説明

導電性組成物、導電性塗料、導電性繊維材料、および面状発熱体

8−22芳香族系多官能イソシアネート(a)33−53重量%、およびC3−6オキシポリメチレン繰り返し単位を有するポリエーテルポリオール(b)47−67重量%を共重合してなるポリエーテル系ポリウレタン(A)100重量部、または前記イソシアネート(a)13−33重量%、およびC3−6オキシカルボニルオキシポリメチレン繰り返し単位を有するポリカーボネートポリオール(c)67−87重量%を共重合してなるポリカーボネート系ポリウレタン(B)100重量部、ならびに導電性物質(C)70−180重量部を含有してなる導電性組成物。導電性物質(C)は、好ましくは、鱗片状グラファイトカーボンとジブチルフタレート吸油量が低いカーボンブラックとからなる。この導電性組成物は、基材との接着性および耐加水分解性に優れており、繊維材料に被覆して導電性繊維材料として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、それを溶媒に溶解または分散させてなる導電性塗料、導電性組成物を繊維材料に被覆してなる導電性繊維材料、および導電性繊維材料を有してなる面状発熱体に関する。さらに詳しくは、耐加水分解性に優れ、繊維材料への接着性に優れる導電性組成物、導電性塗料、それを繊維材料に塗布してなる導電性繊維材料、およびその導電性繊維材料を有してなる面状発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性塗料は、通常、ポリウレタンなどのベースポリマーを溶媒に溶解または分散させ、これにカーボンブラックなどの導電性物質を加えてなるものである。このような導電性塗料を基材表面に塗布し、溶媒を揮発させることにより、基材表面に導電層を形成して、電磁波シールド、発熱体、静電防止塗膜、各種電気電子部品の電気的接合などに用いている(例えば特許文献1〜4)。
【0003】
導電性塗料は様々な形態や種類の基材に塗布して使用されるが、基材が糸などの繊維材料やシート、フィルムなどの場合は、該塗料を塗布して導電層を形成した後に基材が繰り返し屈曲されて変形を受けながら用いられることがある。このとき、基材の変形により、基材から導電層が剥離して導電性が低下したり、導電層内部に亀裂が生じて抵抗値が変化したりする問題がある。特に前記導電層の剥離現象は、ベースポリマーにガラス転移温度の高いものを用いると、柔軟性の不足により一層顕著になる。そのため、基材との接着性に優れるベースポリマーが求められてきた。
【0004】
そこで、本発明者らは、ベースポリマーとして熱可塑性ポリウレタンエラストマーを使用することにより、基材との接着性に優れ、繊維材料やフィルムなどに塗布して屈曲させても剥離の少ない導電性組成物および導電性塗料が得られることを見出した。
【0005】
ところで、前記ポリウレタンエラストマーを用いた導電性組成物は、基材との良好な接着性に加え、その優れた柔軟性、抵抗値制御の容易性などが評価され、特殊な環境下での使用が要請されている。とりわけ繊維材料やフィルムに被覆して面状発熱体として使用する場合は、水中での使用や融雪のための雪中での使用など、多水分環境下での長期間の使用にも耐えられる導電性組成物が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−171072号公報
【特許文献2】特開平6−271793号公報
【特許文献3】特開平8−41388号公報
【特許文献4】特開平11−246758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記従来技術の問題に鑑み、繊維材料やフィルムに被覆して導電性材料とし、面状発熱体などとして水中などの多水分環境下で使用しても、長期間の使用に耐え得る導電性組成物およびそれを用いた導電性塗料を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、上記の特性を有する導電性組成物が繊維材料に被覆されてなる導電性繊維材料、および該導電性繊維材料を有してなる面状発熱体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、導電性組成物の基材との接着性および耐加水分解性を改良することにより前記課題が達成できることを見出した。そして、さらに検討を重ねた結果、特定構造のポリエーテルポリオールやポリカーボネートポリオールを、特定構造のイソシアネートに共重合させてなるポリウレタンをベースポリマーに用いると、導電性組成物の基材との接着性および耐加水分解性が向上することを見出した。また、この導電性組成物を直接、または溶媒に溶解、分散して塗料として繊維材料やフィルムに被覆した導電性材料は、多水分環境下でも長期間使用できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、第1に、炭素数8〜22の芳香族系多官能イソシアネート(a)33〜53重量%、および炭素数3〜6のオキシポリメチレン繰り返し単位を有する、ポリエーテルポリオール(b)47〜67重量%を共重合してなるポリエーテル系ポリウレタン(A)100重量部、または前記イソシアネート(a)13〜33重量%、および炭素数5〜9のオキシカルボニルオキシポリメチレン繰り返し単位を有する、ポリカーボネートポリオール(c)67〜87重量%を共重合してなるポリカーボネート系ポリウレタン(B)100重量部、ならびに導電性物質(C)70〜180重量部を含有してなる導電性組成物が提供される。
