説明

導電性重合体フィルム、それを含んでなる集電体及びその製造方法

【課題】体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、金属箔との接着性及び耐有機溶剤性が優れる導電性重合体フィルムを提供する。
【解決手段】導電性重合体フィルムが、(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー20〜60質量部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、金属箔との接着性及び耐有機溶剤性が優れる導電性重合体フィルム、それを含んでなる集電体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池が電気自動車の電源をはじめとする種々のエレクトロニクス製品の電源として注目されている。アルミニウム箔、銅箔等の金属箔がリチウムイオン電池の集電体として使用されている。活性炭、導電剤、バインダー等が含まれる結合剤層が集電体の表面に形成されている。リチウムイオン電池の充放電を繰り返すと、導電剤の熱膨張及び収縮により、集電体と結合剤層の剥離が発生し、リチウムイオン電池の性能が低下する。そこで、樹脂による集電体表面の被覆により、集電体と結合剤層の剥離防止が試みられた。カーボンブラックを含有する電子伝導性ポリプロピレン層を負極側にコーティングしたアルミニウム箔を集電体に用いるバイポーラ電池が検討された(例えば、特許文献1参照)。ポリプロピレンはヘキサクロロベンゼン等の特殊な有機溶剤に高温で溶解されるが、沸点が200℃以下の炭化水素系溶剤に溶解されないので、ポリプロピレン溶液の乾燥は困難である。更に、ポリプロピレン層と集電体のリチウムイオン電池用有機溶剤系電解液中での接着性は低く、リチウムイオン電池組み立て時の振動等により、ポリプロピレン層と集電体は剥離しやすい。
【0003】
一方、酸変性ポリオレフィンと導電性フィラーからなる塗膜で金属集電体本体部をコーティングした集電体が検討された(例えば、特許文献2参照)。酸変性ポリオレフィンはリチウムイオン電池用有機溶剤系電解液中で膨潤し、上記塗膜と金属集電体は剥離しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−302616号公報
【特許文献2】特開平11−297332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、金属箔との接着性及び耐有機溶剤性が優れる導電性重合体フィルムが、リチウムイオン電池の集電体表面の被覆用途に求められているが、このような導電性重合体フィルムはこれまで見出されていなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、金属箔との接着性及び耐有機溶剤性が優れる導電性重合体フィルムの提供である。更に、本発明が解決しようとする別の課題は、上記導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してなる集電体及びその製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(1)(a)オレフィン系重合体、必要に応じて(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、(c)環状オレフィン樹脂及び(d)酸変性ポリオレフィンを含有してなる重合体成分と、(2)導電性フィラーとを含む導電性重合体フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
本発明は、(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー25〜60質量部とを含む導電性重合体フィルムを提供する。好ましい上記(a)オレフィン系重合体はエチレン−オクテン共重合体である。好ましい上記(2)導電性フィラーはカーボンブラックである。
本発明は、上記導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してなる集電体を提供する。
【0008】
本発明は、(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー25〜60質量部とを含む導電性重合体組成物を溶剤に溶解又は分散してなる溶液を金属箔上に塗工し、次いで乾燥する工程を実施する、集電体の製造方法を提供する。
【0009】
更に、本発明は、(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%からなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー25〜60質量部とを含む導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してカレンダー成形する工程を実施する、集電体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の導電性重合体フィルムの体積固有抵抗値は小さく、引裂き強さ等の機械的強度は高く、金属箔との接着性及び耐有機溶剤性は優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】集電体の正面図
【図2】第1図のA−A断面図
