説明

小便器洗浄装置

【課題】施工やメンテナンスの作業も容易に行うことができる小便器洗浄装置の提供。
【解決手段】人体から排出される尿を受けるボール部を備える小便器と、前記小便器に洗浄水を供給するバルブ400と、前記小便器に隠蔽されて取り付けられ、所定周波数の電波を送信し、その反射波に基いて被検知体の有無を検出する電波式センサ200と、前記電波式センサ200からの送信を制御すると共に、その出力に応じて前記バルブを動作させる制御部300と、前記電波式センサ200からの電波送信領域内に取り付けられ、前記制御部からの指令に基く情報を外部に報知する報知部134と、を備えた小便器洗浄装置において、前記制御部300は前記電波式センサ200からの送信波の状態を変更して送信すると共に、前記報知部134は報知部受信手段121が受信する前記電波式センサ200の送信波の状態に応じて報知状態を切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部への報知手段を備えた小便器洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小便器洗浄装置の使用者を検知する検知手段として、光電センサ等の光の投受光を行うセンサを使用者が確認できる場所(陶器前部表面等)に設置する方法が使用されていた。センサを使用者が確認できる場所に設置することで、小便器が異常状態である場合や、特定の動作を行っている場合等に、使用者又は設備管理者等にセンサの投光部を用いて報知していた。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
しかしながら、特許文献1のように、小便器表面に設置されたセンサであれば外部への報知をセンサによって行うことができるが、マイクロ波センサ等の電波式センサを小便器内部に隠蔽した状態で設置される場合においては、センサを使用者が確認することができないため、別途外部への報知手段を設置する必要がある。
【0004】
そこで、給水部に洗浄水を供給する給水管を設置するために小便器に設けられた孔を介して給水部に発光手段を設ける小便器洗浄装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。) この小便器洗浄装置では、給水管を設置するための孔を介して発光手段を設置するため、発光手段を設置するための孔を別途設ける必要はなく、悪戯や物体の衝突等による発光手段の破壊を防止することが可能である。しかし、給水部に発光手段を設けるため、給水部の外部から発光手段を制御するための配線が必要となり、施工やメンテナンスの作業が困難となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−20710号公報
【特許文献2】特開2005−336995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、電波式センサを小便器内部に隠蔽した状態で設置された場合に、使用者又は設備管理者に報知するための報知手段の施工やメンテナンスの作業を容易に行うことができる小便器洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、人体から排出される尿を受けるボール部を備える小便器と、前記小便器に洗浄水を供給するバルブと、前記小便器に隠蔽されて取り付けられ、所定周波数の電波を送信し、前記ボール部内及び小便器前方の被検知体からの反射波に基いて被検知体の有無を検出する電波式センサと、前記電波式センサからの送信を制御すると共に、前記電波式センサからの出力に応じて前記バルブを動作させる制御部と、前記電波式センサからの電波送信領域内に取り付けられ、前記制御部からの指令に基く情報を外部に報知する報知部と、を備えた小便器洗浄装置において、前記制御部は前記電波式センサからの送信波の状態を変更して送信すると共に、前記報知部には前記電波式センサからの送信波を受信する報知部受信手段が備えられており、前記報知部は前記報知部受信手段が受信する前記電波式センサの送信波の状態に応じて報知状態を切替えることを特徴とする小便器洗浄装置である。
この小便器洗浄装置によれば、報知手段を電波式センサからの電波送信領域内に取り付け、電波式センサの送信波の状態に応じて報知部の報知状態を切替えることができるため、電波式センサから報知部へ報知状態の制御情報を無線で伝達することができ、報知部の施工やメンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、前記報知部は前記バルブからの洗浄水を前記ボール部に向けて放出するための給水部に内蔵されており、前記給水部は前記電波式センサよりも下方位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の小便器洗浄装置である。
