説明

導電性部材

【課題】本発明は、電子写真装置の導電性部材において、長期にわたり画像形成を行った場合に発生する通電劣化の発生を抑制し、通電劣化に起因する欠陥画像の発生を抑制した導電性部材を提供することにある。
【解決手段】本発明の導電性部材は、導電性基体の上に弾性層を有する導電性部材であり、該弾性層はイオン導電ゴムと中空粒子とからなり、該中空粒子のシェル50が電子導電剤51を含有する樹脂からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真装置に使用される導電性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置においては、帯電部材、現像部材及び転写部材として導電性部材が用いられている。かかる導電性部材に対しては柔軟な表面を有することが求められている。
【0003】
帯電部材においては、使用に伴って表面に現像剤(トナー)、トナーに用いられる外添剤、紙粉等が付着し、汚れることにより、帯電不良を招来し、電子写真画像の品位に影響を与えることがある。かかる汚れの付着を抑制するために帯電部材の表面を低硬度化することが求められている。また現像部材の場合、トナーを均一に薄膜担持し、かつ感光体上に形成された静電潜像を均一に現像するトナー搬送体としての機能性を確保すること、トナーへのダメージを与えないように、表面の低硬度化が求められている。更に、転写部材においては、感光体上のトナー像を画像担持体である紙等に均一に転写するため、十分なニップ幅を保持し得るように、表面の低硬度化が求められている。
【0004】
導電性部材を低硬度化する手段として可塑剤の添加、スポンジ化、弾性体中へのマイクロカプセルの添加などの方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
一方、近年、電子写真装置である複写機やプリンターに高寿命化が求められている。上記の導電性部材は長期に亘って電圧が印加された状態が続くこととなり、それに伴い、導電性部材自体の電気抵抗値が徐々に上昇することがある(通電劣化)。このような現象は、導電性部材の弾性層にイオン導電ゴムを用いることにより緩和し得る。
しかしながら、イオン導電ゴムを含む弾性層の低硬度化を図るためにマイクロカプセルを添加すると、当該弾性層の電気抵抗が上昇してしまうという課題があった。ここに、更に電子導電剤を添加して低抵抗化しようとすると、補強効果により、ゴムの高硬度化が避けられなかった。さらに通電劣化に対しても効果が薄れる傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−070672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、長期にわたって使用した場合にも電気抵抗が変化しにくく、かつ柔軟な導電性部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、導電性基体及び弾性層を有する導電性部材であって、該弾性層は、イオン導電ゴムと、電子導電剤及び樹脂を含有するシェルを有する中空粒子と、を含む導電性部材が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、弾性層中に中空粒子を含有することにより、導電性部材の安定した低硬度化を図ることができる。かつ、電子導電剤が中空粒子の外殻を構成するシェルに固定化されていることにより、電子導電剤の位置変化が起こりにくく、結果的に通電劣化の発生を抑制し、長期にわたり画像形成を行った場合でも、通電劣化に起因する欠陥画像の発生を抑制した導電性部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の導電性部材(ローラ形状)の断面模式図である。
【図2】本発明に用いる中空粒子を模式的に示した断面模式図である。
【図3】導電性部材の電気抵抗値の測定方法の説明図である。
【図4】本発明の電子写真装置の一つの実施の形態の断面を表す概略図を示す。
【図5】本発明に係るプロセスカートリッジの断面図である。
【図6】本発明の導電性部材の製造に用いるクロスヘッド押出成形機の模式図である。
【図7】本発明の導電性部材と感光体との当接状態を表す模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る導電性部材は、導電性基体及び弾性層を有し、該弾性層はイオン導電ゴムと、中空粒子とを含む。中空粒子は電子導電剤及び樹脂を含有するシェルを有している。
イオン導電性のゴムは抵抗の安定性から、導電性部材として用いられる場合が多かった。また、一方で、導電性部材の低硬度化が求められており、イオン導電性のゴムに中空粒子を添加することで低硬度化を図ることが可能となった。しかし、一方で絶縁性である中空粒子を添加することにより、イオン導電ゴム全体として高抵抗化してしまうという課題があった。そこで、導電性部材の低抵抗化のためにイオン導電ゴムに電子導電剤を添加する場合、多量に添加する必要があり、そのため導電性部材が高硬度化するという課題があった。
【0012】
本発明では、中空粒子として、その外殻を構成しているシェルが電子導電剤を含むことによって電子導電化されてなる中空粒子を用いることにより、上記の課題を解決した。
【0013】
イオン導電ゴムは、安定した電気抵抗値が得られるものの、吸湿による影響を受けやすい。また、電子導電剤の粒子は、一般的に粒径が非常に小さく、サブミクロンからナノオーダーレベルのものであり、これらをイオン導電ゴムに添加すると、環境の違いなどによるゴムの膨張・収縮の影響を受けやすかった。しかし、電子導電剤が中空粒子のシェルに固定化されて存在することで、電子導電剤の位置変化が抑制され、電子導電剤のパスが安定して形成でき、長期にわたって安定した導電性が維持できるものと推察している。
【0014】
また、シェル内に電子導電剤を含ませることにより、ゴムの加工中に電子導電剤が欠落することがなく、安定して導電性部材の低抵抗化が図れるとともに、安定した耐通電劣化性を得ることができる。
【0015】
<導電性部材>
図1に、本発明に係るローラ形状の導電性部材(導電性ローラ)の軸に直交する方向の概略断面図を示す。なお、本発明に係る導電性部材の形状は、ローラ形状に限られず、平板形状であってもよい。図1に係る導電性ローラは、導電性基体1、弾性層2及び表面層3を有する。導電性基体と弾性層は、接着剤を介して接着してもよい。この場合、接着剤は導電性であることが好ましい。
【0016】
<導電性基体>
本発明の導電性部材に用いられる導電性基体は、導電性を有し、その上に設けられる弾性層等を支持する機能を有するものである。材質としては、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属やその合金を挙げることができる。
