説明

導電性酸化物及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜

【課題】インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に高い光透過性及び十分に低い抵抗率を有する導電性酸化物を提供すること。
【解決手段】酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物と、前記インジウムスズ複合酸化物にドープされたアンチモンとを含有する導電性酸化物であって、前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が2.6〜47.2at%であり、且つ、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率が2.7〜14.5at%であることを特徴とする導電性酸化物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性酸化物及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜に関する。より詳しくは、本発明は、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子、プラズマ発光表示素子、太陽電池等の透明電極、赤外線吸収反射膜、防曇膜、電磁遮蔽膜等を構成する材料として有用な導電性酸化物及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明導電膜の材料として、酸化スズにアンチモンをドープしてなるアンチモンスズ複合酸化物(ATO)、酸化亜鉛にアルミニウムをドープしてなるアルミニウム亜鉛複合酸化物(AZO)、酸化インジウムにスズをドープしてなるインジウムスズ複合酸化物(ITO)等が知られている。これらの中でもITO膜はATO膜、AZO膜に比べて導電率が高く、また可視光領域における光透過率が高いことから、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子等の透明電極として広く使用されている。
【0003】
しかしながら、ITO膜はインジウムの含有量が高いために材料コストが高いという問題があったことから、インジウムの含有量が少ない導電性酸化物が検討されており、例えば、特開平7−335031号公報(特許文献1)には、ドーパントとして酸化スズ、酸化チタン及び酸化ジルコニウムのうちの少なくとも1種を含む酸化インジウム系粉末と、ドーパントとして酸化アンチモン、酸化タンタル及び酸化ニオブのうちの少なくとも1種を含む酸化スズ系粉末との混合物を焼成して得られる導電性酸化物が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような導電性酸化物においては、インジウムの含有量の低減を図ることは可能となるものの、このような導電性酸化物を用いて得られる透明電極は導電性(低抵抗率)の点で未だ十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−335031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に高い光透過性及び十分に低い抵抗率を有する導電性酸化物及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特開平7−335031号公報に記載のような酸化スズの含有量の比率が低い(10質量%未満)インジウムスズ複合酸化物粉末と、ドーパントとして酸化アンチモンを含む酸化スズ系粉末との混合物を焼成して得られるものは導電性の点で不十分なものであるのに対し、酸化スズの含有量の比率が高い(10質量%以上)インジウムスズ複合酸化物粉末と、酸化アンチモン粉末とを特定の割合で混合してなる混合酸化物粉末を焼成することにより得られる、スズの含有量の原子比率が高いインジウムスズ複合酸化物と、前記インジウムスズ複合酸化物にドープされた特定量のアンチモンとを含有する導電性酸化物は、驚くべきことに、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に高い光透過性及び十分に低い抵抗率を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の導電性酸化物は、酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物と、前記インジウムスズ複合酸化物にドープされたアンチモンとを含有する導電性酸化物であって、前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率8.8〜46.5at%であり、且つ、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモン含有量の原子比率が2.7〜14.5at%であることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の導電性酸化物においては、前記導電性酸化物が前記インジウムスズ複合酸化物中の酸化スズとは別の第2の酸化スズを更に含有していてもよく、このような場合、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率が2.6〜47.2at%であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の導電性酸化物においては、酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物粉末と、酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成してなる導電性酸化物であって、前記インジウムスズ複合酸化物粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であり、且つ、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率が3〜15質量%であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の導電性酸化物においては、前記混合酸化物粉末が酸化スズ粉末を更に含有していてもよく、このような場合、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化スズ粉末の含有量の比率が3〜50質量%であることが好ましい。