【0011】
第2に、上記導電性組成物170〜280重量部を、溶媒(F)500〜1500重量部に溶解または分散させてなる導電性塗料が提供される。
【0012】
第3に、上記導電性組成物が、繊維材料に被覆されてなる導電性繊維材料が提供される。
【0013】
第4に、上記導電性繊維材料の製造方法が提供される。
【0014】
第5に、上記導電性繊維材料を有する面状発熱体が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の導電性組成物および導電性塗料は、繊維材料やフィルムなどの基材に被覆または塗布して導電層を形成した場合に、基材との接着性に優れ、繰り返し屈曲させても抵抗値の上昇や基材からの剥離がほとんどなく、かつ耐加水分解性に優れるため、特に水中や雪中などの特殊な多水分環境下で使用される面状発熱体に用いたときの寿命を長期化させることができる。
【0016】
特に、本発明の導電性組成物中に配合する導電性材料として、鱗片状グラファイトカーボンと、ジブチルフタレート(以下DBPということがある)吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラックとを組み合わせ用いると、導電性組成物は、適度な電気抵抗値と導電性とを有するため、面状発熱体に適用すると過不足のない適度な発熱性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る面状発熱体の概略斜視図である。
【図2】図1に示す面状発熱体のII−II線に沿う要部断面図である。
【符号の説明】
【0018】
2 面状発熱体
4 発熱層
6 絶縁層
8 電極
10 側端部
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の導電性組成物は、炭素数8〜22の芳香族系多官能イソシアネート(a)33〜53重量%、および炭素数3〜6のオキシポリメチレン鎖を有する、ポリエーテルポリオール(b)47〜67重量%を共重合してなるポリエーテル系ポリウレタン(A)100重量部、または前記イソシアネート(a)13〜33重量%、および炭素数5〜9のオキシカルボニルオキシポリメチレン鎖を有する、ポリカーボネートポリオール(c)67〜87重量%を共重合してなるポリカーボネート系ポリウレタン(B)100重量部、ならびに導電性物質(C)70重量部〜180重量部を含有してなる。
【0020】
前記ポリエーテル系ポリウレタン(A)の共重合成分である炭素数8〜22の芳香族系多官能イソシアネート(a)としては、例えば1,4−ベンゼンジイソシアネート(以下、BDIと略記することがある)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記することがある)、水添BDI、水添MDIなどを用いることができる。また、その使用量は、ポリエーテル系ポリウレタン(A)に用いる全共重合成分の、33〜53重量%、好ましくは38〜48重量%である。使用量が33重量%未満であるか、または53重量%を超えると、ポリエーテル系ポリウレタン(A)の収率が低くなり、かつその分子量が低くなるため、得られる導電性組成物の機械的強度が劣る。
【0021】
ポリエーテル系ポリウレタン(A)は、前記芳香族系多官能イソシアネート(a)と共に、炭素数3〜6のオキシポリメチレン鎖を有する、ポリエーテルポリオール(b)を共重合成分とする。該ポリエーテルポリオール(b)の具体例としては、(ポリ(オキシトリメチレン))ジオール、(ポリ(オキシテトラメチレン))ジオール、(ポリ(オキシヘキサメチレン))ジオールなどが挙げられる。また、その使用量は、ポリエーテル系ポリウレタン(A)に用いる全共重合成分の47〜67重量%、好ましくは52〜62重量%である。使用量が47重量%未満であるか、または67重量%を超えると、生成するポリエーテル系ポリウレタンの収率が低くなり、かつその分子量が低くなるため、得られる導電性組成物の機械的強度が劣る。
【0022】
本発明に用いるポリエーテル系ポリウレタン(A)には、前記芳香族系多官能イソシアネート(a)およびポリエーテルポリオール(b)と共に、前記芳香族系多官能イソシアネート(a)と共重合可能な、前記ポリエーテルポリオール(b)以外のポリオール(d)を共重合させることができる。この場合、ポリオール(d)の使用量は、ポリエーテル系ポリウレタン(A)に用いる全共重合成分の20重量%以下である。
【0023】
これらの成分の共重合には、公知の触媒を用いることができる。
【0024】
前記ポリカーボネート系ポリウレタン(B)の共重合成分である炭素数8〜22の芳香族系多官能イソシアネート(a)の例としては、前述したものが挙げられる。また、その使用量は、ポリカーボネート系ポリウレタン(B)に用いる全共重合成分の、13〜33重量%、好ましくは18〜28重量%である。使用量が13重量%未満であるか、または33重量%を超えるときは、生成するポリエーテル系ポリウレタンの収率が低くなり、かつ分子量が低くなるため導電性組成物の機械的強度が劣る。
【0025】
