説明

小便装置

【課題】便所室内に放尿の悪臭が漂わない男性用の小便装置を提供する。
【解決手段】便所室4の壁部4aの所定高さ位置の室外側の収納空間4bにとりつけられる小便装置1は、小便器本体2と放尿受部8を備えており、小便器本体2は便所室4の壁部4aにとりつけられる前面部3bと、左右側面部と、背側面部2cと、下側面部2dと、放尿受部3の収納空間4bを形成しており、さらに小便器本体2は上方に洗浄水の流入口2fを、下側面部2dに洗浄水ならびに放尿の流出口2gを形成しており、さらに小便器本体2にとりつけられる放尿受部3は前面部2aと左右側面部と上方に放尿受口3aと下方に放尿流出口3eを備えており、かつ小便器本体2の前面部2aの中央開口部2a1より便所室4内側に出入り可能に形成して中央開口部2a1を開放、閉塞するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭、学校、病院、ホテル、駅舎その他公共の施設等において使用できる男性用の小便装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般家庭や上記公共施設等においては男女共用で使用する便座付き便器装置とは別に、男性が小便の際に起立状態で使用する小便装置は公知である。
該小便装置はたとえば図9に示しているものであり、便所室の壁体より室内側に露出状態で突出してとりつけられている。
10は便所室、11は壁体、12は放尿を受ける小便器、13は排出パイプ、14は男性、14aは男性器、14bは放尿、15は床面である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の小便器は便所室の壁体に室内側に露出状態で突出してとりつけられており、そのために次のような問題点がある。
その1つは、小便器自体が便所室内に露出しており、上方開口で、底部中央に排出口を有する有底椀状に形成されているために、放尿が有底部から跳ね返り、小便器の上面周壁や床面に飛散すること。
【0004】
その2つは小便器の周壁や床面に付着した放尿が洗浄されないまま蓄積しており、便所室内に尿臭が漂い、悪臭であり不衛生であること。
【0005】
その3つは小便器の開口の大きさが平面視において前後左右大きめに設計されており、その理由は定かではないが35センチから40センチを有しており、そのために便所室の空間面積が大きくなり、ことに一般家庭においては建築面積が大きくなり、建築コストの負担増になること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はつぎの特徴を備えている。
その一は「便所室の壁部の所定高さ位置の室外側の収納空間にとりつけられる小便装置は、小便器本体と該小便器本体にとりつけられる放尿受部を備えており、小便器本体は便所室の壁部にとりつけられる前面部と、左右側面部と、背側面部と、下側面部と、前記放尿受部の収納空間を形成しており、さらに小便器本体は上方に洗浄水の流入口を、前記下側面部に洗浄水ならびに放尿の流出口を形成しており、さらに前記小便器本体にとりつけられる放尿受部は前面部と左右側面部と上方に放尿受口と下方に放尿流出口を備えており、かつ小便器本体の前面部の中央開口部より便所室内側に出入り可能に形成して中央開口部を開放、閉塞するように形成されていることを特徴とする小便装置」である。
【0007】
その二は「上記その一の構成において、放尿受部は水平軸を介して所定角度回転可能であり、小便器本体の前面部の中央開口部より便所室内側に出入り可能に形成して、中央開口部を開放、閉塞するように形成されていることを特徴とする小便装置」である。
【0008】
その三は「上記その一、その二の構成において、放尿受部は小便器本体に脱着自在にとりつけられることを特徴とする小便装置」である。
【0009】
その四は「上記その一、その二、その三のそれぞれの構成の小便装置を備えており、該小便装置は放尿受部を便所室内側に開放後に閉塞して小便器本体の収納空間に収納した状態で、所定時間洗浄装置から流出する洗浄水が小便器本体の洗浄水の流入口に流入して小便器本体並びに放尿受部を洗浄して排出パイプから排出するように形成されていることを特徴とする小便装置」である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の小便装置は小便器本体が便所室の壁部の所定高さ位置の室外側の収納空間にとりつけられているので、放尿時には放尿受部が便所室の室内側に露出しているが、放尿受部の下方の放尿流出口並びに小便器本体の流出口は便所室の室外側に位置しているので、放尿の跳ね返りがなくなり、床面等に飛散、付着しない。よって床面に付着した尿の悪臭もなく衛生的である。
【0011】
本発明の小便装置は放尿受部が小便器本体の前面部の開口部にとりつけられており、放尿時には便所室内側に開放され、放尿後は開口部を閉塞するので小便器本体内からの放尿の悪臭が遮断されて便所室内に漂うことがなく、衛生的である。
