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導電性組成物、当該組成物を用いた導電性膜及びその製造方法
説明

導電性組成物、当該組成物を用いた導電性膜及びその製造方法

【課題】高い導電性を示す導電性組成物、当該組成物を用いた導電性膜及びその製造方法提供する。
【解決手段】導電性高分子と、該導電性高分子のドーパントとしてオニウム塩化合物とを含有する導電性組成物、当該組成物を成形してなる導電性膜、及び当該導電性膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性組成物、当該組成物を用いた導電性膜及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野の発展にともなって、新しいエレクトロニクス材料が次々と研究・開発されている。電気伝導性を持つ高分子化合物もその1つであり、従来の金属系材料に代わる新たな導電性材料として注目が集まっている。
高分子を用いた導電性材料は、金属系材料と比べて、簡便な手法で比較的廉価に製造できるという利点があり、実用化が期待されている。
金属系材料の場合、真空蒸着法やスパッタリング法等の気相法によって基板上に金属を付着、堆積させて成膜し、導電性材料を製造するのが一般的である。しかし、この方法は、製造装置等に多額のコストがかかり、大面積化も困難である。また、近年では電気機器の軽量化やフレキシブル化への要望に応えるため、基板材料をガラスからプラスチックへ移行することが検討されているが、気相法では耐熱性の点から基板にガラスを用いるのが一般的であり、プラスチック基板では耐熱性が不足する、形成された被膜の基板に対する密着性が低下して剥がれ易い等の問題を生じていた。
これに対し、導電性高分子を用いた導電性材料は、高温や真空条件を必須としないため、製造工程が簡便で、製造コストを抑えることができる。プラスチック等の材料も基板として利用可能なため、機器の軽量化、フレキシブル化に対応でき、加えて強度や耐衝撃性を著しく向上させることもできる。また、スピンコート等の塗布方法による製膜が可能なため、大面積フィルム等の製造にも適する。
【0003】
このような利点から、導電性高分子は、液晶ディスプレイや太陽電池の透明電極、コンデンサ、キャパシタ、二次電池の電極材料、帯電防止材料、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイスや有機トランジスタに用いる有機半導体材料、電子回路のパターニング材料等、各種用途への応用が提案され、実用化に向けた研究が始まっている。
現在用いられている導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン等の分子内に電子共役系を有する高分子化合物が挙げられる。導電性を向上させるため、これらの高分子にキャリアをドーピングすることが行われ、ドーパントとしては、ハロゲン原子、プロトン酸、ルイス酸、金属のハロゲン化物等が知られている。さらに、導電性高分子に他の成分を添加することで、各種用途への適性を高めることも行われている。例えば、特許文献1では、導電性ポリマーに光硬化型モノマー及び硬化促進剤を配合した導電性樹脂形成性組成物が提案され、モノマーを硬化反応させて機械強度及び基板への密着性を高めうること、選択的な光照射を行うことでパターン形成材料として用いうることが記載されている。特許文献2では、導電性ポリマーとドーパントからなる複合体に、熱架橋剤及び架橋促進剤を配合した導電性コーティング組成物が提案され、低温硬化性を有し耐熱性の低い基材にも適用しうること、電子部品の包装材等の帯電防止層として用いうることが記載されている。また、特許文献3には、導電性高分子をマトリックスポリマーとし、これに酸分解性樹脂と光酸発生剤を配合したパターン形成材料が提案されている。
しかしながら、これらの先行文献のうち特許文献1,2記載の導電性材料は、樹脂の硬化反応により樹脂膜の基材との密着性、耐熱性などを向上させることを目的にしており、導電性の向上は記載がない。また特許文献3はフォト酸発生剤を用いるが導電性の向上でなく、高分子樹脂を荷電ビームを用いて微細パターンを形成することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−202704号公報
【特許文献2】特開2010−106245号公報
【特許文献3】特許第2586692号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、導電性高分子の導電性を高め、かつ優れた塗布性を備えて、成膜性の優れた導電性組成物、当該組成物を用いた良好な膜質の導電性膜、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。そして、導電性高分子にオニウム塩化合物をドーパントとして混合することにより、該組成物中に該オニウム塩化合物が均一に分散もしくは溶解し、凝集・析出・沈殿等を生じないこと、及び組成物中に含まれる界面抵抗を生じる原因となる成分や構造を低減すること、そして組成物の均一性が向上すること、そしてその結果、成膜時においてドーピング処理して導電性を向上できる良好な塗布性、ドーピング性を備えた導電性組成物が得られることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
本発明者らが種々検討したところ、プロトン酸、ルイス酸、金属のハロゲン化物といった従来のドーパントを用いた場合、当該ドーパントの添加によって導電性高分子がカチオン化し、凝集・析出・沈殿等が発生して溶解性が低下し、その結果、塗布性が悪化した。また、ハロゲンをドーパントとして用いた場合、凝集等は発生しないものの、ドーパントの揮発により経時での導電性が大きく低下した。これらの知見を元にさらに検討を重ね、本発明者らは従来型のドーパントにかえて、オニウム塩化合物をドーパントとして用いる新たなドーピング手法とその効果を発見し採用した。このような本発明は前記特許文献1〜3記載の発明ではない。
さらに、前記特許文献1〜3では、導電性材料中に分解性ポリマーや硬化型モノマーが必須成分として一定量配合されており、これらの成分に起因して材料の導電性が低下することがわかった。分解性ポリマーを含有する場合、分解によって導電性に寄与しない低分子成分が増加して、これが抵抗を生じて全体として導電性が低下する。また、硬化性モノマーや架橋剤を含有する場合、重合/架橋性基による連結部位が絶縁性となるため、やはり導電性が低下する。しかも、分解性ポリマーや硬化型モノマー等は分解又は重合反応の前後で分子量が大きくするため、この分子量変化に起因する体積収縮や密度分布が発生し、これがクラック、ボイド、粒界の原因となることがわかった。
【0007】
すなわち、上記の課題は以下の手段により達成された。
(1) 導電性高分子と、該導電性高分子のドーパントとしてオニウム塩化合物とを含有する導電性組成物。
(2) 前記導電性高分子100質量部に対し、前記オニウム塩化合物を10質量部以上含有することを特徴とする前記(1)項記載の導電性組成物。
(3) 前記導電性高分子と前記オニウム塩化合物とが組成物中に均一に分散されていることを特徴とする前記(1)又は(2)項に記載の導電性組成物。
(4) 前記オニウム塩化合物が、熱又は活性エネルギー線照射の付与により酸を発生する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の導電性組成物。
(5) 前記オニウム塩化合物が、下記一般式(I)〜(V)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【0008】
【化1】

【0009】
(一般式(I)〜(V)中、R21〜R23、R25〜R26及びR31〜R33は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基を表す。R27〜R30は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。R24は、アルキレン基、アリーレン基を示す。Xは、強酸のアニオンを表す。同一式内に存在するR21〜R23、R25〜R26及びR31〜R33から選ばれる任意の2つの基は、互いに結合して脂肪族環、芳香族環、又はヘテロ環を形成してもよい。)
(6) 前記オニウム塩化合物が、前記一般式(I)及び/又は(II)で表されるスルホニウム塩化合物であって、R21〜R23がフェニル基又は塩素原子で置換されたフェニル基であり、Xがアルキル又はアリールボレートアニオンであることを特徴とする前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の導電性組成物。
(7)前記導電性組成物の含水率が0.01質量%以上15質量%以下であることを特徴とする前記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の導電性組成物。
(8) 前記導電性高分子が、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−フェニレン系化合物、p−フェニレンビニレン系化合物、p−フェニレンエチニレン系化合物、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーから誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子であることを特徴とする前記(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の導電性組成物。
(9) 前記導電性高分子がチオフェン化合物から誘導される繰り返し単位を少なくとも有する共役系高分子であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の導電性組成物。
(10) 前記導電性高分子が、下記一般式(1)〜(5)で表される繰り返し単位を少なくとも1種有していることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【0010】
【化2】