ポリカーボネート系ポリウレタン(B)は、前記芳香族系多官能イソシアネート(a)と共に、炭素数5〜9のオキシカルボルニルオキシポリメチレン鎖を有する、ポリカーボネートポリオール(c)を共重合成分とする。該ポリカーボネートポリオール(c)の具体例としては、(ポリ(オキシカルボニルオキシテトラメチレン))ジオール、(ポリ(オキシカルボニルオキシヘキサメチレン))ジオール、(ポリ(オキシカルボニルオキシオクタメチレン))ジオール、などが挙げられる。ポリカーボネートポリオール(c)の使用量は、ポリカーボネート系ポリウレタン(B)に用いる全共重合成分の67〜87重量%、好ましくは72〜82重量%である。使用量が67重量%未満であるか、または87重量%を超えるときは、生成するポリカーボネート系ポリウレタンの収率が低くなり、かつ分子量が低くなるため、得られる導電性組成物の機械的強度が劣る。
【0026】
本発明に用いるポリエーテル系ポリウレタン(A)には、前記芳香族系多官能イソシアネート(a)およびポリカーボネートポリオール(c)と共に、前記芳香族系多官能イソシアネート(a)と共重合可能な、前記ポリカーボネートポリオール(c)以外のポリオール(e)を共重合させることができる。この場合、ポリオール(e)の使用量は、ポリカーボネート系ポリウレタン(B)に用いる全共重合成分の20重量%以下である。
【0027】
また、これらの成分の共重合には、公知の触媒を用いることができる。
【0028】
前記ポリエーテル系ポリウレタン(A)およびポリカーボネート系ポリウレタン(B)の形態は特に限定されるものではなく、可溶性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、一液型または二液型の溶液状ポリウレタン、ワンショット法またはプレポリマー法ポリウレタンのいずれの形態も用いることができる。
【0029】
本発明の導電性組成物に用いる導電性物質(C)は、無機導電性フィラーと有機導電性フィラーとに大別される。無機導電性フィラーとしては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウムなどの金属紛;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;鱗片状グラファイトカーボン、カーボンブラック、炭素繊維、フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素質フィラー;などが挙げられる。また、有機導電性フィラーとしては、ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子;鉄フタロシアニン、フェロセンなどに代表される有機金属錯体;などが挙げられる。その中でも鱗片状グラファイトカーボン、カーボンブラックが好ましい。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
前記の鱗片状グラファイトカーボンの中でも、粉末鱗片状のグラファイトカーボンが好ましく、その厚みが好ましくは0.5μm以下、平均粒径が好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは1〜7μmである。厚みが0.5μmより大きいと導電性塗料の貯蔵安定性が低下する傾向がある。平均粒径が0.5μmより小さいと導電性繊維材料の導電性が低くなり、他方、平均粒径が15μmより大きいと導電性塗料の取り扱いが困難となり易い。
【0031】
鱗片状グラファイトカーボンの好ましい具体例(商品名)としては、例えば黒鉛粉J−CPB、SP−10、SP−20、HAG−15、HAG−150、HAG−300(以上、日本黒鉛(株)製)、人造黒鉛POG−2、POG−10、POG−20(以上、住友化学(株)製)などを挙げることができる。
【0032】
前記カーボンブラックのさらに好ましいものの具体例としては、アセチレンブラック;ケッチェッンブラック;チャンネルブラック;ファーネスブラック;酸化カーボンなどの変性カーボン;などが挙げられる。
【0033】
カーボンブラックの粒子径については特に制限はないが、10〜80nmの範囲のものを用いるのが好ましい。この範囲とすることにより、導電性塗料の取り扱い性に優れる。
【0034】
導電性物質としては、鱗片状グラファイトカーボンと、DBP吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラックとを組み合わせ用いることが特に好ましい。
【0035】
導電性物質(C)の合計使用量は、前記ポリエーテル系ポリウレタン(A)またはポリカーボネート系ポリウレタン(B)100重量部に対して、70〜180重量部、好ましくは80〜150重量部、より好ましくは90〜120重量部である。導電性物質(C)の使用量が70重量部未満では、導電性繊維材料の電気抵抗率が高くなり過ぎ、一定電圧下においては導電性に劣ると共に、面状発熱体用として使用する際に発熱量が小さくなる傾向にある。他方、180重量部を超えると、導電性繊維材料の電気抵抗率が低くなり過ぎ、所定の抵抗値の導電性繊維材料が得られないとともに、機械的な強度が低下し、基材からの剥離や脱落が起きやすくなる。
【0036】
導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボンと、DBP吸油量が低いカーボンブラックとを組み合わせ用いる場合、鱗片状グラファイトカーボンの使用量は、前記ポリウレタン100重量部に対して、通常、70〜150重量部、好ましくは75〜140重量部、より好ましくは80〜120重量部である。鱗片状グラファイトカーボン使用量が70重量部未満では導電性繊維材料の電気抵抗値が高くなり過ぎ、一定電圧下においては導電性に劣ると共に、導電性繊維材料などの導電性発熱素子として使用する際に発熱量が小さくなる傾向にある。他方、150重量部を超えると、導電性繊維材料にしたときの電気抵抗値が低くなり過ぎ、所望の抵抗値の導電性繊維材料が得られない。
