説明

小便器用薬液供給装置

【課題】本発明の目的は、薬剤供給装置から流出する薬液と溢出した薬液とを別々に小便器の壁面に流下させる小便器用薬剤供給装置を提供することである。
【解決手段】本発明は、薬剤が収容されて小便器の壁面に取付けられる容器を有し、容器背面を小便器の壁面側に配置し、前記容器の背面側に、洗浄水が容器内に供給される流入口62と、前記洗浄水に前記薬剤を分散・溶解させた薬液を流出させる薬液流出口92を設けて、前記薬液を前記小便器の壁面に流下させる小便器用薬液供給装置において、前記容器内に貯留される所定の貯留量を越えたとき前記薬液を溢出する排水口56を前記容器背面に設け、前記排水口56から溢出される前記薬液を前記容器背面の両側面側に傾斜流下させる傾斜排出路78が設けられ、前記傾斜排出路78を傾斜流下する前記薬液を前記傾斜排出路78の終端及び/又は途中から前記壁面に流下させる小便器用薬液供給装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器に取付ける小便器用薬液供給装置(以下、単に「薬液供給装置」とも称する)に関し、更に詳細には、薬剤が収容されて小便器の壁面に取付けられる容器を有し、容器背面を小便器の壁面側に配置し、前記容器の背面側に、洗浄水が容器内に供給される流入口と、前記洗浄水に前記薬剤を分散及び/又は溶解させた薬液を流出させる薬液流出口を設けて、前記薬液を前記小便器の壁面に流下させる小便器用薬液供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤や芳香剤を充填した容器を小便器の壁面に取付け、小便器の上方から供給される洗浄水に洗浄剤や芳香剤を溶かし、前記壁面を流下させる男子水洗便器用洗浄芳香器が実公平3−48290号公報(特許文献1)や実公平4−42372号公報(特許文献2)に記載されている。しかしながら、特許文献1、2に記載される男子水洗便器用洗浄芳香器では、供給される洗浄水の一部をスポンジに接触させて吸収し、洗浄水を取り込むものであった。即ち、洗浄水を効率的に流入させることができず、更に、取付けられた男子水洗便器用洗浄芳香器は、障害物となり、上方から供給される洗浄水の勢いが強い場合、小便器の開放面の方向に洗浄水を弾き、使用者や小便器周辺を水で濡らす場合があった。
【0003】
特許第3801930号公報(特許文献3)には、吸盤で小便器の壁面に水洗トイレ用供給装置が取付けられ、洗浄水の流入口を有し、水洗時に洗浄水に薬剤を溶解させて流下させる水洗トイレ用薬液供給装置が記載されている。特許第4476027号公報(特許文献4)には、取付板が両面テープで小便器の壁面に貼り付けられ、小便器用の薬液供給装置のフックを取付板に取付け、水洗時に前記薬液供給装置の流入口に洗浄水が供給され、内部の薬剤を溶解させて流下させる小便器用薬剤供給装置が記載されている。
【0004】
特開2010−70965号公報(特許文献5)及び特開2010−70966号公報(特許文献6)には、吸盤で小便器の壁面に小便器用薬液供給装置が取付けられ、洗浄水の流入口を有し、水洗時に洗浄水に薬剤を溶解させて流下させる小便器用薬液供給装置が記載されている。特許文献3〜6に記載される水洗トイレ用薬液供給装置や小便器用薬液供給装置では、前記流入口から流入した洗浄水が所定量を越えると、装置の上部から洗浄水を溢流させる排出口(溢水口等と称される)が設けられている。
【0005】
図20は、特許文献5、6に記載される従来の小便器用薬液供給装置101の構成概略図である。容器本体102には、吊り手の中央に設けられた吸盤122により小便器の壁面に取付けられ、前記容器本体102の上部には、取水支持部104を有する取水口123が開設されている。前記取水口から洗浄水を取り込み、薬剤が溶解した薬液を生成して排水口124から排水する。また、3個の前記排水口124の中央に排水支持部107を形成し、両側の前記排水口124に案内部171を形成することが記載されている。更に、洗浄水を取り込みすぎた場合にオーバーフローさせる溢水口126が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平3−48290号公報
【特許文献2】実公平4−42372号公報
【特許文献3】特許第3801930号公報
【特許文献4】特許第4476027号公報
【特許文献5】特開2010−70965号公報
【特許文献6】特開2010−70966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図20に示した特許文献5、6に記載される従来の小便器用薬液供給装置101では、洗浄水を取り込みすぎた場合にオーバーフローさせる溢水口126が壁面から離れており、小便器の壁面を好適に流下させることが困難である。更に、容器本体102に流入してオーバーフローした洗浄水は、薬剤が溶解した薬液であり、この薬液を小便器の壁面に流下させないことは、薬剤を非効率に用いていることになる。また、溢水口126から排出される薬液と排水口124から排水する薬液とは、薬剤の溶解量や流量が大きく異なり、図20に示した構造では、前記溢水口126から排出される薬液が排水支持部107の上に流下し、一部が混合していた。これらが混合した場合、所望の流量で所望の溶解量を有する薬液を小便器の壁面に流下させることが困難であった。
同様に、特許文献3、4においても、オーバーフローした洗浄水は、上部長口13(特許文献3の図2に記載される)や溢れ口15(特許文献4の図2に記載される)から排出されており、特許文献5、6に記載される従来の小便器用薬液供給装置101と同様の課題を有していた。
【0008】
