説明

小動物の光音響イメージング用画像化装置及び画像化方法

【課題手段】対象物1を光音響イメージングする装置100は照明装置10と検出装置20と容器装置50とを有する。照明装置10は対象物1を照射する光学部品を有する。検出装置20は対象物1で生成される音響信号を検出する。容器装置50は検出装置20と対象物1と適合伝達媒体53とを収容するタンク51を有する。容器装置50は照射装置10及び検出装置20に対して対象物1を位置決め及び移動する保持装置55を有する。光学部品は異なる方向から対象物1を照射するようタンク51内に配置される。検出装置20はタンク51内に配置される検出器要素22のアレイ21を有する。好ましい態様では保持装置は対象物1を収容する膜55を備え、膜は対象物1と媒体53とを互いから分離する。画像化装置100を用いて対象物1を光音響イメージングする方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の光音響イメージング(画像化)のために構成された画像化装置に関する。また本発明は、対象物の光音響イメージング用画像化方法に関する。特に本発明は、標的組織バイオマーカーの定量的三次元検出及び画像化のための装置及び方法に関し、さらに複数の波長を照射する臨床的小動物及び小生物画像化用途における装置及び方法に関する。本発明は、2008年7月25日に出願した国際特許出願第PCT/EP2008/006142号、及び2009年6月29日に出願した国際特許出願第PCT/EP2009/004687号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
多重スペクトル光音響トモグラフィー(Multi-spectral optoacoustic tomography:MSOT)は、数mmから数cmの組織において、分子特異性を有する発色剤を解像可能な方法である。この技術は、光音響の現象、つまり超短光パルスの吸収によって生じる熱弾性膨張による音波の生成に基づいている。生体組織の光音響呼掛信号(Optoacoustic interrogation)は、散乱が大きい組織の奥深くに入って散乱の影響を受けない空間分解能を保持すると共に、光学スペクトルのコントラスト特性を高くできるその能力を備えることから、最近特に注目されている。ここ十年間にわたって、光音響学は、組織画像化、主として脈管のコントラスト及びその対応する生理学的変化の解像、特に、酸素と結合しているヘモグロビンと酸素と結合していないヘモグロビン、浅血管解剖、脳障害及び機能的大脳血液動態変化、血液量及び酸素消費量変化、ならびにそれに関連する動的及び機能的ニューロンの活動の解像に用いることが検討されている。
【0003】
3Dの光音響イメージングにおける主な問題は、複数の空間的射影から記録信号を取得するのに時間がかかることである。トモグラフィーの用途においては、最良の画質で定量化して再構成を行うために、画像化対象物又は関心領域(region of interest:ROI)の周囲で、可能な限り多くの位置から光音響の応答データを収集しなければならない。
【0004】
生成された光音響波を効果的に伝播させて検出器の表面に到達させるためには、音響的に適した媒体を必要とする。一例として、画像化対象物と検出器要素を、水を満たした容器内に配置することがD.ラツァンスキー(Razansky)とV.ンツィアクリストス(Ntziachristos)によって提案されている(「医学物理」第34巻、2007年4293〜4301頁:非特許文献1)。ただし、この技術には以下の問題点がある。
【0005】
光音響応答を収集するために異なる位置に検出器要素を配置するには、移動ステージを容器に配置する必要がある。水中における移動ステージの動作によって、故障したり位置決めが再現できなくなることが起こり得る。さらに容器技術は、合成模型で実証されている。生体撮像の場合には、容器技術では、画像化対象物すなわち関心領域を水中にあるいはカップリング用の他の液状媒体内に配置することが必要となる。しかしながら、これは実際には厳しい制約となる。例えば、画像化対象物の生きている動物が水中に住んでいる場合、衛生的問題、疫学的問題及び総じて取り扱い問題といった種々の問題が直ちに生じる。また、動物を完全に液体内に沈めない限り、画像化するのに、身体の多くの領域に到達できなくなる。このため、特殊な呼吸用付属品を必要とし、さらに画像化構成全体が複雑になり、高速で信頼性あるデータ収集するのが複雑化する。
【0006】
生成された光音響応答は一般に弱く、SNRは低い。問題は、多重信号平均値算出によって通常解決されるが、これは、さらに事態を複雑にするだけで、ほとんどの用途で特に生体を扱う用途で画像化を困難にする。例えば、吸収半空間(absorbing half space)に影響を与える短いパルスビームを単純化した一次元の場合を考慮することにより、典型的な光音響の外乱の大きさのオーダーを概算できる。熱及び一時的なストレス閉じ込め条件下では、圧力上昇分布P(r)は以下のように表せる。
【0007】
【数1】

【0008】
ここで、生物組織の典型的パラメータは、熱膨張度がβ=3・10-4(℃-1)であり、音速がCs=15・10-4(cm s-1)であり、定圧比熱容量がCp=4.186(Jg-1-1)であり、光吸収係数がμa=0.3cm-1である(K.V.ラーリンらの「物理学ジャーナルD応用物理学」第38(15)巻、2005年、2645〜2653頁(非特許文献2)参照)。典型的な画像化のケースにおいて、最大限許容可能な流束量φ=20mJ/cm2で組織を照射しても、光が照射される組織表面に1kPa未満の大きさの光音響外乱を与えるだけであり、これは、検出器の表面上での検出可能な圧力変化より小さいオーダーに過ぎない。深組織画像化が関心の対象であれば、圧力変化はさらに光減衰及び音響分散に影響されることになり、このため、信号がさらに1桁以上下がり、その結果、検出に利用できるのは僅か数パスカルである。最後に、トモグラフィーのデータが幾つかの異なる波長で記録される多重スペクトル光音響トモグラフィー(MSOT)データ収集を考慮すると、3D画像収集時間は直ちに非現実的であることが判る。
【0009】
あるいは、複数の小領域(ポイント)検出器を対象物の周りに分散し信号を平均化して、SNRと取得時間を適当なだけ改善することもできる。これは、ノイズフロアが信号平均値の数の平方根に反比例するという事実による。実際的な画像化透視及びSNRの考察から、したがって、複数回の測定や平均を用いることにより熱的ノイズを低減するよりも、検出感度自体を向上させることがいずれにしても望ましいといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許出願番号第PCT/EP2008/006142号明細書
【特許文献2】国際特許出願番号第PCT/EP2009/004687号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】D.ラツァンスキー,V.ンツィアクリストス「医学物理」第34巻、2007年4293〜4301頁(D. Razansky, V. Ntziachristos "Med. Phys." Vol. 34, 2007, pp. 4293-4301.)
