説明

導電性部材

【課題】 介装箇所に接触する部分を芯材表面に確実に露出させて網状導電体の性能を最大限に発揮させることができ、しかも、介装箇所に接触しない部分については芯材内部に埋没させて網状導電体の酸化を抑制可能な導電性部材を提供すること。
【解決手段】 導電性部材1において、網状導電体5は、未加圧状態において、一部が芯材3の内部に埋没した状態、他の一部が芯材3の表面に露出した状態になっている。芯材3は、ゲル状樹脂材料によって形成され、第1の部材11と第2の部材12との間に挟み込まれた際に、一部が網状導電体5の網目を抜けて網状導電体5の外面側まで膨出する低硬度体とされており、この膨出部分が網状導電体5の外面側の一部を包み込むのに伴い、芯材3の内部に埋没した状態になっている部分を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯材の周囲に網状導電体を設けた構造になっている導電性部材は、既に提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−296396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の導電性部材は、網状導電体が芯材の外部に完全に露出した状態にあるため、網状導電体を形成する材料が酸化しやすい材料となっている場合、酸化に伴って錆が発生したり導電性が低下したりするという問題があった。
【0004】
こうした問題に対し、本件発明者は、網状導電体の一部だけを芯材表面に露出させ、他の部分は芯材の内部に埋没した状態にすることで、芯材の内部に埋没した部分について外気との接触を断ち、これにより、網状導電体の酸化を抑制できるのではないかと考えた。このような構成とする場合、網状導電体の導電性能を最大限に発揮させるには、介装箇所に接触する部分については、確実に芯材表面に露出させることが望ましく、一方、介装箇所に接触しない部分については、可能な限り芯材内部に埋没させることが、網状導電体の酸化を抑制するためには好ましいと考えられる。
【0005】
しかし、介装箇所に接触する部分と接触しない部分とを、導電性部材の製造段階で正確に見極めることは、事実上不可能である。そのため、通常、網状導電体の導電性能を十分に発揮させるには、実際には介装箇所に接触しない部分も含めて、網状導電体を芯材表面に過剰に露出させるしかなく、過剰に露出させた箇所の酸化を抑制することは困難であった。
【0006】
すなわち、網状導電体の芯材内部に埋没させる範囲をより増大させること自体は困難ではないものの、網状導電体を過剰に芯材内部に埋没させると、介装箇所との接点となる部分まで芯材内部に埋没させてしまうおそれがあり、その場合、介装箇所との接点が減少する分だけ網状導電体の導電性能が低下してしまう。そのため、網状導電体の導電性能の低下を避けるためには、網状導電体を芯材表面に過剰に露出させざるを得なかったのである。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、介装箇所に接触する部分を芯材表面に確実に露出させて網状導電体の性能を最大限に発揮させることができ、しかも、介装箇所に接触しない部分については芯材内部に埋没させて網状導電体の酸化を抑制可能な導電性部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
本発明の導電性部材は、
弾性変形する芯材と、前記芯材の周囲に設けられた網状導電体とによって構成され、第1の部材と第2の部材との間に挟み込まれた際、両部材間の隙間を埋めるとともに、両部材を電気的に接続する導電性部材であって、
前記網状導電体は、未加圧状態において、一部が前記芯材の内部に埋没した状態、他の一部が前記芯材表面に露出した状態になっており、
前記芯材は、ゲル状樹脂材料によって形成されることにより、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟み込まれた際に、一部が前記網状導電体の網目を抜けて前記網状導電体の外面側まで膨出する低硬度体とされており、当該膨出部分が前記網状導電体の外面側の一部を包み込むのに伴い、前記芯材の内部に埋没した状態になっている部分を増大させる
ことを特徴とする。
【0009】
この導電性部材において、網状導電体としては、例えば、縦糸相当の線材と横糸相当の線材を交差させて網状に織ったもの、線材をメリヤス編み等の編み方で編んだものなどを採用することができる。また、実質的に網状と見なせる構造になっていれば、線材以外の素材で網状導電体を構成することもでき、例えば、多数のリングを連結して網状導電体を構成してもよい。網目の形状は任意であり、四角形の網目を持つもの、六角形の網目を持つもの、不定形の網目を持つものなど、何でもよい。
