説明

小便器洗浄システム

【課題】小便器の衛生状態を良好に保持しつつ、洗浄水の節約を図ることができる小便器洗浄システムを提供する。
【解決手段】このシステム10におけるコントローラ13は、所定時間内における想定使用者数を記憶する想定使用者数記憶手段、センサ19が検出した所定時間内における実際の使用者数を計数する実使用者数計数手段、想定使用者数と実使用者数とを比較する使用者数比較手段、実使用者数が想定使用者数よりも多いときに、センサ19が使用者を検出する度毎に電磁弁20の弁機構を開いて小便器11に洗浄水を供給する洗浄水第1供給手段、実使用者数が想定使用者数よりも少ないときに、電磁弁20の弁機構を所定の時間間隔で開いて小便器11に洗浄水を供給する洗浄水第2供給手段を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器に洗浄水を供給することで小便器を洗浄する小便器洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小便器と、洗浄水を貯水する洗浄水貯水槽と、貯水槽内の洗浄水を小便器と貯水槽とに循環させる洗浄水循環手段と、小便器の使用者を検出するセンサと、小水を小便器から排水管に排水するとともに、小便器に流入した洗浄水を貯水槽に流入させる切換弁とから形成された水洗トイレがある(特許文献1参照)。この水洗トイレは、センサが使用者を検出すると、切換弁が作動して小水を小便器から排水管に排水し、用を足した使用者がセンサから離れ、使用者の小便器からの離脱をセンサが検出すると、洗浄水循環手段と切換弁とが作動し、洗浄水が小便器と貯水槽とを循環する。この水洗トイレは、小便器を洗浄した後の洗浄水が洗浄水循環手段によって貯水槽に戻るから、洗浄水を小水とともに排水する場合と比較し、洗浄水の節約を図ることができる。
【特許文献1】特開2006−348528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示の水洗トイレは、その使用頻度にもよるが、短時間に多数の使用者が使用すると、洗浄水が汚染され、洗浄水によって小便器を十分に洗浄することができず、小便器が汚れてその衛生状態を良好に保持することができない。
【0004】
本発明の目的は、小便器の衛生状態を良好に保持しつつ、洗浄水の節約を図ることができる小便器洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明にかかる小便器洗浄システムは、小便器と、小便器を使用する使用者を検出するセンサと、洗浄水を小便器に供給する給水管に取り付けられた弁機構と、センサと弁機構とが接続され、該弁機構の開閉を制御するコントローラとを含み、コントローラが、所定時間内における前記小便器の想定使用者数を記憶する想定使用者数記憶手段と、センサが検出した所定時間内における小便器の実際の使用者数を計数する実使用者数計数手段と、想定使用者数と実使用者数とを比較する使用者数比較手段と、実使用者数が想定使用者数よりも多いときに、センサが使用者を検出する度毎に弁機構を開いて小便器に洗浄水を供給する洗浄水第1供給手段と、実使用者数が想定使用者数よりも少ないときに、弁機構を所定の時間間隔で開いて小便器に洗浄水を供給する洗浄水第2供給手段とを有することを特徴とする。
【0006】
本発明の一例として、コントローラは、使用者数比較手段によって比較した想定使用者数と実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下であるときに、想定使用者数を設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更し、変更した想定使用者数を記憶する想定使用者数変更記憶手段を有する。
【0007】
本発明の他の一例として、想定使用者数変更記憶手段においてコントローラは、想定使用者数と実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下である回数が設定回数を超えたときに、想定使用者数を直近に計数した設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更し、変更した想定使用者数を記憶する。
【0008】
本発明の他の一例として、コントローラは、洗浄水第2供給手段における弁機構を開く時間間隔を月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかによって変更する時間間隔変更手段を有する。
【0009】
本発明の他の一例として、洗浄水第2供給手段においてコントローラは、センサが使用者を検出したときに、弁機構を開いて通常の洗浄水量よりも少ない量の洗浄水を前記小便器に供給する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る小便器洗浄システムによれば、実使用者数が想定使用者数よりも多いと判断すると、センサが使用者を検出する度毎に弁機構を開いて小便器に洗浄水を供給する洗浄水第1供給手段を実行し、実使用者数が想定使用者数よりも少ないと判断すると、弁機構を所定の時間間隔で開いて小便器に洗浄水を所定の間隔で供給する洗浄水第2供給手段を実行するから、使用者が多いときにおける小便器の衛生状態を確実に保持することができ、使用者が少ないときの洗浄水の使用量を少なくすることができる。ゆえに、この小便器洗浄システムは、小便器の衛生状態を良好に保持しつつ、洗浄水の節約を図ることができる。また、この小便器洗浄システムは、小便器の設置場所や設置数、使用者数の季節的な変動等の諸条件を考慮して想定使用者数を自由に設定することができるから、使用頻度が少ない小便器には想定使用者数を少なくして洗浄水の節約を図ることができ、使用頻度の多い小便器には想定使用者数を多くして洗浄水の節約を図ることができる。
【0011】
使用者数比較手段によって比較した想定使用者数と実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下であるときに、想定使用者数を設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更する小便器洗浄システムは、想定使用者数と実使用者数との較差が大きいときに想定使用者数を実使用者数に変更するから、現実の小便器の使用頻度に合致させた状態で洗浄水第1供給手段と洗浄水第2供給手段とのうちのいずれかを実行することができ、小便器の衛生状態を確実に保持しつつ、洗浄水の節約を確実に図ることができる。
