説明

導電性複合繊維及びそれからなるクリーニングブラシ

【課題】分割繊維と剛性繊維の複数の糸を別に作り、撚りをかけるという複数の工程をなくし、単独の糸にてクリーニングブラシ用繊維を提供すること。
【解決手段】導電性粒子を含有した繊維形成性ポリマーよりなる導電層が、該導電層より溶解速度の速い糸断面で連続して存在している繊維形成性ポリマーよりなる非導電層にて、7個以上のセグメントに分割されており、該導電層を形成するセグメント中の1個はフィラメントのほぼ中心部を占める芯セグメントであり、芯セグメントの周りに残り6個以上のセグメントが芯セグメントを囲むように配置されており、芯セグメントと残りのセグメントの比が面積比率で1.5:1〜150:1であることを特徴とする導電性複合繊維及び該導電性複合繊維を接触子とする電子写真式画像形成装置のクリーニングブラシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式画像形成装置(複写機、ファクシミリ、プリンター等)に用いるクリーニング用ブラシに適した導電性複合繊維およびそれからなるクリーニングブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真装置の画像形成に於いて、画像転写後には残留トナーや、紙粉などが感光体に付着している。この付着物を除去するクリーニング部材としてクリーニングブレードやクリーニングブラシが提案されている。最近ではトナーに重合トナーが使用されており、クリーニングブレードでは完全に除去はされない。重合トナーに対応したクリーニング部材としてクリーニングブラシが提案されている。特許文献1には分割繊維と同分割繊維よりも剛性の高い糸を接合して、クリーニングブラシの接触子とすることにより、相手部材の傷つきの発生を抑制しつつ、付着物を充分に拭き取りかつ捕集できる、良好なるクリーニングブラシが提案されている。
【0003】
特許文献1の発明は、クリーニング性能の向上は認められるものの、クリーニングブラシの接触子に使用するために、分割繊維と同分割繊維よりも剛性の高い糸を接合しなければならない。その接合の段階で分割繊維と剛性繊維を均一分散させるために、2本の糸にある範囲の撚り数の撚をかけている。この方法であると、分割繊維と剛性繊維の2本の糸を別に作り、撚をかけながら合糸するという複数の工程が必要であった。
【0004】
【特許文献1】 特開2004−113937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、分割繊維と剛性繊維の複数の糸を別に作り、撚をかけるという複数の工程をなくし、単独の糸にて分割繊維と剛性繊維相当の繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決する為に本発明者らはブラシの接触子に使用する導電性複合繊維の製造方法に着目して本発明に到達した。
すなわち本発明は、導電性粒子を含有した繊維形成性ポリマーよりなる導電層が、該導電層より溶解速度の速い糸断面で連続して存在している繊維形成性ポリマーよりなる非導電層にて、7個以上に分割されており、該導電層を形成するセグメント中の1個はフィラメントのほぼ中心部を占める芯セグメントであり、芯セグメントの周りに残り6個以上のセグメントが芯セグメントを囲むように配置されており、芯セグメントと残りのセグメントの比が面積比率で1.5:1〜150:1であることを特徴とする導電性複合繊維及び該導電性複合繊維を接触子とする電子写真式画像形成装置のクリーニングブラシである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、細繊維化する分割繊維と太繊型繊維を作製して合糸して撚をかける複雑な工程を必要とせず、単独の糸にて作られる為、工程の煩雑さが無くなる。また、本発明の糸は1種の糸を作製してブラシ用基布にした後に分割して複数繊度を構成する糸とする為、太繊度の糸を囲むようにして細繊度の糸が配置され、クリーニングブラシの太繊度及び細繊度の配置を均一化出来る。また分割前にブラシ基布とするため高密度とすることが出来、画質を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に使用する非導電層を形成する繊維形成性ポリマーの溶解速度は、導電粒子を含有した繊維形成性ポリマーの溶解速度より速いことが必要であり、10倍以上、好ましくは17倍以上、更に好ましくは25倍以上が良好である。導電層と非導電層に使用する繊維形成性ポリマーの組み合わせは上述した溶解速度差になる組み合わせであれば特定しない。
【0009】
組み合わせの一例として、アルカリ溶液に対して溶解しないポリアミドを導電層とし、アルカリ溶液に溶解するアルカリ易溶ポリエステルを非導電層とする組み合わせ、導電層をポリエステルとし、非導電層をポリエステルより30倍アルカリ溶液に対する溶解速度が速いアルカリ易溶ポリエステルがあげられる。また水に不溶なポリアミドを導電層、水に可溶な水溶性ポリマーを非導電層とする組み合わせ、水に不溶なポリエステルを導電層とし、水に可溶な水溶性ポリマーを非導電層とする組み合わせ、酸に不溶なポリエステルを導電層とし、酸に可溶なポリアミドを非導電層とする組み合わせ、が考えられる。
【0010】
これら組み合わせは一例であり、この組み合わせに限らない。ポリアミドを導電層とし、アルカリ溶液に溶解するアルカリ易溶ポリエステルを非導電層とする組み合わせが、非導電層の溶解が容易で導電層が溶解しないので好ましい。
【0011】
導電層に使用する、ポリアミドは例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、及びこれらを主成分とする共重合ポリアミドがよく知られているが、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12が好ましい。
非導電層に使用するポリアミドは例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、及びこれらを主成分とする共重合ポリアミドがよく知られているがこれだけにこだわらず、繊維形成能があり酸に可溶であるポリアミドであれば良い。