【図3】集電体のカレンダー成形を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の導電性重合体フィルムは、(a)オレフィン系重合体を含有する。当該(a)オレフィン系重合体は特定のオレフィン系重合体に限定されない。当該(a)オレフィン系重合体の具体例は、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンの共重合体等である。好ましい(a)オレフィン系重合体はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体であり、特に好ましい(a)オレフィン系重合体はエチレン−オクテン共重合体である。当該エチレン−オクテン共重合体は、エチレン単位と1−オクテン単位を含む鎖状オレフィン共重合体であり、市販されている。当該エチレン−オクテン共重合体の市販品の具体例は、ダウケミカル社製エンゲージ(登録商標)8003、8100/8107、8137、8150/8157、8180、8200/8207、8400/8407、8842、プライムポリマー(株)製モアテック(登録商標)0218CN、0218CM、0258CN、0438CN等である。
上記重合体成分中の上記オレフィン系重合体の含有割合は100〜55質量%である。
【0013】
本発明の導電性重合体フィルムは、必要に応じて、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を含有する。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物の具体例は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、 N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等である。中でも、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい芳香族ビニル化合物である。1種又は2種以上の芳香族ビニル化合物が使用される。
【0014】
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物の具体例は、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,3−オクタジエン等である。中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい共役ジエン化合物である。1種又は2種以上の共役ジエン化合物が使用される。
【0015】
(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物中に占める芳香族ビニル化合物単位の含有率は、通常、5〜80質量%、好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。
【0016】
芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の具体例は、芳香族ビニル化合物重合体ブロック(P)および共役ジエン重合体ブロック(Q)を含有し、かつブロック構造が(P−Q)nPまたは(P−Q)m(ただし、nは1以上の整数、好ましくは1〜10の整数、mは1以上の整数、好ましくは2〜10の整数)で表されるブロック共重合体である。(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の具体例は、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS);スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS);(それぞれ、S:スチレン、E:エチレン、B:ブテン、P:プロピレン、の略称)等である。中でも、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が特に好ましい。
【0017】
(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜1,000,000、さらに好ましくは10,000〜500,000の範囲である。
(b)芳香族ビニル−共役ジエン共重合体の水素添加物は、好ましくは、重合体鎖中の不飽和二重結合の80〜99.9モル%、より好ましくは90〜99.9モル%、更に好ましくは95〜99.9モル%が水素化されている。(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は市販されており、その具体例はクレイトンジャパン社製クレイトン(登録商標)G1650M、クレイトン(登録商標)G1657Mなどのクレイトン(登録商標)Gシリーズ;旭化成ケミカルズ株式会社製タフテック(登録商標)H1031、タフテック(登録商標)H1051などのタフテック(登録商標)Hシリーズ;クラレ株式会社製セプトン(登録商標)2002、セプトン(登録商標)2004などのセプトン(登録商標)シリーズ;等である。
【0018】
上記(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の上記重合体成分中の含有割合は、0〜45質量%である。(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物の含有割合が高すぎると、ピンホールが導電性重合体フィルムに発生する。