【0012】
想定使用者数と実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下である回数が設定回数を超えたときに、想定使用者数を直近に計数した設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更する小便器洗浄システムは、想定使用者数と実使用者数との較差が大きい状態が継続したときに想定使用者数を実使用者数に変更するから、想定使用者数と実使用者数との較差が大きいときに直ちに想定使用者数を実使用者数に変更する場合と比較し、現実の小便器の使用頻度に一層合致させた状態で洗浄水第1供給手段と洗浄水第2供給手段とのうちのいずれかを実行することができ、小便器の衛生状態を確実に保持しつつ、洗浄水の節約を確実に図ることができる。
【0013】
洗浄水第2供給手段における弁機構を開く時間間隔を月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかによって変更する小便器洗浄システムは、小便器における使用頻度の季節変動や時間変動等を考慮して弁機構の開時間間隔を決めることができるから、使用頻度が低い月や週、日、曜日、時間において弁機構の開時間間隔を長くすることで、洗浄水の節約を図ることができ、使用頻度が高い月や週、日、曜日、時間において弁機構の開時間間隔を短くすることで、小便器の衛生状態を良好に保持することができる。
【0014】
洗浄水第2供給手段においてセンサが使用者を検出したときに、弁機構を開いて通常の洗浄水量よりも少ない量の洗浄水を小便器に供給する小便器洗浄システムは、弁機構を開く時間間隔が長い場合でも、使用者の検出によって少量の洗浄水を流すことができるから、小便器の汚れを防ぐことができ、小便器の衛生状態を良好に保持することができる。このシステムは、使用者の検出によって少量の洗浄水を流すから、使用者が用を足した後に洗浄水を流さない場合と比較し、使用者に不快感を与えることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
添付の図面を参照し、本発明に係る小便器洗浄システムの詳細を説明すると、以下のとおりである。図1は、一例として示す小便器洗浄システム10の概念図である。図2は、このシステム10が実行するプロセスの一例を示すフローチャートであり、図3は、図2から続くフローチャートである。小便器洗浄システム10は、小便器11と、給水制御ユニット12と、コントローラ13とから形成されている。システム10は、所定量の洗浄水を小便器11内に自動的に供給し、小便器11を洗浄する。
【0016】
小便器11の頂壁14には、洗浄水を供給する給水管15が接続されている。小便器11の底壁16には、排泄された小水や供給された洗浄水を下水道に排水する排水管17が接続されている。給水制御ユニット12は、給水管15に接続されている。給水制御ユニット12は、トイレ室の壁に埋め込む埋込型が使用されているが、埋込型の他に、トイレ室の壁から前方へ離間する外付け型を使用することもできる。給水制御ユニット12は、筐体18と、筐体18の内部に収容された人感センサ19および電磁弁20(弁機構)とから形成されている。センサ19と電磁弁20とは、インターフェイス(無線または有線)を介してコントローラ13に接続されている。
【0017】
センサ19には、光導電型や光起電型、熱電効果型等の光センサが使用されているが、光センサの他に、赤外線温度センサを使用することもできる。センサ19の検出部(光導電素子、光起電力素子、焦電素子)は、給水制御ユニット12の筐体18の前壁に取り付けられ、小便器11の前方に向かっている。小便器11の前方に使用者が立つと、それをセンサ19が検出し、ON信号(人検出信号)をコントローラ13に出力する。また、用を足した使用者が小便器11から離れると、それをセンサ19が検出し、OFF信号(人離脱信号)をコントローラ13に出力する。電磁弁20は、コントローラ13から開信号が出力されると、それによって弁機構を開く。弁機構が開くと、給水管15から小便器11内へ洗浄水が流入する。また、電磁弁20は、コントローラ13から閉信号が出力されると、それによって弁機構を閉じる。弁機構が閉じると、小便器11内への洗浄水の流入が停止する。
【0018】
なお、圧力センサ(人感センサ19)を備えたマットを小便器11の前に設置することもできる。圧力センサは、インターフェイスを介してコントローラ13に接続される。マットを採用した場合、小便器11の前方に使用者が立ち、使用者がマットの上に乗ると、それを圧力センサが検出し、ON信号(人検出信号)をコントローラ13に出力する。また、用を足した使用者が小便器11から離れ、使用者がマットから降りると、それを圧力センサが検出し、OFF信号(人離脱信号)をコントローラ13に出力する。
【0019】
コントローラ13は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリ(大容量ハードディスク)とを有するコンピュータである。コントローラ13には、図示はしていないが、テンキーユニットやディスプレイが実装されている。コントローラ13のメモリには、所定の手段をコントローラ13に実行させるためのアプリケーションプログラムが格納されている。コントローラ13の中央処理部は、メモリに格納されたオペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリからアプリケーションプログラムを起動し、起動したアプリケーションプログラムに従って、以下の各手段を実行する。
【0020】
