説明

小児用NK2アンタゴニストに基づく製剤処方

乳児疝痛の処置に有用な、NK2アンタゴニストを含有する製剤処方について、開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳児疝痛を処置するための、タキキニン、特にニューロキニンAのアンタゴニストを含有する製剤処方に関する。
【背景技術】
【0002】
タキキニン類は、サブスタンスP(SP)及びニューロキニンA(NKA)及びニューロキニンB(NKB)からなるニューロペプチドのファミリーに属し、これらの受容体は、中枢神経系及び末梢神経系に幅広く分布している。
【0003】
特に、NKAの受容体(NK2)は、哺乳類の末梢神経系に広く発現されている。NK2受容体の選択的な刺激により生じる種々の効果としては、平滑筋の収縮及び内臓の痛みに対する感受性を調節することである。NK2のアンタゴニストは、炎症や痙攣などの種々の病的状態における平滑筋の過剰な収縮を制御し得る薬剤と考慮することができ、ここで、タキキニンが放出され、障害の発達に寄与することとなる。特に、ぜんそくの気管支けいれんの成分、咳、肺炎症、腸炎症、腸けいれん、並びに膀胱炎、腎感染及び疝痛中の膀胱及び尿管の局所けいれんは、NK2のアンタゴニストの投与が効果的である可能性のある状態と考えられる(非特許文献1)。近年、過敏性腸症候群(IBS)は、タキキニンのアンタゴニストの可能性のある治療上の標的であると考えられている(非特許文献2)。IBSは、臨床的には、崩壊した腸の習性(便秘及び/又は下痢)に関連する慢性的な腹部の疼痛を特徴とするものである。IBS患者は、内臓痛に対する感受性の閾値が低下している:このことが意味するのは、健常人において痛みを有するものと認識しない低い強度の内臓に対する刺激(例えば、結腸直腸の膨張)が、痛みを有するものとして代わって認識され、IBS患者を衰弱させる(内臓の痛覚過敏)、ということである。
【0004】
従来、IBS患者における疼痛を解決する治療上の手法としては、抗痙攣剤、下剤、運動促進剤、又は抗下痢剤を使用することにより、腸の運動性を改変することを目的とするものであった。近年、内臓の痛覚過敏は、IBSの症状における主要な病態生理学的な事象と認識されてきた(非特許文献3)。内臓の痛覚過敏を修正し得る薬剤は、IBS処置における重要な向上性を構築するものと示唆されてきた。
【0005】
動物モデルにおいて、NK2のアンタゴニストは、種々の刺激で惹起される内臓の過敏性を減弱し得ることが証明されている(非特許文献4及び5)。
【0006】
一般的にタキキニンに対して、及び特にNKAに対してアンタゴニストの活性を有する種々の化合物について、数年来特許文献に開示されている。また、NK2/NK3、NK1/NK2、及びNK1/NK2/NK3を混合したアンタゴニストの性質を有する化合物の例が複数ある。
【0007】
特許文献1では、二環式の構造を有するNK2のアンタゴニストについて開示されている;in vitroにおける活性は興味深いものの、このアンタゴニストの水に対する非常に低い溶解性により、種々の医薬上の適用可能性が妨げられている。
【0008】
特許文献2では、特許文献1と同様の二環式の構造を有するNK2のアンタゴニストについて開示されているが、医薬的な開発により適合させる親水性部分を有するものである。特許文献2に開示の分子の一つであるネパデュタント(nepadutant)は、IBSの動物モデルにおいて、痛覚過敏を修正する(非特許文献6)。
【0009】
上述の通りであるにもかかわらず、特許文献2に開示のNK2のアンタゴニストは、経口での生物学的利用能が貧弱であり、その投与経路は、全体的に満足のいくものではない。特に、ネパデュタントは、溶液としてラットに投与した場合(非特許文献7)や、カプセル中に乾燥粉末として有するものとして志願者に投与した場合、非常に低い経口での生物学的利用能を示す。
【0010】
この主題についての特許文献の種々の例のうち、特許文献3及び4を引用することができるが、特許文献3では、単環式のNK2のアンタゴニストについて述べられており、特許文献4では、基礎的な特徴を有する直鎖のNK2のアンタゴニストについて述べられている。
【0011】
乳児疝痛(IC)は、乳児において非常にびまん性の疾患であって、その原因は、正確には解明されていない。痛みを伴う腸収縮に反応して、過剰な号泣が起こるようであるが、これは、牛乳アレルギー、ラクトースの過敏症、又は腸の膨張に関連する可能性があるが、これらは、腸の感受性が過渡的に増大することを特徴とする消化管の生物学的成熟の間に起こるものである。乳児疝痛は、母乳及び人工乳で育てられた乳児のいずれでも影響を及ぼす。乳児疝痛は、有利で短期間の臨床経過を辿るが、両親にとっては、ストレスの多いものであり、多くは、医師の診察を受けることとなる。
【0012】
成人の疝痛に対して効果を改変するのに一般的に提案され利用されている薬物のなかでも、乳児疝痛を処置するのに使用し得る可能性のあると少なくとも考えられるものは、非常に少ない。これは、乳児疝痛が種々の成人の胃腸の障害に適用し得ない原因病理論を示すためであり、且つ成人で認証された薬物を小児レベルで使用するのが不可能である一方で同時に安全性及び耐性を保証するのが不可能であるためである。このことは、逆行性の効果に起因して、乳児疝痛の治療のための抗コリン性薬物を使用するのを断念させることとなっている(非特許文献8)一方で、治療目的のために乳児の食事における種々の介入(intervention)の試みは、臨床上有意な結果をもたらしていない(非特許文献9)。消化管のガスを吸着する薬物を使用することは、臨床所見の欠如に起因して、問題視されてもいる(その効果は、プラセボよりも良好ではないらしい:非特許文献10及び11)。
