説明

小便器装置

【課題】 本発明は、隠蔽センサを備えた小便器やセンサが無い小便器に関して外部への報知が容易に行うことができ、且つ報知手段を設置するための専用の孔を小便器に設けることが不要な小便器装置を提供する。
【解決手段】 小便器に対して洗浄水を供給可能にするバルブと、人体から排出される尿を受けるボール部と、ボール部に洗浄水を供給するための給水部と、を備えた小便器装置において、前記ボール部と前記小便器装置を取り付ける壁面との間を連通する孔を介して発光手段を設け、前記発光手段は、ボール部内の臭気を外部へ排気するための孔を介して設置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部への報知手段を備えた小便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小便器装置の使用者を検知する検知手段として、光電センサ等の光の投受光を行うセンサを使用者が確認できる場所(陶器前部表面)に設置する方法が行われていた。センサを使用者が検知できる場所に設置することで、小便器装置の異常状態や、特定の動作を行っていることを、使用者又は設備管理者等にセンサの投光部を用いて報知することを行っていた。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
また、別途LED等の発光部を小便器に設置して、センサの検知信号に伴って発光部を点灯させるものがあった。(例えば特許文献2参照。)ここでは、センサによって使用者の足の位置を検知して、最適な立ち位置にいることを使用者に報知するものであった。ここで使用される発光部は、陶器表面に発光部を設置するための場所を設けて使用者が直接確認できる場所、または流水を照らして使用者が確認できるように設置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−20710号公報
【特許文献2】特開2001−147657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、小便器表面に設置されたセンサであれば外部への報知をセンサによって行うことができるが、マイクロ波センサのように小便器内部に隠蔽状態で設置した場合や、センサを用いない場合(例えば、使用者が手動操作でバルブの開閉を制御する場合)においては、別途外部への報知手段を設置する必要がある。また、特許文献2のように、小便器表面に対して外部への報知手段を設置する場合には、報知手段が外部へ露出するため、悪戯や物体の衝突等によって破壊する可能性があると共に、意匠を損なうこととなる。
【0006】
そこで、本発明は、隠蔽センサを備えた小便器やセンサが無い小便器に関して外部への報知が容易に行うことができ、且つ報知手段を設置するための専用の孔を小便器に設けることが不要な小便器装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的達成のために、小便器に対して洗浄水を供給可能にするバルブと、人体から排出される尿を受けるボール部と、ボール部に洗浄水を供給するための給水部と、を備えた小便器装置において、前記ボール部と前記小便器装置を取り付ける壁面との間を連通する孔を介して発光手段を設け、前記発光手段は、ボール部内の臭気を外部へ排気するための孔を介して設置したことを特徴とする。
ここで、小便器装置は一般的にボール部と壁面との間を連通する孔が設置されている。
この孔は、給水部に対して洗浄水を供給する給水管を設置するためや、ボール部内の臭気を小便器外部へ排気するために必ず1つは設けられているものである。また、従来の小便器装置の臭気を排気するための孔は、ボール部の天井面又は背面上部に設置されており、上記孔を介して臭気を小便器の外部へ排気を行っている。ここで、「背面上部」とは前記天井面と背面とが接する辺の近傍を指す。
かかる構成により、ボール部と壁面との間を連通する孔が小便器装置には必ず設置されているため、発光手段を設けるための孔を別途設けることなく設置することが可能となる。また、発光手段はボール部の孔を介して設置されているため、悪戯や物体の衝突等による発光手段の破壊を防止することが可能となる。 また、臭気を排気する孔に発光手段を設置することにより、発光部が点灯していない際には、発光手段の存在が外部では確認できないため、小便器装置の意匠を損なうことが無い。また天井面や背面上部に設置された孔を介して設置しているため、悪戯や物体の衝突等による発光手段の破壊を防止することが可能となる。
【0008】
ここで、「ボール部」とは、底面、天井面、背面、側面と、を総括して指す。「底面」とは、排水口近傍の面で、「天井面」とは、小便器装置が設置される床面に略平行の面で、底面に対向する面である。また、「背面」とは、使用者と対峙して尿流が着尿する面である。「側面」は、天井面及び背面と略垂直に設置され、天井面と背面とに接続された面である。また、「孔を介して設置」とは、開口部や内部に直接、もしくは固定部材等の介在物を利用して設置することである。
【0009】
また、請求項2記載のように、前記小便器装置は、電池又は発電機を有し、前記バルブが手動操作により給水可能であることを特徴とする。
一般的な小便器装置としては、洗浄水の制御を行うバルブがセンサ等により使用者を検知して開閉を行うものと、使用者自身が手動操作によってバルブの開閉制御を行うものとがある。どちらの小便器装置においても、外部への報知(例えば、小便器装置の故障や、吐水状態の異常等による報知)を行うことが望ましい。
