説明

小型流体輸送装置

【課題】薬液を外部に送出するチューブと接続パイプの接続部から周囲の空気が入らず、接続部からチューブの外側に薬液が漏れでない薬液輸送装置1を提供する。
【解決手段】チューブ16の注入側開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続箇所、又は/及びチューブ16の排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接続箇所は、外装ケース内の外部から密閉された収納部M内に配置され、注入側開口部16Aの外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28の内周部28D内に挿入されて防水固定され、排出側開口部16Cの外周部16Dが輸送先側接続パイプ30の内周部30D内に挿入されて防水固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小形流体輸送装置の構造に関する。好ましくは、動物の体内、中でも人間の体内や、実験動物等の動物の皮下に埋め込んで薬液(流体)を動物の体内に供給する場合等の小型流体輸送装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マウス、モルモット等の小動物を用いて薬液の効力を実験・検証することが行われており、そのために小動物に薬液を供給する種々の薬液輸送装置が提案されている。
先に出願人は、特許文献1において、上記の薬液輸送装置を提案している。
【0003】
特許文献1の薬液輸送装置1は、外部から薬液を注入する注入ポート2、注入された薬液を貯蔵するリザーバー3、リザーバー3と接続しているチューブ4、チューブ3を押し当ててチューブ3の中の薬液を外部に供給するマイクロポンプ5、薬液輸送装置1の外部に薬液を排出する外部チューブ27を備えている。
上記チューブ4とリザーバー3とはリザーバー接続パイプ22により接続し、上記チューブ4と外部チューブ27とはチューブ接続パイプ24により接続するものである。
またチューブ4、チューブ4とリザーバー接続パイプ22との接続部分、チューブ4とチューブ接続パイプ24との接続部分は、外装ケース10の内部の収納部に収納されているものである。
ここで、チューブとリザーバー接続パイプとの接続部分、チューブとチューブ接続パイプとの接続部分は、リザーバー接続パイプの外周部およびチューブ接続パイプの外周部にチューブの内周部を押し拡げて被せているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−136525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記チューブ4、チューブ4とリザーバー接続パイプ22との接続部分、チューブ4とチューブ接続パイプ24との接続部分、およびマイクロポンプが外装ケース10の内部に収納されている際に、外装ケース10の内部に外部から水分が侵入しないように防水構造を採用していることが好ましい。それは、外部から水分が侵入するとマイクロポンプの機械部が腐食され機能が停止する危険性を有するからである。
【0006】
上記薬液輸送装置1を使用する際には、薬液輸送装置1を動物の体内に埋め込む前に注入ポート2からリザーバー3に薬液を注入する。この場合の周囲温度は、多くの場合、20℃程度(数℃〜25℃程度)である。
この後、薬液輸送装置1を動物の体内に埋め込み、マイクロポンプを駆動してチューブの中の薬液を外部に供給する動作を開始する。
まもなく薬液輸送装置1は、動物の体温の36〜38℃まで上昇する。
すると、前述した様に外装ケース10の前記収納部は、前述のように外部に対して密閉状態にあるから、上記収納部内の空気が膨張しようとするが、収納部の容積は変わらない。
このため前記収納部内の空気圧力は上昇する。従って、チューブ4とリザーバー接続パイプ22との接続箇所及びチューブ4とチューブ接続パイプ24との接続箇所から、チューブ内部に上記空気が侵入することになる。チューブに空気が侵入すると、薬液に空気が混じり、マイクロポンプで供給される薬液の容量が少なくなり、動物に対し所定量の薬液を供給することができなくなる。
【0007】
上記現象を図20を用いて説明する。
図20は、チューブ516の一端がリザーバー側接続パイプ528に接続している接続部分の断面図である。なお、チューブ516の他端が輸送先側接続パイプと接続している接続部分の断面構造も図20と同様である。
図20において、弾性を有するプラスチック材からなるチューブ516の一端の内周部516Dが、リザーバー側接続パイプ528の外周部528Cに被さって挿入され、接着材529で接合されている。すなわち、チューブ516の一端の内周部516Dがリザーバー側接続パイプ528の外周部528Cに押し込まれ、押し広げられている。この際、リザーバー側接続パイプ528の先端528Dの外周端部がチューブ516の内周部516Dを極度に外方に押し広げる。従って押し込みが終了した際、前記先端528Dに対向するチューブ516の内周部516Dには、極度に肉薄状態となった薄肉部516Gが形成されてしまう。
上記薄肉部516Gから、前述の圧力が上昇した収納部内の空気がチューブ516の導通路516F内に侵入し、この空気がマイクロポンプにより排出されることになる。上記空気が排出されると、動物に悪影響を及ぼしかねず、また必要とする薬液を供給することができなくなる。
なお、上述の収納部内の空気がある程度チューブ516の薄肉部516Gから導通路516F内に侵入しきると収納部内の空気圧が低下するので、それ以上は上記空気が薄肉部516Gを通り導通路516F内に侵入してくることは停止される。
【0008】
他方、上記マイクロポンプは、チューブ516内の薬液を間欠的に外部に排出するものである。しかるに、マイクロポンプが、チューブ516を押し当てて薬液を供給する際には、チューブ516の導通路516F内の薬液圧力は高くなる。
しかるに、その際には、チューブ516の前述の薄肉部516Gを浸透してチューブ516の外部に薬液が排出することが起こり得る。
しかも薬液は、チューブ516の導通路516F内を一方向である流れ方向R1に流れ、且つマイクロポンプにより間欠的に流れるものである。一方、前記薄肉部516Gの内面は、流れ方向R1に対して傾斜した傾斜面516Hが形成されている。そこで前記流れ方向R1に間欠的に流れる薬液は、前記傾斜面516Hに斜めに間欠的に衝突することになり、この衝突により薬液は前記薄肉部516Gを浸透し外部に排出されやすくなる。
薄肉部516Gを浸透してチューブ516の外部に薬液が排出されると、必要な薬液が供給されないばかりか、周囲に薬害をもたらす。例えば、マイクロポンプの機械部分に薬液が付着して機械部分を腐食し、またマイクロポンプの動作制御をつかさどる回路部分や電源となる電池などの電機系統の接触不良あるいはショートを引き起こしてしまう。
【0009】
上述したように、常温においてチューブ516の一端の内周部516Dがリザーバー側接続パイプ528の外周部528Cの外側に押し広げられて挿入されることにより上記薄肉部516Gが形成された。このため薄肉部516Gの内部には、引張り力が作用しており引張り歪が生じている。この状態で薬液輸送装置1を動物の体内に埋め込むと薬液輸送装置1が動物の体温の36〜38℃まで上昇する。この温度上昇によりチューブ516の薄肉部516Gは、内部の前記引張り力により更に引っ張られより薄くなる。また長時間が経過するほど、薄肉部516Gは前記引張り力により引っ張られてより薄くなる。
従って、上記薄肉部516Gから、前述の上昇した空気がチューブ516の導通路516F内に侵入しマイクロポンプにより排出され、またマイクロポンプにより薄肉部516Gを浸透してチューブ516の外部に薬液が排出されやすくなるものである。
【0010】
そこで、上記課題に対する対応として、チューブ516の上記薄肉部516Gの外周表面に接着材530を塗布することが考えられる。この接着材530により、上記薄肉部516Gの外周表面が被覆されると、上記高圧空気や薬液の浸透通過を防止することができおる。
但し、上記のように接着材530を塗布することは、工数が増え高コストとなり、また上記薄肉部516Gの外周表面の全域に均一に塗布することは困難であった。
【0011】
加えて、チューブ516の一端の内周部516Dをリザーバー側接続パイプ528の外周部528Cの外側に押し込んで挿入するには、大きな押し込み力が必要であり、上記挿入された部分の長さを長く確保しにくい。従って、上記挿入部分の接合力を大きく確保することができず、長期にわたって安定化させにくいものである。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するもので、チューブの端部と接続する接続パイプとの接続部から、空気等の不要物の侵入や流体の排出がなく、低コストの小型流体輸送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明実施態様1の小型流体輸送装置は、動物の体内に挿入されて前記体内に流体を輸送する小型流体輸送装置であって、外装ケースと、前記流体を貯蔵するリザーバーと、前記リザーバーに連通して流体を導通させる弾性を有したチューブと、前記リザーバーと前記チューブの一端とを接続し前記流体を導通させるリザーバー側接続パイプと、前記チューブの他端と接続し前記流体を導通させる輸送先側に配置された輸送先側接続パイプと、前記チューブ内を導通する前記流体を前記小型流体輸送装置の外部に輸送するマイクロポンプと、を備え、前記リザーバー側接続パイプとチューブの前記一端とが接続する一端側接続部、又は/及びチューブの前記他端と前記輸送先側接続パイプとが接続する他端側接続部は、前記外装ケース内であって外部から密閉された密閉空間に配置されており、前記密閉空間に前記一端側接続部が配置される際には、チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入され且つリザーバー側接続パイプに防水固定され、前記密閉空間に前記他端側接続部が配置される際には、チューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入され且つ前記輸送先側接続パイプに防水固定されていることを特徴とする。
【0014】
前述のように、リザーバー側接続パイプと前記チューブの一端とが接続する一端側接続部、又は/及びチューブの前記他端と前記輸送先側接続パイプとが接続する他端側接続部は、外装ケース内であって外部から密閉された密閉空間に配置されている。このため、小型流体輸送装置が動物の体内に挿入配置された際に、小型流体輸送装置は動物の体温の36〜38℃程度まで上昇する。従って前記密閉空間内の空気は、その温度も上昇するため膨張し、前記空間内に配置された部材を高い空気圧で押圧することになる。
上記密閉空間内に配置されている前記一端側接続部、他端側接続部において、前記チューブの一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入され且つリザーバー側接続パイプの一端に防水固定され、前記チューブの他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入され且つ輸送先側接続パイプの一端に防水固定されている。このような接続構造のため、図20とは異なってチューブにおける一端側、他端側の肉厚が薄くなることがない。
なお、上記リザーバー側とはリザーバーに近い側を意味し、チューブの前記一端とはチューブの両端のうちリザーバーに近い側の端部であり流体の流れでは上流側の端部を指す。チューブの他端とはチューブの両端のうちリザーバーから遠い方の端部であり流体の流れでは下流側の端部を指す。上記輸送先側とは、流体の流れでは下流側でチューブの他端よりも下流側で小型流体輸送装置の外部に排出される側を意味する。
【0015】
それは、従来、チューブにおける一端側の内周部がリザーバー側接続パイプの外周に押し広げられて挿入し、またチューブにおける他端側の内周部が輸送先側接続パイプの外周に押し広げられて挿入されると、上記押し広げられた部分が薄くなるものであった。
それに対して、本発明の前記一端側接続部においては、チューブの一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入され、前記他端側接続部においては、前記チューブの他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入されるだけであるので、上記チューブの挿入部分の付近には、従来のように肉厚が薄くなる部分が存在せず、他のチューブの肉厚と同等となる。加えて、上記チューブの挿入部分の付近には、従来のように引っ張り力が働かないので、高温になりまた長時間が経過しても、上記チューブの挿入部分付近の肉厚には変化が生じない。従って、上記チューブの挿入部分付近の肉厚はいつでも同じ肉厚を確保し続ける。
【0016】
よって、動物の体内に挿入配置されて高温になっても、チューブの前記一端付近、前記他端付近では、周囲の高圧力の空気がチューブ内部に侵入することを防止することができる。
しかも、チューブの前記一端付近、前記他端付近からは、チューブ内の薬液が外方に染み出ることを防止することができる。この場合、上記高圧力の空気がチューブ内部に侵入することを防止し、チューブ内の流体(薬液)が外方に染み出すことを防止することを長期にわたって維持するものである。
よって、周囲の高圧力の空気がチューブ内部に侵入することが防止されるので、動物に空気が供給されることに伴う動物への悪影響を防止することができる。しかも、所望の薬液量を確実に供給することができるものである。
上記防水固定は、前記一端側接続部や他端側接続部が防水性を有しチューブ外から空気等の不要物の侵入やチューブ内の流体が外部に排出することが防止される構造ならばどのような構造でもよい。例えば接着材でチューブ外周部とパイプ側内周部の全周を接合したり、チューブ外周部とパイプ側内周部との間に防水パッキンを挟んで防水性を確保しつつ接着材で接合してもよい。
なお、上記流体は、薬液の他の液体であってもよく、或いは酸素などの気体であってもよい。
【0017】
また、本発明実施態様2の小型流体輸送装置は、実施態様1の小型流体輸送装置であって、チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記一端の外周部と前記リザーバー側接続パイプの内周部とは、径方向に隙間を有した状態で接着材により固定されており、チューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記他端の外周部と前記輸送先側接続パイプの内周部とは、径方向に隙間を有した状態で接着材により固定されていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、上記隙間を持たせることにより、接着材を毛細管現象により上記隙間の全域に素早く満遍なく浸透させ、接着能力を向上させることができる。
例えば、この接着材をリザーバー側接続パイプの内端に付着すると、接着材は毛細管現象で上記隙間に素早く浸透する。同様に、接着材を輸送先側接続パイプの内端に付着すると、接着材は毛細管現象で上記隙間に素早く浸透する。よって、接着材による接合が素早く、確実に行われ、従来のように薄肉部が生じることがないままの状態を長時間維持することができる。また接着材の接合作業の作業性も向上する。
なお接着材は、多少の粘性を有していても液状がよい。例えば、光硬化性接着材が好ましい。その他のタイプ、たとえばエポキシ樹脂からなる常温硬化性タイプでもよい。
【0019】
また、本発明実施態様3の小型流体輸送装置は、実施態様1または実施態様2の小型流体輸送装置であって、チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記一端の先端が前記リザーバー側接続パイプの内周部の奥壁に弾圧しており、チューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記他端の先端が前記輸送先側接続パイプの内周部の奥壁に弾圧していることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、チューブの前記一端の先端が前記リザーバー側接続パイプの内周部の奥壁に弾圧しているので、その弾圧力によりチューブの前記一端付近の肉厚を厚くする。同様にチューブの前記他端の先端が前記輸送先側接続パイプの内周部の奥壁に弾圧しているので、その弾圧力によりチューブの前記他端付近の肉厚を厚くする。
よって、従来のように薄肉になることがなく、むしろ多少でも肉厚が厚くなる傾向なので、前述のようにチューブの前記一端付近、又は/及び前記他端付近から周囲の空気が高圧力になっても空気がチューブ内部に侵入することを防止することができる。
しかも、チューブの前記一端付近、又は/及び前記他端付近からからはチューブ内の薬液が外方に染み出すことを防止することができる。
