸等の有機カルボン酸;
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リグニンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、へキサデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸 、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、若しくはナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物等の有機スルホン酸;
テトラシアノエチレン(TCNE)、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、フッ素化テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)、クロラニル、若しくはテトラシアノアザナフタレン等の電子欠乏性有機化合物類;PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、若しくはSO等のルイス酸; 又は、
FeCl、FeOCl、TiCl、AlCl、ZrCl、HfCl、TaCl、MoCl、WF、若しくはWCl等の遷移金属化合物等が挙げられるがこれらに限定されない。またこれらは、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
さらに、アクセプター性ドーパントとして、ポリアニオンを挙げることができる。ポリアニオンとは、前述のカルボン酸やスルホン酸のユニットを有する高分子化合物の総称である。
【0026】
ポリアニオンの具体例としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、4−スルホブチルメタクリレート、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、若しくはアクリルアミド−t−ブチルスルホン酸などの単独重合体もしくは共重合体、又は、それらのナトリウム塩、若しくはカリウム塩等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば日本合成化学工業(株)社製ゴーセランL−3288、同L−0301、若しくは同L−0302等が挙げられるが、これらに限定されない。またこれらは、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
本発明においては、ドーパント(B)として、スルホ基、または、そのアルカリ金属塩を有する化合物が好ましく用いられる。
【0028】
スルホ基を有するドーパントは、水酸基を有する樹脂(B1)とスルトン(B2)を反応させることによっても得られる。このとき、水酸基を有する樹脂(B1)は、例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を重合する、あるいは、保護された水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を重合した後、全部または一部を脱保護することにより得られる。また、重合時に前述のエチレン性不飽和単量体以外のエチレン性不飽和単量体と共重合してもよい。
【0029】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、若しくはp−ヒドロキシフェニルエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類; 又は、
ビニルアルコール、1−ヒドロキシ−3−ブテン、1−ヒドロキシ−4−ペンテン、1−ヒドロキシ−5−ヘキセン、1−ヒドロキシ−7−オクテン、1−ヒドロキシ−9−デセン、若しくは1−ヒドロキシ−3−メチル−3−ブテンなどのヒドロキシル基含有オレフィン類が挙げられるがこれらに限定されない。
保護された水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、前述の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体中の水酸基を、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、パラメトキシベンジル基、メトキシメチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、又はトリチル基などで保護してなるエチレン性不飽和単量体等が挙げられるがこれらに限定されない。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体および保護された水酸基を有するエチレン性不飽和単量体以外の、共重合可能なエチレン性不飽和単量体の具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロぺンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ−(5,2,1,0、2.6)−デカニル(メタ)アクリレート、若しくはトリシクロ−(5,2,1,0、2.6)−デカニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、若しくはロジンアクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、若しくはα−(ヒドロキシメチル)メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体;
グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジエーテル、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレンなどが挙げられ、好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカー2−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、3−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、若しくはN−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、若しくはエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、若しくはアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、若しくはN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類; 又は、
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、若しくは片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー等があげられる。
【0030】
また、さらには、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、若しくは1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ビニル安息香酸、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、若しくはインデン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、若しくはイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類; 又は、
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、若しくはN−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類があげられる。
【0031】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の重合、あるいは保護された水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の重合は、公知の方法で行うことができる。すなわち、エチレン性不飽和単量体を任意で重合開始剤と混合して加熱することで行うことができる。重合温度は、40〜150℃、好ましくは50〜120℃である。
【0032】
重合の際、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、任意に0.001〜15重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物、又は有機過酸化物を用いることができる。
アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
重合の際、分子量を調整する目的で連鎖移動剤を用いてもよい。エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、任意に0.001〜15重量部の連鎖移動剤を使用することができる。
【0034】
連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。
例えば、
オクチルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン,t−ドデシルメルカプタン,n−ヘキサデシルメルカプタン,n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、若しくはブチルチオグリコレートなどのメルカプタン;
ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサンチゲンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、若しくはテトラブチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド;
四塩化炭素,塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン、四臭化炭素,若しくは臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素;
イソプロパノール、若しくはグリセリン等の第2級アルコール;
亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、若しくはそれらの塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の低級酸化物およびその塩; 又は
アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、又はアニソールなどを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0035】
また、重合の際、重合溶媒として有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジエトキシジエチレングリコール等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
【0036】
スルトン(B2)の具体例としては、プロパンスルトン、ブタンスルトン、ペンタンスルトン、又は1,8−ナフタレンスルトン等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
次に、化合物(C)について説明する。化合物(C)は、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量100重量部に対し、1から100重量部含むことが好ましい。1重量部より少ない場合は、その塗工膜にハジキが生じ、均質な塗膜を得ることが出来ない。また、100重量部より多い場合は、塗膜の可とう性が損なわれるだけでなく、導電性も低下する。
【0038】
化合物(C)の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、又はテトラエトキシシラン等が挙げられるがこれらに限定されない。またこれらは、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0039】
本発明の導電性組成物は、化合物(C)以外のシラン化合物を含んでいても良い。例えば、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、若しくはビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、若しくはγ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン等の(メタ)アクリロキシシラン類;
β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、若しくはγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類;
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、若しくはN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類;又は、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、若しくはγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類;等が挙げられる。
【0040】
本発明の導電性組成物は、それの塗膜を形成するなどの目的に応じて溶剤を含んでいてもよい。このとき用いられる溶剤は、本発明の導電性組成物を溶解または分散させることができる溶媒であれば特に限定されることはないが、水; メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、若しくは3−ヘプタノン等のケトン類; エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、若しくはプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類; エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、若しくはトリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類; 酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、若しくは2−オキソブタン酸エチル等のエステル類; トルエン、若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類; 又は、N−メチルピロリドン、若しくはN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類等を挙げることができる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上を適宜混合して用いることが可能である。
【0041】
次に、調製した導電性組成物を用いて導電膜を形成する方法について説明する。導電膜の形成には、主に湿式成膜法が用いられる。具体的には、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、ロールコート法、カーテンコート法、又はバーコート法等各種の手段を用いた方法がある。それらの方法は、塗布する厚み、粘度等に応じて適宜利用できる。
【0042】
また、本発明の導電性組成物を成膜する際の基材として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、ポリイミド、ボリカーボネート、若しくはセルローストリアセテートなどのプラスチックフィルム、又は、ガラスなどを用いることができる。
基材上に、本発明の導電性組成物を用いて導電膜を形成することにより、積層体を得ることができる。
【0043】
一般に、これら基材と導電膜との密着性を向上させる目的で、基材表面に様々な処理を行うことができる。具体的には、UVオゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理、易接着処理などを挙げることができる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。なお、例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ意味するものとする。また、「Mn」は、数平均分子量を表す。
【0045】
[合成例1]
100mLの脱イオン水中に、0.56gの3,4−エチレンジオキシチオフェン、2gのポリスチレンスルホン酸(Mn40,000)、0.27gの過硫酸アンモニウムおよび2.5mgの硫酸鉄(III)を加え、室温にて24時間攪拌することにより、樹脂(1)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0046】
[合成例2]
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、ドデシルベンゼンスルホン酸を用いた以外は、合成例1と同様にして樹脂(2)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0047】