従って、本発明の目的は、上述の課題を解決するものであり、洗浄水を流入口から取り込み、薬剤を分散及び/又は溶解させ、小便器用薬液供給装置の下部から流出する薬液とオーバーフローした薬液とを別々に小便器の壁面に流下させ、薬液をより効率的に使用することができる小便器用薬液供給装置を提供することを第1の目的とする。即ち、オーバーフロー薬液は小便器内の洗浄水が流れる箇所の全面洗浄を目的とし、小便器用薬液供給装置の下部から流出する薬液(薬液流出口から流出する薬液)は小便受部に流入し、尿石発生を防止することを目的とする。また、水洗時に洗浄水が小便器の開放側に跳ねることが無く、洗浄水を流入口から取り込み、薬剤を分散及び/又は溶解させて薬液を生成する小便器用薬液供給装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、本発明の第1の形態は、薬剤が収容されて小便器の壁面に取付けられる容器を有し、容器背面を小便器の壁面側に配置し、前記容器の背面側に、洗浄水が容器内に供給される流入口と、前記洗浄水に前記薬剤を分散及び/又は溶解させた薬液を流出させる薬液流出口を設けて、前記薬液を前記小便器の壁面に流下させる小便器用薬液供給装置において、前記容器内に貯留される所定の貯留量を越えたとき前記薬液を溢出する排水口を前記容器背面に設け、前記排水口から溢出される前記薬液を前記容器背面の両側面側に傾斜流下させる傾斜排出路が設けられ、前記傾斜排出路を傾斜流下する前記薬液を前記傾斜排出路の終端及び/又は途中から前記壁面に流下させる小便器用薬液供給装置である。
【0010】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記傾斜排出路の路面は、前記排出口の位置から前記両側面側に直線状及び/又は湾曲状に傾斜して設けられる小便器用薬液供給装置である。
【0011】
本発明の第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記傾斜排出路が、前記小便器の壁面側に前記傾斜排出路の路面に沿って排出壁が設けられる小便器用薬液供給装置である。
【0012】
本発明の第4の形態は、第1、第2又は第3の形態において、前記容器の内部には仕切板が設けられ、前記仕切板を介して複数の薬剤収容部が設けられる小便器用薬液供給装置である。
【0013】
本発明の第5の形態は、第4の形態において、2つの前記薬剤収容部の左右外側に2つの内壁を設け、前記内壁と前記容器の側面外壁との間に側部室が形成され、前記側部室の壁面排出口を形成して前記傾斜排出路と連通させ、前記側部室に貯留した洗浄水を前記傾斜排出路に流出させる小便器用薬液供給装置である。
【0014】
本発明の第6の形態は、第5の形態において、前記壁面排出口と対向する前記傾斜排出路の路面に側部排出口を開口し、前記側部室から前記壁面排出口を介して流出する洗浄水を前記側部排出口を通して流下させる小便器用薬液供給装置である。
【0015】
本発明の第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記容器の覆うカバーが前記小便器の開放側に設けられ、前記容器を前記小便器に設置したまま前記カバーが開閉自在に設けられる小便器用薬液供給装置である。
【0016】
本発明の第8の形態は、第7の形態において、前記容器の側面に弾性片が設けられ、前記弾性片のカバー側に傾斜面を有する係合突起が形成され、前記カバーの内面に前記係合突起に係合するカバー突部が形成され、前記カバーの閉鎖状態で前記カバー突部が前記係合突起に係合し、前記カバーの側面における前記弾性片上に嵌合孔が設けられ、前記嵌合孔に嵌合部材を押入して前記カバーの外側から前記弾性片を内方に押したとき、前記カバー突部と前記係合突起の係合が外れ、前記カバーの自重により前記カバーが開放状態となり前記容器の内部が露出する小便器用薬液供給装置である。
【0017】
本発明の第9の形態は、第1〜第8のいずれかの形態において、前記薬液供給装置を前記小便器の取付部に取着する線材から形成される線状取付具を有し、前記線状取付具は、前記薬液供給装置を抱持する係合枠線部と、前記係合枠線部の上部係合線から連続して上方に突出する首線部と、前記首線部の上端に形成されたループ線部から構成され、前記ループ線部を前記小便器の前記取付部に取着する小便器用薬液供給装置である。
【0018】
本発明の第10の形態は、第9の形態において、前記上部係合線が係合する前記容器の取付具配設部が前記容器背面に傾斜して設けられ、前記取付具配設部の上面に流下した前記洗浄水が前記流入口及び/又は前記傾斜排出路に流入するように構成される小便器用薬液供給装置である。
【0019】
本発明の第11の形態は、第9又は第10の形態において、前記取付部に洗浄水供給口が設けられ、前記洗浄水供給口からの前記洗浄水を流入させる位置に前記流入口が2つ以上設けられる小便器用薬液供給装置である。
【0020】
本発明の第12の形態は、第1〜第11のいずれかの形態において、前記薬液流出口の周囲に前記薬液を前記小便器の壁面に導く導出板と導出壁が設けられ、前記導出板と前記導出壁の左右に接触板が前記小便器の壁面の方向に形成される小便器用薬液供給装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の形態によれば、前記容器内に貯留される所定の貯留量を越えたとき前記薬液を溢出する排水口を前記容器背面に設け、前記排水口から溢出される前記薬液を前記容器背面の両側面側に傾斜流下させる傾斜排出路が設けられ、前記傾斜排出路を傾斜流下する前記薬液を前記傾斜排出路の終端及び/又は途中から前記壁面に流下させるから、前記薬液流出口から流出する薬液とオーバーフローした薬液とを別々に小便器の壁面に流下させ、薬液をより効率的に使用することができる。従来、前記排水口から溢出される前記薬液は、前記排水口が前記壁面から離れているため、十分に利用する又は前記薬液流出口から流出する薬液に流下し、前記薬液の濃度や流量を制御することが困難であった。本発明の第1の形態によれば、前記排水口から溢出される前記薬液を前記容器背面の両側面側に傾斜流下させる傾斜排出路が設けられるから、前記薬液流出口から流出する薬液に流下することがない。更に、前記傾斜排出路を傾斜流下する前記薬液を前記傾斜排出路の終端及び/又は途中から前記壁面に流下させるから、前記薬液流出口から流出する前記薬液とオーバーフローした前記薬液とを別々に前記小便器の壁面に流下させ、前記薬液をより効率的に使用することができる。
【0022】
本発明の第2の形態によれば、前記傾斜排出路の路面は、前記排出口の位置から前記両側面側に直線状及び/又は湾曲状に傾斜して設けられるから、前記傾斜排出路を流下する薬液をより確実に流下させることができ、更に、流下する前記薬液の流速を調整することができる。例えば、前記傾斜排出路の上部を直線状に急速に傾斜させて前記両側面側に薬液を流下させ、前記排出口から流出する薬液を前記両側面側に送り、湾曲状に傾斜して徐々に流速を減少させ、前記両側面側の前記終端から緩慢な流速で壁面に流下させることもできる。
【0023】