【非特許文献2】K.V.ラーリン他「物理学ジャーナルD応用物理学」第38(15)巻、2005年、2645〜2653頁参照(K. V. Larin et al. in "Journal of Physics D-Applied Physics" vol. 38(15), 2005, p. 2645-2653)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来の技術の欠点及び制約を解消する、対象物を光音響的に画像化する改良された画像化装置を提供することにある。特に、改良された画像化装置は、高性能で定量的な光音響イメージングを行える。さらに、本発明の目的は、対象物の光音響イメージングのための改良された画像化方法を提供することにある。特に、変化が速い生物学的現象、バイオマーカー分布のリアルタイム可視化、薬動学、治療反応等の研究を可能にできるモデル生物の全身画像化及びインビボ疾病バイオマーカーの高速収集画像化アプローチの開発に関連する。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0013】
上記の目的は、独立請求項の特徴を有する画像化装置及び/又は方法により達成される。本発明の好ましい態様は、従属請求項に定義される。さらに上記の目的は、詳細説明において詳述する画像化装置及び/又は方法により達成される。
【0014】
本発明の第一の側面によれば、対象物を光音響イメージングするよう構成された画像化装置が、照明装置と、検出器装置と、容器装置と、を備える。照明装置は、対象物をパルス照射するよう配置された光学部品を有する。検出器装置は、対象物において生成される音響信号を検出するよう配置される。容器装置は、検出器装置と対象物と適合伝達媒体(特に整合液体)とを収容するよう配置される。容器装置は、容器内の対象物を位置決めできる保持装置を収容する。対象物を保持する保持装置と、照射装置及び検出器装置と、が互いに対して移動できるよう、画像化装置は構成される。
【0015】
本発明の第二の側面によれば、対象物を光音響イメージングする画像化方法は、適合伝達媒体及び検出器装置が収容された容器装置内に、保持装置によって対象物を位置決めする工程と、照射装置の光学部品を介して対象物を照射する工程と、検出器装置によって照射に反応して対象物に生成された音響信号を検出する工程と、音響信号を分析することにより対象物の断層画像を再構成する工程とを備える。音響信号を検出する工程では、対象物を有する保持装置と、照射装置及び検出器装置とが互いに対して移動する。
【0016】
本発明では、少なくとも照射装置の光学部品の内の幾つかは、容器装置内に配置される。さらに照射装置の光学部品は、異なる方向から対象物を照射することができるように、配置される。光学部品は、ビームを曲げかつ/又は集束させて対象物に向かうよう構成される任意の要素を備える。有用には、関心所定領域(特に対象物の所定の検出面)のパターン照射は、対象物の異なる側に光学部品を分散配置させることにより得られる。光学部品は、対象物を収容する保持装置の直近に配置できる。照射パターンは、好ましい態様においては、対象軸に垂直な線状照射とする。線状照射は、対象物を囲むようにして複数の角度から投射できる。その強度は、光が対象物の表面の周囲に均質(又はほぼ均質)に到達するよう、その線状に亘って変化させることができる。従来技術とは異なり、容器壁又は実験装置の他の部品によるひずみを回避できる上、照射パワーすなわちエネルギーを関心領域にのみ集中させることにより、照明強度を実質的に向上できる。また音響信号を検出する際は、対象物を、照射装置の光学部品に対して保持装置によって移動させる。あるいは光学系側を、対象物上でパターン状に走査させる。このような移動(走査移動)によって、関心領域(特に検出面)が対象物に亘って移動する。この移動には、一般に回転及び/又は並進を含めることもできる。
【0017】
さらに本発明によれば、検出器装置が、容器装置内に配置されるアレイ状の検出器要素を含むこともできる。また複数の位置で時分割共有される単一の検出器を用いることも可能である。ただ、光音響の応答を異なる位置で同時に収集するには、検出器アレイを使用することが有効である。アレイ状の検出器要素は、所定の固定位置に複数の検出器要素を有する任意のデバイスを備えている。好ましい態様において、検出器要素は線状(又は面状)照射パターンに対応して、スペースにおいて所定の直線又は曲線(あるいは平面又は曲面)に沿って分散配置されている。これにより、検出器は照射された容量領域から検出を行う。検出器要素は、互いに並んで隣接して、かつ/又は相互に間隔を隔てて配置できる。音響信号を検出する際に、アレイ状の検出器要素に対して対象物を保持装置によって移動でき(走査移動)、又は検出、照射あるいはその両方を対象物に対して適用することもできる。
【0018】
ここで提案する方法では、複数の広領域集束超音波検出要素を用いて高速データ収集する並列検出構成を用いる。照射空間配列及び検出空間配列は共に、高速データ収集及びリアルタイム画像再構成のために最適化される。解剖学的及び機能的情報を表す標的の画像や、固有の又は外部から投与されたバイオマーカーあるいは造影剤の分布を構成するために、光音響のデータが複数の励起波長において連続して収集される。検出器は、線に沿って効果的に集束的に配向できる(照射パターンと対応させて対象軸に対して垂直に円筒状に集束できる)。ただ本発明によれば、他のパターンを用いて上述したように実施することもできる。例えば、三次元データを収集するよう、球形に集束的に配向させた要素又は構成、あるいは集束的に配向されていない要素とできる。