【0012】
導電層に使用するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが知られているが溶解速度が非導電層より速いもので、1/10以下、好ましくは1/17以下、更に好ましくは1/25以下のポリエステルで有れば特に限定はしない。非導電層が水溶性ポリエステル、あるいはポリアミドの場合、導電層を形成するポリマーはポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートを主成分とする共重合ポリエステルであってもよい。
【0013】
非導電層に使用するポリマーは、導電層より溶解速度が速いことが必要であり、10倍以上、好ましくは17倍以上更に好ましくは25倍以上速ければよく、アルカリ易溶ポリエステル、水溶性ポリマーが知られているが、溶解のし易さよりアルカリ易溶ポリエステルが好ましい。
【0014】
アルカリ易溶ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエード等の共重合体、変性体などが上げられる。特にポリエステルに1重量%〜60重量%程度、好ましくは2重量%〜30重量%、最も好ましくは2重量%〜13重量%のポリアルキレンオキシド類を共重合したもの、或いは5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩をテレフタル酸に対して2mol%〜10mol%共重合したものはアルカリ溶液により容易に分解されるので好ましい。
【0015】
水溶性ポリマーとしては多数あるが、例えばポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド共重合体、それらの誘導体、或いはポリビスプロポキシエタンアジパミド、ポリビスプロポキシピペラジンアジパミドなどの水溶性ポリアミドなどがあげられる。
【0016】
導電層を形成するセグメントは複数の大きさの面積を有する。該導電層を形成するセグメント中の1個はフィラメントのほぼ中心部を占める芯セグメントであり、芯セグメントの周りに残り6個以上のセグメントが芯セグメントを囲むように配置されており、芯セグメントと残りのセグメントの比が面積比率で1.5:1〜150:1望ましくは1.5:1〜100:1である。芯セグメントの周りの6個以上のセグメントはその大きさが異なっていても上記面積比率の範囲内にはいっていれば良い。
【0017】
セグメントの比が1.5:1より芯セグメントが小さいと、芯セグメントとその周りのセグメントの繊度差が少なく、太繊度糸による毛倒れの防止などの効果と、細繊度による感光体の拭き取り効果を共存させることが出来ない。導電層を形成する芯セグメントとその周りのセグメントの面積比が150:1を超えると、芯セグメントが太くなりすぎて、感光体を傷つける。あるいは、芯セグメントが感光体を傷つけない繊度であれば、周りのセグメント細くなりすぎ、感光体の付着物の除去状況が悪くなり、画像形成状況は悪くなる。
【0018】
導電層を形成するセグメントの細い方の繊度は感光体の付着物を除去状況より0.08〜1.1dtexが望ましく、0.1dtex〜0.8dtexが更に望ましい。
【0019】
導電層と非導電層の比率は、非導電層の溶解状況及び高密度ブラシ製造状況より面積比率で導電層:非導電層=20:1〜1:2が望ましく、10:1〜1:1が更に望ましい。
【0020】
本発明の導電性繊維の抵抗値は、異常放電及び、静電気を起こさず感光体の付着物を除去しやすくする為には10Ω/cm〜1014Ω/cmであることが望ましい。
【0021】
本発明の複合導電繊維をクリーニングブラシ等に利用する際には、後処理により非導電層を溶解して導電層のみとする。溶解工程は、該複合導電糸を使用してパイル織のブラシ用基布を作製した後に行うことが好ましいが、ブラシ作製後に行っても良い。
【0022】
後加工処理剤は、導電層と非導電層のポリマーの組み合わせにより変わる。導電層が導電性粒子を含有するポリアミドで非導電層がアルカリ易溶性ポリエステルである場合は、苛性ソーダなどのアルカリ溶液であり、このアルカリ溶液に漬け込み加熱することにより非導電層を溶解する。
【0023】
導電層が導電性粒子を含有するポリエステルで非導電層がアルカリ易溶性ポリエステルである場合は後加工処理剤として苛性ソーダなどのアルカリ溶液を使用し、このアルカリ溶液に漬け込み加熱することにより非導電層を溶解する。
【0024】
導電層が導電性粒子を含有するポリアミドで非導電層が水易溶性ポリマーである場合は、水に漬け込み加熱することで非導電層を溶解する。
【0025】
導電層が導電性粒子を含有するポリエステルで非導電層が水易溶性ポリマーである場合は、水に漬け込み加熱することで非導電層を溶解する。
【0026】
導電層が導電性粒子を含有するポリエステルで非導電層がポリアミドである場合は、後加工処理剤として蟻酸、塩酸などの酸を使用し非導電層を溶解する。
【0027】
導電粒子としては、導電性カーボンブラックあるいは導電性皮膜を有する酸化チタンがあげられる。
導電粒子が導電性カーボンブラックの場合、導電層への含有量は8重量%〜70重量%が好ましく、8重量%〜60重量%が更に好ましい。
導電粒子が導電性皮膜を有する酸化チタンの場合、導電層への含有量は20重量%〜80重量%が好ましく、30重量%〜80重量%が更に好ましい。
【0028】
該導電性繊維の導電層に使用するポリマーと導電性粒子の混合はは二軸混練機など公知の方法で混練することが出来る。
【0029】
上記混練により得られた導電性樹脂と、本導電性樹脂より溶解速度の速い樹脂を溶融して、例えば図1に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を冷風にて冷却した後、油剤を付与して公知の巻き取り機にて巻き取りマルチフィラメントの未延伸糸を得る。巻き取り速度は導電層、非導電層のポリマーの組み合わせ、比率に適性なるスピードであれば良いが、糸質、及び巻き取り易さなどより、600m/min〜1500m/minが望ましい。