【0010】
また、この網状導電体は、あらかじめ網状に形成したものを芯材に対して巻き付けてもよいし、芯材に対して線材を巻き付けながら網を形成していってもよい。例えば、棒状の芯材に対して線材を巻き付けながら網を形成する場合であれば、1本または複数本の線材を右巻き、別の1本または複数本の線材を左巻きとして、それぞれが螺線を描くように芯材に対して巻き付けてゆくと、芯材の表面に網が織られることになる。また、チューブ状の網を連続的に編成可能な編み機の中心に芯材を通しながら、芯材の周囲に網を編み上げていってもよい。
【0011】
網状導電体を構成するための素材としては、銅やアルミニウムに代表される電気抵抗の低い金属または合金からなる素材、炭素繊維からなる素材、あるいは、非導電性の物質からなる基材に対し、その表層に金属などの導電性物質からなる導電層(例えば、メッキ層)を形成した素材などを用いることができる。
【0012】
一方、芯材は、ゲル状樹脂材料によって形成されたものである。ゲル状樹脂材料は、ベースポリマーの分子鎖によって形成される三次元的な網目状組織の隙間に、流動性成分を包含した構造になっている樹脂材料で、きわめて変形しやすい低硬度の材料である。
【0013】
上記ベースポリマーは、ゲル状樹脂材料を形成する上で不都合がないポリマーであればよいが、代表的なものとしては、例えば、スチレン系、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他による変性物、あるいは、スチレン系、ABS系、オレフィン系、塩化ビニル系、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系、カーボネート系、アセタール系、アミド系、ハロゲン化ポリエーテル系、ハロゲン化オレフィン系、セルロース系、ビニリデン系、ビニルブチラール系、アルキレンオキサイド系などの熱可塑性樹脂、およびこれらの樹脂のゴム変性物などを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいし、相性のよいもの同士であれば、2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0014】
流動性成分も、ゲル状樹脂材料を形成する上で不都合がない成分であればよいが、通常、室温で液体または液状の材料が好適に用いられる。より具体的には、例えば、各種ゴム用または樹脂用の軟化剤を使用することができ、ベースとなるポリマーとの相性がよいものであれば、親水性、疎水性のいずれの軟化剤でも問題なく、鉱物油系、植物油系、合成系等、どのようなタイプの軟化剤でも構わない。これらの流動性成分についても、1種を単独で用いてもよいし、互いの相溶性が良好であれば2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0015】
このゲル状樹脂材料の硬度は、導電性部材が第1の部材と前記第2の部材との間に挟み込まれた際に、芯材の一部が網状導電体の網目を抜けて網状導電体の外面側まで膨出する程度の低硬度体となるように調節される。この硬度を示す具体的な数値は、網状導電体の網目の大きさとの関係でも変わり得るが、目安としては、例えば、アスカーFP硬度0.1〜100の低硬度体とされていると望ましい。これは、アスカーFP硬度が0.1を下回るものになると、軟化剤を多量に加えることになるため、圧縮永久歪みが大きくなりやすいからである。また、アスカーFP硬度が100を上回るものになると、介装箇所に挟み込んだ際に、より大きな圧力を加えないと所期の状態まで圧縮できなくなるので、小さな圧力で容易に圧縮できるようにしたい場合には好ましくない。なお、アスカーFP硬度は、高分子計器株式会社製のアスカーFP型硬度計により測定可能な硬度である。比較的一般的な硬度に関する規格の一つとしては「JIS K6253」のJIS A硬度が知られているが、アスカーFP硬度は、JIS A硬度では有意差のある測定値を得難いような低硬度材料の硬度を測定する際に用いられている規格である。
【0016】
ゲル状樹脂材料の硬度は、ベースポリマーと流動性成分の配合比を適宜調節することに所望の硬度とすることができ、具体的には、流動性成分の量が多いほどゲル状樹脂材料の硬度が低くなるので、選定したベースポリマーと流動性成分の組み合わせに応じて、両者の配合比を調節して所望の硬度とすればよい。一例を挙げれば、例えば、ゲル状樹脂材料が、100重量部のスチレンブロック共重合体に対して、軟化剤として50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを配合したものであると、本発明で用いるのに好適な低硬度のゲル状樹脂材料を得ることができる。なお、ゲル状樹脂材料中には、必要に応じて、各種添加剤やフィラーを加えることにより、難燃性、導電性、制振性などを付与ないし向上させてもよい。
