説明

小動物捕獲器

【課題】小動物を逃がすことなく確実に連続捕獲できる小動物捕獲器を提供する。
【解決手段】捕獲容器1の入口2部分の床面近傍に、入口2から侵入しようとする小動物が奥の第1捕獲空間3に向かって移動することにより奥に向かって傾斜するよう揺動する第1シーソー板11が設けられ、上記第1シーソー板11の上には、初期状態で奥に向かって傾斜して上記入口2を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板11の揺動に連動して跳ね上がるよう揺動する第2シーソー板12が設けられ、上記第2シーソー板12の上には、第1捕獲空間3を第2捕獲空間4に連通させる連通部21が設けられるとともに、上記連通部21を閉鎖した状態から、侵入した小動物が跳ね上げて揺動させることが可能な第3シーソー板13が設けられている。このため、小動物を逃がすことなく確実に連続捕獲できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネズミ等の小動物を捕獲するために使用される小動物捕獲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ネズミ等の小動物を捕獲するために、例えば下記の特許文献1に示すように、シーソー板を利用した小動物捕獲箱が提供されている。この小動物捕獲箱は、鼠がシーソーの中央より奥に入って行くと、その重さによってシーソーの奥側が少し下がる。すると、回転軸が下側に離れているのでバランスがくずれ、奥側がいっきに底まで下がり、シーソー下部の磁石と箱底の磁石の吸引力で固定される。この状態で、シーソー入口がふさがれることにより鼠が逃げられなくなるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3113786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記小動物捕獲箱は、シーソーの奥側がいっきに下がったときに磁石の吸引力で固定するようになっている。このため、捕獲された小動物が驚いて暴れだすと磁石が外れてしまい、せっかく捕獲した小動物に逃げられてしまうという問題がある。一方、鼠等の小動物は尻尾が長く、体長の約1/2は尻尾の長さが占めている。したがって、シーソーの奥側がいっきに下がったときに、磁石の吸引力でシーソーが固定される前に鼠等の尻尾がシーソーと入口の間に挟まってしまい、磁石同士の間にその分隙間が出来て十分に固定することができない。一方、鼠等は、尻尾が挟まることにより異変を感じて逃げようとするので、この状態で鼠等が逆戻りすると、簡単にシーソーが元にもどってしまってせっかく箱に入った鼠等に簡単に逃げられてしまうという問題がある。また、1匹ないし2匹捕獲するのがせいぜいで、連続的に何匹も捕獲することができず、捕獲状況を頻繁に確認して1匹でも掛かっていれば捕獲された小動物を取り出して初期状態に戻し、仕掛けなおさなければならない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小動物を逃がすことなく確実に捕獲することができるうえ、連続捕獲を実現する小動物捕獲器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の小動物捕獲器は、捕獲容器に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した小動物を捕獲する小動物捕獲器であって、
捕獲容器の入口部分の床面近傍に、入口から侵入しようとする小動物が奥の第1捕獲空間に向かって移動することにより奥に向かって傾斜するよう揺動する第1シーソー板が設けられ、
上記第1シーソー板の上には、初期状態で奥に向かって傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板の揺動に連動して跳ね上がるよう揺動する第2シーソー板が設けられ、
上記第2シーソー板の上には、第1捕獲空間を第2捕獲空間に連通させる連通部が設けられるとともに、上記連通部を閉鎖した状態から、侵入した小動物が跳ね上げて揺動させることが可能な第3シーソー板が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の小動物捕獲器によれば、小動物が入口から侵入する際には、まず、第1シーソー板の上を奥の第1捕獲空間に向かって移動することにより、第1シーソー板が奥に向かって傾斜するよう揺動する。すると、第1シーソー板の揺動に連動して第2シーソー板が跳ね上がるよう揺動し、小動物は第1捕獲空間内に侵入する。小動物が第1捕獲空間内に侵入して第1シーソー板の上から外れると、第1シーソー板は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して第2シーソー板も元に戻るよう揺動する。第2シーソー板が元に戻ると、第2シーソー板により入口が閉鎖されて侵入した小動物は進入してきた入口からは出られなくなる。そして、第1捕獲空間の小動物は、第3シーソー板を跳ね上げて揺動させ、連通部を通って第2捕獲空間に捕獲される。このとき、小動物は入ったところに戻って出ようとするので、その性質を利用して第1捕獲空間から第2捕獲空間に捕獲することができるのである。その後、第3シーソー板は元に戻るよう揺動して連通部を閉鎖し、小動物は第2捕獲空間から出られなくなるのである。そうすると、第1捕獲空間は再び空になるので、つぎの小動物が進入して同様の捕獲作用が繰り返される。このように、小動物を逃がすことなく確実に捕獲することができるうえ、連続捕獲が実現する。
