説明

小冊子の製本装置

【課題】本発明は、直交状に配した第1ラインと第2ラインとの間に人材(作業者)を配置することなく効率よく小冊子の製本作業が一貫処理できるようにした小冊子の製本装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る小冊子の製本装置は、印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉2を移送しつつ複数の折丁3を得る第1ライン4と、該第1ライン4に対して直交状に流れ該流れに沿って移送しつつ各折丁3を小冊子とする仕上処理のための第2ライン5とを設け、該第1ライン4と第2ライン5との間に、前記複数の折丁を第2ライン上で仕上処理可能な間隔Wになるように受け渡す受渡手段6を設けたことを特徴とし、第1ラインにおいて得た横並び状の複数の冊子を第2ライン上に充分な処理間隔をあけて供給できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉を用い、その糊付け折込み工程から仕上処理工程までを一貫して効率よく行えるようにした小冊子の製本装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等に附属する仕様書や商品等の宣伝書など比較的頁数の少ない小冊子の製本をするには、印刷所において分割印刷された紙葉を移送しつつ複数の折丁を得る第1ラインを設け、該第1ラインに対して直交状に流れ、該流れに沿って移送しつつ各折丁を小冊子とする仕上処理のための第2ラインを設けている。この第2ラインの仕上処理として、第1ラインで得た折丁の背側を除く三方の余白(小口、天、地)をカットするための三方裁断機を用いるものが知られている(特開平11−99768号)が、各折丁を小冊子とする仕上処理を第2ラインと第3ラインとに分けて処理するようにした製本装置も現実には存在する。
【特許文献1】特開平11−99768号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記第1ラインにより横並び状に複数の折丁を得、該折丁を第2ライン上で仕上処理をするときは、通常、第1ラインと第2ラインの作業を分断していることが多い。なぜならば、第1ラインで横並び状に得た複数の折丁を、これに直交する第2ライン上で仕上処理をしようとすると、各折丁が第2ライン上で数珠繋ぎ状に連続して移送されてしまい、仕上処理部において渋滞を生じさせ、処理不能に陥るおそれがあったためである。したがって、通常では第1ラインで得た折丁をいったん貯留し、これを手作業で第2ライン上に仕上処理部における処理可能な間隔をあけて供給するための人材(作業者)が必要になっていた。
【0004】
本発明は、上記問題を解消したもので、その目的とするところは、直交状に配した第1ラインと第2ラインとの間に人材を配置することなく効率よく小冊子の製本作業が一貫処理できるようにした小冊子の製本装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る小冊子の製本装置は、印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉を移送しつつ複数の折丁を得る第1ラインと、該第1ラインに対して直交状に流れ該流れに沿って移送しつつ各折丁を小冊子とする仕上処理のための第2ラインとを設け、該第1ラインと第2ラインとの間に、前記複数の折丁を第2ライン上で仕上処理可能な間隔になるように受け渡す受渡手段を設けたことを特徴とし、第1ラインにおいて得た横並び状の複数の冊子を第2ライン上に充分な処理間隔をあけて供給できるように構成した。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係る小冊子の製本装置は、前記受渡手段が末広がり状に配された複数のベルト搬送体からなることを特徴とし、第2ライン上での処理間隔が機械的かつ簡易に得られるように構成した。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る小冊子の製本装置は、印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉から第1ラインにて複数の折丁を得、その折丁を第2ラインで背より2つ折りしたり余白をカットなどの仕上処理をするときに、第2ライン上の仕上処理部で数珠繋ぎ状に連続して移送されることがないようになり、第1ラインと第2ラインとを連続して配置し、しかもその間に人材を配置する必要がなく、小冊子を連続的に効率よく製本ができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る小冊子の製本装置は、前記受渡手段は、末広がり状に配された複数のベルト搬送体からなり、ベルト搬送体により機械的かつ確実に所定間隔を保つようになるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の態様を図に基づいて説明する。図1は本願製本装置の略示的平面図、図2は紙葉のカット位置、糊付位置、折込位置を示す拡大平面図、図3は紙葉の折順で(イ)は初回、(ロ)は2回目、(ハ)は最終回、図4は完成した小冊子の略示的斜視図である。
【0010】
本願製本装置1は、印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉2を移送しつつ複数の折丁3を得る第1ライン4と、該第1ライン4に対して直交状に流れ該流れに沿って移送しつつ各折丁3を仕上処理する第2ライン5とを設け、これらの間に前記複数の折丁3が第2ライン5上で所定の間隔Wをあけて供給できるように受け渡す受渡手段6を設けてなる。
【0011】