【0012】
本発明の小便装置は小便器本体が便所室の壁部の室内側に露出していないので、便所室の空間面積を小さくでき、建築面積や建築コストの負担が軽減される。尚本発明における小便装置の放尿時における放尿受部の室内側への露出は前後20センチ、左右巾20センチ程度あればよく、従来小便器の突出量40センチ余に比べて半分程度以下である。
【0013】
本発明小便装置は、小便器本体並びに放尿受部の洗浄は、放尿受部が閉塞の状態で所定時間洗浄水が洗浄装置から小便器本体の流入口に流入して放尿受部と小便器本体の内面を洗浄し、小便器本体の排出口から排出されるので小便器本体内に悪臭が発生せず常に衛生的であり、かつ洗浄水量も最小限に保持できる。また放尿受部を小便器本体から外してそれぞれを洗浄でき、衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明小便装置の一実施例を示す概略斜視図
【図2】本発明小便装置の放尿受部を開放した取付状態を示す概略断面説明図
【図3】本発明小便装置の放尿受部を閉塞した取付状態を示す概略断面説明図
【図4】本発明小便装置の放尿受部の他の実施例を示す略側面部図
【図5】図4に示す放尿受部を用い、閉塞した取付状態を示す概略断面説明図
【図6】図4に示す放尿受部を用い、開放した取付状態を示す概略断面説明図
【図7】本発明小便器本体の他の実施例を示す略平面図
【図8】同じく略側面部図
【図9】従来小便装置の使用状態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1から図3において、1は小便装置で、便所室4の壁部4aの所定高さ位置の室外側の収納空間4bにとりつけられる。該装置は小便器本体2と、該小便器本体にとりつけられる放尿受部3を備えている。
【0016】
小便器本体2は便所室の壁部にビスなどの止具を介してとりつけられる前面部2aと、左右の側面部2bと、背側面部2cと、下側面部2dと、上方に流入口2fと、下側面部2dの下方の流出口2gと、前記放尿受部の収納空間2eを一体的に形成している。
さらに上方の洗浄水の流入口2fは開口状態でもよく、図示のごとく上面蓋部2hを形成して該蓋部に所定大きさの流入口を形成している。5は洗浄水の流入パイプで、洗浄水が小便器本体内に流入して小便器本体の内面および放尿受部の内外面を洗浄する。洗浄水の流入は霧状、噴射状、渦回転状など公知の洗浄効率の良い流入形態を採用すればよい
【0017】
さらに小便器本体にとりつけられる放尿受部3は小便器本体の前面部2aの中央開口部2a1より便所室内側に出入り可能に形成して、中央開口部2a1を開放、閉塞するように形成している。図示では放尿受部3は上方の放尿受口3aと前面部3bと左右側面部3cと、背側面部3dとこれらの下方をテーパ状に縮小して放尿流出口3eを一体的に形成している。しかして左右側面部側にとりつけている水平回転軸3を介して所定角度回転可能であり小便器本体の前面部2aの中央開口部2a1より便所室内側に出入り可能に形成して中央開口部を開放、閉塞状態を保持するように形成している。不図示であるが放尿受部は小便器本体に係合支持されて開放、閉塞状態を保持している。保持手段はもろもろ公知である。
【0018】
図面では放尿受部に背側面部3dを形成しているが、これを設けずして放尿が小便器本体の収納空間2eに放出してもよい。
【0019】
図2において、7は男性で、放尿状態の使用例を示している。放尿受部が便所室内側に開放され、男性器7aからの放尿7bが、放尿受口3aに放出され、放尿流出口3eから小便器本体の流出口3gを流れ、排出パイプ6に流出する。不図示であるが、排水トラップを従来同様排水パイプの適宜箇所に形成することは論ずるまでもない。
【0020】
さらに本発明の小便装置においては、放尿受部を便所室内側に開放後に閉塞して小便器本体の収納空間に収納した状態で、所定時間洗浄装置の流入パイプから洗浄水が小便器本体の洗浄水の流入口に流入して、小便器本体並びに放尿受部を洗浄するように形成されている。言わば図3において、放尿受部3が小便器本体の収納空間2eに収納されており、洗浄装置から流出する洗浄水が流入パイプ5から小便器本体の流入口から小便器本体並びに放尿受部に流入して、これらの壁面を洗浄して放尿流出口3e並びに流出口2gから排出パイプ6に排出される。
【0021】
なお小便装置内に所定時間洗浄水を流入する手段は従来公知であり、センサー、タイマー、リミットスイッチ等その他の感知手段の設置により適宜採択すればよく、当業者であれば容易に理解することである。
したがって本発明においては、放尿受部を開放と同時に洗浄水が小便器本体内に流入し、放尿後に停止するような設計でもよい。あるいは前記説明のように放尿して放尿受部を閉塞した状態で所定時間流入する方法などでもよい。要は小便装置の内面が洗浄されて衛生的であり、さらに洗浄水の使用量を節減できればエコー効果がある。
【0022】
