説明

導電材料及びその製造方法、並びにタッチパネル

【課題】ヘイズが低く、反射率及び反射の視野角依存性が小さく、視認性に優れた導電材料及び導電材料の製造方法、並びにタッチパネルの提供。
【解決手段】平均短軸長さが50nm以下であり、かつ平均長軸長さが5μm以上である金属ナノワイヤーを少なくとも含有する導電層を有する導電材料であって、前記導電層が、特定のテトラザインデン化合物及び特定のメルカプトテトラゾール化合物を含有し、前記金属ナノワイヤーが、銀と、ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属を、前記銀1モルあたり、1×10−4モル〜1×10−2モル含有する導電材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電材料及び導電材料の製造方法、並びにタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、モバイル型パーソナルコンピューター等に投影型静電容量式のタッチパネルの搭載が進んでいる。この投影型静電容量式のタッチパネルは、同時多数的にタッチポイントを認識できることからディスプレイ上のオブジェクトの拡大、縮小、回転等を2本の指で操作でき、鍵盤オブジェクトの同時タッチによる和音情報入力等が可能であり、抵抗膜式タッチパネルよりも入力デバイスとしての能力に優れている。
【0003】
ここで、タッチパネルの透明導電材料としては、一般的に、ITO(インジウム錫酸化物)が利用されているが、投影型静電容量式の場合には、ITOを数ミリメートル幅の櫛型又はダイヤ型と呼ばれる形状にパターニングする必要がある。しかし、ITOは、基板(ガラスや透明樹脂)よりも光反射率が高いため、ディスプレイ上のタッチパネルとして使用した場合、外光反射によってパターンが見えてしまいディスプレイ上のオブジェクトの視認性を悪化させてしまうという問題がある。
一方、支持体上にサブミクロンオーダーの太さを有する銀ワイヤーをランダムな網目状(不織布状)に形成した透明導電膜は、ITOと同等の透明度、導電性(表面抵抗の逆数)を示し、特にポリエチレンテレフタレート(PET)等の可撓性基板上に形成した場合には、ITOよりも透明度及び導電性に優れている。
【0004】
ところで、投影式静電容量式のタッチパネルのダイヤ型等のパターン形成方法としては、(1)二次元のX方向のパターンとY方向のパターンを異なる平面に形成する方法と、(2)二次元のX方向のパターンとY方向のパターンを同一平面に形成する方法とがある。前記(1)では、例えば1枚の基板の両面にパターンを分けて形成し、2枚の基板に別々にパターンを形成して、粘着層を挟んで張り合わせる方法がある。前記(2)の方法としては、同一平面上のX方向パターンとY方向パターンを絶縁層とブリッジを用いて短絡させずに形成する方法がある(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
【0005】
前記(2)のX−Yパターンを同一面上に形成するパターニング方法は、前記(1)の異なる平面にパターンを形成する方法に比べてアライメント(X−Yパターン位置合わせ)が容易であるが、銀ワイヤーを用いてX−Yパターンを同一面上に形成した場合、高湿度状態でタッチパネル動作を続けるとITOよりも早く動作不良を起こすことが判明した。この動作不良の原因は、銀イオンマイグレーションであると考えられる。
そこで、銀イオンマイグレーション対策として有機系銀吸着剤を添加することが試みられており、その結果、銀イオンマイグレーションについてはITO並みになるものの、ヘイズが増大し、比較的暗い画像の視認性が悪化してしまうという新たな課題が生じ、その速やかな解決が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−65748号公報
【特許文献2】特開2010−44453号公報
【特許文献3】特開2010−33478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ヘイズが低く、反射率及び反射の視野角依存性が小さく、視認性に優れた導電材料及び導電材料の製造方法、並びにタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、金属ナノワイヤー(銀ナノワイヤー)による透明導電膜をITOに代えて投影型静電容量方式のタッチパネルを作製したところ、パターン部分の外光反射が基板と同等であり、ディスプレイに表示されたオブジェクトの視認性を妨げないことを知見した。
また、本発明者らが詳細に検討した結果、銀ナノワイヤーを高温の有機溶剤中で合成する方法で調製した場合、銀ナノワイヤー径の太さに起因し、ヘイズが高く、比較的暗い画像を表示している状況において銀ナノワイヤーパターン部分の外光の散乱によるオブジェクト視認性の悪化が判明し、反射ではITOに優れるが散乱ではITOに大きく劣ることが分った。一方、銀ナノワイヤーを水溶液中で合成する方法で調製した場合、銀ナノワイヤー径が細く、ヘイズが低いため外光の散乱が僅かであり、実質的にITOと同等となることを知見した。
更に、銀イオンマイグレーション対策として有機系銀吸着剤を用いると、ヘイズが増大し、比較的暗い画像の視認性が悪化してしまうという課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を進めた結果、銀にニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属を含有させることにより、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される有機系銀吸着剤を併用しても、ヘイズが回復し、視認性の悪化を防止できることを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 平均短軸長さが50nm以下であり、かつ平均長軸長さが5μm以上である金属ナノワイヤーを少なくとも含有する導電層を有する導電材料であって、
前記導電層が、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物を含有し、
前記金属ナノワイヤーが、銀と、ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属を、前記銀1モルあたり、1×10−4モル〜1×10−2モル含有することを特徴とする導電材料である。
【化1】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、無置換又は置換されたアルキル基、無置換又は置換されたアリール基、無置換又は置換されたアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、及びヘテロ環残基のいずれかを表す。RとR又はRとRとが連結し5員環もしくは6員環を形成してもよい。ただし、RとRのうち、少なくとも一つはヒドロキシ基を表す。
【化2】

ただし、前記一般式(II)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−SOM、−COOM、−OH、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよい有機残基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、四級アンモニウム基又は四級ホスホニウム基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR、−COOR又は−SOを表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
<2> 一般式(I)において、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、及びヒドロキシ基のいずれかを表し、RとRのうち、少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
一般式(II)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−OH、−SOM、−COOM、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよいフェニル基、又は−SOMが置換していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは−CORであり、Rは水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかであり、Mは水素原子、及びアルカリ金属原子のいずれかである前記<1>に記載の導電材料である。
<3> 一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の合計含有量が、銀に対し0.01質量%〜10質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の導電材料である。
<4> 一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物との混合質量比率〔一般式(I):一般式(II)〕が1:99〜99:1である前記<1>から<3>のいずれかに記載の導電材料である。
<5> 導電層がパターニングされており、形成されたパターン間の距離が50μm以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載の導電材料である。
<6> 基材上に、少なくとも金属ナノワイヤーを含有する導電層組成物を塗布して導電層を形成する導電層形成工程と、
下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物を含む液を導電層に付与する付与工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする導電材料の製造方法である。
【化3】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、無置換又は置換されたアルキル基、無置換又は置換されたアリール基、無置換又は置換されたアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、及びヘテロ環残基のいずれかを表す。RとR又はRとRとが連結し5員環もしくは6員環を形成してもよい。ただし、RとRのうち、少なくとも一つはヒドロキシ基を表す。
【化4】

