説明

導電性膜用高分子複合体及びその製造方法、並びにその用途

【課題】低コストで、高導電性の膜形成可能なポリスチレンスルホン酸またはその塩とポリチオフェン誘導体の複合体、及びその水分散体からなるコーティング用組成物。
【解決手段】
スチレンスルホン酸またはその塩を重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩と、当該ポリスチレンスルホン酸またはその塩の存在下でチオフェン誘導体を重合して得られるポリチオフェン誘導体を含んでなる複合体。その際、ポリスチレンスルホン酸またはその塩がアミノスルホン酸の存在下で重合したものである上記の複合体、または、ポリスチレンスルホン酸またはその塩が重合後にアミノスルホン酸を混合したものである上記の複合体であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性が高く低コストの導電性膜用の複合体、その水分散体及び水分散体の製造方法、並びにその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、アミノスルホン酸存在下で重合、及び/又は、混合処理したポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとして用いて、水系溶媒中で合成した導電性膜用高分子複合体、その水分散体及びその製造方法、並びにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性高分子複合体を含む水分散体は帯電防止剤、電解コンデンサ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどに用いられる。
【0003】
従来、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンの複合体、及びジヒドロキシ基、ポリヒドロキシ基、アミド基、ラクタム基をもつ有機化合物からなる水分散体を塗布後、乾燥、アニーリングすることで高導電性の被覆物が得られることが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリチオフェンとポリアニオン化合物及びε≧15の誘電率を有する非プロトン性化合物を含有する水溶性粗生物を乾燥して高温のアニーリング段階なしでポリマー性導電層を形成する方法でも得られることが報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
更に、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリ陰イオンから低いpHでの化学的酸化重合で得られた複合体と、アミド化合物を含むコーティング用組成物が報告されている(例えば、特許文献3参照)。他にアミド化合物と同様にイミド化合物の添加効果の例も報告されている(例えば、特許文献4参照)。定量的な添加効果の評価の例としては、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸(以降、PEDOT/PSSと表す)の複合体分散液へジメチルスルホキシド(DMSO)を添加した組成物を用いると、電気伝導度が二桁上昇するとの報告がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
ところで、一般に導電性高分子の導電率を向上させる添加剤の効果は、ポリマー分子の解凝集での説明がなされており、特にポリアニリンでは、ポリアニリン分子へのクレゾール、フェノール、スルホン酸化合物の添加による解凝集効果が報告されている(例えば、特許文献5、非特許文献2参照)。また、PEDOT/PSSに関しても、ジエチレングリコールを添加した系での構造変化に関する詳細な検討が行われ、ジエチレングリコール添加での解凝集と再配列が推定され、過剰なPSSが除かれてPEDOTが多く配列した部位の増加に関する報告がなされている(例えば、非特許文献3参照)。
【0006】
一方、3,4−エチレンジオキシチオフェンを化学的酸化重合する際に、芳香族スルホン酸のアミン塩、4級アンモニウム塩及び、アルミニウム塩から選ばれる1種を用いることで重合用酸化剤の粘度を低減できた例が報告されている(例えば、特許文献6参照)。また、ノルボルネン系の樹脂フィルム上にポリチオフェン、ポリスチレンスルホン酸またはその塩と(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物等の重合性基を有するアミン化合物とを一緒にして、光重合開始剤及びジメチルスルホキシドを加えた膜形成用組成物からの光重合で、光学特性、環境耐久性及び導電性に優れる透明導電性積層フィルムを得た例も報告されている(例えば、特許文献7参照)。
【0007】
以上のように、高導電性高分子を求めて、ポリチオフェン複合体に対して種々の添加剤を用いた分散体についての検討が行われてきた。しかし、近年、他の構造を有する導電性高分子でも1000S/cm付近の高い導電率が求められており(例えば、特許文献8及び非特許文献4参照)、ポリチオフェン複合体についても更に改善が必要とされている。
【0008】
また、種々の検討の結果、PEDOTの配列が導電性と関連のあることが示唆されたが、酸化重合の際にPEDOTの配列に影響を与えるポリスチレンスルホン酸またはその塩を改善し、高導電性高分子を与える水分散体を得た例はまだ報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−048858号公報
【特許文献2】特開2000−153229号公報
【特許文献3】特開2004−59666号公報
【特許文献4】特開2006−328276号公報
【特許文献5】特開平8−231862号公報
【特許文献6】特開2010−053302号公報
【特許文献7】特開2010−103106号公報
【特許文献8】特開2010−212212号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J.Y.Kimら、Synthetic Metals、2002年、第126巻、311−316頁
【非特許文献2】A.G.MacDiarmidら、Synthetic Metals、1994年、第65巻、103−116頁
【非特許文献3】X.Crispinら、Chemical Materials、2006年、第18巻、4354−4360頁