【0017】
このようなゲル状樹脂材料からなる芯材は、目的に応じた形態となるように成形加工される。例えば、特定の部位に介装される場合は、その特定の部位に適合する形状となるように、公知の成形法(例えば射出成形、押出成形など)によって加工される。また、芯材を円柱状ないし角柱状に成形しておけば、必要に応じてカットして使用可能な汎用品とすることもできる。
【0018】
また、芯材の長さは、比較的短いものから長尺なものまで任意に設定することができる。長尺な芯材で導電性部材を構成した場合は、例えば、導電性部材を導電性ガスケットとして好適に利用することができる。具体的には、長尺な導電性部材である導電性ガスケットを、筐体の開口部周縁に沿って開口部を取り囲むように配設すれば、その開口部を蓋で閉鎖した際に、導電性ガスケットにより、筐体と蓋との隙間を埋めるとともに、筐体と蓋とを電気的に接続することができる。このような導電性ガスケットを設ければ、筐体と蓋との隙間から筐体外に電磁波が洩れ出すのを防止することができ、また、筐体外から到来する電磁波が筐体と蓋との隙間から筐体内に侵入するのを防止することができる。一方、芯材が長尺でないものでも、例えば、アースコンタクト等の導電性部品として利用することができ、直接は電気的に接続されていない二つの部品間に挟み込むことにより、両部品を電気的に接続することができる。より具体的な例としては、二枚のプリント配線板を平行に配置するような場合に、それら二枚のプリント配線板間に、本発明の導電性部材を挟み込んで両者を電気的に接続しておくことにより、一方のプリント配線板だけアースをとれば、他方のプリント配線板のアースもとることができる。
【0019】
さらに、この導電性部材において、網状導電体は、未加圧状態において、一部が芯材の内部に埋没した状態、他の一部が芯材表面に露出した状態になっているが、本発明においては、芯材表面に露出した状態になっている部分を十二分に確保すればよい。芯材表面に露出した状態になっている部分を十二分に確保すれば、網状導電体は確実に介装箇所に接触することになり、網状導電体の導電性能を最大限に発揮させることができる。
【0020】
また、芯材表面に露出した状態になっている部分を十二分に確保した場合、実際には介装箇所に接触しない箇所まで芯材表面に露出することになるが、本発明の場合、導電性部材を介装箇所に挟み込むと、芯材の一部が網状導電体の網目を抜けて網状導電体の外面側まで膨出し、この膨出部分が介装箇所と網状導電体との隙間に入り込むかたちで、網状導電体の外面側の一部を包み込み、芯材の内部に埋没した状態になっている部分を増大させる。このとき、芯材の膨出部分によって外面側が包み込まれることになる箇所は、介装箇所との間に隙間が存在する箇所になるので、これは介装箇所に対して電気的に接続されていない箇所である。逆に、介装箇所と接触している箇所には、芯材の膨出部分が入り込むような隙間が存在しないので、そのような箇所が芯材の内部に埋没した状態になることはない。
【0021】
つまり、本発明の導電性部材においては、芯材表面に露出した状態になっている部分を十二分に確保した場合でも、導電性部材を介装箇所に挟み込んだ時点で、無駄な露出箇所は芯材の内部に埋没した状態になるのである。
【0022】
したがって、本発明の導電性部材によれば、介装箇所に接触する部分を芯材表面に確実に露出させて網状導電体の性能を最大限に発揮させることができ、しかも、介装箇所に接触しない部分については、介装箇所に挟み込んだ時点で動的に芯材内部に埋没させ、これにより、網状導電体の酸化を抑制することができる。
【0023】
以上、本発明の導電性部材について説明したが、本発明はさらに次のような構成を採用したものであると好ましい。
まず、前記網状導電体は、前記芯材の外周に設けられてから前記芯材の表層を熱で熔融させることにより、未加圧状態において一部が前記芯材の内部に埋没した状態とされたものであるとよい。
【0024】
このような構造の導電性部材は、ゲル状樹脂材料によって形成された芯材の外周に網状導電体を設けてから、芯材および網状導電体を加熱したダイスに通して芯材の表層を熱で熔融させ、網状導電体の一部を前記芯材の内部に埋没させるといった方法で製造することができる。
【0025】
このような構造の導電性部材であれば、導電性素材の一部が芯材の内部に埋没した構造を、比較的容易に形成することができる。
また、前記第1の部材と第2の部材との間に挟み込まれた際に各部材と接触する前記芯材の接触面は、中央部分が周縁部分よりも外面側へ膨らんだ凸面となっていると好ましい。
【0026】
