説明

小分けピロー包装品及びその製造方法

【課題】小分けピロー包装専用機ではなく、1台の包装機で従来のピロー包装品と小分けのピロー包装品の両方を作り分けることができる方法を提供すること。
【解決手段】帯状フィルム上に対して被包装物を順次供給する被包装物供給工程、帯状フィルムを筒状に製袋する製袋工程と、その製袋工程にて筒状に製袋された筒状フィルムの両側縁が重ね合わされたフィルム重合端を熱シールするセンターシール工程と、その筒状フィルムの所定部位を横方向に熱シールと切断をするエンドシール工程とを備えた横型ピロー包装方法において、センターシール工程とエンドシール工程の間に筒状フィルムの縦方向に小分けのための熱シールする小分けシール工程と必要に応じて小分けシールに沿って切り目を入れる切り目工程を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常ピロー包装品と小分けピロー包装品を容易に作り分けることができるピロー包装品を製造する方法及びその方法で製造した小分けピロー包装品に関する。
【背景技術】
【0002】
充填物の充填操作と並行して帯状包材の筒状形成と該包材の横方向封止処理を連続して行う形式のピロー包装は、充填と包装を同時に行うことができる作業性に優れた包装方法であるため、各種製品の包装に広く用いられている(特許文献1〜3)。食品の包装にもピロー包装が多く用いられている。
食品の分野では、家族の人数の減少にともない、小分けされた商品に対する要望が高くなっている。また、食品の品質を保持するためにも小分けされていることが好ましい場合も多い。特許文献4に記されている小分け包装した鰹節のように最初から小分けしたパックを連続させて製造する装置や方法は多数あるが、消費者の要望に応じて、その都度、それらの装置、機械を新規に導入するのではコストがかかり、実際的ではない。
【0003】
【特許文献1】特開平8−91307号
【特許文献2】特開平8−91319号
【特許文献3】特開2004−345707号
【特許文献4】特開2003−300555号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、小分けピロー包装専用機ではなく、1台の包装機で従来のピロー包装品と小分けのピロー包装品の両方を作り分けることができる方法を提供することを課題とする。また、消費者の要望に応じて、小分けピロー包装品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、既存のピロー包装品を小分けにする方法を検討した。最初、できあがったピロー包装品の中央あたりを熱シールすることに想い到ったが、それでは、外観が美しくなく、生産性も低いことがわかった。
通常のピロー包装の製造工程を研究した結果、エンドシール後に小分けシールをするとゆがみやねじれが発生し、きれいな製品ができないが、エンドシール工程前の筒状フィルムがまだ連続してつながっている段階で小分けシールをするとそのようなゆがみが生じないこと、また、2つに小分けする場合、センターシールと同じ位置で小分けシールをすることがその段階であれば容易であり、センターシールと小分けシールがきれいに重なって、通常のピロー包装品を二次的に小分けにしたようにはならないことを見出した。
また、小分けシール工程を組み入れた製造工程、製造機にしても、センターシール工程後の小分けシール工程を作動させなければ、従来のピロー包装品も問題なくできることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明は、原反ロールから連続して引き出された帯状フィルムに対して被包装物を順次供給する被包装物供給工程、帯状フィルムを筒状に製袋する製袋工程と、その製袋工程にて筒状に製袋された筒状フィルムの両側縁が重ね合わされたフィルム重合端を熱シールするセンターシール工程と、その筒状フィルムの所定部位を横方向に熱シールと切断をするエンドシール工程とを備えた横型ピロー包装方法において、センターシール工程とエンドシール工程の間に筒状フィルムの縦方向に小分けのための熱シールする小分けシール工程を挿入したことを特徴とする小分けピロー包装品の製造方法を要旨とする。さらに、小分けシールに沿って切り目を入れる切り目工程を挿入した小分けピロー包装品の製造方法も要旨とする。この製造方法において、小分けシールをセンターシールと重なる位置で行うと外観上優れている。
【0007】
また、本発明は、ピロー包装品において、センターシールの両側を熱シールすることにより2分割されていることを特徴とする小分けピロー包装品を要旨とする。さらにその熱シール部分で切り離すことができるように切り目が入っていることを特徴とする小分けピロー包送品を要旨とする。小さな単位で包装されることにより品質の保持に適しているので、食品、特に乾燥や湿度の変化に弱い食品の包装に適している。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、複数個の製品が一緒にピロー包装された製品と小分け包装された製品を同じ装置、同じ包装フィルムを使用して容易に作り分けることができる。複数の設備を備える必要がなく、消費者の要望に応じて2種類の包装品を製造することができる。食品の包装などに適用すると、使い残りの食品が保存しやすく、消費者の使用に便利な小分け商品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の方法は、いわゆる横型のピロー包装用の装置のセンターシール工程とエンドシール工程の間に筒状フィルムの縦方向に小分けのための熱シールをする小分けシール工程と必要に応じて小分けシールに沿って切り目を入れる切り目工程を挿入する小分け包装品の製造方法である。帯状フィルムのフィルム端を熱シールするセンターシールした後、続いて小分けのための熱シールを行うのが好ましい。こうすることにより、フィルムが長いのでゆがむことなく、センターシールの位置が固定された状態で引き続き小分けシールを行うので、センターシールと小分けシールとが2分割であればきれいに重なり、3分割以上の場合でもセンターシールと小分けシールがきれいに平行に並び、ゆがんだりねじれたりすることがない。切り目も小分けシールに引き続き行えば位置決めが容易である。これらが終了した後、エンドシールをすることでゆがみねじれのない小分け包装品を製造することができる。具体的には、例えば、センターシールに続いて、ヒーターを備えたローラーで上下からフィルムをはさんで小分けシールを施すことができる。