【0019】
好ましくは、本発明は小動物の組織、中間視的サイズの組織(つまり100μm〜10cm以上、例えば100μm〜5cm、特に1mm〜3cmの範囲の典型的な大きさの組織)、人体の組織あるいは組織構成要素(あるいは人体と同等なサイズの動物の身体)の画像化に用いられる。
【0020】
好ましくは、走査移動の際に再構成される対象物の画像は、リアルタイムに収集され再構成される2D画像からなる。リアルタイムでの画像化は、2Dの単一波長又は多波長画像を2秒以下(例えば1s以下特に500ms以下)の時間内に収集することを意味する。3D画像は、走査移動の際に走査された検出面に沿った対象物の一連の2D画像に基づいて構成できる。一連の2D画像は、好ましくは、検出器装置の検出面に対して対象物の調整と、パルス照射光で対象物を照射する工程と、調整された対象位置での音響信号の検出と、を順に行い、照射及び検出を、異なる波長の照射光で少なくとも2回(例えば3回、4回あるいは5回以上)繰り返すことによって、収集される。3D画像の構成では、少なくとも5つのスライス(例えば20スライス、好ましくは100スライス、同じく200スライス以上)の一連のスライスが収集される。
【0021】
本発明の好ましい態様では、検出器装置は、所定の関心領域(特に対象物における所定の検出面)に向かって集束的に配向される、アレイ状の集束検出器要素を備える。有用なことに、これにより、信号収集の信号対雑音比が向上する。集束検出器要素は、主感度方向(集束方向)に感度分布を有する。好ましくは、検出器要素は、圧電性フィルム検出器要素及び干渉測定信号を記録するよう構成されたフィルム検出器要素の少なくとも一つを備える。
【0022】
発明のさらに好ましい態様では、検出器要素は、円弧に沿って対象物を少なくとも部分的に囲んで配置される。円弧状(例えば半円形状)のアレイ状の検出器要素が対象物及び検出器アレイの互いに対する移動経路を少なくとも部分的に囲むように、検出器装置が構成される。検出器要素は、3D画像化のために対象物が走査される検出面に沿って広がる。
【0023】
好ましくは、画像化装置は半円筒状(180°)の検出幾何学的配置を提供する。検出器要素の円弧は180°広がっている。この幾何学的配置の利点は、対象物を適合媒体に「浸漬」できると共に、(円筒状)検出幾何学的配置によって視野角(投影)を向上できることにある。
【0024】
さらに有用には、用いる光学部品のタイプに関して特に制限するものではないが、光学部品は、好ましくは、容器内に光学ミラー又は光ファイバーを備えることができる。光ファイバーは、最小の損失で照明光線パルスを対象物へガイドできる光ファイバーが、特に好ましい。本発明の更に好ましい態様では、光ファイバーは、複数のアーム(例えば少なくとも3つのアーム、好ましくは少なくとも5つのアーム、例えば10以上のアーム)を有するファイバーバンドルを備える。好ましくは、光ファイバーは、方位角ラインに沿って均等に間隔を隔てて配置される角度で対象物を囲むよう、配置される。本発明の更に好ましい態様では、光学部品(好ましくは光ファイバー)は、リング状パターンで対象物を照射するように配置されている。
【0025】
更に本発明の好ましい態様では、保持装置は、対象物を担持するよう配置された棒状又は板状の保持要素を有する。この対象物は、棒状又は板状の保持要素と直接的に接続することができる。この場合、対象物は、容器内の適合伝達媒体内に直接的に浸漬される。本発明の他の好ましい態様では、保持装置は、対象物を収容するよう配置された膜を備えている。膜は、対象物を適合伝達媒体から分離する。この対象物は、適合伝達媒体と直接的には接しない。膜は、好ましくは対象物を照射し音響信号を検出するよう音響的かつ光学的に整合している。ここで音響的整合(Acoustic matching)とは、膜の表面における音響反射が最小化されていることを意味する。また光学的整合(Optical matching)とは、膜が照射やエネルギー付与の波長に対して光学的に透明な材料で形成されていることを意味する。膜は、好適にはポリ塩化ビニルプラスチゾル(PVCP)、ポリエチレン及びラテックスの少なくとも1つで形成されている。音響的及び光学的損失を極減するため、膜の厚さは5mm以下、好ましくは1mm以下、例えば200μm以下とする。
【0026】
音響的及び光学的に整合した膜を設置させるという本発明の構成によって、光音響検出のため検出器装置が埋設された適合伝達媒体から、画像化対象物を分離できる。これにより、適合伝達媒体(例えば水)と直接的に接することなく、実用的な画像化に応用できる。
【0027】
保持装置は、好ましくは膜を担持するように配置された枠状の保持要素を備える。袋(あるいはポケット、剛体でない容器等)が画像化対象物を収容可能に形成されるよう、枠状の保持要素に膜を固定できる。対象物の上部側が周辺の気体雰囲気(例えば空気)に露出されるように、対象物を収容した膜を容器中の適合伝達媒体に浸漬できる。枠形の保持要素を、異なる形状(例えば円形管)に形成することができる場合は、対象物の質量中心あるいは対象物の中心軸が、同じく部分的に円形幾何学形状に形成された曲面状超音波検出アレイの中心にある。この構成により、対象物を適合伝達媒体の上部に配置することと比較して、適合伝達媒体内において対象物を低くすることができ、したがって対応する周囲の多重要素検出器によって対象物の内部から生成される音響応答の有効範囲を向上できる。さらに好適には、枠状の保持要素を移動可能とできる。枠状保持要素は、走査移動を行うよう、容器内のガイドレールに沿って移動できる。