かかる構成により、手動操作によりバルブの制御を行う小便器装置において、外部への報知を行うための発光手段に電圧を供給することが困難な場合に対しても、乾電池又は小便器装置の洗浄水の水力を用いて発電を行い、小便器装置の駆動電圧として使用するための発電機を有することにより、発光手段への電圧供給を行うことができるため、外部への報知を行うことが可能となる。
【0010】
また、請求項3記載のように、前記小便器装置は、使用者を検知する検知手段と、該検知手段からの出力信号に基づきバルブの開閉を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記出力信号に基づき前記発光手段の点灯状態制御を行うことを特徴とする。
「点灯状態制御」とは、点灯/点滅/消灯の切り替え、点灯時間の制御、点滅間隔の制御を行うものである。
小便器装置に検知手段を設けたものは、従来使用者から検知手段を確認することが可能なため、洗浄水を流すためのバルブの制御を小便器装置が自動で行うと認識してしまう。しかし、マイクロ波センサのような小便器内部に隠蔽したセンサにおいては、使用者が検知手段を確認できないため、洗浄水を流すためのバルブの制御をどこで行えばよいのか困惑する可能性が高い。
かかる構成により、前記検知手段が小便器内部に隠蔽されるセンサ、例えばマイクロ波センサのように陶器越しに使用者を検知できるセンサにおいても、検知手段にて使用者を検知したことを外部へ報知することが可能となるため、上記のような使用者の困惑を無くすことが可能となる。
【0011】
また、請求項4記載のように、前記検知手段は、検知対象物の速度、距離及び大きさに応じた出力信号を出力し、前記制御手段は、前記検知手段の出力信号が小便器装置の通常使用時の出力信号と異なる時、前記発光手段の点灯状態制御を行うことを特徴とする。
ここで、「小便器装置の通常使用時」とは、使用者が小便器装置に対して接近/離遠を行う、小便器装置に対して排尿行為を行うことを指す。
検知手段は、小便器装置を使用する使用者や尿流の動き、使用者の距離、大きさに応じた出力信号を制御手段へ出力する。そのため、制御手段は小便器装置の通常使用状態に対して得られえる出力信号を基にバルブの制御を行うものであり、小便器装置の通常使用状態における出力信号を認識している。
かかる構成により、出力信号が小便器装置の通常使用時と異なる場合、制御手段によって判別することができるため、容易に発光手段の点灯制御を行うことが可能となる。また、検知手段より小便器装置の通常使用時とは異なる出力信号が出力された場合、(例えば小便器装置の清掃のために一時的に給水を停止させるための動作を行った場合等)、制御手段や検知手段が通常の使用状態とは異なる動作を行うため、通常の使用ではないことを外部へ報知する必要があるため、その報知を容易に行うことが可能となる。
【0012】
また、請求項5記載のように、前記制御手段は、前記検知手段の出力信号が、小便器装置の通常使用時と、通常使用時と異なる時で前記発光手段の点灯状態を区別することを特徴とする。
小便器装置の「通常使用と異なる時」とは、小便器装置の清掃、小便器装置の補修等の通常使用者が行わない行為である時を指す。
かかる構成により、小便器の通常使用時と、通常使用時以外の報知を異なる報知方法にすることができるため、小便器装置がどのような状態かを容易に確認することが可能となる。
【0013】
また、請求項6記載のように、前記制御手段は、給水部から供給される洗浄水の量、或いは洗浄水の吐水のタイミング、或いは尿石付着防止装置の少なくとも何れか一つにおいて異常状態を検知した場合に、前記発光手段の点灯状態制御を行うことを特徴とする。
「異常状態」とは、小便器装置の駆動において、小便器装置に予め設定された駆動を行えない状態を指す。例えば洗浄水の吐水制御においては、洗浄水の供給が行えない等がある。
小便器装置における動作の不具合においては、小便器の破損等の外部から目視で容易に確認できる状態と、洗浄水量の変動等の外部から容易には確認できない不具合が発生する可能性がある。上記記載の洗浄水量、洗浄水の吐水タイミング、尿石付着防止装置によって洗浄水に混入される専用液の濃度における不具合は後者であり、容易には確認出来ない事項である。
かかる構成により、不具合が容易に確認できない事項について外部へ報知することにより早急に処置を行うことができる。早急に処置を行うことにより、使用者への不快感を低減し、小便器装置の性能維持を行うことができる。
【0014】
また、請求項7記載のように、前記制御手段は、電源電圧を検知する手段を有し、電源電圧を検知する手段の信号に応じて前記発光手段の点灯状態を制御することを特徴とする。
ここで、検知手段を有する小便器装置においては、検知手段、制御手段、バルブが電気によって駆動するものが一般的である。そのため、小便器装置に供給される電圧の変動は小便器装置の駆動に大きな影響を及ぼす可能性が高い。特に、乾電池や蓄電池等の交換が必要な電源を使用した場合には、時間に伴う電圧の変動は避けられない。
かかる構成により、制御手段によって電源電圧の変動を確認し、検知手段、或いはバルブの駆動電圧に支障を及ぼす電圧になる前に外部へ報知することで、小便器装置の駆動に支障が起きる前に対処することが可能となる。また上記のように、乾電池や蓄電池等の交換が必要な電源に対して交換時期を外部へ報知することができるため、小便器装置が駆動できない状態の前に処置することが可能となる。
【0015】
また、請求項8記載のように、前記検知手段は、周波数が100MHz〜100GHzの電磁波を利用した装置であることを特徴とする。