【非特許文献4】L.Kwangheeら、Nature、2006年、第44巻、65−68頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は上述のように、特定のポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとして用いることにより、簡便な手法を用いて低コストで、高導電性膜形成用のポリチオフェン誘導体を含む複合体及び複合体を含む水分散体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは重合法及び改質法の異なるポリアニオンであるポリスチレンスルホン酸またはその塩を用いて得られる複合体(導電性の高分子)について検討を行った。その結果、驚くべきことに、特殊な共重合や架橋重合、置換基導入、または修飾を行う必要がなく、アミノスルホン酸の存在下でスチレンスルホン酸またはその塩を重合して得られたポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/又は、従来の方法で重合して得られたポリスチレンスルホン酸またはその塩でアミノスルホン酸により混合処理されたものを用いることで、簡便かつ効果的に高導電性膜形成用の複合体及び複合体を含む水分散体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は以下に示すとおり、アミノスルホン酸を用いて重合、及び/又は、混合処理したポリスチレンスルホン酸またはその塩、ポリチオフェン誘導体を含んでなる複合体及び複合体を含む水分散体とその製造方法、並びに、当該複合体を含む水分散体からなるコーティング用組成物、そのコーティング用組成物を塗布し乾燥して得られる導電性被覆物に関する。
[1]スチレンスルホン酸またはその塩を重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩と、当該ポリスチレンスルホン酸またはその塩の存在下でチオフェン誘導体を重合して得られるポリチオフェン誘導体を含んでなる複合体
[2]チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンである[1]に記載の複合体。
[3]ポリスチレンスルホン酸またはその塩がアミノスルホン酸の存在下で重合したものである[1]又は[2]に記載の複合体。
[4]ポリスチレンスルホン酸またはその塩が重合後にアミノスルホン酸を混合したものである[1]〜[3]のいずれかに記載の複合体。
[5]アミノスルホン酸が下記一般式(1)
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R、Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で表される脂肪族アミノスルホン酸である[1]〜[4]のいずれかに記載の複合体。
[6]一般式(1)で示される化合物がタウリン、メチルタウリン、ジメチルタウリン、アミノメタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸である[5]に記載の複合体。
[7]アミノスルホン酸が下記式(2)
【0016】
【化2】

【0017】
(式中、R、Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるスルファニル酸誘導体である[1]〜[4]のいずれかに記載の複合体。
[8]アミノスルホン酸を除去してなる[1]〜[7]のいずれかに記載の複合体。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の複合体を水に分散してなる水分散体。
[10]ポリスチレンスルホン酸、またはその塩と、チオフェン誘導体とをジメチルスルホキシド存在下で、酸化重合させる[9]に記載の水分散体の製造方法。
[11]酸化重合がペルオキソ二硫酸アンモニウムと第二鉄塩を使用する化学的酸化重合である[10]に記載の水分散体の製造方法。
[12]アミノスルホン酸の存在下で、スチレンスルホン酸またはその塩からなるモノマーを重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/又は、アミノスルホン酸とポリスチレンスルホン酸またはその塩を混合した後にアミノスルホン酸を除去して得られることを特徴とする[10]又は[11]に記載の水分散体の製造方法。
[13][9]に記載の水分散体からなることを特徴とするコーティング用組成物。
[14][13]に記載のコーティング用組成物を基材表面に塗布及び乾燥することで製造される導電性被覆物。
【発明の効果】
【0018】
本発明の方法に従い、アミノスルホン酸の存在下で重合して得られたポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/又は、アミノスルホン酸で混合処理したポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとするポリチオフェン誘導体を含んでなる複合体及び複合体を含む水分散体を用いれば、簡便な手法を用いて低コストで、高導電性膜形成用のコーティング用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
<アミノスルホン酸の存在下でのポリスチレンスルホン酸またはその塩の製造法>
本発明の複合体は、スチレンスルホン酸またはその塩を重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩と、当該ポリスチレンスルホン酸またはその塩の存在下でチオフェン誘導体を重合して得られるポリチオフェン誘導体を含んでなる複合体である。
【0020】
本発明の複合体におけるポリスチレンスルホン酸または塩としては、例えばポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸カリウム塩、ポリスチレンスルホン酸リチウム塩、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸メチルアミン塩、ポリスチレンスルホン酸ジメチルアミン塩、ポリスチレンスルホン酸トリメチルアミン塩、ポリスチレンスルホン酸エチルアミン塩、ポリスチレンスルホン酸ジエチルアミン塩、ポリスチレンスルホン酸トリエチルアミン塩等が挙げられる。
【0021】
ここで、ポリスチレンスルホン酸または塩は、スチレンスルホン酸またはその塩を重合したものであり、用いるスチレンスルホン酸またはその塩としては、例えばスチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スチレンスルホン酸カリウム塩、スチレンスルホン酸リチウム塩、スチレンスルホン酸アンモニウム塩、スチレンスルホン酸メチルアミン塩、スチレンスルホン酸ジメチルアミン塩、スチレンスルホン酸トリメチルアミン塩、スチレンスルホン酸エチルアミン塩、スチレンスルホン酸ジエチルアミン塩、スチレンスルホン酸トリエチルアミン塩等が挙げられる。
【0022】
重合方法としては、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合が挙げられその中でも、アミノスルホン酸の存在下で重合することが好ましい。また、重合反応の温度は、通常のポリスチレンスルホン酸を製造することが可能な反応温度であれば特に限定するものではなく、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは10〜90℃、特に好ましくは40〜90℃である。重合時間は、通常のポリスチレンスルホン酸を重合するのに必要な時間であれば特に限定されるものではなく、200時間以内が好ましく、特に130時間以内が好ましい。