【0013】
上述の通り、成人の消化管の障害と乳児疝痛との違いの点で、これまで、後者の処置に、タキキニンのアンタゴニスト、特にNK2のアンタゴニスト、又はNK2/NK3、NK1/NK2、及びNK1/NK2/NK3の混合したアンタゴニストを使用することは、前提とされていなかった。
【特許文献1】国際公開第93/21227号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第815126号明細書
【特許文献3】国際公開第01/29066号パンフレット
【特許文献4】国際公開第03/037916号パンフレット
【非特許文献1】A.L.Magnanら著、Neuropeptides、1993年24巻、p.199
【非特許文献2】M.Camilleri著、Gastroenterology、2001年、120巻、p.652
【非特許文献3】E.A.Mayer及びF.G.Gebhart著、Gastroenterology、1994年、107巻、p.271
【非特許文献4】P.M.Antonら著、Pain、2001年、92巻、p.219
【非特許文献5】P.G.McLeanら著、Eur.J.Pharmacol.、1997年、337巻、p.279
【非特許文献6】M.Toulouse著、Br.J.Pharmacol.、2000年、129巻、p.193
【非特許文献7】A.Lippiら著、Drug Metab.Disp.、1998年、26巻、p.1077
【非特許文献8】J.Williamsら著、British Med.J.、1984年、288巻、p.901
【非特許文献9】S.Wadeら著、British Med.J.、2001年、323巻、p.437
【非特許文献10】T.J.Metcalfら著、Pediatrics、1994年、94巻、p.29−34
【非特許文献11】B.Danielssonら著、Acta Paediatr.Scand.、1985年、74巻、p.446〜50
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
乳児疝痛の原因を明らかにする決定的な結論がないにもかかわらず、乳児の消化管の基本的機能を改変することなく、症状的な疼痛及び過剰の胃腸の運動性を阻害し得る薬物が、乳児疝痛の治療に首尾よく使用し得ることを驚くべきことに見出した。この点、タキキニンのアンタゴニスト、特にNK2のアンタゴニスト、又はNK2/NK3、NK1/NK3、及びNK1/NK2/NK3の混合したアンタゴニストが示した活性の特性は、乳児疝痛の処理に有用な医薬組成物の調製に使用し得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
未発達のラットにおいて、NK2のアンタゴニストは、経口投与後、胃腸の基礎的な運動性に影響を与えることなく、NK2の選択的なアゴニストの投与で惹起した増加した腸管輸送を阻止し得ることを、事実、示した。
【0016】
未発達のラットで示した活性は、一般的に哺乳類の乳児疝痛、特にヒトの乳児疝痛の処理を予測する判断材料として、使用され得る。
【0017】
特許文献2において、一連のNK2のアンタゴニスト、特にネパデュタントについて、成人の病態の処置に能力のある薬物として、開示されている。
【0018】
しかしながら、ネパデュタントを含むこれらのアンタゴニストは、動物及びヒトのいずれにおいても経口的に投与した場合、貧弱な生物学的利用能の問題を示すことは、特記すべきことである。
【0019】
我々が驚くべきことに発見したように、ネパデュタントを含むこれらの化合物が、これらの活性本体を含有する処方を未発達のラットに投与した場合、実質的に促進され、これらの化合物を、哺乳類の乳児疝痛に使用するのに特に適したものとし、ここで、経口投与は、最も簡便で最も実行しやすいものである。
【0020】
特許文献2で開示のNK2のアンタゴニストの好適な群は、請求項1乃至10に記載の式(I)の製品であって、特に好ましくは、この製品は、以下の群からなるものである:
【0021】
−シクロ((Asn(β−D−2−デオキシ−2−アセタミド−Glc)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))(ネパデュタント、例4),
−シクロ((Asn(β−D−ガラクトピラノシル)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))(例12)
−シクロ((Asn(4−O−(α−D−Glc)−β−D−Glc)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))(例17)
−シクロ((Dap(ラクトビオニル)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))
【0022】
本発明によるNK2のアンタゴニストのさらに好適な群は、特許文献4に開示の化合物であって、特に請求項1〜8に記載の式(I)のものであり、特に、以下からなる群に含まれる化合物である:
【0023】
−Nα[Nα(ベンゾ[b]チオフェニル−2−イルカルボニル)−1−アミノシクロペンタン−1−カルボニル]−D−フェニルアラニン−N−[3(モルフォリン−4−イル)プロピル]アミド(例1)
−6−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1(R)−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド・TFA塩(例69)
