説明

導電性高分子膜及び電子デバイス並びに導電性高分子膜の形成方法

【課題】導電性に優れた導電性高分子膜及びそれを用いた電子デバイス並びに導電性高分子膜の形成方法を得る。
【解決手段】導電性高分子のモノマーと、酸化剤と、アルコール系溶剤と、溶剤全体に対して1〜50質量%の割合で含有され、芳香環の置換基として炭素数1〜10のアルキル基(芳香環の2つの位置で結合して環構造を形成するものも含む)及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤とを含む重合液を用い、前記導電性高分子のモノマーを重合させることにより得られることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子膜及び電子デバイス並びに導電性高分子膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性高分子は、一般的に絶縁物として知られるプラスチック類やその他の高分子材料と異なり、電気を通す性質があり、電気の通しやすさ(導電性)としては、一般的に、絶縁物と金属との中間の性質を示す。導電性を維持しながらも、柔軟性、軽量性などの特徴を有している。
【0003】
導電性高分子は、現在、帯電防止コーティング、固体電解コンデンサなどで実用化されている。用途の拡大には、さらに高い導電率を簡便に実現できるような材料及び製造方法の開発が求められている。
【0004】
また、導電性高分子膜は、柔軟性に優れているため、曲げに強く、低温形成も可能であることから、プラスチックフィルムを基材とした超軽量・薄型のデバイスにも適用することが可能である。有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)、アクチュエータ、トランジスタ、有機太陽電池、色素増感太陽電池用電極、キャパシタ、その他の蓄電池やセンサ、防錆材料などにも、導電性高分子の応用研究がなされている。
【0005】
導電性高分子の導電率が向上すれば、従来用途の帯電防止や、固体電解コンデンサ、キャパシタなどでも、導電性高分子を用いた導電層の抵抗を下げることができ、それらの性能を向上させることができる。特に、固体電解コンデンサでは、導電性高分子の導電率向上により、等価直列抵抗(ESR)という内部抵抗の数値を下げられる可能性があり、重要である。
【0006】
導電性高分子には、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、あるいは、これらの誘導体や、共重合体など、多くの材料が知られている。いずれもパイ電子共役系という特殊な電子構造を高分子内に持ち、一定の導電率を有している。これらの中でも、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)という材料は、安定な分子構造を持ち、導電性や耐熱性において高いポテンシャルを有する。
【0007】
導電性高分子の導電率は、できるだけ高いものが要求されている。導電率を向上させるため、種々のドーパントや添加剤について検討がなされている。添加剤として、1)有機溶媒、2)塩基性化合物、3)酸性物質などが検討されている。
【0008】
特許文献1においては、ポリチオフェンとポリアニオンからなる導電性高分子に、N−メチルピロリドンやエチレングリコールなどの有機溶媒を添加する方法が提案されている。
【0009】
特許文献2においては、導電性高分子とポリアニオンからなる導電性高分子に塩基性の導電向上剤を添加して塗布する方法が提案されている。特許文献3及び非特許文献1においては、導電性高分子のモノマーに塩基性の導電向上剤を添加して酸化重合する方法が提案されている。
【0010】
特許文献4及び5においては、導電性高分子のモノマーに、酸性の添加剤、例えばp−トルエンスルホン酸や芳香族ジカルボン酸を添加して酸化重合する方法が提案されている。
【0011】
導電性高分子の導電率σは、電荷量e、キャリア密度n、移動度μとすると、
σ=enμ
の式で表され、キャリア密度と移動度を上げることで、導電率を高めることができる。キャリア密度を増やすためには、ドーピング量を増やすことが重要で、移動度を上げるためには導電性高分子の配向性を高めることが重要である。
【0012】
特許文献1及び2においては、導電性高分子を形成後に、添加剤による処理を行うため、導電性高分子の配向性を改善することができないという問題がある。特許文献4及び5においては、一般に、酸化重合溶液のpHを小さくすると反応速度が速くなることから、導電性高分子のモノマーに酸性の添加剤を添加した場合、得られる導電性高分子膜の配向性が低くなる。従って、これらの先行技術では、導電性高分子膜の配向性が改善されないため、キャリアが分子鎖内または分子鎖間を効率良く移動できず、導電率の大きな改善は得られない。
【0013】
