説明

導電積層体およびそれを用いてなるタッチパネル

【課題】高い導電性と画像の鮮明さを両立する導電積層体を得ること。
【解決手段】基材1の片側に導電層2を積層した下記(i)〜(iv)を満たす導電積層体。(i)前記導電層が線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分とマトリックスからなる。(ii)FT−IR−ATR法にて求めた前記マトリックスの炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素間結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2が、ν1/ν2≧0.2の関係を満たす。(iii)前記導電積層体の導電層の反対側から入射したときの分光透過スペクトルにおける波長330〜400nmにおける透過率が60%以上である。(iv)前記導電積層体の導電層側から入光した時のJISK7105(1981)に基づいたヘイズ値が2.0%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分と、マトリックスとからなる導電層を配置した導電積層体に関する。さらに詳しくは、L*値、b*値を小さくすることで、タッチパネル等に組み込んだ際の表示画像を鮮明にすることができる導電積層体に関するものである。またさらに、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連および太陽電池モジュールなどに使用される電極部材にも使用される導電積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、電子ペーパーなどのディスプレイ関連や太陽電池モジュールなどには電極用の導電部材が使用されている。
【0003】
導電部材としては基材上に導電層を積層したものがあり、その導電層としてはITOや金属薄膜、等の従来の導電性薄膜を用いたものの他に、カーボンナノチューブ(以下CNTと略す。)や金属系ナノワイヤーなどの線状の導電成分を用いたものが提案されている。例えば、CNTを導電成分とし紫外線硬化樹脂を混合した塗料を基材上に積層した導電積層体が提案されている(特許文献1)。また、金属系ナノワイヤーを導電成分とした導電層上に樹脂層を積層した導電積層体が提案されている(特許文献2)。さらに、透明導電膜のマトリクス樹脂中に、マトリクス樹脂よりも低い屈折率を有する低屈折率粒子を含有した導電積層体が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2005/104141号
【特許文献2】特表2009−505358号公報
【特許文献3】特開2011−29098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている導電積層体は、低い表面抵抗値(高い導電性)を達成するためには、CNTの含有量の高くする必要があり、光の吸収が大きくなることから、画像の鮮明さが低く、一方、特許文献2に記載されている導電積層体は導電性の高い線状金属構造体を導電材料として使用しているため低い表面抵抗値(高い導電性)を有するものの、積層している樹脂層の吸収スペクトルからb*は高く、画像の鮮明さに欠けた。特許文献3に記載されている導電積層体は色味の再現性は改善するが、粒子を含むためにへイズ値が高い。このように、ディスプレイに用いられる導電積層体は、高い導電性と画像の鮮明さを両立することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、
(1)基材の片側に導電層を積層した下記(i)〜(iv)を満たす導電積層体。
(i)前記導電層が線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分とマトリックスからなる。
(ii) FT−IR−ATR法にて求めた前記マトリックスの炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素間結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2が、ν1/ν2≧0.2の関係を満たす。
(iii) 前記導電積層体の導電層の反対側から入射したときの分光透過スペクトルにおける波長330〜400nmにおける透過率が60%以上である。
(iv) 前記導電積層体の導電層側から入光した時のJIS K7105(1981)に基づいたヘイズ値が2.0%以下である。
(2)前記基材の導電層を設けた反対面に架橋層を設けた、前記(1)に記載の導電積層体。
(3)前記架橋層側から入射したときのJIS Z8729(2004)に基づいたL*a*b*表示色系における透過光色調b*(C光源)が1.0以下である前記(2)に記載の導電積層体。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電積層体を用いた、表示体。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電積層体を用いた、タッチパネル。
(6)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の導電積層体を用いた、電子ペーパー。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い導電性を保持しつつも、色味がなく色再現性に優れるために鮮明な画像を得ることができる導電積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の導電積層体の概略を示す断面図である。
【図2】本発明において用いる線状金属構造体の形態の概略を示す模式図である。
【図3】本発明の導電積層体を用いてなるタッチパネルの概略を示す断面図である。
【図4】本発明の金属系ナノワイヤー近傍の断面の概略を示す模式図である。
【図5】本発明の導電積層体を用いてなる電子ペーパーの概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[導電積層体の構成]
本発明の導電積層体は、基材の片側に導電層を積層したものであり下記(i)〜(iv)を満たすものである。
(i)前記導電層が線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分とマトリックスからなる。
(ii) FT−IR−ATR法にて求めた前記マトリックスの炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素間結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2が、ν1/ν2≧0.2の関係を満たす 。
(iii) 前記導電積層体の導電層の反対側から入射したときの分光透過スペクトルにおける波長330〜400nmにおける透過率が60%以上である。
(iv) 前記導電積層体の導電層側から入光した時のJIS K7105(1981)に基づいたヘイズ値が2.0%以下である。
本発明の導電積層体は導電成分に関して、上記(i)を満たすことにより、高い導電性を保持し、マトリックスとして(ii)を満たすものを(iii),(iv)を満たすように適用することにより、b*値を低く抑えるとともににごりを少なくして、高い導電性と鮮明な画像が得られるという従来両立することが困難であった特性を両立した導電積層体を提供することを可能としたものである。
[導電成分]
本発明における導電層の導電成分は、線状金属構造体(いわゆる金属系ナノワイヤーとして知られているもの)からなるネットワーク構造を有するものである。
【0010】
本発明において、線状金属構造体が導電層中にネットワーク構造を有して存在していることで、導電層側の面方向への導電パスが形成され、低い表面抵抗値を得ることができる。本発明においてネットワーク構造とは、導電層中の個別の線状金属構造体について見たとき、別の線状金属構造体との接点の数の平均が少なくとも1を越える様な、分散構造を有することをいう。このとき接点は線状金属構造体のいかなる部分同士で形成されていてもよく、線状金属構造体の末端部同士が接していたり、末端と線状金属構造体の末端以外の部分が接していたり、線状金属構造体の末端以外の部分同士が接していてもよい。ここで、接するとはその接点が接合していても、単に接触しているだけでもよい。尚、本発明の導電積層体ではネットワーク構造の線状金属構造体が存在すれば導通するため、導電層中の線状金属構造体のうち、ネットワークの形成に寄与していない(すなわち接点が0で、ネットワークとは独立して存在している。)線状金属構造体が一部存在していてもよい。ネットワーク構造は、後述する方法にて観察することができる。なお、導電層中の線状金属構造体の量が一定以下の場合には、面内において線状金属構造体が存在しない領域が散在する場合があるが、かかる領域が存在しても面内において線状金属構造体がネットワーク構造を有していることで任意の2点間で導電性を示しうる。このように、導電成分を導電性の高い線状金属構造体からなるネットワーク構造を有するものとすることで導電性に優れた導電層を得ることができる。
【0011】
線状金属構造体の平均径r(定義は後述する、短軸の長さと記す場合もある)及び線状金属構造体の長さ(線状金属構造体の長軸の長さと記す場合もある)は、線状金属構造体の種類によって種々の範囲を採りうるが、平均径は1〜100nmが好ましく、また線状金属構造体の長さは平均径に対し、アスペクト比=線状金属構造体の長さ/平均径が10より大きくなるような長さであれば良く1〜100μm(0.1mm)が好ましい。本発明において、平均径rを小さくすると線状金属構造体表面での光の散乱を相対的に低下させることができ、へイズ値を小さくすることができるため好ましく、かかる範囲の中で平均径rを大きくすると、導電性が向上し低い表面抵抗値を得ることができる。平均径rの範囲は、10〜70nmがより好ましく、40〜60nmがさらに好ましい。尚、平均径rは、後述する、実施例の「(12)導電層のマトリックスの表面平均厚みT1及び架橋層の表面平均厚みT2、及び線状金属構造体の平均径r、及びT1/r」に記載の方法にて求める。
【0012】
線状金属構造体は、その材質や径rの大きさ、マトリックスの種類等によって、導電層内で孤立分散した1本1本の線状金属構造体がネットワーク構造を形成する場合の他に、束状の集合体(いわゆるバンドルと呼ばれる集合体)を形成した線状金属構造体が、束状の集合体を単位としてネットワーク構造を形成する場合がある。本発明における線状金属構造体の平均径rは、前述の集合体(いわゆるバンドル)を形成している場合であっても集合体を形成する個々の線状金属構造体径をもとに平均径rを求める。