−6−ブロモ−ナフタレン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1(R)−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド(例72)
−5−ヨード−ベンゾフラン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド(例127)
−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド(例139)
【0024】
また、特許文献3に記載の化合物であって、特に、請求項1乃至3に記載の式(I)の製品であり、特に、以下のものからなる群に含まれる化合物である:
【0025】
−シクロ{−Suc[1−(R)−2(4−モルフォリン−4−イルピペリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−Trp−Phe−[(R)−NH−CH(CH−C)−CHNH]−}(例2)
−シクロ{−Suc[1−(R)−2(4−モルフォリニル−4−ピペリジン−1−イル−アセチル)アミノ]−Trp(5−F)−Phe−[(R)−NH−CH(CH−C)−CHNH]−}(例4)
【0026】
本発明の目的に関してさらに好適な化合物の群は、NK2のアンタゴニストである化合物、又はNK2/NK3、NK1/NK2、及びNK1/NK2/NK3の混合したアンタゴニストである化合物であって、以下からなる群から選択されたものである。
【0027】
(S)−N−[4−(4−アセタミド−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ブチル]−N−メチルベンズアミド(サレデュタント(saredutant)、SR48968(Sanofi−Aventis社製))
4−[1−[2−[1−(シクロプロピルメチル)−3(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−6−オキソ−ピペリジン−3−イル]エチル]アゼチジン−3−イル]ピペラジン−1−スルフォンアミド(UK224671(ファイザー社製)
(+)−(R)−N−[1−[2−[4−ベンゾイル−2−(3,4−ジフルオロフェニル)モルフォリン−2−イル]エチル]−4−フェニルピペリジン−4−イル]−N’,N’−ジメチルウレア(SR144190(Sanofi−Aventis社製))
5(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−5−[2−[3−(4−フルオロピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル]エチル]ピペリジン−2−オン(UK290795(ファイザー社製))
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[スピロ[ベンゾ[b]チオフェン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−イル]ブチル]−N−メチルベンズアミドS−オキシド(YM38336(山之内社製))
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロスピロ[イソキノリン−1,4’−ピペリジン]−1’−イル)ブチル]−4−フルオロ−N−メチルベンズアミド・フマル酸塩(YM44781(山之内社製))
2−フェニル−3−[4−(1−ピペリジニル)ピペリジン−1−イルメチル]−N−[1(S),2,2−トリメチルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド(SB414240(GlaxoSmithKline社製))
2−ベンジル−4−(2−ベンジルオキシエチル)−1−(N−tert−ブチルカルバモイル−L−グルタミル−L−トリプトフィル)セミカルバジド(TAC363(UCB社製))
5−(3,4−ジクロロフェニル)−4(R)−[N−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンザミド]−N−[2−オキソペルヒドロアゼピン−3(R)−イル]−2(E)−ペンテンアミド(DNK333(Novartis社製))
3−シアノ−N−[2(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[4−メトキシ−2−[[S(S)]−メチルスルフィニル]フェニル]ピペリジン−1−イル]ブチル]−N−メチルナフタレン−1−カルボキサミド・クエン酸塩(ZD2249(AstraZeneca社製))
3−シアノ−N−[2(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[2−[(S)−メチル−スルフィニル]フェニル]ピペリジン−1−イル]ブチル]−N−メチルナフタレン−1−カルボキサミド・フマル酸塩(ZD6021(AstraZeneca社製))
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロスピロ[イソキノリン−1,4’−ピペリジン]−1’−イル]ブチル]−3,4,5−トリメトキシ−N−メチルベンズアミド(YM44778(山之内社製))