特許文献3及び非特許文献1においては、塩基性の添加剤を添加することで、重合速度を抑制し、配向性の高い導電性高分子膜が得られる。しかしながら、塩基性物質の添加により反応速度が遅くなり、充分な膜厚の導電性高分子膜を得ることが困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平8−48858号公報
【特許文献2】特開2007−95506号公報
【特許文献3】特開2008−171761号公報
【特許文献4】特開2004−107552号公報
【特許文献5】特開2008−34440号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Advanced Functional Materials 2004, 14,p p615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、導電性に優れた導電性高分子膜及びそれを用いた電子デバイス並びに導電性高分子膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の導電性高分子膜は、導電性高分子のモノマーと、酸化剤と、アルコール系溶剤と、溶剤全体に対して1〜50質量%の割合で含有され、芳香環の置換基として炭素数1〜10のアルキル基(芳香環の2つの位置で結合して環構造を形成するものも含む)及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤とを含む重合液を用い、前記導電性高分子のモノマーを重合させることにより得られることを特徴としている。
【0018】
本発明において用いられる芳香族系溶剤としては、アルコキシベンゼン、アルキルベンゼン、テトラリン及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0019】
本発明の電子デバイスは、上記本発明の導電性高分子膜を有することを特徴としている。
【0020】
本発明の導電性高分子膜の形成方法は、導電性高分子のモノマーと、酸化剤と、アルコール系溶剤と、溶剤全体に対して1〜50質量%の割合で含有され、芳香環の置換基として炭素数1〜10のアルキル基(芳香環の2つの位置で結合して環構造を形成するものも含む)及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤とを含む重合液を調製する工程と、重合液を基体上に塗布する工程と、塗布した重合液を乾燥させて、導電性高分子のモノマーを重合して導電性高分子膜を形成する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の導電性高分子膜は、導電性高分子のドープ率や配向性が改善され、高い導電率を示す。
【0022】
本発明の電子デバイスは、上記本発明の導電性高分子膜を用いているので、その特性を向上させることができる。
【0023】
本発明の導電性高分子膜の形成方法によれば、導電性高分子のドープ率や配向性を改善することができ、導電性高分子膜の導電率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に従う電子デバイスの一実施形態である固体電解コンデンサを示す模式的断面図。
【図2】本発明に従う電子デバイスの他の実施形態である有機太陽電池を示す模式的断面図。
【図3】本発明に従う電子デバイスのさらに他の実施形態における透明電極を示す模式的断面図。
【図4】本発明に従う電子デバイスのさらに他の実施形態であるタッチパネルを示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
本発明の導電性高分子膜は、溶剤全体に対して1〜50質量%の割合で含有される上記特定の芳香族系溶剤を含む重合液を用い、導電性高分子のモノマーを重合させることにより得られることを特徴としている。
【0027】
本発明によれば、上記特定の芳香族系溶剤を重合液に含有させることにより、重合液を塗布して導電性高分子膜を形成する際の乾燥速度を抑制することができ、重合反応の進行を制御することができる。これにより、導電性高分子のドープ率や配向性を改善することができ、導電性高分子膜の導電率を高めることができる。また、重合液からの不均一な溶剤の蒸発を抑制することができ、これにより、高い均一性を有した導電性高分子膜を得ることができる。
【0028】
本発明の導電性高分子膜の形成方法によれば、上記特定の芳香族系溶剤を含む重合液を用いているので、導電性高分子膜形成の際の乾燥速度を抑制することができ、重合反応の進行を制御することにより、導電性高分子のドープ率や配向性を改善することができる。これによって、高い導電率を有する導電性高分子膜を形成することができる。また、重合液からの不均一な溶剤蒸発を抑え、高い均一性を有した導電性高分子膜を形成することができる。また、重合液の自己反応性を抑制することができ、ポットライフが長く、かつ制御性に優れた導電性高分子膜の形成方法とすることができる。
【0029】
<芳香族系溶剤>