図4から図8において本発明小便装置の他の実施例を示す。図4において8は放尿受部、8aは放尿受口、8bは前面部、8b1も前面部、8b2は取付部材である。8cは側面部、8dは背側面部、8eは放尿流出口、8fは水平軸で取付部材に形成している。図面から理解できるところであるが、放尿受部に前面部8bと8b1を形成し、前面部8b1が小便器本体の前面開口部を開放、閉塞するように形成している。前面部8b1と前面部8bは両側に取り付けている取付部材8b2で下方で連結し、上方は長手方向に沿って一体的に連結している。
【0023】
図5、図6は小便器本体の略平面図及び略側面部を示す。洗浄水の流入口9fを上面蓋部9hの周囲に多数個形成している。流入口から小便器本体内ならびに放尿受部の壁面に洗浄水が落下する。この実施例では洗浄タンクなどの洗浄装置から流出される洗浄水が一旦上面蓋部で受けるように上面蓋部を周側部より下方に位置して形成し、有底状とし、その蓋部に小穴状の流入口を多数形成している。
小便器本体9は前面部9a及び左右の側面部9bの前方に連通して放尿受部に形成している水平回転軸8fの挿入係合孔9iを形成している。しかして放尿受部が小便器本体の中央開口部から脱着できるように形成している。脱着できれば放尿受部、小便器本体の清掃が十分にできる。
【0024】
図7、図8は放尿受部8を小便器本体9にとりつけている状態の説明図である。
図7は放尿受部を閉塞している状態、図8は放尿受部を開放している状態である。9は小便器本体、9aは前面部、9a1は中央開口部、9bは側面部、9cは背側面部、9dは下側面部、9eは収納空間、9fは流入口、9gは流出口、9hは上面蓋部であり、これの周囲に多数の流入口を形成している。
以上本発明の実施例について説明しているが、本発明の技術思想を逸脱しない範囲の設計変更は可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 小便装置
2 小便器本体
2a 前面部
2a1 中央開口部
2b 側面部
2c 背側面部
2d 下側面部
2e 収納空間
2f 流入口
2g 流出口
2h 上面蓋部
3 放尿受部
3a 放尿受口
3b 前面部
3c 側面部
3d 背側面部部
3e 放尿流出口
3f 水平回転軸
4 便所室
4a 壁部
4b 収納空間
5 洗浄水の流入パイプ
6 排出パイプ
7 男性
7a 男性器
7b 放尿水
8 放尿受部
8a 放尿受口
8b 前面部
8b1 前面部
8b2 取付部材
8c 側面部
8d 背側面部
8e 放尿流出口
8f 水平回転軸
9 小便器本体
9a 前面部
9a1 中央開口部
9b 側面部
9c 背側面部
9d 下側面部
9e 収納空間
9f 流入口
9g 流出口
9h 上面蓋部
9i 挿入係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便所室の壁部の所定高さ位置の室外側の収納空間にとりつけられる小便装置は、小便器本体と該小便器本体にとりつけられる放尿受部を備えており、小便器本体は便所室の壁部にとりつけられる前面部と、左右側面部と、背側面部と、下側面部と、前記放尿受部の収納空間を形成しており、さらに小便器本体は上方に洗浄水の流入口を、前記下側面部に洗浄水ならびに放尿の流出口を形成しており、さらに前記小便器本体にとりつけられる放尿受部は前面部と左右側面部と上方に放尿受口と下方に放尿流出口を備えており、かつ小便器本体の前面部の中央開口部より便所室内側に出入り可能に形成して中央開口部を開放、閉塞するように形成されていることを特徴とする小便装置。
【請求項2】
放尿受部は水平軸を介して所定角度回転可能であり、小便器本体の前面部の中央開口部より便所室内側に出入り可能に形成して、中央開口部を開放、閉塞するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の小便装置。
【請求項3】
放尿受部は小便器本体に脱着自在にとりつけられることを特徴とする請求項1または請求項2記載の小便装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2もしくは請求項3記載の小便装置を備えており、該小便装置は放尿受部を便所室内側に開放後に閉塞して小便器本体の収納空間に収納した状態で、所定時間洗浄装置から流出する洗浄水が小便器本体の洗浄水の流入口に流入して小便器本体並びに放尿受部を洗浄して排出パイプから排出するように形成されていることを特徴とする小便装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−92029(P2013−92029A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248052(P2011−248052)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(503335825)
【Fターム(参考)】