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導電性組成物、太陽電池セルおよび太陽電池モジュール
説明

導電性組成物、太陽電池セルおよび太陽電池モジュール

【課題】導電性組成物の低コスト化を目的とする。
【解決手段】導電性粒子、有機酸銀塩および溶剤を含有し、上記導電性粒子が、金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされた銀コート金属粉であり、上記金属粉が、ニッケル粉または銅粉であって、その平均粒子径が1.0〜20μmであり、上記銀コート金属粉の15〜25質量%が上記銀コートである、導電性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、太陽電池セルおよび太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼成されて電極等を形成する材料として、種々の導電性組成物が用いられている。
例えば、特許文献1には、「電気抵抗率が20×10-6Ω・cm以下の金属材料(A)と、水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩(B)と、沸点が200℃以下の2級脂肪酸を用いて得られる2級脂肪酸銀塩(C)と、を含有する導電性組成物。」が開示され([請求項1])、この「金属材料(A)」として「銀粉末」が用いられている([実施例][0071])。
【0003】
また、特許文献2には、「銀粉(A)と、酸化銀(B)と、有機溶媒(D)とを含有し、該銀粉(A)が組成物に含有される銀単体および銀化合物中50質量%以上である導電性組成物」が提案されており([請求項1])、任意成分としてカルボン酸銀を含む態様や、ガラスフリット、金属系添加剤等の他の添加剤を含む態様が記載されている([請求項2][0030][0033][0034]等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−92684号公報
【特許文献2】特開2011−35062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
銀粉を含有する導電性組成物は、焼成後において優れた導電性を示すなど高性能である一方で、高コストという問題がある。
そこで、本発明は、導電性組成物の低コスト化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、銀粉の代替物を用いることで、低コスト化を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
【0007】
(1)導電性粒子、有機酸銀塩および溶剤を含有し、上記導電性粒子が、金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされた銀コート金属粉であり、上記金属粉が、ニッケル粉または銅粉であって、その平均粒子径が1.0〜20μmであり、上記銀コート金属粉の15〜25質量%が上記銀コートである、導電性組成物。
【0008】
(2)上記金属粉の平均粒子径が、2.0〜10μmである、上記(1)に記載の導電性組成物。
【0009】
(3)導電性粒子、有機酸銀塩および溶剤を含有し、上記導電性粒子の25〜100質量%が、銀コート金属粉であり、上記有機酸銀塩の含有量が、上記導電性粒子100質量部に対して5〜100質量部である、導電性組成物。
【0010】
(4)受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、上記表面電極および/または上記裏面電極が、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性組成物を用いて形成される、太陽電池セル。
【0011】
(5)表面が半田で被覆されたインターコネクタを用いて上記(4)に記載の太陽電池セルを直列に接合した太陽電池モジュール。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導電性組成物の低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】太陽電池セルの模式断面図である。
【図2】太陽電池セルの表面電極側からみた模式上面図および裏面電極側からみた模式下面図である。
【図3】太陽電池モジュールの模式斜視図および接合部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[導電性組成物(第1態様の導電性組成物)]