なお上記弾圧は、例えば、チューブの前記一端をリザーバー側接続パイプの奥壁に押し当てた状態で接着材により固定し、又はチューブの前記他端を輸送先側接続パイプの奥壁に押し当てた状態で接着材により固定することにより達成できる。
【0021】
また、本発明実施態様4の小型流体輸送装置は、実施態様1乃至実施態様3のいずれか1つの小型流体輸送装置であって、チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記一端の側に形成された流体が導通するチューブ導通路の直径は、前記リザーバー側接続パイプに形成された流体が導通するパイプ導通路の直径より大きいことを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、チューブの中心側に形成され流体を導通するチューブ導通路の直径は、リザーバー側接続パイプの中心側に形成され薬液を導通するパイプ導通路の直径より大きく形成されている。
この場合、リザーバーに貯蔵された薬液が、マイクロポンプによりリザーバー側接続パイプを通過してチューブに供給される。この場合、流体が上記のように供給され(流れて)ても、リザーバー側接続パイプの内端付近、すなわち上記流れ方向の下流側に存在するチューブは、外周側に膨張することがない。
それは、流体がリザーバー側接続パイプのパイプ導通路からチューブのチューブ導通路に送出される際に、チューブ導通路の直径がパイプ導通路の直径より大きいため、パイプ導通路からチューブ導通路に送り出された瞬間、流体の流れ圧力が弱くなるためである。
従って、前記流体の流れ圧力により前記一端側接続部のチューブに引っ張り力が働くことは防止される。この現象は、流体の流れが間欠的である場合に顕著に現われる。このため前記一端側接続部におけるチューブの肉厚が薄くなることがない。
よって、前述のようにチューブの周囲温度が高くなって周囲空気圧が高圧になっても前記リザーバー側接続パイプの内端付近のチューブから周囲の空気が侵入することがなく、また前記リザーバー側接続パイプの内端付近のチューブから薬液が外方に排出されることもない。
なお、上記直径とは、所定断面での内径の直径を測定する方向(角度位置)によって直径の値が異なる場合は、各方向で測定した直径の値の平均値を意味する。
【0023】
また、本発明の小型流体輸送装置は、実施態様1乃至実施態様4のいずれか1つの小型流体輸送装置であって、前記一端側接続部及び前記他端側接続部が前記密閉空間に配置され、チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入され且つリザーバー側接続パイプの一端に防水固定され、及びチューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入され且つ輸送先側接続パイプの一端に防水固定されており、前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入されている長さは、前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入されている長さよりも長く構成されていてもよい。
【0024】
上記構成によれば、チューブの上記一端側の外周部がリザーバー側接続パイプの内周部に挿入されている箇所においては、上記流体が流れ方向に流れると、流体が上記一端側を流れ方向に向かって押すことになる。しかるに、上記一端側の外周部がリザーバー側接続パイプの内周部に挿入されている長さが長く確保されていることにより上記流れ方向の作用力に打ち勝ち、接着材等による挿入部の抜けを確実に防止する。
このため、リザーバー側接続パイプの内端付近のチューブには、流体による上記流れ方向に向かって押す力がほとんど作用せず、その肉厚が薄くなることがない。
よって、前述のようにチューブの周囲温度が高くなって周囲空気圧が高圧になっても前記リザーバー側接続パイプの内端付近のチューブから周囲の空気が侵入することがなく、また前記リザーバー側接続パイプの内端付近のチューブから薬液が外方に排出されることもない。
他方、前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入されている長さが比較的短いが、上記流体が流れ方向に流れると流体が上記他端側を流れ方向に向かって押すことになる。この場合は、チューブの他端が輸送先側接続パイプの内周部により挿入される方向となるので、他端が輸送先側接続パイプから抜け出ることがない。従って、前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入されている長さをいたずらに長くする必要がなく、上記空間内に配置される他の必要部材の配置自由度が高まり、最適配置を可能とするものである。
【0025】
さらに、本発明の小型流体輸送装置は、前述した実施態様のいずれか1つの小型流体輸送装置であって、前記一端側接続部及び前記他端側接続部が前記密閉空間に配置されており、前記マイクロポンプは、前記一端側接続部と前記他端側接続部との間の平面位置、すなわち前記リザーバー側接続パイプと前記輸送先側接続パイプとの間の平面位置に配置され、前記チューブを機械的に押圧し解除する動作を繰り返すことにより前記チューブ内の流体を外部に輸送する機構を備えており、前記チューブには、前記一端側接続部すなわち前記リザーバー側接続パイプと前記マイクロポンプとの間、及び前記他端側接続部すなわち前記輸送先側接続パイプと前記マイクロポンプとの間にくびれ形状部が形成されていてもよい。
【0026】
上記構成によれば、前記マイクロポンプはチューブを機械的に押圧し解除する動作を繰り返すことによりチューブの長手方向に微振動を生じさせる。
しかるに、上記チューブのくびれ形状部がその微移動を吸収することになり、チューブの前記一端とリザーバー側接続パイプとの接続部への作用力が緩和される。したがって、チューブの前記一端がリザーバー側接続パイプから抜け出る方向の作用力を受けることが防止される。このため、リザーバー側接続パイプの内端付近のチューブの肉圧が薄くなることが防止される。
同様に、上記微移動が生じても、上記くびれ形状部がその微移動を吸収することになり、チューブの前記他端と輸送先側接続パイプとの接合部への作用力が緩和される。したがって、チューブの前記他端が輸送先側接続パイプから抜け出る方向の作用力を受けることが防止される。このため、輸送先側接続パイプの先端付近のチューブの肉圧が薄くなることが防止される。
よって、前述のように周囲温度が高くなって空気圧力が高圧になっても前記リザーバー側接続パイプの先端付近及び輸送先側接続パイプの内端付近のチューブから周囲の空気が侵入することがなく、また前記リザーバー側接続パイプの先端付近及び輸送先側接続パイプの内端付近のチューブから薬液が外方に排出されることがない。
【0027】
また、本発明実施態様5の小型流体輸送装置は、実施態様1乃至実施態様4のいずれか1つの小型流体輸送装置であって、さらに、少なくとも前記チューブおよび前記マイクロポンプを備え前記流体の輸送を機械的に行う流体輸送系部と、少なくとも前記マイクロポンプの駆動を制御する回路部と前記回路部に動力を供給する回路部駆動用電池とを備えた電気系部と、前記流体輸送系部と前記電気系部とを仕切る仕切部と、を備え、前記密閉空間は、前記外装ケースと前記仕切部とによって形成されており、前記チューブは、前記密閉空間に配置されていることを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、外装ケースの内部空間が仕切部により分離されて前記密閉空間が形成されているので、仕切部がなく前記チューブ等と前記電気系部とが収納される内部空間が一体である場合に比べ前記密閉空間の体積は小さくなる。従って、小型流体輸送装置が前述のように動物の体内に配置されて高温になっても、密閉空間内の空気の膨張量が少なくなり、それだけ空気の圧力上昇が低下する。
よって、前記密閉空間に配置されているチューブ全体や前記リザーバー側接続パイプの先端付近及び輸送先側接続パイプの内端付近のチューブから周囲の空気が侵入することがなく、またチューブ全体や前記リザーバー側接続パイプの先端付近及び輸送先側接続パイプの内端付近のチューブから流体が外方に排出されることがない。
従って、動物の体内に空気を供給する悪影響を防止することができ、必要な薬液を確実に供給することができるものである。
【0029】
また、本発明実施態様6の小型流体輸送装置は、実施態様5の小型流体輸送装置であって、前記外装ケースは、表面側に配置された上ケース、裏面側に配置された下ケース、上ケースと下ケースとの間に配置された中ケースとを備え、前記仕切部は、前記中ケースに構成されており、前記密閉空間は、前記上ケースと前記仕切部とによって形成されており、 前記流体輸送系部のうち、前記チューブ、前記一端側接続部、マイクロポンプ、前記他端側接続部は、前記密閉空間に配置されており、前記電気系部は、前記中ケースと下ケースとによって形成された空間に配置されていることを特徴とする。
前記表面側とは小型流体輸送装置を動物に配置した場合に動物の皮側であり、裏面側とは動物の中心内部側である。
【0030】
上記構成によれば、仕切部により区切られた前記密閉空間の体積が小さくなることから、前述のように、小型流体輸送装置が動物の体内に配置されて高温になっても、密閉空間内の空気の圧力上昇が低下する。従って、特に前記リザーバー側接続パイプとチューブの前記一端とが接続する一端側接続部付近のチューブ、チューブの前記他端と前記輸送先側接続パイプとが接続する他端側接続部付近のチューブから周囲の空気が侵入することを防止し、逆に内部の流体がチューブの外方に排出することを防止する。またマイクロポンプにより押圧等機械的に作用されるチューブの該当箇所でも、周囲の空気がチューブ内に侵入すること、逆に内部の流体がチューブの外方に排出することを防止することになる。
また、前記チューブ、前記一端側接続部、マイクロポンプ、前記他端側接続部は前記密閉空間に収納されるので、たとい流体が密閉空間に漏れ出たとしても前記電気系部には何ら影響が及ばない。このため、電気系部はショートから防衛される。特に電気系部が配置される前記空間は、外部から密閉され防水構造で構成されていることが好ましい。
さらに、小型流体輸送装置において、前記流体輸送系部は、上方側に配置されるので、注液ポートなどによる表面側での流体補給が容易に行うことができる。また電気系部は、下側に配置されるので、外部通信装置との通信を行う装置を裏側に無理なく配置できる。
また組立において、中ケースの仕切部を基準にして、流体輸送系部を表側(上方側)から組み立てれば良く、電気系部は裏側(下方側)から組み立てれば良く、組立が容易になる。
【0031】
また、本発明実施態様7の小型流体輸送装置は、実施態様5または実施態様6のいずれか1つの小型流体輸送装置であって、前記仕切部には、前記電気系部と前記流体輸送系部のマイクロポンプの駆動部とを導通する導通部材が貫通配置された連通部が配置されており、前記連通部には、前記電気系部と流体輸送系部との間を前記流体が連通しないように防水構造で構成されていることを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、前記電気系部と前記流体輸送系部は、仕切部によって分離して配置されており、両者を仕切る仕切部に両者を導通させる導通部材を貫通配置しており、この貫通部を防水構造で構成したから、仮に流体輸送系部の流体が漏れ出したとしても電気系部に漏れ出すことがない。よって、水分による電気系部のショートなどの不具合を確実に防止できる。
また小型流体輸送装置を動物の体内に配置(埋設)した際には、小型流体輸送装置の皮膚側部分が体内側部分より温度が低くなるため結露が発生しやすくなる。動物の体内に埋設した際は前記流体輸送系部が皮膚側配置されることから結露しやすくなり、流体輸送系部に結露が発生したとしてもその水分が前記電気系部に漏れ出すことがなく、よって水分による電気系部のショートなどの不具合を防止できる。
【0033】
また、本発明実施態様8の小型流体輸送装置は、実施態様7の小型流体輸送装置であって、前記連通部は、電気系部に配置された回路基板と、流体輸送系部に配置されマイクロポンプの駆動部と接続している配線基板とを導通する導通部材を備えており、前記連通部に構成された防水構造は、前記導通部材の周囲を囲んで配置されている防水パッキンを備えており、該防水パッキンは、前記配線基板と仕切部との間、もしくは前記回路基板と仕切部との間、あるいは前記配線基板と回路基板との間に弾圧されて配置されていることを特徴とする。
【0034】
上記構成によれば、前記防水構造として、前記導通部材の周囲を囲んで配置された防水弾性パッキンが、前記配線基板と仕切部との間、もしくは前記回路基板と仕切部との間、あるいは前記配線基板と回路基板との間に弾圧されて配置されているので、導通部材の防水性を確保することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、チューブの端部と接続する接続パイプとの接続部から、周囲からの空気等の侵入や内部からの流体の排出がなく、低コストの小型流体輸送装置を提供すること出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態の薬液輸送装置の外観図で、(1)は薬液輸送装置の平面図、(2)は薬液輸送装置の正面図で(1)を手前側から見た側面図、(3)は薬液輸送装置の右側面図で(1)を右側から見た側面図。
【図2】本発明の実施形態における薬液輸送装置の表側平面配置図。
【図3】本発明の実施形態における薬液輸送装置の裏側平面配置図。
【図4】本発明の実施形態における薬液輸送装置の主要部の断面図。
【図5】本発明の実施形態における薬液輸送装置の主要部の他の断面図。
【図6】本発明の実施形態における流体導通系ユニットとリザーバーの分解斜視図。
【図7】本発明の実施形態におけるチューブとその関係部材を中心とした流体輸送系部の分解斜視図。
【図8】本発明の実施形態におけるマイクロポンプとマイクロポンプを保持する関係部材を中心とした流体輸送系部の分解斜視図。
【図9】本発明の実施形態における流体導通系ユニットの関係部材の平面配置図。
【図10】図9の主要部の断面図。
【図11】本発明の実施形態におけるチューブの一端とリザーバー側接続パイプとの接続部、およびチューブの他端と輸送先側接続パイプとの接合部の拡大断面図。
【図12】本発明の実施形態における電気系部の関係部材の分解斜視図。
【図13】本発明の実施形態における発光素子と受光素子の周辺配置部材の断面図。
【図14】本発明の実施形態における薬液輸送措置がデーター送受信装置の上にセットされてパソコンと通信を行う状態図。
【図15】本発明の実施形態における薬液輸送措置とデーター送受信装置とパソコンとの間でデーターを送受信する回路図。
【図16】本発明の変形例3における防水パッキン周辺の断面図。
【図17】本発明の変形例4における防水パッキン周辺の断面図。
【図18】本発明の変形例5における流体輸送系部と電気系部と両者を仕切る仕切部の配置断面図。
【図19】本発明の関連実施形態におけるチューブの一端とリザーバー側接続パイプとの接続部の拡大断面図。
【図20】従来技術におけるチューブがチューブ接続パイプ(リザーバー側接続パイプ)に接続している接続部分の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態は、人間等動物の皮下に埋め込むための小型流体輸送装置としての薬液輸送装置1を示すものである。
薬液とは、例えば薬用液体や栄養液体を指し、人間等動物の治療を行うため、あるいはそれらの開発のための動物実験に用いる等全ての液体をいう。
【0038】
〔薬液輸送装置の外観〕
まず、動物の皮下に埋め込むための薬液輸送装置1の外観について説明する。
図1は、薬液輸送装置1の外観図である。
図1の(1)は薬液輸送装置1の平面図、図1の(2)は薬液輸送装置1の正面図であり図1の(1)を手前側から見た側面図、図1の(3)は薬液輸送装置1の右側面図であり図1の(1)を右側から見た側面図である。
【0039】
動物の皮下に埋め込むための薬液輸送装置1は、図1に図示されているように外観が略箱型状である。
図1において、(1)の長手方向の左右寸法は概ね39mm、(1)の幅方向の寸法は概ね21mm、(3)の高さ寸法は概ね9.7mmである。
上記薬液輸送装置1の外形形状は、図1の(1)において、左端と右端が半円状に形成され、左右に延びている下辺と上辺は直線状に形成されている。上記のように左端と右端が半円状に形成されていることは、薬液輸送装置1が動物の皮下に埋め込まれた際に生じる皮膚等の引っ張り等を極力防止して動物への負担を軽減するためである。
【0040】
手前側から見た側面形状(正面形状)は、図1の(2)のように下面が動物の皮下に埋め込む場合は動物の皮膚とは反対側に向き、上面が皮膚に向くようになる。上記下面はほぼ直線状であり、上面は、右端から左右幅方向のほぼ中央付近までは直線状に形成されており、この中央付近に注液ポート2が突出配置されている。この注液ポート2から左端に向かって左下がりの傾斜面が形成され、この傾斜面から上半分が突出するようにリザーバー3が配置されている。
