説明

小型光選別機

【課題】装置のコンパクト化を図ることで設置スペースを小さくし、農家等での使用に適した小型の光選別機を提供する。
【解決手段】原料を上昇させる昇降機を複数備える昇降部と、少なくとも1台の前記昇降機により上昇させられる原料を選別する光選別部と、光選別部により選別される原料を前記昇降部に搬送する横送りコンベアと、を備えてなる光選別機において、前記昇降部は、光選別部の背後であって幅方向に沿って複数の昇降機を隣接配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農家等での使用に適した小型の光選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物からなる原料を良品と不良品に選別したり、原料に混入する異物を選別除去したりする光選別機が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載された光選別機は、原料である穀粒を二段階の選別工程を経て良粒と不良粒とに選別するものであって、まず、供給ホッパ14Aに投入された穀粒を第1昇降機16によって揚粒し、自由落下する穀粒をカメラ28により撮像して不良粒をエジェクタ40によって弾き飛ばすことで一次選別を行い、次に、一次良粒を第2昇降機52によって揚粒し、自由落下する一次良粒をカメラ28により撮像して不良粒をエジェクタ40によって弾き飛ばすことで二次選別を行うものである。
【0004】
特許文献1に記載された光選別機は、二段階の選別作業を行うため2台の昇降機を備えるものであるが、1台は選別機本体10Aに、他の1台は開閉扉12Aに設置されており、装置全体が大型化したものとなっている。
【0005】
ところで、光選別機を用いた原料の良品、不良品の選別方法として、一次選別、二次選別を行う以下のフローからなる方法が考えられる。
(1)一次選別部において原料を良品(以下、「一次良品」という。)と不良品(以下、「一次不良品」という。)に選別し、一次良品を袋詰のため光選別機外に搬出、一次不良品を二次選別部に搬送する。
(2)二次選別部において一次不良品を良品(以下、「二次良品」という。)と不良品(以下、「二次不良品」という。)に選別し、二次良品を再度一次選別部に搬送、二次不良品を選別機外に排出する。
【0006】
上記選別方法を実現するためには、例えば、原料を一次選別部に供給するために揚粒する、一次不良品を二次選別部に供給するため揚粒する、二次良品を一次選別部に搬送するため揚粒する、こと等を目的とした昇降機(例えば、バケットエレベータ等)を光選別機に設置することが必要である。
しかしながら、光選別機に複数の昇降機を設置すると、特許文献1に記載されたとおり装置全体が大型化し設置スペースの拡大が免れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−98276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、装置全体をコンパクトなものとし設置スペースを小さくすることで、農家等での使用に適した小型の光選別機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、原料を上昇させる昇降機を複数備える昇降部と、少なくとも1台の前記昇降機により上昇させられる原料を選別する光選別部と、光選別部により選別される原料を前記昇降部に搬送する横送りコンベアと、を備えてなる光選別機において、前記昇降部が、光選別部の背後であって幅方向に沿って複数の昇降機を隣接配置したものであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、横送りコンベアが、光選別部の下方に配置され、光選別部により選別される原料を所定の昇降機に搬送するものであることが好ましい。
【0011】
本発明は、光選別部が、第1選別部と、該第1選別部において選別された原料を選別する第2選別部を備えるものであって、昇降部は、少なくとも第1選別部に供給する原料を上昇させる第1昇降機と、第2選別部に供給する原料を上昇させる第2昇降機と、を備えることが好ましい。
【0012】
本発明は、第1昇降機が、光選別機に投入される原料と第2選別部において選別される原料を、前記第1選別部に供給するものであることが好ましい。
【0013】
本発明は、横送りコンベアが、原料の位置に対応した複数の樋が形成されたトラフと、該トラフの底面を揺動させる振動機構とを備えた振動コンベアとしてなることが好ましい。
【0014】
