説明

小型スプレー装置

自動放出装置が、トップ部とベース部とを有するハウジングを備え、その間に容器を確実に保持するためのリセスを画定する表面が設けられている。少なくとも1つの歯車が、リセスとハウジングの背面パネルとの間に配設される。駆動モータがこの少なくとも1つの歯車と結合している。アクチュエータアームも設けられている。駆動モータと少なくとも1つの歯車を起動することにより、リセスの長手軸に平行な方向成分を有する経路に沿って、少なくとも1つの起動前の位置と放出位置との間でのアクチュエータアームの動きが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する出願の参照]
本出願は、2005年10月11日に出願された米国特許仮出願第11/247,793号の一部継続出願であり、2004年10月12日に出願された米国仮出願第60/617,950号の利益を主張するものである。
[連邦政府援助の研究/開発に関する記述]
該当せず。
[配列表]
該当せず。
【0002】
本開示はスプレー装置からの流体の放出に関し、特には、エアロゾル容器のノズルを介して液体を放出するための方法および設備に関する。
【背景技術】
【0003】
ケース内に加圧流体を含むエアロゾル容器用の自動放出装置は、通常エアロゾル容器のノズルに係合するアクチュエータ機構を含む。特定の例においては、センサから受信された入力に応答して、モータがアクチュエータ機構を変位させ、この変位によってアクチュエータ機構がエアロゾル容器のノズルと係合し、そこから加圧された流体を放出させる。
【0004】
Hillらによる特許文献1では、エアロゾル缶から加圧流体を放出するためのバルブ機構を備えた装飾品を開示している。バルブ機構はアクチュエータ棒を備え、それがエアロゾル缶のノズルに接触および押圧して加圧流体をそこから吐出する。吐出された加圧流体がバルブ機構内の隔壁に作用して、作動液を第1のチャンバから第2のチャンバに押しやり、第2のチャンバに入った流体がピストンを持ちあげる。ピストンの上昇がアクチュエータ棒を上昇させてノズルとの係合を解き、それによって缶からの流体の放出を終わらせる。バルブ機構内の加圧流体はその後制御可能に解放されてピストンを降下させ、アクチュエータ棒が再びノズルと係合する。
【0005】
Lynnによる特許文献2では、ファンにより強制換気される既存の冷暖房空調設備を有する、複数の部屋のある建物において使用される、芳香分与設備を開示している。この設備は複数の香料容器、複数の電磁弁、複数のプログラム可能なタイマ、および1つのファン用タイマを備えている。
【0006】
Mollayanによる特許文献3では、ディスペンサのハウジングの中に配設されたエアロゾル缶から液体消臭剤を散布するための定期スプレーディスペンサを開示している。レバーアームがハウジングに回動可能に取り付けられて、缶のスプレーバルブと係合する第1の端と、偏心カムと係合する第2の端とを備え、この偏心カムはタイマ制御されたモータで回転される。偏心カムが回転すると、カムがレバーアームを旋回させ、それによって第1の端がスプレーバルブを押して缶の内容物を放出させる。
【0007】
Chownによる特許文献4では、エアロゾル容器から化学物質を分与する設備を開示している。この容器は磁性材料を備え、容器を囲んでソレノイドコイルが巻かれている。ソレノイドコイルに通電すると、容器が上へ動き、非分与位置から分与位置へ移動する。
【0008】
Borutらによる特許文献5では、アクチュエータカムに連結した電気モータを利用する、自動空気清浄機を開示しており、ここでアクチュエータカムの突出部がエアロゾルキャニスタの端と係合する。カムがフレームを介してキャニスタを上方のハウジングの開口部の方へスライドさせ、ハウジングの開口部の中でキャニスタのバルブが押し付けられて開き、そこからカニスタの内容物を分与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,544,086号
【特許文献2】米国特許第5,924,597号
【特許文献3】米国特許第6,293,442号
【特許文献4】米国特許第6,419,122号
【特許文献5】米国特許第6,644,507号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、自動放出装置が、トップ部とベース部とを有するハウジングを備え、容器をしっかりと保持するためのリセスを画定する表面がその間に設けられている。少なくとも1つの歯車が、リセスとハウジングの背面パネルとの間に配設される。駆動モータがこの少なくとも1つの歯車と結合している。アクチュエータアームも設けられている。駆動モータと少なくとも1つの歯車を起動することにより、リセスの長手軸に平行な方向成分を有する経路に沿って、少なくとも1つの起動前の位置と放出位置との間のアクチュエータアームの動きが提供される。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、自動放出ディスペンサが、容器をその中に保持するのに適応した着座を有するハウジングを備える。このハウジングの底部に駆動モータが配設される。係合部材を有するアクチュエータアームも設けられる。係合部材は、円形の放出開口部を有する一様な円筒形バルブステムから流体が流出するのを防ぎ、非円形の放出開口部を有するバルブステムから流体を流出させる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、ディスペンサユニットの操作方法が、内部に容器を配設するハウジングを含むディスペンサユニットへ電源を供給するステップを含む。別のステップが、スプレー操作と運動センサの起動との間に休止期間間隔を提供することを含む。更に別のステップで、ディスペンサユニット上に配設された運動センサを休止期間間隔終了後に起動し、センサの検出経路内の動きを検出する。さらに、運動センサは動きを検出するまでは起動されたままであり、動きの検出とともに流体を自動的に容器から放出し、休止期間間隔をリセットし、運動センサを停止する。
【0013】
その他の態様及び利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を考慮することにより明らかとなるであろう。ここで同じ要素には同じ参照番号が充てられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ディスペンサの1つのタイプの等角投影図である。ここでは電池と流体容器は省略されている。
【図2】図1のディスペンサに流体容器を挿入した状態の平面図である。
【図3】図2のディスペンサの側立面図である。
【図4】図2のディスペンサの背面立面図である。
【図5】ディスペンサを示す図1の線5−5に概ね沿った断面図である。
【図6】図4と同様の図であるが、ディスペンサの背面パネルを取り外して駆動ユニットおよびアクチュエータアームを示している。
【図7】第1の操作手順による、図1〜図6のディスペンサの操作を示すタイミングチャートである。
【図8】別のディスペンサ、エアロゾル容器、および2つの電池を示す分解等角投影図である。
【図9】図8のディスペンサにエアロゾル容器および2つの電池が納められた状態を示す等角投影図である。
【図10】第2の操作手順による、図8および図9のディスペンサの操作を示す別のタイミングチャートである。
【図11】本明細書で開示した任意のディスペンサのモータ制御用電気回路の概略図である。
【図12】さらに別のディスペンサの等角投影図である。
【図13】別のディスペンサの正面カバーを開いた状態の等角投影図である。
【図14】図13のディスペンサの正面カバーを閉じた状態の等角投影図である。
【図15】別の正面カバーを持つ更なるディスペンサの分解等角投影図である。
【図16】別の正面カバーを持つ更なるディスペンサの分解等角投影図である。
【図17】別のディスペンサの等角投影図である。
【図18】図17のディスペンサの正面立面図である。
【図19】図17のディスペンサの背面立面図である。
【図20】図17と同様の図であるが、ディスペンサカバーを外してディスペンサの正面が見えるようにした図である。
【図21】図20と同様の図であるが、ディスペンサの正面から流体容器および電池を取り外した状態の図である。
【図22】図19と同様の図であるが、ディスペンサの背面パネルを取り外して駆動ユニットおよびアクチュエータアームを示した図である。
【図23】第3の操作手順による、図17〜図22のディスペンサの操作を示す状態図である。
【図24】別のディスペンサの等角投影図である。
【図25】図24のディスペンサの正面立面図である。
【図26】図24のディスペンサの背面立面図である。
【図27】図25と同様の図であるが、ディスペンサカバーを外してディスペンサの正面が見えるようにした図である。
【図28】図27のディスペンサの等角投影図であり、ディスペンサの正面から流体容器および電池を取り外した状態の図である。
【図29】図26と同様の図であるが、背面パネルを取り外して駆動ユニットおよびアクチュエータアームを示した図である。
【図30】第4の操作手順による、図24〜図29のディスペンサの操作を示す更に別のタイミングチャートである。
【図31】図27に示した別の実施形態のアクチュエータアームの部分断面の部分図であり、アクチュエータ要素がバルブステムと接触した状態を示す。
【図32】バルブステムの拡大等角投影図である。
【図33】アクチュエータ要素に隣接して配設されたバルブ要素の別の実施形態を示す等角投影図の部分図である。
【図34】図33と同様の図であるが、バルブ要素に隣接したアクチュエータ要素の別の実施形態の図である。
【図35】図34の線35−35にほぼ沿った断面図であり、アクチュエータ要素がバルブ要素と係合した状態を示す図である。
【図36】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図37】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図38】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図39】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図40】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図41】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図42】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図43】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【図44】ここで説明した実施形態と共に使用できる他のバルブステムの拡大等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図6はディスペンサ10の一実施形態を示す。ディスペンサ10は一般に、ハウジング20、アクチュエータアーム30および駆動ユニット40を備える。容器60はディスペンサ10のハウジング20内部に配設される。ディスペンサ10は特定の条件が生じると容器60から流体を放出する。その条件とは、装置の手動での起動であったり、時間間隔の経過やセンサからの信号に応答する装置の自動起動であったりする。流体は液体媒体中に入れられた香料、殺虫剤や、脱臭液などである。例えば、流体は、家庭用、業務用、施設用の空気およびカーペット消毒剤であるOUST(登録商標)、あるいは家庭用脱臭剤であるGLADE(登録商標)などであり、このいずれもウィスコンシン州ラシーンのS.C.Johnson and Son, Inc.から発売されている。流体としては、消毒剤、空気浄化剤、除臭剤、カビ・白カビ抑制剤、昆虫忌避剤などの活性物質やアロマセラピ特性を有するものなども含まれる。これらの代わりの流体として、容器から分与することが可能なものとして当業者に知られている任意の流体が含まれる。従ってディスペンサ10は、任意の数の異なる流体組成の分与にも適応できる。
【0016】