この小便器洗浄装置によれば、給水部に報知部が内蔵されるため、悪戯や物体の衝突等による報知部の破壊を防止することができ、なおかつ給水部は前記電波式センサよりも下方位置に取り付けられていることで、電波式センサは人体および尿流に対する検知性能を維持したまま報知部へ報知状態の制御情報を無線で伝達することができる。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、前記電波式センサは一定周期で間欠的に送信波を送信するものであり、前記制御部は、前記電波式センサの送信波を送信している時間、又は、送信を停止している時間の少なくとも何れかの長さを変更することにより、前記報知部の報知状態を切替えることを特徴とする請求項1または2記載の小便器洗浄装置である。
この小便器洗浄装置によれば、前記電波式センサの送信波を送信している時間、又は、送信を停止している時間の少なくとも何れかの長さを変更することにより、電波式センサの検知性能を維持したまま、容易かつ確実に報知部の報知状態を切替えることができる。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、前記制御部は、前記電波式センサが送信を開始してから送信を停止するまでの時間と、送信を開始してから次に送信を開始するまでの時間との比であるデューティ比を変化させることにより、前記報知部の報知状態を切替えることを特徴とする請求項3に記載の小便器洗浄装置である。
この小便器洗浄装置によれば、デューティ比を変化させることにより報知部の報知状態を切替えることができるため、報知部の回路構成を単純で省スペースなものにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の態様によれば、電波式センサを小便器内部に隠蔽した状態で設置された場合に、報知手段を電波式センサからの電波送信領域内に取り付け、電波式センサの送信波の状態に応じて報知部の報知状態を切替えることができるため、電波式センサから報知部へ報知状態の制御情報を無線で伝達することができ、報知部の施工やメンテナンス等の作業を容易に行うことができる小便器洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態にかかる小便器洗浄装置を表す側面模式図である。
【図2】小便器に対する使用者の一般的な使用方法を表す側面模式図である。
【図3】ドップラーセンサの電波放射範囲と給水部の位置関係を示す側面模式図。
【図4】本実施形態にかかるドップラーセンサ200の電波送信パターン例を示す図である。
【図5】本実施形態にかかる小便器洗浄装置の構成の具体例を例示するブロック図である。
【図6】本実施形態にかかる各ブロックにおける信号波形を例示する図である。
【図7】本実施形態にかかるドップラーセンサ200の電波送信パターン例を示す図である。
【図8】本実施形態にかかる小便器洗浄装置の構成の具体例を例示するブロック図である。
【図9】本実施形態にかかる各ブロックにおける信号波形を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる小便器洗浄装置を表す側面模式図である。
【0014】
図1に表した小便器洗浄装置は、男性用の小便器100に付設され、人体および尿流を検出する電波式センサとしてのマイクロ波ドップラーセンサ(以下、単に「ドップラーセンサ」という)200と、小便器洗浄を制御する制御部300と、を備える。
【0015】
小便器100は、ボール部110を有する。ボール部110の上部には、洗浄水をボール部110へ吐水する給水部120が設けられ、ボール部110の下部には、洗浄水を一時的に貯留するトラップ部135が設けられている。トラップ部135に貯留された水(封水)は、排水路側からボール部110側に悪臭や害虫類が進入することを防止している。そして、トラップ部135に貯留された水は、給水部120から吐水された洗浄水の水量に応じて、排水口140から排水路へ適宜排出される。
【0016】