【0008】
本発明において、上記第2シーソー板を跳ね上げた状態でロック可能なロック手段をさらに備えている場合には、
ロック手段によって第2シーソー板を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口から第1捕獲空間までは小動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、ロック手段による上記ロックを解除し、上述した連続捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い小動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における小動物捕獲器の全体構造を示す斜視図である。
【図2】捕獲構造部の構造および動作を説明するための断面図である。
【図3】捕獲構造部の作用を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の小動物捕獲器の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、この第1実施形態における小動物捕獲器の全体構造を示す斜視図であり、図2および図3は捕獲構造部の断面図である。図2は捕獲構造部の初期状態および動作を説明する図であり、図3は捕獲構造部のロック状態を示すものである。
【0012】
この小動物捕獲器は、捕獲容器1に形成された入口2を閉鎖することにより上記入口2から侵入した小動物を捕獲する小動物捕獲器である。
【0013】
上記捕獲容器1は、この例では直方体の箱状であり、仕切板6を境にして下部に第1捕獲空間3、上部に第2捕獲空間4が設けられている。上記捕獲容器1には、小動物がまず上記第1捕獲空間3に侵入可能なように、側壁に入口2が設けられている。上記入口2の外側には、侵入する小動物を案内する樋状の外側通路を形成する通路壁7が突出形成されている。上記入口2、外側通路およびその奥側の第1捕獲空間3の一部にかけて、小動物を捕獲するための捕獲構造部5が設けられている。
【0014】
図2は、捕獲構造部5の構造および動作を説明する断面図である。図2は初期状態である。
【0015】
捕獲容器1の入口2部分の床面近傍に、入口2から侵入しようとする小動物が奥の第1捕獲空間3に向かって移動することにより奥に向かって傾斜するよう揺動する第1シーソー板11が設けられている。
【0016】
上記第1シーソー板11は、入口2を挟んでその手前から奥に向かって延びるように配置され、入口2よりも手前側(外側)の第1軸により揺動するようになっている。すなわち、第1シーソー板11は、第1軸11aの手前側よりも奥側が長くなっていて、手前の端部には、揺動のバランスを調節するための調節錘14が設けられている。調節錘14は、具体的には調節ナットであり、ナットを回転させることにより揺動のバランスを調節する。
【0017】
上記第1シーソー板11の上には、初期状態で奥に向かって傾斜して上記入口2を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板11の揺動に連動して跳ね上がるよう揺動する第2シーソー板12が設けられている。
【0018】
上記第2シーソー板12は、入口2の奥側で第1シーソー板11の上側に配置された第2軸12aを中心に揺動することにより、入口2を開閉するようになっている。上記第1シーソー板11の第1軸11aよりも奥側の上部と、第2シーソー板12の第2軸12a下部とが、連結棒15によって連結されている。上記連結棒15の存在により、第1シーソー板11が第1軸11aを中心に揺動すると、その揺動に連動して第2シーソー板12が第2軸12aを中心に揺動する。連結棒15を第2軸12aの下部に垂下した固定部に連結したため、小動物が乗ったときの第1シーソー板11の上下動範囲を少なくでき、第1シーソー板11の少ない動きで第2シーソー板12を十分に揺動させることができる。上記第2シーソー板12は、第2軸12aの手前側よりも奥側が少し長くなっていて、手前の端部には、揺動のバランスを調節するための錘16が設けられている。
【0019】