本発明における芳香族系溶剤は、溶剤全体に対し1〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%の割合で重合液に含有される。芳香族系溶剤の含有量が少なすぎると、導電性に優れるという本発明の効果が充分に得られない場合がある。また、芳香族系溶剤の含有量が多すぎると、得られる導電性高分子膜の導電性が低下する場合がある。
【0030】
本発明に用いる芳香族系溶剤は、芳香環の置換基として炭素数1〜10のアルキル基(芳香環の2つの位置で結合して環構造を形成するものも含む)及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤である。アルキル基の炭素数はさらに好ましくは1〜4である。また、上述のように、芳香環の2つの位置でアルキル基が置換しており、そのアルキル基が環構造を形成していてもよい。このようなものとして、テトラリンが挙げられる。
【0031】
アルコキシ基の炭素数も1〜10であり、さらに好ましくは1〜4である。
【0032】
ベンゼン環などの芳香環に置換する置換基の数は、1つもしくは2つであることが好ましい。
【0033】
また、本発明の芳香族系溶剤は、水酸基を有していない。通常のエタノールやブタノール等のアルコール類とは異なり、芳香族系で水酸基を有する場合、芳香環の共鳴効果により、共役塩基のフェノキシドイオン(C)が安定化するため、高い酸解離定数を示し、重合反応において反応を必要以上に促進する酸として働くため、添加剤としては好ましくない。
【0034】
具体的な芳香族系溶剤としては、上記置換基を有するベンゼン誘導体を挙げることができる。アルキル基を置換基として有するベンゼン誘導体としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ドデシルベンゼン、テトラリンなどが挙げられる。
【0035】
アルコキシ基を置換基として有するベンゼン誘導体としては、アニソール(メトキシベンゼン)、エトキシベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、アニソール(メトキシベンゼン)、エトキシベンゼンなどのアルコキシ基を置換基として有するベンゼン誘導体が、重合液の他の配合材料や溶剤との相溶性の点から好ましく用いられる。
【0036】
<導電性高分子モノマー>
本発明で用いる導電性高分子モノマーとしては、ピロール、チオフェン、またはアニリン及びこれらの誘導体を挙げることができる。モノマーの重合により、モノマーの繰り返し単位を有するπ共役系導電性高分子を得ることができる。従って、上記モノマーを用いることにより、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、及びこれらの共重合体等からなる導電性高分子を得ることができる。
【0037】
π共役系導電性高分子は、無置換のままでもドーパントを添加することで十分な導電性を得ることができるが、導電性をより高める、もしくは、導電性高分子の可溶性を高めるためには、アルキル基、カルボン酸基、スルホン酸基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入する場合がある。
【0038】
このようなπ共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3,4−エチレンジオキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブデンジオキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が導電率の点から好適に用いられる。さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高くなる上に耐熱性が向上する点から、より好ましい。
【0039】
<酸化剤>
本発明における酸化剤は、本発明における導電性高分子モノマーの重合開始剤として用いられるものである。このような酸化剤としては、例えば、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄等の遷移金属化合物、p−トルエンスルホン酸鉄などの有機スルホン酸の遷移金属塩等が挙げられる。また、これらの酸化剤としては、重合開始剤の機能と共に、ドーパントとして働き、導電率を向上させる機能を有するものが好ましく用いられる。
【0040】
<アルコール系溶剤>
本発明に用いるアルコール系溶剤は、導電性高分子モノマー、酸化剤、及び芳香族系溶剤と相溶性を有するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、及びそれらの混合アルコールなどが挙げられる。これらの中でも、特に、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブタノール及びそれらの混合アルコールなどが好ましく用いられる。
【0041】
<添加剤>