【0037】
カーボンブラックのDBP吸着量は、100ml/100g未満が好ましく、70ml/100g未満であることがより好ましい。カーボンブラックの使用量は、前記ポリウレタン100重量部に対して、通常、1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部である。
【0038】
DBP吸油量が100ml/100g以上のカーボンブラックでは、導電性繊維材料の電気抵抗値が低くなり過ぎ、一定電圧下においては通電時に過電流が流れ、導電性繊維材料などの導電性発熱素子などが過度に発熱する傾向がある。また、前記ポリウレタン100重量部に対するカーボンブラックの使用量が1重量部未満では、導電性繊維材料の電気抵抗値が高くなり過ぎ、一定電圧下においては導電性に劣ると共に、導電性繊維材料などの導電性発熱素子として使用する際に発熱量が小さくなる傾向がある。他方、その使用量が30重量部を超えると、導電性繊維材料の電気抵抗値が低くなり過ぎ、所定の抵抗値の導電性繊維材料が得難い。
【0039】
DBP吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラックの好ましい具体例(商品例)としては、ダイヤブラック#5、ダイヤブラック#25、ダイヤブラック#45(以上、三菱化学(株)製)などを挙げることができる。
【0040】
本発明の導電性塗料は、本発明の導電性組成物170重量部〜280重量部を、溶媒(D)500重量部〜1500重量部に溶解または分散させてなる。
【0041】
本発明の導電性塗料に用いる溶媒(F)としては、前記ポリエーテル系ポリウレタン(A)およびポリカーボネート系ポリウレタン(B)を溶解または分散できるものであれば特に制限はないが、好ましい具体例としては以下の極性有機溶媒が挙げられる。すなわち、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記することがある)、フラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トリオキサンなどの環状エーテル系化合物;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのジアルキルケトアミド系化合物;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのジアルキルスルホキシド系化合物;アセトン、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記することがある)、ジエチルケトンなどのケトン系化合物;エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール系化合物;ジクロロエチレン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどの塩素化炭化水素系化合物;などを挙げることができる。中でも環状エーテル系化合物、ケトン系化合物がより好ましく、さらに好ましくはTHF、1,3−ジオキソラン、MEKが挙げられる。THFが特に好ましい。これらは1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0042】
溶媒(F)の使用量は、前記ポリエーテル系ポリウレタン(A)またはポリカーボネート系ポリウレタン(B)100重量部に対して、通常、500〜1500重量部、好ましくは700〜1300重量部、より好ましくは800〜1200重量部である。溶媒量が500重量部未満では、導電性塗料の粘度が高くなり過ぎて取り扱いが困難になり、他方、1500重量部を超えると、導電性塗料の粘度が低くなり過ぎて基材である繊維材料に導電性組成物が被覆され難くなる。
【0043】
本発明の導電性塗料には、所望により、可塑剤、分散剤、塗面調整剤、流動調整剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、架橋反応促進剤、架橋反応抑制剤など公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない程度に配合することができる。
【0044】
本発明の導電性繊維材料は、本発明の導電性組成物が繊維材料に被覆されたものである。
【0045】
ここで「被覆」とは、単に繊維材料の外表面を覆うことのみならず、単繊維を撚ってなる糸などの場合は、その糸の中の繊維間隙に導電性組成物が含浸し、糸を構成する単繊維を1本毎に被覆するものをも意味する。
【0046】
本発明の導電性繊維材料の基材となる繊維材料の形状、材質、形態などは特に限定されない。例えば、短繊維、長繊維、単繊維糸、短繊維または長繊維の集合体である糸、糸の集合体である織物、編物および不織布などの布帛などを用いることができる。また、繊維材料の材質は、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれであってもよい。これらの中でも、ポリエステル、ナイロンまたは綿からなる糸を用いることが好ましい。ポリエステルとしてはアルキル系ポリエステル、アリール系ポリエステルなど任意のもの選択して使用することができる。ナイロンとしては、ナイロン−6、ナイロン−6,6など任意のものを使用することができる。繊維材料としての糸の形態は特に限定されないが、複数本撚り合わせて500〜1500デニールの範囲であることが好ましい。