【0017】
<弾性層>
本発明の弾性層は、イオン導電性を有するゴム(イオン導電ゴム)を用いて形成することを特徴とする。
イオン導電ゴムとしては、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドからなる共重合体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドからなる共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、ポリエーテルウレタン、クロロプレンゴム、EPDM、NBR等が使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記ゴムにイオン導電剤を添加したものが使用できる。
上記のイオン導電ゴムの中でも好ましいゴムとしては、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドからなる共重合体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体及びポリエーテルウレタンから選ばれる少なくとも1種である。これらのゴムは、抵抗調整が容易で、抵抗ばらつきが小さく抑えられて、好ましい。また、弾性層は一層構成でもよく、また二層以上からなる構成でもよい。
【0018】
<イオン導電剤>
弾性層に添加するイオン導電剤としては以下のものが挙げられる。過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムの如き無機イオン物質、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェートの如き陽イオン性界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ジメチルアルキルラウリルベタインの如き両性イオン界面活性剤、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウムの如き第四級アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等の有機酸リチウム塩。これらを単独又は2種類以上組み合わせて用いることができる。イオン導電剤の中でも、環境変化に対して抵抗が安定なことから特に過塩素酸4級アンモニウム塩が好適に用いられる。
【0019】
<中空粒子>
図2に、本発明に用いる中空粒子の一例としての概略断面図を示す。中空粒子は、そのコアが空洞であり、また、その外殻であるシェルは中空粒子を含有する樹脂からなる。従って、シェル50には、電子導電剤51の粒子が分散して含まれている。
本発明の導電性部材の弾性層は、イオン導電ゴムと該イオン導電ゴムに分散させた中空粒子とからなる多孔質体である。該多孔質を形成するための中空粒子としては、粒子の外殻に囲まれた内部が気泡となっている粒子を用いてもよいし、粒子の内部に内包物質を含み、熱を加えることにより内包物質が膨張し、中空粒子となるいわゆる熱膨張性マイクロカプセルを用いてもよい。また、熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより、予め中空粒子を作製しておき、これをイオン導電ゴムに含ませることにより中空粒子を含有する多孔質体としてもよい。
熱膨張性マイクロカプセルを本発明に用いた場合には、弾性層の加硫時の熱でシェルとなる熱可塑性樹脂が膨張する。成形時の温度条件によってカプセルが溶融したり、破裂したりすることなく、シェル構造を維持した状態で弾性層を成形することができる。
【0020】
<中空粒子のシェルを形成する樹脂>
シェルを形成するのに用いる樹脂としては、公知の樹脂が挙げられる。例えば、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニル芳香族化合物類(例えばスチレン等)、及び酢酸ビニルからなる群より選ばれるビニル単量体を含む重合性単量体のうち少なくとも一つを重合して得られる熱可塑性樹脂などがあげられる。また、少なくともポリオールとイソシアネートとを架橋することにより得られるポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。更に、ポリカルボン酸類とポリアミンの重縮合物、カルボキシル基とアミノ基を同一分子内にもつ化合物又はその無水物の重縮合物からなるポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のうち、塩化ビニリデンを重合したポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン樹脂は吸湿性が少なく、環境変化に伴う吸湿の影響を受けにくく、電子導電剤をシェル中に固定化させる上で好ましい。
【0021】
<シェルに含ませる電子導電剤>
中空粒子のシェルに含ませる電子導電剤としては、クロム、鉄、銅、コバルト、ニッケル、チタン、パラジウム、亜鉛、錫、金、白金、銀、アルミニウム、インジウム等の金属;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物;カーボンブラック等を挙げることができる。導電性粒子はこれらの金属の合金からなる粒子であってもよく、上記金属からなる粒子、上記金属酸化物からなる粒子、カーボンブラックからなる粒子の1種又は2種以上から構成されていてもよい。
上記のうち、カーボンブラックは少量含ませるだけで高い導電性が得られるため、中空粒子のシェルを形成する材料の物性変化を小さく抑えることができ好ましい。また、酸化スズも高い導電性が得られて好ましい。酸化スズとしては、酸素欠損型酸化スズ、リンドープ酸化スズ等を例として挙げることができる。
【0022】
<電子導電剤の含有量>
電子導電剤の含有量は樹脂100質量部に対し、1〜200質量部であることが好ましい。この範囲内とすることで所望の電気抵抗が得られる。また、シェルが硬くなり、導電性部材全体の硬度が上昇することを避け得る。
【0023】
<電子導電剤の表面処理>
本発明では、電子導電剤を表面処理してもよい。電子導電剤を表面処理することで、シェル中での電子導電剤の移動がより抑制できて好ましい。表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物が使用可能である。これらは一種で使用しても、二種以上を用いても良い。
【0024】
表面処理剤としては、下記式1〜3により表される化学構造を有する表面処理剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【化1】

