説明

導電性薄膜、その積層体及びアクチュエータ素子

【課題】性能の向上したアクチュエータを提供する。
【解決手段】酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、電解質(D)とを含んで構成される導電性薄膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性薄膜を有する積層体及びアクチュエータ素子並びにその製造法に関する。ここでアクチュエータ素子は、電気化学反応や電気二重層の充放電などの電気化学プロセスを駆動力とするアクチュエータ素子である。
【背景技術】
【0002】
空気中、あるいは真空中で作動可能なアクチュエータ素子として、カーボンナノチューブとイオン液体とのゲルを導電性があり、かつ伸縮性のある活性層として用いるアクチュエータが提案されている(特許文献1)。
【0003】
さらに、アスペクト比が10以上のカーボンナノチューブを用いることでアクチュエータ素子の性能が向上することが知られている(特許文献2,3)。
【0004】
一方、ナノ炭素材料であるカーボンナノチューブ、水溶性導電性ポリマー、溶媒からなる組成物、及び該組成物から製造される複合体(導電体)が知られている(特許文献4)。しかしながら、これらは帯電防止用途や電極材料等の導電性材料としての利用を示唆するに留まるものである。また、水溶性導電性ポリマーのレドックス反応に起因した電気化学的な効果・作用についても検討はなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-176428号公報
【特許文献2】特開2008-266532号公報
【特許文献3】特開2007-126624号公報
【特許文献4】国際公開第2004/039893号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、さらに性能の向上したアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、アクチュエータ素子に酸性基を有する導電性ポリマー(A)を分散させることにより、従来のキャパシタによるメカニズムに加え、導電性ポリマーのレドックス現象を利用したアクチュエータの作製に成功した。
【0008】
本発明は、以下の導電性薄膜、積層体、アクチュエータ素子、アクチュエータ電極膜を提供するものである。
【0009】
すなわち、本発明の第1の要旨は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを含んで構成される導電性薄膜に関する。
【0010】
本発明の第2の要旨は、1層または2層以上の導電性薄膜層と高分子ゲル電解質膜層とを積層して得られる積層体であって、
前記導電性薄膜層は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを含んで構成されるものであり、前記高分子ゲル電解質層は、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)と、バインダーポリマー(C)とを含んで構成されるものである積層体に関する。
【0011】
本発明の第3の要旨は、前記積層体からなるアクチュエータ素子に関する。
【0012】
本発明の第4の要旨は、2層以上の導電性薄膜層と、1層以上の高分子ゲル電解質膜層とを積層して得られるアクチュエータ素子であって、前記2層以上の導電性薄膜層が互いに絶縁された状態で形成されるものである、前記アクチュエータ素子に関する。
【0013】
本発明の第5の要旨は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、溶媒とを含む分散液から溶媒を除去した組成物と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを、溶媒に分散させ分散液を調製し、該分散液を塗布し、乾燥させることにより得られるアクチュエータ電極膜に関する。
【0014】
本発明の第6の要旨は、1層または2層以上の電極膜層と、1層または2層以上の高分子ゲル電解質膜層を積層して得られる積層体であって、
前記電極膜層が、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、溶媒とを含む分散液から溶媒を除去した組成物と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを、溶媒に分散させ分散液を調製し、該分散液を塗布し、乾燥させることにより得られるアクチュエータ電極膜から形成され、
前記電解質膜層が、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)と、バインダーポリマー(C)とを含んで構成されるものである積層体に関する。
【0015】
本発明の第7の要旨は、前記積層体からなるアクチュエータ素子に関する。
【0016】
本発明の第8の要旨は、2層以上のアクチュエータ電極膜と、1層以上の電解質膜層とを積層して得られるアクチュエータ素子であって、
前記2層以上の導電性薄膜層が互いに絶縁された状態で形成されるものである、前記アクチュエータ素子に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、酸性基を有する導電性ポリマー(A)をカーボンナノチューブ(CNT)アクチュエータに併用することで、これまでのカーボンナノチューブアクチュエータには見られなかったレドックス反応に起因した電気化学的応答が見られ、これにより伸縮率が大きく向上した。酸性基を有する導電性ポリマー(A)のレドックス反応をアクチュエータの変形に反映させることにより、これまでのカーボンナノチューブ・イオン液体アクチュエータの伸縮率および発生力を更に大きく改善できるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例でアクチュエータ素子変位評価法に用いたレーザ変位計を示す。
【図2】(A)は、本発明のアクチュエータ素子(3層構造)の一例の構成の概略を示す図であり、(B)は、本発明のアクチュエータ素子(5層構造)の一例の構成の概略を示す図である。
【図3】本発明のアクチュエータ素子の作動原理を示す図である。
【図4】本発明のアクチュエータ素子の他の例の概略を示す図である。
【図5】実施例1と比較例1のアクチュエータのV-I-D応答を示す。
【図6】実施例1と比較例1のアクチュエータの伸縮率の周波数変化を示す。
【図7】実施例1と比較例1のアクチュエータ素子中に貯まるチャージ量の周波数変化を示す。
【図8】実施例1のアクチュエータの典型的なCVチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において、アクチュエータ素子の電極層に使用する導電性薄膜には、酸性基を有する導電性ポリマー(A)、カーボンナノチューブ(CNT)(B)、バインダーポリマー(C)および電解質(D)が使用される。導電性薄膜は溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、導電性薄膜を製造する際に通常使用される。例えば、導電性薄膜は溶媒と各成分を含む組成物をキャスト等の適当な方法で薄膜化して製造するので、乾燥後に溶媒が残存することがある。
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
[導電性薄膜]
本発明の導電性薄膜は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを含んで構成される。
【0022】
[積層体]
本発明の積層体は、1層または2層以上の導電性薄膜層(電極膜層)と高分子ゲル電解質膜層とを積層して得られる積層体であって、前記導電性薄膜層は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを含んで構成されるものであり、前記高分子ゲル電解質層は、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)と、バインダーポリマー(C)とを含んで構成されるものである。
【0023】
[アクチュエータ素子]
本発明のアクチュエータ素子は、上記積層体からなり、好ましくは、2層以上の導電性薄膜層と、1層以上の高分子ゲル電解質膜層とを積層して得られるアクチュエータ素子であって、前記2層以上の導電性薄膜層が互いに絶縁された状態で形成されるものである。
【0024】
[アクチュエータ電極膜]
本発明のアクチュエータ電極膜は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、溶媒とを含む分散液から溶媒を除去した組成物と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを、溶媒に分散させ分散液を調製し、該分散液を塗布し、乾燥させることにより得られるものである。
【0025】
以下、本発明を構成する各要件について詳細に説明する。
【0026】
[酸性基を有する導電性ポリマー(A)]
本発明の酸性基を有する導電性ポリマー(A)は、スルホン酸基及び/又はカルボキシ基等の酸性基を有する導電性ポリマーである。上記導電性ポリマー(A)は、カーボンナノチューブ(B)の溶解性・分散性を向上させ、安定なカーボンナノチューブ含有組成物とすることで、結果として得られる導電性薄膜、その積層体の透明性や導電性等やアクチュエータ素子の特性を更に向上させる役割を果たす。
【0027】
上記酸性基を有する導電性ポリマー(A)としては、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むπ共役系高分子を用いることができる。この中でも、特にチエニレン、ピロリレン、イミノフェニレン、フェニレンビニレン、カルバゾリレン、イソチアナフテンを含む骨格を有する導電性ポリマーであることが好ましい。
【0028】
上記酸性基を有する導電性ポリマー(A)は、溶解性、導電性、成膜性等の観点から、酸性基を有するπ共役系の導電性ポリマーあるいはその塩として用いることができ、前者として用いることが好ましい。ここで、酸性基を有する導電性ポリマー(A)としては、π共役系高分子の骨格又は該高分子中の窒素原子上に、酸性基、酸性基で置換されたアルキル基、又は酸性基で置換された、エーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーが挙げられる。
【0029】
また、酸性基を有する導電性ポリマー(A)の塩としては、導電性ポリマーとアンモニウム塩類及び/又はアミン類とを反応させることにより、酸性基をスルホン酸基のアンモニウム塩(−SO)及び/又はカルボキシ基のアンモニウム塩(−COO)としたものを用いることができる。ここで、前記アンモニウム塩のアンモニウムイオン(M)は、下記一般式(1)で示されるものである。
【0030】
【化1】

