説明

導電性高分子溶液、導電性塗膜および入力デバイス

【課題】ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い導電性塗膜を形成できる導電性高分子溶液を提供する。
【解決手段】本発明の導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、水溶性エポキシ樹脂と、導電性化合物と、溶媒とを含有し、水溶性エポキシ樹脂の含有量が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計を100質量%とした際の1〜500質量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、π共役系導電性高分子を含有する導電性高分子溶液および導電性塗膜に関する。また、タッチパネル等の入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、画像表示装置の上に設置される入力デバイスであり、少なくとも画像表示装置に重なる部分が透明になっている。
タッチパネルとしては、例えば、抵抗膜式タッチパネルが知られている。抵抗膜式タッチパネルにおいては、透明基材の片面に透明導電膜が形成された固定電極シートおよび可動電極シートが、透明導電膜同士が対向するように配置されている。電極シートの透明導電膜としては、インジウムドープの酸化錫の膜(以下、ITO膜という。)が広く使用されてきた。
透明基材の片面にITO膜が形成されたシート(以下、ITO膜形成シートという。)は可撓性が低く、固定しやすいため、画像表示装置側の固定電極シートとしては好適である。しかし、タッチパネルの入力者側の可動電極シートとして用いる場合には、繰り返し撓ませた際の耐久性が低いという問題を有していた。
そこで、タッチパネルの入力者側の可動電極シートとして、透明基材の片面に、π共役系導電性高分子を含む透明導電膜が形成された可撓性を有するシート(以下、導電性高分子膜形成シートという。)を用いることがある。
導電性高分子膜形成シートとしては、例えば、特許文献1に、π共役系導電性高分子と水溶性エポキシモノマーを含む組成物から形成した透明導電膜を透明基材上に有するものが開示されている。
【0003】
しかしながら、画像表示装置側の固定電極シートとしてITO膜形成シートを用い、タッチパネルの入力者側の可動電極シートとして特許文献1に記載の導電性高分子膜形成シートを用いた場合、すなわち異導体同士を接続する場合には、接触抵抗が大きく、入力感度の低下や座標入力時間の遅れ等の問題が生じることがあった。
その問題を解決するために、特許文献2では、π共役系導電性高分子を含む透明導電膜に金属イオンを添加することが提案されている。
ところが、特許文献2に記載の電極シートでも、ITO膜に対する接触抵抗が充分に小さくならなかった。そのため、特許文献2に記載の電極シートを抵抗膜式タッチパネルに適用した場合には、入力感度の低下および座標入力時間の遅れ等の動作不良が生じることがあった。
また、タッチパネル用の導電性高分子膜形成シートとしては、耐溶剤性が求められることがあるが、特許文献2に記載の透明導電膜は耐溶剤性が低いという問題を有していた。
以上のことから、ITO膜に対する接触抵抗を低くでき、しかも耐溶剤性を高くできる導電性高分子製の導電性塗膜の形成方法が求められていた。
【特許文献1】特開2005−146259号公報
【特許文献2】特開2007−172984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い導電性塗膜を形成できる導電性高分子溶液を提供することを目的とする。また、ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い導電性塗膜を提供することを目的とする。また、耐溶剤性に優れると共に動作不良が防止された入力デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の構成を有する。
[1] π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、水溶性エポキシ樹脂と、導電性化合物と、溶媒とを含有し、水溶性エポキシ樹脂の含有量が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計を100質量%とした際の1〜500質量%であることを特徴とする導電性高分子溶液。
「2」 エポキシ用硬化剤を含有することを特徴とする[1]に記載の導電性高分子溶液。
[3] ルイス酸を発生させるカチオン発生化合物を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の導電性高分子溶液。
[4] 窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物、シランカップリング剤、水溶性有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の高導電化剤を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性高分子溶液。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の導電性高分子溶液が塗布されて形成されたことを特徴とする導電性塗膜。
[6] [5]に記載の導電性塗膜を備えることを特徴とする入力デバイス。
【発明の効果】
【0006】
本発明の導電性高分子溶液は、ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い導電性塗膜を形成できる。
本発明の導電性塗膜は、ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い。
本発明の入力デバイスは、耐溶剤性に優れると共に動作不良が防止されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<導電性高分子溶液>
本発明の導電性高分子溶液は、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、水溶性エポキシ樹脂と、導電性化合物と、溶媒とを含有するものである。
【0008】
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性及び相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
【0009】
π共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。その中でも、導電性、耐熱性から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が好ましい。
【0010】
[ポリアニオン]
ポリアニオンとしては、例えば、置換若しくは未置換のポリアルキレン、置換若しくは未置換のポリアルケニレン、置換若しくは未置換のポリイミド、置換若しくは未置換のポリアミド、置換若しくは未置換のポリエステルであって、アニオン基を有する構成単位のみからなるポリマー、アニオン基を有する構成単位とアニオン基を有さない構成単位とからなるポリマーが挙げられる。
【0011】
ポリアルキレンとは、主鎖がメチレンの繰り返しで構成されているポリマーである。
ポリアルケニレンとは、主鎖に不飽和二重結合(ビニル基)が1個含まれる構成単位からなる高分子である。
ポリイミドとしては、ピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−[4,4’−ジ(ジカルボキシフェニルオキシ)フェニル]プロパン二無水物等の酸無水物と、オキシジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン等のジアミンとからのポリイミドを例示できる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等を例示できる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を例示できる。
【0012】
上記ポリアニオンが置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシ基等が挙げられる。有機溶媒への溶解性、耐熱性及び樹脂への相溶性等を考慮すると、アルキル基、ヒドロキシ基、フェノール基、エステル基が好ましい。
【0013】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、へキシル、オクチル、デシル、ドデシル等のアルキル基と、シクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のシクロアルキル基が挙げられる。
ヒドロキシ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したヒドロキシ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。ヒドロキシ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
アミノ基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したアミノ基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。アミノ基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
