説明

小型アイソセントリックガントリ

現在市販されている陽子線治療システムに関連するサイズ、重量、コスト、及び放射線ビームロスを低減する改善点を有する、陽子線治療を行うためのガントリ。該ガントリは、磁石が双極子、及び四重極を含み得る色収差補正超電導多機能電磁石システムを利用する。ランプ可能な磁石システムの色収差補正特性により、磁場強度、又は双極子の設定を変更することなく、広範囲の様々なエネルギーによってビームのエネルギーが急速に変化する該ビームの伝送が容易になる。該磁石は、低温超電導体、又は高温超電導体から形成することができる。ガントリ設計は、ビーム走査をさらに統合するが、ガントリのアイソセントリックは維持する。該ガントリによって、現行の技術よりもはるかに大きい割合でビームを伝送できるため、放射線を遮蔽する要件、及び多量の陽子ビームを生成するために加速器に求められる要求が緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法USC35第119条に基づいて、2009年11月2日に出願の「小型アイソセントリックガントリ(Compact Isocentric Gantry)」という名称の米国仮特許出願第61/257,329号の恩典を請求するものである。該特許出願は、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれるものとする。
【0002】
(引用による組み込み)
本明細書で言及する特許、及び特許出願を含む全ての刊行物は、それぞれの刊行物が、具体的かつ個別に引用により本明細書中に組み込まれるのと同程度に、引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれるものとする。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、一般に陽子線治療に関する。より詳細には、本発明は、陽子線治療センターで使用される小型アイソセントリックガントリに関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
米国では、全癌患者の半数以上が放射線治療を受ける。
【0005】
放射線治療は、患者、具体的には患者の腫瘍に電離放射線を照射することに基づいている。陽子線照射治療の特定のケースでは、照射は、陽子ビームを用いて行われる。腫瘍を破壊する線量の放射線が該腫瘍に送達される。陽子線治療は、標準的なX線照射治療と比較して、腫瘍の周囲の健常な組織への放射線の量を低減し、しかも該腫瘍への放射線量を増加させることができるため、放射線治療の望ましい形態である。
【0006】
現代の放射線治療の主な課題は、患者の生存率、及び生活の質を向上させるために、線量を増加させて局所腫瘍管理を強化すること、及び正常組織への線量を最小限にすることである。放射線は、正常組織を破壊することがあり、従って、長期癌生存者に短期間の腫瘍、及び後期の腫瘍の両方を引き起こすことがある。
【0007】
3D共焦点/強度変調放射線治療によって果たされた近年の進歩は、特に、脳、肺、及び腸のような線量が制限された器官における短期放射線誘導合併症を低減した。それでもなお、急性短期合併症が起こることがあり、これが、なお一部の処置を制限する要因である。若い患者にとってさらに油断できないのは、処置後、数年から実に数十年の間、続発性腫瘍が発生する長期的な可能性である。
【0008】
X線治療の陽子線での代替は、長期、及び短期の毒性副作用を大幅に低減するため、患者に長期的な恩恵をもたらす。このような副作用はまた、その副作用の処置に何年もかかることがあり、かなりのコストがかかる。陽子線治療のコストが、X線治療の一次処置とほぼ同等であれば、医療提供者にとって長期的にかなりの経費節減となるであろう。
【0009】
陽子線治療の幅広い適用における主な障害の1つは、そのコストである。陽子線治療センターの資本コストは、非常に大きな設備のコスト、及び該設備が設置される、厳重に遮蔽されるボールトのコストの両方によるものである。しかしながら、現在、FDAに承認された陽子線システムに含まれる技術は、約20年前のものである。この技術には、研究施設で使用される技術において研究者が成し遂げた進歩、特に高温超電導体の使用が反映されていない。
【0010】
従来の陽子線治療施設は、典型的には、粒子加速器、陽子ビーム誘導/制御装置、及び処置室から構成されている。粒子加速器は、実際のところ、加速ビームがいくつかの処置室で共有される従来の陽子線治療施設のレイアウトにおいて主要な構成要素ではない。従来の4部屋の施設を鳥瞰してみると、陽子ビーム送達システム全体で最も大きい構成要素は、陽子ビーム誘導/制御装置であり、以降、これをガントリと呼ぶ。ガントリは、陽子ビームを輸送して処置室内に送達し、該ビームが患者に対して垂直に入射できるように該ビームを曲げ、次いで該ビームを、該患者の周りを回転させる。典型的なガントリは、大きな磁石、排気管、ノズル、及び釣合い重りから構成されている。全ての構成要素は、陽子ビームを患者の周りを回転させることができるように、大きな鋼梁の「リスカゴ(squirrel cage)」に取り付けられている。
【0011】
図1は、従来の処置室のフロアレイアウトを2次元で表した一実施形態である。ガントリ10は、図の上部に示されている部屋に設置されている。図1は、実在の陽子線治療施設のレイアウト全体におけるガントリサイズの占有度を示している。図1に示されている従来の陽子線ガントリの概算重量は、約120トンである。この巨大さは、3次元で見てガントリの13メートルを超える直径を考慮すると、より明らかになる。従来のアイソセントリックガントリは、一般に、直径が13メートルを超え、長さが最大15メートルである。
【0012】
