小型有機蒸気ジェット印刷プリントヘッド
第一のデバイスが提供される。第一のデバイスは、プリントヘッドと、プリントヘッドに気密的に密閉された第一のガス源とを含む。プリントヘッドは、複数のアパーチャを備えた第一の層を含み、各アパーチャは0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有する。第二の層が第一の層に結合される。第二の層は、第一のガス源及び少なくとも一つのアパーチャと流体連結した第一のビアを含む。第二の層は絶縁体製である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年3月25日出願のCompact OVJP Print Headとの名称の米国仮出願第61/211002号、及び2010年3月23日出願のCompact Organic Vapor Jet Printing Print Headとの名称の米国特許出願第12/729479号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、米国エネルギー省によるDE‐FC26‐04NT42273の下での米国政府の補助によりなされたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本願発明は、以下の者の一以上によって、その代理として、及び/又はその産学共同研究の同意によりなされたものである:リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン、プリンストン大学、南カリフォルニア大学、ユニバーサルディスプレー社。その同意は、本願発明がなされたとき及びそれ以前において有効であり、本願発明は、その同意の範囲内において行われた活動の結果としてなされたものである。
【0004】
本発明は、プリントヘッドを介した有機物質の堆積に関する。
【背景技術】
【0005】
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスが、多くの理由により益々望まれている。このようなデバイスを製造するために使用される物質の多くは、比較的安価であるので、有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコストの利点を有する可能性がある。更に、有機物質の固有の性質(フレキシブル性等)によって、そのデバイスが、フレキシブル基板上での製造等の特定の応用に適したものになる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例として、有機発光デバイス(OLED,organic light emitting device)、有機フォトトランジスタ、有機光起電電池、有機光検出器が挙げられる。
【0006】
OLEDの更なる詳細については、参照としてその全体が本願に組み込まれる特許文献1に見出すことができる。
【0007】
有機デバイスを製造するために使用される有機物質を堆積させる多様な方法が知られていて、真空熱蒸発、溶液処理、有機気相堆積、有機蒸気ジェット印刷等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7279704号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】P.Clausing、J.Vac.Sci.Tech、第8巻、p.636−646
【非特許文献2】D.J.Stanteler、D.Boeckman、J.Vac.Sci.Tech.A、1991年7月/8月、第9巻、第4号、p.8
【非特許文献3】J.H.Moore、C.C.Davis、M.A.Coplan著、“Building Scientific Apparatus”、Westview Press、2002年、第3版
【非特許文献4】Ciprian Iliescu、F.E.H.Tay、J.Miao、Sens.Act.A、2007年、第2巻、第133号、p.395−400
【非特許文献5】G.Wallis、“Field Asssited Glass Sealing”、Electrocomponent Science and Tech、1975年、第2巻、第1号
【非特許文献6】K.M.Knowles et al.、“Anodic bonding”、International Materials Rev.、2006年、第51巻、第5号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷に有用なノズルの幾何学的形状に関する。
【0011】
一実施形態では、第一のデバイスが提供される。そのデバイスはプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された第一のノズルを含む。第一のノズルは、その第一のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第一のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0012】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズルを含み得る。
【0013】
プリントヘッドは、第一のガス源とは異なる第二のガス源に気密的に密閉された第二のノズルを含み得る。第二のノズルは、その第二のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第二のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第二のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第二のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0014】
プリントヘッドは、第一及び第二のガス源とは異なる第三のガス源に気密的に密閉された第三のノズルを含み得る。第三のノズルは、その第三のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第三のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第三のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第三のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0015】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズル、第二のガス源に気密的に密閉された複数の第二のノズル、及び/又は、第三のガス源に気密的に密閉された複数の第三のノズルを備え得る。
【0016】
ノズルを上述の幾何学的条件に合致させ得る方法は多数存在する。第一のノズルは、アパーチャから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離まで一定の断面を有し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に、連続的に増大し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に、線形に増大し得る。
【0017】
ノズルは多様な物質製であり得る。シリコンが特に好ましい。金属及びセラミックも好ましい。
【0018】
第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルのアパーチャの最小寸法に対する好ましい範囲として、100から500マイクロメートル、20から100マイクロメートル、0.5から20マイクロメートルが挙げられる。
【0019】
第一のノズルの流れ方向に垂直な第一のノズルの断面に対する好ましい形状として、円形及び矩形が挙げられる。
【0020】
第一のデバイスは、異なる有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能である。第一のデバイスは、第一及び第二のガス源と、プリントヘッドと第一及び第二のガス源との間に配置された熱障壁とを含むことが好ましい。好ましくは、独立的に制御可能な熱源が、プリントヘッド、第一のガス源及び第二のガス源の各々に提供される。
【0021】
第一のデバイスは、各ガス流において複数の有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能であり、異なる複数の有機物質は、独立温度制御を有する異なる複数のチャンバ内で昇華され得る。好ましくは、第一のガス源は、第一の昇華チャンバ及び第二の昇華チャンバを含む。第一のガス源は、プリントヘッドと第一のガス源との間に配置された熱障壁によって、プリントヘッドから離隔され得る。独立的に制御可能な熱源が、プリントヘッド、第一の昇華チャンバ及び第二の昇華チャンバの各々に提供され得る。
【0022】
第一のデバイスは、第一のノズル並びに他のノズルからガスジェットを放出するのに使用可能である。
【0023】
第一のデバイスはノズルからガスジェットを放出するのに使用されるものではあるが、独立的に制御可能な異なる複数の温度を、プリントヘッドと、第一、第二及び/又は第三のガス源において維持し得る。一実施形態では、第一のガス源によって提供されるガスは、第一の昇華温度を有する第一の有機物質を含み、第二のガス源によって提供されるガスは、第一の有機物質の昇華温度とは少なくとも10℃異なる第二の昇華温度を有する第二の有機物質を含む。
【0024】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷に有用なマイクロ流体プリントヘッドに関する。
【0025】
一実施形態では、第一のデバイスが提供される。第一のデバイスは、プリントヘッドと、プリントヘッドに気密的に密閉された第一のガス源とを含む。更に、プリントヘッドは、複数のアパーチャを備えた第一の層を含み、各アパーチャは、0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有する。第二の層が第一の層に結合される。第二の層は、第一のガス源及び少なくとも一つのアパーチャと流体連結した第一のビアを含む。第二の層は、絶縁体製である。
【0026】
第一のデバイスの第一の層は、第二の層の第一のビアと第一の層のアパーチャとの間の第一の層内部における流体連結を提供するチャネルを含み得る。更に又は代わりに、第一のデバイスの第二の層は、第二の層の第一のビアと第一の層のアパーチャとの間の第二の層内部における流体連結を提供するチャネルを含み得る。更に、第一の層及び/又は第二の層は、熱源を含み得る。
【0027】
第一のデバイスは、第一の層と第二の層との間に配置され且つ第一の層及び第二の層に結合された第三の層を含み得る。第三の層は、第二の層の第一のビアと第一の層のアパーチャとの間の流体連結を提供するチャネルを含み得る。更に、第三の層は熱源を含み得る。
【0028】
複数のアパーチャが第一のガス源と流体連結し得る。
【0029】
第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第二のガス源を更に含み得る。第二の層の第一のビアは、第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結し得る。更に、第二の層は、第二のガス源と、第一の層の第二のグループのアパーチャと流体連結した第二のビアを含み得る。更に、第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第三のガス源を含み得る。更に、第二の層は、第三のガス源と、第一の層の第三のグループのアパーチャと流体連結した第三のビアを含み得る。
【0030】
ガス源(第一のガス源や他のガス源等)は、複数の有機源を含み得る。異なる複数のガス源に接続された複数のビアは、同一のアパーチャと流体連結し得て、結果として、アパーチャにおいてガスの混合物が得られる。例えば、第一のビアが第一の有機源と流体連結し得る一方で、第二のビアは第二の有機源と流体連結する。第一及び第二のビアは両方とも、第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結し得る。プリントヘッド、第一の有機源及び第二の有機源の各々は、独立的に制御可能な熱源を有する。
【0031】
更に、第一のデバイスは、第一の有機源に対するガス流を制御するための第一のバルブと、第二の有機源に対するガス流を制御するための第二のバルブとを含み得る。第一及び第二のバルブは、熱源から断熱され得る。
【0032】
第一の層はシリコン製であることが好ましい。
【0033】
第一の層は、融着、冷間圧接、陽極接合、及び共晶接合から成る群から選択された結合を用いて、第二の層に結合されることが好ましい。追加的な層(第三の層や他の層等)がプリントヘッド内に存在している場合、追加的な層は、これらのタイプの結合を用いて結合されることが好ましい。一実施形態では、第一の及び第二の層が、陽極接合を用いて互いに結合されることが好ましい。他の実施形態では、第三の層が第一の層と第二の層との間に配置され、第一及び第三の層は共晶接合又は融着で結合されて、第三及び第二の層が陽極接合で結合されることが好ましい。
【0034】
更に、プリントヘッドは、そのスイッチの状態に応じて、第一のビアと少なくとも一つのアパーチャとの間の流体連結を遮断又は許容する微小電気機械スイッチを含み得る。
【0035】
少なくとも一つのアパーチャはプリントヘッドからの突出部内に形成され得る。
【0036】
プリントヘッドの厚さは50から500マイクロメートルの間であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面を示す。
【図2】ガス流に垂直な方向に取った四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面を示す。
【図3】OVJPプリントヘッド及び取り付け部の斜視図を示す。
【図4】プリントヘッドの拡大図を示す。
【図5】プリントヘッドの一部の写真を示す。
【図6】チャネル及びビアを含むマスクのプルーフを示す。
【図7】実際に製造された矩形ノズルの断面、及びSi内にエッチングされたノズルインレットの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図8】完成品のプリントヘッドのノズル側の写真、並びに、ノズルアレイ802の一部の走査型電子顕微鏡写真(SEM)及びノズルアパーチャのSEMを示す。
【図9】モデル化堆積プロファイルを示す。
【図10】モデル化圧力及び温度プロファイルを示す。
【図11】ノズルアレイの回路分析において用いたモデルを示す。流体抵抗を見積もり、アレイの全てのノズルに対する蒸気の均等分布を検証した。
【図12】幅20mmのノズルの近傍におけるモデル化熱伝達プロファイルを示す。
【図13】外縁に対する相対的なウェーハの中心の高さのプロットを温度の関数として示し、また、データを得るために用いた設定の概略を示す。
【図14】ITOターゲットに対するPhilTech RZ‐25変位センサの較正についての変位対電圧のプロットを示す。
【図15】微細加工用にシリコンウェーハ及びボロシリケートウェーハを準備するプロセスフローを示す。
【図16】プリントヘッドを製造するのに用いたSi及びボロシリケートの処理のステップを示す。
【図17】OVJPフィードスルーの拡大図を示す。
【図18】位置合わせ光学系及び高さセンサの備わったOVJPシステムの構成を示す。
【図19】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQ(アルミニウムトリス(キノリン‐8‐オレート))ラインの光学顕微鏡写真を示す。
【図20】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQラインのSEM像を示す。
【図21】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQラインの原子間力顕微鏡写真を示す。
【図22】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚い物質ラインの光学顕微鏡写真及びプロフィロメータ像を示す。
【図23】OVJPプリントヘッドを用いて描かれたAlQラインからのライン走査データを示す。
【図24】OVJPプリントヘッドを用いて描かれたラインの共焦点落射型蛍光顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
高解像度ディスプレイの画素は、略30μmの幅にパターン化された赤、緑、及び青のストライプで構成され得る。異なる色のストライプの縁は、10μmだけ離隔され得る。有機画素に対しては、オーバースプレーによる物質の意図しない重畳を避けるために、パターンが略5μmのシャープネス(鋭さ)を有することが好ましい。これらの寸法は、有機トランジスタや他のデバイス等の他の有機デバイスに対しても有用であり得る。
【0039】
高解像度ディスプレイ又は有機物質を使用する他のデバイス用の有機物質を堆積させる方法の一つは、有機蒸気ジェット堆積(OVJP,organic vapor jet deposition)である。実行可能なディスプレイ製造技術となるためには、有機蒸気ジェット印刷が5μmのシャープネスで有機膜をパターン化できることが好ましい。また、OVJPプロセスが複数のラインを同時に堆積させることもできることも好ましい。複数のノズルが、複数のラインの同時堆積を達成する方法の一つである。
【0040】
ダイレクトシミュレーションモンテカルロ(DSMC,Direct Simulation Monte Carlo)法を用いた30μmスケールフィーチャに対する有機蒸気ジェット印刷プロセスのモデル化によって、ノズルアパーチャの幅が20μmであるとして、ノズルアパーチャと基板との間隔が<5μmであることが、所望のフィーチャのシャープネスを達成するために必要であることが明らかになった。この見積もりは、以前のOVJPの研究において観測された経験則によってサポートされていて、印刷解像度は、ノズルと基板との間隔とスケーリングする。
【0041】
しかしながら、以前の方法は、基板の5μm以内で動作するように設計された20μmのノズルのアレイを形成するのにうまく適応しないものであり得る。第一に、光学的にフラットな基板と一致する高さ公差を有するノズルプレートは、可能な最良の高さ公差を提供するために、妥当な数の同時に堆積させたラインにわたってこれらの寸法で動作することが望まれる。以前の方法は、このようなノズルプレートを提供するのにうまく適応しないものであり得る。複数のノズルのアレイに対して、平坦さは、比較的大きな領域にわたって維持されることが好ましい。第二に、OVJP中にノズルプレートを熱く保つことが望まれるので、最大300℃までその強度を維持する物質が望まれる。更に、熱膨張が、厳しい公差を維持することに干渉し得るので、熱膨張に耐える又は熱膨張の結果としての変形を生じさせない物質が望まれる。最後に、ノズル‐基板システムの気体力学は、三次元構造が望ましい点を指摘している。
【0042】
シリコンマイクロマシニング、又はより一般的に半導体マイクロマシニングは、これらの厳しい仕様に合致する方法を提供する。製造プロセスは、高度に研磨されたウェーハに対して実施可能であり、高さの変動を排除する。Si/SiO2システムは、有機蒸気堆積用の適用温度範囲にわたって安定である。また、シリコンは、大抵の金属よりもはるかに低い熱膨張率を有する。テーパ化ノズルは、異方性エッチング剤を用いて製造可能であり、多層構造は、シリコンオンインシュレータウェーハ及びウェーハボンディング法を用いて製造可能である。このような方法は、マイクロ流体工学の分野において開発されてきたものである。マイクロ流体工学は、液体及び蒸気の輸送システムに対する微細加工法の応用であり、インクジェット印刷の分野において用いられてきた。また、同様の方法は、金属及びセラミックにも適用可能である。
【0043】
微細加工デバイスと外界との界面は追加的な問題を示す。OVJPの場合、300℃以上の温度で動作させたいとの要望が、他の多くの分野において存在しない更に多くの問題を課す。OVJPシステムは、使用者が使い易い蒸気発生システムを有し得て、これは、有機物質が丈夫で巨視的な構造内に貯蔵されることを意味する。そして、これは、有機蒸気が比較的大きなボアの金属チューブを用いてプリントヘッドに輸送され得ることを意味する。本願で説明されるように、適切に選択された中間物質を用いて、焼成可能ガス気密性シールが、金属マニホールドとシリコンノズルプレートとの間に提供可能であることが実証されている。
【0044】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷用に有用なノズルの幾何学的形状に関する。
【0045】
一実施形態では、第一のデバイスが提供される。本デバイスはプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された第一のノズルを含む。第一のノズルは、その第一のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第一のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0046】
図1は、上述の寸法を示し、その基準に合致するいくつかの幾何学的形状も示す。本願全体にわたって図面は必ずしも縮尺通りに描かれたものではない。図1は、四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面図を示し、その断面図は、ノズルのガス流に平行な方向に取られたものであり、また、ノズルアパーチャにおける最小寸法を示す方向に取られたものである。各幾何学的形状において、アパーチャは、ノズルの流れ方向に垂直な方向に最小寸法101を有する。“アパーチャ”は、最小寸法が最小値に達する点、つまりノズルを通るガス流が最も圧縮される点によって定義される。また、各ノズルは、アパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャからノズル内への距離102を有する。また、各ノズルは、アパーチャから第一のノズル内への距離102において流れ方向に垂直な最小寸法である寸法103を有する。図示されるように、寸法103は、寸法101の少なくとも二倍である。ノズル110は、アパーチャにおいて点に達する傾斜側面を有する。ノズル120は、ノズルの大部分に対して傾斜側面を有するが、その側面は、アパーチャにおける短い距離に対して垂直である。この場合、最小寸法が最小値に達するノズルの流れ方向において有限の距離が存在し、“アパーチャ”は、基板に最も近い点(最小寸法が最小値となる)である。ノズル120は、ノズル110よりも良い機械強度を有し得て、一致したアパーチャサイズで容易に製造可能である。ノズル130は、点に達する傾斜側面を有するが、ノズル130の底に達する前に僅かに広がる。ノズル130は、アパーチャが必ずしも基板に最も近いノズルの点にはない様子を示す。ノズル140は、垂直側面を有し、ガス流がノズルを出て行く直前に急激に細くなる。また、他のノズルの幾何学的形状も、上述の基準に合致し得る。