フェノール基としては、ポリアニオンの主鎖に直接又は他の官能基を介在して結合したフェノール基が挙げられ、他の官能基としては、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、アミド基、イミド基などが挙げられる。フェノール基は、これらの官能基の末端又は中に置換されている。
【0014】
置換基を有するポリアルキレンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピレン)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリスチレン等を例示できる。
ポリアルケニレンの具体例としては、プロペニレン、1−メチルプロペニレン、1−ブチルプロペニレン、1−デシルプロペニレン、1−シアノプロペニレン、1−フェニルプロペニレン、1−ヒドロキシプロペニレン、1−ブテニレン、1−メチル−1−ブテニレン、1−エチル−1−ブテニレン、1−オクチル−1−ブテニレン、1−ペンタデシル−1−ブテニレン、2−メチル−1−ブテニレン、2−エチル−1−ブテニレン、2−ブチル−1−ブテニレン、2−ヘキシル−1−ブテニレン、2−オクチル−1−ブテニレン、2−デシル−1−ブテニレン、2−ドデシル−1−ブテニレン、2−フェニル−1−ブテニレン、2−ブテニレン、1−メチル−2−ブテニレン、1−エチル−2−ブテニレン、1−オクチル−2−ブテニレン、1−ペンタデシル−2−ブテニレン、2−メチル−2−ブテニレン、2−エチル−2−ブテニレン、2−ブチル−2−ブテニレン、2−ヘキシル−2−ブテニレン、2−オクチル−2−ブテニレン、2−デシル−2−ブテニレン、2−ドデシル−2−ブテニレン、2−フェニル−2−ブテニレン、2−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、3−メチル−2−ブテニレン、3−エチル−2−ブテニレン、3−ブチル−2−ブテニレン、3−ヘキシル−2−ブテニレン、3−オクチル−2−ブテニレン、3−デシル−2−ブテニレン、3−ドデシル−2−ブテニレン、3−フェニル−2−ブテニレン、3−プロピレンフェニル−2−ブテニレン、2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−プロピル−2−ペンテニレン、4−ブチル−2−ペンテニレン、4−ヘキシル−2−ペンテニレン、4−シアノ−2−ペンテニレン、3−メチル−2−ペンテニレン、4−エチル−2−ペンテニレン、3−フェニル−2−ペンテニレン、4−ヒドロキシ−2−ペンテニレン、ヘキセニレン等から選ばれる一種以上の構成単位を含む重合体を例示できる。
【0015】
ポリアニオンのアニオン基としては、−O−SO、−SO、−COO(各式においてXは水素イオン、アルカリ金属イオンを表す。)が挙げられる。すなわち、ポリアニオンは、スルホ基及び/又はカルボキシ基を含有する高分子酸である。これらの中でも、π共役系導電性高分子へのドーピング効果の点から、−SO、−COOが好ましい。
また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンの主鎖に配置されていることが好ましい。
【0016】
上記ポリアニオンの中でも、溶媒溶解性及び導電性の点から、ポリイソプレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸を含む共重合体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレートを含む共重合体、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)を含む共重合体、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸を含む共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸を含む共重合体等が好ましい。
【0017】
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100,000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10,000個の範囲がより好ましい。
【0018】
ポリアニオンの含有量は、π共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲であることが好ましく、1〜7モルの範囲であることがより好ましい。ポリアニオンの含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。その上、溶媒への分散性及び溶解性が低くなり、均一な分散液を得ることが困難になる。また、ポリアニオンの含有量が10モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
【0019】
ポリアニオンは、π共役系導電性高分子に配位している。そのため、π共役系導電性高分子とポリアニオンとは複合体を形成している。
π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計の含有量は0.05〜5.0質量%であり、0.1〜4.0質量%であることが好ましい。π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計の含有量が0.05質量%未満であると、充分な導電性が得られないことがあり、5.0質量%を超えると、均一な導電性塗膜が得られないことがある。
【0020】
(水溶性エポキシ樹脂)
水溶性エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する化合物であって、25℃の水100gに対して1g以上溶解するものである。
水溶性エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレンオキシドフェノールグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
水溶性エポキシ樹脂の中でも、2個以上のエポキシ基を有するものが好ましい。
【0021】
水溶性エポキシ樹脂の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計100質量%に対して、1〜500質量%であり、10〜400質量%であることが好ましい。水溶性エポキシ樹脂の含有量が1質量%未満であると、導電性高分子溶液から得られる導電性塗膜の耐溶剤性が不足することがあり、500質量%を超えると、導電性高分子溶液から得られる導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、充分な導電性が得られない。
【0022】
(エポキシ用硬化剤)
導電性高分子溶液には、該導電性高分子溶液から得られる導電性塗膜の耐溶剤性がより高くなることから、エポキシ用硬化剤を含有することが好ましい。
エポキシ用硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、酸または酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族ポリアミン、直鎖状ジアミン、テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、ピペリジン、ピリジン、ベンジルジメチルアミン等の2級アミン類または3級アミン類、ダイマー酸とジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミンとを反応させて得たポリアミドアミンなどが挙げられる。
酸または酸無水物系硬化剤としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、デカンジカルボン酸等のポリカルボン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の芳香族無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の環状脂肪族酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリ(エチル)オクタデカン二酸)無水物等の脂肪族酸無水物などが挙げられる。
活性水素化合物としては、例えば、有機酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタンデシルイミダゾールなどが挙げられる。
ポリメルカプタン系硬化剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサチオグリコレート等のチオグリコール酸のエステルなどが挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、イソシアネート基をフェノール、アルコール、カプロラクトン等と反応させてブロックイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0023】
(カチオン発生化合物)
導電性高分子溶液は、エポキシ樹脂を迅速にかつ充分に硬化させる点で、カチオン発生化合物を含有することが好ましい。
カチオン発生化合物は、ルイス酸を発生させる化合物である。ここで、カチオン発生化合物の具体例としては、光カチオン開始剤、熱カチオン開始剤等が挙げられる。光カチオン開始剤と熱カチオン開始剤は併用しても構わない。
【0024】