【0028】
さらに有用には、膜の利用によって、例えば動物のような生きている対象物でも画像化できる。この場合は、対象を麻酔処理する麻酔装置を画像化装置に配置できる。
【0029】
本発明の画像化装置は、国際特許出願第PCT/EP2008/006142号明細書及び同PCT/EP2009/004687号明細書(特許文献1、2)において記載される画像化及び画像再構成方法を実行するのに適している。このため照射装置は、異なる波長で対象物を照射するのに適している。照射装置は、波長調整機能を有するレーザ源を備えている。好ましくは、照射装置は波長走査のため傾斜(角度チューニング)可能な非線形結晶を有するチューナブル光学パラメトリック発振器(OPO)レーザである。OPO装置は、本発明のリアルタイム画像化に適した高速波長変化を可能にすることが判明した。
【0030】
要約すると、本発明は国際特許出願第PCT/EP2008/006142号から継続してなされた出願であり、特に小動物の全身又は局部のリアルタイム非接触多重スペクトル光音響トモグラフィーの効率的な方法及びシステムを提供することを目的としている。このため画像化装置(信号収集デバイス)は、電磁エネルギー源(例えばパルスレーザ源)と、少なくとも1つの音響検出要素を有する、検出器アレイ及び/又は単一の検出器を有する音響信号検出器装置とを備えた照射装置を備える。他のソース(源)は、キロヘルツ(kHz)〜ギガヘルツ(GHz)の範囲の周波数(つまり無線周波数)や、その周辺の周波数を有するソースを有する(後述参照)。好ましくは、音響学的に整合している膜が、少なくとも1つの音響の検出要素が収容されている液状媒体から画像化対象物を分離するように備えられている。好適には、膜によって、画像化対象物を液状媒体に浸漬させずに画像化できる。以下に説明する例では、対象物は透明な膜に配置されて、レーザ源により照射される。膜は、好ましくは光学的に透明で、また音の伝播を著しく変化させない材料で形成されている(例えば音響整合させた膜)。このようにして、レーザ照射及び誘導された光音響応答の両方が効率的に伝達され易くなる。また膜は、画像化対象物が水と直接的に接することなく画像化できるように、適切な配置状態としている。
【0031】
さらに別の方法によれば、上記本願の目的は、本発明の以下の側面に鑑みて変更された画像化装置及び/又は方法によって達成される。以下の変形例では、上述した本発明の態様が備える特徴の内幾つかを、変更した特徴と置き換えたり組み合せることで上記本発明の目的を達成できる。
【0032】
本発明の他の側面によれば、多重要素アレイを、空間的解像データ又は断層撮影データを得るために対象物の近傍あるいは周囲で走査される単一の、集束的に配向された又は集束的に配向されていない検出器要素と置き換えることができる。この場合、典型的には非リアルタイムの態様となり、例えば腫瘍のある動物の局所的領域を画像化する際に有効となる。この場合には、移動ステージを用いて一次元又は二次元に沿った球状に集束的に配向させた検出器要素で線形走査することによって、関心領域の2D又は3Dの画像を、例えば超音波画像化において既知のディレイ・アンド・サム(delay-and-sum)アルゴリズムを用いて得ることができる。したがって、光エネルギーが関心領域にのみ集中するように、対象物の照射が調整される。単一の検出器要素を用いる場合には、対象物の膜内への収容と好ましく組み合わせることができる。
【0033】
また本発明の更に他の側面によれば、光学部品及び検出器装置に対する保持装置の移動を、保持装置に対する光学部品及び検出器装置の移動と、又は光学部品と検出器装置と保持装置との互いに対する組み合わせ移動と、置き換えできる。
【0034】
さらに本発明の他の側面によれば、光学的な音響信号の生成による画像化を、熱音響画像化と置き換えることができる。この場合、照射装置のレーザ源は、例えば無線周波数範囲内の複数の周波数を有する電磁パルス源を備えた生成装置と、置き換えられる。さらに光学部品を、容器装置のタンク外側又はタンク内側に密封した状態で配置可能なアンテナ又は導波管等の照射部品と、置き換えることもできる。
【0035】
本発明の更なる詳細及び利点を、添付した以下の図面を参照しながら、以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の画像化装置の好ましい実施形態の概略図である。
【図2】本発明の画像化装置の好ましい実施形態の概略図である。
【図3】本発明の画像化装置の第1実施形態の更なる細部の概略図である。
【図4】本発明の画像化装置において用いられるアレイ状の検出器要素の細部である。
【図5】AF750及び共通の組織発色団のモル吸光度の波長依存性のグラフである。