【0012】
本発明の導電性酸化物の製造方法は、酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物粉末と、酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成して導電性酸化物を得る導電性酸化物の製造方法であって、前記インジウムスズ複合酸化物粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であり、且つ、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率が3〜15質量%であることを特徴とする方法である。
【0013】
また、本発明の導電性酸化物の製造方法においては、前記混合酸化物粉末が酸化スズ粉末を更に含有していてもよく、このような場合、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化スズ粉末の含有量の比率が3〜50質量%であることが好ましい。
【0014】
本発明の透明導電膜は、前記導電性酸化物を含有することを特徴とするものである。
【0015】
なお、本発明の導電性酸化物において、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に低い抵抗率を達成できる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかるインジウムスズ複合酸化物(ITO)においては、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.8〜46.5at%であり(酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であり)、一般的なITOと比較してスズの含有量の原子比率が高いため、インジウムの含有量の低減を図ることができる。また、ITOにおいては、このように酸化スズの含有量の比率が高い場合には、酸化インジウムに過剰にドープされた4価のスズがキャリアをトラップしてしまうために導電性が低下することから、一般的には、酸化スズの含有量の比率は10質量%未満としているが、本発明のようにITOに対しアンチモンをドープする場合には、過剰にドープされた4価のスズに5価のアンチモンが置換固溶して新たにキャリアが生成するために、酸化スズの含有量の比率を高くすることによる導電性の低下が抑制される。そのため、本発明の導電性酸化物においては、ITO中のインジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に低い抵抗率を達成できるものと本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に高い光透過性及び十分に低い抵抗率を有する導電性酸化物及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1で得られた導電性酸化物のターゲットのX線マイクロアナライザによる元素マッピングの解析結果をディスプレイ上に表示した画像を示す写真である。
【図2】実施例1〜2及び比較例1〜5で得られた導電性酸化物のターゲットのX線回折スペクトルを示すグラフである。
【図3】実施例5及び比較例10で得られた透明導電膜における測定波長と透過率との関係を示すグラフである。
【図4】実施例6及び比較例10で得られた透明導電膜における測定波長と透過率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0019】
先ず、本発明の導電性酸化物及びその製造方法について説明する。すなわち、本発明の導電性酸化物は、酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物と、前記インジウムスズ複合酸化物にドープされたアンチモンとを含有する導電性酸化物であって、前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.8〜46.5at%であり、且つ、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率が2.7〜14.5at%であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明にかかるインジウムスズ複合酸化物は、酸化インジウム及び酸化スズからなる複合酸化物であり、いわゆるITOのことをいう。そして、前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率は8.8〜46.5at%であることが必要であり、10〜15at%であることがより好ましい。また、前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.8〜46.5at%あることは、前記インジウムスズ複合酸化物中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であることに相当する。前記スズの含有量の原子比率が46.5at%を超えると、得られる導電性酸化物の導電性が不十分となり、他方、前記スズの含有量の原子比率が8.8at%未満では、導電性向上へのアンチモンの寄与が低下する。
【0021】
本発明の導電性酸化物は、前記インジウムスズ複合酸化物と、前記インジウムスズ複合酸化物にドープされたアンチモンとを含有するものであり、例えば、前記インジウムスズ複合酸化物粉末と前記酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成することにより製造することができる。そして、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率は2.7〜14.5at%であることが必要であり、4.6〜9.2at%であることがより好ましい。また、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率が2.7〜14.5at%であることは、前記導電性酸化物中の酸化インジウム、酸化スズ及び酸化アンチモンの合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率が3〜15質量%であることに相当する。前記アンチモンの含有量の原子比率が2.7at%未満では、混合酸化物粉末中の酸化アンチモンの含有量が不足するため、得られる導電性酸化物の導電性が不十分となり、他方、前記アンチモンの含有量の原子比率が14.5at%を超えると、得られる導電性酸化物において酸化アンチモンの結晶相が生ずるため、得られる導電性酸化物の導電性が不十分となる。