【0013】
本発明における線状金属構造体の材質は金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、等の金属成分を含有するものである。かかる金属成分を構成する金属としては、元素の短周期型周期律表におけるIIA属、IIIA属、IVA属、VA属、VIA属、VIIA属、VIII属、IB属、IIB属、IIIB属、IVB属またはVB属に属する元素が挙げられる。具体的には、金、白金、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、ガリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、マンガン、アンチモン、パラジウム、ビスマス、テクネチウム、レニウム、鉄、オスミウム、コバルト、亜鉛、スカンジウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、錫、マグネシウムなどが挙げられる。合金としては、前記金属を含む合金(ステンレス鋼、黄銅、等)が挙げられる。金属酸化物としては、InO、SnO、ZnO、などが挙げられ、またこれらの金属酸化物複合体(InOSn、SnO−Sb、SnO−V、TiO(Sn/Sb)O、SiO(Sn/Sb)O、KO−nTiO−(Sn/Sb)O、KO−nTiO−Cなど)も挙げられる。またこれらは表面処理を施されていてもよい。さらに、有機化合物や非金属材料からなる線状構造体の表面に前記金属や金属酸化物がコーティングまたは蒸着されたものも本発明において用いられる線状金属構造体に含まれるものとする。これら線状金属構造体としては、得られる導電積層体の透明性等の光学特性や導電性等の観点から銀ナノワイヤーを特に好ましく使用することができる。
【0014】
これら線状金属構造体は例えば、特表2009−505358号公報、特開2009−146747号公報、特開2009−70660号公報に開示されている製法により得ることができる。
【0015】
また、線状金属構造体を単独、又は複数を組み合わせて混合して使用することもでき、さらに、必要に応じて他のマイクロ〜ナノサイズの導電性材料を添加しても良く、特にこれらに限定されるものではない。

[導電層のマトリックス]
本発明において、導電層のマトリックスを形成する材料は、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物が重合反応した構造を含む高分子から構成される。かかる高分子は、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマーからなる組成物を、該炭素−炭素二重結合基内の炭素−炭素二重結合を反応点としてビニル重合(ジエン重合含む)することで得られた高分子化合物である。
【0016】
炭素−炭素二重結合基を含む官能基としては、例えば、イソプロペニル基、イソペンテニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリリデン基、アリリジン基、ビニルエーテル基や、炭素−炭素二重結合基の炭素にフッ素や塩素等のハロゲン元素が結合したもの(例えば、フッ化ビニル基、フッ化ビニリデン基、塩化ビニル基、塩化ビニリデン基等)や、炭素−炭素二重結合基の炭素にフェニル基やナフチル基等の芳香環を有する置換基が結合したもの(例えばスチリル基等)や、ブタジエニル基(例えば、CH=C(R)−C(R)=CH−、CH=C(R)−C(=CH)−(R、RはHまたはCH))のように共役ポリエン構造を有する基、等が挙げられる。これらから要求する特性や生産性等を考慮して、1種類または2種以上混合して使用すればよい。これらの中でも、耐酸性、耐アルカリ性を付与するという観点から、炭素−炭素二重結合基部分の反応性が高い、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、を好ましく使用することができる。また、炭素−炭素二重結合の周辺に立体障害が大きいメチル基(−CH)を有するメタクリロイル基やメタクリロイルオキシ基よりも、立体障害の小さい水素(−H)を有するアクリロイル基、アクリロイルオキシ基は、得られるマトリックスがより緻密な構造を形成しやすく、耐酸性及び耐アルカリ性を付与することができることから好ましい。中でもエステル結合(−COO−)を有しているアクリロイルオキシ基より、安定性の高いカルボニル結合(−CO−)のみを有しているアクリロイル基の方が、より好ましい。
【0017】
重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシトリメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリメタクリレートや、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環状骨格を分子内に有する化合物(例えば、トリアクリレート、トリメタクリレート、テトラアクリレート、テトラメタクリレート、ペンタアクリレート、ペンタメタクリレート、ヘキサアクリレート、ヘキサメタクリレート等)や、これら化合物の一部を変性した化合物(例えば2−ヒドロキシプロパン酸等で変性した2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールトリメタクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−ヒドロキシプロパン酸変性ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、また、シリコーン骨格を導入したシリコーントリアクリレート、シリコーントリメタクリレート、シリコーンテトラアクリレート、シリコーンテトラメタクリレート、シリコーンペンタアクリレート、シリコーンペンタメタクリレート、シリコーンヘキサアクリレート、シリコーンヘキサメタクリレート等)や、骨格内にビニル基および/またはビニリデン基と共にその他骨格を有する化合物(例えば、ウレタン骨格を有するウレタントリアクリレート、ウレタントリメタクリレート、ウレタンテトラアクリレート、ウレタンテトラメタクリレート、ウレタンペンタアクリレート、ウレタンペンタメタクリレート、ウレタンヘキサアクリレート、ウレタンヘキサメタクリレート、エーテル骨格を有するポリエーテルトリアクリレート、ポリエーテルトリメタクリレート、ポリエーテルテトラアクリレート、ポリエーテルテトラメタクリレート、ポリエーテルペンタアクリレート、ポリエーテルペンタメタクリレート、ポリエーテルヘキサアクリレート、ポリエーテルヘキサメタクリレート、エポキシ由来の骨格を有するエポキシトリアクリレート、エポキシトリメタクリレート、エポキシテトラアクリレート、エポキシテトラメタクリレート、エポキシペンタアクリレート、エポキシペンタメタクリレート、エポキシヘキサアクリレート、エポキシヘキサメタクリレート、エステル骨格を有するポリエステルトリアクリレート、ポリエステルトリメタクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、ポリエステルテトラメタクリレート、ポリエステルペンタアクリレート、ポリエステルペンタメタクリレート、ポリエステルヘキサアクリレート、ポリエステルヘキサメタクリレート等)が挙げられる。これらを用途や要求する特性や生産性等を考慮して、単体で重合したものもしくは単体で重合したものを2種以上混合した組成物、また2種以上が共重合した2量体以上のオリゴマーから形成される組成物等を使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。これら化合物のうち、重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を4個以上、すなわち4官能以上の化合物が、耐酸性、対アルカリ性付与の観点から特に好ましく用いることができる。4官能以上の化合物は、例えば、前記4官能のテトラアクリレート、テトラメタクリレート、5官能のペンタアクリレート、ペンタメタクリレート、6官能のヘキサアクリレート、ヘキサメタクリレート等が挙げられ、さらに7官能以上のものでもよい。
【0018】
これら化合物は、具体的に市販されているものとして例えば、共栄社化学(株)製のライトアクリレートシリーズ、ライトエステルシリーズ、エポキシエステルシリーズ、ウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYLシリーズ、PETIA、TMPTA、TMPEOTA、OTA 480、DPHA、PETA−K、綜研化学(株)製のフルキュアシリーズ、東洋インキ製造(株)製の“LIODURAS”(リオデュラス)(登録商標)シリーズ、中国塗料(株)製のフォルシードシリーズ、マツイカガク(株)製のEXPシリーズ、ダイセル・サイテック(株)製のEBECRYL1360、信越化学(株)製のX−12−2456シリーズ等が挙げられる。
【0019】
また、マトリックスを形成する材料の全質量に対する炭素−炭素二重結合基由来の構造の炭素−炭素二重結合基の単位構造(>C=C<:式量24)部分の質量含有率(以下、架橋単位構造質量含有率とする。)は9〜26質量%であることが好ましい。かかる範囲を採ることにより、b*値が小さくなり、鮮明なディスプレイを提供することができる導電積層体となる。架橋単位構造質量含有率が9質量%未満であると、耐酸性、耐アルカリ性が不足し、タッチパネルモジュール製造のエッチング工程等において導電層の剥離やそれに伴う導電性の低下等が発生する場合があり、26質量%より大きい場合は、b*値が大きくなってしまい、鮮明さが失われる。架橋単位構造質量含有率は、19〜24質量%が好ましく、21〜24質量%の範囲であると、耐酸性、耐アルカリ性を有した上で、b*値を小さくすることができるためより好ましい。
【0020】
ここでマトリックスを形成する材料の架橋単位構造質量含有率は以下のようにして求める。先ず、サンプルから導電層を剥離し、マトリックスを形成する材料を溶解可能な溶剤に溶解させる。また必要で有れば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィーのうち分離可能な方法を選択し、それぞれ単一物質に分離精製する。
【0021】
このようにして単離した各物質について適宜濃縮および希釈を行いサンプルを調製する。まず、定性分析を行いサンプル中に含まれる成分を特定する。分析手法は、まず下記(1)の群の分析の手法を組み合わせて行い、(1)の群の分析で検出できない成分があった場合下記(2)の群の分析の手法を組み合わせて分析を行う様にする。なお各群の測定手法は、以下に記載の順に適用し、記載が前にある分析で検出が困難な場合に次の測定法を用いることとする。また組み合わせる場合にも、同様に記載が前にある分析を優先して用い、より少ない組み合わせで測定できるものを優先して適用することとする。
