説明

導電性繊維、それを用いた帯電部材および電子写真画像形成装置

【課題】製糸性、導電性に優れた導電性繊維の提供。
【解決手段】ポリエステル樹脂を含む芯部と、該芯部を被覆している、ポリエステル樹脂とカーボンナノチューブを含む鞘部と、該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層とからなり、該鞘部は、下記式(1)で示される芳香族アミド化合物を更に含む導電性繊維。


(Xは、下記化学式(2)または(3)、R1及びR2はそれぞれ同一または異なる炭素数5〜12のシクロアルキル基である。)



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性繊維、それを用いた帯電部材および電子写真画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置における接触帯電の帯電メカニズムには、(1)放電帯電と(2)直接注入帯電との2種類が知られている。
直接注入帯電は、接触帯電部材から被帯電体へ電荷が直接注入されることで、被帯電体表面を帯電するものである。接触帯電部材として帯電ブラシを使用した、直接注入帯電に係る帯電装置は、機構的に簡易であり、コスト的にも帯電ローラを使用した放電帯電に係る帯電装置と比較して安価である。
【0003】
帯電ブラシで被帯電体に直接注入帯電を行うためには、被帯電体の表面に、帯電ブラシのブラシ毛を均一に接触させる必要がある。そのため、ブラシ毛としては、例えばナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの基材樹脂中にカーボン等の導電性フィラーを分散させた導電性繊維が使用される。そして、このような導電性繊維は、例えば基材樹脂と導電性フィラーが所望の組成に調整された樹脂コンパウンドペレットを、例えばエクストルーダーで混練・溶融し、紡糸口金より押し出し、冷却・延伸を行うことにより製造される。
ところで、かかる導電性繊維として、基材樹脂とカーボン等の導電剤とを含む単繊維を用いる場合には、導電性を高めるために多量の導電剤を配合する必要がある。しかし、カーボン等を大量に含む熱可塑性樹脂は、溶融紡糸性が悪いという課題を有する。また、溶融紡糸を行うことができたとしても、その後の延伸処理の際や、リボン状パイル織物の作成時に糸切れが生じやすい。そのため、帯電ブラシ用の導電性繊維として単繊維を用いることは実用上困難である。
そこで、特許文献1では、芯部がエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルからなり、該芯部を被覆する鞘部がエチレンテレフタレートを含有する共重合ポリエステルとカーボンブラックとの混合物からなる、芯鞘構造を有する導電性繊維が開示されている。前記導電性繊維は、製糸性が良好で、導電性及び耐久性に優れていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−156810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討によれば、ポリエステル中にカーボンブラックを良好に分散させることが困難であった。そのため、特許文献1に係る導電性繊維に高い導電性を付与するために、鞘部に多量のカーボンブラックを含有させようとしたところ、鞘部形成用の樹脂の溶融粘度が著しく増大した。そのため、溶融紡糸法により、芯鞘構造を有する導電性繊維を作成しようとしたときに、芯部をなす樹脂と鞘部をなす樹脂混合物との溶融粘度の差が非常に大きくなり、芯部と鞘部が同心円状の均一な芯鞘構造を有する導電性繊維を作成することが困難であった。このように、芯部と鞘部とが同心円状でない繊維は、その後の延伸の工程において切れやすいため、小径の導電性繊維を安定して作成することも困難となる。
そこで、本発明の目的は、製糸性が良好で導電性に優れた導電性繊維を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、高い電荷注入効率を示す帯電部材を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を形成し得る電子写真画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る導電性繊維は、ポリエステル樹脂を含む芯部と、
該芯部を被覆している、ポリエステル樹脂とカーボンナノチューブを含む鞘部と、
該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層とからなる導電性繊維において、
該鞘部は、下記一般式(1)で示される芳香族アミド化合物を更に含むことを特徴とする。
【0007】
【化1】

【0008】
(式(1)中、Xは、下記化学式(2)または(3)であり、R1及びR2はそれぞれ同一または異なる炭素数5〜12のシクロアルキル基である。)
【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