ただし、前記一般式(II)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−SOM、−COOM、−OH、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよい有機残基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、四級アンモニウム基又は四級ホスホニウム基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR、−COOR又は−SOを表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
<7> 一般式(I)において、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、及びヒドロキシ基のいずれかを表し、RとRのうち、少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
一般式(II)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−OH、−SOM、−COOM、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよいフェニル基、又は−SOMが置換していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは−CORであり、Rは水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかであり、Mは水素原子、及びアルカリ金属原子のいずれかである前記<6>に記載の導電材料の製造方法である。
<8> 金属ナノワイヤーが、銀と、ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属を、前記銀1モルあたり、1×10−4モル〜1×10−2モル含有する前記<6>から<7>のいずれかに記載の導電材料の製造方法である。
<9> 更に、導電層をパターン露光及び現像するパターニング工程を含む前記<6>から<8>のいずれかに記載の導電材料の製造方法である。
<10> 支持フィルムと、該支持フィルム上に第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイを有するタッチパネルであって、
前記支持フィルムの同一面上に、第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイが配置されており、前記第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列しており、
前記第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイとの距離が50μm以下であり、
前記第一のセンサー電極アレイ及び前記第二のセンサー電極アレイが前記<1>から<5>のいずれかに記載の導電材料を用いて形成されたことを特徴とするタッチパネルである。
<11> 第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイが、略正方形状のパッド部と該バッド部を電気的に連結する連結部とから構成されており、
前記第一のセンサー電極アレイのパッド部と前記第二のセンサー電極アレイのパッド部との隣接する辺と辺との距離が50μm以下である前記<10>に記載のタッチパネルである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、ヘイズが低く、反射率及び反射の視野角依存性が小さく、視認性に優れた導電材料及び導電材料の製造方法、並びにタッチパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、タッチパネルの一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、図1のタッチパネルから保護膜を取り除いての操作面側からみた模式図である。
【図3】図3は、タッチパネルの他の一例を示す概略断面図である。
【図4】図4は、タッチパネルの更に他の一例を示す概略説明図である。
【図5】図5は、図4に示すタッチパネルにおける導電膜の配置例を示す概略平面図である。
【図6】図6は、タッチパネルの他の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(導電材料)
本発明の導電材料は、金属ナノワイヤーを少なくとも含有する導電層を有してなる。本発明の導電材料は、更に、基材、感光層、防汚層、UVカット層、反射防止層等のその他の層を有していてもよい。
【0013】
前記導電材料の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状などが挙げられ、また、その平面形状としては、四角形、円形などが挙げられ、前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられ、前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
前記導電材料は、可撓性を有し、透明であることが好ましく、前記透明には、無色透明のほか、有色透明、半透明、有色半透明などが含まれる。
前記導電材料における導電層は、パターニングされていてもパターニングされていなくてもよい。前記パターニングとしては、既存のITO透明導電膜で施されているパターニングが挙げられ、長方形状のパターン、ダイヤモンドパターンと呼ばれているものなどが挙げられる。
前記導電層がパターニングされている場合には、形成されたパターン間の距離(隣接するパターン同士の隣接する辺と辺との距離)が50μm以下であることが、透明電極の有効面積を広げ、感度と解像度を向上させる点、及びディスプレイ画像の視認性向上の点で好ましい。
【0014】
<導電層>
前記導電層は、金属ナノワイヤーと、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物とを含有し、ポリマー、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0015】
本発明においては、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物を併用することが、銀イオンマイグレーション抑制のために必要であり、この効果は、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物をそれぞれ単独で使用しただけでは不十分であった電極間の絶縁性を長期間に亘って維持できるという本発明に特有の効果である。
【0016】
<<一般式(I)で表される化合物(テトラザインデン化合物)>>
【化5】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、総炭素数1〜20の環や分岐を有していてもよい無置換或いは置換されたアルキル基、単環もしくは双環の無置換或いは置換されたアリール基、無置換或いは置換されたアミノ基、ヒドロキシ基、総炭素数1〜20のアルコキシ基、総炭素数1〜6のアルキルチオ基、脂肪族基又は芳香族基で置換されていてもよいカルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、総炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、又は、窒素原子、酸素原子、イオウ原子等のヘテロ原子を有する5員もしくは6員環を含むヘテロ環残基を表す。RとR又はRとRとが連結し5員もしくは6員環を形成してもよい。ただし、RとRのうち、少なくともその一つはヒドロキシ基を表す。
これらの中でも、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、及びヒドロキシ基のいずれかを表し、RとRのうち、少なくとも1つはヒドロキシ基であることが好ましい。
【0017】
前記無置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘプタデシル基などが挙げられる。前記置換アルキル基における置換基としては、例えば、単環もしくは双環のアリール基、ヘテロ残基、ハロゲン原子、カルボキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、炭素数19以下のアルコキシ基、ヒドロキシ基などが挙げられる。置換アルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、クロロメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、2−(メトキシカルボニル)エチル基、エトキシカルボニルメチル基、2−メトキシエチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。無置換アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。前記アリール基が置換された場合の置換基としては、例えば、炭素数4以下のアルキル基、ハロゲン原子、カルボキシ基、シアノ基、炭素数6以下のアルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数6以下のアルコキシ基などが挙げられる。置換アリール基としては、例えば、p−トリル基、m−トリル基、p−クロロフェニル基、p−ブロモフェニル基、o−クロロフェニル基、m−シアノフェニル基、p−カルボキシフェニル基、o−カルボキシフェニル基、p−(メトキシカルボニル)フェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−エトキシフェニル基などが挙げられる。前記置換アミノ基の置換基としては、例えば、アルキル基(例えばメチル基、エチル基、ブチル基)、アシル基(例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、メチルスルホニル基)などが挙げられ、置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、アセチルアミノ基などが挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘプタデシルオキシ基などが挙げられる。前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、ヘキシルチオ基などが挙げられる。前記カルバモイル基は、置換基として炭素数20以下のアルキル基や2環以内のアリール基を一つ又は二つ有することができる。置換カルバモイル基としては、例えばメチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基などが挙げられる。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。前記ヘテロ環残基は単環でも、2〜3環の縮合環を有していてもよく、例えば、フリル基、ピリジル基、2−(3−メチル)ベンゾチアゾリル基、1−ベンゾトリアゾリル基などが挙げられる。
【0018】
以下、前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化6】

これらの中でも、銀イオンマイグレーション防止の観点で、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンが特に好ましい。
【0019】
<<一般式(II)で表される化合物(メルカプトテトラゾール化合物)>>
【化7】

ただし、前記一般式(II)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−SOM、−COOM、−OH、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよい有機残基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、四級アンモニウム基又は四級ホスホニウム基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR、−COOR又は−SOを表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0020】
前記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−SOM、−COOM、−OH及び−NHRから選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい有機残基であり、具体的には、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等)、炭素数6〜14のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)を示す。
【0021】
前記一般式(II)のRで表される各基は更に置換されていてもよく、置換基としては以下のものが挙げられる。ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ、ニトロ、アンモニオ(例えば、トリメチルアンモニオ等)、ホスホニオ、スルホ(塩を含む)、スルフィノ(塩を含む)、カルボキシ(塩を含む)、ホスホノ(塩を含む)、ヒドロキシ、メルカプト、ヒドラジノ、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル,t−ブチル、n−オクチル、シクロペンチル、シクロへキシル)、アルケニル(例えば、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニル)、アルキニル(例えば、プロパルギル、3−ペンチニル)、アラルキル(例えば、ベンジル、フェネチル)、アリール(例えば、フェニル、ナフチル、4−メチルフェニル)、ヘテロ環(例えば、ピリジル、フリル、イミダゾリル、ピペリジル、モルホリノ)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、ブチルオキシ)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ、2−ナフチルオキシ)、アルキルチオ(例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ(例えば、フェニルチオ)、アミノ(例えば、無置換のアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、アリニノ)、アシル(例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイル)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル(例えば、フェノキシカルボニル)、カルバモイル(例えば、無置換のカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルオキシ(例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アシルアミノ(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、ウレイド(例えば、無置換のウレイド、N−メチルウレイド、N−フェニルウレイド)、アルキルスルホニルアミノ(例えば、メチルスルホニルアミノ)、アリールスルホニルアミノ(例えば、フェニルスルホニルアミノ)、アルキルスルホニルオキシ(例えば、メチルスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ(例えば、フェニルスルホニルオキシ)、アルキルスルホニル(例えば、メシル)、アリールスルホニル(例えば、トシル)、アルコキシスルホニル(例えば、メトキシスルホニル)、アリールオキシスルホニル(例えば、フェノキシスルホニル)、スルファモイル(例えば、無置換のスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルスルフィニル(例えば、メチルスルフィニル)、アリールスルフィニル(例えば、フェニルスルフィニル)、アルコキシスルフィニル(例えば、メトキシスルフィニル)、アリールオキシスルフィニル(例えば、フェノキシスルフィニル)、リン酸アミド(例えば、N,N−ジエチルリン酸アミド)などである。これらの基は更に置換されていてもよい。また、置換基が2つ以上ある時は同じであっても、異なっていてもよい。
【0022】
ここでRの置換基−SOM、−COOM、−OH及び−NHRが2個以上あるときは同じであっても異っていてもよい。
【0023】
前記一般式(II)において、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR、−COOR、又は−SOを表し、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ドデシル基、オクタデシル基)、アリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)を表す。これらの基は、Rの置換基として挙げた置換基が置換していてもよい。
【0024】
前記一般式(II)において、Mは、水素原子、アルカリ金属原子(例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなど)、四級アンモニウム(例えばアンモニオ、テトラメチルアンモニオ、ベンジルトリメチルアンモニオ、テトラブチルアンモニオなど)、又は四級ホスホニウム(例えばテトラメチルホスホニオなど)を表す。
【0025】
前記一般式(II)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−OH、−SOM、−COOM、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよいフェニル基、又は−SOMが置換していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは−CORであり、Rは水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかであり、Mは水素原子、及びアルカリ金属原子のいずれかであることが好ましい。
更に好ましくは、Rは、−SOMが置換したフェニル基、−COOMが置換したフェニル基、−NHRが置換したフェニル基、−SOMが置換した炭素数1〜4のアルキル基、−COOMが置換した炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又は−CORであり、Rは水素原子、親水性基(例えばカルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基)の置換した炭素数1〜4のアルキル基であり、Mは水素原子、ナトリウム原子である。特に好ましくは、Rは−SOMが置換したフェニル基、−COOMが置換したフェニル基である。
【0026】
以下、前記一般式(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化8】