【0011】
(一般式(1)〜(5)中、R〜R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ポリアルキレンオキシ基、アシルオキシ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し、Yは炭素原子、窒素原子又はケイ素原子を表し、nは1又は2の整数を表す。)
(11) さらに溶媒を含むことを特徴とする前記(1)〜(10)項のいずれか1項に記載の導電性組成物。
(12) 前記(1)〜(11)項のいずれか1項に記載の導電性組成物を成形し、成形後に熱又は活性エネルギー線を付与してなる導電性膜。
(13) 前記(1)〜(11)項のいずれか1項に記載の導電性組成物を基材上に塗布し、塗布後に熱又は活性エネルギー線を付与してなる導電性積層体。
(14) 基材が樹脂フィルムである前記(13)項記載の導電性積層体。
(15) さらに電極を有する前記(13)又は(14)項記載の導電性積層体。
(16) 前記(1)〜(11)項のいずれか1項に記載の導電性組成物、前記(12)項記載の導電性膜、及び前記(13)〜(15)項のいずれか1項に記載の導電性積層体のいずれかを用いた導電性物品。
(17) 前記(1)〜(11)項のいずれか1項に記載の導電性組成物を成形する工程と、成形後に加熱又は活性エネルギー線照射を行う工程とを含む導電性膜の製造方法。
(18) さらに、成形された組成物の含水率が0.01質量%以上15質量%以下となるよう処理する工程を含む、前記(17)項記載の導電性組成物の製造方法。
(19) 前記成形工程が、導電性組成物を基材上に塗布する工程であることを特徴とする前記(17)又は(18)項記載の導電性膜の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の導電性組成物は、導電性が優れ、溶媒に溶解して成膜することができ、基材上への優れた塗布性により導電性膜(フィルム)や導電性層等の製造に好適に用いることができる。当該組成物を用いて製造された本発明の導電性膜は、高い導電性と良好な膜質を備え、導電性材料として幅広い用途に利用することができる。具体的には、本発明の導電性組成物及び導電性膜は、液晶ディスプレイに代表される各種の表示素子や太陽電池などに用いられる透明電極、コンデンサ、キャパシタ、二次電池などに使用される導電材料、光電変換素子、熱電変換素子、有機FETなどの有機半導体材料として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の導電性組成物は、導電性に寄与する成分として、導電性高分子及びオニウム塩化合物を含有する。オニウム塩化合物は、導電性高分子に対するドーパントとして機能する。
本発明の導電性組成物は、各成分が組成物中で均一に分散又は溶解しており、良好な塗布性を示す。そのため、当該組成物は塗布による成膜が容易で、形成された塗膜は高い導電率と良好な膜質とを備えている。
【0014】
以下、本発明について詳述する。
[導電性高分子]
本発明に用いる導電性高分子は、後述のオニウム塩化合物及びその調製方法によってドーピングされて導電性を示す化合物であればよい。また、必ずしも高分子量化合物である必要はなく、オリゴマー化合物であってもよい。
導電性高分子として、具体的には、共役系の分子構造を有する高分子化合物を用いることができる。ここで、共役系の分子構造を有する高分子とは、高分子の主鎖上の炭素−炭素結合において、一重結合と二重結合とが交互に連なる構造を有している高分子である。
このような共役系高分子としては、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−フェニレン系化合物、p−フェニレンビニレン系化合物、p−フェニレンエチニレン系化合物、p−フルオレニレンビニレン系化合物、ポリアセン系化合物、ポリフェナントレン系化合物、金属フタロシアニン系化合物、p−キシリレン系化合物、ビニレンスルフィド系化合物、m−フェニレン系化合物、ナフタレンビニレン系化合物、p−フェニレンオキシド系化合物、フェニレンスルフィド系化合物、フラン系化合物、セレノフェン系化合物、アゾ系化合物、金属錯体系化合物、及びこれらの化合物に置換基を導入した誘導体などをモノマーとし、当該モノマーから誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子が挙げられる。
【0015】
上記の誘導体に導入される置換基としては特に制限はないが、他の成分との相溶性、用いうる媒体の種類等を考慮して、組成物中での導電性高分子やオニウム塩化合物の分散性や溶解性を高めうる基を適宜選択して導入することが好ましい。
なお、本発明において置換基に関してxxx基というときには、そのxxx基に任意の置換基を有していてもよい。また、同一の符合で示された基が複数ある場合は、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、アルキル基やアルキレン基のように、直鎖、分岐又は環状構造をとりうる基は、そのいずれであってもよい。
一例として、媒体として有機溶媒を用いる場合、直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基のほか、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基、クラウンエーテル基、アリール基等を好ましく用いることができる。これらの基は、さらに置換基を有してもよい。また、置換基の炭素数に特に制限はないが、好ましくは1〜12個、より好ましくは4〜12個であり、特に炭素数6〜12個の長鎖のアルキル基、アルコキシ基、チオアルキル基、アルコキシアルキレンオキシ基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基が好ましい。
水系の媒体を用いる場合は、各モノマーの末端又は上記置換基にさらに、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等の親水性基を導入することが好ましい。
他にも、ジアルキルアミノ基、モノアルキルアミノ基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、カルバメート基、ニトロ基、シアノ基、イソシアネート基、イソシアノ基、ハロゲン原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基などを置換基として導入することができ、好ましい。
導入されうる置換基の数も特に制限されず、導電性高分子の分散性や相溶性、導電性等を考慮して、1個又は複数個の置換基を適宜導入することができる。
【0016】
チオフェン系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、ポリチオフェン、チオフェン環に置換基が導入されたモノマーから誘導される繰り返し単位を含む共役系高分子、及びチオフェン環を含む縮合多環構造を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を含む共役系高分子が挙げられる。
【0017】
チオフェン環に置換基が導入されたモノマーから誘導される繰り返し単位を含む共役系高分子としては、ポリ−3−メチルチオフェン、ポリ−3−ブチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルチオフェン、ポリ−3−シクロヘキシルチオフェン、ポリ−3−(2’−エチルヘキシル)チオフェン、ポリ−3−オクチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルチオフェン、ポリ−3−(2’−メトキシエトキシ)メチルチオフェン、ポリ−3−(メトキシエトキシエトキシ)メチルチオフェンなどのポリ−アルキル置換チオフェン類、ポリ−3−メトキシチオフェン、ポリ−3−エトキシチオフェン、ポリ−3−ヘキシルオキシチオフェン、ポリ−3−シクロヘキシルオキシチオフェン、ポリ−3−(2’−エチルヘキシルオキシ)チオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシチオフェン、ポリ−3−メトキシ(ジエチレンオキシ)チオフェン、ポリ−3−メトキシ(トリエチレンオキシ)チオフェン、ポリ−(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などのポリ−アルコキシ置換チオフェン類、ポリ−3−メトキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ヘキシルオキシ−4−メチルチオフェン、ポリ−3−ドデシルオキシ−4−メチルチオフェンなどのポリ−3−アルコキシ置換−4−アルキル置換チオフェン類、ポリ−3−チオヘキシルチオフェン、ポリ−3−チオオクチルチオフェン、ポリ−3−チオドデシルチオフェンなどのポリ−3−チオアルキルチオフェン類が挙げられる。
【0018】
なかでも、ポリ−3−アルキルチオフェン類、ポリ−3−アルコキシチオフェン類が好ましい。3位に置換基を有するポリチオフェンに関しては、チオフェン環の2,5位での結合の向きにより異方性が生じる。3−置換チオフェンの重合において、チオフェン環の2位同士が結合したもの(HH結合体:head−to−head)、2位と5位が結合したもの(HT結合体:head−to−tail)、5位同士が結合したもの(TT結合体:tail−to−tail)の混合物になるが、2位と5位が結合したもの(HT結合体)の割合が多いほど、重合体主鎖の平面性が向上し、ポリマー間のπ−πスタッキング構造を形成しやすく、電荷の移動を容易にする上で好ましい。これら結合様式の割合は、H−NMRにより測定することができる。チオフェン環の2位と5位が結合したHT結合体の重合体中における割合は50質量%以上が好ましく、さらに好ましくは70質量%以上、特に90質量%以上のものが好ましい。
【0019】
より具体的に、チオフェン環に置換基が導入されたモノマーから誘導される繰り返し単位を含む共役系高分子、及びチオフェン環を含む縮合多環構造を有するモノマーから誘導される繰り返し単位を含む共役系高分子として、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0020】
【化3】

【0021】
ピロール系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。

【0022】
【化4】

【0023】
アニリン系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0024】
【化5】

【0025】
アセチレン系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0026】
【化6】

【0027】
p−フェニレン系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0028】
【化7】

【0029】
p−フェニレンビニレン系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0030】
【化8】

【0031】
p−フェニレンエチニレン系化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0032】
【化9】