電波を使用したセンサを検知手段として使用することにより、小便器表面にセンサ部を露出させることなく隠蔽した状態で設置することができ、外部への報知手段は発光手段によって報知可能なため、小便器装置の意匠を保持することができると共に、外部への報知を確実に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外部へ報知する発光手段をボール部と小便器を設置する壁面との間を連通する孔を介して設置することにより、小便器製造時に別途専用の取付孔を作製することなく発光手段を設置可能となる。また隠蔽センサやセンサを持たない小便器装置についても外部への報知を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の小便器装置の概略構成図
【図2】取付部と排気部の概略構成図
【図3】取付部に給水部を設置した概略構成図
【図4】給水部を設置した小便器の正面概略構成図
【図5】排気部に発光手段を搭載した概略構成図
【図6】排気部に発光手段を搭載した小便器装置の正面概略構成図
【図7】手動操作によるバルブ制御を行い、自己発電機能を有する小便器装置の概略構成図
【図8】発電機構による発光手段の制御概略図
【図9】電池による発光手段の制御概略図
【図10】検知手段を設けた小便器装置の概略構成図
【図11】洗浄水に対する異常報知を行う小便器装置の概略構成図
【図12】小便器装置に印加される電圧を検査する手段を設けた小便器装置の概略構成図
【図13】光電センサの投光部を発光部とした小便器装置の概略構成図
【図14】光電センサを給水部に設置した際の小便器の正面図
【図15】電源投入時の初期設定報知パターン図
【図16】掃除時における洗浄禁止報知パターン図
【図17】尿石付着防止装置駆動時の報知パターン図
【図18】尿石付着防止装置の電極間の短絡状態報知パターン図
【図19】尿石付着防止装置の電極間の開放状態報知パターン図
【図20】尿石付着防止装置の電極の寿命報知パターン図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
ここで、本発明の小便器装置に使用される小便器とは、床面へ直接接触するように設置するものや、壁面に取り付けられた取付フックに小便器を引っ掛けて設置するものがある。また、洗浄水を吐水させる方法としては、センサによって使用者を検知して自動で洗浄水を吐水させる方法や、使用者が手動操作でバルブの開閉を行い洗浄水を吐水させる方法、手動スイッチを操作することで一定時間又は一定水量だけ洗浄水が吐水させる方法がある。
本発明では、小便器の設置方法による影響はないことは言うまでも無い。そこで、洗浄水の吐水方法毎に下記の実施例で記載をする。
【実施例1】
【0019】
図1に本発明の小便器装置の概略構成図を示す。
本発明の小便器装置は、小便器1に対して洗浄水を供給可能にするバルブ2と、人体から排出される尿を受ける小便器内の底面、天井面、背面、側面から構成されるボール部13と、ボール部13内に洗浄水を供給するための給水部3と、を備えたものである。ここで、小便器1には給水部3又は、給水部3に洗浄水を供給するための給水管4を設置するためにボール部13と小便器装置を取り付ける壁面14との間を連通する通路又は孔が必ず設置されている。本発明では、上記の通路又は孔を介して外部へ報知する発光手段10を設置するものである。
上記通路又は孔は、給水部3又は給水管4を設置するためのもの以外に、ボール部13内の臭気を小便器装置外に排気するための通路又は孔を設置しているものもある。以後給水部3又は給水管4が設置される通路又は孔を取付部7、臭気を排気するための通路又は孔を排気部とする。
【0020】
上記取付部7は、洗浄水をボール内に効率良く吐水できる位置に設置するのが望ましい。そのため、ボール部13内の背面5上部又は天井面6の背面5近傍に設置するものである。また、排気部12は、臭気が上昇する傾向を持つためボール部13内の上部に設置するのが望ましい。また、洗浄水や尿流の飛散したものが排気部12へ進入するのを防ぐためにも、洗浄水や尿流の影響を受けにくいボール部13内の上部に設置する。そのため、排気部12は、背面上部で且つ側面近傍に設置するか、天井面で且つ側面近傍に設置するのが望ましい。
【0021】
図2に取付部と排気部の概略構成図を示す。
取付部7、排気部12共に、小便器1製造時に直接孔を穿ち作成されるものであるため、小便器装置取付時に別途加工を行うことは無い。また、小便器装置の駆動、又は使用状態を満足させるために設置されるものであるため、小便器装置の意匠を損なうことがないように設置されているものである。
【0022】
取付部7の孔形状としては、丸型、角型等があるが、本発明においてはどの形状においても同様の効果を得ることができる。特に取付部7の形状は、給水部3設置時にボール部13に洗浄水を満遍なく吐水するように設置するための位置決めを考慮したものがあり、給水部3の形状を考慮することで精度良く給水部からの吐水を可能にすることができる。
【0023】
また、臭気の排気方法としては、外部からの吸引力を用いて臭気を排気する方法や、臭気の上昇傾向を用いて自然に排気させる方法がある。そのため、ボール部13内から排出された臭気は、小便器1と小便器装置が取り付けられた壁面14との間の空間を経由して排出されるため、排気部12は必ずボール部13と、小便器1と小便器装置が取り付けられた壁面14との空間の間を連通する形状となる。
【0024】
次に取付部に給水部を設置した概略構成図を図3に示す。
給水部3は給水管4と接続されて洗浄水が流れる流路8と、流路8を流れる洗浄水を陶器表面に沿って流すための偏水部11と、発光手段10を設置する発光手段搭載部9とで構成されている。発光手段搭載部9は流路8近傍に設けられているが、洗浄水が発光手段10へ流入しないように流路8とは異なる場所に構成されている。また発光手段搭載部9に陶器表面を流れる洗浄水が飛散して流入しないようにするため、発光手段搭載部9は防水加工を施している。防水加工は、例えばパッキンやOリング等でシール構造を形成した物などがある。