本発明の第1態様の導電性組成物は、導電性粒子、有機酸銀塩および溶剤を含有し、上記導電性粒子が、金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされた銀コート金属粉であり、上記金属粉が、ニッケル粉または銅粉であって、その平均粒子径が1.0〜20μmであり、上記銀コート金属粉の15〜25質量%が上記銀コートである、導電性組成物である。
詳細は後述するが、上記銀コート金属粉は、金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされているものである。本発明の第1態様の導電性組成物は、このような上記銀コート金属粉を、従来使用されていた銀粉に代えて、あるいは、銀粉の少なくとも一部として含有するものであるため、低コスト化が実現される。
【0015】
ここで、本発明の第1態様の導電性組成物を製造する方法について先に説明する。
当該方法は特に限定されず、例えば、後述する必須成分および任意成分をボールミル、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、自転・公転真空ミキサー等を用いて混合・均一化する方法が挙げられるが、その好適態様(以下、「本発明の導電性組成物の製造方法」ともいう)は、本発明の第1態様の導電性組成物を製造する方法であって、上記銀コート金属粉、有機酸、酸化銀および上記溶剤を含有する組成物(以下、便宜的に「中間組成物」という)を準備する工程と、上記中間組成物において上記有機酸と上記酸化銀とを反応させることにより上記有機酸銀塩を生成させる工程と、を備える導電性組成物の製造方法である。
【0016】
次に、本発明の導電性組成物の製造方法が備える各工程について説明する。
まず、上記中間組成物を準備する工程としては、特に限定されず、例えば、上述した必須成分および後述する任意成分を、所定量ずつ配合して、上記中間組成物を準備すればよい。このとき、上記溶剤によって、上記有機酸を溶液化したものを配合するのが好ましい。
【0017】
また、続く工程としては、上記有機酸と上記酸化銀とを反応させることにより上記有機酸銀塩を生成させる工程であれば特に限定されないが、例えば、上記銀コート金属粉と、上記酸化銀と、上記溶剤により上記有機酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混合し、固体である上記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度反応させる工程であるのが好ましい。
【0018】
なお、上記有機酸銀塩を生成させる反応においては、上記有機酸が有するカルボキシ基(−COOH)2モルと、上記酸化銀(Ag2O)1モルとが反応し、上記有機酸銀塩が有する有機酸銀塩基(−COOAg)2モルと、水(H2O)1モルとを与えるものと考えられる。
【0019】
このような本発明の導電性組成物の製造方法よって得られる本発明の第1態様の導電性組成物においては、生成した上記有機酸銀塩が上記銀コート金属粉の表面に付着した状態になっていると考えられる。
【0020】
ところで、導電性組成物は、後に焼成されて電極等を形成するものであるが、上記銀コート金属粉を含有する場合、銀コートの隙間から露出している金属(ニッケルまたは銅)部分がその焼成時に酸化してしまい、半田に対する密着性(半田密着性)が劣ることがある。
しかし、本発明においては、上述したように、生成した上記有機酸銀塩が上記銀コート金属粉の表面に付着した状態になっていると考えられる。そのため、焼成によって上記有機酸銀塩から銀が生成し、生成した銀がそのまま上記銀コート金属粉の表面に付着し(この状態の銀コート金属粉を「多重銀コート金属粉」という)、ニッケルの露出部分を覆うと考えられる。これにより、焼成時においても、ニッケル露出部分の酸化が抑制され、半田密着性の劣化が抑制されると考えられる。
【0021】
ここで、「多重銀コート金属粉」としては、上記銀コート金属粉に、さらに追加的に銀が付着したものであればよく、追加の銀の付着状態は特に限定されない。
したがって、追加の銀は、例えば、銀コートから露出したニッケル部分に付着したもの;オリジナルの銀コート上に積層して付着したもの;等を含み、これらの付着状態の割合等も、特に限定されない。
【0022】
次に、本発明の導電性組成物の製造方法において用いられる各成分について、詳細に説明する。
【0023】
〔銀コート金属粉〕
本発明に用いられる上記銀コート金属粉は、ニッケル粉または銅粉である金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされているものである。
導電性の観点から、上記銀コート金属粉の15〜25質量%が銀コートである。上記銀コート金属粉の銀コート量が15質量%未満では、ニッケル粉や銅粉が銀で十分にコートしきれず、その一部が露出することから導電性が低下する。一方、25質量%を超えると、銀量が必要以上に増大するためコストアップにつながる。これに対して、銀コート量が上記範囲内であれば、良好な導電性が得られ、かつ、コストアップも抑制できる。