[合成例3]
3,4−エチレンジオキシチオフェンの代わりに、ピロールを用いた以外は、合成例1と同様にして樹脂(3)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0048】
[合成例4]
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、p−トルエンスルホン酸ナトリウムを用いた以外は、合成例3と同様にして樹脂(4)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0049】
[合成例5]
3,4−エチレンジオキシチオフェンの代わりに、アニリンを用いた以外は、合成例2と同様にして樹脂(5)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0050】
[合成例6]
ドデシルベンゼンスルホン酸の代わりに、AOT(ナトリウム ビス(2−エチルヘキシル)スルホサクシネート)を用いた以外は、合成例5と同様にして樹脂(6)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0051】
[合成例7]
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA102)10gをジメチルスルホキシド200gに溶解させた。室温にて、プロパンスルトン10gを添加し、さらに24時間攪拌した。その後、500gのメタノール中へ加え沈殿物をろ取することにより、ドーパント(7)を白色固体として得た。
ポリスチレンスルホン酸の代わりに、ドーパント(7)を用いた以外は、合成例1と同様にして樹脂(7)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0052】
[合成例8]
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA102)の代わりに、ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA120)を用いた以外は、合成例7と同様にして樹脂(8)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0053】
[合成例9]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、および温度計を備え付けた反応槽に、水200部と、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20部および2−メルカプトエタノール0.1部とを仕込み60℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、過硫酸アンモニウム0.05部を添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け、重合した。室温に冷却後、水を除去することによりポリ(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)を得た。
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA102)の代わりに、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)を用いた以外は、合成例7と同様にして樹脂(9)の水分散液を得た(固形分2.8%)。
【0054】
[実施例1]
表1に示す配合組成で、混合物を攪拌混合した後、バーコーター(#14)を用いて、未処理、または、易接着処理PET上に塗布した。80℃にて2分間乾燥させた後、全光線透過率、折り曲げ性試験、塗膜のハジキ、導電性の変化を測定した結果を表2に示す。
【0055】
[実施例2]〜[実施例10]、[比較例1]〜[比較例4]
表1に示す配合組成で混合物を攪拌混合した後、実施例1と同様にして全光線透過率、折り曲げ性試験、塗膜のハジキ、導電性の変化を測定した結果を表2に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
PhSi(OEt): フェニルトリエトキシシラン
EtSi(OEt): エチルトリエトキシシラン
PhCHSi(OMe): ベンジルトリメトキシシラン
EtOSi(OEt): テトラエトキシシシラン
HexSi(OEt): n−ヘキシルトリエトキシシラン
MeOSi(OMe): テトラメトキシシラン
PrSi(OMe): n−プロピルトリメトキシシラン
MeSi(OMe): メチルトリメトキシシラン
17Si(OEt): n−オクチルトリエトキシシラン
【0058】
【表2】

【0059】
表中、「折り曲げ性試験」とは、基材と一緒に乾燥塗膜を180度折り曲げ、元の状態に戻す試験のことであり、○: ウキ、ハガレが見られない、 △: 一部ウキ、ハガレが見られる、×: 完全に剥れる と評価した。また、「塗膜のハジキ」とは、塗工乾燥後の塗膜を無作為に、10×10cmに切り出したときのハジキの数を示し、ハジキの数により◎: 0個、 ○: 1〜3個、 △: 4〜6個、×: 7個以上、または、全体的にはじいてしまい塗膜にならない と評価した。また、「導電性の変化」とは、化合物(C)を添加していない塗工膜の表面抵抗値を100としたときの、実施例における塗膜の表面抵抗値の相対値を示す。
【0060】
表2において、実施例1から10、および、比較例1の比較より、化合物(C)を用いたことにより、基材の折り曲げにも強く、ハジキを大幅に抑制することができ、透明性と導電性も兼ね備えた塗膜を提供することができる。
【0061】
比較例2では、化合物(C)の添加量が少な過ぎたため、実施例1と比較して、特に塗膜のハジキの数が多く観察された。
【0062】
比較例3では、化合物(C)の添加量が多過ぎたため、実施例1と比較して、折り曲げ性も悪く、さらには、導電性も大幅に悪化する結果となった。また、この時の塗液は、1日後白色の沈殿が生じ、塗液の安定性も低いことが分かった。
【0063】
比較例4では、化合物(C)の代わりに、炭素数8のアルキル基を有するシラン化合物を用いているが、実施例に比べて折り曲げ性、塗膜のハジキ、及び、導電性が悪化する結果となっている。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る導電性組成物は、有機エレクトロルミネッセンス、太陽電池、タッチパネル、液晶パネル、電子ペーパー等への透明導電膜、及び、熱線反射ガラス、電磁波シールド、帯電防止膜として使用することができ、透明性、導電性、及び、可撓性に優れ、しかもプラスチック基材に塗布成膜することが可能であり、さらには均一な塗膜を形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子(A)、ドーパント(B)、及び、下記一般式[1]で表される化合物(C)を含み、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量100重量部に対し、下記一般式[1]で表される化合物(C)を1から100重量部含むことを特徴とする導電性組成物。
一般式[1]
−Si(OR
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、または、エトキシ基を表し、Rは、メチル基、または、エチル基を表す。)
【請求項2】
導電性高分子(A)が、チオフェン、アニリン、ピロール、及びそれらの誘導体からなる群から選択された、少なくとも一つを単量体成分としてなることを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】
導電性高分子(A)が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)であることを特徴とする請求項1または2記載の導電性組成物。
【請求項4】
ドーパント(B)が、スルホ基、または、そのアルカリ金属塩を有する化合物であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の導電性組成物。
【請求項5】
ドーパント(B)が、水酸基を有する樹脂(B1)と、スルトン(B2)との反応により得られることを特徴とする請求項4記載の導電性組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか記載の導電性組成物から形成されてなる導電膜。
【請求項7】
基材と請求項6記載の導電膜とを有する積層体。

【公開番号】特開2011−150818(P2011−150818A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9594(P2010−9594)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】