【0010】
本発明に用いるフィルムは通常ピロー包装に用いられているものであればなんでも良い。包装する製品に応じて適宜選択される。食品では、例えば、OP/CPフィルム(延伸ポリプロピレンフィルムと未延伸ポリプロピレンフィルムを合わせた2層フィルム)等が使用されている。熱シールに適した素材であれば本発明の方法に対応することができるのであるから、通常のピロー包装素材であれば問題なく使用できる。
センターシールに沿ってその両側を熱シールする場合、図2の例に示すようにセンターシールの耳の部分はシールしないで、表側のフィルムとセンターシールの両側のフィルムのみが接着する程度の加熱をするのが外観上美しく仕上げるこつであり、また両側のフィルムが均等に接着されて好ましい。その際、センターシールの耳の部分の厚み分、片側が厚くなるのでその高低差を調節して熱をかけることにより、両側均等に熱をかけることができ好ましい。
【0011】
被包装品は横型ピロー包装に適している品であれば何でも良い。乾燥しやすい、湿気やすい、一度にたくさん使わないなど、小分けするメリットがある品物に使用するのが好ましい。小分けシールする際に被包装品を分割しやすい品物に適する。ひとつひとつの品物が一定の大きさがある竹輪、カニかま等の練り製品、茶、豆類のようなひとつひとつが小さい品物、湿気やすいせんべい、ビスケットのような菓子類が例示される。
【0012】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0013】
図1に典型的な横型ピロー包装を行う工程を、図2に小分けピロー包装の工程を模式的に示した。通常のピロー包装は図1に示すように帯状フィルム(図示されていない)上に被包装物(図1では竹輪の例)が整列されてコンベア(図示されていない)上を流れてくる。Aの部分でフィルムの端が合わされ熱シールによりセンターシールされる。センターシールされた後、被包装品の前後をエンドシールしカットされる。小分けピロー包装品の製造は図2に示すようにセンターシール後のフィルムと被包装品が整列したままの状態で引き続き小分け用の熱シールと必要に応じて切り目をいれる。フィルムが連続している状態で小分けシール、切り目入れを行うことでねじれやゆがみが発生せず、センターシールと小分けシールの位置をそろえるのも容易にできる。小分けシールをした後は通常の製法と同様にエンドシールを行う。このような製造方法を採用することにより、1台の装置で小分けシール機能を作動させるかさせないかをスイッチひとつで切り替えて、通常のピロー包装品と小分け包装品を作り分けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明により通常ピロー包装品と小分けピロー包装品を必要に応じて作り分けることができる。小分けされていることが望まれる、乾燥しやすいあるいは湿気やすいような食品等の包装として利用できる。複数の設備を必要としないので、小規模の製造現場においても2種類の包装形態の製品を生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】通常のピロー包装品を製造する工程の概略図である(ラインを流れていく被包装品とシールのタイミングを示す図である)。
【図2】小分けピロー包装品を製造する工程の概略図である(ラインを流れていく被包装品とシールのタイミングを示す図である)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原反ロールから連続して引き出された帯状フィルムに対して被包装物を順次供給する被包装物供給工程、帯状フィルムを筒状に製袋する製袋工程と、その製袋工程にて筒状に製袋された筒状フィルムの両側縁が重ね合わされたフィルム重合端を熱シールするセンターシール工程と、その筒状フィルムの所定部位を横方向に熱シールと切断をするエンドシール工程とを備えた横型ピロー包装方法において、センターシール工程とエンドシール工程の間に筒状フィルムの縦方向に小分けのための熱シールする小分けシール工程を挿入したことを特徴とする小分けピロー包装品の製造方法。
【請求項2】
さらに小分けシールに沿って切り目を入れる切り目工程を挿入したことを特徴とする請求項1の小分けピロー包装品の製造方法。
【請求項3】
小分けシールをセンターシールと重なる位置で行う請求項1又は2の小分けピロー包装品の製造方法。
【請求項4】
ピロー包装品において、センターシールの両側を熱シールすることにより2分割されていることを特徴とする小分けピロー包装品。
【請求項5】
さらに、その熱シール部分で切り離すことができるように切り目が入っていることを特徴とする請求項4の小分けピロー包装品。
【請求項6】
被包装品が食品である請求項4又は5の小分けピロー包装品。
【請求項7】
被包装品が竹輪である請求項6の小分けピロー包装品。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−197046(P2007−197046A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17204(P2006−17204)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000004189)日本水産株式会社 (119)
【Fターム(参考)】