【図6】本発明の画像化装置のさらに好ましい実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の好ましい実施形態を、画像化装置の例示的な構造及び動作を参照しながら、以下説明する。画像化及び画像再構成方法の各部の詳細は、国際特許出願第PCT/EP2008/006142号及びPCT/EP2009/004687号に記載されているようにして実施される。これらの出願の内容を、特に標的組織バイオマーカーの定量的三次元検出及び音響信号の分析、具体的には複数の波長を照射する臨床的小動物及び小生物画像化用途に関して、本明細書中に参照して援用する。さらに蛍光蛋白質やプローブ等、分子特異性を有する内来あるいは外来リポーター剤の導入により、この技術を分子画像化用途にも拡大できる。この場合は、背景組織吸収から重要なリポーター剤の特定のスペクトルサインを見分けるために、多重スペクトル照射を用いることが有望なアプローチである。光音響学を用いる生理学的分子マーカーの画像化には、組み合わせによっては、現代の顕微鏡法の性能を遙かに凌ぐ深度に亘って高解像度フォトニック画像を得られる可能性もある。
【0038】
図1は、照射装置10と、検出器装置20と、制御装置30と、タンク51を含む容器装置50とを備えた、本発明の好ましい実施形態に係る画像化装置100を示している。制御装置30は、照射装置10と検出器装置20とを制御し、さらに画像再構成方法の各工程を実施するように配設される。タンク51には、適合伝達媒体53(例えば水、油)が収容される。照射装置10は、レーザ源11と、水タンク51に配置された光ファイバーあるいはミラー等の光学部品17、18を備える。容器装置50は、透明な膜55を備えた保持装置をさらに有する。マウス等の画像化対象物1は、z方向で表す主な長さ(長手方向、対象軸)を有する。
【0039】
図1に示すように、レーザ源11によって照射される画像化対象物1は、透明な膜55上に配置される。膜55は、音の伝播を著しく変化させない光学的に透明な材料で形成されている(例えば、ポリ塩化ビニルプラスチゾル(PVCP)又はポリエチレンの薄膜で形成された、音響的に整合された膜)。このようにして、レーザ照射及び誘導された光音響応答の両方が効率的に伝達され易くなる。また膜55は、画像化対象物1が水と直接的に接することなく画像化できるよう、適切な配置状態となるようにしている。膜55は、検出器アレイ21が浸漬される水タンク51に接して配置される。
【0040】
検出器アレイ21は、画像化対象物1を囲む、例えば180°の円弧を形成する64個の音響検出要素22を備える曲面状アレイである。図1の例においては、音響検出要素22はすべて、二次元検出面(描画面、x−y面)からの信号を同時に収集できるよう、検出面において円筒状に集束的に配向されている。これにより画像化装置100は、リアルタイムに2次元データを収集する。
【0041】
ここで変形実施形態に係る画像化装置100の概略斜視図を、図2に示す。照射装置10は、レーザ11と、容器51に固定して配置された袋状の膜55内に配置された画像化対象物1(図示せず)に対して照射する光学部品17、18及び19とを備える。光学部品17、18及び19は、レーザ11によって放射された光パルスをオプティカルカプラー12を介して伝達する光ファイバーを有している。また検出器装置20は、共通ブロックに一体化されたアレイ状の検出器要素21を備える。この検出器装置20は、容器51の底部に固定して配置される。照射装置10及び検出器装置20の両方は、制御装置(図示せず)と接続されている。
【0042】
他の選択的な例として、画像化対象物に異なる側から照射するための光学部品17、18及び19に、平面鏡や曲面鏡を用いることもできる。またレーザ源からの光を、タンク51内の適合伝達媒体53の上部面を介してミラーに連結することもできる。この場合は、タンク壁によるひずみを抑制できる。
【0043】
保持装置55及び56は、画像化対象物を、照射装置10の光学部品17、18、19、及び検出器装置20に対して、位置決めしつつ移動するように配置している。その移動方向は、検出面に垂直(すなわちz方向)である。この保持装置は、膜55と、膜55が装着される枠状の保持要素56とを備える。また後述する図3に示すように、枠状保持要素56は容器装置内においてガイドレールによって支持することもできる。膜55は、図1に示すように、下から画像化対象物を支持する袋や、複数の面から画像化対象物を覆うカバーを提供できる。特に、膜は管又はホースの形状とすることもできる。この場合、完全な膜体を、端部が閉塞されているか、又は適合伝達媒体の表面上に位置されているとき、適合伝達媒体へ浸漬させることができる。
【0044】
さらに、変形例である第2実施形態に係る画像化装置100の概略側面図を、図3に示す。照射装置10は、導光ファイバー13を介してオプティカルカプラー12に接続されているレーザ11を備える。オプティカルカプラー12は、各々の出力端が画像化対象物1に面するよう固定配置された複数の光ファイバー17及び18と接続される。光ファイバー17及び18は、互いに距離を隔てた状態に図示している。実用的には、光ファイバー17及び18は、各出力端が袋状の膜55及び画像化対象物1を囲む円弧状に配置される。
【0045】
断層撮影再構成で適切な画質を得るために、画像化対象物を画像化面で確実に均一に照射するよう、光は画像化対象物に対して複数の方向から照射される。このことは、例えば自由空間光ビームを分割する手段を用いて(例示ではファイバーバンドルを用いる)光を導光することで実現できる。好ましい実施形態においては、バンドル10は、画像化対象物の近傍に配置され、360°を10等分して間隔を設けた角度から、画像化対象物を照射するアームへと分割される。最も好ましくは、照射光が、画像化対象物の表面上でリング状パターンを形成する。この照射リングの有効幅は、画像化対象物の画像化面(断面)内で励起光強度を最大限に閉じ込めできるよう、最適に調整される。この際において、パルスレーザ光照射が組織暴露の安全制限に適合するように調整する。例えば「レーザの安全な使用に関する米国規格」ANSI Z136.1、アメリカン・レーザ・インスティチュート(2000年)で提案された、組織表面上の照射量が波長750nmにおいて20mJ/cm2を超えないように、光の幅を最小許容値に抑制することで実現できる。