電波式センサとしてのドップラーセンサ200は、小便器100の裏面(後方)側、すなわちボール部110とは反対側に設置されている。ドップラーセンサ200は、マイクロ波あるいはミリ波などの高周波の電波を放射(送信)し、放射した電波の被検知体からの反射波を受信して、被検知体の有無を検知し、その検知信号を出力する電波式センサである。このドップラーセンサ200は、小便器100の前方に立った使用者(人体)510や、使用者510からの排尿などを検出する。なお、ドップラーセンサ200については、後に詳述する。
【0017】
制御部300は、ドップラーセンサ200から出力された検知信号(ドップラー信号)に基づいて、給水路の途上に設けられた給水バルブ400を駆動させる。給水部120と給水バルブ400とは、給水路によって連結されている。給水バルブ400が開放されている場合には、水は給水路の内部を通り、給水部120から吐水される。一方、給水バルブ400が閉止されている場合には、水が給水部120から吐水されることはない。なお、本願明細書において「水」という場合には、「湯」も含むものとする。
【0018】
図2は、本実施形態の小便器を使用している様子を側面から示した図である。また、図3は、ドップラーセンサの電波放射範囲201と給水部120の位置関係を説明するための側面模式図である。
【0019】
ドップラーセンサ200は、図2に表したように、小便器100の裏面側に設置され、電波放射範囲201が使用者510および尿流520の方向を向くように、ボール面111に対して傾斜して設置されている。また、図3に表したように、ドップラーセンサ200は給水部120の上方の位置でボール面111に対して傾斜して設置されており、給水部120内の報知部134に備えられた報知部受信手段121がドップラーセンサ200の電波放射範囲201の中に含まれ、報知部受信手段121はドップラーセンサ200が送信する電波を受信することができる。
【0020】
給水部120は洗浄水が流れる流路150と、流路150を流れる洗浄水を陶器表面に沿って流すための偏水部152と、報知部134を設置する回路搭載部151とで構成されている。回路搭載部151は流路150近傍に設けられているが、洗浄水が回路搭載部151へ流水しないように流路150とは異なる場所に構成されている。また、回路搭載部151に陶器表面を流れる洗浄水が飛散して浸入しないようにするため、回路搭載部151には防水加工が施してある。防水加工には、パッキンやOリング等でシール構造を形成したものがある。
【0021】
報知部134は発光素子133を有しており、ドップラーセンサ200の検知状態の表示や小便器洗浄装置に異常が生じた場合の警報表示を行う際などに、発光素子133を点灯させて外部に報知する。
また、発光素子133を給水部120表面に剥き出しにして設置した場合には、洗浄水の飛散や、尿流の飛散により影響を及ぼすため、給水部120を介して光を外部へ透過させる構造となっている。
【0022】
ドップラーセンサ200は、制御部300からの制御信号により送信波の状態を変更することができ、報知部134は報知部受信手段121が受信する送信波の状態に応じて、発光素子133を駆動するこができる。
【0023】
本実施例では、送信波の状態を変更する方法として、制御部300によりドップラーセンサ200を間欠駆動し、その間欠駆動の周期を変更している。
【0024】
図4は、本実施形態にかかるドップラーセンサ200の電波送信パターン例を示した図である。ドップラーセンサ200は制御部300の制御により間欠に電波を送信しており、その間欠駆動の周気を変化させることができる。図4(a)の場合は、2msec間の送信を25msec周期(40Hz)で繰り返し、図4(b)の場合は、2msec間の送信を12.5msec周期(80Hz)で繰り返す。この送信周期の切替により、発光素子134の点灯を制御する。本実施例では、図4(a)は通常時(発光素子133を点灯しない時)の送信パターン、図4(b)は発光素子133を点灯する時の送信パターンとして使用する。
【0025】
給水部120の内部に備えられた報知部134は報知部受信手段121を有しており、報知部受信手段121はドップラーセンサ200が送信する電波を受信することができる。通常時の送信パターンと発光素子133点灯時の送信パターンでは、間欠送信の周期の違いにより、報知部受信手段121が受信する信号に差が生じる。この差を識別することにより、発光素子133の駆動制御を行う。
【0026】
図5は、本実施形態にかかる小便器洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【0027】