【0022】
前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びスズの合計量の原子比率は85.5〜97.3at%であることが好ましく、90.8〜95.4at%であることがより好ましい。また、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びスズの合計量の原子比率が85.5〜97.3at%であることは、前記導電性酸化物中の酸化インジウム、酸化スズ及び酸化アンチモンの合計量に対する前記インジウムスズ複合酸化物の含有量の比率が85〜97質量%であることに相当する。前記インジウム及びスズの合計量の原子比率が85.5at%未満では、酸化アンチモンの結晶相が生ずるため、得られる導電性酸化物の導電性が不十分となる傾向にあり、他方、前記インジウム及びスズの合計量の原子比率が97.3at%を超えると、導電性酸化物中の酸化アンチモンの含有量が不足するため、得られる導電性酸化物の導電性が不足しやすくなる傾向にある。
【0023】
また、本発明の導電性酸化物においては、前記導電性酸化物が前記インジウムスズ複合酸化物中の酸化スズとは別の第2の酸化スズを更に含有していてもよい。また、前記第2の酸化スズにアンチモンがドープされてアンチモンスズ複合酸化物(ATO)となっていてもよい。このような導電性酸化物は、例えば、前記インジウムスズ複合酸化物粉末及び前記酸化アンチモン粉末に更に酸化スズ粉末を混合してなる混合酸化物粉末を焼成することにより製造することができる。
【0024】
前記第2の酸化スズを更に含有する場合においては、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率は2.6〜47.2at%であることが好ましく、10〜15at%であることがより好ましい。また、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率が2.6〜47.2at%であることは、前記導電性酸化物中の酸化インジウム、酸化スズ及び酸化アンチモンの合計量に対する前記第2の酸化スズの含有量の比率が3〜50質量%であることに相当する。前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率が前記下限未満では、導電性向上へのアンチモンの寄与が低下する傾向にあり、他方、前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率が前記上限を超えると、得られる導電性酸化物の導電性が不十分となる傾向にある。
【0025】
また、前記第2の酸化スズを更に含有する場合においては、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記インジウム及び前記インジウムスズ複合酸化物に由来するスズの合計量の原子比率は50.1〜94.7at%であることが好ましく、75.8〜85.4at%であることがより好ましい。また、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記インジウム及び前記インジウムスズ複合酸化物に由来するスズの合計量の原子比率が50.1〜94.7at%であることは、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記インジウムスズ複合酸化物粉末の含有量の比率が45〜94質量%であることに相当する。前記インジウム及び前記インジウムスズ複合酸化物に由来するスズの合計量の原子比率が50.1at%未満では、導電性向上へのアンチモンの寄与が低下する傾向にあり、他方、前記インジウム及び前記インジウムスズ複合酸化物に由来するスズの合計量の原子比率が94.7at%を超えると、導電性酸化物中の酸化アンチモンの含有量が不足するため、得られる導電性酸化物の導電性が不足しやすくなる傾向にある。
【0026】
本発明の導電性酸化物は、例えば、以下説明する本発明の導電性酸化物の製造方法により製造することが可能となる。すなわち、本発明の導電性酸化物の製造方法は、酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物粉末と、酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成して導電性酸化物を得る導電性酸化物の製造方法であって、前記インジウムスズ複合酸化物粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であり、且つ、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率が3〜15質量%であることを特徴とする方法である。
【0027】
本発明に用いるインジウムスズ複合酸化物粉末は、酸化インジウム及び酸化スズからなる複合酸化物の粉末であり、いわゆるITO粉末のことをいう。そして、前記インジウムスズ複合酸化物粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率は10〜50質量%であることが必要であり、5〜15質量%であることがより好ましい。前記酸化スズの含有量の比率を前記範囲内とすることにより、本発明の導電性酸化物における前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率を前記範囲内とすることができる。
【0028】
前記インジウムスズ複合酸化物粉末の平均粒子径は、10μm以下(例えば0.1〜10μmの範囲)であることが好ましい。平均粒子径が10μmを超えると、インジウムスズ複合酸化物粉末と酸化アンチモン粉末とを均一に混合しにくくアンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末へのドープが低下する傾向にある。また、前記インジウムスズ複合酸化物粉末の比表面積は、100m/g以下(例えば1〜100m/gの範囲)であることが好ましい。比表面積が100m/gを超えると、インジウムスズ複合酸化物粉末と酸化アンチモン粉末とを均一に混合しにくくアンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末へのドープが低下する傾向にある。
