説明

小型分析装置

【課題】文字、数字または記号を入力する際の煩雑な作業が不要であり、短時間で入力作業を進めることができる小型分析装置を提供する。
【解決手段】測定部2と装置本体1から構成された小型分析装置であり、装置本体1は、表示部5と、各種操作キーが配列された入力操作部4と、測定部2からの信号に基づいて演算処理や各部の制御等を行う演算処理部6、装置制御・アプリケーションプログラムおよび各種ドライバを記憶している第1記憶部7と、測定部2からの各種測定データ、各種測定値または設定条件等を随時書き込み/読み出しする第2記憶部8とを備えており、装置本体1には、任意の文字、数字または記号を入力するための操作キーが配列された外付機器3を該装置本体1と接続できようにした外付機器接続部9が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、数字または記号を入力するためのキーボード等の外付機器を接続できる機能を有した電気化学分析装置又は光分析装置等の小型分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
pH、ORP等を測定する電極式濃度測定装置、試料物質の濃度等を測定する電気滴定装置、又は光を使って濁度を測定する濁度測定装置等の小型分析装置では、多機能性、簡便性、高速動作性などが求められており、例えば電極式濃度計測装置では、pH、ORP、電気伝導率、溶存酸素および各種イオンを測定対象としたものが各々専用の測定装置としてあるが、近年ではこれらの電極を一台の測定装置で対応できるようにしたマルチ型のものも提供されるようになっている。この小型分析装置は大きく測定部と装置本体とで構成されており、装置本体の入力操作部には、例えばpH計の場合、POWER、ENTER、CAL(校正)、カーソル(矢印)、HELP、ESC等の各種操作キーが設けられている。これらの操作キーを押すことによって、pH計の各機能を実行することができるようになっている。これらの小型分析装置は、どこへでも持ち運びが可能なハンディ型(携帯型)のものと、机の上等に載置して使用する卓上型のものとに大別される。
【0003】
このような情勢において、小型分析装置では近年、μITRON(マイクロアイトロン)というOSが使われるようになってきている。このOSはきわめて小さな容量で構成することができ、その他高速動作が可能、互換性にすぐれているといった特徴があり、家電、情報携帯端末機器、パーソナルコンピュータ周辺機器、通信機器他多くの機器に用いられている。
【0004】
従来、小型分析装置では、多機能性と高速動作性を重視する観点から記憶容量をできる限り小さくすることが必要不可欠となっており、オペレータ登録、変更、管理者登録、計器の管理情報への入力、コメントの入力、設定条件等の入力の場合には、装置本体の入力操作部にある操作キーを用いて行っていた。具体的には、本体の表示画面に図1に示すように、例えばオペレータ登録画面を表示させ、ここにある「文字、数字及び記号一覧表」において、カーソルキーで所望の文字や記号の位置までカーソルを移動させた後にENTERキーを押すことによって、ようやく一文字の入力が完了した。そのため、幾つかの文字等を入力する場合には、カーソルキーによるカーソル移動とENTERキーを押す作業を何度も繰り返す必要があった。
【0005】
図2に、上記従来の小型分析装置におけるオペレータ登録の場合のフローを示す。まず、装置本体の入力操作部にあるMENUキーを押して各メニューからオペレータ登録画面を選択し、さらにENTERキーを押す。すると、図1に示すようなオペレータ登録画面が表示される。そして、この画面にある「名前」の箇所へカーソルキーを操作してハイライト表示にしてENTERキーを押すと、この「名前」に対応した入力セル(「名前」の箇所の下段にある空白部)が文字入力設定状態となり、このオペレータ登録画面の略中央部にある2つの表で構成される「文字、数字及び記号一覧表」のうち、いずれかの文字、数字または記号(例えば!)にカーソルが点燈し、これによって文字入力のフローへ移る。なお、入力できる文字数は例えば12文字と予め決められておりこの文字数までは下記フローに従って文字入力を進められるが、13文字を入力した場合には、装置本体にあるCPUが所定の文字入力数である12文字を超えたと判断して入力操作部の操作キーをロックして入力操作ができないようになっている。
【0006】