【0024】
上記銀コート金属粉は、銀が表面の一部に偏在しているものよりも、銀が偏在せずに、上記金属粉の表面の全体に亘って均一に分布されているものが好ましい。これにより、導通性が均一な銀コート金属粉となる。また、コートしている銀は、例えば無電解めっきまたは電解めっき等の公知の方法により、金属粉の表面に点状、網目状などの形状で付着していてよい。
【0025】
上記銀コート金属粉における金属粉のみの平均粒子径は、印刷性の観点から、1.0〜20μmであるのが好ましく、2.0〜10μmであるのがより好ましい。金属粉のみの平均粒子径が1.0μm未満では、比表面積が大きくなり組成物の粘度が高くなり流動性が低下し、印刷性が悪くなる場合がある。一方、20μmを超えると、スクリーン印刷等を用いて印刷する際、スクリーンに目詰まりを起こし、かすれる等の印刷不良を発生する場合がある。これに対して、金属粉のみの平均粒子径が上記範囲内であれば、良好な印刷性が得られ、印刷不良の発生も抑制できる。
【0026】
なお、本明細書において、平均粒子径とは、粒子径の平均値をいい、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定し、粒子径基準を個数として演算された50%体積累積径(D50)をいう。
また、球状とは、長径/短径の比率が2以下の粒子の形状をいう。
【0027】
〔銀粉〕
本発明の第1態様の導電性組成物は、低コスト化の観点からは、銀粉を含有しない方が好ましいが、導電性等の観点から、銀粉を含有していてもよい。
上記銀粉は、上記中間組成物を準備する工程において上記中間組成物に配合してもよいし、上記有機酸銀塩を生成させる工程の後に、後添加してもよい。
【0028】
上記銀粉としては、印刷性が良好になるという理由から、平均粒子径が0.5〜10μmであるのが好ましく、0.7〜5μmであるのがより好ましく、1〜3μmであるのがさらに好ましい。上記銀粉の平均粒子径が0.5μm未満では、比表面積が大きくなり組成物の粘度が上昇し、流動性が低下して印刷性が悪くなる場合がある。これに対して、上記銀粉の平均粒子径が上記範囲内であれば、良好な印刷性が得られ、印刷不良の発生も抑制できる。
また、体積抵抗率のより小さい電極を形成することができ、光電変換効率の更に高い太陽電池セルを作製することができるという理由から、球状の銀粉末を用いるのがより好ましい。
上記銀粉としては、市販品を用いることができ、その具体例としては、AgC−102(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)、AG4−8F(形状:球状、平均粒子径:2.2μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG2−1C(形状:球状、平均粒子径:1.0μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AG3−11F(形状:球状、平均粒子径:1.4μm、DOWAエレクトロニクス社製)、AgC−2011(形状:フレーク状、平均粒子径:2〜10μm、福田金属箔粉工業社製)、Ag−XF301K(形状:フレーク状、平均粒子径:3〜10μm、福田金属箔粉工業社製)等が挙げられる。
【0029】
以下、本発明の第1態様の導電性組成物において、上記銀コート金属粉と銀粉とを併せて、「第1態様の導電性粒子」ともいう。
コストの観点から、上記第1態様の導電性粒子において、上記銀コート金属粉の量が、25〜100質量%であるのが好ましい。
【0030】
〔有機酸銀塩〕
本発明の導電性組成物の製造方法において得られる上記有機酸銀塩としては、有機カルボン酸(脂肪酸)の銀塩であれば特に限定されず、例えば、特開2008−198595号公報の[0063]〜[0068]段落に記載された脂肪酸金属塩(特に3級脂肪酸銀塩)、特許第4482930号公報の[0030]段落に記載された脂肪酸銀塩、特開2010−92684号公報の[0029]〜[0045]段落に記載された水酸基を1個以上有する脂肪酸銀塩、同公報の[0046]〜[0056]段落に記載された2級脂肪酸銀塩、特開2011−35062号公報の[0022]〜[0026]に記載されたカルボン酸銀等を用いることができる。
これらのうち、印刷性が良好となり、体積抵抗率の小さい電極を形成することができ、光電変換効率のより高い太陽電池セルを作製することができる理由から、炭素数18以下の脂肪酸銀塩(B1)、カルボキシ銀塩基(−COOAg)と水酸基(−OH)とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸銀塩(B2)、および、水酸基(−OH)を有さずにカルボキシ銀塩基(−COOAg)を2個以上有するポリカルボン酸銀塩(B3)からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸銀塩を用いるのが好ましい。