【0047】
図2は、ガス流に垂直な方向においてアパーチャで取られた四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面図を示す。図2において断面の取られたノズルは、図1のものに必ずしも対応してはいない。各アパーチャにおける矢印は、アパーチャの“最小寸法”を表す。数学的には、最小寸法において、矢印の長さは、その矢印に垂直な方向における矢印全体の並進移動に対して極大にあるか(円、楕円及び三角形に対して)、又は一定であり(矩形に対して)、その場合、“最小”寸法は、最小の極大値であるか、又は一定である。図2は、それぞれ円、楕円、矩形、三角形の断面を有するアパーチャ210、220、230、240の断面を示す。矩形のアパーチャは、ラインを堆積させるのに最も適した形状であり、また、シリコンにエッチングされたノズルにおいて比較的得易い形状である。しかしながら、他の形状も使用可能である。
【0048】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズルを含み得る。
【0049】
プリントヘッドは、第一のガス源とは異なる第二のガス源に気密的に密閉された第二のノズルを含み得る。第二のノズルは、その第二のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第二のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第二のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第二のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0050】
プリントヘッドは、第一及び第二のガス源とは異なる第三のガス源に気密的に密閉された第三のノズルを含み得る。第三のノズルは、その第三のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第三のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第三のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第三のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0051】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズル、第二のガス源に気密的に密閉された複数の第二のノズル、及び/又は第三のガス源に気密的に密閉された複数の第三のノズルを備え得る。
【0052】
ノズルが上述の幾何学的形状の条件に合致する方法は多数存在する。第一のノズルは、アパーチャから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離まで一定の断面を有し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に連続的に増大し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に線形に増大し得る。
【0053】
ノズルは、多様な物質から形成可能であるが、シリコンが好ましい。
【0054】
第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルのアパーチャの最小寸法に対して好ましい範囲として、100から500マイクロメートル、20から100マイクロメートル、0.5から20マイクロメートルが挙げられる。
【0055】
第一のノズルの流れ方向に垂直な第一のノズルの断面に対する好ましい形状として、円形及び矩形が挙げられる。
【0056】
第一のデバイスは、異なる有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能である。第一のデバイスは、好ましくは、第一及び第二のガス源と、プリントヘッドと第一及び第二のガス源との間に配置された熱障壁とを含む。好ましくは、独立的に制御可能な熱源が、プリントヘッド、第一のガス源、第二のガス源の各々に対して提供される。
【0057】
第一のデバイスは、各ガス流において複数の有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能であり、異なる有機物質は、独立温度制御を有する異なる複数のチャンバ内で昇華され得る。好ましくは、第一のガス源は、第一の昇華チャンバ及び第二の昇華チャンバを含む。第一のガス源は、プリントヘッドと第一のガス源との間に配置された熱障壁によって、プリントヘッドから離隔され得る。独立的に制御可能な熱源を、プリントヘッド、第一の昇華チャンバ、第二の昇華チャンバの各々に対して提供し得る。多様な熱源が使用可能である。例えば、プリントヘッドの表面上の抵抗プレートが使用可能であり、又は、熱源が、例えば、プリントヘッドの一以上の層内に埋め込まれた抵抗素子として、プリントヘッドの層内に組み込まれ得る。
【0058】
第一のデバイスを用いて、第一のノズル並びに他のノズルからガスジェットを放出することができる。
【0059】
第一のデバイスは、ノズルからガスジェットを放出するのに使用されるが、プリントヘッドと、第一、第二及び/又は第三のガス源とにおいて、独立的に制御可能な温度を維持し得る。一実施形態では、第一のガス源によって提供されるガスは、第一の昇華温度を有する第一の有機物質を含み、第二のガス源によって提供されるガスは、第一の有機物質の昇華温度とは少なくとも10℃異なる第二の昇華温度を有する第二の有機物質を含む。昇華温度の差は、本発明の実施形態が他の設計にはるかに容易に適応可能であるという特徴であるが、本発明の実施形態の他の側面を利用する必要はない。例えば、別々の源によって、物質の混合を連続的に変化させ得るが、昇華温度は同様のもの又は異なるものである。
【0060】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷に有用なマイクロ流体プリントヘッドに関する。
【0061】
第一のデバイスは、第一の有機源に対するガス流を制御するための第一のバルブと、第二の有機源に対するガス流を制御するための第二のバルブとを更に含み得る。第一及び第二のバルブは、熱源から断熱され得る。
【0062】
第一の層はシリコンから形成されることが好ましい。
【0063】
好ましくは、第一の層は、融着(融合接合)、冷間圧接、陽極接合、及び共晶接合から成る群から選択された結合を用いて、第二の層に結合される。追加的な層(第三の層や他の層等)がプリントヘッドに存在する場合、その層は、これらのタイプの結合を用いて結合されることが好ましい。一実施形態では、第一の層及び第二の層が、陽極接合を用いて互いに結合されることが好ましい。他の実施形態では、好ましくは、第三の層が、第一の層と第二の層との間に配置されて、第一の層及び第三の層が、共晶接合又は融着で結合されて、第三の層及び第二の層が、好ましくは陽極接合で結合される。
【0064】
プリントヘッドは、微小電気機械スイッチを更に含み得て、その微小電気機械スイッチは、そのスイッチの状態に応じて、第一のビアと少なくとも一つのアパーチャとの間の流体連結を遮断又は許容するように構成される。
【0065】
少なくとも一つのアパーチャは、プリントヘッドからの突出部内に形成され得る。
【0066】
プリントヘッドの厚さは、好ましくは50から500マイクロメートルの間である。プリントヘッドの厚さは、そこを通るノズルを含む第一の層からビアを含む第二の層までの全ての層を含む。
【0067】
一実施形態では、有機蒸気ジェット堆積システム300が提供される。図3は、プリントヘッド310及び取り付け部を含むOVJPシステム300の斜視図を示す。システム300を実際に製造し作動させた。システム300は、フローチャネル及びノズルアレイを含むプリントヘッド310を含み、図4から図6により詳細に示されている。六つの有機蒸気源320(“ガス源”とも称される)がマニホールド330に溶接されて、そのマニホールド330は、プリントヘッドに気密的に密閉される。蒸気源用の構造の一つが図17に詳細に示されている。マニホールド330は、プリントヘッドの動作温度においてその形状を維持する物質(コバール(Kovar)制御膨張鋼等)から製造されることが好ましい。プリントヘッド310は、マニホールド330にクランピングされて、且つ高温ペルフルオロエラストマガスケットを用いて密封されて、有機蒸気源320とプリントヘッド310との間の気密シールを達成する。気密シールを達成する他の方法も使用可能であり、コバールバックプレートに対するプリントヘッドの陽極接合等が挙げられる。有機物質は、コバールマニホールドにレーザ溶接された加熱チューブ内に収容されるが、その様子は図17により良く見て取れる。有機蒸気源320は、有機源セルを取り囲む加熱チューブで構成される。このアセンブリは、8インチのコンフラット(Conflat)フランジ(マニホールド330)に取り付けられ、そのコンフラットフランジは、構造部材及びガスフィードスルーの両方の役割を果たす。蒸気発生器は、溶接ステンレス鋼ベローズ340を介してマニホールド上のポートに接続される。ベローズ340は膨張ジョイントとして機能する。有機蒸気源320は、加熱時に膨張し得るので、プリントヘッド310に伝わりプリントヘッド310を変形させ得る熱応力を避けるために、マニホールド330と蒸気発生器320との間のフレキシブル結合が望ましい。
【0068】
蒸気発生器320、ベローズ340、マニホールド330及び関係するフィッティングは、マニホールド330の頂部からプリントヘッド310まで延伸する内径0.3インチの中空の導管を形成する。有機物質は、ガラスロッドの端部においてベントされたカプセル内に配置されて、導管内に挿入される。ロッドが挿入されると、ロッドが含む有機物質は、加熱蒸気発生器の内側に配置される。その後、導管の頂部が、Swagelok Ultratorrフィッティングを用いて、ガラスロッドの外径に対して密封される。ガラスロッドの内径を介して通されたサーモカップルは、蒸気発生器の内側の温度計測部を提供する。キャリアガスは、フィードスルーとUltratorrフィッティングとの間の貫通T字型アダプタ介して導管内に供給される。これらの特徴は、図17により明確に見て取れる。
【0069】
図4は、プリントヘッドの拡大図を示す。プリントヘッドの第一の層410は、複数のアパーチャを含み、それら複数のアパーチャは、図1及び図2に関して説明した寸法を有す得ることが好ましい。第一の層410は好ましくはシリコン製であり、例えば、半導体処理において開発されている既知の技術で所望のノズルの幾何学的形状を含むように容易にパターン化可能である。第一の層410は、その内にアパーチャを有するようにパターン化された複数のノズル415を含む。第一の層410は第二の層420に結合される。好ましい結合方法として、融着、陽極接合、冷間圧接、共晶接合が挙げられる。第二の層420は好ましくは絶縁体製であり、ガス源からの熱伝導を制限し、第一の層410の温度を、ガス源の温度とは独立して制御できるようにする。第二の層420は第一の層410に結合される。第二の層420は、ノズル415と流体連結したビア422を含む。図示されるように、第二の層420内にエッチングされたチャネル424は、ビア422とノズル415との間の流体連結を提供する。オームコンタクト440が、第一の層の前面上に蒸着されて、ノズルプレートが加熱電流によってアドレス可能になるようにする。
【0070】
実際に製造されて堆積システムの一部として用いられたプリントヘッドにおいて、第一の層410はシリコンウェーハであり、第二の層420はボロシリケートウェーハであり、二つの層は陽極接合で結合された。図5は、実際に製造された第一の層510及び第二の層520の写真を示す。
【0071】
第一の層410は、第二の層420内のチャネルの代わりに又はこれに加えて、ビア422とノズル415との間において第一の層内部の流体連結を提供するチャネルを含み得る。第一の層410は、加熱コンタクト440等の熱源を更に含み得る。
【0072】
第三の層(図示せず)が、第一の層410と第二の層420との間に配置され得て、第一の層410及び第二の層420に結合され得る。好ましい結合方法は、上述の通りである。この場合、第一の層410は、第二の層420に“結合されている”とされる。第三の層は、層410及び/又は420のチャネルの代わりに又はこれに加えて、ビア422とノズル415との間の流体連結を提供するチャネルを含み得る。第三の層は熱源を更に含み得る。
【0073】
図4に示されるように、複数のノズル415は、第一のガス源等の単一のガス源と流体連結し得る。これを達成する方法の一つは、チャネルがビアを複数のノズルに接続するようにすることである。
【0074】
図6は、チャネル610及びビア620を含むマスク600のプルーフを示す。図6の構造は、例えば、ボロシリケートウェーハに適用可能であり、図4の第二の層420として使用される。応力を低下させるために、鋭角は避ける。チャネル610は、放射状に配向されて、緩やかな曲率が与えられて、応力集中を更に低下させる。チャネル610は、三つの流体回路を形成する。回路612は、共通のホスト内の二つの異なるドーパントが、別々のノズルアレイ内に供給されるようにする。回路614は、ホスト及びドーパント物質が、ノズルアレイから放出される前に混合するようにする。回路616は、単一の源からノズルアレイに物質を供給する。
【0075】
図4から分かるように、複数のガス源が、プリントヘッドに気密的に密閉され得る。図6から分かるように、チャネルを用いて、多様な方法で複数の源からガスをルーティングすることができる。例えば、プリントヘッドに気密的に密閉された第一及び第二の、又は第一、第二及び第三のガス源の各々が、各自の別々のノズルアレイと流体連結し得る。このようになるのは、例えば、図6の構造が、回路616と同様の三つの回路を含むように調節された場合である。この場合、第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第二のガス源を更に含み得る。第二の層の第一のビアは、第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結し得る。第二の層は、第二のガス源及び第一の層の第二のグループのアパーチャと流体連結した第二のビアを更に含み得る。第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第三のガス源を更に含み得る。第二の層は、第三のガス源及び第一の層の第三のグループのアパーチャと流体連結した第三のビアを更に含み得る。
【0076】
異なる複数のガス源に接続された複数のビアは、同一のアパーチャと流体連結し得て、アパーチャにおいてガスの混合が得られる。回路612、614及び616によって示されるように、異なる複数の源からの一、二、三又はそれ以上のガスがこのようにして混合され得る。例えば、第一のビアが、第一の有機源と流体連結され得る一方で、第二のビアが、第二の有機源と流体連結される。第一及び第二のビアは両方とも第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結され得る。プリントヘッド、第一の有機源及び第二の有機源の各々は、独立的に制御可能な熱源を有し得る。
【0077】
プリントヘッドの回路内において異なる複数の源からのガスを混合することに加えて、ガス源(第一のガス源や他のガス源等)は、同一の蒸発チャンバ又は異なる複数の蒸発チャンバからの複数の有機物質を含み得る。しかしながら、プリントヘッドにおける混合は、有機物質が昇華する各チャンバ内における温度及びガス流等のパラメータを別々に制御することに関する最大の柔軟性を可能にする。これは、例えば、二の有機物質が顕著に異なる昇華温度を有する場合に非常に望まれるものになり得る。昇華速度はより簡単に制御可能である。更に、昇華温度が劇的に異なる場合、一の物質を昇華させるのに望ましい温度は異なる物質に対しては弊害をもたらし得る。
【0078】
図7は、実際に製造された矩形ノズル740の断面700を示す。ノズル740は、シリコン製の第一の層710内に形成された。第一の層を形成するのに用いたシリコンウェーハは、突出部を可能にするために最初は50マイクロメートルよりも厚いものであったが、最終的な厚さは50マイクロメートルであった。ノズル740は、第一の層710からの突出部720内に位置するアパーチャ730を有する。アパーチャ730は20マイクロメートルの最小寸法を有する。突出部720は第一の層710から50マイクロメートル突出している。ノズル740は基板に近接して使用されることが意図されており、ノズル‐基板の離隔距離は略5マイクロメートルである。突出部720は、ノズルから放出されたガスが、第一の層710の縁までずっと5マイクロメートルの厚さの空間を通って伝わる必要無く逃げることができるようにする。ノズル壁と第一の層710の平面との間の角度は54.74度であり、KOHによるSiの<100>平面の選択的エッチングを含む既知のシリコンエッチング技術を用いて容易に達成される。図7は、走査型電子顕微鏡で視たSi内にエッチングされたノズルインレットを示す像750も示す。
【0079】
図8は、完成品のプリントヘッドのノズル側の写真800である。ノズルアレイ802は、写真中央の高アスペクト比の矩形のアレイである。バンパ804は暗い四角形として見える。より大きなバンパがノズルアレイから離れて配置される一方で、より小さなバンパがノズルアレイ802の近くに配置されて散在している。バンパ804は、堆積中に基板‐ノズルの所望の間隔を維持するのに役立つ。バンパ804は、研究室レベルでは有用であるが、商業的な実施においては存在しても存在しなくてもよい。変位センサ窓806も示されている。変位センサ窓806は、ノズルの使用時に基板を見る方法を提供し、また、例えば、基板/ノズルの間隔を測定する方法や、位置合わせマーク又は基板上の他のフィーチャに基づいてノズルを位置決めする方法を提供する。図8は、ノズルアレイ802の一部の走査型顕微鏡写真(SEM,scanning electron micrograph)も示す。図8は、ノズルアレイ802のノズルアパーチャのSEMも示す。
【0080】
図5から図8に示される構造を実際に製造した。プリントヘッドは二つの結合ウェーハ(第一及び第二の層)で構成される。最底のウェーハはノズルプレートであり、厚さ100μmのシリコンであり、図7及び図8に示されている。計128個のノズルがプレート内にエッチングされる。ノズルは、20μm×200μmの寸法の底部アパーチャを有し、長軸は、細いラインを形成するように基板の進行方向に対応する。アパーチャの最小寸法は20μmである。ノズルは、四つのバンク内に32個ずつ配置されて、一部のバンクは、互いにオフセットされて、複数の隣り合ったストライプの印刷を可能にする。各バンクは、異なる有機蒸気処方を同時に堆積させることができる。異方性エッチングは、アウトレットよりもはるかに幅広のノズルインレットを形成する。プリントヘッドの下側(基板に面する側)はエッチングバックされて、ノズル先端及び他のフィーチャがウェーハ表面を超えて隆起されるようにする。隆起したノズル先端は、ノズルが基板の近くにされる一方で、キャリアガスがプリントヘッドと基板との間のギャップにおいて容易に逃げることができるようにする。ノズル周辺の隆起バンパは、ノズル先端を、基板にぶつかることから保護する。ノズルプレートは、光学窓に移植されて、基板に対する相対的な位置を測定する光学変位センサの組み込みを可能にする。
【0081】
図5及び図6に示されるチャネル及び絶縁体層(第二の層)は、厚さ500μmのボロシリケートガラス製である。ノズルは、ノズルプレートに面するガラスウェーハの側面内にエッチングされた深さ100〜200μmの流体チャネルによって供給される。チャネルは、ウェーハの厚さ全体にわたって延伸するビアを介して供給される。チャネル層及び絶縁体層が結合される際、三つの流体的に独立した流体回路の組が形成される。蒸気は、六つのビアのいずれかを介して供給可能であり、回路レイアウトに従ってノズルから出て行く。
【0082】
図5から図8に示されるプリントヘッドが、図3に示されるような有機蒸気ジェット印刷システム300内に組み込まれた。図3に関して述べたように、プリントヘッドはコバールマニホールド上に存在する。プリントヘッドは、カスタムカットのゴムガスケットでマニホールドに対して密閉されて、ステンレス鋼及びインコネル(Inconel)クランプで適切な位置に保持される。カルレッツ(Kalrez)等の高温ゴムがガスケット用に使用可能である。コバールバックプレーンにプリントヘッドを陽極接合する等の他のパッケージング方法も使用可能である。金属バックプレーンは、プリントヘッドに対してよりロバストな密閉表面を提供すると考えられる。
【0083】
基板ギャップに対するノズル及びプリントヘッドの影響は数学的にモデル化可能である。プリントヘッドを介して基板ギャップに向かうキャリアガスの流れは、非圧縮性の粘性流に対する潤滑近似を用いてモデル化可能である。流れの非半径方向の成分は全て無視される。流れを定める特徴長さは、プリントヘッドから基板までのギャップhである。この長さに対する圧力変動は無視できて、半径方向の寸法に対するガス膨張は、理想気体の法則を用いて近似可能である。蒸気流の平均速度は、式II.A.1によって与えられる。μは粘度、Pは圧力、Tは温度、Rは理想気体定数、rは半径、Jはモル流量である。
【数1】
これは、微分方程式の式II.A.2として表現可能であり、解くことができる。添え字i及びoは、入力条件及び出力条件を示す。
【数2】
外側半径が50mm、内側半径が10mm、キャリアガス速度が2.5×10−5kg/m×s、モル流量が2sccmに等しく、プリントヘッドの外縁における圧力が無視できるとすると、ディスクの内側に対する圧力は略3500Paである。
【0084】
直感的に、最大の圧力降下は、ノズルの下方先端と基板との間のギャップ中において生じる。このギャップの下流端が3500Paにあるとすると、内部のガス分子は、3.5μmの平均自由行程を有する。壁に対する粒子の衝突は、この方式に従う傾向にあり、クヌーセン流として取り扱うことができる。非特許文献1の遷移確率法を用いて、二つの領域間の分子流の流量が、式II.A.3によって与えられる。ここで、Jは分子流の流量であり、Tは温度であり、Pは圧力であり、mはキャリアガスの分子量であり、Aはチューブの面積であり、wは遷移確率である。非特許文献2では、長さ対高さの比が4:1である幅広の矩形導管に対してw=0.533と計算されている。