また、発光手段10を給水部3表面に剥き出しにして設置した場合には、洗浄水の飛散や、尿流の飛散により動作に影響を及ぼすため、給水部3を介して光を外部へ放射する構造となっている。そのため、給水部3は光の透過が可能な材質で作成するのが望ましい。また、発光手段10から外部へ放射される色や光度に関しても給水部3の材質や色で決定することが可能となる。また、外部へ放射される色や光度は、発光手段10自身の持つ色や光度によっても決定することが可能である。
【0025】
上記記載の発光手段10は、給水部3への設置を行うためにより小さな発光体を使用するのが望ましい。例えばLEDや電球で実施することができ、発光手段10自身の色や光度を使用する場合には、LEDによる実施が容易に行うことが可能である。また、給水部3の材質により外部へ放射する色や光度を決定する場合には、電球やLEDによる実施が容易に行うことが可能である。
【0026】
発光手段10は、取付部7に給水部3を設置する前に給水部へ取り付けて、給水部3と共に取付部7を介して小便器1に設置することができる。そのため、給水部3を設置した後に発光手段10を取り付ける場合や、別途発光手段10を取り付ける孔を陶器に作製して取り付ける場合に比べて施工性が良く、確実に小便器に搭載することが可能となる。
【0027】
図4に給水部を設置した小便器の正面概略構成図を示す。発光手段10は、給水部3を介して外部へ光を放射するため、発光部消灯時には使用者には発光手段10の存在が確認できない。そのため、発光手段10に対する悪戯による破壊や外部力による破壊を防止することが可能となる。また、発光手段10からの光の放射方向は、給水部3の発光手段搭載部9の構造により制御することが可能なため、外部への報知の際に、使用者又は設備管理者に確実に報知することが可能となる。図4のように背面5への設置の場合には、使用者方向や陶器背面5に対して光を放射することで外部から容易に確認することが可能となる。また、天井面6への設置の場合には、陶器背面5に向けて光を放射すると壁面又は壁面を流れる洗浄水が光るために、小便器内部を覗き込むことなく発光を確認できるため容易に確認することが可能となる。
【0028】
次に、排気部に発光手段を搭載した概略構成図を図5に示す。本実施例では、排気部12を天井面6に設置した場合について記載している。天井面6に設置された排気部12からボール内部の臭気が排気されるため、発光手段10は排気部12を完全に塞がないように設置する必要がある。そのため、排気部12を塞がないように臭気の通り道を設けた固定冶具15によって発光手段10を排気部12へ搭載する。
ここで、排気部12に搭載された発光手段10は、外部からは容易に確認できないため、発光手段10からの光を外部から確認しやすい場所へ照射する必要がある。本実施例のように、排気部12が天井面6に設置された場合には、排水口があるボール面下部や、背面5、リップ先端方向に向けての照射が可能である。その中で、発光手段10からの光の分散による光度の低下や、外部からの確認の容易さから考えると、背面5への照射が最も効果的である。背面5へ照射することにより、外部からの確認も容易であり、天井面6からの距離も短いため光の分散による光度の低下も少ない。
発光手段10の照射方向に関しては、排気部12に取り付ける固定冶具15の設置方向や構造によって容易に調整することは可能である。
【0029】
図6に排気部に発光手段を搭載した小便器装置の正面概略構成図を示す。図5において、排気部12及び発光手段10は、ボール部13の天井面6に設置したことを記載している。ここでは、天井面6のどの位置に設置するかを記載する。
上記に記載した通り、排気部12には、飛散した洗浄水や尿流が進入する可能性が高く、その排気部12に発光手段10を設けると、飛散した洗浄水や尿流により発光手段10が故障する可能性がある。ボール部13の中心部は、洗浄水が吐水される給水部3が設置されており、且つ尿流が最も多く着尿する場所と考えられる。そのため中心部に排気部12を設置すると、飛散した洗浄水や尿流が高い確率で進入することが考えられる。そこで、排気部12は、洗浄水や尿流の進入を極力低減させるために、ボール部13の側面近傍に設置するのが望ましい。ここで、図示したように排気部は両側面近傍に計2箇所設置したり、片側1箇所設置しても同様の効果を得られることは言うまでもない。
【実施例2】
【0030】
次にバルブが使用者によって手動操作される小便器装置の実施例を示す。
図7に、手動操作によるバルブ制御を行い、発電機を有する小便器装置の概略構成図を示す。
本実施例では、小便器装置に搭載された発光手段10を点灯制御するための電源として、小便器装置自身が発電を行い、発電によって得られた電力によって発光手段10を動作させるものである。上記構造により、電源を必要としないバルブを用いた場合においても、外部への報知手段を備えることが可能となる。
【0031】
ここで、本実施例の小便器装置は、バルブ2と給水部3との間の給水管4に洗浄水の水力により発電を行う発電機構16を備える構造となっている。発電機構16で得られた電力は、充放電可能な蓄電池17に蓄電される。この蓄電池17を電源として発光手段10が駆動するものである。発光手段10は小便器装置の異常に対して外部へ報知するものであり、ここでは、発電機構16へ流入する洗浄水量が変動した場合や、洗浄水が流れなくなった場合に対して報知を行うものである。
洗浄水量の検知については、発電を行う発電機構16を用いて行う。ここで、発電機構による発光手段の制御概略図を図8に示す。