初期状態において、第2シーソー板12の奥側端部は、第1シーソー板11の奥側端部近傍上に乗っている。上記第2シーソー板12の奥側端部と第1シーソー板11の奥側端部の近傍には、各端部を小動物の手足や鼻先の接触からガードする第1ガード部材17が設けられている。上記第1ガード部材17は捕獲容器1の床面に設けられている。一方、上記第2シーソー板12の手前端部および錘16の近傍には、端部や錘16を小動物の手足や鼻先の接触からガードする第2ガード部材18が設けられている。上記第2ガード部材18は捕獲容器1の壁面に設けられている。
【0020】
また、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロック可能なロック手段20をさらに備えている。上記ロック手段20は、具体的には、捕獲容器1の壁面のねじ穴にら着させたロックねじであり、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態で第2シーソー板12が戻らないようにロックねじをねじ込むことによりロック状態とする。
【0021】
図3は、第2シーソー板12を跳ね上げた状態で、上記ロック手段20によって第2シーソー板12が戻らないようにロックした状態である。
【0022】
上記第2シーソー板12の上には、第1捕獲空間3を第2捕獲空間4に連通させる連通部21が設けられるとともに、上記連通部21を閉鎖した状態から、侵入した小動物が跳ね上げて揺動させることが可能な第3シーソー板13が設けられている。
【0023】
上記連通部21は、仕切板6の一部に開口を設けることにより形成している。そして、第3シーソー板13は、連通部21の奥寄り部に設けられた第3軸13aを中心に揺動することにより、上記連通部21を開閉するようになっている。上記第3シーソー板13の手前側の下側には、連通部21の閉鎖状態を保持するためのストッパ22が設けられている。また、上記第3シーソー板13は、第3軸13aの奥側よりも手前側が少し長くなっていて、奥側の端部近傍には、揺動のバランスを調節するための錘23が設けられている。一方、上記第3シーソー板13の奥側端部および錘23の近傍には、端部や錘23を小動物の手足や鼻先の接触からガードする第3ガード部材19が設けられている。上記第3ガード部材19は仕切板6に設けられている。
【0024】
上記構成により、本実施形態の小動物捕獲器は、例えばつぎのようにして動作して小動物を捕獲する。
【0025】
すなわち、まず、第1捕獲空間3の奥に餌8を配置する。そして、図3に示すように第2シーソー板12を跳ね上げてロック手段20によってロックした状態で、小動物捕獲器を小動物の通り道等に配置する。
【0026】
この状態では、入口2が開放されており、小動物は入口2から第1捕獲空間3内に自由に出入りすることができる。このとき、第2シーソー板12はロック手段20でロックされてほとんど動かないため、それに連動する第1シーソー板11は小動物がその上で行き来してもほとんど揺動しない。このため、小動物に警戒心を与えることなく、小動物を慣れさせ、いわば餌付けをすることができる。
【0027】
そして、ある程度餌8が食べられ、餌付けされた頃を見計らって、ロック手段20のロックを解除し、図2に示す初期状態に戻す。
【0028】
この状態で小動物が入口2に近寄って第1シーソー板11に乗ると、第1シーソー板11がわずかに奥に向かって傾斜するように揺動し、それに連動して第2シーソー板12が跳ね上がるよう揺動して入口が開く。すると奥の餌8が見えるので、小動物は餌8に向かって進む。小動物が第1シーソー板11の上から外れると、第1シーソー板11および第2シーソー板12が元に戻るように揺動して入口2が第2シーソー板12で閉鎖される。この状態で、第2シーソー板12と第1シーソー板11の奥側端部は、第1ガード部材17により小動物の手足や鼻先の接触からガードされているため、再び第2シーソー板12が跳ね上げられて小動物に逃げられることがない。このようにして、小動物をまず第1捕獲空間3内に捕獲する。
【0029】
捕獲された小動物は、入ってきたほうに向かって戻って逃げようとする習性があるため、第1捕獲空間3から入口2に向かって突き進む。そうすると、小動物は第2シーソー板12上の坂道を登って第3シーソー板13を押し上げる。第3シーソー板13は小動物の押し上げにより揺動して連通部21を開く。すると、小動物は、開いた連通部21から第2捕獲空間4内に侵入する。小動物が第2捕獲空間4内に侵入すると、第3シーソー板13は元に戻って連通部21を閉鎖する。このとき、第3軸13aが第3シーソー板13の上側に設けられているため、第3シーソー板13がスムーズに戻って連通部21を閉鎖する。また、ストッパ22で第3シーソー板13の動きが制限され、小動物が第3シーソー板13に乗ってもそれより下の第2シーソー板12等の動きに影響がでない。この状態で、上記第3シーソー板13の奥側端部および錘23は、小動物の手足や鼻先の接触から第3ガード部材19によりガードされているため、第2捕獲空間4に捕獲された小動物の動きにより再び第3シーソー板13が揺動して連通部21が開いてしまうことがない。