光カチオン開始剤としては、例えば、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられる。これらは、カチオン部分が、芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウム等であり、アニオン部分が、(四フッ化ホウ素(BF)、六フッ化リン(PF)、六フッ化アンチモン(SbF)、[BX(ただし、Xは少なくとも2つ以上のフッ素またはトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基である。)等に構成されたオニウム塩である。
具体例としては、例えば、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジニウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等が挙げられる。
【0025】
光カチオン開始剤の市販品としては、CD−1012(サートマー社製)、PCI−019、PCI−021(日本化薬社製)、オプトマーSP−150、オプトマーSP−170(ADEKA社製)、UVI−6990(ダウケミカル社製)、CPI−100P、CPI−100A(サンアプロ社製)、TEPBI−S(日本触媒社製)、WPI−031、WPI−054、WPI−113、WPI−116、WPI−170(和光純薬工業社製)、イルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
光カチオン開始剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光カチオン開始剤としては、安定性、硬化性の点から、アニオン部位が六フッ化リン、カチオン部位がスルホニウム塩のものがより好ましい。
【0026】
熱カチオン開始剤としては、例えば、アデカオプトンCP−66、CP−77(ADEKA社製)、サンエイドSI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−180L(三新化学社製)、CI−2920、CI−2921、CI−2946、CI−2639、CI−2624、CI−2064(日本曹達社製)、FC−520(スリーエム社製)等が挙げられる。
熱カチオン開始剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
エポキシ用硬化剤とカチオン発生剤の合計の含有量は、水溶性エポキシ樹脂を100質量%とした際の0.1〜1000質量%であることが好ましく、1〜800質量%であることがより好ましい。エポキシ用硬化剤とカチオン発生剤の合計の含有量が0.1質量%以上であれば、水溶性エポキシ樹脂を充分に硬化でき、1000質量%以下であれば、導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜においてエポキシ樹脂の特性を充分に発揮できる。
【0028】
(導電性化合物)
導電性高分子溶液は、ITOに対する接触抵抗を小さくするために、導電性化合物を含有する。
導電性化合物としては、例えば、金属粒子、ハロゲン化銀、カーボン、導電性金属酸化物が挙げられる。また、還元剤を共存する場合には金属イオンも導電性化合物とする。これは、導電性塗膜を形成する際に、還元剤によって金属イオンが金属粒子を形成するためである。
【0029】
[金属粒子]
金属粒子を構成する金属種としては、例えば、銅、銀、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、金、白金、パラジウム、インジウム、鉛、鉄、コバルト、亜鉛、錫、ガリウムなどが挙げられる。これら金属は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
金属粒子は、平均粒子径が1nm以上100nm未満の粒子(金属ナノ粒子)であってもよいし、平均粒子径が100nm以上10μm以下の通常の金属粒子であってもよい。
金属粒子が金属ナノ粒子である場合には、金属としては、銀、金、ニッケル、銅、白金、パラジウム、インジウムよりなる群から選ばれる1種以上の金属が適している。
金属粒子の平均粒子径が1nm未満であると、該金属粒子の調製が困難になることがあり、10μmを超えると、導電性高分子溶液中での金属粒子の分散性が低下する傾向にある。
【0030】
金属粒子の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して0.01質量%以上5.0質量%未満であることが好ましく、0.05〜4.0質量%であることがより好ましい。金属粒子の含有量が0.01質量%未満であると、異導体接触における接触抵抗が充分に低下せず動作不良を起こすことがあり、5.0質量%以上であると、該導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜の透明性が低くなることがある。
【0031】
(ハロゲン化銀)
ハロゲン化銀としては、例えば、臭化銀、塩化銀、ヨウ化銀、フッ化銀等が挙げられる。これらハロゲン化銀は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。ハロゲン化銀の中でも、価格、反応性、還元されたときに発生するハロゲン化合物の酸化力を考慮すると臭化銀、塩化銀、ヨウ化銀が好ましい。
【0032】
ハロゲン化銀を構成する銀の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して0.001〜50質量%であることが好ましく、0.005〜40質量%であることがより好ましく、0.01〜30質量%であることが特に好ましい。ハロゲン化銀を構成する銀の含有量が0.001質量部未満であると、異導体接触における接触抵抗が充分に低下せず動作不良を起こすことがあり、50質量%を超えると、該導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜の透明性が低くなることがある。
【0033】
(カーボン)
カーボンとしては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられるが、導電性の点から、ファーネスブラックが好ましい。
カーボンブラックは、水への分散性が向上することから、表面にカルボキシ基を存在させて親水化したものが好ましい。
カーボンブラックは、炭素骨格を有することから、湿熱環境下における安定性に優れる。また、紫外線吸収能に優れるため、塗膜がカーボンブラックを含むことにより、紫外線劣化を防止できる。
【0034】
カーボンブラックの平均粒子径は0.01〜0.5μmであることが好ましい。カーボンブラックの平均粒子径が0.01μm以上であれば、取り扱い性に優れ、0.5μm以下であれば、カーボンブラックの分散性を容易に高めることができる。
【0035】
カーボンナノチューブとしては、例えば、単層カーボンナノチューブ、複数層のカーボンナノチューブが同心円状に重なった多層カーボンナノチューブ、これらがコイル状になったもの、または、カーボンナノチューブの片方の端部が閉じられているカーボンナノホーン、コップ型のものなどが挙げられる。これらの中でも、単層カーボンナノチューブが好ましい。
カーボンナノチューブを導電性高分子溶液に含有させる場合には、分散性を向上させるために、界面活性剤を共存させることが好ましい。界面活性剤としては、分散性に特に優れる点で、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0036】
カーボンナノチューブの製造方法としては、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学蒸着法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧下で鉄触媒によって気相で成長させるHiPco法などが挙げられる。
また、導電性の点からは、カーボンナノチューブが精製により高純度化されていることが好ましい。精製方法としては、例えば、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等が挙げられる。
【0037】
カーボンの含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.01〜8.0質量%であることがより好ましく、0.01〜5.0質量%であることが特に好ましい。カーボンの含有量が0.01質量部未満であると、異導体接触における接触抵抗が充分に低下せず動作不良を起こすことがあり、10質量%を超えると、該導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜の透明性が低くなることがある。
【0038】
[導電性金属酸化物粒子]
導電性金属酸化物粒子の成分としては、例えば、酸化錫、または酸化錫にアンチモン、亜鉛、フッ素よりなる群から選ばれる1種以上の元素がドープされたもの、酸化インジウム、または酸化インジウムに錫、亜鉛、テルル、銀、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウムよりなる群から選ばれる1種以上の元素がドープされたもの、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、または酸化亜鉛にアルミニウム、ガリウム、インジウム、ホウ素、フッ素、マンガンよりなる群から選ばれる1種以上の元素がドープされたものが挙げられる。
これら導電性金属酸化物粒子の中でも、容易に導電性を向上させることができることから、酸化錫、酸化インジウム、五酸化アンチモン、酸化亜鉛よりなる群から選ばれる1種以上の金属酸化物であることが好ましい。
【0039】
導電性金属酸化物粒子の平均粒子径は0.01〜20μmであることが好ましい。金属酸化物粒子の平均粒子径が0.01μm以上であれば、取り扱い性に優れ、20μm以下であれば、導電性金属酸化物粒子に分散性を容易に高めることができる。
【0040】