【化9】

【化10】

【0027】
これらの中でも、第一の銀イオンマイグレーション防止剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを使用した場合は銀イオンマイグレーション防止の観点から第二の銀イオンマイグレーション防止剤として、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが特に好ましい。
【0028】
前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される化合物の合計含有量は、銀に対して0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.02質量%〜5質量%がより好ましく、0.05質量%〜1質量%が更に好ましい。
前記合計含有量が、銀に対して0.01質量%未満であると、銀イオンマイグレーション効果が実質的に失われることがあり、銀に対して10質量%を超えると、導電性が低下したり、銀イオンマイグレーションをかえって促進することがある。
前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物との混合質量比率〔一般式(I):一般式(II)〕は、1:99〜99:1であることが好ましく、10:90〜90:10であることがより好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物の割合が、1質量%未満であると、銀イオンマイグレーション効果が実質的に失われることがあり、99質量%を超えると、導電性が低下したり、銀イオンマイグレーションをかえって促進することがある。
【0029】
<<金属ナノワイヤー>>
前記金属ナノワイヤーの材料としては、銀と、ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属が用いられる。これらの中でも、視認性の点から、ニッケルが特に好ましい。
前記ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属(銀以外の金属)の含有量は、前記銀1モルあたり、1×10−4モル〜1×10−2モルである。前記銀以外の金属の含有量が、銀1モルあたり1×10−4モル未満であると、ディスプレイ視認性悪化の防止効果が不十分となることがあり、1×10−2モルを超えると、金属ナノワイヤーが凝集してかえってディスプレイ視認性を悪化させることがある。
ここで、前記銀以外の金属の含有量は、例えば原子吸光法、ICP−MS法(誘導結合プラズマ-質量分析法)、蛍光X線分析などにより測定することができる。
前記銀に銀以外の金属を含有させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば(1)金属ワイヤー形成中に銀以外の金属の塩を水溶液として添加する方法、(2)金属ワイヤーを塗設し得られる金属ワイヤー含有層を銀以外の金属の塩を水溶液に浸漬する方法、(3)金属ワイヤー含有層を導電層として電気化学的に金属を析出させる方法、などが挙げられる。
【0030】
−形状−
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
【0031】
−平均短軸長さ径及び平均長軸長さ−
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、50nm以下であり、1nm〜50nmが好ましく、10nm〜40nmがより好ましく、15nm〜35nmが更に好ましい。
前記平均短軸長さが、50nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じ、十分な透明性を得ることができないことがあり、1nm未満であると、耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがある。
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとした。
【0032】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(「平均長さ」と称することがある)としては、
5μm以上であり、5μm〜40μmであることが好ましく、5μm〜35μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましい。
前記平均長軸長さが、5μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しく、十分な導電性を得ることができないことがあり、40μmを超えると、金属ナノワイヤーが長すぎて製造時に絡まり、製造過程で凝集物が生じてしまうことがある。
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均長軸長さを求めた。なお、前記金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長さとした。
【0033】
−アスペクト比−
前記金属ナノワイヤーのアスペクト比としては、10以上であることが好ましい。前記アスペクト比とは、一般的には金属ナノワイヤーの長辺と短辺との比(平均長軸長さ/平均短軸長さの比)を意味する。
前記アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記金属ナノワイヤーのアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記金属ナノワイヤーのアスペクト比が10以上であるか否かは、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記金属ナノワイヤーの長軸長さと短軸長さとを各々別に測定することによって、前記金属ナノワイヤー全体のアスペクト比を見積ることができる。
【0034】
前記金属ナノワイヤーのアスペクト比としては、10以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜1,000,000が好ましく、100〜1,000,000がより好ましい。
前記アスペクト比が、10未満であると、前記金属ナノワイヤーによるネットワーク形成がなされず導電性が十分取れないことがあり、1,000,000を超えると、金属ナノワイヤーの形成時やその後の取り扱いにおいて、成膜前に金属ナノワイヤーが絡まり凝集するため、安定な液が得られないことがある。
【0035】
−アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤーの比率−
前記アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤーの比率としては、全導電性組成物中に体積比で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が更に好ましい。これらの金属ナノワイヤーの割合を、以下、「金属ナノワイヤーの比率」と呼ぶことがある。
前記金属ナノワイヤーの比率が、50%未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下してしまうことがある。また、金属ナノワイヤー以外の形状の粒子は、導電性に大きく寄与しない上に吸収を持つため好ましくない。特に金属の場合で、球形などのプラズモン吸収が強い場合には透明度が悪化してしまうことがある。
【0036】
ここで、前記金属ナノワイヤーの比率は、例えば、金属ナノワイヤーが銀ナノワイヤーである場合には、銀ナノワイヤー水分散液をろ過して、銀ナノワイヤーと、それ以外の粒子とを分離し、ICP発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定することで、金属ナノワイヤーの比率を求めることができる。ろ紙に残っている金属ナノワイヤーをTEMで観察し、300個の金属ナノワイヤーの短軸長さを観察し、その分布を調べることにより、短軸長さが200nm以下であり、かつ長軸長さが1μm以上である金属ナノワイヤーであることを確認する。なお、ろ紙は、TEM像で短軸長さが200nm以下であり、かつ長軸長さが1μm以上である金属ナノワイヤー以外の粒子の最長軸を計測し、その最長軸の2倍以上であり、かつ金属ナノワイヤーの長軸の最短長以下の長さのものを用いることが好ましい。
【0037】
ここで、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができ、本発明においては、金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から求めたものである。
【0038】
−製造方法−
前記金属ナノワイヤーの製造方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよいが、以下のようにハロゲン化合物と分散添加剤とを溶解した溶媒中で加熱しながら金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。
また、前記金属ナノワイヤーの製造方法としては、例えば特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
【0039】
前記溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
前記ケトン類としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
【0040】
前記加熱時の加熱温度としては、250℃以下が好ましく、20℃〜200℃がより好ましく、30℃〜180℃が更に好ましく、40℃〜170℃が特に好ましい。
前記加熱温度が、20℃未満であると、前記加熱温度が低くなる程、核形成確率が下がり金属ナノワイヤーが長くなりすぎるので金属ナノワイヤーが絡みやすく、分散安定性が悪くなることがあり、250℃を超えると、金属ナノワイヤーの断面の角が急峻になり、塗布膜評価での透過率が低くなることがある。
必要に応じて、金属ナノワイヤーの形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更により、金属ナノワイヤーの核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果を向上させることができる。
【0041】
前記加熱の際には、還元剤を添加して行うことが好ましい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
前記水素化ホウ素金属塩としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。
前記水素化アルミニウム塩としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウムなどが挙げられる。
前記アルカノールアミンとしては、例えば、ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノールなどが挙げられる。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ジプロピレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミンなどが挙げられる。
前記ヘテロ環式アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピロリジン、Nメチルピロリジン、モルホリンなどが挙げられる。
前記芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンなどが挙げられる。
前記アラルキルアミンとしては、例えば、ベンジルアミン、キシレンジアミン、N−メチルベンジルアミンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
前記有機酸類としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸又はそれらの塩などが挙げられる。
前記還元糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
前記糖アルコール類としては、例えば、ソルビトールなどが挙げられる。
【0042】
前記還元剤によっては、機能として分散添加剤、溶媒としても働く場合があり、同様に好ましく用いることができる。
【0043】
前記金属ナノワイヤー製造の際には、分散添加剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子とを添加して行うことが好ましい。
前記分散添加剤と、ハロゲン化合物との添加のタイミングとしては、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい金属ナノワイヤーを得るためには、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
【0044】
前記分散添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、合成高分子、これらに由来するゲルなどが挙げられる。これらの中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体が特に好ましい。
前記分散添加剤として使用可能な構造については、例えば、「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
また、使用する分散添加剤の種類によって、得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることもできる。
【0045】
前記ハロゲン化合物としては、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリハライドや、以下に説明する分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
前記ハロゲン化合物によっては、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
【0046】
前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
【0047】
前記分散剤とハロゲン化合物は同一物質で併用してもよい。前記分散剤とハロゲン化合物を併用した化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリド、などが挙げられる。
【0048】
前記脱塩処理は、金属ナノワイヤーを形成した後、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
【0049】
<<ポリマー>>
前記ポリマーとしては、水溶性ポリマー、及び非水溶性ポリマーのいずれも好適に用いることができる。
【0050】
−水溶性ポリマー−
前記水溶性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、ガゼイン、寒天、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属ナノワイヤーの含有量(A)と前記水溶性ポリマーの含有量(B)との質量比(A/B)は、0.2〜3.0が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。
前記質量比(A/B)が、0.2未満であると、前記金属ナノワイヤーに対して前記ポリマーが多くなりすぎ、僅かな塗布量変動により抵抗が上がってしまう懸念があり、3.0を超えると、ポリマーが少ないため、膜強度が実用上十分にならない場合がある。
【0051】
−非水溶性ポリマー−
前記非水溶性ポリマーは、バインダーとしての機能を有しており、中性付近の水に実質的に溶解しないポリマーである。前記非水溶性ポリマーとは、具体的には、SP値(沖津法により算出)が、18MPa1/2〜30MPa1/2のポリマーを意味する。
【0052】
前記SP値としては、18MPa1/2〜30MPa1/2が好ましく、19MPa1/2〜28MPa1/2がより好ましく、19.5MPa1/2〜27MPa1/2が更に好ましい。
前記SP値が、18MPa1/2未満であると、付着した有機汚れを洗浄するのが困難になる場合があり、30MPa1/2を超えると、水との親和性が高くなり、塗布膜の含水率上昇に起因し、赤外線領域の吸収が高くなるためか、例えば太陽電池を作製したときに変換効率が減少してしまうことがある。
【0053】
ここで、前記SP値は、沖津法(沖津俊直著「日本接着学会誌」29(3)(1993))によって算出したものである。具体的には、SP値は以下の式で計算されるものである。なお、ΔFは文献記載の値である。
SP値(δ)=ΣΔF(Molar Attraction Constants)/V(モル容積)
複数の非水溶性ポリマーを用いた場合のSP値(σ)及びSP値の水素結合項(σh)は次の式により算出する。
【0054】
【数1】

