説明

導電性部材、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】柔軟で、電気抵抗の環境依存性が小さく、かつ、高温高湿環境の下で長期にわたって他の部材と当接させた場合においてもCセットが生じにくい電子写真用の導電性部材の提供。
【解決手段】導電性基体1および弾性層2を有する導電性部材であって、該弾性層が、イオン導電性ゴムと中空粒子を含有し、該中空粒子が、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含有するシェルを有することを特徴とする導電性部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性部材、それを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置(以下、「電子写真装置」と呼ぶ)に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用した電子写真装置には、例えば、帯電部材、現像部材、転写部材などの部材として導電性部材が使用されている。また、このような導電性部材には、感光体などとの当接部において適切なニップ幅を確保するために柔軟性を求められている。
特許文献1には、軸芯体と弾性層とを備え、かつ該弾性層がイオン導電性であって、かつ、有機材料または無機材料から構成されたシェルを有する微小中空球を含んでいる導電性ローラを開示している。そして、このような導電性ローラは、弾性層中に微小中空球による気泡が存在するため弾性層を低硬度化でき、また、微小中空球による気泡は完全に独立しているため、イオン導電性の弾性層の電気抵抗の環境依存性が小さくできることを記載している。
【0003】
ところで、導電性部材は、電子写真装置内において他の部材に対して所定の圧力でもって当接させられている。そのため、導電性部材が他の部材に当接した状態で長期放置されたときに、当該導電性部材の当接部には容易に回復しない変形が生じることがある。かかる変形は圧縮永久歪み(以降、「コンプレッションセット」または「Cセット」とも称する)と呼ばれている。また、圧縮永久歪の量(以降、「Cセット量」とも称する)は、導電性部材の放置環境が高温高湿である場合に多くなる傾向にある。
Cセットが生じた導電性部材を感光体の帯電部材として用いた場合、Cセットが発生している部分(以下、「Cセット部」と呼ぶ)が放電領域を通過する際に、感光体との間の微小な放電ギャップが変動する。そのため、感光体に帯電ムラが生じ、電子写真画像に濃度ムラを生じさせる原因ともなる。
本発明者らは特許文献1に係る導電性部材について検討したところ、圧縮永久歪みについて改善の余地があることを見出した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−82452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、柔軟で、電気抵抗の環境依存性が小さく、かつ、高温高湿環境の下で長期にわたって他の部材と当接させた場合においてもCセットが生じにくい電子写真用の導電性部材を提供することにある。また、本発明の他の目的は、多様の環境の下でも、高品位な電子写真画像を安定に提供することのできるプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、導電性基体および弾性層を有する導電性部材であって、該弾性層が、イオン導電性ゴムと中空粒子を含有し、該中空粒子が、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含有するシェルを有する導電性部材が提供される。
また、本発明によれば、上記の導電性部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジが提供される。
更に、本発明によれば、上記の導電性部材を有する電子写真装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、柔軟で、電気抵抗の環境依存性が小さく、かつ、高温高湿環境の下で長期にわたって他の部材と当接させた場合においてもCセットが生じにくい電子写真用の導電性部材を得ることができる。また本発明によれば、多様な環境の下で、安定的に高品位な電子写真画像を提供することのできるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る導電性ローラの断面図である。
【図2】本発明に係る導電性ローラの電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【図3】本発明に係る導電性ローラの表面層の膜厚の測定箇所の説明図である。
【図4】本発明に係る電子写真装置の断面図である。
【図5】本発明に係るプロセスカートリッジの断面図である。
【図6】導電性ローラを成形するための押出成形装置の説明図である。
【図7】本発明に係る導電性ローラの加熱発泡させるための金型の概略図である。
【図8】本発明に係る導電性ローラと電子写真感光体との当接状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、上記特許文献1にかかる導電性部材にCセットが生じるメカニズムを以下のように推測した。すなわち、イオン導電性ゴムを含む導電性の弾性層は、高温高湿環境下に置かれたときには吸湿して膨張する。このとき、弾性層中の中空粒子は、弾性層の膨張に十分に追従できないため、他の部材との当接部と非当接部とで弾性層の膨張の程度に大きな差が生じるためにCセットの量が大きくなるものと考えられる。
そこで、本発明者らは、中空粒子を弾性層の吸湿による膨張に追随させるべく検討を重ねた結果、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含むシェルを有する中空粒子が、イオン導電性ゴムを含む弾性層の吸湿による膨張によく追随することを見出した。そして、かかる弾性層を備えた導電性部材を他の部材と当接させた状態で高温高湿条件下においたところ、Cセット量を小さく抑えられることを知見した。
【0010】
以下に本発明に係る導電性部材について詳述する。
本発明に係る導電性部材は、例えば、帯電部材や現像部材として電子写真感光体に当接させて使用されるものであって、導電性基体および弾性層を有し、該弾性層がイオン導電性ゴムと中空粒子を含む。中空粒子は、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含むシェルを有する。
イオン導電性ゴムは高温高湿環境に放置することで吸湿により膨張し、その後、常温常湿環境に放置すると収縮する。本発明で使用する中空粒子のシェルはエチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂からなっているため、温度及び湿度の環境変化により膨張、収縮しやすい。そのため本構成では、高温高湿環境放置により帯電ローラが膨張、収縮する際に中空粒子も追随して膨張、収縮する。そのため、高湿高温環境放置において導電性部材全体が一様に膨張、収縮するため、局所的な変形を避けることができ、高温高湿環境放置後の帯電能力が安定する。
【0011】
また、中空粒子のシェルは、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含むため、イオン導電性を有する。そのため中空粒子が導電剤の役割を果たし、帯電ローラを効果的に低抵抗化させることができる。さらに中空粒子のシェルにイオン導電剤を含有させることで帯電ローラを更に低抵抗化させることができ、帯電ローラからの放電を十分確保することができる。これらの効果により、Cセット画像の発生を抑制することが可能になったと考察している。
【0012】
<帯電部材>
本発明に係るローラ形状の導電性部材の断面図を図1に示す。以下において、図1に示したローラ形状のもの、すなわち帯電ローラにて詳細に説明する。
図1(a)は、導電性基体1と弾性層2を有する帯電ローラである。
図1(b)は、導電性基体1と表面層3の間に、弾性層2を有する帯電ローラである。