図1〜図6に示す本実施形態によるハウジング20は、ベース部100とトップ部104とからなる。第1の側壁108および第2の側壁112は、それぞれベース部100とトップ部104との間に延在する。更に、トップ部104が第1の肩部116と第2の肩部120とをそれぞれ備え、第1の肩部116は第1の側壁108から内側へ延在し、第2の肩部120は第2の側壁112から内側へ延在する。この実施形態は、トップ部104から上方向に延在してアクチュエータアーム30を覆う、アクチュエータアームカバー124も備える。好適な実施形態においては、アクチュエータアームカバー124は、アクチュエータアーム30と同様の形を有する輪郭となっている。
【0017】
図1からわかるように、トップ部104の第1の肩部116と第2の肩部120の間にスロット128が配設されている。スロット128は実質的に円筒形で、正面側132が開いている。スロット128を画定する内壁136は、容器60の一部が入れ子になって容易に入り込めるような輪郭となっている。図5および図6が示すように、トップ部104がスロット128の隣にチャネル140を備え、このチャネル140はハウジング20の内部背面パネル144と外部背面パネル148との間に配設される。
【0018】
図1〜図4を特に参照すると、容器60はハウジング20の正面側132を通り、底面204、側面208および212、斜面216および220、背面224によって部分的に画定されるリセス200の中へ挿入される。更に、容器60のネック228はスロット128の中へ挿入され、これによって容器60の位置合わせおよび/または固定が支援される。2つの単3電池232もまた、ハウジングの正面側132を通ってハウジング20中に挿入され、これは後述する図8および図9の実施形態と同様である。電池232は、それぞれのプラス端子およびマイナス端子との間の締まり嵌めによって固定される。
【0019】
容器60は、当業者に周知の任意のサイズおよび容量のエアロゾル容器もしくはポンプ式のスプレー容器であってよい。しかし、容器60は好ましくは、上端258に縁曲げされた取付カップ254を備えた本体250からなるエアロゾル容器である。取付カップ254は通常円筒形の形状で、その周りを円周方向に延在する外部壁262を備える。ある場合には、容器60のネック228が取付カップ254の下に配設され、そこでネック228は取付カップ254および本体250のその他の部分に対して内側に曲げられている。台座266もまた、取付カップ254の基部270の中心から上方向に延在する。容器60内部のバルブアセンブリ274がバルブステム278を備え、その遠位端282が台座266を貫通して延在する。所望により、ボタンやその他のアクチュエータ(表示せず)を、バルブステム278の遠位端上に取り付けることも可能である。バルブステム278の遠位端282が押込まれると、バルブアセンブリ274が開き、容器60の内容物がバルブステム278の開口部286を介して放出される。容器60の内容物は、連続的に放出されても、一定量ずつ放出されてもよい。更に、容器60の内容物の放出は、たとえば部分定量放出、バルブアセンブリ274の部分開口による放出、多数回の連続放出、などのいかなる方法で行われてもよい。
【0020】
図5および図6に関しては、アクチュエータアーム30が、主部300、中間部304、張出部308を含む。穴のある垂れ下がった取付部312が主部300から下へ延在する。取付部312は駆動ユニット40の部分に係合する。これは詳細を後で述べる。主部300はチャネル140の内部に配設され、ハウジング20の外部背面パネル148と実質的に平行になっている。アクチュエータアーム30の中間部304は、主部300から横方向並びに上方向に延在する。従って中間部304の上端316は、主部300よりもハウジング20の外部背面パネル148およびトップ部104から遠い。アクチュエータアーム30の張出部308は、中間部304の上端部316からハウジング20の正面側132の方向へ向かって延在する。張出部308は主部300に対して実質的に横位置となっている。更に、張出部308の少なくとも一部はスロット128の上に配設されている。
【0021】
バルブアセンブリ274を開け、容器60の内容物を放出する前に、アクチュエータアーム30と張出部308が作動前位置に配置される。アクチュエータアーム30および張出部308が作動前位置に配設されると、好ましくは、バルブステム278の遠位端282は張出部308の下側320からわずかに離れているか、あるいは軽く接触する。もしくは、この段階で張出部308は、バルブアセンブリ274がまだ開かない範囲で、部分的にバルブステム278を押してもよい。
【0022】
開口部325を終端とするディスペンス穴324が張出部308の中に設けられて、張出部308の上側328から下側320まで延在し、容器60と外部大気との間を流体的に連通させる。ディスペンス穴324は任意の幾何学的形状を取り得るが、図1〜図6ではディスペンス穴324が丸い円筒形で表示されている。ディスペンス穴324は好ましくは約20ミル(約0.51mm)の直径を有する。ディスペンス穴324の長手方向の軸Aは好ましくはハウジング20のベース部100の面に直角な方向に向いている。こうして、バルブアセンブリ274が開かれると、容器60の内容物がディスペンス穴324を通して上方向に放出されて周辺大気中へ出てゆく。所望であれば、ディスペンス穴324は代わりにL字型をしているか、その他の任意の非直線形状を有していて、容器60の内容物を上方向以外の方向へ向けてもよい。更にまた、当業者には明らかなように、ディスペンス穴324、および/または開口部286、および/または開口部325の断面形状および/または直径を変更して、スプレーパターン、すなわち、放出液体の渦巻きおよび/または機械的な分散を所望のものが得られるように変えてもよい。
【0023】
アクチュエータアーム30が、駆動ユニット40によって伝えられた動きを介してバルブステム278を押す。駆動ユニット40は、図5および図6に見られるような減速歯車列404と結合する駆動モータ400を含む。駆動モータ400は、リセス200の底面204の下にある、ハウジング20のベース部100の内部に組み込まれる。駆動モータ400はモータ歯車408、別称第1のピニオン、を含み、これはハウジング20の外部背面パネル148の方向へ向いている。モータ歯車408が駆動歯車412と噛合い、ここで駆動歯車412は心棒418を中心に回転する第2のピニオン416を含む。駆動歯車412の第2のピニオン416が遊び歯車420と噛合い、ここで遊び歯車420は心棒426を中心に回転する第3のピニオン424を含む。遊び歯車420の第3のピニオン424がレバー歯車428と噛合う。駆動歯車412、遊び歯車420、レバー歯車428はそれぞれハウジング20の内部背面パネル144と外部背面パネル148との間に配設される。心棒418および心棒426は内部背面パネル144から延在する鋳造された突起であり、その遠位端はそれぞれ外部背面パネル148の穴429、430の中まで達している。
【0024】
レバー歯車428は、内部背面パネル144から外部背面パネル148の穴436まで延在する心棒432を中心として回転する。レバー歯車428は更に、ピン450によって心棒432から中心のずれた点で取付部312に接続される。レバー歯車428が減速歯車列404および駆動モータ400によって時計方向に回転させられると(図6でわかるように)、アクチュエータアーム30は下向きに放出位置の方へ引き下げられる。逆に、レバー歯車428が反時計方向に回転させられると、アクチュエータアーム30は上向きに作動前位置の方へ引き上げられる。内部背面パネル144から突き出た鋳造リブ454が、アクチュエータアーム30が放出位置まで引き下げられた場合にレバー歯車428と干渉する。
【0025】
アクチュエータアーム30は下方向の特定の地点まで引っ張られて放出位置へ移動し、そこでバルブステム278が押されてバルブアセンブリ274が開き、それによって流体がバルブアセンブリ274を通って放出される。特定の地点はバルブステム278が部分的あるいは完全な押込みとなるように選択される。バルブステム278を完全に押し込むと、容器の内容物は、決められた定量全部が放出されるか、あるいは連続的に放出されるかし、一方、バルブステム278を部分的に押し込むと、容器の内容物の定量の部分的放出、ないしは部分的な連続放出が起きる。好ましくは、必ずしも必要ではないが、アクチュエータアーム30はある時間(以後“スプレー期間”と称す)の間、放出位置に保たれる。スプレー期間の継続時間は、数分の1秒から1秒以上の任意の範囲であってよい。実際所望であれば、アクチュエータアーム30は容器の内容物がすべて放出されるまで放出位置に保持することができる。スプレー期間の終了後、駆動モータ400が電気を切断され、ばねで付勢されたバルブステムがアクチュエータアーム30を作動前位置に動かして、それ以上のスプレーが止まる。レバー歯車428を鋳造リブ454に強制接触させた後、駆動モータ400を切断することにより生じる反動で、アクチュエータアーム30の作動前位置に戻る動きが促進される。所望であれば、アクチュエータアーム30は、多数回の継続的放出を与える条件を1回発生させることに応答して、放出位置への行ったり来たりの運動を多数回に亘って繰り返すことができる。多数回の継続的放出は、1回の放出で長いスプレー期間に亘り容器から連続放出することが望ましくない場合、あるいは容器からの1回の定量放出では不十分である場合に、有用である。
【0026】
ディスペンサ10の駆動ユニット40は好ましくは、従来技術のディスペンサに比較して高速回転の高トルク規格のモータを利用する。ある例においては、駆動モータ400は、従来技術のディスペンサで使用されるモータよりも5〜10倍高速である。バルブステム278を押し込む時に駆動モータ400が高速で回転するほど、よりエネルギ効率のよいシステムが得られる。この効率の増加は予想外の結果であり、従来技術の教示に対して反直観的である。さらに、駆動ユニット40の大部分を内部背面パネル144と外部背面パネル148との間に置くことにより、従来技術のディスペンサに比較してディスペンサ10の寸法が大幅に減少される。その上、軽量素材の使用が可能(例えば、歯車およびモータのピニオンは可撓性のウレタンあるいは熱可塑性樹脂で作ることが可能)で、低重量ディスペンサ10が実現できる。寸法及び重量の低減により、ディスペンサ10は家庭あるいは事務所のほとんどどのような場所にでも配置することが可能となる。そしてさらに、開示した駆動ユニット40の配置は従来技術のディスペンサに比較してより静かなディスペンサを作ることができる利点も有する。また、歯車用に可撓性材料を利用することで、駆動ユニット40から生じる騒音が更に減少する。
【0027】
図1はディスペンサ10がスイッチ500を含むことを示す。スイッチ500には図1に示されているようにオフ位置502とオン位置504(図1の右から左)がある。スイッチ500がオン位置へ動かされると、ディスペンサ10が自動時間モードで運転される。この詳細は図7に関連して以下で述べる。更に押しボタンスイッチ508(図2)を押すと、手動スプレー運転が始まる。手動スプレーを選択すると、所望のときにユーザがディスペンサの自動運転を無効化し、および/または補完することができる。
【0028】
図7は本実施形態のタイミングチャートであり、使用時のディスペンサ10の動作を示す。まず、スイッチ500をオン位置に動かしてディスペンサ10に電源を投入し、そうするとディスペンサ10が始動遅延期間に入る。始動遅延期間が終了すると、駆動ユニット40は第1のスプレー時間の間だけディスペンサ10から流体を放出するように指示される。始動遅延期間は好ましくは3秒間である。第1のスプレー期間が終わると、ディスペンサ10は第1の休止期間に入り、これは所定の時間、例えば約4時間の長さである。第1の休止期間が終了すると、駆動ユニット40が起動されて、第2のスプレー期間だけ流体を放出する。この後、休止期間とスプレー期間とを交互に繰り返して自動運転が続く。休止期間中の任意の時間にユーザは、押しボタンスイッチ508を押して、選択可能な、あるいは固定された時間の長さだけ、ディスペンサ10を手動で起動できる。手動スプレー運転が終了すると、ディスペンサ10は更に全休止期間を開始する。その後、スプレー動作が行われる。
【0029】