【0047】
本発明の導電性組成物を繊維材料に被覆する方法は特に限定されず、導電性組成物を溶媒(D)に溶解させてなる本発明の導電性塗料を繊維材料に塗布し、溶媒を除去する方法;導電性組成物を熱により融解し繊維材料に塗布する方法;導電性組成物を先ずシート状に成形し、それを繊維材料に巻きつけた後に熱処理する方法;などが挙げられる。これらの被覆方法の中でも、本発明の導電性塗料を、繊維材料に塗布する方法が好ましい。
【0048】
導電性塗料を繊維材料に塗布する方法は特に限定されず、従来行われている塗装方法によって塗布することができる。すなわち、導電性塗料を、浸漬塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、各種静電塗装、ロール塗装、刷毛塗りなどの手段により繊維材料に塗布し、含浸させることができる。
【0049】
本発明の面状発熱体は、前述した本発明の導電性繊維材料を有してなる。かかる面状発熱体は、例えば、導電性繊維材料のうち糸状のものを、2つの電極間に延びる導電性緯糸とし、電極と略平行に延びる非導電性経糸と織布を形成させてこれを発熱層とし、発熱層および電極の表裏面に絶縁シートからなる絶縁層を積層させることにより製造することができる。
【0050】
以下、本発明の面状発熱体を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る面状発熱体の概略斜視図、図2は図1に示すII−II線に沿う要部断面図である。
【0051】
図1および図2に示すように、本発明に係る面状発熱体2は、面状の発熱層4と、この発熱層4の両面に積層された絶縁層6とを有する。発熱層4の両側には、長手方向に沿って細長い電極8,8が形成されている。
【0052】
発熱層4としては、本実施形態では、電極8,8間に延びる導電性緯糸と、電極8,8と略平行に延びる非導電性経糸との織布が用いられる。非導電性経糸としては、例えばポリエステル繊維を樹脂溶液に浸漬し、乾燥して得られる糸などが用いられる。
【0053】
発熱層4の両側に配置される電極8,8は、特に限定されないが、本実施形態では、発熱層4を構成する導電性緯糸に接続するように編み込まれる可撓性金属線で構成される。電極8の厚みは、発熱層4と同程度であり、0.8〜1.4mm程度である。
【0054】
絶縁層6,6は、発熱層4および電極8,8を全て被覆するように表裏面に積層される。絶縁シートの両側端10,10は、相互に熱融着される。絶縁層6の厚みは、本実施形態では、0.2〜0.5mmであり、カレンダー法などで成形される。
【0055】
なお、本発明の面状発熱体は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の形態をとることができる。
【0056】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は特に断らない限り重量基準である。
【0057】
実施例および比較例において、カーボンブラック、導電性組成物および導電性繊維材料の特性の評価は、下記の方法に実施した。
【0058】
(1)カーボンブラックのDBP吸油量
カーボンブラックの乾燥試料1.00±0.01gを平滑なガラス板上に置く。粒状の場合は、へらで適度の圧力をかけ粒を砕く。ビュレットから必要なDBP量の約1/2をガラス板上に静かに注ぎ加え、DBPを円状に均等に広げてから前記試料を少しずつDBPの上に移して分散させ、へらで小円形を描く操作で練る。へらに付着した試料は、他のへらで取り除き、更にDBP約1/3〜1/4を加え、同一操作を繰り返して混合物が均一になるようにする。終点に近くなったら1滴ずつ加えて、更に終点近くなったら1/2滴ずつ加え、全体が一つの締まった塊状となった点を終点とする。この操作は、10〜15分で終わるようにする。操作終了後3分経過してからビュレット中のDBP滴下量を読み、次式によってカーボンブラックのDBP吸油量を算出する。
OA=(V/W)×100
(OA:吸油量(ml/100g)、V:終点までに用いたDBPの使用量(ml)、W:乾燥試料の重さ(g))
【0059】
(2)導電性組成物の電気抵抗値
導電性組成物の電気抵抗値は下記の試験方法で測定した。
【0060】
(i)試験用フィルム作成
50μm厚のポリエチレンテレフタレート製フィルム上に導電性塗料を塗布し、ベーカー式アプリケーター(理学工業(株)社製)で均一な厚みのフィルムとする。それを40℃のホットプレート上で5分間乾燥させ、その後、80℃のホットプレート上で5分間乾燥させる。
【0061】
(ii)電気抵抗値測定
(i)で作製した試験用フィルムを、(5cm±0.5mm)×(6cm±0.5mm)に切り取り、短辺側両端5mmをそれぞれ幅5cmのステンレス製クリップで留める。両端にあるクリップにテスターを接続し、フィルム(5cm±0.5mm)×(5cm±0.5mm)の表面電気抵抗値を測定する。フィルムの厚みを、厚み計で測定し、以下の式により電気抵抗値ρ(Ω・cm)を算出する。
ρ=R×(T×5)/5=R×T