【0041】
図1の(2)の右側壁、同(3)の左右側壁は、ほぼ垂直に形成されている。
但し、薬液輸送装置1の上面側が下面側より狭くなるように、上記右側壁及び左右側壁が多少の傾斜面に形成されていてもよい。上記傾斜面に形成されると、薬液輸送装置1が動物の皮下に埋め込まれた際に生じる皮膚の引っ張り等を防止し動物の負担を軽減することができる。
なお、薬液輸送装置1の各コーナーは、小さな円弧状に形成されているもので、上記と同様に動物の皮下部に損傷を与えないように配慮されている。
【0042】
図1の(1)の下辺の途中から下側に、上辺の途中から上側に突出した突出部が構成されている。この突出部は、糸掛け部4、4である。
糸掛け部4、4は、薬液輸送装置1を動物の皮下において動物に糸で縫い付けて固定するためであり、前記糸を通す穴が形成されている。
【0043】
〔薬液輸送装置の外装ケース構成〕
薬液輸送装置1の外部に露出している外装ケースは、次の様に構成されている。
図1の(1)及び(2)のように、薬液輸送装置1の上面側には上ケース5が配置され、下面側には下ケース6が配置され、上ケース5と下ケース6にサンドイッチされて中ケース7が配置されている。この上ケース5と下ケース6と中ケース7によって外装ケースが構成される。
また、リザーバー3の下面側には、リザーバー3を保持しているリザーバー枠8が配置されている。
前述の注液ポート2は、上ケース5の上面から上方に突出構成されている。
上記糸掛け部4、4は、中ケース7から外方に各々突出形成されている。
なお、図1の(1)における右下側の半円状の外縁からは、アウトレットチューブ32が突出している。このアウトレットチューブ32は、注液ポート2から注入されリザーバー3に貯蔵された薬液を動物の体内に供給するためのものである。
【0044】
〔薬液輸送装置の全体レイアウト〕
次に薬液輸送装置1の全体レイアウトの概要を説明する。
図2は、薬液輸送装置1の表側平面配置図であり、主として前記注液ポート2とリザーバー3とチューブ16およびマイクロポンプ11を備えた流体輸送系部12の主要部の平面配置図である。図2は、図1の(1)の上ケース5側(図1の(1)の紙面上側)から見た平面配置図である。
図3は、薬液輸送装置1の裏側平面配置図であり、主として前記マイクロポンプ11の駆動を制御する回路部13と回路部13に動力を供給する回路部駆動用電池14とを備えた電気系部15の主要部の平面配置図である。図3は、図1の(1)の下ケース6側(図1(1)の紙面裏側)から見た平面配置図である。
従って、図2と図3とは、図1の(1)においてその幅方向の中央点を通って左右長手方向に引いた左右長手方向線に対して上下対称の配置関係で描かれている。
【0045】
図4と図5は、図2と図3の主要部を表す断面図であり、図4は主として上記流体輸送系部12の主要部を表しており、図5は主として前記電気系部15の主要部を表している。
なお、図4と図5は、図2と図3に切断ラインを明記してその断面構造を正確に表したものではなく、各々の主要部の周辺の断面構造を適宜間隔で表したものである。
詳細は後述するが、上記流体輸送系部12と電気系部15は、仕切部7Aにて上下方向で仕切られて配置されている。ことに流体輸送系部12のチューブとマイクロポンプ等は上ケース5と仕切部7Aとの間の密閉空間である収納部Mに配置されており、電気系部15は仕切部7Aと下ケース6との間の空間に配置されているものである。
この仕切部7Aは、中ケース7により構成されており、図4、図5において左右横方向、すなわち上ケース5の上面及び下ケース6の下面とほぼ平行状に配置されている。
なお、上記仕切部は、中ケース7に一体に形成することに限定されない。例えば、仕切部を別部材で構成し、中ケース7内壁や下ケース6内壁に超音波接合などにより接合しても良い。または別部材で構成された仕切部を中ケース7内壁や下ケース6内壁と防水パッキンを介して防水構造を有して配置してもよい。
上ケース5、下ケース6、中ケース7は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の無毒性で強強度の合成樹脂が好ましい。
【0046】
〔流体輸送系部〕
次に流体輸送系部12について説明する。
流体輸送系部12は、薬液が薬液輸送装置1に注入される箇所から薬液が薬液輸送装置1から外部に排出されるまで薬液の輸送を機械的に行う輸送経路系に係わる機械部材ユニットを指す。
流体輸送系部12は、次の主要部を備えている。
すなわち、流体輸送系部12の主要部は、外部から薬液を注入しリザーバー3に至らせる注液ポート2、注液ポート2から注入された薬液を貯蔵しておくリザーバー3、リザーバー3に間接連通し且つ薬液輸送装置1の外部に突出しているアウトレットチューブ32に間接連通しているチューブ16、平面配置においてチューブ16の略中央部付近に配置されてチューブ16を選択的に押圧しチューブ16内部の薬液を外部に送出すマイクロポンプ11である。
【0047】
上記主要部の各々を保持する保持部材について説明する。
注液ポート2は、主として中ケース7に挿入保持されている。
リザーバー3は、リザーバー枠8に保持されている。
このリザーバー枠8は、中ケース7と上ケース5とにより挟持されて保持されている。
チューブ16は、一端がリザーバー3側に連通し他端がアウトレットチューブ32に連通した状態で接続しており、その平面方向においては主としてチューブ枠17に位置案内され、断面方向(厚み方向)においてチューブ枠17とカム受18とにより位置案内されている。
上記チューブ枠17は、中ケース7より上ケース5側に配置された板状部材である。上記カム受18は、チューブ枠17の上ケース5側に配置された板状部材である。
【0048】
マイクロポンプ11は、種々の構成要素からなる。
マイクロポンプ11の主要構成要素は、駆動信号を受けて間欠回転駆動する駆動部としてのステッピングモーター19、ステッピングモーター19の回転を伝達する歯車群である輪列20、輪列20の最終出力部に相当するカム軸21、カム軸21により回転する一対のカム22、一対のカム22によりチューブ16に向かって押し出される複数個の押圧ピン23、押圧ピン23の先端により選択的に押されるチューブ16である。
【0049】
マイクロポンプ11の前記種々の主要構成要素は、次の様に保持される。
ステッピングモーター19は、中ケース7の仕切部7Aの上表面に載置固定された板状部材である地板24に保持されている。地板24の平面配置は、マイクロポンプ11のほほ全域と重なるもので、図2では右半分のほぼ中央部に配置されたカム軸21を中心にして外形が変形楕円形状に形成されており、2点鎖線で表示されたものである。
輪列20は、前記地板24とは断面方向に所定距離を確保した状態で地板24に支持された輪列受25と地板24との断面方向間に配置されており、輪列20の各歯車は輪列受25と地板24とに軸受けされて回転可能に支持されている。
カム軸21は、輪列20のほぼ中央部に配置され、上方に突出して配置されている。
カム22は、カム軸21の先端側に保持されて、互いに回転可能に構成されている。
押圧ピン23は、チューブ枠17の上面の案内溝に配置されてカム受18により上方の位置決めがされ、カム22により選択的に押し出されるものである。この各々の押圧ピン23の先端がチューブ16の円弧状に配置された部分を順次押すことにより、チューブ16内の薬液が外部方向に送出されるものである。
【0050】
〔流体輸送系部の主要部〕
ここで、流体輸送系部12の主要部について、詳述する。
まず注液ポート2は、平面配置として図1の(1)及び図2において長手方向のほぼ中央にあって上長手方向側壁付近に配置されている。
注液ポート2は、ポリプロピレンやABS樹脂等の合成樹脂が用いられる。
注液ポート2の断面方向の構成は、図5に図示されている通りである。
すなわち、注液ポート2は、軸線が図5の上下方向に向いた略円筒状の円筒状部2Aが形成され、その外周部が中ケース7の注液ポート挿入穴7Bに挿入されて保持されているものである。円筒状部2Aは、上側が開口しているが、下側は開口せずに底部を構成している。
注液ポート2の先端(上端)は、上ケース5の上面から上方向に突出形成されており、前記薬液輸送装置1が動物に埋め込まれた際、動物の皮膚側(外側)に向けて配置されるようになる。
円筒状部2Aの内側は、外部から挿入される注液具(注射針状のもの)を導入可能な大きさの穴が形成されており、この穴の途中には、注液ポートパッキン26が配置されている。注液ポートパッキン26は、弾性を有するシリコン等の合成ゴムからなり、注液ポート2の内側に動物の体液などの流体が入り込むことを防ぐ防水機能を有しており、リザーバー3の中に薬液を補給したい場合には使用者が前記注液具を刺し込むことができるものである。
注液ポートパッキン26の上部には、注液ポートパッキン止め具27が配置されて注液ポートパッキン26を注液ポート2に保持している。注液ポートパッキン止め具27は、注液ポート2にネジ込まれるものである。
【0051】
上記注液ポート2において、注液ポートパッキン26の直下には、リザーバー3に連通する接続筒部2Bが水平状に形成されている。
この接続筒部2Bは、注液ポート2本体から上記水平状にリザーバー3に向かって延出して形成され、その内部に薬液が通る通路が形成されている。この接続筒部2Bは、リザーバー3に連結し薬液が連通するものである。
【0052】
次にリザーバー3について説明する。
リザーバー3は、内部に薬液を貯蔵できる袋状となっており、厚さがほぼ0.2mmの薄肉の変形可能な合成樹脂から構成されている。マイクロポンプ11により薬液が排出されてリザーバー3内から薬液が排出されるとリザーバー3は収縮し、注液ポート2から薬液が注入されるとリザーバー3は膨張する。
リザーバー3の材料は、薬液に対する耐薬品性と弾性と強強度を有しガスバリア性(気体を透過させない性質)に優れた材料が好ましく、中でも合成樹脂材料が好ましい。リザーバー3は、耐薬品性と弾性と強強度とガスバリア性に優れ、且つゴム硬度25度〜40度程度の硬度を必要とするが、その合成樹脂としては、スチレンイソプレンスチレンが好ましく、オレフィン系、塩化ビニール系、シリコン系の合成樹脂を用いることができる。
【0053】
リザーバー3の平面視形状は、図1の(1)、図2のように楕円形状である。リザーバー3の断面方向(厚み方向)から見た形状は、図4、図5のように中央付近は厚くかつ周辺に向かうに従って薄くなる略アーモンド形状で、各々の左右端部が略尖った形状に形成されている。前述したように図4、図5において左側である外端側中心位置と右側である内端側中心位置が略尖っている形状である。図4、図5において、リザーバー3の右側の内端側中心位置は、左側の外端側中心位置よりも上側に配置され、全体が左側から右側に向かって傾斜した配置関係となっている。
ただし、リザーバー3の形状は図示のものに限定されず、例えば下面が平坦の形状等であってもよい。
【0054】
リザーバー3は、図5の上左側に図示されているように前記注液ポート2に向かって突出形成されたパイプ状の注液ポート側接続部3Aが構成されており、前記注液ポート2の接続筒部2Bに接続しているものである。この接続は、接続筒部2Bの外周部に注液ポート側接続部3Aの内周部が圧入し、両者の接触面が接着材により接合されている。このように圧入と接着材とにより接続部は、液薬漏れを防止している。
またリザーバー3は、図4の上左側に図示されているように、チューブ16側に向かってパイプ状に突出形成したチューブ側接続部3Bが形成されている。このチューブ側接続部3Bは、チューブ16におけるリザーバー3側の開口部である注入開口部16A(チューブの一端)とこのチューブ側接続部3Bとを連結するリザーバー側接続パイプ28に対して圧入と接着材での接着等により結合されている。すなわち、リザーバー側接続パイプ28のリザーバー側パイプ28Aの外周部にチューブ側接続部3Bの内周部が圧入し両者が接着材により接合されている。このように圧入と接着材とにより接続部は、液薬漏れを防止している。
リザーバー側接続パイプ28は、薬液に対する耐薬品性と、強強度を有しガスバリア性の観点から、ステンレススチール等の金属かポリプロピレン、塩化ビニール等の合成樹脂で形成されることが望ましい。
【0055】
上記のリザーバー3、リザーバー3の注液ポート側接続部3Aと注液ポート2の接続筒部2Bとの接続箇所、リザーバー3のチューブ側接続部3Bとリザーバー側接続パイプ28のリザーバー側パイプ28Aとの接続箇所は、共に収納部Mの外側に配置されている。上記収納部Mは、中ケース7と上ケース5とにより構成される空間であり、外部から密閉された密閉空間である。上記収納部Mは、後述するように防水構造で構成されて密閉されている。
上記収納部Mの外側は、薬液輸送装置1において密閉された領域ではないため、薬液輸送装置1が動物の体内に配置され周囲温度が36〜38℃に上昇しても、収納部M内のように高められた外圧空気が作用することはない。従って、リザーバー3の注液ポート側接続部3Aと注液ポート2の接続筒部2Bとの接続箇所、リザーバー3のチューブ側接続部3Bとリザーバー側接続パイプ28のリザーバー側パイプ28Aとの接続箇所から各々の内部に周囲の気体や液体が入り込むことはない。
【0056】
前記リザーバー3は、上ケース5の上面や下ケース6の下面に対して上述のように傾斜して取り付けられている。具体的にはリザーバー3はリザーバー枠8に保持されており、リザーバー枠8は平面方向では中ケース7の所定位置に位置決めされ、断面方向では中ケース7と上ケース5に挟まれて保持されている。
【0057】
次にチューブ16について説明する。
チューブ16は、薬液に対する耐薬品性と弾性と強強度を有しガスバリア性(気体を透過させない性質)に優れた材料がこのましく、中でも合成樹脂材料が好ましい。上記ガスバリア性に優れた材料が要求されるのは、チューブ内の薬液に外部から空気等の気体の進入を阻止し薬液に有害物質が混入することを防止するためであり、加えて外部から気体が侵入して気泡が存在するとマイクロポンプ11のポンプ機能が低下するため、その機能低下を防止するためである。またチューブ16は、マイクロポンプ11の構成部材にもなっており後述するよう押圧ピン23により押圧されても破損しないためには、ゴム硬度(ショアA)25度〜40度程度の硬度を必要とする。耐薬品性と弾性と強強度とガスバリア性とに優れ適度な硬度を備えた合成樹脂としては、スチレンエチレンブチレンスチレンが好ましく、オレフィン系、塩化ビニール系、シリコン系の合成樹脂が用いられる。従って、リザーバー3と同様の材料を選択することもできる。これらの合成樹脂から選ばれたチューブ16は、外径がほぼ1.1mm、内径0.6mmに形成されている。従って、その肉厚はほぼ0.25mmである。なお、チューブ16の外径、内径、肉厚は、使用状況により適宜変更することができる。
【0058】
チューブ16の平面視での形状は、図2及び流体導通系ユニット31とリザーバー3の分解斜視図が図示された図6のように概ね半円弧状、もしくはΩ形状であり、その略中央側には円弧状チューブ部16B、左端(一端)には上記注入開口部16Aが形成され、右端(他端)には排出側開口部16Cが形成されている。図6は、流体導通系ユニット31とリザーバー2の斜視図である。
上記注入開口部16Aは前述したリザーバー3と接続するリザーバー側接続パイプ28に接続して一端側接続部Sを構成しており、上記排出側開口部16Cは薬液輸送装置1の外部に突出する輸送先側接続パイプ30に接続して他端側接続部Tを構成している。輸送先側接続パイプ30は、薬液に対する耐薬品性と、強強度を有しガスバリア性の観点から、ステンレススチール等の金属かポリプロピレン、塩化ビニール等の合成樹脂で形成されることが望ましい。
なお、チューブ16の上記円弧状チューブ部16Bは、マイクロポンプ11の一部を構成するものである。
上記チューブ16において、上記注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続構造、及び上記排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接続構造、更にはその周辺配置関係についての詳細は、後述する。
【0059】
ここで、薬液が流通する流体導通系は、ユニット化されているものである。
このユニット化された流体導通系ユニット31は、図6のように、注液ポート2、リザーバー3、リザーバー側接続パイプ28、チューブ16、輸送先側接続パイプ30を含むものであり、さらにはアウトレットチューブ32を含んでもよく、それらの内部空間に前述の薬液が流動するものである。
この流体導通系ユニット31は、一体化することにより、薬液輸送装置1(外装ケース)に組み込む前に滅菌を施すことができる上で効果的であり、また組み込む際に取扱いやすいものである。
上記チューブ16は、チューブ枠17の案内部(溝状)上に載置され、上側からカム受18に覆われており、チューブ枠17とカム受18とにより平面配置方向と断面方向が位置決めされる。
リザーバー側接続パイプ28と輸送先側接続パイプ30とは、チューブ枠17より外周側に配置されている中ケース7の外周壁位置に配置され、上側から上ケース5に覆われており、中ケース7の外周壁と上ケース5によって平面配置方向と断面方向が位置決めされる。
