説明

小動物またはヒトにおける経皮送達方法

生物的なカーゴを載せたナノ粒子の動物またはヒトへの経皮送達のための方法およびデバイスが開示される。これらの粒子は、マルチモード光分子イメージングプローブを含んでよい。これらの粒子は、皮膚を通して吸収することができる形で提供し、動物またはヒトの皮膚にこれらを適用することによって送達される。適用は、皮膚に取り付け可能なデバイス中の生物的なカーゴを載せたナノ粒子を用いて達成される。デバイスは、単数または複数の血管拡張剤、またはマイクロニードル、あるいは多層時間放出材料を含むデバイスによって皮膚に直接取り付けられる。生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、薬物、ワクチン、バイオ医薬、イメージング造影剤、マルチモードイメージング造影剤、生物分子または抗感染薬を含んでよく、デバイスは、対応する第2の複数の別々の時間放出層の中に配置された第1の複数の異なる種類の生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含んでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、組成物、例えば光学的な、単一光子放射断層撮影(SPECT:Single photon emission computed tomography)の、マルチモードの、薬物的な、または生物的なカーゴを載せたナノ粒子の、小動物またはヒトへの皮膚投与または経皮投与に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の本発明の譲受人に譲渡された、同時係属の米国特許出願、すなわち、
2005年9月9日出願のビザード(Vizard)らによる「APPARATUS AND METHOD FOR MULTI−MODAL IMAGING」と題する通常出願第11/221,530号、
2006年4月10日出願のハーダー(Harder)らによる「FUNCTIONALIZED POLY(ETHYLENE GLYCOL)」と題する通常出願第11/400,935号、
2007年4月3日出願のレオン(Leon)らによる「LOADED LATEX OPTICAL MOLECULAR IMAGING PROBES」と題する通常出願第11/732,424号、
2007年4月23日出願のツェン(Zheng)らによる「IMAGING CONTRAST AGENTS USING NANOPARTICLES」と題する通常出願第11/738,558号、
2007年9月7日出願のハーダー(Harder)らによる「APPARATUS AND METHOD FOR MULTI−MODAL IMAGING USING NANOPARTICLE MULTI−MODAL IMAGING PROBES」と題する通常出願第12/196,300号、
2007年10月31日出願のツェン(Zheng)らによる「ACTIVATABLE IMAGING PROBE USING NANOPARTICLES」と題する通常出願第11/930,417号、
2008年1月30日出願のフィケ(Feke)らによる「APPARATUS AND METHOD FOR MULTIMODAL IMAGING」と題する仮出願第61/024,621号
が参照され、参照によってこれらの出願の開示が組み込まれる。
【0003】
電子イメージングシステムは、分子イメージングを可能にすることでよく知られている。例となる電子イメージングシステム10が図1に示され、概略が図2に図示されている。図示されているシステムは、イメージ・ステーション4000MMマルチモード・イメージング・システム(Image Station 4000MM Multimodal Imaging System)であり、ケアストリーム・ヘルス・インク(Carestream Health Inc.)から入手可能である(www.carestreamhealth.com参照)。システム10は、光源12、光コンパートメント14、コンパートメント14の中の任意選択のミラー16、レンズおよびカメラシステム18、ならびにコミュニケーションおよびコンピュータ制御システム20を含み、これは、ディスプレイデバイス、例えばコンピュータモニタを含むことができる。カメラおよびレンズシステム18は、図に示されていないが、蛍光イメージング用の発光フィルタホイールを含むことができる。光源12は、図に示されていないが、蛍光励起または明視野カラーイメージング用の励起フィルターセレクタを含むことができる。動作時、レンズおよびカメラシステム18を用いて物体のイメージが捉えられ、レンズおよびカメラシステム18は、光イメージを電子イメージへ変換し、電子イメージはディジタル化することができる。ディジタル化されたイメージは、ディスプレイデバイス上に表示し、メモリ中に保存し、離れた場所に送信し、加工してイメージを改善し、および/または使用してイメージの恒久的複写物を印刷することができる。ビザード(Vizard)らの、参照によって本明細書に開示が組込まれる、米国特許第7,031,084号は、レンズおよびカメラシステム18に適している電子イメージングシステムの例を示している。
【0004】
これらの電子イメージングシステムの有効性を増加させるために、試験動物、ヒトまたは組織試料内の問題の細胞にイメージング剤を直接送達することができるナノ粒子プローブを開発することに相当な努力が集中されてきた。これらのナノ粒子は、生物内に、および生物内で生物剤、医薬品または診断薬を運ぶこともできる。これらの薬剤は、通常、薬物、治療薬、診断薬、生物適合化機能剤、造影剤、およびナノ粒子キャリアに取り付けられるかまたはナノ粒子キャリア内に含まれる標的部分で構成される。この分野における研究には、より大きな循環系内寿命、より高い特異性、より低い毒性、およびより大きな治療有効性のような意味深い利点を有するイメージング剤および治療剤を提供する目標がある。ナノ粒子集合体の分野の研究は、ガンおよびその他の生命を危うくする疾患の治療を顕著に改善する見込みがあり、それらの臨床診断および治療を革新する可能性がある。
【0005】
特定のナノ粒子は無毒であることが見いだされ、体内の小さな毛細血管中への進入、疾患部位への体内の輸送、生体バリア(血液脳関門および腸上皮を含むがこれに限定されるものではない)の通過、細胞内小胞への吸収、細胞膜の通過、および細胞内部の標的部位への輸送が可能である。そのサイズ範囲内の粒子は、より大きなサイズの微粒子と比べ動脈壁を通ってより効率的に移動すると考えられている。ラバセトウォー(Labhasetwar)ら、Adv.Drug Del.Res.24:63(1997)参照。いずれの特定の理論に束縛されることも望まないが、高い表面積対体積比のために、そのような粒子の標的法を成功させるには小さなサイズが必須であるとも考えられている。
【0006】
安定であり、その結果インビボ、特に血管内注射することができるだけでなく経皮投与することができるバイオ共役および標的化投与のためのキャリアとして用いられるナノ粒子を含む、マルチモード生物標的化単位またはイメージングプローブを作り出せば望ましいであろう。さらに、キャリアとして用いられる経皮投与されるナノ粒子は、生理条件(pH7.4および137mM NaCl)下で安定であることが望ましいであろう。さらにまた、そのような経皮投与される粒子は、免疫系による検知を回避することが望ましいであろう。
【0007】
さらに、光分子イメージングのために、サイズが100nm未満であり、蛋白質吸着を防ぎ、マルチモード生物標的化単位の取り付けに便利な取り付け部分を有するナノ粒子が必要である。これらのマルチモード生物標的化単位は、赤外(IR)、近赤外(NIR)において発光する発光染料を含んでよく、X線イメージングによって検出されることおよびX線イメージングを増強することができ、磁気共鳴イメージング(MRI)によって検出されることおよびMRIを増強することができ、光イメージングによって検出されることおよび光イメージングを増強することができる。
【0008】
現在、さまざまなナノ粒子プローブが前臨床研究のために小動物にも、ガン等のような疾患の診断および治療のためにヒトにもインビボ、特に血管内注射されている。ナノ粒子を含むこれらのマルチモード生体標的化単位またはイメージングプローブが皮膚投与され得るようになれば、あるいは経皮パッチによってより特異的に送達され得るようになればより望ましいであろう。
【0009】
現状では、受動皮膚経路、例えば皮膚に貼付されたパッチからの経皮送達によって多くの従来の医薬品組成物がヒトに投与されている。この経路によって日常的に投与されている薬物の例は、ニトログリセリン、ステロイドホルモン、およびいくつかの鎮痛剤(例えばフェンタニル)である。経皮投与は、消化管内における薬物の初期不活性化を回避し、通常は比較的短い期間(例えば1日または1週)にわたって患者による能動的な参加を必要とせずに連続かつ正確に制御された投薬量を提供する。連続的な持続した投与は、ピークおよび谷のない薬物のより良好なバイオアベイラビリティーを提供する。
【0010】