【数3】
【0085】
ダイレクトシミュレーションモンテカルロ法による可能なノズル設計の調査は、内側及び外側のテーパを備えたノズル設計が、高解像度堆積用に最適な流れパターンを生じさせることを示唆している。流体抵抗は、0.0021sccm/Paのコンダクタンスを予測し、上記解析モデルと良く一致する。20μm×200μmの断面の矩形のノズル先端が推奨される。推奨されるノズルから基板までの間隔は3から5μmである。32個以上のこのようなノズルがアレイ内に配置可能である。大型ノズルアレイは、蒸気発生器と基板との間の圧力差を低減するので、有用である。結果としての堆積プロファイルは、18μmの半値全幅を有すると予想される。堆積は、40μm以内においてその中心線の値の10%にまで低下すると予想され、隣接画素に顕著に入り込むことなく、30μmで縁取られた30μmの画素内に正確に堆積させることができる。予測堆積プロファイルが、20μmの幅のアパーチャ及び5μmの先端から基板までのギャップの二重テーパ化ノズルに対して、実線として図9に示されている。高さは任意単位である。画素幅にわたってプロファイル平均に等しい高さの理想的な画素充填堆積プロファイルが破線で示されている。
【0086】
図10は、20μmの幅のアパーチャ及び5μmの先端から基板までのギャップの二重テーパ化ノズルに対して、モデル化圧力プロファイル1010及びモデル化温度プロファイル1020を示す。ノズル本体によって生じる障壁は、断面図における暗い領域である。これらプロファイルは対称的であり、ノズルの半分のみを示せば関連する情報が捉えられる。
【0087】
満足の行く堆積プロファイルは、ノズルの内側テーパに適合するようなノズルの外側テーパが無くても、達成可能であるが、これはあまり好ましくない。何故ならば、シミュレーションのノズル構造の伝導性が五倍低下するからである。その影響は、ノズルからプリントヘッドの縁までのガスの出口経路の減少を考慮すると、より強調される。所望の流量を生じさせるのに必要な圧力は、蒸気流中の有機物を希釈化して、プリントヘッドと基板との間の熱伝達を増強する。これは、理想的ではない動作方法である。しかしながら、下側テーパを有さないプリントヘッドも、有効的な堆積ツールであることが実証されていて、テーパ化された下側を有するプリントヘッドよりも製造が簡単であるので、使用可能である。
【0088】
内側テーパが省かれると、酷くではないが、動作圧力が増大する。しかしながら、興味深いことに、堆積プロファイルは、図9に示される二重ピーク構造を取る。最適化されたメサ状の堆積プロファイルを生じさせるように内側テーパを最適化することができる。プラズマエッチングを用いて、多様な幾何学的形状を形成することができる。
【0089】
蒸気発生器及びチャネルアレイを通る流れも、数学的にモデル化可能である。短い断面寸法h及び大きな断面寸法wを有する矩形の導管に対する体積流量を、非圧縮性ナビエストークス方程式から導出された式II.B.1を用いて計算する。そして、理想気体の法則を用いてモル流量に変換する。μは粘度であり、xはチャネルの軸方向寸法であり、下流方向において正である。P及びTはチャネル内の圧力、温度である。Rは理想気体定数である。
【数4】
ノズルアレイは、それをセグメントに分解して、キルヒホッフの電流法則と同様の推論を適用することによって、分析可能である。ノズルを介する圧縮性層流は一般的に、Qmol〜P2とスケーリングする。しかしながら、非常に短い長さスケールに起因して、ノズル自体を介しては、Pと線形にスケーリングする。ダイレクトシミュレーションモンテカルロコードを用いて、I.B.2で排除された幾何学的形状のノズルに対してC=5.4×10−11mol/(Pa×s)との損失率を見積もった。図11は、ノズルアレイの回路分析において用いたモデルを示す。流体抵抗を見積もって、アレイ内の全てのノズルに対する蒸気の均等分布を検証した。
【数5】
【0090】
32個のセグメント後において、0.2%以下の圧力変化が予想される。ノズルを介する圧力駆動流は、アレイに沿って一定であると予測される。
【0091】
蒸気発生速度は、式II.B.5によって近似可能であり、ここで、Pは、蒸気発生セルの圧力、P*は、セル内の有機物質の平衡蒸気圧であり、qはキャリアガスの流量、セルを出て行く有機物質の量である。γは、発生器から流出する蒸気の飽和度を示す効率パラメータである。これは、よく設計されたシステムでは1(単位元)に近い。OLED物質の蒸気圧は、以前のOVJPの研究から見積もることができる。以前のシステムでは、8Torrで5sccmのキャリアガスを用いて、飽和CBP蒸気をノズルに向けて源セルの外に掃き出した。その設備は、2000Å/sの堆積速度を可能にし、これは、2×1014分子/sの蒸気発生速度、及び800μTorrのCBP蒸気圧を意味する。
【数6】
【0092】
40Torrの動作圧力におけるCBP蒸気発生器を介する4sccmのキャリアガスの流れを仮定すると、略3.3×1013分子/sが得られる。これは、ノズルアパーチャの下における900Å/sの堆積速度を意味する。そして、これによって、0.6mm/sの書き込み速度が予測される。キャリアガスの流量は、これらの見積もられた条件から顕著に低下していて、典型的には、1sccmの流れ及び10Torr以下の圧力である。この変化にもかかわらず、略1mm/sの互角な書き込みスピードが観測された。
【0093】
蒸気発生器中の有機ボートのモデル化では、有機物がベントされたカプセル内に貯蔵されていて、ベント上を移動するキャリアガスによって対流させられると仮定する。この場合、有機蒸気及びキャリアガス混合物は、95%の飽和条件で蒸気発生器を出て行く。キャリアガスの別々の希釈流は、有機物質を下流に進めるのに必要ではないと予想される。更に、有機蒸気は、モル分率に関して既に十分に希釈されている(〜0.004%)。更なる希釈は、単に圧力降下を増大させるだけで性能を改善しない可能性がある。
【0094】
有機蒸気源セルを介する流れが停滞すると、有機物質は、上流に移動して源セルを取り囲むチューブのより冷たい領域に向かうことによって、逆流し得る。有機蒸気源セルが4sccm、40Torr、300℃に維持されるとすると、5cmの加熱領域が、COMSOLでのモデル化に従って、有機物質の逆流を防止するのには十分である。動作条件は、これら初期予測条件とは顕著に異なり得るが、有機物質の顕著な逆流は観測されなかった。
【0095】
また、有機蒸気ジェット堆積システム全体にわたる温度をモデル化するために、熱分析も実施し得る。
【0096】
プリントヘッドの温度をモデル化し得る。大面積のコンタクトを用いて、プリントヘッドに対する直接的なオーム加熱電流を印加することによって、均一な加熱が達成可能である。必要であれば、プリントヘッドの伝導率を、その下に適用されたTi又はNiの追加の薄層によって、補うことができる。Siは優れた熱伝導体であり、ボロシリケート層は、金属バックプレーンに対する熱伝達を低減するのに役立つ。実験によって、実際に形成された幾何学的形状に対して、プリントヘッドが、冷却基板に近接する際に300℃の動作温度に達するまで加熱するのに略40から60Wを要することがわかった。多数の点におけるプリントヘッド温度の直接測定は未だ実現可能ではないが、空気中での低電力測定は、温度がプリントヘッドにわたって均一であることを示唆している。プリントヘッドに対する加熱電流は、連続可変な出力での孤立DC電源によって駆動される。オン/オフ制御によって生じる時間領域熱応力、及び非孤立電源からのアーク放電の危険性の両方を排除するためには、このようにすることが望ましいことが分かっている。
【0097】
良い近似に対しては、COMSOLでのモデル化は、温度がチャネルに内在する領域における断面に沿っても均一であると予想されることを示す。
【0098】
基板の温度もモデル化可能である。温度制御基板チャックに対するOLED成長についての本発明者の研究室における以前の非公表の研究では、結果物のデバイスに対する性能の重大な損失無く、フィルムが略360Kで成長可能であることが示されていた。これは、基板表面に対する略最大の望ましい温度仕様であるとみなすことができる。モデル化に基づく、幅20mmのノズルの近傍における基板に対する熱伝達プロファイルが図12に示されている。計算に用いられたノズルは、幅20μmで、先端から基板までのギャップが5μmの二重テーパ化ノズルである。距離はノズルの中心線からのものである。モデルの結果は、解析的な見積もりと良く一致している。
【0099】
図12に見て取れるように、ノズル自体は、40W/cm2の熱流速のホットスポットを生じさせる。これは、15W/cm2の平均熱流速に匹敵する。ホットスポットは比較的小さいので、周囲の基板(ヒートシンクとして機能する)と比較して穏やかな温度上昇しかない。COMSOLでのモデル化は、ホットスポットにおけるわずか略20Kの安定状態温度上昇を予測する。こうした個々のホットスポットは管理が容易であるが、多数のこうしたホットスポットからの全体的な熱負荷は高い。基板表面を360K以下に保つのに十分なガラス基板を介する熱伝達を駆動させるためには、液体窒素冷却が好ましいものとなり得る。このため、OVJPシステムには、基板ホルダを150K以下に冷却することができるLN2供給システムが備わる。この構成によって達成される低い基板温度での有機物質の堆積は、物質移動を低減させて、フィーチャのシャープネスを改善するという更なる利点を有する。
【0100】
蒸気発生器での熱伝達もモデル化可能である。蒸気発生器の熱伝達モデル化は、固体及び流体成分の両方を有する。キャリアガスは、発生器のベースの有機源ボートと接触する前に有機昇華温度に急速加熱されることが好ましい。COMSOLでのモデル化は、短い特徴長さ、及び低減された圧力でのガスの比較的高い熱伝導率の組み合わせに起因して、このことが極端に急速に生じることを示す。環境と源セルの加熱領域との間の壁温度の鋭い遷移を仮定すると、わずか4mmの遷移長さが、ガスを加熱するのに必要である。
【0101】
熱伝達の固体成分の問題は、この遷移がどれ位鋭いものであるのかを定量化することを含む。源セルチューブは、一次元問題としてモデル化可能である。チューブは薄い壁のものであるので、半径方向の温度勾配は最小である。更に、チューブの成分は、最小の熱質量を有するものと仮定され、その仮定は、キャリアガスの短い熱遷移長さによってサポートされる。これらの仮定に対して黒体輻射を考慮した熱方程式は式II.C.1によって与えられる。
【数7】
ここで、kは金属チューブの熱伝導率であり、τはチューブの厚さであり、Tcはチャンバ温度である。
【0102】
30mTorrのチャンババックグラウンド圧力を仮定すると、源セルは、h=5.4W/m2Kの残留チャンバガスでの熱伝達率を有する。黒体放射項を線形化した後に、式II.C.1を式II.C.2に変換することができる。この式の特徴長さは2cmであり、加熱領域と非加熱領域との間における蒸気発生器チューブの温度勾配の長さの概算を与える。従って、加熱チューブの最小長さは、有機蒸気源を通過して流れる前に、ガスを温めることが必要とされる。
【数8】
【0103】
プリントヘッドの機械的変形もモデル化可能である。プリントヘッドの変形の考えられる二つの原因は識別されている。不均一な加熱及び熱膨張の違いによる熱誘起応力は、プリントヘッドを曲げ得る。比較的大きな圧力差が、チャネルのベースを形成するノズルプレートの部分にわたって存在し得る。こうした変形の長さの適切な見積もり及びこれを最小化する設計が、印刷中に平坦なままであるプリントヘッドを得るのに望まれて、また、正確な印刷に望まれる。
【0104】
圧倒的に顕著な変形がプリントヘッドウェーハスタック中の熱応力によって生じると考えられる。熱応力に起因する垂直偏向を、COMSOLのMEMSの熱構造相互作用パッケージを用いてモデル化した。ウェーハスタックを円柱座標系でモデル化した。室温における完璧な平坦性を仮定すると、薄膜ヒータが作動する際に、ウェーハスタックは、プレートの中心が外縁よりも20μm下がるように下方に弓なりになると計算される。Flexus薄膜応力測定装置に対するプリントヘッドプロトタイプの測定は、ウェーハの中央が外縁よりも10μm高くなるような曲げを明らかにした。
【0105】
図13は、温度の関数としての外縁に対する相対的なウェーハの中心の高さのプロット1310と、データを得るために用いた設定の概略1320を示す。単一ウェーハに対するデータは正方形で示され、プリントヘッドスタックに対するデータはダイヤモンドで示されている。概略1320は、ボロシリケート層1324及びSi層1322を示す。10μmのオーダでの変位はノズル間隔に対して顕著なものであるが、ノズルアレイ自体にわたる平坦性は略2μmであると予想される。数が少ないのは、ノズルが基板の中心付近において比較的近くで一緒にあり、ウェーハが変形する際にグループとして動くからである。ノズルアレイが下方に曲がるので、プレートはノズルの位置決めを妨害せず、ノズルを任意の近さに持っていくことができる。ノズル自体は、基板の曲率を最小化するためにど真ん中に配置され得る。非接触高さセンサが、適切に較正された際に、動作温度におけるノズル先端と基板との間の相対的な距離を測定することができる。熱による曲げは、誤差の最大の源であると予想されるが、管理可能なレベルで保持可能な誤差の源である。
【0106】
図3に示されるシステムに対して、蒸気発生器自体は、加熱に応じて最大200μmまで伸びると予想される。これがプリントヘッドを歪ませることを防止するために、蒸気発生器を、図3に示されるようなベローズによってフランジに接続し得る。これによって、フランジがプリントヘッドを押すことを防止する。
【0107】
ウェーハ変形に対する圧力差の影響も考慮した。均等に分布した負荷に応じての短軸断面における膜の最大の曲げは、非特許文献3に基づく式II.D.2によって与えられる。これは、重調和応力方程式の結果でもある。上記同様に、wは垂直変位であり、Pは圧力負荷であり、Eはヤング率、tはプレート厚さである。Lはプレートの幅である。厚さ50μm、幅1mmのSi膜は、10000Paの最悪のクロス膜圧力差に応じて40mm弓なりになると予想される。しかしながら、これも顕著な変形ではなく、膜の厚さに対する変形の三乗の反比例の依存性は、より薄くてリジッドなノズルプレートに対して膜がはるかに変形可能になることを意味している。しかしながら、こうした変形も管理可能であると考えられる。
【数9】
【0108】
上述のように、プリントヘッドの変形に対処する方法の一つは、ノズルの位置を測定することである。何故ならば、プリントヘッドの残りの部分に対する大きな変形が存在したとしても、比較的小さなノズルアレイに対する変形は小さなものであり得るからである。このため、Philtech RZ‐25デモンストレータモデルを入手して、ITOガラスターゲットに対してテストを行った。センサは光ファイバの束で構成される。一部ファイバが発光し、他のファイバが受光する。発光ファイバと受光ファイバとの間の結合の程度は、束と反射ターゲットとの間の距離によって決められる。RZシリーズセンサは、ターゲットの反射率の差を補正するように並列で動作する二つの別々の束を特徴とする。
【0109】
信号は1mVに安定していて、0.008V/μmの線形応答を仮定すると、250nmの正確性を得ることができる。宣伝されている正確性は200nmである。センサの線形範囲は、ITOの透明度、及び遠方表面からの反射強度によって明らかに制限される。ITOターゲットが反射表面上に存在していると、センサは適切に動作しない。ITOターゲットがマットブラック表面上に取り付けられると、線形範囲が略300μmに広がる。これは、宣伝されている値の略半分である。不透明ターゲットから測定する際に、完全な線形範囲を得ることができる。こうした問題を他の測定方法を用いて補償し得る。センサの範囲が制限されているが、300μmは、ステージの上昇の精密な制御用には十分に適切なものである。非反射基板ホルダが好ましい。図14は、ITOターゲット上のPhilTech RZ‐25変位センサの較正に対する変位対電圧のプロットを示す。
【0110】
図15は、微細加工用のシリコンウェーハ及びボロシリケートウェーハを準備するプロセスフローを示す。シリコンオンインシュレータ(SOI,silicon on insulator)ウェーハ1510は、Ultrasil社(カリフォルニア州ヘイワード)から入手可能である。SOIウェーハ1510を用いて、ノズルプレートを作ることができる。受け取ったときにおいて、ウェーハは直径100mmであり、厚さ100μmのSiデバイス層1516が、1〜3μmのSiO2酸化物層1514によって、厚さ315μmのSiハンドル層1512から分離されている。両面研磨(DSP,double side polished)の直径100mmで厚さ500μmのボロシリケートガラスウェーハ1550は、University Wafer(マサチューセッツ州ケンブリッジ)から入手可能である。
【0111】
四つのフォトリソグラフィで形成したパターン全てに対するマスクは、LNFマスクメーカ及び、クロムマスクを現像するためのSOPを用いて形成する。フォトリソグラフィ処理を開始する前に、LPCVD Si3N4ハードマスク層1522を、ウェーハ1520に示されるように、SOIウェーハの両面に成長させる。同様に、20nmCr/500Au/20nmCr/500nmAuのハードマスク層1562を、ウェーハ1560に示されるように、エッチング準備に備えてボロシリケートガラスウェーハの両面に堆積させる。
【0112】
図16は、プリントヘッドを製造するのに用いられるSi及びボロシリケートの処理のステップを示す。
【0113】
Siの処理は以下の通りである。図15のSOIウェーハを覆うSi3N4層を、SPR220フォトレジストを用いてノズルインレットマスクでパターン化する。そして、ノズルインレット上のSi3N4層を、150s深堀り反応性イオンエッチングでエッチングする。そして、ウェーハを、85℃の50重量%のKOH溶液で100分間エッチングして、ノズルの内側テーパ化表面を形成する。このステップの結果がウェーハ1630に示されている。変位感知及び光学位置合わせ用のノズルプレートの窓も、この時に切られる(図示せず)。SOIウェーハの絶縁体層は、各ノズルのアウトレットを形成するエッチングストップを形成する。そして、Si3N4層を、反応性イオンエッチング又は熱いリン酸エッチングのいずれかで除去する。このステップの結果がウェーハ1640に示されている。
【0114】
ボロシリケートの処理は以下の通りであり、非特許文献4のものを採用した。図15の金属化ボロシリケートガラスウェーハの両面を、10μmのAZ‐9260レジストでコーティングして、一方の面上のチャネルパターン及び他方の上のビアパターンでフォトリソグラフィでパターン化する。そして、金属ハードマスクを、4分間のTransene GE‐8148金エッチング剤及び、30秒間のCyantek CR‐14クロムエッチング剤の交互のディップでエッチングする。これらのステップの結果がウェーハ1610に示されている。ウェーハのビア面は、エッチング剤から保護するために、パラフィンワックスで焼成ウェーハに取り付けられる。チャネル面は露出される。チャネルが100μmにエッチングされるまで、ウェーハを49%のHF溶液に浸漬させる。エッチング深さをスタイラスプロフィロメータを用いて検証する。所望の量のエッチングが略15分間で達成された。ウェーハをその背面から除去して、熱いトリクロロエチレンで洗浄する。そして、チャネル面を、ワックスで焼成ウェーハに取り付けて、ビアを、HF溶液を用いてエッチングする。このエッチングはウェーハを貫通する。所望の量のエッチングが略一時間で達成された。そして、ウェーハを、熱いトリクロロエチレンで洗浄して、金属マスクを、金エッチング剤及びクロムエッチング剤で除去する。これらのステップの結果がウェーハ1620に示されている。図示される断面は、両端にビアを有するチャネル示すが、チャネル、ビア、又は両者が存在しないウェーハの他の領域が存在することは理解されたい。
【0115】
陽極接合を用いて、プリントヘッドの異種層を結合させる。説明される結合順序は、陽極接合プロセスの電気化学的性質に起因してこの特定の実施形態に対して好ましいものである。陽極接合を用いて、ナトリウム含有ガラスを金属又は半導体に接合させることができる。300〜400℃に加熱されると、ガラス中のNa+が移動できるようになる。略1000Vの電位が、金属層の下のアノードからガラスの上のカソードに印加される。ガラス中の移動性キャリアは、界面から離れて移動して、逆帯電した空乏領域を去る。カチオンの運動は、ガラス中のダングリング酸素原子が自由に金属界面を酸化させるようにして、二つの物質の間の化学結合を形成する。陽極接合については、非特許文献5、非特許文献6に説明されている。
【0116】
ウェーハ接合ステップは以下の通りである。ボロシリケートウェーハ及びSiウェーハを、ピラニア洗浄を用いて、結合用に準備する。その後、Siウェーハを希釈HFに浸漬させて、表面酸化物を除去する。そして、ウェーハを目視で揃えて、Suss SB‐6 Bonderに配置する。ウェーハを、1000Vの電圧を20分間印加することによって、400℃の温度の真空中で結合される。このステップの結果はウェーハスタック1650に示されている。正電位がSi側に印加される。一実施形態では、ボロシリケート層の背面が、陽極接合を用いて、コバールバックプレートに結合され得る。これは、よりロバストな密閉面を備えたプリントヘッドを提供し得る。
【0117】
結合されると、Siウェーハのハンドル層が除去される。ウェーハは、パラフィンワックスでアルミニウムチャックに取り付けられる。そして、ウェーハを、90%HNO3、9.5%HF及び0.5%CH3COOH貯蔵溶液の三重エッチング剤に浸漬させる。ウェーハを連続的に回転させて、エッチングバスをN2に晒して、均等なエッチングを保証する。所望の量のエッチングが略50分間で達成され、SiO2エッチングストップが見えるまでエッチングで処理することができる。SiO2に対するSiの三重エッチング剤の選択性の悪さのため、エッチングを即座に停止させることが好ましい。ウェーハは、チャックから取り外されて、残留ワックスを、熱いトリクロロエチレンで溶解させる。三重エッチング剤はSiO2に対してSiを強く選択するわけではないので、より選択的な最終ステップが好まれる。SiO2エッチングストップ上の残留Siは、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE,deep reactive ion etching)で除去される。DRIEは、三重エッチング剤よりもはるかに遅いので、全てのSiを除去するもの用いられるものではない。
【0118】