(ρ:電気抵抗値(Ω・cm)、T:フィルムの厚み(cm)、R:表面電気抵抗値(Ω))
【0062】
(3)導電性繊維材料の単位長さあたりの電気抵抗値
導電性繊維材料の単位長さあたりの電気抵抗値は下記の試験方法で測定した。
(5cm±0.5mm)間隔の電極間に導電性繊維材料をたるみのないように張り、この電極間に一定電圧を印加する。
【0063】
同電極間に張り渡した導電性繊維材料の電気抵抗値をテスターにて読み取り、以下の式により単位長さあたりの電気抵抗値r(Ω/cm)を算出する。
r=R/L
(r:単位長さあたりの電気抵抗値(Ω/cm)、L:導電性繊維材料の長さ(cm))
【0064】
(4)導電性組成物の耐加水分解性
導電性繊維材料を98℃の水中に浸漬し、500時間おく。その前後の導電性繊維材料の単位長さあたりの電気抵抗値を前記(3)の方法により測定し、
〔(試験後の値)−(試験前の値)〕/(試験前の値)×100
の式から変化率(%)を求める。
【0065】
電気抵抗値の変化率の小さい方が、耐加水分性が良好であることを示している。また、電気抵抗値の変化率が0より大きい場合は、徐々に発熱能力が低下することを示している。
【0066】
(5)繊維材料と導電性組成物との接着性
ポリエステル製の基糸に導電性組成物が被覆されている導電性繊維材料を台上に置き、その上からJIS Z 1522規格に適合した幅8mmのセロハンテープを貼り付け、その上で750gのローラーを繊維材料の長さ方向に1往復させる。その後セロハンテープをゆっくり剥がす。導電性組成物が基糸から剥がれ、セロハンテープに移った導電性組成物の量から、下記4等級法により接着性の優劣を判断する。
◎:導電性組成物がセロハンテープに移る量が全体の4分の1以下である。
○:導電性組成物がセロハンテープに移る量が全体の半分以下である。
△:導電性組成物がセロハンテープに移る量が全体の半分以上であるが、基材そのものは露出しない。
×:導電性組成物の殆どが剥がれてセロハンテープに移り、基材そのものが露出する。
【実施例1】
【0067】
ポリプロピレン製容器中でポリエーテル系ポリウレタン(トリメチレングリコール42.2重量%およびテトラメチレングリコール15.3重量%とを縮重合したポリエーテルポリオール、ならびに、炭素数15の芳香族系多官能イソシアネートである、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)42.5重量%を共重合したポリエーテル系ポリウレタン)100重量部をテトラヒドロフラン900重量部に溶解させた。その後、その溶液中に、導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボン J−CPB(日本黒鉛(株)社製)80重量部とカーボンブラック ダイヤブラック#5(三菱化学(株)社製:DBP吸油量65ml/100g)20重量部の両成分を加え、さらに顔料分散および混合用としてジルコニアビーズ1000重量部を入れ、顔料分散機((株)東洋精機製作所製)で2時間振とうさせた。その後デカンテーションでジルコニアビーズを取り除き、導電性塗料を得た。
【0068】
繊維材料としてポリエステル製のマルチフィラメントの糸(1000デニール)を基糸として用い、その糸を、前記の方法で得た導電性塗料を塗布した後、乾燥し、基糸1mあたり0.04gの導電性組成物で被覆された糸、すなわち、導電性繊維材料を作製した。
【0069】
作製した導電性組成物で被覆された糸における、基糸と導電性組成物との接着性、および、導電性組成物の耐加水分解性について評価した。結果を表1に示す。
【実施例2】
【0070】
鱗片状グラファイトカーボン J−CPB80重量部とカーボンブラック ダイヤブラック#5 20重量部の両成分に代えて、カーボンブラック(デンカブラック:電気化学工業(株)社製)100重量部を用いた他は、実施例1と同様な操作を行い、導電性塗料および導電性繊維材料を得、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【実施例3】
【0071】
導電性塗料のベースポリマーをポリエーテル系ポリウレタンからポリカーボネート系ポリウレタン(炭素数7のオキシカルボニルオキシポリメチレン繰り返し単位を有する、ヘキサメチレングリコールとホスゲンとの等モル反応物(塩酸は脱離して分離除去した)であるポリカーボネートポリオール77.3重量%、および、炭素数15の芳香族系多官能イソシアネートである、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)22.7重量%を共重合したポリカーボネート系ポリウレタン)に代えた他は、実施例1と同様な操作を行い、導電性塗料および導電性繊維材料を得、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【実施例4】
【0072】
鱗片状グラファイトカーボン J−CPB80重量部とカーボンブラック ダイヤブラック#5 20重量部の両成分に代えて、カーボンブラック(デンカブラック:電気化学工業(株)社製)100重量部を用いた他は、実施例3と同様な操作を行い、導電性塗料および導電性繊維材料を得、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0073】
比較例1