実在のガントリのサイズを実感させる別の特徴は、皮膚における入力線量を最小化して、スポットビーム走査と呼ばれる、又はペンシルビーム走査としても知られる先進走査技術を可能にする、典型的には長さが3メートルを超える非常に長いノズルを備える必要があることである。(走査が行われない場合でも、少なくとも2.3メートルのノズルが必要である。)スポットビーム走査技術は、小径の入射陽子ビームを、患者の体内の一定の深さにある標的領域で広げる。ノズルに取り付けられた電磁石が、標的領域に対して2次元、X-Yでビームをスイープする。加えて、標的領域の各3次元スポット(ボクセル)のビーム強度が、正確な深さにある標的領域に厳密に一致する線量分布を達成するために変更される。このプロセスを繰り返して、一連の減少するエネルギーを送達する(エネルギースタッキング)ことにより、異なる深さでの処置、従ってどんな形状の腫瘍も全体積を処置することが可能となる。ある実在するシステムでは、ビーム走査は、ガントリの最後の90度偏向磁石の上流の一方向で行われる。最後のガントリ双極子の上流のビーム走査は、処置ノズルを効果的に短縮したが、該システムは、非常に巨大で重いガントリとなり、重量が約90トンの高価な90度偏向磁石を備えていた。
【0013】
先進ビーム走査技術、例えば、スポット走査を行うことができる、現在市販されている従来のガントリは、設置に1千万米ドル〜1.5千万米ドルの費用がかかり、その殆どは、直径が40フィート(約12.2メートル)を超えている。
【0014】
以前に、超電導技術を、イオン治療、特に炭素イオン治療に適用することが提案された。しかしながら、当時は、極低温システムの複雑さ、及び超電導磁石のランピングの困難さから、低温高磁場磁石の適用が技術的に非常に困難であろうと結論した。ハイデルベルクの施設は、炭素イオンガントリ設計に従来の室温磁石を選択することにより、高さ16メートル、重量630トンの巨大な構造物となった。
【0015】
非従来型の設計が、ポール・シェラー研究所(Paul Scherrer Institute)で開発された。この設計では、ガントリの最後の90度偏向磁石の上流の一方向においてX-Yビーム走査が行われる。しかしながら、ポール・シェラー研究所の設計は、患者に対してアイソセントリックではないため、患者を同心円状に回転させ、時には患者を地上2メートルの位置に配置する必要があった。それでも、最後のガントリ双極子の上流のビーム走査は、従来の室温双極子をベースとしたガントリに対して、ガントリの直径を12メートルから約5メートルに効果的に縮小させた。残念ながら、これも、非常に大きくて重い(約90トン)、高価な90度偏向磁石となった。
【0016】
近年、超電導ガントリ設計を、粒子治療設備に適用することが提案された。該ガントリ設計は、ガントリの総重量を軽減する固定磁場強収束型(FFAG)磁石に基づいている。しかしながら、このようなガントリは、依然として非常に大きいままである。該ガントリは、回転中心からアイソセンタまでの長さが約20メートルであり、高さが約3.2メートルである。加えて、該ガントリは、ガントリシステムの磁石要素の数を大幅に増加させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従って、線量送達ガントリのサイズを大幅に低減し、これに関連したコストを軽減する新しい概念の開発が当技術分野で望まれている。本発明の目的は、ガントリの設置コストを現在の価格の約33%、サイズを約50%、そして重量を約10分の1に低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一実施形態では、アイソセントリックガントリは、粒子放射線治療を患者に施すように構成され、該ガントリは、粒子ビームラインに配置され、かつ該粒子ビームラインの方向を変更するように構成された複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石であって、少なくとも1つの超電導磁石を有する、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石と、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石を支持する大きさ、及び構造の支持フレームと、を備えている。
【0019】
一部の実施形態では、少なくとも1つの超電導磁石は、可変磁気強度を有する。別の実施形態では、該少なくとも1つの超電導磁石は、ランプ可能であり、アイソセントリックガントリは、約±2%〜±10%の範囲の運動量アクセプタンスを有する。
【0020】
一実施形態では、アイソセントリックガントリは、粒子ビームラインに配置され、かつ該粒子ビームラインの色収差補正ビーム光学系を提供するように構成された少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマートをさらに備えている。一部の実施形態では、少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマートは、少なくとも1つの双極子、及び少なくとも1つの四重極を有する。
【0021】
一部の実施形態では、複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石は、少なくとも1つの周囲温度磁石を有する。一実施形態では、少なくとも1つの周囲温度磁石は、周囲温度四重極磁石を有する。
【0022】
一実施形態では、アイソセントリックガントリは、粒子ビームラインに配置された少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマート、及び少なくとも1つの周囲温度磁石をさらに備えている。
【0023】
一部の実施形態では、少なくとも1つの超電導磁石は、低温超電導材料を含む。或いは、別の実施形態では、少なくとも1つの超電導磁石は、高温超電導材料を含む。
【0024】
一実施形態では、複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石は、磁場強度、又は双極子の設定を変更することなく、粒子ビームラインのエネルギーが急速に変化する該粒子ビームラインを伝送するように構成されている。
【0025】
別の実施形態では、アイソセントリックガントリは、粒子ビームラインに配置され、かつビーム走査を容易にするように構成された走査磁石をさらに備えている。
【0026】