本発明の第3の形態によれば、前記傾斜排出路は、前記小便器の壁面側に前記傾斜排出路の路面に沿って排出壁が設けられるから、前記傾斜排出路の終端及び/又は途中まで前記排出口から流出する前記薬液を溢出させることなく流下させることができる。更に、前記壁面の高さにより、流下可能な流量が決定され、前記排出口からの流出量や流速等に応じて前記壁面の高さを自在に設計することができる。
【0024】
本発明の第4の形態によれば、前記容器の内部には仕切板が設けられ、前記仕切板を介して複数の薬剤収容部が設けられるから、一方の薬剤収容部の薬剤が残り少なくなったとき、他方の薬剤収容部に新たな薬剤を収容させることができる。従って、前記薬剤の交換を定期的に行うことができ、常時、所定量以上の薬剤が前記薬剤収容部に収容される。
【0025】
本発明の第5の形態によれば、前記薬剤収容部の左右外側に2つの内壁を設け、前記内壁と前記容器の側面外壁との間に側部室が形成され、前記側部室の壁面排出口を形成して前記傾斜排出路と連通させ、前記側部室に貯留した洗浄水を前記傾斜排出路に流出させるから、前記薬剤収容部には、好適な量の洗浄水のみを貯留させることができ、所望の濃度の薬液を前記薬剤流出口から流出させることができる。前記側部室は、前記内壁により前記薬液収容部から完全に遮蔽されており、前記側部室に流入した洗浄水が前記薬液収容部に流出することがなく、前記側部室の壁面排出口から前記傾斜排出路に流出させることができる。よって、前記薬剤流出口から流出させる薬液は、所望の濃度や流量を保持することができる。
【0026】
本発明の第6の形態によれば、前記壁面排出口と対向する前記傾斜排出路の路面に側部排出口を開口し、前記側部室から前記壁面排出口を介して流出する洗浄水を前記側部排出口を通して流下させるから、前記側部室の洗浄水を円滑に排出することができる。前記側部室に貯留された洗浄水は、薬剤の成分を含んでおらず、前記薬剤流出口から流出させる薬液に混合することなく排出させることが好ましく、前記壁面排出口と対向するから、前記側部排出口から円滑に流下させることができる。
【0027】
本発明の第7の形態によれば、前記容器を覆うカバーが前記小便器の開放側に設けられ、前記容器を前記小便器に設置したまま前記カバーが開閉自在に設けられるから、水洗時に洗浄水が小便器の開放側に跳ねることが無く、且つ、前記カバーを開放し、前記薬剤を補充又は交換することができる。前記カバーは、前記容器を覆うものであり、前記容器の機能を阻害することがなく、更に、水洗時に洗浄水が前記容器に当たり、小便器の開放側に跳ねることを防止することができる。
【0028】
本発明の第8の形態によれば、前記容器の側面に弾性片が設けられ、前記弾性片のカバー側に傾斜面を有する係合突起が形成され、前記カバーの内面に前記係合突起に係合するカバー突部が形成され、前記カバーの閉鎖状態で前記カバー突部が前記係合突起に係合し、前記カバーの側面における前記弾性片上に嵌合孔が設けられ、前記嵌合孔に嵌合部材を押入して前記カバーの外側から前記弾性片を内方に押したとき、前記カバー突部と前記係合突起の係合が外れ、前記カバーの自重により前記カバーが開放状態となり前記容器の内部が露出するから、簡単に前記カバーを開放することができる。更に、前記カバーの閉鎖時には、前記傾斜面を前記カバー突起が押接し、前記弾性片を内方へ撓ませ、そのまま前記カバーを閉鎖時の位置まで押すと、前記カバー突起が前記傾斜面を押接しながら移動し、閉鎖状態では、前記カバー突部が前記係合突起に係合する。よって、前記カバーの開閉を簡単に行うことができる。
【0029】
本発明の第9の形態によれば、前記薬液供給装置を前記小便器の取付部に取着する線材から形成される線状取付具を有し、前記線状取付具は、前記薬液供給装置を抱持する係合枠線部と、前記係合枠線部の上部係合線から連続して上方に突出する首線部と、前記首線部の上端に形成されたループ線部から構成され、前記ループ線部を前記小便器の前記取付部に取着するから、小便器を損傷させることなく薬液供給装置を安定に取付け、洗浄水の供給時に、洗浄水に薬剤を分散・溶解させ、長期間に亘って使用することができる。即ち、前記ループ線部を小便器の前記取付部に取着させるから、尖鋭な線状取付具の端部を小便器の壁面に接所させる必要がないため、小便器を損傷させることなく薬液供給装置を取付けることができる。また、前記係合枠線部により小便器用薬液供給装置を抱持するから、前記薬液供給装置が同じ位置に配設されるよう、安定して小便器用薬液供給装置が取付けられ、毎回、水洗時の洗浄水供給時に薬剤を分散・溶解させることができる。前記ループ線部や前記係合枠線部は、線材から形成され、吸盤や両面テープに比べ、形状や素材が殆ど劣化することが無く、小便器用薬液供給装置を長期間に亘って取付けることができる。前記線材は、ステンレス鋼、炭素鋼等の不錆材料からなることが望ましく、長期間に亘って形状や可撓性を保持することができる。前記ループ線部を小便器に設けられた孔に圧入したり、小便器に設けられた突起等に吊持させたりすることができ、前記ループ線部のループ径を自在に設計し、小便器に取着させることができる。
前記ループ線部は、洗浄水が供給する突出輪部に係合する輪状の線材や、複数の洗浄水供給口に無理嵌め状に圧入する複数のループ線部から形成することができる。
【0030】
本発明の第10の形態によれば、前記上部係合線が係合する前記容器の取付具配設部が前記容器背面に傾斜して設けられ、前記取付具配設部の上面に流下した前記洗浄水が前記流入口及び/又は前記傾斜排出路に流入するよう構成されるから、小便器の上方から供給される洗浄水をより効率的に利用することができる。
又、内部の薬剤に勢いの激しい洗浄水が直接接触することを防ぐような効果がある。前記流入口に流入した洗浄水は、前記薬液として壁面を流下し、前記傾斜排出路に流入した洗浄水は、前記両側面側に流下し、前記傾斜排出路の終端及び/又は途中から排出され、小便器の壁面を流下することができる。
【0031】
本発明の第11の形態によれば、前記取付部に洗浄水供給口が設けられ、前記洗浄水供給口からの前記洗浄水を流入させる位置に前記流入口が2つ以上設けられるから、前記洗浄水をより効率的に前記薬剤収容部に流入させることができる。前記取付部に洗浄水供給口が設けられるから、前記薬液供給装置が取付けられる共に、前記洗浄水を前記薬液供給装置に対して供給することができ、前記薬液供給装置の取付位置と前記洗浄水の供給位置が同一であるから、前記洗浄水が流入し易い位置に2つ以上の流入口を容易に設けることができる。
【0032】