【0060】
ここでチューブ16の断面方向(厚さ方向)での配置構造について詳述する。
チューブ16は、図4に図示されているように、薬液輸送装置1の断面方向での厚さの中心位置Nより上ケース5側に配置されている。詳しくは、チューブ16は、マイクロポンプ11のカム22、押圧ピン23とほぼ同じ断面方向位置(高さ位置)に配置されている。また、図4、図5に見られるように、チューブ16は、前記リザーバー3が前述のように傾斜して配置されていることにより、注液ポート側接続部3A、チューブ側接続部3Bとほぼ同じ断面方向位置に配置され、また輸送先側接続パイプ30とほぼ同じ断面方向位置に配置されている。
以上のように流体導通系ユニット31において薬液の流動経路の断面方向位置がほぼ同じに配置されていることにより、薬液が流通経路内をスムースに流れることが出来、安定して動物に薬液を供給することができる。またマイクロポンプ11による薬液の供給も低電力で済むことになり、駆動用電池を長期にわたって使用することが出来るものである。
【0061】
次にチューブ16が主としてチューブ枠17に保持されている構造について説明する。
このチューブ16において、前述の上流側の注入側開口部16Aと下流側の排出側開口部16Cの中間部は、平面形状が略円弧状、もしくはΩ状に形成された円弧状チューブ部16Bであるが、この円弧状チューブ部16Bは、主としてチューブ枠17により保持され、位置決めされている。
図7は、チューブ16とその関係部材を中心とした流体輸送系部12の分解斜視図であり、図8は、マイクロポンプ11とマイクロポンプ11を保持する関係部材を中心とした流体輸送系部12の斜視図の分解斜視図である。
まず、図7にも図示されているように、中ケース7の仕切部7Aに保持されたチューブ枠17には、チューブ16の円弧状チューブ部16Bが配置挿入されるように平面形状略略円弧状、もしくはΩ状に形成されたチューブ案内溝17Aが形成されている。このチューブ案内溝17Aは、チューブ4の外径より若干大きめの幅を有し、チューブ枠17の上表面側が開口する向きに形成されて、チューブ16の円弧状チューブ部16Bが上側から載置されるものである。
【0062】
さらに、図7のチューブ案内溝17Aの外周壁は、押圧ピン23により外方に押圧される円弧状チューブ部16Bを支える役割を有している。上記外周壁は、平面形状が円弧状チューブ部16Bの平面形状に沿った円弧状に形成されている。
チューブ枠17の上記チューブ案内溝17Aに挿入載置されたチューブ16の円弧状チューブ部16Bは、上方向からカム受18に覆われている。
【0063】
次に、マイクロポンプ11について詳述する。
マイクロポンプ11は、既に述べたチューブ16の特に円弧状チューブ部16B、押圧ピン23、カム22、輪列20、ステッピングモーター19を備えている。
このステッピングモーター19は、後述する回路部、回路部に動力を供給する回路部駆動用電池14によって駆動される。
【0064】
上記押圧ピン23は、金属(ステンレス鋼、クロム系、黄銅、アルミニウム等)でもよく、エンジニアリング合成樹脂等でもよく、低摩擦性を有し強強度材料が好ましい。
押圧ピン23は、図2、図4、図7に見られるように、先端が径大なチューブ押圧部23Aと径小で棒状の棒状部23Bとを有している。
そのチューブ押圧部23Aは、円弧状チューブ部16Bをチューブ枠17のチューブ案内溝17Aの外周壁に押圧するものである。棒状部23Bの内側端は、前記カム22により放射方向の外側に押し出されるもので、そのため半球状に平滑に形成されている。
この棒状部23Bは、図7、図8に図示されているように、チューブ枠17の円弧状に形成されたチューブ案内溝17Aの中心側に複数個放射状に配置形成された押圧ピン案内溝17Bに挿入載置されている。この押圧ピン案内溝17Bは、チューブ枠17の上側に開口して設けられており、断面方向の形状は、棒状部23Bの断面形状に倣って半円形状に形成されている。
上記棒状部23Bは、図4、図7のように、上側からカム受18が覆い、チューブ枠17のチューブ案内溝17Aとカム受18により厚さ方向の位置決めがなされている。
【0065】
次に上記押圧ピン23を、前記放射方向の外方向に押し出されて突出し、前記円弧状チューブ部16Bを前記チューブ案内溝17Aの外周壁に押圧するカム22について説明する。
【0066】
カム22は、図2、図7に図示されているように、第1カム22Aと第2カム22Bとを有し、第1カム22Aと第2カム22Bはカム軸21を中心に一方方向(図2の時計回り)に回転することができる。
上記第1カム22Aと第2カム22Bは、ポリアセタール樹脂等の機械的強度の大きいエンジニアプラスチックまたは、強度と耐磨耗性に優れた金属で構成されている。上記第1カム22Aと第2カム22Bは、各々のカム面(図2では紙面に垂直方向に沿う側面)が押圧ピン23の内端に接触して押圧ピン23を放射方向に押し出し、円弧状チューブ部16Bを押し潰すため、大きな反力を受けることになる。よって上記第1カム22Aと第2カム22Bは、高硬度、強強度、低摩擦係数が要求されるものであることから、充填剤混入合成樹脂を用いると好ましい。
【0067】
この上記第1カム22Aと第2カム22Bは、各々平面視で突出部と凹部とを備えており、この突出部から凹部にかけてはなだらかなスロープ部が形成されている。上記突出部と凹部とスロープ部は、第1カム22Aには1箇所が配置されている。また第2カム22Bには、上記突出部と凹部とスロープ部が3箇所形成されている。上記3箇所は、互いに90度の角度位置に配置されている。マイクロポンプ11の駆動時、つまり薬液輸送装置1が動物の皮下に埋め込まれた後の通常の使用状態であるマイクロポンプ11の駆動状態において、平面視位置での第1カム22Aと第2カム22Bの全4箇所の突出部は略90度づつ回転した位置にセットされている。
【0068】
図2では、第1カム22Aの突出部が2個の押圧ピン23、23を外方に押し出し、押圧ピン23の先端のチューブ押圧部23Aが円弧状チューブ部16Bを押圧している。上記2個の押圧ピン23の右隣に配置されている押圧ピン23(1本)は、その中心側端面が第1カム23Aの前記スロープ部に当接している。上記2個の押圧ピン23の左隣に配置されている押圧ピン23の3本は、第1カム22Aの凹部に当接しており、また最も左の押圧ピン23の1本は第2カム22Bの前記スロープ部に当接して、上記左隣の3本と共に円弧状チューブ部16Bをほとんど押圧していない。各押圧ピン23は、円弧状チューブ部16Bの弾性力により上記回転中心側に押し戻されているものである。
【0069】
なお、薬液輸送装置1の組立て時には、マイクロポンプ11は停止しているが、第1カム22Aは、図2の第1カム22A位置より約50度時計回り方向(右方向)に回転した位置に組み立てられる。また第2カム22Bは、図2の第2カム22B位置より若干反時計周り(左方向)に回転した位置に組み立てられる。従って、各第1カム22Aと第2カム22Bの各々の突出部同士は図2の位置より互いに近づいた位置にセットされ、各第1カム22Aと第2カム22Bの各々の凹部が前記押圧ピン23に対向する位置にセットされるから、各第1カム22Aと第2カム22Bが前記押圧ピン23のいずれをも押圧しない。この状態で薬液輸送装置1が出荷されるので、薬液輸送装置1が動物に埋め込まれてマイクロポンプ11が回転駆動するまでは、前記押圧ピン23の全ては、前記円弧状チューブ部16Bに押圧力を与えないものであり、押圧し続けることによる前記円弧状チューブ部16Bのへたりや変形を防止し、弾性力を長期に渡って確保できるようにしている。
なお、第1カム22Aと第2カム22Bの厚み方向の構造は、上記の如く第1カム22Aが図2の第1カム22A位置より約50度時計回り方向(右方向)に回転可能なように、また第2カム22Bが図2の第2カム22B位置より若干反時計周り(左方向)に回転可能なように構成されている。
【0070】
この後、薬液輸送装置1が動物に埋め込まれマイクロポンプ11が回転駆動を開始すると、後述するように、上記第1カム22Aと第2カム22Bが係合しているカム軸21が回転し、上記第1カム22Aと第2カム22Bを回転駆動する。ここで1カム22Aが回転して図2の左端の押圧ピン23に当接すると、1カム22Aはそのカム軸21とスリップして第2カム22Bの突出部が回転してくるまでその位置に留まることになる。次に前記第2カム22Bが回転して、その突出部が第1カム22Aの左端部に当接するように突出部と第1カム22Aの左端部の厚さは形成されているが、その当接により第1のカム22Aは第2カム22Bに押されて共に時計周り方向に回転することになる。その場合、各第1カム22Aと第2カム22Bの互いの回転方向の位置は、図2の図示状態になり、第1カム22Aと第2カム22Bの4つの突出部は略90度づつ等間隔位置にセットされる。以後は、その平面位置関係にて回転駆動し、前述の様に、各突出部、スロープ部は、押圧ピン23を放射方向の外方に押し出すので、前記押圧ピン23が順次円弧状チューブ部16Bを前記外方に押圧することになり、チューブ16内の薬液を外部(図2の平面視で右方)に排出することになる。
【0071】
上記第1カム22Aと第2カム22Bを回転駆動する部材は、カム軸21から突出した各々のカム部回転軸である。それらのカム部回転軸が上記第1カム22Aと第2カム22Bの中心穴に各々係合取り付けられている。すなわち、上記カム部回転軸は、中心側の中心側回転軸とその外側に挿入配置された筒状回転軸とが同心円に配置されており、各々の回転軸に上記第1カム22Aと第2カム22Bとが取り付けられているものである。
その各々のカム部回転軸は、同じ前記回転中心を中心に回転するものである。
各カム部回転軸を回転させる駆動源、すなわちカム軸21を回転させる駆動源は、歯車とピニオンを備えた歯車などが複数個連なる歯車列を有した輪列20により回転駆動される。
【0072】
この輪列20は、図2においてカム軸21の周辺に配置されている。
上記輪列20を回転駆動するのは、前述したステッピングモーター19である。
ステッピングモーター19は、2極の永久磁石を回転軸に取り付けたローターが、図5に一部が図示されたステーター33の開口内で1ステップ180度の角度で回転する。上記ステーター33は、図5のように地板24に固定されている。ステーター33に磁気結合されたコイルブロック34に回路部13からの駆動信号が入力すると、ステーター33に磁気が誘起されることによりローターを回転するものである。
【0073】
上記ステッピングモーター19、輪列20、カム軸21、地板24、輪列受25の斜視図は、図8に図示されている。
図8において、中ケース7の仕切部7Aに保持される地板24の下側に輪列20、ステッピングモーター19が配置され、それらの下側から輪列受25が地板24に被せられている。よって輪列20、ステッピングモーター19が、地板24及び輪列受25に保持されることになる。なお、ステッピングモーター19は、図5の右側にその一部が図示されているように、ステーター33とコイルブロック34が地板24に保持されており、ステーター33の開口円内を2極の永久磁石が固定されたローター(図示せず)が回転可能に配置されているものである。
図8のように、地板24の上側にはチューブ枠17が配置されるものである。
【0074】
上記ステッピングモーター19、輪列20、カム軸21、地板24、輪列受25は、各々腕時計のステップモーター、輪列、輪列の末端の2番車軸、地板、輪列受の構造を適用することができる。
また上記カム部回転軸を構成する中心側回転軸及び筒状回転軸は、腕時計の2番車軸に摩擦係合している筒カナ及び筒カナと連動回転する筒車の構造をほぼ採用することができるものである。
【0075】
ここで、チューブ16の一端である注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部である一端側接続部S、およびチューブ16の他端である排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接続部である他端側接続部Tの配置関係および接続構造について、詳述する。
図9は、流体導通系ユニット31の関係部材の平面配置図で、注液ポート2、リザーバー3、注液ポート2とリザーバー3との接続部、チューブ16、チューブ16の一端の注入側開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部、チューブ16の他端の排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接合部、マイクロポンプ11の押圧ピン23などの平面配置図である。
図10は、図9の主要部の断面図である。
図11は、チューブ16の注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部である一端側接続部S、およびチューブ16の他端と輸送先側接続パイプ30との接合部である他端側接続部Tの拡大断面図である。
【0076】
上記のうち、一端側接続部S、他端側接続部T、注入側開口部16Aから排出側開口部16Cまでのチューブ16、押圧ピン23などマイクロポンプ11は、中ケース7と上ケース5とにより構成される空間である収納部M内に収納されている。この収納部Mは、外部から密閉された密閉空間である。
すなわち、図9、図10のように、中ケース7の外周に形成された外周壁部7Gと、上ケース5の外周に形成された外周壁部5Aとが、上下方向に対向配置されて互いに超音波溶接されて接合されている。このため、その溶接部は水分の侵入を防ぐ防水構造を構成している。また上記収納部Mの上側は、上ケース5が覆っており、上記収納部Mの下側は、中ケース7の仕切部7Aが配置されている。この仕切部7Aは後述するように、仕切部7Aの下側(下ケース6側)の電気系部15とは密閉関係、つまり防水性が確保された状態に構成されている。
【0077】
さらに、上記中ケース7の外周壁部7Gと上ケース5の外周壁部5Aとは、リザーバー側接続パイプ28のほぼ中央の外周に形成された外周溝部28C、及び輸送先側接続パイプ30のほぼ中央の外周に形成された外周溝部30Cとを上下から挟んでいる。この挟み構造によりリザーバー側接続パイプ28と輸送先側接続パイプ30は、中ケース7の外周壁部7Gと上ケース5の外周壁部5Aとにより保持されている。また、この挟み部には接着材が塗布されて、外部から水分や空気などの気体が収納部Mに侵入することを防止している。なお、外周溝部28C、30Cに防水パッキンを嵌めてから上記中ケース7の外周壁部7Gと上ケース5の外周壁部5Aとにより挟む防水構造を採用してもよい。
以上のように構成された上記収納部Mは、防水性を有した状態で外部から密閉された密閉空間ある。
【0078】
図11は、上記収納部M内に配置されている、一端側接続部S、及び他端側接続部Tの拡大断面図である。
上記チューブ16において、前記一端側接続部Sは、次のように構成されている。
一端側の上記注入開口部16Aの外周部16Dが、リザーバー側接続パイプ28におけるチューブ側パイプ28Bの内周部28D内に挿入され且つ接着材10にて接合されているものである。従来の図20のように、注入開口部16Aの内周部を押し広げて挿入する場合に比べて、上記注入開口部16Aの外周部16Dをチューブ側パイプ28Bの内周部28Dにそのまま挿入するだけでよい。このため、上記挿入長さを必要量確保することができ、接着材による接合長さも長くなり、接合力が向上する。
【0079】
ここで、注入開口部16Aの内周部16Dがチューブ側パイプ28Bの外周部を覆うように押し込まれると、注入開口部16Aが外周側に広げられその分肉厚が薄くなり薄くなった部分から薬液が外方に染み出る可能性が起こりうることは、既に詳述した。
これに対し本実施形態では、注入開口部16Aの外周部16Dがチューブ側パイプ28Bの内周部28Dに挿入されると、上記外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28によって前述のように外側に広げられることがないので、注入開口部16Aの肉厚、及びチューブ側パイプ28Bの内端28Eから突出しているチューブ16の肉厚が薄くなることがない。しかも上記外周部16Dにおける前記内端28Eから突出しているチューブ部分周辺には、引っ張り力が作用していないため、引っ張り歪も生じていない。
この場合、内周部28Dと外周部16Dとの径方向に隙間が設けられている。この隙間により、液状の接着材10が毛細管現象により上記隙間の全域、全周に素早く浸透し、接着能力が向上する。この接着材10をチューブ側パイプ28Bの内端28Eに単に付着するだけで、接着材10が上記隙間に素早く浸透するので、作業性が向上する。
この接着材10は、多少の粘性を有しても液状が好ましく、光硬化性接着材が適用できる。その他の接着剤でもよく、たとえばエポキシ樹脂からなる常温硬化性タイプでもよい。
【0080】
よってチューブ16の注入開口部16A付近から周囲の高圧力の空気がチューブ16の内部に侵入することを防止することができる。
しかも、注入開口部16A付近からはチューブ16内の薬液が外方に染み出すことを防止することができる。