コントローラ13は、所定時間内に小便器11を使用すると予想される想定使用者数を記憶する想定使用者数記憶手段を実行し、所定時間内に実際に小便器11を使用した使用者数を計数する実使用者数計数手段を実行する。所定時間は、たとえば、5分や10分等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。所定時間はコントローラ13のメモリに格納され、変更がない限り、コントローラ13はその所定時間を継続して使用する。なお、所定時間は、小便器11の実際の使用者数のカウント時間にもなる。想定使用者数は、たとえば、3人や5人等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。想定使用者数はコントローラ13のメモリに記憶され、テンキーユニットからの変更や後記する想定使用者数変更記憶手段による変更がない限り、コントローラ13はその想定使用者数を継続して使用する。
【0021】
コントローラ13は、センサ19から出力されたON信号とOFF信号とによって設定された所定時間内における実使用者数を計数する。具体的には、センサ19からON信号が出力された後、OFF信号が出力されると、1人の使用者をカウントし、さらに、センサ19からON信号が出力された後、OFF信号が出力されると、1人の使用者をカウントし、所定時間内における実使用者数を積算する。たとえば、所定時間内にセンサ19から5回のON,OFF信号が出力されると、コントローラ13は実使用者数を5人と判断する。コントローラ13は、設定された所定時間が経過すると、積算した実使用者数を0とし、再び、センサ19からのON,OFF信号によって実使用者数を計数、積算する。
【0022】
コントローラ13は、想定使用者数と実使用者数とを比較する使用者数比較手段を実行する。使用者数比較手段においてコントローラ13は、所定時間の経過直後、その所定時間内に計数、積算した実使用者数と設定された想定使用者数とを比較する。また、コントローラ13は、次の所定時間が経過した直後、その所定時間内に計数、積算した実使用者数と設定された想定使用者数とを比較する。コントローラ13は、あらかじめ設定された所定時間内における想定使用者数とセンサ19が検出した所定時間内における実使用者数とを比較した結果、想定使用者数よりも実使用者数が多いときは洗浄水第1供給手段を実行し、想定使用者数よりも実使用者数が少ないときは洗浄水第2供給手段を実行する。
【0023】
洗浄水第1供給手段においてコントローラ13は、センサ19から出力されたON信号とOFF信号とによって電磁弁20に第1開信号を出力する。具体的には、センサ19からON信号が出力された後、OFF信号が出力されると、コントローラ13が電磁弁20に第1開信号を出力し、第1開信号を受け取った電磁弁20が弁機構を開き、小便器11内に通常供給量の洗浄水を供給する。コントローラ13は、第1開信号を受け取ってから所定時間経過後、電磁弁20に第1閉信号を出力する。第1閉信号を受け取った電磁弁20は、開いた弁機構を閉じ、小便器11への洗浄水の供給を停止する。洗浄水第1供給手段では、使用者が小便器11を使用する度毎に洗浄水が小便器11に供給され、小便器11が洗浄される。
【0024】
小便器11への洗浄水の通常供給量は、約2〜4リットル/1回であるが、供給量に特に限定はなく、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。通常供給量はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその通常供給量を継続して使用する。第1閉信号の出力時間(第1開信号を出力してから第1閉信号を出力するまでの時間)は、たとえば、第1開信号出力から2秒や3秒等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。第1閉信号の出力時間はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその出力時間を継続して使用する。
【0025】
洗浄水第2供給手段においてコントローラ13は、センサ19からのON,OFF信号にかかわらず、所定の時間間隔で電磁弁20に第2開信号を出力する。具体的には、コントローラ13が3分間隔や5分間隔等で電磁弁20に第2開信号を出力し、第2開信号を受け取った電磁弁20が弁機構を開き、小便器11内に通常供給量の洗浄水を供給する。コントローラ13は、第2開信号を出力してから所定時間経過後、電磁弁20に第2閉信号を出力する。第2閉信号を受け取った電磁弁20は、開いた弁機構を閉じ、小便器11への洗浄水の供給を停止する。洗浄水第2供給手段では、使用者の有無にかかわらず、所定の間隔で洗浄水が小便器11に間欠的に供給され、小便器11が洗浄される。
【0026】
第2開信号の出力間隔は、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。第2開信号の出力間隔はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその出力間隔を継続して使用する。第2閉信号の出力時間(第2開信号を出力してから第2閉信号を出力するまでの時間)は、たとえば、第2開信号出力から2秒や3秒等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。第2閉信号の出力時間はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその出力時間を継続して使用する。
【0027】
なお、洗浄水第2供給手段においてコントローラ13は、センサ19が使用者を検出したときに、電磁弁20の弁機構を開いて通常の洗浄水の供給量よりも少ない供給量の臨時洗浄水を小便器11に供給することもできる。具体的には、センサ19からON信号が出力された後、OFF信号が出力されると、コントローラ13が電磁弁20に第3開信号を出力し、第3開信号を受け取った電磁弁20が弁機構を開き、小便器11内に臨時洗浄水を供給する。コントローラ13は、第3開信号を出力してから所定時間経過後、電磁弁20に第3閉信号を出力する。第3閉信号を受け取った電磁弁20は、開いた弁機構を閉じ、小便器11への洗浄水の供給を停止する。
【0028】