【0023】
アミノスルホン酸の存在下で重合してポリスチレンスルホン酸またはその塩を得る場合には、アミノスルホン酸とスチレンスルホン酸モノマー、またはスチレンスルホン酸塩モノマーとを水溶液中で混合し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、及び/又は、アゾ系重合開始剤(和光純薬製、V−50)を用いて重合させることが好ましい。
【0024】
また、本発明の複合体におけるポリスチレンスルホン酸または塩は、アミノスルホン酸とスチレンスルホン酸モノマー、またはスチレンスルホン酸塩モノマーとを水溶液中で混合し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、及びまたは、アゾ系重合開始剤(和光純薬製、V−50)を用いて重合させた後、アミノスルホン酸で混合処理する方法により得ることもできる。
【0025】
混合処理する場合には、スチレンスルホン酸モノマー、またはスチレンスルホン酸塩モノマーを重合により得られたポリスチレンスルホン酸、またはポリスチレンスルホン酸塩とアミノスルホン酸とを水溶液中で混合処理し目的の分子量を有するポリ陰イオンとすることができる。
【0026】
上記の混合処理における処理温度は、通常に水溶液を取り扱うことが可能な反応温度であれば特に限定するものではなく、0〜100℃が好ましく、さらに好ましくは0〜50℃、特に好ましくは10〜40℃である。
【0027】
なお、用いたアミノスルホン酸は除去することが好ましい。
【0028】
本発明で得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩の重量平均分子量は、薄膜形成性、導電性及び粘性の観点から5,000〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜500,000であり、特に好ましくは30,000〜300,000である。
<アミノスルホン酸>
用いられるアミノスルホン酸としては、上記一般式(1)及び(2)で示される化合物が好ましい。
【0029】
一般式(1)において、式中、R、Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。
【0030】
具体的には、一般式(1)における置換基R、Rとしては、各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基を挙げることができ、そのなかでも特に、水素原子とメチル基が好ましい。
【0031】
又、一般式(1)におけるnは、1〜3の整数であり、特にnは2であることが好ましい。
【0032】
一般式(2)において、式中、R、Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0033】
具体的には、一般式(2)における置換基R、Rとしては、各々独立して、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基を挙げることができ、そのなかでも特に、水素原子とメチル基が好ましい。
【0034】
このようなアミノスルホン酸としては、一般式(1)で示される化合物としては、例えばアミノメタンスルホン酸、N−メチルアミノメタンスルホン酸、N、N−ジメチルアミノメタンスルホン酸、N−エチルアミノメタンスルホン酸、N、N−ジエチルアミノメタンスルホン酸、N−(n−プロピルアミノ)メタンスルホン酸、N、N−(n−ジプロピルアミノ)メタンスルホン酸、N−(イソプロピルアミノ)メタンスルホン酸、N、N−(ジイソプロピルアミノ)メタンスルホン酸、タウリン、N−メチルタウリン、N,N−ジメチルタウリン、N−エチルタウリン、N,N−ジエチルタウリン、N−(n−プロピル)タウリン、N,N−ジ(n−プロピル)タウリン、N−イソプロピルタウリン、N,N−ジイソプロピルタウリン、アミノプロパンスルホン酸、N−メチルアミノプロパンスルホン酸、N、N−ジメチルアミノプロパンスルホン酸、N−エチルアミノプロパンスルホン酸、N、N−ジエチルアミノプロパンスルホン酸、N−(n−プロピルアミノ)プロパンスルホン酸、N、N−(n−ジプロピルアミノ)プロパンスルホン酸、N−(イソプロピルアミノ)プロパンスルホン酸、N、N−(ジイソプロピルアミノ)プロパンスルホン酸等挙げられ、単一又は混合で使用してもよい。
【0035】
一般式(2)で示される化合物としては、例えばスルファニル酸、N−メチルスルファンニル酸、N、N−ジメチルスルファニル酸、N−エチルスルファニル酸、N、N−ジエチルスルファニル酸、4−(N−(n−プロピルアミノ))フェニルスルホン酸、4−(N、N−(n−ジプロピルアミノ))フェニルスルホン酸、4−(N−(イソプロピルアミノ))フェニルスルホン酸、4−(N、N−(ジイソプロピルアミノ))フェニルスルホン酸等が挙げられ、単一又は混合で使用してもよい。
【0036】
これらのうち、水への溶解性から、タウリン、N−メチルタウリン、N,N−ジメチルタウリン、スルファニル酸が特に好ましい。
【0037】
また、アミノスルホン酸の使用量としては、特に限定されるものではなく、原料のスチレンスルホン酸モノマーまたはポリマーに含有される繰り返し単位中のスチレンスルホン酸(ポリスチレン換算での重量平均分子量Mwから推定)1モルに対し、0.2〜5.0倍モルが好ましく、特に好ましくは1.0〜2.0倍モルである。
【0038】
<複合体の合成>
本発明の複合体は、前記スチレンスルホン酸またはその塩を重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとして用い、当該ポリスチレンスルホン酸またはその塩の存在下でチオフェン誘導体を重合して得られるポリチオフェン誘導体を含んでなる複合体である。
【0039】
本発明におけるチオフェン誘導体としては、例えば3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−ジアルキルチオフェン3,4−ジアルコキシチオフェンなどが挙げられ、中でも特に3,4−エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
【0040】
ポリ陰イオンとしては、ポリスチレンスルホン酸は、そのまま重合反応に用いた。またポリスチレンスルホン酸の塩は、塩のまま使用するか、必要に応じてイオン交換を行い酸型のポリスチレンスルホン酸として用いた。
【0041】
本発明の複合体におけるポリスチレンスルホン酸またはその塩の存在下でチオフェン誘導体を重合する際の重合方法としては、酸化重合が好ましい。
【0042】
本発明での酸化重合反応に用いる触媒としては、例えば過硫酸塩及び第二鉄塩などの一般的なものを用いることができる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが用いられ、また、第二鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、トルエンスルホン酸第二鉄などが用いられ、中でも過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄が特に好ましい。