一実施形態では、フレームは、アイソセンタを中心に回転するように構成されている。一部の実施形態では、フレームは、350立方メートル未満の可動体積(swept volume)を有する。他の実施形態では、フレームは、300立方メートル未満の可動体積を有する。一部の実施形態では、フレームは、2.2メートルを超える、線源からアイソセンタまでの距離を有する。別の実施形態では、ガントリは、粒子ビームラインをアイソセンタで二乗平均平方根が1mm〜10mmのスポットサイズに集束させるように構成されている。
【0027】
一部の実施形態では、複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石は、約60度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第1のダブル・ベンド・アクロマート、及び約150度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第2のダブル・ベンド・アクロマートをさらに有する。
【0028】
別の実施形態では、複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石は、約60度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第1のダブル・ベンド・アクロマート、約60度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第2のダブル・ベンド・アクロマート、及び約90度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第3のダブル・ベンド・アクロマートをさらに有する。
【0029】
さらに別の実施形態では、複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石は、粒子ビームラインの方向を約45度〜90度変更するように構成された少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマートをさらに有する。
【0030】
アイソセントリックガントリを使用して粒子放射線治療を患者に施す方法も提供する。一実施形態では、該方法は、アイソセントリックガントリが第1の位置に配置されたときに患者に粒子線放射を送達する工程を含む。アイソセントリックガントリは、粒子ビームラインに配置され、かつ該粒子ビームラインの方向を変更するように構成された複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石であって、少なくとも1つの超電導磁石を有する、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石と、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石を支持する大きさ、及び構造の支持フレームと、を備えている。一部の実施形態では、アイソセントリックガントリは、複数のデュアル・ベンド・アクロマートを有する。
【0031】
次に、該方法は、アイソセントリックガントリの支持フレームを回転させて該アイソセントリックガントリを第2の位置に配置する工程を含み得る。アイソセントリックガントリの支持フレームは、最大360度回転するように構成することができる。一部の実施形態では、該方法は、300立方メートル未満の可動体積を有するアイソセントリックガントリの支持フレームを回転させて該アイソセントリックガントリを第2の位置に配置する工程を含む。
【0032】
該方法は、アイソセントリックガントリが第2の位置に配置されたときに粒子線放射を患者に送達する工程をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、従来の陽子線治療センターの処置室のフロアレイアウトである。
【0034】
【図2a】図2aは、ガントリの磁石を介したビーム輸送における収差を示している。
【0035】
【図2b】図2bは、60度と90度のダブル・ベンド・アクロマートを用いて設計されたガントリを通るビームエンベロープを示している。
【0036】
【図3】図3は、小型ガントリの一実施形態におけるビームライン要素の配置の側面図である。
【0037】
【図4】図4は、小型ガントリの一部における要素の配置の模式図である。
【0038】
【図5】図5は、小型ガントリの別の実施形態におけるビームライン要素の配置の側面図である。
【0039】
【図6a】図6aは、小型ガントリの端面図、側面図、及び等角図を含む。
【0040】
【図6b】図6bは、別の小型ガントリの実施形態の端面図、側面図、及び等角図を含む。
【0041】
【図7a−b】図7a-図7bは、図6bの小型ガントリの小型ガントリ組立体の側面図、及び端面図である。
【0042】
【図8a−b】図8a-図8bは、図5、及び図6aの小型ガントリの小型ガントリ組立体の側面図、及び端面図である。
【0043】
【図9】図9は、小型ガントリの別の実施形態におけるビームライン要素の配置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ビーム送達システムに超電導磁石技術を使用することにより、1治療画分使用ベースで、先進X線システムの資本コストと同等になるまで陽子線システムの資本コストを低減することが提案されている。本明細書に提示される粒子治療用の小型アイソセントリックガントリ設計は、革新的な超電導磁石システムに基づいている。
【0045】
本明細書に記載されるアイソセントリック・ガントリ・システムは、ガントリ組立体の全体のサイズ、及び可動体積を縮小するために多数の超電導磁石を備えることができる。超電導磁石のコイル巻き線は、典型的には、超電導材料からなるワイヤ、又はテープから形成される。運転中、磁石コイルは、その臨界温度;超電導材料が通常の抵抗状態から変化して超電導になる温度よりも低くしなければならない。極低温冷凍機を使用して、最も一般的な超電導材料に必要な約5kの温度に到達させることができる。高速ランプ超電導セクター磁石:低温での低温超電導体(LTS)、又は高温での高温超電導体(HTS)を用いる完全飽和鉄(fully saturated iron)の2つの選択肢が存在する。NbTi、LTS導体は、最も広範囲の双極子磁石のエンジニアリング解を可能にするが、動作温度の範囲が最も狭い。高温でのHTSの動作により、電力の増加なしに、より高い冷却能の極低温冷凍機の使用が可能となる。