導電性金属酸化物粒子の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して0.01〜50質量%であることが好ましく、0.02〜40質量%であることがより好ましく、0.05〜30質量%であることが特に好ましい。導電性金属酸化物粒子の含有量が0.01質量部未満であると、異導体接触における接触抵抗が充分に低下せず動作不良を起こすことがあり、50質量%を超えると、該導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜の透明性が低くなることがある。
【0041】
(金属イオン)
本発明において金属イオンを形成する金属は、ニッケル、銅、銀、金、白金、パラジウムよりなる群から選ばれる1種以上の金属である。
金属イオンは、例えば、金属塩を水に溶解させることにより形成される。ここで、金属塩としては、例えば、硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀、亜硝酸銀、亜硫酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、p−トルエンスルホン酸銀、2−メチルへキサン酸銀、乳酸銀、メタンスルホン酸銀、サリチル酸銀、ベヘン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、吉草酸銀、フロン酸銀、リノレイン酸銀、酪酸銀、樟脳酸銀、安息香酸銀、3,5−ジヒロドロ安息香酸銀、o−メチル安息香酸銀、m−メチル安息香酸銀、p−メチル安息香酸銀、2,4−ジクロロ安息香酸銀、アセトアミド安息香酸銀、p−フェニル安息香酸銀、没食子酸銀、タンニン酸銀、フタル酸銀、テレフタル酸銀、フェニル酢酸銀、ピロメリト酸銀、ピクリン酸銀、3−カルボキシメチル−4−メチル−4−チアゾリン−2−チオンの銀塩等、塩化金酸、塩化金カリウム、塩化金ナトリウム等、塩化白金酸、塩化白金、塩化白金酸カリウム等、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウム等、塩化銅、酢酸銅、硫酸銅等、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、硫酸ニッケル、リン酸ニッケル、酢酸ニッケル、乳酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、酒石酸ニッケル、クエン酸ニッケル等が挙げられる。これらの金属塩は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記金属塩の中でも、価格、反応性を考慮すると硝酸銀、硫酸銀、酢酸銀、p−トルエンスルホン酸銀等が好ましい。
【0042】
金属イオンの含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対して0.001〜50質量%であることが好ましく、0.005〜40質量%であることがより好ましく、0.01〜30質量%であることが特に好ましい。金属イオンの含有量が0.001質量部未満であると、異導体接触における接触抵抗が充分に低下せず動作不良を起こすことがあり、50質量%を超えると、該導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜の透明性が低くなることがある。
【0043】
(還元剤)
還元剤は、前記金属イオンを金属に還元する薬剤である。
還元剤としては特に制限はなく、例えば、アミン化合物(例えば、ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニドン、ヒドラジンなど)、水素化合物(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、ヨウ素化水素、水素ガスなど)、酸化物(例えば、一酸化炭素、亜硫酸など)、低原子価金属塩(例えば、硫酸第一鉄、酸化鉄、フマル酸鉄、乳酸鉄、シュウ酸鉄、硫化鉄、酢酸錫、塩化錫、二リン酸錫、シュウ酸錫、酸化錫、硫酸錫など)、フェノール系化合物(例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、タンニン、タンニン酸、など)、糖類(例えば、D−グルコールなど)、ビタミン類(例えば、アスコルビン酸など)、ヒドロキシ系化合物(例えば、グリコールなど)、ベンゾトリアゾール系化合物(例えば、2−(2’−ジヒドロキシ−4’−m−オクトキシフェニルベンゾトリアゾールなど)、ベンゾフェノン系化合物(例えば、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシアセトフェノン、3,4,5−トリヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、3,4,5−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、2−ヒドロキシベンズアミド、3−アセトアミドフェノール、4−アセトアミドフェノール、N−フェニルベンズアミド、ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、ヒドロキシフェニルジエチルアミド、4−ヒドロキシベンズアミド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアミドなど)、サリシレート系化合物等(p−t−ブチルフェニルサリシレート、サリチル酸など)、アミド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、など)が挙げられる。これら還元剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記還元剤の中でも、導電性高分子塗料での溶解性、溶液安定性、還元性、さらにπ共役系導電性高分子とポリアニオンの耐光性を向上させることから、フェノール系化合物、糖類、ビタミン類、ベンゾフェノン系化合物、ヒドロキシ系化合物、サリシレート系化合物が好ましく、ベンゾフェノン系化合物がより好ましい。
【0044】
還元剤の含有量は、金属イオンを還元するのに必要な量の0.1質量%以上であることが好ましい。この量未満であると、還元が不充分になるおそれがある。また、還元剤の含有量は、金属イオンを還元するのに必要な量の1000質量%以下であることが好ましい。1000質量%を超えて含有しても、金属イオンの還元性は変わらず、無益であるからである。
【0045】
(溶媒)
溶媒としては特に制限されず、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、ジメチルイミダゾリン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジフェニルスルホン酸等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
前記溶媒の中でも、取り扱い性の点から、水、アルコール類が好ましい。
【0046】
(高導電化剤)
高導電化剤は、導電性高分子溶液から形成される導電性塗膜の導電性を向上させる成分である。
具体的に、高導電化剤は、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物、シランカップリング剤、水溶性有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0047】
[窒素含有芳香族性環式化合物]
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
【0048】
ピリジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
【0049】
イミダゾール類及びその誘導体の具体的な例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(N−ヒドロキシエチルイミダゾール)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール等が挙げられる。
【0050】
ピリミジン類及びその誘導体の具体的な例としては、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール等が挙げられる。
【0051】
ピラジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン等が挙げられる。
【0052】
トリアジン類及びその誘導体の具体的な例としては、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0053】
窒素含有芳香族性環式化合物の含有量は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1〜100モルの範囲であることが好ましく、0.5〜30モルの範囲であることがより好ましく、導電性塗膜の物性及び導電性の観点からは、1〜10モルの範囲が特に好ましい。窒素含有芳香族性環式化合物の含有率が0.1モルより少なくなると、窒素含有芳香族性環式化合物とポリアニオン及び共役系導電性高分子との相互作用が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。また、窒素含有芳香族性環式化合物が100モルを超えて含まれると共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
【0054】
[2個以上のヒドロキシ基を有する化合物]
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;
セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;
1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
【0055】
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の含有量は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.05〜50モルの範囲であることが好ましく、0.3〜10モルの範囲であることがより好ましい。2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.05モルより少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して50モルより多くなると、導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
【0056】
[2個以上のカルボキシ基を有する化合物]
2個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マロン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸、クエン酸等の脂肪族カルボン酸類化合物;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の、芳香族性環に少なくとも一つ以上のカルボキシ基が結合している芳香族カルボン酸類化合物;ジグリコール酸、オキシ二酪酸、チオ二酢酸(チオジ酢酸)、チオ二酪酸、イミノ二酢酸、イミノ酪酸等が挙げられる。
【0057】
2個以上のカルボキシ基を有する化合物は、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1〜30モルの範囲であることが好ましく、0.3〜10モルの範囲であることがより好ましい。2個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して0.1モルより少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また2個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が、ポリアニオンのアニオン基単位1モルに対して30モルより多くなると、導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくく、導電性塗膜の物性が変化することがある。
【0058】
[1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物]
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
【0059】
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜5,000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物の含有量が5,000質量部より多くなると、導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しい。
【0060】
[アミド化合物]
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタクリルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0061】
また、アミド化合物として、アクリルアミドを使用することもできる。アクリルアミドとしては、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0062】
アミド化合物の分子量は46〜10,000であることが好ましく、46〜5,000であることがより好ましく、46〜1,000であることが特に好ましい。
【0063】
アミド化合物の含有量は、ポリアニオンとπ共役系導電性高分子の合計100質量部に対して1〜5,000質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。アミド化合物の含有量が1質量部より少なくなると、導電性及び耐熱性が不足することがある。また、アミド化合物の含有量が5,000質量部より多くなると、導電性塗膜中のπ共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得ることが難しい。
【0064】
[イミド化合物]
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
【0065】
また、イミド化合物は両末端の官能基の種類によって、脂肪族イミド、芳香族イミド等に分類されるが、溶解性の観点からは、脂肪族イミドが好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有する飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
【0066】
イミド化合物の分子量は60〜5,000であることが好ましく、70〜1,000であることがより好ましく、80〜500であることが特に好ましい。
【0067】
イミド化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。アミド化合物及びイミド化合物の添加量が前記下限値未満であると、アミド化合物及びイミド化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0068】
[ラクタム化合物]
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
【0069】
ラクタム化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。ラクタム化合物の添加量が前記下限値未満であると、ラクタム化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0070】
[グリシジル基を有する化合物]
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
【0071】
グリシジル基を有する化合物の含有量は、π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10,000質量部であることが好ましく、50〜5,000質量部であることがより好ましい。グリシジル基を有する化合物の添加量が前記下限値未満であると、グリシジル基を有する化合物添加による効果が低くなるため好ましくない。また、前記上限値を超えると、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下が起こるため好ましくない。
【0072】
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0073】
シランカップリング剤の含有量は、必要に応じて任意量を添加することができ、特に限定しない。π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量部に対して10〜10000質量部であることが好ましい。
【0074】
[水溶性有機溶媒]
水溶性有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、ジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよい。
【0075】
(添加剤)
導電性高分子溶液は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
添加剤としてはπ共役系導電性高分子及びポリアニオンと混合しうるものであれば特に制限されず、例えば、アルカリ性化合物、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物などを使用できる。
アルカリ性化合物としては、公知の無機アルカリ化合物や有機アルカリ化合物を使用できる。無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
有機アルカリ化合物としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アミン、アミン以外の窒素含有化合物、金属アルコキシド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、導電性がより高くなることから、脂肪族アミン、芳香族アミン、4級アミンよりなる群から選ばれる1種もしくは2種以上が好ましい。
界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤;アミン塩、4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンレジン等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類、ビタミン類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オギザニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤と紫外線吸収剤とは併用することが好ましい。
有機チタン化合物としては、例えば、チタンアルコキシド、チタンキレート、チタンアシレート等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムキレート、ジルコニウムアシレート等が挙げられる。