文字入力は、カーソルキーでカーソルを移動させて入力したい所望の文字を選択して、ENTERキーを押すことによって選択した文字が記憶されるとともに、入力セルに文字が表示される。そしてCPUで「所定の文字入力数に達したかどうか?」を判断し、次の文字を入力する必要がある場合には「NO」の方へ進んで、カーソルキーで所望の文字を選択する箇所へ戻って以下のフローを進めていく。入力したい文字の個数の数だけ(オペレータ名の数分だけ)回数を繰り返して入力が完了した後に、さらにENTERキーを押して文字入力を確定させる。これにより、文字入力のフローは完了となる。そして次に画面上にある「登録する」をハイライト表示にしてENTERキーを押すと、オペレータ名を記憶して確定されることによってオペレータ登録は完了となる。
【0007】
一方、特許第2603939号公報には、上位コンピュータと接続可能であり、分析装置本体に設けられるコネクタと、分析条件を入力するキー操作部を含み、分析装置本体が前記上位コンピュータに接続されないときは、前記コネクタを介して前記分析装置本体に接続され、分析装置本体が前記上位コンピュータに接続されるときは、前記分析装置本体から接続を外される分析条件設定部と、この分析条件設定部より入力された分析条件を分析条件設定部が取り外した後も保持する分析条件記憶部とを備えたガスクロマト装置等の大型分析装置について開示されている。これによると、上位コンピュータ接続時には、上位コンピュータからの指令で分析条件を制御し、上位コンピュータ非接続時には、前記分析条件設定部より分析条件を設定するようにしたことが特徴となっている。前記分析条件設定部は第2図に示されているように、表示部31と、複数のキー群からなるキー入力部32で構成されており、いわば一種のキーボードのような構成となっている。前記分析条件設定部は、装置を単体で使用する場合は、前記装置本体のコネクタに、この設定部のコネクタが接続され、前記キー入力部のキー操作により分析条件が入力されるようになっている。
【0008】
ところで、文字、数字または記号の入力手段として、特にパーソナルコンピュータで広く用いられているキーボードには、101個のキーが配置された101キーボード、この101キーボードをベースに(半角/全角)キー、(変換)キー、(無変換)キーなど日本語入力に必要な5つのキーを加えた106個のキーからなる106キーボードなどがあり、さらにその他に数字入力専用の小型のキーボードとして、0から9までの数字と、「+」、「−」などの記号が配置された10キーボードがある。10キーボードはスペース上の制約から通常のキーボードが置けない場合や、数字のキーが削除されたノートパソコンなどで用いられている。また、キーボードはHID(Human Interface Device)準拠のものが多く使われている。また、その他にWindows(登録商標)を搭載した機器でよく使われている日本語109キーボードというものもある。
【0009】
キーボードをパーソナルコンピュータ等の機器本体へ接続する手段としては、PC/AT互換パソコン「PS/2」で初めて採用された規格であるPS/2や、近年主流となっている規格であるUSB(Universal Serial Bus)などがあるが、さらにデジタル無線あるいはBluetooth(登録商標)などの無線通信方式を利用する規格や、IrDA(InfraRed
Data Association)という赤外線通信方式を利用する規格もある。特に、ノートパソコンでは付帯している個々のキーボードが小さい、あるいは上記のように数字のキーが設けられていないということから、市販のHID準拠のキーボードを用いることが多い。また、最近ではPDA(Personal
Digital Assistant)等の情報端末機においても、文字、数字または記号を入力する手段として折りたたみ式のUSBキーボードが用いられたりしている。
【0010】
それに対し従来、小型分析装置では、装置本体をデスクトップパソコンあるいはノートパソコン等のパーソナルコンピュータと接続して使用することが多く、文字、数字または記号の入力の際には、該パーソナルコンピュータに接続されているキーボードから入力していた。
【特許文献1】特許第2603939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記特許前第2603939号公報に開示された分析装置では、分析条件設定部には表示部や、スタートキー、ストップキー及びファイル選択キー等の装置操作に必要な固有のキーがメインに設けられており、機能としては分析条件を入力するのみでとなっている。そのため、文字や記号の入力ができず、さらに市販されている上記HID準拠のキーボードを用いることができない。
【0012】