本発明の第12の形態によれば、前記薬液流出口の周囲に前記薬液を前記小便器の壁面に導く導出板と導出壁が設けられ、前記導出板と前記導出壁の左右に接触板が前記小便器の壁面の方向に形成され、前記接触板の先端が前記壁面に近接するよう設けられるから、前記接触板上に流下する洗浄水は、より確実に前記小便器の壁面を流下することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明に係る薬液供給装置が取付けられた小便器の概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る薬液供給装置の取付部が設けられた小便器と前記取付部の内部に設けられた洗浄水供給部材の拡大概略図である。
【図3】図3は、本発明に係る薬液供給装置と洗浄水供給部材である。
【図4】図4は、本発明に係る薬液供給装置の背面及び側面概略図である。
【図5】図5は、本発明に係る薬液供給装置本体の側面概略図である。
【図6】図6は、本発明に係る薬液供給装置の側面概略図である。
【図7】図7は、本発明に係る薬液供給装置のカバー開閉時を説明する説明図である。
【図8】図8は、本発明に係る薬液供給装置本体の構成概略図である。
【図9】図9は、本発明に係る薬液供給装置本体の開閉部材を開放した状態の構成概略図である。
【図10】図10は、本発明に係る薬液供給装置本体から内部裏面壁を外した際の構成概略図である。
【図11】図11は、本発明に係る洗浄水供給部材の構成概略図である。
【図12】図12は、本発明に係る洗浄水供給部材の部分断面図である。
【図13】図13は、本発明に係る線状取付具の構成概略図である。
【図14】図14は、本発明に係る薬液供給装置が輪状取付具によって装着された小便器の概略図である。
【図15】図15は、本発明に係る小便器の円盤状突起の拡大概略図である。
【図16】図16は、本発明に係る薬液供給装置本体に輪状取付具を配設した構成概略図とこれにカバーを装着した側面概略図である。
【図17】図17は、図16の薬液供給装置本体に輪状取付具を配設したとき装着するカバーの斜視概略図である。
【図18】図18は、本発明に係る輪状取付具の輪部を小便器の環状溝に取付けた概略図である。
【図19】図19は、本発明に係る輪状取付具の構成概略図である。
【図20】図20は、従来の小便器用薬剤供給装置の構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を示して本発明に係る小便器用薬液供給装置(以下、単に「薬液供給装置」とも称する)に関する実施形態を詳細に説明する。尚、同一部材や同一機能の部材には、同一符号を付しており、以下において、一度説明した部材については、付加的な特別の機能等がない限り、説明を省略する。
図1は、本発明に係る薬液供給装置2が取付けられた小便器4の概略図である。図1において、薬液供給装置2が小便器4の取付部6に取付けられており、使用者が小便器4から離れたことをセンサ4aで感知すると、洗浄水が小便器4の取付部6から供給される。この洗浄水には、前記薬液供給装置2において薬剤が溶解・分散して壁面8を流下する。薬剤を含む洗浄水により小便器4の壁面8が洗浄され、小便器4の底にある小便受部10に、一時的に溜まることにより薬剤を含有する洗浄水の膜、たまり、層等が形成され、前記小便受部10が洗浄される。前記薬液供給装置2は、線状取付具(図1には記載されていない)によって小便器4の取付部6に取付けられている。
【0035】
図2は、本発明に係る薬液供給装置2の取付部6が設けられた小便器4と前記取付部6の内部に設けられた洗浄水供給部材12の拡大概略図である。図2に示した小便器は4では、前記薬液供給装置2が取り外されており、小便器4の壁面8の上方には、前記薬液供給装置2の取付部6が設けられ、前記取付部6が下方に開口している。前記取付部6の内部には、一点破線の四角内に示した洗浄水供給部材12が設けられている。図中の前記洗浄水供給部材12は、洗浄水供給管14、終端壁18、ストッパ20から構成され、洗浄水を供給流下させる取付供給口16が左右に2箇所設けられている。後述するように、洗浄水供給管14には、ストッパ20を介して挿入管が連設されており、前記挿入管に供給されて流通した洗浄水が洗浄水供給管14に供給され、前記取付供給口16及び間隙22から流下する。前記終端壁18が小便器に接触し、洗浄水供給管14を介して供給される洗浄水は、最終的に終端壁18に衝突して間隙22や取付供給口16から流下し、一部が薬液供給装置2に供給される。この洗浄水は、一部が取付けられる薬液供給装置2に流入し、薬剤が溶解及び/又は分散して、更に壁面8を流下することにより、小便器4の内壁を洗浄する。
【0036】
図3は、本発明に係る薬液供給装置2と洗浄水供給部材12である。薬液供給装置2には、カバー24が取付けられ、(3A)に示すように、前記カバー24の取付具口26に線状取付具1の挿入部が配設されるよう構成されている。前記カバー24の内部には、薬液供給装置本体が内蔵されており、この薬液供給装置本体は、薬剤を収容する容器から形成され、詳細は後述する。図3の(3A)に示すように、前記取付具口26は、線状取付具1を洗浄水供給部材12の取付供給口16に圧入できるよう形成されれば良く、この実施形態では、取付具口壁面28が設けられている。前記洗浄水供給部材12は、洗浄水供給管14、ストッパ20、挿挿入管32及び挿入管上部34からなり、前記洗浄水供給管14、前記挿入管32及び前記挿入管上部34は連通し、挿入管上部34に供給された洗浄水が取付供給口16まで流下する。また、図3の(3A)に示した実施形態の線状取付具1は、前記取付具口26から突出しているが、前記洗浄水供給部材12に取付けた際に、前記取付具口壁面28に前記ストッパ20に接触する程度に配設されることが好ましく、洗浄水を好適に薬液供給装置内に供給することができる。また、薬液供給装置の横ブレ防止や小便器との一体感が得られる。前記洗浄水供給部材12の挿入管上部34には、螺合部32aが設けられ、図2において、一点破線内に拡大概略図を示したように、前記挿入管34が小便器の取付部内に螺合し、前記取付部内において、洗浄水供給管14とストッパ20が露出するよう構成されている。
【0037】