導電性基体と弾性層、あるいは、順次積層する層(例えば、図1(b)に示す弾性層と表面層)は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。導電性とするため、接着剤には公知の導電剤を有することができる。
【0013】
接着剤のバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられるが、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系、エポキシ系等の公知のものを用いることができる。
接着剤に導電性を付与するための導電剤としては、後に詳述する導電剤から適宜選択し、単独で、また2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
本発明の導電性部材による帯電ローラは、電子写真感光体の帯電を良好なものとするため、通常、電気抵抗が、23℃/50%RH環境下において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることがより好ましい。
一例として、図2に帯電ローラの電気抵抗の測定法を示す。導電性基体1の両端を、荷重のかかった軸受け33、33により電子写真感光体と同じ曲率の円柱形金属32に、平行になるように当接させる。この状態で、モータ(不図示)により円柱形金属32を回転させ、当接した帯電ローラ5を従動回転させながら安定化電源34から直流電圧−200Vを印加する。この時に流れる電流を電流計35で測定し、帯電ローラの抵抗を計算する。本発明において、荷重は各4.9Nとし、金属製円柱は直径(φ)30mm、金属製円柱の回転は周速45mm/secとした。
本発明の導電性部材による帯電ローラは、電子写真感光体に対して、長手のニップ幅を均一にするという観点から、長手方向中央部が一番太く、長手方向両端部にいくほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状が好ましい。クラウン量は、中央部の外径と中央部から90mm離れた位置の外径との差が、30μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の導電性部材による帯電ローラは、表面の十点平均粗さRzjis(μm)が2≦Rzjis≦80であり、表面の凹凸平均間隔RSm(μm)が15≦RSm≦200であることがより好ましい。帯電ローラの表面粗さRz、凹凸平均間隔Rsmをこの範囲とすることにより、帯電ローラと電子写真感光体との接触状態をより安定にすることができる。これにより、感光体を均一に帯電することが容易になる。
【0016】
表面の十点平均粗さRzjis及び表面の凹凸平均間隔RSmの測定法について下記に示す。
JIS B 0601−2001表面粗さの規格に準じて測定し、表面粗さ測定器「SE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて行う。Rzjisは、帯電部材の表面より無作為に抽出した6箇所において測定した表面粗さの平均値である。また、RSmは、帯電部材の表面より無作為に抽出した6箇所において、各10点の凹凸間隔を測定しその平均値を各箇所におけるRSmとし、これら6箇所におけるRSmの平均値である。尚、測定条件は、カットオフ値:0.8mm、フィルタ:ガウス、予備長:カットオフ×2、レベリング:直線(全域)、評価長さ:8mmとした。
【0017】
十点平均粗さ及び凹凸平均間隔を上記の範囲に制御するため、後述する各層、特に表面層に、平均粒子径が1μm以上100μm以下の粒子が添加されていることがより好ましい。粒子については、後に詳述するフィラーを例示することができる。
また、本発明の導電性部材による帯電ローラは、電子写真装置の小型化及び省スペース化を達成するため、外径を、直径(φ)12mm以下にすることがより好ましい。
【0018】
〔導電性基体〕
本発明の導電性部材による帯電部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる弾性層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施してもよい。さらに、導電性基体として、樹脂製の基材の表面を金属等で被覆して表面導電性としたものや導電性樹脂組成物から製造されたものも使用可能である。
【0019】
〔弾性層〕
本発明の導電性部材に用いられる弾性層はイオン導電性ゴムで形成され、樹脂をシェルとする中空粒子を含有する多孔質体であり、該樹脂がエチレンオキサイド由来のユニットを有することを特徴とする。
弾性層に用いるイオン導電性ゴムとしては、公知のゴムを用いることが出来る。
好ましくは、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらは極性ゴムであるため、ゴム自体が中抵抗領域の導電性を有しており、抵抗調整が容易である。また、位置による電気抵抗のばらつきも小さく、高分子弾性体として好適に用いられる。この中でも具体的には、エピクロルヒドリンゴムーエチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、ポリエーテルウレタンが好ましい。
【0020】
弾性層の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で測定して、1×10Ω・cm以上1×10Ω・cm以下であることが好ましい。
弾性層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、弾性層に使用するすべての材料を厚さ1mmのシートに成型し、両面に金属を蒸着して電極とガード電極を形成して体積抵抗率測定試料を得る。得られた体積抵抗率測定試料について微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、膜厚と電極面積とから計算して求める。
弾性層の体積抵抗率は、イオン導電剤により調整することができる。
【0021】
イオン導電剤としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムの如き無機イオン物質、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェートの如き陽イオン性界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ジメチルアルキルラウリルベタインの如き両性イオン界面活性剤、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウムの如き四級アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩が挙げられる。これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。イオン導電剤の中でも、環境変化に対して体積抵抗率が安定なことから特に過塩素酸四級アンモニウム塩が好適に用いられる。
弾性層は樹脂をシェルとする中空粒子を含有する多孔質体であり、該樹脂がエチレンオキサイド由来のユニットを有する。
【0022】
多孔質を形成するための中空粒子としては、粒子の内部が気泡となっている粒子を用いてもよいし、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空粒子となるいわゆる熱膨張性マイクロカプセルを用いてもよい。熱膨張性マイクロカプセルを本発明に用いた場合、弾性層の加硫時の熱でシェルとなる樹脂が膨張する。成形時の温度条件によってはカプセルが溶融したり、破裂することなくシェル構造を維持した状態で成形することができる。
【0023】