(1)核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、各種質量分析法(ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、熱分解ガスクロマトグラフィー−質量分析法(熱分解GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)等)。
(2)X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、ガスクロマトグラフィー(GC)、その他元素分析。
【0022】
次いで、分取したサンプルの定量分析を行う。予め質量を測定した1,1,2,2−テトラブロモエタン(以下TBEと略す。)を適宜重クロロホルム等で希釈した内標準溶液を調製する。前記分取したサンプルに前記TBE内標準溶液を添加し、この試験溶液をH−NMR測定を行う。次いで得られたH−NMRスペクトルの前駆体時点で炭素−炭素二重結合基であった(測定時点で炭素−炭素二重結合基で存在するかどうかは問わない)炭素に結合した水素に該当するピークのピーク面積と、内標準として添加したTBEの水素(プロトン、H)に該当するピーク面積との面積比率を用いて、導電層の材料質量中の炭素−炭素二重結合基量を算出し、これをもちいて架橋単位構造質量含有率を算出する。なお、このようなマトリックスを形成する材料の架橋単位構造質量含有率の求め方は、後述する架橋層を形成する材料の架橋単位構造質量含有率にもそのまま用いることができる。
【0023】
また本発明に用いられるマトリックスを形成する材料は、(ii)FT−IR−ATR(減衰全反射、Attenuated Total Reflectance)法にて求めた前記材料の炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2が、ν1/ν2≧0.2の関係を満たす。かかる関係を有することで、b*値が小さくなる。ν1/ν2はν1/ν2≧0.25、さらにはν1/ν2≧0.28であると、b*値がより小さくなることから好ましい。炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピークは、マトリックスを形成する材料の成分の構造により若干前後にシフトする可能性はあるが、1650〜1600cm−1の波数領域に、また、炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピークは、同様に3000〜2800cm−1の波数領域に現れるので、各波数領域に存在する該当するピークの極大値をν1及びν2の値としてν1/ν2を算出する。尚、別途基材のみで同様にスペクトルを求めて確認したときにν1はまたはν2が、基材に由来するピークに重なる場合、後述する方法にて、基材のみで同様にスペクトルを求め、得られた導電積層体のスペクトルとの差スペクトルを求め、その差スペクトルから上記各波数領域に存在する該当するピークの極大値をν1及びν2の値としてν1/ν2を算出する。
【0024】
ここでマトリックスを形成する材料の炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2を求めるのに用いるFT−IR−ATR法は、以下のように測定を行うものである。フーリエ変換赤外分光光度計(たとえば、FTS−55A(Bio−Rad Diglab製))にATR結晶としてGe結晶を設置し、サンプルの導電側(本発明では導電層が積層されている側)をATR結晶に圧着する。次いで、窒素ガス下で測定範囲4000〜600cm−1間を分解能2cm−1、積算回数512回で測定する。次いで得られた分光スペクトルから、炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク及び炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピークをそれぞれ帰属する。帰属した各ピークの強度のうち極大値の値をそれぞれν1及びν2とし、ν1/ν2を算出する。測定n数は10とし、平均値を本発明における炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2の比ν1/ν2とする。尚、別途基材のみで同様にスペクトルを求めて確認したときにν1はまたはν2が、基材に由来するピークに重なる場合、基材のみで同様にスペクトルを求め、その基材スペクトルと導電積層体のスペクトルとの差スペクトルを求め、その差スペクトルから上記各波数領域に存在する該当するピークの極大値をν1及びν2の値としてν1/ν2を算出する。
【0025】
本発明の導電積層体において、導電層のマトリックスの表面平均厚みT1(以降単に、表面平均厚みT1と記すこともある)は70〜1000nmであることが好ましい。ここで、表面平均厚みT1とは、図4に示す符号13に示されるような線状金属構造体が存在しない部分の厚みの代表値であり、次のように定義するものとする。まず、1検体につき、異なる部分から得た線状金属構造体の断面を含む画像を10視野分準備する。1視野につき線状金属構造体の断面の両端からそれぞれ後述する線状金属構造体の平均径r分離れた2箇所(符号13)の厚みを測定し、その平均値を算出し、導電層のマトリックスの表面厚みt1を求める。同様に計10視野について表面厚みt1をもとめ、その平均値を導電層のマトリックスの表面平均厚みT1とする。なお、測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めるものとする。本発明において用いられるマトリックスの成分を採用した上で、表面平均厚みT1としてかかる範囲を採ると、導電層の剥離や導電性の低下等の問題が生じ難くなることから好ましい。表面平均厚みTが70nm未満であると、導電層の剥離やそれに伴う導電性の低下等の問題が発生する場合があり、1000nmより厚い場合は、表面に近い導電材が少なく、導電性が安定しないまたは低い抵抗値が得られないなどの問題が生ずる場合がある。表面平均厚みTは、好ましくは100〜500nm、さらに好ましくは100〜350nm、最も好ましくは150〜250nmである。100〜500nmであるとより導電性が安定し、100〜350nmであると導電性が安定しつつ、低い表面抵抗値がさらに得やすくなり、さらに150〜250nmであると、導電成分の導電性が多少高いものであっても、導電積層体が安定して低い表面抵抗値となりやすい。
【0026】
また本発明において、線状金属構造体の平均径rと導電層のマトリックスの表面平均厚みT1が、1.8≦T1/r≦10.0の関係を満たすことが好ましい。かかる範囲を採ると、線状金属構造体による表面散乱を抑えヘイズを小さく保ち、かつ、低い表面抵抗値を得ることができる。T1/rは、好ましくは2.2≦T1/r≦6.0、さらに好ましくは2.5≦T1/r≦5.0である。尚、表面平均厚みT1は、後述する、実施例の「(12)導電層のマトリックスの表面平均厚みT1及び架橋層の表面平均厚みT2、及び線状金属構造体の平均径r、及びT1/r」に記載の方法にて求める。
【0027】
本発明における導電層を基材上に形成する方法としては、線状金属構造体やマトリックスを構成する材料の種類により最適な方法を選択すれば良く、キャスト、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレー、ブレードコート、スリットダイコート、グラビアコート、リバースコート、スクリーン印刷、鋳型塗布、印刷転写、インクジェットなどのウエットコート法等、一般的な方法を挙げることができる。なかでも、導電層を均一に積層できかつ基材への傷が入りにくいスリットダイコート、もしくは導電層を均一にかつ生産性良く形成できるマイクログラビアを使用したウエットコート法が好ましい。尚、導電層を基材上に形成するにあたり、導電材(線状金属構造体)からなるネットワーク構造を有する導電成分を予め基材上に配置した後に、マトリックスを配置し、導電材と複合化することで導電層を形成しても良く、また、導電材とマトリックスを予め混合して導電マトリックス組成物とし、その導電マトリックス組成物を基材上に積層することでネットワーク構造を有する導電成分を含む導電層を形成しても良い。なお、上記導電材は、単一の素材からなるものでも良いし、複数の素材の混合物であっても良い。マトリックスも同様に、単一の素材からなるものでも良いし、複数の素材の混合物であっても良い。
【0028】
本発明の導電積層体における導電層のマトリックスを形成する材料を硬化する方法として、加熱硬化や、紫外光、可視光、電子線等の活性電子線の照射による光硬化(以降、光硬化と記す)が挙げられる。加熱硬化の場合は、硬化開始温度に系全体を加熱するのに時間を要する一方、光硬化の場合は、後述するような光硬化の開始剤(以降、光開始剤と記す)を含有させ、そこに活性電子線を照射することで系全体に同時に活性種を発生させることができるため、硬化開始に要する時間を短縮できることから、硬化時間も短縮できる。かかる理由から光硬化がより好ましい。ここで、光開始剤とは、紫外領域の光、可視領域の光、電子線等の活性電子線を吸収し、反応を開始させる活性種であるラジカル種、カチオン種、アニオン種等の活性種を生成し、化学反応を開始させる物質である。使用可能な光開始剤としては例えば、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのα−ヒドロキシケトン系やα−アミノケトン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、メチルフェニルグリオキシレートなどが挙げられ、極大吸収波長の値、吸光度、色見、着色度合い等の観点から、これら光開始剤のうち1または2種以上を組み合わせて使用することができる。かかる光開始剤の、市販品としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとしてCiba IRGACURE(登録商標)184(チバ・ジャパン(株)製)、2−メチル1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンとしてCiba IRGACURE(登録商標)907(チバ・ジャパン(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1としてCiba IRGACURE(登録商標)369(チバ・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0029】