また、本発明に係る帯電部材は、導電性の基体と、一方の端が該基体に結合されている導電性繊維とを有する帯電部材であって、該導電性繊維は、ポリエステル樹脂を含む芯部と、該芯部を被覆し、ポリエステル樹脂と絡み合っているカーボンナノチューブと上記構造式(1)で示される芳香族アミド化合物とを含む鞘部と、該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層と、からなる導電性繊維であり、該導電性繊維は、該基体と結合していない側の先端部において、前記鞘部に含まれるカーボンナノチューブが前記導電性繊維の表面に露出していることを特徴とする。
更に、本発明に係る電子写真画像形成装置は、上記の帯電部材と、該帯電部材における導電性繊維の先端部と接触するように配置されている電子写真感光体とを有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、鞘部に多量のカーボンナノチューブを含む場合でも、溶融紡糸時に鞘部の溶融粘度が上昇し難い。そのため、芯部形成用の樹脂、および、鞘部形成用の樹脂混合物の溶融粘度の差が大きくなりにくい。その結果、同心円状の均一な芯鞘構造を有する導電性繊維を得ることができる。
また、かかる導電性繊維は、溶融紡糸後の延伸処理時、およびリボン状パイル織物の作成時においても糸切れを生じにくく、製糸性に優れる。
さらに、本発明によれば、電荷注入効率の高い帯電部材を得ることができる。
更にまた、本発明によれば、高品位な電子写真画像を形成可能な電子写真画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る帯電部材の概略図である。
【図2】製造例1に係るカーボンナノチューブを含有するポリエステル樹脂コンパウンドのペレットAおよびポリエステル樹脂コンパウンドのペレットBの溶融粘度特性を示すグラフである。
【図3】本発明に係る導電性繊維の鞘部に存在するカーボンナノチューブの分散状態を、(a)は最外層除去前、(b)は最外層除去後について示した模式図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の概略図である。
【図5】本発明に係る帯電部材に用いるリボン状パイル織物の概略断面図である。
【図6】本発明に芯鞘型複合ノズルの概略図である。
【図7】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る導電性繊維およびそれを用いた帯電部材について詳細に説明する。
(導電性繊維)
本発明にかかる導電性繊維は、ポリエステル樹脂を含む芯部と、該芯部を被覆している、ポリエステル樹脂とカーボンナノチューブを含む鞘部と、該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層とからなる導電性繊維である。該鞘部は、下記一般式(1)で示される芳香族アミド化合物を更に含むことを特徴とする。
【0015】
【化4】

【0016】
(式(1)中、Xは、下記化学式(2)または(3)であり、R1及びR2はそれぞれ同一または異なる炭素数5〜12のシクロアルキル基である。)
【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
芯鞘構造を有する導電性繊維を溶融紡糸法により作製する場合において、鞘部に芳香族アミド化合物を含有することで、鞘部に多量のカーボンナノチューブを含む場合でも、溶融紡糸時に鞘部の溶融粘度が低下する。これにより、芯部と鞘部が同心円状の均一な芯鞘構造を有する導電性繊維の作製が可能である。
前記式(1)で表わされる芳香族アミド化合物は、2つのアミド結合間に芳香族環を1つ以上有している。この芳香族アミド化合物をポリエステル樹脂に混合した場合、芳香族アミド化合物の芳香族環とポリエステル構造とが規則的に配列することが推測される。さらに、芳香族アミド化合物を含むポリエステル樹脂にカーボンナノチューブを混合した場合には、カーボンナノチューブがより均一に分散されるものと推測される。カーボンナノチューブがポリエステル樹脂中でより均一に分散される結果、カーボンナノチューブを含むポリエステル樹脂の溶融粘度が低下するものと推測される。
【0020】
前記芳香族アミド化合物の具体例としては、N,N´−ジシクロペンチル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロオクチル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロドデシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,7−ナフタレンジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロペンチル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロオクチル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロドデシル−4,4´−ビフェニルジカルボキシアミド、N,N´−ジシクロヘキシル−2,2´−ビフェニルジカルボキシアミドなどが挙げられる。