【0031】
ここで、上記脂肪酸銀塩(B2)としては、例えば、下記式(I)〜(III)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化1】

【0033】
式(I)中、nは0〜2の整数を表し、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。nが0または1である場合、複数のR2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。nが2である場合、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(II)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(III)中、R1は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。複数のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
また、上記ポリカルボン酸銀塩(B3)としては、例えば、下記式(IV)で表される化合物であるが挙げられる。
【0035】
【化2】

【0036】
式(IV)中、mは、2〜6の整数を表し、R4は、炭素数1〜24のm価の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数2〜12のm価の不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12のm価の脂環式炭化水素基、または、炭素数6〜12のm価の芳香族炭化水素基を表す。R4の炭素数をpとすると、m≦2p+2である。
【0037】
上記脂肪酸銀塩(B1)としては、具体的には、2−メチルプロパン酸銀塩(別名:イソ酪酸銀塩)、2−メチルブタン酸銀塩等が好適に例示される。
また、上記脂肪酸銀塩(B2)としては、具体的には、2−ヒドロキシイソ酪酸銀塩、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸銀塩等が好適に例示される。
また、上記ポリカルボン酸銀塩(B3)としては、具体的には、1,3,5−ペンタントリカルボン酸銀塩、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸銀塩等が好適に例示される。
【0038】
本発明の第1態様の導電性組成物において、上記有機酸銀塩の含有量は、上記第1態様の導電性粒子100質量部に対して、5〜100質量部となるのが好ましく、5〜40質量部となるのがより好ましい。
【0039】
〔有機酸〕
本発明の導電性組成物の製造方法に用いられる上記有機酸は、上述した上記有機酸銀塩が得られるものであれば特に限定されないが、上記有機酸銀塩として好適なものとして記載したものが得られる有機酸であるのが好ましく、具体的には、炭素数18以下の脂肪酸(b1)、カルボキシ基と水酸基とをそれぞれ1個以上有する脂肪酸(b2)、および、水酸基を有さずにカルボキシ基を2個以上有するポリカルボン酸(b3)からなる群から選択される少なくとも1種の脂肪酸であるのが好ましい。
【0040】
ここで、上記脂肪酸(b2)としては、例えば、下記式(i)〜(iii)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化3】

【0042】
式(i)〜(iii)中のR1〜R3およびnは、上述した式(I)〜(III)において対応するR1〜R3およびnと同義である。
【0043】
また、上記ポリカルボン酸(b3)としては、例えば、下記式(iv)で表される化合物であるが挙げられる。
【0044】
【化4】

【0045】
式(iv)中のmおよびR4は、上述した式(IV)において対応するmおよびR4と同義である。
【0046】
上記脂肪酸(b1)としては、具体的には、2−メチルプロパン酸(別名:イソ酪酸)、2−メチルブタン酸等が好適に例示される。
また、上記脂肪酸(b2)としては、具体的には、2−ヒドロキシイソ酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸等が好適に例示される。
また、上記ポリカルボン酸(b3)としては、具体的には、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が好適に例示される。
【0047】
上記有機酸の量は、上記中間組成物において、上記第1態様の導電性粒子100質量部に対して、1〜100質量部であるのが好ましく、1〜40質量部であるのがより好ましい。
【0048】
〔酸化銀〕