図3の(3B)に示すように、薬液供給装置2が取付けられた際、流下してきた洗浄水の一部が、前記取付供給口16や前記終端壁18との間隙から薬液供給装置2に流入し、好適な量の薬剤を供給することができる。また、(3B)では、挿入部が洗浄水供給部材12の取付供給管に圧入され、カバー24が装着されると、前記洗浄水供給管14が取付具口壁面28に殆ど覆われ、小便器の使用者の方へ供給された洗浄水が跳ね返らないよう形成されている。
また、図3に示すように、カバー24には、嵌合孔30が設けられ、図示していないが、嵌合部材を嵌合することにより、カバー24を開放することができ、後述する。
【0038】
図4は、本発明に係る薬液供給装置2の背面及び側面概略図であり、(4A)は背面概略図、(4B)は側面概略図を示している。(4A)及び(4B)に示すように、前記線状取付具の挿入部3が挿入される取付供給口から供給される洗浄水は、背面外壁70に設けられた左右2つの洗浄水流入口62から薬液供給装置の内部に流入して貯留される。洗浄水の一部は、排出壁80を有する傾斜排水路78に流入して流下し、両側面側にある側部排水口88及び/又は側部排出壁90が設けられた前記傾斜排水路78の終端から排出され、小便器の壁面を流下する。尚、前記側部排出口88から排出された洗浄水や薬液は、接触板97の上に流下する。前記接触板97は、小便器の壁面に沿った形状に形成されるから、小便器の壁面をより効率的に流下し、洗浄効果を向上させることができる。
一部の洗浄水は、前記挿入部3に連設される係合枠線部が係合する取付具配設部52の上に流下し、前記洗浄水流入口62や前記傾斜排出路78に流入する。また、前記挿入部3が突出する取付具突出溝56から薬液供給装置の内部に流入して貯留される。しかしながら、前記洗浄水流入口62に流入する洗浄水は、殆どが前記取付供給口から供給され、直接流入する洗浄水であり、薬液供給装置の内部に流入する洗浄水の殆どが前記洗浄水流入口62から流入する。
薬液供給装置の内部に貯留される洗浄水の貯水量は決まっており、排出口61の位置で決定される。その所定量を越えた場合、前記排出口61から溢出し、前記傾斜排出路に流出する。薬液供給装置の内部から溢出する洗浄水には、薬剤がある程度、分散及び/又は溶解しており、薬液としての作用を有している。よって、前記排出口61から前記傾斜排出路に溢出することにより、溢出した薬液は傾斜流下し、前述のように、前記側部排水口88及び/又は前記傾斜排水路78の終端から排出され、小便器の壁面を流下する。
前記薬液供給装置の内部に貯留される洗浄水は、比較的長時間、薬剤の周囲に貯留されており、より薬剤の溶解量及び/又は分散量の多い洗浄水であり、3つの薬液流出口92から小便器の壁面へ流出する。中央の薬液流出口92には、中央導出壁82a及び中央導出板84aが設けられており、より確実に所望の濃度の薬液が小便器の壁面を流下するよう構成されている。2つの中央導出板84aの間は少し離間しており、一部の薬液がそのまま小便器の底に流下するよう形成されている。前述のように、前記排出口61から溢出する薬液は、前記傾斜排出路78に流出するから、中央導出板84aの上に流下することはなく、所定濃度の薬液を中央の薬液流出口92から流出させ、流下させることができる。更に、両側面側の2つの薬液供給口にも導出壁82と導出板84が設けられており、より確実に薬液が小便器の壁面を流下するよう構成されている。
また、薬剤が収容される容器とは独立した側部室が薬液供給装置の両側面側に設けられており、前記側部室に流入した洗浄水は、薬剤の成分を含まず、壁面排出口から排出され、対向する側部排出口から殆どが流下する。前記側部室の詳細については、後述する。更に、(4B)に示すように、薬液供給装置の本体側面には、カバー24の内壁にある嵌合凸部を嵌合するカバー嵌合孔76が設けられ、前記カバーは開閉自在に取付けられている。
【0039】
図5は、本発明に係る薬液供給装置本体7の側面概略図である。この側面は、図4の(4B)に示した側面の反対側を示している。図5において、薬液供給装置本体7の側面外壁17には、弾性片59が設けられ、この弾性片59には傾斜面59bを有する係合突起59aが形成されている。後述のように、係合突起59aには、前記カバーの内面に設けられたカバー突起が係合する。更に、カバーを所定位置に支持するカバー支持部70a、挿入部3に連設される係合枠線部41が係合する係合片58が設けられている。また、カバーを支持し又は前記係合枠線部41を外す際に前記係合枠線部41が下方へ落下することを防止する支持板61が設けられている。更に、カバー嵌合孔の周囲には、カバーの内壁にある前記嵌合凸部をガイドする部材が設けられている。
【0040】
図6は、本発明に係る薬液供給装置の側面概略図である。図6は、図5に示した薬液供給装置本体7にカバー27が取付けられている。前述のように、前記薬液供給装置本体の側面に弾性片59が設けられ、前記弾性片59のカバー側に傾斜面59bを有する係合突起59aが形成され、カバー24の閉鎖状態で前記カバー突部24bが前記係合突起59aに係合する。更に、前記カバー24の側面に上部嵌合孔30aが設けられ、この嵌合孔30aに嵌合部材(図示せず)を押入して外側から前記弾性片59を内方に押すと、前記カバー突部24bと前記係合突起59aの係合が外れる。このとき、前記カバー24の自重により前記カバーが開放し、前記薬液供給装置本体7の内部が露出する。尚、下部嵌合口30bにも一体形成された一方の嵌合部材が同時に挿入されるが、これは嵌合部材をより垂直に挿入するためのものであり、それ以外の作用はない。
更に、前記カバー24の閉鎖時には、前記傾斜面59bを前記カバー突起24bが押接し、前記弾性片59を内方へ撓ませ、前記カバー24を閉鎖時の位置まで押すと、前記カバー突起24bが前記傾斜面59bを押接しながら移動し、完全な閉鎖状態では、前記カバー突部24bが前記係合突起59aに係合する。
【0041】
図7は、本発明に係る薬液供給装置のカバー開閉時を説明する説明図である。(7A)は、カバー24の閉鎖状態を示し、(7B)は、カバー24の開放状態を示している。前記カバー24の開閉機構については、図6の説明に記載したため、ここでは詳細な説明を省略する。(7B)に示すように、カバー24の内面には、カバー突起24bが設けられ、(7A)の閉鎖状態において係合突起59aにカバー突起24bが係合する。(7B)の開放状態では、薬液供給装置本体7の内部が露出され、容易に薬剤を補充又は交換することができる。薬剤供給装置本体7は、薬剤を収容する容器を有し、この容器内に洗浄水が充填され、薬剤が洗浄水に分散及び/又は溶解する。
【0042】