【0021】
前記式(1)で表わされる芳香族アミド化合物の含有量は、ポリエステル樹脂中のカーボンナノチューブの量、および、紡糸方法や紡糸条件に適した溶融粘度となるように適宜選択すればよい。一つの目安として、例えば、ポリエステル樹脂100質量部に対して、後記する好ましい長さLおよび好ましいアスペクト比L/Dを有するカーボンナノチューブが5〜10質量部含まれており、かつ、溶融紡糸法により製糸する場合においては、前記式(1)で示される芳香族アミド化合物の含有量を0.05質量部以上0.25質量部以下とすることが好ましい。
【0022】
(カーボンナノチューブ)
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、長さLが5μm以下、直径Dに対する長さLの比であるアスペクト比L/Dが400以下であることが好適である。長さLおよびアスペクト比L/Dを上記範囲とすることによって、溶融紡糸法によって導電性繊維を形成した際にも、カーボンナノチューブが繊維の紡糸方向に配向することが抑性され、カーボンナノチューブが絡み合った鞘部を容易に得ることができる。
本発明で用いられるカーボンナノチューブは、単一のグラフェンからなる円筒状のチューブである単層カーボンナノチューブが挙げられる。さらに、2つ以上の径の異なるグラフェンからなる円筒状のチューブが重なった多層カーボンナノチューブが挙げられる。
【0023】
本発明に係る導電性繊維は、芯部及び鞘部それぞれのポリエステル樹脂ペレットを用意し、図6(a)および(b)で示す芯鞘型複合ノズル4を用いて溶融紡糸法を用いることにより製造することができる。
鞘部に用いるポリエステル樹脂コンパウンドのペレットは、例えば二軸エクストルーダーを用いて製造することができる。具体的には、ポリエステル樹脂ペレットと式(1)で示される芳香族アミド化合物とカーボンナノチューブを直接混練・溶融によりペレット化することで製造することができる。なお、ポリエステル樹脂ペレットを凍結粉砕し、所望の粒度分布の基材樹脂微粉末と式(1)で示される芳香族アミド化合物粉末を粉体ミキサーで均一混合し、さらにカーボンナノチューブを直接混練し、その後溶融によりペレット化することが好ましい。ポリエステル樹脂中にカーボンナノチューブを均一に分散させるためである。
【0024】
前記芯鞘型複合ノズル4は、36個の丸形孔が窄孔された口金板401と、口金板の上面に配置され、前記口金板の丸形孔に対応する分配孔を窄孔した分配板402を張り合わせた構造を有している。分配孔へ芯部の樹脂404が流通するパイプ403が挿着され、該パイプの外側を鞘部のカーボンナノチューブを含有する樹脂405が流通し、溶融状態の樹脂が芯鞘状で口金板401の丸形の紡糸口406から押し出される。
前記紡糸口から押し出された後、冷却過程で熱可塑性樹脂からなる芯部と、その芯部を被覆し熱可塑性樹脂中にカーボンナノチューブを含む鞘部と、さらにその鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層とからなる3層構造を有する導電性繊維が形成される。
熱可塑性樹脂からなる最外層23の形成について、以下に説明する。複数の丸形孔の口金を有する芯鞘型複合ノズルの口金内面を溶融状態の樹脂が流れる際に、溶融状態の樹脂の先端部においては、口金断面の中心から周囲の口金内面へ噴出するように流動する。これはファウンテン流動と呼ばれているが、この際、口金内面に接した溶融状態の樹脂は、口金内面で急冷されスキン層を形成する。溶融状態の樹脂中にカーボンナノチューブを含むフィラーが含有されている場合には、前記スキン層中には、カーボンナノチューブを含むフィラーは含有されず、樹脂のみで形成される。
溶融状態で芯鞘型複合ノズルから押し出された3層構造を有する導電性繊維は、冷却され、含水系あるいは非含水系の処理剤を付着せしめた後、好ましくは、100m/min以上10000m/min以下、特に好ましくは300m/min以上2000m/min以下の巻き取り速度で巻き取られる。ここで、芯鞘型複合ノズルから押し出される繊維は、1本のモノフィラメントよりも、複数の繊維の束からなるマルチフィラメントが好ましく、その繊維一束の本数は、20〜200本が好ましい。
溶融紡糸法で作製した芯鞘構造を有する未延伸の導電性繊維を、加熱型延伸装置により、加熱しながら延伸することにより、本発明に係る芯鞘構造を有する導電性繊維を得ることができる。
【0025】
(帯電部材)
本発明に係る帯電部材は、上記の導電性繊維を用いてなる帯電部材であり、かつ、被帯電体である電子写真感光体と接触する該導電性繊維の先端部において、カーボンナノチューブが露出している。