【0046】
ガントリ設計の新規な一態様は、色収差補正超電導多機能磁石システムの使用である。アクロマートとは、該システムのビーム光学系が色収差補正されるようなガントリの磁石の配置のことである。
【0047】
色収差補正系は、粒子治療に使用される実際のイオンビームに常に存在する、該ビームに広がった有限エネルギーから生じる、広がりを補正するように設計されている。現代のスポットビーム走査技術は、患者への厳密かつ再現性のある線量送達のために正確なビームの輸送を必要とする。しかしながら、エネルギーが僅かに異なる荷電粒子が同じ磁場を横切ると、該荷電粒子が、異なる偏向を受ける。図2aは、ガントリの磁石を通るビーム輸送における収差を示している。エネルギーが異なる粒子が、異なる軌道を進むと、該粒子は、異なる焦点位置を有することになる。このような場合、ビームスポットの異なる部分が、患者の体内で異なる浸透範囲を有し得るため、線量送達の正確さ−荷電粒子ビームの主な利点が失われることになる。この作用は、光学系における色収差に類似している。ガントリビーム輸送システムの色収差補正特性により、ビームのエネルギーとアイソセンタにおけるビームの位置、及び角度との間の相関関係がなくなる。磁石ガントリシステムのこのような光学特性は、ダブル・ベンド・アクロマート(DBA)を用いて得ることができ、これにより、ガントリ磁石によるビーム輸送が、入射ビームの小さなエネルギー変動に対してよりロバストとなり、このエネルギー変動の影響を受けなくなる。(M. Pavlovic、L. Cincura、E. Griesmayer、及びT. Schreinerの論文、「イオン治療ビームの輸送における分散の影響の研究(A study of dispersion effects in transport of ion-therapy beams)」、Journal of Electr. Eng. 58(1), 33-38 (2007))。
【0048】
図2bは、2つのDBA磁石システムに基づいたアイソセントリックガントリを通過するビームの水平面、及び鉛直面におけるビーム輸送エンベロープ(ビームサイズ)を示している。縦軸20は、ビームサイズを表し、横軸22は、ガントリに沿った位置を表している。ボックス24は、双極子磁石の位置、及びアパーチャを表し、ボックス26は、四重極磁石の位置、及びアパーチャを表している。トレース202は、運動量の広がりが0.1%のビーム経路に沿った水平ビームサイズを示し、トレース204は、±3%の運動量の広がりで計算されている。これは、アイソセントリックガントリにおけるDBA磁石システムの使用によって達成可能な大きい運動量アクセプタンスを実証している。
【0049】
図面に示されているように、様々な磁石システムの角度の組み合わせが可能である。図3〜図4は、ガントリに使用される各システムが、二重に色収差補正されるように、水平に焦点を合わせる1つ以上の四重極磁石を中心に有することができることを例示している。例えば、図3では、双極子402は、該双極子の中心に位置する超電導四重極磁石408を有することができ、双極子404は、該双極子の中心に位置する超電導四重極磁石410を有することができ、双極子406は、該双極子の中心に位置する超電導四重極磁石412を有することができる。図4は、双極子402、超電導四重極磁石408、及びビームラインBの組立分解拡大図を示している。
【0050】
本明細書に記載されるアイソセントリックガントリは、粒子ビームラインの方向を90度変更する(例えば、水平ビームラインを鉛直ビームラインに変更する)、又は患者への入射に必要な任意の他の角度に変更するように構成することができる。一部の実施形態では、該ガントリは、フレームを備え、該フレーム内の3つのDBA磁石システムを利用して粒子ビームの方向を変更する。図4は、双極子−四重極−四重極−四重極−双極子(DQQQD)磁石システムを有するDBA磁石システムの一実施形態を例示し、該DQQQD磁石システムは、3つの超電導四重極408の両側に双極子402を備えている。
【0051】
一実施形態では、ガントリは、2つの60度DBA磁石システム、及び1つの色収差補正90度DBA磁石システムを備えている。一例として、小型ガントリ用の磁石システムの角度の組み合わせの1つの設計が図3に例示されている。該ガントリ400は、超電導DBA電磁石システム、又は双極子402、404、及び406を使用することができる。図3に示されているように、双極子402、及び404を、色収差補正60度双極子とし、双極子406を、色収差補正90度双極子とすることができ、これにより、水平ビームラインが、アイソセンタ414への送達に適した鉛直ビームラインに変更される。加えて、各双極子セット402、404、及び406はそれぞれ、ガントリの全体のサイズ、及び可動体積を縮小するために該各双極子セットの中心に配置された超電導四重極磁石408、410、及び412を備えることができる。一部の実施形態では、90度双極子の曲げ半径は、約60センチメートルとして、最後のガントリ双極子406の出口からアイソセンタ414まで約2.0メートルの距離を確保することができ、これにより、このような直交ガントリの直径が約7メートルとなる。
【0052】
各ベンドシステムの中心に超電導四重極磁石を使用することに加えて、一部の実施形態では、室温四重極磁石416を、エネルギーが急速に変化するビームの伝送に使用するために、双極子間のビームラインに配置することができる。図3を参照すると、室温四重極磁石416を、双極子402の前、双極子402と404との間、及び双極子404と406との間のビームラインに使用することができる。また、図3には、最後の双極子406の前に配置された走査磁石418も示されているが、代替の実施形態では、点線のボックス420で示されているように、双極子406の後に配置しても良い。走査磁石が位置420に配置されると、双極子406からアイソセンタ404までの距離が短縮される。
【0053】