さらに、マトリックスを、前述の(ii)項の関係を満たすものとする方法としては、前記材料の種類や性質によって前記活性電子線の種類を適宜選択する、また、選択した前記活性電子線の種類から前記光開始剤を1種のみ単独もしくは吸収波長領域の異なる2種以上を含有させる。さらに、前記活性電子線の照射量を調整する、等の方法が挙げられ、これらを適宜組み合わせることで本発明の導電積層体を得ることができる。特に、前記活性電子線の照射量を調整する方法は比較的実施しやすいため、好ましく用いられる。照射量を調整する方法は、前記活性電子線を照射するランプ等の照射体の条件(出力条件等)を変更することで比較的容易に制御することができる。他にも、前記ランプ等の照射体と被照射体との照射距離を変更したり、本発明の導電積層体の製造に際する被照射体の搬送速度を調整することで照射時間を短くすることで積算の照射量を制御することもできる。前記活性電子線の積算の照射量は、300mJ/cm以下が好ましく、より好ましくは150mJ/cm以下、さらに好ましくは100mJ/cm以下である。かかる範囲を採ると、導電層のマトリックスを(ii)項を満たすものとすることが容易であるため好ましい。前記活性電子線の積算の照射量の下限値は特には限定されないが、1mJ/cm未満であると前記材料の硬化不足等の不良が発生する場合があり、1mJ/cm以上が好ましい。また、前記活性電子線を照射するにあたり、窒素やアルゴン等の不活性ガスにて置換した雰囲気下や酸素脱気した雰囲気下等の酸素濃度を低くした特定の雰囲気下とする方法も有効であり、酸素濃度を低くした特定の雰囲気下にて、前記活性電子線の積算の照射量とすることが好ましい。具体的にν1/ν2を増加させる方法としては前記活性電子線の積算の照射量を小さくすることにより、またν1/ν2を減少させるには前記活性電子線の積算の照射量を大きくすることにより可能である。
【0030】
また、本発明におけるマトリックスを形成するのに用いられる光開始剤の含有量の範囲としてはマトリックスを形成する材料の全質量に対する割合が12質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。かかる範囲を採ると、後述するように(iii)項の関係を満たすようにするのが容易となるため好ましい。下限については0.01質量%未満であるとマトリックスの硬化不足等の不良が発生する場合があり、0.01質量%以上が好ましい。より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。
【0031】
[導電積層体の波長330〜400nmにおける透過率]
本発明の導電積層体は、前記基材の導電層を設けたのとは反対側から入射した光線の波長330〜400nmにおける透過率が60%以上である。かかる範囲を採ることにより、色味がなく色再現性に優れ、鮮明な画像を得ることができる。波長330〜400nmにおける透過率を上げる方法としては前記光開始剤の添加量を前述の範囲内で少なくして導電層における透過率を上げる方法、使用する基材として全光線透過率の高いものを適用する方法、前記導電層の膜厚をより薄くする方法、前記基材の導電層を設けたのとは反対面に後述する基材よりも屈折率の小さい架橋層を設ける方法、また、導電層が光学干渉膜となるように積層する方法等が挙げられる。これらの方法を一または複数組み合わせて適用することで波長330〜400nmにおける透過率を上げることができる。中でも、前記光開始剤の添加量を小さくすることが波長330〜400nmにおける透過率を上げる効果が大きいため好ましい。光開始剤とは前述するように、紫外領域の光、可視領域の光、電子線等の活性電子線を吸収し、反応の開始させる活性種であるラジカル種、カチオン種、アニオン種等の活性種を生成し、化学反応を開始させる物質である。そのため、紫外波長領域に、極大吸収波長を持つことがほとんどであるが、波長330〜400nmの領域にも吸収を有するので、光開始剤の添加量によっては10%以上の透過率分の吸収を示す。従って光開始剤の選択により吸収波長領域を調整すること光開始剤の添加量を調整することは330〜400nmにおける透過率を調整するうえで効果が大きい。
【0032】
[導電積層体のへイズ値]
本発明の導電積層体は、前記導電層側から入射した時のJIS K7136(2000)に基づいたヘイズ値が2.0%以下である。ヘイズ値を下げるための方法としては、例えば、導電層のヘイズ値を小さくする方法、導電積層体の層構成としてヘイズ値を小さくする方法等が挙げられる。
【0033】
導電層のヘイズを小さくする方法としては、線状金属構造体として平均径rが小さいものを選択する方法が挙げられる。線状金属構造体の径が小さいと線状金属構造体表面での光の散乱が少ないため、へイズ値が小さいものとなるため好ましい。
【0034】
導電積層体の層構成としてヘイズを小さくする方法としては、導電層のマトリックスの表面平均厚みT1を大きくする方法が挙げられる。マトリックス層を大きくすることで線状金属構造体による導電積層体表面の凹凸が小さくなり、平滑化することで導電積層体表面での散乱によるヘイズの上昇を抑制することができる。また導電積層体の層構成としてヘイズを小さくする別の方法としては、後述する様に基材の表面より平滑な表面架橋層を設けることで導電積層体表面での散乱を抑制しヘイズ値を低減することができる。

[架橋層]
本発明において前記導電積層体の基材の導電層を設けた反対面に架橋層をもうけることが好ましい。かかる架橋層を形成する材料としてマトリックスを形成する材料を用いることができる。架橋層を設けることにより、前述したように導電層の反対側を平滑化してへイズ値を下げる効果があるので好ましい。また前記以外にも、染料または顔料、またはその両方添加することでb*値を適宜調節する効果、基材より析出する可能性のある低分子化合物の析出を抑制する効果を発揮すること、また、ハードコート層として機能することにより、耐摩耗性、高表面硬度、耐溶剤性、耐汚染性等の効果を発揮することなどが挙げられる。
[導電積層体の光学特性]
また本発明において、前記架橋層側から入射したときのJIS Z8729(2004)に基づいたL*a*b*表示色系における透過光色調b*(C光源)が1.0以下であることが好ましい。タッチパネルや電子ペーパーはその構成や動作方式によっては電極部材同士を貼り合わせる等によって複数枚使用することがあるが、タッチパネルや電子ペーパーの表示原理はバックライトと呼ばれる表示部背面に設置した光源の透過光や、外光から入射した光の反射光を利用しているため、電極部材を複数枚使用した場合、導電積層体の各層が有する吸収や空気および各層の間の界面における反射によって、黄色みを帯びて見えることがあり、それにより表示される映像の色再現性低下や画質の低下を引き起こす場合がある。透過光色調b*値(C光源)は黄色みの指標として用いられる特性であるが、架橋層側から入射したときの透過光色調b*値(C光源)が1.0以下であると、本発明の導電積層体を複数使用した際においても、表示される映像の色再現性低下や画質の低下を起こすことが防止できるため好ましい。透過光色調b*値(C光源)は好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下である。透過光色調b*値を前述の範囲とするためにはマトリックスまたは架橋層もしくはその両方が前述の(ii)の項を満たすこと、および、必要に応じて黄色の補色である青色に着色することを組み合わせることにより得ることができる。着色は青系の色素、染料、顔料や青色を帯びた樹脂分等の添加剤を添加・分散・相溶・結合させることででき、b*値の低下を図ることが出来る。青系の色素、染料、顔料等の添加剤の例として、例えば、アントラキノン骨格を有する化合物、ポルフィリン骨格を有する化合物、テトラアザポルフィリン骨格を有する化合物、フタロシアンニン骨格を有する化合物、ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、22、60、64、また、特許第3879402号公報、特許第4440720号公報に開示されている化合物等が挙げられ、市販されているものとして例えば、日本化薬(株)製のKayasetシリーズの、Kayaset Blue FR、Kayaset Blue N、Kayaset Blue A−2R、Kayaset Blue A−D、Kayaset Blue A−CRが挙げられる。これら青系の添加剤にて着色する層としては、基材、架橋層、導電層、保護層のいずれの層でも良いが、導電材である線状金属構造体への影響や基材や積層の生産性等を考慮し、架橋層を着色することが好ましい。青系の添加剤を含有する量は、添加剤の種類や添加する層の厚み等により異なるが、添加する層の厚み(T)(μm)と添加層の総固形分に対する青系の添加剤の質量含有率(A)(質量%)との積(T)×(A)が、0.10以上2.00以下で適宜調整する事が好ましく、より好ましくは0.50以上1.70以下である。
[導電積層体の透過率]
本発明にかかる導電積層体は、前記導電層側から入射した際のJIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上である透明導電積層体であることが好ましい。本発明の導電積層体を透明導電積層体として組み込んだタッチパネルは、優れた透明性を示し、この透明導電積層体を用いたタッチパネルの下層に設けたディスプレイの表示を鮮やかに認識することができる。全光線透過率を上げるための方法としては、例えば、使用する基材の全光線透過率を上げる方法、前記導電層の膜厚をより薄くする方法、基材の導電層を設けた反対面に基材よりも屈折率の小さい架橋層を設ける方法、また、導電層が光学干渉膜となるように積層する方法等が挙げられる。
【0035】
基材の全光線透過率を上げる方法としては、基材の厚みを薄くする方法、あるいは全光線透過率の大きな材質の基材を選定する方法が挙げられる。本発明の導電積層体における基材は、可視光線の全光線透過率が高い基材が好適に使用でき、具体的にはJIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上のもの、より好ましくは90%以上の透明性を有しているものである。JIS K7361−1(1997)に基づいた全光線透過率が80%以上の基材(以下単に基材と記す)の素材として、具体的には例えば透明な樹脂、ガラスなどを挙げることができる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系・メタクリル系樹脂、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS、ポリ酢酸ビニル、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素元素(Cl元素)を含有する樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂及びこれら樹脂の混合及び/又は共重合したものが挙げられ、ガラスとしては、通常のソーダガラスを用いることができる。また、これらの複数の基材を組み合わせて用いることもできる。例えば、樹脂とガラスを組み合わせた基材、2種以上の樹脂を積層した基材などの複合基材であってもよい。