図1は本発明の一実施形態である帯電部材の断面を模式的に示しており、基体13の表面に導電性接着層12を介して導電性繊維11が付着している。導電性繊維11は、図3(a)に示すように、ポリエステル樹脂からなる芯部21と、該芯部を被覆し、式(1)で示される芳香族アミド化合物を含有するポリエステル樹脂中からなる鞘部22と、該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂からなる最外層23とで構成される3層芯鞘構造を有している。
【0026】
さらに、図3(b)に示すように、被帯電体と接触する、導電性繊維の先端部において、絡み合っている複数のカーボンナノチューブを含んでいる鞘部を繊維表面に露出させるためには、鞘部を被覆している熱可塑性樹脂を含む最外層を、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理によって除去する方法が好適に用いられる。
酸素プラズマ処理は、真空容器内に酸素ガスを導入して減圧状態に保持し、真空容器と真空容器内に設置した多孔金属円筒電極の間に酸素プラズマを誘起し、前記多孔金属円筒電極内に設置した帯電部材の表面を処理するものである。前記多孔金属円筒電極内に帯電部材を設置することにより、プラズマ中のイオンや電子を制御することで、酸素原子ラジカルにより、導電性繊維の先端部表面の最外層を除去することが可能となる。プラズマ生成条件は、装置構成及び処理物の大きさにより好適に選択されるが、高周波電力としては、30W以上500W以下が好ましい。また、酸素ガス流量は30sccm以上200sccm以下が好ましい。
【0027】
酸素プラズマ処理時間については、2分以上60分以下が好ましい。上記範囲とすることで、十分な酸素プラズマ処理を行なうことができる。また、酸素プラズマ処理を10分以上行う場合には、10分毎に数分間プラズマ処理を中断し、帯電部材表面の温度を低下させることが好適である。
アルカリ処理は、温度50℃以上100℃以下に保持された、数%の水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液中に、数10分〜数100分保持することが好適であるが、特に好ましくは、温度60℃〜70℃、3%〜5%の水酸化ナトリウム溶液に100分〜300分の範囲内である。
【0028】
ところで、注入帯電では、電位の収束性を確保するため、電子写真感光体が帯電部材と接触しているニップを通過する時間が、帯電部材における外周表面の導電性繊維の抵抗と感光体の静電容量からなる時定数の5倍以上になることが望ましい。例えば、有機感光体(Organic Photconductor:OPC)と比べて誘電率の高いアモルファスシリコン感光体を用いた場合のように、200mm/sec以上の周速で使用することがある。この場合、つまり時定数が2msec以下になる場合は、感光体と帯電部材における導電性繊維の先端部との接触部分、所謂侵入量は数100μm以上、好ましくは300μm〜1500μmの範囲内であり、また、電子写真感光体に接触しているニップの感光体回転方向の幅がある程度あることが好ましい。
そのため、本発明に係る導電性繊維の先端部において、鞘部が露出する範囲は、導電性繊維の先端部から少なくとも400μm以上が好ましい。
【0029】
本発明で用いられる導電性繊維1本当たりの抵抗値は、感光体の一部への電流集中による感光体破壊を防止するために、1x10Ω以上が好ましい。また、時定数が2msec以下になる注入帯電条件でも帯電電位を安定させるためには、必要に応じて、導電性繊維1本当たりの抵抗値を1x1010Ω以下にすることが好ましい。
【0030】
(基体)
本発明に係る帯電部材の基体としては、金属、合金などの導電性材料が好ましく用いられるが、絶縁体や半導体に導電性金属をコートした基体であってもよい。具体的には、ステンレス鋼(SUS)、AlやAl合金、FeやFe合金、CuやCu合金、NiやNi合金等を用いることができる。あるいは、前記金属や合金の表面に導電性ゴム層を設けたものであってもよい。
【0031】
(帯電部材の製造方法)
本発明に係る帯電ブラシとしては、以下の2つの方法で製造されるものを具体的に挙げることができる。
1)溶融紡糸法により製造された導電性繊維を複数本集めた束が織り込まれた帯状の基布を、導電性の芯金軸に螺旋状に巻き回すことにより製造される織りブラシ。
2)溶融紡糸法により製造された導電性繊維を、長さ0.5mm以上3mm以下にカットし、その後静電気を利用して飛翔させ、あらかじめ導電性接着層が塗布された基体に植え付ける、いわゆる静電植毛法で製造される静電植毛ブラシ。
【0032】
織りブラシの製造法は以下の通りである。溶融紡糸法により製造された導電性繊維を例えば毛ばさみ織りで織布して起立することで、長さ0.5mm以上5mm以下の導電性繊維を有する基布を得る。次に、前記基体表面に導電性接着剤を例えばスプレー法で、20μm以上100μm以下の厚さでコートする。その後、前記基布の導電性繊維の起立していない面を、前記導電性接着剤を塗布した面に、螺旋状に巻回して張り合わせ、その後温度60℃以上100℃以下の乾燥機で数時間乾燥する。