図8および図9は別の実施形態であるディスペンサ10aを示す。スイッチ500aは好ましくはトグルスイッチであり、3つの安定位置の1つへ移動できる。スイッチ500aが中央位置512にあれば、ディスペンサ10aには電力が供給されていない。スイッチ500aが第1のオン位置516へ入れられると、ディスペンサ10aの電気部品に電力が供給され、図7に関連して前述した様に、ディスペンサ10aが時間モードで運転される。スイッチ500aが第2のオン位置520へ移ると、ディスペンサ10aの電気部品に電力が供給され、以下で詳細を述べるように、ディスペンサ10aが時間モードと、センサ524の出力に応答して動作するセンサモードとの組合せで運転される。プッシュボタン式の別のスイッチ528も、駆動ユニット400の手動起動用に設けられ、ここで、ユーザがスイッチ528を押すと、ディスペンサ10aがオフのとき以外はいつでもスプレー動作をおこなうことができる。スイッチ528によってユーザはディスペンサ10aの自動起動を手動で無効化することができる。
【0030】
本実施形態においてセンサ524は、フォトセル運動センサである。しかし、例えば、受動型の赤外線もしくはピロ電気運動センサ、赤外線反射型運動センサ、超音波運動センサあるいはレーダすなわちマイクロ波運動センサなどの、その他の市販の運動検知器を本実施形態に利用してもよい。フォトセルは周囲の光を集め、コントローラ532(図11)がその強度の変化を検知する。フォトセルの出力にコントローラ532がフィルタを掛ける。コントローラ532が、光条件の閾値、たとえば光強度における所定レベルの変化、に達したと判定すれば、コントローラ532が駆動ユニット40を起動する。例えば、ディスペンサ10aが照明された浴室に配置されていて、人が歩いてセンサ524を横切って、センサ524に届く周囲の光の十分な量を遮蔽すると、コントローラ532がディスペンサ10aを起動して液体を放出する。
【0031】
スイッチ500aが第2のオン位置520へ動かされると、ディスペンサ10aは好ましくは、図10のタイミングチャートで示されたように動作する。スイッチ500aが第2のオン位置520へ動くと、先ずディスペンサ10aが始動遅延期間に入る。始動遅延期間が終わると、第1のスプレー期間の間流体がディスペンサ10aから放出される。第1のスプレー期間が終わると、ディスペンサ10aは第1の休止モードに入り、その期間はセンサ524が動きを検出したとしてもスプレーは停止される。その後、第1の休止期間が終了して、センサ524が動きを検知してセンサの出力信号をコントローラ532へ送信すると、コントローラ532が特定の時間間隔を計時する。この特定の時間間隔は好ましくは約2分間である。特定の時間間隔が経過すると、ディスペンサ10aが第2のスプレー期間の間流体を放出する。スプレーの遅延は、動きを検知した後特定の期間の間ディスペンサ10aが流体を放出するのを待機させ、その部屋にいる人がディスペンサ10aから移動して離れ、および/またはその部屋から出るための時間が持てるようにする。第2のスプレイ期間が終了すると、ディスペンサ10aは第2の休止期間に入る。ディスペンサ10aは第2の休止期間が終了するまでは、動きの検知に応答して再び自動起動することが阻止される。休止期間を設けることにより、通行の多い領域で起きがちな、多数回の自動起動による過剰スプレーを防止する。休止期間はそれぞれ、約1時間続くことが好ましい。
【0032】
手動スプレー期間においては、ユーザはいつでもスイッチ528を手動で起動して手動スプレー操作を開始し、流体を放出することができる。手動スプレー期間が終了すると、ディスペンサ10aは完全休止期間に入る。その後、ディスペンサ10aは休止期間と、休止期間終了後に動き検知によって始動されるスプレー期間とを交互に行う。スプレー期間が、動き検知に応答するスプレー期間であるかスイッチ528の起動に応答するスプレー期間であるかに拘わらず、その後には毎回完全休止期間が続く。例えば、図10のタイミングチャートでは時刻tにおいてもう一度手動起動があり、その後ディスペンサ10aは完全休止期間に入る。
【0033】
ここで開示するすべての実施形態において、休止期間はすべて同一の長さであり、スプレー期間が手動で開始されたものであっても、自動で開始されたものであっても、それには関係なしにスプレー期間の終了の後に自動的に休止期間が始まる。また好適な実施形態においては、スプレー期間の長さはすべて同じである。所望であれば、1つまたは複数の休止期間が他の休止期間より長かったり、短かったりしてもよく、および/または、1つまたは複数のスプレー期間が他のスプレー期間より長かったり、短かったりしてもよい。さらに、始動遅延期間が省略されて、ディスペンサに電力が投入されると直ちに第1のスプレー動作が行われてもよい。更にまた、手動スプレー動作が行われたかどうかにかかわらず、等間隔あるいは不等間隔でスプレー動作が定期的に行われるように、制御方式が修正されてもよい。
【0034】
所望であれば、ディスペンサ10aは、たとえば、日中とか夜だけというように、特定の時間内でだけ動作するように変更されてもよい。
【0035】
別の実施形態では、センサ524が当業者には周知の振動センサあるいは傾斜センサである。ディスペンサ10aをドアや便器に配置することにより、それぞれドアを閉めたり、トイレに水を流すことでセンサ524に出力信号を生じさせ、それがコントローラ532へ配信される。そのあと、ディスペンサ10aが前述のように流体を放出する。
【0036】
数多くのその他のタイプのセンサ524が本開示のディスペンサ10aと共に使用することが可能であると考えられる。より具体的には、音で起動されるセンサが、トイレに水を流す時や、ドアを閉める時のような音を検知すると同時にあるいはその後で、ディスペンサ10aを起動することも可能である。または、トイレに水を流したとき、あるいは水を流してしばらくしてからディスペンサ10aを起動するには、水位センサが特に有効であるかもしれない。別の実施形態では、センサ524は圧力センサであって、人が特定の場所を踏んだり、便座に座ったりしたとき、あるいはその後に、駆動ユニット40を起動する。更にまた別の実施形態では、トイレに水が流された場合(それによってトイレ近傍の湿度が上がって)、あるいは、外気が乾燥しすぎあるいは湿度が高すぎる場合に、そのすぐ後にあるいはある時間を取った後に、湿度センサがディスペンサ10aを起動する。更には、トイレ近辺の周囲温度の変化を記録する温度センサが設けられて、人がトイレ近くに居て、それによってその近辺の周囲温度が上昇した時に、あるいはその後に、ディスペンサ10aを起動させてもよい。このような温度センサは、代わりにトイレの水位が変化した場合の温度変化を検知するように配設されて、トイレに水を流したとき(あるいは水を流した後の特定の時間の後に)、ディスペンサ10aを起動させるようなこともできる。最後に、臭いセンサが浴室や台所などの場所においてある分子を検知し、検知と同時に、あるいはその後特定の時間を置いて、ディスペンサ10aを起動させることもできる。センサ524は1つだけ利用することが好ましいが、適切なスイッチによって違う組合せを選択することにより、このようなセンサの任意の組合せを使用することも可能である。更に、可能性のあるセンサ524としてここに挙げたリストは完備したものではなく、単に、本明細書で記述しているディスペンサ10と一緒に使用し得る別のタイプのセンサ524を説明するためのものである。更にまた、ディスペンサ10の配置はここで述べた特定の例のいずれにも限られるものではない。ディスペンサ10は、流体の放出が必要とされる、および/またはセンサ524が有効である、任意の場所に配置されることが意図されている。
【0037】
次に図11を参照すると、コントローラ532実装のための回路が、テキサスインスツルメント社製のMSP43OF1 121マイクロプロセッサ560を含んでいる。集積回路(IC)560はスイッチ500aで起動可能である。より具体的には、スイッチ500aは2極3投スイッチであり、接点CON1〜CON8がある。スイッチ500aが中央すなわちオフ位置にある場合、接点CON2とCON3が相互に接続され、接点CON6とCON7も同様である。従って、接点CON5、あるいはCON8には電力が供給されていなくて、IC560を含む図11に示すさまざまな部品はオフ状態である。ユーザがスイッチ500aを第1のオン位置へ動かすと、接点CON2とCON4が相互に接続され、CON6とCON8も接続される。接点CON6は直列接続の電池232のプラス端子に接続されており、従ってアースに対して約+3ボルトの電位にある。この電圧は接点CON8を介してダイオードD1、そしてインダクタL1へ送られて電圧VCCを生じる。コンデンサC1が電圧VCCとアースとの間に接続されている。インダクタL1とコンデンサC1とで構成されるLC回路は電圧変動を平滑化し、電圧VCCはほぼ一定レベルに保つ。電圧VCCがIC560のピン2に印加される。さらに、IC560のピン4にアース電位が供給される。コンデンサC2がIC560のピン2とピン4との間に結合される。
【0038】
結晶発振子564がIC560のピン5とピン6の間に接続される。結晶発振子564がIC560の内部クロックの時間基準を構築する。
【0039】
IC560のピン13が接点CON1と抵抗R1の第1端子に接続され、ここで抵抗R1の第2端子が電圧VCCを受ける。IC560のピン8〜ピン11は抵抗R2〜R5を介して別のIC568のピン4、1、8、3へそれぞれ接続される。このIC568は英国のゼテックス社(Zetex PLC)から販売されているZHB6718 SM−8バイポーラトランジスタHブリッジICである。抵抗R6とR7は、IC568のそれぞれピン4、ピン8と直列接続の電池232のプラス極との間に接続されている。IC568のピン1とピン3は、それぞれ抵抗R8とR9を介してアースに接続されている。更に、直列接続の電池232のプラス極とアースが、IC568のピン6とピン2にそれぞれ接続されている。IC568のピン5とピン7が、駆動モータ400の第1端子および第2端子に接続されている。コンデンサC3が駆動モータ400の両端間に接続されている。
【0040】
IC560のピン15が,抵抗R10と第2のスイッチ528の接点に接続されている。抵抗R10とスイッチ528は電圧VCCとアースの間に接続されている。
【0041】
前記に加え、直列接続の電池232のマイナス極はインダクタL2を介してアースに落ちている。IC560は、ピン7にローステート信号を与えることによりリセットされる。抵抗R11はピン7と電圧VCCとの間に接続されている。1対のコンデンサC4とC5は、直列接続電池232のプラス極とマイナス極との間に接続されている。
【0042】
スイッチ500aが第2のオン位置にある場合、IC560のピン13にハイステート信号が供給され、それによって図7に示す時間モードでの動作が起きる。このハイステート信号が、IC560に始動遅延期間の開始を命令する。始動遅延期間が終了すると、第1のスプレー期間の最初にIC560のピン8〜ピン11に適当な信号が生成されて、IC568が駆動モータ400を第1の方向に通電させる。駆動モータ400はモータ歯車408を回転し、それが順次歯車412、420、428を回転させ、アクチュエータアーム30を下へ動かす。この下方向への動きによって容器60のバルブステム278が押し込まれてスプレー動作を起こす。このモータへの通電は所定の時間の長さだけ継続し、その時間の終わりに、IC560のピン8〜ピン11に生成された信号が逆の状態へ変わる。IC568はそれから駆動モータ400を第2の方向に通電し、アクチュエータアーム30および容器60のバルブステム278への下向きの力を逆転させる。そうして、アクチュエータアーム30およびバルブステム278はアーム30の上方向の動きおよびバルブステム278により与えられる上方向への力に応答して上方向へ動き、それによって容器60からのそれ以上の内容物の放出が止められる。
【0043】
第1スプレー期間のスプレー終了に続いて、IC560が第1の休止期間に入る。この期間はIC560のピン8〜ピン11にローステート信号が生成されて、駆動モータ400はオフ状態に保たれる。第1の休止期間が終了すると、IC560は再びピン8〜ピン11に適切な信号を生成し、これによってIC568が駆動モータ400に通電する。前と同じように、アクチュエータアーム30およびバルブステム278が下方向へ動き、それによって容器60から液体のスプレーが行われる。この第2のスプレー期間の終わりに、IC560は再度ピン8〜ピン11に逆の信号を生成し、それによって可動限界に達するまでアーム30を上方向へ移動させ、そこに到達するとIC560のピン8〜ピン11の信号をすべてローステートへ戻す。駆動モータ400はこうしてIC568を介して通電を止められ、IC560は第2の休止期間が終了するまでそれ以上のスプレーを止める。IC560はこの後、更なるスプレーと休止期間とを前述のように交互に繰り返す。