本実施形態のドップラーセンサ200は、送信手段210と、受信手段220と、差分検出手段230と、を有する。送信手段210からは、高周波、マイクロ波あるいはミリ波などの10kHz〜100GHzの周波数帯の電波が放射される。人体510や尿流520からの反射波は、受信手段220に入力される。
【0028】
このような送受信形態を電波を用いて行うことにより、光電センサ(赤外線センサ)等のように非常に狭い指向性を持ったセンサでは検知困難な被検知体に関しても検知可能となる。そのため、小便器洗浄装置の近傍にて電波を用いることにより、形状や色、材質に関係なく検知を行うことが可能となり、被検知体の検知精度を向上させることが可能となる。
【0029】
送信波の一部と受信波は、差分検出手段230にそれぞれ入力されて合成され、ドップラー効果が反映された出力信号が出力される。つまり、差分検出手段230は、送信波の一部と受信波との周波数の差分をとり、ドップラー信号を出力する。差分検出手段230から出力されたドップラー信号は、制御部300に出力される。
【0030】
差分検出手段230から出力されたドップラー信号は、周波数の低いベースラインに周波数の高い信号が重畳した波形を有する。高周波数成分には、ドップラー効果に関する情報が含まれる。すなわち、人体510や尿流520などの被検知体が移動すると、ドップラー効果によって反射波の波長がシフトする。ドップラー周波数ΔF(Hz)は、下記の式(1)により表すことができる。

ΔF=Fs−Fb=2×Fs×v/c ・・・式(1)

但し、Fs:送信周波数(Hz)
Fb:反射周波数(Hz)
v:物体の移動速度(m/s)
c:光速(=300×106m/s)
【0031】
ドップラーセンサ200に対して被検知体が相対的に移動すると、式(1)で表されるように、その速度vに比例した周波数ΔFを含む出力信号を得ることができる。出力信号は周波数スペクトラムを有し、スペクトラムのピークに対応するピーク周波数と移動体の速度vとの間には相関関係がある。従って、ドップラー周波数ΔFを測定することにより速度vを求めることができる。
【0032】
一方、制御部300は、受信出力手段310と、人体検出手段320と、尿流検出手段330と、センサ間欠駆動回路340と、駆動周期調整手段351を有する。差分検出手段230から出力されたドップラー信号は、受信出力手段310により信号を受信された後、人体検出手段320、尿流検出手段330へ出力される。人体検出手段320、尿流検出手段330は、そのドップラー信号から人体接近に対応する周波数成分、尿流に対応する周波数成分をそれぞれ抽出し、人体510および尿流520の有無を判定し、その判定結果に基づいて給水バルブ400の開閉制御を行う。
【0033】
センサ間欠駆動回路340はドップラーセンサ200に一定の周期で間欠に電力を供給することができ、その間欠駆動周期は駆動周期調整手段351により25msec周期もしくは12.5msec周期のどちらかに設定される。センサ間欠駆動回路340によりドップラーセンサ200を間欠駆動させることで、ドップラーセンサ200の送信手段210が送信する電波も、一定周期で間欠に送信される。
【0034】
また、給水部120は、報知部134を有しており、報知部134は、報知部受信手段121と、検波回路123と、増幅回路125と、周波数判別手段128と、電源部129と、発光素子駆動回路131と、発光素子133を有する。
【0035】
報知部受信手段121は、ドップラーセンサ200の送信手段210から送信される電波を受信することができる。報知部受信手段121が受信した信号は検波回路123によりパルス信号に変換される。検波回路123で生成されたパルス信号は、増幅回路125により一定の倍率で増幅され、周波数判別手段128へ入力される。周波数判別手段128は入力されたパルス信号が80Hzである場合に発光素子駆動回路131へ駆動信号を送信し、入力されるパルス信号が80Hz以外の周波数である場合には発光素子駆動回路131への駆動信号を送信しない。発光素子駆動回路131は、駆動信号が入力されると、電源部129の電力を発光部133へ伝送し、発光素子133を点灯させる。駆動信号が入力されない場合は、発光素子駆動回路131は発光素子133を点灯させない。
【0036】
図6は、報知部134内の各ブロックにおける信号波形を例示した図であり、図6(a)はドップラーセンサ200が25msec周期で間欠駆動する場合を示す図、図6(b)はドップラーセンサ200が12.5msec周期で間欠駆動する場合を示す図である。