しかも前記内端28Eから流れ方向R1側に突出しているチューブ16周辺には、引っ張り力が作用せず、引っ張り歪も生じていないことから、組立時に対し動物の体内に埋め込んだ際に高温(36〜38℃程度)になっても、また経過時間が長期に及んでも、前記内端28Eから流れ方向R1側に突出しているチューブ16の外周部16D付近は、引っ張られることがなく、肉厚が薄くなることもない。従って、長期にわたって、チューブ16の注入開口部16A付近から周囲の高圧力の空気が内部に侵入することを防止し、注入開口部16A付近からはチューブ16内の薬液が外方に染み出すことを防止することができる。
【0081】
また、上記チューブ16において、注入開口部16Aの外周部16Dがチューブ側パイプ28Bの内周部28Dに挿入される場合、注入開口部16Aの内端16Eを内周部28Dの奥壁28Fに接触させ、好ましくは弾圧させるようにすると、外周部16D及びチューブ16の注入開口部16A付近の肉厚が厚くなる方向に作用力が働く。このため、チューブ16の注入開口部16A付近からは周囲の高圧力の空気がチューブ16の内部に侵入することをより防止し、注入開口部16A付近からはチューブ16内の薬液が外方に染み出すことをより防止することができる。
上記弾圧は、注入開口部16Aをチューブ側パイプ28Bの奥壁28Fに押し当てた状態で接着材10を塗布し、その状態を維持したまま硬化させることにより達成できるものである。
なお、リザーバー側接続パイプ28の内端28Eは、その内端28Eに面取りやアール付け等で形成される接着材案内部28Gが形成されている。この面取りやアール付けは、チューブ16の注入側開口部16Aを挿入する場合に、スムースに挿入させることができる。
また上記奥壁28Fに接着材を溜めておく接着材貯留窪みを形成しておいてもよい。
【0082】
またチューブ16の中心側に形成され薬液を導通するチューブ導通路16Fの直径Pは、リザーバー側接続パイプ28の中心側に形成され薬液を導通するパイプ導通路28Hの直径Qより大きく形成されている。
この場合、リザーバー3に貯蔵された薬液が、マイクロポンプ11によりリザーバー側接続パイプ28を通過してチューブ16に供給されるが、薬液が上記のように供給されても(流れても)、注入側開口部16Aにおいて、リザーバー側接続パイプ28の内端28E付近のチューブ16は、外周側に膨張することがない。それは、前述のように、薬液がリザーバー側接続パイプ28のパイプ導通路28Hからチューブ16のチューブ導通路16Fに送出される際に、チューブ導通路16Fの直径Pがパイプ導通路28Hの直径Qより大きいため、パイプ導通路28Hからチューブ導通路16Fに送り出された瞬間、薬液の送り出し圧力が弱まるためである。
従って、リザーバー側接続パイプ28の内端28Eから流れ方向R1側に突出している部分付近のチューブ16(注入側開口部16A付近)の肉厚が薄くなることがない。よって、周囲が前述のように高温になって空気圧が高圧になっても前記内端28E付近のチューブから周囲の空気が侵入することがなく、また前記内端28E付近のチューブから薬液が外方に排出されることがない。
【0083】
また上記チューブ16の前記他端側接続部Tは、次のように構成されている。
チューブ16の他端において、上記排出側開口部16Cの外周部16Dが、輸送先側接続パイプ30におけるチューブ側パイプ30Bの内周部30Dに挿入され且つ接着材10にて接合されている。この構造は、上記一端側の注入開口部16Aの外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28における内周部28Dに挿入され且つ接着材10にて接合されている構造と同様である。すなわち、図11において、上記一端側の注入開口部16A側の接続構造と上記他端側の上記排出側開口部16Cの接続構造が、ほぼ対称関係に構成されている。
よって輸送先側接続パイプ30の内端30E付近のチューブ16(排出側開口部16C付近)からは高圧力となった周囲の空気がチューブ16の内部に侵入することが防止される。
しかも、排出側開口部16C付近からはチューブ16内の薬液が外方に染み出すことを防止することができる。
なお、輸送先側接続パイプ30において、30Aはアウトレットチューブ32と接続するアウトレット側パイプ、30Fは奥壁、30Gは接着材案内部、30Hはパイプ導通路である。
【0084】
ここで、上記一端側の注入開口部16A側の構造と上記他端側の排出側開口部16Cの構造とが異なっている点(差異点)を述べる。
すなわち、上記差異点は、上記一端側の注入開口部16Aの外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28の内周部28Dに挿入されている長さL1が、他端側の排出側開口部16Cの外周部16Dが輸送先側接続パイプ30の内周部30Dに挿入されている長さL2より長く構成されていることである。
上記のように構成することにより、薬液がチューブ16のチューブ導通路16F内を流れる際に流体がチューブ16を流れ方向に押す作用力が働いても、上記一端側の注入開口部16Aの外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28の内周部28Dから抜け出ることが防止される効果を有する。
【0085】
すなわち、上記一端側の注入開口部16Aの外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28の内周部28Dに挿入されている箇所においては、上記薬液が流れ方向R1に流れると、薬液が上記注入開口部16Aを流れ方向R1に向かって押し出すように作用する。しかるに、上記一端側の注入開口部16Aの外周部16Dがリザーバー側接続パイプ28の内周部28Dに挿入されている長さL1が長く確保されていることにより、上記流れ方向R1の作用力に打ち勝ちやすくなり、接着材10による挿入部の抜けを確実に防止する。
このため、リザーバー側接続パイプ28の内端28E付近のチューブ16(注入側開口部16A付近)には従来の図20のように流体の上記流れ方向に押す力が作用することがなく、その箇所の肉厚を厚いまま維持することができる。よって、前述のように周囲が高温になり空気圧が高圧になっても前記内端28E付近のチューブから周囲の空気が侵入することがなく、また前記内端28E付近のチューブから薬液が外方に排出されることがない。
【0086】
他方、排出側開口部16Cの外周部16Dが輸送先側接続パイプ30の内周部30Dに挿入されている箇所においては、上記長さL2が短いが、上記薬液が流れ方向R2に流れると、薬液が上記排出側開口部16Cを流れ方向R2に向かって押し込むように作用する。したがって、排出側開口部16Cが輸送先側接続パイプ30から抜け出ることはない。しかも薬液の流れにより排出側開口部16Cの内端16Eが輸送先側接続パイプ30の奥壁30Fに突き当たるような作用力を受けるから、排出側開口部16Cはより抜け出にくくなる。
上記のように、排出側開口部16Cの外周部16Dが輸送先側接続パイプ30の内周部30Dに挿入されている長さL2を比較的短く形成できるため、前記収納部M内に配置される輸送先側接続パイプ30を短くすることができる。このため、収納部M内に収納される他の部材の構成配置の自由度が高まり、最適設計をすることができる。
【0087】
なお、排出側開口部16Cのチューブ導通路16Fの直径Pは、輸送先側接続パイプ30のパイプ導通路30Hの直径Qより大きく形成されている。パイプ導通路30Hは、輸送先側接続パイプ30において外部に突出するアウトレット側パイプ30Aの中心側にも形成されており、上記外部に突出する部分の太さに制限があるため、パイプ導通路30Hの直径Qは比較的小さく形成されているものである。
パイプ導通路30Hの直径Qが小さく形成されているため、チューブ導通路16Fから流れ込む薬液は、パイプ導通路30Hに入り込みにくくなる。このため、パイプ導通路30Hの内端に面取りやアール状の薬液案内部30Iを形成している。
【0088】
一方、図9に図示されているように、平面配置において、チューブ16の一端である注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部(一端側接続部S)、およびチューブ16の他端である排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接合部(他端側接続部T)の平面配置関係について、説明する。
上記チューブ16の中間位置には、前述したマイクロポンプ11の複数の押圧ピン23が配置されている。この押圧ピン23は、マイクロポンプ11の駆動部に動作信号が入力することにより、各押圧ピン23が順次チューブ16を押し潰し、チューブ16内の薬液を流れ方向に間欠的に押し出すものである。
このようにチューブ16が押し潰され開放されることが繰り返される度に、チューブ16は上記押し潰され開放される方向に対し直交する方向に微移動させられる。具体的には、注入開口部16Aに近い押圧ピン23による上記微移動N1は、図9のように当該押圧ピン23の長手方向に直交する方向に生じる。同様に排出側開口部16Cに近い押圧ピン23による上記微移動N2は、図9のように当該押圧ピン23の長手方向に直交する方向に生じる。
上記微移動N1と微移動N2が生じると、チューブ16の注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部、および排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接続部に少なからず作用力が働き、各々の接続部に影響を及ぼす。
【0089】
しかるに、本実施形態においては、図9のように、一端側接続部Sと注入開口部16Aに近い押圧ピン23との間のチューブ16にくびれ形状部16G、16Hを形成している。同様に、他端側接続部Tと排出側開口部16Cに近い押圧ピン23との間のチューブ16にくびれ形状部16Iを形成している。
上記微移動N1が生じても、上記チューブ16にくびれ形状部16G、16Hがその微移動N1を吸収することになり、注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部への作用力が緩和される。したがって、注入開口部16Aがリザーバー側接続パイプ28から抜け出る方向の作用力が生じることを防止することになる。このため、注入開口部16A付近のチューブ16の肉圧が薄くなることを防止することができる。
同様に、上記微移動N2が生じても、上記チューブ16にくびれ形状部16Iがその微移動N2を吸収することになり、排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接合部への作用力が緩和される。したがって、排出側開口部16Cが輸送先側接続パイプ30から抜け出る方向の作用力が生じることを防止することになる。このため、排出側開口部16C付近のチューブ16の肉圧が薄くなることを防止することができる。
【0090】
他方、図10、図11に図示されているように、断面方向配置において、注入開口部16Aのチューブ16の中心位置と押圧ピン23、23付近のチューブ16の中心位置は、段差D1が形成されている。同様に排出側開口部16Cのチューブ16の中心位置と押圧ピン23、23付近のチューブ16の中心位置は、段差D2が形成されている。
そこで、前述したように上記微移動N1とN2とが生じても、上記段差D1、D2が上記微移動N1とN2を吸収することになる。
よって、注入開口部16Aがリザーバー側接続パイプ28から抜け出ることを防止するとともに、注入開口部16A付近の肉圧が薄くなることを防止することができる。また排出側開口部16Cが輸送先側接続パイプ30から抜け出ることを防止するとともに、排出側開口部16C付近の肉圧が薄くなることを防止することができる。
【0091】
なお、前述のように、一端側接続部Sと他端側接続部Tが、中ケース7と上ケース5とにより構成される収納部M内に収納されていた。
ここで、密閉された前記収納部M内に収納される前記接続部が、一端側接続部Sと他端側接続部Tのどちらか一方である場合は、前述した図11の構造は、前記収納部M内に収納された方の接続部において採用され、他方の接続部の構造は、従来の図20の構造を採用してもよい。
例えば、上記収納部M内に収納される接続部が一端側接続部Sであるならば、注入側開口部16Aの外周部16Dをリザーバー側接続パイプ28の内周部28Dに挿入し接着材10を塗布して接合すればよい。その際、チューブ16の他端の排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接合部は、図20のような従来の接合構造であっても良く、あるいは図11の本発明実施形態の構造を採用してもよい。
また上記収納部M内に収納される接続部が他端側接続部Tであれば、排出側開口部16Cの外周部16Dを輸送先側接続パイプ30の内周部30Dに挿入し接着材10を塗布して接合すればよい。その際、チューブ16の注入側開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部は、図20のような従来の接合構造であっても良く、あるいは図11の本発明実施形態と構造を採用してもよい。
【0092】
〔電気系部〕
次に、主として、前記マイクロポンプ11の駆動を制御する回路部13と回路部13に動力を供給する回路部駆動用電池14とを備えた電気系部15について説明する。
電気系部15は、主要部の平面配置が図3に、断面方向の配置関係が図4と図5に、主要部の斜視図が図12に図示されている。
図12は、電気系部15の関係部材の分解斜視図である。図12の斜視図は、中ケース7を下方に図示し、その上方に下ケース6を配置したものである。
上記電気系部15は、仕切部7Aを含んだ中ケース7と下ケース6により密閉された空間に配置されている。
【0093】
電気系部15の主要部としては、回路部駆動用電池14、回路基板35、半導体素子36、薬液輸送装置1が外部のデーター送受信装置37とデーター送受信を行う際に電気的に接続させるリードスイッチ38、外部のデーター送受信装置37との光通信を行うための発光素子39、上記光通信のための受光素子40などである。
【0094】
上記電気系部15の主要部を説明する。
回路基板35は、上面側に配線パターンが配線されたリジット基板またはフレキシブル基板であり、平面形状は図3の右側に鎖線で表示されたもので、大きい面積を有する。
回路基板35は、仕切部7Aの下ケース6側の下面にネジ締め等により固定されている。
【0095】
半導体素子36は、回路基板35の下面に実装され、回路基板35の下面の導電パターンにワイヤーボンディング実装やフリップチップ実装などにより接続されている。
半導体素子36は、ステッピングモーター19の駆動制御を行うステッピングモーター駆動制御回路、発光素子39や受光素子40の動作制御を行う光通信制御回路、ステッピングモーター19の駆動状態や光通信により送受信するデーターを記憶する記憶回路などを有する。
【0096】
回路部駆動用電池14は、ボタン型電池で通常時(定格電圧)は1.5Vを出力し、平面方向では図3のほぼ中央のやや左上側に配置されている。回路部駆動用電池14は、前述した地板24の外形と一部重なって配置される関係となる。
回路部駆動用電池14は、断面方向では、図4、図5、図12に図示されているように、回路基板35を貫通して仕切部7Aに形成された回路部駆動用電池案内窪み7Cに挿入されている。
回路部駆動用電池14の導通手段は、次のように構成されている。
回路部駆動用電池14の下側面(下ケース6側)は、図4のようにZ形状のプラス端子板44の一端が接触している。プラス端子板44の他端は回路基板35の下面の導パターンに接触している。プラス端子板44の他端は、小ネジ99が回路基板35を貫通して仕切部7Aにねじ込まれることにより固定されている。小ネジ99は回路基板35も仕切部7Aに固定している。
回路部駆動用電池14の上側面(仕切部7A側)は、図5のようにZ形状のマイナス端子板45の一端45Aが接触している。マイナス端子板45の他端45Bは、回路基板35の上面の導電パターンに接触している。マイナス端子板45は、回路部駆動用電池案内窪み7Cに配置されており、下側から回路基板35によりサンドイッチされて保持されている。
【0097】
回路部駆動用電池14の各電極に接続されたプラス端子板44とマイナス端子板45の各々の他端は、回路基板35の上面の所定箇所に各々配置された導電パターンに接触導通している。
上記コイルブロック34の両端子は、コイルブロック34の下側に配置された配線基板46の上面に形成された各々の配線パターンに接続している。配線基板46は、図5のように仕切部7Aの上側で回路基板35と平面配置において重なる部分を有するように配置されている。
【0098】
この配線基板46の各々の配線パターンと、プラス端子板44とマイナス端子板45の各々の他端が接触導通している回路基板35の各々の導電パターンとは、互いに導通させる必要があるが、その導通構造は、次のように構成されている。
すなわち、図5のように、仕切部7Aに上下に貫通する貫通部(貫通穴)が複数個所形成されており、その貫通部内に導通部材としての導電コイルバネ47と48とが配置されている。