本発明の導電性組成物の製造方法に用いられる上記酸化銀は、酸化銀(I)、すなわち、Ag2Oである。上記酸化銀の形状は特に限定されないが、低温で自己還元反応が生ずるという理由から、粒子径が0.5〜2μmの粒子状(球状)であるのが好ましい。
【0049】
上記酸化銀(Ag2O)の量は、上記中間組成物において、上記有機酸が有するカルボキシ基(−COOH)2モルに対して、0.5〜1.5モルとなる量であるのが好ましく、0.8〜1.2モルとなる量であるのがより好ましい。
【0050】
〔溶剤〕
上記溶剤としては、沸点が200℃以上の有機溶剤であることが好ましい。沸点が200℃以上の有機溶剤としては、具体的には、例えば、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール、トリエチレングリコール等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明において、上記溶剤は、還元剤として機能するものであるのが好ましく、このような観点から、上記溶剤としてα−テルピネオールを好適に用いることができる。
上記溶剤の量は、上記第1態様の導電性粒子100質量部に対して、2〜20質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
【0051】
〔樹脂〕
本発明の第1態様の導電性組成物は、印刷性の観点から、必要に応じて、樹脂を含有していてもよい。
上記樹脂は、上記中間組成物を準備する工程において上記中間組成物に配合してもよいし、上記有機酸銀塩を生成させる工程の後に、後添加してもよい。
上記樹脂としては、具体的には、例えば、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのうち、熱分解性の観点から、エチルセルロース樹脂を用いるのが好ましい。
また、上記樹脂は、溶剤に溶解したものであってよく、この溶剤としては、具体的には、例えば、α−テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記樹脂の含有量は、上記第1態様の導電性粒子100質量部に対して0〜20質量部であるのが好ましく、10〜20質量部であるのがより好ましい。
【0052】
〔ガラスフリット〕
本発明の第1態様の導電性組成物は、必要に応じて、ガラスフリットを含有していてもよい。
上記ガラスフリットは、上記中間組成物を準備する工程において上記中間組成物に配合してもよいし、上記有機酸銀塩を生成させる工程の後に、後添加してもよい。
上記ガラスフリットとしては、特に限定されないが、酸化鉛を含有しないガラスフリットであるのが好ましく、例えば、軟化温度300〜800℃のホウケイ酸ガラスフリット等が挙げられる。
上記ガラスフリットの形状は特に限定されず、球状でも破砕粉状でもよい。球状のガラスフリットの平均粒子径(D50)は、0.1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。さらに、15μm以上の粒子を除去した、シャープな粒度分布を持つガラスフリットを用いることが好ましい。
上記ガラスフリットの含有量は、上記第1態様の導電性粒子100質量部に対して0.5〜5質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。
【0053】
[導電性組成物(第2態様の導電性組成物)]
本発明の第2態様の導電性組成物は、導電性粒子(以下、「第2態様の導電性粒子」ともいう)、有機酸銀塩および溶剤を含有し、上記第2態様の導電性粒子の25〜100質量%が、銀コート金属粉であり、上記有機酸銀塩の含有量が、上記第2態様の導電性粒子100質量部に対して5〜100質量部である、導電性組成物である。
本発明の第2態様の導電性組成物においては、上記導電性粒子の25〜100質量%が、銀コート金属粉であるため、低コスト化が実現される。
【0054】
上記銀コート金属粉としては、金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされているものであれば特に限定されないが、例えば、上述した上記銀コート金属粉が挙げられる。
【0055】
上記第2態様の導電性粒子において、上記銀コート金属粉以外の成分としては、例えば、上述した上記銀粉が挙げられる。
【0056】
本発明の第2態様の導電性組成物が含有する有機酸銀塩としては、上述した上記有機酸銀塩として記載したものを好ましく用いることができる。
本発明の第2態様の導電性組成物において、上記有機酸銀塩の含有量は、上記第2態様の導電性粒子100質量部に対して、5〜40質量部となるのが好ましい。
【0057】
本発明の第2態様の導電性組成物が含有する溶剤としては、上述した上記溶剤として記載しものを好ましく用いることができる。
上記溶剤の量は、上記第2態様の導電性粒子100質量部に対して、2〜20質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