【0031】
(式(1)中、R〜Rは各々独立に水素、炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基、フェニル基、ベンジル基、ROH、CONH又はNHであり、R〜Rのうち少なくとも一つが炭素数5以上の基である。なお、Rは炭素数1〜24のアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基である。)
【0032】
上記酸性基を有する導電性ポリマー(A)としては、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平01−301714号公報、特開平05−504153号公報、特開平05−503953号公報、特開平04−32848号公報、特開平04−328181号公報、特開平06−145386号公報、特開平06−56987号公報、特開平05−226238号公報、特開平05−178989号公報、特開平06−293828号公報、特開平07−118524号公報、特開平06−32845号公報、特開平06−87949号公報、特開平06−256516号公報、特開平07−41756号公報、特開平07−48436号公報、特開平04−268331号公報、特開平09−59376号公報、特開2000−172384号公報、特開平06−49183号公報、特開平10−60108号公報に示された水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
【0033】
また、好ましい酸性基を有する導電性ポリマー(A)としては、下記一般式(2)〜(10)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する導電性ポリマーが挙げられる。
【0034】
【化2】

【0035】
(式(2)中、R、Rは各々独立に、H、−SO、−SO3、−SOH、−RSO、−RSO、−RSOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R、−NHCOR、−OH、−O−、−SR、−OR、−OCOR、−NO、−COO、−COOH、−RCOOH、−RCOO、−COOR、−COR、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、Rは炭素数1〜24のアルキル、アリールもしくはアラルキル基又はアルキレン、アリーレンもしくはアラルキレン基であり、かつR、Rのうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−RSO、−RSOH、−COOH、−RCOOH、及び−SO、−RSO、−COO、−RCOOからなる群より選ばれた基である。)
【0036】
【化3】

【0037】
(式(3)中、R、R10は各々独立に、H、−SO、−SO、−SOH、−R11SO、−R11SO、−R11SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R11、−NHCOR11、−OH、−O−、−SR11、−OR11、−OCOR11、−NO、−COO、−COOH、−R11COOH、−R11COO、−COOR11、−COR11、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R11は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR、R10のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R11SO、−R11SOH、−COOH、−R11COOH、及び−SO、−R11SO、−COO、−R11COOからなる群より選ばれた基である。)
【0038】
【化4】

【0039】
(式(4)中、R12〜R15は各々独立にH、−SO、−SO、−SOH、−R16SO、−R16SO、−R16SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R16、−NHCOR16、−OH、−O−、−SR16、−OR16、−OCOR16、−NO、−COO、−COOH、−R16COOH、−R16COO、−COOR16、−COR16、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R16は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR12〜R15のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R16SO、−R16SOH、−COOH、−R16COOH、及び−SO、−R16SO、−COO、−R16COOからなる群より選ばれた基である。)
【0040】
【化5】

【0041】
(式(5)中、R17〜R21は各々独立に、H、−SO、−SO、−SOH、−R22SO、−R22SO、−R22SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R22、−NHCOR22、−OH、−O−、−SR22、−OR22、−OCOR22、−NO、−COO、−COOH、−R22COOH、−R22COO、−COOR22、−COR22、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R22は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR17〜R21のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R22SO、−R22SOH、−COOH、−R22COOH、及び−SO、−R22SO、−COO、−R22COOからなる群より選ばれた基である。)
【0042】
【化6】

【0043】
(式(6)中、R23は、−SO、−SOH、−R24SO、−R24SOH、−COOH、−R24COOH、及び−SO、−R25SO、−COO及び−R25COOからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R24は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、R25は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基である。)
【0044】
【化7】

【0045】
(式(7)中、R26〜R31は各々独立に、H、−SO、−SO、−SOH、−R32SO、−R32SO、−R32SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R32、−NHCOR32、−OH、−O−、−SR32、−OR32、−OCOR32、−NO、−COO、−COOH、−R32COOH、−R32COO、−COOR32、−COR32、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R32は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR26〜R31のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R32SO、−R32SOH、−COOH、−R32COOH、及び−SOM+、−R32SO、−COO、−R32COOからなる群より選ばれた基であり、Htは、NR33、S、O、Se及びTeよりなる群から選ばれたヘテロ原子基であり、R33は水素及び炭素数1〜24の直鎖又は分岐のアルキル基、もしくは置換、非置換のアリール基を表し、R26〜R31の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和又は不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよく、このように形成される環状結合鎖にはカルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよく、nはヘテロ環と置換基R27〜R30を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0又は1〜3の整数である。)
【0046】
【化8】

【0047】
(式(8)中、R34〜R42は各々独立に、H、−SO、−SO、−SOH、−R43SO、−R43SO、−R43SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R43、−NHCOR43、−OH、−O−、−SR43、−OR43、−OCOR43、−NO、−COO、−COOH、−R43COOH、−R43COO、−COOR43、−COR43、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R43は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR34〜R42のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R43SO、−R43SOH、−COOH、−R43COOH、及び−SOM+、−R43SO、−COO、−R43COOからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R34及びR35を有するベンゼン環と置換基R37〜R40を有するベンゼン環に挟まれた縮合環の数を表し、0又は1〜3の整数である。)
【0048】
【化9】