発電機構16は、本実施例では水力による羽根車の回転により発電を行う構造を用いている。羽根車の回転数により洗浄水量が確認できるため、洗浄水量が通常使用する場合よりも多い場合(回転数が多くなる場合)や少ない場合(回転数が少ない場合に)に、発光手段10への電源供給の制御を行う電源制御部18が発光手段10を点灯させるために電源供給を行う。上記構成により、洗浄水量が多く洗浄水が飛散するような状態や、洗浄水量が少なく尿流を洗浄することが出来ない状況を検知して外部へ報知することが可能となる。
【0032】
また、電池による発光手段の制御概略図を図9に示す。図9では、洗浄水量の水量を検知する水量測定手段19を設け、水量測定手段19によって得られた洗浄水量が、通常より多い/少ない場合に発光手段10への通電を行い、外部への報知を行うものである。発光手段10は電池20を電源として駆動する。通常使用時には、電源制御部18によって発光手段10への通電は遮断されている状態であり、水量測定手段19からの信号に応じて発光手段10への通電を許可するものである。
上記構成により、使用者の手動操作によるバルブ制御においても、小便器装置の状態を外部へ報知することが可能である。
【実施例3】
【0033】
次に検知手段からの出力信号によってバルブが制御される小便器装置について記載する。
図10に検知手段を設けた小便器装置の概略構成図を示す。本実施例では、給水部3に発光部を設置した構成について説明するが、排気部12に発光手段10を設置した場合においても同様の効果を得ることができるのは言うまでも無い。
また、本実施例では、検知手段21を小便器1内部に隠蔽可能なマイクロ波センサを使用した場合について記載する。マイクロ波センサとは、外部へ放射した送信波と、送信波が検知対象物に反射した受信波を基に低周波信号を生成し、この低周波信号によって検知対象物の有無判定、対象物までの距離、対象物の動きを検知することが可能なセンサである。マイクロ波センサは小便器1内部に隠蔽しても使用者の検知を行うことが可能であると共に、外部からセンサ自身を確認することが出来ないため、センサを報知手段としては使用できない。そこで、隠蔽したセンサを検知手段21として使用した場合に小便器装置の状態を確実に外部へ報知できる構成について記載するものである。
【0034】
ここで、検知手段21によって人体を検知すると、検知手段21から出力信号が制御手段22に送信される。制御手段22は、出力信号を基にして洗浄水を供給するためのバルブ2の開閉を制御するものである。制御手段22は、検知手段21からの人体を検知したという出力信号を受信すると、発光手段10に対して点灯するように信号を送信するため、使用者が小便器装置を使用している間、発光手段10は点灯を行うので外部へ小便器装置を使用していることを報知することが可能となる。本実施例の小便器装置は、検知手段21が隠蔽されているため、洗浄が自動で行われるか否かの判定が使用者には判断できず、使用者が不安を感じる可能性がある。本実施例のように、小便器装置使用中に発光手段10により外部への報知を行うことが可能なため、使用者に対して小便器装置使用中であることを検知していると判断させることが可能となり、使用者の不安を無くすことができる。
【0035】
ここで、検知手段21では、検知手段近傍の移動体の速度、距離、及び大きさ各々に応じた出力信号を出力している。制御手段22において、検知手段21から得られる出力信号が小便器装置の通常使用時とは異なる出力信号であると判断した場合に、発光手段10への点灯制御を行う。ここで、小便器装置の通常使用とは異なる出力信号とは、使用者の接近/離遠による信号や、尿流を検知する信号とは異なるものであり、特に出力信号の振幅値、又は振幅値と周波数が通常使用時とは異なる信号を指す。
【0036】
小便器装置の通常使用時とは異なる信号が得られる動作としては、例えば小便器装置の清掃時に得られる信号がある。小便器装置の清掃時には、掃除者が接近/離遠したり、ボール内部を洗浄する際に、検知手段21によって検知して洗浄水が吐水される可能性がある。掃除者は、清掃を行うために、ボール部13に洗剤を塗布させた状態にするため、洗浄水が吐水されることで清掃が円滑に行うことが出来ない可能性がある。従来使用されていた光電センサにおいては、リードスイッチを用いて掃除中に自動洗浄が停止するような構成を取っていた。しかし、マイクロ波センサのような小便器1内部に隠蔽したセンサにおいては、陶器越しにリードスイッチを起動させる必要があるため、リードスイッチの効力が小さく、洗浄禁止モードへの移行が困難である可能性が高い。そこで、検知手段21近傍で手を一定時間かざす等の動作を行うことにより、通常使用時とは異なる信号を検知手段21から出力させ、制御手段22に掃除を行うことを知らせるとともに、外部へ報知する構成にすることで、掃除者に対して洗浄禁止モードになったことを報知することができ、円滑に清掃を行うことが可能となる。また、発光手段10が消灯することにより、洗浄禁止モードが解除されたことも容易に確認できるため、掃除者が洗浄禁止モードにしたままで、小便器装置が使用できない状態を確認することが可能となる。
【0037】
ここで、小便器装置の使用時に発光手段10が点灯し、且つ清掃時に点灯するような構成となっているため、発光手段10の点灯制御において2つのモードを区別するように制御を行う。
例えば、使用者が小便器装置を使用している場合には常時点灯で、清掃時のように通常使用時とは異なる出力信号を受けた場合には点滅を行うように制御するものである。このような点灯制御を行うことにより、使用者又は作業者が困惑しないようにすることが可能となる。また、外部への報知内容が複数の場合においても、点灯制御によって、点灯時間の変更、点滅パターンの変更を行って、各報知内容について外部で容易に確認できるようにするものである。