上記(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を含有させることにより、フィルムの引張り強さ及び引っ張り伸びを向上させることができる。
【0019】
本発明の導電性重合体フィルムは、必要に応じて(c)環状オレフィン樹脂を含有する。(c)環状オレフィン樹脂は、重合体の主鎖または側鎖に脂肪族炭化水素環構造を有する非結晶性の樹脂であり、その具体例としては、特開昭63−264646号公報、特開昭64−1705号公報、特開平1−168724号公報、特開平1−168725号公報などに開示されるノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体およびその水素添加物、特開昭60−168708号公報などに開示されるノルボルネン環を有するモノマーとα−オレフィン類との付加重合体、特開平6−136057号公報、特開平7−258362号公報などに開示されている環状オレフィンや環状ジエンの付加重合体およびその水素添加物などが挙げられる。これらの(c)環状オレフィン樹脂は市販されており、市販品の具体例は、日本ゼオン株式会社製ZEONEX(登録商標)、ZEONOR(ゼオノア:登録商標)、三井化学株式会社製APEL(登録商標)、APO(登録商標)、ポリプラスチック株式会社製TOPAS (登録商標)などである。これらのなかでも、フィルム形成性、耐薬品性などの観点からノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体およびその水素添加物が好ましく、とりわけノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体の水素添加物が好ましい。
【0020】
ノルボルネン環を有するモノマーとしては、エチレンとシクロペンタジエンの付加体である2環式オレフィンのノルボルネン、さらにシクロペンタジエンが付加した4環式オレフィンであるテトラシクロドデセン、シクロペンタジエンの2量体で3環式ジエンであるトリシクロデカジエン(ジシクロペンタジエンともいう)、その不飽和結合の一部を水素添加により飽和させた3環式オレフィンであるトリシクロデセン、シクロペンタジエンの3量体で5環式ジエンであるペンタシクロペンタデカジエン、その不飽和結合の一部を水素添加により飽和させた5環式オレフィンであるペンタシクロペンタデセン(2,3−ジヒドロジシクロペンタジエンともいう);およびこれらの置換体などが例示される。置換体としては、アルキル基、アルキリデン基または芳香族基などの極性基をもたない基により置換された誘導体または水素添加誘導体またはそれらから脱水素して得られる誘導体(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−オクタデシル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのノルボルネン誘導体、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シクロペンタジエノオクタヒドロナフタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアントラセンなどのテトラシクロドデセン誘導体など);ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などの極性基により置換された置換体(例えば、5−メトキシ−カルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなど);等が挙げられる。
ノルボルネン環を有するモノマーと付加共重合されるα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1などの狭義のオレフィンに加え、これらの一部をハロゲンなどの極性基で置換したオレフィン性モノマーが挙げられる。
【0021】
環状オレフィンとしては、シクロブテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロブテン、3,4−ジイソプロペニルシクロブテン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、シクロオクタテトラエン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィン、ならびに前記のノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合が一つのものが挙げられる。
【0022】
環状ジエンとしては、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンなどの単環ジエンや、前記のノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合を2個有するものが挙げられる。
【0023】
これらのモノマーのうち、極性基を有さないモノマーを全モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上の比率で用いると、得られる導電性重合体フィルムのエチレンカーボネートなどの薬品に対する耐性が優れたものとなる。
【0024】