図5は、図3に示されている設計に類似したガントリ600の別の実施形態を示している。しかしながら、図5では、小型ガントリは、そのサイズが、異なる双極子角度を利用することによって調整され、図3の実施形態の3つのDBA電磁石セット(例えば、2つの60度のDQQQDセットと1つの90度のDQQQDセット)の代わりに、2つのDBA電磁石のセット(例えば、1つの60度のDQQQDセットと1つの150度のDQQQDセット)のみを有する。図5に示されている実施形態では、双極子602と超電導四重極608が、60度ベンド、双極子604と606と超電導四重極612とで150度ベンドを形成している。図5の実施形態では、超電導四重極608を双極子602間に配置し、超導電四重極612を双極子604と606との間に配置することができる。双極子604が、60度よりも大きい角度で曲がると(例えば、双極子604が70度で、双極子606が80度であるか、又は双極子604と606が共に75度であると)、ガントリは、狭い水平方向の幅をとり得る。従って、図5のガントリ600は、図3のガントリ400(60度の曲がりを利用している)よりも長さが短くなるが、ガントリ400よりも全高が高い。
【0054】
角度の多数の組み合わせを使用して、ガントリのサイズ、及びコストを最適にするビーム輸送を設計できることを理解されたい。本明細書に記載されるようにビームライン要素の選択、及び組み合わせによって直径、全高、長さ、及び他の寸法を調整することができる様々な小型ガントリエンベロープが考えられる。
【0055】
図5は、追加の室温磁石を使用してガントリの前の急速なエネルギーの変化に対応できるようにした場合の磁石要素の側面図を例示していることに留意されたい。超電導四重極磁石608、及び612を各DBA電磁セットの中心に使用することに加えて、一部の実施形態では、室温四重極磁石616を、DBA電磁石システム間のビームラインに配置することができる。ガントリシステムはまた、任意選択で、上記のビーム走査を容易にする多軸走査磁石620を備えても良い。
【0056】
図6a〜図6bは、各双極子の角度を調節したときに、どのように小型ガントリの全体のサイズ、及び体積が変化するかをさらに例示している。該ガントリの体積は、可動体積から評価することができる。可動体積は、回転ベースからアイソセンタまでの距離にπを乗じて、この値にガントリの半径の二乗を乗じて求められる。一実施形態では、ガントリのフレームの可動体積は、300立方メートル未満であろう。図6aは、図5の実施形態のビームライン要素の端面図、側面図、及び等角図のそれぞれを示している。図6aは、60度の双極子、及びこれに続く150度のセット(例えば、60度と90度の双極子、70度と80度の双極子、2つの75度の双極子など)を有する、図5に示されているガントリを表すことができる。図6aの側面図から分かるように、得られるガントリの寸法は、長さが4.74m、半径が4.14mであり得、得られる総可動体積は、255.1立方メートル(3.14*(4.14)2*4.74)]となる。
【0057】
図6bは、図3、図7a、及び図7bの実施形態のビームライン要素の端面図、側面図、及び等角図のそれぞれを示している。図6bは、60度の双極子、これに続く60度の双極子、さらに90度の双極子を有する、図3に示されているガントリを表すことができる。図6bの側面図から分かるように、得られるガントリは、長さが6.1m、半径が3.49mであり得、得られる総可動体積は、291.3立方メートル[(3.14*(3.49)2*6.1)]となる。従って、適用例、及びガントリが使用されるセンターで利用可能な空間に合わせて、該ガントリに使用される双極子のそれぞれの相対角度を調節することにより、該ガントリの全体のサイズ、及び体積を調節することができる。
【0058】
図7a〜図7bはそれぞれ、図3、及び図6bに示されている小型ガントリとすることができるガントリ組立体の一実施形態の側面図、及び端面図を例示し、該ガントリ組立体は、ガントリを陽子線治療センターで使用する際に設置時に必要な代表的な支持構造、即ちフレーム70を備えている。図7a〜図7bはまた、ガントリを上部回転構造に取り付けることができるガントリ組立体の実施形態も例示し、該上部回転構造は、2つの軸受72上を径方向に回転することができる。後軸受74を、第1の双極子に、又はその近傍に配設することができ、該後軸受74は、ビームラインを中心に回転する。図7aにおいて、後軸受74の右側のガントリ組立体の部分は、処置室から見える該ガントリ組立体の唯一の部分であろう。ガントリ組立体の残りの部分(例えば、該後軸受の左側の部分)は、壁の後側となり、患者からは見えないであろう。患者に送達される治療の種類に合わせて、ガントリ組立体の全体を、前軸受、及び後軸受を用いて回転させて、患者に送達される陽子ビームの角度を調節することができる。図7bは、どのようにしてガントリが、軸受72を用いてアイソセンタの周りをノズルを回転させることができるかを例示する該ガントリの端面図である。
【0059】
図8a〜図8bはそれぞれ、ガントリ組立体の別の実施形態(図5、及び図6aに示された小型ガントリとすることができる)の側面図、及び端面図を例示している。図7a〜図7bと図8a〜図8bとを比較すると、双極子の角度の調節が、いかに各ガントリ組立体のサイズに影響するかが分かる。例えば、図7a〜図7bのガントリ組立体は、前軸受の底部から上側双極子の頂部までの全高が26フィート2.961インチ(8.0メートル)である。図8a〜図8bのガントリ組立体は、全高が27フィート2.77インチ(8.3メートル)である。しかしながら、図7a〜図7bのガントリ組立体は、全幅(後軸受からアイソセンタまで)が22フィート11.591インチ(7.0メートル)であるが、図8a〜図8bのガントリ組立体は、全幅が18フィート4.47インチ(6.0メートル)である。
【0060】
図9は、小型ガントリの一実施形態におけるビームライン要素の配置の側面図であり、超電導磁石が、水平ビームラインを、処置部位のアイソセンタへの送達に適した鉛直ビームラインに曲げることを可能にしている。最後のガントリの出口から約3.0メートルの距離を確保すると、このような直交ガントリの直径は、約7メートルとなる。該ガントリは、僅か6メートルと短く形成して、ガントリの設置に必要な総体積を、現行技術の10分の1未満にさらに縮小することもできる。