【実施例4】
【0038】
次に、洗浄水に対する異常報知を行う小便器装置の概略構成図を図11に示す。
本実施例においては、バルブ2から給水部3に洗浄水を供給する給水管4の途中に、洗浄水の状態を確認する状態確認手段23を設置している。状態確認手段23は、給水部3から供給される洗浄水の量、洗浄水の吐水のタイミング、尿石付着防止装置の状態を確認するものである。
【0039】
まず洗浄水の量、及び洗浄水の吐水のタイミングについて、状態確認手段23は、内部に持つ水量確認手段24によって洗浄水量の確認を行うものである。検知手段21によって使用者を検知して洗浄水を流すタイミングになったにも関わらず、水量確認手段24で洗浄水が通常使用時とは異なる流量である場合に、制御手段22は発光手段10に対して点灯作業を行うものである。上記動作により、目視では確認が困難な洗浄水の異常状態を外部へ報知することが可能であるため、小便器装置の異常に対して早急に対処することが可能となる。
【0040】
尿石付着防止装置としては、洗浄水中に抗菌金属イオンを混入させるための電解槽を洗浄水路中に設置するものである。電解槽では、電気分解により電解水を生成し、生成された電解水を洗浄水中に混入させるものである。電解水は、金属に電流を流して洗浄水中に混入させるため、通電させる金属の量がなくなると電解水の濃度は低減してしまう。そのため、状態確認手段23は、金属の量を監視するために、金属への通電時間をカウントし、カウント時間が予め状態確認手段に設定された時間を超えた際に、発光手段10に点灯制御を行うように指示し、外部への報知を行うものである(図20)。上記動作により、外部からの目視では確認できない金属の低減を報知することができるため、尿石付着を防止する効果を維持でき、小便器装置の設備保護を行うことが可能となる。
【0041】
また、尿石付着防止装置の他の態様として、洗浄水中に高濃度の薬剤を溶解、又は洗浄水にて希釈する薬剤供給装置もある。薬剤の溶解、希釈に関しては、洗浄水中に一定量の薬剤を投入するため、薬剤量の管理を時間によって管理することができる。ここで、状態確認手段23は、時間をカウントし、予め状態確認手段に設定された時間を超えた際に、発光手段10に点灯制御を行うように指示し、外部への報知を行うものである。
【実施例5】
【0042】
図12に小便器装置に印加される電圧を検査する電圧検査手段を設けた小便器装置の概略構成図を示す。
小便器装置には、検知手段21、制御手段22及び発光手段10を駆動させるために電圧が印加されている。ここで、小便器装置に印加される電圧は、交流を直流に変換して印加する方法や、直流電圧を直接印加する方法がある。直流を直接印加する方法としては、乾電池や蓄電池のような交換が必要な電源も含まれる。
【0043】
印加される電圧は、一旦制御手段22に印加され、制御手段22より検知手段21や発光手段10へ分配される。ここで、制御手段22へ印加される電圧を電圧検査手段25によって検査し、任意の一定電圧を下回った場合に発光手段10の点灯制御を行い外部へ報知する。上記記載の一定電圧とは、小便器装置の駆動に支障を及ぼす電圧よりも若干高い電圧を指す。
上記構成により、小便器装置が駆動不能になる前に外部へ報知を行うことが可能となり、未検知、未洗浄を防止することが可能となる。また、乾電池や蓄電池のような交換が必要な電源の交換時期を外部へ報知することが可能となる。
【0044】
ここで、制御手段22に印加される電圧を検査する電圧検査手段25として、制御手段22に設けられた電圧比較機、例えばコンパレータによって電圧比較を行い、基準電圧以下に低下した際に報知する方法がある。このときの基準電圧は、上記に記載した小便器装置の駆動に支障を及ぼさない電圧に設定するものである。
【実施例6】
【0045】
ここでは、光電センサの投光部を、発光部として使用した小便器装置について記載する。
図13に光電センサの投光部を発光部とした小便器装置の概略構成図を示す。本実施例では検知手段21として投受光により検知対象物を判別する光電センサ26を搭載している。光電センサ26は小便器1に対して取付部7を介して給水部に設置されている。また、光電センサへの洗浄水や尿の飛散を防止するために、光電センサ26は給水部3に隠蔽されている状態である。
光電センサによる検知を行うため、給水部3は光電センサからの光を透過する材質であることが望ましい。
また、図14に光電センサを給水部に設置した際の小便器の正面図を記載している。光電センサ26を給水部3に設置するが、給水部3には洗浄水を通す給水管4が設置されており、この給水部3を避けるように設置する必要がある。そのため光電センサを小型のものを使用することが望ましい。使用する光電センサとして本実施例では、従来自動水栓の吐水口近傍に設置された光電センサを使用している。この光電センサは、吐水口の形に沿った形状、例えば吐水口が円形であれば、吐水口の円周に沿った湾曲形状の光電センサであるため、吐水口に接続される給水管に対しても平行に設置することが可能となり、給水管4を避けるように配置することが可能となる。また吐水口近傍に設置できる程小型のために、給水部3内部に隠蔽することも可能である。
【実施例7】
【0046】