【0076】
(導電性高分子溶液の製造方法)
導電性高分子溶液の製造方法としては、例えば、ポリアニオンの水溶液中でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合して導電性高分子水溶液を調製し、この水溶液に、水溶性エポキシ樹脂、導電性化合物と必要に応じて任意成分とを添加することで調製できる。
【0077】
水溶性エポキシ樹脂および導電性化合物を含む導電性高分子溶液によれば、ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い導電性塗膜を形成できる。
エポキシ樹脂を含むと、導電性塗膜自体の導電性が低下する傾向にあるが、導電性高分子溶液が高導電化剤を含めば、エポキシ樹脂を含有することによる導電性の低下を補うことができる。
【0078】
<導電性塗膜>
本発明の導電性塗膜は、透明基材等に上記導電性高分子溶液が塗布されて形成されたものである。この導電性塗膜には、π共役系導電性高分子とポリアニオンと導電性化合物と水溶性エポキシ樹脂の硬化物とが必須成分として含まれる。
【0079】
導電性高分子溶液の塗布方法として、例えば、コンマコーティング、リバースコーティング、リップコーティング、マイクログラビアコーティング等が適用される。
【0080】
導電性高分子溶液が塗布される透明基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのフィルムまたはシートが挙げられる。また、ガラス基板、シリコン基板なども使用できる。
【0081】
導電性高分子溶液塗布後には、硬化処理を施すことが好ましい。
硬化方法としては、加熱または光照射が適用される。加熱方法としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。また、光照射により硬化する場合には、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。紫外線照射における照度は100mW/cmが好ましい。照度が100mW/cm未満であると、充分に架橋せず、導電性塗膜の耐摺動性(耐久性)が低くなる傾向にある。なお、本発明における照度は、トプコン社製UVR−T1(工業用UVチェッカー、受光器;UD−T36、測定波長範囲;300〜390nm、ピーク感度波長;約355nm)を用いて測定した値である。
【0082】
本発明の導電性塗膜は、上記導電性高分子溶液から形成したものであるため、ITO膜に対する接触抵抗が小さい上に耐溶剤性が高い。
【0083】
本発明の導電性塗膜は、例えば、後述する入力デバイスに好適に用いられるが、表示デバイスの透明電極として用いてもよい。表示デバイスとしては、例えば、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、液晶ディスプレイ等が挙げられる。
【0084】
<入力デバイス>
本発明の入力デバイスの一実施形態例について説明する。
図1に、本実施形態例の入力デバイスを示す。本実施形態例の入力デバイス1は、入力者側に配置された可動電極シート10と、可動電極シート10に対向するように画像表示装置側に配置された固定電極シート20と、これらの間に設けられた透明なドットスペーサ30とを備える抵抗膜式タッチパネルである。
可動電極シート10は、第1の透明基材11と、第1の透明基材11表面に設けられた上記導電性塗膜からなる第1の透明導電膜12とを備えている。
固定電極シート20は、第2の透明基材21と、第2の透明基材21表面に設けられた第2の透明導電膜22とを備えている。
第1の透明導電膜12と第2の透明導電膜22とは、互いに対向するように配置されて、第1の透明導電膜12が押圧された際に第2の透明導電膜22に接触するようになっている。
【0085】
<可動電極シート>
(第1の透明基材)
可動電極シート10を構成する第1の透明基材11としては、例えば、単層または2層以上の透明樹脂フィルム、ガラス板、フィルムとガラス板との積層体が挙げられるが、可撓性を有することから、透明樹脂フィルムが好ましい。
透明樹脂フィルムを構成する透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。
【0086】
第1の透明基材11の厚さは100〜250μmであることが好ましい。第1の透明基材11の厚さが100μm以上であれば、充分な強度を確保でき、250μm以下であれば、充分な可撓性を確保できる。
【0087】
(第1の透明導電膜)
第1の透明導電膜12の厚さは50〜700μmであることが好ましい。第1の透明導電膜12の厚さが50μm以上であれば、充分な導電性を確保でき、700μm以下であれば、充分な可撓性及び透明性を確保できる。
【0088】
<固定電極シート>
(第2の透明基材)
固定電極シート20を構成する第2の透明基材21としては、第1の透明基材11と同様のものを使用でき、中でも、可動電極シート10を、ドットスペーサ30を介して支持しやすいことから、ガラス板を用いたものが好ましい。
第2の透明基材21の厚さは0.8〜2.5mmであることが好ましい。第2の透明基材21の厚さが0.8mm以上であれば、充分な強度を確保でき、2.5mm以下であれば、薄くすることができ、省スペース化を実現できる。
【0089】
(第2の透明導電膜)
第2の透明導電膜22は、透明導電性金属酸化物製である。第2の透明導電膜22を構成する透明導電性金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化錫、インジウムドープ酸化錫(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化亜鉛などが挙げられる。
第2の透明導電膜22の厚さは0.01〜1.0μmであることが好ましい。第2の透明導電膜22の厚さが0.01μm以上であれば、充分な導電性を確保でき、1.0μm以下であれば、薄くすることができ、省スペース化を実現できる。
【0090】
<可動電極シートと固定電極シートとの間隔>
可動電極シート10と固定電極シート20の非押圧時の間隔は20〜100μmであることが好ましい。可動電極シート10と固定電極シート20の非押圧時の間隔は20μm以上であれば、非押圧時に可動電極シート10と固定電極シート20とを確実に接触させないようにすることができ、100μm以下であれば、押圧時に可動電極シート10と固定電極シート20とを確実に接触させることができる。前記間隔になるようにするためには、ドットスペーサ30の大きさを適宜選択すればよい。
【0091】
<入力デバイスの使用方法および用途>
図2に示すように、この入力デバイス1の可動電極シート10の短辺方向(Y方向)の両端には、長辺方向(X方向)に沿って第1の電極13aおよび第2の電極13bが設けられる。また、固定電極シート20の短辺方向(Y方向)の両端には、短辺方向に沿って第3の電極23aおよび第4の電極23bが設けられる。
第1の電極13aには、第1の配線41および第2の配線42を介して電源50が接続され、第3の電極23aには、第1の配線41および第3の配線43を介して電源50が接続される。
第2の電極13bは、第4の配線44を介して接地され、第4の電極23bは、第5の配線45を介して設置される。
第2の配線42は、第6の配線46を介してマルチプレクサ60に接続される。第3の配線43は、第7の配線47を介してマルチプレクサ60に接続される。また、第2の配線42の、第6の配線46の接続点より電源50側には第1のスイッチ71が、第4の配線44には第2のスイッチ72が、第3の配線43の、第7の配線47の接続点より電源50側には第3のスイッチ73が、第5の配線45には第4のスイッチ74が設置される。
マルチプレクサ60には、第8の配線78、サンプル・アンド・ホールド回路80および第9の配線79を介して電圧測定手段90が接続される。
【0092】
可動電極シート10が押圧された状態にて押圧点のX座標を検出する際には、第1のスイッチ71および第2のスイッチ72をオフにし、第3のスイッチ73および第4のスイッチ74をオンにする。これにより、固定電極シート20の第2の透明導電膜22の第3の電極23aと第4の電極23bとの間に電圧分布を形成させ、可動電極シート10の第1の透明導電膜12の全体の電位が、第2の透明導電膜22における第1の透明導電膜12との接点Pと同電位になる状態にする。
そして、可動電極シート10の第1の透明導電膜12と固定電極シート20の第2の透明導電膜22との接点Pの電位を、第1の透明導電膜12、第2の配線72、第6の配線76、マルチプレクサ60、第8の配線78、サンプル・アンド・ホールド回路80および第9の配線79を介して、電圧測定手段90によって測定する。その測定によって求めた測定電位、および第3の電極23aと第4の電極23bとの電位差に基づいて、X座標を求める。
また、押圧点のY座標を検出する際には、第1のスイッチ71および第2のスイッチ72をオンにし、第3のスイッチ73および第4のスイッチ74をオフにする。これにより、可動電極シート10の第1の透明導電膜12の第1の電極13aと第2の電極13bとの間に電圧分布を形成させ、固定電極シート20の第2の透明導電膜22の全体の電位が、第1の透明導電膜12における第2の透明導電膜22との接点Pと同電位になる状態にする。
そして、可動電極シート10の第1の透明導電膜12と固定電極シート20の第2の透明導電膜22との接点Pの電位を、第2の透明導電膜22、第3の配線73、第7の配線77、マルチプレクサ60、第8の配線78、サンプル・アンド・ホールド回路80および第9の配線79を介して、電圧測定手段90によって測定する。その測定によって求めた測定電位、および第1の電極13aと第2の電極13bとの電位差に基づいて、Y座標を求める。