図8は、本発明に係る薬液供給装置本体7の構成概略図である。(8A)は、薬剤74が配設されていない薬液供給装置本体7であり、(8B)は、薬剤74を配設した薬液供給装置本体7である。(8A)に示すように、薬液供給装置本体7の容器は、底面(図示していない)と両側の内壁71、裏面壁73及び開閉部材64から形成されている。更に、仕切板66が中央に設けられ、前記仕切板66を挟んで左収容部75と右収容部77が設けられ、薬液供給装置本体7の容器が構成されている。裏面壁73には、3つの流出口68と4つの裏面支持部91が設けられている。前記流出口からは、薬液が流出すると共に、洗浄水が流入してきた際には、前記流出口68から洗浄水が流入する。前記裏面支持部91は、裏面壁73の強度を増加させると共に、薬剤が裏面壁73に接触することを防止しており、薬剤が洗浄水に覆われるよう形成されている。
(8B)では、薬剤が右収容部77に配設されている。開閉取手64aが開閉部材64に形成され、この開閉部材64は開閉自在に設けられている。よって、右収容部77に配設された薬剤が消耗し、残り少なくなった際には、前記開閉部材64を開放し、容易に左収容部に薬剤を補充することができる。
また、(8B)に示すように、線状取付具1の係合枠線部は、下部係合線36、接続線40及び左右の上部係合線42から形成されている。下部係合線36が係合片58に係合し、左右の前記上部係合線42が取付具配設部52に係合し、薬剤供給装置本体7を線状取付具1によって、前記取付部に取付けることができる。また、前記取付具配設部52は、蓋部54と一体形成され、更に、前記蓋部52に裏面壁73が取付けられている。
【0043】
図9は、本発明に係る薬液供給装置本体7の開閉部材64を開放した状態の構成概略図である。図9では開閉部材64が開放され、(9A)では薬剤74が配設されておらず、(9B)では、薬剤74が配設されている。(9A)に示すように、内壁71と側面外壁17の間には2つの空間があり、これらを側部室と称している。前記側部室と前記左右収容部75、77からなる容器とは、遮断されており、洗浄水の流通はない。前記側部室に流入した洗浄水を排出する壁面排出口87が設けられている。図9の前記壁面排出口87から流出する洗浄水は、図4に示した前記傾斜排出路78の側部排出口88から排出されるよう前記壁面排出口87が位置している。よって、前記側部室の洗浄水が内壁71を越えて溢出することは殆ど無く、図4に示した前記傾斜排出路78の側部排出口88から排出される。また、(9A)に示すように、前記容器の底面には細長い凸部72が形成されており、薬剤が底面に接触せず、洗浄水に浸るよう設けられている。(9B)では、薬剤が配設されており、各内壁71の内面には薬剤支持板71aが形成され、前記凸部72と同様に、前記内壁71の内面に薬剤が接触せず、洗浄水に浸るよう前記薬剤支持板71aが設けられている。(9B)に示すように、開閉部材64を開放すれば、容易に薬剤を補充又は交換することができる。
【0044】
図10は、本発明に係る薬剤供給装置本体7から内部裏面壁15を外した際の構成概略図である。図9の(9A)に示した薬剤供給装置本体7から(10A)に示した内部裏面壁15を外すと、薬剤供給装置本体7は(10B)に示した構造を有している。(10A)に示した内部裏面壁15は、前述のように、取付具配設部52と蓋部54と一体形成され、前記蓋部52に裏面壁73が取付けられている。前記裏面壁73には、嵌込部95が両側に設けられ、(10B)の内壁に形成された嵌込溝94に前記嵌込部95が嵌め込まれ、前記裏面壁73と共に内部裏面壁15の全体が薬剤供給装置本体7に取付けられる。
(10B)に示すように、薬剤供給装置本体7は最裏面93を有し、この最裏面93は、図4に示した背面外壁70の内面である。よって、最裏面93には、排出口61や3つの薬液流出口92が形成されている。更に、(10A)、(10C)に示すように、裏面壁73には抑制板73aが設けられ、前記洗浄水流入口62から流入する洗浄水の流量及び水勢を抑制することができる。また、(10C)に示すように、内部裏面壁15には裏面係合部96が設けられ、内壁71に係合し、より安定に前記内部裏面壁15が取付けられる。
【0045】
図11は、本発明に係る洗浄水供給部材12の構成概略図である。(11A)は、図3に示した洗浄水供給部材12の側面図であり、同機能を有することから説明を省略する。(11B)は、洗浄水供給部材12を下方から見た下面図であり、取付供給口16が2つ対称に設けられており、前述のように、線状取付具の挿入部が無理嵌め状に圧入される。図面には示していないが、本発明者らはX線画像を観察し、前記挿入部が前記取付供給口16に圧入された状態を観察しており、後述の部分断面図に基づいて概略を説明する。
【0046】
図12は、本発明に係る洗浄水供給部材の部分断面図である。(12A)は、挿入部が圧入されていない洗浄水供給部材の部分断面図であり、(12B)は、挿入部が圧入された洗浄水供給部材の部分断面図であり、前記洗浄水供給管14の供給管断面14a及び供給管内面14bが示されている。挿入押接部46の上部と挿入接続部50は、逆V字状の挿入線部を形成し、挿入押接部46の下部と押接部48がV字状の押接線部を形成している。逆V字にある前記挿入接続部50と前記挿入押接部46の上部との屈曲部が挿入部先端3aとなって、前記取付供給口16に無理嵌め状に圧入される。前記挿入接続部50と前記挿入押接部46は、無理嵌め状に圧入されるとき、バネ状に挿入部先端3aが更に屈曲し、前記取付供給口16に圧入される。前記取付供給口16に前記挿入部が挿入されると、バネ状に挿入部先端3aの屈曲が僅かに開放され、前記押接部48と前記挿入押接部46の下部が供給管内面14bに押接する。従って、挿入部のループ径Lは、前記取付供給口16の口径より大きく設定されている。ここで、前記ループ径Lは、前記押接部48と前記挿入接続部50の屈曲部から前記挿入押接部46への垂線の長さとすれば良く、前記挿入部の最大幅に相当する。
【0047】
図13は、本発明に係る線状取付具の構成概略図である。(13A)に示した実施形態の線状取付具1は、挿入部3、係合枠線部41及び首線部43から構成され、前記ループ線部は、三角状ループからなる左右2個の挿入部3である。各挿入部3が左右の各首線部43により係合枠線部41に連設されている。挿入部先端3aから挿入部3が、図12に示したように、前記取付供給口に圧入される。前記各首線部43には、角度調整線44が屈曲して設けられ、この角度調整線44により前記係合枠線部41に対する挿入部3の角度が調整され、前記係合枠線部41により抱持すると共に、好適な角度で挿入部3が前記取付供給口に圧入される。前記係合枠線部41は、一本の連続線からなる下部係合線36と左右の接続線40によって接続された各上部係合線42から形成され、前記各首線部43は、前記各上部係合線42を介して係合枠線部41に連設されている。