【0030】
得られた未延伸糸を、70℃〜120℃の熱をかけながら延伸をして、延伸糸を得る。得られた導電糸をパイル織等で例えば糸密度12.4kf/cm〜110.0kf/cmのブラシ用基布とし、導電性バックコート剤を塗布する。その基布を後処理することにより、溶解速度の速い非導電層を溶解して、芯セグメントの太い繊度を持つ導電層とその周りに存在する残りのセグメントの細い繊度の導電層からなる導電糸とする。本導電糸は太細繊度の比は1.5:1〜150:1であり好ましくは1.5:1〜100:1である。細繊度側の糸は0.08dtex〜1.1dtex好ましくは0.1dtex〜0.8dtexである。
ここで、後処理による加工は、後述の起毛処理前であっても良い。
【0031】
後加工し、接触子を太繊度の導電層と細繊度の導電層からなる導電糸としたブラシ用基布を金属の芯材に両面テープ等で貼りつけブラシを作る。ブラシ状にした後、起毛処理、シャーリング処理等を行いクリーニングブラシとする。本発明の糸は、ブラシ作製の接触子に使用するにあたり、異なる繊度の導電糸を合糸して撚りをかけることなく作製でき、工程が短くなる。また、本導電糸を接触子に使用したブラシは、毛倒れがしにくく、クリーニング効果も良好である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、実施例における抵抗値は導電性繊維全フィラメントを2cm採取してその両端0.5cmに導電ペーストを塗布しアルミ箔を電極として測定した値を用いた。抵抗測定機は、ヒューレットパッカード製ハイレジスタンスメーター4339Bを使用した。
画質評価は、下記実施例、比較例の方法にて作ったブラシを画像形成装置に組み込み、テスト画像を印刷して、目視にて評価した。評価結果は感光体に傷がつかなければ○、傷がつけば×とした。画像形成状況は良好なら○、不良なら×とした。
【実施例1】
【0033】
ナイロン12にカーボンブラック27wt%を二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で2:1とした図1に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し700m/minで巻き取り機にて巻き取り468dtex/50fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、180.0dtex/50fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、3×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解し、1フィラメントの導電性複合繊維を分割した。基布中のパイル密度は1−1の芯の周りの繊維が600kf/cmであり、1−2の芯繊維が100kf/cmである。溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。分割後の導電糸繊度は0.3dtexと0.6dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。
本帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をした。 評価結果を表1の実施例1に示す。
【実施例2】
【0034】
ナイロン12にカーボンブラックを27wt%二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で5:1とした図2に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し700m/minで巻き取り機にて巻き取り760.5dtex/50fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、292.5dtex/50fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、1×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥した後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解した。基布中のパイル密度は1−1の芯の周りの繊維が800kf/cmであり、1−2の芯繊維が100kf/cmである。溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。分割後の導電糸繊度は0.3dtexと1.5dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。
本帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をした。
評価結果を表1の実施例2に示す。
【実施例3】
【0035】
PETにカーボンブラックを23wt%二軸混練機にて混練し導電性PETのチップを得た。得られた導電性チップと、アルカリ易溶PETを、295℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で10:1とした図3に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し1000m/minで巻き取り機にて巻き取り930.0dtex/12fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、100℃の熱をかけながら延伸をして、130℃でセットして、300.0dtex/50fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、8×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。該基布を2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱し98℃としてアルカリ易溶PETを溶解した。溶解処理時間は20分であり、導電層のPETの溶解率は0.8%であった。基布中のパイル密度は1−1の芯の周りの繊維が1000kf/cmであり、芯繊維が100kf/cmである。分割後の導電糸繊度は0.2dtexと2.0dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。
本帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をした。
評価結果を表1の実施例3に示す。
【実施例4】
【0036】
ナイロン12にカーボンブラックを27wt%二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で20:1とした図4に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し800m/minで巻き取り機にて巻き取り594.0dtex/50fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、270.0dtex/50fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、2×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解し、導電性複合繊維を分割した。基布中のパイル密度は1−1の芯の周り繊維が1600kf/cmであり、1−2の芯繊維が100kf/cmである。溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。分割後の導電糸繊度は0.1dtexと2.0dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。
本帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をした。
評価結果を表1の実施例4に示す。
【0037】
(比較例1)
ナイロン12にカーボンブラックを27wt%二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で1:1とした図5に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し800m/minで巻き取り機にて巻き取り140.4dtex/50fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、54dtex/50fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、9×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥した後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解した。基布中のパイル密度は1−1の芯の周りの繊維は、800kf/cmで1−2の芯繊維は100kf/cmである。溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。分割後の導電糸繊度は0.08dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。
本帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をしたところ、細繊型繊維の効果で、感光体傷は発生しないが、太繊型繊維の効果がなく、ブラシのへたりが生じ、クリーニング効果が悪くなり、画像形成状況は悪くなった。
評価結果を表1の比較例1に示す。
【0038】
(比較例2)
ナイロン12にカーボンブラックを27wt%二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で160:1とした図6に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し800m/minで巻き取り機にて巻き取り795.6dtex/12fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、306.0dtex/12fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、2×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥した後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解した溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。基布中のパイル密度は1−1の細繊維が1000kf/cmであり、1−2の太繊維が100kf/cmである。分割後の導電糸繊度は0.1dtexと16.0dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をしたところ、導電層の芯部分が感光体付着物除去には適度な繊度の繊維となるがその周りの細繊維が更に細くなる。更に細い細繊型繊維は感光体表面付着物の除去効果はなく、その繊維の存在の為に芯部分の細繊度の密度を上げることが出来ず、クリーニング効果を悪くし画像形成状況は悪くなった。また、太繊度の効果がなくへたりも生じた。
評価結果を表1の比較例2に示す。
【0039】
(比較例3)