上記式1中、Xはアルコキシ基を示し、Yはアリル基、グリシドキシ基、メタクリル基、ビニル基又はメルカプト基を示し、Rはエチレン基又はプロピレン基を示す。kは0又は1の整数を表し、1は0又は1の整数を表す。
【化2】

式2中、
及びRは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、mは1〜3の整数を示す。
【化3】

式3中、
及びRは、各々独立にアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、nは1〜3の整数を示す。
【0025】
上記式のような構造を持つ物質の例として、アルキルアルコキシシラン、シラン系カップリング剤及びチタネート系カップリング剤が挙げられる。
【0026】
アルキルアルコキシシランとしては、次に示す物質が挙げられる。すなわち、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0027】
シラン系カップリング剤としては、アリルシランカップリング剤及びエポキシシランカップリング剤が、電子導電剤をシェル中に固定化する上で好ましい。
【0028】
アリルシランカップリング剤としては、アリルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0029】
エポキシシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランから選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0030】
また、チタネート系カップリング剤も、電子導電剤をシェル中に固定化する上で好ましい。
【0031】
<電子導電剤の表面処理方法>
電子導電剤の表面処理方法としては、湿式処理、乾式処理のどちらでもよい。
湿式処理としては、上記の表面処理剤をアルコール等の溶媒で希釈し、これに電子導電剤を添加してスラリーとし、これを攪拌し、濾過、乾燥する方法が挙げられる。
乾式処理の場合、容器と攪拌羽根といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。また、一般的な揺動又は攪拌を行える粉体混合機を用いてもよい。粉体混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌又は攪拌を行える粉体混合機を挙げることができる。また、近年、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な粉体混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)及びハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)等を用いてもよい。
【0032】
<表面処理剤の割合>
電子導電剤に対する表面処理剤の割合としては、質量比で電子導電剤の0.1〜10%、特には、0.5〜5%の範囲とすることが好ましい。この範囲内とすることで、電子導電剤の固定化の効果をより確実に得ることができる。
【0033】
<内包物質>
熱膨張性マイクロカプセルを用いて中空粒子を形成する場合に熱膨張性マイクロカプセルに内包する液体又は気体としては、例えばプロパン、プロピレン、ブテン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの低沸点液体、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルデカン、イソデカンなどの高沸点液体、加熱により熱分解してガス状になるAIBNなどの化合物が多く用いられるが、これに限定されるものではない。導電性ローラを作製する際、ゴムの加硫を行う温度は一般的に150〜180℃である。この温度において加硫と発泡を同時に行う場合、高発泡の多孔質弾性層を形成するために、好ましくは、ノルマルオクタン、イソオクタン、ノルマルヘキサン、ノルマルペンタンが好ましい。
【0034】
<熱膨張性マイクロカプセル製造方法>
本発明に用いる熱膨張性マイクロカプセルの製造方法としては、従来公知の方法を用いることができる。
ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、アクリル等のビニル系ポリマーからなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合の一例を以下に示す。まず、シェルとなる原料モノマー、電子導電剤、コアとなる内包物質、重合開始剤、架橋物質等からなる油性混合液を調製する。別途、水、分散安定剤等からなる水性分散媒体を調製する。上記により得られた油性混合液を、上記の水性分散媒体に添加し、更に必要に応じて水酸化ナトリウム等を添加し、分散液を調製する。得られた分散液を混合・攪拌し、必要に応じて、窒素置換や加温を行って、加圧・反応させることにより、反応生成物を調製する。得られた反応生成物を濾過・水洗後、乾燥して、必要に応じ、解砕・分級等の工程を行い、熱膨張性マイクロカプセルを得る。
また、ポリウレタンからなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合の一例を以下に示す。ポリオールとイソシアネートとを反応させ、プレポリマー化し、ここに電子導電剤、架橋剤等を添加して、ポリウレタン樹脂を得る。得られたポリウレタン樹脂を溶媒に溶解させ、樹脂溶液とし、この樹脂溶液を、必要に応じ分散剤等を添加した貧溶媒に滴下しながら分散し、分離・乾燥させて熱膨張性マイクロカプセルを得る。
また、ポリアミドからなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合の一例を以下に示す。まず、シェルとなる原料モノマー(ポリカルボン酸類、ポリアミン類等)、コアとなる内包物質、電子導電剤、溶剤等を加えて油相とする。別途、水に乳化剤等を添加し、これを水相とする。油相と水相とを混合し、ホモジナイザー等を用い、機械的に攪拌・分散し、油滴を作製する。この分散液を加温し、反応させる。反応後、濾過・脱水を行い、乾燥し、必要に応じ、解砕・分級等の工程を行い、熱膨張性マイクロカプセルを得る。
また、エポキシ樹脂からなるシェルを有する熱膨張性マイクロカプセルを製造する場合の一例を以下に示す。原料モノマー、内包物質、電子導電剤、乳化剤等を混合、攪拌する。ここで、乳化剤は、乳化剤として機能しつつ、原料モノマーと共重合してポリマーの一部になる反応性乳化剤としてもよい。上記の混合液に、水を滴下し、乳濁液を得る。これを加熱し、硬化剤(例えば、脂肪族ポリアミンあるいは芳香族ポリアミン等)を滴下し開環と架橋を行い、反応後、濾過・脱水を行い、乾燥し、必要に応じ、解砕・分級等の工程を行い、熱膨張性マイクロカプセルを得る。
【0035】
<熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒径>
熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒径の目安としては、5〜250μm、特には、25〜100μmの範囲が好ましい。この範囲内とすることで、弾性層が高硬度化すること、および、硬度ムラの発生をより確実に抑制し得る。体積平均粒径は、分散条件等によってコントロールすることができる。
【0036】
<中空粒子の体積平均粒径>
熱膨張性マイクロカプセルを加熱、膨張させた後の中空粒子の体積平均粒径の目安としては、10〜500μm、特には、50〜200μmの範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることで、弾性層の高硬度化、および、硬度ムラの発生をより確実に抑制し得る。中空粒子の体積平均粒径は、加熱・膨張時の温度や反応時間によってコントロールすることができる。
【0037】
<中空粒子のシェル壁の厚さ>
中空粒子のシェル壁の厚さの目安としては、0.1〜5μmの範囲内とすることが好ましい。この範囲内とすることで、シェル内に電子導電剤をより確実に固定化することができる。シェル壁の厚さは、シェルを形成する樹脂とコアを形成する内包物質の比率等によってコントロールすることができる。
【0038】
<イオン導電ゴムに対する熱膨張性マイクロカプセルの添加量>
弾性層を形成するイオン導電ゴムに対する、熱膨張性マイクロカプセルの添加量の目安としては、イオン導電ゴム100質量部に対し、3〜30質量部が好ましい。この範囲内とすることで、弾性層をより確実に低硬度化することができる。
【0039】
<フィラー、その他の添加剤>
弾性層は、発明の効果を損なわない範囲で、更にフィラーを添加してもよい。