ポリプロピレン製容器中でポリエステル系ポリウレタン(P22SRNAT、日本ポリウレタン(株)製)100重量部を1,3−ジオキソラン400重量部に溶解させた。その後、その溶液中に、導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボン J−CPB(日本黒鉛(株)社製)80重量部とカーボンブラック ダイヤブラック#5(三菱化学(株)社製:DBP吸油量65ml/100g)20重量部、さらにメチルエチルケトン500重量部を加え、さらに顔料分散および混合用としてジルコニアビーズ1000重量部を入れ、顔料分散機((株)東洋精機製作所製)で2時間振とうさせた。その後デカンテーションでジルコニアビーズを取り除き、導電性塗料を得た。その他は、実施例1と同様の操作を行い、導電性塗料および導電性繊維材料を得、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0074】
比較例2
鱗片状グラファイトカーボン J−CPB80重量部とカーボンブラック ダイヤブラック#5 20重量部の両成分に代えて、カーボンブラック(デンカブラック:電気化学工業(株)社製)100重量部を用いた他は、比較例1と同様な操作を行い、導電性塗料および導電性繊維材料を得、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
表1に示されるように、導電性組成物のベースポリマーにポリエステル系ポリウレタンを用いた比較例1および比較例2では、基糸と導電性組成物との接着性はやや劣る程度であったが、耐加水分解性については、耐加水分解性試験における電気抵抗値の変化率が0より大きくかつ絶対値も大きく、これは加水分解により徐々に発熱能力が低下することを示しており、耐加水分解性に劣る結果となった。
【0077】
これとは対照的に、ベースポリマーにポリエーテル系ポリウレタンまたはポリカーボネート系ポリウレタンを用いた本発明の導電性組成物(実施例1〜実施例4)は、いずれも耐加水分解性に優れ、かつ基糸との接着性に優れていた。
【実施例5】
【0078】
ポリプロピレン製容器中でポリエーテル系ポリウレタン(トリメチレングリコール42.2重量%およびテトラメチレングリコール15.3重量%とを縮重合したポリエーテルポリオール、ならびに、炭素数15の芳香族系多官能イソシアネートである、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)42.5重量%を共重合したポリエーテル系ポリウレタン)100重量部をテトラヒドロフラン900重量部に溶解させた。その後、その溶液中に、導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボン J−CPB(日本黒鉛(株)社製)90重量部とカーボンブラック ダイヤブラック#5(三菱化学(株)社製:DBP吸油量65ml/100g)10重量部を加え、さらに顔料分散および混合用としてジルコニアビーズ1000重量部を入れ、顔料分散機((株)東洋精機製作所製)で2時間振とうさせた。その後デカンテーションでジルコニアビーズを取り除き、導電性塗料を得た。
【0079】
繊維材料としてポリエステル製のマルチフィラメントの糸(1000デニール)を基糸として用い、その糸を、前記の方法で得た導電性塗料を塗布した後、乾燥し、基糸1mあたり0.04gの導電性組成物で被覆された糸、すなわち、導電性繊維材料を作製した。
【0080】
上記導電性組成物の電気抵抗値、および作製した導電性繊維材料の単位長さあたりの電気抵抗値を測定した。また、導電性組成物で被覆された糸における、基糸と導電性組成物との接着性を測定した。結果を表2に示す。
【実施例6】
【0081】
カーボンブラックとして、ダイヤブラック#5に代えて、ダイヤブラック#45(三菱化学(株)社製:DBP吸油量53ml/100g)を用いた他は、実施例5と同様な操作を行い、導電性塗料及び導電性繊維材料を得、実施例5と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【実施例7】
【0082】
カーボンブラックとして、ダイヤブラック#5に代えて、デンカブラック(電気化学工業(株)社製:DBP吸油量180ml/100g)を用いた他は、実施例5と同様な操作を行い、導電性塗料及び導電性繊維材料を得、実施例5と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【実施例8】
【0083】
導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボン J−CPB 50重量部と、カーボンブラック ダイヤブラック#5 50重量部の両成分を用いた他は、実施例5と同様な操作を行い、導電性塗料及び導電性繊維材料を得、実施例5と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【実施例9】
【0084】
導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボン J−CPB 100重量部を用い、カーボンブラック ダイヤブラック#5を用いなかった他は、実施例5と同様な操作を行い、導電性塗料及び導電性繊維材料を得、実施例5と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【0085】
比較例3