ただし、σnは、非水溶性ポリマーと水のSP値又はSP値の水素結合項を、Mnは、混合液中における非水溶性ポリマーと水のモル分率を、Vnは、溶媒のモル体積を、nは、溶媒の種類を表す2以上の整数をそれぞれ表す。
【0055】
前記非水溶性ポリマーとしては、前記SP値が18MPa1/2〜30MPa1/2であれば特に制限されないが、塗膜の基板への密着性、摺りなどに対する耐久性という点で、エチレン性不飽和基を有するポリマーが好ましい。これらの中でも、主鎖に連結する側鎖に、エチレン性不飽和結合の少なくとも1種を含むことが好ましい。前記エチレン性不飽和結合は、側鎖中に複数含まれていてもよい。また、前記エチレン性不飽和結合は、非水溶性ポリマーの側鎖中に、前記分岐及び/又は脂環構造、並びに/又は前記酸性基とともに含まれていてもよい。
【0056】
前記エチレン性不飽和結合としては、非水溶性ポリマーの主鎖との間に少なくとも1つのエステル基(−COO−)を介して結合し、エチレン性不飽和結合とエステル基のみで非水溶性ポリマーの側鎖を構成していてもよい。また、非水溶性ポリマーの主鎖とエステル基との間、及び/又は、エステル基とエチレン性不飽和結合との間に、更に2価の有機連結基を有してもよく、エチレン性不飽和結合は「エチレン性不飽和結合を有する基」として非水溶性ポリマーの側鎖を構成していてもよい。
前記2価の有機連結基としては、例えば、スチレン類、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、(メタ)アクリレート類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
【0057】
前記エチレン性不飽和結合としては、(メタ)アクリロイル基を導入して配されることが好ましい。
前記非水溶性ポリマーの側鎖に(メタ)アクリロイル基を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシル基を持つ繰り返し単位にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、イソシアネート基を持つ繰り返し単位にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。
これらの中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
【0058】
前記エチレン性不飽和結合及びエポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、これらを有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(1)で表される化合物及び下記構造式(2)で表される化合物が好ましい。
【0059】
【化11】

ただし、前記構造式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Lは、有機基を表す。
【0060】
【化12】

ただし、前記構造式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Lは、有機基を表す。Wは、4〜7員環の脂肪族炭化水素基を表す。
【0061】
前記構造式(1)及び構造式(2)で表される化合物の中でも、光硬化樹脂と組み合わせ、ネガ型、ポジ型のレジストとして使用した場合、良現像性、及び膜強度という点で、前記構造式(1)で表される化合物が好ましい。前記構造式(1)及び(2)においては、L及びLがそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましい。
【0062】
前記構造式(1)及び構造式(2)で表される化合物としては、特に制限はないが、例えば、以下の化合物(1)〜(10)が挙げられる。
【0063】
【化13】