さらに、上記の開環重合および付加重合いずれの場合も、それぞれの重合系に共重合可能な各種のモノマーを混合して共重合してもよい。共重合可能なモノマーの例としては、前記のノルボルネン環を有するモノマー、α−オレフィン、環状オレフィン、環状ジエンの他に、ブタジエンやイソプレンなどの直鎖または分岐のジエン類を挙げることができる。重合はランダムであっても、ブロック型であっても、交互型であってもよく、また、付加重合で1,2−付加と1,4−付加がある場合どちらが主であってもよいし、ほぼ同じ割合であってもよい。
【0025】
重合後の重合体に不飽和結合が残る場合、すなわちノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体または、環状ジエンの付加重合体などの場合は、残留する不飽和結合により、得られる導電性重合体フィルムの耐薬品性が低下するため、これを改良することを目的として、水素添加することにより不飽和結合の80%以上、好ましくは90%以上を飽和させることが好ましい。水素添加の方法および触媒については公知のものによればよい。
【0026】
重合体の分子量は、例えば、シクロヘキサンを溶媒としたゲルパーミエーション・クロマトグラフィーで測定されるポリイソプレン換算で数平均分子量(Mn)が好ましくは3,000〜500,000、より好ましくは8,000〜200,000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは8,000〜1,000,000である。
【0027】
重合後または水素添加反応後の重合体の溶液から触媒などの残査を公知の方法で除去または低減することが好ましい。溶剤を濾過法にて除去し、さらに加熱または真空加熱して取り除く方法や、沈殿凝集法で金属汚染物を除去した樹脂溶液を直接加熱または真空加熱して、溶剤を除去する方法などにより乾燥してもよい。その溶剤が本発明の導電性重合体フィルムを製造するのに適した溶剤である場合には、溶剤を除去せずに、または一部を除去して用いることもできる。また乾燥せずに溶剤をフィルム製造用溶剤で置換して用いることもできる。
【0028】
(c)環状オレフィン樹脂のガラス転移温度(以下、Tgということがある)は、モノマーの種類、共重合する場合のコモノマーの割合や、分子量、水素添加率などによって異なるが、導電性重合体フィルム用の樹脂として用いる場合、好ましくは−150〜+300℃、より好ましくは−120〜+200℃、特に好ましくは−100〜+120℃である。この範囲にあるときに、得られる導電性重合体フィルムの柔軟性、強度、耐熱性が高度にバランスして好ましい。なお、本発明においてTgは、示差走査型熱量計(DSC)によって測定された値である。
【0029】
上記重合体成分中の上記(c)環状オレフィン樹脂の含有割合は0〜30質量%である。上記(c)環状オレフィン樹脂の含有割合が高すぎると、フィルムにピンホールやワレなどの欠陥が発生し易くなる。上記(c)環状オレフィン樹脂を含有させることにより、フィルムの引張強さを向上させることができる。
上記重合体成分中の上記(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及び上記(c)環状オレフィン樹脂の含有量の合計は好ましくは15〜45質量%である。
【0030】
本発明の導電性重合体フィルムは、必要に応じて(d)酸変性ポリオレフィンを含有する。当該(d)酸変性ポリオレフィンは分子中にカルボキシル基を有するポリオレフィンであり、市販されている。当該(d)酸変性ポリオレフィンの市販品の具体例は、三井化学(株)製ユニストール、中央理化工業(株)製アクアテックス、住友精化(株)製セポルジョン、ザイクセン、CSMラテックス等である。
上記(d)酸変性ポリオレフィンの上記重合体成分中の含有割合は、0〜20質量%であり、好ましい当該含有割合は2〜10質量%である。上記(d)酸変性ポリオレフィンの含有割合が高すぎると、フィルムにピンホールが発生し易くなる。上記(d)酸変性ポリオレフィンを含有させることにより、フィルムの引張強さや引裂き強さを向上させることが出来る。
【0031】
本発明の導電性重合体フィルムには、上述した(a)、(b)、(c)、及び(d)の各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、(e)その他の重合体を含有させることができる。
(e)その他の重合体としては、ポリブタジエンなどの共役ジエン単独重合体;スチレン−ブタジエンランダム共重合体、アクリロニトリル−ブタジエンランダム共重合体などの、共役ジエン系共重合体;アクリルゴム;アクリル樹脂;エピクロロヒドリンゴム、ポリエチレンオキシドゴムなどのポリエーテルゴム;ポリフェニレンエーテルなどのポリエーテル樹脂;シリコーンゴム;シリコーン樹脂;フッ素ゴム;フッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリカーボネート;などが挙げられる。
(e)その他の重合体の配合量は、重合体成分全体の、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0032】
本発明の導電性重合体フィルムは、導電性フィラーを含有する。導電性フィラーの具体例は、カーボンブラック、グラファイト、粉末または繊維状の金属または金属酸化物等である。
【0033】