【0033】
上記以外の化合物及びその誘導体から誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子としては、下記の化合物が例示できる。なお下記式中、nは10以上の整数を示す。
【0034】
【化10】

【0035】
上記共役系高分子のなかでも、直鎖状の共役系高分子を用いることが好ましい。このような直鎖状の共役系高分子は、例えば、ポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子の場合、各モノマーのチオフェン環又はピロール環が、それぞれ2,5位で結合することにより得られる。ポリ−p−フェニレン系高分子、ポリ−p−フェニレンビニレン系高分子、ポリ−p−フェニレンエチニレン系高分子では、各モノマーのフェニレン基がパラ位(1,4位)で結合することにより得られる。
【0036】
本発明で用いる導電性高分子は、上述の繰り返し単位(以下、この繰り返し単位を与えるモノマーを「第1のモノマー(群)」とも称する)を1種単独で有しても、2種以上を組合わせて有していてもよい。また、第1のモノマーに加えて、他の構造を有するモノマー(以下、「第2のモノマー」と称する)から誘導される繰り返し単位を、併せて有していてもよい。複数種の繰り返し単位からなる高分子の場合、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であっても、グラフト重合体であってもよい。
【0037】
上記第1のモノマーと併用される、他の構造を有する第2のモノマーとしては、フルオレニレン基、カルバゾール基、ジベンゾ[b,d]シロール基、チエノ[3,2−b]チオフェン基、チエノ[2,3−c]チオフェン基、ベンゾ[1,2−b;4,5−b’]ジチオフェン基、シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]ジチオフェン基、ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4(2H,5H)−ジオン基、ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,8−ジイル基、アゾ基、1,4−フェニレン基、5H−ジベンゾ[b、d]シロール基、チアゾール基、イミダゾール基、ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4(2H、5H)−ジオン基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、トリアゾール基等を有する化合物、及びこれらの化合物にさらに置換基を導入した誘導体が挙げられる。導入する置換基としては、上述した置換基と同様のものが挙げられる。
【0038】
本発明で用いる導電性高分子は、第1のモノマー群から選択された1種又は複数種のモノマーから誘導される繰り返し単位を導電性高分子中、合計で50質量%以上有していることが好ましく、70質量%以上有していることがより好ましく、第1のモノマー群から選択された1種又は複数種のモノマーから誘導される繰り返し単位のみからなることが更に好ましい。特に好ましくは、第1のモノマー群から選択された単一の繰り返し単位のみからなる共役系高分子である。
【0039】
第1のモノマー群のなかでも、チオフェン系化合物及び/又はその誘導体から誘導される繰り返し単位を含むポリチオフェン系高分子がより好ましく用いられる。特に、下記の構造式(1)〜(5)で表されるチオフェン環、又はチオフェン環含有縮合芳香環構造を繰り返し単位として有するポリチオフェン系高分子が好ましい。
【0040】
【化11】

【0041】
上記構造式(1)〜(5)中、R〜R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ポリアルキレンオキシ基、アシルオキシ基又はアルキルオキシカルボニル基を表し、Yは炭素原子、窒素原子又はケイ素原子を表し、nは1または2の整数を表す。また*は、各繰り返し単位の連結部位を表す。
【0042】
〜R13において、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素原子が挙げられ、フッ素、塩素が好ましい。
アルキル基には直鎖、分岐、環状のアルキル基が含まれ、炭素数1〜14のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ペンチル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル等が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜14のアルコキシ基が好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、s−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、t−アミルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ等が挙げられる。
パーフルオロアルキル基としては、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基が好ましく、具体的には、CF基、CFCF基、n−C基、i−C基、n−C基、t−C基、s−C基、n−C11基、CFCFC(CF基、n−C13基、C17基、C19基、C1021基、CF(CFCH基、CF(CFCH基、CF(CFCHCH基等が挙げられる。
パーフルオロアルコキシ基としては、炭素数1〜10のパーフルオロアルコキシ基が好ましく、具体的には、CFO基、CFCFO基、n−CO基、i−CO基、n−CO基、t−CO基、s−CO基、n−C11O基、CFCFC(CFO基、n−C13O基、C17O基、C19O基、C1021O基、CF(CFCHO基、CF(CFCHO基、CF(CFCHCHO基等が挙げられる。
アミノ基はアルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含み、炭素数0〜16のアミノ基が好ましく、具体的にはアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノヘキシルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、モノドデシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジキシリルアミノ基、ジトリルアミノ基、モノフェニルアミノ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1〜14のアルキルチオ基が好ましく、具体的にはCHS基、CHCHS基、n−CS基、i−CS基、n−CS基、t−CS基、s−CS基、n−C11S基、CHCHC(CHS基、n−C13S基、c−C11S基、CH(CHCHCHS基、C13S基、C17S基、C19S基、C1021S基、2−エチルヘキシルチオ基等が挙げられる。
ポリアルキレンオキシ基としては、炭素数3〜20のポリアルキレンオキシ基が好ましく、具体的にはポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基が挙げられる。
アシルオキシ基としては、炭素数1〜14のアシルオキシ基が好ましく、具体的には、例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アルキルオキシカルボニル基としては、炭素数1〜14のアルキルオキシカルボニル基が好ましく、具体的にはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
これらの基は、さらに置換されていてもよい。
【0043】
〜R13として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ポリアルキレンオキシ基、水素原子であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ポリアルキレンオキシ基であり、特に好ましくはアルキル基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシ基である。
Yは、炭素原子又は窒素原子であることが好ましく、炭素原子であることがより好ましい。
【0044】
前記一般式(1)〜(5)で表される繰り返し単位として、具体的には上記で示したものの他に下記が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
【化12】

【0046】
導電性高分子の分子量は特に限定されず、高分子量のものはもちろん、それ未満の分子量のオリゴマー(例えば重量平均分子量1000〜10000程度)であってもよい。
高い導電性を実現する観点から、導電性高分子は、酸、光、熱に対して分解されにくいものが好ましい。高い導電性を得るためには、導電性高分子の長い共役鎖を介した分子内のキャリア伝達、及び分子間のキャリアホッピングが必要となる。そのためには、導電性高分子の分子量がある程度大きいことが好ましく、この観点から、本発明で用いる導電性高分子の分子量は、重量平均分子量で5000以上であることが好ましく、7000〜300,000であることがより好ましく、8000〜100,000であることがさらに好ましい。当該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
【0047】
これらの導電性高分子は、構成単位である上記モノマーを通常の酸化重合法により重合させて製造できる。
また、市販品を用いることもでき、例えば、アルドリッチ社製のポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5ージイル) レジオレギュラー品が挙げられる。
【0048】
[オニウム塩化合物]
本発明では、上記導電性高分子に対するドーパントとしてオニウム塩化合物を用いる。本発明で用いるオニウム塩化合物は、光や熱等のエネルギー付与によって、酸を発生する化合物(酸発生剤)であることが好ましい。すなわち、そのままの状態では酸を発生せず、熱や光などのエネルギーを外部から付与することによって、はじめて酸を発生する化合物(酸前駆体)であることが好ましい。
従来のドーピング手法では、プロトン酸やルイス酸等の酸をドーパントとして用いるため、これらを組成物中に添加すると導電性高分子と即座に反応し、導電性高分子がカチオン化して凝集・析出・沈殿してしまう。このような組成物は塗布性に劣り、形成された塗膜の膜質も悪化してしまう。一方、本発明のオニウム塩化合物を用いたドーピングでは、光や熱等のエネルギー付与により酸が発生して初めてドーピング効果が発現する。オニウム塩化合物は酸放出前の状態では中性であり、導電性高分子と反応してカチオン化を引き起こすことはない。そのため、導電性高分子を含む組成物中にオニウム塩化合物を添加した時点では、凝集・析出等が生じず、導電性高分子及びオニウム塩化合物は良好な分散性又は溶解性を維持できる。さらに、当該組成物は良好な塗布性を示し、塗布後の膜質も良好である。また、形成された膜中には導電性高分子及びドーパントが均一に分散されているため、塗布後に光や熱等の外部刺激を与えることで、高い導電性を示す。
【0049】
本発明で用いるオニウム塩化合物は、熱の付与又は放射線や電磁波等の活性エネルギー線の照射により酸を発生する化合物であることが好ましい。このようなオニウム塩化合物としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩が好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、カルボニウム塩がより好ましい。当該塩を構成するアニオン部分としては、強酸の対アニオンが挙げられる。
【0050】
具体的には、スルホニウム塩として下記一般式(I)及び(II)で表される化合物が、ヨードニウム塩として下記一般式(III)で表される化合物が、アンモニウム塩として下記一般式(IV)で表される化合物が、カルボニウム塩として下記一般式(V)で表される化合物が、それぞれ挙げられ、本発明において好ましく用いられる。
【0051】
【化13】