フィラーとしては、主に無機化合物及び有機化合物からなる粒子を例示することができる。例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン(二酸化チタン、一酸化チタン等)、酸化鉄、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリナイト、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。また、フェライト、マグネタイト、ヘマタイト等の酸化鉄類や活性炭等も使用することができる。
また、弾性層には、硬度等を調整するために、軟化油、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。可塑剤等の配合量は、弾性層材料100質量部に対して、好ましくは1質量部から30質量部であり、より好ましくは3質量部から20質量部である。可塑剤としては、高分子可塑剤を用いることが好ましい。高分子可塑剤の分子量は、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上である。
更に、弾性層には、種々な機能を付与する材料を適宜含有させてもよい。これらの例として、老化防止剤、充填剤等を挙げることができる。
【0040】
<弾性層の形成>
弾性層を形成する材料にイオン導電剤、熱膨張性マイクロカプセルあるいは中空粒子、フィラー、各種添加等を分散する方法としては、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混合するなど、公知の方法を用いることができる。
弾性層の形成方法としては、上記の構成を満たす方法であれば、公知の方法を適宜用いればよい。
例えば、クロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に原料ゴム組成物を被覆して、導電性基体と弾性層材料を一体的に押出して作製する方法が例示できる。クロスヘッドは、一般に電線や針金の被覆に用いられている装置であり、押出機のシリンダのゴム排出部に取り付けて使用されるものである。
弾性層を2層からなる弾性層とする場合には、押出成型装置を2台用い、2台の押出成型装置から同時に押出し、クロスヘッド中で各々の弾性層材料を一体とし、2層に成形する、所謂2層押出による成形方法等が挙げられる。
また、未加硫のゴムチューブを形成し、導電性基体を該チューブに挿入し、金型内で加硫を行う方法が例示できる。また、未加硫のゴムシートを導電性基体に被覆し、金型内で加硫を行う方法が例示できる。
上記形成した弾性層は、適時、表面を研磨加工してもよい。研磨加工を行う円筒研磨機としては、トラバース方式のNC円筒研磨機、プランジカット方式のNC円筒研磨機等を例示することができる。
【0041】
<表面層、中間層>
本発明の導電性部材は、弾性層の上に更に表面層を設けてもよい。また、弾性層と表面層との間に1層以上の中間層を設けてもよい。
【0042】
<導電性部材の電気抵抗>
本発明の導電性部材は、電子写真装置中で、導電性部材として正常に機能するために、通常、電気抵抗が、23℃/50%RH環境中において、1×10Ω以上、1×1010Ω以下であることがより好ましい。
【0043】
<導電性部材の硬度>
弾性層の硬度の目安は、アスカーC硬度で70°以下、特には、60°以下が好ましい。これにより、電子写真装置中で、感光体、トナー、転写材との適度な当接を維持することができる。ここで、アスカーC硬度とは基準規格アスカーC型SRIS(日本ゴム協会規格)0101を有する試験機を用いて測定した値である。
【0044】
<各種パラメーターの測定方法>
<導電性部材の弾性層に含有されている中空粒子の体積平均粒径とシェル厚みの測定>
弾性層中の中空粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して体積平均粒径とする。
また、中空粒子のシェルの厚みは、体積平均粒径と同様にして、弾性層中の中空粒子をTEMにて任意の100箇所についてシェル壁の厚みを測定し、その平均値を平均シェル厚みとする。
【0045】
<熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒径>
光学顕微鏡、ビデオマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡(SEM)等により、熱膨張性マイクロカプセルを100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して体積平均粒径とする。
【0046】
<本発明の導電性部材の電気抵抗の測定方法>
図3に示す電気抵抗値測定用の機器を用いて、導電性部材の電気抵抗を測定した。
まず、導電性部材5を軸受け33aと33bにより、円柱形金属32(直径30mm)に対して導電性部材が平行になるように当接させる(図3(a))。ここで、当接圧はバネによる押し圧力により一端が4.9N、両端で合計9.8Nに調整した。
次に、図示しないモータにより周速45mm/secで駆動回転される円柱形金属32に従い導電性部材が従動回転する。従動回転中、図3(b)の様に、安定化電源34から直流電圧−200Vを印加し、導電性部材に流れる電流値を電流計35で測定する。印加電圧、電流値から、導電性部材の電気抵抗を算出した。なお、導電性部材は、NN(常温常湿:23℃/55%RH)環境に24時間以上放置した後に電気抵抗値を測定した。
【0047】
<電子写真装置>
本発明の導電性部材を備える電子写真装置の一例の概略構成を図4に示す。
電子写真装置は、主に、感光体、感光体を帯電する帯電装置、露光を行う潜像形成装置、トナー像に現像する現像装置、転写材に転写する転写装置、感光体上の転写トナーを回収するクリーニング装置、トナー像を定着する定着装置等から構成されている。
本発明の導電性部材は、帯電装置としての帯電部材、現像装置としての現像部材、転写装置としての転写部材等として好適に用いられる。
感光体4は、導電性基体上に感光層を有する回転ドラム型である。感光体は矢示の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。
帯電装置は、感光体4に所定の押圧力で当接されることにより接触配置される接触式の
帯電ローラ5を有する。帯電ローラ5は、感光体の回転に従い回転する従動回転であり、帯電用電源19から所定の電圧(直流電圧のみの電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)を印加することにより、感光体を所定の電位に帯電する。
感光体4に静電潜像を形成する潜像形成装置11は、例えばレーザービームスキャナーなどの露光装置が用いられる。一様に帯電された感光体に画像情報に対応した露光を行うことにより、静電潜像が形成される。
現像装置は、感光体4に近接又は接触して配設される現像ローラ6を有する。感光体帯電極性と同極性に静電的処理されたトナーを反転現像により、静電潜像をトナー像に可視化現像する。
転写装置は、接触式の転写ローラ8を有する。感光体からトナー像を普通紙などの転写材7(転写材は、搬送部材を有する給紙システムにより搬送される。)に転写する。
クリーニング装置は、ブレード型のクリーニング部材10、回収容器を有し、転写した後、感光体上に残留する転写残トナーを機械的に掻き落とし回収する。
ここで、現像装置にて転写残トナーを回収する現像同時クリーニング方式を採用することにより、クリーニング装置を省くことも可能である。
定着装置9は、加熱されたロール等で構成され、転写されたトナー像を転写材7に定着し、機外に排出する。
なお、図4において、符号12は帯電前露光装置、13は弾性規制ブレード、14はトナー供給ローラ、18、19は電源を示す。
【0048】
<プロセスカートリッジ>
図5に示すように、感光体4、帯電部材5を含む帯電装置、現像ローラ6及びトナー供給ローラ14を含む現像装置、及びクリーニングブレード10を含むクリーニング装置等を一体化し、電子写真装置に着脱可能に設計しプロセスカートリッジとすることができる。すなわち、少なくとも帯電部材が被帯電体と一体化され、電子写真装置本体に着脱自在に構成されているプロセスカートリッジであり、該帯電部材が本発明の導電性部材である。また、電子写真装置は、少なくとも、プロセスカートリッジ、露光装置及び現像装置を有し、該プロセスカートリッジが本発明の導電性部材を帯電部材として含む上記のプロセスカートリッジである。
【実施例】
【0049】
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0050】
また、本実施例では、一例として本発明の導電性部材を帯電部材として評価しているが、本発明の導電性部材の用途がこれに限定されるものではない。
【0051】
<表面処理電子導電剤の製造>
<表面処理電子導電剤1の製造例>
下記材料を混合し、ペイントシェーカーで70時間分散後、分散液を200メッシュの網で濾過し、ガラスビーズを分離した。次に、この溶液をナウターミキサーで攪拌しながら100℃の湯浴で暖めてアルコールを飛ばして乾燥させ、表面処理したカーボンブラックを得た。これを表面処理電子導電剤1とする。
【表1】