この内包させる物質としては、中空粒子のシェルの軟化点以下の温度でガスになって膨張するもので、例えばプロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体などが多く用いられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂としては、ポリエチレンオキサイド、ポリ(エチレングリコールアクリレート)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)とポリエチレンのブロック共重合体、ポリ(エチレングリコール)とポリ(プロピレングリコール)のブロック共重合体、ポリ(エチレングリコール)とポリ(テトラメチレングリコール)のブロック共重合体、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルアミド共重合体、ポリエーテルアミドイミド共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルエステルアミド共重合体等が挙げられる。これらの中でもポリエーテルウレタンまたは、ポリエーテルエステルアミドの内から選ばれる少なくとも1種であり、かつ該樹脂中のエチレンオキサイド由来のユニットの含有量が20重量%以上、90重量%以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、高温高湿環境下での吸湿による膨張、及びその後の常温常湿環境放置による収縮に対して、イオン導電性ゴムの変形に追随することが容易となり、かつ低抵抗化により帯電能力が良化する。これにより、高温高湿環境放置後におけるCセット画像の発生を有効に抑制することができる。
これら中空粒子は、懸濁重合法、界面重合法、界面沈殿法、液中乾燥法といった公知の製法により製造することができる。
【0025】
懸濁重合法とは、分散安定剤を含有する水相中に、原料モノマーが添加されてなる油相を添加、攪拌混合して該原料モノマーの微細な液滴を形成させ、次いで加熱反応させ重合を行い、中空粒子を製造する方法である。具体的には、原料モノマー、内包物質、重合開始剤、及び架橋剤等を添加させた油相を調製する。次に、分散安定剤、分散安定補助剤等を添加させた水相を調製する。これら油相と水相を混合させ分散液を作製する。この分散液を攪拌混合し、加圧し、加熱反応させることにより、反応生成物を作製する。得られた反応生成物について、ろ過、水洗浄を行い、その後乾燥させることで所望の中空粒子を得ることができる。
【0026】
界面重合法とは、乳化分散剤と親水性原料モノマーが添加されてなる水相と、疎水性原料モノマーが添加されてなる油相とを混合させ作製した乳化分散液を加熱反応させ、水相と油相の界面において重合を行い、中空粒子を製造する方法である。具体的には、親水性の原料モノマー、乳化分散剤を添加させた水相を調製する。次に、疎水性の原料モノマー、内包物質、架橋剤を溶解させた油相をそれぞれ調製する。これら水相と油相を混合させ、攪拌混合させることで水相に油相が分散された乳化分散液を調製する。この分散液を攪拌混合し、加圧し、加熱させることで水相と油相の界面で重合が進行し、反応生成物が作製される。得られた反応生成物について、ろ過、水洗浄を行い、その後乾燥させることで所望の中空粒子を得ることができる。
【0027】
界面沈殿法とは、温度、PH、溶解度パラメータ等による溶媒と樹脂との溶解度の差を利用して樹脂を析出させ、カプセル化させる製法である。具体的には、まず、あらかじめ重合反応により作製した樹脂を、内包物質を含む溶剤に添加させる。この溶液に、樹脂に対して溶解度の低い溶媒(貧溶媒)を添加することで、樹脂の粒子を析出させる。この際、貧溶媒に予め内包物質を添加しておいてもよい。または、樹脂を、内包物質を含む溶剤に溶解させ、その後、内包物質を含む貧溶媒を添加してもよい。あるいは、内包物質を含む溶剤に、樹脂を加熱し溶解させ、その後冷却することで樹脂の粒子を析出させてもよい。いずれの方法においても、ろ過、洗浄、乾燥させることで所望の中空粒子を得ることができる。
【0028】
液中乾燥法とは、溶媒に樹脂を溶解させ、分散剤を含む媒体中に加えて分散液を形成させた後に、溶媒を除去してカプセル化させる製法である。具体的には、まず、あらかじめ重合反応により作製した樹脂を、内包物質を含む溶剤に溶解させた樹脂溶液を調製する。次に、分散剤を添加した水性媒体中に樹脂溶液を分散させ、加熱、減圧により溶剤を除去する。その後、ろ過、洗浄、乾燥させることで所望の中空粒子を得ることができる。
中空粒子の体積抵抗率は23℃/50%RH環境下で測定して、1×1010Ω・cm以下であることが好ましい。
【0029】
なお、中空粒子の体積抵抗率は、23℃/50%RH環境下で測定する。内径1cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の円筒の上下にステンレス(SUS316製)の円柱状の電極を配置した電極で測定する。測定サンプルと電極は、上記環境中で12時間以上放置して環境に馴染ませた後に測定を行う。
【0030】
PTFE製円筒の下部にSUS製の下部電極を配置し、約2gの導電性粒子を片寄らないように入れ、上からSUS製円柱状電極を載せ、PTFE円筒と上下の電極によって挟む。10MPaの圧力を加えた状態で、1分間以上放置する。その後、微小電流計(商品名:ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METER、(株)アドバンテスト製)を用いて200Vの電圧を印加する。そして、30秒後の電流を測定し、電極面の間隔と電極面積とから計算して求める。
【0031】
中空粒子のシェルにはイオン導電剤を含有させることができる。イオン導電剤としては、アンモニウム塩またはリチウム塩が挙げられる。具体的には、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウムの如き四級アンモニウム塩、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて用いることができる。このような構成とすることで弾性層が低抵抗化し、高温高湿環境放置後におけるCセット画像の発生を抑制することができる。さらに四級アンモニウム塩を過塩素酸の構造とすることで、Cセット画像の抑制に寄与する効果が高くなる。シェルに含有させるイオン導電剤の量はシェルを構成する樹脂に対して1質量部以上、30質量部以下が好ましい。
【0032】
中空粒子を弾性層に配合する際の配合量としては、2質量部以上、20質量部以下が好ましい。
また、弾性層内における中空粒子の平均直径は30μm以上、300μm以下が好ましく、シェルの厚さは0.05μm以上、5μm以下が好ましく、0.1μm以上、1μm以下がより好ましい。このような粒子サイズとすることで、多孔質体を効果的に低抵抗化することができる。
【0033】
弾性層には、本発明の効果を損なわない範囲でフィラーを含有させることができる。
フィラーとしては、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、中空ガラス球、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。また、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の酸化鉄類や活性炭等も使用することができる。
【0034】
これらのフィラーは1種を使用しても、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、表面処理、変性、官能基や分子鎖の導入、コーティング等を施したものでもよい。フィラーの分散性を高めるために、フィラーは表面処理が施されていることがより好ましい。
表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物が使用可能である。これらは一種で使用しても、二種以上を用いてもよい。また、その他に脂肪酸、脂肪酸金属塩による表面処理を挙げることができる。脂肪酸としては、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることができ、炭素数12から22のものが好ましい。脂肪酸金属塩としては、飽和又は不飽和の脂肪酸と金属との塩類を用いることができる。具体的には、炭素数12から18の脂肪酸とマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、鉛、スズ等の金属との塩類を挙げることができる。
【0035】