【0036】
基材の形状については、厚み250μm以下で巻き取り可能なフィルムであっても、厚み250μmを超える基板であっても上記全光線透過率の範囲で有ればよい。コスト、生産性、取り扱い性等の観点からは厚み250μm以下の樹脂フィルムが好ましく、より好ましくは厚み190μm以下、さらに好ましくは厚み150μm以下、特に好ましくは厚み100μm以下の樹脂フィルムである。基材として樹脂フィルムを用いる場合、樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとしたものを適用することができる。これら樹脂フィルムのうち、基材への成形性、透明性等の光学特性、生産性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、またPENとの混合及び/又は共重合したPETフィルム、ポリプロピレンフィルムを好ましく使用することができる。
【0037】
次に、導電層が光学干渉膜となるように積層する方法の説明を以下に示す。
【0038】
導電材(線状金属構造体)は、その導電成分自身の物性により光を反射や吸収する。そのため、基材上に設けた導電層を含む導電積層体の全光線透過率を上げるには、マトリックスが透明な材料で、かつ導電層が光学干渉膜となるように設け、この光学干渉膜側の波長380〜780nmでの平均反射率を4%以下に下げることが効果的であり、好ましくは3%以下に下げること、より好ましくは2%以下に下げることが効果的である。平均反射率が4%以下であると、タッチパネル用途などに用いる場合の全光線透過率80%以上の性能を生産性良く得ることができるので好ましい。
【0039】
本発明の導電積層体は、その導電層側の表面抵抗値が、1×10Ω/□以上、1×10Ω/□以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Ω/□以上、1.5×10Ω/□以下である。この範囲にあることで、タッチパネル用の導電積層体として好ましく用いることができる。すなわち、1×10Ω/□以上であれば消費電力を少なくすることができ、1×10Ω/□以下であれば、タッチパネルの座標読みとりにおける誤差の影響を小さくすることができる。
[添加剤]
本発明にかかる基材及び/又は導電層には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えば、有機及び/又は無機の微粒子、架橋剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などを用いることができる。
[本発明の導電積層体の用途]
本発明の導電積層体は、高い透明性を保持しつつも、高い導電性を示し、鮮明な画像を得ることができるので、表示体に好ましく適用することができる。とりわけ、タッチパネルや電子ペーパーといった用途に好ましく用いることができる。タッチパネルの一例を示した断面模式図を図3に示す。本発明のタッチパネルは、線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電層を積層した本発明の導電積層体(たとえば、図1)を単独もしくは複数枚、さらには他の部材と組み合わせて搭載したものであり、その例として抵抗膜式タッチパネルや静電容量式タッチパネル等が挙げられる。本発明の導電積層体の導電層は、図2に示すように符号4のような線状金属構造体を含み、符号5のような接点を有するネットワーク構造を形成している。本発明の導電積層体を搭載してなるタッチパネルは、たとえば図3に示すように導電層がパターン化された導電積層体6を、接着剤や粘着剤等の接合層9によって接合して積層したものであり、さらに、タッチパネルの画面側の基材10、タッチパネルの画面側の基材に積層したハードコート層11が設けられる。かかるタッチパネルは、例えば、リード線と駆動ユニット等を取り付け、液晶ディスプレイの前面に組み込んで用いられる。次に電子ペーパーの一例を示した断面模式図を図5に示す。本発明の電子ペーパーは、線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電層20を積層した本発明の導電積層体21を単独もしくは複数枚、さらには他の部材と組み合わせて搭載したものである。図5に示すように透明なマイクロカプセル25が、上部に配置された本発明の導電積層体21と下部に配置された下部電極複合体28との間に隙間なく並べられた構造となっている。上部に配置された導電積層体21は基材19と導電層20とから構成され、下部電極複合体28は下部電極26と支持基材27とから構成される。マイクロカプセル25中には正に帯電した白色顔料粒子22と負に帯電した黒色顔料粒子24が透明分散媒23と共に収められている。図5に示す電子ペーパーでは、外部の制御回路からの電圧印加によって2枚の電極間に電界が生じ、正に帯電した白色顔料粒子22と負に帯電した黒色顔料粒子24が透明分散媒23中を泳動して、いずれか電圧によって選ばれた色の顔料粒子がカプセルの表示面側に集まることで、白黒の表示を行い、微小な電極によって作られる各画素ごとに白黒の表示が選ばれる。電圧を切っても顔料粒子は簡単に動かないため、印刷物のように読みとることができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
【0041】
(1)導電成分の構造(形状)、導電成分のネットワーク状態
絶縁抵抗計(三和電気計器(株)製、DG6)を用いて、サンプルの各面に探針をあて、通電の有無からサンプルの導電側(本発明では導電層及び保護層が積層されている側)を特定する。特定が困難な場合は、低抵抗率計Loresta−EP MCP−T360(三菱化学(株)、もしくは、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続した高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta−UP MCP−HT450)を用いて同様にサンプルの各面を評価し導電側を特定した。
【0042】
次いでサンプルの導電層側の表面を、走査透過電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 日立走査透過電子顕微鏡HD−2700)もしくは電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kV、観察倍率と画像のコントラストを適宜調節して各倍率にて観察した。
【0043】
前記方法にて観察が困難な場合は、次いでカラー3D レーザー顕微鏡((株)キーエンス製 VK−9710)を用いて、付属の標準対物レンズ10X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 10X)、20X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan 20X)、50X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 50X)、150X((株)ニコン製 CF IC EPI Plan Apo 150XA)にて各倍率で導電側の同位置を表面観察し、その画像データから観察アプリケーション((株)キーエンス製 VK−HV1)を用いて画像解析した。
【0044】
(2)マトリックスの化合物の同定(構造、含まれる官能基種)
サンプルから導電層を剥離し、溶解する溶剤に溶解させた。必要に応じ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー等に代表される一般的なクロマトグラフィー等を適用し、それぞれ単一物質に分離精製した。
【0045】
このようにして単離した各物質について適宜濃縮および希釈を行いサンプルを調製した。次いで、以下の評価方法を用いサンプル中に含まれる成分を特定した。
【0046】
分析手法は、まず(2i)の群の分析の手法を組み合わせて行い、先の分析で検出できない成分については(2ii)の群の分析の手法を組み合わせて分析を行った。なお各群の測定手法は、先に示したものから順に適用し、先のもので無理な場合に次の測定法を用いた。また組み合わせる場合にも、同様に先に記したものを優先して用い、より少ない組み合わせで測定できるものを優先して適用した。
(2i)核磁気共鳴分光法(H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR、19F−NMR)、二次元核磁気共鳴分光法(2D−NMR)、赤外分光光度法(IR)、ラマン分光法、各種質量分析法(ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)、熱分解ガスクロマトグラフィー−質量分析法(熱分解GC−MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−MS)、飛行時間型質量分析法(TOF−MS)、飛行時間型マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI−TOF−MS)、ダイナミック二次イオン質量分析法(Dynamic−SIMS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)、スタティック二次イオン質量分析法(Static−SIMS)等)。
(2ii)X線回折法(XRD)、中性子回折法(ND)、低速電子線回折法(LEED)、高速反射電子線回折法(RHEED)、原子吸光分析法(AAS)、紫外光電子分光法(UPS)、オージェ電子分光法(AES)、X線光電子分光法(XPS)、蛍光X線元素分析法(XRF)、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP−AES)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)、荷電粒子励起X線分光法(PIXE)、低エネルギーイオン散乱分光法(RBSまたはLEIS)、中エネルギーイオン散乱分光法(MEIS)、高エネルギーイオン散乱分光法(ISSまたはHEIS)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、透過電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(TEM−EDX)、走査電子顕微鏡−エネルギー分散X線分光分析(SEM−EDX)、ガスクロマトグラフィー(GC)、その他元素分析。