ハンドル層を除去した後に、SiO2で覆われたウェーハの下面を、AZ‐9260フォトレジストでコーティングして、プロセスの最後において隆起させる領域がレジストで覆われるようにパターン化する。露出されたSiO2を、反応性イオンエッチング(RIE)で除去する。このステップの結果はウェーハ1660に示されている。非隆起部分を、DRIEで40から50μmエッチングする。このエッチングの完了は、プロフィロメータによってモニタリングされる。このステップの結果はウェーハスタック1670に示されている。
【0119】
その後、フォトレジストを剥がして、残留SiO2ハードマスクを、RiEで除去する。このステップの結果はウェーハスタック1680に示されている。800nmのAl、50nmのPt及び500nmのAuで構成されたオームコンタクトを、ウェーハの両側に蒸着させて、加熱電流によってウェーハをアドレス可能にする。元々のSiが良好な加熱に十分な伝導性のものでないならば、追加の薄いTiブランケットコーティングをノズルプレート上に追加することができる。最後に、Cu箔リードを、高温伝導性エポキシで電極に取り付ける。
【0120】
製造した通りのOVJPプリントヘッド及び蒸気発生器の一般的な構造は以下の通りである。有機源は、真空チャンバ内に延伸しその遠方端において加熱されるチューブ内に挿入されるガラスストークの端部に貯蔵される。このシステムは、高温シールを断絶して、複雑なアセンブリを外して、物質を再充填しなければならないという問題を排除する。OVJPは、OVPDよりもはるかに高い圧力及び低い流量で動作して、これは、高い蒸気滞留期間につながり得る。有機蒸気源とノズルアレイとの間の体積は、不必要な体積を排除するために可能な限り短くされる。モデル化によって示されるのは、この長さスケールでは、別々の源流及び希釈流は有用ではないということである。結果として、こうした特徴を追加することは容易ではあるが、これらは明示的には提供しなくてよい。
【0121】
一実施形態では、OVJPシステムのフォームファクタは、8インチのConFlatポートに取り付け可能である。
【0122】
ヒートブートを、まずContonics Resbond919高温セラミック接着剤の薄いコーティングでステンレス鋼チューブをコーティングすることによって製造する。コーティングされた領域は幅2インチであり、チューブの先端から0.125において始まる。このコーティングは、抵抗表面を提供し、その上にニクロム線が巻かれる。直径0.005インチの50巻きのワイヤが、ヒータに220Ωの抵抗を与える。巻かれると、ヒータを、Resbond919の他のコーティングで密閉して、一晩硬化させる。放射率を低減させることが望まれるのであれば、チューブをAgでメッキすることができる。この自家製ヒータは小型で強力であり、ファイバガラスで絶縁されたヒートテープのように微粒子を発生させない。市販のヒートテープとは異なり、セラミックは、硬化するとガスを放出しない。
【0123】
図17は、OVJPフィードスルーの拡大図を示す。二つの有機蒸気源が簡単のため図示されているが、より多数の源が使用可能であり、図3に示されるような六個、又はそれ以上が使用可能である。マニホールド1710は、フィードスルーとして機能して、そこを介して、ガスがプリントヘッドへと伝わり、また、そこを介して、堆積中にはプリントヘッドの直ぐ近くに配置される有機源ボートを、容易に取り外して、熱シールを壊さずに取り替えることができる。図3に示されるようなプリントヘッドに繋がるチューブ1720は、マニホールド1710から延伸している。ガスフィード1730がチューブ1720に取り付けられ得る。ガスフィード1730は、ガス用のポート、及び源ボートの通路用のポートを含み得る。Ultratorrフィッティング1740は、ガスフィート1730に取り付けられて、容易に破壊及び置換可能な気密シールを提供し、そこを介して源ボートを通過させることができる。有機源ボート1750はストーク1760上に配置される。ストーク1760は、源ボート1750がプリントヘッドに近接するまで、Ultratorrフィッティング1740、ガスフィード1730、チューブ1720及びマニホールド1710を介して挿入されて、更には、例えば図3のベローズ340及び関連するチューブまで延伸され得る。Ultratorrフィッティング1740がシールを提供する。
【0124】
OVJPシステムを製造するのに用いた具体的で非限定的な物質及び寸法は以下の通りである。マニホールド1710からの0.375インチ鋼チューブ1720が、SwegelokのT字型チューブフィッティング(ガスフィード1730)で終端する。Swegelok Ultratorrフィッティング1740をT字型フィッティングの遠い方の分岐に固定する。その先端に有機ボート1750を含む長いガラスストーク1760を、Ultratorrフィッティング1740を介して挿入する。ストーク1760は、プリントヘッドまで延伸する。キャリアガスは、T字型チューブフィッティングの真ん中の接続部から蒸気発生器内に供給される。
【0125】
OVJPを用いてパターン化有機膜を描くために、ノズルアレイに対して基板を移動させる電動x‐y移動ステージを提供することが好ましい。ノズルアレイの平面及び基板の平面は、システムが良好に動作するために、可能な限り平行で近くに保持されることが好ましい。最良の結果のために、基板ホルダは1cmの線形移動毎に>±1μmの平坦性を有することが好ましい。ベアリングが基板ホルダの下に配置されて、その上を基板ホルダを移動することが好ましい。最も単純な構成は、チャンバ内部の二つの完全な積層リニアアクチュエータである。これらのアクチュエータは、レベル微調整用の二重チルトステージの上に配置可能である。チャンバの排気前に位置合わせを行うことができるので、この制御は手動のものとなり得る。しかしながら、z方向の調整は、高い制御を提供するために電動とされることが好ましい。チャンバ内の空間は貴重なものなので、z方向アクチュエータは、真空リニアポジショナーに組み込まれて、チャンバの外側に取り付けられることが好ましい。手動の回転調整部も同様にチャンバの外側に取り付けられ得る。
【0126】
OVJPシステムには、電動x‐y移動ステージが備わっていることが好ましい。ラインの向きに平行な移動は、真空にひかれたAerotech ATS‐50ステージによって提供され得る。ラインの向きに垂直な移動は、カスタムアクチュエータで改良したNewport光学ステージによって提供可能である。
【0127】
基板ホルダは、アルミニウム製であり得て、非接触高さセンサとの相性のために頂部が陽極仕上げされ得る。基板ホルダは、フレキシブルチューブを介して液体窒素冷却剤が供給される銅冷却ブロックの上に位置する。ホルダは隣接するグローブボックスを介して取り外し可能であり、非酸化環境においてサンプルを出し入れできるようにする。基板、ホルダ及び冷却ブロックの熱接触は、SPI Apezon冷却グリースの薄いコーティングで増強可能である。
【0128】
PhilTech RZ‐25光学変位センサは、プリントヘッド内の窓を見て、基板までの距離を測定し得る。センサは、発光ファイバ及び受光ファイバを備えた光ファイバの束で構成される。二種類のファイバの間の結合は、束の先端と反射表面との間の距離に依存する。センサの先端は、光ファイバホルダによって保持されて、そのホルダは、プリントヘッドをフランジに接続する複数のポールのうちの一つに取り付けられる。センサ信号は、光ファイバ束によって、真空フィードスルーを介してチャンバの外側のセンサに伝えられる。
【0129】
基板上のランドマークでの位置合わせは、基板上のオーバーライトフィーチャに対する位置決めを達成する好ましい方法である。プリントヘッドは、光学位置合わせを可能にするために別々の複数の窓を有することが好ましい。チャンバは、位置合わせを可能にするCCDカメラ、適切なレンズ、照明及びソフトウェアを用いてフィッティング可能である。これらの特徴は現状の設計では存在していないが、周知なものであり、OVJPシステムに容易に組み込むことができる。
【0130】
図18は、位置合わせ光学系及び高さセンサを備えたOVJPシステムの構成を示す。OVJPシステムは、図17に示されるのと同じ特徴を多く有する。更に、図18のOVJPシステムは、光学位置合わせに有用なカメラシステムを含む。カメラシステムは、カメラ1810と、映写レンズ1812と、対物レンズ1820とを含む。適切な開口は、マニホールド及びプリントヘッド内に容易に設けることができる。図18のOVJPシステムは高さセンサ1820も含む。図18の構成は、実行に移されたものではないが、本願の開示に基づいて容易に実行可能である。
【0131】
OVJPシステムは以下のように動作し得る。
【0132】
ノズルは、基板平面と、較正された高さセンサとに対して正方形であり得る。プリントヘッド及び基板の平面は、室温におけるプリントヘッドと、ベントされたチャンバと一致させられる。前後の位置合わせは、レーザレベルと、基板ステージの背面のミラーとを用いて行われる。左右の位置合わせは、プリントヘッドを基板の両側における基板ギャップに対して等しくする隙間ゲージを用いて行うことができる。
【0133】
有機物質は、ボロシリケートガラスストークの先端の源ボート内にさじで入れられる。サーモカップルが、ストークの内径を介して、ストーク及びボートを離隔して且つ適当な位置に締められた制限部まで通される。ストークは、堆積チャンバの頂部のUltratorrフィッティングを介して挿入される。ストークは、その先端がプリントヘッドの3mm以内に来るまで進められる。停止位置は、プリントヘッドに対する損傷を防止するために予め測定されていることが好ましい。
【0134】
基板はベントされたチャンバ内に配置される。ガスフィードラインは、バイパス“耳管”チューブに対して開かれて、そのチューブは、プリントヘッドビアとチャンバとの間の圧力を等しくする。チャンバは排気されて、OVJPは動作温度へとゆっくりと加熱される。OVJPが高真空になると、LN2の流れが、基板ステージに対して確立される。最後に、ガスフィードラインが、耳管チューブから密閉される。
【0135】
レベリング後に、ステージを降下させて、プリントヘッドが加熱するとノズルの空間が下方に移動するようにする。その後、プリントヘッド及び蒸気発生器が動作温度にされる。プリントヘッドと基板とのハードコンタクトは、プリントヘッドに熱負荷の急激な上昇によって、又は、プリントヘッドの使用時における有機源セルの圧力の急激な上昇によって、推測可能である。そして、高さセンサの測定値をゼロにすることができる。
【0136】
略1sccmのキャリアガスが各堆積源内に供給される。有機蒸気源は、内部の物質に応じて、200℃から300℃に加熱されることが望ましい。プリントヘッドは300℃に加熱される。ノズル先端は基板に対して10μmにまで近づける。z方向の微調整は、高さセンサ(未だ組み込まれていない)と共にフィードバックループ内に固定され得る。そうすると、システムは堆積の準備ができていて、そのパターンはx及びyステージモータの動きによって制御される。パターンが印刷されると、堆積は、キャリアガスの流れを打ち切り、耳管チューブに対してガスフィードラインを再び開き得る。
【0137】
堆積の後に、基板をプリントヘッドから離れるように低下させる。プリントヘッド及び蒸気源セルは両方ともゆっくりと冷却される。チャンバがベントされる前に、これら全てが100℃以下にされることが好ましい。冷却されたステージは0℃以上の温められる。
【0138】
好ましい動作条件は、1mTorr以下のチャンバ圧力、及び、−100℃に冷却された基板ホルダを含む。有機蒸気は、ソースビア毎に1標準立方センチメートル毎秒の流量で1から50Torrの圧力の不活性ガスによってプリントヘッド内に押し込まれる。蒸気は、他の源との流れの組み合わせによって、混合又は希釈化可能である。プリントヘッドは、基板表面から略10マイクロメートルに維持される。基板は、0.5から2mm/sの速度でプリントヘッドの下方に移動する。厚さ35nmのアルミニウムトリス(キノリン‐8‐オレート) (Aluminum tris(quinoline‐8‐olate))のラインの光学顕微鏡写真が図19に示されている。好ましい動作条件下において、プリントヘッドは、略幅20μmの有機物質の連続的なラインを描くことができる。図19は、OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQ(アルミニウムトリス(キノリン‐8‐オレート))のラインの光学顕微鏡写真を、二つの異なる倍率(像1910、1920)で示す。これらのラインは、幅10μ以下であると見積もられる外部堆積物の領域によって各辺が囲まれている。このことは、走査型電子顕微鏡(SEM,scanning electron microscope)及び原子間力顕微鏡(AFM,atomic force microscope)の像によってサポートされる。図20は、OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQのラインのSEM像を、二つの異なる倍率(像2010、2020)で示す。図21は、OVJPで描いた厚さ35nmのAlQラインの原子間力顕微鏡写真を示し、高さがグレースケールで示さる二次元図(像2110)、及びAFMを用いたラインの主軸に垂直な厚さのトレース(像2120)が示されている。ラインの幅及び厚さはどちらも、断面AFMトレースから見積もることができる。
【0139】
多重カラーOLEDアレイの高解像度パターン化を提供するため、OVJPは、ライン間の最小ブリーディング(にじみ)で密に画定されたラインで物質を堆積できることが好ましい。ライン間の領域内の有機物質のオーバースプレーの間接測定を行った。
【0140】
一テストでは、非常に厚いラインを、プリントヘッドの下方においてステージをゆっくりと動かすことによって成長させた。これらのフィーチャは、実際の電子デバイスにおいて用いられるものよりもはるかに厚いものであるが、こうしたラインを成長させることによって、オーバースプレーテイル等の僅かなフィーチャを、測定するのに十分に拡大することができた。これらのラインの厚さ断面を、プロフィロメータによって見積もった。堆積が望まれる領域において、ラインは、最大20000オングストローム(2nm)の厚さを有して堆積されていた。測定幅が20μmを超えるラインでは、100nm以下のオーバースプレーテイルが、ラインの縁を超えて10μm延伸している様子が測定された。これらのフィーチャは、OLED内に見受けられるものよりも略100倍厚い。オーバースプレーの厚さが、フィーチャの厚さに比例するとすると、これは、1nm以下のオーバースプレーが描画ラインに近接すると予想されることを示唆している。図22は、これらのラインの像を示し、光学顕微鏡写真2210と、プロフィロメータトレース2220を含む。
【0141】
空間解像フォトルミネッセンスを用いて、薄膜ラインの間の領域におけるオーバースプレーを調べた。厚さ較正測定を、特別に構築したライン走査顕微鏡で行った。このシステムは、AlQトレーサ物質に対して略5μmの解像度及び略2nmの検出閾値を有する。初期走査によって、略5nmのバックグラウンドオーバースプレーが明らかになった。興味深いことに、オーバースプレーの高さは、ラインからの距離、又は最近接のラインの高さと相関しているようには見えない。このことは、オーバースプレーが、実際の印刷中ではなくて開始時に配置されて、開始手順を改善することによって最小化可能であることを示唆している。ラインの厚さは、有機物質源のはるか下流のノズルに対して顕著に減少する。これは、クラック耐性を改善するためにより浅い流体チャネルで特定のプリントヘッドを製造したことに起因すると考えられ、その影響は、より大きなチャネルを用いることによって容易に取り除くことができる。ライン走査データが図23に示されている。図23は、OVJPで描かれたAlQのサンプルからの厚さ補正ライン走査データを示す。
【0142】
ミシガン大学の顕微鏡及び画像分析研究所(Microscopy and Image Analysis Laboratory)のZeiss共焦点落射型蛍光顕微鏡を用いて、より高い空間解像度でオーバースプレーを調べた。この顕微鏡は、ラインスキャナと同様の検出閾値を有するが、その他の点でははるかに有能である。図24は、このシステムを用いて分析したOVJP堆積ラインの領域を示す。ライン間ではほとんど又は全く信号が検出されず、3nm以下のオーバースプレー厚さを示唆している。このツールからの出力は、膜厚さのわかっているサンプルで較正されることが好ましいが、ライン間の領域から信号が無いことは、たとえあったとしても僅かな物質しかこの領域に存在しないことを示唆している。図24は、OVJPで描かれたAlQラインの共焦点落射型蛍光顕微鏡写真を示す。像2410は、グレースケールで示される蛍光強度での二次元像である。垂直矢印は、像2420に示される強度プロファイル走査の方向を示し、像2420は、距離の関数としてラインに沿った蛍光強度を示す。
【0143】
本願で説明される多様な実施形態は単に例示目的であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。例えば、本願で説明される物質及び構造の多くは、本発明の精神から逸脱することなく、他の物質及び構造に置換可能である。本願で説明される進歩的なノズルの幾何学的形状は、本願で具体的に示される実施形態に加え、多様なOVJPシステムの構成及びプリントヘッドにおいて使用可能である。同様に、本願で説明される進歩的なプリントヘッドのコンセプトは、本願で具体的に示される実施形態に加え、多様なOVJPシステムの構成において使用可能である。従って、当業者には明らかなように、特許請求される本発明は、本願で説明される特定の例及び好ましい実施形態からの変形例を含み得る。本発明がどのように動作するのかについての多様な理論及び特定の構成のモデル化は限定的なものではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0144】
300 OVJPシステム
310 プリントヘッド
320 有機蒸気源
330 マニホールド
340 ベローズ
410 第一の層
415 ノズル
420 第二の層
422 ビア
440 オーム(加熱)コンタクト
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年3月25日出願のCompact OVJP Print Headとの名称の米国仮出願第61/211002号、及び2010年3月23日出願のCompact Organic Vapor Jet Printing Print Headとの名称の米国特許出願第12/729479号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、米国エネルギー省によるDE‐FC26‐04NT42273の下での米国政府の補助によりなされたものである。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本願発明は、以下の者の一以上によって、その代理として、及び/又はその産学共同研究の同意によりなされたものである:リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン、プリンストン大学、南カリフォルニア大学、ユニバーサルディスプレー社。その同意は、本願発明がなされたとき及びそれ以前において有効であり、本願発明は、その同意の範囲内において行われた活動の結果としてなされたものである。
【0004】
本発明は、プリントヘッドを介した有機物質の堆積に関する。
【背景技術】
【0005】
有機物質を用いるオプトエレクトロニクスデバイスが、多くの理由により益々望まれている。このようなデバイスを製造するために使用される物質の多くは、比較的安価であるので、有機オプトエレクトロニクスデバイスは、無機デバイスに対してコストの利点を有する可能性がある。更に、有機物質の固有の性質(フレキシブル性等)によって、そのデバイスが、フレキシブル基板上での製造等の特定の応用に適したものになる。有機オプトエレクトロニクスデバイスの例として、有機発光デバイス(OLED,organic light emitting device)、有機フォトトランジスタ、有機光起電電池、有機光検出器が挙げられる。
【0006】
OLEDの更なる詳細については、参照としてその全体が本願に組み込まれる特許文献1に見出すことができる。
【0007】
有機デバイスを製造するために使用される有機物質を堆積させる多様な方法が知られていて、真空熱蒸発、溶液処理、有機気相堆積、有機蒸気ジェット印刷等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7279704号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】P.Clausing、J.Vac.Sci.Tech、第8巻、p.636−646
【非特許文献2】D.J.Stanteler、D.Boeckman、J.Vac.Sci.Tech.A、1991年7月/8月、第9巻、第4号、p.8
【非特許文献3】J.H.Moore、C.C.Davis、M.A.Coplan著、“Building Scientific Apparatus”、Westview Press、2002年、第3版
【非特許文献4】Ciprian Iliescu、F.E.H.Tay、J.Miao、Sens.Act.A、2007年、第2巻、第133号、p.395−400
【非特許文献5】G.Wallis、“Field Asssited Glass Sealing”、Electrocomponent Science and Tech、1975年、第2巻、第1号
【非特許文献6】K.M.Knowles et al.、“Anodic bonding”、International Materials Rev.、2006年、第51巻、第5号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷に有用なノズルの幾何学的形状に関する。
【0011】
一実施形態では、第一のデバイスが提供される。そのデバイスはプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された第一のノズルを含む。第一のノズルは、その第一のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第一のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0012】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズルを含み得る。
【0013】