【0046】
さらに検出器装置20は、容器51の外側で信号記録装置23と接続されている検出器要素22のアレイ21を備える。また照射装置10及び検出器装置20は、制御装置30と接続される。検出器要素22は、理想的には可能な限り大きくした検出帯域幅に直接的に対応する高解像度かつ高品質な光音響断層撮影再構成に要求される条件を考慮して選択される。この目的により、インビボでの高解像度光音響イメージングの潜在的なツールであることが既に実証された超広帯域の超音波検出技術、pVDFフィルム検出器等の圧電性ポリマーを有する検出器、及びファブリーペロー干渉測定検出器要素等を利用することが考えられる。後者の広帯域のアプローチと比較すると、PZTや他の圧電複合技術は、一般的には、より高いSNRとより高いエラー耐性を得られる反面、帯域幅が狭い。
【0047】
検出器アレイ21は、好ましくは図4に示すような音響検波器要素22を有する曲面凹状アレイである。一例として、音響検波器要素22の数は64〜256の範囲で選択できる。検出器要素22は、例えば画像化対象物1を囲むよう180°の円弧を形成する。図4の例では、ストリップ状の音響検出要素(ピッチp=0.98mm;高さh=15mm;要素間の間隔e=0.1mm)がそれぞれ、検出面において円筒状あるいは球状に集束的に配向される。これにより、リアルタイムで二次元の検出(画像)面からの信号を同時に取得できる。例えば、繰返し周波数10Hzのパルスレーザ源の場合、面内の2Dデータを一波長当たり100ms毎に収集できる。記録された光音響信号の大きさは、通常、検出器の面積に直接比例する。その一方でノイズフロア(noise floor)は、平均の数すなわち測定の数の平方根の関数として減少するに過ぎない。その結果、単一の集束配向された要素22は、例えば同じ検出面積にわたって広がる多重要素アレイよりも、SNRの点からは遙かに優れていることになる。したがって、検出面積と感度とを増加するような音響集束をここで用いれば、その代償として集束が行われる寸法に応じて画質と分解能を損なうことになる。したがって、この方法は収集速度と画像化性能のある種の妥協を含んでいるといえる。
【0048】
ガイドレール57は、図3に示すように枠状保持要素56を担持するよう容器51内に配置される。ホイール58がガイドレール57上を走行でき、モータ59が制御装置30と接続された状態で、枠状保持要素56が配置される。画像化対象物1を有する膜55は、モータ58の作動によりz方向に移動される。例えば画像化対象物を、図示した位置から破線で示した位置へ走査できる。保持装置に対して光学部品及び検出器装置を移動させるために、ガイドレールと駆動ユニットは、容器内(例えば容器の底面上)に配置できる。
【0049】
さらに図3は、麻酔ガス源61と、マウスのような検査対象の生きている画像化対象物の頭に設置されるマスク62とを備えた麻酔装置60を示している。麻酔装置60は、例えばX線CTあるいはMRI検査で用いられる動物ホルダ等の既知の部材で構成される。
【0050】
本発明の画像化方法を実施するために、画像化対象物1が容器51内の膜55上に配置される。一例として、麻酔を受けるヌード(無毛の)マウスが膜55上に配置される。膜は、超音波検出アレイ21が浸漬される適合伝達媒体53に接して配置されている。
【0051】
次に、三次元データ収集は、静止している照射検出面に対して画像化対象物1を走査することによって、あるいは静止している画像化対象物1に対して照射検出面を走査することによって行われる。画像再構成は、例えば円筒状あるいは球面状のラドン変換に基づいた逆射影アルゴリズムを用いて実現できる。多重スペクトル画像化用途の好ましい実施形態において、レーザ波長はそれぞれの画像面で走査され、画像化対象物又は画像面を他の位置に移動させる前にフルセットの断層撮影法データが、すべての必要な波長において収集される。これを行う理由は、あるバイオマーカーは、吸収の大きいバックグラウンドにおける極僅かな光吸収変化でも発見できるため、このような場合には定量化が僅かに不正確なだけでも不可解な結果をもたらすからである。
【0052】
好ましい実施形態においては、高速波長走査は、チューナブル光学パラメトリック発振器(OPO)レーザを用いて行われる。例えば、図5に特性スペクトルを示すAlexaFluor750TM(AF750)分子プローブを用いて、組織内における高感度検出を達成するために、プローブのピーク吸光度あたりの幾つかの波長、例えば5つの波長(710、730、750、770、790nm)で光音響イメージングを行うことが考えられる。パルス繰り返し周期が10Hz、つまり各パルスが100ms毎に出射される場合、OPOレーザの出力波長を、OPOの内部のポンピングビーム方向に対してBBO(BaB24)非線形結晶の角度を連続的に変化させることによって、710〜790nmの範囲で(100ms当たり20nmの速度で)反復的に走査することになる。この場合は、フルセットの多重スペクトル断層撮影データが、500ms毎に得られる。したがって、本アプローチでは、エラー耐性及び再現性のある結果を確実に与えることができる。これによりロバストで反復可能な結果が保証される。なぜなら、画像化対象物を光源と検出器の両方に対して完全に静止させたまま、フルセットの多重スペクトルのデータが得られるからである。