【0044】
任意の休止期間中の任意の時刻において、ユーザはスイッチ528を押すことによって容器60からの手動スプレーを命令することができる。この動作により、IC560のピン15の信号がハイステートからローステートへ移行する。この移行が検知されると、IC560は、ピン8〜ピン11およびIC568を介して駆動モータ400に通電する。スプレー動作の終了時に、IC560が次の休止期間の計時を開始し、その後に再びスプレー動作が行われる。
【0045】
スイッチ500aが第2のオン位置へ動かされると、IC560のピン13にハイステート信号が供給され、IC560が時間/センサの複合モードの動作に入る。このモードでの動作では、図10に示されるように、始動遅延期間に続いて第1のスプレー動作が行われ、スプレー動作が終わると休止期間が開始される。
【0046】
図11でわかるように、動き検知回路570は、アースとAC結合コンデンサC6の第1端子との間に結合したフォトレジスタの形のセンサ524を含む。コンデンサC6の第2端子はPNPバイポーラトランジスタQ1のベース電極に結合している。トランジスタQ1のベースはバイアス抵抗R12の第1端子に結合している。バイアス抵抗R12の第2端子はアースに結合している。別の抵抗R13がトランジスタQ1のエミッタ電極とフォトレジスタ524との間に結合している。コンデンサC7がトランジスタQ1のエミッタ電極とソース電極との間を結合している。抵抗R14はソース電極とアースの間を結合している。
【0047】
抵抗R13とフォトレジスタ524は分圧器として作用する。光の状態変化に応答してフォトレジスタ524の抵抗が変化すると、抵抗R13とフォトレジスタ524との接点における電圧が変化する。この電圧変化のAC成分がトランジスタQ1のベース電極へ送られる。トランジスタQ1はリニアモードで動作し、部品C7とR14はローパスフィルタとして作用する。フォトレジスタ524が受光する光が短い間隔で変化する度に、それに対応する信号がライン572に生成されるように部品の定格値が選択される。こうして、人がフォトレジスタの前を通る時、およびその人が通り過ぎてフォトレジスタが遮蔽されなくなったときに再び、信号がライン572上に生成される。夕暮れや夜明けのように、長時間かけて光が変化する場合には、ライン572には信号は生成されない。ライン572に信号が生成されるとその都度IC560は、0.25秒程度の短時間ピン14の電圧を下げて発光ダイオードLED1(図12の実施形態にも示す)に通電する。回路560が休止モードでない限り、IC560は、ライン572の高から低あるいは低から高へのいずれかの信号変化をトリガとして用いて、直ちにあるいは遅延期間の後にスプレー動作を起こさせる。コントローラ532は、この動作モードの間は、図10のタイミングチャートに従って動作する。
【0048】
図12はコントローラ532を組み込んだ別の実施形態を示し、以下に記す以外は図8および図9の実施形態と同じである。
【0049】
図12の実施形態は、リセス200の底面204内に配設された2つのスロット600を含む。電池232(図12には表示せず)は、2つのスロット600内の電極と、リセス内の対置する壁にあるそれぞれの電極との間の締まりばめによって固定される。図12の実施形態は、張出部308内の溝604も含む。溝604はハウジング20の正面側132に面し、その中にバルブステム278が入る寸法となっている。この実施形態は、張出部308の下側320に配設されたリセス(表示せず)も更に含んでいる。このリセスは、バルブステム278の遠位端282部分が充分入れるようなサイズとなっている。このリセスは、バルブステム278を第2の開口部324に位置合わせする中心出し機構として、および/または放出される内容物の方向ガイドとして作用する。第2のリセス608が張出部308の反対側に配設されている。リセス608は、ディスペンス穴324のサイズよりも大きな断面サイズを有してもよい。さらに、リセス608の断面サイズは変化してもよく、例えば、リセス608は円形であって、ディスペンス穴324の近傍での直径が張出部308の反対側の近傍でのリセス608の直径よりも小さくてもよい。張出部308が下方向へ動くことによってバルブステム278が押込まれると、容器60から分与された流体はリセス、ディスペンス穴324および第2のリセス608を通って大気へ放出される。ディスペンス穴324および/または第2のリセス608は、容器60の軸方向長さに対して直角方向あるいは任意の角度の方向に流体を放出することができる。
【0050】
図1〜図6、図8、図9および図12に示す実施形態に関して、ディスペンサ10、10a、10bは多くのさまざまな特徴を有する。例えば、張出部308あるいはアクチュエータアーム30はバルブステム278の任意の場所に力を掛けて押し込んだりあるいは傾けたりすることができる。
【0051】
所望であれば、スロット128が容器60と締まりばめを成す寸法であってもよい。更に別の例では、容器60の一部、たとえば上部に、溝や突起あるいは他の任意の係合機構が設けられ、ディスペンサの内壁136あるいは他の任意の壁に位置する、それぞれ対応する相補的な突起や溝や係合機構と相互作用する。更に内壁136は、底部から頂部に向かって角度が付いている、すなわち内方向へ(すなわちスロット128の中心に向かって)テーパがついていてもよい。内壁136のテーパは、容器60のネック228、あるいは他の任意の係合部材との係合面を提供する。係合機構のあるものは、容器60をリセス200内部に保持し、アクチュエータアーム30との位置合わせを助ける。他の係合機構では、1つのディスペンサに対してより広範な容器サイズが使用可能となる。例えば、容器のネックと相互作用する係合機構を有するディスペンサであれば、その底端部がリセス200の底面204と接触した、あるいはまた、その底端部がリセス200の底面204から浮き上がった、容器を保持および位置合わせすることができる。
【0052】
更に別の例として、モータ400は、バルブアセンブリ274を開閉するのに双方向に駆動されてもよい。この場合スプレーを終了させるには、モータが第2の方向に通電されて、アクチュエータアーム30およびバルブステム278への下向きの力を逆転させる。そうして、アクチュエータアーム30の上向きの移動およびバルブアセンブリ274による上向きの力に応答して、アクチュエータアーム30およびバルブステム278が上方向へ移動して動作前位置に至り、このタイミングで容器60のバルブアセンブリ274が閉じられる。
【0053】
更に別の例では、心棒418、426,432は内部背面パネル144の中に鋳造で形成されてはいない。その代わり、心棒418、426,432はスチールないしは金属のプレートに取り付けられて、心棒418、426,432がそのプレートから片持ち梁となって支持と位置合わせを行う。
【0054】
別の代替のディスペンサでは、同一ないしは別の製品を有する1つまたは複数の容器を保持してスプレーする機能を有することも考えられる。さらに、このディスペンサは容器の内容物を同時に、あるいは選択された間隔と順番で、スプレーすることもできる。
【0055】
図13〜図16は、本ディスペンサ10、10a、10bの他のいくつかの実施形態を示し、ここでは、ハウジング20の正面側132に隣接して配設される正面カバー650を含むことが特徴である。図13は、正面カバー650の1つの特定の実施形態を開位置で示すものである。図14は、図13の実施形態を閉位置で示すものである。正面カバー650を閉じると、電池232および容器60がユーザから見えなくなる。正面カバー650は第1もしくは第2の側壁にヒンジ(表示せず)で取り付けられる。正面カバー650はまた、張出部308に隣接する輪郭となっており、正面カバー650がアクチュエータアーム30の第2の開口部324から分与された流体の経路を塞いだり、邪魔したりしないようになっている。
【0056】
図13および図14の正面カバー650は、正面カバー650を閉じると第2のスイッチ528が押込まれるような形状となっている。ユーザは正面カバー650の654の付近を押して、第2のスイッチ528を起動させる。ユーザが654部分を押すと、正面カバー650がヒンジを中心に閉位置からある十分な距離だけ強制的に回転させられ、正面カバー650の内部が第2のスイッチ528に接触して押し込む。第2のスイッチ528を起動した後正面カバー650を解放すると、正面カバー650は弾力で元に戻って閉位置となる。他の実施形態においては、正面カバーは1つまたは複数の場所で押込み可能で、1つまたは複数のスイッチを起動することができる。更には、正面カバー650内部にボタンや他のスイッチが配設されている実施形態もある。
【0057】
図15に示す別の実施形態においては、正面カバー650はLED1を通して見ることができるLEDポート658を備えている。この実施形態は、ディスペンス穴324から分与された流体が通過できるスプレースロット662も備えている。また、センサ524へのアクセス経路を与えるセンサポート666も設けられている。正面カバー650は、ヒンジ670を中心にして上へ回転することによって開けられる。さらに図15の正面カバー650は、ハウジング20のベース部100の近くを押し込むことも可能で、この正面カバー650の押込みにより第2のスイッチ528を起動する。
【0058】
図16は、ラップアラウンド(囲い込み式)カバー674を有する別のディスペンサ10を示す。ラップアラウンドカバー674はハウジング20とぴったりと係合して、正面側132、外部背面パネル148および側壁108、112を覆う。ラップアラウンドカバー674は、ディスペンス穴324と整列した穴678をその上端682内に含んでいる。ディスペンス穴324からスプレーされた流体が、この穴678を通って大気へ出る。好ましくは、ラップアラウンドカバー674は、ハウジング20からラップアラウンドカバー674を外すための解放機構686を備えている。この実施形態においては、ユーザは側壁108、112に隣接するラップアラウンドカバー674の部分を押し込んで、ラップアラウンドカバー674の内側のアンダーカット694(690)をベース部100の正面側132にあるアンダーカット694から外す。アンダーカット690、694を相互に解放することにより、ラップアラウンドカバー674をハウジング20から取り外すことができる。
【0059】
他の実施形態であるディスペンサ10cを図17〜図22に示し、これらは図12の実施形態と同様であって、ほぼ八角形のハウジング20からなり、アクチュエータアーム30が同様に容器60のバルブステム278を押し込むように配設されている。しかし、本実施形態は、ここで述べる構造上および機能上の任意の異なる態様を包含するように、全面的もしくは部分的に変更されてもよい。
【0060】
図17〜図19はハウジング20に固定されたチューリップ型のディスペンサカバー700を示す。このカバー700は、ハウジング20の側壁108、112、トップ部104、アクチュエータアーム30、および正面側132を閉じた状態で囲い込み、従って、ベース部100の底端部とハウジング20の背面が露出されている。カバー700は、アクチュエータアームカバー124に回動可能に取り付けられ、アクチュエータアームカバー124から外に突き出た2つの円筒部材708a、708bからなるヒンジ704を中心にして回転することにより、カバー700は開位置へ動く。カバー700には、内方向に延在する棒716a、716bの上に配設された対応する溝712a,712bがあり、これらが2つの円筒形部材708a、708bとそれぞれ回動可能に噛合う。
【0061】
曲線状の溝720がカバー700の下端724から上端728まで延在し、上端728の第1の部分732を部分的に画定する。第2の部分736が第1の部分732に隣接して配設され、第1の部分と共に上端728を概略V字型としている。円形の穴738がV字型の上端728の中心を通って延在する。円形の穴738は、アクチュエータアーム30のディスペンス穴324とは閉位置において整列している。円形の穴738は、ディスペンス穴324からの流体が遮られずに、あるいは部分的に遮られて、通れるような寸法となっている。更に、楕円形のリセス740がカバー700の下端724に配設されている。第2の円形の穴744が、楕円形のリセス740の底部746にカバー700を貫通して延在する。第2の円形の穴744は、カバー700の閉位置ではハウジング20の底部100内にあるセンサ748と整列している。更に、カバー700の内面752には、ハウジング20の底部100に配設された押しボタン756と係合する起動棒(表示せず)が備えられている。押しボタンスイッチ756付近のカバー700を押すことにより、スイッチが押込まれ、ディスペンサ10cの電気部品が手動で起動される。