(13B)では、前記接続部40や前記首線部43の始端部が傾斜し、前記挿入押接部46が垂直になるよう記載されている。即ち、前記係合枠線部を略含む平面の水平面に対する角度は、前記係合枠線部により前記薬液供給装置を抱持し、小便器に取付けられた状態であるとき、前記角度調整線44により前記挿入部先端3aが上方を向くように調整されている。
【0048】
図14は、本発明に係る薬液供給装置が輪状取付具によって装着された小便器の概略図である。図14においても、図1と同様に、薬液供給装置2が小便器4に取付けられており、使用者が小便器4から離れたことをセンサ4aで感知すると、洗浄水が小便器4の上部から供給され、薬液供給装置2により洗浄水に薬剤が溶解・分散して壁面8を流下する。従って、薬液を含む洗浄水により小便器4の壁面8が洗浄され、更に小便受部10に洗浄水が一時的に溜まることにより、前記小便受部10が洗浄される。
【0049】
図15は、本発明に係る小便器の円盤状突起9の拡大概略図である。図15に示した小便器は4では、薬液供給装置2が取り外されており、小便器4の壁面8には、取付部として円盤状突起9が設けられている。前記円盤状突起9は、一点破線の四角内に拡大概略図を示しており、前記円盤状突起9には環状溝9aが設けられ、環状溝9aに輪状のループ線部(以下、「輪部」とも称される)が掛合される。
【0050】
図16は、本発明に係る薬液供給装置本体7に輪状取付具5を配設した構成概略図とカバー24を装着した側面概略図である。(16A)の薬液供給装置本体7は、図8、9の薬液供給装置本体7と同一の構造を有し、詳細な説明は省略する。図16の輪状取付具5は、輪部11を突出させて前記薬液供給装置本体7に配設される。各上部係合線42は、取付部配設部52に係合し、下部係合線36は下部係合部が係合突起58に係合する。よって、係合枠線部41が薬液供給装置本体7を抱持して安定に係合し、前記輪部11を図15の環状溝に掛合し、小便器の壁面に薬液供給装置本体7を安定に取付けることができる。
(16B)に示すように、(16A)に示した薬液供給装置本体7にカバー上部24aを有するカバー24を装着すれば、輪状取付具5と薬液供給装置本体7の小便器の開放側を全て覆うことができ、洗浄水が開放側に跳ね、使用者や小便器の周辺を濡らすことを防止することができる。(16B)のカバー24の開閉機構は、図6、7に示した開閉機構と同一であり、説明を省略する。
【0051】
図17には、図16に示した薬液供給装置本体7に輪状取付具5を配設したときに装着するカバー24の斜視概略図を示している。図3等に示したカバーと同様に、嵌合孔30が設けられ、同一の開閉機構によりカバー24を開閉することができる。輪状取付具5を覆うため、前述のように、カバー上部24aが設けられている。
【0052】
図18は、本発明に係る輪状取付具の輪部11を小便器の環状溝9aに取付けた概略図である。(18A)では、洗浄水供給口9bが環状溝9aに形成され、(18B)では、洗浄水供給口9bが円盤状突起9に形成されている。前述のように、輪状取付具に対する取付部は、環状溝9aを有する円盤状突起9であり、輪部11が環状溝9aに掛合され、上部係合線42や接合線40を有する前記係合枠線部に抱持された薬液供給装置を吊持する。角度調整線44が設けられることにより、前記輪部11が壁面8に対して略平行となり、前記輪部11が前記環状溝9aに安定に掛合される。よって、水平面に対し接続線40が傾斜する係合枠線部が薬液供給装置を抱持して安定に係合すれば、前記薬液供給装置が環状溝9aを有する円盤状突起9に安定に吊持される。
(18A)のように、洗浄水が環状溝9aに設けられた洗浄水供給口9bから供給されるか、または、(18B)のように、円盤状突起9に設けられた洗浄水供給口9bから供給されることにより、より効率的に洗浄水を前記薬液供給装置の内部に供給することができる。
【0053】
図19は、本発明に係る輪状取付具5の構成概略図である。(19A)は、輪部11が設けられた輪状取付具5の係合枠線部41を水平に置き、上方から視たものであり、円形の輪部11が楕円状に見えている。前述のように、首線部43の角度調整線44を介して輪部11が連設して形成され、前記係合枠線部41の構造は図13の(13A)と同一である。(19A)に示した輪状取付具5は、係合枠線部41の下部係合線36が一本の連続線からなり、左右の接続線40によって各上部係合線42に連設され、係合枠線部41が形成されている。下部係合線36は分離されていても良く、図16の(16A)に示した係合片58に係合できれば良い。(19B)では、前記接続部40や前記首線部43の始端部が水平面に対して傾斜し、前記輪部11が垂直になるよう調整されている。即ち、(19B)の状態が前記薬液供給装置を抱持し、小便器に取付けられた状態であるとき、前記角度調整線44により前記輪部11が上方を向くように調整されている。
【0054】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、洗浄水を流入口から取り込み、薬剤を分散及び/又は溶解させ、小便器用薬剤供給装置の薬液流出口から流出する薬液とオーバーフローした薬液とを別々に小便器の壁面に流下させ、薬液をより効率的に使用することが可能な小便器用薬剤供給装置を提供することができる。更に、水洗時に洗浄水が小便器の開放側に跳ねることが無く、洗浄水を流入口から取り込み、薬剤を分散及び/又は溶解させて薬液を生成する小便器用薬剤供給装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 線状取付具
2 薬液供給装置
2a 薬用供給部
3 挿入部
3a 挿入部先端
4 小便器
4a センサ
5 輪状取付具
6 取付部
7 薬液供給装置本体
8 壁面
9 円盤状突起
9a 環状溝
9b 洗浄水供給口
10 小便受部
11 輪部
12 洗浄水供給部材
14 洗浄水供給管
14a 供給管断面
14b 供給管内面
15 内部裏面壁
16 取付供給口
17 側面外壁
18 終端壁