表面処理剤は、フィラー100質量部に対して0.01質量部から15.0質量部で用いるのが好ましく、この範囲内であれば、フィラーに十分な分散性を付与することができる。より好ましくは0.02質量部から12.5質量部以下、更に好ましくは0.03質量部から10.0質量部である。
また、弾性層には、硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。可塑剤等の配合量は、弾性層材料100質量部に対して、好ましくは1質量部から30質量部であり、より好ましくは3質量部から20質量部である。可塑剤としては、高分子タイプのものを用いることがより好ましい。高分子可塑剤の分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。
【0036】
更に、弾性層には、種々な機能を付与する材料を適宜含有させてもよい。これらの例として、老化防止剤、充填剤等を挙げることができる。
弾性層の硬度は、マイクロ硬度(MD−1型)で70°以下、特には、60°以下が好ましい。帯電部材と電子写真感光体との間で十分な幅のニップを得るためである。なお、「マイクロ硬度(MD−1型)」とは、アスカー マイクロゴム硬度計MD−1型(商品名、高分子計器株式会社製)を用いて測定した帯電部材の硬度である。具体的には、23℃/50%RH環境下に12時間以上放置した帯電部材に対して該硬度計を10Nのピークホールドモードで測定した値とする。
【0037】
弾性層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理を挙げることができる。
弾性層の形成は、予め所定の膜厚に形成されたシート形状又はチューブ形状の層を導電性基体に接着又は被覆することによって行うことができる。また、クロスヘッドを備えた押出し機を用いて、導電性基体と弾性層材料を一体的に押出して作製することもできる。
弾性層材料に導電剤、中空粒子、絶縁性粒子及び充填剤等を分散する方法としては、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混合するなど、公知の方法を用いることができる。
【0038】
〔表面層〕
本発明の導電性部材は、導電性ゴム弾性層の上に表面層を形成してもよい。表面層を設ける場合、当該表面層の体積抵抗率の目安としては、温度23℃、湿度50%の環境下で1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下とすることが好ましい。
なお、表面層の体積抵抗率は、以下のようにして求める。まず、ローラ状態から表面層を剥がし、5mm×5mmの短冊形に切り出す。両面に金属を蒸着して電極とガード電極とを作製し測定用サンプルを得る。あるいはアルミシートの上に塗布して表面層塗膜を形成し、塗膜面に金属を蒸着して測定用サンプルを得る。得られた測定用サンプルについて上記弾性層の体積抵抗率測定法と同様にして測定できる。表面層の体積抵抗率は、イオン導電剤、電子導電剤等の導電剤により調整することができる。
【0039】
表面層の膜厚の目安としては、0.1μm以上100μm以下、特には、1μm以上50μm以下が好ましい。表面層の膜厚は、図3(a)及び(b)に示す位置でローラ断面を鋭利な刃物で切り出して、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察することで測定できる。
表面層は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、UVや電子線を用いた表面加工処理や、化合物等を表面に付着及び/又は含浸させる表面改質処理を挙げることができる。
【0040】
表面層は、静電スプレー塗布やディッピング塗布等の塗布法により形成することができる。または、予め所定の膜厚に成膜されたシート形状又はチューブ形状の層を接着又は被覆することにより形成することもできる。あるいは、型内で所定の形状に材料を硬化、成形する方法も用いることができる。この中でも、塗布法によって塗料を塗工し、塗膜を形成することが好ましい。
【0041】
<電子写真装置>
本発明の導電性部材による帯電部材を備える電子写真装置の一例の概略構成を図4に示す。電子写真装置は、電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、電子写真感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。電子写真感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。電子写真感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
【0042】
帯電装置は、電子写真感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、電子写真感光体4の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源19から所定の電圧を印加することにより、電子写真感光体4を所定の電位に帯電する。
【0043】
電子写真感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された電子写真感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、電子写真感光体4に近接又は接触して配設される現像ローラ6を有する。電子写真感光体の帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像をトナー像に可視化現像する。
【0044】
転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。電子写真感光体4からトナー像を普通紙などの転写材7(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器を有し、転写した後、電子写真感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。定着装置9は、加熱されたローラ等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。
【0045】
<プロセスカートリッジ>
電子写真感光体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に設計されたプロセスカートリッジ(図5)を用いることもできる。
すなわち、帯電部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジであり、該帯電部材が上記の帯電部材である。
また、電子写真装置は、少なくとも、プロセスカートリッジ、露光装置及び定着装置を有し、該プロセスカートリッジが上記のプロセスカートリッジである。
【実施例】
【0046】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0047】
製造例A−1(中空粒子1の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル240質量部に、35質量部のトルエンを添加した。さらに160質量部のキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、武田薬品(株)製)を添加し、トルエン還流下に120℃で5時間反応を行った。その後トルエンを減圧下に留去し、ポリエーテルウレタンを得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は61重量%であった。
得られたポリエーテルウレタン400質量部、黄酸化鉄12質量部、n−ヘキサン62質量部、酢酸エチル380質量部、過塩素酸四級アンモニウム塩(アデカサイザーLV−70 旭電化工業製)80質量部を混合した。この混合液をあらかじめ作製したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000質量部に滴下しながら分散した。得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、中空粒子1を得た。得られた中空粒子の粒径は50.6μmであった。