【0058】
本発明の第2態様の導電性組成物は、樹脂およびガラスフリットを含有していてもよく、本発明の第1態様の導電性組成物が含有していてもよい上記樹脂および上記ガラスフリットとして記載したものを好ましく用いることができる。
上記樹脂の含有量は、上記第2態様の導電性粒子100質量部に対して0〜20質量部であるのが好ましく、10〜20質量部であるのがより好ましい。
上記ガラスフリットの含有量は、上記第2態様の導電性粒子100質量部に対して0.5〜5質量部であるのが好ましく、1〜5質量部であるのがより好ましい。
【0059】
本発明の第2態様の導電性組成物の製造方法は特に限定されず、上述した必須成分および任意成分を、ボールミル、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、自転・公転真空ミキサー等を用いて混合・均一化する方法が挙げられる。
【0060】
[太陽電池セル]
次に、本発明の太陽電池セルについて説明する。
本発明の太陽電池セルは、受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、上記表面電極および/または上記裏面電極が、上述した本発明の第1または第2態様の導電性組成物(以下、これらをまとめて「本発明の導電性組成物」ともいう)を用いて形成される太陽電池セルである。
【0061】
なお、本発明の導電性組成物を、全裏面電極型(いわゆるバックコンタクト型)太陽電池の裏面電極の形成にも適用することができる。
【0062】
以下に、本発明の太陽電池セルの構成について図1および図2を用いて説明する。なお、図1では、結晶系シリコン太陽電池を例に挙げて、本発明の太陽電池セルを説明するが、これに限られることはなく、例えば、薄膜系のアモルファスシリコン太陽電池、ハイブリッド型(HIT)太陽電池等であってもよい。
【0063】
図1に示すように、本発明の太陽電池セル10は、受光面側の表面電極1(フィンガー電極1a)と、n層3およびp層5が接合したpn接合シリコン基板4(以下、これらを併せて「結晶系シリコン基板7」ともいう。)と、裏面電極6(全面電極6a)とを具備するものである。なお、図1は、図2のI−I線における模式的な断面図である。
また、図1に示すように、本発明の太陽電池セル10は、反射率低減のためピラミッド状のテクスチャが形成された反射防止膜2を具備するのが好ましい。
【0064】
図2(A)に示すように、本発明の太陽電池セル10は、受光面側の表面電極1として、フィンガー電極1aとバスバー電極1bとを具備するものである。
また、図2(B)および図1に示すように、本発明の太陽電池セル10は、裏面電極6として、全面電極6aと接続部6bとを具備するものである。
【0065】
〔表面電極/裏面電極〕
本発明の太陽電池セルが具備する表面電極および裏面電極は、少なくともいずれか一方が本発明の導電性組成物を用いて形成されていれば、電極の配置(ピッチ)、形状、高さ、幅等は特に限定されない。
ここで、図1および図2に示す態様においては、少なくとも、フィンガー電極1aおよびバスバー電極1bを有する表面電極1を本発明の導電性組成物を用いて形成することになる。
一方、裏面電極6は、本発明の導電性組成物を用いて形成してもよいが、アルミニウム電極で全面電極6aを形成し、銀電極で接続部6bを形成するのが好ましい。
本発明においては、バスバー電極1bおよび接続部6bの両方が、本発明の導電性組成物を用いて形成されているのが好ましい。
【0066】
〔反射防止膜〕
本発明の太陽電池セルが具備していてもよい反射防止膜は、受光面の表面電極が形成されていない部分に形成される膜(膜厚:0.05〜0.1μm程度)であって、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸化チタン膜、これらの積層膜等から構成されるものである。
【0067】
〔結晶系シリコン基板〕
本発明の太陽電池セルが具備する結晶系シリコン基板は特に限定されず、太陽電池を形成するための公知のシリコン基板(板厚:100〜450μm程度)を用いることができ、また、単結晶または多結晶のいずれのシリコン基板であってもよい。
【0068】
また、上記結晶系シリコン基板はpn接合を有するが、これは、第1導電型の半導体基板の表面側に第2導電型の受光面不純物拡散領域が形成されていることを意味する。なお、第1導電型がn型の場合には、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型の場合には、第2導電型はn型である。
ここで、p型を与える不純物としては、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、n型を与える不純物としては、リン、砒素などが挙げられる。
【0069】