プリントヘッドは、第一のガス源とは異なる第二のガス源に気密的に密閉された第二のノズルを含み得る。第二のノズルは、その第二のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第二のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第二のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第二のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0014】
プリントヘッドは、第一及び第二のガス源とは異なる第三のガス源に気密的に密閉された第三のノズルを含み得る。第三のノズルは、その第三のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第三のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第三のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第三のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0015】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズル、第二のガス源に気密的に密閉された複数の第二のノズル、及び/又は、第三のガス源に気密的に密閉された複数の第三のノズルを備え得る。
【0016】
ノズルを上述の幾何学的条件に合致させ得る方法は多数存在する。第一のノズルは、アパーチャから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離まで一定の断面を有し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に、連続的に増大し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に、線形に増大し得る。
【0017】
ノズルは多様な物質製であり得る。シリコンが特に好ましい。金属及びセラミックも好ましい。
【0018】
第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルのアパーチャの最小寸法に対する好ましい範囲として、100から500マイクロメートル、20から100マイクロメートル、0.5から20マイクロメートルが挙げられる。
【0019】
第一のノズルの流れ方向に垂直な第一のノズルの断面に対する好ましい形状として、円形及び矩形が挙げられる。
【0020】
第一のデバイスは、異なる有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能である。第一のデバイスは、第一及び第二のガス源と、プリントヘッドと第一及び第二のガス源との間に配置された熱障壁とを含むことが好ましい。好ましくは、独立的に制御可能な熱源が、プリントヘッド、第一のガス源及び第二のガス源の各々に提供される。
【0021】
第一のデバイスは、各ガス流において複数の有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能であり、異なる複数の有機物質は、独立温度制御を有する異なる複数のチャンバ内で昇華され得る。好ましくは、第一のガス源は、第一の昇華チャンバ及び第二の昇華チャンバを含む。第一のガス源は、プリントヘッドと第一のガス源との間に配置された熱障壁によって、プリントヘッドから離隔され得る。独立的に制御可能な熱源が、プリントヘッド、第一の昇華チャンバ及び第二の昇華チャンバの各々に提供され得る。
【0022】
第一のデバイスは、第一のノズル並びに他のノズルからガスジェットを放出するのに使用可能である。
【0023】
第一のデバイスはノズルからガスジェットを放出するのに使用されるものではあるが、独立的に制御可能な異なる複数の温度を、プリントヘッドと、第一、第二及び/又は第三のガス源において維持し得る。一実施形態では、第一のガス源によって提供されるガスは、第一の昇華温度を有する第一の有機物質を含み、第二のガス源によって提供されるガスは、第一の有機物質の昇華温度とは少なくとも10℃異なる第二の昇華温度を有する第二の有機物質を含む。
【0024】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷に有用なマイクロ流体プリントヘッドに関する。
【0025】
一実施形態では、第一のデバイスが提供される。第一のデバイスは、プリントヘッドと、プリントヘッドに気密的に密閉された第一のガス源とを含む。更に、プリントヘッドは、複数のアパーチャを備えた第一の層を含み、各アパーチャは、0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有する。第二の層が第一の層に結合される。第二の層は、第一のガス源及び少なくとも一つのアパーチャと流体連結した第一のビアを含む。第二の層は、絶縁体製である。
【0026】
第一のデバイスの第一の層は、第二の層の第一のビアと第一の層のアパーチャとの間の第一の層内部における流体連結を提供するチャネルを含み得る。更に又は代わりに、第一のデバイスの第二の層は、第二の層の第一のビアと第一の層のアパーチャとの間の第二の層内部における流体連結を提供するチャネルを含み得る。更に、第一の層及び/又は第二の層は、熱源を含み得る。
【0027】
第一のデバイスは、第一の層と第二の層との間に配置され且つ第一の層及び第二の層に結合された第三の層を含み得る。第三の層は、第二の層の第一のビアと第一の層のアパーチャとの間の流体連結を提供するチャネルを含み得る。更に、第三の層は熱源を含み得る。
【0028】
複数のアパーチャが第一のガス源と流体連結し得る。
【0029】
第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第二のガス源を更に含み得る。第二の層の第一のビアは、第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結し得る。更に、第二の層は、第二のガス源と、第一の層の第二のグループのアパーチャと流体連結した第二のビアを含み得る。更に、第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第三のガス源を含み得る。更に、第二の層は、第三のガス源と、第一の層の第三のグループのアパーチャと流体連結した第三のビアを含み得る。
【0030】
ガス源(第一のガス源や他のガス源等)は、複数の有機源を含み得る。異なる複数のガス源に接続された複数のビアは、同一のアパーチャと流体連結し得て、結果として、アパーチャにおいてガスの混合物が得られる。例えば、第一のビアが第一の有機源と流体連結し得る一方で、第二のビアは第二の有機源と流体連結する。第一及び第二のビアは両方とも、第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結し得る。プリントヘッド、第一の有機源及び第二の有機源の各々は、独立的に制御可能な熱源を有する。
【0031】
更に、第一のデバイスは、第一の有機源に対するガス流を制御するための第一のバルブと、第二の有機源に対するガス流を制御するための第二のバルブとを含み得る。第一及び第二のバルブは、熱源から断熱され得る。
【0032】
第一の層はシリコン製であることが好ましい。
【0033】
第一の層は、融着、冷間圧接、陽極接合、及び共晶接合から成る群から選択された結合を用いて、第二の層に結合されることが好ましい。追加的な層(第三の層や他の層等)がプリントヘッド内に存在している場合、追加的な層は、これらのタイプの結合を用いて結合されることが好ましい。一実施形態では、第一の及び第二の層が、陽極接合を用いて互いに結合されることが好ましい。他の実施形態では、第三の層が第一の層と第二の層との間に配置され、第一及び第三の層は共晶接合又は融着で結合されて、第三及び第二の層が陽極接合で結合されることが好ましい。
【0034】
更に、プリントヘッドは、そのスイッチの状態に応じて、第一のビアと少なくとも一つのアパーチャとの間の流体連結を遮断又は許容する微小電気機械スイッチを含み得る。
【0035】
少なくとも一つのアパーチャはプリントヘッドからの突出部内に形成され得る。
【0036】
プリントヘッドの厚さは50から500マイクロメートルの間であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面を示す。
【図2】ガス流に垂直な方向に取った四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面を示す。
【図3】OVJPプリントヘッド及び取り付け部の斜視図を示す。
【図4】プリントヘッドの拡大図を示す。
【図5】プリントヘッドの一部の写真を示す。
【図6】チャネル及びビアを含むマスクのプルーフを示す。
【図7】実際に製造された矩形ノズルの断面、及びSi内にエッチングされたノズルインレットの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図8】完成品のプリントヘッドのノズル側の写真、並びに、ノズルアレイ802の一部の走査型電子顕微鏡写真(SEM)及びノズルアパーチャのSEMを示す。
【図9】モデル化堆積プロファイルを示す。
【図10】モデル化圧力及び温度プロファイルを示す。
【図11】ノズルアレイの回路分析において用いたモデルを示す。流体抵抗を見積もり、アレイの全てのノズルに対する蒸気の均等分布を検証した。
【図12】幅20mmのノズルの近傍におけるモデル化熱伝達プロファイルを示す。
【図13】外縁に対する相対的なウェーハの中心の高さのプロットを温度の関数として示し、また、データを得るために用いた設定の概略を示す。
【図14】ITOターゲットに対するPhilTech RZ‐25変位センサの較正についての変位対電圧のプロットを示す。
【図15】微細加工用にシリコンウェーハ及びボロシリケートウェーハを準備するプロセスフローを示す。
【図16】プリントヘッドを製造するのに用いたSi及びボロシリケートの処理のステップを示す。
【図17】OVJPフィードスルーの拡大図を示す。
【図18】位置合わせ光学系及び高さセンサの備わったOVJPシステムの構成を示す。
【図19】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQ(アルミニウムトリス(キノリン‐8‐オレート))ラインの光学顕微鏡写真を示す。
【図20】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQラインのSEM像を示す。
【図21】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQラインの原子間力顕微鏡写真を示す。
【図22】OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚い物質ラインの光学顕微鏡写真及びプロフィロメータ像を示す。
【図23】OVJPプリントヘッドを用いて描かれたAlQラインからのライン走査データを示す。
【図24】OVJPプリントヘッドを用いて描かれたラインの共焦点落射型蛍光顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
高解像度ディスプレイの画素は、略30μmの幅にパターン化された赤、緑、及び青のストライプで構成され得る。異なる色のストライプの縁は、10μmだけ離隔され得る。有機画素に対しては、オーバースプレーによる物質の意図しない重畳を避けるために、パターンが略5μmのシャープネス(鋭さ)を有することが好ましい。これらの寸法は、有機トランジスタや他のデバイス等の他の有機デバイスに対しても有用であり得る。
【0039】
高解像度ディスプレイ又は有機物質を使用する他のデバイス用の有機物質を堆積させる方法の一つは、有機蒸気ジェット堆積(OVJP,organic vapor jet deposition)である。実行可能なディスプレイ製造技術となるためには、有機蒸気ジェット印刷が5μmのシャープネスで有機膜をパターン化できることが好ましい。また、OVJPプロセスが複数のラインを同時に堆積させることもできることも好ましい。複数のノズルが、複数のラインの同時堆積を達成する方法の一つである。
【0040】
ダイレクトシミュレーションモンテカルロ(DSMC,Direct Simulation Monte Carlo)法を用いた30μmスケールフィーチャに対する有機蒸気ジェット印刷プロセスのモデル化によって、ノズルアパーチャの幅が20μmであるとして、ノズルアパーチャと基板との間隔が<5μmであることが、所望のフィーチャのシャープネスを達成するために必要であることが明らかになった。この見積もりは、以前のOVJPの研究において観測された経験則によってサポートされていて、印刷解像度は、ノズルと基板との間隔とスケーリングする。
【0041】
しかしながら、以前の方法は、基板の5μm以内で動作するように設計された20μmのノズルのアレイを形成するのにうまく適応しないものであり得る。第一に、光学的にフラットな基板と一致する高さ公差を有するノズルプレートは、可能な最良の高さ公差を提供するために、妥当な数の同時に堆積させたラインにわたってこれらの寸法で動作することが望まれる。以前の方法は、このようなノズルプレートを提供するのにうまく適応しないものであり得る。複数のノズルのアレイに対して、平坦さは、比較的大きな領域にわたって維持されることが好ましい。第二に、OVJP中にノズルプレートを熱く保つことが望まれるので、最大300℃までその強度を維持する物質が望まれる。更に、熱膨張が、厳しい公差を維持することに干渉し得るので、熱膨張に耐える又は熱膨張の結果としての変形を生じさせない物質が望まれる。最後に、ノズル‐基板システムの気体力学は、三次元構造が望ましい点を指摘している。
【0042】
シリコンマイクロマシニング、又はより一般的に半導体マイクロマシニングは、これらの厳しい仕様に合致する方法を提供する。製造プロセスは、高度に研磨されたウェーハに対して実施可能であり、高さの変動を排除する。Si/SiO2システムは、有機蒸気堆積用の適用温度範囲にわたって安定である。また、シリコンは、大抵の金属よりもはるかに低い熱膨張率を有する。テーパ化ノズルは、異方性エッチング剤を用いて製造可能であり、多層構造は、シリコンオンインシュレータウェーハ及びウェーハボンディング法を用いて製造可能である。このような方法は、マイクロ流体工学の分野において開発されてきたものである。マイクロ流体工学は、液体及び蒸気の輸送システムに対する微細加工法の応用であり、インクジェット印刷の分野において用いられてきた。また、同様の方法は、金属及びセラミックにも適用可能である。
【0043】
微細加工デバイスと外界との界面は追加的な問題を示す。OVJPの場合、300℃以上の温度で動作させたいとの要望が、他の多くの分野において存在しない更に多くの問題を課す。OVJPシステムは、使用者が使い易い蒸気発生システムを有し得て、これは、有機物質が丈夫で巨視的な構造内に貯蔵されることを意味する。そして、これは、有機蒸気が比較的大きなボアの金属チューブを用いてプリントヘッドに輸送され得ることを意味する。本願で説明されるように、適切に選択された中間物質を用いて、焼成可能ガス気密性シールが、金属マニホールドとシリコンノズルプレートとの間に提供可能であることが実証されている。
【0044】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷用に有用なノズルの幾何学的形状に関する。
【0045】
一実施形態では、第一のデバイスが提供される。本デバイスはプリントヘッドを含む。プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された第一のノズルを含む。第一のノズルは、その第一のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第一のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0046】
図1は、上述の寸法を示し、その基準に合致するいくつかの幾何学的形状も示す。本願全体にわたって図面は必ずしも縮尺通りに描かれたものではない。図1は、四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面図を示し、その断面図は、ノズルのガス流に平行な方向に取られたものであり、また、ノズルアパーチャにおける最小寸法を示す方向に取られたものである。各幾何学的形状において、アパーチャは、ノズルの流れ方向に垂直な方向に最小寸法101を有する。“アパーチャ”は、最小寸法が最小値に達する点、つまりノズルを通るガス流が最も圧縮される点によって定義される。また、各ノズルは、アパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャからノズル内への距離102を有する。また、各ノズルは、アパーチャから第一のノズル内への距離102において流れ方向に垂直な最小寸法である寸法103を有する。図示されるように、寸法103は、寸法101の少なくとも二倍である。ノズル110は、アパーチャにおいて点に達する傾斜側面を有する。ノズル120は、ノズルの大部分に対して傾斜側面を有するが、その側面は、アパーチャにおける短い距離に対して垂直である。この場合、最小寸法が最小値に達するノズルの流れ方向において有限の距離が存在し、“アパーチャ”は、基板に最も近い点(最小寸法が最小値となる)である。ノズル120は、ノズル110よりも良い機械強度を有し得て、一致したアパーチャサイズで容易に製造可能である。ノズル130は、点に達する傾斜側面を有するが、ノズル130の底に達する前に僅かに広がる。ノズル130は、アパーチャが必ずしも基板に最も近いノズルの点にはない様子を示す。ノズル140は、垂直側面を有し、ガス流がノズルを出て行く直前に急激に細くなる。また、他のノズルの幾何学的形状も、上述の基準に合致し得る。
【0047】
図2は、ガス流に垂直な方向においてアパーチャで取られた四つの異なるノズルの幾何学的形状の断面図を示す。図2において断面の取られたノズルは、図1のものに必ずしも対応してはいない。各アパーチャにおける矢印は、アパーチャの“最小寸法”を表す。数学的には、最小寸法において、矢印の長さは、その矢印に垂直な方向における矢印全体の並進移動に対して極大にあるか(円、楕円及び三角形に対して)、又は一定であり(矩形に対して)、その場合、“最小”寸法は、最小の極大値であるか、又は一定である。図2は、それぞれ円、楕円、矩形、三角形の断面を有するアパーチャ210、220、230、240の断面を示す。矩形のアパーチャは、ラインを堆積させるのに最も適した形状であり、また、シリコンにエッチングされたノズルにおいて比較的得易い形状である。しかしながら、他の形状も使用可能である。
【0048】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズルを含み得る。
【0049】
プリントヘッドは、第一のガス源とは異なる第二のガス源に気密的に密閉された第二のノズルを含み得る。第二のノズルは、その第二のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第二のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第二のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第二のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0050】
プリントヘッドは、第一及び第二のガス源とは異なる第三のガス源に気密的に密閉された第三のノズルを含み得る。第三のノズルは、その第三のノズルの流れ方向に垂直な方向において0.5から500マイクロメートルの最小寸法を有するアパーチャを有する。第三のノズルのアパーチャの最小寸法の5倍であるアパーチャから第三のノズル内への距離において、流れ方向に垂直な最小寸法は、第三のノズルのアパーチャの最小寸法の少なくとも二倍である。
【0051】
プリントヘッドは、第一のガス源に気密的に密閉された複数の第一のノズル、第二のガス源に気密的に密閉された複数の第二のノズル、及び/又は第三のガス源に気密的に密閉された複数の第三のノズルを備え得る。
【0052】
ノズルが上述の幾何学的形状の条件に合致する方法は多数存在する。第一のノズルは、アパーチャから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍であるアパーチャから第一のノズル内への距離まで一定の断面を有し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に連続的に増大し得る。第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルの最小寸法は、ゼロから、第一のノズルのアパーチャの最小寸法の2倍までの範囲の距離に対して、第一のノズルのアパーチャからの距離と共に線形に増大し得る。
【0053】
ノズルは、多様な物質から形成可能であるが、シリコンが好ましい。
【0054】
第一のノズルの流れ方向に垂直な方向における第一のノズルのアパーチャの最小寸法に対して好ましい範囲として、100から500マイクロメートル、20から100マイクロメートル、0.5から20マイクロメートルが挙げられる。
【0055】
第一のノズルの流れ方向に垂直な第一のノズルの断面に対する好ましい形状として、円形及び矩形が挙げられる。
【0056】
第一のデバイスは、異なる有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能である。第一のデバイスは、好ましくは、第一及び第二のガス源と、プリントヘッドと第一及び第二のガス源との間に配置された熱障壁とを含む。好ましくは、独立的に制御可能な熱源が、プリントヘッド、第一のガス源、第二のガス源の各々に対して提供される。
【0057】
第一のデバイスは、各ガス流において複数の有機物質を運び得る複数のガス流で使用可能であり、異なる有機物質は、独立温度制御を有する異なる複数のチャンバ内で昇華され得る。好ましくは、第一のガス源は、第一の昇華チャンバ及び第二の昇華チャンバを含む。第一のガス源は、プリントヘッドと第一のガス源との間に配置された熱障壁によって、プリントヘッドから離隔され得る。独立的に制御可能な熱源を、プリントヘッド、第一の昇華チャンバ、第二の昇華チャンバの各々に対して提供し得る。多様な熱源が使用可能である。例えば、プリントヘッドの表面上の抵抗プレートが使用可能であり、又は、熱源が、例えば、プリントヘッドの一以上の層内に埋め込まれた抵抗素子として、プリントヘッドの層内に組み込まれ得る。
【0058】
第一のデバイスを用いて、第一のノズル並びに他のノズルからガスジェットを放出することができる。
【0059】