【0064】
前記金属ナノワイヤーの含有量(A)と前記非水溶性ポリマーの含有量(C)との質量比(A/C)は、0.2〜3.0が好ましく、0.5〜2.5がより好ましい。
前記質量比(A/C)が、0.2未満であると、塗布量変動による抵抗値のバラツキが問題になる場合や、本発明における溶解液の作用が低下することがあり、3.0を超えると、塗布膜に実用上の十分な強度が得られないことがある。
前記金属ナノワイヤーの含有量(塗布量)は、0.005g/m〜0.5g/mであることが好ましく、0.01g/m〜0.45g/mがより好ましく、0.015g/m〜0.4g/mが更に好ましい。
【0065】
−分散剤−
前記分散剤は、前記金属ナノワイヤーの凝集を防ぎ、分散させるために用いられる。前記分散剤としては、前記金属ナノワイヤーを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適否選択することができ、例えば、市販の低分子顔料分散剤、高分子顔料分散剤を利用でき、特に高分子分散剤で金属ナノワイヤーに吸着する性質を持つものが好ましく用いられ、ポリビニルピロリドン、BYKシリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製)、アジスパーシリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
【0066】
前記分散剤の含有量としては、前記ポリマー100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が更に好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、分散液中で金属ナノワイヤーが凝集してしまうことがあり、50質量部を超えると、塗布工程において安定な塗布膜が形成できず、塗布ムラが発生してしまうことがある。
【0067】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、必要に応じて例えば、界面活性剤、酸化防止剤、硫化防止剤、金属腐食防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種添加剤などが挙げられる。
【0068】
<基材>
前記基材の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
【0069】
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、透明ガラス基板、合成樹脂製シート(フィルム)、金属基板、セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板などが挙げられる。前記基板には、所望により、シランカップリング剤等の薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着などの前処理を行うことができる。
前記透明ガラス基板としては、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラスなどが挙げられる。
前記合成樹脂製シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)シート、ポリカーボネートシート、ポリエーテルスルホンシート、ポリエステルシート、アクリル樹脂シート、塩化ビニル樹脂シート、芳香族ポリアミド樹脂シート、ポリアミドイミドシート、ポリイミドシートなどが挙げられる。
前記金属基板としては、例えば、アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板などが挙げられる。
【0070】
前記基材の全可視光透過率としては、70%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。前記全可視光透過率が、70%未満であると、透過率が低く実用上問題となることがある。
なお、本発明では、基材として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0071】
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが更に好ましい。
前記厚みが、1μm未満であると、塗布工程でのハンドリングの困難さに起因して、歩留まりが低下することがあり、500μmを超えると、ポータブルなアプリケーションにおいては厚みや質量が問題となることがある。
【0072】
−その他の層−
本発明においては、前記導電層が感光性材料(バインダー、感光性化合物)を含有しない場合には、前記基材と前記導電層の間、あるいは前記導電層上に感光層を有することが好ましい。
【0073】
(導電材料の製造方法)
本発明の導電材料の製造方法は、導電層形成工程を少なくとも含み、付与工程、パターニング工程、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
【0074】
<導電層形成工程>
前記導電層形成工程は、基材上に、少なくとも金属ナノワイヤーを含有する導電層組成物を塗布して導電層を形成する工程である。
前記導電層組成物は、金属ナノワイヤー、及びポリマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0075】
前記基材、前記金属ナノワイヤー、及び前記ポリマーとしては、上述したものの中から適宜選択することができる。
前記導電層組成物の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばバーコート法、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法などが挙げられる。
【0076】
前記金属ナノワイヤーの塗布量(含有量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.005g/m〜0.5g/mであることが好ましく、0.01g/m〜0.45g/mがより好ましく、0.015g/m〜0.4g/mが更に好ましい。
前記塗布量が、0.005g/m未満であると、局所的に抵抗が高くなってしまう箇所ができ、面内の抵抗分布が悪化することがあり、0.5g/mを超えると、塗布後の乾燥中に金属ナノワイヤー同士の凝集により、ヘイズが悪化することがある。
【0077】
前記導電層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、20nm〜5,000nmが好ましく、25nm〜4,000nmがより好ましく、30nm〜3,500nmが更に好ましい。
前記厚みが、20nm未満であると、金属ナノワイヤーの平均短軸長さと変わらない範囲となってしまい、膜強度が低下することがあり、5,000nmを超えると、導電層のヒビ割れ、透過率やヘイズが悪化することがある。
【0078】
<付与工程>
前記付与工程は、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物を含む液を導電層に付与する工程である。
【0079】
前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される化合物としては、前記導電材料と同じものを用いることができる。
前記一般式(I)及び前記一般式(II)で表される化合物を溶解するのに用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン等のケトン類、などが挙げられる。
前記付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塗布法、含浸法、スプレー法、浸漬法、などが挙げられる。
【0080】
<パターニング工程>
前記パターニング工程は、前記導電層をパターン露光し、現像する工程である。
前記露光方法としては、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0081】
前記現像は、前記導電層における露光部及び非露光部のいずれかを、溶媒を付与して現像する工程である。
前記溶媒としては、アルカリ溶液が好ましい。
前記アルカリ溶液に含まれるアルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0082】
前記アルカリ溶液の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば塗布、浸漬、噴霧などが挙げられる。具体的には、アルカリ溶液中に本発明の前記導電材料を浸漬する方法、本発明の前記導電材料にシャワーやスプレーを用いて有機溶剤をかけ流す方法、本発明の前記導電材料にアルカリ溶液を浸したナプキン等で塗りつける方法などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ溶液中に本発明の前記導電材料を浸漬する方法が特に好ましい。
前記アルカリ溶液の浸漬時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10秒間〜5分間であることが好ましい。
【0083】
本発明の導電材料における導電層の表面抵抗は、0.1Ω/□〜5,000Ω/□であることが好ましく、0.1Ω/□〜30Ω/□であることがより好ましい。
前記表面抵抗は、例えば表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用いて、測定することができる。
本発明の導電材料における導電層の光透過率は、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
ここで、前記光透過率は、例えば自記分光光度計(UV2400−PC、島津製作所製)により測定することができる。
【0084】