アウ(Au)らの米国特許第7,217,735号は、アポトーシス誘発剤、例えばパクリタキセルを投薬中に用いることによって組織、例えば固形組織または腫瘍の中への治療剤、例えば高分子および薬物の送達を増強するための方法を開示している。これらの方法は、組織内にチャネルを作り出し、組織の内部への治療薬の浸透を促進する。しかし、アウは、動物またはヒトの光分子イメージングを目的として設計された生物的な荷を載せたナノ粒子を導入するための経皮方法を用いることを教示していない。
【0011】
イシハラ(Ishihara)らによる米国特許出願公開第2007/0077286号は、脂溶性薬物および水溶性薬物の経皮または経粘膜インビボ吸収を可能にする効果を及ぼす外用剤または注射可能製剤を開示している。脂溶性薬物または脂溶化された水溶性薬物を含む1次ナノ粒子を2価または3価金属塩と作用させることによって薬物含有ナノ粒子(2次ナノ粒子)が提供される。イシハラは、動物またはヒトの光分子イメージングを目的として設計された生物的な荷を載せたナノ粒子を導入するための経皮方法を用いることを教示していない。
【0012】
カークビー(Kirkby)らによる米国特許出願公開第2006/0147509号は、皮膚に貼付されたパッチによる少なくとも1つの免疫原の個体への経皮送達のための組成物を開示している。PosIntro(登録商標)またはISCOMの形の免疫原が送達されてよい。カークビーは、感圧型接着剤と少なくとも1つのサポニンおよび少なくとも1つのステロールを含む免疫原送達システムとの形の閉塞ビヒクルによる免疫原の送達も教示している。カークビーは、動物またはヒトの光分子イメージングを目的として設計された生物的な荷を載せたナノ粒子を導入するための経皮方法を用いることを教示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0147509号
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0077286号
【特許文献3】米国特許第7,031,084号明細書
【特許文献4】米国特許第7,217,735号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ラバセトウォー(Labhasetwar)ら、Adv.Drug Del.Res.24:63(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
先行技術はどれも、マルチモードイメージングナノ粒子の経皮送達もマルチモード分子イメージングのためのマウスまたはヒトへの経皮送達も教示していない。先行技術は、試験動物、例えばマウスの尾の静脈への注入量を制御する上での知られている不確実さを回避する、経皮送達のためにマウスの尾に接着させるためのデバイスも開示していない。光学的な、SPECTの、マルチモードの、薬物的な、または生物的なカーゴを載せたナノ粒子を経皮パッチによって小動物またはヒトに正確かつ迅速に皮膚から送達することができれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のデバイスおよび方法により、製薬会社、バイオテック会社および学界における研究者は、小動物の侵襲性注射プロセスを回避することが可能になる。本発明は、実験または治験が数十匹、あるいは場合によっては数百匹の小動物を必要とするとき特に有用である。時間を節約するプロセスは別として、肝要な利点は、本発明を用いるときの投与送達の一様さである。尾静脈注射は、注射される量の不確実さが大きくなる傾向がある。
【0017】
本発明は、生物的なカーゴを載せたナノ粒子の動物またはヒトへの経皮送達のための方法およびデバイスの両方を含む。これらの粒子は、マルチモード光分子イメージングプローブを含んでよい。これらの粒子は、皮膚を通って吸収され得る形でこれらの粒子を提供すること、および動物またはヒトの皮膚にこれらの粒子を適用することによって送達されてよい。適用は、皮膚に取り付けられたデバイス中の生物的なカーゴを載せたナノ粒子を用いて達成されてよい。デバイスは、単数または複数の血管拡張剤を含むパッチ、マイクロニードルを含むパッチ、または多層時間放出材料を含むパッチによってヒトの皮膚に直接取り付けられてよい。動物の皮膚に直接取り付けられるデバイスは、尾に固定されてよく、単数または複数の血管拡張剤、マイクロニードルまたは多層時間放出材料を含んでよい。生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、薬物、ワクチン、生物医薬品、イメージング造影剤、マルチモードイメージング造影剤、生物分子または抗感染薬を含んでよい。デバイスは、対応する第2の複数の別々の時間放出層の中に配置された第1の複数の異なる種類の生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】例となる電子イメージングシステムを示す透視図である。
【図2】図1の電子イメージングシステムを示す概略図である。
【図3A】本発明に従って用いるのに適しているイメージングシステムを示す概略側面図である。
【図3B】図3Aのイメージングシステムを示す概略正面図である。
【図4】図3Aおよび図3Bのイメージングシステムを示す透視図である。
【図5】マウスの尾に取り付けられた本発明による経皮デバイスの概略図である。
【図6】図5の経皮デバイスの拡大された部分図であり、マウスの尾静脈の直近に取り付けられたところを示す図である。
【図7】本発明において用いられる経皮デバイスの一実施態様の断面図である。
【図8】図7の8−8の線に沿って見た経皮デバイスの層の概略横断面である。
【図9】本発明に従って用いられる前の経皮デバイスの接触表面を保護するための一実施態様を図示する概略断面である。
【図10】本発明に従って用いられる前の経皮デバイスの接触表面を保護するための第2の実施態様を図示する概略図である。
【図11】本発明に従ってマウスの尾に経皮デバイスを取り付けるための方法の第1の実施態様を図示する概略図である。
【図12】本発明に従ってマウスの尾に経皮デバイスを取り付けるための方法の第2の実施態様を図示する概略図である。
【図13】本発明に従ってマウスの尾に経皮デバイスを取り付けるための方法の第3の実施態様を図示する概略図である。
【図14】本発明に従う図3Aおよび図3Bのイメージングシステムの対象試料ステージ上の試料チャンバの中のマウスを示す概略部分図である。
【図15】本発明に従って作られた経皮パッチの透視図および部分概略図であり、図16の経皮パッチが皮膚の表面に配置されていることを説明する図である。
【図16】経皮パッチの一部分の断面図である。
【図17】本発明に従って作られた経皮デバイスの別の実施態様の一部分の断面図であり、受け部は多層時間放出材料を含むことを説明する図である。
【図18】本発明に従って作られた、単層時間放出材料を含む経皮デバイスのさらに別の実施態様の一部分の断面図である。
【図19】マイクロニードルの電子顕微鏡像クローズアップを示す図である。
【図20A】Nicoderm(商標)パッチによるKODAK X−SIGHTナノスフェアの非侵襲性送達の実験結果を示す図である。
【図20B】Nicoderm(商標)パッチによるKODAK X−SIGHTナノスフェアの非侵襲性送達の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
前述の、およびその他の、本発明の目的、特徴および利点は、添付の図面に図示されている、以下のより詳しい本発明の実施態様の記載から明らかになる。図面の要素は、必ずしも互いに一定の縮尺ではない。
【0020】
本発明の特定の好ましい実施態様を特に参照し、本発明を詳細に説明するが、本発明の技術思想および範囲の中で変化形および変更形が実施され得ると理解される。特に明記されない限り、技術用語は通常の用法に従って用いられる。Mack Publishing Companyによって刊行されたレミントン(Remington):The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,1995(ISBN 0−912734−04−3)に、薬理学における共通用語の定義が見いだされ得る。743ページおよび1577〜1584ページに経皮送達が詳しく考察されている。単数形「a」、「an」および「the」は、状況により明らかに異ならない限り、1つまたは2つ以上を指す。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味する。
【0021】