カーボンブラックの具体例は、コンダクティブファーネスブラック、スーパーコンダクティブファーネスブラック、エクストラコンダクティブファーネスブラックなどのファーネスブラック;コンダクティブチャンネルブラック;アセチレンブラック;等である。市販されているカーボンブラックの具体例は、コンチネックスCF(コンチネタルカーボン社製コンダクティブファーネスブラック)、ケッチェンブラックEC(ケッチェンブブラックインターナショナル社製コンダクティブファーネスブラック)、バルカンC(キャボット社製コンダクティブファーネスブラック)、BLACK PEARLS 2000(キャボット社製コンダクティブファーネスブラック)、デンカブラック(電気化学工業(株)社製アセチレンブラック)等である。カーボンブラックのDBP吸油量は300cm3/100g以上、BET表面積は500m2/g以上であることが好ましい。
【0034】
グラファイトの具体例は、鱗片状の天然黒鉛、人造黒鉛、グラファイトファイバー等である。
金属の具体例は、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ、バナジウムおよびそれらを2種以上含む任意の合金等である。
金属酸化物の具体例は、上記金属として例示したものの酸化物を例示することができる。具体的には、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウムおよび上記金属を2種以上含む任意の合金の酸化物等である。
【0035】
上記導電性フィラーを単独で、または少なくとも2種を組合せて使用できる。導電性フィラーの含有量は、上記重合体成分100質量部に対して25〜60質量部である。導電性フィラーの含有量が少なすぎる場合、フィルムの抵抗値が高すぎてフィルムの導電性が低くなる。一方、導電性フィラーの含有量が多すぎる場合、導電性重合体組成物をフィルム化できない。
【0036】
本発明の導電性重合体フィルムは、樹脂工業分野で通常使用される各種配合剤を含有し得る。
本発明の導電性重合体フィルムは安定剤を含有し得る。安定剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等である。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。これらの安定剤は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。安定剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、上記重合体成分100質量部に対して、通常0.001〜10質量部の範囲である。
【0037】
本発明の集電体は、本発明の導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してなる。金属箔を構成する金属は特に限定されないが、好ましいものの具体例はアルミニウム、銅、ニッケルである。本発明の導電性重合体フィルムの好ましい厚みは10〜50μmである。金属箔の好ましい厚みは5〜25μmである。更に、本発明の集電体の好ましい厚みは30〜60μmであり、本発明の集電体の特に好ましい厚みは45〜50μmである。
【0038】
本発明の導電性重合体フィルム及び集電体の製造方法は、特定の方法に限定されない。当該製造方法の1実施形態は、(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー20〜60質量部とを含む導電性重合体組成物を溶剤に溶解又は分散してなる溶液を基材又は金属箔上に塗工し、次いで乾燥する工程を実施する方法である。
【0039】
上記溶剤は、常温または加温下に上記オレフィン系重合体、任意に使用される芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、環状オレフィン樹脂及び酸変性ポリオレフィンを溶解する溶剤であり、特定の溶剤に限定されない。当該溶剤の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ノナン、デカン、デカリン、テトラリン、ドデカン、ガソリン、工業用ガソリンなどの飽和脂肪族および脂環式炭化水素化合物;等である。
【0040】
必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの軟化剤、老化防止剤などの配合剤を上記導電性重合体組成物に添加し得る。
【0041】
上記導電性重合体組成物を製造する方法は、予めオレフィン系重合体、導電性フィラー、および必要に応じて加える任意成分を混練する方法であり得るし、各成分を溶剤に溶解または分散させる方法であり得る。
【0042】
溶剤に添加する成分の濃度が低すぎる場合、十分な厚みの導電性重合体フィルムが得られず、逆に上記濃度が高すぎる場合、導電性重合体組成物の粘度が高くなりすぎ、導電性重合体フィルムの厚みが均一にならない。
【0043】
導電性重合体フィルムの製造方法を更に詳しく述べる。まず、必要に応じて、上記導電性重合体組成物中の塊状物及び未分散物をフィルターなどにより除去する。使用するフィルターの具体例は、糸状の繊維、金属などを網目状に織ったもの、微細な細穴を面状物に穿設加工したもの等である。
さらに、必要に応じて溶液に含まれる気泡を除去するために、脱泡を行う。脱泡方法の具体例は、真空法、超音波法等である。
【0044】