本発明の導電材料は、高透過性、低抵抗であり、耐久性及び可撓性が向上し、簡易にパターニングが可能であるので、例えばタッチパネル、ディスプレイ用電極、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子パーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、集積型太陽電池、表示素子、その他の各種デバイスなどに幅広く適用される。これらの中でも、以下に説明するタッチパネルが特に好ましい。
【0085】
(タッチパネル)
本発明のタッチパネルは、本発明の前記導電材料(透明導電体)を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面型静電容量方式タッチパネル、投射型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜式タッチパネルなどが挙げられる。なお、前記タッチパネルには、いわゆるタッチセンサ及びタッチパッドを含むものとする。
前記タッチパネルにおけるタッチパネルセンサー電極部の層構成が、2枚の透明電極を貼合する貼合方式、1枚の基材の両面に透明電極を具備する方式、片面ジャンパあるいはスルーホール方式あるいは片面積層方式のいずれかであることが好ましい。
【0086】
本発明のタッチパネルは、支持フィルムと、該支持フィルム上に第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイを有するタッチパネルであって、支持フィルムの同一面上に、第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイが配置されており、第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列しており、第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイとの距離が50μm以下であり、第一のセンサー電極アレイ及び前記第二のセンサー電極アレイが本発明の前記導電材料を用いて形成されたものである。
【0087】
第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイが、略正方形状のパッド部と該バッド部を電気的に連結する連結部とから構成されており、第一のセンサー電極アレイのパッド部と第二のセンサー電極アレイのパッド部との隣接する辺と辺との距離が50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、20μmが更に好ましい。前記距離が、50μm以下であると、辺と辺との隙間が目立たずディスプレイ画像の視認性向上の点で好ましい。なお、前記隣接する辺と辺との距離は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
【0088】
ここで、片面積層型の静電容量式タッチパネルについて図面を用いて説明する。
図1は、タッチパネル110の概略断面図を示す。この図1のタッチパネル110は、透明な透明基板111の一方の面上に、透明導電膜よりなる第1電極パターン112と、透明導電膜よりなる第2電極パターン114とが同一面上に形成されて静電容量変化を検出するためのセンサ部120を形成してある。センサ部120上には保護膜115を積層している。
第1電極パターン112及び第2電極パターン114は透明基板111上に、本発明の導電材料を積層して形成してある。これらの電極パターンの形成方法としては、(1)本発明の導電材料を塗布して乾燥させ、それに対して電極パターンに対応するマスクを介在させて露光現像することで不要な部分を除去して電極パターンを形成する方法、(2)本発明の導電材料を塗布して乾燥させ、それに金属ナノワイヤーが溶解するエッチングインクを電極パターン状に塗布して電極パターンを形成する方法がある。
第1電極パターン112及び第2電極パターン114は、同一面上に電気的に離間して形成される。このとき、少なくとも一方の電極パターンは、パッド部とパッド部との間が電気的につながっていないことになるので、ジャンパと呼ばれるメタル配線を用いて電気的に接続する必要がある。
【0089】
図2は、保護膜115を取り除いてタッチパネル110の操作面側からみた模式図を示す。
第1電極パターン112を構成する1行のX電極体112aは、菱形状で複数のX電極112bを、パネル水平方向であるX方向に隣接するX電極112b同士をX導通部112cで接続してある。そして、水平方向に接続したX電極体112aを複数行配置してある。
第2電極パターン114を構成する1列のY電極体114aは、菱形状で複数のY電極114bを上記、X電極とマトリクス状に配置して、パネル垂直方向であるY方向に隣接するY電極114b同士をY導通部114cで連結してある。
そして、垂直方向に接続したY電極体114aを複数列配置してある。
第1電極パターン112と第2電極パターン114は、X電極112bとY電極114bとが重ならないようにパネルに交互配置となって、X導電部112cとY導電部114cとが交差配置となるように、X電極体112aとY電極体114aとを格子状に配置してある。前記第1電極パターン112と前記第2電極パターン114との隣接する辺と辺との距離が50μm以下となるように形成されている。なお、X導通部112c又はY導通部114cはジャンパと呼ばれるメタル配線を用いることで、片面タイプの透明導電膜とすることができる。
【0090】
次に、表面型静電容量方式タッチパネルの一例について、図3を参照して説明する。この図3において、タッチパネル10は、透明基板11の表面を一様に覆うように透明導電体12を配してなり(本発明の前記導電材料に相当)、透明基板11の端部の透明導電体12上に、図示しない外部検知回路との電気接続のための電極端子18が形成されている。
なお、図3中、13は、シールド電極となる透明導電体を示し、14、17は、保護膜を示し、15は、中間保護膜を示し、16は、グレア防止膜を示す。
透明導電体12上の任意の点を指でタッチ等すると、前記透明導電体12は、タッチされた点で人体を介して接地され、各電極端子18と接地ラインとの間の抵抗値に変化が生じる。この抵抗値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
【0091】
前記表面型静電容量方式タッチパネルの他の一例について図4を用いて説明する。該図4においてタッチパネル20は、透明基板21の表面を覆うように配された透明導電体22(本発明の前記導電材料に相当)と透明導電体23と、該透明導電体22と該透明導電体23とを絶縁する絶縁層24と、指等の接触対象と透明導電体22又は透明導電体23の間に静電容量を生じる絶縁カバー層25からなり、指等の接触対象に対して位置検知する。構成によっては、透明導電体22,23を一体として構成することもでき、また、絶縁層24又は絶縁カバー層25を空気層として構成してもよい。
絶縁カバー層25を指等でタッチすると、指等と透明導電体22又は透明導電体23の間の静電容量の値に変化が生じる。この静電容量値の変化を前記外部検知回路によって検知し、タッチした点の座標が特定される。
また、図5により、投射型静電容量方式タッチパネルとしてのタッチパネル20を透明導電体22と透明導電体23とを平面から視た配置を通じて模式的に説明する。
タッチパネル20は、X軸方向の位置を検出可能とする複数の透明導電体22と、Y軸方向の複数の透明導電体23とが、外部端子に接続可能に配されている。透明導電体22と透明導電体23とは、指先等の接触対象に対し複数接触して、接触情報が多点で入力されることを可能とされる。
このタッチパネル20上の任意の点を指でタッチ等すると、X軸方向及びY軸方向の座標が位置精度よく特定される。
なお、透明基板、保護層等のその他の構成としては、前記表面型静電容量方式タッチパネルの構成を適宜選択して適用することができる。また、タッチパネル20において、複数の透明導電体22と、複数の透明導電体23とによる透明導電体のパターンの例を示したが、その形状、配置等としては、これらに限られない。
【0092】
前記抵抗膜式タッチパネルの一例について、図6を用いて説明する。該図6において、タッチパネル30は、透明導電体32が配された基板31(本発明の前記導電材料に相当)と、該透明導電体32上に複数配されたスペーサ36と、空気層34を介して、透明導電体32と接触可能な透明導電体33と、該透明導電体33上に配される透明フィルム35とが支持されて構成される。
このタッチパネル30に対して、透明フィルム35側からタッチすると、透明フィルム35が押圧され、押し込まれた透明導電体32と透明導電体33とが接触し、この位置での電位変化を図示しない外部検知回路で検出することで、タッチした点の座標が特定される。
【実施例】
【0093】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0094】
(合成例1)
<バインダー(A−1)の合成>
共重合体を構成するモノマー成分としてメタクリル酸(MAA)7.79g、ベンジルメタクリレート(BzMA)37.21gを使用し、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5gを使用し、これらを溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)55.00g中において重合反応させることにより、下記式で表されるバインダー(A−1)のPGMEA溶液(固形分濃度:45質量%)を得た。なお、重合温度は、温度60℃乃至100℃に調整した。
分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィ法(GPC)を用いて測定した結果、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)は30,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.21であった。
【化14】