【0062】
図20および図21はカバー700なしのディスペンサ10cを示す。図12に示したディスペンサ10bの角ばった線に対し、ディスペンサ10cが多くの曲面および成形された端部を含むことを除けば、ディスペンサ10cのハウジング20は、ディスペンサ10bと同じである。当業者であれば、示された図12と図17〜図21からディスペンサ10cとディスペンサ10bとの美観上の差異が明らかであることがわかるであろう。しかし、ディスペンサ10cについてより完全な説明をするために、ディスペンサ10bとディスペンサ10cとのいくつかの違いを以下に述べる。
【0063】
正面側132に隣接するディスペンサ10cのベース部100は、スイッチ500bが配設された曲面を備える。スイッチ500bは第1の側壁108に隣接して配置され、一方、押しボタンスイッチ756は第2の側壁112に隣接して配置され、センサ748はベース部100の中央に配設される。スイッチ500bは4つの位置の間を切り替わるようになっている。第1の位置760はディスペンサ10cの動作を停止する。スイッチ500bを、第2の位置764、第3の位置768、あるいは第4の位置772のいずれかに動かすと、ディスペンサ10cの電気部品に通電され、センサ748の出力に応答して、時間モードとセンサモードとの複合モードでディスペンサ10cが運転される。センサ748は好ましくは、光の変化を検知できるフォトセル光センサであるが、センサ748は当業者に周知の、および/またはここで述べられたセンサの任意のタイプのものであってよい。
【0064】
前記の実施形態で述べたように、ディスペンサ10cは、手動入力、センサ入力、および/または時間間隔の経過、によって起動を掛けられる。しかし、第2の位置764が自動スプレーと自動スプレーとの間に約20分の時間間隔を与え、第3の位置768が自動スプレーと自動スプレーとの間に約40分の時間間隔を与え、第4の位置772が自動スプレーと自動スプレーとの間に約80分の時間間隔を与えることが好ましい。別の好適な実施形態では、第2の位置764が約10分の時間間隔を与え、第3の位置768が約20分の時間間隔を与え、第4の位置772が約40分の時間間隔を与える。しかし、従来の実施形態に関して前述したように、時間間隔は、たとえば約10分から約80分以上までの、あるいは約10分以下の時間間隔を含む所望の任意の時間の長さであってよい。また、分与する流体、および/またはユーザの好みおよび/または入力の変化、に基づいて異なる時間間隔が与えられることが考えられる。
【0065】
図17〜図22の実施形態の動作を、図23の状態図により説明する。状態S1は、ディスペンサ10cがオフで電池232がまだ入れられていない状態である。電池がディスペンサ20c(10c)の中に適切に挿入されると、ディスペンサ10cは状態S2となり、ユニットはスイッチ500bかスイッチ756での起動待ちとなる。ユーザがスライドスイッチ500bを、20分、40分、80分の位置の内の1つに動かし、かつフォトセルセンサ748が光を検出すると、ディスペンサ10cはS3の状態へ移行し、その時から所定の遅延期間が計時される。好適な実施形態においては、遅延期間は約1分である。またS3の状態においては、ディスペンサ10cは20分、40分、80分の休止期間を計時する3つの休止カウンタを始動する。
【0066】
所定の時間(例えば、1分間)が経過すると、ディスペンサ10cは状態S4へ移行し、そこで駆動モータが約1/2秒通電される。前述したように、このモータ400に通電すると、歯車列404を介してバルブステム278を押込むように作用し、容器60の内部で攪拌された内容物を放出させる。ユーザが手動押しボタンスイッチ756を押せば、ディスペンサ10cは状態S2から状態S4へ直接移行する。
【0067】
1/2秒間のスプレー期間(他の実施形態では1/2秒以外の継続時間であってもよい)が終了すると、手動サイクルが事前に選択されている場合にはディスペンサ10cは状態S5へ移行する。状態S5においてディスペンサ10cは、(休止カウンタがまだ始動していなければ)休止カウンタを始動するか、あるいは休止カウンタが既に始動していれば休止カウンタの計時を継続する。ユーザがスライドスイッチ500bで選択した休止カウンタ時間が経過するまでは、ディスペンサ10cは状態S5にとどまり、カウンタ時間が経過すると、ディスペンサ10cは、状態S4に移行あるいは復帰し、容器60の内容物をスプレーする。このような状況で状態S5から状態S4へ移行する場合には、ディスペンサ10cが状態S4へ移行する直前に休止カウンタもリセットされることに留意されたい。
【0068】
状態S4への移行が手動サイクルの選択によって起こったものでない場合には、スプレー期間が終了するとディスペンサ10cは状態S4から状態S6へ移行する。状態S6において休止カウンタがリセットされ、ディスペンサ10cは自動的に状態S5へ移行する。
【0069】
スライドスイッチ500bをオフ位置へ動かすと、ディスペンサ10cは状態S3〜S6のいずれからでも状態S2に戻ることに留意されたい。更に、電池232の一方または両方を取り去れば、ディスペンサ10cは状態S2〜S6のどの状態からでも状態S1に移行する。
【0070】
図23に示された動作は、上で説明し、かつ当業者に周知のものと同じように実行される。通常の個別電子部品、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、および特定用途向け集積回路(ASIC)の適用は、本動作を実行する上で有効であると考えられる。
【0071】
ディスペンサ10cの動作について更に説明するために、以下の実施例が典型的な実施形態を例証する。ディスペンサ10cが照明のされていない部屋に配置されている。スイッチ500bが最初は第1の位置760にあって、ディスペンサ10cが非動作状態にある。その後スイッチが第2の位置764に切り替えられ、これによって約20分の自動スプレー時間間隔が開始される。それと同時に、スイッチ500bを第2の位置764に切り替えることによりセンサ748が起動される。センサ748は前述したものと同様の光センサである。センサ748は周囲の光量が不十分であることを示し、コントローラ532がディスペンサ10cを起動することを妨げる。この後、人が部屋に入って照明を点灯する。この照明により周辺に十分な光量が生成され、センサ748がそのことを示す。始動遅延期間が終了すると、駆動ユニット40は第1のスプレー時間の間だけディスペンサ10cから流体を放出するように命令される。始動遅延期間は好ましくは約1分間である。第1のスプレー期間が終わると、ディスペンサ10cは第1の休止期間に入り、これは所定の約20分間継続する。第1の休止期間が終了すると、駆動ユニット40が起動されて、第2のスプレー期間だけ流体を放出する。この後休止期間とスプレー期間とを交互に繰り返す自動運転が続く。休止期間の間の任意の時刻にユーザが押しボタンスイッチ756を押すと、選択可能な、あるいは固定された時間の長さだけ、ディスペンサ10cを手動で起動できる。ディスペンサ10cの手動起動は、進行中の休止期間、すなわち次のスプレー期間の開始時間、に影響を与えない。何度かの休止期間とスプレー期間が経過した後にユーザが再び部屋に入り、照明を切る。センサ748はもはや十分な周囲の光量を示さず、ディスペンサ10cを停止する。
【0072】
さらに、時間とセンサの複合モード動作で、上記と同様の運転が可能であるが、別の実施形態においては、消費者の異なる要求セットに対応した運転とすることができる。特に、センサ入力に応答してディスペンサ10cが起動すると、スプレーするときのディスペンサ10cの音を聞いて、あるいはスプレーなど元々予期してないことによって、人や動物をぎょっとさせたり、驚かせたりする。人や動物がディスペンサ10cの前を通り過ぎた時、あるいはその後まだディスペンサ10cの付近にいる時にディスペンサ10cが自動的にスプレーすると、そのような状態が起きる可能性がある。また、人や動物によっては、ディスペンサ10cからのスプレーを伴う、流体の最初の強いひと吹きに晒されることを好まないこともある。従って、時間とセンサの複合モード運転において好ましくは、人あるいは動物がディスペンサ10cを通り過ぎたりその付近にいる場合に、ディスペンサ10cが自動スプレーすることは阻止される。
【0073】
第1の実施例では、スイッチ500bが第2の位置764に入れられ、これにより自動スプレー期間と自動スプレー期間との間に約20分の時間間隔が設けられる。しかし、約15分あるいはそれ以上のほかの時間間隔を用いてもよい。約20分間の第1の休止期間の後、ディスペンサ10cは第1のスプレー時間の間流体を自動的に放出する。第1のスプレー期間が終了すると、ディスペンサ10cは同じく20分間の第2の休止期間に入る。このスプレー期間と休止期間が交互になるパターンは、ディスペンサ10cがスイッチを切られるか、センサ748が起動するまで続く。第2の休止期間の間に、ディスペンサ10cが配設されている部屋に人が入り、センサ748の検出経路を横切る。しかし、第2の休止期間が終わる前に人が出てゆく。センサ748が動作中であるか休止中であるかに拘わらず、休止期間中にセンサ748からの信号を受け取ったとしてもコントローラ532は第2のスプレー期間の起動のタイミングを変更しない。第2の人が、第2の休止期間が終了する前に部屋に入り、休止期間が終わるまで部屋に残る。センサ748が第2の休止期間の終わりに検出経路を横切った動きを記録し、信号をコントローラ532に送信して第2のスプレー期間の起動を妨げる。コントローラ532はこの後、例えば約2分間の遅延時間間隔用の別の休止期間に入る。しかし、約5分あるいはそれ以下のほかの遅延時間間隔を用いてもよい。2分間の遅延時間間隔が終了した後、センサ748は検出経路を横切った動きの記録がないかどうかを判定するステップを繰り返す。センサ748に動きが記録されている場合には、同じ長さの第2の遅延時間間隔が開始される。このステップは遅延時間間隔の終了時点で動きが記録されていなくなるまで繰り返される。しかし、本実施例ではセンサ748には動きが記録されていなくて、センサがコントローラ532へディスペンサ10cを起動してスプレーするように信号を送る。第3の休止モードに入り、約20分間続く。その後、以前のステップが同様に遂行される。
【0074】
第2の実施例では、上述と同じ展開で、センサ748が第2の休止期間が終了した後第2の人の動きを記録するところまで同じ結果となる。この実施例では、センサ748がコントローラ532に信号を送って第2のスプレー期間の起動を妨げ、その後、部屋の中での動きがないかどうかを判定するために継続的に検出経路を横切る動きの記録を試みる。本実施例では、第2の人が約30秒間検出経路内を動き、その後次の30秒間じっとしていてから、部屋を出るために再び検出経路を横切る動きを起こす。人が動いている30秒間はセンサ748は動きを記録して第2のスプレー期間の起動を妨げる。その後、センサ748には動きが記録されず、約2分間の遅延時間間隔をリセットするようにコントローラ532に信号を送る。しかし、センサ748はこの遅延時間間隔の間も検出経路を横切る動きを継続的に記録しようとする。本実施例では、30秒間動きがなかった後にセンサ748が動きを記録する。これを受けて、センサ748は何も検出されなくなるまで継続的に動きを記録しようとし、動きがなくなったらセンサ748は遅延時間間隔を再スタートするように信号を送る。2分間の遅延時間間隔の後に、ディスペンサ10cが起動される。その後、第3の休止期間に入り、約20分間続く。以上のステップは、ディスペンサ10cが切断されるまで同様に遂行される。
【0075】
上記の実施例のいずれの場合でも、ディスペンサ10cが起動された後の最初のスプレー期間の前に、最初のスタート遅延期間が設けられる。また、押しボタンスイッチ756によるディスペンサ10cの手動起動は、ここで述べた他の実施形態と同様に遂行できる。更には、ディスペンサ10、10a、10bの任意の態様のタイミングあるいは動作の変更は、すべて本実施形態に適用可能である。