上記のように、小型分析装置において、文字、数字または記号の入力の際には、装置本体の入力操作部の操作キーを押す必要があり、通常は編集画面の「文字、数字及び記号一覧表」を表示させ、カーソルキーとENTERキーの操作を繰り返すことによって行われており、入力が完了するまでに煩雑な手間と多くの時間を費やす必要があった。そのため、この一覧表にあるすべての文字等をそのまま入力操作部に個々の操作キーとして設けることも考えられるが、これらをすべて網羅するようにするためにはその分のスペースを確保する必要があり、本体が大型化してしまう。
【0013】
また、上記のように小型分析装置ではOSとしてμITRONが採用されているが、容量を小さくすることが必須となっていることから、文字、数字または記号の入力手段であるキーボードを認識して使えるようにするキーボード用のドライバがOS等に標準装備されていない。そのため、通常のパーソナルコンピュータで見られるように、キーボードを本体に接続すると同時にこれを認識して使用可能にすることができない。さらにまた、小型分析装置では、上記のように文字等の入力の際にはノートパソコン等のパーソナルコンピュータと装置本体とを接続したうえでパーソナルコンピュータに付帯されたキーボードから入力する必要があった。
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、文字、数字または記号を入力する際の煩雑な作業が不要であり、短時間で入力作業を進めることができる小型分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の小型分析装置は、測定部と装置本体から構成され、装置本体は、表示部と、各種操作キーが配列された入力操作部と、測定部からの信号に基づいて演算処理や各部の制御等を行う演算処理部、装置制御・アプリケーションプログラムおよび各種ドライバを記憶している第1記憶部と、前記測定部からの各種測定データ、各種測定値または設定条件等を随時書き込み/読み出しする第2記憶部とを備えた小型分析装置において、任意の文字、数字または記号を入力するための操作キーが配列された外付機器を該装置本体と接続できようにした外付機器接続部が備えられており、前記操作キーのうち実際に操作された所望の文字、数字または記号に対応するキーコードが前記演算処理部へ伝達および認識され、前記演算処理部で前記キーコードを対応する文字、数字または記号に変換し、前記第2記憶部でこれを記憶することによって、前記所望の文字、数字または記号が入力されることを特徴としている。
【0016】
上記本発明の小型分析装置において、前記第1記憶部には、前記外付機器を認識するとともに、この外付機器の各操作キーのキーコードを対応する文字、数字または記号へ変換する機能を持った専用のドライバが記憶されている。
【0017】
また、上記本発明の小型分析装置において、前記外付機器の操作キーのうち幾つか選択されたキーは、装置本体の前記入力操作部にある各操作キーの機能が割り当てられており、各々の当該選択されたキーを押すことによって該小型分析装置の制御が行えるようになっている。
【0018】
上記本発明の小型分析装置では、前記外付機器はキーボードであることを特徴としている。さらにまた、前記外付機器接続部は、USB、PS/2、Bluetooth(登録商標)またはIrDAに準拠したものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の小型分析装置は、装置本体に、任意の文字、数字または記号を入力するための操作キーが配列された外付機器を該装置本体と接続できようにした外付機器接続部が備えられているため、オペレータ登録、装置の管理情報、コメント、設定条件等で文字、数字または記号を入力する場合において、該外付機器の操作キーのうち、所望のキーを操作するだけで入力を行えるので煩雑な作業が不要となり、短時間で作業を進めることができるようになる。
【0020】
具体的には、前記外付機器を認識するとともに、この外付機器の各操作キーのキーコードに対応する文字、数字または記号へ変換する機能を持った専用のドライバを装置本体の第1記憶部に記憶させるようにしたので、ダイレクトに外付機器を接続して使用することができるようになる。そのため、該外付機器を認識できるOS等を装備したパーソナルコンピュータを別途装置本体と接続する必要はない。この外付機器は、例えば市販されているHID準拠のUSBキーボードであれば、型式、製造元を問わず採用することができる。
【0021】
また、前記外付機器の操作キーのうち幾つか選択されたキーは、装置本体の前記入力操作部にある各操作キーの機能が割り当てられているため、個々の割り当てられたキーを押すことによって、POWERキー、MENUキー、ENTERキー、CALキー、カーソル(矢印)キー等装置本体の入力操作部にある制御関連の各操作キーの操作が装置本体以外からでもできるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態の小型分析装置の一例として、pH計について以下、説明していく。