本発明の太陽電池セルの製造方法は特に限定されないが、本発明の導電性組成物をシリコン基板上に塗布して配線を形成する配線形成工程と、得られた配線を熱処理して電極(表面電極および/または裏面電極)を形成する熱処理工程とを有する方法が挙げられる。
なお、本発明の太陽電池セルが反射防止層を具備する場合、反射防止膜は、プラズマCVD法等の公知の方法により形成することができる。
以下に、配線形成工程、熱処理工程について詳述する。
【0070】
<配線形成工程>
上記配線形成工程は、本発明の導電性組成物をシリコン基板上に塗布して配線を形成する工程である。
ここで、塗布方法としては、具体的には、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷等が挙げられる。
【0071】
<熱処理工程>
上記熱処理工程は、上記配線形成工程で得られた配線を熱処理して導電性の配線(電極)を得る工程である。
ここで、上記熱処理は特に限定されないが、700〜800℃の温度で、数秒〜数十分間、加熱(焼成)する処理であるのが好ましい。温度および時間がこの範囲であると、シリコン基板上に反射防止膜を形成した場合であっても、ファイヤースルー法により容易に電極を形成することができる。
【0072】
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、表面が半田で被覆されたインターコネクタを用いて本発明の太陽電池セルを直列に接合した太陽電池モジュールである。
以下に、本発明の太陽電池モジュールの構成について図3を用いて説明する。
【0073】
図3に示すように、本発明の太陽電池モジュール20は、金属リボン8bの表面を半田8aで被覆したインターコネクタ8を用いて、太陽電池セル10を直列に接合したものである。
ここで、金属リボンとしては、具体的には、例えば、導電性接着剤をコートした銅やアルミニウムリボン等を好適に用いることができる。
また、図3における接合部の拡大断面図に示すように、表面電極1のバスバー電極1bとインターコネクタ8の半田8aとが密着しており、裏面電極6の接続部6bとインターコネクタ8の半田8aとが密着している。
【0074】
本発明の太陽電池モジュールは、バスバー電極(および裏面電極の接続部)が本発明の導電性組成物を用いて形成されていることで、インターコネクタの半田との密着性が良好となり、容易にモジュール化することができる。
【実施例】
【0075】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
(実施例I,II、比較例1〜3)
まず、自転・公転ミキサー(シンキー社製)に、下記第1表に示す成分を下記第1表中に示す組成比となるように添加し、これらを室温で混合することにより導電性組成物を調製した。
【0077】
<体積抵抗率>
調製した導電性組成物をシリコン基板(単結晶シリコンウェハー、LS−25TVA、156mm×156mm×200μm、信越化学工業社製(以下同じ))上に、スクリーン印刷で全面塗布した塗膜を形成した。
塗膜を形成した後、780℃で60秒間熱処理して導電性の被膜(銀膜)とした後に、被膜の体積抵抗率を抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた4端子4探針法により測定した。その結果を下記第1表に示す。
【0078】
<セル効率>
シリコン基板を準備し、裏面の全面にアルミニウムペーストをスクリーン印刷で塗布し、乾燥させた。
次いで、シリコン基板の表面に、調製した各導電性組成物をスクリーン印刷で塗布することにより、フィンガー電極の所定の配線パターンおよびバスバー電極の所定の配線パターンを形成した。
スクリーン印刷で配線を形成した後、焼成炉にてピーク温度740℃の条件で60秒間焼成し、導電性の配線(フィンガー電極およびバスバー電極)を形成させた太陽電池セルのサンプルを作製した。
作製した各太陽電池セルのサンプルの電気特性(I−V特性)をセルテスター(山下電送社製)用いて評価し、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)および光電変換効率(Eff)を求めた。結果を下記第1表に示す。なお、測定しなかった場合には「−」を記載した。
【0079】
<半田密着性>
上記作製した太陽電池セルのサンプルのバスバー電極上に、半田ゴテを用いて半田リボン(組成:Sn−3Ag−0.5Cu)を実装した。
その後、JIS K6850:1999に準じて、引張速度50mm/分で引張せん断試験を行い、破断時の荷重(MPa)を測定した。
破断時の荷重が5MPa以上であった場合には半田密着性に非常に優れるものとして「◎」と評価し、破断時の荷重が1MPa以上であった場合には半田密着性に優れるものとして「○」と評価し、破断時の荷重が1MPa未満であった場合には半田密着性に劣るものとして「×」と評価した。結果を下記第1表に示す。
【0080】