本発明における重合液には、さらに導電性高分子膜のドーパントとして機能する材料を添加することができる。具体的には、ドーパントとして働くI、Br、ClO、BF、FeCl、PF、AsF、SbF、スルホン酸化合物(硫酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸、ポリスチレンスルホン酸など)等や、ドーパントと塩基性物質からなる塩を添加することができる。添加が有効な塩の具体例としては、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム、2−アミノエタンチオール−p−トルエンスルホン酸塩、アミノマロノニトリル−p−トルエンスルホン酸塩、フェニルアラニンベンジル−p−トルエンスルホン酸塩、2,6−ジメチルピリジニウム−p−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルピリジニウム−p−トルエンスルホナート、2−クロロ−1−メチルピリジン−p−トルエンスルホナート、2−フルオロ−1−メチルピリジン−p−トルエンスルホナート、ピリジニウム−3−ニトロベンセンスルホナート、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホナート、グリシンベンジル−p−トルエンスルホナート、6−アミノヘキサン酸ヘキシル−p−トルエンスルホナート、β−アラニンベンジル−p−トルエンスルホナート、D−アラニンベンジル−p−トルエンスルホナート、D−ロイシンベンジル−p−トルエンスルホナート、D−バリンベンジル−p−トルエンスルホナート、L−アラニンベンジル−p−トルエンスルホナート、L−ロイシンベンジル−p−トルエンスルホナート,L−チロシンベンジル−p−トルエンスルホナート、プロピオニル−p−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、テトラエチルアンモニウム−p−トルエンスルホナート、トスフロキサンシン−p−トルエンスルホナート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホン酸、イミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。
【0042】
<基体>
本発明の導電性高分子膜の形成方法においては、重合液を基体上に塗布する。基体としては、導電性高分子膜が形成される基体であれば、特に限定されるものではない。例えば、導電性高分子膜を有するデバイスにおいて、導電性高分子膜が形成される下地となる基体であればよく、固体電解コンデンサであれば、誘電体層が形成された多孔質体からなる陽極であってもよい。
【0043】
導電性高分子膜を基体上に形成する方法としては、基体上に、導電性高分子のモノマーと、酸化剤と、アルコール系溶剤と、芳香族系溶剤を含有する重合液を塗布し、重合液中の導電性高分子モノマーを重合する方法が挙げられる。基体上に重合液を塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、スピンコート法、ディップ法、ドロップキャスト法、インクジェット法、スプレー法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられる。
【0044】
<重合液>
重合液における導電性高分子のモノマー、酸化剤、及びアルコール系溶剤の含有割合は、例えば、質量比(モノマー:酸化剤:溶剤)で、1:1:1〜1:32:96の範囲であることが好ましい。
【0045】
<固体電解コンデンサ>
本発明の導電性高分子膜が用いられる電子デバイスとして、固体電解コンデンサが挙げられる。
【0046】
図1は、本発明に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す模式的断面図である。
【0047】
図1に示すように、陽極1には、陽極リード7が埋設されている。陽極1は、弁金属または弁金属を主成分とする合金からなる粉末を成形し、この成形体を焼結することにより作製されている。従って、陽極1は、多孔質体から形成されている。図1においては示されていないが、この多孔質体には、その内部から外部に連通する微細な孔が多数形成されている。このように作製された陽極1は、本実施形態において外形が略直方体となるように作製されている。弁金属としては、例えば、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、誘電体である酸化物が高温でも比較的安定であるタンタル、ニオブ、アルミニウム、チタンが特に好ましく用いられる。弁金属を主成分とする合金としては、タンタルとニオブ等の2種類以上からなる弁金属同士の合金が挙げられる。
【0048】
陽極1の表面には、酸化物からなる誘電体層2が形成されている。誘電体層2は、陽極1の孔の表面上にも形成されている。図1においては、陽極1の外周側に形成された誘電体層2を模式的に示しており、上述の多孔質体の孔の表面に形成された誘電体層は図示していない。誘電体層2は、陽極1の表面を、陽極酸化することにより形成することができる。