【0049】
(式(9)中、R44〜R53は各々独立に、H、−SO、−SO、−SOH、−R54SO、−R54SO、−R54SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R54、−NHCOR54、−OH、−O−、−SR54、−OR54、−OCOR54、−NO、−COO、−COOH、−R54COOH、−R54COO、−COOR54、−COR54、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R54は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR44〜R53のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R54SO、−R54SOH、−COOH、−R54COOH、及び−SO、−R54SO、−COO、−R54COOからなる群より選ばれた基であり、nは置換基R44〜R46を有するベンゼン環とベンゾキノン環に挟まれた縮合環の数を表し、0又は1〜3の整数である。)
【0050】
【化10】

【0051】
(式(10)中、R55〜R59は各々独立にH、−SO、−SO、−SOH、−R60SO、−R60SO、−R60SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R60、−NHCOR60、−OH、−O−、−SR60、−OR60、−OCOR60、−NO、−COO、−COOH、−R60COOH、−R60COO、−COOR60、−COR60、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R60は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、かつR55〜R59のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R60SO、−R60SOH、−COOH、−R60COOH、及び−SO、−R60SO、−COO、−R60COOからなる群より選ばれた基であり、Xa−は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンであり、aはXのイオン価数を表し、1〜3の整数であり、pはドープ率であり、その値は0.001〜1である。)
【0052】
また、その他の好ましい酸性基を有する導電性ポリマー(A)として、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートが挙げられる。この導電性ポリマーは、導電性ポリマーの骨格にはスルホン酸基は導入されていないが、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸が付加されている構造を有している。また、酸性基のアンモニウム塩を有する導電性ポリマーとしては、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸アンモニウム又は置換アンモニウム塩を用いることもできる。この導電性ポリマーは、導電性ポリマーの骨格にはスルホン酸アンモニウム塩基は導入されていないが、ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩が付加されている構造を有している。
【0053】
これらの酸性基を有する導電性ポリマー(A)の具体例としては、3,4−エチレンジオキシチオフェン(バイエル社製 Baytron M)をトルエンスルホン酸鉄(バイエル社製 Baytron C)等の酸化剤で重合することにより製造されるポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の付加体、あるいはこの付加体にアミン類又はアンモニアと反応させたものが挙げられる。また、Baytron P(バイエル社製)、又はBaytron Pとアミン類及び/又はアンモニウム類とを反応させて得られたものが挙げられる。
【0054】
また、これらの他の好ましい酸性基を有する導電性ポリマー(A)のなかでも、下記一般式(11)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含むものがより好ましい。
【0055】
【化11】

【0056】
(式(11)中、yは0<y<1の任意の数を示し、R61〜R78は各々独立に、H、−SO、−SO、−SOH、−R79SO、−R79SOM+、−R79SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R79、−NHCOR79、−OH、−O−、−SR79、−OR79、−OCOR79、−NO、−COO、−COOH、−R79COOH、−R79COO、−COOR79、−COR79、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R79は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、R61〜R78のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R79SO、−R79SOH、−COOH、−R79COOH、及び−SO、−R79SO、−COO、−R79COOからなる群より選ばれた基である。)
【0057】
上記酸性基を有する導電性ポリマー(A)のなかでも、有機溶媒、含水有機溶媒等の溶媒への溶解性が非常に良好である点から、ポリマーの繰り返し単位の総数に対する酸性基を有する繰り返し単位の含有量が50%以上のものが好ましい。酸性基を有する繰り返し単位の含有量は、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0058】
また、芳香環に付加している置換基は、導電性及び溶解性の点から、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基が好ましく、特に、電子供与性を有するアルコキシ基が好ましい。これらの組み合わせの中で最も好ましい導電性ポリマー(A)を下記一般式(12)に示す。
【0059】
【化12】

【0060】
(式(12)中、R80〜R83は、スルホン酸基、カルボキシ基、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれた1つの基であり、R80〜R83のうち少なくとも一つがスルホン酸基、カルボキシ基、及びこれらのアンモニウム塩からなる群より選ばれた基であり、R84は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ドデシル基、テトラコシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘプトキシ基、ヘクソオキシ基、オクトキシ基、ドデコキシ基、テトラコソキシ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基からなる群より選ばれた1つの基を示し、xは0<x<1の任意の数を示し、mは重合度を示し3以上である。)
【0061】
80〜R83としては、中でも、導電性が高い点で、スルホン酸基並びにスルホン酸基のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が好ましい。
【0062】
本発明における酸性基を有する導電性ポリマー(A)は、化学重合又は電解重合等の各種合成法により得ることができる。例えば、本発明者らが提案した特開平7−196791号公報、特開平7−324132号公報に記載の合成方法が適用できる。すなわち、下記一般式(13)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩からなる群から選ばれる1つの化合物を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより導電性ポリマーを得ることができる。
【0063】
【化13】


【0064】
(式(13)中、R85〜R90は各々独立にH、−SO、−SO、−SOH、−R91SO、−R91SO、−R91SOH、−OCH、−CH、−C、−F、−Cl、−Br、−I、−N(R91、−NHCOR91、−OH、−O−、−SR91、−OR91、−OCOR91、−COO、−COOH、−R91COOH、−R91COO、−COOR91、−COR91、−CHO及び−CNからなる群より選ばれ、ここで、Mは前記式(1)で表されるアンモニウムイオンであり、R91は炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、R85〜R90のうち少なくとも一つが−SO、−SOH、−R91SO、−R91SOH、−COOH、−R91COOH、及び−SO、−R91SO、−COO、−R91COOからなる群より選ばれた基である。)
【0065】
特に好ましい酸性基を有する導電性ポリマー(A)は、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られる導電性ポリマーである。
【0066】
また、酸性基を有する導電性ポリマー(A)から、スルホン酸基のアンモニウム塩及び/又はカルボキシ基のアンモニウム塩を有する導電性ポリマーを合成する簡便な方法としては、下記一般式(14)で示されるアンモニウム塩類及び/又は下記一般式(15)で示されるアミン類と酸性基を有する導電性ポリマー(A)とを、溶液中で反応させる方法が挙げられる。
【0067】
【化14】

【0068】
(式(14)中、R101〜R104は各々独立に水素、R105OH、炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいはフェニル基、ベンジル基、CONH又はNHであり、かつR101〜R104のうち少なくとも一つが炭素数5以上の基であり、R105は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基であり、Yb−は水酸化物イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、アミド硫酸イオン、亜硫酸イオン、ホスフィン酸イオン、リン酸イオン、ピロリン酸イオン、トリポリリン酸イオン、ほうフッ化イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、吉草酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、酪酸イオン、蟻酸イオン、トリメチル酢酸イオン、ブロモ酢酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、シュウ酸イオン、酒石酸イオン、フマル酸イオン、マレイン酸イオン、マロン酸イオン、アスコルビン酸イオン、アニス酸イオン、アントラニル酸イオン、安息香酸イオン、ケイ皮酸イオン、フェニル酢酸イオン、フタル酸イオン、アニリンスルホン酸イオン、チオカルボン酸イオン、メチルスルフィン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びトリフルオロメタンスルホン酸イオンよりなる1〜3価の陰イオン群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンを示す。また、bはYのイオン価数であり、1〜3の整数を示し、jは1〜3の整数を示す。)
【0069】
【化15】