1’−[2−[2(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)モルフォリン−2−イル]エチル]スピロ[ベンゾ[c]チオフェン−1(3H)−4’−ピペリジン]2(S)−オキシド・塩酸塩(R113281(三共社製))
N−[3(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−[4−[3(R)−(N−メチルカルバモイルメチル)−2−オキソピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2(Z)−(メトキシイミノ)ペンチル]−N−メチル−3,5−ジクロロベンズアミド(SCH206272(Schering社製))
【0028】
乳児疝痛を処置するのに適した医薬処方は、経口の形態であって、特に:
−小児用シロップ、
−シロップ
である。
【0029】
上述の医薬形態を調製するのに、タキキニンのアンタゴニスト、特に活性本体として使用するNK2のアンタゴニストは、0.01〜50mg/mL、好ましくは、0.1〜10mg/mLの濃度で存在する。この処方は、必要に応じて、一日当たり1回以上で使用されてもよく、担当医師の助言に基づけばよい。
【0030】
医薬的に許容し得る小児用賦形剤を存在してもよく、例えば、甘味料(グルコースを含む糖類)、調味料(例えば、果実香料、ストロベリーの香料、ラズベリーの香料、クリームの香料)、可溶化剤(例えば、ポリソルビン酸、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース)、保存料、及び抗酸化剤(例えば、ソルビン酸、アスコルビン酸)、及びその他のものが挙げられる。
【0031】
これらの賦形剤は、利用する活性本体の苦味をマスクする機能をも有する。
【0032】
患者への投与に関し、これらの処方は、乳児の食事、特に乳に添加されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下の記載は、本発明を限定することなく示す例である。
【実施例】
【0034】
(例1)
100mLの水溶液中に含有する小児用ドロップの形態の処方
ネパデュタント 0.20g
ポリソルビン酸80 1.25g
グルコース 40g
ソルビン酸 0.10g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0g
ラズベリーの香料 0.0035g
クリームの香料 0.0015g
【0035】
(例2)
100mLの水溶液中に含有する小児用ドロップの形態の処方
ネパデュタント 0.20g
ポリソルビン酸80 1.25g
グルコース 25g
ソルビン酸 0.10g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0g
ラズベリーの香料 0.0035g
クリームの香料 0.0015g
【0036】
(例3)
100mLの水溶液中に含有する小児用ドロップの形態の処方
ネパデュタント 0.20g
ポリソルビン酸80 1.0g
グルコース 40g
ソルビン酸 0.10g
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0g
ポリビニルピロリドン(ポビドンF12) 2.0g
【0037】
(例4)
100mLの水溶液中に含有する小児用ドロップの形態の処方
ネパデュタント 0.20g
ポリソルビン酸80 0.5g
グルコース 40g
ソルビン酸 0.10g
ヒドロキシプロピルベタデックス 10g
【0038】
(例5)
以下のものを含有する小児用ドロップの形態の処方
6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド 10mg
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 250mg
ポリソルビン酸20 250mg
クエン酸 10mg
【0039】
(生物学的活性)
本発明の処方について、以下の方法に従って、新生ラットに対するin vivoにおける生物学的活性を検討した。
【0040】
a)7〜10日齢のオス及びメスの未成熟のラットに、NK2の選択的なアゴニストであるβ−Ala−NKA(4−10)を、15μg/kgで腹腔内投与した。その後、1%のメチルセルロース中に10%の炭素を有する懸濁液を、15mL/kgで、動物に経口的に投与した。同様の炭素を基礎とした懸濁液を、上記のNK2のアゴニストを投与されていないコントロールの群に投与した。
【0041】
15μg/kgのβ−Ala−NKA(4−10)のi.p.投与により、腸管輸送が有意に増加し得ることが見出された。
【0042】
b)腸管輸送の有意な増加を惹起し得る濃度で選択した、NK2の選択的なアゴニストである15μg/kgのβ−Ala−NKA(4−10)を腹腔内に投与する前の2、4及び6時間に、0.5及び2.5mg/kgの投与量で、7〜10日齢のオス及びメスの未成熟のラットにネパデュタントを含有する処方を経口的に投与した。ネパデュタントの投与により、有意な様式で、β−Ala−NKA(4−10)によるNK2受容体の刺激で惹起された腸管輸送の増加は、阻害可能であることが、証明された。
【0043】
c)β−Ala−NKA(4−10)のアゴニストの投与を行わない場合、ネパデュタントを含有する処方の投与によっては、2.5mg/kgの投与量で、投与後6時間において、未成熟のラットにおける基礎的な腸管輸送には、影響を及ぼさなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児疝痛を処置するための、小児用医薬処方の調製へのタキキニンのアンタゴニストの使用。