【0049】
誘電体層2の表面には、導電性高分子層3が形成されている。この導電性高分子層3の少なくとも一部を、本発明の導電性高分子膜から形成することができる。導電性高分子層3は、陽極1の孔の表面上の誘電体層2の上にも形成されている。
【0050】
陽極1の外周面上の導電性高分子層3の上にはカーボン層4が形成され、カーボン層4の上には、銀ペースト層5が形成されている。カーボン層4と銀ペースト層5から陰極層6が構成されている。カーボン層4は、カーボンペーストを塗布した後、これを乾燥することにより形成することができる。銀ペースト層5は、銀ペーストを塗布した後、これを乾燥することにより形成することができる。
【0051】
以上のようにして、本実施形態の固体電解コンデンサ8が構成されている。一般に、固体電解コンデンサ8は、その周りをモールド外装樹脂で覆われ、陽極リード7には陽極端子が接続され、陰極層6には陰極端子が接続され、それぞれの端子はモールド外装樹脂の外部に引き出されるように設けられている。
【0052】
本実施形態においては、導電性高分子層3の少なくとも一部に本発明の導電性高分子膜が用いられているので、導電性に優れた導電性高分子層3を形成することができる。
【0053】
本実施形態の固体電解コンデンサは、導電性高分子層3の少なくとも一部に本発明の導電性高分子膜を用いているので、固体電解コンデンサ8のESRを低減することができる。
【0054】
<有機太陽電池>
図2は、本発明に従う電子デバイスの他の実施形態である有機太陽電池を示す模式的断面図である。
【0055】
図2に示すように、基板10の上には、透明電極11が形成されている。基板10としては、ガラス基板を用いることができる。透明電極11としては、インジウム錫酸化物(ITO)などからなる薄膜が形成されている。
【0056】
透明電極11の上には、ホール輸送層12が形成されている。このホール輸送層12として、本発明の導電性高分子膜を形成することができる。ホール輸送層12の上には、活性層13が形成されている。活性層13としては、例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)膜を形成することができる。活性層13の上には、電子輸送層14が形成されている。電子輸送層14としては、例えば、C60フラーレン膜などを形成することができる。
【0057】
電子輸送層14の上には、上部電極15が形成されている。上部電極15としては、例えば、アルミニウムなどの金属膜を形成することができる。
【0058】
以上のようにして、本発明の実施形態である有機太陽電池16が構成されている。
【0059】
本実施形態の有機太陽電池においては、ホール輸送層12として、本発明の導電性高分子膜が形成されているので、導電性に優れたホール輸送層12を形成することができる。ホール輸送層12の導電性を向上させることができるので、界面抵抗及びバルク抵抗に起因するIRドロップを低減することができ、開放電圧を上昇させることができる。
【0060】
<透明電極及びタッチパネル>
図3は、本発明に従う電子デバイスのさらに他の実施形態である透明電極を示す模式的断面図である。図3に示すように、基板20の上には、透明導電膜として、導電性高分子膜21が形成されている。基板20としては、例えば、プラスチック基板などを用いることができる。
【0061】
基板20の上に、導電性高分子膜21を形成することにより、透明電極22が構成されている。本実施形態においては、導電性高分子膜21として、本発明の導電性高分子膜を用いている。このため、導電性高分子膜21の導電性を向上させることができる。このため、導電性高分子膜21の膜厚を薄くしても、一定の表面抵抗を保ちながら、透過率を改善することができる。また、本発明の導電性高分子膜は、吸収係数が小さいので、透明性に優れており、この点からも、導電性高分子膜21の透明性を高めることができる。
【0062】
本実施形態の透明電極22は、例えば、タッチパネル用透明電極、ディスプレイ用透明電極、太陽電池用透明電極などに用いることができる。
【0063】
ディスプレイ用途としては、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電子ペーパーなどの透明電極として用いることができる。太陽電池用途としては、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池(有機太陽電池)、化合物系の太陽電池、シリコン系の太陽電池などの透明電極として用いることができる。
【0064】