【0043】
酸化重合触媒の使用量は上記チオフェン誘導体1モルに対し、1.0〜5.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
【0044】
上記に記載の酸化重合反応に用いられる溶剤は、水系溶媒が好ましく、特に好ましくは水である。他に、補助溶媒を用いることも可能であり、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、単一又は混合で使用してもよい。これらのうちでは、特にジメチルスルホキシドが好ましい。
【0045】
尚、補助溶媒の使用量としては、特に限定されるものではなく、原料のスチレンスルホン酸モノマーまたはポリマーに含有される繰り返し単位中のスチレンスルホン酸(ポリスチレン換算での数平均分子量Mnから推定)1モルに対し、0.2〜100倍モルが好ましく、特に好ましくは1.0〜2.0倍モルである。
【0046】
本酸化重合法において反応温度は、水系溶媒を取り扱うことが可能な反応温度であれば特に限定するものではなく、0〜100℃が好ましく、濃度変化をさせずに反応を進行させるため、さらに好ましくは0〜50℃、特に好ましくは0〜30℃である。
【0047】
また、本発明での酸化重合反応におけるポリスチレンスルホン酸またはその塩の使用量は、チオフェン誘導体100重量部に対して、50〜2,000重量部が好ましく、さらに好ましくは100〜500重量部であり、特に好ましくは150〜300重量部である。
【0048】
本発明における複合体のポリスチレンスルホン酸またはその塩の含有率は、導電性及び分散性の観点から好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.4〜5重量%である。
<水分散体>
本発明の水分散体は上記複合体を水に分散してなるものである。
【0049】
水分散体には、補助溶媒を用いることも可能であり、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、単一又は混合で使用してもよい。これらのうちでは、特にジメチルスルホキシドが好ましい。
【0050】
補助溶媒として好ましく用いられるジメチルスルホキシの含有率は、導電性の観点から溶媒を含む全量に占める割合として、好ましくは0.5〜50重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
【0051】
<水分散体の製造方法>
本発明の水分散体の製造方法は、ポリスチレンスルホン酸、またはその塩と、チオフェン誘導体とをジメチルスルホキシド存在下で、酸化重合させることにより製造することができる。
【0052】
水分散体の製造方法に用いるポリスチレンスルホン酸、またはその塩は、アミノスルホン酸の存在下で、スチレンスルホン酸またはその塩からなるモノマーを重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/又は、アミノスルホン酸とポリスチレンスルホン酸またはその塩を混合した後にアミノスルホン酸を除去して得られるものであることが好ましい。
【0053】
酸化重合反応に用いる触媒としては、例えば過硫酸塩及び第二鉄塩などの一般的なものを用いることができる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが用いられ、また、第二鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、トルエンスルホン酸第二鉄などが用いられ、中でも過硫酸アンモニウムと硫酸第二鉄が特に好ましい。
【0054】
酸化重合触媒の使用量は上記チオフェン誘導体1モルに対し、1.0〜5.0倍モルが好ましく、1.0〜1.5倍モルが特に好ましい。
【0055】
上記に記載の酸化重合反応に用いられる溶剤は、水系溶媒が好ましく、特に好ましくは水である。他に、補助溶媒を用いることも可能であり、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、単一又は混合で使用してもよい。これらのうちでは、特にジメチルスルホキシドが好ましい。
【0056】
尚、補助溶媒の使用量としては、特に限定されるものではなく、好ましくは原料のスチレンスルホン酸モノマーまたはポリマーに含有される繰り返し単位中のスチレンスルホン酸(ポリスチレン換算での数平均分子量Mnから推定)1モルに対し、0.2〜100倍モルが好ましく、特に好ましくは0.5〜2.0倍モルである。
【0057】
本酸化重合法において反応温度は、水系溶媒を取り扱うことが可能な反応温度であれば特に限定するものではなく、0〜100℃が好ましく、濃度変化をさせずに反応を進行させるため、さらに好ましくは0〜50℃、特に好ましくは0〜30℃である。
<コーティング用組成物>
本発明の導電性被覆物を形成するための複合体を含む水分散体からなるコーティング用組成物は、水分散体とジメチルスルホキシドとの組成物である。
<導電性被覆物>
以上に記載の本発明のコーティング用組成物を用いれば、基材表面に塗布及び乾燥することで導電性に優れる被覆物を得ることができる。
【0058】
用いる基材としては、特に限定されるものではなく、例えばプラスチックシート、プラスチックフィルム、不織布、ガラス板等が挙げられる。
【0059】
また、塗布方法は、特に限定されるものではなく、例えばスピンコート、ワイヤーコート、バーコート、ロールコート、ブレートコート、カーテンコート、スクリーン印刷などが挙げられる。
【0060】
塗布されたコーティング用組成物を乾燥させる際の加熱条件としては、特に限定されるものではなく、例えば20〜250℃が好ましく、特に好ましくは60〜150℃である。
【実施例】
【0061】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、本実施例における生成物の収率は、単離重量で確認した。又、物性値の測定は下記の機器を用いて実施した。
【0062】
水−アセトニトリル系GPC:東ソー製、HLC−8200システム
更に、化合物のH−NMR及び13C−NMRの測定には、Varian社製Gemini−200を使用した。
【0063】
また、導電率の測定は低抵抗率計(三菱化学社製ロレススターGP、MCP−T600)を使用した。
【0064】
合成例1 (ジメチルタウリン(一般式(1)で示されるアミノスルホン酸)の合成例1)
150mlのステンレス製オートクレーブに、25℃で25%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液100.1g(0.19mol)、50%ジメチルアミン水溶液19.0g(0.21mol)を仕込んだ。その後、窒素雰囲気下、温度を115℃まで昇温し、115℃で過熱撹拌しながら3時間熟成した。反応終了後この反応混合物を25℃まで冷却した後、メタノール249.4gと酢酸12.7g(0.21mol)を添加し、80℃で濃縮した。更にメタノール200mlとイソプロパノール100mlから再結晶を行った。ろ過により固体をろ別して回収し、メタノールとイソプロパノールで洗浄した後、減圧乾燥し白色粉体21.5gを得た(73%)。得られた粉体をH−NMR及び13C−NMRで測定したところ、ジメチルタウリンであることを確認した。