上記のうち1つの導電コイルバネ47は、回路基板35の配線パターンと、配線基板46の下面に形成されている一方の配線パターン46Aとを導通させるものである。この配線パターン46Aは、上記コイルブロック34の一方の端子に接続しているものである。
上記のうち他方の導電コイルバネ48は、回路基板35の配線パターンと、配線基板46の下面に形成されている他方の配線パターン46Bとを導通させるものである。この配線パターン46Bは、上記コイルブロック34の他方の端子に接続しているものである。
【0099】
なお、仕切部7Aに上下に貫通する貫通穴を備えた連通部54は、さらに1箇所が形成されており、その貫通部にも3番目の導電コイルバネ49が配置されている。
この3番目の導電コイルバネ49は、回路基板35の表面に形成された他の導電パターン及び配線基板46の下面に形成された他の配線パターンに接触し導通させているものである。3番目の導電コイルバネ49の周辺については、後述する。
従って、上記3つの導電コイルバネ47、48、49は、仕切部7Aにより仕切られている流体輸送系部12と電気系部15とを、上記貫通部により電気的に接続するものである。
なお、導通部材としては、導電コイルバネ47、48、49などのコイルバネ以外であっても良く、例えば導伝ゴム、導電板バネ、導電線であってもよい。またそれらの導電部材を仕切部7Aにインサートして防水構造を形成してもよい。
【0100】
上記3つの導電コイルバネ47、48、49及び3つの貫通部の周囲は、流体輸送系部12の流体導通系ユニット31やマイクロポンプ11等と電気系部15との間を水分が漏れ出ない防水構造が構成されている。
すなわち、図5に図示されているように、3つの導電コイルバネ47、48、49の周囲に防水パッキン50が弾圧されて配置されている。
防水パッキン50は、弾性に富んだ合成ゴムからなり、平面形状は図3のように楕円形である。
防水パッキン50は、図5のように、仕切部7Aの上側で、3つの導電コイルバネ47、48、49の周囲に形成された防水パッキン収容溝7D(図8参照)に配置され上側から配線基板46が覆いかぶさっている。従って、防水パッキン50は、防水パッキン収容溝7Dと配線基板46の下面とを弾圧するので、防水パッキン50の内側、すなわち3つの導電コイルバネ47、48、49側には、流体輸送系部12の流体導通系ユニット31やマイクロポンプ11等から電気系部15に水分が侵入することがない。逆に電気系部15から流体輸送系部12の流体導通系ユニット31やマイクロポンプ11等に水分が侵出することもない。
なお、防水パッキン50の内壁は、導電コイルバネ47、49の外側とは接触しない配置関係に構成されていることが好ましい。
よって、導電コイルバネ47、48、49は、防水性を確保した状態下で、電気系部15と流体輸送系部12側との電気的接続をはかることができる。
【0101】
なお、配線基板46に形成されている上記一方の配線パターン46Aと他方の配線パターン46Bとは、平面距離が離れていることにより結露等により両パターン間に水滴が付いたとしても両者のショートはしにくくなってステッピングモーターの動作を妨げることが防止される。但し、上記一方の配線パターン46Aと他方の配線パターン46Bとの表面には、絶縁被膜、たとえばレジスト被膜が被覆されていると、上記両配線パターン46A、46Bとのショートを確実に防止できる。その際、絶縁被膜は、前述の防水パッキン50と接触する箇所までは形成されていることが好ましく、上記コイルブロック34の各々の端子との接続箇所まで形成されていることが好ましい。上記コイルブロック34の各々の端子からコイルブロック34の内部のコイル線には絶縁被膜が形成されており、この絶縁被膜が防水の役割を有しているものである。
【0102】
リードスイッチ38は、両端子が回路基板35の上面の導電パターンに導通接合されている。
リードスイッチ38は、薬液輸送措置1が外部のデーター送受信装置37とデーターの送受信を行うため、図14のように薬液輸送措置1がデーター送受信装置37の上にセットされた場合に、薬液輸送措置1側において発光素子39及び受光素子40と半導体装置36との通信回路を接続するものである。逆に薬液輸送措置1がデーター送受信装置37の上にセットされない場合には薬液輸送措置1側の半導体装置36との通信回路を遮断し、無用なデーターの送受信を阻止するものである。従って、光通信用電池51の消費電力の浪費を防止することができる。
図14は、薬液輸送措置1がデーター送受信装置37の上にセットされ、パソコン43と通信を行う状態図である。
【0103】
薬液輸送措置1が上記データー送受信装置37とデーターの送受信を行うためデーター送受信システムについて、図15に基づいて説明する。
図15は、薬液輸送措置1とデーター送受信装置37とパソコン43との間でデーターを送受信する回路図である。
図15において、データー送受信装置37には、薬液輸送措置1の前述の発光素子39に対向した位置に配置された光受信部42、前述の受光素子40に対向した位置に配置された光送信部41が構成されている。データー送受信装置37はUSBケーブルなどによりパソコン43に接続している。
薬液輸送措置1を使用する当初において、パソコン43からステップモーター19の動作制御信号などの制御データーをデーター送受信装置37に送信し、データー送受信装置37の光送信部41から受光素子40に送信し、リードスイッチ38を介して半導体素子36の記憶回路に記憶する。この記憶された制御データーは、ステッピングモーター19の動作制御を行うものである。またステッピングモーター19の駆動時間などのデーターは、半導体素子36から発光素子39を介して光受信部42に送信され、パソコン43にて使用者が把握することができる。使用者は、パソコン43により、半導体素子36に必要なデーターが入力されたことを確認することができる。
【0104】
上記発光素子39と受光素子40とは、回路基板35の裏面(下ケース6側面)に実装されており、発光素子39と受光素子40に対向している下ケース6の部分は、図13のように発光素子39と受光素子40の側に向かって突出して内方突出部6A、6Aが形成されている。
図13は、発光素子39と受光素子40の周辺配置部材の断面図である。
下ケース6の内方突出部6A、6Aは、発光素子39と受光素子40との距離が短くなっていることから光通信の際に光が分散することがなく光通信を良好に行うことができる。
なお、下ケース6は透光性材料で形成されている。
発光素子39と受光素子40の平面配置は、図3のように互いに離れている。
発光素子39はリードスイッチ38の近辺に配置され、受光素子40は外部チューブ9の近辺に配置されている。発光素子39と受光素子40とが互いに離れているので、発光及び受光は、互いに干渉を受けずに各々を良好に行うことができる。
なお、回路基板35には、上記以外にも必要な電子部材が実装され、配線されていてもよいものである。
【0105】
以上により、電気系部15が構成される。
この電気系部15は、中ケース7と下ケース6との間の空間に配置されるものであるが、この空間は、防水構造を有している。
すなわち、中ケース7と下ケース6の外周部は、互いに接触しており、その接触部は、超音波接合されて一体化されているものである。
例えば、下ケース6の外周壁に、電気系部15を囲うように微小な突起である超音波接合用突起部6Bが上側に突出形成されている。この超音波接合用突起部6Bは、対向する中ケース7の外周壁に超音波接合されるものである。よって超音波接合された箇所は、一体化状態になって水分が浸入することを防止するものである。
なお、中ケース7と下ケース6の外周部の防水構造は、上記以外のどのような構造であってもよく、たとえば中ケース7と下ケース6の外周部を防水接着材で互いに接合しても良く、あるいは中ケース7と下ケース6の外周部に防水パッキンを弾圧配置してもよい。
【0106】
ここで、光通信のための電源である光通信用電池51の配置構造を説明する。
光通信用電池51は、データ送受信装置37と光通信を行うための電源として用いられるもので、主として発光素子39を駆動するために用いられる。また光通信用電池51の出力電圧は3Vであって回路部駆動用電池14の電圧(1.5V)より高く、発光素子39を高効率で駆動でき、且つ回路部駆動用電池14の負荷軽減をはかり、同電池14の電池作動時間を長期化させているものである。
【0107】
光通信用電池51は、図5、図8のように中ケース7の仕切部7Aの上側、すなわち流体輸送系部12側に配置され、光通信用電池案内窪み7Fに挿入されている。
光通信用電池51の底面(下面)は、マイナス電極である。このマイナス電極は、前述したマイナス端子板45の上端45Cと接触して前述の回路基板35の導電パターンに導通している。
マイナス端子板45は、前述したように回路部駆動用電池14の上面(マイナス電極)と接触し、且つ光通信用電池51の底面のマイナス電極とも接触している。このため、回路部駆動用電池14の上側で光通信用電池51の下側の仕切部7Aには、マイナス端子板45の上端45Cが光通信用電池51のマイナス電極と接触できるように開口が形成されているものである。
また平面配置において、回路部駆動用電池14と光通信用電池51とは、図3のように少なくとも一部が重なりあっており、両電池が必要とする平面スペースを少なくしている。
【0108】
光通信用電池51の上面は、プラス電極である。このプラス電極には、図5のようにZ形状のプラスリード板52の一端が接触している。プラスリード板52の他端は配線基板46の上面の導電パターンに接触し配線基板46に固定されている。このため、光通信用電池51は、プラスリード板52により上方に抜け出ることがなく保持されている。
【0109】
一方、光通信用電池51の外周には、光通信用電池パッキン53が圧縮挿入されている。この光通信用電池パッキン53は、光通信用電池案内窪み7Fの内周壁と光通信用電池
51の外周との間に配置され、両者に弾圧されていることから、光通信用電池51の上方、すなわち流体輸送系部12側から光通信用電池51の下方、すなわち電気系部15側に水分が漏れ出ることはない。
【0110】
以上により、電気系部15は、流体輸送系部12側からの水分の侵入が防止されることになる。すなわち、電気系部15と流体輸送系部12側との間を仕切っている仕切部7Aにおいて、電気系部15と流体輸送系部12側との連通箇所である上記3つの導電コイルバネ47、48、49は上記防水パッキン50により、また光通信用電池51の外周は光通信用電池パッキン53により、流体輸送系部12側から電気系部15に侵水しないことになる。
従って、たとい流体輸送系部12側の前記収納部M内に水分が侵入したとしても電気系部15はその水分により電気系統のショートなどの不具合が誘起されることが無い。
加えて電気系部15は、中ケース7と下ケース6の外周部の防水構造で構成されていることから、下ケース6からの侵水も生じない。
よって、電気系部15は、外部から水分が侵入することが無いので、電気系の不具合を確実に防止された状態に維持されるものである。
【0111】
上記のように、流体輸送系部12の流体導通系ユニット31の一部やマイクロポンプ11等が配置される収納部Mは、電気系部15が収納される空間とは水分が交流しない防水性、すなわち気密性が確保された状態で分離されているものである。
このため、前述したように、密閉空間である収納部Mの中に存在する空気量は、電気系部15が収納される空間の容積分だけ少なくなる。
従って、薬液輸送装置1を動物の体内に埋め込む前には数℃から25℃程度であった状態から、動物の体内に埋め込まれて動物の体温である36〜38℃まで上昇しても、収納部Mの容積が小さくなっていることから、この空間内の空気の膨張量及び膨張圧力は比較的小さくなる。このため、収納部Mに配置されているチューブ16の注入開口部16A付近が薄くなることが無いことに伴って上記付近からの上記空気の内部侵入防止をより確実とすることができる。同様にチューブ16における輸送先側接続パイプ30付近が薄くなることが無いことに伴って上記付近からの上記空気の内部侵入防止をより確実とすることができる。
【0112】
〔組立〕
次に、薬液輸送装置1の組立について、説明する。
なお、以下の組み立て方法に限定されるものではない。
まず、準備作業として流体導通系ユニット31を組み立てておく。
流体導通系ユニット31は、図6に図示されている。
流体導通系ユニット31の組立は、次の様に行う。
注液ポートパッキン26が円筒状部2A内の注入口内壁に接着固定された注液ポート2の接続筒部2Bにリザーバー3の注液ポート側接続部3Aを挿入し接着材で固定し、リザーバー3のチューブ側接続部3Bにリザーバー側接続パイプ28のリザーバー側パイプ28Aを挿入して接着材で固定する。
【0113】
リザーバー側接続パイプ28のチューブ側パイプ28Bの内周部28D内にチューブ16の注入側開口部16Aの外周部Dを挿入し接着材10を付着して接合し、同様にチューブ16の排出側開口部16Cの外周部16Dを輸送先側接続パイプ30の内周部30D内に挿入し接着材10を付着して接合する。輸送先側接続パイプ30の先端は、アウトレットチューブ32に挿入し接着材で接合する。
しかるのち流体導通系ユニット31のリザーバー3の周囲をリザーバー枠8に接合する。
流体導通系ユニット31が組み立てられた状態で、滅菌処理を施し、滅菌状態の容器に保管しておく。上記滅菌処理は、例えばエチレンオキサイドガスを吹き込んでガス減菌処理、蒸気による蒸気滅菌などが用いられる。
【0114】
次に、中ケース7の仕切部7Aの上側(上ケース5側)に流体輸送系部12の主要部を組み立てる。
この主要部の組立は、図8に図示されているが、概略は次の通りである。
仕切部7Aに対して、防水パッキン50を防水パッキン収容溝7Dに挿入し、光通信用電池51と光通信用電池パッキン53を光通信用電池案内窪み7Fに挿入し、プラスリード板52とともに配線基板46、ステッピングモーター19の構成部であるステッピングモーターのステーター、コイルブロック、ローターを所定箇所に配置し、地板24と輪列受25との間に組み込まれた輪列歯車ユニットを所定箇所に配置し、上側からにチューブ枠17を被せる。チューブ枠17は、小ネジにより仕切部7Aに取り付けられる。
【0115】
以上のように、流体輸送系部12の主要部が組み立てられると、裏返して、仕切部7Aが下側(下ケース6側)を向くように配置する。
しかる後に、図12のように電気系部15を組み立てる。
電気系部15の組立は、概略、次の通りである。
仕切部7Aに、電気系部15の主要部を配置して行く。
電池マイナス端子板45を所定箇所に配置し、回路部駆動用電池14を回路部駆動用電池案内窪み7Cに挿入する。
導電コイルバネ47、48、49を仕切部7Aの防水パッキン収容溝7D内方に形成された各々の貫通孔に挿入し、半導体素子36とリードスイッチ38と発光素子39と受光素子40及びその他の電子部品が固定された回路基板35を仕切部7Aの所定場所にセットし、小ネジにて仕切部7Aに固定する。
回路部駆動用電池14の上からプラス端子板44をセットし回路基板35に接合する。
【0116】
しかるのち、下ケース6を被せる。
下ケース6の外周部の超音波溶接用突起部6Bを中ケース7の外周壁に当接した上で超音波を加えて超音波溶接し接合する。
こうして電気系部15が組立てられ、電気系部15が密閉され外部の水分が侵入することがない防水状態が確保される。
【0117】
次に、電気系部15が組立てられた中ケース7を再び裏返し、チューブ枠17が上側となるようにセットする。
その状態で、図7のように、関係ユニットを組み込む。
初めに流体導通系ユニット31をチューブ枠17の所定位置に載置する。
この際、注液ポート2を中ケース7の注液ポート支持部7H(図8参照)の縦窪みの中に挿入し、リザーバー枠8を中ケース7の左端のリザーバー枠保持部7Iにセットする。
次に、チューブ16をチューブ枠17のチューブ案内溝17Aにセットし、リザーバー側接続パイプ28の外周溝部28Cを中ケース7の外周壁部7Gに挿入し、同時に輸送先側接続パイプ30の外周溝部30Cを中ケース7の外周壁部7Gに挿入する。
ほぼ同時にチューブ16の中央位置の所定位置にあたるチューブ枠17の上側に形成されている押圧ピン案内溝17Bに各押圧ピン23をセットする。その際、各押圧ピン23の先端がチューブ16の対応外側に接するようにセットする。押圧ピン23を、各々の内端が前述したカム22、すなわち第1カム22Aと第2カム22Bの外周面に当接するようにセットする。
しかる後、カム受18を被せ、小ネジを中ケース7の仕切部7Aに捩じ込むことによって、カム受18を中ケース7に固定し、流体導通系ユニット31及び押圧ピン23を保持する。
【0118】
次に上ケース5を被せる。
上ケース5を被せることにより、中ケース7のリザーバー枠保持部7Iとの間にリザーバー枠8を挟むので、リザーバー枠8が保持される。
また上ケース5の外周壁部5Aは、リザーバー側接続パイプ28の外周溝部28Cと輸送先側接続パイプ30の外周溝部30Cに入り込むように形成されており、超音波溶接により、中ケース7の外周壁部7Gに接合される。