【0053】
図6は、本発明の画像化装置100の他の好ましい実施形態として、中間視的サイズの画像化対象物、及びマウスその他のげっ歯動物、ハエ、魚、虫、動物の胚といった小動物の生物医学的画像化のための装置を示している。画像化装置100は、照射装置10と、検出器装置20と、制御装置30とを備える。さらにタンク51と、画像化装置100の部品を位置決めするように構成された保持要素52、54とを有する容器装置50が備えられる。タンク51には、適合伝達媒体53(例えば水、油)が収容される。検査される画像化対象物(生きているマウス1)は、棒状あるいは板状保持要素の下部54に配置される。
【0054】
好ましくは、照射光の特性波長は、少なくとも100nm、好ましくは少なくとも400nm、特に好ましくは少なくとも650nmであり、かつ5000nm以下、好ましくは1200nm以下、特に好ましくは850nm以下である。この実施形態では、照射装置10は、好ましくは可視スペクトル又は近赤外スペクトルの光パルスを出射するよう構成されたレーザ源装置を有する。レーザ光のパルス幅は、好ましくはμs以下、特に好ましくは50ns以下である。
【0055】
照射装置10及び検出器装置20は、容器装置50の外側に配置されるケーシング31内で部分的に一体化される。照射装置10は、光学ミラー又は光ファイバーを用いることで、2つの反対方向17及び18からマウス1に光を照射するパルスレーザ源を備える。また検出器装置20は、音響検出器要素のアレイ21を備える。検出器装置20は、マウス1を有する保持要素52の近傍に配置される。好適なことには、検出器装置20の位置に関して特に制約はない。ただ、好ましい位置は、高い信号対雑音比で測定が得られるよう、画像化対象物に可能な限り接近させた位置である。上記の画像再構成を実現するため必要とされるのは、画像化対象物(マウス1)に対してアレイ状の検出器要素の位置情報のみである。
【0056】
なお図において概略的に例示した本実施形態は、小動物の検査に限定されるものでない。あるいは他の生体、例えばヒトやこれより大きな動物、あるいはその一部を画像化することもできる。このため、例えばマウス1の代わりに人間の患者の一部を、タンク51に収容することもできる。
【0057】
以上の例では、アレイ状の検出器要素を用いる場合を参照して本発明を説明したが、単一の検出器要素を用いて実施形態を実現するように、上述したアレイを、単一の検出器要素と少なくとも1つの移動ステージの組み合わせと置き換えることもできる。
【0058】
上述した詳細説明、図面及び特許請求の範囲における本発明の特徴は、種々の実施形態に係る発明を実施するために、個々に、又は組み合わせの両方で重要となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物(1)を光音響イメージングするよう構成された画像化装置(100)であって、
前記対象物(1)を照射するよう配置された光学部品を有する照射装置(10)と、
前記対象物(1)において生成される音響信号を検出するよう配置された検出器装置(20)と、
前記検出器装置(20)と前記対象物(1)と適合伝達媒体(53)とを収容するよう配置されたタンク(51)を有する容器装置(50)と、
を備えており、
前記容器装置(50)がさらに、前記照射装置(10)及び前記検出器装置(20)に対して前記対象物(1)を位置決め又は移動するように構成された保持装置(52,54,55)を有しており、
前記光学部品は、異なる方向から前記対象物(1)を照射するよう前記タンク(51)内に配置されており、
前記検出器装置(20)は、前記タンク(51)内に配置されるアレイ状の検出器要素を有してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像化装置であって、前記検出器装置(20)は、前記対象物における共通検出面に向かって集束的に配向される、アレイ状の集束検出器要素を有してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像化装置であって、
検出器要素は、
圧電性フィルム検出器要素及び、
干渉測定信号を記録するよう構成されたフィルム検出器要素の、
少なくとも一つを備えてなることを特徴とする画像化装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像化装置であって、
前記検出器要素は、円弧に沿って前記対象物(1)を少なくとも部分的に囲んで配置されてなることを特徴とする画像化装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像化装置であって、
前記検出器要素は180°の角度に広がって配置されてなることを特徴とする画像化装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像化装置であって、
前記光学部品は、前記タンク(51)内に配置された光学ミラーあるいは光ファイバーを備える、かつ/又は
前記光学部品は、前記対象物(1)を照射するようリング状パターンに配置されてなることを特徴とする画像化装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像化装置であって、