次いで、導電性繊維先端部の熱可塑性樹脂を含む最外層を除去するために、酸素プラズマ処理またはアルカリ処理を行う。その後、帯電部材の導電性繊維を一回転方向に沿って均一に傾斜させる処理、すなわち斜毛処理を施すことで帯電部材用織りブラシを得る。
【0033】
静電植毛ブラシの製造法は以下の通りである。溶融紡糸法により製造された導電性繊維を長さ0.5mm以上3mm以下にカットし、カットパイルを得る。次に、前記基体表面に導電性接着剤を例えばスプレー法で、20μm以上100μm以下の厚さでコートする。次に、導電性接着層が塗布された基体を軸線まわりに回転させながら、その下方に電極板を配置する。次に、電極板上に前記カットパイルを載置し、電極板と基体とを高電圧電源に接続することで、カットパイルが飛翔して基体上の導電性接着層に植毛される。
基体である金属芯表面に形成する導電性接着層は、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系樹脂の接着剤に導電性フェラーを分散させた導電性接着剤をスプレー法によって厚さ50以上200μm以下で塗布し、その後熱硬化させて形成する。
また、本発明に用いられる導電性接着層の抵抗率の値は、1.0×10Ωcm以上1.0×10Ωcm以下が好ましい範囲である。
【0034】
(画像形成装置)
図4に示すように、本発明に係る電子写真画像形成装置は、上述した帯電部材3と、これにより帯電され潜像が形成されるドラム形状の電子写真感光体(以降、「感光ドラム」ともいう)201とを有する。感光ドラム201は帯電部材3の導電性繊維の表面が接触するように配置される。
感光ドラム201としては、例えば、直径(φ)が80mmの負帯電性のa−Si系感光ドラムを用い、感光体の回転速度は300mm/secである。前露光ランプ202には、波長660nmのLEDを用い、帯電直前の感光ドラムの表面電位を均一に低下させるために感光ドラム表面を露光する。露光装置203より照射されるレーザー光により走査露光が行われ、感光ドラム上に静電潜像を形成する。
現像器204には、マグネットローラを内包した4色の現像スリーブ(M、Y、C、K)上に、現像剤をコーティングし、図示しない現像器用電源を用いて現像バイアスを印加することによって、感光ドラム上にトナーが現像される。現像剤としては、例えば、粒径が、約7μmの負帯電性トナーと、約35μmの現像用磁性粒子とを用いる。現像スリーブは、感光ドラムと同方向に回転し、その周速は例えば、約450mm/secである。また、感光ドラム201に対向しているマグネットローラの磁極は、例えば、90mTであり、現像スリーブと感光ドラム201との隙間は、例えば、350μmとする。
転写装置は、直径(φ)が例えば、16mmの導電性スポンジローラ205と直流電源206とからなり、被転写部材209を感光ドラム201との間に挟んで、トナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで被転写部材上にトナーを移動させる。
クリーナー207としては、例えば、厚さ2mmのウレタン製のクリーニングブレードを用い、転写残トナーをクリーニングブレードで感光ドラム上から掻き落とすことによりクリーニングを行う。
本発明に係る帯電装置に装着される帯電部材(帯電ブラシ)3は、本発明に係る導電性繊維の先端部まで含めた外径が例えば、20mmであり、感光ドラム201に対して回転軸が平行になるように配置する。
帯電部材3の半径と感光体の半径を加えた値から、各々の回転軸間の距離を引いた値である、所謂侵入量は、例えば、750μmとする。帯電部材3の回転方向は感光体と同じにすることで、感光体と帯電部材3との接触領域ではお互い逆方向に移動するようにし、回転速度は、例えば、450mm/sec以上550mm/sec以下とする。
帯電のためのバイアスとして、例えば、−700Vの直流電圧を電源208より印加する。本態様においては、直流電圧(DC)のみを印加しているが、交流電圧(AC)を重畳して印加してもよい。
以上のように帯電部材3を搭載した画像形成装置を用いて作像動作を行うことにより、良好な画像出力を行うことが可能となる。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明の実施例を説明する。
[製造例1]
(ペレットOの用意)
固有粘度(以下IV値と記す)0.95であるポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットOを用意した。
(ペレットAの作製)
ぺレットOを凍結、粉砕後、分級により粒径20μm以下の微粉末を得た。この微粉末と、長さが5μm以下で平均長さが3μm、アスペクト比が400以下のカーボンナノチューブとを、カーボンナノチューブの質量比が8wt%になるようにドライブレンドした後、これらを二軸エクストルーダーを用いて混練・溶融した。得られた溶融混練物を粉砕して、ペレットAを作製した。
【0036】
(ペレットBの作製)