第一のデバイスは、ノズルからガスジェットを放出するのに使用されるが、プリントヘッドと、第一、第二及び/又は第三のガス源とにおいて、独立的に制御可能な温度を維持し得る。一実施形態では、第一のガス源によって提供されるガスは、第一の昇華温度を有する第一の有機物質を含み、第二のガス源によって提供されるガスは、第一の有機物質の昇華温度とは少なくとも10℃異なる第二の昇華温度を有する第二の有機物質を含む。昇華温度の差は、本発明の実施形態が他の設計にはるかに容易に適応可能であるという特徴であるが、本発明の実施形態の他の側面を利用する必要はない。例えば、別々の源によって、物質の混合を連続的に変化させ得るが、昇華温度は同様のもの又は異なるものである。
【0060】
本発明の一部側面は、有機蒸気ジェット印刷に有用なマイクロ流体プリントヘッドに関する。
【0061】
第一のデバイスは、第一の有機源に対するガス流を制御するための第一のバルブと、第二の有機源に対するガス流を制御するための第二のバルブとを更に含み得る。第一及び第二のバルブは、熱源から断熱され得る。
【0062】
第一の層はシリコンから形成されることが好ましい。
【0063】
好ましくは、第一の層は、融着(融合接合)、冷間圧接、陽極接合、及び共晶接合から成る群から選択された結合を用いて、第二の層に結合される。追加的な層(第三の層や他の層等)がプリントヘッドに存在する場合、その層は、これらのタイプの結合を用いて結合されることが好ましい。一実施形態では、第一の層及び第二の層が、陽極接合を用いて互いに結合されることが好ましい。他の実施形態では、好ましくは、第三の層が、第一の層と第二の層との間に配置されて、第一の層及び第三の層が、共晶接合又は融着で結合されて、第三の層及び第二の層が、好ましくは陽極接合で結合される。
【0064】
プリントヘッドは、微小電気機械スイッチを更に含み得て、その微小電気機械スイッチは、そのスイッチの状態に応じて、第一のビアと少なくとも一つのアパーチャとの間の流体連結を遮断又は許容するように構成される。
【0065】
少なくとも一つのアパーチャは、プリントヘッドからの突出部内に形成され得る。
【0066】
プリントヘッドの厚さは、好ましくは50から500マイクロメートルの間である。プリントヘッドの厚さは、そこを通るノズルを含む第一の層からビアを含む第二の層までの全ての層を含む。
【0067】
一実施形態では、有機蒸気ジェット堆積システム300が提供される。図3は、プリントヘッド310及び取り付け部を含むOVJPシステム300の斜視図を示す。システム300を実際に製造し作動させた。システム300は、フローチャネル及びノズルアレイを含むプリントヘッド310を含み、図4から図6により詳細に示されている。六つの有機蒸気源320(“ガス源”とも称される)がマニホールド330に溶接されて、そのマニホールド330は、プリントヘッドに気密的に密閉される。蒸気源用の構造の一つが図17に詳細に示されている。マニホールド330は、プリントヘッドの動作温度においてその形状を維持する物質(コバール(Kovar)制御膨張鋼等)から製造されることが好ましい。プリントヘッド310は、マニホールド330にクランピングされて、且つ高温ペルフルオロエラストマガスケットを用いて密封されて、有機蒸気源320とプリントヘッド310との間の気密シールを達成する。気密シールを達成する他の方法も使用可能であり、コバールバックプレートに対するプリントヘッドの陽極接合等が挙げられる。有機物質は、コバールマニホールドにレーザ溶接された加熱チューブ内に収容されるが、その様子は図17により良く見て取れる。有機蒸気源320は、有機源セルを取り囲む加熱チューブで構成される。このアセンブリは、8インチのコンフラット(Conflat)フランジ(マニホールド330)に取り付けられ、そのコンフラットフランジは、構造部材及びガスフィードスルーの両方の役割を果たす。蒸気発生器は、溶接ステンレス鋼ベローズ340を介してマニホールド上のポートに接続される。ベローズ340は膨張ジョイントとして機能する。有機蒸気源320は、加熱時に膨張し得るので、プリントヘッド310に伝わりプリントヘッド310を変形させ得る熱応力を避けるために、マニホールド330と蒸気発生器320との間のフレキシブル結合が望ましい。
【0068】
蒸気発生器320、ベローズ340、マニホールド330及び関係するフィッティングは、マニホールド330の頂部からプリントヘッド310まで延伸する内径0.3インチの中空の導管を形成する。有機物質は、ガラスロッドの端部においてベントされたカプセル内に配置されて、導管内に挿入される。ロッドが挿入されると、ロッドが含む有機物質は、加熱蒸気発生器の内側に配置される。その後、導管の頂部が、Swagelok Ultratorrフィッティングを用いて、ガラスロッドの外径に対して密封される。ガラスロッドの内径を介して通されたサーモカップルは、蒸気発生器の内側の温度計測部を提供する。キャリアガスは、フィードスルーとUltratorrフィッティングとの間の貫通T字型アダプタ介して導管内に供給される。これらの特徴は、図17により明確に見て取れる。
【0069】
図4は、プリントヘッドの拡大図を示す。プリントヘッドの第一の層410は、複数のアパーチャを含み、それら複数のアパーチャは、図1及び図2に関して説明した寸法を有す得ることが好ましい。第一の層410は好ましくはシリコン製であり、例えば、半導体処理において開発されている既知の技術で所望のノズルの幾何学的形状を含むように容易にパターン化可能である。第一の層410は、その内にアパーチャを有するようにパターン化された複数のノズル415を含む。第一の層410は第二の層420に結合される。好ましい結合方法として、融着、陽極接合、冷間圧接、共晶接合が挙げられる。第二の層420は好ましくは絶縁体製であり、ガス源からの熱伝導を制限し、第一の層410の温度を、ガス源の温度とは独立して制御できるようにする。第二の層420は第一の層410に結合される。第二の層420は、ノズル415と流体連結したビア422を含む。図示されるように、第二の層420内にエッチングされたチャネル424は、ビア422とノズル415との間の流体連結を提供する。オームコンタクト440が、第一の層の前面上に蒸着されて、ノズルプレートが加熱電流によってアドレス可能になるようにする。
【0070】
実際に製造されて堆積システムの一部として用いられたプリントヘッドにおいて、第一の層410はシリコンウェーハであり、第二の層420はボロシリケートウェーハであり、二つの層は陽極接合で結合された。図5は、実際に製造された第一の層510及び第二の層520の写真を示す。
【0071】
第一の層410は、第二の層420内のチャネルの代わりに又はこれに加えて、ビア422とノズル415との間において第一の層内部の流体連結を提供するチャネルを含み得る。第一の層410は、加熱コンタクト440等の熱源を更に含み得る。
【0072】
第三の層(図示せず)が、第一の層410と第二の層420との間に配置され得て、第一の層410及び第二の層420に結合され得る。好ましい結合方法は、上述の通りである。この場合、第一の層410は、第二の層420に“結合されている”とされる。第三の層は、層410及び/又は420のチャネルの代わりに又はこれに加えて、ビア422とノズル415との間の流体連結を提供するチャネルを含み得る。第三の層は熱源を更に含み得る。
【0073】
図4に示されるように、複数のノズル415は、第一のガス源等の単一のガス源と流体連結し得る。これを達成する方法の一つは、チャネルがビアを複数のノズルに接続するようにすることである。
【0074】
図6は、チャネル610及びビア620を含むマスク600のプルーフを示す。図6の構造は、例えば、ボロシリケートウェーハに適用可能であり、図4の第二の層420として使用される。応力を低下させるために、鋭角は避ける。チャネル610は、放射状に配向されて、緩やかな曲率が与えられて、応力集中を更に低下させる。チャネル610は、三つの流体回路を形成する。回路612は、共通のホスト内の二つの異なるドーパントが、別々のノズルアレイ内に供給されるようにする。回路614は、ホスト及びドーパント物質が、ノズルアレイから放出される前に混合するようにする。回路616は、単一の源からノズルアレイに物質を供給する。
【0075】
図4から分かるように、複数のガス源が、プリントヘッドに気密的に密閉され得る。図6から分かるように、チャネルを用いて、多様な方法で複数の源からガスをルーティングすることができる。例えば、プリントヘッドに気密的に密閉された第一及び第二の、又は第一、第二及び第三のガス源の各々が、各自の別々のノズルアレイと流体連結し得る。このようになるのは、例えば、図6の構造が、回路616と同様の三つの回路を含むように調節された場合である。この場合、第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第二のガス源を更に含み得る。第二の層の第一のビアは、第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結し得る。第二の層は、第二のガス源及び第一の層の第二のグループのアパーチャと流体連結した第二のビアを更に含み得る。第一のデバイスは、プリントヘッドに気密的に密閉された第三のガス源を更に含み得る。第二の層は、第三のガス源及び第一の層の第三のグループのアパーチャと流体連結した第三のビアを更に含み得る。
【0076】
異なる複数のガス源に接続された複数のビアは、同一のアパーチャと流体連結し得て、アパーチャにおいてガスの混合が得られる。回路612、614及び616によって示されるように、異なる複数の源からの一、二、三又はそれ以上のガスがこのようにして混合され得る。例えば、第一のビアが、第一の有機源と流体連結され得る一方で、第二のビアが、第二の有機源と流体連結される。第一及び第二のビアは両方とも第一の層の第一のグループのアパーチャと流体連結され得る。プリントヘッド、第一の有機源及び第二の有機源の各々は、独立的に制御可能な熱源を有し得る。
【0077】
プリントヘッドの回路内において異なる複数の源からのガスを混合することに加えて、ガス源(第一のガス源や他のガス源等)は、同一の蒸発チャンバ又は異なる複数の蒸発チャンバからの複数の有機物質を含み得る。しかしながら、プリントヘッドにおける混合は、有機物質が昇華する各チャンバ内における温度及びガス流等のパラメータを別々に制御することに関する最大の柔軟性を可能にする。これは、例えば、二の有機物質が顕著に異なる昇華温度を有する場合に非常に望まれるものになり得る。昇華速度はより簡単に制御可能である。更に、昇華温度が劇的に異なる場合、一の物質を昇華させるのに望ましい温度は異なる物質に対しては弊害をもたらし得る。
【0078】
図7は、実際に製造された矩形ノズル740の断面700を示す。ノズル740は、シリコン製の第一の層710内に形成された。第一の層を形成するのに用いたシリコンウェーハは、突出部を可能にするために最初は50マイクロメートルよりも厚いものであったが、最終的な厚さは50マイクロメートルであった。ノズル740は、第一の層710からの突出部720内に位置するアパーチャ730を有する。アパーチャ730は20マイクロメートルの最小寸法を有する。突出部720は第一の層710から50マイクロメートル突出している。ノズル740は基板に近接して使用されることが意図されており、ノズル‐基板の離隔距離は略5マイクロメートルである。突出部720は、ノズルから放出されたガスが、第一の層710の縁までずっと5マイクロメートルの厚さの空間を通って伝わる必要無く逃げることができるようにする。ノズル壁と第一の層710の平面との間の角度は54.74度であり、KOHによるSiの<100>平面の選択的エッチングを含む既知のシリコンエッチング技術を用いて容易に達成される。図7は、走査型電子顕微鏡で視たSi内にエッチングされたノズルインレットを示す像750も示す。
【0079】
図8は、完成品のプリントヘッドのノズル側の写真800である。ノズルアレイ802は、写真中央の高アスペクト比の矩形のアレイである。バンパ804は暗い四角形として見える。より大きなバンパがノズルアレイから離れて配置される一方で、より小さなバンパがノズルアレイ802の近くに配置されて散在している。バンパ804は、堆積中に基板‐ノズルの所望の間隔を維持するのに役立つ。バンパ804は、研究室レベルでは有用であるが、商業的な実施においては存在しても存在しなくてもよい。変位センサ窓806も示されている。変位センサ窓806は、ノズルの使用時に基板を見る方法を提供し、また、例えば、基板/ノズルの間隔を測定する方法や、位置合わせマーク又は基板上の他のフィーチャに基づいてノズルを位置決めする方法を提供する。図8は、ノズルアレイ802の一部の走査型顕微鏡写真(SEM,scanning electron micrograph)も示す。図8は、ノズルアレイ802のノズルアパーチャのSEMも示す。
【0080】
図5から図8に示される構造を実際に製造した。プリントヘッドは二つの結合ウェーハ(第一及び第二の層)で構成される。最底のウェーハはノズルプレートであり、厚さ100μmのシリコンであり、図7及び図8に示されている。計128個のノズルがプレート内にエッチングされる。ノズルは、20μm×200μmの寸法の底部アパーチャを有し、長軸は、細いラインを形成するように基板の進行方向に対応する。アパーチャの最小寸法は20μmである。ノズルは、四つのバンク内に32個ずつ配置されて、一部のバンクは、互いにオフセットされて、複数の隣り合ったストライプの印刷を可能にする。各バンクは、異なる有機蒸気処方を同時に堆積させることができる。異方性エッチングは、アウトレットよりもはるかに幅広のノズルインレットを形成する。プリントヘッドの下側(基板に面する側)はエッチングバックされて、ノズル先端及び他のフィーチャがウェーハ表面を超えて隆起されるようにする。隆起したノズル先端は、ノズルが基板の近くにされる一方で、キャリアガスがプリントヘッドと基板との間のギャップにおいて容易に逃げることができるようにする。ノズル周辺の隆起バンパは、ノズル先端を、基板にぶつかることから保護する。ノズルプレートは、光学窓に移植されて、基板に対する相対的な位置を測定する光学変位センサの組み込みを可能にする。
【0081】
図5及び図6に示されるチャネル及び絶縁体層(第二の層)は、厚さ500μmのボロシリケートガラス製である。ノズルは、ノズルプレートに面するガラスウェーハの側面内にエッチングされた深さ100〜200μmの流体チャネルによって供給される。チャネルは、ウェーハの厚さ全体にわたって延伸するビアを介して供給される。チャネル層及び絶縁体層が結合される際、三つの流体的に独立した流体回路の組が形成される。蒸気は、六つのビアのいずれかを介して供給可能であり、回路レイアウトに従ってノズルから出て行く。
【0082】
図5から図8に示されるプリントヘッドが、図3に示されるような有機蒸気ジェット印刷システム300内に組み込まれた。図3に関して述べたように、プリントヘッドはコバールマニホールド上に存在する。プリントヘッドは、カスタムカットのゴムガスケットでマニホールドに対して密閉されて、ステンレス鋼及びインコネル(Inconel)クランプで適切な位置に保持される。カルレッツ(Kalrez)等の高温ゴムがガスケット用に使用可能である。コバールバックプレーンにプリントヘッドを陽極接合する等の他のパッケージング方法も使用可能である。金属バックプレーンは、プリントヘッドに対してよりロバストな密閉表面を提供すると考えられる。
【0083】
基板ギャップに対するノズル及びプリントヘッドの影響は数学的にモデル化可能である。プリントヘッドを介して基板ギャップに向かうキャリアガスの流れは、非圧縮性の粘性流に対する潤滑近似を用いてモデル化可能である。流れの非半径方向の成分は全て無視される。流れを定める特徴長さは、プリントヘッドから基板までのギャップhである。この長さに対する圧力変動は無視できて、半径方向の寸法に対するガス膨張は、理想気体の法則を用いて近似可能である。蒸気流の平均速度は、式II.A.1によって与えられる。μは粘度、Pは圧力、Tは温度、Rは理想気体定数、rは半径、Jはモル流量である。
【数1】
これは、微分方程式の式II.A.2として表現可能であり、解くことができる。添え字i及びoは、入力条件及び出力条件を示す。
【数2】
外側半径が50mm、内側半径が10mm、キャリアガス速度が2.5×10−5kg/m×s、モル流量が2sccmに等しく、プリントヘッドの外縁における圧力が無視できるとすると、ディスクの内側に対する圧力は略3500Paである。
【0084】
直感的に、最大の圧力降下は、ノズルの下方先端と基板との間のギャップ中において生じる。このギャップの下流端が3500Paにあるとすると、内部のガス分子は、3.5μmの平均自由行程を有する。壁に対する粒子の衝突は、この方式に従う傾向にあり、クヌーセン流として取り扱うことができる。非特許文献1の遷移確率法を用いて、二つの領域間の分子流の流量が、式II.A.3によって与えられる。ここで、Jは分子流の流量であり、Tは温度であり、Pは圧力であり、mはキャリアガスの分子量であり、Aはチューブの面積であり、wは遷移確率である。非特許文献2では、長さ対高さの比が4:1である幅広の矩形導管に対してw=0.533と計算されている。
【数3】
【0085】
ダイレクトシミュレーションモンテカルロ法による可能なノズル設計の調査は、内側及び外側のテーパを備えたノズル設計が、高解像度堆積用に最適な流れパターンを生じさせることを示唆している。流体抵抗は、0.0021sccm/Paのコンダクタンスを予測し、上記解析モデルと良く一致する。20μm×200μmの断面の矩形のノズル先端が推奨される。推奨されるノズルから基板までの間隔は3から5μmである。32個以上のこのようなノズルがアレイ内に配置可能である。大型ノズルアレイは、蒸気発生器と基板との間の圧力差を低減するので、有用である。結果としての堆積プロファイルは、18μmの半値全幅を有すると予想される。堆積は、40μm以内においてその中心線の値の10%にまで低下すると予想され、隣接画素に顕著に入り込むことなく、30μmで縁取られた30μmの画素内に正確に堆積させることができる。予測堆積プロファイルが、20μmの幅のアパーチャ及び5μmの先端から基板までのギャップの二重テーパ化ノズルに対して、実線として図9に示されている。高さは任意単位である。画素幅にわたってプロファイル平均に等しい高さの理想的な画素充填堆積プロファイルが破線で示されている。
【0086】
図10は、20μmの幅のアパーチャ及び5μmの先端から基板までのギャップの二重テーパ化ノズルに対して、モデル化圧力プロファイル1010及びモデル化温度プロファイル1020を示す。ノズル本体によって生じる障壁は、断面図における暗い領域である。これらプロファイルは対称的であり、ノズルの半分のみを示せば関連する情報が捉えられる。
【0087】
満足の行く堆積プロファイルは、ノズルの内側テーパに適合するようなノズルの外側テーパが無くても、達成可能であるが、これはあまり好ましくない。何故ならば、シミュレーションのノズル構造の伝導性が五倍低下するからである。その影響は、ノズルからプリントヘッドの縁までのガスの出口経路の減少を考慮すると、より強調される。所望の流量を生じさせるのに必要な圧力は、蒸気流中の有機物を希釈化して、プリントヘッドと基板との間の熱伝達を増強する。これは、理想的ではない動作方法である。しかしながら、下側テーパを有さないプリントヘッドも、有効的な堆積ツールであることが実証されていて、テーパ化された下側を有するプリントヘッドよりも製造が簡単であるので、使用可能である。
【0088】
内側テーパが省かれると、酷くではないが、動作圧力が増大する。しかしながら、興味深いことに、堆積プロファイルは、図9に示される二重ピーク構造を取る。最適化されたメサ状の堆積プロファイルを生じさせるように内側テーパを最適化することができる。プラズマエッチングを用いて、多様な幾何学的形状を形成することができる。
【0089】
蒸気発生器及びチャネルアレイを通る流れも、数学的にモデル化可能である。短い断面寸法h及び大きな断面寸法wを有する矩形の導管に対する体積流量を、非圧縮性ナビエストークス方程式から導出された式II.B.1を用いて計算する。そして、理想気体の法則を用いてモル流量に変換する。μは粘度であり、xはチャネルの軸方向寸法であり、下流方向において正である。P及びTはチャネル内の圧力、温度である。Rは理想気体定数である。
【数4】
ノズルアレイは、それをセグメントに分解して、キルヒホッフの電流法則と同様の推論を適用することによって、分析可能である。ノズルを介する圧縮性層流は一般的に、Qmol〜P2とスケーリングする。しかしながら、非常に短い長さスケールに起因して、ノズル自体を介しては、Pと線形にスケーリングする。ダイレクトシミュレーションモンテカルロコードを用いて、I.B.2で排除された幾何学的形状のノズルに対してC=5.4×10−11mol/(Pa×s)との損失率を見積もった。図11は、ノズルアレイの回路分析において用いたモデルを示す。流体抵抗を見積もって、アレイ内の全てのノズルに対する蒸気の均等分布を検証した。
【数5】
【0090】
32個のセグメント後において、0.2%以下の圧力変化が予想される。ノズルを介する圧力駆動流は、アレイに沿って一定であると予測される。
【0091】
蒸気発生速度は、式II.B.5によって近似可能であり、ここで、Pは、蒸気発生セルの圧力、P*は、セル内の有機物質の平衡蒸気圧であり、qはキャリアガスの流量、セルを出て行く有機物質の量である。γは、発生器から流出する蒸気の飽和度を示す効率パラメータである。これは、よく設計されたシステムでは1(単位元)に近い。OLED物質の蒸気圧は、以前のOVJPの研究から見積もることができる。以前のシステムでは、8Torrで5sccmのキャリアガスを用いて、飽和CBP蒸気をノズルに向けて源セルの外に掃き出した。その設備は、2000Å/sの堆積速度を可能にし、これは、2×1014分子/sの蒸気発生速度、及び800μTorrのCBP蒸気圧を意味する。
【数6】
【0092】
40Torrの動作圧力におけるCBP蒸気発生器を介する4sccmのキャリアガスの流れを仮定すると、略3.3×1013分子/sが得られる。これは、ノズルアパーチャの下における900Å/sの堆積速度を意味する。そして、これによって、0.6mm/sの書き込み速度が予測される。キャリアガスの流量は、これらの見積もられた条件から顕著に低下していて、典型的には、1sccmの流れ及び10Torr以下の圧力である。この変化にもかかわらず、略1mm/sの互角な書き込みスピードが観測された。
【0093】
蒸気発生器中の有機ボートのモデル化では、有機物がベントされたカプセル内に貯蔵されていて、ベント上を移動するキャリアガスによって対流させられると仮定する。この場合、有機蒸気及びキャリアガス混合物は、95%の飽和条件で蒸気発生器を出て行く。キャリアガスの別々の希釈流は、有機物質を下流に進めるのに必要ではないと予想される。更に、有機蒸気は、モル分率に関して既に十分に希釈されている(〜0.004%)。更なる希釈は、単に圧力降下を増大させるだけで性能を改善しない可能性がある。