【0037】
駆動周期調整手段351は、通常時(発光素子133を点灯させないとき)は、25msec周期でセンサ駆動回路129を間欠駆動させる。(25msecの間に2msec間センサが駆動する。) したがって、ドップラーセンサ200も25msec周期で電波を間欠送信することになり、報知部134に備えられた報知部受信手段121も25msec周期で電波を受信する。このとき、報知部受信手段121の出力信号は、ドップラーセンサ200の電波送信に合わせて交流信号が発生しているだけとなる。この間欠に受信する交流信号は、検波回路123を通過することでパルス信号へと変換される。検波回路123で生成されたパルス信号は、増幅回路125により一定の倍率で増幅され、周波数判別手段128へ入力される。この場合は周波数判別手段128に入力されたパルス信号が40Hzであるため、発光素子駆動回路131は駆動しない。
【0038】
発光素子133を点灯させるときは、駆動周期調整手段351が12.5msec周期でセンサ駆動回路129を間欠駆動させる。(12.5msecの間に2msec間センサが駆動する。) このとき、ドップラーセンサ200も12.5msec周期で電波を間欠送信することになり、報知部134に備えられた報知部受信手段121も12.5msec周期で電波を受信する。受信した信号は、検波回路123によりパルス信号へと変形され、さらに増幅回路125により一定の倍率で増幅され、周波数判別手段128へ入力される。周波数判別手段128は入力されたパルス信号が80Hzであることを確認し、発光素子駆動回路131を駆動させ、発光素子133が点灯する。
【0039】
つまり、駆動周期調整手段351がセンサ駆動回路129を間欠で駆動する周期を25msec周期(40Hz)と12.5msec周期(80Hz)のどちらを選択するかにより、発光素子133を点灯させるか否かを制御することができる。
【0040】
本具体例のように、ドップラーセンサ200を間欠で駆動する周期により発光素子133を点灯させるか否かを制御すると、ドップラーセンサ200の検知対象である人体510および尿流520に対する検知性能を維持した状態で、給水部120へ備えられた報知部134へ無線で制御信号を伝達することができる。発光素子133を制御する配線は不要であるため、施工やメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【0041】
また、本具体例では、センサ駆動時間や駆動周期等の数値例を設定しているが、これに限定するものではなく変更してもよい。
【0042】
また、本具体例では、給水部120から外部へとつながる配線を少なくすることを目的としているため、電源部129は電池を想定している。しかし、これに限定するものではなく変更してもよい。
【0043】
また、本具体例では、発光素子133を報知手段として使用しているが、これに限定するものではなく、別の報知手段を使用してもよい。
【0044】
また、本具体例では、発光素子133を点灯させるか否かをドップラーセンサ200が電波を間欠送信する周期により制御しているが、間欠送信するデューティ比により制御
することもできる。
【0045】
図7は、本実施形態にかかるドップラーセンサ200の電波送信パターン例を示した図である。ドップラーセンサ200は制御部300の制御により間欠に電波を送信しており、送信を開始してから送信を停止するまでの時間と、送信を開始してから次に送信を開始するまでの時間との比であるデューティ比を変化させることができる。
図7(a)の場合は、2msec間の送信と8msec間の送信停止を交互に繰り返し、図7(b)の場合は、8msec間の送信と2msec間の送信停止を交互に繰り返す。つまり、図7(a)はデューティ比20%、図4(b)はデューティ比80%となる。
このデューティ比を変化させ、発光素子133の点灯を制御する。本実施例では、図7(a)は通常時(発光素子133を点灯しない時)の送信パターン、図7(b)は発光素子133を点灯する時の送信パターンとして使用する。
【0046】
図8は、本実施形態にかかる小便器洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【0047】
本具体例では、制御部300はセンサ間欠駆動回路340の駆動デューティ比を調整することができるデューティ比調整手段350を有しており、報知部134には入力されるパルス信号を平滑し直流信号へと変換する平滑回路127を有している。つまり、図5に表した制御部300が、駆動周期調整手段351のかわりにデューティ比調整手段350を有し、なおかつ報知部134が周波数判別手段128のかわりに平滑回路127を有することに相当する。その他の構成については、図5に表した小便器洗浄装置の構成と同様である。