ペレットOを凍結粉砕後、分級により粒径20μm以下の微粉末を得た。この微粉末100質量部に対して、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドの粉末(商品名:エヌジェスターNU100、新日本理化(株)製)0.25部を混合して、混合粉体を得た。この混合粉体と、長さが5μm以下で平均長さが3μm、アスペクト比が400以下のカーボンナノチューブとを、カーボンナノチューブの質量比が8wt%になるようにドライブレンドした。その後、二軸エクストルーダーで混練・溶融した。得られた溶融混練物を粉砕してペレットBを作製した。
【0037】
(ペレットA、Bの評価)
ペレットAおよびBについて、キャピラリーレオメーター(商品名:ツインボアキャピラリーレオメータ、CEAST社製、)を用いて溶融粘度を測定した。その結果を図2に示す。図2から、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドを含有させることにより、溶融粘度が低下することが確認できた。
また、ペレットA及びBの各々をエポキシ樹脂に埋め込み、その後バフ研磨処理して、各ペレットの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。その結果、ペレットAと比較してペレットBの方が、カーボンナノチューブの分散性が、より均一であることが確認できた。
【0038】
更に、ペレットBについて、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドの含有量を確認するため、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドの定量分析を下記の手順で行った。
ペレットBを冷凍粉砕し、その試料1gをヘキサフルオロイソプロパノール30mlに溶解した。次に、前記溶解液をメタノール150mlに加え、その後ポリエチレンテレフタレート樹脂成分を撹拌析出・ろ過することで、前記溶解液中の不溶成分、すなわちポリエチレンテレフタレート樹脂成分を分離した。次に、前記溶解液中に可溶している成分を濃縮・乾燥後、サンプルを水素核磁気共鳴装置にて、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドの定量分析を行った。定量分析の結果、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドは、ポリエチレンテレフタレート樹脂100部に対して0.24部との結果を得た。
【0039】
[製造例2]
(ペレットCの作製)
カーボンナノチューブの添加量を6質量%とした以外は、ペレットAと同様にしてペレットCを作製した。
(ペレットDの作製)
カーボンナノチューブの添加量を6質量%とし、また、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド粉末の添加量を0.4質量%とした以外は、ペレットBと同様にしてペレットDを作製した。
【0040】
(ペレットC、Dの評価)
ペレットC及びDについて、ペレットA及びBと同様にして溶融粘度を測定した。その結果、ペレットCと比較して、ペレットDの溶融粘度が低かった。これにより、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドの添加が、溶融粘度を低下させることが確認できた。
さらに、ペレットC及びDの各々をエポキシ樹脂に埋め込み、プラズマ処理を施し、ペレットCおよびDの断面を走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、ペレットCよりも樹脂コンパウンドのペレットDの方が、カーボンナノチューブがより均一に分散していることが確認できた。
【0041】
[製造例3]
(ペレットEの作製)
カーボンナノチューブの添加量を8質量%とし、N,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド粉末の添加量を0.05質量%とした以外は、ペレットBと同様にしてペレットEを作製した。
【0042】
ペレットA〜Eについて、カーボンナノチューブの含有量、および、本発明に係るN,N´−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミドの含有量を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
[実施例1]
(導電性繊維の作製)
ペレットOを芯部形成材料として、また、ペレットBを鞘部形成材料として用いて、芯鞘構造を有する導電性繊維を作製した。
すなわち、まず、ペレットO及びペレットBを温度140℃で4時間乾燥させた。次いで、ペレットO及びペレットBを各々、二つの二軸エクストルーダに導入し、紡糸温度290℃にて、口径0.3mm、孔数が36個の丸形孔の口金を有する芯鞘型複合ノズル(図6参照)から、芯部と鞘部の面積比が6:4になるように、ペレットOおよびBの溶融物を吐出させて紡糸した。