「生物活性」材料、組成物、物質または薬剤は、それが投与される被験体の生理機能に影響を及ぼす組成物である。組成物を作り出すために用いられる生物活性材料の例は、医薬品物質、例えば被験体に与えられて被験体の生理状態、例えば疾患、を変化させる薬物である。経皮送達することができる生物活性材料の例は、医薬品組成物を含む。本明細書において用いられる用語「生物活性材料」および/または「生物活性材料の粒子」は、生物(ヒトまたはヒト以外の動物)に投与されると局所および/または全身作用によって所望の薬理、免疫源および/または生理効果を誘発するあらゆる化合物または組成物を指す。従って、この用語は、蛋白質、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構成物および類似物などの分子を含む、従来から薬物、ワクチンおよび生物薬剤とみなされている化合物または化学品を包含する。さらに詳しくは、用語「生物活性材料」は、すべての主要治療分野において用いられる化合物または組成物を含む。これらの化合物または組成物は、抗感染薬、例えば抗生物質および抗ウイルス薬;鎮痛剤および鎮痛複合剤;局所麻酔薬および全身麻酔薬;摂食障害薬;抗関節炎薬;抗ぜん息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤;嘔吐抑制剤;抗片頭痛剤;抗悪性腫瘍剤;かゆみ止め;抗精神薬;解熱剤;鎮痙薬;心血管製剤(カルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、ベータ作動薬および抗不整脈剤を含む);抗高血圧剤;利尿剤;血管拡張剤;中枢神経系刺激剤;咳および風邪製剤;充血除去剤;診断薬;ホルモン;骨成長刺激剤および骨吸収抑制剤;免疫抑制剤;筋弛緩剤;精神刺激剤;鎮静剤;トランキライザー;蛋白質、ペプチドおよびそれらの断片(天然に生じたもの、化学合成されたものまたは組み換え産生されたものを問わない);および核酸分子(2つ以上のヌクレオチドのポリマー形であってリボヌクレオチド(RNA)またはデオキシリボヌクレオチド(DNA)のどちらでもよく、2本鎖分子および1本鎖分子ならびに高次コイル分子または縮合分子、遺伝子構成物、発現ベクター、プラスミド、アンチセンス分子および類似物を含む)を含むがこれに限定されるものではない。通常、単独または他の薬物または薬剤と組み合わされた生物活性材料の粒子が医薬品組成物として調製され、医薬品組成物は、1つ以上の添加された材料、例えばキャリア、ビヒクルおよび/または賦形剤を含んでよい。
【0022】
一般に、「キャリア」、「ビヒクル」および「賦形剤」は、非毒性であって組成物の他の成分と有害に相互作用しない実質的に不活性な材料を指す。これらの材料を用いて粒状医薬品組成物中の固体の量を増加させることができる。適当なキャリアの例は、シリコーン、ゼラチン、ワックスおよび類似の材料を含む。普通に使用される「賦形剤」の例は、医薬品グレードのデキストロース、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストラン、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、分解性ポリマー(例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそれらのコポリマー)、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0023】
さらに、医薬品組成物中に帯電脂質および/または洗剤を含むと望ましいことがある。そのような材料は、安定剤、抗酸化剤として用いてもよく、または投与部位における局所刺激の可能性を低下させるために用いてもよい。適当な帯電脂質は、ホスファチジルコリン(レシチン)および類似物を含むが、これに限定されるものではない。洗剤は、通常、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤または両性界面活性剤である。適当な界面活性剤の例は、例えばTergitol(登録商標)界面活性剤およびTriton(登録商標)界面活性剤(Union Carbide Chemicals and Plastics,Danbury,Conn.)、ポリオキシエチレンソルビタン、例えばTWEEN(登録商標)界面活性剤(Atlas Chemical Industry,Wilmington,Del.)、ポリオキシエチレンエーテル、例えばBrij、薬学的に許容される脂肪族硫酸エステル、例えばラウリルサルフェートおよびその塩(SDS)、ならびに類似の材料を含む。生物活性材料、組成物および薬剤は、他の生体分子、例えば蛋白質および核酸、またはリポソームおよび生物活性材料を含む他のキャリアビヒクルも含む。
【0024】
「皮膚の(cutaneous)」は皮膚を指し、「皮膚送達」は皮膚への適用を意味する。この形の送達は、局所または局部効果を提供する皮膚表面への送達、または経皮(transdermal)送達のどちらを含んでもよい。以下の用語は、下記に示されるように定義されるものとする。用語「経皮(transdermal)」送達は、経皮(transdermal)(または「皮膚を通じる(percutaneous)」)、すなわち皮膚を通る生物活性材料の通過による送達を指す。例えば、ハドグラフト(Hadgraft)およびガイ(Guy)編のTransdermal Drug Delivery:Developmental Issues and Research Initiatives,Marcel Dekker,Inc.,(1989)、ロビンソン(Robinson)およびリー(Lee)編のControlled Drug Delivery:Fundamentals and Applications,Marcel Dekker Inc.,(1987)およびキドニアス(Kydonieus)およびバーナー(Berner)編のTransdermal Delivery of Drugs,Vols.1−3,CRC Press,(1987)参照。
【0025】
生物活性材料組成物の臨床試験に関与する研究者は、数十匹から数百匹の小動物、例えばマウスをこれらの種類の実験のために用い、これらの実験のほとんどがこれらの動物のなんらかの種類のマルチモードイメージングを含む。マルチモードイメージングが効果的であるためには2つの要素が必要である。第1はマルチモードイメージングシステムであり、第2はイメージングプローブである。
【0026】
本明細書に記載される種類のイメージングシステムは、異なるモードのイメージングを用いてイメージを捉えるために研究者によって用いられるマルチモードイメージングシステムの例である。この種類のマルチモードイメージングシステムは、マルチモードイメージングを可能にし、単純化し、マルチモードイメージングによって、動物が効果的に固定される期間(数10分のことがある)にわたってプローブの相対運動を運動論的に分解することが可能になる。あるいは、同じ動物が、医薬品研究の完遂を保証するために必要とされる数日/数週の期間にわたって繰り返される完全イメージ解析に付され、対象動物を再度位置決めした後に正確な解剖学的な基準系(特にX線)が直ぐに再現されるという保証が伴う。
【0027】
本マルチモードイメージングシステムが支持するイメージングモードは、X線イメージング、明視野イメージング、暗視野イメージング(ルミネセンスイメージング、蛍光イメージングを含む)、および放射性同位元素イメージングを含む。これらのモードにおいて得られるイメージは、分析のためにさまざまに組み合わせてマージすることができる。例えば、対象物のX線イメージを対象物の近赤外蛍光イメージとマージ(merge:併合)して新しい分析用イメージを提供することができる。
【0028】
図3A、図3Bおよび図4に、本発明に従って用いるのに適するマルチモードイメージングシステムが図示されている。システム21は、図1および図2に図示されている構成要素を含んでいる。図3Aに最もよく示されるように、イメージングシステム21は、X線源22および対象試料ステージ23を含む。イメージングシステム21は、例えばファイバオプティックス24を用いる落射照明をさらに含み、ファイバ光学素子24は、適切な波長および発散の調整光を対象試料ステージ23の方に誘導して明視野イメージングまたは蛍光イメージングを提供する。対象試料ステージ23は試料環境25内に配置され、試料環境25はイメージ形成される物体へのアクセスを可能にしている。好ましくは、試料環境25は外光から遮断され、環境制御のための遮光気体ポートが取り付けられる。そのような環境制御は、制御されたX線イメージングのために、または図14に示されている特定の試料の検体のために望ましい可能性がある。環境制御は、8keV(空気吸収)未満での実際的なX線コントラストを可能にし、生物検体のための生命支援を助ける。
【0029】
イメージングシステム21は、試料環境25への簡便、安全および外光から遮断されたアクセスを提供するアクセス手段または部材26をさらに含む。アクセス手段は当業者に周知であり、ドア、開口部、迷路および類似物を含むことができる。さらに、好ましくは、試料環境25は試料メンテナンスまたは軟X線透過のための雰囲気調節(例えば温度/湿度/代替気体および類似物)を提供するようになっている。前述の米国特許出願第12/196,300号、第11/221,530号および仮出願第61/024,621に開示されている発明は、マルチモードイメージングが可能であり、本発明に従って用いるのに適している電子イメージングシステムの例である。
【0030】
マルチモードイメージングシステムが有効であるためにはイメージングプローブが必要である。上記で考察された「生物活性材料」組成物は、疾患診断を促進または改善するさまざまな薬剤も含んでよい。例えば、光学的な、SPECTの、MRIの、またはマルチモードのイメージングプローブは、生物的なカーゴを載せた(cargo-laden)ナノ粒子の形であってよい。
【0031】