【0052】
上記一般式(I)〜(V)中、R21〜R23、R25〜R26及びR31〜R33は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基を表す。R27〜R30は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。R24は、アルキレン基、アリーレン基を示す。R21〜R33は、さらに置換されていてもよい。Xは、強酸のアニオンを表す。
一般式(I)においてR21〜R23のいずれか2つの基が、一般式(II)においてR21及びR23が、一般式(III)においてR25及びR26が、一般式(IV)においてR27〜R30のいずれか2つの基が、一般式(V)においてR31〜R33のいずれか2つの基が、それぞれ結合して脂肪族環、芳香族環、ヘテロ環を形成してもよい。
【0053】
21〜R23、R25〜R33において、アルキル基には直鎖、分岐、環状のアルキル基が含まれ、直鎖又は分岐のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基などが挙げられる。
環状アルキル基としては、炭素数3〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などが挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンシル基、ピレニル基などが挙げられる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、ピラゾール基、イミダゾール基、ベンゾイミダゾール基、インドール基、キノリン基、イソキノリン基、プリン基、ピリミジン基、オキサゾール基、チアゾール基、チアジン基等が挙げられる。
【0054】
27〜R30において、アルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、iso−プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。
【0055】
24において、アルキレン基には直鎖、分岐、環状のアルキレン基が含まれ、炭素数2〜20のアルキレン基が好ましい。具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基などが挙げられる。環状アルキレン基としては、炭素数3〜20の環状アルキレン基が好ましく、具体的には、シクロペンチレン基、シクロへキシレン、ビシクロオクチレン基、ノルボニレン基、アダマンチレン基などが挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、具体的には、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基などが挙げられる。
【0056】
21〜R33が更に置換基を有する場合、置換基として好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルキル基、アリールカルボニルアルキル基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、トリフルオロメチル基、−S−R41などが挙げられる。なお、R41は、前記R21と同義である。
【0057】
としては、アリールスルホン酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオン、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオン、過ハロゲン酸アニオン、又は、アルキル若しくはアリールボレートアニオンが好ましい。これらは、さらに置換基を有してもよく、置換基としてはフルオロ基が挙げられる。
アリールスルホン酸のアニオンとして具体的には、p−CHSO、PhSO、ナフタレンスルホン酸のアニオン、ナフトキノンスルホン酸のアニオン、ナフタレンジスルホン酸のアニオン、アントラキノンスルホン酸のアニオンが挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオンとして具体的には、CFSO、CSO、C17SOが挙げられる。
過ハロゲン化ルイス酸のアニオンとして具体的には、PF、SbF、BF、AsF、FeClが挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンとして具体的には、CFSO−N−SOCF、CSO−N−SOが挙げられる。
過ハロゲン酸アニオンとして具体的には、ClO、BrO、IOが挙げられる。
アルキル若しくはアリールボレートアニオンとして具体的には、(C、(C、(p−CH、(CF)が挙げられる。
【0058】
一般式(I)においてR21〜R23の少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、R21〜R23のすべてがアリール基であることがより好ましい。当該アリール基は、無置換又はハロゲン原子で置換されていることが好ましく、無置換又はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)で置換されたフェニル基がより好ましい。
一般式(II)においてR21及びR23の少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、R21及びR23がアリール基であることがより好ましい。当該アリール基は、無置換又はハロゲン原子で置換されていることが好ましく、無置換又はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)で置換されたフェニル基がより好ましい。
一般式(III)においてR25及びR26の少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、R25及びR26がアリール基であることがより好ましい。当該アリール基は、無置換又はハロゲン原子で置換されていることが好ましく、無置換又はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)で置換されたフェニル基がより好ましい。
一般式(IV)においてR27〜R30は、水素原子、アルキル基、アリール基であることが好ましい。
一般式(V)においてR31〜R33のいずれかの少なくとも1つがアリール基であることが好ましく、R31〜R33のすべてがアリール基であることがより好ましい。当該アリール基は、無置換又はハロゲン原子で置換されていることが好ましく、無置換又はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)で置換されたフェニル基がより好ましい。
【0059】
一般式(I)〜(V)において、Xとしてより好ましくは、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン(好ましくは、PF)、パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオン、アリールスルホン酸のアニオン、アルキル若しくはアリールボレートアニオン(好ましくは、(C、(C)であり、さらに好ましくは過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオン、フルオロ置換アリールボレートアニオンである。
【0060】
オニウム塩として、より好ましくは一般式(I)で表されるスルホニウム塩化合物である。なかでも、R21〜R23がアリール基又はハロゲン原子で置換されたアリール基であって、Xがアリールスルホン酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオン、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、又はアルキル若しくはアリールボレートアニオンであるスルホニウム塩化合物が好ましく、R21〜R23がフェニル基あるいはハロゲン原子で置換されたフェニル基であり、Xが過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、又はアルキル若しくはアリールボレートアニオンであるスルホニウム塩化合物がより好ましく、R21〜R23がフェニル基又は塩素原子で置換されたフェニル基であり、Xがアルキル若しくはアリールボレートアニオンであるスルホニウム塩化合物が特に好ましい。
【0061】
オニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
【化14】

【0063】
【化15】

【0064】
【化16】

【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
【化19】

【0068】
なお、上記具体例中のXは、PF、SbF、CFSO、CHPhSO、BF、(C、RfSO、(C、又は下記式で表されるアニオン
【0069】
【化20】

【0070】
を表し、Rfは任意の置換基を有するパーフルオロアルキル基を表す。
【0071】
本発明においては、特に下記一般式(VI)又は(VII)で表されるオニウム塩化合物が好ましい。
【0072】
【化21】

【0073】
一般式(VI)中、Yは炭素原子又は硫黄原子を表し、Arはアリール基を表し、Ar〜Arは、それぞれ独立にアリール基、芳香族へテロ環基を表す。Ar〜Arは、さらに置換されていてもよい。
Arとしては、好ましくはフルオロ置換アリール基であり、より好ましくはペンタフルオロフェニル基、又は少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたフェニル基であり、特に好ましくはペンタフルオロフェニル基である。
Ar〜Arのアリール基、芳香族へテロ環基は、上述のR21〜R23、R25〜R33のアリール基、芳香族へテロ環基と同義であり、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。これらの基は、さらに置換されていてもよく、置換基としては上述のR21〜R33の置換基が挙げられる。
【0074】
【化22】