【0048】
製造例A−2(中空粒子2の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩の配合量を20質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子2を得た。得られた中空粒子の粒径は51.3μmであった。
【0049】
製造例A−3(中空粒子3の作製)
製造例A−1で音波式分級機により解砕して篩い分けた際に分級された粒経違いを中空粒子3とした。得られた中空粒子の粒径は135.4μmであった。
【0050】
製造例A−4(中空粒子4の作製)
n−ヘキサンの配合量を124質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子4を得た。得られた中空粒子の粒径は49.4μmであった。
【0051】
製造例A−5(中空粒子5の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩をテトラブチルアンモニウムパークロレート(試薬、関東化学製)に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子5を得た。得られた中空粒子の粒径は49.9μmであった。
【0052】
製造例A−6(中空粒子6の作製)
ステンレス製オートクレーブに、ε-カプロラクタム134質量部、アジピン酸26質量部、酸化防止剤0.6質量部、水10質量部を入れ、オートクレーブ内を窒素置換後、220℃で加圧、密閉下で4時間加熱攪拌し反応させた。その後、減圧し1トール以下で3時間、未反応のε-カプロラクタムを留去して、ポリアミドを得た。次に、ポリエチレングリコール240質量部と酢酸ジルコニル1質量部を更に加え、245℃、1トール以下の減圧下で5時間重合反応を実施し、ポリエーテルエステルアミド共重合体を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は60重量%であった。
得られたポリエーテルエステルアミド共重合体400質量部、黄酸化鉄12質量部、n−ヘキサン62質量部、酢酸エチル380質量部、過塩素酸四級アンモニウム塩(アデカサイザーLV−70 旭電化工業製)を混合した。この混合液をあらかじめ作製したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000質量部に滴下しながら分散した。得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、中空粒子を得た。得られた中空粒子の粒径は50.3μmであった。これを中空粒子6とした。
【0053】
製造例A−7(中空粒子7の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを120質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を280質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子7を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は30重量%であった。得られた中空粒子の粒径は51.1μmであった。
【0054】
製造例A−8(中空粒子8の作製)
ステンレス製のオートクレーブに、テレフタル酸ジメチル384質量部、エチレングリコール240質量部、酢酸マンガン4水和物0.2質を入れ、200℃で3時間加熱して、生成するメタノールを留去しながらエステル交換反応を実施した。次に、末端ジアミン変性ポリエチレングリコール160質量部、三酸化アンチモン0.3質量部、トリメチルホスフェート0.15質量部を更に加え、260℃に昇温した。その後、オートクレーブ内を1トール以下に減圧し、過剰のエチレングリコールを留去しつつ、圧力を1トール以下に保ちながら、3時間重合反応を実施した。その後精製し、ポリエーテルアミド共重合体を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は64重量%であった。
得られたポリエーテルアミド共重合体400質量部、黄酸化鉄12質量部、n−ヘキサン62質量部、酢酸エチル380質量部、過塩素酸四級アンモニウム塩(アデカサイザーLV−70 旭電化工業製)を混合した。この混合液をあらかじめ作製したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000質量部に滴下しながら分散した。このとき、得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、中空粒子を得た。得られた中空粒子の粒径は49.4μmであった。これを中空粒子8とした。
【0055】
製造例A−9(中空粒子9の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを380質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を200質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子9を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は95重量%であった。得られた中空粒子の粒径は50.7μmであった。
【0056】
製造例A−10(中空粒子10の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを40質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を360質量部に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子10を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は10重量%であった。得られた中空粒子の粒径は50.2μmであった。
【0057】
製造例A−11(中空粒子11の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩をテトラブチルアンモニウムクロリド(試薬、東京化成製)に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子11を得た。得られた中空粒子の粒径は49.8μmであった。
【0058】
製造例A−12(中空粒子12の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩を四フッ化ホウ酸リチウム(試薬、キシダ化学製)に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子12を得た。得られた中空粒子の粒径は50.5μmであった。
【0059】
製造例A−13(中空粒子13の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩をリチウムパークロレート(試薬、関東化学製)に変更した以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子13を得た。得られた中空粒子の粒径は50.0μmであった。
【0060】
製造例A−14(中空粒子14の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩をテトラブチルアンモニウムクロリド(試薬、東京化成製)に変更した以外は、製造例A−8と同様にして、中空粒子14を得た。得られた中空粒子の粒径は50.8μmであった。
【0061】
製造例A−15(中空粒子15の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを40質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を360質量部に変更した以外は、製造例A−11と同様にして、中空粒子15を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は95重量%であった。得られた中空粒子の粒径は49.8μmであった。