本発明であるpH計の装置本体1の外観図を図3に示す。pH計は図示しない測定部である電極2(pH電極)と装置本体1で構成されている。装置本体1は、外観的には図3に示すように、各種設定または操作画面、実験条件、校正条件またはオペレータ登録等の各種入力画面等を表示させる表示部5と、POWERキー4a、MENUキー4b、ENTERキー4c、CAL(校正)キー4d、カーソル(矢印)キー4e、HELPキー4f、ESCキー4g等の各種操作キーが設けられた入力操作部4とで構成されており、これらの操作キーを押すことによって、pH計の各機能を実行できるようになっている。
【0023】
POWERキー4aは装置の電源のON/OFFを行うためのキー、MENUキー4bはメニュー画面を表示させるためのキー、ENTERキー4cは各種設定を確定あるいは各機能を実行させるためのキー、CALキー4dはpH校正を開始する場合に使用するキー、カーソルキー4eは設定項目の切換や文字等の設定に使用するキー、HELPキー4fは質問事項があるときや不明なときに使用するキー、ESCキー4gは各種画面から1つ前戻る場合に使用するキーとそれぞれ対応して設けられている。また、これ以外に図示はしないが、桁数の切換えを行うRANGEキー、その他印字、データ保存、データ転送、設定された条件に従って自動的に測定値を安定した時点で保持するオートホールドなどの任意の操作を割り当てたFUNCTIONキーなどがある。
【0024】
図4に本発明であるpH計のブロック図を示す。装置本体1には測定部である電極2が着脱自在に接続されている。装置の各機能は演算処理部であるCPU6によって制御されており、入力操作部4にある各操作キーが操作されると、このキーからのキーコードがCPU6に伝達され、CPU6が認識することによって処理され、各機能が実行される。電極2で測定されたデータはアナログデータなので、図示しないA/Dコンバータなどによりデジタルデータへ変換され、このデータがCPU6で演算処理されて測定結果などとして抽出されて、第2記憶手段としてのRAM8に記憶される。また、装置本体1には第1記憶手段としてのROM7も設けられている。
【0025】
RAM8は随時書き込み/読み出しメモリであり、校正データ、測定データ、オペレータ登録等の各種入力したデータ等が記憶される。また、ROM7は読み出しメモリであり、ここでは書き込みが出来なくなっており、装置全体の制御や装置の各機能を実行するためのソフトウエアや、外付機器3を認識、制御するドライバ、外付機器接続部を制御するためのドライバ等各種ドライバが記憶されている。
【0026】
表示部5は、校正、測定等の各種操作画面、実験条件、オペレータ登録等の各種設定画面などが表示される。各表示画面には、それぞれの画面に関連したキーの操作名称が画面上に表示されており、この画面上の操作名称に対応したキーを押すことによって各操作を実行できるようになっている。なお、これらの操作キーのうち、一部は入力操作部4の操作キーと同じ機能を持ったものとすることもでき、この場合どちらのキーを押しても同一の操作が実行される。
【0027】
また、本発明の特徴である、任意の文字、数字または記号を入力すめための操作キーが配列された外付機器、例えばHID準拠の101キーボード3(本実施形態ではUSBキーボード)を接続するための外付機器接続部9が設けられている。外付機器接続部9としては、好適にはUSBが挙げられ、具体的には例えばUSBホスト・コントローラ9を設けることによって達成することができる。USBホスト・コントローラ9は、マザーボード上に制御用のチップおよびキーボード3との電気的接続状態を実現するためのUSBポートとしてのUSBコネクタが搭載された構成となっており、接続されるUSBデバイスを制御するようになっている。この制御方法に関してはUSBの規格で定められているが、実際には後で述べるホストコントロールドライバ105というソフトウエアによって決められた一定のルールに従って動作するようになっている。
【0028】
なお、USBホスト・コントローラ9には、2個以上の複数個のUSBポートで構成されており、複数のUSB機器を接続することができるUSBハブも接続することができる。このハブを用いることによって、上記のように外付機器1台のみならず、USBメモリあるいはマウス等その他のUSB機器を接続することもできるようになる。
【0029】
ところで、外付機器3としては、前記USB以外に、PS/2、さらにデジタル無線あるいはBluetooth(登録商標)などの無線通信方式を利用するものや、IrDAである赤外線通信方式を利用することもできる。なお、USBは、現在有線式のものが主流であるが、今後規格化されるであろう無線式のものも採用できることは言うまでもない。