【0076】
図20および図21は、側壁108、112が底部100とトップ部104との間に延在することも示している。側壁108、112は電池232をディスペンサ10cから出し入れするのが楽なように切込み部分776a、776bを含んでいる。電池232はハウジング20の正面側132を通ってリセス200へ挿入される。リセス200は中心に曲面のリセス784が配設された、相対的に平坦な底面側780を備える。段差部分788が、側壁108と側壁112の間を底面側780から上方向へ延在する。曲面のリセス784の幅と同じ幅を持つ溝付部分792が、段差部分788内に設けられている。第1の内壁796および第2の内壁800が、側壁108と側壁112との間にこれらと平行に配設されている。第1の内壁796と側壁108が第1の隔室804を画定し、第2の内壁800と側壁112が第2の隔室808を画定する。第1の隔室804と第2の隔室808はその中に電池232を保持できる大きさであり、ディスペンサ10cの回路と電気的に繋がった電池端子812が設けられている。保持用タブ(表示せず)が、第1の隔室804および第2の隔室808の両方の内部のトップ部104から垂れ下がり、電池232がディスペンサ10cから移動したり、偶然に外れたりすることを防げるようになっている。
【0077】
第3の隔室816が第1の隔室804と第2の隔室808との間に、容器60を収納するために設けられている。容器の底端部が溝付部分792に隣接する段差部分788上に乗る。ユーザが溝付部分792内に指を挿入して、容器60の取り出し、挿入を助けることができる。内壁796、および800は、容器本体250と比較的ぴったりと合うようになっている。トップ部104の第1の肩116と第2の肩120の間に配設されたスロット128を貫通して、容器60のトップ部が延在する。スロット128は容器60のトップ部および斜めのネック部228とにぴったり合うような輪郭となっている。取付カップ254は肩部116と120の間のトップ部104にもたれて配設される。
【0078】
図20〜図22はアクチュエータアーム30とアクチュエータアームカバー124の相互の位置づけおよび形状を示すもので、ディスペンサ10cのその他の機能要素は図12に示されたものと同じである。特に注目すべきいくつかの違いは、大幅にスムーズで湾曲した表面と、アクチュエータアーム30の主部300および中間部304における矩形溝とが備えられていることである。もうひとつの違いは、第2のリセス608の輪郭が楕円形のリセスとなっていることで、その断面積が張出部308の上側328からその内側のディスペンス穴324に向かって不均一に狭くなっている。更に、ディスペンス穴324は第2のリセス608の中心からずれている。
【0079】
駆動モータ400およびそれに結合する、バルブステム278を押し込むために使用される歯車列404は、前述のものと実質的に同様に動作する。1つの特別の差異は、第3のピニオン424とレバー歯車428の配置と方向である。特に、第3のピニオン424は、外部背面パネル148に向かい合っている内部背面パネル144に隣接して配設されている。同様に、レバー歯車428は遊び歯車420の側にあり、この場合には内部背面パネル144に近くなっている。更に、内部背面パネル144から外部背面パネル148の穴436に延在する心棒432は今の場合、側壁108よりも側壁112に近い。内部背面パネル144から突き出ている鋳造リブ454も側壁112の方に近く配設されている。前に説明した実施形態とは対照的に、レバー歯車428は反時計方向に回転してアクチュエータアーム30を引き下げて放出位置にする。その上、オフセットピン450が、円形の穴とは違い、切り込みを入れた競走トラックの形状をした溝820の中に配設される。
【0080】
ディスペンサ10cは好ましくは動作状態の間は支持面の上に配設される。一実施形態では、底部100の底端部が相対的に平坦な支持面上に配置されるようになっている。更に、ディスペンサ10cを回転して、外部背面パネル148が支持面に隣接して載っていてもよい。他の実施形態では、接着剤を外部背面パネル148に塗布して、ディスペンサ10cを実質的に垂直な支持面に接着する。更に別の実施形態では、外部背面パネル148に穴824が設けられ、実質的に垂直な支持面から延在した、対応するフックや部材にディスペンサ10cを取り付ける。
【0081】
更に別の実施形態のディスペンサ10dが図24〜図29に示され、これは図17〜図22に示されたディスペンサ10cの実施形態に類似している。しかし、本実施形態は、ここで述べる任意の実施形態の構造上および機能上の異なる態様を、全面的もしくは部分的に包含するように変更されてもよい。
【0082】
図24〜図26はチューリップ型のカバー700を示し、ディスペンサ10cに関して説明したのと同じようにハウジング20に固定される。このカバー700は、ハウジング20の側壁108、112、トップ部104、アクチュエータアーム30、および正面側132を覆い込む。ベース部100の底端部とハウジング20の背面側は露出されたままである。カバー700はヒンジ704によってアクチュエータアームカバー124に回動可能に取り付けられ、開位置と閉位置の間を動く。ヒンジ704がアクチュエータアーム30上に配設された、対置する円筒形部材708a、708bを備え、これがカバー700から延在する棒716a、716b内の溝712a、712bと回動可能に係合する。しかし、カバー700は、側壁108、112の1つやベース部100、あるいはハウジング20のその他の任意の部分に回動可能に取り付けるように変更することは想定されている。実際に、他の実施形態に関してこれまで説明したカバーを変形した任意のものを、ディスペンサ10dに使用してもよい。一実施形態では、ディスペンサ10dの動作中にカバー700を閉じておくために、カバー700の内側に配設された突起(表示せず)をベース部100の正面側132に取り付けることができる。更に、カバー700の内側の突起あるいは他の構造がスイッチ(表示せず)を起動するのに適応してもよく、これにより、カバー700を閉じるとディスペンサ10dを起動でき、またカバー10d(700)が部分的あるいは全面的に開いている場合のディスペンサ10dの起動を防止できる。
【0083】
カバー700の上端728は第1の部分732と第2の部分736とで画定され、上端728を概ねV字型にしている。ほぼU字型をした溝900が上端728内に設けられ、この溝は中央部に配設され、カバー700の背面部904から正面部に向かって延在する。溝900はアクチュエータアーム30のディスペンス穴324に整列し、そこから放出される流体は遮られることなく、あるいは部分的に遮られて、カバー700を通過できる。
【0084】
カバー700には概ね涙の粒の形をした開口部908がその下端部724に設けられている。同じような形をしたボタン912が開口部908を通して延在し、カバー700の外へ突き出ている。ボタン912にはユーザの親指や他の指で係合できる表面916がある。この表面916は周辺920で囲まれ、その間が概ね窪んだ外観となっている。楕円形の窪み924がこの表面916の中央部に配設され、ユーザがボタンに触って起動しやすいようになっている。曲線的な開口部928がボタン912の表面916上の窪み924の上方に配設されている。開口部928は、ハウジング20の底部100内のセンサ932に整列している。ボタン912がディスペンサ10dの起動用に設けられ、このボタン912を押すと、ディスペンサ10dの電気部品を起動する信号が生成され、流体が放出される。ボタン912は、一体ヒンジによってハウジング20の正面側132に取り付けられる。そこでボタンを押すか、一体ヒンジ934を中心に回転するかすることにより、延長部935の下のスイッチ(表示せず)が信号を生成し、手動動作手順のときにディスペンサ10dに流体を放出させる。
【0085】
図27および図28はカバー700なしのディスペンサ10dを示す。ディスペンサ10dのハウジング20は、曲面および成形端部の一部の変形を除いて、図20および図21に示したディスペンサ10cと同様である。当業者であれば、示された図24〜図29からディスペンサ10dとディスペンサ10cとの美観上の差異が明らかであることがわかるであろう。しかし、ディスペンサ10dについてより完全な説明をするために、ディスペンサ10dとディスペンサ10cとのいくつかの違いを以下に述べる。
【0086】
ディスペンサ10dのベース部100には、第1の側壁108の付近の4位置切替えスイッチ500bがなく、また第2の側壁112付近の押しボタンスイッチ756もない。かわりに、ボタン912がベース部100の正面側132のほぼ中央に配設されている。また、センサ932がボタン912の開口部928の後ろに動作可能に配設されている。更に、ディスペンサ10dには、容器60からの流体の分与の時間間隔をユーザが選択するためのスライドスイッチや他のスイッチは含まれていない。本実施形態においては、ディスペンサ10dは、時間とセンサの複合モードに依存する事前選択パラメータに照らして運転される。電池232をディスペンサ10dに使用可能なように入れると、ディスペンサ10dが起動される。
【0087】
ディスペンサ10dの起動は手動入力ないしはセンサ入力で開始される。本実施形態においてセンサ932は、フォトセル運動センサである。フォトセルは周囲の光を集め、コントローラにその強度の変化がないかどうかを検知させる。フォトセルの出力にコントローラがフィルタを掛ける。コントローラが、光条件の閾値に到達した、すなわち、光強度の所定レベルの変化が短時間のうちにフォトセルで受光された、と判定すれば、コントローラが駆動ユニット40を起動する。本実施形態においては、光強度の所定レベルの変化とは、光強度の高−低遷移と低−高遷移を含む。例えば、ディスペンサ10aが照明された浴室に配置され、人がセンサ932を歩いて通り過ぎ、検出経路内に静止して立っているとすると、センサ932へ到達する周囲の光の十分な量が第1の時間間隔に亘って遮蔽されて信号が生成され、光強度が、高−低遷移をしたことを示す。しかし、ここまでの展開ではコントローラはディスペンサ10dを起動しない。それは、第2の時間間隔における光強度の低−高遷移をフォトセルが受信してない、すなわち人が検出経路の外へ出て行っていないからである。この場合、人が歩き続けて第2の時間間隔内に検出経路を出れば、光強度の低−高遷移が起き、コントローラがディスペンサ10dを起動させることになる。
【0088】
光強度の高−低および低−高遷移を併用することにより、流体の望ましくない放出を防ぐ。例えば、人が単に照明を切断する場合、あるいは照明を点灯するが検出経路を横断しない場合には、この実施形態ではスプレー動作へのトリガはかからず、これにより容器内の流体の節約ができる。高−低遷移の発生が、光強度の低−高遷移の前か後かに拘わらず、コントローラにトリガか掛けられることが期待される。また、第1および第2の光強度遷移の時間間隔が、任意の時間幅であってよいことも期待される。しかし、長時間に亘る光強度の遷移、たとえば昼間と夕暮れ時もしくは明け方との遷移でコントローラがディスペンサ10dを起動させないようにするために、第1と第2の時間間隔は十分に短いことが好ましい。
【0089】
本実施形態においては、高−低遷移と低−高遷移が特定の時間間隔内に起きた場合にのみ、ディスペンサ10dは流体の放出を実施する。本実施形態を実行するのに特定の時間間隔は任意の値であってよいことが期待される。しかし、好適な実施形態において特定の間隔は、例えば、朝照明を点灯し夕方その照明を消灯した場合のような、広範囲な時間間隔で生じる事象間での流体の放出を排除できる長さである。
【0090】
電池232をハウジング20に挿入すると、ディスペンサ10dは好ましくは図30のタイミングチャートに示すように動作する。図30を参照すると、電池232を挿入すると、ディスペンサ10dが始動遅延時間に入ることがわかる。始動遅延期間が終わると、第1のスプレー期間の間、流体がディスペンサ10dから放出される。第1のスプレー期間が終わると、ディスペンサ10dは第1の休止モード、すなわち閉鎖期間に入り、その期間はセンサ932が動きを検出したとしてもスプレーは阻止される。その後、ディスペンサ10dは活動モードに入り、センサ932が前述した方法で検出経路中の動きを連続的に監視する。センサ932が動きを検知すると、直ちにコントローラは駆動ユニット40を起動し、第2のスプレー期間の間、ディスペンサ10dから流体を放出する。第2のスプレイ期間が終了すると、ディスペンサ10dは第2の休止期間に入る。ディスペンサ10dは第2の休止期間が終了するまでは、動きの検知に応答した自動再起動が阻止される。休止期間は、通行の多い領域で生じる多数回起動による過剰スプレーを防止する。休止期間は、約30分続くことが好ましい。