【0048】
給水部受信手段121は、ドップラーセンサ200の送信手段210から送信される電波を受信することができる。給水部受信手段121が受信した信号は検波回路123によりパルス信号に変換される。検波回路123で生成されたパルス信号は、増幅回路125により一定の倍率で増幅され、平滑回路127により直流電圧に変換される。平滑回路127の出力である直流電圧の電圧値は、ドップラーセンサ200から間欠で送信される電波のデューティ比により決定し、送信する電波のデューティ比が大きいほど平滑回路127で生成される電圧値は大きくなる。
【0049】
平滑回路127で生成された直流電圧は、発光素子駆動回路131へ入力される。発光素子駆動回路131は平滑回路127から入力される信号の電圧値が所定の閾値よりも大きい場合に、電源部129の電力を発光素子133へ伝送し、発光素子133を点灯させる。平滑回路127からの入力信号が閾値よりも小さい場合には、発光素子駆動回路131は動作せず、発光素子133は点灯しない。
【0050】
センサ駆動回路340がデューティ比20%でドップラーセンサ200を駆動する場合の平滑回路127の出力電圧値をV1、センサ駆動回路340がデューティ比80%でドップラーセンサ200を駆動する場合の平滑回路127の出力電圧値をV2、発光素子駆動回路131が駆動するか否かを判断する入力電圧に対する閾値をV3とする。(ただし、 V1 < V3 < V2 とする。) センサ駆動回路340がデューティ比20%でドップラーセンサ200を駆動する場合は平滑回路127の出力電圧値V1が発光素子駆動回路131の閾値V3よりも小さいため発光素子133は点灯せず、センサ駆動回路340がデューティ比80%でドップラーセンサ200を駆動する場合は平滑回路127の出力電圧値V2が発光素子駆動回路131の閾値V3よりも大きいため発光素子133は点灯する。
【0051】
図9は、報知部134内の各ブロックにおける信号波形を例示した図であり、図9(a)はドップラーセンサ200がデューティ比20%で間欠駆動する場合を示す図、図9(b)はドップラーセンサ200がデューティ比80%で間欠駆動する場合を示す図である。
【0052】
図9(a)のようにドップラーセンサ200がデューティ比20%で間欠駆動する場合、まず報知部受信手段121がドップラーセンサ200から間欠送信される電波を受信する。このとき、報知部受信手段121の出力信号は、ドップラーセンサ200の電波送信に合わせて交流信号が発生しているだけとなる。この間欠で受信される交流信号は、検波回路123を通過することでパルス信号へと変換され、さらに増幅回路125を通過することでパルス信号の波高値がある一定倍率で増幅される。そして、増幅されたパルス信号が平滑回路127により直流電圧へと平滑され、その電圧値はV1となる。
【0053】
また、図6(b)のようにドップラーセンサ200がデューティ比80%で間欠駆動する場合は、図6(a)と同様に、報知部受信手段121がドップラーセンサ200から間欠送信される電波を受信し、検波回路123、増幅回路125により、パルス信号へと変換される。ただし、このパルス信号のパルス幅は、ドップラーセンサ200が送信する電波送信時間によるため、デューティ比20%の場合の4倍の長さのパルス幅となる。波高値はデューティ比20%の場合と等しい。この信号は平滑回路127により直流電圧へと平滑されるが、パルス幅がデューティ比20%の場合よりも長いため、その電圧値はV1よりも大きな値であるV2となる。
【0054】
発光素子駆動回路131の閾値V3は、V1よりも大きく、V2よりも小さな値であるため、ドップラーセンサ200がデューティ比20%で間欠駆動しているときには発光素子駆動回路131は駆動せず、ドップラーセンサ200がデューティ比80%で間欠駆動しているときには発光素子駆動回路131は駆動し発光素子133を点灯させる。つまり、センサ駆動回路340がドップラーセンサ200を間欠で駆動するデューティ比を20%と80%のどちらを選択するかにより、発光素子133を点灯させるか否かを制御することができる。
【0055】