【0075】
一般式(VII)中、Arはアリール基を表し、Ar及びArは、それぞれ独立にアリール基、芳香族へテロ環基を表す。Ar、Ar及びArは、さらに置換されていてもよい。
Arは、上記一般式(VI)のArと同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar及びArは、上記一般式(VI)のAr〜Arと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0076】
上記オニウム塩化合物は、通常の化学合成により製造することができる。また、市販の試薬等を用いることもできる。
オニウム塩化合物の合成方法の一実施態様を下記に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。他のオニウム塩に関しても、同様の手法により合成する事ができる。
トリフェニルスルホニウムブロミド(東京化成製)2.68g、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−エチルエ−テルコンプレックス(東京化成製)5.00g、およびエタノール146mlを500ml容三口フラスコに入れ、室温にて2時間撹拌した後、純水200mlを添加し、析出した白色固形物を濾過により分取する。この白色固体を純水およびエタノールにて洗浄および真空乾燥することにより、オニウム塩としてトリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート6.18gを得ることができる。
【0077】
オニウム塩化合物は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明ではオニウム塩化合物をドーパントとして使用しており、良好なドーピング効果を実現する観点から、当該オニウム塩化合物を導電性高分子100質量部に対して10質量部以上使用することが好ましく、25〜80質量部使用することがより好ましく、30〜70質量部使用することがさらに好ましい。
【0078】
[溶媒]
本発明の導電性組成物は、導電性高分子及びオニウム塩化合物に加えて、溶媒を含有することが好ましい。本発明の導電性組成物は溶解性又は分散性が良好であり、当該導電性組成物を溶媒に溶解又は分散させた状態で、凝集物や沈降物がほとんど生じない。
溶媒としては、導電性高分子及びオニウム塩化合物を良好に分散又は溶解できればよく、水、有機溶媒、及びこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは有機溶媒であり、アルコール、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、DMF、NMP、DMSOなどの非プロトン性の極性溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、ピリジンなどの芳香族系溶媒、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、THF、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグリムなどのエーテル系溶媒等が好ましく、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、DMF、NMPなどの非プロトン性の極性溶媒、ジクロロベンゼン、キシレン、テトラリン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族系溶媒、THFなどのエーテル系溶媒等がより好ましい。
また、溶媒は、あらかじめ脱気しておくことが好ましい。溶媒中における溶存酸素濃度を、10ppm以下とすることが好ましい。脱気の方法としては、減圧下超音波を照射する方法、アルゴン等の不活性ガスをバブリングする方法などが挙げられる。
さらに、溶媒は、あらかじめ脱水しておくことが好ましい。溶媒中における水分量を、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。脱水の方法としては、モレキュラーシーブを用いる方法、蒸留など、公知の方法を用いることができる。
【0079】
[他の成分]
上記成分の他に、本発明の組成物は酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を適宜含有してもよい。これらの成分の含有量は、組成物全質量に対し5質量%以下であることが好ましい。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チガバイギー製)、スミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)、スミライザーGS(住友化学工業(株)製)、スミライザーGM(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF製)、CHIMASSORB 81(BASF製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル製)等が挙げられる。
耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF製)が挙げられる。
可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ製)等が挙げられる。
【0080】
導電性向上の観点からは、導電性組成物中に含まれる前記オニウム塩化合物以外の反応性成分が1質量%以下であることが好ましい。反応性成分とは、経時又は光・熱等のエネルギー付与によって、大きな分子量変化を伴う反応をする成分をいい、例えば、分解性ポリマー、硬化性(重合性)モノマー、架橋剤等が挙げられる。
組成物中に含まれる化合物に大きな分子量変化を伴う反応が起こると、体積収縮や密度分布が生じ、組成物内にクラック、ボイド、粒界等が発生する。発生したクラックやボイド等は界面抵抗を生じる原因となり、組成物全体の導電性を低下させると考えられる。そこで、本発明においては、組成物内の均一性を向上させ、電気抵抗を低下させて導電性の向上を図るために、組成物中の反応性成分の含有比率を低く抑えることが好ましい。
【0081】
また、本発明の導電性組成物は、オニウム塩化合物以外のドーパントを含まないことが好ましい。従来のプロトン酸やルイス酸等のドーパントを組成物中に添加すると、導電性高分子と即座に反応して、凝集・析出・沈殿が生じてしまい、組成物の塗布性や成膜性を悪化させる原因となるためである。
【0082】
[導電性組成物の調製]
本発明の導電性組成物は、導電性高分子及びオニウム塩化合物を含有し、必要に応じて溶媒を加えてなる。本発明の導電性組成物の調製においては、全固形分中、導電性高分子を30〜80質量%含有することが好ましく、40〜75質量%含有することがより好ましく、50〜70質量%含有することがさらに好ましい。導電性組成物中のオニウム塩化合物の含有量は、全固形分中、10〜60質量%であることが好ましく、15〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
溶媒を使用する場合は、組成物中の溶媒の含有量は95〜99.99質量%が好ましく、98〜99.9質量%がより好ましい。
【0083】
本発明の導電性組成物の調製は、上記の各成分を混合して調製することができる。調製方法に特に制限はなく、通常の混合装置等を用いて、常温常圧下で製造することができる。例えば、組成物を撹拌、振とう、又は超音波を用いて溶解又は分散を促進させ、調製することが好ましい。また、組成物の調製は、オニウム塩化合物から酸を生成しない温度下で、放射線や電磁波等を遮った状態で行うこと好ましい。
本発明の組成物は、上述のように酸による導電性高分子の凝集等がなく、組成物の調製及び保存時において、導電性高分子及びオニウム塩化合物の均一な分散性及び溶解性を保つことができる。
また、本発明の導電性組成物は成膜性(膜質)が良好であり、基材上に塗布する際にはじきが無く(好ましくは、接触角40度以下である)、膜の表面凹凸が少ない(好ましくは、表面荒さRaが10nm未満である)塗膜を形成することができる。
【0084】
本発明の導電性組成物は、含水率が0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましい。好ましくは0.05質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
組成物の含水率を特定の範囲に制御することで、導電性の更なる向上が図られる。後述の実施例で実証されているように、ドーパントとしてオニウム塩化合物を用い、さらに組成物の含水率(水分濃度)を特定範囲に保つことでドーピング効果が一層向上し、高い導電性を達成できる。この効果は、導電性高分子がチオフェン化合物から誘導される繰り返し単位を有する場合に特に顕著である。
導電性組成物の含水率が上記範囲内であると、ドーピング効率及び導電率が向上するとともに、塗布・成膜後の物理強度にも優れ、外部からの物理衝撃や摩擦に対しする安定性が増すため好ましい。また、湿熱耐性にも優れたものとなり、経時安定性も向上する。
【0085】
組成物の含水率は、一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は、25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出することができる。
【0086】
組成物の含水率は、試料を恒温恒湿器(温度25℃、湿度85%RH)の中に放置(含水率を向上させる場合)、または真空乾燥機(温度25℃)の中で乾燥(含水率を低下させる場合)させることにより制御することができる。また、組成液を調製する際、溶媒に必要量の水を添加(含水率を向上させる場合)、または脱水溶媒(例えば、和光純薬工業株式会社製の各種脱水溶媒が挙げられる)を用いて窒素雰囲気下のグローブボックス中にて組成物(膜等)を作製する(含水率を低下させる場合)ことにより、含水率を制御することも可能である。
このような含水率制御処理は、本発明の組成物を導電性膜等の形態とする場合は、後述する成膜加工を行った後に行うことが好ましい。例えば、上述のように導電性高分子やオニウム塩化合物等の各成分を溶媒中で混合、分散等させた後、当該混合物を成形・成膜等して所望の形態に加工し、その後、含水率制御処理を行って上記含水率を有する導電性組成物を得ることができる。
【0087】
[導電性膜]
本発明の導電性膜は、前記導電性組成物を成形し、熱又は活性エネルギー線を付与して形成される。導電性膜の成形は、導電性組成物を基材上に塗布して成膜し、必要に応じて溶媒等を乾燥させ、これに加熱又は活性エネルギー線照射を行ってすることが好ましい。
【0088】
[成膜方法]
導電性膜の成膜方法は特に限定されず、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート、インクジェット法など、公知の塗布方法を用いることができる。
塗布後は、必要に応じて乾燥工程を行う。例えば、熱風を吹き付けることにより溶媒を揮発、乾燥させることができる。
【0089】
用いる導電性組成物の量は、所望の膜厚によって適宜調整される。導電性膜の膜厚は、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、透明電極に用いる場合は、抵抗値と光透過率が重要となる。LCD、PDP、EL素子等の表示装置用の透明電極の場合、好ましい抵抗値は、0.001〜100,000Ω/□の範囲であり、より好ましくは0.1〜10,000Ω/□の範囲である。光透過率は、550nmにおける光透過率が40%〜100%程度、好ましくは50〜100%、より好ましくは60〜100%の範囲である。これらを満たすように、導電性高分子やオニウム塩化合物の濃度を考慮して膜厚を適宜調整する。
【0090】
[ドーピング]
本発明の導電性組成物は、熱又は活性エネルギー線の付与によりドーピングされる。導電性組成物中のオニウム塩化合物が加熱又は活性エネルギー線照射によって分解して酸に変化し、この発生した酸が導電性高分子をプロトン化することにより導電性高分子が正の電荷でドーピング(p型ドーピング)される。このドーピングにより、導電性が向上する。
本発明の導電性組成物の調製においては、組成物の導電性を向上させるため当該ドーピング処理を行うことが好ましい。ドーピング処理の時期は特に限定されないが、組成物を成膜等、各種の形態に加工処理する場合は、当該加工の後に行うことが好ましい。また、組成物の含水率を制御するため含水率制御処理を行う場合、当該含水率制御処理工程の後に行うことが好ましい。
【0091】
活性エネルギー線には、放射線や電磁波が包含され、放射線には粒子線(高速粒子線)と電磁放射線が包含される。粒子線としては、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、陽子線、電子線(原子核崩壊によらず加速器で電子を加速するものを指す)、重陽子線等の荷電粒子線、非荷電粒子線である中性子線、宇宙線等が挙げられ、電磁放射線としては、ガンマ線(γ線)、エックス線(X線、軟X線)が挙げられる。電磁波としては、電波、赤外線、可視光線、紫外線(近紫外線、遠紫外線、極紫外線)、X線、ガンマ線などがあげられる。本発明において用いる線種は特に限定されず、例えば、使用するオニウム塩化合物の極大吸収波長付近の波長を有する電磁波を適宜選べばよい。
これらの活性エネルギー線のうち、ドーピング効果および安全性の観点から好ましいのは紫外線、可視光線、赤外線であり、より好ましいのは紫外線である。具体的には240〜1100nm、好ましくは240〜850nm、より好ましくは240〜670nmに極大発光波長を有する光線である。
【0092】
活性エネルギー線の照射には、放射線または電磁波照射装置が用いられる。照射する放射線または電磁波の波長は特に限定されず、使用するオニウム塩化合物の感応波長に対応する波長領域の放射線または電磁波を照射できるものを選べばよい。
放射線または電磁波を照射できる装置としては、LEDランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプなどの水銀ランプ、ハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマランプ、KrFエキシマランプなどのエキシマランプ、極端紫外光ランプ、電子ビーム、X線ランプを光源とする露光装置がある。紫外線照射は、通常の紫外線照射装置、例えば、市販の硬化/接着/露光用の紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社SP9-250UB等)を用いて行うことができる
【0093】
露光時間及び光量は、用いるオニウム塩化合物の種類及びドーピング効果を考慮して適宜選択すればよい。具体的には、光量10mJ/cm〜10J/cm、好ましくは50mJ/cm〜5J/cmで行うことが挙げられる。
【0094】
加熱によるドーピングは、導電性組成物を塗布した基材(成膜)を、オニウム塩化合物が酸を発生する温度以上で加熱すればよい。加熱温度として、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは70℃〜120℃である。加熱時間は、好ましくは5分〜3時間、より好ましくは15分〜1時間である。
【0095】
[導電性積層体、導電性物品]
本発明の導電性組成物からなる導電性膜は、導電性フィルムとして用いることもできるし、基材上に当該導電性膜が積層された、導電性積層体として用いることもできる。導電性積層体は、さらに電極等を有していてもよい。
【0096】
[基材]
導電性膜や導電性積層体に用いられる基材は、それらの用途に応じ適宜選択することができる。例えば、本発明の導電性膜をLCD、電気泳動方式表示材料、電子ペーパー、有機EL素子などの表示装置の電極として形成する場合は、ガラス基板またはプラスチック基板を好適に用いることができる。また、導電性膜との間に絶縁膜を設けた金属基板を使用することもできる。なお、基材は板状に限らず、例えば、表面が曲面であるものや、凹凸が形成されているものなど、用途に応じて選択することができる。
また、導電性膜との接触面に電極材料を設けた基材を用いてもよい。電極材料としてはITO、ZnO等の透明電極、銀、銅、金、アルミニウムなどの金属電極、CNT、グラフェンなどの炭素材料、PEDOT/PSS等の有機材料、銀、カーボンなどの導電性微粒子を分散した導電性ペースト、銀、銅、アルミニウムなどの金属ナノワイヤーを含有する導電性ペースト等が使用できる。
【0097】
成膜後に加熱や光照射によるドーピングを行うことを考慮し、これらの刺激による影響を受けにくい基材を選択することが好ましい。本発明で使用可能な基材としては、ガラス、透明セラミックス、金属、プラスチックフィルムなどの基板が挙げられる。ガラス、透明セラミックスは、金属、プラスチックフィルムに比べ、柔軟性に欠ける。また、金属とプラスチックフィルムを価格的に比べると、プラスチックフィルムの方が安価であり、柔軟性を有するので好ましい。
このような観点から、本発明の基材としては、ポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、シクロオレフィンポリマーなどのプラスチックフィルム(樹脂フィルム)が好ましく、特に、ポリエステル系樹脂(以下、適宜、「ポリエステル」と称する)が好ましい。ポリエステルとしては、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが好ましい。
【0098】
本発明に用い得るポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート等が挙げられる。このうち、入手の容易性、経済性及び効果の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が好ましい。
【0099】
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記樹脂の共重合体、又はこれらの樹脂と他の種類の樹脂とのブレンド物なども用いることができる。
【0100】
更に、このポリエステルフィルムの中には、滑り性を良くするために少量の無機又は有機の微粒子、たとえば、酸化チタン、炭酸カルシュウム、シリカ、硫酸バリュウム、シリコーン等の如き無機フィラー、アクリル、ベンゾグアナミン、テフロン(登録商標)、エポキシ等の如き有機フィラー、ポリエチレングリコール(PEG)、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等の接着性向上剤や帯電防止剤を含有させることができる。
【0101】
本発明に用いるポリエステルフィルムは、前記のポリエステル樹脂を溶融押出しでフィルム状にし、縦及び横二軸延伸による配向結晶化及び熱処理による結晶化させることにより形成し得る。これらフィルムの製造方法は、公知の方法や条件を適宜選択して用いることができる。
【0102】
ここで用いられるポリエステルフィルムの厚さに特に制限はなく、フィルムの使用目的に応じて適宜選択できるが、一般的には、5〜500μmのものを用いることが好ましい。
【0103】
基材は、さらに紫外線吸収剤等の添加剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、オキサゾール系、トリアジン系、スチルベン系、クマリン系吸収剤を好適に用いることができる。
【0104】
本発明では、必要に応じて、基材に前処理を施してもよい。例えば、導電性膜の密着性の向上を図るため、基材上に易接着層を設けることができる。また、導電性膜の密着性の向上を図るため、前処理として基材の表面処理を行ってもよい。
易接着層としては、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体(以下、適宜、「SBR」と略称する)、水系ウレタン樹脂などが挙げられる。さらに、架橋剤とを含有する構成であってもよい。
【0105】
スチレン−ブタジエン共重合体はラテックスであることが好ましい。具体的には、日本ゼオン社からニポール(商品名)として、住友ノーガタック社からノーガテックス(商品名)として、武田薬品工業社からクロスレン(商品名)として、旭ダウ社から旭ダウラテックス(商品名)として、その他に大日本インキ化学工業社や海外メーカーから販売されている市販品を用いることもできる。
【0106】
ラテックスの場合、分散体粒子の粒径は5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.2μm以下が更に好ましい。粒子径が大きい場合には、塗布工程で粒子の凝集が生じやすかったり、フィルムの透明性、光沢などが不良になったりする問題がある。更に塗布層の厚さを薄くする必要がある場合には、それに応じて粒径を小さくする必要がある。
【0107】
スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレン/ブタジエンの含有比率は50/50〜80/20程度であることが好ましい。ラテックス中に含まれるSBRの割合は、固型分重量として30〜50重量%であることが好ましい。
【0108】
また、この易接着層には架橋剤が添加されてもよいが、架橋剤としてはトリアジン系架橋剤が好ましい。
【0109】
基材の表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ処理、UV―オゾン処理、またはJIS K 6843-3:1999に記載の方法やこれに準拠して方法による酸やアルカリによる化学的処理等が挙げられる。これらの処理により基材表面に極性を持つ水酸基、カルボキシル基又は塩基性基等を生成させることができ、導電性膜との密着性が向上する。
【0110】
後述の実施例で示されているように、本発明の導電性膜では、上記の導電性組成物やオニウム塩化合物の種類や含有量等を適宜調整することにより、0.1〜10 S/cm程度の高い導電率を実現できる。そのため、本発明の導電性組成物、導電性膜、導電性積層体は、各種導電性物品への幅広い適用が可能である。例えば、LCD、PDP、EL素子などの薄型のディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどの電極、コンデンサ、キャパシタ、二次電池などの導電材料、光電変換素子、圧電変換素子、熱電変換素子、FET素子などの有機半導体材料、調光素子用材料、帯電防止用材料等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0112】
実施例1−1
下記に示す構造の導電性ポリマー1(アルドリッチ製、重量平均分子量=87000)100mgに、キシレン/テトラヒドロフラン混合溶媒(体積比で1:1)16.5mlを加え、超音波水浴を用いて60℃で十分に溶解させた後、下記に示す構造のオニウム塩化合物1を65.5mg添加して室温に溶解させることにより、混合溶液を調製した。調製した溶液の溶解性を下記の評価手法で評価した。
次いで、厚みが1.1mm、大きさ40mm×50mmのガラス基板をアセトン中で超音波洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った。上記で調製した混合溶液を、このガラス基板上にスピンコート(1500rpm、30秒間)した後、室温真空条件で10時間乾燥し、厚み約50nmの導電性膜を形成した。その後、紫外線照射機(アイグラフィックス株式会社製、ECS−401GX)により紫外線照射(光量:1.06J/cm)を行い、導電性ポリマーのドーピングを行った。導電性膜がドーピングしたことは下記の方法によって確認された。得られた導電性膜について、導電性、成膜性、ドーパントの揮発の有無を評価した。結果を表1に示す。
【0113】
[ドーピングの確認]
導電性膜が所望のドーピングされていることは次のようにして測定(決定)できた。
膜の吸収スペクトルを波長300〜2000nmの領域で測定した。ドーピングされていない膜の主吸収よりも長波長側に出現する新たな吸収ピークはドーピングによるものである。この吸収ピークが観測された場合、所望通りドーピングされているものと判断した。
【0114】
[溶解性]
溶媒と固形成分を溶解/分散させた後、5分間静置した後、目視による沈殿物や凝集物の観察と、孔径0.2〜1.0μmの各メンブレンフィルター(材質:PTFE)による濾過性の基準により評価した。実用上、A〜Cの基準を満たすことが好ましい。
A:沈殿物や凝集物が目視で全く無く、且つ孔径0.2μmのメンブレンフィルターでの濾過が可能。
B:沈殿物や凝集物が目視で全く無く、且つ孔径0.45μmのメンブレンフィルターでの濾過が可能だが孔径0.45μm未満では濾過が困難。
C:沈殿物や凝集物が目視で全く無く、且つ孔径1μmのメンブレンフィルターでの濾過が可能だが孔径1μm未満では濾過が困難。
D:沈殿物や凝集物が目視で全く無く、且つ孔径1μmのメンブレンフィルターでの濾過が困難。
E:沈殿物や凝集物が目視で見られる。
【0115】
[導電率の測定]
得られた導電性膜の導電率は、「高抵抗率計:ハイレスタUP」または「低抵抗率計:ロレスタGP」(機器名、いずれも(株)三菱化学アナリテック製)を用い表面抵抗率(単位:Ω/□)を測定し、触針型膜厚計により膜厚(単位:cm)を測定し、下記式より導電率(S/cm)を算出した。