【0091】
手動スプレー期間においては、ユーザはいつでもボタン912を手動で起動して手動スプレー操作を開始し、流体を放出することができる。例えば、始動遅延期間や休止期間の間、あるいは活動モード中で動きを検出する前に、ユーザがボタン912を押すと、コントローラは手動スプレー期間を起動し、ディスペンサ10dから流体を放出させる。手動スプレー期間が終了すると、ディスペンサ10dは完全休止期間に入る。その後、ディスペンサ10dは休止期間と、休止期間終了後に動き検知によって始動されるスプレー期間とを交互に繰り返す。スプレー期間が、動き検知に応答するスプレー期間であるかボタン912の起動に応答するスプレー期間であるかに拘わらず、その後には毎回完全休止期間が続く。例えば、図30のタイミングチャートでは時刻tにおいてもう一度手動起動があり、その後ディスペンサ10dは完全休止期間に入る。
【0092】
一実施形態では、LED表示器(表示せず)がハウジング20に設けられており、これはカバー700の開口部越しに見えてもよいし、カバー700を回転して開位置にした時だけ見えてもよい。ディスペンサ10dが休止モードである場合、LED表示器が点灯して、ディスペンサ10dが自動的にはスプレーしないことをユーザに表示する。好ましくは、LED表示器は、高周波でオン・オフを行ってLEDが連続点灯しているように見えるようにし、これにより、ユーザにはディスペンサ10dの分与状態を常に表示し、かつ電池232の寿命も延びる。ディスペンサ10dが、アクティブセンサモードであるか、自動あるいは手動のスプレーモードである場合には、LED表示器は点灯しない。別の実施形態においては、ディスペンサ10dがアクティブセンサモードである場合にLED表示器は同じように休止するが、自動および/または手動スプレーモードに応答してディスペンサ10dから流体を放出する前に起動される。従って、LED表示器は警報ライトとして作用し、流体が放出される前にユーザをディスペンサ10dの周りの領域から立ち去らせる。この実施形態においては、LED表示器はディスペンサ10dの起動の前の所定の時間の間、連続点灯してもよいし、あるいはLED表示器が一回以上パルス的に点灯してもよく、例えばLED表示器が5秒間間隔でパルス的に点灯してもよい。LED表示器のほかの使用法が本実施形態に設けられてもよいことが期待され、例えば、LED表示器を代わりに休止モードの間だけ点灯するとか、LED表示器を電池がなくなったことを表示するために使用するとか、同じ色あるいは異なる色の1つまたは複数のLEDを結合してディスペンサ10dのさまざまな動作パラメータを表示するとか、である。
【0093】
前の実施形態について前述したように、時間間隔は所望の任意の時間の長さで構成されてよい。例えば、休止期間は、予想される部屋の使用頻度、分与する流体の強さ、部屋の大きさ、などによって、約15分から約3時間の範囲で変更されてもよい。同様に、始動遅延期間は、ディスペンサ10dの使用環境により、約5秒から約2分の範囲内で変更してもよい。例えば、ユーザが障害者であるとか、ゆっくりとした対応しかできない人である場合に、電池232をディスペンサ10dに挿入した後で不意にスプレーされないためには、始動遅延時間の長いことが有効である場合がある。しかし、ここで述べた任意の実施形態の実行にあたって、上に述べた範囲以外の任意の期間の長さを用いてもよい。
【0094】
本実施形態では、ユーザが選択可能な休止期間を含むように変更してもよい。例えば、オフ位置と1つまたは複数のユーザ選択位置を有するスイッチあるいはダイアルがハウジング20に設けられてもよい。本実施例では、ディスペンサ10dは、休止期間が約20分である第1の位置と休止期間が約40分である第2の位置とを有する。従って、電池がハウジング20の中に動作可能に挿入された場合、ディスペンサ10dは自動的にオンにはならない。むしろ、ディスペンサ10dを起動して、図31(図30)に示した前述の動作手順を開始するためには、ユーザは第1の位置か第2の位置のいずれかを選択しなければならない。しかし、休止期間として所定の長さを与えられるのとは対照的に、本実施例ではユーザは休止期間の長さを選択することが可能である。
【0095】
ここに開示した実施形態のすべてにおいて、休止期間および/またはスプレー期間はすべて同一の継続時間であってよい。所望であれば、1つまたは複数の休止期間が他の休止期間より長かったり、短かったりしてもよく、および/または、1つまたは複数のスプレー期間が他のスプレー期間より長かったり、短かったりしてもよい。さらに、始動遅延期間が省略されて、ディスペンサに電力が投入されると直ちに第1のスプレー動作が行われてもよい。事実、ディスペンサ10、10a、10b、10cの任意の態様における、タイミングあるいは動作の変更はすべて本実施形態に適用可能である。
【0096】
センサ932は好ましくは、光の強度変化を検知できるフォトセル光センサであるが、センサ932は当業者に周知の、および/またはここで述べたセンサの任意のタイプのものであってよい。
【0097】
図31(図30)に示された動作は、上記で説明し、かつ当業者には周知のものと同じように実行される。通常の個別電子部品、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)の適用は、本動作を実行するのに有効であると考えられる。
【0098】
図27および図28は、底部100とトップ部104との間に延在する側壁108、112を示している。側壁108、112は、正面側132と内部背面パネル144との間に延在する切込み部分936a、936bを含んでいる。第1の内壁940および第2の内壁944が、側壁108と側壁112との間にこれらと平行に配設されている。第1の内壁940と第2の内壁944とは、それぞれ同様に切り込み部分948a、948bを含み、これらは正面側132から内部背面パネル144へ向かって内向きに延在する。第1の内壁940と側壁108が第1の隔室952を画定し、第2の内壁944と側壁112が第2の隔室956を画定する。第1の隔室952と第2の隔室956はその中に電池232を保持できる大きさであり、ディスペンサ10dの回路と電気的に繋がった電池端子960が設けられている。切込み部分936a、936b、948a、948bは、電池232の挿入および取り外しを容易にするために設けられている。
【0099】
図27および図28には、第3の隔室964も示されており、これはリセス200内の第1の隔室952と第2の隔室956との間に設けられ、容器60を収納するためのものである。容器60の底端部はリセス200の実質的に平坦な底部壁968の上方に浮き上がっている。容器60の底端部と底部壁968との間に空間が画定され、交換のために容器60を取り外すのに、ユーザが容器に添えて指ないしは爪を挿入したり、あるいは別の動作ができるようになっている。第1の内壁940、および第2の内壁944は、容器本体250と比較的ぴったりと合うようになっている。トップ部104の第1の肩116と第2の肩120の間に配設されたスロット128を貫通して、容器60のトップ部が延在する。スロット128は容器60のトップ部および斜めのネック部228とにぴったり合うような輪郭となっている。所望であれば、スロット128が容器60と締まりばめを成す寸法であってもよい。更に、容器60およびスロット128の内壁136、あるいは容器60と連通しているディスペンサ10dの他の任意の部分とは、容器60をアクチュエータアーム30に整列するのを支援し、あるいは違うサイズの容器を利用するための手段を提供する、係合機構を提供するために、ここで説明したように変更されてもよい。
【0100】
上で議論したような係合機構は、不適当な容器がディスペンサ10dに挿入されないようにするのにも役立つ。例えば、ディスペンサ10dがユーザの家庭の居間に配設されている場合に、もし適切な係合機構が設けられていなければ、エアゾール化した殺虫剤入りの容器を不注意でディスペンサ10dに取り付ける可能性がある。係合機構は、異なるエアゾール化製品の混合を防ぐ助けにもなる。例えば、第1のエアゾールを、不注意で、別の第2のエアゾールに置き換えたとすると、ディスペンサ10dの内部にまだ残存している第1のエアゾールの成分が第2のエアゾールの成分と混合してしまう。様々な係合機構が当業者には周知であるが、米国特許第6,830,164号明細書および米国特許第6,978,914号明細書で説明された機構は特に興味のあるものであり、その全体が参照によりここに組み込まれる。
【0101】
図31および図32は係合機構の一実施形態を示し、これらは、アクチュエータアーム30の張出部308および容器60のバルブステム278を変更することにより本実施形態で使用することができる。図31はその内部に下方向に突出したアクチュエータ要素976を有する張出部308を示す。アクチュエータ要素976は、シール面984を有する傾斜端部を持つ円筒形の係合要素980を含む。通常のエアゾール容器をディスペンサ10d内に配置すると、シール面984がバルブステムの部分と係合して放出開口部を画定し、それと共にシールを形成する。分与の動作中に、バルブステムがアクチュエータ要素976で押し付けられている場合には、流体の流れが阻害されて、流体は全く(あるいは実質的に全く)容器から放出されない。
【0102】
図32は本実施形態の改変されたバルブステム278の等角図である。第1の流路988がバルブステム278の軸方向の全長に亘って延在し、1つまたは複数の第2の流路すなわち溝992と流体的に連通している。このバルブ要素278が、図31に示すように係合要素980で押込まれると、容器60のバルブが開き、エアーゾール化した流体が係合要素980の周りあるいはそこを通って矢印の方向へ流れる。係合要素980を通過した後、流体はバルブステム278の円周側壁1000の内部面996から溝992の全長を横断して、側壁1000の先端面1004へ至る。別の実施形態では、側壁1000の内部面996からその外部面1008へ至る1つまたは複数の流路が延在してもよい。更に別の実施形態では、容器60と係合要素980を通過した点とが流体的に連通するように、内部面996、先端面1004、および/または外部面1008を係合要素980が係合するようになっている。もう一度図31を参照すると、バルブステム278の遠位端282を受けて係合要素980と整列させ、放出された流体をディスペンス穴324を介して流す円筒チャンバ1008を、張出部308が含むことがわかる。ディスペンス穴324は、張出部308の上側328と下側320との間に前述したように延在する。しかし、本実施形態のディスペンス穴324は、バルブ要素278の軸長からずれた状態で張出部308の中に配設されている。
【0103】
ここで述べた実施形態と共に使用される他の多くの係合機構が存在することが予想される。例えば、図33は正方形の軸方向通路1012を有するバルブステム278を示す。アクチュエータ要素1016が、ばねで付勢された球形の玉1020を含んで設けられている。ディスペンス手順において、玉1020とバルブステム278が係合すると、玉1020は少なくとも部分的に軸方向の通路1012の内部に配設される。バルブステム278を介して放出される流体は、軸方向通路1012の周辺付近にできた1つまたは複数の隙間1024を通って流れることができる。通常の円筒形バルブステムが玉1020と係合するとしたら、流体が流出するための隙間が全く(あるいは実質的に全く)ないであろう。対応するアクチュエータ要素1016がその間に隙間が存在するように、異なる形状、および/または寸法を取りさえすれば、正方形の軸方向通路1012は、任意の形状、および/または寸法を取るように変更されてもよい。
【0104】