【0093】
上記座標検出においては、第1〜第4のスイッチ71〜74のオン−オフ切換え後、所定時間が経過してから、第1の透明導電膜12と第2の透明導電膜22との接点Pでの電位を測定することが好ましい。第1の透明導電膜12がπ共役系導電性高分子を含んでいると、抵抗値が大きくないにもかかわらず、電位の安定に時間がかかる。しかし、第1〜第4のスイッチ71〜74のオン−オフ後、所定時間経過してから電位を測定すれば、安定した状態での電位を測定できるので、測定精度の低下を抑制できる。
【0094】
このような入力デバイス1は、例えば、電子手帳、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、PHS、現金自動預け払い機(ATM)、自動販売機、販売時点情報管理(POS)用レジスタなどに備え付けられる。
レジスタなどに備え付けられる。
【0095】
<作用効果>
以上説明した入力デバイス1では、可動電極シート10を構成する第1の透明導電膜12が導電性化合物を含んでいるため、透明導電性金属酸化物製の第2の透明導電膜22に対する接触抵抗が小さくなっている。したがって、入力感度の低下や座標入力時間遅れ等の動作不良が起きにくい。また、水溶性エポキシ樹脂を含むため、耐溶剤性に優れる。
【実施例】
【0096】
以下、本発明の実施例を具体的に示すが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の調製
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を2時間攪拌した。
これにより得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000mlと10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約10000ml溶液を除去し、残液に10000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約10000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約10000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。
限外ろ過条件は下記の通りとした(他の例でも同様)。
限外ろ過膜の分画分子量:30000
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
【0097】
(製造例2)ポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水溶液の調製
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gの製造例1で得たポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、上記ろ過処理が行われた処理液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた処理液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの処理液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT−PSS)水溶液を得た。
【0098】
(実施例1)
金−銀コロイド粒子(住友金属鉱山社製、CKRシリーズ、アルコール分散、濃度1.2質量%)25.0g、ガーリック酸1.8g、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−8EGS)4.6g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが63.9質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20g、サンエイドSI−110L(三新化学社製)0.092g、エタノール800gを混合し、撹拌した。これにより得た混合溶液に、製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gを添加し、ホモジナイザ分散処理して、導電性高分子溶液Aを得た。
導電性高分子溶液Aを、第1の透明基材であるポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製A4300、厚さ;188μm、全光線透過率;93.5%、ヘイズ;0.68%)に、リバースコーターにより塗布し、120℃、2分間、熱風により乾燥して、導電性塗膜を得た。
【0099】
[表面抵抗値]
三菱化学社製ロレスタMCP−T600を用い、JIS K 7194に準じて測定した。
[光透過率]
日本電色工業社製ヘイズメータ測定器(NDH5000)を用い、JIS K7136に準じて光透過率を測定した。
[接触抵抗]
第1の透明基材11(ポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡績製A4300、厚さ;188μm)上に導電性高分子溶液を塗布して第1の透明導電膜12を形成して、40mm×50mmに裁断した。その裁断したシートの第1の透明導電膜12上の幅方向の縁に導電性ペースト(藤倉化成社製FA−401CA)をスクリーン印刷し、乾燥させて電極13a,13bを形成して、入力者側の可動電極シート10(図3参照)を得た。
また、ガラス製の第2の透明基材21の片面にITO製の第2の透明導電膜22(表面抵抗:300Ω)が設けられ、40mm×50mmに裁断された電極用シートを用意した。その用意した電極用シートの第2の透明導電膜22上の長手方向の縁に、導電性ペースト(藤倉化成社製XA436)をスクリーン印刷し、乾燥させて電極23a,23bを形成した。次いで、第2の透明導電膜22上に、ドットスペーサ用ペースト(藤倉化成社製SN−8400C)をスクリーン印刷し、乾燥し、紫外線照射して、ドットスペーサ30を形成させた。次いで、電極23a,23b上に、レジスト用ペースト(藤倉化成社製SN−8800G)をスクリーン印刷し、乾燥し、UV照射して、絶縁層25を形成させた。さらに、絶縁層25上に、接着剤(藤倉化成社製XB−114)をスクリーン印刷し、乾燥させて、可動電極シート10に貼り合わせるための接着剤層26を形成させた。これにより、画像表示装置用の固定電極シート20(図4参照)を得た。
次いで、図1に示すように、可動電極シート10と固定電極シート20とを、第1の透明導電膜12と第2の透明導電膜22が対向するように配置させ、接着剤層26により貼り合せて抵抗膜式タッチパネルモジュールを作製した。また、抵抗膜式タッチパネルモジュールを用いて、図2に示す入力デバイスを作製した。
そして、先端が0.8Rのポリアセタール製スタイラスで、可動電極シート10を250gの荷重で押圧し、電源50により電圧5Vを印加した際の接触抵抗を測定した。
[摺動試験]
第1の透明導電膜の塗膜強度を測定するため、水またはアルコール(メタノールおよびエタノール)で湿らせたキムワイプ(日本製紙クレシア社製)を、400gf/cmの荷重をかけて30往復擦り、第1の透明導電膜の抜けを目視により検査した。また、摺動試験後の接触抵抗を測定した。これらの結果は第1の透明導電膜の耐水性および耐溶剤性の指標になる。
◎ :剥離なし、○:わずかに剥離、△:一部剥離、×:完全剥離
【0100】
【表1】

【0101】
(実施例2)
銀粒子(フェロ・ジャパン社製、RDS11000−10、平均粒子径;1.0μm)0.5g、グリセリンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−GLG)13.8g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してグリシジルポリグリセリン191.7質量%)、2,3,3’,4,4’,5−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン1.8g、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20g、サンエイドSI−110L(三新化学社製)3.8g、エタノール800gを混合し、撹拌した。これにより得た混合溶液に、製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gを添加し、ホモジナイザ分散処理して、導電性高分子溶液Bを得た。
導電性高分子溶液Bを用い、実施例1と同様にして導電性塗膜を形成し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0102】
(実施例3)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gに、塩化銀0.5gを添加し、ナノマイザー(吉田機械社製)により分散処理して、塩化銀を含有したPEDOT−PSS水溶液を調製した。
これとは別に、ジグリセリンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−DGE)27.6g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してジグリセリンポリグリシジルエーテルが383.3質量%)、2,3,3’,4,4’,5−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン1.8g、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20g、ピロメリット酸36.4g、エタノール800gを添加し、撹拌した。これにより得た溶液に、前記塩化銀を含有したPEDOT−PSS水溶液を添加し、撹拌して、導電性高分子溶液Cを得た。