(導電率)=1/((表面抵抗)×(膜厚))
【0116】
[成膜性]
スピンコートによる塗布中に、組成液と基板の濡れ性(液のハジキが無い)、及び膜乾燥後の表面凹凸を観測し、下記の基準により評価した。なお膜の表面凹凸の観測は、触針膜厚計による表面荒さ(Ra)の計測により行った。実用上、A〜Cの基準を満たすことが好ましい。
A:塗布ムラが目視で無く、且つ膜の表面荒さRaが2.5nm未満である。
B:塗布ムラが目視で無く、且つ膜の表面荒さRaが2.5nm以上5nm未満である。
C:塗布ムラが目視で無く、且つ膜の表面荒さRaが5nm以上10nm未満である。
D:塗布ムラが目視で無く、且つ膜の表面荒さRaが10nm以上20nm未満である。
E:塗布ムラが目視で多く、又は膜の表面荒さRaが20nm以上である。
【0117】
[ドーパントの揮発性]
オニウム塩化合物をドーパントとして用いた場合、紫外線照射終了直後の導電率と、紫外線照射終了から1時間経過後の導電率とを比較して変化が無い場合を揮発性がないと判断した。ヨウ素などの気相ドーピングの場合は、ヨウ素ガス雰囲気下に曝してドーピングした後、大気中に戻した直後の導電率と、大気中に戻してから1時間後の導電率とを比較して変化がない場合を揮発性が無い、また変化がある場合を揮発性があると判断した。
【0118】
実施例1−2〜1−23
導電性ポリマー及びオニウム塩化合物の種類を表1に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして、導電性膜を製造し評価した。結果を表1に示す。
【0119】
【化23】