【0061】
磁石システムは、可変磁気強度を有する双極子、及び四重極電磁石から構成することができる。電磁石システムの磁気強度は、連続的に変化させても良いし、又はランプ式としても良い。超電導材料をベースとするランプ可能な磁石は、粒子放射線治療の臨床上の要望を最も満たし得る小型ガントリ設計に適している。ガントリパラメータの最適化により、双極子は、30秒以内に約2テスラから4.0テスラにランプし得る。
【0062】
超電導磁石で十分かつ迅速なランプを達成するのが困難な場合は、いくつかの室温四重極を、小さいビーム光学系の変更のために設計に含めても良い。いくつかの周囲温度、又は室温磁石を超電導双極子、及び超電導四重極磁石で置き換えて、格段に小さくて軽いガントリにすることができる。また、ガントリ設計の最適化において、コスト削減となる四重極磁石数の低減も考えられる。例えば、磁石システムは、双極子と四重極の配置、例えば、双極子−四重極−四重極−双極子(DQQD)磁石システム、及び双極子−四重極−双極子(DQD)を有しても良い。逆に、より多くの四重極、例えば、双極子−四重極−四重極−四重極−四重極−双極子(DQQQQD)を利用しても良いが、さらに四重極を追加すると、ガントリの重量、及びコストが増加してしまう。ガントリ設計で四重極磁石数を変更すると、磁場系の光学系を再設計しなければならないであろうことに留意されたい。
【0063】
一部の実施形態では、該磁石は、低温超電導体から形成して良く、他の形態では、該磁石は、高温超電導体から形成しても良い。
【0064】
一部の実施形態では、本ガントリは、処置室の床から±180度、又は±90度回転することができる。ガントリの主な利点は、通常は治療台に横たわっている患者に対するビームの処置角度の幾何学的柔軟性を可能にすることである。
【0065】
他の実施形態では、本ガントリは、9メートル以下の直径を有することができる。これにより、現在市販されている典型的なガントリの約66%の直径のガントリが提供される。従来のアイソセントリックガントリは、通常は、直径が13メートルを超え、長さが最大15メートルである。長さを変更しないでガントリの直径を9メートルに適度に縮小するだけでも、ガントリの体積が2分の1となり、これにより、建築物、及び放射線の遮蔽に必要なコンクリートのコストが大幅に節減される。
【0066】
ガントリノズルの一部の実施形態は、所望のビーム分布を生成するために小型の複合機能走査磁石/制御システムを備えても良い。最後のガントリ双極子の上流のビーム走査により、ノズルのサイズを大幅に縮小することができ、該ビーム走査が、ガントリの直径を縮小するために従来のシステムに使用されている。しかしながら、これが従来のシステムで行われると、最後のガントリ双極子が、典型的には、ガントリのビームライン内に大きな分散を生じさせた。結果として、この分散により、その運動量アクセプタンス(Δp/p)が実質的に約1%に制限される。また、このようなシステムでは、運動量アクセプタンスをさらに犠牲にすることなく、ビームスポットを5ミリメートル未満の半径に縮小することが困難であり、最後の双極子のアパーチャを拡大する必要がある。本ガントリ設計は、この問題を解決することができ、最後の双極子の前、又は上流のビーム走査を行うことなくサイズを縮小することができる。
【0067】
一実施形態では、磁気ビーム輸送システムを構成する超電導磁石は、±2%〜±6%の運動量アクセプタンスを有し得る。超電導DBAの分散機能は、約42センチメートルであり、典型的な2インチ(約5.1センチメートル)のビーム管の場合、6%の運動量アクセプタンスに相当するであろう。例えば、60度ベンドの色収差補正双極子の運動量アクセプタンスは、約6%であり、これは、200MeVで±20MeVのエネルギーアクセプタンスに相当する。DBAシステムのこの運動量アクセプタンスの増加により、超電導磁石のランプレートの要件が緩和される。従って、磁石の設定を変更することなく、このような双極子を用いて180MeVから220MeVの陽子ビームの伝送を達成することができる。言い換えれば、このようなDBAシステムは、磁石の設定を変更することなく、深さにおける所望の線量分布を達成するために、エネルギーが急速に変化するビームを伝送して腫瘍体積の異なる層を照射することができる。これは、陽子線治療にとって大きな利点である。本明細書に記載される設計は、ガントリの前で(即ち、ビームが後軸受、又はガントリに取り付けられた第1の双極子に到達する前に)急速にエネルギーを変化させることができる。
【0068】
別の実施形態では、本ガントリ設計は、先進ビーム走査技術に適合している。本ガントリ設計は、可能な限り軽量かつ小型でありながら、操作を容易にし、スポットビーム走査機能を用いた強度変調陽子線治療(IMPT)を含む治療計画における最大限の柔軟性を可能にし、治療台の患者へのアクセスを容易にする。本ガントリはさらに、アイソセントリックを維持したまま、先進ビーム走査機能を可能にする。例えば、システムのビーム光学系は、ビームをアイソセンタで二乗平均平方根(rms)が1ミリメートル(mm)〜10ミリメートルのスポットサイズに集束させることができる。
【0069】
一部の実施形態では、照射野のサイズを、20×30センチメートルとすることができる。
【0070】
さらに他の実施形態は、エネルギースタッキング法を利用したコンピュータ制御デジタルレンジ変調器、並びに処置中の陽子線の線量、位置、対称性、及び均一性を測定する冗長多面イオンチャンバー検出システム(redundant multi-plane ion chamber detector system)(the Patient Dose Monitor)を含み得る。
【0071】
一部の実施形態では、線源からアイソセンタまでの距離(SAD)は、2.2メートルよりも長い。SADが短いと、患者に対する皮膚(入口)線量が増大することになる。SADのいかなる増加もガントリの半径を拡大させるという事実を考慮しなければならない。従って、SADの全ての増加とガントリのサイズの抑制との間にトレードオフの関係が存在する。
【0072】