図4は、本発明に従う電子デバイスのさらに他の実施形態であるタッチパネルを示す模式的断面図である。図4に示すように、一対の基板30の上に、それぞれ導電性高分子膜31を形成し、導電性高分子膜31が対向するように配置されている。一対の導電性高分子膜31の間には、貼り合わせ剤33が設けられている。また、一方の導電性高分子膜31の上には、複数のスペーサ32が設けられている。一方の基板30が押圧されると、一対の導電性高分子膜31の間の距離が狭くなり、スペーサ32が押圧されることによって、一対の導電性高分子膜31の間に電気が流れ、電気的に導通する。
【0065】
本実施形態のタッチパネル34においては、導電性高分子膜31に、本発明の導電性高分子膜が用いられている。従って、導電性高分子膜31は、高い導電性を有するとともに、良好な透過率を有している。
【実施例】
【0066】
以下、本発明に従う具体的な実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
<ガラス基板上への導電性高分子膜の形成>
(実験1)
導電性高分子のモノマーとして、3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いた。酸化剤として、p−トルエンスルホン酸第二鉄の50質量%ブタノール溶液を用いた。添加剤として、p−トルエンスルホン酸ピリジニウムを用いた。芳香族系溶剤として、アニソール(メトキシベンゼン)を用いた。3,4−エチレンジオキシチオフェン(A)と、p−トルエンスルホン酸第二鉄(B)と、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(C)と、表1に示す配合比(モル比)A:B:Cで混合し、さらにアニソールを混合した。アニソールは、ブタノール溶液中のブタノールとアニソールの合計に対する質量%として、表1に示す割合となるように混合した。
【0068】
上記のようにして各成分を混合した重合液を、ガラス基板上にスピンコート法で塗布して成膜した。成膜後、50℃で1時間放置した。放置後、純水で膜を洗浄し、副生成物を除去し、ガラス基板上にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる導電性高分子膜を形成した。
【0069】
導電率を算出するため、得られた導電性高分子膜の膜厚を測定した。導電性高分子膜の面積は毎回一定(本測定では2cm×2cm)とした。膜厚は、触針式表面形状測定機Dektakで測定し、導電性高分子膜の導電率は、抵抗率計ロレスタMCP−T610(株式会社ダイヤインスツルメンツ社製)で測定した。波長800nmにおける吸光度は、分光光度計U4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。
【0070】
導電性高分子膜を塗布する際のスピンコート回転数、導電性高分子膜の膜厚(PEDOT膜厚)、吸光度、シート抵抗、及び導電率を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示すように、本発明に従い、芳香族系溶剤としてのアニソールを添加した重合液を用いた実施例1〜9においては、芳香族系溶剤を添加していない比較例1及び2に比べ、高い導電率が得られることがわかる。また、実施例1〜9においては、比較例1及び2に比べ、吸光度が低くなっており、良好な光透過率が得られることがわかる。
【0073】
以上のように、本発明によれば、高い導電性を有し、かつ良好な透過率を有する導電性高分子膜を形成することができる。
【0074】
(実験2)
芳香族系溶剤として、エトキシベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、及びテトラリンを用い、表2に示す配合モル比A:B:Cとする以外は、実験1と同様にして、重合液を調製し、得られた重合液を用いて、ガラス基板上に導電性高分子膜を形成した。
【0075】
また、比較として、本発明の芳香族系溶剤に代えて、エチレングリコール、またはm−クレゾールを用い、上記と同様にして重合液を調製し、得られた重合液を用いて、ガラス基板上に導電性高分子膜を形成した。
【0076】
表2に、導電性高分子膜を塗布する際のスピンコート回転数、導電性高分子膜の膜厚(PEDOT膜厚)、シート抵抗、及び導電率を示す。
【0077】
なお、m−クレゾールを用いた比較例4においては、重合液にm−クレゾールを添加した直後から重合液の変色が始まり、スピンコートした際にも、スピンコート直後から薄膜の着色が他の場合よりも強かった。これは、m−クレゾールの水酸基が、重合液に含まれる他の成分と何らかの相互作用をするためであると思われる。
【0078】
【表2】

【0079】
なお、アニソールは、以下に示す構造を有し、その沸点は154℃である。
【0080】
【化1】

【0081】
エトキシベンゼンは、以下に示す構造を有し、その沸点は169℃である。
【0082】
【化2】

【0083】
トルエンは、以下に示す構造を有し、その沸点は111℃である。
【0084】
【化3】

【0085】
キシレンは、以下に示す構造を有し、その沸点は139℃である。
【0086】
【化4】

【0087】