【0030】
図5に本発明であるpH計のソフトウエア部10のブロック図を示す。ソフトウエア部10は、大きく装置制御・アプリケーションプログラム101、アプリケーションプログラミングインターフェイス102、OS(μITRON)103、USBホスト・ドライバ104、ホストコントロールドライバ105に分けることができる。ソフトウエア部10は、装置本体部にある第1記憶部としてのROM7に記憶されている。但し、ソフトウエアの態様によっては、これらのソフトのうち少なくとも1つは第2記憶手段としてのRAM8に記憶するようにしてもよい。
【0031】
装置制御・アプリケーションプログラム101は、OS103の基で動作する装置制御や装置の各機能を実行させるのに必要な個々のプログラム等のソフトウエアである。
【0032】
アプリケーションプログラミングインターフェイス(API)102は、前記装置制御、アプリケーションプログラム等が、前記μITRON等のOS103でも実行できるように公開された汎用的な命令や関数が蓄積されているソフトウエアである。
【0033】
OS103は、本実施形態の小型分析装置として好適なμITRONを採用しており、上述のように、きわめて小さな容量で構成することができ、その他高速動作が可能、互換性にすぐれているといった特徴を有している。
【0034】
USBホスト・ドライバ104は、USB各機器を動作させるためのソフトウエア部であり、ベースとなるホストクラスドライバ104aと、キーボードクラスドライバ104b、ハブクラスドライバ104cといったUSB各機器専用のドライバとで構成される。ホストクラスドライバは104a、前記キーボードクラスドライバ104b、ハブクラスドライバ104cの機能を実現するために必要不可欠なドライバであり、このドライバがあることによって初めて、キーボードクラスドライバ104b、ハブクラスドライバ104cの動作が実行できる。前記キーボードクラスドライバ104bは、上述した外付機器3としての、HID準拠の101、106キーボードあるいは10キーボードなどの動作を実行するための専用のソフトウエアであり、これらのキーボードを認識するとともに、この外付機器3の各操作キーのキーコードを対応する文字、数字または記号へ変換する機能を有している。
【0035】
ハブクラスドライバ104cは、上述した複数のUSB機器を接続ことができるUSBハブの動作を実行するためのソフトウエアである。なお、前記USB機器以外の機器として、さらにUSBメモリを設けることもでき、この場合にはこれを動作させるためのドライバをさらにUSBホスト・ドライバ104として追加すればよいし、これ以外にもさらに他のUSB機器が使用可能にするためには、専用のドライバを追加すればよい。
【0036】
ホストコントロールドライバ105は、上述したように、外付機器接続部としての、例えば本実施形態ではUSBホスト・コントローラ9自体を制御するためのソフトウエアである。
【0037】
図6に本発明であるpH計におけるオペレータ登録の場合のフローを示す。このフローでは、図2の従来例のフローと比較すると、文字入力のフローの箇所のみが異なっているが、他の箇所は同じフローである。よって、文字入力のフローの箇所のみを以下、説明する。また、文字入力の際には上記従来例と同様に、例えば図1に示されたようなオペレータ登録画面を装置本体1にある表示部5に表示させて作業を進めることになるが、本実施形態においては、この画面の略中央部にある2つの表で構成される「文字、数字及び記号一覧表」は使用しない。
【0038】
まず、外付機器であるキーボード3上にある入力したい所望の文字の操作キーを押して選択すると、対応するキーコードが外付機器接続部であるUSBホスト・コントローラ9を介して装置本体1の演算処理部であるCPU6へ伝達される。すると、CPU6では伝達されたキーコードが認識されるとともに、該キーコードを対応する文字へ変換するように制御が進められ、この文字は装置本体1の第2記憶部であるRAM8にこの文字が記憶されて確定される。これにより、第1番目の文字が例えば図1に示すようなオペレータ登録画面上の「名前」に対応した入力セル(「名前」の箇所の下段にある空白部)に入力される。なお、入力できる文字数は例えば12文字と予め決められておりこの文字数までは下記フローに従って文字入力を進められるが、13文字を入力した場合には、前記CPU6が所定の文字入力数である12文字を超えたと判断して前記キーボード3の操作キーをロックして入力操作ができないようになっている。
【0039】