【0070】
(式(15)中、R106〜R108は各々独立に水素、炭素数1〜24のアルキル、アリール又はアラルキル基あるいは、フェニル基、ベンジル基、R109OH、CONH又はNHであり、かつR106〜R108のうち少なくとも一つが炭素数5以上の基である。なお、R109は炭素数1〜24のアルキレン、アリーレン又はアラルキレン基である。)
【0071】
アンモニウム塩類としては、塩化ベンザルコニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム等のハロゲン化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化アルキルジエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム等のハロゲン化アルキルジエチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムが好ましい。
【0072】
また、アミン類としては、ベンジルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、アニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジ−n−プロピルアニリン、ジ−iso−プロピルアニリン等のアニリン類が好ましい。
【0073】
酸性基を有する導電性ポリマー(A)の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)のポリエチレングリコール換算で、2,000〜3,000,000であることが好ましく、3,000〜1,000,000であることがより好ましく、5,000〜500,000であることが特に好ましい。導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が2,000以上であれば、十分な膜強度、成膜性、導電性が得られやすい。また、酸性基を有する導電性ポリマー(A)の質量平均分子量が3,000,000以下であれば、優れた溶解性が得られやすい。
【0074】
酸性基を有する導電性ポリマー(A)は、そのままでも使用できるが、公知の方法の酸によるドーピング処理方法を実施して、外部ドーパントを付与したものを用いてもよい。例えば、酸性溶液中に、酸性基を有する導電性ポリマー(A)を含む導電体を浸漬させる等の処理によりドーピング処理を行うことができる。
【0075】
ドーピング処理に用いる酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体等の有機酸;ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体等の高分子酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液が挙げられる。これらの無機酸、有機酸、高分子酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0076】
[カーボンナノチューブ(B)]
本発明で用いられるカーボンナノチューブ(B)は、特に限定されず、通常のカーボンナノチューブを用いることができ、例えば、単層カーボンナノチューブ、何層かが同心円状に重なった多層カーボンナノチューブ、これらがコイル状になったもの等を用いることができる。
【0077】
また、カーボンナノチューブ(B)としては、厚さ数原子の層のグラファイト状炭素原子面を丸めた円筒が、単層あるいは複数個入れ子構造になったもので、nmオーダーの外径の極めて微小な物質が挙げられる。その他、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーンやその頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質等も用いることができる。
【0078】
また、本発明において使用されるカーボンナノチューブ(B)の製造方法は、特に限定されるものではない。具体的には、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、気相流動法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法(ユニダイム社製)等が挙げられる。
【0079】
カーボンナノチューブ(B)としては、これらの製造方法によって得られる単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブであることが好ましく、各種機能をより発現しやすい点から、更に洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブであることがより好ましい。
【0080】
また、カーボンナノチューブ(B)としては、前述の材料を、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミル等のボール型混練装置等を用いて粉砕しているものや、化学的、物理的処理によって短く切断されているものを用いることもできる。
【0081】
カーボンナノチューブ(B)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0082】
本発明で使用するカーボンナノチューブ(B)のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。アスペクト比は大きければ大きいほど好ましいが、上限は、例えば10程度であることが好ましい。カーボンナノチューブ(B)の長さは、通常1μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは500μm以上である。カーボンナノチューブ(B)の長さの上限は、特に限定されないが、例えば3mm程度である。
【0083】
[バインダーポリマー(C)]
本発明において、バインダーポリマー(C)としては、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP)]などの水素原子を有するフッ素化オレフィンとパーフッ素化オレフィンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの水素原子を有するフッ素化オレフィンのホモポリマー、パーフルオロスルホン酸(Nafion,ナフィオン)、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート(poly-HEMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリ(メタ)アクリレート類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)などが挙げられる。
【0084】
なお、本発明において、積層体として用いる場合には、膜界面でのイオンの移動性の観点から、電極膜と電解質膜に、同じポリマーを用いることが好ましい。
【0085】
[電解質(イオン液体、イオン結晶)(D)]
本発明において、電解質(D)は、イオン液体とイオン結晶のいずれか単独であってもよく、両者を組み合わせて使用してもよい。また、2種以上のイオン液体の組み合わせ、2種以上のイオン結晶の組み合わせでもよい。イオン結晶がイオン液体に溶解する場合には、イオン結晶をイオン液体に溶解して使用してもよい。
【0086】
本発明に用いられるイオン液体(ionic liquid)とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩であり、例えば0℃、好ましくは−20℃、さらに好ましくは−40℃で溶融状態を呈する塩である。また、本発明で使用するイオン液体はイオン導電性が高いものが好ましい。
【0087】
本発明においては、各種公知のイオン液体を使用することができるが、常温(室温)または常温に近い温度において液体状態を呈する安定なものが好ましい。本発明において用いられる好適なイオン液体としては、下記の一般式(I)〜(IV)で表わされるカチオン(好ましくは、イミダゾリウムイオン、第4級アンモニウムイオン)と、アニオン(X)より成るものが挙げられる。
【0088】
【化16】