このような構造の導電性部材であれば、導電性部材を第1の部材と第2の部材との間に挟み込む際には、中央部分が各部材と接触してから、その接触範囲が周縁部分へと拡大してゆくので、各部材と芯材との間に空気を挟み込みにくくなり、第1,第2の部材それぞれと導電性部材との密着性をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1に示すように、導電性部材1は、芯材3の外周に網状導電体5を設けた構造になっている。
【0028】
芯材3は、ゲル状樹脂材料によって形成された低硬度体で、本実施形態において、ゲル状樹脂材料としては、100重量部のスチレンブロック共重合体に対して、軟化剤として50〜2000重量部の炭化水素系プロセスオイルを配合したものを使用している。また、ゲル状樹脂材料が含有するプロセスオイルは、網状導電体5の表面に付着した際に、網状導電体5の表面が酸化するのを抑制する防錆剤としても機能する。
【0029】
網状導電体5は、芯材3の周囲に複数本の金属線を、半数は右巻き、半数は左巻きで、螺旋状に巻回することによって構成され、右巻きの金属線と左巻きの金属線とが交互に上から重なるように交差して網状の構造を形成している。
【0030】
また、この網状導電体5は、未加圧状態において、一部(図1中に破線で示した部分)が芯材3の内部に埋没した状態、他の一部(図1中に実線で示した部分)が芯材3の表面に露出した状態になっている。このような構造は、まず芯材3の外周に網状導電体5を設けておき、これら芯材3および網状導電体5の断面形状とほぼ同形状の貫通穴が開けられたダイスを加熱し、このダイスに芯材3および網状導電体5通して芯材3の表層を熱で熔融させ、網状導電体5の内面側の一部を芯材3の内部に埋没させるといった方法で、連続的に製造することができる。
【0031】
網状導電体5を構成する複数の線材は、図2(a)に示すように、それぞれ網状導電体5の厚さ方向に波打つように曲がっており、導電性部材1が第1の部材11と第2の部材12との間に挟み込まれる前は(すなわち、未加圧状態においては)、芯材3の外面側に向かって凸な形状になっている部分(以下、凸部という)が芯材3の表面に露出し、凸部と凸部の間にある凹部が芯材3の内部に埋没している。
【0032】
一方、導電性部材1が第1の部材11と第2の部材12との間に挟み込まれた場合、網状導電体5を構成する複数の線材は、図2(b)に示すように、芯材3の内部に埋没した状態になっている部分が増大する。これは、芯材3がゲル状樹脂材料によって形成された低硬度体となっているからである。
【0033】
より詳しく説明すると、例えば、図3(a)は、導電性部材1が第1の部材11と第2の部材12との間に挟み込まれる際に、図2(a)および同図(b)に矢印で指し示したA部付近が第1の部材11と接触した瞬間を示す拡大断面図であるが、このとき、網状導電体5は、芯材3の表面に露出した部分のうち、一部5aが第1の部材11に接触し、他の一部5bと第1の部材11との間には、隙間17ができた状態になる。
【0034】
しかし、例えば、図3(a)にB−B線で示した切断面を見た場合、網状導電体5と第1の部材11が接触した瞬間(図3(a)の状態となった瞬間)には、網状導電体5と第1の部材11との間には隙間17が存在しているものの(図3(b)左側の図参照)、さらに導電性部材1が加圧されると、芯材3の一部が網状導電体5の網目を抜けて網状導電体5の外面側まで膨出し(図3(b)中央の図参照)、さらに導電性部材1が加圧されると、最終的には膨出部分が網状導電体5の外面側を包み込み、膨出部分が網状導電体5と第1の部材11との間の隙間17を埋めてしまうのである。その結果、網状導電体5は、芯材3の内部に埋没している範囲が、図4(a)に示すように、未加圧状態のとき(図3(b)左側の図参照)よりも、加圧状態となったとき(図3(b)右側の図参照)に増大することになる。
【0035】
このようにして加圧に伴って芯材3の内部に埋没してしまう範囲は、網状導電体5と第1の部材11との間に隙間17が存在する箇所であり、第1の部材11に対して電気的に接続されていない箇所である。逆に、第1の部材11に対して電気的に接続されている範囲には、芯材3の膨出部分が入り込むような隙間17が存在しないので、そのような箇所が芯材3の内部に埋没した状態になることはない。つまり、この導電性部材1であれば、芯材3の表面に露出した状態になっている部分を十二分に確保した場合でも、導電性部材1を介装箇所に挟み込んだ時点で、無駄な露出箇所は芯材3の内部に埋没した状態になるのである。
【0036】
したがって、この導電性部材1によれば、介装箇所に接触する部分を芯材3の表面に確実に露出させて網状導電体5の性能を最大限に発揮させることができ、しかも、介装箇所に接触しない部分については、介装箇所に挟み込んだ時点で動的に芯材3の内部に埋没させ、これにより、網状導電体5の酸化を抑制することができる。