次の第2番目の文字を入力したい場合には、CPU6で「所定の文字入力数に達したかどうか?」を判断するとともに「NO」の方へ進んで、前記キーボード3上にある第2番目の文字の操作キーを押す。すると、この第2番目の文字に対応する対応するキーコードが前記USBホスト・コントローラ9を介してCPU6へ伝達される。すると、CPU6では伝達されたキーコードが認識されるとともに、該キーコードを対応する文字へ変換するように制御が進められ、この文字はRAM8にこの文字が記憶されて確定される。
【0040】
そしてさらに、第3番目以降の文字を入力したい場合には、前記第1番目及び第2番目の文字入力と同様に、この一連のフローを、入力したい文字の個数入力分だけ(オペレータ名の数分だけ)回数を繰り返して行うことになる。そして、ようやく入力が完了した後に、ENTERキー4cを押して文字入力を確定させるこれにより、文字入力のフローは完了となる。
【0041】
このように、本発明のpH計では、上記従来例でみられたように、入力操作部4にあるカーソルキー4eによりオペレータ登録画面上の「文字、数字及び記号一覧表」にある所望の文字までカーソルを移動させ、さらにENTERキー4cを押してから、ようやく1つの文字がオペレータ登録画面上の「名前」の入力セルに表示される、といった操作を経る必要がなく、外付機器であるキーボード3を外付機器接続部であるUSBホスト・コントローラ9を介して接続することによって、キーボード3上の所望の操作キーを押すだけで、即座にオペレータ登録画面の入力セルへ所望の文字が表示される。
【0042】
すなわち、本発明の小型分析装置は、装置本体1に、任意の文字、数字または記号を入力するための操作キーが配列された外付機器3を該装置本体1と接続できようにした外付機器接続部9が備えられているため、オペレータ登録、計器の管理情報、コメント、設定条件等で文字、数字または記号を入力する場合において、該外付機器3の操作キーのうち、所望のキーを操作するだけで入力を行えるので煩雑な作業が不要となり、短時間で作業を進めることができるようになる。
【0043】
具体的には、外付機器3を認識するとともに、この外付機器3の各操作キーのキーコードに対応する文字、数字または記号へ変換する機能を持った専用のドライバであるキーボードクラスドライバ104bを装置本体1の第1記憶部7に記憶させるようにしたので、ダイレクトに外付機器3を接続して使用することができるようになる。
【0044】
なお、このような本発明の一連の動作は、pH計の装置本体1に、外付機器であるキーボード3を外付機器接続部であるUSBホスト・コントローラ9を設けることであるハード的な部分と、USBホスト・ドライバの構成ドライバでの1つであるキーボードクラスドライバ104b、ハブクラスドライバ104cといったUSB各機器専用のドライバを設けることであるソフト的な部分を組み合わせることによって実現することができる。その中でも、前記キーボードクラスドライバ104bは、外付機器であるキーボード3を認識するとともに、キーボード3の各操作キーのキーコードに対応する文字、数字または記号へ変換する機能を持った専用のドライバであり、pH計のROM7に記憶されている。
【0045】
ところで、本発明のpH計に用いたキーボード3は、図示しない日本語109キーボードをベースとした84個の操作キーがあるUSBキーボード(HID準拠)の市販品であり、大きさは縦103mm×横233mmと小型サイズのものである。このキーボード3に付いたUSBプラグコネクタを装置本体側のハブポートにあるUSBリセプタクルコネクタへダイレクトに差し込むだけだけで、あとは装置本体側にある前記キーボードクラスドライバ104bがこのキーボード3を認識することによって該キーボード3は使用可能となる。
【0046】
このキーボード3の操作キーのうち、幾つかの選択されたキーは、pH計の装置本体1の入力操作部4にある幾つかの操作キーの機能(特に制御関連)を割り当てて関連付けることによって、対応したキーボードの操作キーを押すことによって、入力操作部4にある操作キーの操作が装置本体1以外からでもできるようになる。具体的には、対応するキーボード3の各操作キーのキーコードと入力操作部4にある対応した各操作キーのキーコードとの対応データをpH計本体1のRAM7あるいはROM8に記憶しておき、キーボード3を使用の際にはここからこのデータを読み込むようにすればよい。例えば、pH計本体1の入力操作部4にあるPOWERキー4a、ESCキー4g、MENUキー4b、ENTERキー4c、CALキー4d、カーソルキー4eは、それぞれ該キーボード3のF8(FUNCTION8)キー、ESCキー、TABキー、ENTERキー、F5(FUNCTION5)キー、カーソルキーで対応させるようになる。
【0047】