臨時洗浄水の供給量は、たとえば、通常供給量の1/3や1/5等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。臨時洗浄水の供給量はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその供給量を使用する。また、第3閉信号の出力時間(第3開信号を出力してから第3閉信号を出力するまでの時間)は、たとえば、第3開信号出力から1秒や2秒等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。第3閉信号の出力時間はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその出力時間を継続して使用する。
【0029】
コントローラ13は、使用者数比較手段によって比較した想定使用者数と実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下であり、かつ、較差が設定較差以上または設定較差以下である回数が設定回数を超えたとき、想定使用者数を直近に計数した設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更し、変更した想定使用者数を記憶する想定使用者数変更記憶手段を実行する。想定使用者数を変更した場合、コントローラ13は、変更後の想定使用者数を使用して想定使用者数と実使用者数とを比較し、洗浄水第1供給手段と洗浄水第2供給手段とのいずれか一方を実行する。
【0030】
設定較差は、たとえば、想定使用者数が5人である場合、5人±2人や5人±3人等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。設定較差はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその設定較差を継続して使用する。設定回数は、たとえば、3回や5回等であり、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。設定回数はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその設定回数を継続して使用する。
【0031】
なお、このシステム10では、所定時間および想定使用者数とともに較差のみを設定し、回数を設定しなくてもよい。回数を設定しない場合、コントローラ13は、較差が設定較差を1回超えたときに、想定使用者数変更記憶手段を実行する。また、このシステム10では、所定時間および想定使用者数のみを設定し、較差と回数とを設定しなくてもよい。較差および回数を設定しない場合、コントローラ13は、想定使用者数変更記憶手段を実行せず、最初に設定した想定使用者数を継続して使用する。
【0032】
コントローラ13は、洗浄水第2供給手段における弁機構を開く時間間隔を月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかによって変更する時間間隔変更手段を実行する。たとえば、初期設定の時間間隔が2分であり、初期設定から1ヶ月後に時間間隔を3分に変更し、さらに、1ヶ月後に時間間隔を2分に変更する。また、初期設定から3日後に時間間隔を3分に変更し、さらに、2日後に時間間隔を1分に変更する。あるいは、火曜の時間間隔を3分に変更し、土曜と日曜の時間間隔を1分に変更する。洗浄水第2供給手段における弁機構の開時間間隔は、テンキーユニットによって自由に設定または変更することができる。時間間隔はコントローラ13のメモリに記憶され、変更がない限り、コントローラ13はその時間間隔を使用する。
【0033】
図2,3のフローチャートに基づいてこのシステム10が実行するプロセスの一例を説明すると、以下のとおりである。なお、図2,3のフローチャートに示すプロセスでは、第1閉信号の出力時間や第2開信号の出力間隔、第2閉信号の出力時間、第3閉信号の出力時間、洗浄水の通常供給量、臨時洗浄水の供給量がすでにコントローラ13に設定されているものとし、それらの設定変更処理の図示は省略する。第1閉信号の出力時間は3秒、第2開信号の出力間隔は5分に設定され、第2閉信号の出力時間は3秒、第3閉信号の出力時間は1秒に設定されているものとする。洗浄水の通常供給量は3リットル/1回、臨時洗浄水の供給量は0.5リットル/1回に設定されているものとする。
【0034】
このシステム10を起動させると、コントローラ13は、所定時間や想定使用者数に変更があるかを問い合わせる(S−1)。コントローラ13のディスプレイには、所定時間と想定使用者数との変更画面が表示され、変更の有無アイコンが表示される。所定時間や想定使用者数を変更するには、変更有アイコンをクリックした後、変更項目から所定時間の変更または想定使用者数の変更を選択する。所定時間の変更や想定使用者数の変更を選択すると、ディスプレイに所定時間の入力エリア、想定使用者数の入力エリアが表示される。テンキーユニットによってそれら入力エリアに各数値を入力し、変更登録アイコンをクリックすると、ディスプレイにそれら数値の再確認画面が表示される。確認アイコンをクリックすると、あらたに入力された所定時間や想定使用者数がコントローラ13のメモリに格納され、変更後の所定時間や想定使用者数がシステム10に設定される(S−2)。なお、所定時間や想定使用者数に変更がない場合は、変更無アイコンをクリックする。図2,3のフローチャートに示すプロセスでは、所定時間が10分に設定され、想定使用者数が5人に設定されたものとする。
【0035】
所定時間や想定使用者数を変更した後、または、変更画面において変更無アイコンをクリックすると、コントローラ13は、較差や回数に変更があるかを問い合わせる(S−3)。コントローラ13のディスプレイには、較差と回数との変更画面が表示され、変更の有無アイコンが表示される。較差や回数を変更するには、変更有アイコンをクリックした後、変更項目から較差の変更または回数の変更を選択する。較差の変更や回数の変更を選択すると、ディスプレイに較差の入力エリア、回数の入力エリアが表示される。テンキーユニットによってそれら入力エリアに各数値を入力し、変更登録アイコンをクリックすると、ディスプレイにそれら数値の再確認画面が表示される。確認アイコンをクリックすると、あらたに入力された較差や回数がコントローラ13のメモリに格納され、変更後の較差や回数がシステム10に設定される(S−4)。このフローチャートに示すプロセスでは、設定較差が±1人に設定され、設定回数が3回に設定されたものとする。なお、回数を設定しない場合は、変更画面に表示される較差と回数との設定のうちの回数設定なしを選択する。また、較差と回数とを設定しない場合は、変更画面に表示される較差と回数との設定のうちの較差設定なしおよび回数設定なしを選択する。