生物、医薬品または診断成分を集合させてキャリアとして用いられる、記載されている生物的なカーゴを載せたナノ粒子とするために、これらの成分は、結合部を介してナノ粒子キャリアに取り付けることができる。「に取り付ける」は、成分がナノ粒子によって運ばれることを意味する。成分を溶解させ、非共有結合的にナノ粒子中に組み込むことができる。
【0032】
一般に、関心の対象の生物、医薬または診断成分とキャリアとして用いられるナノ粒子との間に結合部を形成するあらゆる方法を利用してよい。これは、リガンドの外来分子への直接的または結合部を介した間接的な共有結合、イオン結合または水素結合を含んでよい。結合部は、通常、複合体のそれぞれの成分上の酸、アルデヒド、ヒドロキシ、アミノ、ハロ芳香族、またはヒドロアゾ基の間のアミド、エステルまたはイミノ結合の形成による、生物、医薬または診断成分と、キャリアとして用いられるナノ粒子との共有結合によって形成される。結合部−COONR、−O−O−または−COOCを有する、当分野で認識されている生物的に変化しやすい共有結合の結合部、例えばイミノ結合およびいわゆる「活性」エステルが好ましい。関心の対象の生物、医薬または診断成分を、予め形成されたナノ粒子に取り付けてもよく、あるいは、関心の対象の成分を重合性単位に予め取り付け、ナノ粒子調製時に直接ナノ粒子の中に重合させてもよい。水素結合、例えば核酸の相補鎖の間に生じるものも、結合部形成のために用いてよい。
【0033】
前述の米国特許出願第11/401,343号に記載されているイメージングプローブにおいて、ナノ粒子は、式I:
(X)m−(Y)n−(Z)o
式I
(式中、Xは、イオン結合部分または水素結合部分を含む水溶性モノマーであり、Yは、重合性エチレン形不飽和基と結合した繰り返し形の、親水性単位を含む、水溶性マクロモノマーであり、Zは、多官能架橋用モノマーであり、mは、50〜90モル%の範囲であり、nは、2〜30モル%の範囲であり、oは、1〜15モル%の範囲である)の繰り返し形の、架橋されたエチレン形不飽和モノマーの水溶性の膨潤した分岐ポリマーネットワークを含むナノゲルの形である。本発明は、ナノゲルを調製するための方法にも関する。この方法は、モノマーX、YおよびZならびに開始剤の第1の部分の混合物のヘッダ組成物を水中で調製すること、第2の部分の開始剤、界面活性剤および1〜10%質量/質量のモノマーX、YおよびZの組成物を生じさせるのに十分な水とからなる反応器組成物を調製すること、反応器組成物の温度を重合温度にすること、反応器組成物を重合温度に反応の持続時間保持すること、およびヘッダ組成物を時間とともに反応器組成物に加えて反応混合物を形成させることを含む。ナノゲルは、式I:
(X)m−(Y)n−(Z)o
式I
(式中、mは、50〜90モル%の範囲であり、nは、2〜30モル%の範囲であり、oは、1〜15モル%の範囲である)の繰り返し形の、架橋されたエチレン形不飽和モノマーの水溶性の膨潤した分岐ポリマーネットワークを含む。イメージングプローブがマルチモードであるためには、プローブを作り上げているナノ粒子は2つ以上のイメージング成分、例えば蛍光イメージングのための近赤外染料およびX線イメージングのためのガドリニウムを持たなければならない。
【0034】
前述の米国特許出願第11/732,424号に記載されているイメージングプローブにおいては、荷を載せたラテックス粒子は、式II:
(X)m−(Y)n−(Z)o−(W)p
式II
(式中、Yは、少なくとも2つのエチレン形不飽和化学官能基を有する少なくとも1つのモノマーであり、Zは、300から10,000の間の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールマクロモノマーであり、Wは、X、YまたはZとは異なるエチレン形モノマーであり、Xは、少なくとも1つの水不溶性のアルコキシエチル含有モノマーであり、m、n、oおよびpは、各成分モノマーの質量パーセント範囲であり、ここで、mは、40〜90質量パーセントの間の範囲であり、nは、1〜10質量パーセントの間の範囲であり、oは、20〜60質量パーセントの間の範囲であり、pは、最大10質量パーセントであり、前記粒子は、蛍光染料を積載している)によって表される混合物から作られるラテックス材料を含んでよい。
【0035】
前述の米国特許出願第11/738,558号に記載されているイメージングプローブにおいて、ナノ粒子は、両親媒性ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーの自己集合から誘導されて架橋粒子を形成する。粒子の中にイメージング染料が固定化され、より詳しくは、イメージング染料は、共有結合化学結合によってナノ粒子のコアの中に固定化され、アルコキシシラン架橋の結果として有機/無機ハイブリッド材料が得られる。
【0036】
1つのブロックに選択性のある溶媒または混合溶媒の存在下で、両親媒性のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーには、さまざまな形態のコロイド凝集体に集合する能力があることがよく知られている。特に、水性媒質中の両親媒性のブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーからのポリマーミセルおよびナノ粒子の形成に顕著な関心が集まった。この組織化会合は、ポリマー鎖が再組織化して不溶性の疎水性ブロックと水との間の相互作用を最小化するときに起こる。得られるナノ粒子は、親水性ブロックセグメントの外側シェルによって囲まれた疎水性ブロックセグメントで構成されるコアを有する。両親媒性ミセル集合体のコア−シェル構造は、薬物送達の分野において新規なキャリアシステムとして利用された。
【0037】
本発明において有用である両親媒性コポリマーは、親水性の水溶性成分と疎水性の成分とを有する。有用な水溶性成分は、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(サッカライド)、デキストランおよびポリ(2−エチルオキサゾリン)、好ましくはポリ(エチレンオキシド)を含む。本発明において有用な疎水性成分は、スチレン誘導体、アクリルアミド、(メタ)アクリラート、ラクトン、乳酸およびアミノ酸を含むが、これに限定されるものではない。好ましくは、疎水性成分は、スチレン誘導体、および架橋性アルコキシシラン基を含む(メタ)アクリラートから誘導される。イメージング染料は、疎水性成分の架橋性基と反応することができる官能基を含み、共有結合によってナノ粒子のコアの中に固定化される。より詳しくは、イメージング染料は、アルコキシシラン基を含む。イメージング染料はナノ粒子の中に固定化されているので、量子効率が増強される。前述の米国特許出願第11/930,417号に適当な粒子が記載されている。
【0038】
前述の米国特許出願第11/930,417号に記載されているイメージングプローブにおいて、ナノ粒子は、アミン修飾シリカナノ粒子の形であってよく、アミン官能基を含む生物適合性ポリマーシェルを有してよい。コア/シェル粒子には、1つ以上の蛍光基、ポリマー基、例えばポリエチレングリコール、標的化分子、抗体またはペプチドが取り付けられる。前述の米国特許出願第11/165,849号に適当な粒子が記載されている。特に好ましいのは、近赤外蛍光コアを有し、アミン基および/またはポリエチレングリコールがそれらの表面に取り付けられているシリカナノ粒子である。例えば、生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、酸化物コア、共有結合によって酸化物コアに取り付けられた生物適合性ポリマーシェル、電磁放射に応答して発光を生じる染料、染料の発光を消光する消光剤、および共有結合によってプローブを染料および消光剤からなる群から選ばれる成分と結合させる開裂性ペプチドを含み、ペプチドが開裂すると成分がプローブから解放されるようになっている、ナノ粒子イメージングプローブであってよい。プローブは、100nm未満のサイズを有し、染料分子の発光は、成分がプローブに結合していると消光され、成分がプローブから解放されると消光されない。
【0039】
マルチモードイメージングプローブにおいて、ナノ粒子は、1つ以上のイメージングモード、例えばルミネセンスまたは蛍光イメージング成分、X線およびMRIによってイメージ形成することができる1つ以上のイメージング成分を有する。
【0040】
ルミネセンスまたは蛍光イメージング成分は、近赤外染料であってよい。蛍光団は、リン光、蛍光ならびに化学ルミネセンスおよび生物ルミネセンスを含むルミネセンスを発する有機、無機または金属材料を含む。蛍光団の例は、有機染料、例えば、ナフタロシアニン、フタロシアニン、ポルフィリン、クマリン、オキサノール、フルオレセイン、ローダミン、シアニン、ジピロメタン、アザジピロメタン、スクアレイン、フェノキサジンの類に属するもの;金を含む金属、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム;および蛋白質、例えば緑色蛍光蛋白質およびフィコビリ蛋白、ならびにルミナール、置換ベンジジン、置換カルバゾール、置換ナフトール、置換ベンゾチアゾリン、および置換アクリダンの酸化による化学ルミネセンスを含む。
【0041】
MRI+光学:
【化1】