【0029】
本発明に用いる酸化アンチモン粉末としては、平均粒子径が50μm以下(例えば0.1〜50μmの範囲)であるものが好ましい。平均粒子径が50μmを超えると、インジウムスズ複合酸化物粉末と酸化アンチモン粉末とを均一に混合しにくくアンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末へのドープが低下する傾向にある。また、前記酸化アンチモン粉末の比表面積は、100m/g以下(例えば1〜100m/gの範囲)であることが好ましい。比表面積が100m/gを超えると、インジウムスズ複合酸化物粉末と酸化アンチモン粉末とを均一に混合しにくくアンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末へのドープが低下する傾向にある。
【0030】
前記インジウムスズ複合酸化物粉末と前記酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成することにより本発明の導電性酸化物を製造することができる。そして、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率は3〜15質量%であることが必要であり、5〜10質量%であることがより好ましい。前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率を前記範囲内とすることにより、本発明の導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率を前記範囲内とすることができる。
【0031】
前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記インジウムスズ複合酸化物粉末の含有量の比率は、85〜97質量%であることが好ましく、90〜95質量%であることがより好ましい。前記インジウムスズ複合酸化物粉末の含有量の比率を前記範囲内とすることにより、本発明の導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びスズの合計量の原子比率を前記範囲内とすることができる。
【0032】
また、本発明の導電性酸化物においては、前記混合酸化物粉末が酸化スズ粉末を更に含有していてもよい。
【0033】
前記酸化スズ粉末としては、平均粒子径が50μm以下(例えば0.1〜50μmの範囲)であるものが好ましい。平均粒子径が50μmを超えると、インジウムスズ複合酸化物粉末及び酸化アンチモン粉末と酸化スズ粉末を均一に混合しにくくアンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末および酸化スズ粉末へのドープが低下する傾向にある。また、前記スズ粉末の比表面積は、100m/g以下(例えば1〜100m/gの範囲)であることが好ましい。比表面積が100m/gを超えると、インジウムスズ複合酸化物粉末及び酸化アンチモン粉末と酸化スズ粉末を均一に混合しにくくアンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末および酸化スズ粉末へのドープが低下する傾向にある。
【0034】
前記混合酸化物粉末が前記酸化スズ粉末を更に含有する場合においては、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化スズ粉末の含有量の比率は3〜50質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。前記スズ粉末の含有量の比率を前記範囲内とすることにより、本発明の導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率を前記範囲内とすることができる。
【0035】
また、前記混合酸化物粉末が前記酸化スズ粉末を更に含有する場合においては、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記インジウムスズ複合酸化物粉末の含有量の比率は45〜94質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましい。前記インジウムスズ複合酸化物粉末の含有量の比率を前記範囲内とすることにより、本発明の導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記インジウム及び前記インジウムスズ複合酸化物に由来するスズの合計量の原子比率を前記範囲内とすることができる。
【0036】
前記混合酸化物粉末を混合する方法としては、乳鉢、ニーダー、ブレンダー、ボールミル、ピンミル、サンドミル、高速攪拌機、ペイントシェーカー、ビーズミル等を用いた公知の混合方法を採用することができる。また、前記混合酸化物粉末を焼成する方法としては、適宜公知の方法を採用することができる。例えば、大気中又は不活性若しくは弱還元性の雰囲気中で前記混合酸化物粉末を焼成することが好ましい。また、焼成温度は300〜1000℃であることが好ましく、500〜800℃であることがより好ましい。焼成温度が前記下限未満では、酸化アンチモンのインジウムスズ複合酸化物粉末への拡散が不十分となりやすく、また得られる導電性酸化物が十分に結晶化されていないために導電性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、酸化アンチモンの揮発、及び、酸化により生成した五酸化アンチモンの分解が進行してドープされるアンチモンが低下する傾向にある。さらに、焼成時間は特に限定されないが、2〜8時間であることが好ましい。
【0037】
次に、本発明の透明導電膜について説明する。すなわち、本発明の透明導電膜は、前記導電性酸化物を含有することを特徴とするものである。また、本発明の透明導電膜は、例えば、前記導電性酸化物を成膜することにより製造することができる。本発明の前記透明導電膜は、前記導電性酸化物を用いて成膜されるため、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に低い抵抗率を有するものとなる。そのため、本発明の前記透明導電膜は、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子、プラズマ発光表示素子、太陽電池等の透明電極、赤外線吸収反射膜、防曇膜、電磁遮蔽膜等として有用である。