n−ブチルベンゼンは、以下に示す構造を有し、その沸点は183℃である。
【0088】
【化5】

【0089】
テトラリンは、以下に示す構造を有し、その沸点は207℃である。
【0090】
【化6】

【0091】
エチレングリコールは、以下に示す構造を有し、その沸点は197℃である。
【0092】
【化7】

【0093】
m−クレゾールは、以下に示す構造を有し、その沸点は202℃である。
【0094】
【化8】

【0095】
表2に示す結果から明らかなように、芳香族系溶剤として、エトキシベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、及びテトラリンを用いた場合においても、得られた導電性高分子膜は、高い導電率を示している。
【0096】
これに対し、芳香族系溶剤でないエチレングリコールを用いた比較例3、水酸基を有する芳香族系溶剤を用いた比較例4においては、高い導電率が得られていない。
【0097】
表1及び表2に示す結果から明らかなように、芳香環の置換基として炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤を重合液に添加して、導電性高分子膜を形成することにより、高い導電率を有する導電性高分子膜にすることができる。また、置換基としては、アルキル基よりも、アルコキシ基を有する芳香族系溶剤を用いた場合に、より高い導電率が得られる。
【0098】
また、芳香族系溶剤の沸点は、111℃〜207℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは139℃〜183℃であることがわかる。
【0099】
<固体電解コンデンサの作製>
図1に示す構造を有する固体電解コンデンサを作製した。陽極1は、タンタル(Ta)の粉末の焼結体から形成した。陽極1は、4.4mm×3.2mm×0.9mmの直方体の形状を有している。この直方体形状を有する陽極1の1端面(3.2mm×0.9mm)に、陽極リード7が埋設されている。陽極リード7は、タンタル(Ta)から形成されている。
【0100】
陽極リード7が埋設された陽極1を、65℃の温度に保たれたリン酸水溶液中に浸漬し、定電圧10Vを印加して、10時間陽極酸化することにより、陽極1の表面に誘電体層2を形成した。誘電体層2は、上述のように、陽極1の多孔質体の孔の表面上にも形成されている。
【0101】
次に、誘電体層2を形成した陽極1を、重合液中に浸漬した。重合液は、導電性高分子モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェンと、酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄をモル比(導電性高分子モノマー:酸化剤)で1:4となるように混合し、さらに芳香族系溶剤としてアニソールを混合した混合溶液を用いた。p−トルエンスルホン酸第二鉄は50質量%のブタノール溶液を用い、この溶液に含まれるブタノールと、アニソールとの合計に対し、アニソールが10質量%となるようにアニソールを混合して重合液とした。
【0102】
この重合液に、誘電体層2を形成した陽極1を浸漬し、浸漬後引き上げて乾燥することにより、誘電体層2の上に、導電性高分子層3を形成した。重合液中の浸漬及び乾燥を繰り返すことにより、膜厚50μmとなるように導電性高分子層3を形成した。
【0103】
次に、陽極1の外周面上の導電性高分子層3の上に、カーボン層4及び銀ペースト層5を順次形成し、陰極層6を設けた。
【0104】
以上のようにして作製した固体電解コンデンサ8の陽極リード7に陽極端子を溶接し、陰極層6に陰極端子を導電性接着剤により接続した後、固体電解コンデンサ8の外側を、エポキシ樹脂で外装し、被覆密閉して固体電解コンデンサを完成した。
【0105】
得られた固体電解コンデンサについて、ESRを測定した。
【0106】
ESRの測定は、LCRメータ(インダクタンス−キャパシタンス−レジスタンス測定装置)を用いて、周波数100kHzで行った。
【0107】
以上のようにして測定した結果、ESRは6.0mΩであった。
【0108】
比較として、芳香族系溶剤としてのアニソールを添加していない重合液を用いる以外は、上記と同様にして、導電性高分子膜を形成し、比較の固体電解コンデンサを作製した。この比較の固体電解コンデンサについて、上記と同様にして、ESRを測定した。その結果、ESRは7.0mΩであった。
【0109】
以上のように、本発明に従い、固体電解コンデンサにおける導電性高分子層を本発明の導電性高分子とすることにより、導電性高分子層3の導電率を向上させることができる。このため、ESRを低減させることができる。
【0110】
<有機太陽電池の作製>
図2に示す構造を有する有機太陽電池を作製した。ITOから形成された透明電極11の表面に、重合液をスピンコートした。重合液としては、上記の固体電解コンデンサの作製に用いた重合液を使用した。その後、50℃で1時間放置し、純水で洗浄し、乾燥することにより、ホール輸送層12を形成した。従って、ホール輸送層12は、膜厚50nmのポリエチレンジオキシチオフェンの薄膜から形成した。