【0094】
有機蒸気源セルを介する流れが停滞すると、有機物質は、上流に移動して源セルを取り囲むチューブのより冷たい領域に向かうことによって、逆流し得る。有機蒸気源セルが4sccm、40Torr、300℃に維持されるとすると、5cmの加熱領域が、COMSOLでのモデル化に従って、有機物質の逆流を防止するのには十分である。動作条件は、これら初期予測条件とは顕著に異なり得るが、有機物質の顕著な逆流は観測されなかった。
【0095】
また、有機蒸気ジェット堆積システム全体にわたる温度をモデル化するために、熱分析も実施し得る。
【0096】
プリントヘッドの温度をモデル化し得る。大面積のコンタクトを用いて、プリントヘッドに対する直接的なオーム加熱電流を印加することによって、均一な加熱が達成可能である。必要であれば、プリントヘッドの伝導率を、その下に適用されたTi又はNiの追加の薄層によって、補うことができる。Siは優れた熱伝導体であり、ボロシリケート層は、金属バックプレーンに対する熱伝達を低減するのに役立つ。実験によって、実際に形成された幾何学的形状に対して、プリントヘッドが、冷却基板に近接する際に300℃の動作温度に達するまで加熱するのに略40から60Wを要することがわかった。多数の点におけるプリントヘッド温度の直接測定は未だ実現可能ではないが、空気中での低電力測定は、温度がプリントヘッドにわたって均一であることを示唆している。プリントヘッドに対する加熱電流は、連続可変な出力での孤立DC電源によって駆動される。オン/オフ制御によって生じる時間領域熱応力、及び非孤立電源からのアーク放電の危険性の両方を排除するためには、このようにすることが望ましいことが分かっている。
【0097】
良い近似に対しては、COMSOLでのモデル化は、温度がチャネルに内在する領域における断面に沿っても均一であると予想されることを示す。
【0098】
基板の温度もモデル化可能である。温度制御基板チャックに対するOLED成長についての本発明者の研究室における以前の非公表の研究では、結果物のデバイスに対する性能の重大な損失無く、フィルムが略360Kで成長可能であることが示されていた。これは、基板表面に対する略最大の望ましい温度仕様であるとみなすことができる。モデル化に基づく、幅20mmのノズルの近傍における基板に対する熱伝達プロファイルが図12に示されている。計算に用いられたノズルは、幅20μmで、先端から基板までのギャップが5μmの二重テーパ化ノズルである。距離はノズルの中心線からのものである。モデルの結果は、解析的な見積もりと良く一致している。
【0099】
図12に見て取れるように、ノズル自体は、40W/cm2の熱流速のホットスポットを生じさせる。これは、15W/cm2の平均熱流速に匹敵する。ホットスポットは比較的小さいので、周囲の基板(ヒートシンクとして機能する)と比較して穏やかな温度上昇しかない。COMSOLでのモデル化は、ホットスポットにおけるわずか略20Kの安定状態温度上昇を予測する。こうした個々のホットスポットは管理が容易であるが、多数のこうしたホットスポットからの全体的な熱負荷は高い。基板表面を360K以下に保つのに十分なガラス基板を介する熱伝達を駆動させるためには、液体窒素冷却が好ましいものとなり得る。このため、OVJPシステムには、基板ホルダを150K以下に冷却することができるLN2供給システムが備わる。この構成によって達成される低い基板温度での有機物質の堆積は、物質移動を低減させて、フィーチャのシャープネスを改善するという更なる利点を有する。
【0100】
蒸気発生器での熱伝達もモデル化可能である。蒸気発生器の熱伝達モデル化は、固体及び流体成分の両方を有する。キャリアガスは、発生器のベースの有機源ボートと接触する前に有機昇華温度に急速加熱されることが好ましい。COMSOLでのモデル化は、短い特徴長さ、及び低減された圧力でのガスの比較的高い熱伝導率の組み合わせに起因して、このことが極端に急速に生じることを示す。環境と源セルの加熱領域との間の壁温度の鋭い遷移を仮定すると、わずか4mmの遷移長さが、ガスを加熱するのに必要である。
【0101】
熱伝達の固体成分の問題は、この遷移がどれ位鋭いものであるのかを定量化することを含む。源セルチューブは、一次元問題としてモデル化可能である。チューブは薄い壁のものであるので、半径方向の温度勾配は最小である。更に、チューブの成分は、最小の熱質量を有するものと仮定され、その仮定は、キャリアガスの短い熱遷移長さによってサポートされる。これらの仮定に対して黒体輻射を考慮した熱方程式は式II.C.1によって与えられる。
【数7】
ここで、kは金属チューブの熱伝導率であり、τはチューブの厚さであり、Tcはチャンバ温度である。
【0102】
30mTorrのチャンババックグラウンド圧力を仮定すると、源セルは、h=5.4W/m2Kの残留チャンバガスでの熱伝達率を有する。黒体放射項を線形化した後に、式II.C.1を式II.C.2に変換することができる。この式の特徴長さは2cmであり、加熱領域と非加熱領域との間における蒸気発生器チューブの温度勾配の長さの概算を与える。従って、加熱チューブの最小長さは、有機蒸気源を通過して流れる前に、ガスを温めることが必要とされる。
【数8】
【0103】
プリントヘッドの機械的変形もモデル化可能である。プリントヘッドの変形の考えられる二つの原因は識別されている。不均一な加熱及び熱膨張の違いによる熱誘起応力は、プリントヘッドを曲げ得る。比較的大きな圧力差が、チャネルのベースを形成するノズルプレートの部分にわたって存在し得る。こうした変形の長さの適切な見積もり及びこれを最小化する設計が、印刷中に平坦なままであるプリントヘッドを得るのに望まれて、また、正確な印刷に望まれる。
【0104】
圧倒的に顕著な変形がプリントヘッドウェーハスタック中の熱応力によって生じると考えられる。熱応力に起因する垂直偏向を、COMSOLのMEMSの熱構造相互作用パッケージを用いてモデル化した。ウェーハスタックを円柱座標系でモデル化した。室温における完璧な平坦性を仮定すると、薄膜ヒータが作動する際に、ウェーハスタックは、プレートの中心が外縁よりも20μm下がるように下方に弓なりになると計算される。Flexus薄膜応力測定装置に対するプリントヘッドプロトタイプの測定は、ウェーハの中央が外縁よりも10μm高くなるような曲げを明らかにした。
【0105】
図13は、温度の関数としての外縁に対する相対的なウェーハの中心の高さのプロット1310と、データを得るために用いた設定の概略1320を示す。単一ウェーハに対するデータは正方形で示され、プリントヘッドスタックに対するデータはダイヤモンドで示されている。概略1320は、ボロシリケート層1324及びSi層1322を示す。10μmのオーダでの変位はノズル間隔に対して顕著なものであるが、ノズルアレイ自体にわたる平坦性は略2μmであると予想される。数が少ないのは、ノズルが基板の中心付近において比較的近くで一緒にあり、ウェーハが変形する際にグループとして動くからである。ノズルアレイが下方に曲がるので、プレートはノズルの位置決めを妨害せず、ノズルを任意の近さに持っていくことができる。ノズル自体は、基板の曲率を最小化するためにど真ん中に配置され得る。非接触高さセンサが、適切に較正された際に、動作温度におけるノズル先端と基板との間の相対的な距離を測定することができる。熱による曲げは、誤差の最大の源であると予想されるが、管理可能なレベルで保持可能な誤差の源である。
【0106】
図3に示されるシステムに対して、蒸気発生器自体は、加熱に応じて最大200μmまで伸びると予想される。これがプリントヘッドを歪ませることを防止するために、蒸気発生器を、図3に示されるようなベローズによってフランジに接続し得る。これによって、フランジがプリントヘッドを押すことを防止する。
【0107】
ウェーハ変形に対する圧力差の影響も考慮した。均等に分布した負荷に応じての短軸断面における膜の最大の曲げは、非特許文献3に基づく式II.D.2によって与えられる。これは、重調和応力方程式の結果でもある。上記同様に、wは垂直変位であり、Pは圧力負荷であり、Eはヤング率、tはプレート厚さである。Lはプレートの幅である。厚さ50μm、幅1mmのSi膜は、10000Paの最悪のクロス膜圧力差に応じて40mm弓なりになると予想される。しかしながら、これも顕著な変形ではなく、膜の厚さに対する変形の三乗の反比例の依存性は、より薄くてリジッドなノズルプレートに対して膜がはるかに変形可能になることを意味している。しかしながら、こうした変形も管理可能であると考えられる。
【数9】
【0108】
上述のように、プリントヘッドの変形に対処する方法の一つは、ノズルの位置を測定することである。何故ならば、プリントヘッドの残りの部分に対する大きな変形が存在したとしても、比較的小さなノズルアレイに対する変形は小さなものであり得るからである。このため、Philtech RZ‐25デモンストレータモデルを入手して、ITOガラスターゲットに対してテストを行った。センサは光ファイバの束で構成される。一部ファイバが発光し、他のファイバが受光する。発光ファイバと受光ファイバとの間の結合の程度は、束と反射ターゲットとの間の距離によって決められる。RZシリーズセンサは、ターゲットの反射率の差を補正するように並列で動作する二つの別々の束を特徴とする。
【0109】
信号は1mVに安定していて、0.008V/μmの線形応答を仮定すると、250nmの正確性を得ることができる。宣伝されている正確性は200nmである。センサの線形範囲は、ITOの透明度、及び遠方表面からの反射強度によって明らかに制限される。ITOターゲットが反射表面上に存在していると、センサは適切に動作しない。ITOターゲットがマットブラック表面上に取り付けられると、線形範囲が略300μmに広がる。これは、宣伝されている値の略半分である。不透明ターゲットから測定する際に、完全な線形範囲を得ることができる。こうした問題を他の測定方法を用いて補償し得る。センサの範囲が制限されているが、300μmは、ステージの上昇の精密な制御用には十分に適切なものである。非反射基板ホルダが好ましい。図14は、ITOターゲット上のPhilTech RZ‐25変位センサの較正に対する変位対電圧のプロットを示す。
【0110】
図15は、微細加工用のシリコンウェーハ及びボロシリケートウェーハを準備するプロセスフローを示す。シリコンオンインシュレータ(SOI,silicon on insulator)ウェーハ1510は、Ultrasil社(カリフォルニア州ヘイワード)から入手可能である。SOIウェーハ1510を用いて、ノズルプレートを作ることができる。受け取ったときにおいて、ウェーハは直径100mmであり、厚さ100μmのSiデバイス層1516が、1〜3μmのSiO2酸化物層1514によって、厚さ315μmのSiハンドル層1512から分離されている。両面研磨(DSP,double side polished)の直径100mmで厚さ500μmのボロシリケートガラスウェーハ1550は、University Wafer(マサチューセッツ州ケンブリッジ)から入手可能である。
【0111】
四つのフォトリソグラフィで形成したパターン全てに対するマスクは、LNFマスクメーカ及び、クロムマスクを現像するためのSOPを用いて形成する。フォトリソグラフィ処理を開始する前に、LPCVD Si3N4ハードマスク層1522を、ウェーハ1520に示されるように、SOIウェーハの両面に成長させる。同様に、20nmCr/500Au/20nmCr/500nmAuのハードマスク層1562を、ウェーハ1560に示されるように、エッチング準備に備えてボロシリケートガラスウェーハの両面に堆積させる。
【0112】
図16は、プリントヘッドを製造するのに用いられるSi及びボロシリケートの処理のステップを示す。
【0113】
Siの処理は以下の通りである。図15のSOIウェーハを覆うSi3N4層を、SPR220フォトレジストを用いてノズルインレットマスクでパターン化する。そして、ノズルインレット上のSi3N4層を、150s深堀り反応性イオンエッチングでエッチングする。そして、ウェーハを、85℃の50重量%のKOH溶液で100分間エッチングして、ノズルの内側テーパ化表面を形成する。このステップの結果がウェーハ1630に示されている。変位感知及び光学位置合わせ用のノズルプレートの窓も、この時に切られる(図示せず)。SOIウェーハの絶縁体層は、各ノズルのアウトレットを形成するエッチングストップを形成する。そして、Si3N4層を、反応性イオンエッチング又は熱いリン酸エッチングのいずれかで除去する。このステップの結果がウェーハ1640に示されている。
【0114】
ボロシリケートの処理は以下の通りであり、非特許文献4のものを採用した。図15の金属化ボロシリケートガラスウェーハの両面を、10μmのAZ‐9260レジストでコーティングして、一方の面上のチャネルパターン及び他方の上のビアパターンでフォトリソグラフィでパターン化する。そして、金属ハードマスクを、4分間のTransene GE‐8148金エッチング剤及び、30秒間のCyantek CR‐14クロムエッチング剤の交互のディップでエッチングする。これらのステップの結果がウェーハ1610に示されている。ウェーハのビア面は、エッチング剤から保護するために、パラフィンワックスで焼成ウェーハに取り付けられる。チャネル面は露出される。チャネルが100μmにエッチングされるまで、ウェーハを49%のHF溶液に浸漬させる。エッチング深さをスタイラスプロフィロメータを用いて検証する。所望の量のエッチングが略15分間で達成された。ウェーハをその背面から除去して、熱いトリクロロエチレンで洗浄する。そして、チャネル面を、ワックスで焼成ウェーハに取り付けて、ビアを、HF溶液を用いてエッチングする。このエッチングはウェーハを貫通する。所望の量のエッチングが略一時間で達成された。そして、ウェーハを、熱いトリクロロエチレンで洗浄して、金属マスクを、金エッチング剤及びクロムエッチング剤で除去する。これらのステップの結果がウェーハ1620に示されている。図示される断面は、両端にビアを有するチャネル示すが、チャネル、ビア、又は両者が存在しないウェーハの他の領域が存在することは理解されたい。
【0115】
陽極接合を用いて、プリントヘッドの異種層を結合させる。説明される結合順序は、陽極接合プロセスの電気化学的性質に起因してこの特定の実施形態に対して好ましいものである。陽極接合を用いて、ナトリウム含有ガラスを金属又は半導体に接合させることができる。300〜400℃に加熱されると、ガラス中のNa+が移動できるようになる。略1000Vの電位が、金属層の下のアノードからガラスの上のカソードに印加される。ガラス中の移動性キャリアは、界面から離れて移動して、逆帯電した空乏領域を去る。カチオンの運動は、ガラス中のダングリング酸素原子が自由に金属界面を酸化させるようにして、二つの物質の間の化学結合を形成する。陽極接合については、非特許文献5、非特許文献6に説明されている。
【0116】
ウェーハ接合ステップは以下の通りである。ボロシリケートウェーハ及びSiウェーハを、ピラニア洗浄を用いて、結合用に準備する。その後、Siウェーハを希釈HFに浸漬させて、表面酸化物を除去する。そして、ウェーハを目視で揃えて、Suss SB‐6 Bonderに配置する。ウェーハを、1000Vの電圧を20分間印加することによって、400℃の温度の真空中で結合される。このステップの結果はウェーハスタック1650に示されている。正電位がSi側に印加される。一実施形態では、ボロシリケート層の背面が、陽極接合を用いて、コバールバックプレートに結合され得る。これは、よりロバストな密閉面を備えたプリントヘッドを提供し得る。
【0117】
結合されると、Siウェーハのハンドル層が除去される。ウェーハは、パラフィンワックスでアルミニウムチャックに取り付けられる。そして、ウェーハを、90%HNO3、9.5%HF及び0.5%CH3COOH貯蔵溶液の三重エッチング剤に浸漬させる。ウェーハを連続的に回転させて、エッチングバスをN2に晒して、均等なエッチングを保証する。所望の量のエッチングが略50分間で達成され、SiO2エッチングストップが見えるまでエッチングで処理することができる。SiO2に対するSiの三重エッチング剤の選択性の悪さのため、エッチングを即座に停止させることが好ましい。ウェーハは、チャックから取り外されて、残留ワックスを、熱いトリクロロエチレンで溶解させる。三重エッチング剤はSiO2に対してSiを強く選択するわけではないので、より選択的な最終ステップが好まれる。SiO2エッチングストップ上の残留Siは、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE,deep reactive ion etching)で除去される。DRIEは、三重エッチング剤よりもはるかに遅いので、全てのSiを除去するもの用いられるものではない。
【0118】
ハンドル層を除去した後に、SiO2で覆われたウェーハの下面を、AZ‐9260フォトレジストでコーティングして、プロセスの最後において隆起させる領域がレジストで覆われるようにパターン化する。露出されたSiO2を、反応性イオンエッチング(RIE)で除去する。このステップの結果はウェーハ1660に示されている。非隆起部分を、DRIEで40から50μmエッチングする。このエッチングの完了は、プロフィロメータによってモニタリングされる。このステップの結果はウェーハスタック1670に示されている。
【0119】
その後、フォトレジストを剥がして、残留SiO2ハードマスクを、RiEで除去する。このステップの結果はウェーハスタック1680に示されている。800nmのAl、50nmのPt及び500nmのAuで構成されたオームコンタクトを、ウェーハの両側に蒸着させて、加熱電流によってウェーハをアドレス可能にする。元々のSiが良好な加熱に十分な伝導性のものでないならば、追加の薄いTiブランケットコーティングをノズルプレート上に追加することができる。最後に、Cu箔リードを、高温伝導性エポキシで電極に取り付ける。
【0120】
製造した通りのOVJPプリントヘッド及び蒸気発生器の一般的な構造は以下の通りである。有機源は、真空チャンバ内に延伸しその遠方端において加熱されるチューブ内に挿入されるガラスストークの端部に貯蔵される。このシステムは、高温シールを断絶して、複雑なアセンブリを外して、物質を再充填しなければならないという問題を排除する。OVJPは、OVPDよりもはるかに高い圧力及び低い流量で動作して、これは、高い蒸気滞留期間につながり得る。有機蒸気源とノズルアレイとの間の体積は、不必要な体積を排除するために可能な限り短くされる。モデル化によって示されるのは、この長さスケールでは、別々の源流及び希釈流は有用ではないということである。結果として、こうした特徴を追加することは容易ではあるが、これらは明示的には提供しなくてよい。
【0121】
一実施形態では、OVJPシステムのフォームファクタは、8インチのConFlatポートに取り付け可能である。
【0122】
ヒートブートを、まずContonics Resbond919高温セラミック接着剤の薄いコーティングでステンレス鋼チューブをコーティングすることによって製造する。コーティングされた領域は幅2インチであり、チューブの先端から0.125において始まる。このコーティングは、抵抗表面を提供し、その上にニクロム線が巻かれる。直径0.005インチの50巻きのワイヤが、ヒータに220Ωの抵抗を与える。巻かれると、ヒータを、Resbond919の他のコーティングで密閉して、一晩硬化させる。放射率を低減させることが望まれるのであれば、チューブをAgでメッキすることができる。この自家製ヒータは小型で強力であり、ファイバガラスで絶縁されたヒートテープのように微粒子を発生させない。市販のヒートテープとは異なり、セラミックは、硬化するとガスを放出しない。
【0123】
図17は、OVJPフィードスルーの拡大図を示す。二つの有機蒸気源が簡単のため図示されているが、より多数の源が使用可能であり、図3に示されるような六個、又はそれ以上が使用可能である。マニホールド1710は、フィードスルーとして機能して、そこを介して、ガスがプリントヘッドへと伝わり、また、そこを介して、堆積中にはプリントヘッドの直ぐ近くに配置される有機源ボートを、容易に取り外して、熱シールを壊さずに取り替えることができる。図3に示されるようなプリントヘッドに繋がるチューブ1720は、マニホールド1710から延伸している。ガスフィード1730がチューブ1720に取り付けられ得る。ガスフィード1730は、ガス用のポート、及び源ボートの通路用のポートを含み得る。Ultratorrフィッティング1740は、ガスフィート1730に取り付けられて、容易に破壊及び置換可能な気密シールを提供し、そこを介して源ボートを通過させることができる。有機源ボート1750はストーク1760上に配置される。ストーク1760は、源ボート1750がプリントヘッドに近接するまで、Ultratorrフィッティング1740、ガスフィード1730、チューブ1720及びマニホールド1710を介して挿入されて、更には、例えば図3のベローズ340及び関連するチューブまで延伸され得る。Ultratorrフィッティング1740がシールを提供する。
【0124】
OVJPシステムを製造するのに用いた具体的で非限定的な物質及び寸法は以下の通りである。マニホールド1710からの0.375インチ鋼チューブ1720が、SwegelokのT字型チューブフィッティング(ガスフィード1730)で終端する。Swegelok Ultratorrフィッティング1740をT字型フィッティングの遠い方の分岐に固定する。その先端に有機ボート1750を含む長いガラスストーク1760を、Ultratorrフィッティング1740を介して挿入する。ストーク1760は、プリントヘッドまで延伸する。キャリアガスは、T字型チューブフィッティングの真ん中の接続部から蒸気発生器内に供給される。
【0125】
OVJPを用いてパターン化有機膜を描くために、ノズルアレイに対して基板を移動させる電動x‐y移動ステージを提供することが好ましい。ノズルアレイの平面及び基板の平面は、システムが良好に動作するために、可能な限り平行で近くに保持されることが好ましい。最良の結果のために、基板ホルダは1cmの線形移動毎に>±1μmの平坦性を有することが好ましい。ベアリングが基板ホルダの下に配置されて、その上を基板ホルダを移動することが好ましい。最も単純な構成は、チャンバ内部の二つの完全な積層リニアアクチュエータである。これらのアクチュエータは、レベル微調整用の二重チルトステージの上に配置可能である。チャンバの排気前に位置合わせを行うことができるので、この制御は手動のものとなり得る。しかしながら、z方向の調整は、高い制御を提供するために電動とされることが好ましい。チャンバ内の空間は貴重なものなので、z方向アクチュエータは、真空リニアポジショナーに組み込まれて、チャンバの外側に取り付けられることが好ましい。手動の回転調整部も同様にチャンバの外側に取り付けられ得る。