調製した溶液(分散液も含む)は、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、紙、ガラス板、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどの平滑な平面である離型性基材又は金属箔上に、バーコーター、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、ダイ・コートなどを用いて、またはスプレー、ハケ、ロール、スピンコート、デッピングなどにより厚さが均一になるように流延し、塗工する。1回の塗工で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗工し得る。
【0045】
その後、通常、30〜150℃程度で5〜180分間程度乾燥して溶剤を除去して、フィルム又は集電体を形成する。フィルムは、通常、基材より剥離するが、しなくとも良い。また、フィルムは、剥離後に再度乾燥又はアニールし得る。
【0046】
残留溶剤濃度は、上記溶剤の乾燥除去により、5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下にする。乾燥温度が溶剤の沸点以上、または沸点近傍だと、発泡が起こり、表面に凹凸が生じ得るので、乾燥温度は溶剤の特性に応じて決める。乾燥温度を溶剤の沸点より5℃以上、好ましくは10℃以上低い温度を目安として決定し、通常、塗工液を30〜150℃の範囲で沸点を考慮して乾燥する。
【0047】
本発明の集電体の製造方法の別の実施形態は、(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー20〜60質量部とを含む導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してカレンダー成形する方法である。上記導電性重合体フィルムは、上記されるフィルムの製造方法と同様にして、基材上に形成される。基材上に形成される上記導電性重合体フィルムと金属箔を積層し、得られた積層体を1対のロール等の加圧手段でカレンダー処理し、上記導電性重合体フィルムと金属箔を接着する。カレンダー処理後、通常、基材は上記導電性重合体フィルムより剥離するが、しなくとも良い。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下の実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。導電性重合体フィルムの(1)体積固有抵抗値、(2)引張り強度及び(3)引裂き強さの測定方法はそれぞれ以下のとおりである。
(1)体積固有抵抗値
5cm×5cmの試験片の表面抵抗値(Ω)を、抵抗計(日置電機株式会社製ミリオームハイテスタ 3540)を用いて23℃で測定した。
【0049】
(2)引張り強度
引張強度をJIS K 7127に従い、試験片タイプ2、幅20mm、200mm/min、23℃の条件で測定した。
(3)引裂き強さ
引裂き強さをJIS K 7128−1に従い、トラウザー引裂法により23℃で測定した。
【0050】
実施例1
表1に示す割合の配合成分を、エチレン−オクテン共重合体、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物及びカーボンブラックの合計質量の5倍量のシクロヘキサンに投入して分散液を得、更に、直径5mmの鋼球を当該配合成分と同じ質量分、得られた分散液に投入し、当該鋼球を投入した分散液をペイントシェイカー(株式会社東洋精機製作所製 試験用分散機)で120分間処理して、一様な塗料を作製した。得られた塗料を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に400μmギャップのドクターブレードを用いてキャストした。塗料を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを80℃のホットプレート上に30分間放置した後、100℃で1時間乾燥して導電性重合体フィルムを得た。当該フィルムから所定の試験片を切り出し、体積固有抵抗値、引張り強度及び引裂き強さを測定した。
【0051】
一方、上記塗料を、一部に厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムaが置かれた厚さ17μmのアルミニウム箔b上に400μmギャップのドクターブレードを用いてキャストした。塗料を塗布したアルミニウム箔bを80℃のホットプレート上に30分間放置した後、100℃で1時間乾燥し、アルミニウム箔bと導電性重合体フィルムcとが積層されている集電体を作製した(図1及び2)。短冊状の試験片を当該集電体から切り出し(図2の破線)、ポリエチレンテレフタレートフィルムaとアルミニウム箔bを空気中又はメチルエチルケトン中で引き剥がし、アルミニウム箔bと導電性重合体フィルムcとの接着性を下記基準に従って評価した。
A;アルミニウム箔bと導電性重合体フィルムcとの接着性が高く、導電性重合体フィルムcが切れる。
B;アルミニウム箔bと導電性重合体フィルムcとの接着性が低く、アルミニウム箔bと導電性重合体フィルムcが剥離する。
【0052】
更に、短冊状の上記試験片をジエチルカーボネートに24時間浸漬した後取り出し、表面の液滴を除去し、上記試験片の重量を測定し、導電性重合体フィルムcの耐有機溶剤性を下記基準に従って評価した。
A;上記試験片の重量増加率が5%未満であった。
B;上記試験片の重量増加率が5%以上であった。
各試験の結果を表1に示す。
【0053】
実施例2〜5及び7、比較例1〜3