【0038】
前記導電性酸化物を成膜する方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的成膜方法、熱スプレー法、ディップコート法、CVD法等の化学的成膜方法を採用することができる。これらの中でも、十分な導電性を有する透明電極を形成しやすいという観点から、スパッタリング法を採用することが好ましい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度、並びに透明導電膜の体積抵抗率及び透過率はそれぞれ以下の方法により測定した。
【0040】
(i)ターゲットの電気伝導度
JIS K7194に記載の方法に準拠してターゲットの電気伝導度を測定した。すなわち、ターゲットに4本の金線を電気的に接続させ銀ペーストで固定したものを試料とし、体積抵抗率計(ビー・エー・エス株式会社製、製品名「四端子電気伝導度計」)を用いてターゲットの電気伝導度を測定した。なお、測定はそれぞれ2つ以上の試料について行い、その平均値を算出した。
【0041】
(ii)透明導電膜の体積抵抗率
JIS K7194に記載の方法に準拠して透明導電膜の体積抵抗率を測定した。すなわち、透明導電膜に4本の金線を電気的に接続させ銀ペーストで固定したものを試料とし、体積抵抗率計(ビー・エー・エス株式会社製、製品名「四端子電気伝導度計」)を用いて透明導電膜の体積抵抗率を測定した。
【0042】
(iii)透明導電膜の透過率
透明導電膜の200〜900nmの波長領域の光の透過率を、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名「U−3310」)を用いて測定した。
【0043】
(実施例1〜2、比較例1〜5)
実施例1においては、先ず、ITO粉末(DOWAハイテック社製、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率:13.3at%、ITO粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率:15質量%)95質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びスズの合計量の原子比率で95.4at%に相当)と、Sb粉末(酸化アンチモン(III)、和光純薬社製、純度:99.9%)を5質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率で4.6at%に相当)とを混合して混合酸化物粉末を得た後に、圧粉成型してペレット(直径:6mm、高さ:10mm)を得た。その後、得られたペレットを大気中にて温度500℃で3時間焼成して導電性酸化物からなるターゲットを得た。そして、得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定した。得られた結果を表1に示す。また、X線マイクロアナライザ(日本電子社製、製品名「電子プローブマイクロアナライザ JXA−8200型」)を用いて、得られた導電性酸化物のターゲットの元素マッピングを行った。得られた結果を図1に示す。図1中の画像SLは全ての元素の元素マッピングの解析結果を示し、図1中の画像Oは酸素の元素マッピングの解析結果を示し、図1中の画像Snはスズの元素マッピングの解析結果を示し、図1中の画像Inはインジウムの元素マッピングの解析結果を示し、図1中の画像Sbはアンチモンの元素マッピングの解析結果を示す。図1に示す結果からも明らかなように、アンチモンがスズと同様にインジウム中に均一に分布していることから、アンチモンがスズと同様に酸化インジウムにドープされていることが確認された。
【0044】
また、実施例2及び比較例1〜5においては、実施例1のITO粉末及びSb粉末との混合比率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして導電性酸化物からなるターゲットを得た。そして、実施例2及び比較例1〜5で得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の導電性酸化物からなるターゲット(実施例1〜2)の電気伝導度は、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が13.3at%(ITO粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が15質量%)のITO粉末からなる導電性酸化物のターゲット(比較例5)の電気伝導度よりも高いことが確認された。従って、本発明の導電性酸化物(実施例1〜2)は、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に低い抵抗率を有することが確認された。
【0047】
また、実施例1〜2及び比較例1〜5で得られた導電性酸化物からなるターゲットを試料として、X線回折装置(リガク社製)を用いて、試料のX線回折スペクトルを測定した。得られた結果を図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率が18.6at%以上(混合酸化物粉末の合計量に対するSb粉末の含有量の比率が20質量%以上)の導電性酸化物からなるターゲット(比較例1〜4)においてはSbのピークが確認されたのに対し、本発明の導電性酸化物からなるターゲット(実施例1〜2)のX線回折スペクトルにおいてはSbのピークは確認されなかった。これらの結果から、本発明の導電性酸化物からなるターゲット(実施例1〜2)においては、Sbが結晶相として存在しないで5価のアンチモンとしてITOにドープされているものと推察される。
【0048】
(実施例3〜4)