【請求項2】
前記医薬処方は、経口投与に適した形態であることを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記の経口用の形態は、小児用ドロップからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記の経口用の形態は、シロップであることを特徴とする請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記のタキキニンのアンタゴニストは、NK2のアンタゴニスト、又はNK2/NK3、NK1/NK2、若しくはNK1/NK2/NK3の混合したアゴニストであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記のNK2のアンタゴニストは:
α[Nα(ベンゾ[b]チオフェニル−2−イルカルボニル)−1−アミノシクロペンタン−1−カルボニル]−D−フェニルアラニン−N−[3(モルフォリン−4−イル)プロピル]アミド、
6−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1(R)−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド・TFA塩、
6−ブロモ−ナフタレン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1(R)−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド、
5−ヨード−ベンゾフラン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド、及び
6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド、
からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記のNK2のアンタゴニストは:
シクロ((Asn(β−D−2−デオキシ−2−アセタミド−Glc)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))(ネパデュタント)、
シクロ((Asn(β−D−ガラクトピラノシル)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))、
シクロ((Asn(4−O−(α−D−Glc)−β−D−Glc)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))、及び
シクロ((Dap(ラクトビオニル)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))、
からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項8】
前記のNK2のアンタゴニストは、ネパデュタントであることを特徴とする請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記のNK2のアンタゴニストは:
シクロ{−Suc[1−(R)−2(4−モルフォリン−4−イルピペリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−Trp−Phe−[(R)−NH−CH(CH−C)−CHNH]−}、及び
シクロ{−Suc[1−(R)−2(4−モルフォリニル−4−ピペリジン−1−イル−アセチル)アミノ]−Trp(5−F)−Phe−[(R)−NH−CH(CH−C)−CHNH]−}、
からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の使用。
【請求項10】
前記のNK2のアンタゴニスト、又はNK2/NK3、NK1/NK2、若しくはNK1/NK2/NK3の混合したアゴニストは:
(S)−N−[4−(4−アセタミド−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ブチル]−N−メチルベンズアミド(サレデュタント)
4−[1−[2−[1−(シクロプロピルメチル)−3(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−6−オキソ−ピペリジン−3−イル]エチル]アゼチジン−3−イル]ピペラジン−1−スルフォンアミド、
(+)−(R)−N−[1−[2−[4−ベンゾイル−2−(3,4−ジフルオロフェニル)モルフォリン−2−イル]エチル]−4−フェニルピペリジン−4−イル]−N’,N’−ジメチルウレア、
5(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−5−[2−[3−(4−フルオロピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル]エチル]ピペリジン−2−オン、
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[スピロ[ベンゾ[b]チオフェン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−イル]ブチル]−N−メチルベンズアミドS−オキシド、
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロスピロ[イソキノリン−1,4’−ピペリジン]−1’−イル)ブチル]−4−フルオロ−N−メチルベンズアミド・フマル酸塩、