前記光ファイバーは、360°まで均等に間隔を隔てて配置された角度で配置された複数のアームを有するファイバーバンドルを有してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の画像化装置であって、
前記保持装置は、前記対象物(1)を担持するよう配置された棒状あるいは板状の保持要素(52,54)を有してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一に記載の画像化装置であって、
前記保持装置は前記対象物(1)を収容するよう配置された膜(55)を備えており、
前記膜は前記対象物(1)及び前記適合伝達媒体(53)を互いから分離してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像化装置であって、
前記膜は、
前記膜(55)が、前記対象物(1)を照射し音響信号を検出するよう音響的かつ光学的に整合していること、
前記膜(55)が、ポリ塩化ビニルプラスチゾル、ポリエチレン及びラテックスの少なくとも1つで形成されていること、及び
前記膜(55)の厚さが1mm未満であること、
の内少なくとも一つの特徴を有してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の画像化装置であって、
前記保持装置は、前記膜(55)を担持するよう配置された枠状の保持要素(56)を有してなることを特徴とする画像化装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像化装置であって、
前記枠状保持要素(56)が、前記タンク(51)内のガイドレール(57)に沿って移動可能であることを特徴とする画像化装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一に記載の画像化装置であって、さらに、
前記対象物(1)に麻酔処理を行うよう配置された麻酔装置(60)を備えてなることを特徴とする画像化装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一に記載の画像化装置であって、
前記照射装置(10)は、チューナブルレーザ、特に、波長走査のための傾斜可能な非線形結晶を有するチューナブル光学パラメトリック発振器レーザを備えてなることを特徴とする画像化装置。
【請求項15】
対象物(1)を光音響イメージングする画像化方法であって、
適合伝達媒体(53)及び検出器装置(20)が収容されている容器装置(50)のタンク(51)内に保持装置(52,54,55)によって前記対象物(1)を位置決めする工程と、
照射装置(10)の光学部品を介して前記対象物(1)を照射する工程と、
前記照射装置(10)及び前記検出器装置(20)に対して前記保持装置(52,54,55)によって前記対象物(1)を移動させながら、前記検出器装置(20)によって、前記対象物(1)において生成される音響信号を検出する工程と、
前記音響信号を分析することにより対象物(1)の画像を再構成する工程と、
を含む画像化方法であって、
前記光学部品は、異なる方向から前記対象物(1)を照射するようタンク(51)内に配置されており、
前記音響信号を、前記タンク(51)内に配置されるアレイ状の検出器要素によって検出してなることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の画像化方法であって、
対象物(1)の画像が、リアルタイムに再構成された2D画像であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の画像化方法であって、
前記音響信号を、前記対象物を横断する所定の検出面に向かって集束的に配向されるアレイ状の集束検出器要素によって検出し、かつ/又は
前記対象物(1)を、前記対象物(1)及び前記適合伝達媒体(53)を分離する膜に配置してなることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項15乃至17のいずれか一に記載の画像化方法であって、
前記検出器装置の検出面に対して前記対象物を調整する工程と、パルス照射光で前記対象物を照射する工程と、前記調整された対象物位置で音響信号を検出する工程と、を順に行い、
前記照射工程及び前記検出工程を、異なる波長の照射光で少なくとも2回繰り返してなることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−500091(P2013−500091A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522016(P2012−522016)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004542
【国際公開番号】WO2011/012274
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(398061245)ヘルムホルツ・ツェントルム・ミュンヒェン・ドイチェス・フォルシュンクスツェントルム・フューア・ゲズントハイト・ウント・ウムベルト(ゲーエムベーハー) (19)
【氏名又は名称原語表記】Helmholtz Zentrum Muenchen Deutsches Forschungszentrum fuer Gesundheit und Umwelt (GmbH)
【Fターム(参考)】