(3)架橋単位構造質量含有率
前記(2)の評価方法を実施の後、得られた導電層の剥離物もしくは分離物のうち任意の一部を分取し質量を測定した。その後、予め質量を測定した1,1,2,2−テトラブロモエタン(以下TBEと略す。)を適宜重クロロホルム等で希釈して既知の濃度とする内標準溶液を用意した。前記分取したサンプルに前記TBE内標準溶液を添加し、この試験溶液をH−NMR測定を行った。次いで得られたH−NMRスペクトルの炭素−炭素二重結合基を含む官能基の炭素−炭素二重結合基部分の水素(プロトン、H)に該当するピークのピーク面積(反応して別結合を形成している炭素−炭素二重結合基(厳密には炭素−炭素二重結合基自身では存在していない。)も含む。)と、内標準として添加したTBEの水素(プロトン、H)に該当するピーク面積との面積比率を用いて、導電層の剥離物もしくは分離物の分取物質量およびTBE濃度から、炭素−炭素二重結合基の含有率を算出し、これを架橋単位構造質量含有率とした。
【0047】
(4)導電成分の同定
先ず、(1)に記載の評価方法にて、導電積層体の導電側)の面を特定し、次いで導電成分を対象に、前記(2)の評価方法にて導電成分の同定を行った。
【0048】
(5)伸縮振動のピーク強度比ν1/ν2
炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1、炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2、及びそのピーク強度比ν1/ν2は、FT−IR法のうちFT−IR−ATR(減衰全反射、Attenuated Total Reflectance)法にて以下のようにして求めた。
【0049】
フーリエ変換赤外分光光度計FTS−55A(Bio−Rad Diglab製)にATR結晶としてGe結晶を設置し、サンプルの導電側(本発明では導電層が積層されている側)をATR結晶に圧着した。次いで、窒素ガス下で測定範囲4000〜600cm−1間を分解能2cm−1、積算回数512回で測定した。次いで得られた分光スペクトルから、炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク(波数=1633cm−1)及び炭素−水素単結合(C−H)の伸縮振動のピーク(波数=2956cm−1)をそれぞれ帰属した。帰属した各ピークの強度のうち極大値の値をそれぞれν1及びν2とし、ν1/ν2を算出した。計10点測定を行い、平均値を算出した。
【0050】
(6)330〜400nmにおける透過率
導電積層体の架橋層側から入射した際の透過率を、JIS Z8729(2004)に基づき、分光光度計(島津製作所製、UV−3150)を用いて、C光源で2゜視野の330〜400nmにおける透過率スペクトルを0.5nm間隔で測定、前記スペクトルを読み取り、各波長における透過率を測定した。計5サンプルを測定し、平均値を求め、60%以上を「○」(合格)、60%未満を「×」不合格とした。
【0051】
(7)へイズ値(曇り度)
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7136(2000)に基づいて、導電積層体厚み方向のへイズ値を、導電層側から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定した値から平均値を算出した。
【0052】
(8)透過光色調b*値(C光源)
導電積層体の架橋層側から入射した際の透過率を、JIS Z8729(2004)に基づき、分光光度計(島津製作所製、UV−3150)を用いて、C光源で2゜視野の380〜780nmにおける透過率スペクトルを0.5nm間隔で測定、XYZ(CIE1976)表色系の透過色度計算結果にて透過光色調b*値を測定した。同様に計5サンプルにて測定し、5サンプルの透過光色調b*値の平均値を求めた。
【0053】
(9)マトリックスの化合物を含む溶液の塗布工程におけるUV照射量
マトリックス化合物を塗布する工程のうち、UV硬化工程を実施する場所に紫外線積算光量計UIT−250を設置し、UV照射量(mJ/cm)を測定した。同様に搬送方向と直交する方向を9等分するように計10ヶ所にて測定し平均値を求めた。
(10)表面抵抗値R
導電層側の表面抵抗値は、非接触式抵抗率計(ナプソン(株)製 NC−10)を用い渦電流方式で100mm×50mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて平均値を算出し、これを表面抵抗値R[Ω/□]とした。検出限界を超えて表面抵抗値が得られなかった場合は、次いで以下の方法にて測定した。
【0054】
高抵抗率計(三菱化学(株)製 Hiresta−UP MCP−HT450)を用い、リングタイププローブ(三菱化学(株)製 URSプローブ MCP−HTP14)を接続して二重リング方式で100mm×100mmのサンプルの中央部分を測定した。5サンプルについて測定し平均値を算出した。
【0055】
(11)全光線透過率
濁度計(曇り度計)NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いてJIS K7361−1(1997)に基づいて、導電積層体厚み方向の全光線透過率を、導電層側から光を入射させて測定した。5サンプルについて測定し平均値を算出した。
【0056】
(12)導電層のマトリックスの表面平均厚みT1及び架橋層の表面平均厚みT2、線状金属構造体の平均径r、及びT1/r
先ず、サンプルの観察したい部分近傍を氷で埋包し凍結固着後、日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトームを使用し、ナイフ傾斜角度3°にダイヤモンドナイフをセットして導電積層体平面に垂直な方向に切断した。
【0057】
次いで得られた導電積層体の断面の導電層側を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6700−F)を用いて加速電圧3.0kVにて観察倍率10000〜100000倍にて、画像のコントラストを適宜調節して観察した。
(12i)導電層のマトリックスの表面平均厚みT1
1検体につき、異なる部分から得た線状金属構造体の断面を含む画像を10視野分準備した。1視野につき線状金属構造体の断面の両端からそれぞれ径r分離れた2箇所(符号13)の厚みを測定し、その平均値を算出し、導電層のマトリックスの表面厚みtを求めた。同様に計10視野について表面厚みtを求め、その平均値を導電層のマトリックスの表面平均厚みTとした。
(12ii)架橋層の表面平均厚みT2
1検体につき、異なる部分から得た画像を10視野分準備した。1視野につき2箇所の厚みを測定し、その平均値を算出し、架橋層の表面厚みt2を求めた。同様に計10視野について表面厚みt2を求め、その平均値を導電層のマトリックスの表面平均厚みT2とした。本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めた。
(12iii)線状金属構造体の平均径r
1検体につき、異なる部分から得た線状金属構造体の断面を含む画像を10視野分準備した。次いで、10視野内の全て線状金属構造体の断面の径を求め、その全平均値を平均径rとした。なお、本測定に当たっては、有効数字3桁が確保できる倍率を選択し、計算に当たっては、4桁目を四捨五入して値を求めた。なお、線状金属構造体の各断面においては、最短径を各断面の径として採用した。
(12iv)T1/r
(12i)にて得た表面平均厚みT1の値を、(12iii)にて得た平均径rの値で除した値を、T1/rとした。
[材料]
<基材>
各実施例及び比較例に使用した基材を以下に示す。
【0058】
(1)基材A
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U48)
・厚み125μm
(2)基材B
・ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標)U48)
・厚み50μm
<導電材>
各実施例及び比較例に用いた各導電材を以下に示す。
【0059】
(1)導電材A「銀ナノワイヤー」
特表2009−505358号公報の例1(銀ナノワイヤーの合成)に記載の方法にて得た銀ナノワイヤー導電材(短軸:50〜100nm、長軸:20〜40μm)。
【0060】
(2)導電材B「銅ナノワイヤー」
特開2002−266007号公報の製造例1、実施例2に記載の方法にて得た銅ナノワイヤー導電材(短軸:10〜20nm、長軸:1〜100μm)。
【0061】
(3)導電材C「銀ナノワイヤー・銅ナノワイヤー混合導電材」
前記導電材A「銀ナノワイヤー」と前記導電材B「銅ナノワイヤー」とを質量比6:4となるように混合して得た銀ナノワイヤー・銅ナノワイヤー混合導電材。
【0062】
(4)導電材D「銀ナノ微粒子導電材」
特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調製)に記載の方法にて得た銀ナノ微粒子導電材(短軸、長軸(粒径):9〜15nm)。
<マトリックス>
各実施例及び比較例のマトリックス、架橋層の形成用の組成物を調製するのに使用した材料(マトリックス・架橋層材料、添加剤)を以下に示す。
【0063】
(1)マトリックス・架橋層材料A
アクリロイル基として重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物を含有するアクリル系組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHC−6、固形分濃度51質量%)。
【0064】
(2)マトリックス・架橋層材料B
アクリロイル基として重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物を含有するアクリル系/ウレタンアクリレート系混合組成物(中国塗料(株)製 フォルシードNo.420C、固形分濃度50質量%)。
【0065】
(3)マトリックス・架橋層材料C
メタクリロイル基として重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物を含有するメタクリル系組成物(共栄社化学(株)製 ライトエステルTMP、固形分濃度100質量%)。
【0066】
(4)マトリックス・架橋層材料D
アクリロイル基およびメタクリロイル基として重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基を2個以上有する化合物を含有する多官能アクリル系/メタクリレート系混合組成物(綜研化学(株)製 フルキュアHCE−032、固形分濃度51.4質量%)。