得られた芯鞘構造の紡出糸条は、冷却長1mの冷却装置(ユニフロータイプ)を用いて風温25℃、風速0.5m/秒の冷却風によって冷却・固化させつつ、1000m/分で巻き取って、繊維径42μmの未延伸マルチフィラメント糸を作製した。なお、冷却・固化の過程において、油剤(実効成分10質量%濃度)を付着させた。
得られた未延伸マルチフィラメント糸を、温度150℃で、延伸倍率が2倍になるように熱延伸して、直径が30μmの芯鞘構造を有する導電性繊維の36本からなるマルチフィラメント糸を作製した。
【0045】
(パイル織物の作製)
次に、このマルチフィラメント糸を用いて、図5に示すように幅15mmのリボン状のパイル織物を作製した。リボン状のパイル織物をアルミパイプに巻き付けた状態で、真空容器内の多孔金属円筒電極内にアルミパイプの両端のみを支持する状態で設置し、酸素プラズマ処理を行った。
酸素プラズマ処理後のリボン状のパイル織物から1本の導電性繊維を抜き取り、当該導電性繊維のプラズマ処理側の先端部の表面および断面のSEM観察を行った。その結果、図3(b)に示したように、カーボンナノチューブが導電性繊維の鞘部において、絡み合ったネットワーク組織を構成していることが分かった。また、導電性繊維の表面には、絡み合ったカーボンナノチューブが露出していた。
さらに、当該導電性繊維のプラズマ処理をした側とは反対側の、パイル織物の基地側(前記アルミパイプと接触する側)の表面をSEM観察した。その結果、カーボンナノチューブの露出は認められなかった。これは、当該導電性繊維のプラズマ処理がなされていない表面には最外層が存在していることを意味している。
【0046】
(実施例2)
鞘部形成材料をペレットEに変えた以外は、実施例1と同様にしてマルチフィラメント糸を作製した。そして、このマルチフィラメント糸を用いて、実施例1と同様にして、幅15mmのリボン状のパイル織物を作製後、酸素プラズマ処理を行った。
得られたリボン状のパイル織物から1本の導電性繊維を抜き取り、当該導電性繊維のプラズマ処理側の先端部をSEMで観察した。その結果、カーボンナノチューブが導電性繊維の鞘部において、絡み合ったネットワーク組織を構成していることが分かった。また、導電性繊維の表面には、絡み合ったカーボンナノチューブが露出していた。なお、この導電性繊維の抵抗値は、5x10Ωであった。
また、この導電性繊維の先端部の酸素プラズマ処理を施した部分の表面の放電性を以下の方法によって評価した。すなわち、図7に示す走査型プローブ顕微鏡を用いて、探針304にバイアス電圧を10V印加し、前記探針304を導電性シート303の上に設置した導電性繊維305の表面に接触させ、5μmX5μmの領域の走査を行いながら前記探針に流れる電流値を走査範囲全域で測定した。その結果、酸素プラズマ処理部の測定部分の全表面積を基準として、約74%の領域で電極との間に導電パスが形成されていることが分かった。
【0047】
(実施例3)
実施例1と同様にしてマルチフィラメント糸を作製した。また、このマルチフィラメント糸を用いて、実施例1と同様にしてリボン状のパイル織物を作製した。
このリボン状のパイル織物をSUS製基体に巻き付けた後、真空容器内の多孔金属円筒電極内に基体の両端のみを支持する状態で設置し、酸素プラズマ処理を行った。プラズマ処理後、表面の最終仕上げ加工を行うことで、外径20mmの帯電ブラシを作製した。この帯電ブラシ表面の導電性繊維密度は、200kF/inchであった。
この帯電ブラシから1本の導電性繊維を抜き取り、当該導電性繊維のプラズマ処理側先端部の表面および断面のSEM観察をした。その結果、図3(b)に示したように、カーボンナノチューブが導電性繊維の鞘部において、絡み合ったネットワーク組織を構成していることを確認した。また、導電性繊維の表面には、絡み合ったカーボンナノチューブが露出していた。なお、この導電性繊維の抵抗値は、2x10Ωであった。
更に、当該導電性繊維の表面の放電性を以下の方法によって評価した。すなわち、実施例2と同様な方法で走査型プローブ顕微鏡を用いて、導電性繊維表面の電流値を走査範囲全域で測定した。その結果、酸素プラズマ処理部の測定部分の全表面積を基準として、約79%の領域で電極との間に導電パスが形成されていることが分かった。
次に、この帯電ブラシを図4に示す複写機に装着し、帯電部材の感光体への侵入量を1mmに設定した。帯電部材の回転速度を500mm/secとし、帯電部材に−700Vの直流電圧を印加して電子写真画像の形成を行なった。その結果、ハーフトーン部の網目の大きさが均一で、良好な画像が得られた。このことから、感光体を均一かつ良好に帯電できたことを確認できた。
【0048】
(比較例1)
鞘部形成材料にペレットAを用いた以外は、実施例1と同様にして溶融紡糸して未延伸マルチフィラメントを作製した。溶融紡糸直後の36本のマルチフィラメント糸について繊維断面のSEM観察をした結果、芯部と鞘部が同心円状ではなく偏心したフィラメントが数多く観察された。