【0089】
[NR4−x (III)
[PR4−x (IV)
【0090】
上記の式(I)〜(IV)において、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基またはエーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基を示し、式(I)においてRは炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基または水素原子を示す。式(I)において、RとRは同一ではないことが好ましい。式(III)および(IV)において、xはそれぞれ1〜4の整数である。
【0091】
炭素数1〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの基が挙げられる。炭素数は好ましくは1〜8,より好ましくは1〜6である。
【0092】
炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルが挙げられる。
【0093】
エーテル結合を含み炭素と酸素の合計数が3〜12の直鎖又は分枝を有するアルキル基としては、CH2OCH3、(CH2)p(OCH2CH2)qOR2(ここで、pは1〜4の整数、qは1〜4の整数、R2はCH3又はC2H5を表す)が挙げられる。
【0094】
アニオン(X)としては、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4-)、BF3CF3-、BF3C2F5-、BF3C3F7-、BF3C4F9-、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6-)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン((CF3SO2)2N-)、過塩素酸イオン(ClO4-)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン(CF3SO2)3C-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3-)、ジシアンアミドイオン((CN)2N-)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO-)、有機カルボン酸イオンおよびハロゲンイオンが例示できる。
【0095】
これらのうち、イオン液体としては、例えば、カチオンが1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、[N(CH3)(CH3)(C2H5)(C2H4OC2H4OCH3)]+等であり、アニオンがハロゲンイオン、テトラフルオロホウ酸イオン等のものが、具体的に挙げられる。なお、カチオン及び/又はアニオンを2種以上使用し、融点をさらに下げることも可能である。
【0096】
ただし、これらの組み合わせに限らず、イオン液体であって、導電率が0.1Sm-1以上のものであれば、使用可能である。
【0097】
本発明に用いられるイオン結晶とは、陽イオンと陰イオンが結合して結晶を生成するものであれば特に限定されず、陽イオンとしては、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、テトラブチルアンモニウムなどのアンモニウムが挙げられ、陰イオンとしては、テトラフルオロホウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、過塩素酸イオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ジシアミンアミドイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、有機カルボン酸イオン、ハロゲンイオンなどが挙げられる。好ましいイオン結晶としては、LiClO4、LiSbF、LiCFSO、LiAsF6、LiBF4、LiBR4(Rはフェニル基又はアルキル基)、LiPF6、LiN(O2SCF32、LiN(O2SC252、LiC(CFSO、LiCSO、LiC17SO、LiAlCl、リチウムテトラキス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕ボレートなどのリチウム二次電池に用いられる電解質が挙げられる。
【0098】
イオン結晶は、通常溶媒に溶解して使用する。イオン結晶を溶解する溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、含水アルコール、カーボネート(ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなど)、DMF、ジメチルアセトアミド、THF、DMSO、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0099】
[溶媒]
本発明における溶媒は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)及びカーボンナノチューブ(B)の溶解性及び分散性をより向上させ、導電性、成膜性等を向上させる役割を果たす。溶媒は、カーボンナノチューブ(B)を溶解又は分散するものであれば特に限定されないが、酸性基を有する導電性ポリマー(A)を溶解又は分散するものが好ましい。
【0100】
溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類;ジメチルスルオキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類等;アニリン、N−メチルアニリン等のアニリン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、m−クレゾール、アセトニトリル、テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロパノールが好ましい。
【0101】
なかでも、酸性基を有する導電性ポリマー(A)の溶解性、カーボンナノチューブ(B)の分散性の点から、水、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類やN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類等の有機溶剤又は含水有機溶剤がより好ましく、含水有機溶剤中の有機溶剤としてはアルコール類、ケトン類が好ましく用いられる。
【0102】
[塩基性化合物]
本発明において、酸性基を有する導電性ポリマー(A)、カーボンナノチューブ(B)および溶媒を含む分散液(以下、カーボンナノチューブ含有分散液と称する場合がある。)は、塩基性化合物を更に含有させることが好ましい。塩基性化合物は、カーボンナノチューブ含有分散液に添加することで、構成成分である導電性ポリマー(A)を脱ドープし、分散液中への溶解性をより向上させる役割を果たす。また、遊離の酸性基と塩を形成することにより導電性ポリマー(A)の組成物への溶解が特段に向上させるとともに、カーボンナノチューブ(B)の分散液への可溶化あるいは分散化を促進させる。
【0103】
塩基性化合物は、特に限定されないが、アンモニア、脂肪族アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類、アンモニウム塩類、無機塩基が好ましい。
【0104】
アンモニア及び脂肪族アミン類の構造式を下記一般式(16)に示す。また、アンモニウム塩類の構造式を下記一般式(17)に示す。
【0105】
【化17】

【0106】
(式(17)中、R201〜R203は各々互いに独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、CHOH、CHCHOH、CONH又はNHを表す。)
【0107】
【化18】