【0042】
図中、Dyeは、構造式
【化2】


または、
【化3】


によって表される。
【0043】
MRI造影剤:
【化4】

【0044】
放射性同位元素および染料のマルチモード:
【化5】


図中、DYEは、構造式
【化6】


または、
【化7】


または、
【化8】


によって表される。式中、DYEは、構造式
【化9】


によって表される。
【0045】
X線および光学のためのマルチモード:
【化10】


図中、DYEは、構造式
【化11】


または、
【化12】


によって表される。
【0046】
X線造影剤:
【化13】

【0047】
2008年8月7日出願の前述の米国特許出願第12/221,839号に記載されているイメージングプローブにおいて、生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、式1に示されている架橋ポリマーを含む積載反応性ラテックス粒子であってよい。前記架橋ポリマーは、少なくとも45%の水不溶性モノマー、および反応性ハロ芳香族共役基を有する1〜30質量%のモノマーを含み、式III:
(X)m−(Y)n−(V)q−(T)o−(W)p
式III
の分子イメージング剤を載せている。式中、mは、40〜80質量パーセントの範囲であってよく、nは、1〜10質量パーセントの範囲であってよく、qは、1〜30質量パーセントの範囲であってよく、oは、10〜60質量パーセントの範囲であってよく、pは、最大10質量パーセントである。Xは、式IV:
【化14】


式IV
に示されている水不溶性のアルコキシエチル含有モノマーである。ここで、Rは、メチルまたは水素であり、Rは、最大10の炭素を含むアルキルまたはアリール基である。Yは、2つのエチレン形不飽和化学官能基を含む少なくとも1つのモノマーであり、Wは、X、Y、VまたはTとは異なるエチレン形モノマーであり、Vは、ポリエチレングリコール−メタクリラート誘導体(式Vに示される)である。式Vは、
【化15】


式V モノマーVの化学構造
nは1より大きく、130より小さく、好ましくは5から110であり、CGは、4−ハロ−3−ニトロベンゾエート、2−ハロ−3−ニトロベンゾエート、2−ハロ−4−ニトロベンゾエート、4−ハロ−2−ニトロベンゾエート、2−ハロ−5−ニトロベンゾエート、3−ハロ−2−ニトロベンゾエート、2−ハロニコチネート、4−ハロニコチネート、6−ハロニコチネート、2−ハロイソニコチネート、および3−ハロイソニコチネートから選ばれる。ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選ばれる。Tは、式VIに示されるポリエチレングリコールアクリラート含有マクロモノマーである。
【化16】