【0120】
【化24】

【0121】
用いた導電性ポリマー1〜9の分子量は下記のとおりである。
導電性ポリマー1:重量平均分子量=87000
導電性ポリマー2:重量平均分子量=77000
導電性ポリマー3:重量平均分子量=103000
導電性ポリマー4:重量平均分子量=118000
導電性ポリマー5:重量平均分子量=95000
導電性ポリマー6:重量平均分子量=83000
導電性ポリマー7:重量平均分子量=109000
導電性ポリマー8:重量平均分子量=69000
導電性ポリマー9:重量平均分子量=112000
【0122】
比較例1−1〜1−10
オニウム塩化合物を表2に示すドーパントに変更した以外は実施例1−1と同様にして、比較用導電性膜1〜10を製造し評価した。結果を表2に示す。なお、比較例1−3のヨウ素ドーピングの場合、導電性ポリマー1と溶媒のみから成膜し、膜乾燥後にヨウ素飽和雰囲気中に1時間放置した。その後、膜を大気中に戻してから15分後に導電率を測定した。
【0123】
【表1】

【0124】
【表2】

【0125】
表1から明らかなように、ドーパントとしてオニウム塩化合物を用いた場合、ドーピングが効果的に生起し、導電性膜は高い導電率を示した。用いた導電性組成物の溶解性及び成膜性も良好であった。また、ドーパントの揮発も見られなかった。
これに対し、表2に示すように、従来のドーパントを用いた比較用導電性膜は、いずれも溶解性又は成膜性の少なくとも一方が悪かった。また、ヨウ素をドーパントとして用いた比較用導電性膜では、ドーパントの揮発が見られた。
【0126】
実施例1−24
前記導電性ポリマー1 100mgに、キシレン/テトラヒドロフラン混合溶媒(体積比で1:1)16.5mlを加え、超音波水浴を用いて60℃で十分に溶解させた後、前記オニウム塩化合物7を15mg添加して室温で溶解させることにより、混合溶液を調製した。調製した溶液を上記実施例1−1と同様の方法で、スピンコートにより成膜し、その後紫外線照射を行った。
この膜の導電率を上記実施例1−1と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0127】
実施例1−25〜1−27
オニウム塩化合物の添加量を下記表3に示す量に変更した以外は実施例1−24と同様にして、実施例1−25〜1−27の導電性膜を製造し評価した。結果を表3に示す。なお、表3には上記実施例1−7も併せて示す。
【0128】
【表3】