ナイロン12にカーボンブラックを27wt%二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で1:2とした図7に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し800m/minで巻き取り機にて巻き取り412.3dtex/12fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、163.8dtex/12fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、5×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥した後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解した溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。基布中のパイル密度は1−1の芯の周りの繊維が600kf/cmであり、1−2の芯繊維が100kf/cmである。分割後の導電糸繊度は0.7dtexと1.4dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をしたところ、細繊型繊維の効果はなく、感光体付着物の除去状況が悪くなり、画像形成状況は悪くなった。
評価結果を表1の比較例3に示す。
【0040】
(比較例4)
ナイロン12にカーボンブラックを27wt%二軸混練機にて混練し導電性ナイロン12のチップを得た。得られた導電性ナイロン12のチップと、アルカリ易溶PETを、275℃にて溶融して、導電性粒子を含有する導電層と非導電層の比率が糸断面の面積比率を2:1で導電層の芯セグメントと周りのセグメントの比率が断面積で2:1とした図8に示す断面形状となるように紡糸口金より吐出する。吐出した複合導電糸を室温の風にて冷却した後、油剤を付与し800m/minで巻き取り機にて巻き取り476.3dtex/24fの未延伸糸を得る。得られた未延伸糸を、80℃の熱をかけながら延伸をして、100℃でセットして、176dtex/24fの延伸糸を得た。得られた導電性複合繊維の抵抗値は、4×1011Ω/cmであった。得られた導電性複合繊維をパイル織として、パイル密度100kf/cmのブラシ用基布を得た。該ブラシ用基布に、導電性バックコート剤を塗布した。バックコート剤が乾燥した後2%oms苛性ソーダ溶液に浸漬し加熱して98℃としてアルカリ易溶PETを溶解した溶解処理時間は20分であり、導電層のナイロン12は溶解しなかった。基布中のパイル密度は1−1の芯の周りの繊維が500kf/cmであり、1−2の芯繊維が100kf/cmである。分割後の導電糸繊度は0.7dtexと1.4dtexである。金属の芯材に両面テープで貼りつけ、ブラシとした。ブラシ状にした後に起毛処理、シャーリング処理を行いブラシとした。帯電ブラシを画像形成装置に組み込んで画像を出して評価をしたところ、感光体の付着物の除去が悪くなり、画像形成状況は悪くなった。
評価結果を表1の比較例4に示す。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明はIT産業の一端である電子写真装置(複写機、ファクシミリ、プリンター等)中に組み込まれているクリーナー用ブラシとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】 本発明の導電糸断面図である。
【図2】 本発明の導電糸断面図である。
【図3】 本発明の導電糸断面図である。
【図4】 本発明の導電糸断面図である。
【図5】 本発明外の導電糸断面図である。
【図6】 本発明外の導電糸断面図である。
【図7】 本発明外の導電糸断面図である。
【図8】 本発明外の導電糸断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1−1 芯導電層まわりの導電層
1−2 芯導電層
2 非導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粒子を含有した繊維形成性ポリマーよりなる導電層が、該導電層より溶解速度の速い糸断面で連続して存在している繊維形成性ポリマーよりなる非導電層にて、7個以上のセグメントに分割されており、該導電層を形成するセグメント中の1個はフィラメントのほぼ中心部を占める芯セグメントであり、芯セグメントのまわりに残り6個以上のセグメントが芯セグメントを囲むように配置されており、芯セグメントと残りのセグメントの比が面積比率で1.5:1〜150:1であることを特徴とする導電性複合繊維。
【請求項2】
導電層を形成する細い方のセグメントの繊度が0.08〜1.1dtexであることを特徴とする請求項1記載の導電性複合繊維。
【請求項3】
導電層と非導電層の比率が、面積比率で導電層:非導電層=20:1〜1:2であることを特徴とする請求項1記載の導電性複合繊維。
【請求項4】
導電層に含まれる導電性粒子が導電性カーボンブラックあるいは導電性皮膜を有する酸化チタンである請求項1記載の導電性複合繊維。
【請求項5】
導電層に含まれる導電性粒子の含有量が、8重量%〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載の導電性複合繊維。
【請求項6】
電気抵抗が10Ω/cm〜1014Ω/cmであることを特徴とする請求項1記載の導電性複合繊維。
【請求項7】
非導電層を形成するポリマーの溶解速度が導電層を形成するポリマーの溶解速度の10倍以上である請求項1記載の導電性複合繊維。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載された導電性複合繊維を接触子とし、非導電層を溶解して、細繊型導電糸と太繊型導電糸を混在せしめた電子写真式画像形成装置のクリーニングブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−56433(P2007−56433A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274676(P2005−274676)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(305037123)KBセーレン株式会社 (97)
【Fターム(参考)】