【0062】
製造例A−16(中空粒子16の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを380質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を20質量部に変更した以外は、製造例A−11と同様にして、中空粒子16を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は8重量%であった。得られた中空粒子の粒径は49.4μmであった。
【0063】
製造例A−17(中空粒子17の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩を配合しない以外は、製造例A−1と同様にして、中空粒子17を得た。得られた中空粒子の粒径は50.6μmであった。
【0064】
製造例A−18(中空粒子18の作製)
過塩素酸四級アンモニウム塩を配合しない以外は、製造例A−8と同様にして、中空粒子18を得た。得られた中空粒子の粒径は50.3μmであった。
【0065】
製造例A−19(中空粒子19の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを380質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を200質量部に変更した以外は、製造例A−17と同様にして、中空粒子19を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は96重量%であった。得られた中空粒子の粒径は50.8μmであった。
【0066】
製造例A−20(中空粒子20の作製)
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを40質量部、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物を360質量部に変更した以外は、製造例A−17と同様にして、中空粒子20を得た。NMRで測定したエチレンオキサイド由来のユニットの含有量は10重量%であった。得られた中空粒子の粒径は49.9μmであった。
【0067】
製造例B−1(表面層用塗布溶液の作製)
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が17質量%となるように調製した。
この溶液588.24質量部(アクリルポリオール固形分100質量部)に対して、表1記載の成分を加え、混合溶液を調製した。
【0068】
【表1】

【0069】
このとき、ブロックイソシアネート混合物は、イソシアネート量としては「NCO/OH=1.0」となる量であった。
(*1)変性ジメチルシリコーンオイル「SH28PA」(商品名、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)
(*2)ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)とイソホロンジイソシアネート(IPDI)の各ブタノンオキシムブロック体の7:3混合物。
内容積450mLのガラス瓶に上記混合溶液200gを、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200gと共に入れ、ペイントシェーカー分散機を用いて24時間分散し、ガラスビーズを除去して表面層用塗布溶液を得た。
【0070】
実施例1
[弾性層を有するローラの作製]
直径6mm、長さ252.5mmのステンレス製基体に、カーボンブラックを10%含有させた熱硬化性接着剤を塗布し、乾燥したものを導電性基体として使用した。エピクロルヒドリンゴム(EO−EP−AGE三元共重合体)(商品名:エピオン301、ダイソー社製)100質量部に対して、表2に記載の成分を加えて、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。
【0071】
【表2】

【0072】
これに、加硫剤として硫黄を0.8質量部添加した。さらに、加硫促進剤としてジベンゾチアジルスルフィド(DM)(商品名:ノクセラーDM、大内新興化学工業社製)を1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)(商品名:ノクセラーTS、大内新興化学工業社製)を0.5質量部添加した。これに、中空粒子1を15質量部添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
続いて、図6に示すクロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に弾性層用コンパウンドを被覆して、弾性層の外径が直径(φ)10mmである帯電部材予備成形体を得た。
【0073】
クロスヘッドは、一般に電線や針金の被覆に用いられている装置であり、押出機のシリンダのゴム排出部に取り付けて使用されるものである。前記帯電部材予備成形体の弾性層端部を除去して、導電性基体の端部を露出させた。次いで前記帯電部材予備成形体を図7に模式的に示すように、内径が直径(φ)12mmの円筒形キャビティを有する金型に設置して、前記帯電部材予備成形体を加熱・発泡させて帯電部材を得た。前記金型の加熱は図示しないヒータ及び温度調整装置を用いて160℃で20分間行った。さらに得られた帯電部材を熱風炉160℃で30分加熱して二次加硫を施し、外径が直径(φ)12mm、長さが224.2mmの多孔質導電性弾性層を有する帯電ローラを得た。
【0074】
[帯電ローラ1の作製]
上記帯電部材に製造例B−1で作製した表面層用塗布溶液を1回ディッピング塗布した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて80℃で1時間、更に160℃で1時間乾燥して、弾性層上に表面層を形成した帯電ローラ1を得た。ここで、ディッピング塗布は、浸漬時間9秒、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度20mm/sec、最終速度2mm/sec、その間は時間に対して直線的に速度を変化させて行った。
【0075】
[帯電ローラ1の電気抵抗値の測定]
図2に示す電気抵抗値測定用の機器を用いて、帯電ローラ1の抵抗を測定した。
まず、帯電ローラを軸受け33aと33bにより、円柱形金属32(直径30mm)に対して帯電ローラが平行になるように当接させる(図2(a))。
ここで、当接圧はバネによる押し圧力により一端が4.9N、両端で合計9.8Nに調整した。次に、図示しないモータにより周速45mm/sec駆動回転される円柱形金属32に従い帯電ローラが従動回転する。従動回転中、図2(b)の様に、安定化電源34から直流電圧−200Vを印加し、帯電ローラに流れる電流値を電流計35で測定する。印加電圧、電流値から、帯電ローラの抵抗を算出した。帯電ローラ1は、23℃/50%RH環境下に24時間以上放置した後に電気抵抗値を測定した。帯電ローラ1の電気抵抗値は、8.5×10Ωであった。
【0076】
[帯電ローラ1の断面観察]
弾性層内における中空粒子の平均粒径及び、シェルの厚さを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。切り出した断面を走査型電子顕微鏡にて観察し任意の5点で測定を行った。その結果、中空粒子1の平均粒径は92μm、シェルの厚さは2.3μmであることがわかった。
【0077】
[Cセット画像の評価]
図4に示す構成を有する電子写真装置として、ヒューレット・パッカード社製カラーレーザージェットプリンター(HP Color LaserJet 4700dn)を記録メディアの出力スピード200mm/sec(A4縦出力)に改造して用いた。画像の解像度は、600dpi、1次帯電の出力は直流電圧−1100Vである。
図5に示す構成を有するプロセスカートリッジとして、上記プリンター用のプロセスカートリッジを用いた(ブラック用)。
上記プロセスカートリッジから付属の帯電ローラを取り外し、本発明の導電性部材による帯電ローラをセットした。帯電ローラは、感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた(図8)。