【0095】
(実施例1)
<試料No.101の導電材料の作製>
−銀ナノワイヤー分散液(1)の調製−
予め、下記の添加液A、G、及びHを調製した。
〔添加液A〕
硝酸銀粉末0.56gを純水50mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
【0096】
〔添加液G〕
グルコース粉末0.5g及びヒドロキルアミン0.05gを140mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
【0097】
〔添加液H〕
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末0.5gを27.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
【0098】
−銀ナノワイヤー分散液の調製−
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、前記添加液H 82.5mL、及び前記添加液G 206mLをロートにて添加した。この液を攪拌回転数800rpmで撹拌しながら、前記添加液A 206mLを流量2.0mL/minで添加した。その10分間後、添加液Hを82.5mL添加し、硫酸ニッケル六水和物水溶液をニッケル含有量が0.01mol%/Agとなるように添加した。その後、3℃/分で内温78℃まで昇温した。以上により、銀ナノワイヤー分散液を調製した。
【0099】
−銀ナノワイヤーのMFG分散液(Ag−1)の調製−
銀ナノワイヤー分散液へ、ポリビニルピロリドン(K−30、和光純薬工業株式会社製)と1−メトキシ−2−プロパノール(MFG)を添加し、遠心分離の後、デカンテーションにて上澄みの水を除去し、MFGを添加し、再分散を行い、その操作を3回繰り返し、銀ナノワイヤーのMFG分散液(Ag−1)を得た。最後のMFGの添加量は銀の含有量が、銀1質量%となるように調節した。
【0100】
−ネガ型導電層用組成物の調製−
合成例1のバインダー(A−1)0.241質量部、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬株式会社製)0.252質量部、IRGACURE379(光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.0252質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.0237質量部、メガファックF781F(DIC株式会社製)0.0003質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)0.9611質量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール(MFG)44.3質量部、前記銀ナノワイヤーのMFG分散液(Ag−1)を54.1質量部加え、攪拌し、ネガ型導電層用組成物を調製した。
【0101】
−導電層の形成−
得られたネガ型導電層用組成物を、市販の二軸延伸熱固定済の厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にバー塗布し、乾燥させて、厚み0.1μmの導電層を形成した。
【0102】
−露光及び現像−
次に、縦1cm×横1cmの正方形が30μmのギャップで2つ並ぶパターンを露光し、現像して、水洗した。
ここで、露光及び現像は下記の条件で行った。
得られた導電材料を、高圧水銀灯i線(365nm)を用いて100mJ/cm(照度20mW/cm)で均一に露光を行った後、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)の1.0質量%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー現像30秒間を行い、更にイオン交換水にて20秒間リンスを行った後乾燥させた。
【0103】
−浸漬処理(1)−
次に、作製した導電材料を、前記一般式(I)で表される化合物として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン1質量%と、前記一般式(II)で表される化合物として1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール1質量%とを含む水溶液中に30秒間浸漬し、水洗して、乾燥した。前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物の合計含有量は銀に対して0.15質量%であった(試料No.101〜試料No.113で同様)。以上により、試料No.101の導電材料を作製した。
【0104】
<試料No.102の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液をニッケル含有量が0.1mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.102の導電材料を作製した。
【0105】
<試料No.103の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、三塩化ビスマス水溶液をビスマス含有量が0.05mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.103の導電材料を作製した。
【0106】
<試料No.104の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、三塩化ビスマス水溶液をビスマス含有量が0.5mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.104の導電材料を作製した。
【0107】
<試料No.105の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、塩化第一スズ水溶液をスズ含有量が0.01mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.105の導電材料を作製した。
【0108】
<試料No.106の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、塩化第一スズ水溶液をスズ含有量が0.1mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.106の導電材料を作製した。
【0109】
<試料No.107の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、硫酸ベリリウム水溶液をベリリウム含有量が0.005mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.107の導電材料を作製した。
【0110】
<試料No.108の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、硫酸ベリリウム水溶液をベリリウム含有量が0.05mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.108の導電材料を作製した。
【0111】
<試料No.109の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、クロムミョウバン水溶液をクロム含有量が0.01mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.109の導電材料を作製した。
【0112】
<試料No.110の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、クロムミョウバン水溶液をクロム含有量が0.1mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.110の導電材料を作製した。
【0113】
<試料No.111の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、塩化ロジウム三水和物水溶液をロジウム含有量が0.02mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.111の導電材料を作製した。
【0114】
<試料No.112の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、塩化ロジウム三水和物水溶液をロジウム含有量が0.2mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.101と同様にして、試料No.112の導電材料を作製した。
【0115】
<試料No.113の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液を添加しなかった以外は、試料No.101と同様にして、試料No.113の導電材料を作製した。
【0116】
<試料No.114の導電材料の作製>
試料No.101において、硫酸ニッケル六水和物水溶液を添加せず、浸漬処理(1)を行わなかった以外は、試料No.101と同様にして、試料No.114の導電材料を作製した。
【0117】
<試料No.115の導電材料の作製>
試料No.101において、浸漬処理(1)を下記の浸漬処理(2)に代えた以外は、試料No.101と同様にして、試料No.115の導電材料を作製した。
−浸漬処理(2)−
次いで、作製した導電材料を、前記一般式(I)で表される化合物として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン4質量%を含む水溶液中に30秒間浸漬して、水洗し、乾燥した。前記一般式(I)で表される化合物の含有量は銀に対して0.15質量%であった。
【0118】
<試料No.116の導電材料の作製>
試料No.101において、浸漬処理(1)を下記の浸漬処理(3)に代えた以外は、試料No.101と同様にして、試料No.116の導電材料を作製した。
−浸漬処理(3)−
次いで、作製した導電材料を、前記一般式(II)で表される化合物として1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール0.3質量%を含む水溶液中に30秒間浸漬して、水洗し、乾燥した。前記一般式(II)で表される化合物の含有量は銀に対して0.15質量%であった。
【0119】
<試料No.117の導電材料の作製>
−銀ナノワイヤー分散液(2)の調製−
エチレングリコール30mLを三口フラスコに入れ160℃に加熱した。その後、36mMのポリビニルピロリドン(PVP K−55、アルドリッチ社製)、3μMのアセチルアセトナート鉄、60μMの塩化ナトリウムエチレングリコール溶液18mLと、24mMの硝酸銀エチレングリコール溶液18mLを毎分1mLの速度で添加した。160℃で60分間加熱後室温まで冷却した。硫酸ニッケル六水和物水溶液をニッケル含有量が0.01mol%/Agとなるように添加した。その後、3℃/分で内温78℃まで昇温した。水を加えて遠心分離し、伝導度が50μS/cm以下になるまで精製し、プロピレングリコールモノメチルエーテルで更に遠心分離を行い水を除去し、最終的にプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、銀ナノワイヤー分散液(2)を調製した。
【0120】
−ネガ型導電層用組成物の調製−
合成例1のバインダー(A−1)0.241質量部、KAYARAD DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬株式会社製)0.252質量部、IRGACURE379(光重合開始剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)0.0252質量部、架橋剤としてのEHPE−3150(ダイセル化学株式会社製)0.0237質量部、メガファックF781F(DIC株式会社製)0.0003質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)0.9611質量部、及び1−メトキシ−2−プロパノール(MFG)44.3質量部、前記銀ナノワイヤー分散液(2)を54.1質量部加え、攪拌し、ネガ型導電層用組成物を調製した。
【0121】
−導電層の形成−
得られたネガ型導電層用組成物を、市販の二軸延伸熱固定済の厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ヘイズ0.6%)上にバー塗布し、乾燥させて、厚み0.1μmの導電層を形成した。
【0122】
−露光及び現像−
次に、縦1cm×横1cmの正方形が30μmのギャップで2つ並ぶパターンを露光し、現像して、水洗した。
ここで、露光及び現像は下記の条件で行った。
得られた導電材料を、高圧水銀灯i線(365nm)を用いて45mJ/cm(照度20mW/cm)で均一に露光を行った後、水酸化カリウム系現像液CDK−1(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)の1.0質量%現像液(CDK−1を1質量部、純水を99質量部の希釈した液、25℃)でシャワー現像30秒間を行い、更にイオン交換水にて20秒間リンスを行った後乾燥させた。
【0123】
−浸漬処理(1)−
次に、作製した導電材料を、前記一般式(I)で表される化合物として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン1質量%と、前記一般式(II)で表される化合物として1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール1質量%とを含む水溶液中に30秒間浸漬し、水洗して、乾燥した。前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物の合計含有量は銀に対して0.15質量%であった(試料No.117〜試料No.123で同様)。以上により、試料No.117の導電材料を作製した。
【0124】
<試料No.118の導電材料の作製>
試料No.117において、硫酸ニッケル六水和物水溶液をニッケル含有量が0.1mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.117と同様にして、試料No.118の導電材料を作製した。
【0125】
<試料No.119の導電材料の作製>
試料No.117において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、三塩化ビスマス水溶液をビスマス含有量が0.02mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.117と同様にして、試料No.119の導電材料を作製した。
【0126】
<試料No.120の導電材料の作製>
試料No.117において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、三塩化ビスマス水溶液をビスマス含有量が0.2mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.117と同様にして、試料No.120の導電材料を作製した。
【0127】
<試料No.121の導電材料の作製>
試料No.117において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、塩化ロジウム三水和物水溶液をロジウム含有量が0.02mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.117と同様にして、試料No.121の導電材料を作製した。
【0128】
<試料No.122の導電材料の作製>
試料No.117において、硫酸ニッケル六水和物水溶液の代わりに、塩化ロジウム三水和物水溶液をロジウム含有量が0.2mol%/Agとなるように添加した以外は、試料No.117と同様にして、試料No.122の導電材料を作製した。
【0129】
<試料No.123の導電材料の作製>
試料No.117において、硫酸ニッケル六水和物水溶液を添加しなかった以外は、試料No.117と同様にして、試料No.123の導電材料を作製した。
【0130】
次に、試料No.101〜No.123で作製した金属ナノワイヤー及び導電材料について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0131】
<金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さ>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さを求めた。
【0132】
<金属ナノワイヤーの短軸長さの変動係数>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、金属ナノワイヤーの短軸長さを300個観察し、その平均値から金属ナノワイヤーの短軸長さを計測し、その標準偏差と平均値を計算することにより変動係数を求めた。
【0133】
<アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤーの比率>
各銀ナノワイヤー分散液をろ過して銀ナノワイヤーとそれ以外の粒子を分離し、ICP発光分析装置(株式会社島津製作所製、ICPS−8000)を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量を各々測定し、短軸長さが50nm以下であり、かつ長軸長さが5μm以上である金属ナノワイヤーをアスペクト比が10以上の金属ナノワイヤーの比率(%)として求めた。
なお、金属ナノワイヤーの比率を求める際の金属ナノワイヤーの分離は、メンブレンフィルター(Millipore社製、FALP 02500、孔径1.0μm)を用いて行った。
【0134】
<表面抵抗の測定>
得られた各導電材料の導電層について、表面抵抗計(三菱化学株式会社製、Loresta−GP MCP−T600)を用い、表面抵抗を測定した。
【0135】
<ヘイズ値の測定>
得られた各導電材料について、ガードナー社製ヘイズガードプラスを用いてヘイズ値を測定した。
【0136】
<短絡するまでの時間の測定>
作製した各導電材料について、ヘイズ、及び表面抵抗を測定した後、65℃で85%RHの雰囲気下にて両電極間に直流5Vの電圧を印加し、短絡するまでの時間を1時間単位で計測した。なお、短絡が発生したか否かの判断は、電極間の抵抗が1×10Ω以下になったことにより行った。
【0137】
【表1−1】