【0030】
そして、つぎの小動物が上述した動作と同様にして入口から侵入し、第1捕獲空間3に捕獲し、さらに第2捕獲空間4に捕獲する。このような捕獲動作を繰り返すことにより、連続的に小動物を捕獲できる。このとき、上記第2シーソー板12の手前端部および錘16は、小動物の手足や鼻先の接触から第2ガード部材18によりガードされているため、第2捕獲空間4に捕獲された小動物の動きにより、第2シーソー板12が跳ね上げられて第1捕獲空間3に捕獲された小動物を逃がしてしまうことがない。
【0031】
このように、本実施形態の小動物捕獲器によれば、小動物が入口2から侵入する際には、まず、第1シーソー板11の上を奥の第1捕獲空間3に向かって移動することにより、第1シーソー板11が奥に向かって傾斜するよう揺動する。すると、第1シーソー板11の揺動に連動して第2シーソー板12が跳ね上がるよう揺動し、小動物は第1捕獲空間3内に侵入する。小動物が第1捕獲空間3内に侵入して第1シーソー板11の上から外れると、第1シーソー板11は元の傾斜に戻るよう揺動し、この揺動に連動して第2シーソー板12も元に戻るよう揺動する。第2シーソー板12が元に戻ると、第2シーソー板12により入口2が閉鎖されて侵入した小動物は進入してきた入口2からは出られなくなる。そして、第1捕獲空間3の小動物は、第3シーソー板13を跳ね上げて揺動させ、連通部21を通って第2捕獲空間4に捕獲される。このとき、小動物は入ったところに戻って出ようとするので、その性質を利用して第1捕獲空間3から第2捕獲空間4に捕獲することができるのである。その後、第3シーソー板13は元に戻るよう揺動して連通部21を閉鎖し、小動物は第2捕獲空間4から出られなくなるのである。そうすると、第1捕獲空間3は再び空になるので、つぎの小動物が進入して同様の捕獲作用が繰り返される。このように、小動物を逃がすことなく確実に捕獲することができるうえ、連続捕獲が実現する。
【0032】
また、上記第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロック可能なロック手段20をさらに備えているため、ロック手段20によって第2シーソー板12を跳ね上げた状態でロックしておくことにより、入口2から第1捕獲空間3までは小動物が自由に行き来できる状態となる。この状態でいわば餌付けをして慣れされ、安心させた段階で、ロック手段20による上記ロックを解除し、上述した連続捕獲を開始することができる。このため、警戒心の強い小動物を安心させて効果的に捕獲することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、上記捕獲容器1として直方体の箱状のものを例示したが、これに限定するものではなく、容器形状としては各種のものを採用することができる。また、ロック手段20として、捕獲容器1の壁面のねじ穴にら着させたロックねじを例示したが、これに限定するものではなく、第2シーソー板12の揺動を規制して入口2を開放した状態を維持するようにロックしうるものであれば、各種の形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1:捕獲容器
2:入口
3:第1捕獲空間
4:第2捕獲空間
5:捕獲構造部
6:仕切板
7:通路壁
8:餌
11:第1シーソー板
11a:第1軸
12:第2シーソー板
12a:第2軸
13:第3シーソー板
13a:第3軸
14:調節錘
15:連結棒
16:錘
17:第1ガード部材
18:第2ガード部材
19:第3ガード部材
20:ロック手段
21:連通部
22:ストッパ
23:錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲容器に形成された入口を閉鎖することにより上記入口から侵入した小動物を捕獲する小動物捕獲器であって、
捕獲容器の入口部分の床面近傍に、入口から侵入しようとする小動物が奥の第1捕獲空間に向かって移動することにより奥に向かって傾斜するよう揺動する第1シーソー板が設けられ、
上記第1シーソー板の上には、初期状態で奥に向かって傾斜して上記入口を閉鎖するとともに、上記第1シーソー板の揺動に連動して跳ね上がるよう揺動する第2シーソー板が設けられ、
上記第2シーソー板の上には、第1捕獲空間を第2捕獲空間に連通させる連通部が設けられるとともに、上記連通部を閉鎖した状態から、侵入した小動物が跳ね上げて揺動させることが可能な第3シーソー板が設けられていることを特徴とする小動物捕獲器。
【請求項2】
上記第2シーソー板を跳ね上げた状態でロック可能なロック手段をさらに備えている請求項1記載の小動物捕獲器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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