本具体例のように、ドップラーセンサ200を間欠で駆動するデューティ比により発光素子133を点灯させるか否かを制御すると、報知部134へ無線で制御情報を伝達することができる。発光素子133を制御する配線は不要であるため、施工やメンテナンスの作業を容易に行うことができる。また、回路構成も簡単で省スペースに実現することができる。
【0056】
また、本具体例では、報知部134は報知部受信手段121と検波回路123を有しているが、高周波電力を受信し直流電力に変換する電力変換装置であるレクテナ回路を使用してもよい。なお、レクテナとは、RectifyingAntennaの略語である。
【0057】
また、本具体例では、センサ駆動回路340のデューティ比や間欠周期等の数値例を設定しているが、これに限定するものではなく変更してもよい。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、小便器100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやドップラーセンサ200の設置位置や設置角度を含む設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0059】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0060】
100 小便器、 110 ボール部、 120 給水部、 121 報知部受信手段、
123 検波回路、 125 増幅回路、 127平滑回路、 128周波数判定手段、
129 電源部、 131発光素子駆動回路、 133 発光素子、
134 報知部、 135 トラップ部、
140 排水口、 150 流路、 151 回路搭載部、 152 偏水部、
200 ドップラーセンサ(電波式センサ)、 201 電波放射範囲、
210 送信手段、 220 受信手段、 230 差分検出手段、 300 制御部、
310 受信出力手段、 320 人体検出手段、 330 尿流検出手段、
340 センサ間欠駆動回路、 350 デューティ比調整手段、
351 駆動周期調整手段、400 給水バルブ、
510 使用者(人体)、 520 尿流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体から排出される尿を受けるボール部を備える小便器と、前記小便器に洗浄水を供給するバルブと、前記小便器に隠蔽されて取り付けられ、所定周波数の電波を送信し、前記ボール部内及び小便器前方の被検知体からの反射波に基いて被検知体の有無を検出する電波式センサと、前記電波式センサからの送信を制御すると共に、前記電波式センサからの出力に応じて前記バルブを動作させる制御部と、前記電波式センサからの電波送信領域内に取り付けられ、前記制御部からの指令に基く情報を外部に報知する報知部と、を備えた小便器洗浄装置において、前記制御部は前記電波式センサからの送信波の状態を変更して送信すると共に、前記報知部には前記電波式センサからの送信波を受信する報知部受信手段が備えられており、前記報知部は前記報知部受信手段が受信する前記電波式センサの送信波の状態に応じて報知状態を切替えることを特徴とする小便器洗浄装置。
【請求項2】
前記報知部は前記バルブからの洗浄水を前記ボール部に向けて放出するための給水部に内蔵されており、前記給水部は前記電波式センサよりも下方位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の小便器洗浄装置。
【請求項3】
前記電波式センサは一定周期で間欠的に送信波を送信するものであり、前記制御部は、前記電波式センサの送信波を送信している時間、又は、送信を停止している時間の少なくとも何れかの長さを変更することにより、前記報知部の報知状態を切替えることを特徴とする請求項1または2記載の小便器洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記電波式センサが送信を開始してから送信を停止するまでの時間と、送信を開始してから次に送信を開始するまでの時間との比であるデューティ比を変化させることにより、前記報知部の報知状態を切替えることを特徴とする請求項3に記載の小便器洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−12460(P2011−12460A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157630(P2009−157630)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】