【0111】
次に、ホール輸送層12の上に、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のo−ジクロロベンゼン溶液をスピンコートし、膜厚50nmの活性層13を形成した。
【0112】
活性層13の上に、C60フラーレン膜を真空蒸着することにより、膜厚50nmの電子輸送層14を形成した。
【0113】
次に、電子輸送層14の上に、シャドーマスクを用いてAl膜を真空蒸着することにより、上部電極15を形成した。次に、ガラスキャップで封止することにより、有機太陽電池16を完成した。作製した有機太陽電池について、AM1.5(100mW/cm)の疑似太陽光を照射したところ、開放電圧として、0.6Vの起電力を得ることができた。
【0114】
比較として、芳香族系溶剤としてのアニソールを添加していない重合液を用いる以外は、上記と同様にして、ホール輸送層12を形成し、比較の有機太陽電池を作製した。
【0115】
この比較の有機太陽電池について、上記と同様にして、疑似太陽光を照射したところ、開放電圧として、0.1Vの起電力が得られた。
【0116】
以上の結果から、ホール輸送層12として、本発明に従う導電性高分子膜を形成することにより、ホール輸送層12の導電性を向上させることができ、界面抵抗及びバルク抵抗に起因するIRドロップを低減でき、開放電圧を上昇させることができた。
【0117】
<タッチパネル用透明電極の作製>
上記の固体電解コンデンサの作製に用いた重合液を用い、ポリエーテルサルホン(PES)からなるプラスチック基板の上に、この重合液をスピンコート法で塗布して成膜した。成膜後、50℃で1時間放置した。放置後、純水で膜を洗浄し、副生成物を除去し、基板上に導電性高分子膜を形成した。
【0118】
得られた導電性高分子膜は、シート抵抗が200Ω/□で、透過率は90%であった。透過率は、400nmから800nmまでの透過率を平均して算出した。
【0119】
比較として、芳香族系溶剤としてのアニソールを添加していない重合液を用い、同じ膜厚の導電性高分子膜を形成した。この比較の導電性高分子膜について、シート抵抗と透過率を測定した結果、シート抵抗は305Ω/□で、透過率は77%であった。
【0120】
以上の結果から、本発明に従う導電性高分子膜を用いて透明電極を形成することにより、シート抵抗が低く、透過率の高い透明電極を形成できることがわかった。
【符号の説明】
【0121】
1…陽極
2…誘電体層
3…導電性高分子層
4…カーボン層
5…銀ペースト層
6…陰極層
7…陽極リード
8…固体電解コンデンサ
10…基板
11…透明電極
12…ホール輸送層
13…活性層
14…電子輸送層
15…上部電極
16…有機太陽電池
20…基板
21…導電性高分子膜
22…透明電極
30…基板
31…導電性高分子膜
32…スペーサ
33…貼り合わせ剤
34…タッチパネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子のモノマーと、酸化剤と、アルコール系溶剤と、溶剤全体に対して1〜50質量%の割合で含有され、芳香環の置換基として炭素数1〜10のアルキル基(芳香環の2つの位置で結合して環構造を形成するものも含む)及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤とを含む重合液を用い、前記導電性高分子のモノマーを重合させることにより得られることを特徴とする導電性高分子膜。
【請求項2】
前記芳香族系溶剤が、アルコキシベンゼン、アルキルベンゼン、テトラリン及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子膜。
【請求項3】
請求項1または2に記載された導電性高分子膜を有することを特徴とする電子デバイス。
【請求項4】
導電性高分子のモノマーと、酸化剤と、アルコール系溶剤と、溶剤全体に対して1〜50質量%の割合で含有され、芳香環の置換基として炭素数1〜10のアルキル基(芳香環の2つの位置で結合して環構造を形成するものも含む)及び/またはアルコキシ基を有し、かつ水酸基を有していない芳香族系溶剤とを含む重合液を調製する工程と、
前記重合液を基体上に塗布する工程と、
塗布した前記重合液を乾燥させて、前記導電性高分子のモノマーを重合して導電性高分子膜を形成する工程とを備えることを特徴とする導電性高分子膜の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−46705(P2012−46705A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192775(P2010−192775)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】