導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボン J−CPB 200重量部と、カーボンブラック ダイヤブラック#5 50重量部の両成分を用いた他は、実施例5と同様な操作を行い、導電性塗料及び導電性繊維材料を得、実施例5と同様に評価した。評価結果を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
表2に示されるように、導電性物質として、鱗片状グラファイトカーボンと、DBP吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラックとを組み合わせ用いると、導電性組成物は、適度な電気抵抗値と導電性とを示す。特に、鱗片状グラファイトカーボンの量と、DBP吸油量が低いカーボンブラックの量とが、前記の望ましい範囲にあるとき(実施例5および実施例6)、電気抵抗値と導電性とのバランスが最もよい。鱗片状グラファイトカーボンにDBP吸油量が大きいカーボンブラックを組み合わせ用いた場合(実施例7)および鱗片状グラファイトカーボンの量が過大である場合(比較例3)は、電気抵抗値が低い。鱗片状グラファイトカーボンの使用量が少ない場合(実施例8)および、鱗片状グラファイトカーボンのみを用いる場合(実施例9)は電気抵抗値が大きい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の導電性組成物を繊維材料に被覆してなる導電性繊維材料は、導電性組成物被覆層が剥離し難く、かつ耐加水分解性に優れるため水分の多い場所での使用において劣化され難く、そのため寿命が長くなり、面状発熱体などの発熱体の発熱素子として使用するのに有用である。
【0089】
本発明の面状発熱体は、特に、水分の多い環境下での使用寿命が長いという特長を有し、例えば、土中などに埋設して使用される育苗用土壌加熱体、融雪・融氷用道路加熱体などに有用であることは勿論であるが、一般の用途である電気布団、床暖房、壁暖房などの用途においても、より長寿命化が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8〜22の芳香族系多官能イソシアネート(a)3353重量%、および炭素数3〜6のオキシポリメチレン繰り返し単位を有する、ポリエーテルポリオール(b)47〜67重量%を共重合してなるポリエーテル系ポリウレタン(A)100重量部、または前記イソシアネート(a)13〜33重量%、および炭素数5〜9のオキシカルボニルオキシポリメチレン繰り返し単位を有する、ポリカーボネートポリオール(c)67〜87重量%を共重合してなるポリカーボネート系ポリウレタン(B)100重量部、並びに導電性物質(C)70〜180重量部を含有してなる導電性組成物。
【請求項2】
導電性物質(C)が、鱗片状グラファイトカーボン(D)70〜150重量部およびジブチルフタレート吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラック(E)1〜30重量部からなる請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
導電性物質(C)が、鱗片状グラファイトカーボン(D)75〜140重量部およびジブチルフタレート吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラック(E)3〜20重量部からなる請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項4】
導電性物質(C)が、鱗片状グラファイトカーボン(D)80〜120重量部およびジブチルフタレート吸油量が100ml/100g未満のカーボンブラック(E)5〜15重量部からなる請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物170〜280重量部を、溶媒(F)500〜1500重量部に溶解または分散させてなる導電性塗料。
【請求項6】
溶媒(F)の量が700〜1300重量部である請求項5に記載の導電性塗料。
【請求項7】
溶媒(F)の量が800〜1200重量部である請求項5に記載の導電性塗料。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物が、繊維材料に被覆されてなる導電性繊維材料。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の導電性塗料を繊維材料に塗布することを特徴とする、導電性繊維材料の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の導電性繊維材料を有してなる面状発熱体。

【図1】
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【図2】
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【国際公開番号】WO2005/012428
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−512517(P2005−512517)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010859
【国際出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】