【0036】
それら数値(制御量)に変更がなく、または、それら数値の変更設定が終了すると、コントローラ13は、センサ19から出力されたON信号とOFF信号とによって10分間毎の実使用者数を計数する(S−5)。コントローラ13は、設定された想定使用者数(5人)と計数した実使用者数とを比較し(使用者数比較手段)、想定使用者数よりも実使用者数が多いかまたは想定使用者数よりも実使用者数が少ないかを判断する(S−6)。さらに、コントローラ13は、較差が設定較差(5人±1人)の範囲内にあるかを判断するとともに、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあるかを判断する(S−7)。実使用者の計数の結果、実使用者数が6人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の5人よりも実使用者数が多いと判断するとともに、較差(5人+1人)が設定較差(5人±1人)の範囲内にあり、かつ、回数が設定回数(3回)の範囲内にあると判断すると、コントローラ13は、洗浄水第1供給手段を実行する(S−8)。なお、システム10を起動してから最初の10分間は、洗浄水第1供給手段を実行する。
【0037】
洗浄水第1供給手段では、使用者が小便器11の前に立つと、センサ19からコントローラ13にON信号が出力され、使用者が用を足し、使用者が小便器11から離れると、センサ19からコントローラ13にOFF信号が出力される。ON,OFF信号によって第1開信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を開いて通常供給量(3リットル/1回)の洗浄水を小便器11に供給する。第1閉信号の出力時間(第1開信号を出力してから3秒経過)になると、第1閉信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を閉じて洗浄水の小便器11への供給が停止する。
【0038】
ステップ7(S−7)に戻って、実使用者を3回計数した結果、実使用者数が9人、9人、8人であり、較差(5人+4人、5人+4人、5人+3人)が設定較差(5人±1人)の範囲外にあり、かつ、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が連続して3回を超え、回数が設定回数(3回)の範囲外にあると判断すると、コントローラ13は、想定使用者数変更記憶手段を実行する(S−9)。ステップ9(S−9)における想定使用者数変更記憶手段では、想定使用者数を直近に計数した設定較差以上の実使用者数(8人)に変更し、変更した想定使用者数(8人)を記憶する。なお、コントローラ13は、想定使用者数を8人に変更すると、設定較差を8人±1人に変更する。なお、回数が3回までは、想定使用者数を引き続き5人として洗浄水第1供給手段を実行する(S−8)。
【0039】
上述したように、回数を設定しない場合、コントローラ13は、較差が設定較差を1回超えた時点で、想定使用者数変更記憶手段を実行し、想定使用者数を8人に変更するとともに、設定較差を8人±1人に変更し、それをメモリに格納する。コントローラ13は、想定使用者数を8人とし、設定較差を8人±1人とした後、洗浄水第1供給手段または洗浄水第2供給手段を実行する。また、設定較差と設定回数とを設定しない場合、計数した実使用者数が8人であっても、想定使用者数を変更することなく、想定使用者数を5人として引き続き洗浄水第1供給手段または洗浄水第2供給手段を実行する。
【0040】
ステップ9(S−9)において想定使用者数変更記憶手段を実行した後、コントローラ13は、センサ19から出力されたON信号とOFF信号とによって10分間毎の実使用者数を計数する(S−5)。コントローラ13は、変更した想定使用者数(8人)と計数した実使用者数とを比較し(使用者数比較手段)、想定使用者数よりも実使用者数が多いかまたは想定使用者数よりも実使用者数が少ないかを判断する(S−6)。さらに、コントローラ13は、較差が設定較差(8人±1人)の範囲内にあるかを判断するとともに、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあるかを判断する(S−7)。実使用者の計数の結果、実使用者数が9人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の8人よりも実使用者数が多いと判断するとともに、較差(8人+1人)が設定較差(8人±1人)の範囲内にあり、かつ、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあると判断すると、コントローラ13は、洗浄水第1供給手段を実行する(S−8)。
【0041】
ステップ6(S−6)に戻って、実使用者の計数の結果、実使用者数が4人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の5人よりも実使用者数が少ないと判断すると、コントローラ13は、較差が設定較差(5人±1人)の範囲内にあるかを判断するとともに、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあるかを判断する(S−10)。較差(5人−1人)が設定較差(5人±1人)の範囲内にあり、かつ、回数が設定回数(3回)の範囲内にあると判断すると、コントローラ13は、洗浄水第2供給手段を実行する(S−11)。
【0042】