【0129】
表3から明らかなように、導電性ポリマー100質量部に対してオニウム塩化合物を10質量部以上用いた実施例1−24、1−25、及び1−7は、オニウム塩化合物が10質量部未満の実施例1−26及び1−27に比べて、高い導電率を示すことが確認された。
【0130】
比較例1−21 硬化型モノマー含有導電性組成物
前記導電性ポリマー1 80mg、硬化型モノマーとしてエピコート828(商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製)20mgに、クロロホルム溶媒20.5mlを加え、超音波水浴を用いて 60℃で十分に溶解させた後、前記オニウム塩化合物7を65.5mg添加して室温に溶解させることにより、混合溶液を調製した。調製した溶液を上記実施例1−7と同様の方法でスピンコートによる成膜、および紫外線照射した。
この膜の導電率を上記と同様の方法で測定したところ、0.005S/cm以下であった。当該導電率の値は、導電性ポリマー1及びオニウム塩化合物7を含有するが硬化型モノマーを含有しない実施例1−7の導電率4.0S/cmと比較して、大幅に低い導電率となった。
さらに、比較例1−21では紫外線照射後の膜表面の凹凸が大きく、成膜性の悪化が確認された。
【0131】
実施例2−1
下記に示す構造の導電性ポリマー2−1(アルドリッチ製、重量平均分子量=87000)100mgに、キシレン(非脱水、和光純薬工業株式会社製)/テトラヒドロフラン(非脱水安定剤不含、和光純薬工業株式会社製)混合溶媒(体積比で1:1)16.5mlを加え、超音波水浴を用いて60℃で十分に溶解させた後、下記に示す構造のオニウム塩化合物2−1を65.5mg添加して室温に溶解させることにより、混合溶液を調製した。調製した溶液の溶解性を下記の評価手法で評価した。
次いで、厚みが1.1mm、大きさ40mm×50mmのガラス基板をアセトン中で超音波洗浄した後、10分間UV−オゾン処理を行った。上記で調製した混合溶液を、このガラス基板上にスピンコート(1500rpm、30秒間)した後、2時間室温真空下にて溶媒留去させ、厚み約50nmの導電性膜を形成した。その後、紫外線照射機(アイグラフィックス株式会社製、ECS−401GX)により紫外線照射(光量:1.06J/cm)を行い、導電性ポリマーのドーピングを行った。導電性膜がドーピングしたことは、実施例1−1と同様の方法により確認された。得られた導電性膜について、下記の方法により含水率を測定した。さらに、実施例1−1と同様の方法により導電性、成膜性、ドーパントの揮発の有無を評価した。結果を表5に示す。
【0132】
[含水率の測定]
得られた導電性膜を、恒温恒湿器の中で25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定した。得られた水分量(g)を試料重量(g)で除して、膜の含水率を算出した。
【0133】
実施例2−2〜2−25
導電性ポリマー及びオニウム塩化合物の種類、脱水溶媒の使用の有無、及びスピンコート後の室温真空下での溶媒留去時間を表4に示すように変更した以外は実施例2−1と同様にして、導電性膜を製造し評価した。なお、脱水溶媒を用いる場合は、導電性ポリマーを溶解させる溶媒として脱水溶媒を、実施例2−1に記載の溶媒の代わりに使用した。脱水溶媒は脱水キシレン(有機合成用、和光純薬工業株式会社製)及び脱水テトラヒドロフラン(安定剤不含、有機合成用、和光純薬工業株式会社製)を用いた。
結果を表5に示す。
【0134】
比較例2−1〜2−5
導電性ポリマー及びドーパントの種類、脱水溶媒の使用の有無、及びスピンコート後の室温真空下での溶媒留去時間を表4に示すように変更した以外は実施例2−1と同様にして、比較用導電性膜1〜5を製造し評価した。結果を表5に示す。なお、比較例2−3のヨウ素ドーピングの場合、導電性ポリマー2−1と溶媒のみから成膜し、膜乾燥後にヨウ素飽和雰囲気中に1時間放置した。その後、膜を大気中に戻してから15分後に導電率を測定した。
【0135】
【表4】

【0136】
【化25】

【0137】
用いた導電性ポリマー2−1〜2−11の分子量は下記のとおりである。
導電性ポリマー2−1:重量平均分子量=87000
導電性ポリマー2−2:重量平均分子量=77000
導電性ポリマー2−3:重量平均分子量=92000
導電性ポリマー2−4:重量平均分子量=24000
導電性ポリマー2−5:重量平均分子量=11000
導電性ポリマー2−6:重量平均分子量=39000
導電性ポリマー2−7:重量平均分子量=17000
導電性ポリマー2−8:重量平均分子量=26000
導電性ポリマー2−9:重量平均分子量=13000
導電性ポリマー2−10:重量平均分子量=11000
導電性ポリマー2−11:重量平均分子量=109000
【0138】
【表5】

【0139】
表5から明らかなように、実施例2−1〜2−25は、高い導電率とともに、良好な溶解性及び成膜性を備えるものであった。特に、導電性高分子としてチオフェン系化合物を用い、かつ含水率が特定の範囲内であった実施例2−1〜2−22の導電性膜は、1.0 S/cm以上の非常に高い導電性を示した。
これに対し、ドーパントとしてオニウム塩化合物を用いない比較例2−1〜2−5では、導電性が低く、溶解性や成膜性も劣るものであった。
【0140】
実施例3−1
基材として厚み188μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム:テオネックスQ51(帝人株式会社製品名)を用いた以外には、実施例1−1と同様にして導電性膜をフィルム上に作製した。得られた導電性膜を、実施例1−1と同様の手法により、導電率、成膜性、ドーパントの揮発の有無を評価した。結果を表6に示す。
【0141】
【表6】

【0142】
表6から明らかなように、本発明の導電性組成物を用いて形成された導電性膜は、基材として樹脂フィルムを用いた場合においても高い導電率、良好な成膜性を示し、かつドーパントの揮発も無かった。
【0143】
実施例3−2
基材として厚み178μmの酸化インジウムスズ(ITO)被覆ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(シグマアルドリッチジャパン株式会社製、表面抵抗100Ω/□)を用いた以外には、実施例1−1と同様にして導電性膜をフィルム上に作製した。得られた導電性膜を、実施例1−1と同様の手法により、成膜性、ドーパントの揮発の有無を評価した。結果を表7に示す。
【0144】
【表7】

【0145】
表7から明らかなように、本発明の導電性組成物を用いて形成された導電性膜は、導電材料であるITOフィルムを基材に用いた場合においても、良好な成膜性を示し、かつドーパントの揮発も無かった。
【0146】
実施例3−3
実施例1−2と同様に作製した導電性膜の両端に、真空蒸着法により幅2mmの金電極を成膜した。ガラス基板の片側をドライヤーにより加熱し、テスターにより測定したところ、金電極の間の温度差に応じて、電圧差が発生していた。これにより、本発明の導電性組成物を用いて作製された導電性膜が、熱電変換素子として動作することが確認された。
【0147】
実施例3−4:熱によるドーピング
成膜後のドーピング工程を、紫外線照射から、180℃、30分間の加熱に変更した以外は実施例1−7と同様にして、導電性膜を製造し評価した。結果を表8に示す。
【0148】
【表8】

【0149】
表8から明らかなように、実施例3−4の導電性膜は加熱によりドーピングされ、高い導電率と良好な成膜性を示し、ドーパントの揮発もなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子と、該導電性高分子のドーパントとしてオニウム塩化合物とを含有する導電性組成物。
【請求項2】
前記導電性高分子100質量部に対し、前記オニウム塩化合物を10質量部以上含有することを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記導電性高分子と前記オニウム塩化合物とが組成物中に均一に分散されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記オニウム塩化合物が、熱又は活性エネルギー線照射の付与により酸を発生する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項5】
前記オニウム塩化合物が、下記一般式(I)〜(V)で表される化合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【化1】

(一般式(I)〜(V)中、R21〜R23、R25〜R26及びR31〜R33は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基を表す。R27〜R30は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。R24は、アルキレン基、アリーレン基を示す。Xは、強酸のアニオンを表す。同一式内に存在するR21〜R23、R25〜R26及びR31〜R33から選ばれる任意の2つの基は、互いに結合して脂肪族環、芳香族環、又はヘテロ環を形成してもよい。)
【請求項6】
前記オニウム塩化合物が、前記一般式(I)及び/又は(II)で表されるスルホニウム塩化合物であって、R21〜R23がフェニル基又は塩素原子で置換されたフェニル基であり、Xがアルキル又はアリールボレートアニオンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項7】
前記導電性組成物の含水率が0.01質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項8】
前記導電性高分子が、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−フェニレン系化合物、p−フェニレンビニレン系化合物、p−フェニレンエチニレン系化合物、及びこれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーから誘導される繰り返し単位を有する共役系高分子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項9】
前記導電性高分子がチオフェン化合物から誘導される繰り返し単位を少なくとも有する共役系高分子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項10】
前記導電性高分子が、下記一般式(1)〜(5)で表される繰り返し単位を少なくとも1種有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【化2】

(一般式(1)〜(5)中、R〜R13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、ポリアルキレンオキシ基、アシルオキシ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し、Yは炭素原子、窒素原子又はケイ素原子を表し、nは1又は2の整数を表す。)
【請求項11】
さらに溶媒を含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性組成物を成形し、成形後に熱又は活性エネルギー線を付与してなる導電性膜。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性組成物を基材上に塗布し、塗布後に熱又は活性エネルギー線を付与してなる導電性積層体。
【請求項14】
基材が樹脂フィルムである請求項13記載の導電性積層体。
【請求項15】
さらに電極を有する請求項13又は14記載の導電性積層体。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性組成物、請求項12記載の導電性膜、及び請求項13〜15のいずれか1項に記載の導電性積層体のいずれかを用いた導電性物品。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性組成物を成形する工程と、成形後に加熱又は活性エネルギー線照射を行う工程とを含む導電性膜の製造方法。
【請求項18】
さらに、成形された組成物の含水率が0.01質量%以上15質量%以下となるよう処理する工程を含む、請求項17記載の導電性組成物の製造方法。
【請求項19】
前記成形工程が、導電性組成物を基材上に塗布する工程であることを特徴とする請求項17又は18記載の導電性膜の製造方法。

【公開番号】特開2012−251132(P2012−251132A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69076(P2012−69076)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】