実施例3においては、ITO粉末(DOWAハイテック社製、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率:13.3at%、ITO粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率:15質量%)50質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びITOに由来するスズの合計量の原子比率で53.0at%に相当)と、Sb粉末(酸化アンチモン(III)、和光純薬社製、純度:99.9%)5質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率で4.8at%に相当)と、酸化スズ粉末(和光純薬社製、純度:98%)45質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する第2の酸化スズに由来するスズの合計量の原子比率で42.2at%に相当)とを混合して混合酸化物粉末を得た後に、圧粉成型してペレット(直径:6mm、高さ:10mm)を得た。その後、得られたペレットを大気中にて温度500℃で3時間焼成して導電性酸化物からなるターゲットを得た。そして、得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定したところ、電気伝導度は1638mSであった。
【0049】
また、実施例4においては、焼成温度を800℃に変更した以外は、実施例3と同様にして導電性酸化物のターゲットを得た。そして、得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定したところ、電気伝導度は2000mSを超える値であった。
【0050】
(比較例6〜8)
比較例6においては、先ず、ITO粉末(三井金属株式会社製、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率:8.3at%、ITO粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率:9.4質量%)90質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びスズの合計量の原子比率で90.8at%に相当)と、Sb粉末(酸化アンチモン(III)、和光純薬社製、純度:99.9%)10質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率で9.17at%に相当)とを混合して混合酸化物粉末を得た後に、圧粉成型してペレット(直径:6mm、高さ:10mm)を得た。その後、得られたペレットを大気中にて温度500℃で3時間焼成して導電性酸化物からなるターゲットを得た。そして、得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0051】
また、比較例7〜8においては、比較例6のITO粉末及びSb粉末との混合比率を表2に示すように変更した以外は、比較例6と同様にして導電性酸化物からなるターゲットを得た。そして、比較例6〜8で得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0052】
【表2】

【0053】
表2に示した結果から明らかなように、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.3at%(ITO粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が9.4質量%)のITO粉末を用いた場合(比較例6〜8)においては、ITO粉末及びSb粉末を含有する混合酸化物からなる導電性酸化物のターゲット(比較例6〜7)の電気伝導度が、SnOの含有量の比率が9.4質量%のITO粉末からなる導電性酸化物からなるターゲット(比較例8)の電気伝導度よりも低いことが確認された。したがって、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.3at%未満の場合には、ITOにアンチモンがドープされたとしても導電性酸化物の電気伝導度は高くならずに逆に低下することが確認された。
【0054】
(比較例9)
ITO粉末(三井金属株式会社製、ITO中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率:8.3at%、ITO粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率:9.4質量%)50質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するインジウム及びITOに由来するスズの合計量の原子比率で52.9at%に相当)と、Sb粉末(酸化アンチモン(III)、和光純薬社製、純度:99.9%)5質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率で5.3at%に相当)と、酸化スズ粉末(和光純薬社製、純度:98%)45質量部(得られる導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する第2の酸化スズに由来するスズの合計量の原子比率で41.8at%に相当)とを混合して混合酸化物粉末を得た後に、圧粉成型してペレット(直径:6mm、高さ:10mm)を得た。その後、得られたペレットを大気中にて温度500℃で3時間焼成して導電性酸化物からなるターゲットを得た。そして、得られた導電性酸化物からなるターゲットの電気伝導度を測定したところ、電気伝導度は37mSであった。
【0055】
(実施例5〜6、比較例10)
実施例5においては、スパッタリング装置(ULVAC社製、製品名「CS−200」)を用い、ターゲットとしてITOターゲット(ULVAC社製、ITO中の酸化インジウムの含有量:90質量%)を用いて、スパッタリング法によりスパッタ電力DC100Wで回転したガラス基板(厚み:0.7mm、縦:50mm、横:50mm)上に室温で厚みが12nmのITO膜を形成し、更にITOターゲット(ULVAC社製、ITO中の酸化インジウムの含有量:90質量%)をスパッタ電力DC100Wで、ATOターゲット(三井金属鉱業社製、ITO中の酸化アンチモン(III)の含有量:10質量%)をスパッタ電力DC45Wで同時にスパッタリングして、回転した基板上に室温で厚みが136nmの透明導電膜を形成し、その後、大気中にて温度250℃で1時間焼成して透明導電膜付ガラス基板を得た。得られた透明導電膜付ガラス基板において、透明導電膜(下地のITO膜を除く)中における酸化インジウムの含有量は49質量%であり、酸化スズの含有量は47質量%であり、酸化アンチモンの含有量は4質量%であった。なお、透明導電膜においては、インジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.8at%以上のインジウムスズ複合酸化物が形成されており、酸化アンチモンは前記インジウムスズ複合酸化物にドープされているものと推察される。また、得られた透明導電膜付ガラス基板における透明導電膜の体積抵抗率を測定したところ、体積抵抗率は1280μΩcmであった。