このプロセスカートリッジを40℃/95%RHの環境に1ヶ月間放置(苛酷放置)した。次に、プロセスカートリッジを23℃/50%RHの環境で6時間放置した後に、前記電子写真装置に装着し、同様の環境にて画像を出力した。評価画像としてハーフトーン画像(感光体の回転方向と垂直方向に幅1ドット、間隔2ドットの横線を描く画像)を出力した。出力した画像についてCセット画像の評価を行った。評価結果を表12に示す。ここで、評価の基準は以下の通りである。
ランク1;Cセット画像の発生はなし。
ランク2;軽微なスジ状の画像が認められるのみである。
ランク3;一部にスジ状の画像が帯電ローラのピッチで確認できるが、実用上問題の無い画質である。
ランク4;スジ状の画像が目立ち、画質の低下が認められる。
【0078】
[Cセット量の測定]
画像出力後、プロセスカートリッジから帯電ローラを取り外し、Cセット部、及び非Cセット部における帯電ローラの半径をそれぞれ測定した。非Cセット部の半径とCセット部の半径の差がCセット量である。測定は、東京光電子工業(株)の全自動ローラ測定装置を用いた。帯電ローラ長手中央部、及び、その中央部から左右それぞれ90mm位置の3箇所について、帯電ローラを1°ずつ回転させ、Cセット部、非Cセット部に対応する位置の測定を行った。次に非Cセット部の半径の最大値とCセット部の半径の最小値の差を算出した。3箇所の中で最も半径の差が大きい値を本発明におけるCセット量とした。結果を表12に示す。本実施例の帯電ローラ1は、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0079】
(実施例2から4)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ2から4を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例2から4では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0080】
(実施例5)
中空粒子1の添加量を表12のように変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ5を作製した。作製した帯電ローラ5において、帯電ローラ5の電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例5では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0081】
(実施例6)
表面層を塗工しない以外は実施例1と同様にして、帯電ローラ6を作製した。作製した帯電ローラ6において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例6では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0082】
(実施例7)
実施例1と同様にして弾性層の外径が直径(φ)10mmである帯電部材予備成形体を得た。得られた帯電部材予備成形体を熱風炉にて160℃で1時間過熱したのち、多孔質導電性弾性層の端部を除去して、外径が直径(φ)9.0mm、長さが224.2mmの多孔質導電性弾性層を有する帯電部材を得た。
次いで、前記帯電部材の多孔質導電性弾性層の外周面を、プランジカット式の円筒研磨機を用いて研磨して、多孔質導電性弾性層の外径を直径(φ)12mmに調整した。
上記帯電部材に対し、製造例B−1で作製した表面層用塗布溶液を1回ディッピング塗布した。常温で30分間以上風乾した後、熱風循環乾燥機にて80℃で1時間、更に160℃で1時間乾燥して、弾性層上に表面層を形成した帯電ローラ7を作製した。作製した帯電ローラ7において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例7では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0083】
(実施例8)
表面層を塗工しない以外は実施例7と同様にして、帯電ローラ8を作製した。作製した帯電ローラ8において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例8では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0084】
(実施例9から11)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ9から11を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例9から11では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0085】
(実施例12)
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて表3に記載の材料を15分間混練し、原料コンパウンドを調製した。
【0086】
【表3】

【0087】
この原料コンパウンド141質量部に対し、表4に記載の材料を配合し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
【0088】
【表4】

【0089】
この弾性層用コンパウンドを使用する以外は実施例1と同様にして帯電ローラ12を作製した。
作製した帯電ローラ12において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例12では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0090】
(実施例13)
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて表5に記載の材料を15分間混練し、原料コンパウンドを調製した。
【0091】
【表5】

【0092】
この原料コンパウンド141質量部に対し、表6に記載の材料を配合し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
【0093】
【表6】

【0094】
この弾性層用コンパウンドを使用する以外は実施例1と同様にして帯電ローラ13を作製した。
作製した帯電ローラ13において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例13では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0095】
(実施例14)
表7に記載の材料を混合し、窒素雰囲気下70℃で3時間反応させてNCO=7.6%のポリエーテルウレタン(EU)プレポリマーを得た。
【0096】
【表7】

【0097】
このプレポリマー100重量部に対し、ホスホニウム塩型のカチオン系導電性付与剤として日本化学工業社製のPX−4Bを1重量部と、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン21.7重量部を120℃で加熱溶融したものを添加した。これに中空粒子1を15質量部加え、1〜2分混合した。芯金をセットした金型に混合物を流し込んで、110℃で30分硬化させた後、金型から取り出して110℃で4時間アフターキュアーして、外径が直径(φ)12mm、長さが224.2mmの多孔質導電性弾性層を有する帯電ローラ14を得た。
作製した帯電ローラ14において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
実施例14では、Cセット画像が発生せず、良好な画像が得られた。
【0098】
(実施例15)
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて表8に記載の材料を15分間混練し、原料コンパウンドを調製した。
【0099】
【表8】

【0100】
この原料コンパウンド141質量部に対し、表9に記載の材料を配合し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