式VI モノマーTの化学構造
は、水素またはメチルであり、qは、5〜220であり、rは、1〜10であり、RGは、水素または官能基である。
【0048】
現在、これらの生物的なカーゴを載せたナノ粒子を投与するための第1の方法は、尾静脈注射による。この投与方法は、時間がかかるとともに、送達される生物活性材料の量の制御などの問題を免れない。従って、本発明は、制御された能動、受動または時間方法での生物活性材料(生物的なカーゴを載せたナノ粒子)の送達のためのデバイスおよび方法の両方を目的とする。次に、図5を参照すると、マウス29の尾28に取り付けられた経皮デバイス27が示されている。図6の拡大図に示されている好ましい実施態様において、経皮デバイス27は尾28に固定され、それによって経皮デバイス27はマウスの尾静脈30に密着して配置されている。
【0049】
次に、図7および8に図示されている断面図を参照すると、経皮デバイス27は、複数の層、すなわち、噛み付き防止保護カバー32、接着剤を含んでよい内層35、生物活性材料、例えば、ニコチン酸、ニコチネートエステル、パパベリン、グリセリルトリニトレート、リドカン、リンスドミン、ニカルジピン、カプロニウムクロリド、アセチルコリン、ニコチンおよびその類縁体のリストから選ばれる単数または複数の血管拡張剤と混合された生物的なカーゴを載せたナノ粒子、を含む1つ以上の吸収剤層、例えば符号45aおよび符号45bで示す吸収材層、を含む吸収剤セクション40、およびコア50を含む。噛み付き防止保護カバー32は、シリコーン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS、PVC、ポリカーボネート、HDPE(高密度ポリエチレン)、Kraton(登録商標)(Kraton Polymers U.S.LLC,Houston,TX)、PeBax(登録商標)(Arkema,Inc.,Philadelphia,PA)、Plexiglass(登録商標)(Arkema,Inc.,Philadelphia,PA)、ポリアセタールDelrin(登録商標)(E.I.duPont de Nemours and Company,Wilmington,DE)、金属またはポリウレタンなどの材料で作られていてよい。コア50は、層35の内部に配置され、シリコーン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ABS、PVC、ポリカーボネート、HDPE、Kraton(登録商標)、PeBax(登録商標)、Plexiglass(登録商標)、Delrin(登録商標)、またはポリウレタンなどの材料で作られていてよい。コア50は、内層35の接触表面55の健全性を保存する役割を果たす。図9の矢印60によって示されるように、コア50は使用の直前に取り除かれ、従って接触表面55が露出される。接触表面55は、図19に示され、後で説明されるマイクロニードルのアレイを含んでよい。
【0050】
コア50に代って、またはコア50に加えて、図7および8にも示されている内部保護層65を用いて接触表面55を保護してもよい。内部保護層65は、ゼラチンであってよく、図10に図示されているように、内部保護層65が存在するとき、それは、以下のステップを用いて綿棒70により取り除かれる。ステップ「A」において、最初に、先端75に液体、例えば蒸留水または食塩水を含む綿棒70がその容器(図示していない)から取り出され、矢印80によって示されるように経皮デバイス27の中に挿入される。次に、ステップ「B」において、綿棒の先端75は矢印85によって示されるように前後に動かされ、内部保護層65を取り除き、従って接触表面55を露出させる。ステップ「C」において、綿棒の先端75は矢印90によって示されるように経皮デバイス27から取り出される。経皮デバイス27は、これで、マウスの尾28の挿入のための準備ができている。
【0051】
図11に、経皮デバイス27を取り付けるための方法の第1の実施態様が示されている。経皮デバイス27は、矢印100によって示されるように、スロット95を通して尾28を経皮デバイス27の中に滑り込ませることによってマウス29の上に配置される。次に、経皮デバイス27は、矢印105によって示されるように、ラッチ110の2つの二半部が噛み合い、単数または複数の血管拡張剤42と混合された生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含む吸収剤セクション40が尾28と密着することが確実になるまでデバイス27を押して閉めることによって、マウスの尾28の上に固定される。
【0052】
図12に、経皮デバイス27を取り付けるための方法の第2の実施態様が示されている。経皮デバイス27は、2つの二半部27a、27bに形成され、これらが、矢印115によって示されるように、尾28をこれらの二半部の間に配置し、これらの2つを噛み合わせることによってマウス29の上に配置される。次に、経皮デバイス27は、矢印115によって示されるように、2つのラッチ120が噛み合い、単数または複数の血管拡張剤42と混合された生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含む吸収剤セクション40が尾28と密着することが確実になるまで二半部27a、27bを押して閉めることによって、尾28の上に固定される。
【0053】
図13に、経皮デバイス27を取り付けるための方法の第3の実施態様が示されている。変形可能なフルオロプラスチック材料、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE、一般にTFEと呼ばれている)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP),パーフルオロアルコキシ(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリ(エチレン−クロロトリフルオロエチレン)(ECTFE)コポリマー、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはポリフッ化ビニル(PVF)、から作られた外部保護カバー32を有する経皮デバイス27が作られている。デバイス27は、矢印130によって示されるように、デバイス27の中心穴125の中に尾28を滑り込ませ、経皮デバイス27を静かに絞って尾28の周りにデバイスをしっかりと密着させることによってマウス29の上に配置され、従って、単数または複数の血管拡張剤42と混合された生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含む吸収剤セクション40が尾28と密着することが確実になる。
【0054】
図14は、図3Aおよび3Bのイメージングシステム21の試料チャンバ25および対象試料ステージ23の部分概略図を示している。マウス29は、チャンバ25の中に配置されると、呼吸デバイス、例えば遮光された気体ポートを通してチャンバ25に入るチューブ145を介して外部供給源につながれたノーズコーンまたはマスク140、によって麻酔を投与される。この手順全体にわたり、矢印150によって表される麻酔がマウスを鎮静させる。
【0055】
試験被験体としてマウスを用いることに加え、研究者は、自身の実験において、より大きな動物、例えばウサギ、ブタ、ヤギ等も用いる。より大きな動物が用いられるとき、生物活性材料は、通常、注射によって血管内に投与されてきた。繰り返すが、医薬、バイオテクの企業および学界の研究者たちがこれらの生物活性材料の経皮送達により侵襲性の注射プロセスを回避することが可能になれば非常に有利であろう。もちろん、これらの生物活性材料をヒトに投与することについても同じことが成立する。
【0056】
経皮デバイスを用いて生物活性材料、例えば前述の生物的なカーゴを載せたナノ粒子の形のイメージングプローブ、をウサギに投与する際に、経皮デバイスは、皮膚表面に直接貼付されるパッチの形であってよい。パッチを動物に貼付するとき、毛皮または毛は、通常、例えば剃ることによって除かれる。図15に図示されている例において、前述の、単数または複数の血管拡張剤と混合された生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含む経皮バッチ200がヒトの腕210の皮膚表面205に直接貼付される。送達可能なカーゴを有するパッチは、動物またはヒトの「作用標的」、例えば、目に見える腫瘍、表面腫瘍、創傷、病気の器官、またはその他の以前に診断されている組織の直近に投与することができる。これは、「標的部位」におけるカーゴの濃縮を容易にし、(i)損失が最小となり、(ii)分解が最小となり、(iii)望ましくない生理損傷がなくなり、(iv)修飾が最小となる等であろう。
【0057】
図16に図示されている経皮パッチ200は、保護層215、例えば、取り除いて吸収剤層または受け取り層225の下表面220(皮膚205と接触することになり、示されていない接着ストリップを有してもよい)を露出させることができる液体不透過性の薄いポリエステルの層、を含む複数の層を含んでいる。織物または他の吸収剤材料が、生物活性材料、例えば血管拡張剤42と混合された生物的なカーゴを載せたナノ粒子を含む受け取り層225を形成してよい(図17および18に記載されている)。層225は、図15に示されているように下表面220によって皮膚表面205に接着されてよい。最後に、パッチ200は、同じく液体不透過性の薄いポリエステルで作られている上部保護層230を含んでよい。1つの特定の実施態様において、生物活性材料42、例えば、光学的な、SPECTの、マルチモードの、薬物的な、または生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、ニコチン酸、ニコチネートエステル、パパベリン、グリセリルトリニトレート、リドカン、リンスドミン、ニカルジピン、カプロニウムクロリドおよびアセチルコリンのリストから選ばれた血管拡張薬と混合されてよい。混合物は、パッチ200の吸収剤層225の中に含まれ、皮膚205に貼付されると、皮膚205がパッチ200から生物活性材料を徐々に、正確かつ均一に吸収することが可能になる。
【0058】
これらの多くの種類の経皮パッチのいずれが用いられてもよく、あるいは送達システムとともに用いられるように改変されてもよい。例えば、Testderm(登録商標)経皮システム(Alza Pharmaceuticals)は、透明ポリエステルのフレキシブル裏地および、皮膚表面と接触し、システムからの活性薬剤の放出速度を調節するエチレン−酢酸ビニルコポリマーのテストステロン含有膜を用いている。薬物含有膜の表面は、ポリイソブチレンとコロイド二酸化ケイ素との薄い接着性ストライプによって部分的に覆われて薬物膜を皮膚と長時間接触させ続ける。
【0059】
図17は、吸収剤層225が多層時間放出物質300である吸収層225の実施態様を図示している。図17に図示されている例においては、4つの別々の時間放出層305a,305b,305cおよび305dがある。時間放出を達成するために、経皮デバイス27またはパッチ200は、生物活性材料、例えば、前記の生物的なカーゴを載せたナノ粒子42を、個別の生物的なカーゴを載せたナノ粒子310,311,312および313のその適切な個別の時間放出層305a,305b,305cおよび305d中の配置によって、送達する。多層時間放出材料300は、数層の個別層を含む。これらの層のそれぞれの中への、およびそれぞれを通る薬物の拡散性は、それぞれの層の中の材料の種類によって調節することができる。常時放出層305a,305b,305cおよび305dのために1つの材料、例えば架橋ゼラチンが用いられる場合、時間放出層のそれぞれの間に半透過層320,325および330が配置されて層305a,305b,305cおよび305dを通る時間放出の生物的なカーゴを載せたナノ粒子310“A”,311“B”,312“C”および313“D”の拡散速度をそれぞれ制御してよい。半透過層320は、生物的なカーゴを載せたナノ粒子311“B” ,312“C”および313“D”に対しては透過性であるが、生物的なカーゴを載せたナノ粒子310“A」に対しては透過性でない。同様に、半透過層325は、生物的なカーゴを載せたナノ粒子312“C”および313“D”に対しては透過性であるが、生物的なカーゴを載せたナノ粒子311“B」に対しては透過性でなく、半透過層330は、生物的なカーゴを載せたナノ粒子313“D”に対しては透過性であるが、生物的なカーゴを載せたナノ粒子312“C”に対しては透過性でない。半透過層を用いると、矢印335によって示されるように、時間放出の生物的なカーゴを載せたナノ粒子310“A” ,311“B” ,312“C”および313“D”の皮膚への時限拡散を、制御することができる。