ここでは、使用者が小便器使用中に外部へ報知しない場合について記載する。実施例3においては、検知手段が隠蔽されているため洗浄が自動で行われるか否かの判定を行うことが出来ず不安を感じるのを防止するために、使用者を検知していることを報知するようにしたものであるが、本実施例では、検知手段を隠蔽しつつ使用者が使用していることをあえて報知せずに、通常の使用状態についてのみ報知する場合についてを記載するものである。このように通常使用の際にはあえて発光手段を用いて外部へ報知することを行わないことにより、使用者が発光手段の点灯制御で小便器装置が故障した等の異常状態であると誤判断を防止することが可能となる。
【0047】
ここで上記報知方法について記載する。使用者が小便器装置を通常通り使用する場合においては、発光手段は点灯制御を行うことはない。そのため、使用者は小便器装置使用時には報知を気にすること無く使用できる。
次に通常使用状態以外であることの報知について記載する。通常使用状態以外とは、例えば掃除時や尿石付着防止装置駆動時、電源投入時の初期設定時等を指す。電源投入時の初期設定が開始した場合には、発光手段は点灯を行い、初期設定完了後に発光手段は消灯を行う(図15)。これにより、使用者が小便器を使用する際に発光手段は消灯しているため、使用者が発光手段の点灯制御により小便器が異常状態であると誤判断することを防止することが可能となる。
【0048】
掃除者が小便器装置を掃除する際には、上記記載のように検知手段21近傍で手を一定時間かざす等の動作を行うことにより、通常使用時とは異なる信号を検知手段21から出力させ、制御手段22に掃除を行うことを知らせることで、掃除者に対して洗浄禁止モードになったことを報知するものであり、発光手段はある周期での点滅を行うことにより外部へ洗浄禁止モードになったことを報知する(図16)。これにより、使用者はある特定周期において発光手段が点滅している場合には、小便器装置の掃除中であり、洗浄水が吐水されないことは故障ではないと容易に判断することが可能となる。
【0049】
ここで、点灯及び消灯に関しては、1種類ずつの表現しかできないため点滅による報知は複数の通常使用状態以外の状態を表示する必要がある。そのため、本実施例では、点滅周期や、点滅時の点灯時間によって各種状態を外部へ報知するものであり、外部へ各状態を正確に報知できるものである。
【0050】
また、尿石付着防止装置駆動時においても掃除時の洗浄禁止モードと同様に点滅により外部へ報知することにで、使用者がいない場合に洗浄を行っても小便器装置が異常状態でないことを外部へ報知することが可能となる。
ここで、掃除時の点滅と、尿石付着防止の点滅とは明確にする必要がある。そのため点滅周期を一方の周期よりも大幅にずらすことにより、使用者に対して小便器装置の状態を誤判断させること無く報知することが可能となる。例えば図17に示すような周期で点滅を行うことにより、掃除時の洗浄禁止モードと、尿石付着防止装置の駆動を明確に判断することが可能となる。
【0051】
通常使用状態とは異なる状態時の小便器装置の動作により、点灯と点滅を分類することで更に外部からの確認が容易になる。例えば洗浄水を流さない電源投入時の初期設定と掃除時の洗浄禁止モードを点灯と点滅に分類することで容易に外部から判断することが可能となる。また点滅報知の場合においても洗浄水を吐水する尿石付着防止装置の駆動時と、洗浄水を吐水しない掃除時の洗浄禁止モードとに分別することにより、点滅の周期や点滅の点灯時間だけでなく、小便器装置の動作でも容易に判断できるような設定としている。これにより、詳細に点滅状態を確認すること無くとも、外部から現在の小便器装置の状態を容易に確認することが出来る。
【0052】
次に、小便器装置の異常に対して外部へ報知する手段を記載する。まず尿石付着防止装置に関しての異常表示について記載する。尿石付着防止装置は、上記記載のように洗浄水中に抗菌金属イオンを混入させるための電解槽を洗浄水路中に設置するものである。電解槽では、電気分解により電解水を生成し、生成された電解水を洗浄水中に混入させるものである。そのため、断水等により尿石付着防止装置内部に洗浄水が流入しないと、電極間は開放状態となるため電流が流れず、制御手段によって断水状態であることが確認できる。その際には開放状態であることを外部へ報知することによって、小便器の異常状態を的確に報知し早急に対策措置を取ることが可能となる(図19)。
【0053】
また、洗浄水中に異物が混入している場合において、異物が導電性の場合、電極間に異物が混入されると電極間は短絡状態になり最大の電流が電極間を流れる。そのため制御手段は電流値の大きさによって電極間に異物が混入していると判断できるため、短絡状態を外部に報知する(図18)ことによって小便器の異常状態を的確に報知し、早急に対策措置を取ることが可能となる。
【0054】
ここで、上記異常状態は瞬間的に発生するものであり(例えば一時的な断水や、異物が瞬間的に電極間接触した等)、瞬間的に発生した開放状態、短絡状態ではエラーが発生したか否かの判定が困難である。そこで、上記異常が継続して特定時間観測出来た際に、異常状態が確認できたと判断して、常時異常状態を報知するものである。また、一時的に異常状態が確認できたものに関しては、例えば小便器使用中のみに発光手段の点灯制御を行うことによって、異常状態の可能性を外部へ報知するものである。
【実施例8】
【0055】
小便器装置において、使用者の頻度により尿石付着防止装置の駆動間隔が変動する機能を有するものがある。尿石付着防止装置の駆動間隔に関しては、機器設置前後に制御部の物理スイッチによって切り替えが可能であり、現在の尿石付着防止装置の駆動間隔を目視で確認することが出来るものである。しかし、設置場所によっては小便器装置の使用頻度が急激に増加/減少する場所もあるため、小便器装置には1日当たりの使用者数が一定数以上であり、且つその使用者数が所定の日数継続して発生した場合に、駆動間隔をソフト的に変動する機能を有するものもある。ソフト的に変動した駆動間隔については、外部から物理スイッチによって確認することは困難であるため、ソフト的に駆動間隔を変動したことを外部へ報知するために、発光手段の点灯制御によって容易に外部へ報知することが可能となる。この報知により、小便器装置の尿石付着防止装置の駆動間隔が変動したとしても、小便器装置の異常状態と区別できるために故障であると誤判断することを防止する