上記超音波溶接の後、リザーバー側接続パイプ28の外周溝部28Cと輸送先側接続パイプ30の外周溝部30Cには、接着材が塗布されて防水性が確保される。
【0119】
しかるのち、薬液輸送装置1に、必要なデーターが書き込まれる。
図14のように薬液輸送措置1がデーター送受信装置37の上にセットされると、リードスイッチ38が接続し、パソコン43から必要な電子データーが薬液輸送措置1側の半導体装置36に送信される。上記電子データーは、ステッピングモーター19の駆動プログラムなどの制御データーである。すなわち、制御データーがデーター送受信装置37の光送信部41から受光素子40に送信され、リードスイッチ38を介して半導体素子36の記憶回路に記憶され、ステッピングモーター19の動作制御が行われるものである。
上記必要なデーターが書き込まれた後に、薬液輸送装置1全体に滅菌処理を施す。この薬液輸送装置1全体の滅菌処理は、上記必要なデーターが書き込まれる前に行っても良い。
この滅菌処理は、蒸気滅菌が好ましいが、エチレンオキサイドガスを吹き込んでガス減菌処理等、その他の滅菌処理でもよい。
【0120】
以上のように薬液輸送装置1が構成され組み立てられている。
前述したように、チューブ16の一端である注入開口部16Aとリザーバー側接続パイプ28との接続部、およびチューブ16の他端である排出側開口部16Cと輸送先側接続パイプ30との接合部は、前述したように構成されているので、チューブ16における注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近の肉厚が薄くなることが無く、また引っ張り力が作用せず、密閉度が確保されるものである。
従って、収納部M内が前述のように高温になって収納部M内の空気が高圧になり、マイクロポンプの動作によって、前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近に微移動が作用しても、前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近から上記空気が侵入することがない。またマイクロポンプの動作によって、チューブ16内の薬液圧力が大きくなり、前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近に微移動が作用しても、チューブ16内の薬液が前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近から外部に漏れ出すこともない。
【0121】
加えて、電機系部15を仕切部7Aによって分離し、収納部Mが電機系部15に対しても密閉状態となるから、両者が連通している場合に比べて収納部Mの体積が小さくなる。従って、薬液輸送装置1が前述のように動物の体内に配置されて高温になっても、収納部M内の空気の膨張量が少なくなり、その分空気の圧力上昇を少なくすることが出来るので、前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近から内部に空気が侵入したり、前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近の内部から外側に薬液が染み出ることも防止できる。
なお、上記のように、空気がチューブ16の内部に侵入することを防止し、逆にチューブ16内から薬液が外方に染み出ることを防止できる効果は、前記注入開口部16A付近と排出側開口部16C付近だけのことではなく、その他のチューブ16全体においても当てはまる。
従って、動物の体内に空気を供給する悪影響をもたらすことがなく、必要な薬液を確実に供給することができるものである。
【0122】
〔変形例1〕
上記実施形態の変形例を説明する。
上述した実施形態において、チューブ16の注入開口部16A側の外周部16Dが、チューブ側パイプ28Bの内周部28Dに挿入するように構成する場合、径方向に隙間を確保し、その隙間に接着材を浸み込ませるものであった。
変形例1は、上記径方向に隙間を持たせることをせず、上記外周部16Dをリザーバー側接続パイプ28の内周部28Dに多少径方向のシメシロを持たせた状態で押し込むものである。その場合、上記外周部16Dの肉厚、及びチューブ側パイプ28Bの内端28E付近(上記内端28Eから薬液流れ方向R1方向に多少突出している部分を含む)のチューブ16の肉厚は、上記シメシロによる肉厚の移動により増加する方向の作用力を受ける。よって注入開口部16A付近においては、前述のように高温になり周囲の空気圧が上昇しても外部から空気が内方に入り込む可能性を少なくし、また薬液が外方に染み出る(液漏れする)可能性も少なくする。なお、接着材10は上記内端28E側から塗布するものである。
同様に、チューブ16の排出側開口部16Cにおいても上記と同様に構成する。すなわち、排出側開口部16Cの外周部16Dを輸送先側接続パイプ30の内周部30Dに多少径方向のシメシロを持たせた状態で押し込む。この場合、上記外周部16Dの肉厚、及び輸送先側接続パイプ30の内端30E付近(上記内端30Eから薬液流れ方向R2方向とは逆側に多少突出している部分を含む)のチューブ16の肉厚は、増加する方向の作用力を受ける。よって排出側開口部16C付近においては、前述のように高温になり周囲の空気圧が上昇しても外部から空気が内方に入り込む可能性を少なくし、また薬液が外方に染み出る(液漏れする)可能性も少なくする。なお、接着材10は上記内端30E側から塗布する。
【0123】
〔変形例2〕
上記実施形態のマイクロポンプにおいて、チューブ16を押す構造として、カム22により押圧ピン23をチューブ16に押し当て、チューブ16を押し潰して薬液を供給するものであった。
しかしマイクロポンプは、チューブ16内の薬液を供給するならばどのような手段を用いても良く、変形例2は、その具体例を提示するものである。
変形例2のマイクロポンプは、押圧ピン23を用いるのではなく、ボールをチューブ16に押し当てる構造である。
ボールは、上記実施形態のカム22に相当する位置に配置されたボール保持板の外周の等間隔に形成された複数個所のボール配置用窪みに各々回転可能に挿入されているものである。
ボール保持板がステッピングモーター、輪列を介して回転することにより、各々のボールも回転するので、各ボールがチューブ16の内側を順次押圧し薬液を排出する。
【0124】
〔変形例3〕
変形例3は、流体輸送系部12と電気系部15との間を電気的に導通させる導通手段部の構造の変形例である。
上記実施形態においては、図5のように、防水パッキン50の内方に、導電コイルバネ47、48、49を配置するものであった。
変形例3は、防水パッキンの構造を変更したもので、図16にその周辺の断面図が図示されている。
図16において、7Aは中ケース7の仕切部、35は回路基板、46は配線基板、47、48、49は導電コイルバネで、前述の実施形態と同様である。
150は、断面L字状の防水パッキンであり、各導電コイルバネ47、48、49を囲むリング形状に形成されている。防水パッキン150の上面は、配線基板46の下面に弾圧しており、下面は回路基板35の上面に弾圧している。
仕切部7Aの下側には、防水パッキン収容溝107Dが形成され、そこに防水パッキン150のL字底部が配置されている。
従って、変形例3の防水パッキンの構造は、防水パッキン150の上面が配線基板46の下面に弾圧しており、下面が回路基板35の上面に弾圧していることにより、上方の配線基板46の下面で防水性が確保されると共に、下方の回路基板35の上面でも防止性が確保されることになり、この周辺の防水性がより高まることになる。
よって、流体輸送系部12側と電気系部15との間を電気的に導通させる導通手段部における侵水を確実に防止することができる。
【0125】
〔変形例4〕
変形例4は、防水パッキンの構造を更に変更したもので、図17にその周辺の断面図が図示されている。
図17において、7Aは中ケース7の仕切部、35は回路基板、46は配線基板、47、48、49は導電コイルバネで、前述の実施形態と同様である。
250は、防水パッキンであり、各々の導電コイルバネ47、48、49を各々囲むリング形状に形成されている。すなわち図17の右端の防水パッキン250は右端の導電コイルバネ47を囲むリング状であり、中側の防水パッキン250は中側の導電コイルバネ48を囲むリング状であり、左端の防水パッキン250は左端の導電コイルバネ49を囲むリング状である。各防水パッキン250は、仕切部7Aの下側に形成された各々の防水パッキン収容溝207Dが形成され、そこに防水パッキン250が配置されている。
従って、各防水パッキン250が各々の導電コイルバネ47、48、49の周囲を囲んで、防水パッキン収容溝207Dと回路基板35との間の防水性を確保している。このため、防水パッキン250が各々において、確実に防水性を確保することができる。
【0126】
〔変形例5〕
前述の実施形態においては、流体輸送系部12と電気系部15とを前述した仕切部7Aにより仕切るものであった。
変形例5は、上記流体輸送系部12と電気系部15と両者を仕切る仕切部との配置構造を変更したものである。
図18は、変形例5における上記流体輸送系部12と電気系部15と両者を仕切る仕切部との配置断面図である。
図18において、101は薬液輸送装置、102は注液ポート、112は流体輸送系部、115は電気系部、154は右ケース、155は左ケースである。
流体輸送系部112は、前述の実施形態の流体輸送系部12と同様の構成部材が収納されており、電気系部115は前述の実施形態の電気系部15と同様の構成部材が収納されている。
前述の実施形態の流体輸送系部12が上側(上ケース5側)に配置され、電気系部15が下側(下ケース6側)に配置されていたのに対して、変形例5の流体輸送系部112が右側に配置され、電気系部115が左側に配置されている点、すなわち流体輸送系部112と電気系部115が横方向に配置されている点が異なっている。
従って、仕切部107Aは、流体輸送系部112と電気系部115の間にあって縦方向に配置されている。
【0127】
仕切部107Aの右側には、配線基板146が縦方向に仕切部107Aに対向して配置され、仕切部107Aの左側には、回路基板135が縦方向に仕切部107Aに対向して配置されている。
仕切部107Aには、配線基板146と回路基板135に挟まれて、導電コイルバネ147、148、149が弾圧配置されており、それら導電コイルバネ147、148、149を囲んでリング状の防水パッキン150が仕切部107Aと配線基板146との間に弾圧配置されている。
従って、導電コイルバネ147、148、149の周囲において、上記防水パッキン150により、上記流体輸送系部112と電気系部115は互いに水分が行き来することなく防水性が確保されている。
【0128】
また、右ケース154の外周壁は、仕切部107Aと超音波溶接により一体化しており、防水性が確保されている。同様に左ケース155の外周壁は、仕切部107Aと超音波溶接により一体化しており、防水性が確保されている。従って、電気系部115は、外部との水分の往来は遮断され、気密性が確保されている。
なお、リザーバー側接続パイプ(図示省略)と右ケース154との接触部は接着材により防水性が確保され、輸送先側接続パイプ(図示省略)と右ケース154との接触部は接着材により防水性が確保されている。従って、流体輸送系部112内は、外部との水分の往来は遮断され、気密性が確保されている。
電気系部115において、135Aは第2回路基板で、139は第2回路基板に配置された発光素子、140は第2回路基板に配置された受光素子で、前述の実施形態の発光素子39、受光素子40と同様の働きを行うものである。電気系部115の構成部は、実施形態の電気系部15と同様である。
【0129】
変形例5により、流体輸送系部112と電気系部115の配置構造の自由度が高まり、薬液輸送装置101の使用目的にかなう形状、性能を実現できる。上記配置構造により、前述の実施形態に比べ、小型化が実現できるケースもありうるものである。
【0130】
〔変形例6〕
上記実施形態、各変形例のように、すなわち図11に図示されているように、外部から密閉された前記収納部M内に配置されるチューブ16の注入開口部16A側の外周部16Dがチューブ側パイプ28Bの内周部28Dに挿入されて接合される接続構造、排出側開口部16Cの外周部16Dが輸送先側接続パイプ30の内周部30Dに挿入されて接合される接続構造を採用するならば、流体輸送系部12、112側と電気系部15、115との間を水分が行き来することを防止する防水構造を採用しなくともよい。
上記各接続構造の部分からは、チューブ16内の薬液が漏れ出すことが殆どないためである。
従って、上記防水構造を不要とするから、構造が簡単になり、防水パッキンを不要にするなど、部品数も少なくなる。
【0131】
〔変形例7〕
変形例7は、上記収納部M内に流体導通系ユニット31の主としてチューブを配置し、しかる後に中ケース7の外周壁部7Gと上ケース5の外周壁部5Aを超音波溶接など接合して内部を密閉する作業を、真空度が高くされた環境下で行うものである。
上記真空度が高くされた環境下は、例えば真空槽である。この真空槽の中に関係部品をセットし、しかる後に作業ロボットにより中ケース7の仕切部7Aの上に、光通信用電池51及び関連部材、マイクロポンプ11の関連部材を配置して取り付け、チューブ枠17を取り付け、チューブ枠17の上に流体導通系ユニット31のチューブ16、押圧ピン23などを配置して取り付け、カム受18を取り付け、最後に上ケース5を被せ、前述のように超音波溶接するものである。
従って、収納部M内には空気は存在しないか、僅かしか存在しないので、動物の体内に配置されて高温になっても前述のチューブの接合箇所から周囲の空気が入り込むことが防止される。この場合、時間経過により真空度が低下し、上記高温になっても前記チューブの接合箇所の接合構造部分からチューブ内部に空気が入り込むこと、及びチューブ内の薬液が漏れ出ることは防止される。
【0132】
〔その他の関連実施態様〕
本発明に関連する実施態様については、次の通りである。
関連実施態様1の小型流体輸送装置は、外部に流体を輸送する小型流体輸送装置であって、外装ケースと、前記流体を貯蔵するリザーバーと、前記リザーバーに連通して流体を導通させるチューブ等流体導通系部と、前記流体導通系部を介して前記流体を前記小型流体輸送装置の外部に供給するマイクロポンプと、前記マイクロポンプの駆動を制御する回路部と、前記回路部に動力を供給する回路部駆動用電池と、前記回路部と回路部駆動用電池とを備えた電気系部と前記リザーバーと流体導通系部およびマイクロポンプを備えた流体輸送系部とを仕切る仕切部と、を備え、前記仕切部には、前記電気系部と前記流体輸送系部のマイクロポンプの駆動部とを導通する導通部材が貫通配置された連通部が配置されており、前記連通部には、前記電気系部と流体輸送系部との間を前記流体が連通しないように防水構造が構成されていることを特徴とする。
【0133】
また、関連実施態様2の小型流体輸送装置は、関連実施形態1の小型流体輸送装置であって、前記連通部は、電気系部に配置された回路基板と、流体輸送系部に配置されマイクロポンプの駆動部と接続している配線基板とを導通する導通部材を配置しており、前記連通部に構成された防水構造は、前記導通部材の周囲を囲んで配置されている防水弾性パッキンを備えており、該防水弾性パッキンは、前記配線基板と仕切部との間、もしくは前記回路基板と仕切部との間、あるいは前記配線基板と回路基板との間に弾圧されて配置されていることを特徴とする。
【0134】
上記各構成によれば、仕切部により流体導通系部と電気系部とを分離し、両者の間を導通部材で導通しながら防水性も確保することができる。
この場合、図20のように、チューブ516の一端の内周部516Dがリザーバー側接続パイプ528の外周部528Cに被さって挿入される接合構造を採用してもよい。上記接合構造付近から薬液が漏れ出しても、電気系部に侵入することが阻止されるから電気系部の不具合が防止される。
【0135】
また、関連実施態様3の小型流体輸送装置は、関連実施態様1乃至関連実施態様2のいずれか1つに記載の小型流体輸送装置であって、前記電気系部は、前記仕切部と前記外装ケースとにより構成された電気系部収納スペース内に収納されており、前記仕切部と前記外装ケースとの接触部は防水構造で構成されていることを特徴とする。
【0136】
上記構成によれば、電気系部は、密閉状態となるので、水分が侵入することがなく、水分による不具合を防止することができる。
【0137】
また、関連実施態様4の小型流体輸送装置は、関連実施態様1乃至関連実施態様3のいずれか1つに記載の小型流体輸送装置であって、前記回路基板には、外部のデーター送受信装置と光通信可能な発光装置と受光装置とが配置され、前記外装ケースにおける前記発光装置および受光装置の対向箇所には、透光可能部が構成されていることを特徴とする。
【0138】
上記構成によれば、前記発光装置および受光装置を有するので、外部のデーター送受信装置と光通信を、防水性を確保しながら行うことができる。
【0139】