<スクリーン印刷性>
調製した導電性組成物をシリコン基板上に、スクリーン印刷で塗布して配線(線幅:70μm、長さ:5cm)を形成した。
スクリーン印刷で形成した乾燥(焼成)前の配線を光学顕微鏡で観察した。
断線、蛇行、ニジミおよびメッシュ跡のいずれも確認されなかった場合は、印刷性が良好なものとして「○」と評価し、いずれかが確認された場合は、印刷性に劣るものとして「×」と評価した。結果を下記第1表に示す。
【0081】
<コスト>
導電性組成物の調製に用いた導電性粒子の少なくとも一部が銀粉ではない銀コートニッケル粉等である場合には、低コストであるとして「○」と評価し、導電性粒子の全てが銀粉である場合には、高コストであるとして「×」と評価した。結果を下記第1表に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
・銀粉:AgC−103(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、福田金属箔粉工業社製)
・銀コートニッケル粉(1.5μm)(形状:球状、平均粒子径:1.5μm、銀コート量:20質量%、福田金属箔粉工業社製)
・銀コートニッケル粉(5μm)(形状:球状、平均粒子径:5μm、銀コート量:20質量%、福田金属箔粉工業社製)
・銀コートニッケル粉(25μm)(形状:球状、平均粒子径:25μm、銀コート量:20質量%、福田金属箔粉工業社製)
【0084】
・有機酸:イソ酪酸(関東化学社製品)
・酸化銀:Ag2O(形状:球状、平均粒子径:2.5μm、東洋化学工業社製)
・有機酸銀塩:下記のように調製したイソ酪酸銀塩
まず、酸化銀(東洋化学工業社製)50g、イソ酪酸(関東化学社製)38gおよびメチルエチルケトン(MEK)300gをボールミルに投入し、室温で24時間撹拌させることにより反応させた。次いで、吸引ろ過によりMEKを取り除き、得られた粉末を乾燥させることにより、白色のイソ酪酸銀塩を調製した。
・溶剤:α−テルピネオール
・ガラスフリット:ST−01(鉛ホウケイ酸ガラスフリット、セントラル硝子社製)
・ビヒクル:EC−100FTP(エチルセルロース樹脂固形分:9%、日新化成社製)
【0085】
上記第1表に示す結果から明らかなように、実施例IまたはIIは、コストが優れていた。また、実施例Iは、実施例IIよりも半田密着性に優れていた。
一方、導電性粒子として銀粉のみを使用した比較例1は、高コストであった。また、比較例2および3は、有機酸銀塩を含有せず、本発明の導電性組成物に該当しないものであるが、これらはいずれも半田密着性に劣っていた。
【符号の説明】
【0086】
1 表面電極
1a フィンガー電極
1b バスバー電極
2 反射防止膜
3 n層
4 pn接合シリコン基板
5 p層
6 裏面電極
6a 全面電極(アルミニウム電極)
6b 接続部(銀電極)
7 結晶系シリコン基板
8 インターコネクタ
8a 半田
8b 金属リボン
10 太陽電池セル
20 太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粒子、有機酸銀塩および溶剤を含有し、
前記導電性粒子が、金属粉の表面の少なくとも一部に銀がコートされた銀コート金属粉であり、
前記金属粉が、ニッケル粉または銅粉であって、その平均粒子径が1.0〜20μmであり、
前記銀コート金属粉の15〜25質量%が前記銀コートである、導電性組成物。
【請求項2】
前記金属粉の平均粒子径が、2.0〜10μmである、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
導電性粒子、有機酸銀塩および溶剤を含有し、
前記導電性粒子の25〜100質量%が、銀コート金属粉であり、
前記有機酸銀塩の含有量が、前記導電性粒子100質量部に対して5〜100質量部である、導電性組成物。
【請求項4】
受光面側の表面電極、半導体基板および裏面電極を具備し、
前記表面電極および/または前記裏面電極が、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性組成物を用いて形成される、太陽電池セル。
【請求項5】
表面が半田で被覆されたインターコネクタを用いて請求項4に記載の太陽電池セルを直列に接合した太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−45742(P2013−45742A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184766(P2011−184766)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【出願人】(000239426)福田金属箔粉工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】