導電性高分子溶液Cを用い、実施例1と同様にして導電性塗膜を形成し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0103】
(実施例4)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gに、イミダゾール20.1g(ポリアニオンに対して2モル当量)を添加し、撹拌して、イミダゾールを含有したPEDOT−PSS水溶液を調製した。
これとは別に、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−4GL)32.2g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してポリグリセリンポリグリシジルエーテルが447.2質量%)、ガーリック酸メチル1.8g、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20g、WPI−113(和光純薬工業社製、不揮発分50質量%)0.64g、エタノール800g、錫がドープされた酸化インジウム(住友金属鉱山社製;X500シリーズ、平均粒子径;100〜140nm)0.3gを添加し、撹拌した。これにより得た溶液に、前記イミダゾールを含有したPEDOT−PSS水溶液を添加し、撹拌して、導電性高分子溶液Dを得た。
導電性高分子溶液Dをポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製U−34、厚さ;188μm、全光線透過率;92%、ヘイズ;0.7%)に、リバースコーターにより塗布し、120℃、2分間、熱風により乾燥した後、紫外線(高圧水銀灯120W、360mJ/cm、178mW/cm)照射し、硬化させて、導電性塗膜を形成させた。そして、実施例1と同様にして、導電性塗膜を評価した。評価結果を表1に示す。
【0104】
(実施例5)
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gに、炭酸銀0.5gを添加し、撹拌して、炭酸銀を含有したPEDOT−PSS水溶液を調製した。
これとは別に、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−SEP)2.3g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してソルビトール系ポリグリシジルエーテルが31.9質量%)、ガーリック酸メチル1.8g、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20g、サンエイドSI−110L(三新化学社製)0.064g、エタノール800gを添加し、撹拌した。これにより得た溶液に、前記炭酸銀を含有したPEDOT−PSS水溶液を添加し、撹拌して、導電性高分子溶液Eを得た。
導電性高分子溶液Eをポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製U−34、厚さ;188μm)に、リバースコーターにより塗布し、120℃、2分間、熱風により乾燥して、導電性塗膜を形成させた。そして、実施例1と同様にして、導電性塗膜を評価した。評価結果を表1に示す。
【0105】
(実施例6)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3g、単層カーボンナノチューブSWCNT(日機装社製)0.03g、イオン交換水60gを配合し、超音波処理して、0.05質量%カーボンナノチューブ分散液を得た。
製造例2で得たPEDOT−PSS水溶液600gに、前記カーボンナノチューブ分散液38.0g(固形分換算)を添加し、撹拌して、カーボンナノチューブを含有したPEDOT−PSS水溶液を調製した。
これとは別に、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル(阪本薬品工業社製SR−SEP)0.5g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してソルビトール系ポリグリシジルエーテルの固形分が6.9質量%)、2,3,3’,4,4’,5−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン1.8g、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド20g、アジピン酸1.0g、エタノール800gを添加し、撹拌した。これにより得た溶液に、前記カーボンナノチューブおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリムを含有したPEDOT−PSS水溶液を添加し、ナノマイザー(吉田機械社製)により分散処理して、導電性高分子溶液Fを得た。
導電性高分子溶液Fを、第1の透明基材であるポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製U−426、厚さ;188μm、全光線透過率;93%、ヘイズ;0.4%)に、リバースコーターにより塗布し、120℃、2分間、熱風により乾燥して、導電性塗膜を得た。
【0106】
(比較例1)
実施例1において、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量を0.05g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してポリエチレングリコールジグリシジルエーテル0.7質量%)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性塗膜を形成し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0107】
(比較例2)
実施例2において、グリセリンポリグリシジルエーテルの添加量を41.4g(π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計100質量%に対してグリセリンポリグリシジルエーテル575質量%)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、導電性塗膜を形成し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0108】
π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計を100質量%とした際の1〜500質量%の範囲で水溶性エポキシ樹脂を含有する導電性高分子溶液から形成された実施例1〜5の導電性塗膜は、耐溶剤性が高かった。さらに、充分な耐水性を有している上に、表面抵抗、透明性、ITO膜に対する接触抵抗に優れており、タッチパネル用の透明導電膜として適していた。
水溶性エポキシ樹脂の含有量が1質量%未満であった比較例1の導電性高分子溶液から形成した導電性塗膜は耐溶剤性および耐水性が低かった。
水溶性エポキシ樹脂の含有量が500質量%を超える比較例2の導電性高分子溶液から形成した導電性塗膜は導電性が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の入力デバイスの一実施形態例を示す断面図である。
【図2】図1に示す入力デバイスの使用方法について示す図である。
【図3】入力デバイスを構成する可動電極シートの一例を示す断面図である。
【図4】入力デバイスを構成する固定電極シートを示す断面図である。
【符号の説明】
【0110】
1 入力デバイス
10 可動電極シート
11 第1の透明基材
12 第1の透明導電膜
20 固定電極シート
21 第2の透明基材
22 第2の透明導電膜
30 ドットスペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、水溶性エポキシ樹脂と、導電性化合物と、溶媒とを含有し、水溶性エポキシ樹脂の含有量が、π共役系導電性高分子とポリアニオンとの合計を100質量%とした際の1〜500質量%であることを特徴とする導電性高分子溶液。
【請求項2】
エポキシ用硬化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子溶液。
【請求項3】
ルイス酸を発生させるカチオン発生化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の導電性高分子溶液。
【請求項4】
窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物、シランカップリング剤、水溶性有機溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の高導電化剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性高分子溶液。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の導電性高分子溶液が塗布されて形成されたことを特徴とする導電性塗膜。
【請求項6】
請求項5に記載の導電性塗膜を備えることを特徴とする入力デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−77186(P2010−77186A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244036(P2008−244036)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】