本発明は、横送りコンベアが、平面ベルトと、少なくとも2本のローラシャフトとを備え、前記平面ベルトの幅方向に複数の仕切り壁を立設して、原料の位置に対応して複数の通路が形成されたベルトコンベアとしてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光選別機は、昇降部が、複数の昇降機を隣接配置したものであるから、昇降機自体をコンパクトなものとすることができる。しかも、本発明の光選別機は、当該昇降部が、光選別部の背後であって幅方向に沿って複数の昇降機を隣接配置したものであるから、装置の幅が限定され、設置スペースを小さくすることで装置を小型化することができる。
【0016】
また、本発明の光選別機は、光選別部により選別される原料を所定の昇降機に搬送する横送りコンベアを、光選別部の下方に配置したものであるから、横送りコンベアを配置するための新たなスペースを必要としない。
【0017】
本発明の光選別機は、光選別部が、第1選別部と、該第1選別部において選別された原料を選別する第2選別部を備えるものであって、昇降部は、少なくとも第1選別部に供給する原料を上昇させる第1昇降機と、第2選別部に供給する原料を上昇させる第2昇降機と、を備えるものであるから、二段階の選別工程を経て選別する選別方法に用いることができる。
【0018】
また、本発明の光選別機は、第1昇降機が、光選別機に投入される原料と第2選別部において選別される原料を、前記第1選別部に供給するものであるから、昇降機を1台減らすことができるとともに、選別をより精緻に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における光選別機の正面右上からの全体斜視図。
【図2】本発明の実施の形態における光選別機の内部構造の説明図。
【図3】本発明の実施の形態における光選別機の内部構造の説明図。
【図4】本発明の実施の形態における光選別機を構成する振動コンベアトラフの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における光選別機の正面右上からの全体斜視図を示す。図2及び3は、本発明の実施の形態における光選別機の内部構造の説明図であって、図2は光選別機の左側側面方向からの説明図、図3は光選別機の正面方向からの説明図をそれぞれ示す。図4は、本発明の実施の形態における光選別機を構成する振動コンベアトラフの説明図を示す。
本発明の実施の形態における光選別機は、穀粒、樹脂ペレット、コーヒー豆、その他の粒状物を原料として選別することができるものである。
【0021】
本発明の実施の形態における光選別機は、背面側に位置し原料を揚粒する昇降部1と、昇降部1の前側に位置し原料を選別する光選別部2と、光選別機の下方に位置し選別後の原料を昇降部1に供給する振動コンベア3を備えるものである。
【0022】
昇降部1は、第1バケットコンベア11と、該第1バケットコンベア11の一側方に隣接して配置される第2バケットコンベア12と、第1バケットコンベア11の他側方に隣接して配置される第3バケットコンベア13から構成され、光選別機の正面視幅方向に並設した状態で配置されており、図1に示すように、本実施の形態ではハウジング内にコンパクトに収納されている。
【0023】
第1バケットコンベア11は、昇降部1の背後に設けられた投入ホッパ14に投入される原料を揚粒し、当該原料を後述する光選別部2の一次選別部20上方に位置する第1貯留タンク15に貯留するためのものである。また、第1バケットコンベア11は、後述する光選別部2の二次選別部21において良品とされた原料(以下、「二次良品」という。)を揚粒し、第1貯留タンク15に貯留するためのものである。
【0024】
第2バケットコンベア12は、光選別部2の一次選別部20において良品とされた原料(以下、「一次良品」という。)を揚粒し、当該原料を精品排出樋16から光選別機外に排出するためのものである。
【0025】
第3バケットコンベア13は、前記一次選別部20において不良品とされた原料(以下、「一次不良品」という。)を揚粒し、当該原料を後述する光選別部2の二次選別部21上方に位置する第2貯留タンク17に貯留するためのものである。
【0026】
本実施の形態における光選別機の昇降部1は、各バケットコンベア11〜13を隣接して配置するものであるため、各駆動軸を共通軸とすることで、同一駆動源により同時駆動することができるものである。
【0027】
ここで、図1及び図2に示すように、前記投入ホッパ14は、前記昇降部1の背後に設けられ、光選別機の背面側から原料を投入可能に構成されている。
【0028】
また、図1及び図3に示すように、前記精品排出樋16は、光選別機の左側側面から機外に向けて延出するよう設けられるものである。
【0029】
光選別部2は、光検出部22とエジェクタ23を備えるものであり、光選別機の正面視幅方向位置により一次選別部20と二次選別部21に分けられるものである。
【0030】
一次選別部20は、第1貯留タンク15から供給される原料の選別を行うものであり、二次選別部21は、第2貯留タンク17から供給される原料を選別を行うものである。