2−フェニル−3−[4−(1−ピペリジニル)ピペリジン−1−イルメチル]−N−[1(S),2,2−トリメチルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド、
2−ベンジル−4−(2−ベンジルオキシエチル)−1−(N−tert−ブチルカルバモイル−L−グルタミル−L−トリプトフィル)セミカルバジド、
5−(3,4−ジクロロフェニル)−4(R)−[N−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンザミド]−N−[2−オキソペルヒドロアゼピン−3(R)−イル]−2(E)−ペンテンアミド、
3−シアノ−N−[2(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[4−メトキシ−2−[[S(S)]−メチルスルフィニル]フェニル]ピペリジン−1−イル]ブチル]−N−メチルナフタレン−1−カルボキサミド・クエン酸塩、
3−シアノ−N−[2(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[2−[(S)−メチル−スルフィニル]フェニル]ピペリジン−1−イル]ブチル]−N−メチルナフタレン−1−カルボキサミド・フマル酸塩、
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロスピロ[イソキノリン−1,4’−ピペリジン]−1’−イル]ブチル]−3,4,5−トリメトキシ−N−メチルベンズアミド、
1’−[2−[2(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)モルフォリン−2−イル]エチル]スピロ[ベンゾ[c]チオフェン−1(3H)−4’−ピペリジン]2(S)−オキシド・塩酸塩、及び
N−[3(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−[4−[3(R)−(N−メチルカルバモイルメチル)−2−オキソピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2(Z)−(メトキシイミノ)ペンチル]−N−メチル−3,5−ジクロロベンズアミド、
からなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の使用。
【請求項11】
前記のタキキニンのアンタゴニストは、0.01〜50mg/mLの濃度で存在することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記のタキキニンのアンタゴニストは、0.1〜10mg/mLの濃度で存在することを特徴とする請求項11に記載の使用。
【請求項13】
タキキニンのアンタゴニストを有する小児用の経口医薬組成物。
【請求項14】
小児用ドロップ又はシロップの形態であることを特徴とする請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記のタキキニンのアンタゴニストは、NK2のアンタゴニスト、又はNK2/NK3、NK1/NK2、若しくはNK1/NK2/NK3の混合したアゴニストであることを特徴とする請求項13又は14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記のアンタゴニストは:
α[Nα(ベンゾ[b]チオフェニル−2−イルカルボニル)−1−アミノシクロペンタン−1−カルボニル]−D−フェニルアラニン−N−[3(モルフォリン−4−イル)プロピル]アミド、
6−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1(R)−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド・TFA塩、
6−ブロモ−ナフタレン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1(R)−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド、
5−ヨード−ベンゾフラン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド、
6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸[1−(2−フェニル−1R−{[1−(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−ピペリジン−4−イルメチル]−カルバモイル}−エチルカルバモイル)−シクロペンチル]−アミド、
シクロ((Asn(β−D−2−デオキシ−2−アセタミド−Glc)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))(ネパデュタント)、
シクロ((Asn(β−D−ガラクトピラノシル)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))、
シクロ((Asn(4−O−(α−D−Glc)−β−D−Glc)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))、
シクロ((Dap(ラクトビオニル)−Asp−Trp−Phe−Dap−Leu)シクロ(2β−5β))、