【表1−2】

【0138】
(実施例2)
試料101において、前記一般式(I)で表される化合物として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンの代わりに、前記例示化合物(I−2)又は前記例示化合物(I−3)を用いた以外は、試料101と同様にして、各導電材料を作製した。
作製した各導電性材料について、試料101と同様にして、表面抵抗、ヘイズ値、及び短絡するまでの時間を測定したところ、いずれも試料101と同レベルの効果が得られることが分かった。
【0139】
(実施例3)
試料101において、前記一般式(II)で表される化合物として1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールの代わりに、前記例示化合物(II−2)から前記例示化合物(II−12)のいずれかを用いた以外は、試料101と同様にして、各導電材料を作製した。
作製した各導電性材料について、試料101と同様にして、表面抵抗、ヘイズ値、及び短絡するまでの時間を測定したところ、いずれも試料101と同レベルの効果が得られることが分かった。
【0140】
(実施例4)
−タッチパネルの作製−
試料No.104の透明導電膜(導電材料)を用いて、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日発行、株式会社テクノタイムズ)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004年12月発行)、「FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック」、「Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292」等に記載の片面、ブリッジ方法により、図1に類似のタッチパネルを作製した。このとき、X方向とY方向の電極パターンの略正方形状のパッド部の隣接する辺と辺との間隔を30μmにした。
作製したタッチパネルを使用した場合、透過率の向上により視認性に優れ、かつ導電性の向上により素手、手袋を嵌めた手、指示具のうち少なくとも一つによる文字等の入力又は画面操作に対し応答性に優れるタッチパネルを製作できることが分かった。この実施態様において、長時間短絡しないことからマイグレーションが生じず、タッチパネルの電気特性が長期間にわたり安定していることが分かった。
【0141】
(実施例5)
実施例4において、X方向とY方向の電極パターンの略正方形状のパッド部の隣接する辺と辺との間隔を50μmにした以外は、実施例4と同様にして、タッチパネルを作製した。
作製した実施例5のタッチパネルについて、実施例4と同様に性能を評価したところ、実施例4と同レベルの性能が得られた。
【0142】
(実施例6)
実施例4において、X方向とY方向の電極パターンの略正方形状のパッド部の隣接する辺と辺との間隔を60μmにした以外は、実施例4と同様にして、タッチパネルを作製した。
作製した実施例6のタッチパネルは、目視の観察にて透明電極のパターンが視認され、パターン間隔が60μm以上は好ましくない態様であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明の導電材料は、例えば、タッチパネル、ディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、有機ELディスプレイ用電極、無機ELディスプレイ用電極、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用帯電防止、太陽電池、その他の各種デバイスなどに幅広く利用可能である。
【符号の説明】
【0144】
10、20、30、110 タッチパネル
11、21、31 透明基板
12、13、22、23、32、33 透明導電膜
24 絶縁層
25 絶縁カバー層
14、17 保護膜
15 中間保護膜
16 グレア防止膜
18 電極端子
33 スペーサ
34 空気層
35 透明フィルム
36 スペーサ
111 透明基板
112 第1電極パターン
114 第2電極パターン
115 保護膜
120 センサ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均短軸長さが50nm以下であり、かつ平均長軸長さが5μm以上である金属ナノワイヤーを少なくとも含有する導電層を有する導電材料であって、
前記導電層が、下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物を含有し、
前記金属ナノワイヤーが、銀と、ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属を、前記銀1モルあたり、1×10−4モル〜1×10−2モル含有することを特徴とする導電材料。
【化15】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、無置換又は置換されたアルキル基、無置換又は置換されたアリール基、無置換又は置換されたアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、及びヘテロ環残基のいずれかを表す。RとR又はRとRとが連結し5員環もしくは6員環を形成してもよい。ただし、RとRのうち、少なくとも一つはヒドロキシ基を表す。
【化16】

ただし、前記一般式(II)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−SOM、−COOM、−OH、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよい有機残基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、四級アンモニウム基又は四級ホスホニウム基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR、−COOR又は−SOを表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【請求項2】
一般式(I)において、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、及びヒドロキシ基のいずれかを表し、RとRのうち、少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
一般式(II)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−OH、−SOM、−COOM、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよいフェニル基、又は−SOMが置換していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは−CORであり、Rは水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかであり、Mは水素原子、及びアルカリ金属原子のいずれかである請求項1に記載の導電材料。
【請求項3】
一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の合計含有量が、銀に対し0.01質量%〜10質量%である請求項1から2のいずれかに記載の導電材料。
【請求項4】
一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物との混合質量比率〔一般式(I):一般式(II)〕が1:99〜99:1である請求項1から3のいずれかに記載の導電材料。
【請求項5】
導電層がパターニングされており、形成されたパターン間の距離が50μm以下である請求項1から4のいずれかに記載の導電材料。
【請求項6】
基材上に、少なくとも金属ナノワイヤーを含有する導電層組成物を塗布して導電層を形成する導電層形成工程と、
下記一般式(I)及び下記一般式(II)で表される化合物を含む液を導電層に付与する付与工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする導電材料の製造方法。
【化17】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、無置換又は置換されたアルキル基、無置換又は置換されたアリール基、無置換又は置換されたアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、及びヘテロ環残基のいずれかを表す。RとR又はRとRとが連結し5員環もしくは6員環を形成してもよい。ただし、RとRのうち、少なくとも一つはヒドロキシ基を表す。
【化18】

ただし、前記一般式(II)中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−SOM、−COOM、−OH、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよい有機残基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、四級アンモニウム基又は四級ホスホニウム基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、−COR、−COOR又は−SOを表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
【請求項7】
一般式(I)において、R、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、及びヒドロキシ基のいずれかを表し、RとRのうち、少なくとも1つはヒドロキシ基であり、
一般式(II)において、Rは、炭素数1〜4のアルキル基、−OH、−SOM、−COOM、及び−NHRから選択される少なくとも1種で置換されていてもよいフェニル基、又は−SOMが置換していてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、Rは−CORであり、Rは水素原子及び炭素数1〜4のアルキル基のいずれかであり、Mは水素原子、及びアルカリ金属原子のいずれかである請求項6に記載の導電材料の製造方法。
【請求項8】
金属ナノワイヤーが、銀と、ニッケル、ビスマス、スズ、ベリリウム、クロム、及びロジウムから選択される少なくとも1種の金属を、前記銀1モルあたり、1×10−4モル〜1×10−2モル含有する請求項6から7のいずれかに記載の導電材料の製造方法。
【請求項9】
更に、導電層をパターン露光及び現像するパターニング工程を含む請求項6から8のいずれかに記載の導電材料の製造方法。
【請求項10】
支持フィルムと、該支持フィルム上に第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイを有するタッチパネルであって、
前記支持フィルムの同一面上に、第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイが配置されており、前記第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列しており、
前記第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイとの距離が50μm以下であり、
前記第一のセンサー電極アレイ及び前記第二のセンサー電極アレイが請求項1から5のいずれかに記載の導電材料を用いて形成されたことを特徴とするタッチパネル。
【請求項11】
第一のセンサー電極アレイ及び第二のセンサー電極アレイが、略正方形状のパッド部と該バッド部を電気的に連結する連結部とから構成されており、
前記第一のセンサー電極アレイのパッド部と前記第二のセンサー電極アレイのパッド部との隣接する辺と辺との距離が50μm以下である請求項10に記載のタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−89361(P2012−89361A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235276(P2010−235276)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】