前記紙葉2は、図2の如く、横並びに3分割面A、B、Cを形成するため、2条のカット位置(二点鎖線)a、a′が定められている。また、各分割面A、B、Cにはそれぞれ糊付位置(破線)b、b′、b″と、折込位置(一点鎖線)c、c′、c″が定められ、これら糊付位置(破線)と折込位置(一点鎖線)により区画された各面(長方形)には折り順で定まる頁順や上下の向きが揃うように、表裏にグラビア印刷等による印刷(図示せず)が施されている。
【0012】
前記第1ライン4では、給紙機41より給紙された紙葉を移送しつつ前記紙葉2の糊付位置bに第1糊付機42で糊付けし、第1折込機43にて折込位置cを谷折りすると、図3(イ)の如く折込みが終了する。この初回の折込面Iは該糊付位置bにおいて重畳面と接着されている。続いて、糊付位置b′に第2糊付機44で糊付けされ、第2折込機45にて折込位置c′が図3(ロ)の如く谷折りされる。この2回目の折込み面IIは該糊付位置b′において重畳面と接着されている。更に、糊付位置b″に第3糊付機46で糊付けし、第3折込機47にて折込位置c″を図3(ハ)の如く谷折りする。この最終回の折込み面IIIは該糊付位置b″において重畳面と接着されている。
【0013】
このように折込まれた紙葉2は、前記第1ライン4上に設けた裁断機48にて前記カット位置a、a′より図3(ハ)の二点鎖線で示すように裁断され、3つの折丁3に分割され、そのまま横並び状に前方に移送されて前記第1ライン4と第2ライン5との間に設けた前記受渡手段6に移行することとなる。
【0014】
前記受渡手段6は、前記3つの折丁3の数に合わせて末広がり状に配した右、中、左の3つのベルト搬送体61、62、63からなる。しかして、前記ベルト搬送体61、62及び63は第1ライン4から受けた前記折丁3を第2ライン5の対応部位よりやや上流側と、対応位置への横スベリと、対応部位よりやや下流側へと、それぞれ受け渡される(供給)こととなる。したがって、3つの折丁3は第2ライン5上での仕上処理可能な間隔Wを保って移送されることとなる。
【0015】
前記第2ライン5には前記折丁3を小冊子(図4参照)9とする仕上処理のための仕上処理機7が備えられている。この仕上処理機7は、前記折丁3をその糊付位置b、b′、b″が背となるように谷折りする折機71と余白カット機72とを備えている。この折機71は2つ折り後その折部を圧迫する加圧部を備え、余白カット機72は小冊子の天、地をカットする。
【0016】
前記第2ライン5に対して直交状に流れる第3ライン8には、仕上処理のための余白カット機81を備えている。該余白カット機81は小冊子9の小口をカットする。小口をカットされて完成された小冊子は第3ライン8上に沿って流れ、貯留部10に貯留され、箱詰めあるいは梱包等のフニッシャー(図示せず)を経て出荷される。
【0017】
なお、上記装置の各部の構成は図示の例には限らない。また、前記余白カット機72は小冊子の天、地を、余白カット機81は小冊子の小口をそれぞれカットすると記載しているが、これは表現上のもので、小冊子の体裁が、図4の如く、背を中心にして横方向にめくる形態のものでは「天、地」であるも、背を中心にして縦方向にめくる形態のものでは「左、右」となる。要は、ラインの流れ方向に沿って余白をカットすることを意味しているものである。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本願製本装置1は、印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉を用い、その糊付け折込み工程から仕上処理工程までを一貫して効率よく小冊子の製造が可能な装置であり、特に、商品等に附属する仕様書(マニュアル)や商品等の宣伝のための解説書などの如く比較的頁数の少ない小冊子の製本をする技術として産業上広く利用されるものであると考える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願製本装置の略示的平面図である。
【図2】紙葉のカット位置、糊付位置、折込位置を示す平面斜視図である。
【図3】紙葉の折順で、(イ)は初回、(ロ)は2回目、(ハ)は最終回である。
【図4】完成した小冊子の略示的斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 本願製本装置
2 紙葉
A、B、C 3分割面
a、a′ カット位置
b、b′、b″ 糊付位置
c、c′、c″ 折込位置
3 折丁
4 第1ライン
41 給紙機
42 第1糊付機
43 第1折込機
44 第2糊付機
45 第2折込機
46 第3糊付機
47 第3折込機
48 裁断機
5 第2ライン
6 受渡手段
61、62、63 ベルト搬送体
7 仕上処理機
71 折機
72 余白カット機
8 第3ライン
81 余白カット機
9 小冊子
10 貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷所において横並び状に分割印刷された紙葉を移送しつつ複数の折丁を得る第1ラインと、該第1ラインに対して直交状に流れ該流れに沿って移送しつつ各折丁を小冊子とする仕上処理のための第2ラインとを設け、該第1ラインと第2ラインとの間に、前記複数の折丁を第2ライン上で仕上処理可能な間隔になるように受け渡す受渡手段を設けたことを特徴とする小冊子の製本装置。
【請求項2】
前記受渡手段は、末広がり状に配された複数のベルト搬送体からなることを特徴とする請求項1に記載の小冊子の製本装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−103211(P2006−103211A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294320(P2004−294320)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(503184348)株式会社タイメイバインダリー (1)
【Fターム(参考)】