【0037】
なお、以上説明したように、この導電性部材1は、介装箇所との接触に伴って動的に隙間17が消失する構成になっているので、隙間17内の空気が介装箇所に挟み込まれて逃げ場を失うといったことが無いようにすると好ましく、それには、第1の部材11と第2の部材12との間に挟み込まれた際に各部材11,12と接触する芯材3の接触面は、図4(b)に示すように、中央部分が周縁部分よりも外面側へ膨らんだ凸面(図4(b)中に示す高さCだけ中央部分が膨らんだ面)となっていると好ましい。
【0038】
このような導電性部材であれば、導電性部材を第1の部材11と第2の部材11との間に挟み込む際には、中央部分が各部材11,12と接触してから、その接触範囲が周縁部分へと拡大してゆくので、各部材11,12と芯材3との間に空気を挟み込みにくくなり、第1,第2の部材11,12それぞれと導電性部材との密着性をより一層向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、網状導電体5として、複数の金属線を交差させるように織ったものを例示したが、例えば、図5(a)に示す網状導電体21のように、メリヤス編み等の編み方で金属線を編んだものを用いてもよく、あるいは、図5(b)に示す網状導電体23のように、複数の金属製リングを連結したものを用いてもよい。これらの網状導電体21,23も、各網状導電体の厚さ方向に線材やリングが立体的な構造をなしているため、介装箇所との接触点は限られた箇所となるが、介装箇所と接触しない箇所は、内部から膨出した芯材によって包み込まれるので、これにより、網状導電体5の酸化が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態として例示した導電性部材の斜視図。
【図2】上記導電性部材の部分断面図。
【図3】図2に示したA部付近の拡大断面図。
【図4】(a)は導電性部材の表面を見た図であり、網状導電体の埋没部分の変化を示す図、(b)は芯材の中央部分を周縁部分よりも外面側へ膨らんだ凸面とした場合の断面図。
【図5】網状導電体の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0041】
1・・・導電性部材、3・・・芯材、5,21,23・・・網状導電体、11・・・第1の部材、12・・・第2の部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形する芯材と、前記芯材の周囲に設けられた網状導電体とによって構成され、第1の部材と第2の部材との間に挟み込まれた際、両部材間の隙間を埋めるとともに、両部材を電気的に接続する導電性部材であって、
前記網状導電体は、未加圧状態において、一部が前記芯材の内部に埋没した状態、他の一部が前記芯材表面に露出した状態になっており、
前記芯材は、ゲル状樹脂材料によって形成されることにより、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挟み込まれた際に、一部が前記網状導電体の網目を抜けて前記網状導電体の外面側まで膨出する低硬度体とされており、当該膨出部分が前記網状導電体の外面側の一部を包み込むのに伴い、前記芯材の内部に埋没した状態になっている部分を増大させる
ことを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記網状導電体は、前記芯材の外周に設けられてから前記芯材の表層を熱で熔融させることにより、未加圧状態において一部が前記芯材の内部に埋没した状態とされたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記第1の部材と第2の部材との間に挟み込まれた際に各部材と接触する前記芯材の接触面は、中央部分が周縁部分よりも外面側へ膨らんだ凸面となっている
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の導電性部材。
【請求項4】
ゲル状樹脂材料によって形成された芯材の外周に網状導電体を設け、前記芯材および網状導電体を加熱したダイスに通して前記芯材の表層を熱で熔融させ、前記網状導電体の一部を前記芯材の内部に埋没させる
ことを特徴とする導電性部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−19404(P2006−19404A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194127(P2004−194127)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】