【0052】
<表面処理電子導電剤2の製造例>
カーボンブラックを、旭#51(N−762)(商品名、旭カーボン株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤2を得た。
【0053】
<表面処理電子導電剤3の製造例>
カーボンブラックを#52(商品名、三菱化学株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤3を得た。
【0054】
<表面処理電子導電剤4の製造例>
カーボンブラックを、酸素欠損型導電性酸化スズ(商品名:S−2000、三菱マテリアル電子化成株式会社製)に変えた以外は表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤4を得た。
【0055】
<表面処理電子導電剤5の製造例>
カーボンブラックを銀ナノ粒子が分散したペースト(商品名:MDot-SLP、三ツ星ベルト株式会社製)600質量部とした以外は、表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤5を得た。
【0056】
<表面処理電子導電剤6の製造例>
表面処理剤を、式1に示す構造を有する3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:Z−6044、東レ・ダウコーニング株式会社製)に変えた以外は表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤6を得た。
【0057】
<表面処理電子導電剤7の製造例>
表面処理剤を式1に示す構造を有する3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:Z−6044、東レ・ダウコーニング株式会社製)とし、カーボンブラックを250質量部とした以外は表面処理電子導電剤2と同様にして表面処理電子導電剤7を得た。
【0058】
<表面処理電子導電剤8の製造例>
表面処理剤を式1に示す構造を有する3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:Z−6044、東レ・ダウコーニング株式会社製)とし、カーボンブラックを1000質量部とした以外は表面処理電子導電剤3と同様にして表面処理電子導電剤8を得た。
【0059】
<表面処理電子導電剤9の製造例>
表面処理剤を式1に示す構造を有する3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:Z−6044、東レ・ダウコーニング株式会社製)とし、酸素欠損型導電性酸化スズを1000質量部とした以外は、表面処理電子導電剤4と同様にして表面処理電子導電剤9を得た。
【0060】
<表面処理電子導電剤10の製造例>
表面処理剤を式1に示す構造を有する3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:Z−6044、東レ・ダウコーニング株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤5と同様にして表面処理電子導電剤10を得た。
【0061】
<表面処理電子導電剤11の製造例>
表面処理剤を式2に示す構造を有するトリメチルメトキシシラン(商品名:Z−6013、東レ・ダウコーニング株式会社製)とし、カーボンブラックを100質量部とした以外は、表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤11を得た。
【0062】
<表面処理電子導電剤12の製造例>
表面処理剤を式2に示す構造を有するトリメチルメトキシシラン(商品名:Z−6013、東レ・ダウコーニング株式会社製)とし、カーボンブラックを150質量部とした以外は、表面処理電子導電剤2と同様にして表面処理電子導電剤12を得た。
【0063】
<表面処理電子導電剤13の製造例>
表面処理剤を式2に示す構造を有するトリメチルメトキシシラン(商品名:Z−6013、東レ・ダウコーニング株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤3と同様にして表面処理電子導電剤13を得た。
【0064】
<表面処理電子導電剤14の製造例>
表面処理剤を式2に示す構造を有するトリメチルメトキシシラン(商品名:Z−6013、東レ・ダウコーニング株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤4と同様にして表面処理電子導電剤14を得た。
【0065】
<表面処理電子導電剤15の製造例>
表面処理剤を式2に示す構造を有するトリメチルメトキシシラン(商品名:Z−6013、東レ・ダウコーニング株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤5と同様にして表面処理電子導電剤15を得た。
【0066】
<表面処理電子導電剤16の製造例>
表面処理剤を式3に示す構造を有するチタネート系カップリング剤(商品名:プレンアクトKR 46B、味の素ファインテクノ株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤1と同様にして表面処理電子導電剤16を得た。
【0067】
<表面処理電子導電剤17の製造例>
表面処理剤を式3に示す構造を有するチタネート系カップリング剤(商品名:プレンアクトKR 46B、味の素ファインテクノ株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤2と同様にして表面処理電子導電剤17を得た。
【0068】
<表面処理電子導電剤18の製造例>
表面処理剤を式3に示す構造を有するチタネート系カップリング剤(商品名:プレンアクトKR 46B、味の素ファインテクノ株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤3と同様にして表面処理電子導電剤18を得た。
【0069】
<表面処理電子導電剤19の製造例>
表面処理剤を式3に示す構造を有するチタネート系カップリング剤(商品名:プレンアクトKR 46B、味の素ファインテクノ株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤4と同様にして表面処理電子導電剤19を得た。
【0070】
<表面処理電子導電剤20の製造例>
表面処理剤を式3に示す構造を有するチタネート系カップリング剤(商品名:プレンアクトKR 46B、味の素ファインテクノ株式会社製)とした以外は、表面処理電子導電剤5と同様にして表面処理電子導電剤20を得た。
【0071】
<表面処理電子導電剤21〜25の製造例>
表面処理電子導電剤1〜5の各製造例において表面処理剤を、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:Z−6610、東レ・ダウコーニング株式会社製)に変えた以外は表面処理電子導電剤1〜5の各製造例と同様にして表面処理電子導電剤21〜25を得た。
【0072】
<熱膨張性マイクロカプセルの製造>
<製造例1>
重合反応容器に、水8L、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)8質量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.2質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。
次に、下記に示した材料からなる油性混合液を上記水性分散媒体に添加し、更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加することにより、分散液を調製した。
【表2】