【0108】
(式(18)中、R204〜R207は各々互いに独立に、水素、炭素数1〜4のアルキル基、CHOH、CHCHOH、CONH又はNHを表し、ZはOH、1/2・SO2−、NO、1/2CO2−、HCO、1/2・(COO)2−、又はR208COOを表し、R208は炭素数1〜3のアルキル基である。)
【0109】
環式飽和アミン類としては、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物が好ましい。
【0110】
環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物が好ましい。
【0111】
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物塩が好ましい。
【0112】
塩基性化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、アミン類とアンモニウム塩類を混合して用いることにより、得られる繊維や不織布の導電性を更に向上させることができる。具体的には、NH/(NHCO、NH/(NH)HCO、NH/CHCOONH、NH/(NHSO、N(CH/CHCOONH、N(CH/(NHSO等の併用が挙げられる。また、これらの混合比(質量比)は任意の割合とすることができるが、アミン類/アンモニウム塩類=1/10〜10/1であることが好ましい。
【0113】
[導電性材料(添加物)]
本発明では、カーボンナノチューブ含有分散液には、さらに導電性材料を配合してもよい。このような導電性材料としては、導電性高分子、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、人造黒鉛、炭素繊維、ファーネスブラック、チャンネルブラック,ランプブラック、サーマルブラックなどの炭素粒子、金微粒子などが挙げられる。
【0114】
導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6−ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5−チエニレン)、ポリインドール、ポリ−2,5−ジアミノアントラキノン、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリ(イソキノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等を挙げることができる。導電性ポリマーの置換基としては、酸性基以外の上記の置換基が挙げられる。
【0115】
[界面活性剤]
また、本発明におけるカーボンナノチューブ含有分散液には、界面活性剤を更に含有させてもよい。界面活性剤を含有させることにより、カーボンナノチューブ(B)の可溶化あるいは分散化を更に促進させるとともに、導電性等が向上する。
【0116】
界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルカルボン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸、α−スルホン化脂肪酸、N−メチル−N−オレイルタウリン、石油スルホン酸、アルキル硫酸、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物及びこれらの塩等のアニオン系界面活性剤;第一〜第三脂肪族アミン、四級アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウムアルキルピリジニウム、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム、N,N−ジアルキルモルホリニウム、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミドの尿素縮合物の第四級アンモニウム及びこれらの塩等のカチオン系界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビスポリオキシエチレンアンモニウム硫酸エステルベタイン、2−アルキル−1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のベタイン類、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸塩等のアミノカルボン酸類等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、トリアルキルアミンオキサイド等の非イオン系界面活性剤;及びフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。ここで、アルキル基は炭素数1〜24が好ましく、炭素数3〜18がより好ましい。
【0117】
これらの界面活性剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0118】
[分散液の調製方法]
本発明において、電解質膜の表面に導電性薄膜層を形成してアクチュエータ素子を得るには、例えばカーボンナノチューブ(CNT)(B)と酸性基を有する導電性ポリマー(A)を溶媒(例えば水)中で分散させた後に溶媒(例えば水分)を蒸発させ、そこにバインダーポリマー(C)、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)を溶媒に分散した電極用ゲル溶液を得、電極用ゲル溶液と、イオン液体およびポリマーからなる電解質用ゲル溶液を交互にキャスト法により塗布、乾燥、積層することにより行うか、もしくは、上記のようにキャスト、乾燥することにより得た電解質膜の表面に、同様に別途、キャスト、乾燥することにより得た導電性薄膜(電極膜)を熱圧着することにより得ることが出来る。電極用ゲル溶液は、溶媒にカーボンナノチューブ(CNT)(B)、酸性基を有する導電性ポリマー(A)、バインダーポリマー(C)、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)を加えて分散させることにより得ることもできる。
【0119】
また、導電性薄膜層は例えば以下の様にして得ることもできる。
(i)酸性基を有する導電性ポリマー(A)、バインダーポリマー(C)を配合したカーボンナノチューブ(B)を溶媒に分散し、キャストして得た薄膜にイオン液体もしくはイオン結晶(D)の溶液を染み込ませ、必要に応じて溶媒を蒸発、乾燥させる;
(ii)酸性基を有する導電性ポリマー(A)とカーボンナノチューブ(B)を溶媒に分散し、キャストして得た薄膜に電解質(イオン結晶/イオン液体)(D)とポリマー(C)を溶媒に分散させた電解質ゲルの溶液を染み込ませる。
【0120】
本発明におけるカーボンナノチューブ含有分散液の必須成分である酸性基を有する導電性ポリマー(A)、カーボンナノチューブ(B)、溶媒、バインダーポリマー(C)、電解質(D)、及び必要に応じて導電性材料を混合する際には、超音波、ホモジナイザー、ジェットミル、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリットミキサー等の撹拌又は混練装置が用いられる。なかでも、酸性基を有する導電性ポリマー(A)、カーボンナノチューブ(B)、溶媒、あるいは更に他の成分を混合し、これに超音波を照射することが好ましく、この際、超音波照射とホモジナイザーを併用(超音波ホモジナイザー)して処理をすることが特に好ましい。
【0121】
超音波照射処理の条件は、特に限定されるものではなく、カーボンナノチューブ(B)を溶媒中に均一に分散あるいは溶解させるのに十分な超音波の強度と処理時間であればよい。例えば、超音波発振機における定格出力は、超音波発振機の単位底面積当たり0.1〜500ワット/cm2が好ましい。発振周波数は、10〜200kHzが好ましく、20〜100kHzがより好ましい。また、超音波照射処理の時間は、1分〜48時間が好ましく、5分〜48時間がより好ましい。
【0122】
ジェットミルとしては、湿式ジェットミルを好適に使用する。湿式ジェットミルは、カーボンナノチューブ(B)の溶媒中の混合物を高速流とし、耐圧容器内に密閉状態で配置されたノズルから圧送するものである。耐圧容器内で対向流同士の衝突、容器壁との衝突、高速流によって生じる乱流、剪断流などによりカーボンナノチューブ(B)を分散させる。湿式ジェットミルの好ましい処理圧力は、約100MPa以上であり、より好ましくは100〜400MPa、特に好ましくは200〜300MPa程度である。
【0123】
ジェットミルとして(株式会社常光のナノジェットパル(JN10,JN100, JN1000)などを使用することができる。
【0124】
また、この超音波照射処理またはジェットミルの他、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、サンドミル、ロールミル等のボール型混練装置を用いて分散あるいは溶解を徹底化することが好ましい。
【0125】
所定の構成成分を混合する際には、すべての成分を一括添加してもよいし、溶媒のうち、その少量を用いて、濃厚なカーボンナノチューブ含有分散液を調製した後、残りの溶媒等の他構成成分(バインダーポリマー(C)、電解質(D))で所定の濃度に希釈してもよい。また、溶媒を2種類以上混合して用いる場合には、使用する溶媒のうち1成分以上を用いて、濃厚なカーボンナノチューブ含有分散液を調製し、その後、その他の溶媒成分で希釈してもよい。
【0126】
本発明の導電性薄膜は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)、カーボンナノチューブ(B)、バインダーポリマー(C)と電解質(D)から基本的に構成されるが、活性炭素繊維や補強材などを導電性などの特性をあまり損なわない範囲で加えることもできる。
【0127】
本発明の導電性薄膜および高分子ゲル電解質膜は、各成分を含む溶液又は分散液をキャスト法により製膜し、溶媒を蒸発、乾燥させることによって得ることができる。キャスト法以外に塗布、印刷、押し出しまたは射出、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の塗布方法、エアスプレー、エアレススプレー等のスプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法などにより行うこともできる。ここで、前記溶媒は親水性溶媒と疎水性溶媒の混合溶媒を用いてもよい。
【0128】
親水性溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、メタノール、エタノールなどの炭素数1〜3の低級アルコール、アセトニトリル等が挙げられる。疎水性溶媒としては、4−メチルペンタン−2−オンなどの炭素数5〜10のケトン類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類やN-メチルピロリドン等のピロリドン類が挙げられる。
【0129】
導電性薄膜層中の各成分の好ましい配合割合は:
酸性基を有する導電性ポリマー(A):
3〜90重量%、好ましくは15〜65重量%、より好ましくは15〜50重量%;
カーボンナノチューブ(B):
2〜80重量%、好ましくは4〜60重量%、より好ましくは6〜50重量%;
バインダーポリマー(C):
1〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%;
電解質(イオン液体及び/又はイオン結晶)(D):
5〜80重量%、好ましくは15〜75重量%、より好ましくは20〜66重量%;
である。
【0130】
酸性基を有する導電性ポリマー(A)、カーボンナノチューブ(B)および溶媒からなる分散液から溶媒を除去した組成物を製造するための溶媒分離の方法は、カーボンナノチューブ含有分散液からろ別、遠心分離する方法やカーボンナノチューブ含有分散液を濃縮または凍結乾燥して溶媒を除去する方法あるいは上記の方法で溶媒除去したものを導電性ポリマーが溶解可能な溶媒にて洗浄する方法等が有効である。
【0131】
[アクチュエータ素子]
以下、まず本発明のアクチュエータ素子の構成を実施形態により説明する。
【0132】
本発明の方法で製造するアクチュエータ素子としては、例えば、高分子ゲル電解質膜層1を、その両側から、導電性薄膜層(電極層)2,2で挟んだ3層構造のものが挙げられる(図2A) 。また、電極の表面伝導性を増すために、電極層2,2の外側にさらに導電層3,3が形成された5層構造のアクチュエータ素子であってもよい(図2B) 。
【0133】
固体電解質膜層の表面に電極膜層を形成してアクチュエータ素子を得るには、固体電解質膜層の表面に電極膜を熱圧着すればよい。
【0134】
高分子ゲル電解質膜層の厚さは、5〜200μmであるのが好ましく、10〜100μmであるのがより好ましい。
【0135】
導電性薄膜(電極膜)層の厚さは、10〜500μmであるのが好ましく、50〜300μmであるのがより好ましい。また、各層の製膜にあたっては、スピンコート、印刷、スプレー等も用いることができる。さらに、押し出し法、射出法等も用いることができる。
【0136】
高分子ゲル電解質膜層および導電性薄膜層は、複数の薄膜を熱圧着などにより積層することもでき、1層の薄膜からなっていてもよい。
【0137】
このようにして得られたアクチュエータ素子は、電極間(電極は導電性薄膜層に接続されている)に0.5〜4Vの直流電圧を加えると、数秒以内に素子長の0.5〜1倍程度の変位を得ることができる。また、このアクチュエータ素子は、空気中あるいは真空中で、柔軟に作動することができる。
【0138】
このようなアクチュエータ素子の作動原理は、図3に示すように、固体電解質膜層1の表面に相互に絶縁状態で形成された電極膜層2,2に電位差がかかると、電極膜層2,2内のカーボンナノチューブ相とイオン液体相の界面に電気二重層が形成され、それによる界面応力によって、電極膜層2,2が伸縮するためである。図3に示すように、プラス極側に曲がるのは、量子化学的効果により、カーボンナノチューブがマイナス極側でより大きくのびる効果があることと、現在よく用いられるイオン液体では、カチオン4のイオン半径が大きく、その立体効果によりマイナス極側がより大きくのびるからであると考えられる。図3において、4はイオン液体のカチオンを示し、5はイオン液体のアニオンを示す。
【0139】
本発明のアクチュエータ素子は、空気中、真空中で耐久性良く作動し、しかも低電圧で柔軟に作動することから、安全性が必要な人と接するロボットのアクチュエータ(例えば、ホームロボット、ペットロボット、アミューズメントロボットなどのパーソナルロボットのアクチュエータ)、また、宇宙環境用、真空チェンバー内用、レスキュー用などの特殊環境下で働くロボット、また、手術デバイスやマッスルスーツなどの医療、福祉用ロボット、さらにはマイクロマシーンなどのためのアクチュエータとして最適である。
【0140】
特に、純度の高い製品を得るために、真空環境下、超クリーンな環境下での材料製造において、純度の高い製品を得るために、試料の運搬や位置決め等のためのアクチュエータの要求が高まっており、全く蒸発しないイオン液体を用いた本発明のアクチュエータ素子は、汚染の心配のないアクチュエータとして、真空環境下でのプロセス用アクチュエータとして有効に用いることができる。
【0141】
なお、高分子ゲル電解質膜層の表面への導電性薄膜層の形成は少なくとも2層必要であるが、図4に示すように、平面状の固体電解質膜層1の表面に多数の電極膜層(導電性薄膜層)2を配置することにより、複雑な動きをさせることも可能である。このような素子により、蠕動運動による運搬や、マイクロマニピュレータなどを実現可能である。また、本発明のアクチュエータ素子の形状は、平面状とは限らず、任意の形状の素子が容易に製造可能である。例えば、図4に示すものは、径が1mm程度の高分子ゲル電解質膜層1のロッドの周囲に4本の電極膜層2を形成したものである。この素子により、細管内に挿入できるようなアクチュエータが実現可能である。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは言うまでもない。
【0143】
なお、本実施例において、アクチュエータ素子変位評価は、以下のようにして行った。
【0144】
アクチュエータ素子変位評価法:図1に示す様にレーザ変位計を用い、素子を1mmx10mmの短冊状に切り取り、端3mmの部分を電極付きホルダーでつかんで、空気中で電圧を加え、レーザ変位計を用いて、固定端から5mmの位置での変位を測定して行った。電圧の周波数を200Hz〜5mHzで変化させて調べた。
【0145】
実施例および比較例で用いたイオン液体(IL)は、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)である。
【0146】
実施例および比較例で用いたカーボンナノチューブ(B)は、高純度単層カーボンナノチューブ(ユニダイム社製「HiPco」)(以下、SWNTともいう)である。
【0147】
実施例および比較例で用いたポリマーは、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体[PVDF(HFP);商品名kynar2801](式19)である。
【0148】
【化19】