図2及び3に示すように、各貯留タンク15,17に貯留される原料は、それぞれ第1及び第2ロータリーバルブ18,19を介して一定流量で供給され、それぞれ第1及び第2シュート24,25上を落下して光検出部22により検出される。その結果、一次良品は一次選別部20の下方に対応して設けられた第1排出樋26から、一次不良品はエジェクタ23からのエアーに弾かれて一次選別部20の下方に対応して設けられた第2排出樋27から、それぞれ後述する振動コンベア3のトラフ30上に排出される。また、二次良品も二次選別部21の下方に対応して設けられた第3排出樋28から振動コンベア3のトラフ30上に排出される。二次選別部21において不良品とされた原料(以下、「二次不良品」という。)は、二次選別部21の下方に対応して設けられた第4排出樋29から直接光選別機外に排出される。
【0031】
本実施の形態における光選別部2の光検出部22及びエジェクタ23は、光選別機の幅方向にライン状に落下する複数の原料を検出し、適宜原料をエアーにより弾くことができるものであればよく、例えば、特許文献1に記載されたとおりの公知のものを用いることができるので、ここでの説明は省略する。
【0032】
振動コンベア3は、光選別部2の下方に配置されるものであり、図4に示すように、光選別部2によって選別された原料を、一次良品、一次不良品、二次良品に分別して受けることができるトラフ30を備えるものである。
該トラフ30は、前記第1乃至第3排出樋26〜28から排出される原料の位置に対応して、第1樋31、第2樋32、第3樋33が形成されるものであり、光選別部2で選別された原料をそれぞれ目的のバケットコンベア11〜13に供給することができるよう構成されている。
【0033】
次に、本発明の実施の形態における光選別機の作用を説明する。
原料は、昇降部1の背後に設けられる投入ホッパ14に投入されると、第1バケットコンベア11により揚粒され、第1貯留タンク15に貯留された後、第1ロータリーバルブ18を介して一定流量で第1シュート24に供給される。
そして、第1シュート24上を落下する原料は、光選別部2の一次選別部20において光検出部22により検出され、一次良品は第1排出樋26から振動コンベア3のトラフ30の第1樋31上に落下し、一次不良品はエジェクタ23により弾かれて第2排出樋27から振動コンベア3のトラフ30の第2樋32上に落下する。
【0034】
第1樋31上に落下した一次良品は、振動コンベア3の作用により昇降部1の第2バケットコンベア12に搬送され揚粒されて、袋詰め等のため光選別機の左側側面から機外に向けて延出するよう設けられる精品排出樋16から光選別機外に排出される。
一方、第2樋32上に落下した一次不良品は、昇降部1の第3バケットコンベア13に搬送され揚粒されて、第2貯留タンク17に貯留された後、第2ロータリーバルブ19を介して一定流量で第2シュート25に供給される。第2シュート25上を落下する一次不良品は、光選別部2の二次選別部21において光検出部22により検出され、二次良品は第3排出樋28から振動コンベア3のトラフ30の第3樋33上に落下し、二次不良品はエジェクタ23により弾かれて第4排出樋29から直接光選別機外に排出される。
【0035】
第3樋33上に落下した二次良品は、振動コンベア3の作用により昇降部1の第1バケットコンベア11に搬送され、投入ホッパ11に投入される原料とともに揚粒されて、第1貯留タンク15に貯留される。そして、光選別部2の一次選別部20において再度選別される。
【0036】
上記本発明の実施の形態では、昇降部1として3台のバケットコンベアを隣接配置したものを用いたが、例えば、一次良品を揚粒する必要がない場合はバケットコンベアを2台とするなど、隣接配置するバケットコンベアの数は適宜変更可能である。また、バケットコンベアは、同等の機能を有する他の昇降手段と変更可能であることはいうまでもない。
【0037】
本発明の実施の形態における光選別機は、複数台のバケットコンベアを隣接配置することで昇降部1をコンパクトに構成したものであり、かつ当該昇降部1を光選別部2の背後に配置することで正面視の幅が限定されるものであるから、設置スペースを小さくでき装置を小型化することが可能なものである。
また、本発明の実施の形態における光選別機は、選別後の原料を昇降部1に供給するための振動コンベア3を光選別部2の下方に配置したものであるから、振動コンベア3を配置するための新たなスペースを必要としないものである。
【0038】
上記本発明の実施の形態における光選別機は、段落[0005]に記載した光選別機を用いた原料の良品、不良品の選別方法を実施するものを例としたが、本発明は、例えば、特許文献1に記載されたような選別方法のように、複数台の昇降機と、光選別部と、光選別部により選別された原料を前記昇降機に搬送する手段と、を必要とする選別方法を実施する場合に適用可能である。その場合、選別方法に応じて、昇降部1における昇降機の台数や振動コンベアのトラフ30の構造等を適宜変更すればよい。本発明の実施形態の振動コンベアにあっては、原料の位置に対応した複数の樋が形成されたトラフと、該トラフの底面を揺動させる振動機構とを備えた構造であり、振動機構として、例えば、偏心輪を利用した周知のものを採用することが可能であり、選別機全体の製造コストを低減することができる。