【0065】
H−NMR(200MHz,DMSO−d)2.81(6H,s)、2.89(2H,t)、3.29(2H,t)
13C−NMR(50MHz,DMSO−d)42.47、45.36、53.91
合成例2 (ポリスチレンスルホン酸をタウリン後添加処理の製造例1)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)(0.042mol)と水40.0gを仕込んで溶解させ、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させた。得られた反応液に水50.0gを加え、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理し後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。更に、その全処理液を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。次いで、その全処理液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)5.3g(0.042mol)を加えて混合し、25℃で24時間撹拌処理した。
【0066】
その後、この処理液に水150mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約150mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸塩水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は34万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0067】
合成例3 (ポリスチレンスルホン酸をタウリン後添加処理の製造例2)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)(0.042mol)と水40.0gを仕込んで溶解させ、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させた。得られた反応液は水50.0gを加え、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。更に、その全処理液を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。次いで、その全処理液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)5.3g(0.042mol)を加えて混合し、25℃で120時間撹拌処理した。その後、この処理液に水150mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約150mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は32万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0068】
合成例4 (ポリスチレンスルホン酸をタウリン後添加処理の製造例3)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(0.042mol)(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させた。得られた反応液は水50.0gを加え、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後に、洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。更に、その全処理液を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。次いで、その全処理液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)5.3g(0.042mol)を加えて混合し、50℃で24時間撹拌処理した。その後、この処理液に水150mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約150mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸塩及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は29万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0069】
合成例5 (タウリン添加により重合したポリスチレンスルホン酸の製造例1)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液した。次いで、その全処理液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)5.6gを加え、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.03gを添加し4時間重合させ、更に、過硫酸アンモニウム0.03gを追加し20時間重合させた。その後、この処理液に水30mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を4回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は6万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0070】
合成例6 (タウリン添加により重合したポリスチレンスルホン酸の製造例2)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液した。次いで、その全処理液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)5.6gを加え、90℃に加熱し2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(和光純薬製、商品名V−50)0.03gを4回分割添加して123時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は4万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0071】