【0149】
(製造例1)酸性基を有する導電性ポリマー(A)
ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを25℃で4mol/Lのトリエチルアミン水溶液40mLに攪拌溶解し、これに、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolを水100mlに撹拌溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に、反応生成物を濾別洗浄後、乾燥し、ポリマー粉末(導電性ポリマー(A))15gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC ポリエチレングリコール酸換算)で約10,000であった。この導電性ポリマー(A)の体積抵抗値は9.0Ω・cmであった。
【0150】
以下において、酸性基を有する導電性ポリマー(A)を「CP(A)」と略記することがある。
【0151】
実施例1
[導電性薄膜層の調製]
製造例1の導電性ポリマー(A)49.1mgとカーボンナノチューブ(SWNT)(B)24.5mgと水4.909gを混合して撹拌し、超音波処理を行って分散液を調製する。この分散液を加熱して水を蒸発させ、その後減圧乾燥を行う。得られた導電性ポリマー(A)とSWNT(B)の混合物に、粉末状PVDF(HFP)(C)80.3mg、EMIBF4(121.9mg)(D)、溶媒としてN,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、マグネチックスターラーにて撹拌、その後、超音波による分散を行うことにより導電性薄膜層形成用分散液を調製する。得られた分散液をテフロン(登録商標)テープで作成した25mm×25mmのキャスト枠内にキャストし、減圧乾燥を行い、電極膜を得た。
【0152】
[高分子ゲル電解質層の調製]
プロピレンカーボネート(PC)とメチルペンタノン(MP)の混合溶媒中に粉末状PVDF(HFP)(C)とEMIBF4)(D)を重量比で1:1の比率で混合した溶液を70℃で撹拌し、高分子ゲル電解質層用分散液を調製する。
【0153】
得られた分散液を25mmx25mmのキャスト枠中にキャストし、溶媒を蒸発させて、ゲル電解質膜を得た。厚みは10μm〜20μm程度である。
【0154】
[アクチュエータ素子の製造]
導電性薄膜、高分子ゲル電解質膜は、それぞれ上記のように調製した分散液および溶液を、別々にキャストし、室温で一昼夜溶媒を乾燥させ、次いで、真空乾燥を行うことにより得る。得られた導電性薄膜2枚の間に、電解質膜を1枚挟んで熱圧着することにより3層構造のアクチュエータ素子(CNT/CP(A)(25/50))を得た。
【0155】
実施例2
[導電性薄膜層の調製]
製造例1の導電性ポリマー(A)55.4mgとカーボンナノチューブ(SWNT)(B)27.7mgと水5.54gを混合して撹拌し、超音波処理を行って分散液を調製する。得られた導電性ポリマー(A)とSWNTの分散液に、ポリビニルアルコール(PVA、平均重合度約2000)(C)80.3mg、EMIBF4(D)(120.1mg)を加え、マグネチックスターラーにて撹拌、その後、超音波による分散を行うことにより導電性薄膜層形成用分散液を調製する。得られた分散液をテフロン(登録商標)テープで作成した25mmx25mmのキャスト枠内にキャストし、減圧乾燥を行い、電極膜を得た。
【0156】
[高分子ゲル電解質層の調製]
実施例1と同様に高分子ゲル電解質層を調製した。
【0157】
[アクチュエータ素子の製造]
上記導電性薄膜と高分子ゲル電解質膜を用い、実施例1と同様にしてアクチュエータ素子(CNT/CP(A)(28/55))を製造した。
【0158】
比較例1
[導電性薄膜層の調製]
カーボンナノチューブ(SWNT)(B)50.2mg、粉末状PVDF(HFP)(C)80.6mg、EMIBF4(121.7mg)(D)、溶媒としてN,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、マグネチックスターラーにて撹拌、その後、超音波による分散を行うことにより導電性薄膜層形成用分散液を調製する。得られた分散液をテフロン(登録商標)テープで作成した25mmx25mmのキャスト枠内にキャストし、減圧乾燥を行い、電極フィルムを得た。
【0159】
[高分子ゲル電解質層の調製]
実施例1と同様に高分子ゲル電解質層を調製した。
【0160】
[アクチュエータ素子の製造]
上記導電性薄膜と高分子ゲル電解質膜を用い、実施例1と同様にしてアクチュエータ素子(CNT(50))を製造した。
【0161】
試験例1
実施例1、2および比較例1で得られたアクチュエータ素子について、上記の「アクチュエータ素子変位評価法」に従い、アクチュエータの変位を評価した。実施例1と比較例1のアクチュエータ素子について、±2.0Vの矩形波電圧を素子に印加した時の素子の電流変化と変位変化の時間プロファイルを図5に示した。さらに、実施例1、比較例1で得られたアクチュエータ素子の伸縮率の周波数変化を図6に示した。
【0162】
実施例2で得られたアクチュエータ素子(CNT/CP(A)(28/55))に、±2.0Vの矩形波電圧を印加したが、実施例1と比べ、実施例2のアクチュエータ素子は、電荷のチャージが極めて小さく、変位もほとんど見られなかった。
【0163】
図5に示されるように、実施例1で得られたアクチュエータ素子(CNT/CP(A)(25/50))では、充放電に伴う可逆的なチャージ変化が見られた。
【0164】
図6に示すように、本発明のアクチュエータは印加する電圧の周波数が遅くなるに従って、急激に大きく変形すること、また、0.5Hzより遅い周波数域では、比較例1で得られたアクチュエータ素子よりも伸縮率が向上し、最大で2%近い伸縮率を示すことが明らかになった。
【0165】
試験例2
実施例1と比較例1のアクチュエータ素子の素子中にたまるチャージ量と周波数の関係を図7に示した。図6および図7から、チャージ量が増えるほど伸縮率が増加すること、CNTのみからなる比較例1のアクチュエータの伸縮率とCNT/CP(A)からなる実施例1のアクチュエータの伸縮率が逆転する周波数とチャージ量が逆転する周波数は同じ(0.5Hz)であること、0.5Hz以下の遅い周波数域では、本発明のアクチュエータはチャージ量の差以上に伸縮率が向上することが明らかになった。さらに比較例1で作成したアクチュエータ素子(CNT(50))に比べ、変形時に素子中に貯まるチャージ量は少なく、省電力化が実現できることが明らかになった。
【0166】
試験例3
実施例1、2,比較例1の電極膜の導電率とヤング率を測定した。導電率は四端子法により測定し、ヤング率は熱機械的分析装置(応力歪測定機能付)で測定した。また、実施例1および比較例2の伸縮率の最大値(最大伸縮率)とヤング率からフックの法則に従い、発生力を求めた。それぞれの結果を表1,表2に示した。表2から分かるように、実施例1のアクチュエータは、導電性ポリマー(A)を添加することにより、添加しない場合(比較例1)に比べ、伸縮率で約3倍、発生力も約3倍向上することが明らかになった。
【0167】
【表1】