【0060】
一例として、多層時間放出材料300は、デキストラン−ビスアクリルアミドハイドロゲル(305a)、デキストラン−メタクリラートハイドロゲル(305b)、カルボキシメチルデキストランハイドロゲル(305c)およびジビニルベンゼン−メタクリル酸ハイドロゲル(305d)の時間放出層をそれぞれ含んでよく、各層の厚さは、10μmから200μmである。各層の中のナノ粒子は、KODAK X−SIGHTナノスフェア761(層305aの中のナノ粒子313“D”)、X−SIGHTナノスフェア691(層305bの中のナノ粒子312“C”)、積載反応性ナノスケールラテックス粒子(層305cの中のナノ粒子311“B”)および架橋有機−無機ハイブリッドナノ粒子(層305dの中のナノ粒子310“A”)であってよい。
【0061】
図18は、経皮送達システムが単層時間放出材料340を含む吸収剤層225の別の実施態様を図示している。吸収剤層225は、生物活性材料、例えば、生物的なカーゴを載せたナノ粒子42または310“A”および311“B”のためのキャリアとしての役目もある接着剤345、例えばDURO−TAK(登録商標)(National Adhesives,Bridgewater,NJ)の単層を含んでいる。生物的なカーゴを載せたナノ粒子42が時間放出するようにホストに分配される利用形において、接着剤−時間放出キャリア材料340は、単層を通る生物的なカーゴを載せたナノ粒子42のホスト中への移動を制御するか、または制御を支援する。時間放出キャリア材料340は、デキストランハイドロゲル、デキストラン−メタクリラートハイドロゲル、カルボキシルメチルデキストランハイドロゲル、デキストラン−ポリラクチドハイドロゲル、ポリ(ビニルアルコール)ハイドロゲル、ヘパリン−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ビニルアルコール)ハイドロゲル、ポリ(アクリル酸)ハイドロゲル、ジビニルベンゼン−メタクリル酸コポリマーハイドロゲル、ポリアクリルアミドハイドロゲル、アクリルアミド−ビスアクリルアミドコポリマーハイドロゲル、シリコーンハイドロゲルを含むポリマーベースのハイドロゲルであってよい。別の実施態様において、同じく、生物的なカーゴを載せたナノ粒子310“A”と生物的なカーゴを載せたナノ粒子311“B”との両方が1つの層の中に入れられてもよく、または生物的なカーゴを載せたナノ粒子310“A”が層2(図示してない)の中に入れられ、層1を通るその拡散を制御することにより、その送達を弱めてもよいであろう。これらの方法のいずれか1つを用いて生物活性粒子または薬物の拡散を制御して適切な時間放出を達成してもよい。1つの層は、デキストランまたはその修飾ハイドロゲル、例えばデキストランハイドロゲル、デキストラン−メタクリラートハイドロゲル、カルボキシルメチルデキストランハイドロゲル、デキストラン−ポリラクチドハイドロゲルから選んでよい。第2の層は、ポリ(アクリル酸)ハイドロゲル、ジビニルベンゼン−メタクリル酸コポリマーハイドロゲル、ポリ(ビニルアルコール)ハイドロゲル、ヘパリン−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ビニルアルコール)ハイドロゲルを含む架橋されたアクリル酸ポリマーハイドロゲルまたはビニルアルコール含有ハイドロゲルであってよい。
【0062】
さらに別の実施態様において、大型動物、ヒトの皮膚、またはマウスの尾と直接接触する経皮パッチまたはデバイスの表面は、図19の電子顕微鏡像に示されるマイクロニードルのアレイ400で構成されてよい。雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の2003年11月17日のオンライン号において公表された論文中に記載されているように、皮膚を通る徐放を提供する経皮薬物送達のためのマイクロニードルが開発された。これらのニードルは、最大50nmの半径の高分子およびナノ粒子に対する皮膚透過性を増加させる。マイクロニードルは、角質層として知られている皮膚の外層に侵入し、生物活性材料、例えば光学的な、SPECTの、マルチモードの、薬物的な、または生物的なカーゴを載せたナノ粒子を皮膚のより深い区域に運ぶ。そこで、ナノ粒子は拡散し、毛細血管によって吸収される。毛細血管は、ナノ粒子を血流中に運び込み、皮膚を通る生物活性材料の吸収を顕著に増加させる。例えば、マイクロニードルキャリアは、1から1,000μmの範囲のサイズの400のニードルを含む10ミリメートル四方の中実または中空のシリコンマイクロニードルアレイからなってよい。これらのマイクロニードルアレイも、腹腔内注射、経口摂取または強制栄養によって破損しないで確実に皮膚に侵入するのに十分な強度を有する金属およびポリマー材料から作製されてよい。
【0063】
図20Aおよび図20Bは、被験マウスの尾を通るNicoderm(商標)パッチによるKODAK X−SIGHT 761ナノスフェアの非侵襲送達の実験結果を示している。実験において、KODAK X−SIGHT 761ナノスフェアは、Nicoderm(登録商標)パッチ500の内部接着接触表面に塗布された。次に、パッチは、被験体のマウス510の尾に貼付され、図3A、図3Bおよび図4に記載されているイメージングシステム21を用いて時間0分におけるマウス510の近赤外蛍光イメージが撮影された。0分の時点において撮影されたKODAK X−SIGHTナノスフェアの近赤外蛍光イメージ520を図20Aにおいて見ることができる。後の時点、3時間の時点において、イメージングシステム21を用いてマウス510の第2の近赤外蛍光イメージ530が撮影された。得られた近赤外蛍光イメージ530が図20Bに示されている。近赤外蛍光イメージ530において、被験体のマウス510の肝臓と腎臓との両方が強固なX−SIGHT 761ナノスフェアのシグナルを示している。この実験は、イメージング剤X−SIGHT 761ナノスフェアがマウスの尾を通って被験体のマウス510に経皮送達されることが成功したことを明らかに示している。
【符号の説明】
【0064】
10 マルチモードイメージングシステム、12 光源、14 光学コンパートメント、16 ミラー、18 レンズ/カメラシステム、20 制御システム、21 イメージングシステム、22 X線源、23 対象試料ステージ、24 ファイバ光学素子、25 試料環境、26 アクセス手段/部材、27 経皮デバイス、27a,27b 経皮デバイスの二半部、28 尾、29 マウス、30 尾静脈、32 保護カバー、35 内層、40 吸収剤セクション、42 生物活性材料、45a,45b 吸収剤層、50 コア、55 接触表面、60 矢印、65 内部保護層、70 綿棒、75 綿棒の先端、80,85,90,100,105,115,130,150,335 矢印、95 スロット、110,120 ラッチ、 125 中心穴、140 呼吸デバイス(ノーズコーンまたはマスク)、145 チューブ、200 経皮パッチ、205 皮膚、210 腕、215 除去可能な保護層、220 下表面、225 吸収剤層(または受け)、230 上部保護層、300 時間放出材料、305a,305b,305c,305d 時間放出層、310,311,312,313 生物活性粒子、320,325,330 半透過層、340 単層時間放出材料、345 接着剤の単層、400 マイクロニードルアレイ、500 パッチ、510 被験体のマウス、520 近赤外蛍光イメージ、530 近赤外蛍光イメージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物的なカーゴを載せたナノ粒子の動物またはヒトへの経皮送達のための方法であって、前記粒子は、マルチモード光分子イメージングプローブを含み、
皮膚を通して吸収することができる形の前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子を提供するステップと、
前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子を動物またはヒトの前記皮膚に送達するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記送達するステップは、前記皮膚に取り付け可能なデバイス中の前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子を用いて達成されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記デバイスは、
単数または複数の血管拡張剤を含むパッチ、または、
マイクロニードルを含むパッチ、または、
多層時間放出材料を含むパッチ
の1つによってヒトの前記皮膚に直接取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記デバイスは、
単数または複数の血管拡張剤を含む、前記尾に固定されたデバイス、または、
マイクロニードルを含む、前記尾に固定されたデバイス、または、
多層時間放出材料を含む、前記尾に固定されたデバイス
の1つによって動物の前記皮膚に取り付けられることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、
薬物、または、
ワクチン、または、
生物医薬品、または、
イメージング造影剤、または、
マルチモードイメージング造影剤、または、
生物分子、または、
抗感染薬
のいずれか1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記動物またはヒトを固定された状態で受けるようになっている支持部材を提供するステップと、
前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子の形のイメージング剤を前記動物またはヒトに経皮送達するステップと、
前記固定された動物またはヒトをマルチモードイメージングシステム中でイメージ化するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記イメージ化するステップは、
X線、または
近赤外蛍光
のいずれか1つのイメージングモード方式の使用を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、下式:
(X)m−(Y)n−(Z)o
によって表される繰り返し形の、架橋された、エチレン形不飽和モノマーの水適合性の膨潤した分岐ポリマーネットワークを含む、カーゴを載せたナノゲルを含み、
式中、Xは、イオン結合部分または水素結合部分を含む水溶性モノマーであり、Yは、重合性エチレン形不飽和基に結合した繰り返し形の親水性単位を含む水溶性マクロモノマーであり、Zは、多官能架橋用モノマーであり、mは、50〜90モル%の範囲であり、nは、2〜30モル%の範囲であり、oは、1〜15モル%の範囲である、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記ナノ粒子は、下式:
(X)m−(Y)n−(Z)o−(W)p
によって表される混合物から作られたラテックス材料を含む、カーゴを載せたラテックス粒子を含有し、
式中、Yは、少なくとも2つのエチレン形不飽和化学官能基を有する少なくとも1つのモノマーであり、Zは、300から10,000の間の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールマクロモノマーであり、Wは、X、YまたはZとは異なるエチレン形モノマーあり、Xは、少なくとも1つの水不溶性の、アルコキシエチル含有モノマーであり、m、n、oおよびpは、各成分モノマーの質量百分率範囲であり、mは、40〜90質量パーセントの間の範囲であり、nは、1〜10質量パーセントの間の範囲であり、oは、20〜60質量パーセントの間の範囲であり、pは、最大10質量パーセントであり、
前記カーゴを載せたラテックス粒子は、蛍光染料を載せていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、以下の式1:
(X)m−(Y)n−(V)q−(T)o−(W)p
式1
によって表される架橋されたポリマーを含む、カーゴを載せた反応性ラテックス粒子を含有し、
前記架橋されたポリマーは、少なくとも45%の水不溶性モノマーと、反応性ハロ芳香族共役基を有する1〜30質量%のモノマーとを含み、分子イメージング剤に搭載され、
式中、mは、40〜80質量%の範囲であり、、nは、1〜10質量%の範囲であり、、qは、1〜30質量%の範囲であり、oは、10〜60質量%の範囲であり、pは、最大10質量%であって、
式中、Xは、以下の式2:
【化1】