【0056】
また、実施例6においては、透明導電膜を形成する際の基板温度を250℃とし、焼成を行わなかった以外は実施例5と同様にして透明導電膜付ガラス基板を得た。実施例6で得られた透明導電膜付ガラス基板における透明導電膜の体積抵抗率を測定したところ、体積抵抗率は1310μΩcmであった。さらに、比較例10においては、ターゲットとして実施例5でATOターゲット(三井金属鉱業社製、ITO中の酸化アンチモン(III)の含有量:10質量%)を使用せずにITOターゲット(ULVAC社製、ITO中の酸化インジウムの含有量:90質量%)のみを用いた以外は実施例5と同様にして透明導電膜付ガラス基板を得た。比較例10で得られた透明導電膜付ガラス基板における透明導電膜の体積抵抗率を測定したところ、体積抵抗率は1300μΩcmであった。
【0057】
また、実施例5及び比較例10で得られた透明導電膜付ガラス基板を試料として、透明導電膜の透過率を測定した。得られた結果を図3に示す。さらに、実施例6及び比較例10で得られた透明導電膜付ガラス基板を試料として、透明導電膜の透過率を測定した。得られた結果を図4に示す。図3及び4に示した結果から明らかなように、本発明の透明導電膜(実施例5〜6)においては、550nmの波長の光の透過度が80%以上であり、十分に高い透過性を達成していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明によれば、インジウムの含有量を低減させているにも拘らず、十分に高い光透過性及び十分に低い抵抗率を有する導電性酸化物及びその製造方法、並びにそれを用いた透明導電膜を提供することが可能となる。
【0059】
したがって、本発明の導電性酸化物は、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子、プラズマ発光表示素子、太陽電池等の透明電極、赤外線吸収反射膜、防曇膜、電磁遮蔽膜等を構成する材料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物と、前記インジウムスズ複合酸化物にドープされたアンチモンとを含有する導電性酸化物であって、前記インジウムスズ複合酸化物中のインジウム及びスズの合計量に対するスズの含有量の原子比率が8.8〜46.5at%であり、且つ、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対するアンチモンの含有量の原子比率が2.7〜14.5at%であることを特徴とする導電性酸化物。
【請求項2】
前記導電性酸化物が前記インジウムスズ複合酸化物中の酸化スズとは別の第2の酸化スズを更に含有しており、前記導電性酸化物中のインジウム、スズ及びアンチモンの合計量に対する前記第2の酸化スズに由来するスズの含有量の原子比率が2.6〜47.2at%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物。
【請求項3】
酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物粉末と、酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成してなる導電性酸化物であって、前記インジウムスズ複合酸化物粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であり、且つ、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率が3〜15質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性酸化物。
【請求項4】
前記混合酸化物粉末が酸化スズ粉末を更に含有しており、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化スズ粉末の含有量の比率が3〜50質量%であることを特徴とする請求項3に記載の導電性酸化物。
【請求項5】
酸化インジウム及び酸化スズからなるインジウムスズ複合酸化物粉末と、酸化アンチモン粉末とを混合してなる混合酸化物粉末を焼成して導電性酸化物を得る導電性酸化物の製造方法であって、前記インジウムスズ複合酸化物粉末中の酸化インジウム及び酸化スズの合計量に対する酸化スズの含有量の比率が10〜50質量%であり、且つ、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化アンチモン粉末の含有量の比率が3〜15質量%であることを特徴とする導電性酸化物の製造方法。
【請求項6】
前記混合酸化物粉末が酸化スズ粉末を更に含有しており、前記混合酸化物粉末の合計量に対する前記酸化スズ粉末の含有量の比率が3〜50質量%であることを特徴とする請求項5に記載の導電性酸化物の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の導電性酸化物を含有することを特徴とする透明導電膜。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−40270(P2011−40270A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186354(P2009−186354)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年2月18日 nano tech実行委員会主催の「nano tech 2009 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に出品
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、経済産業省委託研究「希少金属代替材料開発プロジェクト」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】