【0039】
なお、前記振動コンベアに代えて、平面ベルトと、少なくとも2本のローラシャフトとを備え、前記平面ベルトの幅方向に複数の仕切り壁を立設し、原料の位置に対応して複数の通路が形成されたベルトコンベアとすることもできる。このような複数の通路が形成されたベルトコンベアであれば、振動機構を利用していないために、選別機の振動を抑え、騒音発生を防止して静粛な運転を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の光選別機は、複数の昇降機を隣接配置して昇降部をコンパクトに構成し、当該昇降部を光選別部の背後に配置し、さらに選別後の原料を目的に対応した昇降機に供給できる振動コンベアを光選別部の下方に配置したものであるから、装置全体の幅が限定され、設置スペースを小さくすることで小型化することができ、農家等での使用に適したものである。
【符号の説明】
【0041】
1 昇降部
2 光選別部
3 振動コンベア
11 第1バケットコンベア
12 第2バケットコンベア
13 第3バケットコンベア
14 投入ホッパ
15 第1貯留タンク
16 精品排出樋
17 第2貯留タンク
18 第1ロータリーバルブ
19 第2ロータリーバルブ
20 一次選別部
21 二次選別部
22 光検出部
23 エジェクタ
24 第1シュート
25 第2シュート
26 第1排出樋
27 第2排出樋
28 第3排出樋
29 第4排出樋
30 振動コンベアのトラフ
31 第1樋
32 第2樋
33 第3樋










【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を上昇させる昇降機を複数備える昇降部と、
少なくとも1台の前記昇降機により上昇させられる原料を選別する光選別部と、
光選別部により選別される原料を前記昇降部に搬送する横送りコンベアと、
を備えてなる光選別機において、
前記昇降部は、光選別部の背後であって幅方向に沿って複数の昇降機を隣接配置したことを特徴とする光選別機。
【請求項2】
前記横送りコンベアは、前記光選別部の下方に配置され、該光選別部により選別される原料を所定の昇降機に搬送することを特徴とする請求項1記載の光選別機。
【請求項3】
前記光選別部は、第1選別部と、該第1選別部において選別された原料を選別する第2選別部を備えるものであって、
前記昇降部は、少なくとも第1選別部に供給する原料を上昇させる第1昇降機と、第2選別部に供給する原料を上昇させる第2昇降機と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の光選別機。
【請求項4】
前記第1昇降機は、光選別機に投入される原料と前記第2選別部において選別される原料を、前記第1選別部に供給するものであることを特徴とする請求項3記載の光選別機。
【請求項5】
前記横送りコンベアは、原料の位置に対応した複数の樋が形成されたトラフと、該トラフの底面を揺動させる振動機構とを備えた振動コンベアとしてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の光選別機。
【請求項6】
前記横送りコンベアは、平面ベルトと、少なくとも2本のローラシャフトとを備え、前記平面ベルトの幅方向に複数の仕切り壁を立設して、原料の位置に対応して複数の通路が形成されたベルトコンベアとしてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の光選別機。









【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−45865(P2011−45865A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250236(P2009−250236)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 株式会社サタケ 「『新型光選別機 FGS−1000・2000』のカタログ(価格表示あり)」 平成21年6月発行
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り FOOMA JAPAN 2009国際食品工業展 社団法人日本食品機械工業会 平成21年6月9日〜12日
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】