【0067】
(5)添加剤A
極大吸収波長320nmの光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba IRGACURE(登録商標)369)。
【0068】
(6)添加剤B
極大吸収波長300nmの光重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製 Ciba IRGACURE(登録商標)907)。
【0069】
(7)添加剤C
青顔料添加剤(ピグメントブルー15:6)
(8)添加剤D
アントラキノン系青色素添加剤(日本化薬(株)製 Kayaset Blue A−2R)
(実施例1)
導電材Aを用い、分散媒として水を用いて、特表2009−505358号公報の例8(ナノワイヤー分散)に開示されている方法にて銀ナノワイヤー分散液を得た。この銀ナノワイヤー分散液に、銀ナノワイヤーの濃度が0.05質量%となるように分散媒を追加し、銀ナノワイヤー分散塗液を調製した。この銀ナノワイヤー分散塗液を、材質がステンレス(sus)のシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用して基材Aの片面に塗布、90℃で2分間乾燥し導電成分を積層形成した。
【0070】
次いで、マトリックス・架橋層材料A62.9g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、酢酸エチル1500gを混合、撹拌し、マトリックス形成用の塗液を調製した。
【0071】
次いで、マトリックス形成用の塗液を、前記基材の導電成分を積層形成した面の上に材質がステンレス(sus)のシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用し、6m/minの塗工速度で塗布した。この時、120℃の乾燥ゾーン5分間通過、紫外線照射量は95.1mJ/cmであった。マトリックスの表面平均厚みTが450nmの導電層を形成し、導電積層体を得た。
(実施例2)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料B62.9g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、酢酸エチル1500gを用い、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが350nmの導電層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例3)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料C76.5g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、酢酸エチル2900gを用い、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmの導電層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例4)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料D149.0g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、酢酸エチル4820gを用い、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが180nmの導電層を形成したこと、基材として基材Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例5)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、酢酸エチル1500gを用い、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが275nmの導電層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例6)
塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTを250nmとしたこと以外は実施例5と同様にして、導電層を形成した。
【0072】
マトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、酢酸エチル1500gを混合、撹拌し、架橋層形成用の塗液を調製した。
【0073】
次いで、架橋層形成用の塗液を、前記基材の導電層を設けた反対側の面の上に材質がステンレス(sus)のシム(シム厚み50μm)を装着したスリットダイコートを使用し、塗布量を調整して6m/minの塗工速度で塗布した。この時、120℃の乾燥ゾーン5分間通過、紫外線照射量は95.1mJ/cmであった。表面平均厚みTが120nmの架橋層を形成し、導電積層体を得た。
(実施例7)
マトリックス形成用塗液の塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmになるように導電層を形成したこと、乾燥後に照射する紫外線照射装置の出力を調整し紫外線照射量を84.6mJ/cmにしたこと、および、架橋層を実施例6と同様にして形成したこと以外は、実施例1と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例8)
マトリックス形成用塗液の塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが175nmになるように導電層を形成したこと、乾燥後に照射する紫外線照射装置の出力を調整し紫外線照射量を80.5mJ/cmにしたこと、基材として基材Bを用いたこと、および、架橋層を実施例6と同様にして形成したこと以外は実施例3と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例9)
マトリックス形成用塗液の塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが213nmになるように導電層を形成したこと、乾燥後に照射する紫外線照射装置の出力を調整し紫外線照射量を75.7mJ/cmにしたこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例10)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.17g、添加剤B1.17g、酢酸エチル1500gを用いたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが175nmになるように導電層を形成したこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例11)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A0.78g、添加剤B0.78g、酢酸エチル1500gを用いたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmになるように導電層を形成したこと、基材として基材Bを用いたこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例12)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A0.39g、添加剤B0.39g、酢酸エチル1500gを用いたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmになるように導電層を形成したこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例13)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、酢酸エチル1500gを用いたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが125nmになるように導電層を形成したこと、基材として基材Bを用いたこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例14)
マトリックスの塗工速度を10m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間が3分、紫外線照射量を82.7mJ/cmとしたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが175nmになるように導電層を形成したこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例15)
マトリックスの塗工速度を15m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間を2分、紫外線照射量を77.8mJ/cmとしたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが213nmになるようにして導電層を形成したこと、基材として基材Bを用いたこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例16)
マトリックスの塗工速度を20m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間を1分30秒、紫外線照射量を76.8mJ/cmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例17)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A0.39g、添加剤B0.39g、酢酸エチル1500gを用いたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmになるように導電層を形成したこと、基材として基材Bを用いたこと以外は実施例16と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例18)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A0.39g、添加剤B0.39g、酢酸エチル1500gを用いたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが175nmになるように導電層を形成したこと、架橋層形成用の塗液としマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A0.39g、添加剤B0.39g、酢酸エチル1500gを用いて架橋層を形成したこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例19)