図34および図35は、更に別のバルブ要素278の実施形態を示し、そこには、第1の流路1028を画定する内部表面1024と、第2の流路1040を内部に含む外部表面1036とが含まれる。アクチュエータ要素1044が、中空の係合要素1048を含み、これは概ね逆円錐台の形状であり、バルブステム278の外周面1052と密閉係合する。ディスペンス手順において、バルブ要素278と係合要素1048が係合すると、流体はまず第1の流路1028を通って上へ向かって矢印の方向へ流れ、その後、第2の流路1040を通って下方向へ流れる。本実施形態に通常の円筒形バルブステムを利用したとすれば、流体は係合要素1048内でトラップされて、ディスペンサ10dからは全く(あるいは実質的に全く)流体が放出されないであろう。
【0105】
別の実施形態では、バルブ要素278は図36〜図44のいずれかに示される構造を含むように変更される。変更されたバルブ要素のすべては、縮小された直径を有する外端1056a〜1056i、および少なくとも1つの横開口1060a〜1060iを、それぞれ含む。横開口1060a〜1060iはバルブステム278の内部軸チャンバ1064から外部壁1068まで貫通して延在する。ここで述べたバルブ要素278は、好ましくは米国特許第6,978,914号明細書の図25〜図34に関して説明した変更型のディスペンサ入口バルブと共に使用される。ディスペンサ入口バルブに関して開示した構造は、ここに開示した種々の実施形態のアクチュエータアーム132の中に完全にあるいは部分的に取り込まれるように変更されることが意図されている。少なくとも1つの横開口とその上端の縮小した直径とを有するバルブステムを含まない、前記の種々の構成は、容器の内容物の放出を妨げる。
【0106】
米国特許第6,830,164号明細書および米国特許第6,978,914号明細書に記述された係合機構の構造的および機能的特徴の任意のものがここで開示した実施形態の任意のものと共に使用され得ることは当業者には明らかであろう。更に、アクチュエータアーム30およびバルブステム278は、ここで開示した係合機構の任意のものを実行するために適宜変更され得ることは予想される。
【0107】
図27〜図29はアクチュエータアーム30とアクチュエータアームカバー124の相互の位置づけおよび形状を示すものであり、ディスペンサ10dは、ディスペンサ10cに関連して図20〜図22に示されたものと同様である。更に、本実施形態のアクチュエータアーム30の機能的特徴もまた、ディスペンサ10cに関連して述べたものと同様である。前述したように、アクチュエータアーム30は放出動作の間、経路に沿って下方向へ駆動されてバルブステム278を押し込み、容器60から流体を放出させる。この経路は好ましくは、容器60の長手軸、リセス1072の長手軸、あるいはディスペンス穴の長手軸、の少なくとも1つと平行な方向成分を有する。
【0108】
図30(図29)を見れば、バルブステム278を押し込むための駆動モータ400および結合した歯車列404が、ディスペンサ10cに関連して記述したものと実質的に同様に作用することがわかる。しかし、本実施例を更に明確するために、ディスペンサ10dとディスペンサ10cの間のいくつかの違いに関してここに述べる。特に異なる点の1つは、金属プレート1076が内部背面パネル144に取り付けられていることである。心棒418、426、432が、内部背面パネル144から突き出るのではなく、プレート1076から片持ち梁風に突き出ている。金属プレート1076はその材料の剛性のために、心棒418、426、および432と付随する歯車とのよりよい位置合わせを可能とする。変速装置の位置合わせをよりよく制御できれば、伝達系を構成する要素間の公差をより小さくすることが可能となり、これによりディスペンサ10dの運転中のノイズを低減できるという利益が与えられる。
【0109】
もう一つの違いは、心棒418、426、432の遠位端をそれぞれ受けるのに適応した穴429、430、436が最早外部背面パネル148に設けられていないことである。それに代わって、心棒418、426、432の遠位端を受け止める環状突起(表示せず)が外部背面パネル148の内側面に設けられる。同様に、金属プレート1076から突き出て、レバー歯車428の可動限界として作用するリブ1080、1084の遠位端を受けるために、環状突起(表示せず)が外部背面パネル148の内側面上に設けられる。更に、ディスペンサ10c用に設けられた、切り込みを入れた競走トラック形状の溝820とは対照的に、円形の穴1088の中にレバー歯車428のオフセットピン450が設けられる。
【0110】
本実施形態の更に別の違いは、モータ400は双方向モータであることであり、すなわち、モータ400はバルブアセンブリ274の開閉のために2つの方向に駆動される。この場合スプレーを終了させるには、モータ400が第2の方向に通電されて、アクチュエータアーム30およびバルブステム278への下向きの力を逆転させる。そうして、アクチュエータアーム30の上向きの移動およびバルブアセンブリ274による上向きの力に応答して、アクチュエータアーム30およびバルブステム278が上方向へ移動して動作前位置に至り、このタイミングで容器60のバルブアセンブリ274が閉じられる。しかし、本実施形態において一方向モータ駆動も利用可能であることは予想される。更に、本実施形態のモータ400はディスペンサ10cのモータよりも大きく、モータ400を起動した場合にノイズが低減される。
【産業上の利用可能性】
【0111】
ここで説明したディスペンサはエアゾール容器の内容物を大気中へ有利にスプレーさせる。ディスペンサは小型、軽量の設計で、邸宅、住宅や職場などの数多くの場所に亘って広範囲な潜在的な適用が可能である。
【0112】
当業者には以上の説明を読めば、多数の修正が明らかであろう。したがって、この説明は、例示的なものとしてのみ解釈すべきであり、その目的は、当業者がここで開示された内容を行い、かつ使用できるようにすると共に、当業者に発明実施の最良の形態を教示することである。また、本開示の範囲内にあるすべての修正についての独占権が、留保されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動放出装置であって、
トップ部とベース部とを有し、その間に容器を確実に保持するためのリセスを画定する表面が設けられているハウジングと、
前記ハウジングの前記リセスと背面パネルとの間に実質的に配設され、駆動モータが結合する、少なくとも1つの歯車と、
アクチュエータアームと、
を備え、
前記駆動モータと前記少なくとも1つの歯車との起動により、少なくとも1つの起動前位置と放出位置との間での、リセスの長手軸に平行な方向成分を有する経路に沿ったアクチュエータアームの動きが与えられることを特徴とする自動放出装置。
【請求項2】
前記アクチュエータアームが、前記駆動モータの起動により、前記容器の軸方向長さに実質的に平行な経路に沿って更に移動することを特徴とする請求項1に記載の自動放出装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、回転可能に取り付けられたカバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の自動放出装置。
【請求項4】
前記ハウジングに配設された手動スイッチが前記カバーの開口部を介して起動可能であることを特徴とする請求項3に記載の自動放出装置。
【請求項5】
前記駆動モータが、タイマ、センサ、および手動スイッチの内の少なくとも1つからの信号に応答して起動させられることを特徴とする請求項1に記載の自動放出装置。
【請求項6】
前記駆動モータは双方向駆動モータであることを特徴とする請求項1に記載の自動放出装置。
【請求項7】
前記双方向駆動モータを1つの方向に起動させると前記アクチュエータアームを前記起動前位置に向かって移動させ、前記双方向駆動モータを第2の方向に起動させると前記アクチュエータアームを前記放出位置へ移動させることを特徴とする請求項6に記載の自動放出装置。
【請求項8】
自動ディスペンサであって、
容器をその中に保持するのに適応したハウジングと、
前記ハウジング内に配設された駆動モータと、
係合部材を有するアクチュエータアームと、
を備え、
前記係合部材が、円形放出開口部を有する一様な円筒形バルブステムから流体が流出するのを妨げ、かつ非円形の放出開口部を有するバルブステムから流体を流出させることを特徴とする自動ディスペンサ。
【請求項9】
前記係合部材は前記アクチュエータアームから垂れ下がり、かつ前記係合部材は下方向に押されて容器のバルブステムに係合するようになっていることを特徴とする請求項8に記載の自動ディスペンサ。
【請求項10】
前記係合部材は、密閉面を画定するテーパのついた端を有する円筒形部材であることを特徴とする請求項8に記載の自動ディスペンサ。
【請求項11】
ディスペンサユニットを操作する方法であって、
内部に容器が配設されたハウジングを含むディスペンサユニットへ電力を供給するステップと、
スプレー動作と運動センサの起動との間に休止期間間隔を入れるステップと、
前記休止期間間隔終了後に前記ディスペンサユニット上に配設された運動センサを起動し、前記センサの検出経路内の動きを検出するステップと、
を含み、
前記運動センサは動きを検出するまでは起動されたままであり、流体が前記容器から自動的に放出されると同時に、前記休止期間間隔がリセットされ、かつ前記運動センサが停止されることを特徴とするディスペンサユニットの操作方法。
【請求項12】
前記休止期間間隔はユーザが選択可能であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ディスペンサユニットは手動の起動スイッチを備えることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記休止期間間隔中に前記ディスペンサユニットを手動で起動するステップを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ディスペンサユニットが手動で起動された場合、前記休止期間間隔がリセットされることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
始動遅延期間を設けるステップを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記始動遅延期間の終了とともに前記容器から流体が放出されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記始動遅延時間の完了とともに前記休止期間間隔が設けられることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記休止期間間隔は約30分であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記運動センサはフォトセルであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項21】
自動アクチュエータ装置であって、
容器をその中に保持するのに適応したハウジングと、
前記ハウジング内に配設された駆動モータと、
前記駆動モータに連結され、テーパのついた端を有する円筒形の係合部材が垂れ下がっているアクチュエータアームと、
を備え、
前記駆動モータの起動により、少なくとも1つの起動前位置と放出位置との間のアクチュエータアームの動きを与え、
前記係合部材の前記テーパのついた端が前記放出位置にある場合に一様な円筒形バルブステムからの流体の流出を妨げ、少なくとも1つの貫通した横開口部を有するバルブステムから流体を流出させることを特徴とする自動アクチュエータ装置。
【請求項22】
容器が前記ハウジング内に保持され、前記容器が少なくとも1つの貫通した横開口部を有するバルブステムを備えることを特徴とする請求項21に記載の自動アクチュエータ装置。
【請求項23】
前記バルブステムが概ね円形の放出開口部を有することを特徴とする請求項22に記載の自動アクチュエータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2010−522080(P2010−522080A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500917(P2010−500917)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/003317
【国際公開番号】WO2008/115391
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】