合成例7 (タウリン添加により重合したポリスチレンスルホン酸の製造例3)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液した。次いで、その全処理液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)1.1gを加え、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.12gを添加し19時間重合させ、更に、過硫酸アンモニウム0.12gを追加し1時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は9万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0072】
合成例8 (ジメチルタウリン添加により重合したポリスチレンスルホン酸の製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液した。次いで、その全処理液に合成例1で合成した一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるジメチルタウリン6.5gを加え、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.12gを4回分割添加し22時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びジメチルタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は4万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0073】
合成例9 (スルファニル酸添加により重合したポリスチレンスルホン酸の製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液した。次いで、その全処理液に一般式(2)で示されるアミノスルホン酸であるスルファニル酸(キシダ化学製、試薬特級)1.5gを加え、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.12gを添加し3時間重合させ、更に、過硫酸アンモニウム0.12gを追加し18時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸及びスルファニル酸は検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は5万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0074】
実施例1 (PEDOT−PSSの製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、合成例2で得られたポリスチレンスルホン酸の5重量%水溶液18.6g(純分0.93g、0.005mol、3、4−エチレンジオキシチオフェン100重量部に対し200重量部)、補助溶媒としてジメチルスルホキシド0.26g(0.003mol)、酸化重合触媒として過硫酸アンモニウム0.77g(0.003mol)、硫酸第二鉄0.02g(0.123mmol)を仕込み、水を加えて全量を100gとし撹拌溶解させた。続いて強撹拌下でチオフェン誘導体として3,4−エチレンジオキシチオフェン0.47g(0.003mol)を添加し、25℃で24時間重合させた。
【0075】
得られた重合液を、超音波ホモジナイザー(日本精機社製UT−300T)で20分間分散処理し水分散体とした後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)10gと陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)10gを加え、1時間撹拌した。その後、この分散液をろ紙(東洋濾紙社製No.2)でろ過してイオン交換樹脂を陽イオン、陰イオンと共に除去した。次に、このろ液に水400mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約400mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、遊離の低分子成分を除去した。更に、この処理液をメンブランフィルター(孔径0.45μm)に通し、最終的に導電性の高分子分散液を得た。以上の操作で得られた分散液にジメチルスルホキシドを5重量%添加してコーティング用組成物とした。このようにして得られたコーティング用組成物を、ガラス板上に流延塗布し、25℃で5時間乾燥後、更に、130℃で30分間乾燥して導電性の膜を作成した。この膜の導電率を低抵抗率計(三菱化学社製ロレススターGP、MCP−T600)で測定したところ、704S/cmと高い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0076】
実施例2 (PEDOT−PSSの製造例)
合成例3で得られたポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同一の方法で導電性の高分子分散液を得た。この分散液を用い、実施例1と同一の方法で導電性の膜を作成した。この膜の導電率を実施例1と同一の方法で測定した結果、637S/cmと高い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0077】
実施例3から実施例8
合成例4から合成例9でそれぞれ得られたポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同一の方法で導電性の高分子分散液を得た。この分散液を用い、実施例1と同一の方法で導電性の膜を作成した。この膜の導電率を実施例1と同一の方法で測定し、それらの結果をまとめて表1に示した。
【0078】
比較例1
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させた。得られた反応液は水50.0gを加え、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液した。更に、その全処理液を陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理し、同カラムを洗浄水50ml/分で通液し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸は検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は34万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0079】
得られたポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同一の方法で高分子分散液を得た。この分散液を用い、実施例1と同一の方法で膜を作成した。この膜の導電率を実施例1と同一の方法で測定した結果、チオフェン誘導体を用いなかったことから、同じ分子量である実施例2と比較して493S/cmと低い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0080】
比較例2
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムを用いて1ml/分で通液処理した後、同カラムに洗浄水50mlを1ml/分で通液処理した。次いで、その全処理液を90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させ、更に、過硫酸アンモニウム0.05gを追加し2時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸は検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は7万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0081】
得られたポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同一の方法で高分子分散液を得た。この分散液を用い、実施例1と同一の方法で膜を作成した。この膜の導電率を実施例1と同一の方法で測定した結果、チオフェン誘導体を用いなかったことから127S/cmと低い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0082】
比較例3
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させた。この溶解液を、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)50mlを充填したカラムに、1ml/分で通液処理した。更に、洗浄水50mlを同カラムに1ml/分で通液処理した。次いで、その全処理液を90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.05gを添加し2時間重合させ、更に、過硫酸アンモニウム0.05gを追加し2時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸は検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は4万であった。更に、塩素、臭素、ナトリウム含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0083】
得られたポリスチレンスルホン酸を用いた以外は、実施例1と同一の方法で高分子分散液を得た。この分散液を用い、実施例1と同一の方法で膜を作成した。この膜の導電率を実施例1と同一の方法で測定した結果、チオフェン誘導体を用いなかったことから、同じ分子量である実施例5、7と比較して74S/cmと低い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0084】
比較例4
実施例1の方法においてジメチルスルホキシドを添加せずに、実施例1と同一の方法で重合させ高分子分散液を得た。この分散液を用い実施例1と同一の方法で膜を作成した。この膜の導電率を実施例1と同一の方法で測定した結果、ジメチルスルホキシドを添加しなかったことからコーティング用組成物として、同じ分子量である実施例1と比較して395S/cmと低い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0085】
比較例5
実施例2の方法においてジメチルスルホキシドを添加せずに、実施例2と同一の方法で重合させ高分子分散液を得た。この分散液を用い実施例2と同一の方法で膜を作成した。この膜の導電率を実施例2と同一の方法で測定した結果、ジメチルスルホキシドを添加しなかったことからコーティング用組成物として、同じ分子量である実施例2と比較して300S/cmと低い導電率を示した。また、結果を表1にまとめて示した。
【0086】
合成例10 (タウリン添加により重合したポリスチレンスルホン酸ナトリウムの製造例4)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、スチレンスルホン酸ナトリウム10.0g(東ソー株式会社製スピノマーNaSS、純度87%)と水40.0gを仕込んで溶解させ、次いで、その溶液に一般式(1)で示されるアミノスルホン酸であるタウリン(和光純薬製、試薬一級)5.6gを加え、90℃に加熱し過硫酸アンモニウム0.04gを添加し2時間重合させた。その後、この処理液に水50mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量5万)を用いて約50mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液をGPCで分析した結果、低分子のスチレンスルホン酸ナトリウム及びタウリンは検出されなかった。また、標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを基準とした重量平均分子量は31万であった。更に、塩素、臭素含有量はイオンクロマトグラフィー及び誘導結合プラズマ発光分光分析の測定から、全て、ポリスチレンスルホン酸に対して50ppm以下であった。
【0087】
実施例9 (PEDOT−PSSの製造例)
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、合成例10で得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウムの5重量%水溶液18.6g、ジメチルスルホキシド0.26g、過硫酸アンモニウム0.77g、硫酸第二鉄0.02gを仕込み、水を加えて全量を100gとし撹拌溶解させた。続いて強撹拌下で3,4−エチレンジオキシチオフェン0.47gを添加し、25℃で24時間重合させた。得られた重合液を、超音波ホモジナイザー(日本精機社製UT−300T)で20分間分散処理した後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)10gと陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)10gを加え、1時間撹拌した。その後、この分散液をろ紙(東洋濾紙社製No.2)でろ過してイオン交換樹脂を陽イオン、陰イオンと共に除去した。以上の操作で得られた分散液にジメチルスルホキシドを5重量%添加(コーティング用組成物)し、ガラス板上に流延塗布し、25℃で5時間乾燥後、更に、130℃で30分間乾燥して導電性の膜を作成した。この膜の導電率を低抵抗率計(三菱化学社製ロレススターGP、MCP−T600)で測定したところ、313S/cmの導電率を示した。また、結果を表2にまとめて示した。
【0088】
比較例6