また、ステップ6(S−6)に戻って、実使用者の計数の結果、実使用者数が7人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の8人よりも実使用者数が少ないと判断すると、コントローラ13は、較差が設定較差(8人±1人)の範囲内にあるかを判断するとともに、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあるかを判断する(S−10)。較差(8人−1人)が設定較差(8人±1人)の範囲内にあり、かつ、回数が設定回数(3回)の範囲内にあると判断すると、コントローラ13は、洗浄水第2供給手段を実行する(S−11)。
【0043】
洗浄水第2供給手段では、コントローラ13が5分間隔で電磁弁に第2開信号を出力し、第2開信号を受け取った電磁弁20が弁機構を開き、小便器11内に通常供給量の洗浄水を供給する。第2閉信号の出力時間(第2開信号を出力してから3秒経過)になると、第2閉信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を閉じて洗浄水の小便器11への供給を停止する。なお、洗浄水第2供給手段では、使用者が小便器11の前に立ち、センサ19からコントローラ13にON信号が出力された後、使用者が用を足し、使用者が小便器11から離れ、センサ19からコントローラ13にOFF信号が出力される。ON,OFF信号によって第3開信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を開いて通常供給量よりも少ない供給量(0.5リットル/1回)の臨時洗浄水を小便器11に供給する。第3閉信号の出力時間(第3開信号を出力してから1秒経過)になると、第3閉信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を閉じて洗浄水の小便器11への供給を停止する。
【0044】
想定使用者数変更記憶手段を実行しない場合であって、ステップ10(S−10)において、実使用者を3回計数した結果、実使用者数が1人、3人、3人であり、較差(5人−4人、5人−2人、5人−2人)が設定較差(5人±1人)の範囲外にあり、かつ、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲外にあると判断すると、コントローラ13は、想定使用者数変更記憶手段を実行する(S−12)。ステップ12(S−12)における想定使用者数変更記憶手段では、想定使用者数を直近に計数した設定較差以上の実使用者数(3人)に変更し、変更した想定使用者数(3人)を記憶する。なお、コントローラ13は、想定使用者数を3人に変更すると、設定較差を3人±1人に変更する。
【0045】
コントローラ13は、センサ19から出力されたON信号とOFF信号とによって10分間毎の実使用者数を計数する(S−13)。コントローラ13は、変更した想定使用者数(3人)と計数した実使用者数とを比較し(使用者数比較手段)、想定使用者数よりも実使用者数が多いかまたは想定使用者数よりも実使用者数が少ないかを判断する(S−14)。さらに、コントローラ13は、較差が設定較差(3人±1人)の範囲内にあるかを判断するとともに、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあるかを判断する(S−15)。実使用者を計数した結果、実使用者数が4人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の3人よりも実使用者数が多いと判断するとともに、較差(3人+1人)が設定較差(3人±1人)の範囲内にあり、かつ、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあると判断すると、コントローラ13は、洗浄水第1供給手段を実行する(S−16)。
【0046】
ステップ14(S−14)に戻って、実使用者を計数した結果、実使用者数が2人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の3人よりも実使用者数が少ないと判断すると、コントローラ13は、較差が設定較差(3人±1人)の範囲内にあるかを判断するとともに、回数(較差が設定較差の範囲外となる回数)が設定回数(3回)の範囲内にあるかを判断する(S−10)。較差(3人−1人)が設定較差(3人±1人)の範囲内にあり、かつ、回数が設定回数(3回)の範囲内にあると判断すると、コントローラ13は、洗浄水第2供給手段を実行する(S−11)。なお、システム10のスイッチをOFFにすると、システム10の稼動が停止する。ただし、コントローラ13のメモリに格納された各種の設定値は消去されることなく、次にシステム10を稼動させたときに設定をクリアしない限り、それらの設定値が引き続き使用される。
【0047】
図2,3に示すプロセスを実行する小便器洗浄システム10は、実使用者数が想定使用者数よりも多いと判断すると、センサ19が使用者を検出する度毎に電磁弁20の弁機構を開いて小便器11に洗浄水を供給する洗浄水第1供給手段を実行し、実使用者数が想定使用者数よりも少ないと判断すると、電磁弁20の弁機構を所定の時間間隔で開いて小便器11に洗浄水を間欠的に供給する洗浄水第2供給手段を実行するから、使用者が多いときにおける小便器11の衛生状態を確実に保持することができ、使用者が少ないときの洗浄水の使用量を少なくすることができる。このシステム10は、小便器11の衛生状態を良好に保持しつつ、洗浄水の節約を図ることができる。
【0048】
小便器洗浄システム10は、小便器11の設置場所や設置数、使用者数の季節的な変動等の諸条件を考慮して想定使用者数を自由に設定することができるから、使用頻度が少ない小便器11には想定使用者数を少なくして洗浄水の節約を図ることができ、使用頻度の多い小便器11には想定使用者数を多くして洗浄水の節約を図ることができる。また、このシステム10は、想定使用者数と実使用者数との較差が大きい状態が継続したときに想定使用者数を実使用者数に変更するから、現実の小便器11の使用頻度に合致させた状態で洗浄水第1供給手段と洗浄水第2供給手段とのうちのいずれかを実行することができ、小便器11の衛生状態を確実に保持しつつ、洗浄水の節約を確実に図ることができる。
【0049】