得られた分散液をホモジナイザーを用い、4000rpm×1分間攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、乾燥して製造例1の熱膨張性マイクロカプセルを得た。これを熱膨張性マイクロカプセル1とする。
【0073】
<製造例2〜13>
製造例1において、表面処理電子導電剤および添加量を下記に示すように変えた以外は製造例1と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル2〜13を得た。
【表3】

【0074】
<製造例14〜19>
製造例1において表面処理電子導電剤とその添加量、内包物質とその添加量、および撹拌条件を下記のように変えた以外は製造例1と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル14〜19を得た。
【表4】

【0075】
<製造例20>
下記の材料を混合し、トルエン還流下に120℃で5時間反応を行った(イソシアネート基含量3.2%)。
【表5】

その後、室温まで冷却し、25部のヘキサメチレンジアミン、及び20部のジエチレントリアミンを添加し60℃で5時間反応を行った後、トルエンを減圧下に留去し、両末端に水酸基を持ちウレタン及びウレア結合を有するポリウレタン樹脂を得た。
得られた樹脂400部、表面処理電子導電剤3(60質量部)、n−ヘキサン(沸点69℃)62部、酢酸エチル380部を混合し、予め作成したポリビニルアルコール0.5%水溶液2000部に滴下しながら分散した。得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、熱膨張性マイクロカプセル20を得た。
【0076】
<製造例21〜35>
製造例20において表面処理電子導電剤およびその添加量を下記のように変更した以外は製造例20と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル21〜35を得た。
【表6】

【0077】
<製造例36>
下記材料を混合・撹拌し、重合用モノマー溶液を調製した。
【表7】

ついで極性溶媒としてのイオン交換水(全使用量の50重量%)及び水溶性高分子水溶液を添加、ホモジナイザーにて撹拌し、懸濁液を調製した。一方、撹拌機、ジャケット、還流冷却器、及び温度計を備えた20リットルの重合器に、残りのイオン交換水、水溶性重合禁止剤としての亜硫酸ナトリウムを入れて、攪拌を開始した。
重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とした後、上記懸濁液を重合槽に一括投入したのち、重合槽を60℃まで昇温し重合を開始した。4時間で重合を終了し、その後1時間の熟成期間をおいた後、重合槽を室温まで冷却した。スラリーをセントルにて脱水し、熱膨張性マイクロカプセル36を得た。
【0078】
<製造例37〜43>
製造例36において表面処理導電剤および添加量を下記のように変えた以外は製造例36と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル37〜43を得た。
【表8】

【0079】
<製造例43>
表面処理電子導電剤5(30質量部)をにかえた以外は製造例36と同様にして熱膨張性マイクロカプセル43を得た。
【0080】
<製造例44>
重合反応容器に、水8Lと、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)8質量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.2質量部を添加し、水性分散媒体を調製した。一方、下記の材料と表面処理電子導電剤6(15質量部)からなる油性混合液を上記水性分散媒体に添加し、更に水酸化ナトリウム0.8質量部を添加して分散液を調製した。
【表9】

得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、濾過と水洗を繰り返した後、乾燥して製造例1の熱膨張性マイクロカプセル44を得た。
【0081】
<製造例45〜49>
製造例44において表面処理電子導電剤および添加量を下記のように変更した以外は製造例44と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル45〜49を得た。
【表10】

【0082】
<製造例50>
表面処理電子導電剤6(15質量部)を表面処理電子導電剤25(60質量部)にかえ、内包物質をイソオクタンにかえた以外は製造例44と同様にして熱膨張性マイクロカプセル50を得た。
【0083】
<製造例51>
表面処理電子導電剤6(15質量部)をカーボンブラック(商品名:MA−77、三菱化学株式会社製)15質量部にかえた以外は製造例44と同様にして熱膨張性マイクロカプセル51を得た。
【0084】
<製造例52>
ペンタン100部(溶剤沸点36℃)、テレフタル酸クロリド100部、メタキシレンジアミン100部、表面処理電子導電剤4 200質量部及びMEK120部を加えて溶解させ、これを油相とする。イオン交換水800部に乳化剤(キャリボンB(三洋化成工業社製))10部を溶解させ、これを水相とする。水相と油相を混合し、ホモミキサーを用いて4000rpm×1分の条件で分散させる。油滴の体積平均粒径は20μmであった。この分散液を60℃の条件で10hr反応させる。反応終了後、得られた樹脂を濾紙濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、熱膨張性マイクロカプセル52を得た。
【0085】
<製造例53〜57>
製造例52において表面処理電子導電剤および添加量を下記のように変えた以外は製造例52と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル53〜57を得た。
【表11】

【0086】
<製造例58>
下記材料に、表面処理電子導電剤4(300質量部)を添加し、撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、投入し均一に溶解させた。
【表12】

次いで、攪拌下で反応容器に水を滴下した。滴下を続けていると、系が乳化した。乳化後、更に水を224部滴下し、乳濁液を得た。これを加熱して、系内温度70℃まで昇温した後、エチレンジアミン20部を水446部に溶解させた溶液を70℃に維持したまま2時間かけて滴下した。滴下後、70℃で5時間、90℃で5時間反応・熟成してエポキシ樹脂水性分散液を得た。ついでこの樹脂分散液を濾過にて水中より取り出し、40℃の循風乾燥機にて乾燥した。本球状体を音波式分級機により解砕して篩い分け、熱膨張性マイクロカプセル58を得た。
【0087】
<製造例59〜64>
製造例58において表面処理電子導電剤および添加量を下記のように変えた以外は製造例58と同じ操作を行って熱膨張性マイクロカプセル59〜64を得た。
【表13】