【0126】
OVJPシステムには、電動x‐y移動ステージが備わっていることが好ましい。ラインの向きに平行な移動は、真空にひかれたAerotech ATS‐50ステージによって提供され得る。ラインの向きに垂直な移動は、カスタムアクチュエータで改良したNewport光学ステージによって提供可能である。
【0127】
基板ホルダは、アルミニウム製であり得て、非接触高さセンサとの相性のために頂部が陽極仕上げされ得る。基板ホルダは、フレキシブルチューブを介して液体窒素冷却剤が供給される銅冷却ブロックの上に位置する。ホルダは隣接するグローブボックスを介して取り外し可能であり、非酸化環境においてサンプルを出し入れできるようにする。基板、ホルダ及び冷却ブロックの熱接触は、SPI Apezon冷却グリースの薄いコーティングで増強可能である。
【0128】
PhilTech RZ‐25光学変位センサは、プリントヘッド内の窓を見て、基板までの距離を測定し得る。センサは、発光ファイバ及び受光ファイバを備えた光ファイバの束で構成される。二種類のファイバの間の結合は、束の先端と反射表面との間の距離に依存する。センサの先端は、光ファイバホルダによって保持されて、そのホルダは、プリントヘッドをフランジに接続する複数のポールのうちの一つに取り付けられる。センサ信号は、光ファイバ束によって、真空フィードスルーを介してチャンバの外側のセンサに伝えられる。
【0129】
基板上のランドマークでの位置合わせは、基板上のオーバーライトフィーチャに対する位置決めを達成する好ましい方法である。プリントヘッドは、光学位置合わせを可能にするために別々の複数の窓を有することが好ましい。チャンバは、位置合わせを可能にするCCDカメラ、適切なレンズ、照明及びソフトウェアを用いてフィッティング可能である。これらの特徴は現状の設計では存在していないが、周知なものであり、OVJPシステムに容易に組み込むことができる。
【0130】
図18は、位置合わせ光学系及び高さセンサを備えたOVJPシステムの構成を示す。OVJPシステムは、図17に示されるのと同じ特徴を多く有する。更に、図18のOVJPシステムは、光学位置合わせに有用なカメラシステムを含む。カメラシステムは、カメラ1810と、映写レンズ1812と、対物レンズ1820とを含む。適切な開口は、マニホールド及びプリントヘッド内に容易に設けることができる。図18のOVJPシステムは高さセンサ1820も含む。図18の構成は、実行に移されたものではないが、本願の開示に基づいて容易に実行可能である。
【0131】
OVJPシステムは以下のように動作し得る。
【0132】
ノズルは、基板平面と、較正された高さセンサとに対して正方形であり得る。プリントヘッド及び基板の平面は、室温におけるプリントヘッドと、ベントされたチャンバと一致させられる。前後の位置合わせは、レーザレベルと、基板ステージの背面のミラーとを用いて行われる。左右の位置合わせは、プリントヘッドを基板の両側における基板ギャップに対して等しくする隙間ゲージを用いて行うことができる。
【0133】
有機物質は、ボロシリケートガラスストークの先端の源ボート内にさじで入れられる。サーモカップルが、ストークの内径を介して、ストーク及びボートを離隔して且つ適当な位置に締められた制限部まで通される。ストークは、堆積チャンバの頂部のUltratorrフィッティングを介して挿入される。ストークは、その先端がプリントヘッドの3mm以内に来るまで進められる。停止位置は、プリントヘッドに対する損傷を防止するために予め測定されていることが好ましい。
【0134】
基板はベントされたチャンバ内に配置される。ガスフィードラインは、バイパス“耳管”チューブに対して開かれて、そのチューブは、プリントヘッドビアとチャンバとの間の圧力を等しくする。チャンバは排気されて、OVJPは動作温度へとゆっくりと加熱される。OVJPが高真空になると、LN2の流れが、基板ステージに対して確立される。最後に、ガスフィードラインが、耳管チューブから密閉される。
【0135】
レベリング後に、ステージを降下させて、プリントヘッドが加熱するとノズルの空間が下方に移動するようにする。その後、プリントヘッド及び蒸気発生器が動作温度にされる。プリントヘッドと基板とのハードコンタクトは、プリントヘッドに熱負荷の急激な上昇によって、又は、プリントヘッドの使用時における有機源セルの圧力の急激な上昇によって、推測可能である。そして、高さセンサの測定値をゼロにすることができる。
【0136】
略1sccmのキャリアガスが各堆積源内に供給される。有機蒸気源は、内部の物質に応じて、200℃から300℃に加熱されることが望ましい。プリントヘッドは300℃に加熱される。ノズル先端は基板に対して10μmにまで近づける。z方向の微調整は、高さセンサ(未だ組み込まれていない)と共にフィードバックループ内に固定され得る。そうすると、システムは堆積の準備ができていて、そのパターンはx及びyステージモータの動きによって制御される。パターンが印刷されると、堆積は、キャリアガスの流れを打ち切り、耳管チューブに対してガスフィードラインを再び開き得る。
【0137】
堆積の後に、基板をプリントヘッドから離れるように低下させる。プリントヘッド及び蒸気源セルは両方ともゆっくりと冷却される。チャンバがベントされる前に、これら全てが100℃以下にされることが好ましい。冷却されたステージは0℃以上の温められる。
【0138】
好ましい動作条件は、1mTorr以下のチャンバ圧力、及び、−100℃に冷却された基板ホルダを含む。有機蒸気は、ソースビア毎に1標準立方センチメートル毎秒の流量で1から50Torrの圧力の不活性ガスによってプリントヘッド内に押し込まれる。蒸気は、他の源との流れの組み合わせによって、混合又は希釈化可能である。プリントヘッドは、基板表面から略10マイクロメートルに維持される。基板は、0.5から2mm/sの速度でプリントヘッドの下方に移動する。厚さ35nmのアルミニウムトリス(キノリン‐8‐オレート) (Aluminum tris(quinoline‐8‐olate))のラインの光学顕微鏡写真が図19に示されている。好ましい動作条件下において、プリントヘッドは、略幅20μmの有機物質の連続的なラインを描くことができる。図19は、OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQ(アルミニウムトリス(キノリン‐8‐オレート))のラインの光学顕微鏡写真を、二つの異なる倍率(像1910、1920)で示す。これらのラインは、幅10μ以下であると見積もられる外部堆積物の領域によって各辺が囲まれている。このことは、走査型電子顕微鏡(SEM,scanning electron microscope)及び原子間力顕微鏡(AFM,atomic force microscope)の像によってサポートされる。図20は、OVJPプリントヘッドを用いて描かれた厚さ35nmのAlQのラインのSEM像を、二つの異なる倍率(像2010、2020)で示す。図21は、OVJPで描いた厚さ35nmのAlQラインの原子間力顕微鏡写真を示し、高さがグレースケールで示さる二次元図(像2110)、及びAFMを用いたラインの主軸に垂直な厚さのトレース(像2120)が示されている。ラインの幅及び厚さはどちらも、断面AFMトレースから見積もることができる。
【0139】
多重カラーOLEDアレイの高解像度パターン化を提供するため、OVJPは、ライン間の最小ブリーディング(にじみ)で密に画定されたラインで物質を堆積できることが好ましい。ライン間の領域内の有機物質のオーバースプレーの間接測定を行った。
【0140】
一テストでは、非常に厚いラインを、プリントヘッドの下方においてステージをゆっくりと動かすことによって成長させた。これらのフィーチャは、実際の電子デバイスにおいて用いられるものよりもはるかに厚いものであるが、こうしたラインを成長させることによって、オーバースプレーテイル等の僅かなフィーチャを、測定するのに十分に拡大することができた。これらのラインの厚さ断面を、プロフィロメータによって見積もった。堆積が望まれる領域において、ラインは、最大20000オングストローム(2nm)の厚さを有して堆積されていた。測定幅が20μmを超えるラインでは、100nm以下のオーバースプレーテイルが、ラインの縁を超えて10μm延伸している様子が測定された。これらのフィーチャは、OLED内に見受けられるものよりも略100倍厚い。オーバースプレーの厚さが、フィーチャの厚さに比例するとすると、これは、1nm以下のオーバースプレーが描画ラインに近接すると予想されることを示唆している。図22は、これらのラインの像を示し、光学顕微鏡写真2210と、プロフィロメータトレース2220を含む。
【0141】
空間解像フォトルミネッセンスを用いて、薄膜ラインの間の領域におけるオーバースプレーを調べた。厚さ較正測定を、特別に構築したライン走査顕微鏡で行った。このシステムは、AlQトレーサ物質に対して略5μmの解像度及び略2nmの検出閾値を有する。初期走査によって、略5nmのバックグラウンドオーバースプレーが明らかになった。興味深いことに、オーバースプレーの高さは、ラインからの距離、又は最近接のラインの高さと相関しているようには見えない。このことは、オーバースプレーが、実際の印刷中ではなくて開始時に配置されて、開始手順を改善することによって最小化可能であることを示唆している。ラインの厚さは、有機物質源のはるか下流のノズルに対して顕著に減少する。これは、クラック耐性を改善するためにより浅い流体チャネルで特定のプリントヘッドを製造したことに起因すると考えられ、その影響は、より大きなチャネルを用いることによって容易に取り除くことができる。ライン走査データが図23に示されている。図23は、OVJPで描かれたAlQのサンプルからの厚さ補正ライン走査データを示す。
【0142】
ミシガン大学の顕微鏡及び画像分析研究所(Microscopy and Image Analysis Laboratory)のZeiss共焦点落射型蛍光顕微鏡を用いて、より高い空間解像度でオーバースプレーを調べた。この顕微鏡は、ラインスキャナと同様の検出閾値を有するが、その他の点でははるかに有能である。図24は、このシステムを用いて分析したOVJP堆積ラインの領域を示す。ライン間ではほとんど又は全く信号が検出されず、3nm以下のオーバースプレー厚さを示唆している。このツールからの出力は、膜厚さのわかっているサンプルで較正されることが好ましいが、ライン間の領域から信号が無いことは、たとえあったとしても僅かな物質しかこの領域に存在しないことを示唆している。図24は、OVJPで描かれたAlQラインの共焦点落射型蛍光顕微鏡写真を示す。像2410は、グレースケールで示される蛍光強度での二次元像である。垂直矢印は、像2420に示される強度プロファイル走査の方向を示し、像2420は、距離の関数としてラインに沿った蛍光強度を示す。
【0143】
本願で説明される多様な実施形態は単に例示目的であり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。例えば、本願で説明される物質及び構造の多くは、本発明の精神から逸脱することなく、他の物質及び構造に置換可能である。本願で説明される進歩的なノズルの幾何学的形状は、本願で具体的に示される実施形態に加え、多様なOVJPシステムの構成及びプリントヘッドにおいて使用可能である。同様に、本願で説明される進歩的なプリントヘッドのコンセプトは、本願で具体的に示される実施形態に加え、多様なOVJPシステムの構成において使用可能である。従って、当業者には明らかなように、特許請求される本発明は、本願で説明される特定の例及び好ましい実施形態からの変形例を含み得る。本発明がどのように動作するのかについての多様な理論及び特定の構成のモデル化は限定的なものではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0144】
300 OVJPシステム
310 プリントヘッド
320 有機蒸気源
330 マニホールド
340 ベローズ
410 第一の層
415 ノズル
420 第二の層
422 ビア
440 オーム(加熱)コンタクト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドと、
前記プリントヘッドに気密的に密閉された第一のガス源とを備えた第一のデバイスであって、
前記プリントヘッドが、
各アパーチャの最小寸法が0.5から500マイクロメートルである複数のアパーチャを備えた第一の層と、
前記第一の結合された絶縁体製の第二の層であって、前記第一のガス源及び少なくとも一つの前記アパーチャと流体連結した第一のビアを備えた第二の層とを備える、第一のデバイス。
【請求項2】
前記第一の層が、前記第二の層の前記第一のビアと前記第一の層の前記アパーチャとの間における前記第一の層内部の流体連結を提供するチャネルを更に備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項3】
前記第一の層が熱源を更に備える、請求項2に記載の第一のデバイス。
【請求項4】
前記第一の層と前記第二の層との間に配置され且つ前記第一の層及び前記第二の層に結合された第三の層を更に備え、前記第三の層が、前記第二の層の前記第一のビアと前記第一の層の前記アパーチャとの間の流体連結を提供するチャネルを備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項5】
前記第三の層が熱源を更に備える、請求項4に記載の第一のデバイス。
【請求項6】
前記複数のアパーチャが前記第一のガス源と流体連結している、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項7】
前記第一のデバイスが、前記プリントヘッドに気密的に密閉された第二のガス源を更に備え、
前記第二の層の前記第一のビアが、前記第一の層の第一のグループの前記アパーチャと流体連結していて、
前記第二の層が、前記第二のガス源及び前記第一の層の第二のグループの前記アパーチャと流体連結した第二のビアを更に備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項8】
前記第一のデバイスが、前記プリントヘッドに気密的に密閉された第三のガス源を更に備え、
前記第二の層が、前記第三のガス源及び前記第一の層の第三のグループの前記アパーチャと流体連結した第三のビアを更に備える、請求項7に記載の第一のデバイス。
【請求項9】
前記第一のビアが、第一の有機源と流体連結していて、
第二のビアが、第二の有機源と流体連結していて、
前記第一のビア及び前記第二のビアの両方が、前記第一の層の第一のグループの前記アパーチャと流体連結していて、
前記プリントヘッド、前記第一の有機源及び前記第二の有機源の各々が、独立的に制御可能な熱源を有する、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項10】
前記第一の有機源に対するガス流を制御するための第一のバルブと、前記第二の有機源に対するガス流を制御するための第二のバルブとを更に備え、前記第一のバルブ及び前記第二のバルブが、前記熱源から断熱されている、請求項9に記載の第一のデバイス。
【請求項11】
前記第一の層が半導体製である、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項12】
前記第一の層がシリコン製である、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項13】
前記第一の層が、冷間圧接、陽極接合、及び共晶接合から成る群から選択された結合を用いて、前記第二の層に結合されている、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項14】
前記プリントヘッドが微小電気機械スイッチを更に備え、前記微小電気機械スイッチが、該微小電気機械スイッチの状態に応じて、前記第一のビアと少なくとも一つの前記アパーチャとの間の流体連結を遮断又は許容するように構成されている、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項15】
少なくとも一つの前記アパーチャが、前記プリントヘッドからの突出部内に形成されている、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項16】
前記プリントヘッドの厚さが、50から500マイクロメートルの間である、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項17】
前記第二の層が、前記第二の層の前記第一のビアと前記第一の層の前記アパーチャとの間における前記第二の層内部の流体連結を提供するチャネルを更に備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項1】
プリントヘッドと、
前記プリントヘッドに気密的に密閉された第一のガス源とを備えた第一のデバイスであって、
前記プリントヘッドが、
各アパーチャの最小寸法が0.5から500マイクロメートルである複数のアパーチャを備えた第一の層と、
前記第一の結合された絶縁体製の第二の層であって、前記第一のガス源及び少なくとも一つの前記アパーチャと流体連結した第一のビアを備えた第二の層とを備える、第一のデバイス。
【請求項2】
前記第一の層が、前記第二の層の前記第一のビアと前記第一の層の前記アパーチャとの間における前記第一の層内部の流体連結を提供するチャネルを更に備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項3】
前記第一の層が熱源を更に備える、請求項2に記載の第一のデバイス。
【請求項4】
前記第一の層と前記第二の層との間に配置され且つ前記第一の層及び前記第二の層に結合された第三の層を更に備え、前記第三の層が、前記第二の層の前記第一のビアと前記第一の層の前記アパーチャとの間の流体連結を提供するチャネルを備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項5】
前記第三の層が熱源を更に備える、請求項4に記載の第一のデバイス。
【請求項6】
前記複数のアパーチャが前記第一のガス源と流体連結している、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項7】
前記第一のデバイスが、前記プリントヘッドに気密的に密閉された第二のガス源を更に備え、
前記第二の層の前記第一のビアが、前記第一の層の第一のグループの前記アパーチャと流体連結していて、
前記第二の層が、前記第二のガス源及び前記第一の層の第二のグループの前記アパーチャと流体連結した第二のビアを更に備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項8】
前記第一のデバイスが、前記プリントヘッドに気密的に密閉された第三のガス源を更に備え、
前記第二の層が、前記第三のガス源及び前記第一の層の第三のグループの前記アパーチャと流体連結した第三のビアを更に備える、請求項7に記載の第一のデバイス。
【請求項9】
前記第一のビアが、第一の有機源と流体連結していて、
第二のビアが、第二の有機源と流体連結していて、
前記第一のビア及び前記第二のビアの両方が、前記第一の層の第一のグループの前記アパーチャと流体連結していて、
前記プリントヘッド、前記第一の有機源及び前記第二の有機源の各々が、独立的に制御可能な熱源を有する、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項10】
前記第一の有機源に対するガス流を制御するための第一のバルブと、前記第二の有機源に対するガス流を制御するための第二のバルブとを更に備え、前記第一のバルブ及び前記第二のバルブが、前記熱源から断熱されている、請求項9に記載の第一のデバイス。
【請求項11】
前記第一の層が半導体製である、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項12】
前記第一の層がシリコン製である、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項13】
前記第一の層が、冷間圧接、陽極接合、及び共晶接合から成る群から選択された結合を用いて、前記第二の層に結合されている、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項14】
前記プリントヘッドが微小電気機械スイッチを更に備え、前記微小電気機械スイッチが、該微小電気機械スイッチの状態に応じて、前記第一のビアと少なくとも一つの前記アパーチャとの間の流体連結を遮断又は許容するように構成されている、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項15】
少なくとも一つの前記アパーチャが、前記プリントヘッドからの突出部内に形成されている、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項16】
前記プリントヘッドの厚さが、50から500マイクロメートルの間である、請求項1に記載の第一のデバイス。
【請求項17】
前記第二の層が、前記第二の層の前記第一のビアと前記第一の層の前記アパーチャとの間における前記第二の層内部の流体連結を提供するチャネルを更に備える、請求項1に記載の第一のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図7】
【図8】
【図15】
【図16】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図7】
【図8】
【図15】
【図16】
【図21】
【公表番号】特表2012−522131(P2012−522131A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502206(P2012−502206)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028495
【国際公開番号】WO2010/111386
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(509119061)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028495
【国際公開番号】WO2010/111386
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(509119061)ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン (14)
【Fターム(参考)】
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