次いで、この未延伸マルチフィラメントに実施例1と同様にして延伸処理を施したところ、糸切れが多発し、安定してマルチフィラメントを作製することができなかった。
【0049】
(比較例2)
実施例3と同様な方法で導電性繊維36本からなるマルチフィラメント糸を作製し、次いで幅15mmのリボン状のパイル織物を作製した。
次に、このリボン状のパイル織物をSUS製基体に巻き付けた後、表面の最終仕上げ加工を行うことで、外径20mmの帯電部材を作製した。この帯電部材表面の導電性繊維密度は、200kF/inchであった。
この帯電部材から導電性繊維1本を抜き取り、その導電性繊維の表面および断面のSEM観察を行った。その結果、図3(a)に示した模式図のように、ポリエステル樹脂中にカーボンナノチューブが絡み合ったネットワーク組織を構成している鞘部を、熱可塑性樹脂からなる最外層が被覆していることを確認した。この導電性繊維の抵抗値は、7x1010Ωであった。
また、この導電性繊維の表面の放電性を以下の方法によって評価した。すなわち、実施例2と同様な方法で走査型プローブ顕微鏡を用いて、導電性繊維表面の電流値を走査範囲全域で測定した。その結果、酸素プラズマ処理部の測定部分の全表面積を基準として、約35%の領域で電極との間に導電パスが形成されていることが分かった。 次に、この帯電部材を実施例3と同様に図4に示す複写機に装着し、帯電部材における導電性繊維の感光体への侵入量を1mmに設定した。帯電部材の回転速度を500mm/secとし、帯電部材に−700Vの直流電圧を印加した結果、白地部に紙の進行方向に沿って、スジ状にトナーがかぶった画像が出力された。また、ハーフトーン部の網目の大きさが乱れ、がさついた画像となった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、電子写真式を用いた画像形成装置に利用可能なものである。より詳しくは、像担持体として電荷注入層を表面に備える感光体に対して接触帯電により帯電した後、潜像形成と現像剤像形成し、その像を転写材上に転写、定着を行う画像形成装置において、放電を用いることなく均一な帯電電位を得ることを可能とする。
【符号の説明】
【0051】
3 帯電部材
11 導電性繊維
12 導電性接着層
13 基体
21 芯部
22 鞘部
23 最外層
201 感光ドラム
202 前露光ランプ
203 露光装置
204 現像器
205 導電性スポンジローラ
206 直流電源
207 クリーナー
208 電源
209 被転写部材
4 芯鞘型複合ノズル
401 口金板
402 分配板
403 パイプ
404 芯部樹脂
405 鞘部カーボンナノチューブ含有樹脂
406 紡糸口
301 電流検出回路
302 試料台(アルミ製)
303 導電性シート
304 STM探針
305 導電性繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂を含む芯部と、
該芯部を被覆している、ポリエステル樹脂とカーボンナノチューブを含む鞘部と、
該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層とからなる導電性繊維において、
該鞘部は、下記一般式(1)で示される芳香族アミド化合物を更に含むことを特徴とする導電性繊維:
【化1】

(式(1)中、Xは、下記化学式(2)または(3)であり、R1及びR2はそれぞれ同一または異なる炭素数5〜12のシクロアルキル基である。):
【化2】

【化3】


【請求項2】
前記鞘部は、前記芳香族アミド化合物を、該鞘部中のポリエステル樹脂に対し、0.05質量%以上0.25質量%以下の割合で含む請求項1に記載の導電性繊維。
【請求項3】
導電性の基体と、一方の端が該基体に結合されている導電性繊維とを有する帯電部材であって、
該導電性繊維は、ポリエステル樹脂を含む芯部と、
該芯部を被覆し、ポリエステル樹脂と絡み合っているカーボンナノチューブと下記構造式(1)で示される芳香族アミド化合物とを含む鞘部と、
該鞘部を被覆し熱可塑性樹脂を含む最外層と、からなる導電性繊維であり、
該導電性繊維は、該基体と結合していない側の先端部において、前記鞘部に含まれるカーボンナノチューブが前記導電性繊維の表面に露出していることを特徴とする帯電部材:
【化1】

(式(1)中、Xは、下記化学式(2)または(3)であり、R1及びR2はそれぞれ同一または異なる炭素数5〜12のシクロアルキル基である。):
【化2】

【化3】


【請求項4】
請求項3に記載の帯電部材と、
該帯電部材における導電性繊維の先端部と接触するように配置されている電子写真感光体とを有していることを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104140(P2013−104140A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247523(P2011−247523)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】