【0088】
<製造例65>
下記の材料をSVミキサー(神鋼環境ソリューション株式会社製、内容量:30L)に投入し、10分間混合した。
【表14】

その後、得られた混合物をレーディゲミキサー(株式会社マツボー製)に投入し、ジャケット温度230℃で10分間加熱し、混合物の温度が170℃に到達した時点で冷却し、表面が導電性酸化亜鉛で被覆された熱膨張性マイクロカプセル65を得た。
上記製造例1〜65に係る熱膨張性マイクロカプセル1〜65の体積平均粒径及びシェル厚さを下記表15−1〜表15−2に示す。
【0089】
【表15−1】

【0090】
【表15−2】

【0091】
〔実施例1〕
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を10分間混練し、ゴムコンパウンドAを調製した。
【表16】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて下記材料を10分間混練して、ゴムコンパウンドBを調製した。
【表17】

一方、直径6mm、長さ252mmのステンレス製棒に、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、東洋化学研究所社製)を塗布し、180℃の熱風炉内にて30分間静置して導電性基体を得た。続いて、図6に示すクロスヘッドを具備する押出成形装置を用いて、導電性基体を中心軸として、同軸上に円筒状に、上記により得られたゴムコンパウンドBを被覆して、原料ゴム組成物層の外径がφ10mmである導電性部材予備成形体を得た。
次いで、上記の導電性部材予備成形体を電気オーブンにて160℃で1時間、加硫及び接着剤の硬化を行った。その後ゴムの両端部を突っ切り、ゴム長さを232mmとした。更に、ローラ中央部における外径が12mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行って、導電性基体上に弾性層を形成して、弾性層付きの導電性基体を得た。シェルに電子導電剤を含有している熱膨張性マイクロカプセルを有する弾性層は、加硫による熱により、シェルに電子導電剤を含有している中空粒子を含有する多孔質体からなる弾性層となった。
【0092】
<表面層の形成>
下記材料をガラスビンに入れ、ここにガラスビーズ100質量部を添加し、ペイントシェーカーにて20時間振とう後、ガラスビーズを濾過により分離し、分離した液を上記により得られた弾性層付きの導電性基体にディッピングにより塗布し、導電性部材を製造した。
【表18】

得られた導電性部材の電気抵抗を図3に示す測定装置により測定した結果、1.0×10Ωであった。この導電性部材を電子写真装置の帯電部材として以下に示す評価方法にて評価した。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を、用いた熱膨張性マイクロカプセルと添加量と共に、表27に示す。
【0093】
<ガサツキ画像の評価>
以下、本実施例では、一例として帯電ローラに直流電圧を印加するタイプの電子写真装置を用いて評価を行っているが、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加するタイプの電子写真装置の帯電ローラとしても使用できる。
図4に示す構成を有する電子写真装置として、ヒューレット・パッカード社製カラーレーザージェットプリンター(商品名:HP Color LaserJet 4700dn)を使用した。なお、図4に示す構成を有するプロセスカートリッジとして、上記プリンター用のプロセスカートリッジ(ブラック用)を用いた。
上記プロセスカートリッジから帯電ローラを取り外し、その代わりに本実施例の導電性部材を帯電ローラとしてをセットした。帯電ローラは、感光体に対し、一端で4.9N、両端で合計9.8Nのバネによる押し圧力で当接させた(図7)。
ここで帯電ローラに直流電圧−1100Vを印加した状態で、感光体を回転駆動させ、20時間連続で回転させ、電圧を印可し続けた。
その後、図4に示す構成を有する電子写真装置として、ヒューレット・パッカード社製カラーレーザージェットプリンター(商品名:HP Color LaserJet 4700dn)を記録メディアの出力スピード200mm/sec(A4縦出力)に改造して、高速化を図った。この電子写真装置を用い、1枚画像を出力して電子写真装置の回転を停止させた後、また画像形成動作を再開するという動作を繰り返し(印字率1%で間欠耐久)、5000枚の画像出力耐久試験を行った。上記の試験を、23℃/55%RH(NN環境、以下「NN」と記す)、15℃/10%RH(LL環境、以下「LL」と記す)、30℃/80%RH(HH環境、以下「HH」と記す)の3環境でそれぞれ行った。耐久試験中、初期と、1000枚目、2000枚目、3000枚目、4000枚目及び5000枚目の時点でハーフトーン画像を出力し、目視で観察してガサツキ画像の発生状態を下記の基準で評価した。評価結果を表29に示す。表中、「1k」は、1000枚目通紙時点を現し、2k、3k、4k及び5kは、それぞれ2000枚目、3000枚目、4000枚目及び5000枚目通紙時点を現す。
【0094】
<ガサツキ画像の評価基準>
ランクA:ガサツキの発生なし
ランクB:ごく軽微なガサツキのみが観察される
ランクC:軽微なガサツキがあり、帯電ローラのピッチ(帯電ローラ周方向1周分の周期)でガサツキが確認される。
ランクD:画像全体にガサツキが発生し、著しく画像の品質が低下。
【0095】
〔実施例2〕
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を15分間混練し、ゴムコンパウンドAを調製した。
【表19】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて下記材料を15分間混練して、ゴムコンパウンドBを調製した。
【表20】

上記のゴムコンパウンドを、実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗は1.1×10Ωであった。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を、用いた熱膨張性マイクロカプセルと添加量と共に、表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として用い、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0096】
〔実施例3〕
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、50℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を15分間混練し、ゴムコンパウンドAを調製した。
【表21】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて下記材料を15分間混練して、ゴムコンパウンドBを調製した。
【表22】

上記のゴムコンパウンドを、実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗は9.1×10Ωであった。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を、用いた熱膨張性マイクロカプセルと添加量と共に、表27に示す。得られた導電性部材を帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0097】
〔実施例4〕
予め、熱膨張性マイクロカプセル3を110℃の循風乾燥機で15分間加熱処理することで、中空粒子3を得た。
【表23】