18a 終端押接部
20 ストッパ
22 間隙
24 カバー
24a カバー上部
24b カバー突部
26 取付具口
28 取付具口壁面
30 嵌合孔
30a 上部嵌合孔
30b 下部嵌合孔
32 挿入管
32a 螺合部
34 挿入管上部
36 下部係合線
39 下部係合突線
40 接続線
41 係合枠線部
42 上部係合線
43 首線部
43a 係合枠連設線
44 角度調整線
46 挿入押接部
48 押接部
50 挿入接続部
51a 嵌合部材
52 取付具配設部
54 蓋部
56 取付具突出溝
58 係合片
59 弾性片
59a 係合突起
59b 傾斜面
60 支持板
61 主排出口
62 洗浄水流入口
62a 導入板
64 開閉部材
64a 開閉取手
65 内部裏面支持板
66 仕切板
68 流出口
70 背面外壁
70a カバー支持板
71 内壁
71a 薬剤支持板
72 凸部
73 裏面壁
73a 抑制板
74 薬剤
75 左収容部
76 カバー嵌合孔
77 右収容部
78 傾斜排出路
79 排出口
80 排出壁
82 導出壁
82a 中央導出壁
84 導出板
84a 中央導出板
87 壁面排出口
88 側部排出口
90 側部排出壁
91 裏面支持部
92 薬液流出口
93 最裏面
94 嵌込溝
95 嵌込部
96 裏面係合部
97 接触板
101 薬液供給装置
102 容器本体
104 取水支持部
107 排水支持部
122 吸盤
123 取水口
124 排水口
171 案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が収容されて小便器の壁面に取付けられる容器を有し、容器背面を小便器の壁面側に配置し、前記容器の背面側に、洗浄水が容器内に供給される流入口と、前記洗浄水に前記薬剤を分散及び/又は溶解させた薬液を流出させる薬液流出口を設けて、前記薬液を前記小便器の壁面に流下させる小便器用薬液供給装置において、前記容器内に貯留される所定の貯留量を越えたとき前記薬液を溢出する排水口を前記容器背面に設け、前記排水口から溢出される前記薬液を前記容器背面の両側面側に傾斜流下させる傾斜排出路が設けられ、前記傾斜排出路を傾斜流下する前記薬液を前記傾斜排出路の終端及び/又は途中から前記壁面に流下させることを特徴とする小便器用薬液供給装置。
【請求項2】
前記傾斜排出路の路面は、前記排出口の位置から前記両側面側に直線状及び/又は湾曲状に傾斜して設けられる請求項1に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項3】
前記傾斜排出路は、前記小便器の壁面側に前記傾斜排出路の路面に沿って排出壁が設けられる請求項1又は2に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項4】
前記容器の内部には仕切板が設けられ、前記仕切板を介して複数の薬剤収容部が設けられる請求項1、2又は3に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項5】
前記複数の薬剤収容部の左右最外側に内壁を設け、前記内壁と前記容器の側面外壁との間に側部室が形成され、前記側部室の壁面排出口を形成して前記傾斜排出路と連通させ、前記側部室に貯留した洗浄水を前記傾斜排出路に流出させる請求項4に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項6】
前記壁面排出口と対向する前記傾斜排出路の路面に側部排出口を開口し、前記側部室から前記壁面排出口を介して流出する洗浄水を前記側部排出口を通して流下させる請求項5に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項7】
前記容器を覆うカバーが前記小便器の開放側に設けられ、前記容器を前記小便器に設置したまま前記カバーが開閉自在に設けられる請求項1〜6のいずれかに記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項8】
前記容器の側面に弾性片が設けられ、前記弾性片のカバー側に傾斜面を有する係合突起が形成され、前記カバーの内面に前記係合突起に係合するカバー突部が形成され、前記カバーの閉鎖状態で前記カバー突部が前記係合突起に係合し、前記カバーの側面における前記弾性片上に嵌合孔が設けられ、前記嵌合孔に嵌合部材を押入して前記カバーの外側から前記弾性片を内方に押したとき、前記カバー突部と前記係合突起の係合が外れ、前記カバーが開放状態となり得る前記容器の内部が露出する請求項7に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項9】
前記薬液供給装置を前記小便器の取付部に取着する線材から形成される線状取付具を有し、前記線状取付具は、前記薬液供給装置を抱持する係合枠線部と、前記係合枠線部の上部係合線から連続して上方に突出する首線部と、前記首線部の上端に形成されたループ線部から構成され、前記ループ線部を前記小便器の前記取付部に取着する請求項1〜8のいずれかに記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項10】
前記上部係合線が係合する前記容器の取付具配設部が前記容器背面に傾斜して設けられ、前記取付具配設部の上面に流下した前記洗浄水が前記流入口及び/又は前記傾斜排出路に流入するよう構成される請求項9に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項11】
前記取付部に洗浄水供給口が設けられ、前記洗浄水供給口からの前記洗浄水を流入させる位置に前記流入口が2つ以上設けられる請求項9又は10に記載の小便器用薬液供給装置。
【請求項12】
前記薬液流出口の周囲に前記薬液を前記小便器の壁面に導く導出板と導出壁が設けられ、前記導出板と前記導出壁の左右に接触板が前記小便器の壁面の方向に形成される請求項1〜11に記載の小便器用薬液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−108251(P2013−108251A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252635(P2011−252635)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】