また、関連実施態様5の小型流体輸送装置は、関連実施態様1乃至関連実施態様4のいずれか1つに記載の小型流体輸送装置であって、前記発光装置と受光装置に電力を供給する光通信用電池が前記仕切部に保持されており、前記光通信用電池の一方の電極は前記電気系部の側に向かって配置されて導電部材により前記回路基板に導通し、他方の電極は前記流体輸送系部の側に向かって配置されて導電部材により前記配線基板に導通し、前記一方の電極と他方の電極との間にあたる前記光通信用電池の周囲には防水パッキンが配置されており、前記防水パッキンは前記光通信用電池と前記仕切部との間で弾圧されて防水構造を有しており、前記光通信用電池の前記他方の電極が接続している前記配線基板の導電部は、前記連通部で前記回路基板に導通して、該導通している箇所は前記防水構造を有していることを特徴とする。
【0140】
上記構成によれば、光通信用電池を仕切部より流体輸送系部側に配置して、全体のスペースを有効利用しながら、光通信用電池の防水性を確保し、且つ電気系部との導通部の防水性も確保することができる。
【0141】
また、関連実施態様6の小型流体輸送装置は、関連実施態様1乃至関連実施態様5のいずれか1つに記載の小型流体輸送装置であって、前記前記流体輸送系部の側で前記配線基板に形成された複数の導電部は、絶縁処理が施されていることを特徴とする。
【0142】
上記構成によれば、前記流体輸送系部の側で前記配線基板に形成された複数の導電部は、ショートなど不具合を解消することができる。
【0143】
また、関連実施態様7の小型流体輸送装置は、関連実施態様1乃至関連実施態様6のいずれか1つに記載の小型流体輸送装置であって、前記外装ケースは、表側側に配置された上ケース、裏面側に配置された下ケース、上ケースと上ケースとの間に配置された中ケースとを備え、前記仕切部は、前記中ケースに構成されており、前記電気系部は、前記中ケースと下ケースとの間に配置され、前記流体輸送系部のチューブは、前記中ケースと上ケースとの間に配置されていることを特徴とする。
【0144】
上記構成によれば、小型流体輸送装置において、前記流体輸送系部は、上方側に配置されるので、注液ポートなど表面側で流体補給が容易に行うことができる。また電気系部は、下側に配置されるので、外部通信装置との通信を行う装置を裏側に無理なく配置できる。
組立において、中ケースの仕切部を基準にして、流体輸送系部を表側(上方側)から組み立てれば良く、電気系部は裏側(下方側)から組み立てれば良く、組立が容易になる。
【0145】
また、関連実施態様8の小型流体輸送装置は、関連実施態様1乃至関連実施態様7のいずれか1つに記載の小型流体輸送装置であって、前記小型流体輸送装置の外部に露出して外部から前記流体を前記リザーバーに注入し得る注液ポートを備え、前記注液ポートは、前記流体輸送系部の一部を構成していることを特徴とする。
【0146】
上記構成によれば、小型流体輸送装置を動物の体内に配置しても、注液ポートから流体を容易に補給することができる。
【0147】
関連実施態様8の小型流体輸送装置は、動物の体内に挿入されて前記体内に流体を輸送する小型流体輸送装置であって、外装ケースと、前記流体を貯蔵するリザーバーと、前記リザーバーに連通して流体を導通させ弾性材からなるチューブと、前記リザーバーと前記チューブの一端とを接続し前記流体を導通させるリザーバー側接続パイプと、前記チューブの他端と接続し前記流体を導通させ輸送先側に配置された輸送先側接続パイプと、チューブを導通する前記流体を前記小型流体輸送装置の外部に輸送するマイクロポンプと、を備え、前記リザーバー側接続パイプとチューブの前記一端とが接続する一端側接続部、又は/及びチューブの前記他端と前記輸送先側接続パイプとが接続する他端側接続部は、前記外装ケース内であって外部から密閉された密閉空間に配置されており、前記密閉空間に前記一端側接続部が配置される際には、チューブの前記一端の内周部が前記リザーバー側接続パイプの外周部に径方向にシメシロを持たない状態で挿入され且つリザーバー側接続パイプの一端に接着材により防水接合されており、前記密閉空間に前記他端側接続部が配置される際には、チューブの前記他端の内周部が前記輸送先側接続パイプの外周部に径方向にシメシロを持たない状態で挿入され且つ輸送先側接続パイプの一端に接着材により防水接合されていることを特徴とする。
【0148】
上記構成によれば、前記一端側接続部では、チューブの前記一端の内周部が前記リザーバー側接続パイプの外周部に径方向にシメシロを持たない状態で挿入されているので、チューブの一端付近には図20のような薄肉部は生じないうえ、従来のように引っ張り力が働かない。
従って、本発明実施態様1のように、小型流体輸送装置が動物によって高温になりまた長時間が経過しても、上記チューブの挿入部分付近の肉厚には変化が生じない。従って、上記チューブの挿入部分付近の肉厚はいつでも同じ肉みを確保し続ける。
よって、小型流体輸送装置が動物の体内に挿入配置されて高温になっても、チューブの前記一端付近、又は/及び前記他端付近では、周囲の高圧力の空気がチューブ内部に侵入することを防止することができる。しかも、チューブの前記一端付近、又は/及び前記他端付近からは、チューブ内の薬液が外方に染み出ることを防止することができる。
前記他端側接続部においても同様で、チューブの前記他端の内周部が前記前記輸送先側接続パイプの外周部に径方向にシメシロを持たない状態で挿入されているので、チューブの他端付近には図20のような薄肉部は生じないうえ、従来のように引っ張り力が働かない。よって、上述した前記一端側接続部で得られる作用効果を同様に有する。
【0149】
関連実施態様8の実施形態を図に基づいて説明する。
図19は、関連実施態様8としての関連実施形態において、チューブの一端とリザーバー側接続パイプとの接続部の拡大断面図である。
図19において、116はチューブ、128はリザーバー接続パイプであり、前述した実施形態の図11等のチューブ16、リザーバー接続パイプ28と同様の機能を有する。
チューブ116の注入側開口部116Aは、その内周部116Jが、リザーバー接続パイプ28のチューブ側パイプ128Bの外周部128Iに被さるように挿入されている。
その際、チューブ119の内周部116Jは、チューブ側パイプ128Bの外周部128Iより多少直径が大きく、径方向に僅かな隙間が存在している。その隙間に接着材110が塗布されており、両者を接合し防水性を確保している。チューブ116の内端116Eは、リザーバー接続パイプ28の外周に突出している度当たり壁128Jに付き当たり位置決めされている。チューブ116の内端116Eは、度当たり壁128Jに弾圧していてもよい。
128Eはリザーバー接続パイプ28の内端、128Hはリザーバー接続パイプ28のパイプ導通路である。116Fは、チューブ導通路である。
【0150】
このように、チューブ116の内周部116Jがチューブ側パイプ128Bの外周部128Iより多少直径が大きく径方向に僅かな隙間が形成された状態において接着材で接合されているので、チューブ116の注入側開口部116A付近には、図20のように薄肉部が生じないうえ引っ張り力が働かない。よって、上述した作用効果をもたらすことができる。
また、チューブ116の内周部116Jがチューブ側パイプ128Bの外周部128Iに挿入された際に、径方向にシメシロが存在しないならば、明確な隙間が確保されなくとも、上記と同様の作用効果をもたらすことができる。
なお、チューブ116の他端と輸送先側接続パイプとの接続部も、図19と同様に構成することができる。すなわち、チューブ116の他端の内周部を輸送先側接続パイプの外周部に径方向にシメシロを持たせない状態で挿入し、両者を接着材で接合し防水構造とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の小型流体輸送装置は、人体の皮下あるいは体内に埋め込まれ、例えば医療用の治療薬液や栄養液を血管や筋肉等に注入する用途に適用される。
また、動物等の皮下に埋め込んで薬液の動物実験に用いることも出来る。その薬液は、医療用の新薬開発のためであったり、小動物の栄養剤の開発のためであったり、その用途には限定されるものではない。
さらに、本発明の流体輸送装置は、その他の流体輸送のためならばどのような用途であってもよく、小型の流体輸送装置に適する用途が好ましい。その流体は、上記以外の液体や、ガス等の気体であってもよい。
【符号の説明】
【0152】
1、101:薬液輸送装置、2、102:注液ポート、2A:円筒状部、2B:接続筒部、3:リザーバー、3A:注液ポート側接続部、3B:チューブ側接続部、4:糸掛け部、5:上ケース、5A:外周壁部、6:下ケース、6A:内方突出部、6B:超音波溶接用突起部、7:中ケース、7A:仕切部、7B:注入ポート挿入穴、7C:回路部駆動用電池案内窪み、7D、107D、207D:防水パッキン収容溝、7F:光通信用電池案内窪み、7G:外周壁部、7H:注液ポート支持部、7I:リザーバー枠保持部、8:リザーバー枠、10、110:接着材、11:マイクロポンプ、12、112:流体輸送系部、13:回路部、14:回路部駆動用電池、15、115:電気系部、16、116:チューブ、16A、116A:注入側開口部、16B:円弧状チューブ部、16C:排出側開口部、16D、516D:外周部、16E、116E:内端、16F、116F、516F:チューブ導通路、16G、16H、16I:くびれ形状部、17:チューブ枠、17A:チューブ案内溝、17B:押圧ピン案内溝、18:カム受、19:ステッピングモーター、20:輪列、21:カム軸、22:カム、22A:第1カム、22B:第2カム、23:押圧ピン、23A:チューブ押圧部、23B:棒状部、24:地板、25:輪列受、26:注液ポートパッキン、27:注液ポートパッキン止め具、28、128:リザーバー側接続パイプ、28A:リザーバー側パイプ、28B、128B:チューブ側パイプ、28C:外周溝部、28D:内周部、28E、128E:内端、28F:奥壁、28G:接着材案内部、28H、128H:パイプ導通路、30:輸送先側接続パイプ、30A:アウトレット側パイプ、30B:チューブ側パイプ、30C:外周溝部、30D:内周部、30E:内端、30F:奥壁、30G:接着材案内部、30H:パイプ導通路、30I:薬液案内部、31:流体導通系ユニット、32:アウトレットチューブ、33:ステーター、34:コイルブロック、35、135、135A:回路基板、36:半導体素子、37:データー送受信装置、38:リードスイッチ、39、139:発光素子、40、140:受光素子、41:光送信部、42:光受信部、43:パソコン、44:プラス端子、45:マイナス端子板、45A:一端、45B:他端、45C:上端、46、146:配線基板、46A:一方の配線パターン、46B:他方の配線パターン、47、147、48、148、49、149:導電コイルバネ、50、150、250:防水パッキン、51:光通信用電池、52:プラスリード板、53:光通信用電池パッキン、54、154、254:連通部、99:小ネジ、116J:内周部、128I:外周部、128J:度当たり部、154:右ケース、155:左ケース、516:チューブ、516D:内周部、516F:導通路、516G:薄肉部、528:リザーバー側接続パイプ、528C:外周部、528D:先端、529、530:接着材、D1、D2:段差、N1、N2:微移動、M:収納部、P:チューブ導通路の直径、S:一端側接続部、T:他端側接続部、Q:パイプ導通路の直径、R1、R2:薬液の流れ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の体内に挿入されて前記体内に流体を輸送する小型流体輸送装置であって、
外装ケースと、
前記流体を貯蔵するリザーバーと、
前記リザーバーに連通して流体を導通させる弾性を有したチューブと、
前記リザーバーと前記チューブの一端とを接続し前記流体を導通させるリザーバー側接続パイプと、
前記チューブの他端と接続し前記流体を導通させる輸送先側に配置された輸送先側接続パイプと、
前記チューブ内を導通する前記流体を前記小型流体輸送装置の外部に輸送するマイクロポンプと、を備え、
前記リザーバー側接続パイプとチューブの前記一端とが接続する一端側接続部、又は/及びチューブの前記他端と前記輸送先側接続パイプとが接続する他端側接続部は、前記外装ケース内であって外部から密閉された密閉空間に配置されており、
前記密閉空間に前記一端側接続部が配置される際には、チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入され且つリザーバー側接続パイプに防水固定され、
前記密閉空間に前記他端側接続部が配置される際には、チューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入され且つ前記輸送先側接続パイプに防水固定されている
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の小型流体輸送装置であって、
チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記一端の外周部と前記リザーバー側接続パイプの内周部とは、径方向に隙間を有した状態で接着材により固定されており、
チューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記他端の外周部と前記輸送先側接続パイプの内周部とは、径方向に隙間を有した状態で接着材により固定されている
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の小型流体輸送装置であって、
チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記一端の先端が前記リザーバー側接続パイプの内周部の奥壁に弾圧しており、
チューブの前記他端の外周部が前記輸送先側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記他端の先端が前記輸送先側接続パイプの内周部の奥壁に弾圧している
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の小型流体輸送装置であって、
チューブの前記一端の外周部が前記リザーバー側接続パイプの内周部に挿入される場合、チューブの前記一端の側に形成された流体が導通するチューブ導通路の直径は、前記リザーバー側接続パイプに形成された流体が導通するパイプ導通路の直径より大きい
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の小型流体輸送装置であって、
さらに、少なくとも前記チューブおよび前記マイクロポンプを備え前記流体の輸送を機械的に行う流体輸送系部と、少なくとも前記マイクロポンプの駆動を制御する回路部と前記回路部に動力を供給する回路部駆動用電池とを備えた電気系部と、前記流体輸送系部と前記電気系部とを仕切る仕切部と、を備え、
前記密閉空間は、前記外装ケースと前記仕切部とによって形成されており、
前記チューブは、前記密閉空間に配置されている
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項6】
請求項5に記載の小型流体輸送装置であって、
前記外装ケースは、表面側に配置された上ケース、裏面側に配置された下ケース、上ケースと下ケースとの間に配置された中ケースとを備え、
前記仕切部は、前記中ケースに構成されており、
前記密閉空間は、前記上ケースと前記仕切部とによって形成されており、
前記流体輸送系部のうち、前記チューブ、前記一端側接続部、マイクロポンプ、前記他端側接続部は、前記密閉空間に配置されており、
前記電気系部は、前記中ケースと下ケースとによって形成された空間に配置されている
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の小型流体輸送装置であって、
前記仕切部には、前記電気系部と前記流体輸送系部のマイクロポンプの駆動部とを導通する導通部材が貫通配置された連通部が配置されており、
前記連通部には、前記電気系部と流体輸送系部との間を前記流体が連通しないように防水構造で構成されている
ことを特徴とする小型流体輸送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の小型流体輸送装置であって、
前記連通部は、電気系部に配置された回路基板と、流体輸送系部に配置されマイクロポンプの駆動部と接続している配線基板とを導通する導通部材を備えており、
前記連通部に構成された防水構造は、前記導通部材の周囲を囲んで配置されている防水パッキンを備えており、該防水パッキンは、前記配線基板と仕切部との間、もしくは前記回路基板と仕切部との間、あるいは前記配線基板と回路基板との間に弾圧されて配置されている
ことを特徴とする小型流体輸送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−239994(P2010−239994A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88641(P2009−88641)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】