【0101】
【表9】

【0102】
この弾性層用コンパウンドを使用する以外は実施例1と同様にして帯電ローラ15を作製した。作製した帯電ローラ15において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例15では、画像の一部に軽微なCセット画像が認められるのみであり、全体的に良好な画像が得られた。
【0103】
(実施例16から18)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ16から18を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例16から18では、画像の一部に軽微なCセット画像が認められるのみであり、全体的に良好な画像が得られた。
【0104】
(実施例19から21)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例15と同様にして、帯電ローラ19から21を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例19から21では、画像の一部に軽微なCセット画像が認められるのみであり、全体的に良好な画像が得られた。
【0105】
(実施例22から24)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ22から24を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例22から24では、画像の一部に軽微なCセット画像が認められるのみであり、全体的に良好な画像が得られた。
【0106】
(実施例25)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例15と同様にして、帯電ローラ25を作製した。作製した帯電ローラ25において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例25では、画像の一部に軽微なCセット画像が認められるのみであり、全体的に良好な画像が得られた。
【0107】
(実施例26から29)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ26から29を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例26から28では、画像の一部に軽微なCセット画像が認められるのみであり、全体的に良好な画像が得られた。
実施例29では、画像の一部に帯電ローラのピッチでCセット画像が認められたが、実用上問題の無い画像が得られた。
【0108】
(実施例30)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例15と同様にして、帯電ローラ30を作製した。作製した帯電ローラ30において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例30では、画像の一部に帯電ローラのピッチでCセット画像が認められたが、実用上問題の無い画像が得られた。
【0109】
(実施例31から33)
中空粒子1を表12に示す中空粒子に変更した以外は、実施例1と同様にして、帯電ローラ31から33を作製した。作製した帯電ローラにおいて、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。実施例31から33では、画像の一部に帯電ローラのピッチでCセット画像が認められたが、実用上問題の無い画像が得られた。
【0110】
(比較例1)
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて表10に記載の材料を15分間混練し、原料コンパウンドを調製した。
【0111】
【表10】

【0112】
この原料コンパウンド141質量部に対し、表11に記載の材料を配合し、20℃に冷却した二本ロール機にて15分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
【0113】
【表11】

【0114】
この弾性層用コンパウンドを使用する以外は実施例1と同様にして帯電ローラ34を作製した。作製した帯電ローラ34において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。比較例1では、スジ状のCセット画像が目立ち、画質の低下が認められた。
【0115】
(比較例2)
中空粒子1をシリコーンゴム中空粒子に変更した以外は、実施例15と同様にして、帯電ローラ35を作製した。作製した帯電ローラ35において、帯電ローラの電気抵抗値測定、中空粒子の平均粒径、Cセット量の測定及びCセット画像の評価を実施例1と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
比較例2では、スジ状のCセット画像が目立ち、画質の低下が認められた。
上記に示すように、本発明の導電性部材による帯電ローラは、高温高湿環境放置後のCセット画像の発生が抑制され、電子写真装置、プロセスカートリッジに組み込んで好ましいものである。
【0116】
【表12】

【符号の説明】
【0117】
1 導電性基体
2 弾性層
3 表面層
4 電子写真感光体
5 帯電部材(帯電ローラ)
6 現像ローラ
7 印刷メディア
8 転写ローラ
9 定着部
10 クリーニングブレード
11 露光
12 帯電前露光装置
13 弾性規制ブレード
14 トナー供給ローラ
18、19、20 電源
21 中間層
22 第2の中間層
30 トナーシール
32 円柱形金属
33 軸受け
34 安定化電源
35 電流計
40 押出し機
41 クロスヘッド
42 送りロール
43 帯電部材予備成形体
44 キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体および弾性層を有する導電性部材であって、
該弾性層が、イオン導電性ゴムと中空粒子を含有し、
該中空粒子が、エチレンオキサイド由来のユニットを有する樹脂を含有するシェルを有することを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記シェルが四級アンモニウム塩または有機酸リチウム塩を更に含有する請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記四級アンモニウム塩が過塩素酸を有する構造である請求項1または2に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記樹脂がポリエーテルウレタンまたはポリエーテルエステルアミドであり、かつ、
該樹脂中のエチレンオキサイド由来のユニットの含有量が20重量%以上、90重量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項5】
前記イオン導電性ゴムが、
エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドからなる共重合体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、および、ポリエーテルウレタンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の導電性部材。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の導電性部材が被帯電体と少なくとも一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の導電性部材を有することを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−220583(P2012−220583A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83973(P2011−83973)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】