冷却管、温度計、撹拌翼を装着した200mlの四つ口フラスコに、25℃下、20重量%のポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液5.2g(東ソー株式会社製品PS−50)、ジメチルスルホキシド0.26g、過硫酸アンモニウム0.77g、硫酸第二鉄0.04gを仕込み、水を加えて全量を100gとし撹拌溶解させた。続いて強撹拌下で3,4−エチレンジオキシチオフェン0.47gを添加し、25℃で24時間重合させた。得られた重合液を、超音波ホモジナイザー(日本精機社製UT−300T)で20分間分散処理した後、陽イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIR120B)10gと陰イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーライトIRA96SB)10gを加え、1時間撹拌した。その後、この分散液をろ紙(東洋濾紙社製No.2)でろ過してイオン交換樹脂を陽イオン、陰イオンと共に除去した。次に、このろ液に水400mlを加え、限外ろ過装置(アドバンテック東洋社製撹拌型ウルトラフィルター、分画分子量1万)を用いて約400mlの水溶液を除去した。この操作を3回繰り返し、遊離の低分子成分を除去した。更に、この処理液をメンブランフィルター(孔径0.45μm)に通し、導電性の高分子分散液を得た。以上の操作で得られた分散液にジメチルスルホキシドを5重量%添加し、ガラス板上に流延塗布し、25℃で5時間乾燥後、更に、130℃で30分間乾燥して導電性の膜を作成した。この膜の導電率を低抵抗率計(三菱化学社製ロレススターGP、MCP−T600)で測定したところ、41S/cmと低い導電率を示した。また、結果を表2にまとめて示した。
【0089】
以上の結果から、アミノスルホン酸の存在下で重合して得られたポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/または、アミノスルホン酸で混合処理したポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとして用いれば、同等の分子量を有する無処理のポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとして用いた場合と比較して、明らかに高い導電率を示す導電性膜が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の方法に従い、アミノスルホン酸の存在下で重合して得られたポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/又は、アミノスルホン酸で混合処理したポリスチレンスルホン酸またはその塩をポリ陰イオンとして用いれば、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)の複合体から簡便な手法を用いて低コストで、高導電性膜形成用の組成物を提供することができる。
【0091】
この新規なコーティング用組成物を用いれば、基材表面に塗布及び乾燥することで導電性に優れる被覆物を得ることができ、帯電防止剤、電解コンデンサ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、太陽電池、タッチパネルなどへの利用が期待される。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレンスルホン酸またはその塩を重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩と、当該ポリスチレンスルホン酸またはその塩の存在下でチオフェン誘導体を重合して得られるポリチオフェン誘導体を含んでなることを特徴とする複合体。
【請求項2】
チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
ポリスチレンスルホン酸またはその塩がアミノスルホン酸の存在下で重合したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
ポリスチレンスルホン酸またはその塩が重合後にアミノスルホン酸を混合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合体。
【請求項5】
アミノスルホン酸が下記一般式(1)
【化1】

(式中、R、Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1〜3の整数を表す。)で表される脂肪族アミノスルホン酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合体。
【請求項6】
一般式(1)で示される化合物がタウリン、メチルタウリン、ジメチルタウリン、アミノメタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸であることを特徴とする請求項5に記載の複合体。
【請求項7】
アミノスルホン酸が下記式(2)
【化2】

(式中、R、Rは各々独立して水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)で表されるスルファニル酸誘導体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合体。
【請求項8】
アミノスルホン酸を除去してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複合体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の複合体を水に分散してなることを特徴とする水分散体。
【請求項10】
ポリスチレンスルホン酸、またはその塩と、チオフェン誘導体とをジメチルスルホキシド存在下で、酸化重合させることを特徴とする請求項9に記載の水分散体の製造方法。
【請求項11】
酸化重合がペルオキソ二硫酸アンモニウムと第二鉄塩を使用する化学的酸化重合であることを特徴とする請求項10に記載の水分散体の製造方法。
【請求項12】
アミノスルホン酸の存在下で、スチレンスルホン酸またはその塩からなるモノマーを重合して得られるポリスチレンスルホン酸またはその塩、及び/又は、アミノスルホン酸とポリスチレンスルホン酸またはその塩を混合した後にアミノスルホン酸を除去して得られることを特徴とする請求項10又は11記載の水分散体の製造方法。
【請求項13】
請求項9に記載の水分散体及びジメチルスルホキシドからなることを特徴とするコーティング用組成物。
【請求項14】
請求項13に記載のコーティング用組成物を基材表面に塗布及び乾燥することで製造されることを特徴とする導電性被覆物。

【公開番号】特開2012−224721(P2012−224721A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92405(P2011−92405)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】