別の利点は、本ガントリ磁石システムの色収差補正特性は、エネルギーデグレーダから患者に伝送されるビームの割合も改善することである。陽子線治療システムの殆どに使用されている現行のガントリは、必要な最終エネルギーによって、ビームの約1%〜3%を加速器から患者に伝送する。本明細書に記載されるガントリの一部の実施形態は、エネルギーデグレーダから患者への伝送を約10%に、さらには20%に増加させる。結果として、ビームロスが5分の1から7分の1に減少するため、加速器、及びビーム輸送システムの周りに必要な遮蔽コンクリートの量が大幅に減少する。この伝送の増加の別の利点は、加速器の要求が低下することである。
【0073】
加えて、超電導磁石システムの使用により、総電力、及び電源の要件が緩和される。
【0074】
アイソセントリックガントリに超電導磁石を利用する利点は、顕著であり、以下が含まれる:臨床スペース全体、電源、総質量、及び必要な電力の軽減。超電導磁石は、熱劣化が起きないため、リスクを増加させたり、ロバスト性を低下させることなく、僅かな余裕を持たせるだけで設計することができ、これにより、全体のコストがさらに軽減される。高温導体が高温で利用される実施形態では、さらなる節約を実現することができる。
【0075】
超電導磁石、及び色収差補正光学系を使用することにより、ガントリのサイズを縮小することができる。ビーム送達ガントリの直径を約7メートルに縮小し、その長さを約8メートルに短縮できることが、本発明の原理の利点を示している。結果として、ガントリが占める体積は、現在市販されているシステムと比較して最大で10分の1まで減少する。体積の減少により、重量も同様に減少する。規模が小さい低コストの陽子線治療システムの出現により、陽子線治療が、放射線治療においてはるかに大きな役割を果たすようになり、この進歩した形態の治療が、該治療により大きな恩恵を受ける多くの患者に提供される。
【0076】
アイソセントリックガントリを使用して患者に粒子放射線治療を行う方法も提供される。一実施形態では、該方法は、アイソセントリックガントリが第1の位置に配置されたときに患者に粒子線放射を送達する工程を含む。該アイソセントリックガントリは、粒子ビームラインに配置され、かつ該粒子ビームラインの方向を変更するように構成された複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石であって、少なくとも1つの超電導磁石を有する、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石と、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石を支持する大きさ、及び構造の支持フレームと、を備えている。一部の実施形態では、アイソセントリックガントリは、複数のデュアル・ベンド・アクロマートを備え、かつ粒子ビームラインの方向を約45〜90度変更するように構成されている。
【0077】
次に、該方法は、アイソセントリックガントリの支持フレームを回転させて該アイソセントリックガントリを第2の位置に配置する工程を含み得る。該アイソセントリックガントリの支持フレームは、最大360度回転するように構成することができる。一部の実施形態では、該方法は、300立方メートル未満の可動体積を有するアイソセントリックガントリの支持フレームを回転させて該アイソセントリックガントリを第2の位置に配置する工程を含む。
【0078】
該方法は、アイソセントリックガントリが第2の位置に配置されたときに粒子線放射を患者に送達する工程をさらに含み得る。
【0079】
本発明についてのさらなる詳細に関しては、材料、及び製造技術を、当技術分野の技術者の水準の範囲内として利用することができる。同じことが、一般的、又は論理的に利用されるさらなる工程の点で本発明の方法の態様にも当てはまるであろう。また、記載される本発明の変更形態の全ての任意選択の特徴を、記載して、単独で、又は本明細書に記載されるいずれか1つ以上の特徴と組み合わせて請求しても良いと考えられる。同様に、単数のアイテムについての言及は、複数の同じアイテムが存在する可能性も含む。より具体的には、本明細書、及び特許請求の範囲での使用では、単数形「ある(a)」、「及び(and)」、「前記(said)」、及び「その(the)」は、別に特段の記載がない限り、複数の指示対象を含む。さらに、特許請求の範囲は、任意の選択要素を排除するように作成されている可能性があることに留意されたい。そのような場合、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連した「唯一」、「のみ」などのような排他的専門用語の使用、又は「否定的」限定の使用の際の先行する基準となることを意図する。本明細書に特段の記載がない限り、本明細書に使用される全ての技術用語、及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の範囲は、本明細書によって限定されるものではなく、使用される請求項の用語の単純解釈によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子放射線治療を患者に施すように構成されたアイソセントリックガントリであって、
粒子ビームラインに配置され、かつ該粒子ビームラインの方向を変更するように構成された複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石であって、少なくとも1つの超電導磁石を有する、該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石と、
該複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石を支持する大きさ、及び構造の支持フレームと、を備えている、アイソセントリックガントリ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの超電導磁石が、可変磁気強度を有する、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項3】