上記材料を混合し、窒素雰囲気下70℃で3時間反応させてNCO=7.6%のプレポリマーを得た。
【表24】

上記の配合組成物を120℃で加熱溶融し、1〜2分間混合し、導電性基体をセットした円筒金型に流し込んで、110℃で30分硬化させた後、金型から取り出して110℃で4時間アフターキュアーして、弾性層付きの導電性基体を得た。
上記により得られた弾性層付きの導電性基体に、実施例1と同様にして表面層を設けることにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗は8.3×10Ωであった。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を、用いた熱膨張性マイクロカプセルと添加量と共に、表27に示す。得られた導電性部材を帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0098】
〔実施例5,9,13〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を設け、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0099】
〔実施例6,10〜11,14〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例2と同様にして弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を設け、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0100】
〔実施例7,15〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例3と同様にして弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を設け、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0101】
〔実施例8,12,16〕
熱膨張性マイクロカプセル3を実施例8では熱膨張性マイクロカプセル12に、実施例12では熱膨張性マイクロカプセル21に、実施例16では熱膨張性マイクロカプセル29にかえ、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を設け、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。
得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0102】
〔実施例17〕
弾性層用のコンパウンド作製にあたり、まず、80℃に調節した密閉型ミキサーにて下記材料を15分間混練し、ゴムコンパウンドAを調製した。
【表25】

次に、20℃に冷却した二本ロール機にて下記材料を15分間混練して、ゴムコンパウンドBを調製した。
【表26】

上記のゴムコンパウンドを、実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗は1.0×10Ωであった。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を、用いた熱膨張性マイクロカプセルと添加量と共に、表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0103】
〔実施例18〜22〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0104】
〔実施例23,27〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0105】
〔実施例24,28〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例2と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0106】
〔実施例25〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例3と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0107】
〔実施例26〕
熱膨張性マイクロカプセル3を熱膨張性マイクロカプセル59にかえ、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0108】
〔実施例29〜32〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0109】
〔実施例33〜35〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表27に示すものにかえた以外は、実施例33では実施例1と同様に、実施例34では実施例2と同様に、実施例35では実施例3と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表27に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表29に示す。
【0110】
〔実施例36〕
熱膨張性マイクロカプセル3を熱膨張性マイクロカプセル31にかえ、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0111】
〔実施例37〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0112】
〔実施例38〜39〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は、実施例38では実施例2と同様に、実施例39では実施例3と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0113】
〔実施例40〜42〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0114】
〔実施例43〜44〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0115】
〔実施例45〜46〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0116】
〔実施例47〜49〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は、実施例47では実施例1と同様に、実施例48では実施例2と同様に、実施例49では実施例3と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0117】
〔実施例50〕
熱膨張性マイクロカプセル3を熱膨張性マイクロカプセル61にかえ、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0118】
〔実施例51〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0119】
〔実施例52〜53〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は、実施例52では実施例2と同様に、実施例53では実施例3と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0120】
〔実施例54〜56〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0121】
〔実施例57〜58〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0122】
〔実施例59〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0123】
〔実施例60〜61〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0124】
〔実施例62〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例2と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0125】
〔実施例63〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0126】
〔実施例64〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例3と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0127】
〔実施例65〕
熱膨張性マイクロカプセル3を熱膨張性マイクロカプセル50にかえ、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0128】
〔実施例66〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例1と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0129】
〔実施例67〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0130】
〔実施例68〕
熱膨張性マイクロカプセル、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例17と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0131】
〔比較例1〕
熱膨張性マイクロカプセル3を熱膨張性マイクロカプセル64にかえ、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0132】
〔比較例2〕
熱膨張性マイクロカプセル3 10質量部をカーボンブラック(商品名:#52、三菱化学株式会社製) 15質量部にかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0133】
〔比較例3〕
熱膨張性マイクロカプセル3を熱膨張性マイクロカプセル65にかえ、添加部数を表28に示すものにかえた以外は実施例4と同様にして成型・加工し、弾性層付きの導電性基体を得た。得られた弾性層付きの導電性基体に実施例1と同様にして表面層を形成することにより、導電性部材を得た。得られた導電性部材の電気抵抗の測定結果を表28に示す。得られた導電性部材を電子写真装置の帯電部材として実施例1と同様にして評価した。評価結果を表30に示す。
【0134】
【表27】

【0135】
【表28】

【0136】
【表29】

【0137】
【表30】

【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の導電性部材は、電子写真装置に用いられる帯電部材の他、現像部材、転写部材、清掃部材等、電気抵抗値の制御が必要な部材に使用可能である。
【符号の説明】
【0139】
1 導電性基体
2 弾性層
3 表面層
4 感光体
5 帯電部材(帯電ローラ)
6 現像ローラ
7 印刷メディア
8 転写ローラ
9 定着部
10 クリーニングブレード
11 露光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体及び弾性層を有する導電性部材であって、
該弾性層は、
イオン導電ゴムと、
電子導電剤及び樹脂を含有するシェルを有する中空粒子と、
を含むことを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記電子導電剤は、下記式1、式2及び式3で示される化合物からなる群から選ばれる1つ又は複数の化合物によって表面処理されている請求項1に記載の導電性部材。
【化1】

(式1中、Xはアルコキシ基を示し、Yはアリル基、グリシドキシ基、メタクリル基、ビニル基又はメルカプト基を示し、Rはエチレン基又はプロピレン基を示す。kは0又は1の整数を示し、lは0又は1の整数を示す。)
【化2】

(式2中、R及びRは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、mは1〜3の整数を示す。)
【化3】

(式3中、R及びRは各々独立にアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、nは1〜3の整数を示す。)。
【請求項3】
前記電子導電剤がカーボンブラック及び金属酸化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記シェルが樹脂として、ポリ塩化ビニリデン及びポリウレタンから選ばれる何れか一方又は両方を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性部材。
【請求項5】
前記弾性層が、イオン導電ゴムとして、下記(1)〜(4)の化合物群から選ばれる1つ又は複数のイオン導電ゴムを含む請求項1〜4の何れか一項に記載の導電性部材:
(1)エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドからなる共重合体、
(2)エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、
(3)エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルからなる共重合体、
(4)ポリエーテルウレタン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−234092(P2012−234092A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103605(P2011−103605)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】