ことが可能となる。
【0056】
尿石付着防止装置の駆動間隔が変動した場合には、尿石付着防止装置が電解水を吐水中に報知される点灯制御に加えて、駆動間隔が変動したことを示す点灯制御を追加して行うことにより、尿石付着防止装置が駆動しつつ、駆動間隔が変動したことを外部より容易に確認することが可能となる。
【0057】
ここで、尿石付着防止装置の駆動間隔の変動は、小便器装置の使用者ではなく、小便器装置をメンテナンスする管理者等が確認する必要があり、使用者が駆動間隔の変動報知を確認してしまうと、小便器装置の異常であると判断する可能性があるために使用者に報知する必要性がない。そのため、尿石付着防止装置の駆動間隔変動の報知は、ある特定動作の際に報知するのが望ましい。例えば、一般の使用者は確認しない掃除時の洗浄禁止モードの報知の際に併せて報知する、又は駆動間隔の変動報知を洗浄禁止モードの報知として外部へ報知する等であれば、使用者は駆動間隔変動の報知を小便器装置の異常であると判断しにくくなり、且つ外部へ確実に駆動間隔が変動したことを報知することが可能となる。
【0058】
なお、本実施例で外部へ報知する各点滅パターンは、各々の周期パターンで繰り返し点滅を行うものであるため、点滅を解除するための異常状態を解決しない限り外部報知が継続して行われるので、確実に外部から確認することが可能となる。また複数の状態を外部へ報知する場合には、それぞれの状態を示す報知パターンが組み合わさったものが繰り返し点滅を行うため、複数の状態報知の場合においても外部へ確実に報知することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1…小便器
2…バルブ
3…給水部
4…給水管
5…背面
6…天井面
7…取付部
8…流路
9…発光手段搭載部
10…発光手段
11…偏水部
12…排気部
13…ボール部
14…壁面
15…固定冶具
16…発電機構
17…蓄電池
18…電源制御部
19…水量測定手段
20…電池
21…検知手段
22…制御手段
23…状態確認手段
24…水量確認手段
25…電圧検査手段
26…光電センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小便器に対して洗浄水を供給可能にするバルブと、人体から排出される尿を受けるボール部と、ボール部に洗浄水を供給するための給水部と、を備えた小便器装置において、前記ボール部と前記小便器装置を取り付ける壁面との間を連通する孔を介して発光手段を設け、前記発光手段は、ボール部内の臭気を外部へ排気するための孔を介して設置したことを特徴とする小便器装置。
【請求項2】
前記小便器装置は、電池又は発電機を有し、前記バルブが手動操作により給水可能であることを特徴とする請求項1に記載の小便器装置。
【請求項3】
前記小便器装置は、使用者を検知する検知手段と、該検知手段からの出力信号に基づきバルブの開閉を行う制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記出力信号に基づき前記発光手段の点灯状態制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の小便器装置。
【請求項4】
前記検知手段は、検知対象物の速度、距離及び大きさに応じた出力信号を出力し、前記制御手段は、前記検知手段の出力信号が小便器装置の通常使用時の出力信号と異なる時、前記発光手段の点灯状態制御を行うことを特徴とする請求項3記載の小便器装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記検知手段の出力信号が、小便器装置の通常使用時と、通常使用時と異なる時で前記発光手段の点灯状態を区別することを特徴とする請求項3または4に記載の小便器装置。
【請求項6】
前記制御手段は、給水部から供給される洗浄水の量、或いは洗浄水の吐水のタイミング、或いは尿石付着防止装置の少なくとも何れか一つにおいて異常状態を検知した場合に、前記発光手段の点灯状態制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の小便器装置。
【請求項7】
前記制御手段は、電源電圧を検知する手段を有し、電源電圧を検知する手段の信号に応じて前記発光手段の点灯状態を制御することを特徴とする請求項3記載の小便器装置。
【請求項8】
前記検知手段は、周波数が100MHz〜100GHzの電磁波を利用した装置であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の小便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−162051(P2009−162051A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103499(P2009−103499)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【分割の表示】特願2004−360091(P2004−360091)の分割
【原出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】