前記粒子ビームラインに配置され、かつ該粒子ビームラインの色収差補正ビーム光学系を提供するように構成された少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマートをさらに備えている、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの超電導磁石が、ランプ可能であり、前記アイソセントリックガントリが、約±2%〜±10%の範囲の運動量アクセプタンスを有する、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項5】
前記複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石が、少なくとも1つの周囲温度磁石を有する、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマートが、少なくとも1つの双極子、及び少なくとも1つの四重極を有する、請求項3記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項7】
前記粒子ビームラインに配置された少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマート、及び少なくとも1つの周囲温度磁石をさらに備えている、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの超電導磁石が、低温超電導材料を含む、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの超電導磁石が、高温超電導材料を含む、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項10】
前記複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石が、磁場強度、又は双極子の設定を変更することなく、前記粒子ビームラインのエネルギーが急速に変化する該粒子ビームラインを伝送するように構成されている、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項11】
前記粒子ビームラインに配置され、ビーム走査を容易にするように構成された走査磁石をさらに備えている、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項12】
前記フレームが、アイソセンタを中心に回転するように構成されている、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項13】
前記フレームが、300立方メートル未満の可動体積を有する、請求項12記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項14】
前記フレームが、2.2メートルを超える、線源からアイソセンタまでの距離を有する、請求項13記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項15】
前記粒子ビームラインをアイソセンタで二乗平均平方根(rms)が1mm〜10mmのスポットサイズに集束させるように構成されている、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの周囲温度磁石が、周囲温度四重極磁石を有する、請求項5記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項17】
前記複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石が、約60度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第1のダブル・ベンド・アクロマート、及び約150度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第2のダブル・ベンド・アクロマートをさらに有する、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項18】
前記複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石が、約60度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第1のダブル・ベンド・アクロマート、約60度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第2のダブル・ベンド・アクロマート、及び約90度ベンドの双極子−四重極−四重極−四重極−双極子として配置された第3のダブル・ベンド・アクロマートをさらに有する、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。
【請求項19】
前記複数の双極子電磁石、及び四重極電磁石が、前記粒子ビームラインの方向を約45度〜90度変更するように構成された少なくとも1つのダブル・ベンド・アクロマートをさらに有する、請求項1記載のアイソセントリックガントリ。

【図1】
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【図2】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−509277(P2013−509277A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537188(P2012−537188)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/055087
【国際公開番号】WO2011/053960
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512114556)プロキュア トリートメント センターズ インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】