シクロ{−Suc[1−(R)−2(4−モルフォリン−4−イルピペリジン−1−イル)−アセチルアミノ]−Trp−Phe−[(R)−NH−CH(CH−C)−CHNH]−}、
シクロ{−Suc[1−(R)−2(4−モルフォリニル−4−ピペリジン−1−イル−アセチル)アミノ]−Trp(5−F)−Phe−[(R)−NH−CH(CH−C)−CHNH]−}、
(S)−N−[4−(4−アセタミド−4−フェニルピペリジン−1−イル)−2−(3,4−ジクロロフェニル)−ブチル]−N−メチルベンズアミド(サレデュタント)、
4−[1−[2−[1−(シクロプロピルメチル)−3(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−6−オキソ−ピペリジン−3−イル]エチル]アゼチジン−3−イル]ピペラジン−1−スルフォンアミド、
(+)−(R)−N−[1−[2−[4−ベンゾイル−2−(3,4−ジフルオロフェニル)モルフォリン−2−イル]エチル]−4−フェニルピペリジン−4−イル]−N’,N’−ジメチルウレア、
5(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−1−(4,4−ジフルオロシクロヘキシルメチル)−5−[2−[3−(4−フルオロピペリジン−1−イル)アゼチジン−1−イル]エチル]ピペリジン−2−オン、
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[スピロ[ベンゾ[b]チオフェン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−イル]ブチル]−N−メチルベンズアミドS−オキシド、
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロスピロ[イソキノリン−1,4’−ピペリジン]−1’−イル)ブチル]−4−フルオロ−N−メチルベンズアミド・フマル酸塩、
2−フェニル−3−[4−(1−ピペリジニル)ピペリジン−1−イルメチル]−N−[1(S),2,2−トリメチルプロピル]キノリン−4−カルボキサミド、
2−ベンジル−4−(2−ベンジルオキシエチル)−1−(N−tert−ブチルカルバモイル−L−グルタミル−L−トリプトフィル)セミカルバジド、
5−(3,4−ジクロロフェニル)−4(R)−[N−メチル−3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンザミド]−N−[2−オキソペルヒドロアゼピン−3(R)−イル]−2(E)−ペンテンアミド、
3−シアノ−N−[2(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[4−メトキシ−2−[[S(S)]−メチルスルフィニル]フェニル]ピペリジン−1−イル]ブチル]−N−メチルナフタレン−1−カルボキサミド・クエン酸塩、
3−シアノ−N−[2(S)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[4−[2−[(S)−メチル−スルフィニル]フェニル]ピペリジン−1−イル]ブチル]−N−メチルナフタレン−1−カルボキサミド・フマル酸塩、
N−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−[3−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロスピロ[イソキノリン−1,4’−ピペリジン]−1’−イル]ブチル]−3,4,5−トリメトキシ−N−メチルベンズアミド、
1’−[2−[2(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)モルフォリン−2−イル]エチル]スピロ[ベンゾ[c]チオフェン−1(3H)−4’−ピペリジン]2(S)−オキシド・塩酸塩、及び
N−[3(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−5−[4−[3(R)−(N−メチルカルバモイルメチル)−2−オキソピペリジン−1−イル]ピペリジン−1−イル]−2(Z)−(メトキシイミノ)ペンチル]−N−メチル−3,5−ジクロロベンズアミド、
からなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記のタキキニンのアンタゴニストは、0.01〜50mg/mLの濃度で存在することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記のタキキニンのアンタゴニストは、0.1〜10mg/mLの濃度で存在することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の医薬組成物を有する乳児の食事用の食料。
【請求項20】
当該食料は、乳であることを特徴とする請求項19に記載の食料。

【公表番号】特表2008−517977(P2008−517977A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538414(P2007−538414)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/055575
【国際公開番号】WO2006/045820
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507111025)ラボラトリ グイドッティ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【Fターム(参考)】