【0168】
比較例1のCNTのみの電極に比べ、CP(A)を有する実施例1,実施例2のアクチュエータは導電率が1/1000以下であった。
【0169】
【表2】

【0170】
試験例4
実施例1で得られたアクチュエータについて、キャパシタンスをサイクリックボルタンメトリ(CV)により測定した。各電圧走引速度におけるキャパシタンス(F/cm)を0.5V〜2.5Vの印加電圧範囲で調べた結果を表3にまとめた。また、典型的なCVチャート(±2.0V@1mV/sec)を図8に示した。図8のCVチャートから明らかなように、酸化―還元反応に基づくピークが見られた。
【0171】
【表3】

【符号の説明】
【0172】
1 電解質膜
2 導電性薄膜層
3 導電層
4 イオン性液体のカチオン
5 イオン性液体のアニオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを含んで構成される導電性薄膜。
【請求項2】
1層または2層以上の導電性薄膜層と高分子ゲル電解質膜層とを積層して得られる積層体であって、
前記導電性薄膜層は、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを含んで構成されるものであり、前記高分子ゲル電解質層は、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)と、バインダーポリマー(C)とを含んで構成されるものである積層体。
【請求項3】
請求項2に記載の積層体からなるアクチュエータ素子。
【請求項4】
2層以上の導電性薄膜層と、1層以上の高分子ゲル電解質膜層とを積層して得られるアクチュエータ素子であって、前記2層以上の導電性薄膜層が互いに絶縁された状態で形成されるものである、請求項3に記載のアクチュエータ素子。
【請求項5】
酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、溶媒とを含む分散液から溶媒を除去した組成物と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを、溶媒に分散させ分散液を調製し、該分散液を塗布し、乾燥させることにより得られるアクチュエータ電極膜。
【請求項6】
1層または2層以上の電極膜層と、1層または2層以上の高分子ゲル電解質膜層を積層して得られる積層体であって、
前記電極膜層が、酸性基を有する導電性ポリマー(A)と、カーボンナノチューブ(B)と、溶媒とを含む分散液から溶媒を除去した組成物と、バインダーポリマー(C)と、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)とを、溶媒に分散させ分散液を調製し、該分散液を塗布し、乾燥させることにより得られるアクチュエータ電極膜から形成され、
前記電解質膜層が、イオン液体及びイオン結晶からなる群から選ばれる少なくとも1種の電解質(D)と、バインダーポリマー(C)とを含んで構成されるものである積層体。
【請求項7】
請求項6の積層体からなるアクチュエータ素子。
【請求項8】
2層以上のアクチュエータ電極膜と、1層以上の電解質膜層とを積層して得られるアクチュエータ素子であって、
前記2層以上の導電性薄膜層が互いに絶縁された状態で形成されるものである、請求項7に記載のアクチュエータ素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204294(P2012−204294A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70516(P2011−70516)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】