式2
によって表される水不溶性の、アルコキシエチル含有モノマーであり、Rは、メチルまたは水素であり、Rは、最大10の炭素を含むアルキルまたはアリール基であり、
式中、Yは、2つのエチレン形不飽和化学官能基を含む少なくとも1つのモノマーであり、Wは、X、Y、VまたはTとは異なるエチレン系モノマーであり、Vは、以下の式3:
【化2】


式3 モノマーVの化学構造
によって表されるポリエチレングリコール−メタクリラート誘導体であり、nは、1より大きく130より小さく、好ましくは5から110であり、CGは、4−ハロ−3−ニトロベンゾエート、2−ハロ−3−ニトロベンゾエート、2−ハロ−4−ニトロベンゾエート、4−ハロ−2−ニトロベンゾエート、2−ハロ−5−ニトロベンゾエート、3−ハロ−2−ニトロベンゾエート、2−ハロニコチネート、4−ハロニコチネート、6−ハロニコチネート、2−ハロイソニコチネート、および3−ハロイソニコチネートから選ばれ、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードから選ばれ、
式中、Tは、以下の式4:
【化3】


式4 調整可能な構造
によって表されるマクロモノマーを含むポリエチレングリコールアクリラートであり、
は、水素またはメチルであり、qは、5〜220であり、rは、1〜10であり、RGは、水素または官能基である、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記ナノ粒子は、両親媒性ブロックまたはグラフトコポリマーの自己集合から誘導されて架橋粒子を形成し、前記ナノ粒子のコア中の共有化学結合およびアルコキシシラン架橋によってイメージング染料が前記粒子中に固定され、結果として有機/無機ハイブリッド材料が得られることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、ナノ粒子イメージングプローブを含み、
前記ナノ粒子イメージングプローブは、
酸化物コアと、
共有結合によって前記酸化物コアに取り付けられた生物適合性ポリマーシェルと、
電磁放射に応答して発光を生じる染料と、
前記染料の前記発光を消光する消光剤と、
前記ナノ粒子イメージングプローブを前記染料および前記消光剤からなる群から選ばれる成分と共有結合によって結合させる開裂可能なペプチドであって、前記ペプチドが開裂すると前記ナノ粒子イメージングプローブから前記成分が解放されるペプチドと、
を含み、
前記ナノ粒子イメージングプローブは、100nm未満のサイズを有し、
前記染料の前記発光は、前記成分が前記ナノ粒子イメージングプローブと結合していると消光され、前記成分が前記ナノ粒子イメージングプローブから解放されると消光されない、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、ルミネセンスまたは蛍光イメージング成分、X線およびMRIを含む1つ以上のイメージングモードによってイメージ化されることが可能である1つ以上のイメージング成分を有するナノ粒子を含むマルチモードイメージングプローブを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、単数または複数の血管拡張剤と混合されることを特徴とする方法。
【請求項15】
動物またはヒトへの生物的なカーゴの経皮送達のためのデバイスであって、
生物的なカーゴを載せたナノ粒子であって、皮膚を通して吸収することができる形のマルチモード光分子イメージングプローブを含む粒子と、
前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子を動物またはヒトの前記皮膚に送達するための前記皮膚に取り付け可能なデバイスと、
を含むことを特徴とするデバイス。
【請求項16】
請求項15に記載のデバイスであって、前記デバイスは、
単数または複数の血管拡張剤を含むパッチ、または、
マイクロニードルを含むパッチ、または、
多層時間放出材料を含むパッチ
の1つによってヒトの前記皮膚に取り付け可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項17】
請求項15に記載のデバイスであって、前記デバイスは、以下、すなわち
単数または複数の血管拡張剤を含み、尾に固定されるか、または、
マイクロニードルを含み、尾に固定されるか、または、
多層時間放出材料を含み、尾に固定されるか
の1つによって動物の前記皮膚に取り付け可能であることを特徴とするデバイス。
【請求項18】
請求項15に記載のデバイスであって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、
薬物、または、
ワクチン、または、
生物医薬品、または、
イメージング剤、または、
マルチモードイメージング剤、または、
生物分子、または、
抗感染薬
のいずれか1つを含むとを特徴とするデバイス。
【請求項19】
請求項15に記載のデバイスであって、第1の複数の異なる種類の生物的なカーゴを載せたナノ粒子が、対応する第2の複数の別々の時間放出層の中に配置されていることを特徴とするデバイス。
【請求項20】
請求項19に記載のデバイスであって、前記第2の複数の層の少なくとも2つの間に配置されて前記ナノ粒子の拡散速度を制御する少なくとも1つの半透過性の層をさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項21】
請求項15に記載のデバイスであって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、血管拡張薬剤を含む吸収剤セクション中に配置され、前記吸収剤セクションは、前記皮膚と接触するための表面を有することを特徴とするデバイス。
【請求項22】
請求項21に記載のデバイスであって、前記表面は、前記皮膚に接着することを特徴とするデバイス。
【請求項23】
請求項21に記載のデバイスであって、前記吸収剤セクションを囲む保護カバーをさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項24】
請求項23に記載のデバイスであって、前記保護カバーは、圧縮して前記デバイスを前記皮膚に固定することができることを特徴とするデバイス。
【請求項25】
請求項21に記載のデバイスであって、
動物の尾を受け入れ、それによって前記尾を前記吸収剤セクションと接触させるための開口と、
前記デバイスを前記尾に固定するための手段と、
をさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項26】
請求項21に記載のデバイスであって、前記吸収剤セクションは、動物の尾を囲むための少なくとも1つのセクションの中に形成され、前記デバイスを前記尾に固定するための手段をさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項27】
請求項21に記載のデバイスであって、前記表面のための取り除くことができる保護層をさらに含むことを特徴とするデバイス。
【請求項28】
請求項15に記載のデバイスであって、前記生物的なカーゴを載せたナノ粒子は、前記デバイスの一部分を形成する接着層の中に配置されていることを特徴とするデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【公表番号】特表2012−501355(P2012−501355A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526029(P2011−526029)
【出願日】平成21年5月6日(2009.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/002800
【国際公開番号】WO2010/027387
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(507224587)ケアストリーム ヘルス インク (76)
【Fターム(参考)】