小便器洗浄システム10は、洗浄水第2供給手段においてセンサ19が使用者を検出したときに、電磁弁20の弁機構を開いて通常の洗浄水量よりも少ない量の臨時洗浄水を小便器11に供給するから、使用者の検出によって少量の洗浄水を流すことで、弁機構を開く時間間隔が長い場合でも、小便器11の汚れを防ぐことができ、小便器11の衛生状態を良好に保持することができる。このシステム10は、使用者の検出によって少量の臨時洗浄水を流すから、使用者が用を足した後に洗浄水を流さない場合と比較し、使用者に不快感を与えることはない。
【0050】
図4は、このシステム10が実行するプロセスの他の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示すプロセスが図2,3のそれと異なるところは、較差および回数の設定がなく、コントローラ13が洗浄水第2供給手段における電磁弁20の弁機構を開く時間間隔を月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかによって変更する時間間隔変更手段を実行する点にある。なお、このフローチャートに示すプロセスでは、図2,3のそれと同様に、第1閉信号の出力時間や第2閉信号の出力時間、第3閉信号の出力時間、洗浄水の通常供給量、臨時洗浄水の供給量がすでにコントローラ13に設定されているものとする。なお、第1閉信号の出力時間は3秒、第2閉信号の出力時間は2秒、第3閉信号の出力時間は1秒に設定され、洗浄水の通常供給量は2リットル/1回、臨時洗浄水の供給量は0.3リットル/1回に設定されている。さらに、所定時間は5分、想定使用者数は6人に設定されている。所定時間および想定使用者数の変更設定(ステップ20(S−20)〜ステップ21(S−21))は図2,3のそれ(ステップ1(S−1)〜ステップ2(S−2))と同様であるから、その説明は省略する。
【0051】
所定時間や想定使用者数を変更した後、または、変更画面において変更無アイコンをクリックすると、コントローラ13は、開閉時間間隔に変更があるかを問い合わせる(S−22)。開閉時間間隔の変更では、月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかにおける洗浄水第2供給手段の弁機構を開く時間間隔(第2開信号の出力間隔)を変更する。コントローラ13のディスプレイには、開閉時間間隔の変更画面が表示され、変更の有無アイコンが表示される。開閉時間間隔を変更するには、変更有アイコンをクリックした後、変更項目から開閉時間間隔の変更を選択する。開閉時間間隔の変更を選択すると、ディスプレイに月、週、日、曜日、時間の各入力エリアと時間間隔の入力エリアとが表示される。テンキーユニットによってそれら入力エリアに各数値を入力し、変更登録アイコンをクリックすると、ディスプレイにそれら数値の再確認画面が表示される。確認アイコンをクリックすると、あらたに入力された開時間間隔がコントローラ13のメモリに格納され、変更後の開時間間隔がシステム10に設定される(S−23)。図4のフローチャートに示すプロセスでは、第2開信号の出力間隔が曜日単位で設定され、初期設定における第2開信号の出力間隔が2分であり、月曜、水曜、金曜を初期設定とし、火曜の時間間隔が3分に設定され、土曜と日曜の時間間隔が1分に設定されている。
【0052】
第2開信号の出力間隔を設定すると、コントローラ13は、センサ19から出力されたON信号とOFF信号とによって5分間毎の実使用者数を計数する(S−24)。コントローラ13は、設定された想定使用者数(6人)と計数した実使用者数とを比較し(使用者数比較手段)、想定使用者数よりも実使用者数が多いかまたは想定使用者数よりも実使用者数が少ないかを判断する(S−25)。実使用者の計数の結果、実使用者数が8人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の6人よりも実使用者数が多いと判断すると、コントローラ13は、洗浄水第1供給手段を実行する(S−26)。洗浄水第1供給手段は、図2,3のフローチャートに示すプロセスのそれと同一であるから、その説明は省略する。なお、システム10を起動してから最初の5分間は、洗浄水第1供給手段を実行する。
【0053】
ステップ25(S−25)に戻って、実使用者の計数の結果、実使用者数が4人であり、それら使用者数を比較した結果、想定使用者数の6人よりも実使用者数が少ないと判断すると、コントローラ13は、曜日による電磁弁20の弁機構の開時間間隔の変更があるかを判断する。コントローラ13は、それのタイマ機能によって曜日を特定し、特定した曜日によって開時間間隔を変更するかを判断する(S−27)。たとえば、特定した曜日が月曜、水曜、金曜のいずれかである場合、コントローラ13は、開時間間隔を変更せず、洗浄水第2供給手段を実行する(S−28)。
【0054】
洗浄水第2供給手段では、コントローラ13が2分間隔で電磁弁20に第2開信号を出力し、第2開信号を受け取った電磁弁20が弁機構を開き、小便器11内に通常供給量の洗浄水を供給する。第2閉信号の出力時間(第2開信号を出力してから2秒経過)になると、第2閉信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を閉じて洗浄水の小便器11への供給を停止する。洗浄水第2供給手段では、使用者が小便器11の前に立ち、センサ19からコントローラ13にON信号が出力された後、使用者が用を足し、使用者が小便器11から離れ、センサ19からコントローラ13にOFF信号が出力される。ON,OFF信号によって第3開信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を開いて通常供給量よりも少ない供給量(0.3リットル/1回)の臨時洗浄水を小便器11に供給する。第3閉信号の出力時間(第3開信号を出力してから1秒経過)になると、第3閉信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を閉じて洗浄水の小便器11への供給を停止する。
【0055】
ステップ27(S−27)に戻り、特定した曜日が土曜日の場合、コントローラ13は、開時間間隔を2分から1分に変更する時間間隔変更手段を実行した後(S−29)、洗浄水第2供給手段を実行する(S−28)。洗浄水第2供給手段では、コントローラ13が1分間隔で電磁弁20に第2開信号を出力し、第2開信号を受け取った電磁弁20が弁機構を開き、小便器11内に通常供給量の洗浄水を供給する。第2閉信号の出力時間になると、第2閉信号がコントローラ13から電磁弁20に出力され、電磁弁20が弁機構を閉じて洗浄水の小便器11への供給を停止する。なお、使用者が検出される度毎に臨時洗浄水が小便器11に供給される。