配合成分の配合割合を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同一の操作を行った。結果を表1に示す。
【0054】
実施例6
配合成分の配合割合を表1に示すように変更し、導電性重合体フィルムの体積固有抵抗値、引張り強度及び引裂き強さを実施例1と同様に測定した。一方、塗料を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムa’を80℃のホットプレート上に30分間放置した後、100℃で1時間乾燥して、ポリエチレンテレフタレートフィルムa’と導電性重合体フィルムb’ とが積層されている積層体を作成した。その後、厚さ17μmのアルミニウム箔c’を当該積層体の導電性重合体フィルムb’と重ね、線圧3t/cm、ロール温度100℃、線速度1m/分の条件でカレンダー処理し、アルミニウム箔b’と導電性重合体フィルムc’ とが積層されている集電体を作製した(図3)。短冊状の試験片を当該集電体から切り出し、アルミニウム箔b’と導電性重合体フィルムc’ との接着性及び導電性重合体フィルムc’の耐有機溶剤性を実施例1と同様に測定した。各試験の結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
1)ダウケミカル社製エンゲージ(登録商標)8137
2)クレイトンジャパン社製クレイトン(登録商標)G1657M(スチレン含有量13質量%)
3)日本ゼオン(株)社製ZEONOR(登録商標)1060R
4)三井化学(株)製ユニストール(登録商標)H−100T
5)ケッチェンブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラック(登録商標)EC−600JD(DBP吸油量495cm3/100g、BET表面積1270m2/g)
【0057】
本発明の導電性重合体フィルムである実施例1〜7のフィルムの体積固有抵抗値は小さく、引張強さ及び引裂き強さは高く、アルミニウム箔との接着性及び耐有機溶剤性は優れていた。
オレフィン系重合体の含有量が少なすぎる比較例1の導電性重合体フィルムは多数のピンホールを有しており、当該フィルムの実用性がなかったので、当該フィルムの物性を測定しなかった。
オレフィン系重合体を含有せず、酸変性ポリオレフィンのみを樹脂成分とする比較例2の導電性重合体フィルムのメチルエチルケトン中でのアルミニウム箔との接着性は低かった。
オレフィン系重合体を含有せず、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物のみを樹脂成分とする比較例3の導電性重合体フィルムのメチルエチルケトン中でのアルミニウム箔との接着性及び耐有機溶剤性は低かった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の導電性重合体フィルムは、小さい体積固有抵抗値を有する。そのため、本発明の導電性導電性フィルムの代表的な用途の一例は、有機電解液を用いたリチウムイオン電池用集電体である。なお、最小構成単位である基本セルだけでなく、基本セルを複数直列に接続して出力電圧を上げたリチウムイオン電池、並列に接続して出力電流を上げたリチウムイオン電池、これらを組み合わせた電源もリチウムイオン電池に含める場合がある。
本発明の集電体は、本発明の導電性重合体フィルムと金属箔を溶媒キャスト法又はカレンダー成形法というありふれた方法で積層して作製される。そして、本発明の導電性重合体フィルムと金属箔の接着性は高く、本発明の導電性重合体フィルムの耐有機溶剤性も高いので、本発明の集電体と有機電解液を用いたリチウムイオン電池の寿命は長い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー25〜60質量部とを含む導電性重合体フィルム。
【請求項2】
上記(a)オレフィン系重合体がエチレン−オクテン共重合体である、請求項1に記載された導電性重合体フィルム。
【請求項3】
上記(2)導電性フィラーがカーボンブラックである、請求項1又は2に記載された導電性重合体フィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してなる集電体。
【請求項5】
(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー20〜60質量部とを含む導電性重合体組成物を溶剤に溶解又は分散してなる溶液を金属箔上に塗工し、次いで乾燥する工程を実施する、集電体の製造方法。
【請求項6】
(1)(a)オレフィン系重合体100〜55質量%、(b)芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物0〜45質量%、(c)環状オレフィン樹脂0〜30質量%及び(d)酸変性ポリオレフィン0〜20質量%を含有してなる重合体成分100質量部と、(2)導電性フィラー20〜60質量部とを含む導電性重合体フィルムと金属箔とを積層してカレンダー成形する工程を実施する、集電体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−8981(P2011−8981A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149538(P2009−149538)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】