架橋層の塗工速度を10m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間が3分、紫外線照射量が82.7mJ/cmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例20)
導電材Bを用いたこと、マトリックスの表面平均厚みTが250nmになるようにしたこと以外は実施例1と同様にして導電層を形成し、塗工速度を15m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間が2分、紫外線照射量が77.8mJ/cmとしたこと以外は、実施例6と同様にして架橋層を形成して、導電積層体を得た。
(実施例21)
塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが213nmになるように導電層を形成したこと、架橋層の塗工速度を20m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間が1分30秒、紫外線照射量が76.8mJ/cmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例22)
実施例1と同一の銀ナノワイヤー分散塗液と、実施例20と同一の銅ナノワイヤー分散塗液とを、銀ナノワイヤー分散塗液:銅ナノワイヤー分散塗液=6:4と質量比がなるように混合し、銀ナノワイヤー・銅ナノワイヤー混合導電材分散塗液(導電材C分散塗液)とした。この導電材C分散塗液を用いたこと、架橋層形成時の、紫外線照射装置の出力を調整し、紫外線照射量を80.5mJ/cmにしたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが180nmとなるように導電層を形成したこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例23)
架橋層形成時の、紫外線照射装置の出力を調整し、紫外線照射量を75.7mJ/cmにしたこと以外は実施例6と同様にして架橋層を形成、また、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmになるように導電層を形成したこと以外は実施例1と同様にして導電積層体を得た。
(実施例24)
架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A0.39g、添加剤B0.39g、酢酸エチル1500gを用いたこと、架橋層の塗工速度を20m/minにして、120℃の乾燥ゾーンの通過時間が1分30秒、紫外線照射量が76.8mJ/cmとしたこと、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTを200nmになるように導電層を形成したこと、基材として基材Aを用いたこと以外は実施例17と同様にして、導電積層体を得た。
(実施例25)
架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、添加剤C0.58g、酢酸エチル1500gを用いたこと以外は実施例6と同様にして導電積層体を得た。
(実施例26)
架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、添加剤C1.16g、酢酸エチル1500gを用いて、実施例6と同様にして架橋層を形成したこと以外は実施例3と同様にして導電積層体を得た。
(実施例27)
基材として基材Bを用い、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTを213nmとしたこと以外は実施例6と同様にして導電層を形成し、架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、添加剤C1.74g、酢酸エチル1500gを用いて、表面平均厚みTが120nmになるように架橋層を形成して、導電積層体を得た。
(実施例28)
基材として基材Bを用い、塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTを200nmになるようにしたこと以外は実施例6と同様にして導電層を形成し、架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、添加剤D0.58g、酢酸エチル1500gを用いて架橋層を形成したこと、導電積層体を得た。
(実施例29)
塗布量を調整しマトリックスの表面平均厚みTが250nmとなるようにした以外は実施例4と同様にして導電層を形成し、基材として基材Aを用い、架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、添加剤D1.16g、酢酸エチル1500gを用い、実施例6と同様にして架橋層を形成し、導電積層体を得た。
(実施例30)
架橋層形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A1.56g、添加剤B1.56g、添加剤D1.74g、酢酸エチル1500gを用いて架橋層を形成したこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(比較例1)
基材Aに導電層を設けずに、基材のみとした。
(比較例2)
銀ナノワイヤー分散塗液形成用の塗液の濃度を0.01質量%としたこと以外は実施例3と同様にして導電材を塗布した。本条件で得られた導電材の塗布層中では銀ナノワイヤーはネットワーク構造を形成していなかった。
(比較例3)
マトリックス形成用の塗液に平均粒径が200nmのアクリル粒子を2.5g、シリカ粒子を2.5g添加したこと以外は実施例4と同様にして導電積層体を得た。
(比較例4)
導電材Dを用い、特開2001−243841号公報の実施例((2)銀ナノコロイド塗布液の調製)に記載の方法にて銀ナノ微粒子分散液を得た。次いで、同特開2001−243841号公報の[実施例1]に開示されている方法にて銀ナノ微粒子分散液を基材Aの片面に塗布し、導電成分を積層形成したこと以外は実施例1と同様にして導電積層体を得た。
(比較例5)
マトリックス形成用の塗液としてマトリックス・架橋層材料A58.2g、マトリックス・架橋層材料B4.7g、添加剤A3.12g、添加剤B3.12g、酢酸エチル1500gを用いたこと以外は実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
(比較例6)
マトリックス形成時の、紫外線照射装置の出力を調整し紫外線照射量を155.0mJ/cmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、導電積層体を得た。
【0074】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の導電積層体は、導電積層体をタッチパネル等に使用する電極部材に鮮明さと導電性を提供できることからタッチパネル用途に好適に使用されるものである。さらに、本発明の導電積層体は、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、電子ペーパーなどのディスプレイ関連や、太陽電池モジュールなどにおいて用いられる電極部材にも好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 基材
2 導電層
3 積層面に垂直な方向より観察した導電層
4 線状金属構造体
5 線状金属構造体の重なりよって形成された接点
6 導電積層体
7 基材
8 導電層
9 接合層
10 基材
11 ハードコート層
12 導電層表面
13 線状金属構造体が存在しない部分の表面厚みt
14 線状金属構造体
14’集合体を形成する線状金属構造体
15 線状金属構造体からなる集合体
16 単一の線状金属構造体の径r
17 線状金属構造体からなる集合体の線状金属構造体の径r
18 基材
19 基材
20 導電層
21 導電積層体
22 正に帯電した白色顔料粒子
23 透明分散媒
24 負に帯電した黒色顔料粒子
25 マイクロカプセル
26 下部電極
27 支持基材
28 下部電極複合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の片側に導電層を積層した下記(i)〜(iv)を満たす導電積層体。
(i)前記導電層が線状金属構造体からなるネットワーク構造を有する導電成分とマトリックスからなる。
(ii) FT−IR−ATR法にて求めた前記マトリックスの炭素−炭素二重結合の伸縮振動のピーク強度ν1と炭素−水素間結合(C−H)の伸縮振動のピーク強度ν2が、ν1/ν2≧0.2の関係を満たす。
(iii) 前記導電積層体の導電層の反対側から入射したときの分光透過スペクトルにおける波長330〜400nmにおける透過率が60%以上である。
(iv) 前記導電積層体の導電層側から入光した時のJIS K7105(1981)に基づいたヘイズ値が2.0%以下である。
【請求項2】
前記基材の導電層を設けた反対面に架橋層を設けた、請求項1に記載の導電積層体。
【請求項3】
前記架橋層側から入射したときのJIS Z8729(2004)に基づいたL*a*b*表示色系における透過光色調b*(C光源)が1.0以下である請求項2に記載の導電積層体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の導電積層体を用いた、表示体。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の導電積層体を用いた、タッチパネル。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の導電積層体を用いた、電子ペーパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−98066(P2013−98066A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240935(P2011−240935)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】