【0056】
図4に示すプロセスを実行する小便器洗浄システム10は、洗浄水第2供給手段における電磁弁20の弁機構を開く時間間隔を月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかによって変更するから、小便器11における使用頻度の季節変動や時間変動等を考慮して弁機構の開時間間隔を決めることができる。このシステム10は、使用頻度が低い月や週、日、曜日、時間において電磁弁20の弁機構の開時間間隔を長くすることで、洗浄水の節約を図ることができ、使用頻度が高い月や週、日、曜日、時間において電磁弁20の弁機構の開時間間隔を短くすることで、小便器11の衛生状態を良好に保持することができる。
【0057】
この小便器洗浄システム10は、洗浄水第2供給手段においてセンサ19が使用者を検出したときに、電磁弁20の弁機構を開いて通常の洗浄水量よりも少ない量の臨時洗浄水を小便器11に供給するから、使用者の検出によって少量の洗浄水を流すことで、弁機構を開く時間間隔が長い場合でも、小便器11の汚れを防ぐことができ、小便器11の衛生状態を良好に保持することができる。また、使用者が用を足した後に洗浄水を流さない場合と比較し、使用者に不快感を与えることはない。
【0058】
なお、この小便器洗浄システム10では、洗浄水第2供給手段において臨時洗浄水を供給しなくてもよい。また、このシステム10は、個々の小便器11においてそれぞれ異なる設定を行うことができ、個々の小便器11の使用頻度に合わせた洗浄水の供給を行うこともできる。さらに、各トイレ室毎においてそれぞれ異なる設定を行うこともでき、各トイレ室の使用頻度に合わせた洗浄水の供給を行うこともできる。
【0059】
この小便器洗浄システム10では、コントローラ13が各給水制御ユニット12に内蔵され、個々の小便器11がそれらコントローラ13によって制御されることで、それら小便器11が独立して制御動作を行うようにすることもできる。この場合、コントローラ13に格納された各数値(各制御量)の設定や変更は、小便器11毎に行うようにすることもできるが、各小便器の給水制御ユニット12が1つの中央管理装置に接続され、各数値の設定や変更を中央管理装置を介して行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】一例として示す小便器洗浄システムの概念図。
【図2】システムが実行するプロセスの一例を示すフローチャート。
【図3】図2から続くフローチャート。
【図4】システムが実行するプロセスの他の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0061】
10 小便器洗浄システム
11 小便器
13 コントローラ
15 給水管
17 排水管
19 人感センサ
20 電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器と、前記小便器を使用する使用者を検出するセンサと、洗浄水を前記小便器に供給する給水管に取り付けられた弁機構と、前記センサと前記弁機構とが接続され、該弁機構の開閉を制御するコントローラとを含み、
前記コントローラが、所定時間内における前記小便器の想定使用者数を記憶する想定使用者数記憶手段と、前記センサが検出した前記所定時間内における前記小便器の実際の使用者数を計数する実使用者数計数手段と、前記想定使用者数と前記実使用者数とを比較する使用者数比較手段と、前記実使用者数が前記想定使用者数よりも多いときに、前記センサが使用者を検出する度毎に前記弁機構を開いて前記小便器に洗浄水を供給する洗浄水第1供給手段と、前記実使用者数が前記想定使用者数よりも少ないときに、前記弁機構を所定の時間間隔で開いて前記小便器に洗浄水を供給する洗浄水第2供給手段とを有することを特徴とする小便器洗浄システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記使用者数比較手段によって比較した前記想定使用者数と前記実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下であるときに、前記想定使用者数を設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更し、変更した想定使用者数を記憶する想定使用者数変更記憶手段を有する請求項1記載の小便器洗浄システム。
【請求項3】
前記想定使用者数変更記憶手段において前記コントローラは、前記想定使用者数と前記実使用者数との較差が設定較差以上または設定較差以下である回数が設定回数を超えたときに、前記想定使用者数を直近に計数した設定較差以上または設定較差以下の実使用者数に変更し、変更した想定使用者数を記憶する請求項2記載の小便器洗浄システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記洗浄水第2供給手段における前記弁機構を開く時間間隔を月単位、週単位、日単位、曜日単位、時間単位のいずれかによって変更する時間間隔変更手段を有する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の小便器洗浄システム。
【請求項5】
前記洗浄水第2供給手段において前記コントローラは、前記センサが使用者を検出したときに、前記弁機構を開いて通常の洗浄水量よりも少ない量の洗浄水を前記小便器に供給する請求項1ないし請求項4いずれかに記載の小便器洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−291460(P2008−291460A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136310(P2007−136310)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】