このように、本発明の小型分析装置では、装置本体に、任意の文字、数字または記号を入力するための操作キーが配列された外付機器を該装置本体と接続できようにした外付機器接続部を備えるとともに、さらに前記外付機器を認識するとともに、この各操作キーのキーコードに対応する文字、数字または記号へ変換する機能を持った専用のドライバを装置本体の記憶部であるROMに記憶させているため、文字、数字または記号を入力する際の煩雑な作業が不要であり、短時間で入力作業を進めることができるようになる。
【0048】
また、ダイレクトに外付機器を接続して使用することができるようになるため、該外付機器を認識できるOS等を装備したパーソナルコンピュータを別途装置本体と接続する必要はない。何より、市販されているHID準拠のキーボードであれば、型式、製造元を問わず採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来の小型分析装置におけるオペレータ登録画面を示す図である。
【図2】従来の小型分析装置におけるオペレータ登録の場合のフローを示す図である。
【図3】本発明であるpH計の装置本体の外観図である。
【図4】本発明であるpH計のブロック図を示す図である。
【図5】本発明であるpH計のソフトウエア部のブロック図を示す図である。
【図6】本発明であるpH計におけるオペレータ登録の場合のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 装置本体
2 測定部(電極)
3 外付機器(キーボード)
4 入力操作部
4a POWERキー
4b MENUキー
4c ENTERキー
4d CALキー
4e カーソルキー
4f HELPキー
4g ESCキー
5 表示部
6 演算処理部(CPU)
7 第1記憶部(ROM)
8 第2記憶部(RAM)
9 外付機器接続部(USBホスト・コントローラ)
10 ソフトウエア部
101 装置制御・アプリケーションプログラム
102 アプリケーションプログラミングインターフェイス
103 OS(μITRON)
104 USBホスト・ドライバ
104a ホストクラスドライバ
104b キーボードクラスドライバ
104c ハブクラスドライバ
105 ホストコントロールドライバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定部と装置本体から構成され、装置本体は、表示部と、各種操作キーが配列された入力操作部と、測定部からの信号に基づいて演算処理や各部の制御等を行う演算処理部、装置制御・アプリケーションプログラムおよび各種ドライバを記憶している第1記憶部と、前記測定部からの各種測定データ、各種測定値または設定条件等を随時書き込み/読み出しする第2記憶部とを備えた小型分析装置において、任意の文字、数字または記号を入力するための操作キーが配列された外付機器を該装置本体と接続できるようにした外付機器接続部が備えられており、前記操作キーのうち実際に操作された所望の文字、数字または記号に対応するキーコードが前記演算処理部へ伝達および認識され、前記演算処理部で前記キーコードを対応する文字、数字または記号に変換し、前記第2記憶部でこれを記憶することによって、前記所望の文字、数字または記号が入力されることを特徴とする小型分析装置。
【請求項2】
前記第1記憶部には、前記外付機器を認識するとともに、この外付機器の各操作キーのキーコードを対応する文字、数字または記号へ変換する機能を持った専用のドライバが記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の小型分析装置。
【請求項3】
前記外付機器の操作キーのうち幾つか選択されたキーは、装置本体の前記入力操作部にある各操作キーの機能が割り当てられていることを特徴とする請求項1または2に記載の小型分析装置。
【請求項4】
前記外付機器はキーボードであることを特徴とする請求項1ないし3に記載の小型分析装置。
【請求項5】
前記外付機器接続部は、USB、PS/2、Bluetooth(登録商標)またはIrDAに準拠したものであることを特徴とする請求項1ないし4に記載の小型分析装置。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−58148(P2008−58148A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235164(P2006−235164)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000219451)東亜ディーケーケー株式会社 (204)
【Fターム(参考)】